JP2021196514A - 偏光膜、偏光板、光学積層体、楕円偏光板、有機el表示装置およびフレキシブル画像表示装置 - Google Patents

偏光膜、偏光板、光学積層体、楕円偏光板、有機el表示装置およびフレキシブル画像表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】偏光子と配向膜との密着性に優れる偏光膜を提供することを目的とする。【解決手段】光配向膜と該光配向膜に隣接する偏光子とを含む偏光膜であって、前記光配向膜が、光反応性基を有する構造単位と重合性基を有する構造単位とを含む重合体から形成され、前記偏光子が液晶化合物と二色性色素とを含む液晶組成物の硬化物であり、液晶化合物または二色性色素に由来する重合性基を有する構造単位を含む、偏光膜。【選択図】なし

Description

本発明は、偏光膜、これを含む偏光板、光学積層体、楕円偏光板、有機EL表示装置およびフレキシブル画像表示装置に関する。
液晶表示パネルおよび有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)表示パネル等の各種画像表示パネルには、偏光板が用いられている。このような偏光板としては、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムにヨウ素等の二色性色素が配向吸着された偏光子を有する偏光板のほか、基材上に光配向膜を介して塗布された重合性液晶化合物を重合させることにより得られる偏光子を有する偏光膜が知られている。
特開2013−33249号公報
液晶化合物のコーティング層から形成される偏光膜は、偏光子と該偏光子を形成するために用いた配向膜とを有する積層体の形態で用いられることが多い。かかる構成の偏光膜において配向膜と偏光子との密着性の低下は、偏光膜の光学特性等に影響を及ぼす一因となり得る。
そこで、本発明は、偏光子と配向膜との密着性に優れる偏光膜を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、以下の好適な態様を提供するものである。
[1]光配向膜と該光配向膜に隣接する偏光子とを含む偏光膜であって、
前記光配向膜が、光反応性基を有する構造単位と重合性基を有する構造単位とを含む重合体から形成されるものであり、
前記偏光子が液晶化合物と二色性色素とを含む液晶組成物の硬化物であり、液晶化合物または二色性色素に由来する重合性基を有する構造単位を含む、偏光膜。
[2]光反応性基は二量化反応または異性化反応を生じる基である、[1]に記載の偏光膜。
[3]光配向膜を形成する重合体はカルボキシ基を有する構造単位をさらに含む、[1]または[2]に記載の偏光膜。
[4]光配向膜を形成する重合体は20,000以上150,000以下の重量平均分子量を有する、[1]〜[3]のいずれかに記載の偏光膜。
[5]光配向膜を形成する重合体は、式(II):
Figure 2021196514
[式(II)中、
Ma、MbおよびMcは、コポリマーの主鎖を形成するモノマー単位を表し;
m、nおよびlは、コポリマーのモル分率を表すものであって、いずれの場合にも0<m<1かつ0<n<1かつ0<l<1であり;
SPCRa、SPCRbおよびSPCRcは、各々独立してスペーサー単位を表し;
環A、環Bおよび環Cは、各々独立して非置換もしくは置換脂環式炭化水素または非置換もしくは置換芳香環であり;
Xは、共有単結合、炭素数1〜10個のアルキレン鎖、または炭素数3〜8個のシクロアルキレン鎖であり;
Yは、−O−CO−CH=CH−(いずれの結合手が環Bと結合していてもよい)、または−N=N−であり;
Zは、共有単結合;非置換、または水酸基および/またはカルボニル基によって置換された炭素数1〜10個のアルキレン鎖;炭素数3〜8個のシクロアルキレン鎖;−O−;−COO−;およびそれらの組み合わせからなる群より選択され;
は、炭素数1〜6個のアルキル基、炭素数1〜6個のアルコキシ基、シアノ基およびハロゲン原子から選択される少なくとも1つの置換基を有するフェニル基であり;
は、−CW=CH、または−V−CW=CH(式中、Wは水素原子またはメチル基であり、Vは−O−CO−または−CO−である)である]
で表される繰り返し単位を有する、[1]〜[4]のいずれかに記載の偏光膜。
[6]二色性色素はアゾ色素を含む、[1]〜[5]のいずれかに記載の偏光膜。
[7]偏光子は重合性液晶化合物の重合体を含む、[1]〜[6]のいずれかに記載の偏光膜。
[8]偏光子はX線回折測定においてブラッグピークを示す、[1]〜[7]のいずれかに記載の偏光膜。
[9][1]〜[8]のいずれかに記載の偏光膜と、該偏光膜の光配向膜側に配置される基材とを含む偏光板。
[10][9]に記載の偏光板と、該偏光板の偏光子側に粘接着層を介して貼合される層とを含む光学積層体。
[11][1]〜[8]のいずれかに記載の偏光膜と1/4波長板機能を有する位相差層とを含む楕円偏光板。
[12][11]に記載の楕円偏光板を含む、有機EL表示装置。
[13][11]に記載の楕円偏光板を含む、フレキシブル画像表示装置。
[14]ウインドウとタッチセンサとをさらに含む、[13]に記載のフレキシブル画像表示装置。
本発明によれば、偏光子と配向膜との密着性に優れる偏光膜を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本発明の範囲はここで説明する実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更をすることができる。
〔偏光膜〕
本発明の偏光膜は、光配向膜と該光配向膜に隣接する偏光子とを含み、実質的に光配向膜と偏光子とからなる。なお、本明細書においては、光配向膜および該光配向膜に隣接して積層される偏光子からなる積層体を偏光膜といい、光配向膜および該光配向膜に隣接する偏光子に加えて該光配向膜側に基材が配置される場合、該基材から偏光子までの各層からなる積層体を偏光板という。
本発明の偏光膜を構成する光配向膜は、光反応性基を有する構造単位と重合性基を有する構造単位とを含む重合体から形成され、光反応性基を有する構造単位と重合性基を有する構造単位とを含む共重合体から形成されることが好ましい。本発明において前記重合体および前記共重合体は、通常、(コ)ポリマーである。光配向膜を形成する重合体において、光反応性基を有する構造単位は光の作用による液晶配向能の付与に寄与し、重合性基を有する構造単位は光配向膜上に形成される偏光子との密着性の向上に寄与する。
本発明の一態様において、光反応性基を有する構造単位(以下、「構造単位(i)」ともいう)は少なくとも1つの光反応性基を有するモノマーに由来する。光反応性基とは、光照射により液晶配向能を生じる基をいう。具体的には、二量化反応、異性化反応、若しくは光分解反応のような、光照射によって液晶配向能の起源となる光反応を生じて、重合体分子の配向誘起をする基を意味する。構造単位(i)が有する光反応性基は1種であっても、2種以上であってもよい。
二量化反応とは、光の作用により2つの基の間で付加反応が生じ、典型的には環構造を形成する反応をいう。かかる二量化反応を生じる基としては、光照射により二量化反応を引き起こす炭素−炭素二重結合(C=C結合)または炭素−酸素二重結合(C=O結合)を含む基であって、例えば、シンナモイル構造を有する基、カルコン構造を有する基、クマリン構造を有する基、ベンゾフェノン構造を有する基、アントラセン構造を有する基等が挙げられる。中でも、光配向に必要な偏光照射量が比較的少なく、かつ、熱安定性や経時安定性に優れる光配向膜を得やすい観点から、シンナモイル構造を有する基およびカルコン構造を有する基が好ましく、シンナモイル構造を有する基がより好ましい。
異性化反応とは、光の作用により単一の化合物から立体異性化や構造異性化等の他の異性体を生じる反応をいう。かかる異性化反応を生じる基としては、光照射により異性化反応を引き起こす窒素−窒素二重結合(N=N結合)または炭素−炭素二重結合(C=C結合)を含む基であって、例えば、アゾベンゼン構造を有する基、スチルベン構造を有する基、ヒドラゾノ−β−ケトエステル構造(骨格)を有する基、スピロピラン構造(骨格)を有する基等が挙げられる。
光分解反応とは、光の作用により、高分子鎖を切り、異方性を発現させる反応をいう。
本発明において光反応性基としては、好ましくは二量化反応を生じる基および異性化反応を生じる基であり、より好ましくは二量化反応を生じる基である。二量化反応を生じる基および異性化反応を生じる基は、反応性やコストの観点から好ましい。特に反応性に関しては後述する重合性基を有する構造単位を反応させず、光反応性を反応させることが重要となる。
本発明の一態様において、重合性基を有する構造単位(以下、「構造単位(ii)」ともいう)は少なくとも1つの重合性基を有するモノマーに由来する。重合性基とは、重合反応に関与する基を意味し、熱重合性基および光重合性基が挙げられるが、重合性基を有する構造単位に含まれる重合性基は光重合性基であることが好ましい。構造単位(ii)が有する重合性基は1種であっても、2種以上であってもよい。
構造単位(ii)を構成する重合性基としては、例えば、ビニル基、ビニルオキシ基、1−クロロビニル基、イソプロペニル基、4−ビニルフェニル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、オキシラニル基、オキセタニル基等が挙げられる。中でも、反応制御の容易さ、偏光子との密着性向上の観点から、好ましくは(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニルオキシ基、オキシラニル基およびオキセタニル基であり、より好ましくは(メタ)アクリロイル基および(メタ)アクリロイルオキシ基、さらに好ましくは(メタ)アクリロイルオキシ基である。なお、本明細書において、「(メタ)アクリロイル」とは、メタクリロイルおよびアクリロイルをいう。
光配向膜が重合性基を有する構造単位(ii)を含む重合体から形成されると、該光配向膜とこれに隣接して積層される偏光子との密着性に優れる偏光膜を形成し得る。かかる効果を生じる一因として、液晶組成物の硬化物である偏光子を形成する際に、該偏光子を形成するための液晶化合物や二色性色素等の液晶性物質の重合反応とともに光配向膜に含まれる重合性基が反応して、偏光子を形成する液晶化合物または二色性色素等の液晶性物質が有する重合性基と結合し得ることが考えられる。したがって、偏光子を形成する二色性色素や重合性液晶化合物が、前記重合体が有する重合性基と同じ重合性基を有する場合、偏光子と光配向膜との密着性がより向上しやすくなる。
本発明において光配向膜を形成する重合体は、構造単位(ii)として未反応の重合性基を有する。構造単位(ii)は該重合性基を有するモノマーに由来するものである。重合体において、これを形成する前記モノマーのうちの少なくとも一部が有する重合性基が未反応のまま存在している。前記重合性基を有するモノマーに由来する構造単位において、全ての重合性基が未反応のまま存在していてもよい。重合体中に十分な割合で未反応の重合性基が存在する場合、光偏光膜を形成した後に作製される偏光子の形成時において、偏光子を形成するための液晶性物質の重合反応と同時に反応が進み得る重合性基が光配向膜中に十分な量で存在し得るため、光配向膜と偏光子との密着性が向上しやすい。
高い液晶配向能を示しながら、偏光子との密着性に優れる配向膜が形成されやすいことから、本発明において光配向膜を形成する重合体は、好ましくは構造単位(i)および構造単位(ii)を有する重合体であり、より好ましくは光反応性基および重合性基がそれぞれポリマー側鎖の末端に位置する重合体である。
構造単位(i)と構造単位(ii)とを含む重合体としては、例えば、構造単位(i)を誘導するモノマーと構造単位(ii)を誘導するモノマーとを共重合する、または、構造単位(i)を含む(共)重合体中に構造単位(ii)が有する重合性基を導入することにより得られるポリマーが挙げられる。かかる重合体としては、例えば下記式(I)で表される構造を繰り返し単位として有するコポリマーが挙げられる。
Figure 2021196514
[式(I)中、
MbおよびMcは、コポリマーの主鎖を形成するモノマー単位を表し;
nおよびlは、コポリマーのモル分率を表すものであって、いずれの場合にも0<n<1かつ0<l<1であり;
SPCRbおよびSPCRcは、各々独立してスペーサー単位を表し;
環Bおよび環Cは、各々独立して非置換もしくは置換脂環式炭化水素または非置換もしくは置換芳香環であり;
Yは、−O−CO−CH=CH−(いずれの結合手が環Bと結合していてもよい)、または−N=N−であり;
Zは、共有単結合;非置換、または水酸基および/またはカルボニル基によって置換された炭素数1〜10個のアルキレン鎖;炭素数3〜8個のシクロアルキレン鎖;−O−;−COO−;およびそれらの組み合わせからなる群より選択され;
は、炭素数1〜6個のアルキル基、炭素数1〜6個のアルコキシ基、シアノ基およびハロゲン原子から選択される少なくとも1つの置換基を有するフェニル基であり;
は、−CW=CH、または−V−CW=CH(式中、Wは水素原子またはメチル基であり、Vは−O−CO−または−CO−である)である。]
式(I)中、コポリマーの主鎖を形成するモノマー単位であるMbおよびMcの構造としては、例えば、式(M−1)または式(M−2)で表される(メタ)アクリル酸エステル単位;式(M−3)または式(M−4)で表される(メタ)アクリルアミド単位;式(M−5)または式(M−6)で表されるビニルエーテル単位;式(M−7)または式(M−8)で表される(メチル)スチレン単位、および式(M−9)または式(M−10)で表されるビニルエステル単位からなる群より選ばれるものが挙げられる。式(M−1)〜(M−10)において、*はスペーサー単位であるSPCRbおよびSPCRcとの結合手を表す。式(I)におけるコポリマーの主鎖は、前記群より選ばれる単位から構成されるのが好ましく、中でも、(メタ)アクリル酸エステル単位および(メタ)アクリルアミド単位からなる群より選ばれる単位から構成されるのがさらに好ましい。なお、ここでいう「コポリマーの主鎖」とは、コポリマーが有する分子鎖のうち、最も長い分子鎖をいう。
Figure 2021196514
式(I)中、スペーサー単位であるSPCRbおよびSPCRcとしては、例えば、カルボニルオキシ基(エステル結合)、酸素原子(エ−テル結合)、イミド基(イミド結合)、カルボニルイミノ基(アミド結合)、イミノカルボニルイミノ基(ウレタン結合)、置換基を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基および置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基、並びにこれらを組み合わせてなる2価の基を挙げることができる。置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基の具体例は、フェニレン基、2−メトキシ−1,4−フェニレン基、3−メトキシ−1,4−フェニレン基、2−エトキシ−1,4−フェニレン基、3−エトキシ−1,4−フェニレン基、2,3,5−トリメトキシ−1,4−フェニレン基などが挙げられる。これらの中でも、該連結基は、脂肪族炭化水素基が好ましく、置換基を有していてもよい炭素数1〜11のアルカンジイル基がさらに好ましい。なお、かかるアルカンジイル基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基およびウンデカメチレン基などが挙げられ、これらは直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。また、かかるアルカンジイル基は置換基を有していてもよい。この置換基は、例えば、炭素数1〜4のアルコキシ基などである。
式(I)中、環Bおよび環Cとしては、例えば、式(X−1)〜(X−5)で表される環構造が挙げられる。
Figure 2021196514
上記構造中、X〜X38は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子またはシアノ基である。X〜X38表されるアルキル基としては、炭素数1〜4のアルキル基が挙げられ、X〜X38表されるアルコキシ基としては、炭素数1〜4のアルコキシ基が挙げられる。X〜X38は、それぞれ、好ましくは水素原子またはハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子である。
環Bおよび環Cは、好ましくは式(X−1)または(X−5)で表される環構造であり、より好ましくは式(X−1)で表される環構造である。
式(I)中、Rは、好ましくは炭素数1〜6個のアルキル基、または、シアノ基およびハロゲン原子から選択される少なくとも1つの置換基を有するフェニル基であり、より好ましくは炭素数1〜6個のアルキル基、シアノ基で置換されたフェニル基であり、さらに好ましくは炭素数1〜6個のアルキル基である。Rのアルキル基としては、炭素数1〜4個のアルキル基が好ましく、より好ましくはメチル基である。
式(I)中、Rは、好ましくは−CW=CH、または−V−CW=CH(式中、Wは水素原子またはメチル基であり、Vは−O−CO−または−CO−である)である。
式(I)中、nおよびlは光配向膜を形成する重合体の全構造単位に対する構造単位(i)および構造単位(ii)のモル分率であり、0.1≦n≦0.9および0.1≦l≦0.9の関係を満たすことが好ましい。構造単位(i)と構造単位(ii)のモル分率が上記範囲内であると、配向性と密着性の観点から好ましい。
式(I)は、構造単位(i)を誘導するモノマーと構造単位(ii)を誘導するモノマーとがn:lのモル比で含まれていることを模式的に表したものであり、構造単位(i)を誘導するモノマーと構造単位(ii)を誘導するモノマーとは必ずしも交互に結合してコポリマーを構成することを表すものではない。すなわち、式(I)は、構造単位(i)を誘導するモノマーと構造単位(ii)を誘導するモノマーとをn:lのモル比で重合させたコポリマー、例えば、交互型、ブロック型、ランダム型、グラフト型などのいずれをも含み得る。
本発明の一態様において、光配向膜を形成する重合体は、構造単位(i)および構造単位(ii)に加えて、好ましくはさらにカルボキシ基を有する構造単位(以下、「構造単位(iii)」ともいう)を含む。
光配向膜が構造単位(iii)を含む場合、光配向膜を形成する重合体は、好ましくは構造単位(i)、構造単位(ii)および構造単位(iii)を有する重合体であり、より好ましくは光反応性基、重合性基およびカルボキシ基がそれぞれポリマー側鎖の末端に位置する重合体である。重合体がこのような構造を有することにより、偏光子との密着性により優れる配向膜が形成されやすい。
構造単位(i)と構造単位(ii)と構造単位(iii)とを含む重合体としては、例えば、構造単位(i)を誘導するモノマーと構造単位(ii)を誘導するモノマーと構造単位(iii)を誘導するモノマーとを共重合する、または構造単位(i)および/または構造単位(iii)を含む(共)重合体中に構造単位(ii)が有する重合性基を導入することにより得られるポリマーが挙げられる。かかる重合体としては、例えば下記式(II)で表される構造を繰り返し単位として有するコポリマーが挙げられる。
Figure 2021196514
[式(II)中、
Ma、MbおよびMcは、コポリマーの主鎖を形成するモノマー単位を表し;
m、nおよびlは、コポリマーのモル分率を表すものであって、いずれの場合にも0<m<1かつ0<n<1かつ0<l<1であり;
SPCRa、SPCRbおよびSPCRcは、各々独立してスペーサー単位を表し;
環A、環Bおよび環Cは、各々独立して非置換もしくは置換脂環式炭化水素または非置換もしくは置換芳香環であり;
Xは、共有単結合、炭素数1〜10個のアルキレン鎖、または炭素数3〜8個のシクロアルキレン鎖であり;
Yは、−O−CO−CH=CH−(いずれの結合手が環Bと結合していてもよい)、または−N=N−であり;
Zは、共有単結合;非置換、または水酸基および/またはカルボニル基によって置換された炭素数1〜10個のアルキレン鎖;炭素数3〜8個のシクロアルキレン鎖;−O−;−COO−;およびそれらの組み合わせからなる群より選択され;
は、炭素数1〜6個のアルキル基、炭素数1〜6個のアルコキシ基、シアノ基およびハロゲン原子から選択される少なくとも1つの置換基を有するフェニル基であり;
は、−CW=CH、または−V−CW=CH(式中、Wは水素原子またはメチル基であり、Vは−O−CO−または−CO−である)である。]
式(II)中、コポリマーの主鎖を形成するモノマー単位であるMa、MbおよびMcの構造としては、式(I)中のMbおよびMcの構造として例示したものと同様の構造が挙げられる。
式(II)中、スペーサー単位であるSPCRa、SPCRbおよびSPCRcとしては、式(I)中のSPCRbおよびSPCRcの構造として例示したものと同様の構造が挙げられる。
式(II)中、環A、環Bおよび環Cとしては、式(I)中の環Bおよび環Cの構造として例示したものと同様の構造が挙げられる。
式(II)中、環Aは好ましくは式(X−1)で表される環構造であり、環Bおよび環Cは、好ましくは式(X−1)または(X−5)で表される環構造であり、より好ましくは式(X−1)で表される環構造である。
式(II)中のRおよびRとしては、式(II)中のRおよびRの構造として例示したものと同様の構造が挙げられる。
式(II)中、m、nおよびlは光配向膜を形成する重合体の全構造単位に対する構造単位(iii)および構造単位(i)および構造単位(ii)のモル分率(m+n+l=1)であり、0.1≦m≦0.8、0.1≦n≦0.5および0.1≦l≦0.5の関係を満たすことが好ましく、より好ましくは0.3≦m≦0.8、0.1≦n≦0.3および0.1≦l≦0.3の関係を満たすことがより好ましい。構造単位(i)、構造単位(ii)および構造単位(iii)のモル分率が上記範囲内であると、配向性、密着性の観点から好ましい。
式(II)は、構造単位(i)を誘導するモノマーと構造単位(ii)を誘導するモノマーと構造単位(iii)を誘導するモノマーとをn:l:mのモル比で含まれていることを模式的に表したものであり、構造単位(i)を誘導するモノマーと構造単位(ii)を誘導するモノマーと構造単位(iii)を誘導するモノマーとは必ずしも交互に結合してコポリマーを構成することを表すものではない。すなわち、式(I)は、構造単位(i)を誘導するモノマーと構造単位(ii)を誘導するモノマーと構造単位(iii)を誘導するモノマーとをn:l:mのモル比で重合させたコポリマー、例えば、交互型、ブロック型、ランダム型、グラフト型などのいずれをも含み得る。
本発明の一態様において光配向膜を形成する重合体は、本発明の効果に影響を及ぼさない限りにおいて、構造単位(i)、構造単位(ii)および構造単位(iii)以外の他の構造単位(以下、「他の構造単位」ともいう)を含んでいてもよい。
光配向膜を形成する重合体は、好ましくは20,000以上150,000以下の重量平均分子量を有する。重量平均分子量が上記下限以上であると、耐溶剤性が良好になり、後に光配向膜上に形成される偏光子との高い密着性を確保しながら、高い液晶配向能を示す光配向膜を得られやすい。また、光配向膜を作製後、液晶組成物(偏光子形成用組成物)を塗布した際の配向性が出やすくなる傾向にある。さらに、本発明者等は、上記範囲内においては、光配向膜を形成する重合体の重量平均分子量が大きくなるほど高い液晶配向能を発現する傾向にあり、光配向膜を形成する際の加工温度が比較的高い場合であっても優れた液晶配向能を示し得ることを見出した。本発明において、光配向膜を形成する重合体の重量平均分子量は、より好ましくは30,000以上、さらに好ましくは50,000以上であり、また、より好ましくは140,000以下、さらに好ましくは130,000以下である。
なお、重合体の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー等の測定機器を用いて測定、算出することができる。
構造単位(i)および(ii)を含む光配向膜を形成する重合体(以下、「重合体(I’)」ともいう)は、構造単位(i)を誘導するモノマーと構造単位(ii)を誘導するモノマー、必要に応じて構造単位(iii)を誘導するモノマーおよび他の構造単位を誘導するモノマーを所定量、無溶剤または溶剤中で混合し、共重合する、または、構造単位(i)を誘導するモノマーおよび/または構造単位(iii)を誘導するモノマーを(共)重合中に構造単位(ii)が有する重合性基を導入させることにより製造できる。共重合の方法としては、当該分野で従来公知の方法を採用すればよく、例えば、ラジカル重合、アニオン重合およびカチオン重合などの連鎖重合、並びに配位重合が挙げられる。重合条件は、用いるモノマーの種類およびその量等に応じて、所望の分子量を有する重合体を得られるよう適宜決定される。
溶剤中で重合する場合には、公知の有機溶剤を特に限定なく用いることができる。溶剤の具体例としては、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、ブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤、ジエチルエーテル、ジグリム等のエーテル系溶剤、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶剤、アセトニトリル等のニトリル系溶剤、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤等が挙げられる。これらの溶剤は、いずれかを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合に際しては、重合開始剤を用いてもよい。重合開始剤は、公知の重合開始剤から適宜選択することができ、例えば、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、ジエチル−2,2’−アゾビスイソブチレート(V−601)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチルアゾビスメチルプロビオネート等のアゾ系重合開始剤、過酸化ベンゾイル、過酸化水素、過酸化ラウロイル等の過酸化物系重合開始剤、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩系重合開始剤などが挙げられる。これらの重合開始剤は、いずれかを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合条件は、用いるモノマーの種類およびその量等に応じて、所望の分子量を有する重合体を得られるよう適宜決定される。
例えば、重合の際の温度は、用いるモノマーの種類、重合溶剤の種類、重合開始剤の種類などにより適宜設定すればよいが、好ましくは40〜150℃、より好ましくは50〜120℃の範囲である。
光配向膜は、重合体(I’)と、通常、該重合体(I’)を溶解し得る溶剤とを含む組成物(以下、「光配向膜形成用組成物」ともいう)を基材等の光配向膜を形成する面に塗布し、溶剤を乾燥除去した後に偏光(好ましくは偏光UV)を照射することにより得られる。光配向膜の特性が著しく損なわれない範囲で、光配向膜形成用組成物は、ポリビニルアルコールやポリイミドなどの高分子材料や光増感剤を含んでいてもよい。
光配向膜形成用組成物中の重合体(I’)の含有量は、重合体(I’)の構造や目的とする光配向膜の厚み等によって適宜調節できるが、光配向膜形成用組成物の質量に対して固形分換算で、少なくとも0.1質量%であることが好ましく、より好ましくは0.3〜10質量%の範囲である。なお、本明細書において、固形分とは、光配向膜形成用組成物から溶剤等の揮発性成分を除いた成分の合計量をいう。以下、偏光子形成用組成物等においても同様に、対象とする組成物から溶剤等の揮発性成分を除いた成分の合計量をいう。
光配向膜形成用組成物に用いる溶剤は、用いる重合体(I’)の種類等に応じて適宜選択することができる。例えば、水;メタノール、エタノール、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブおよびプロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートおよび乳酸エチル等のエステル溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトンおよびメチルイソブチルケトン等のケトン溶剤;ペンタン、ヘキサンおよびヘプタン等の脂肪族炭化水素溶剤;トルエンおよびキシレン等の芳香族炭化水素溶剤、アセトニトリル等のニトリル溶剤;テトラヒドロフランおよびジメトキシエタン等のエーテル溶剤;クロロホルムおよびクロロベンゼン等の塩素置換炭化水素溶剤;等が挙げられる。これらの溶剤は、いずれかを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
光配向膜形成用組成物を基材等に塗布する方法としては、スピンコーティング法、エクストルージョン法、グラビアコーティング法、ダイコーティング法、バーコーティング法、アプリケータ法などの塗布法、フレキソ法などの印刷法などの公知の方法が挙げられる。
溶剤を乾燥除去する方法としては、自然乾燥法、通風乾燥法、加熱乾燥および減圧乾燥法等が挙げられる。これにより乾燥塗膜が形成される。
偏光を照射する方法としては、光配向膜形成用組成物から溶剤を除去した乾燥塗膜に直接、偏光を照射する形式でも、乾燥塗膜を形成した基材等の側から偏光を照射し、偏光を透過させて照射する形式でもよい。また、当該偏光は、実質的に平行光であることが特に好ましい。照射する偏光の波長は、重合体(I’)が有する光反応性基が、光エネルギーを吸収し得る波長領域のものがよい。具体的には、波長250〜400nmの範囲のUV(紫外光)が特に好ましい。
当該偏光照射に用いる光源としては、キセノンランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、KrF、ArF等の紫外光レーザー等が挙げられ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプおよびメタルハライドランプがより好ましい。これらのランプは、波長313nmの紫外光の発光強度が大きいため好ましい。前記光源からの光を、適当な偏光子を通過して照射することにより、偏光を照射することができる。かかる偏光子としては、偏光フィルターやグラントムソン、グランテーラー等の偏光プリズムやワイヤーグリッドタイプの偏光子を用いることができる。
偏光照射を行う際にマスキングを行えば、液晶配向の方向が異なる複数の領域(パターン)を形成することもできる。
光配向膜の厚みは、好ましくは10〜5000nmであり、より好ましくは10〜1000nmであり、さらに好ましくは30〜300nmである。光配向膜の厚みが上記範囲であると、偏光子との良好な密着性を発現しつつ、配向規制力を発揮することができ、高い配向秩序で偏光子を形成できる。
本発明の偏光膜を構成する偏光子は液晶組成物の硬化物、すなわち、液晶組成物から形成されるコーティング層である。偏光子を形成する液晶組成物(以下、「偏光子形成用組成物」ともいう)は、液晶化合物と二色性色素とを含む。
二色性色素とは、分子の長軸方向における吸光度と、短軸方向における吸光度とが異なる性質を有する色素を意味する。本発明において用い得る二色性色素は、上記性質を有するものであれば特に制限されず、染料であっても、顔料であってもよい。また、2種以上の染料または顔料をそれぞれ組合せて用いてもよいし、染料と顔料とを組合せて用いてもよい。また、二色性色素は、重合性を有していてもよいし、液晶性を有していてもよい。
本発明の一態様において二色性色素は、300〜700nmの範囲に極大吸収波長(λMAX)を有するものが好ましい。このような二色性色素としては、例えば、アクリジン色素、オキサジン色素、シアニン色素、ナフタレン色素、アゾ色素およびアントラキノン色素等が挙げられる。中でも、アゾ色素は直線性が高いため偏光性能に優れる偏光子の作製に好適である。したがって、本発明の一態様において、偏光子を形成する偏光子形成用組成物に含まれる二色性色素は、好ましくはアゾ色素である。
アゾ色素としては、モノアゾ色素、ビスアゾ色素、トリスアゾ色素、テトラキスアゾ色素およびスチルベンアゾ色素等が挙げられ、ビスアゾ色素およびトリスアゾ色素が好ましく、例えば、式(1)で表される化合物が挙げられる。
(−N=N−K−N=N−K (1)
[式(1)中、KおよびKは、互いに独立に、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基または置換基を有していてもよい1価の複素環基を表わす。Kは、置換基を有していてもよいp−フェニレン基、置換基を有していてもよいナフタレン−1,4−ジイル基または置換基を有していてもよい2価の複素環基を表わす。pは1〜4の整数を表わす。pが2以上の整数である場合、複数のKは互いに同一でも異なっていてもよい。可視域に吸収を示す範囲で−N=N−結合が−C=C−、−COO−、−NHCO−、−N=CH−結合に置き換わっていてもよい。]
式(1)中、1価の複素環基としては、例えば、キノリン、チアゾール、ベンゾチアゾール、チエノチアゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、オキサゾール、ベンゾオキサゾールなどの複素環化合物から1個の水素原子を除いた基が挙げられる。2価の複素環基としては、前記複素環化合物から2個の水素原子を除いた基が挙げられる。
式(1)中のKおよびKにおけるフェニル基、ナフチル基および1価の複素環基、並びにKにおけるp−フェニレン基、ナフタレン−1,4−ジイル基および2価の複素環基が任意に有する置換基としては、炭素数1〜20のアルキル基、重合性基を有する炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜4のアルケニル基;メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などの炭素数1〜20のアルコキシ基、重合性基を有する炭素数1〜20のアルコキシ基;トリフルオロメチル基などの炭素数1〜4のフッ化アルキル基;シアノ基;ニトロ基;ハロゲン原子;アミノ基、ジエチルアミノ基、ピロリジノ基などの置換または無置換アミノ基(置換アミノ基とは、炭素数1〜6のアルキル基を1つまたは2つ有するアミノ基、重合性基を有する炭素数1〜6のアルキル基を1つまたは2つ有するアミノ基、あるいは2つの置換アルキル基が互いに結合して炭素数2〜8のアルカンジイル基を形成しているアミノ基を意味する。無置換アミノ基は−NHである。)等が挙げられる。前記重合性基としては、アクリロイル基、メタアクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタアクリロイルオキシ基等が挙げられる。
式(1)で表されるアゾ色素としては、以下の式(1−1)〜式(1−8)のいずれかで表される化合物が挙げられる。これらのアゾ色素は、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
Figure 2021196514
[式(1−1)〜(1−8)中、
〜B30は、互いに独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルケニル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、置換または無置換のアミノ基(置換アミノ基および無置換アミノ基の定義は前記のとおり)、塩素原子またはトリフルオロメチル基を表わす。
n1〜n4は、互いに独立に0〜3の整数を表わす。
n1が2以上である場合、複数のBは互いに同一でも異なっていてもよく、
n2が2以上である場合、複数のBは互いに同一でも異なっていてもよく、
n3が2以上である場合、複数のBは互いに同一でも異なっていてもよく、
n4が2以上である場合、複数のB14は互いに同一でも異なっていてもよい。]
本発明の偏光膜を構成する偏光子は液晶化合物または二色性色素に由来する重合性基を有する構造単位を含んでおり、偏光子が該構造単位を含む場合、光配向膜を形成する重合体(I’)を構成する構造単位(ii)が有する重合性基との間に結合が生じ得ることにより、光配向膜と偏光子との密着性に優れる偏光膜を形成しやすくなる。したがって、本発明における二色性色素は、重合性基を有する二色性色素であってもよい。
二色性色素が重合性基を有する場合、重合性基としては、重合体(I’)を構成する構造単位(ii)が有する重合性基として例示する基が挙げられる。中でも、反応制御の容易さの観点から、好ましくは(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニルオキシ基、オキシラニル基およびオキセタニル基であり、より好ましくは(メタ)アクリロイル基および(メタ)アクリロイルオキシ基、さらに好ましくは(メタ)アクリロイルオキシ基である。二色性色素中の重合性基は、1種単独であっても、2種以上の組み合わせであってもよいが、構造単位(ii)が有する重合性基と同一の重合性基であることが好ましい。二色性色素が有する重合性基の個数は、特に制限されず、1個以上であればよい。
重合性基を有する二色性色素としては、上記式(1)で表される化合物のうち重合性基を有するものや、下記式(2):
Figure 2021196514
[式(2)において、
mは、0〜3の整数を表し;
、AおよびAは、互いに独立に、置換基を有していてもよい二価の芳香族基を表し;
およびLは、互いに独立に、単結合、−CH−、−CHCH−、−O−、−CHO−、−OCH−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−CR=CR−、−C≡C−、−CR=N−、−CONR−、−NRCO−、または、−N=N−を表し、ここで、RおよびRは、互いに独立に、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す;
は、重合性基を表し、Zは、水素原子または重合性基を表し;
およびQは、互いに独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の直鎖または分枝アルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルケニレン基、または、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキニレン基を表し、これらのアルキレン基、アルケニレン基、または、アルキニレン基に含まれる−CH−は、−O−、−S−またはNR−で置換されていてもよく、ここで、Rは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す;
は、単結合、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCOO−、または、−CONR−、または、−NRCO−を表し、Tは、単結合、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−CONR−、−NRCO−、または、−NR−を表し、ここで、RおよびRは、互いに独立に、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表すが、Rで表されるアルキル基はQまたはQと環を形成していてもよいが、A−(L−A−L−Aは少なくとも一つの−AX1−N=N−AX2−(式中、AX1およびAX2は、それぞれ2価の芳香族基を表す)を表される構造を含み、Tが−NR−である場合にはZは水素原子を表す]
で表される化合物等が挙げられる。
二色性色素の含有量は、用いる二色性色素の種類などに応じて適宜決定し得る。光配向膜との密着性および二色比を高めやすい観点から、偏光膜形成用組成物の固形分100質量部に対して、例えば1〜99質量部であればよく、好ましくは2質量部以上、より好ましくは3質量部以上である。また、偏光子の配向秩序度が高まりやすい観点から、好ましくは80質量部以下、より好ましくは50質量部以下、さらに好ましくは25質量部以下、特に好ましくは10質量部以下である。二色性色素として複数の二色性色素を含む場合、偏光子形成用組成物に含まれる全ての二色性色素の総量が上記範囲内であることが好ましい。
なお、二色比とは、偏光子に入射した光の、互いに垂直に振動する2つの直線偏光の吸収強度比のことをいう。透過軸に沿った吸光度(AH)に対する消光軸に沿った(垂直入射で測定された)吸光度(AV)の比(AV/AH)として定義される。透過軸(偏光軸)とは、偏光膜への入射光のうち、偏光膜を透過する成分の偏光方向のことをいい、消光軸(吸収軸)とは、偏光膜への入射光のうち、偏光膜で吸収される成分の偏光方向のことをいう。
偏光子における重合性基を有する構造単位は、重合性基を有する液晶化合物に由来するものであってもよい。本発明の一態様において、偏光子形成用組成物は、光配向膜との密着性を向上しやすく、配向性を高めやすい観点から、重合性液晶化合物を含むことが好ましい。ここで、液晶化合物とは液晶性を示す液晶性物質をいい、先に説明した重合性基を有する二色性色素も重合性基を有する液晶性物質の1種となり得るが、ここでいう重合性液晶化合物には重合性基を有する二色性色素は含まないものとする。以下、重合性基を有する二色性色素以外の重合性液晶化合物を「重合性液晶化合物(A)」という。本発明において、偏光子形成用組成物は、好ましくは重合性基を有する液晶性物質を含み、本発明の一態様においては、重合性基を有する液晶性物質として重合性液晶化合物(A)を含む。
重合性液晶化合物(A)が有する重合性基としては、光配向膜を形成する重合体(I’)を構成する構造単位(ii)が有する重合性基として例示した基が挙げられる。中でも、好ましい重合性基は反応を制御しやすいという観点から、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニルオキシ基、オキシラニル基およびオキセタニル基であり、より好ましくは(メタ)アクリロイル基および(メタ)アクリロイルオキシ基、さらに好ましくは(メタ)アクリロイルオキシ基である。重合性液晶化合物(A)中の重合性基は、1種であっても、2種以上の組み合わせであってもよい。重合体(I’)を構成する構造単位(ii)が有する重合性基との間に結合が生じ得ることにより、光配向膜と偏光子との密着性に優れる偏光膜を形成しやすくなるため、重合性液晶化合物(A)が有する重合性基は構造単位(ii)中の重合性基と同一の重合性基であることが好ましい。
重合性液晶化合物(A)は、サーモトロピック液晶であってもリオトロピック液晶であってもよいが、サーモトロピック液晶であることが好ましい。また、重合性液晶化合物(A)は、ネマチック液晶相を示すサーモトロピック性液晶化合物であっても、スメクチック液晶相を示すサーモトロピック性液晶化合物であってもよい。本発明において重合性液晶化合物(A)は、より高い偏光特性が得られるという観点から、好ましくはスメクチック液晶相を示すサーモトロピック性液晶化合物であり、より好ましくは高次スメクチック液晶相を示すサーモトロピック性液晶化合物である。中でも、スメクチックB相、スメクチックD相、スメクチックE相、スメクチックF相、スメクチックG相、スメクチックH相、スメクチックI相、スメクチックJ相、スメクチックK相またはスメクチックL相を示すサーモトロピック性液晶化合物がより好ましく、スメクチックB相、スメクチックF相またはスメクチックI相を示すサーモトロピック性液晶化合物がさらに好ましい。重合性液晶化合物(A)が形成する液晶相がこれらの高次スメクチック相であると、偏光性能のより高い偏光子を得やすくなる。また、このように偏光性能の高い偏光子はX線回折測定においてヘキサチック相やクリスタル相といった高次構造由来のブラッグピークが得られるものである。本発明の偏光子は、このような重合性液晶化合物の重合体、好ましくはスメクチック相の状態で重合された重合性液晶化合物の重合体を含むことが、より高い偏光特性が得られるという観点から好ましい。
重合性液晶化合物(A)としては、少なくとも1つの重合性基を有する液晶化合物であれば特に限定されず、公知の重合性液晶化合物を用いることができるが、スメクチック液晶性を示す化合物が好ましい。そのような重合性液晶化合物としては、例えば、下記式(A1)で表される化合物(以下、「重合性液晶化合物(A1)」ということがある)が挙げられる。
1A−V1A−W1A−(X1A−Y1A−)−X2A−WA2−V2A−U2A (A1)
[式(A1)中、
1AおよびX2Aは、互いに独立して、2価の芳香族基または2価の脂環式炭化水素基を表し、ここで、該2価の芳香族基または2価の脂環式炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のフルオロアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、シアノ基またはニトロ基に置換されていてもよく、該2価の芳香族基または2価の脂環式炭化水素基を構成する炭素原子が、酸素原子または硫黄原子または窒素原子に置換されていてもよい。ただし、X1AおよびX2Aのうち少なくとも1つは、置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基または置換基を有していてもよいシクロヘキサン−1,4−ジイル基である。
1Aは、単結合または二価の連結基である。
nは1〜3であり、nが2以上の場合、複数のX1Aは互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。X2Aは、複数のX1Aのうちのいずれかまたは全てと同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、nが2以上の場合、複数のY1Aは互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。液晶性の観点からnは2以上が好ましい。
1Aは、水素原子または重合性基を表わす。
2Aは、重合性基を表わす。
1AおよびW2Aは、互いに独立して、単結合または二価の連結基である。
1AおよびV2Aは、互いに独立して、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルカンジイル基を表し、該アルカンジイル基を構成する−CH−は、−O−、−CO−、−S−またはNH−に置き換わっていてもよい。]
重合性液晶化合物(A1)において、X1AおよびX2Aは、互いに独立して、好ましくは、置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基、または、置換基を有していてもよいシクロヘキサン−1,4−ジイル基であり、X1AおよびX2Aのうちの少なくとも1つは、置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基、または、置換基を有していてもよいシクロヘキサン−1,4−ジイル基であり、トランス−シクロへキサン−1,4−ジイル基であることが好ましい。置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基、または、置換基を有していてもよいシクロへキサン−1,4−ジイル基が任意に有する置換基としては、メチル基、エチル基およびブチル基などの炭素数1〜4のアルキル基、シアノ基および塩素原子、フッ素原子などのハロゲン原子が挙げられる。好ましくは無置換である。
また、重合性液晶化合物(A1)は、式(A1)中、式(A1−1):
−(X1A−Y1A−)−X2A− (A1−1)
〔式中、X1A、Y1A、X2Aおよびnはそれぞれ上記と同じ意味を示す。〕
で示される部分〔以下、部分構造(A1−1)ともいう〕が非対称構造であることが、スメクチック液晶性を発現し易い点で好ましい。
部分構造(A1−1)が非対称構造である重合性液晶化合物(A1)としては、例えば、nが1であり、1つのX1AとX2Aとが互いに異なる構造である重合性液晶化合物(A1)が挙げられる。また、nが2であり、2つのY1Aが互いに同じ構造である化合物であって、2つのX1Aが互いに同じ構造であり、1つのX2Aはこれら2つのX1Aとは異なる構造である重合性液晶化合物(A1)、2つのX1AのうちのW1Aに結合するX1Aが、他方のX1AおよびX2Aとは異なる構造であり、他方のX1AとX2Aとは互いに同じ構造である重合性液晶化合物(A1)も挙げられる。さらに、nが3であり、3つのY1Aが互いに同じ構造である化合物であって、3つのX1Aおよび1つのX2Aのうちのいずれか1つが他の3つの全てと異なる構造である重合性液晶化合物(A1)が挙げられる。
1Aは、−CHCH−、−CHO−、−CHCHO−、−COO−、−OCOO−、単結合、−N=N−、−CR=CR−、−C≡C−、−CR=N−または−CO−NR−が好ましい。RおよびRは、互いに独立して、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表わす。Y1Aは、−CHCH−、−COO−または単結合であることがより好ましく、複数のY1Aが存在する場合、X2Aと結合するY1Aは、−CHCH−または−CHO−であることがより好ましい。X1AおよびX2Aが全て同一構造である場合、互いに異なる結合方式である2以上のY1Aが存在することが好ましい。互いに異なる結合方式である複数のY1Aが存在する場合には、非対称構造となるため、スメクチック液晶性が発現しやすい傾向にある。
2Aは、重合性基である。U1Aは、水素原子または重合性基であり、好ましくは重合性基である。U1AおよびU2Aがともに重合性基であることが好ましく、ともにラジカル重合性基であることが好ましい。重合性基としては、重合性液晶化合物(A)が有する重合性基として先に例示した基と同様のものが挙げられる。重合性基が光配向膜を形成する重合体(I’)を構成する構造単位(ii)中の重合性基と同一の重合性基であると、光配向膜と偏光子との密着性が向上する傾向にあるため好ましい。U1Aで示される重合性基とU2Aで示される重合性基とは、互いに異なっていてもよいが、同じ種類の基であることが好ましい。さらに、U1AおよびU2Aの少なくとも一方が(メタ)アクリロイル基であることが好ましく、両方が(メタ)アクリロイル基であることがより好ましい。また、重合性基は重合している状態であってもよいし、未重合の状態であってもよいが、好ましくは未重合の状態である。
1AおよびV2Aで表されるアルカンジイル基としては、メチレン基、エチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、ブタン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、ヘプタン−1,7−ジイル基、オクタン−1,8−ジイル基、デカン−1,10−ジイル基、テトラデカン−1,14−ジイル基およびイコサン−1,20−ジイル基等が挙げられる。V1AおよびV2Aは、好ましくは炭素数2〜12のアルカンジイル基であり、より好ましくは炭素数6〜12のアルカンジイル基である。
該アルカンジイル基が任意に有する置換基としては、シアノ基およびハロゲン原子等が挙げられるが、該アルカンジイル基は、無置換であることが好ましく、無置換の直鎖状アルカンジイル基であることがより好ましい。
1AおよびW2Aは、互いに独立に、単結合、−O−、−S−、−COO−または−OCOO−が好ましく、単結合または−O−がより好ましい。
重合性液晶化合物(A)としては、少なくとも1つの重合性基を有し、液晶性を示す重合性液晶化合物であれば特に限定されず、公知の重合性液晶化合物を用いることができる。重合性液晶化合物(A)としては、スメクチック液晶性を示す重合性液晶化合物が好ましく、高次スメクチック液晶性を示す化合物がより好ましい。スメクチック液晶性を示しやすい構造としては、分子構造中に非対称性の分子構造を有することが好ましく、具体的には下記式(A−a)〜式(A−i)で示される構造を有する重合性液晶化合物であってスメクチック液晶性を示す重合性液晶化合物であることがより好ましい。高次スメクチック液晶性を示しやすいという観点から式(A−a)、式(A−b)および式(A−c)のいずれかで示される構造を有することがさらに好ましく、式(A−a)または式(A−c)で表される構造を有することが特に好ましい。なお、下記式中*は、結合手を表す。
Figure 2021196514
重合性液晶化合物(A)としては、具体的には例えば、式(A−1)〜式(A−25)で表される化合物が挙げられる。重合性液晶化合物(A)がシクロヘキサン−1,4−ジイル基を有する場合、そのシクロヘキサン−1,4−ジイル基は、トランス体であることが好ましい。
Figure 2021196514
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これらの中でも、式(A−2)、式(A−3)、式(A−4)、式(A−5)、式(A−6)、式(A−7)、式(A−8)、式(A−13)、式(A−14)、式(A−15)、式(A−16)および式(A−17)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。重合性液晶化合物(A)として、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組合せて用いてもよい。
重合性液晶化合物(A)は、例えば、Lub等、Recl.Trav.Chim.Pays−Bas、115、321−328(1996)、または特許第4719156号などに記載の公知の方法で製造できる。
本発明において、偏光子形成用組成物が重合性液晶化合物(A)を含む場合、その含有量は、偏光子形成用組成物の固形分100質量部に対して、例えば1〜99質量部であればよく、好ましくは40質量部以上、より好ましくは50質量部以上、さらに好ましくは60質量部以上、特に好ましくは70質量部以上、とりわけ好ましく80質量部以上であり、また、好ましくは98質量部以下、より好ましくは95質量部以下である。
偏光子形成用組成物が2種以上の重合性液晶化合物(A)を含む場合、そのうちの少なくとも1種が重合性液晶化合物(A1)であってもよく、その全てが重合性液晶化合物(A1)であってもよい。複数の重合性液晶化合物を組合せることにより、液晶−結晶相転移温度以下の温度でも一時的に液晶性を保持することができる場合がある。
偏光子形成用組成物は、さらに重合開始剤を含んでもよい。重合開始剤は、偏光子形成用組成物に含まれ得る重合性基を有する液晶性物質の重合反応を開始し得る化合物である。重合開始剤としては、重合性基を有する液晶性物質の重合反応を開始し得る化合物であれば、特に制限されず、公知の重合開始剤、好ましくは光重合開始剤を使用できる。具体的には、光照射により活性ラジカルを発生する光重合開始剤、または酸を発生する光重合開始剤が挙げられる。光重合開始剤は単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる。
活性ラジカルを発生する光重合開始剤としては、ベンゾイン系化合物、アセトフェノン系化合物、ヒドロキシアセトフェノン系化合物、α−アミノアセトフェノン系化合物、オキシムエステル系化合物、アシルホスフィンオキサイド系化合物、アゾ系化合物等の自己開裂型の光重合開始剤、およびベンゾフェノン系化合物、アルキルフェノン系化合物、ベンゾインエーテル系化合物、ベンジルケタール系化合物、ジベンゾスベロン系化合物、アントラキノン系化合物、キサントン系化合物、チオキサントン系化合物、ハロゲノアセトフェノン系化合物、ジアルコキシアセトフェノン系化合物、ハロゲノビスイミダゾール系化合物、ハロゲノトリアジン系化合物、トリアジン系化合物等の水素引き抜き型の光重合開始剤が挙げられる。
酸を発生する光重合開始剤としては、ヨードニウム塩およびスルホニウム塩等が挙げられる。
これらの光重合開始剤のなかでも、光照射により活性ラジカルを発生する光重合開始剤が好ましく、なかでも、低温での反応効率に優れるという観点からは、自己開裂型の光重合開始剤が好ましく、特にアセトフェノン系化合物、ヒドロキシアセトフェノン系化合物、α−アミノアセトフェノン系化合物、オキシムエステル系化合物が好ましい。
ベンゾイン化合物としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどが挙げられる。
アセトフェノン化合物としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−メチル−2−モルホリノ−1−(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1,2−ジフェニル−2,2−ジメトキシエタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕プロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(1−メチルビニル)フェニル〕プロパン−1−オンのオリゴマーなどが挙げられる。
オキシムエステル系化合物としては、例えば、イルガキュア(登録商標)OXE−01、イルガキュア(登録商標)OXE−02、イルガキュア(登録商標)OXE−03(以上、BASFジャパン株式会社製)、アデカオプトマー(登録商標)N−1919、アデカアークルズ(登録商標)NCI−831(以上、株式会社ADEKA製)等の化合物が挙げられる。
アシルホスフィンオキサイド化合物としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。
ベンゾフェノン化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン等が挙げられる。
アルキルフェノン化合物としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−メチル−2−モルホリノ−1−(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1,2−ジフェニル−2,2−ジメトキシエタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕プロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンおよび2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(1−メチルビニル)フェニル〕プロパン−1−オンのオリゴマー等が挙げられる。
トリアジン化合物としては、例えば、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシナフチル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシスチリル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(フラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
重合開始剤としては、イルガキュア(Irgacure)907、イルガキュア184、イルガキュア651、イルガキュア819、イルガキュア250、イルガキュア369(以上、全てチバ・ジャパン(株)製)、セイクオールBZ、セイクオールZ、セイクオールBEE(以上、全て精工化学(株)製)、カヤキュアー(kayacure)BP100(日本化薬(株)製)、カヤキュアーUVI−6992(ダウ社製)、アデカオプトマーSP−152またはアデカオプトマーSP−170(以上、全て(株)ADEKA製)、TAZ−A、TAZ−PP(以上、日本シイベルヘグナー社製)、TAZ−104(三和ケミカル社製)、Esacure One、Esacure KIP 150(以上、全てIGM Resins社製)など、市販の光重合開始剤も用いることができる。
偏光子形成用組成物が重合開始剤を含む場合、該重合開始剤の含有量は、重合反応に関与する偏光子形成用組成物に含まれる重合性基を有する液晶性物質の種類およびその量に応じて適宜調整すればよい。重合開始剤の含有量は、好ましくは偏光子形成用組成物の固形分100質量部に対して、好ましくは0.1〜30質量部、より好ましくは0.5〜15質量部、さらに好ましくは1〜10質量部である。
偏光子形成用組成物は、本発明の効果を損なわない限り、必要により添加剤を含んでよい。添加剤としては、増感剤、重合禁止剤、レベリング剤等が挙げられる。
偏光子形成用組成物は増感剤を含有してもよい。増感剤としては、光増感剤が好ましい。該増感剤としては、例えばキサントンまたはチオキサントン等のキサントン化合物(例えば、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン等)、アントラセンまたはアルキルエーテルなどの置換基を有するアントラセン化合物(例えば、ジブトキシアントラセン等)、フェノチアジンあるいはルブレンを挙げられる。
偏光子形成用組成物が増感剤を含む場合、該組成物に含まれる重合性基を有する液晶性物質の重合反応を促進して、得られる偏光子の膜強度が向上しやすくなる。偏光子形成用組成物が光増感剤を含む場合、増感剤の含有量は、得られる偏光子の配向性を損なわずに重合反応を促進しやすい観点から、偏光子形成用組成物の固形分100質量部に対して、好ましくは0.1〜30質量部、より好ましくは0.3〜10質量部、さらに好ましくは0.5〜8.0質量部である。
重合禁止剤としては、例えばハイドロキノンまたはアルキルエーテル等の置換基を有するハイドロキノン類、ブチルカテコール等のアルキルエーテル等の置換基を有するカテコール類、ピロガロール類、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシラジカル等のラジカル補足剤、チオフェノール類、β−ナフチルアミン類あるいはβ−ナフトール類等を挙げられる。
偏光子形成用組成物が重合禁止剤を含む場合、重合性基を有する液晶性物質の配向乱れの発生を抑えながら重合できる。偏光子形成用組成物が重合禁止剤を含む場合、重合禁止剤の含有量は、重合性基を有する液晶性物質の配向乱れを抑制する効果の観点から、偏光子形成用組成物の固形分100質量部に対して、好ましくは0.1〜30質量部、より好ましくは0.3〜10質量部、さらに好ましくは0.5〜8.0質量部である。
偏光子形成用組成物はレベリング剤を含有してもよい。レベリング剤は、組成物の流動性を調整し、組成物を塗布して得られる膜をより平坦にする機能を有する添加剤であり、例えば、有機変性シリコーンオイル系、ポリアクリレート系およびパーフルオロアルキル系のレベリング剤が挙げられる。具体的には、DC3PA、SH7PA、DC11PA、SH28PA、SH29PA、SH30PA、ST80PA、ST86PA、SH8400、SH8700、FZ2123(以上、全て東レ・ダウコーニング(株)製)、KP321、KP323、KP324、KP326、KP340、KP341、X22−161A、KF6001(以上、全て信越化学工業(株)製)、TSF400、TSF401、TSF410、TSF4300、TSF4440、TSF4445、TSF−4446、TSF4452、TSF4460(以上、全てモメンティブ パフォーマンス マテリアルズ ジャパン合同会社製)、フロリナート(fluorinert)(登録商標)FC−72、同FC−40、同FC−43、同FC−3283(以上、全て住友スリーエム(株)製)、メガファック(登録商標)R−08、同R−30、同R−90、同F−410、同F−411、同F−443、同F−445、同F−470、同F−477、同F−479、同F−482、同F−483(以上、いずれもDIC(株)製)、エフトップ(商品名)EF301、同EF303、同EF351、同EF352(以上、全て三菱マテリアル電子化成(株)製)、サーフロン(登録商標)S−381、同S−382、同S−383、同S−393、同SC−101、同SC−105、KH−40、SA−100(以上、全てAGCセイミケミカル(株)製)、商品名E1830、同E5844((株)ダイキンファインケミカル研究所製)、BM−1000、BM−1100、BYK−352、BYK−353およびBYK−361N(いずれも商品名:BM Chemie社製)等が挙げられる。中でも、ポリアクリレート系レベリング剤およびパーフルオロアルキル系レベリング剤が好ましい。
偏光子形成用組成物がレベリング剤を含む場合、配向性を高め、かつ得られる偏光子を平滑としやすい観点から、偏光子形成用組成物の固形分100質量部に対して、好ましくは0.01〜30質量部、より好ましくは0.03〜10質量部、さらに好ましくは0.05〜8.0質量部である。レベリング剤は、単独でまたは2種以上組み合わせて用いてもよい。
さらに、偏光子形成用組成物が含み得る増感剤、重合禁止剤およびレベリング剤以外の添加剤としては、例えば、酸化防止剤、離型剤、安定剤、ブルーイング剤等の着色剤、難燃剤および滑剤などが挙げられる。偏光子形成用組成物がこれらの添加剤を含有する場合、添加剤の含有量の総質量は、偏光子形成用組成物の固形分に対して、0%を超えて20質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0%を超えて10質量%以下である。
偏光子形成用組成物は、従来公知の調製方法により製造することができ、通常、二色性色素、必要に応じて重合性液晶化合物(A)、重合開始剤および上記添加剤等を混合、撹拌することにより調製することができる。また、一般にスメクチック液晶性を示す化合物は粘度が高いため、偏光子形成用組成物の塗布性を向上させて偏光子の形成を容易にする観点から、偏光子形成用組成物に溶剤を加えることにより粘度調整を行ってもよい。
溶剤としては、偏光子形成用組成物に含まれる成分を溶解することができ、かつ、重合反応に不活性な有機溶剤が好ましい。具体的には、例えば、メタノール、エタノール、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブまたはプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのアルコール溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートまたは乳酸エチルなどのエステル溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトンまたはメチルイソブチルケトンなどのケトン溶剤;ペンタン、ヘキサンまたはヘプタンなどの非塩素系脂肪族炭化水素溶剤;トルエン、キシレンまたはフェノールなどの非塩素系芳香族溶剤、アセトニトリルなどのニトリル溶剤;テトラヒドロフランまたはジメトキシエタンなどのエーテル溶媒;クロロホルムまたはクロロベンゼンなどの塩素系脂肪族炭化水素溶媒;ジメチルアセトアミド、ジメチルホルミアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等のアミド系溶剤などが挙げられる。これら有機溶剤は、単独でまたは2種以上組み合わせて用いてもよい。
偏光子形成用組成物が溶剤を含む場合、偏光子形成用組成物の固形分濃度は、好ましくは2質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上であり、また、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下である。固形分濃度が上記下限以上であると、得られる偏光子が薄くなりすぎず、偏光子に必要な二色性が得やすい。また、上記上限以下であると、偏光子形成用組成物の粘度が低くなり、該組成物の塗膜の厚みにムラが生じにくくなる傾向がある。
偏光子形成用組成物の粘度は、好ましくは0.1〜10mPa・s、より好ましくは0.1〜7mPa・s、さらに好ましくは0.1〜5mPa・sである。偏光子形成用組成物の粘度が上記範囲内であると、組成物の取扱性および塗布性に優れ、得られる偏光子の厚みを均一にしやすい。
本発明において、偏光子は液晶組成物(偏光子形成用組成物)の硬化物であり、該組成物に含まれる液晶性物質を重合することにより、得ることができる。なお、偏光子とは、偏光していない入射光を直交する2つの偏光成分に分解し、一方の偏光成分を透過させ、もう一方の偏光成分を吸収する物である。透過する偏光成分の軸方向は透過軸、吸収する偏光成分の軸方向は吸収軸という。
本発明において、偏光子は光配向膜に隣接しており、光配向膜との高い密着性を発現し得る。かかる効果を生じる一因として、液晶組成物の硬化物である偏光子を形成する際に、該偏光子を形成するための重合性基を有する液晶化合物または二色性色素の重合反応とともに、光配向膜を構成する重合体(I’)に含まれる重合性基が反応し、偏光子を形成する液晶化合物または二色性色素の重合性基と結合することによって、偏光子と光配向膜との間により緻密な結合が生じ得ることが考えられる。
また、重合体(I’)から形成される光配向膜は耐溶剤性に優れるため、高い液晶配向能を示し、配向秩序度の高い偏光子を形成しやすくなる。配向秩序度の高い偏光子は、X線回折測定においてヘキサチック相やクリスタル相といった高次構造由来のブラッグピークが得られる。ブラッグピークとは、分子配向の面周期構造に由来するピークを意味し、本発明の偏光膜を構成する偏光子はX線回折測定においてブラッグピークを示すことが好ましい。すなわち、本発明の偏光膜を構成する偏光子においては、重合性液晶化合物またはその重合体が、X線回折測定において該偏光子がブラッグピークを示すように配向していることが好ましく、光を吸収する方向に重合性液晶化合物の分子が配向する「水平配向」していることがより好ましい。本発明においては分子配向の面周期間隔が3.0〜6.0Åである偏光子が好ましい。ブラッグピークを示すような高い配向秩序度は、用いる重合性液晶化合物の種類、二色性色素の種類やその量、および重合開始剤の種類やその量等を制御することにより実現し得る。
偏光子の厚みは、偏光膜を組み込む光学積層体の用途等に応じて適宜決定し得るが、好ましくは0.1μm〜10μm、より好ましくは0.3μm〜5μm、さらに好ましくは0.5μm〜3μmである。偏光子の厚みが上記下限以上であると、液晶性物質が垂直方向に配向しにくいため配向秩序が向上しやすい。また、偏光子の厚みが上記上限以下であると、液晶性物質がランダムに配向しにくいため、配向秩序が向上しやすくなる。偏光子の厚みは、干渉膜厚計、レーザー顕微鏡または触針式膜厚計等を用いて測定できる。
偏光子は、例えば、光配向膜の上に偏光子形成用組成物を塗布すること、および塗布された偏光子形成用組成物を硬化させることを含む方法により得ることができる。
本発明の一態様において、偏光子形成用組成物が溶剤を含む場合、偏光子形成用組成物を塗布した後、該組成物に含まれる溶剤を除去し、溶剤が除去された偏光子形成用組成物を硬化させることにより偏光子を形成してもよい。
さらに、偏光子形成用組成物が液晶性物質として重合性液晶化合物を含む場合、例えば、重合性液晶化合物が液体相に相転移する温度以上まで昇温した後降温して、該重合性液晶化合物を液晶相(スメクチック相)に相転移させること、および、前記液晶相を保持したまま重合性液晶化合物を重合させることを含む方法により得ることができる。
偏光子形成用組成物を光配向膜上に塗布する方法としては、スピンコーティング法、エクストルージョン法、グラビアコーティング法、ダイコーティング法、バーコーティング法、アプリケータ法などの塗布法、フレキソ法などの印刷法などの公知の方法が挙げられる。
溶剤を除去する場合、好ましくは偏光子形成用組成物の塗膜中に含まれる重合性液晶化合物が重合しない条件で、溶剤を乾燥等によって除去することにより、乾燥塗膜が形成される。乾燥方法としては、自然乾燥法、通風乾燥法、加熱乾燥および減圧乾燥法等が挙げられる。
乾燥温度は、例えば50〜200℃であってよく、好ましくは100℃以上、より好ましくは110℃以上、さらに好ましくは120℃以上であり、また、好ましくは150℃以下である。乾燥温度が上記範囲内であると、塗膜中の溶剤の除去を効率的に行える。また、塗膜を形成した光配向膜に対する温度の作用を抑えることができ、光配向膜が示す液晶配向能の低下を生じ難くなる。乾燥時間は、好ましくは20秒間〜10分間、より好ましくは30秒間〜5分間である。
液晶性物質を液体相へ相転移させる場合、かかる相転移は前記塗膜中の溶剤除去後に行ってもよいし、溶剤の除去と同時に行ってもよい。
液晶状態を保持したまま液晶性物質を重合させることにより、偏光子形成用組成物の硬化物として偏光子が形成される。重合方法は重合性基の種類に応じて、光重合法や熱重合法等から適宜選択すればよい。光重合法で重合する場合、低温での重合が可能であり、また工業的にも製造が容易であるため、本発明の一態様において、重合方法としては光重合法が好ましい。光重合において、乾燥塗膜に照射する光としては、当該乾燥塗膜に含まれる重合性液晶化合物等の種類(特に、該重合性液晶化合物等が有する重合性基の種類)、重合開始剤の種類およびそれらの量等に応じて適宜選択される。その具体例としては、可視光、紫外光、赤外光、X線、α線、β線およびγ線からなる群より選択される1種以上の活性エネルギー線や活性電子線が挙げられる。中でも、重合反応の進行を制御し易い点や、光重合装置として当分野で広範に用いられているものが使用できるという点で、紫外光が好ましく、紫外光によって、光重合可能なように、偏光子形成用組成物に含有される重合性液晶化合物や重合開始剤の種類を選択しておくことが好ましい。また、重合時に、適切な冷却手段により乾燥塗膜を冷却しながら、光照射することで、重合温度を制御することもできる。光重合の際、マスキングや現像を行うなどによって、パターニングされた偏光子を得ることもできる。
前記活性エネルギー線の光源としては、例えば、低圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、ハロゲンランプ、カーボンアーク灯、タングステンランプ、ガリウムランプ、エキシマレーザー、波長範囲380〜440nmを発光するLED光源、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプ等が挙げられる。
紫外線照射強度は、通常、10〜3,000mW/cmである。紫外線照射強度は、好ましくは重合開始剤の活性化に有効な波長領域における強度である。光を照射する時間は、通常0.1秒〜10分であり、好ましくは1秒〜5分、より好ましくは5秒〜3分、さらに好ましくは10秒〜1分である。このような紫外線照射強度で1回または複数回照射すると、その積算光量は、10〜3,000mJ/cm、好ましくは50〜2,000mJ/cm、より好ましくは100〜1,000mJ/cmである。
偏光子形成用組成物が重合性液晶化合物(A)を含む場合、光重合を行うことにより、重合性液晶化合物(A)は液晶相、特にスメクチック相、好ましくは高次スメクチック相の液晶状態を保持したまま重合し、偏光子が形成される。重合性液晶化合物がスメクチック相の液晶状態を保持したまま重合して得られる偏光子は、前記二色性色素の作用にも伴い、従来のホストゲスト型偏光フィルム、すなわち、ネマチック相の液晶状態からなる偏光子と比較して、偏光性能が高いという利点がある。さらに、二色性色素やリオトロピック液晶のみを塗布したものと比較して、強度に優れるという利点もある。
〔偏光板〕
本発明は、本発明の偏光膜と、該偏光膜の光配向膜側に配置される基材とを含む偏光板も包含する。
基材としては、例えば、ガラス基材およびフィルム基材が挙げられ、フィルム基材が好ましい。フィルム基材を構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ノルボルネン系ポリマー等のポリオレフィン;環状オレフィン系樹脂;ポリビニルアルコール;ポリエチレンテレフタレート;ポリメタクリル酸エステル;ポリアクリル酸エステル;トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロースおよびセルロースアセテートプロピオネート等のセルロースエステル;ポリエチレンナフタレート;ポリカーボネート;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリエーテルケトン;ポリフェニレンスルフィドおよびポリフェニレンオキシド;等の樹脂が挙げられる。
市販のセルロースエステル基材としては、“フジタックフィルム”(富士写真フイルム株式会社製);“KC8UX2M”、“KC8UY”および“KC4UY”(以上、コニカミノルタオプト株式会社製)等が挙げられる。
市販の環状オレフィン系樹脂としては、“Topas”(登録商標)(Ticona社(独)製)、“アートン”(登録商標)(JSR株式会社製)、“ゼオノア(ZEONOR)”(登録商標)、“ゼオネックス(ZEONEX)”(登録商標)(以上、日本ゼオン株式会社製)および“アペル”(登録商標)(三井化学株式会社製)が挙げられる。このような環状オレフィン系樹脂を、溶剤キャスト法、溶融押出法等の公知の手段により製膜して、基材とすることができる。市販されている環状オレフィン系樹脂基材を用いることもできる。市販の環状オレフィン系樹脂基材としては、“エスシーナ”(登録商標)、“SCA40”(登録商標)(以上、積水化学工業株式会社製)、“ゼオノアフィルム”(登録商標)(オプテス株式会社製)および“アートンフィルム”(登録商標)(JSR株式会社製)が挙げられる。
基材に求められる特性は、偏光板の構成によっても異なるが、通常、位相差性ができるだけ小さい基材が好ましい。位相差性ができるだけ小さい基材としては、ゼロタック(コニカミノルタオプト株式会社)、Zタック(富士フィルム株式会社)等の位相差を有しないセルロースエステルフィルム等が挙げられる。また、未延伸の環状オレフィン系樹脂基材も好ましい。偏光膜が積層されていない基材の面には、ハードコート処理、反射防止処理、帯電防止処理等がなされてもよい。
基材の厚みは、実用的な取り扱い性の観点からは薄い方が好ましいが、強度や加工性の観点からは厚い方が好ましい。本発明の一態様において、基材の厚みは、好ましくは5μm〜300μmであり、より好ましくは20μm〜200μmである。また、偏光膜を基材から剥離して、該偏光膜を転写することによって楕円偏光板等の光学積層体に本発明の偏光膜のみを適用することが可能であるため、画像表示パネル等に使用される光学積層体のさらなる薄膜化効果が得られる。
〔光学積層体〕
本発明は、本発明の偏光板と、前記偏光板の偏光子側に粘接着層を介して貼合される層とを含む光学積層体も包含する。かかる光学積層体において本発明の偏光子と貼合される層としては、各種光学層、保護層等が挙げられる。前記各種光学層としては、画像表示(表示画面等)のために機能する層(例えば、画像の見やすさの向上のために機能する層)であって、画像表示装置に組み込まれ得る各種の光学特性を有するフィルム等が挙げられ。かかる光学層は、例えば、単層構造(例えば、位相差フィルム、輝度向上フィルム、防眩フィルム、反射防止フィルム、拡散フィルム、集光フィルム等の光学機能性フィルムなど)であってもよく、多層構造(例えば、位相差板など)であってもよい。
本発明の光学積層体において、偏光子と該偏光子に貼合される層とを粘接着するための粘接着層は、粘接着剤から形成される層である。該粘接着層を形成する粘接着剤は、偏光子に貼合される層の種類や光学積層体の層構成等に応じて、当該分野で従来公知のものを用いることができる。
粘接着層の厚みは、光学積層体の層構成等に応じて適宜決定すればよく、例えば0.1〜30μmであってよい。
本発明は、本発明の偏光膜と1/4波長板機能を有する位相差層(以下、「λ/4位相差層」ともいう)とを含む楕円偏光板も包含する。(楕)円偏光板は、直線偏光板にλ/4位相差板を積層することにより右若しくは左円偏光成分のみを透過させる機能を有する機能層である。本発明の楕円偏光板は、本発明の偏光膜のいずれか一方の側にλ/4位相差層を備えていればよい。
本発明の楕円偏光板を構成するλ/4位相差層は、下記式(a)、(b)および(c)で表される光学特性を満たすことが好ましい。
Re(450)/Re(550)≦1.00 (a)
1.00≦Re(650)/Re(550) (b)
120≦Re(550)≦180 (c)
〔式中、Re(λ)は位相差層の波長λnmにおける面内位相差値を表し、Re=(nx(λ)−ny(λ))×dである(dは位相差層の厚みを表し、nxは、位相差層が形成する屈折率楕円体において、位相差層の平面に平行な方向の波長λnmにおける主屈折率を表し、nyは、位相差層が形成する屈折率楕円体において、位相差層の平面に対して平行であり、且つ、前記nxの方向に対して直交する方向の波長λnmにおける屈折率を表す)。〕
位相差層が式(a)および(b)を満たす場合、当該位相差層は、短波長での面内位相差値が長波長での面内位相差値よりも小さくなる、いわゆる逆波長分散性を示す。逆波長分散性が向上し、画像表示装置等に組み込んだ場合の光学特性がより向上しやすくなることから、Re(450)/Re(550)は、好ましくは0.70以上、より好ましくは0.78以上であり、また、好ましくは0.92以下、より好ましくは0.90以下、さらに好ましくは0.87以下、特に好ましくは0.86以下、より特に好ましくは0.85以下である。また、Re(650)/Re(550)は、好ましくは1.0以上、より好ましくは1.01以上であり、さらに好ましくは1.02以上である。
前記位相差層は、ポリマーを延伸することによって位相差を与える延伸フィルムであってもよく、重合性液晶化合物を含む液晶組成物の硬化物からなる液晶硬化層であってもよい。これらのλ/4位相差層は、当該分野で従来公知の材料や方法を適宜選択、採用して製造することができる。
λ/4位相差層の厚みは、特に限定されず、例えば100μm以下であってよく、これを組み込む画像表示装置等の薄型化の観点からは、0.5μm〜20μmであることが好ましく、より好ましくは1μm〜3μmである。厚みが1μm〜3μmであるような非常に薄型の位相差層は、重合性液晶化合物を配向させた状態で硬化した液晶硬化層により製造し得る。
本発明の偏光膜とλ/4位相差層とを積層する場合、λ/4位相差層の遅相軸(光軸)と偏光子の吸収軸とを実質的に45°となるように積層することが好ましい。位相差層の遅相軸(光軸)と偏光子の吸収軸とを実質的に45°となるように積層することによって、楕円偏光板としての機能を得ることができる。なお、実質的に45°とは通常45±5°の範囲である。
本発明の楕円偏光板は、従来の一般的な楕円偏光板および/または位相差フィルムが備えるような構成を有していてよい。そのような構成としては、例えば、楕円偏光板を光学ディスプレイの表示素子等に貼合するための粘接着層(シート)、偏光子や位相差層の表面を傷や汚れから保護する目的で用いられるプロテクトフィルム等が挙げられる。
本発明の楕円偏光板は、さまざまな表示装置に用いることができる。
表示装置とは、表示素子を有する装置であり、発光源として発光素子または発光装置を含む。表示装置としては、液晶表示装置、有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置、無機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置、フレキシブル画像表示装置、タッチパネル表示装置、電子放出表示装置(例えば電場放出表示装置(FED)、表面電界放出表示装置(SED))、電子ペーパー(電子インクや電気泳動素子を用いた表示装置、プラズマ表示装置、投射型表示装置(例えばグレーティングライトバルブ(GLV)表示装置、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)を有する表示装置)および圧電セラミックディスプレイなどが挙げられる。液晶表示装置は、透過型液晶表示装置、半透過型液晶表示装置、反射型液晶表示装置、直視型液晶表示装置および投写型液晶表示装置などのいずれをも含む。これらの表示装置は、2次元画像を表示する表示装置であってもよいし、3次元画像を表示する立体表示装置であってもよい。特に本発明の楕円偏光板は有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置に好適に用いることができる。
本発明の一実施態様において、上記表示装置は、フレキシブル画像表示装置であることが好ましく、本発明は、本発明の楕円偏光板を含むフレキシブル画像表示装置も包含する。
本発明の楕円偏光板を有するフレキシブル画像表示装置は、ウインドウとタッチセンサとをさらに有することが好ましい。
フレキシブル画像表示装置は、例えば、フレキシブル画像表示装置用積層体と、有機EL表示パネルとからなり、有機EL表示パネルに対して視認側にフレキシブル画像表示装置用積層体が配置され、折り曲げ可能に構成されている。フレキシブル画像表示装置用積層体としては、上述の本発明の楕円偏光板に加え、ウインドウ、(タッチパネル)タッチセンサ等が含まれ得る。それらの積層順は任意であるが、視認側からウインドウ、楕円偏光板、タッチセンサの順、または、ウインドウ、タッチセンサ、楕円偏光板の順に積層されていることが好ましい。
タッチセンサの視認側に楕円偏光板が存在すると、タッチセンサのパターンが視認されにくくなり表示画像の視認性がよくなるので好ましい。それぞれの部材は接着剤、粘着剤等を用いて積層することができる。また、フレキシブル画像表示装置用積層体は、前記ウインドウ、楕円偏光板、タッチセンサのいずれかの層の少なくとも一面に形成された遮光パターンを具備することができる。
ウインドウは、フレキシブル画像表示装置の視認側に配置され、その他の構成要素を外部からの衝撃または温湿度等の環境変化から保護する役割を担っている。従来、このような保護層としてはガラスが使用されてきたが、フレキシブル画像表示装置におけるウインドウはガラスのようにリジッドで堅いものではなく、フレキシブルな特性を有する。前記ウインドウは、フレキシブルな透明基材からなり、少なくとも一面にハードコート層を含んでいてもよい。
フレキシブル画像表示装置用積層体を構成するウインドウ、タッチセンサ等としては、特に限定されず、従来公知のものを採用し得る。
以下、実施例および比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。例中の「%」および「部」は、特記しない限り、それぞれ質量%および質量部を意味する。
1.実施例1
(1)光配向膜形成用組成物の調製
下記手順でコポリマー(1)を作成した。
コポリマー(1)
Figure 2021196514
4−((6−(メタクリロイルオキシ)ヘキシル)オキシ)安息香酸をアミン触媒とともにトルエンに溶解させた溶液に、クロロジメチルエーテルを滴下した後、40℃に加熱維持することで反応を進行させ、その後、反応液を冷却してから水を加えた。分離した有機層に、50%酢酸水溶液を加え攪拌した。分離した有機層を濃縮し、メトキシメチル 4−((6−(メタクリロイルオキシ)ヘキシル)オキシ)ベンゾエートを得た。
メトキシメチル 4−((6−(メタクリロイルオキシ)ヘキシル)オキシ)ベンゾエート8.8g(25.2mmol)、6−(4−ヒドロキシフェノキシ)ヘキシル メタクリレート1.0g(3.6mmol)、4−((6−(メタクリロイルオキシ)ヘキシル)オキシ)フェニル (E)−3−(4−メトキシフェニル)アクリレート3.2g(7.2mmol)および2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.2gをテトラヒドロフランに溶解させた。この溶液に窒素を1時間通気した後、60℃に加熱維持することで反応を進行させ、反応液を室温まで冷却した。この反応液に、4−((6−(メタクリロイルオキシ)ヘキシル)オキシ)安息香酸1.1g(3.6mmol)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩を添加し、混合液を得た。混合液を40℃に加熱することで反応を進行させ、その後、反応液を冷却した。この反応液にメタンスルホン酸を室温で添加し、70℃に加熱した後、反応液を冷室温付近まで冷却した。冷却した反応液をノルマルヘキサンに滴下して沈殿物を生成させ、この沈殿物を回収して減圧乾燥することにより重合体を得た。なお、コポリマー(1)の重量平均分子量は、GPCにより測定した。結果を表1に示す。
なお、4−((6−(メタクリロイルオキシ)ヘキシル)オキシ)フェニル (E)−3−(4−メトキシフェニル)アクリレート(光反応性基含有構造単位(i)を誘導するモノマー)および4−((6−(メタクリロイルオキシ)ヘキシル)オキシ)安息香酸(カルボキシ基含有構造単位(iii)を誘導するモノマー)は、下記手順で作成した。
光反応性基含有構造単位(i)を誘導するモノマー;4−((6−(メタクリロイルオキシ)ヘキシル)オキシ)フェニル (E)−3−(4−メトキシフェニル)アクリレート
Figure 2021196514
1,4−ジヒドロキシベンゼンと1,6−ジブロモヘキサンを、アルカリ条件下で加熱することにより、6−(4−ヒドロキシフェノキシ)−1−ブロモヘキサンを合成した。この生成物に、リチウムメタクリレートを反応させ、6−(4−ヒドロキシフェノキシ)ヘキシル メタクリレートを合成した。
これを、塩基性の条件下において、p−メトキシ桂皮酸クロライドを加え、4−((6−(メタクリロイルオキシ)ヘキシル)オキシ)フェニル (E)−3−(4−メトキシフェニル)アクリレートを合成した。
カルボキシ基含有構造単位(iii)を誘導するモノマー;4−((6−(メタクリロイルオキシ)ヘキシル)オキシ)安息香酸
Figure 2021196514
Makromol.Chem.,190,p2255−2268,1989に記載された方法を用い、メタクリル酸クロライドを原料として合成した。
次いで、得られたコポリマー(1)2部とo−キシレン98部とを混合し、該混合物を80℃で1時間攪拌することにより、光配向膜形成用組成物を得た。
(2)偏光子形成用組成物の作製
下記の成分を混合し、80℃で1時間攪拌することにより、偏光子形成用組成物を得た。二色性色素には、特開2013−101328号公報の実施例に記載のアゾ系色素を用いた。
・式(A−6)で表される重合性液晶化合物 75部
Figure 2021196514
・式(A−7)で表される重合性液晶化合物 25部
Figure 2021196514
・下記に示す二色性色素(1) 2.8部
Figure 2021196514
・下記に示す二色性色素(2) 2.8部
Figure 2021196514
・下記に示す二色性色素(3) 2.8部
Figure 2021196514
・重合開始剤:2−ジメチルアミノ−2−ベンジル−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン(イルガキュア369;チバスペシャルティケミカルズ社製) 6部
・レベリング剤:ポリアクリレート化合物(BYK−361N;BYK−Chemie社製) 1.2部
・溶剤:シクロペンタノン 250部
(3)偏光板の作製
基材としてのトリアセチルセルロースフィルム(コニカミノルタ社製KC4UY−TAC、厚さ40μm)を四角形に切り出し、コロナ処理装置(AGF−B10;春日電機株式会社製)を用いて出力0.3kW、処理速度3m/分の条件で1回処理した。コロナ処理を施した表面に、前記光配向膜形成用組成物をバーコーターで塗布し、80℃で1分間乾燥し、偏光UV照射装置(偏光子ユニット付SPOT CURE SP−7;ウシオ電機株式会社製)を用いて、100mJ/cmの積算光量で偏光UV露光を実施して、光配向膜を形成した。得られた光配向膜の厚さをエリプソメータ M−220(日本分光株式会社製)で測定したところ、100nmであった。
得られた光配向膜上に、バーコーターを用いて偏光子形成用組成物を塗布した後、100℃に設定した乾燥オーブンで1分間乾燥した。
その後、高圧水銀ランプ(ユニキュアVB−15201BY−A、ウシオ電機株式会社製)を用いて、紫外線を照射(窒素雰囲気下、波長:365nm、波長365nmにおける積算光量:1000mJ/cm)することにより、重合性液晶化合物および二色性色素が配向した偏光子を形成し、基材/光配向膜/偏光子からなる偏光板(1)を得た。この際、偏光子の厚さをエリプソメータにより測定したところ、1.0μmであった。
(4)特性評価
[密着性の評価]
得られた偏光板(1)における偏光子と光配向膜との密着性を、下記の方法により評価した。
(クロスハッチ試験)
得られた偏光板(1)における光配向膜と偏光子との密着性をJIS D0202−1988に準拠したクロスハッチ試験(JISにおける「碁盤目付着性試験」)により評価した。偏光板(1)の偏光子面に、2mm間隔で10×10の碁盤目状に偏光子および光配向膜まで貫通する傷を入れ、碁盤目を作製した。この作製した碁盤目面に、粘着テープ(幅25mm、ニチバン製)を完全に付着させた。次いで、粘着テープを該面に対して90°の方向に引き剥がした。
剥がれずに残った碁盤目の数を測定して、以下の基準に従い密着性を評価した。なお、剥離した碁盤目については、X線光電子分光法(XPS)により、剥離界面が光配向膜と偏光子との間であることを確認した。結果を表1に示す。
<評価基準>
〇:90個以上
△:80個以上89個以下
×:79個以下
[配向性の評価]
得られた偏光板(1)について、バックライトから偏光板越しにクロスニコル配置にした上で、偏光子の配向状態を目視にて確認し、以下の基準に従い配向性を評価した。また、同様の方法で偏光子形成用組成物の乾燥温度を110℃、120℃に設定した乾燥オーブンで1分間乾燥したサンプルも別途作製し評価した。結果を表1に示す。
<評価基準>
〇:配向の乱れがない
×:配向が乱れている、若しくは、無配向である
2.実施例2〜7および比較例1
光配向膜を形成するコポリマーの組成を表1の通り変更したこと以外は実施例1と同様に偏光板を作製し、密着性および配向性についての評価を行った。結果を表1に示す。
なお、光反応性基含有構造単位(i)、重合性基含有構造単位(ii)、およびカルボキシ基含有構造単位(iii)の各構造は、それぞれ下記構造に由来する構造である。
光反応性基含有構造単位(i)
Figure 2021196514
重合性基含有構造単位(ii)
Figure 2021196514
カルボキシ基含有構造単位(iii)
Figure 2021196514
Figure 2021196514
表1に示されるように、実施例1〜7で得られた偏光板は、偏光子と光配向膜との間の密着性が高いことが確認された。これに対して比較例1で得られた偏光板の偏光子と光配向膜との間の密着性は不十分であった。

Claims (14)

  1. 光配向膜と該光配向膜に隣接する偏光子とを含む偏光膜であって、
    前記光配向膜が、光反応性基を有する構造単位と重合性基を有する構造単位とを含む重合体から形成されたものであり、
    前記偏光子が液晶化合物と二色性色素とを含む液晶組成物の硬化物であり、液晶化合物または二色性色素に由来する重合性基を有する構造単位を含む、偏光膜。
  2. 光反応性基は二量化反応または異性化反応を生じる基である、請求項1に記載の偏光膜。
  3. 光配向膜を形成する重合体はカルボキシ基を有する構造単位をさらに含む、請求項1または2に記載の偏光膜。
  4. 光配向膜を形成する重合体は20,000以上150,000以下の重量平均分子量を有する、請求項1〜3のいずれかに記載の偏光膜。
  5. 光配向膜を形成する重合体は、式(II):
    Figure 2021196514
    [式(II)中、
    Ma、MbおよびMcは、コポリマーの主鎖を形成するモノマー単位を表し;
    m、nおよびlは、コポリマーのモル分率を表すものであって、いずれの場合にも0<m<1かつ0<n<1かつ0<l<1であり;
    SPCRa、SPCRbおよびSPCRcは、各々独立してスペーサー単位を表し;
    環A、環Bおよび環Cは、各々独立して非置換もしくは置換脂環式炭化水素または非置換もしくは置換芳香環であり;
    Xは、共有単結合、炭素数1〜10個のアルキレン鎖、または炭素数3〜8個のシクロアルキレン鎖であり;
    Yは、−O−CO−CH=CH−(いずれの結合手が環Bと結合していてもよい)、または−N=N−であり;
    Zは、共有単結合;非置換、または水酸基および/またはカルボニル基によって置換された炭素数1〜10個のアルキレン鎖;炭素数3〜8個のシクロアルキレン鎖;−O−;−COO−;およびそれらの組み合わせからなる群より選択され;
    は、炭素数1〜6個のアルキル基、炭素数1〜6個のアルコキシ基、シアノ基およびハロゲン原子から選択される少なくとも1つの置換基を有するフェニル基であり;
    は、−CW=CH、または−V−CW=CH(式中、Wは水素原子またはメチル基であり、Vは−O−CO−または−CO−である)である]
    で表される繰り返し単位を有する、請求項1〜4のいずれかに記載の偏光膜。
  6. 二色性色素はアゾ色素を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の偏光膜。
  7. 偏光子は重合性液晶化合物の重合体を含む、請求項1〜6のいずれかに記載の偏光膜。
  8. 偏光子はX線回折測定においてブラッグピークを示す、請求項1〜7のいずれかに記載の偏光膜。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の偏光膜と、該偏光膜の光配向膜側に配置される基材とを含む偏光板。
  10. 請求項9に記載の偏光板と、該偏光板の偏光子側に粘接着層を介して貼合される層とを含む光学積層体。
  11. 請求項1〜8のいずれかに記載の偏光膜と1/4波長板機能を有する位相差層とを含む楕円偏光板。
  12. 請求項11に記載の楕円偏光板を含む、有機EL表示装置。
  13. 請求項11に記載の楕円偏光板を含む、フレキシブル画像表示装置。
  14. ウインドウとタッチセンサとをさらに含む、請求項13に記載のフレキシブル画像表示装置。
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