JP2021195697A - 布製マスク - Google Patents

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Takafumi Takekita
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Abstract

【課題】マスク本体の外面に表裏のマスク生地を結合させるための圧着痕や縫い目がなく、シルクのような光沢感、上質感があって、形状安定性が高い、洗うことができる、完全無縫製の美しい布製マスクを提供する。【解決手段】表生地11および裏生地12よりなるマスク本体1と、該マスク本体の両端に取り付けられた耳紐2,2とを備えてなる布製マスクにおいて、表生地11および裏生地12にポリエステル繊維を用い、それら両生地11,12の結合部を熱溶着シート31〜34を介して面接合させていることにより、マスク本体の外面に圧着痕や縫い目がなく、シルクのような光沢感、上質感があり、形状安定性が高く、洗うことができる、完全無縫製の美しい布製マスクを提供することができる。【選択図】 図1

Description

この出願の発明は、布製マスクの構造に関するものである。
マスクは、産業用、医療用、家庭用と用途に応じて種々のタイプのものが開発され、提供されている。中でも、家庭用のマスクは、風邪、花粉症対策、防寒、保湿などの目的で日常的に使用されており、素材や形状、サイズなども豊富である。
そのような家庭用のマスクの中で、最も普及しているのが不織布製のマスクである(家庭用マスク総生産量の90%が不織布製マスクであると言われる)。不織布製マスクにも様々なものがあるが(例えば特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4等を参照)、一般に本体部がシート状で、布製マスク(ガーゼ製)に比べると厚さも薄く、比較的プリーツ加工が容易で、デザイン的にもすっきりしている。また、3層構造にして中間部にフィルタ機能を有する不織布を配置することができ、そのメッシュ構造、メッシュレベルの調整も容易である。したがって、用途に応じた適切なフィルタ機能を実現することができる。しかも、材料費が安価で、使い捨てにすることができるので、衛生的である。
そして、不織布製のマスクを製造する場合、表裏2枚の不織布を相互に接合する手段として、殆どの場合、刻印ローラ(ルーレット)を備えた超音波溶着装置(超音波ミシン)による超音波接合が採用されている。超音波接合は、原子間隔レベルでの圧着接合であり、縫糸が不要であり、縫製するよりも遥かに効率よく製造することができる。
特開平7−275384号公報 特開平9−313631号公報 特開2007−54381号公報 特開平9−192248号公報
しかし、上記のような超音波溶着装置で圧着接合した場合、所定の幅で刻印ローラ(ルーレット)による多数の圧着痕(凹孔部)が残る。この圧着痕は、比較的径が大きく、少ないものでも左右で4列、上下で1列程度存在する。しかも、孔部内に半透明の溶着膜が残り、貫通孔のように見える。これら圧着痕は、マスク本体外周部分に煩雑さを感じさせ、マスクデザイン上の大きな障害となっている。また、プリーツを有するものの場合、プリーツ部両端を同様の方法で超音波溶着(圧着接合)することから、プリーツ部両端は偏平で相当に薄くなるが、形状記憶性に欠ける中間部はふっくらとしているので、左右方向両端側で大きな高低差が生じ、マスク本体全面をフラットに形成することができない。また、不織布製のマスクは、素材の性質上、毛羽立ちやすく、光沢感にかける。また、全体として形状安定性に欠け、使用により、型崩れしやすい。また、耳紐取付部の接合強度が不足し、分離されやすい。また、不織布は素材強度が弱いことから、超音波溶着によるノーズフィットの位置固定機能が低く、ノーズフィットの位置ずれが生じやすい。
さらに、不織布製のマスクは、洗うことができず、使い捨てのため、それ相応にコストがかかる。さらに、全国的なレベルで感染症が発生したような場合、品切れになり、入手困難になることも予想される。その意味では、ガーゼ製のマスクのように、洗うことができ、一つのマスクを繰り返し使用できることが望まれる。
一方、ガーゼ製の布製マスクの場合、洗うことはできるが、縫製品であるために多くの縫い目があり、上述した不織布製のマスクのような、本体部分がシート状で、厚さも薄く、プリーツ加工が容易で、デザイン的にもすっきりしているという特徴を実現することができない欠点がある。また、ガーゼ製の布製マスクは、不織布製マスク以上に形状安定性に劣る。さらに、重量も重い。
本願発明は、このような問題を解決するためになされたもので、表生地および裏生地共にポリエステル繊維、又はポリエステル繊維と綿の混紡繊維を用い、それら両生地の接合が必要な部分を熱溶着シートを介して面接合することによって、圧着痕や縫い目がなく、シルクのような光沢感、上質感があって、形状安定性が高く、繰り返し洗うことができる、完全無縫製の薄くて軽い美しい布製マスクを提供することを目的とするものである。
本願発明は、上記の課題を解決するために、次のような課題解決手段を備えて構成されている。
(1)請求項1の発明の課題解決手段
請求項1の発明の課題解決手段は、表生地および裏生地よりなるマスク本体と、該マスク本体の両端に取り付けられた耳紐とを備えてなる布製マスクであって、表生地および裏生地が共にポリエステル繊維よりなり、それら両生地が熱溶着シートを介して面接合されていることを特徴としている。
ポリエステル繊維は、マスク生地として、シルクのような上品な光沢感や質感を出すことができる。しかも、軽くて強度が高いため、不織布以上に薄く形成することができる。また、形状記憶性が高いので、本体全体の形状はもちろん、加工したプリーツ部も型崩れしない。さらに、速乾性に優れ、濡れてもすぐに乾き、カビや湿気にも強い。したがって、洗うのに適している。また、比較的耐熱性が高く(135℃)、アイロンがけも可能である。さらに、通気性や保湿性も十分である。
このため、マスク本体を構成する表生地および裏生地に、以上のような特徴を有するポリエステル繊維(100%)を用いると、丈夫で、シルクのような上品な光沢感や質感があり、薄くてプリーツ加工も容易でありながら型崩れせず、シャープな形状を維持し、繰り返し洗って使用することができる、通気性、保湿性に優れた布製マスクを形成することができる。また、従来一般的な安価な吸着加工方法で有効な吸湿冷感加工を施すことができる。
しかも、この発明の課題解決手段の場合、表生地および裏生地相互の結合部は、熱溶着シートを介して熱溶着することにより面接合されている。熱溶着シートには、ポリエステル繊維の耐熱性以下のレベル(110℃)で十分に溶融しうる接合機能の高い樹脂材が選ばれており、レーザーカッターまたは打ち抜き機などにより、結合が必要な部分の形状および大きさに合わせて予めカットされている。したがって、例えばホットプレス機等にかけてホットプレスすると、樹脂材が溶けて、表生地、裏生地それぞれの繊維内に均一に浸潤し、熱溶着シートがあった部分もなかった部分も殆ど厚さが変わらない面一な状態で接合一体化される。
このため接合部を含めたマスク本体全体を非常に薄く形成することができ、不織布よりもさらに薄く形成することができる。その結果、非常に軽量になる。しかも、熱溶着後に樹脂材は硬化して、それ自体強度が高くて形状安定性が高いポリエステル製の表生地及び裏生地の重合体の剛性を向上させる。したがって、薄くて軽いにもかかわらず、マスク全体の形状をより安定したものにし、より型崩れしないマスクを実現することができる。
そして、表生地および裏生地相互の接合部外面には何の跡形も残らず、変色もしない。したがって、接合部と非接合部は外見からは全く見分けがつかず、表裏面共にポリエステル繊維特有のシルクのような上品な光沢感や質感をそのまま生かすことができる。その結果、マスク本体全体が非常に美しいものとなる。刻印ローラ(ルーレット)による多数の圧着痕が残る超音波溶着による不織布製のマスクと比べると、そのデザイン性の高さ、上質感は比較にならない。また、同構成の場合、完全無縫製であり、全く縫い目がないので、多数の縫い目が残り、厚さが厚い従来の縫製品マスクと比べても、そのデザイン性の高さ、上質感は比較にならない。
また、上記構成の場合、表生地、裏生地自体を薄く形成できることから、プリーツ加工した折り返し部の厚さも十分に薄く形成することができ、同部分も例えばアイロンがけにより、十分にシャープな形状に仕上げることができる。
しかも、同構成の場合、ポリエステル繊維自体が丈夫で、洗っても変質しにくいことに加えて、高い形状記憶性があることから、洗った後も同様にアイロンがけすることにより、全体形状およびプリーツ加工部共に略新しい時の製品状態に復元することができる。そして、このアイロンがけにより、上記熱接着シート部分の硬化している樹脂材が再び溶融するので、その都度接合機能も復活することになる。したがって、耐久性も高くなる。
(2)請求項2の発明の課題解決手段
請求項2の発明の課題解決手段は、表生地および裏生地よりなるマスク本体と、該マスク本体の両端に取り付けられた耳紐とを備えてなる布製マスクであって、表生地および裏生地が共にポリエステルと綿の混紡繊維よりなり、それら両生地が熱溶着シートを介して面接合されていることを特徴としている。
ポリエステル繊維は、マスク生地として、シルクのような上品な光沢感や質感を出すことができる。しかも、軽くて強度が高いため、不織布以上に薄く形成することができる。また、形状記憶性が高いので、本体全体の形状はもちろん、加工したプリーツ部も型崩れしない。さらに、速乾性に優れ、濡れてもすぐに乾き、カビや湿気にも強い。したがって、洗うのに適している。また、比較的耐熱性が高く(135℃)、アイロンがけも可能である。さらに、通気性や保湿性も十分である。
一方、綿繊維は、さらに吸水性、保湿性に優れ、通気性も高い。したがって、通気性があって、保湿性に優れることが要求されるマスク生地に適している。
このため、マスク本体を構成する表生地および裏生地に、以上のような特徴を有するポリエステルと綿の混紡繊維を用いると、それら両生地の特徴を生かした、丈夫で、シルクのような上品な光沢感や質感があり、薄くてプリーツ加工も容易でありながら型崩れせず、シャープな形状を維持し、繰り返し洗って使用することができる、通気性、保湿性に優れた布製マスクを形成することができる。この場合、ポリエステルと綿の混紡比率は、例えばポリエステル65%、綿35%程度が適切である。
しかも、この発明の課題解決手段の場合、それら表生地および裏生地相互の結合部は、熱溶着シートを介して熱溶着することにより面接合されている。熱溶着シートは、ポリエステル繊維の耐熱性以下のレベル(110℃)で十分に溶融しうる接合機能の高い樹脂材が選ばれており、レーザーカッターまたは打ち抜き機などにより、表生地および裏生地間の結合が必要な部分の形状および大きさに合わせて予めカットされている。したがって、例えばホットプレス機等にかけてホットプレスすると、樹脂材が溶けて、表生地、裏生地それぞれの繊維内に均一に浸潤し、熱溶着シートがあった部分もなかった部分も殆ど厚さが変わらない面一な状態で接合一体化する。
このため接合部を含めたマスク本体全体を非常に薄く形成することができ、不織布よりもさらに薄く形成することができる。その結果、非常に軽量になる。しかも、熱溶着後に樹脂材は硬化して、それ自体強度が高くて形状安定性が高いポリエステル繊維を中心とする表生地及び裏生地の重合体の剛性を向上させる。したがって、薄くて軽いにもかかわらず、マスク全体の形状をより安定したものにし、より型崩れしないマスクを実現することができる。
そして、表生地および裏生地相互の接合部外面には何の跡形も残らず、変色もしない。したがって、接合部と非接合部は外見からは全く見分けがつかず、表裏面共にポリエステル繊維特有のシルクのような上品な光沢感や質感をそのまま生かすことができる。その結果、マスク本体全体が非常に美しいものとなる。刻印ローラ(ルーレット)による多数の圧着痕が残る超音波溶着による不織布製のマスクと比べると、そのデザイン性の高さ、上質感は比較にならない。また、同構成の場合、完全無縫製であり、全く縫い目がないので、多数の縫い目が残り、厚さが厚い従来の縫製品マスクと比べても、そのデザイン性の高さ、上質感は比較にならない。
また、上記構成の場合、表生地、裏生地自体を薄く形成できることから、プリーツ加工した折り返し部の厚さも十分に薄く形成することができ、同部分も例えばアイロンがけにより、十分にシャープな形状に仕上げることができる。
しかも、同構成の場合、ポリエステル繊維自体が丈夫で、洗っても変質しにくいことに加えて、高い形状記憶性があることから、洗った後も同様にアイロンがけすることにより、全体形状およびプリーツ加工部共に略新しい時の製品状態に復元することができる。そして、このアイロンがけにより、上記熱接着シート部分の硬化している樹脂材が再び溶融するので、その都度接合機能も復活する。したがって、耐久性も高くなる。
(3)請求項3の発明の課題解決手段
請求項3の発明の課題解決手段は、上記請求項1又は2の発明の課題解決手段において、マスク本体の両端に取り付けられた耳紐の取付端部は、マスク本体を形成する表生地および裏生地接合用の熱溶着シートを介して超音波溶着されていることを特徴としている。
マスク本体を形成する表生地および裏生地が共にポリエステル繊維又はポリエステル繊維と綿の混紡繊維よりなり、それら両生地を熱溶着シートを介して面接合すると、接合時に熱溶着シートの熱溶着樹脂が溶けて表生地および裏生地の繊維組織内に浸潤するので、接合部の厚さが厚くなることもなく、全くフラットな形での接合が実現される。しかも、熱溶着樹脂は半透明であり、表生地および裏生地表面の色を変えることもない。したがって、ポリエステル独特のシルク感、上質感には何の影響も与えない。
しかし、マスク本体両端の耳紐の取付部はその他の部分に比べて相対的に高い接合強度、耐久性が求められる。そこで、同部分では、さらに上記マスク本体を形成する表生地および裏生地接合用の熱溶着シートを介して部分的に超音波溶着を行い、取付強度を高くするとともに、より耐久性を向上させている。
ポリエステル同士の場合、単に超音波溶着を行っても有効な接合力が得られない。しかし、以上のように表生地および裏生地接合用の熱溶着シートを介して超音波溶着を行うと、熱溶着シートの溶着機能と相俟って有効に接合力が向上する。また、この場合、超音波溶着といっても、耳紐取付部のみに小面積のフラットなヘッドを当てるスポット溶着で足り、溶着痕は残らない。
(4)請求項4の発明の課題解決手段
請求項4の発明の課題解決手段は、上記請求項1,2又は3の発明の課題解決手段において、マスク本体にはプリーツ部が設けられており、該プリーツ部の各プリーツ両端部分は、マスク本体を形成する表生地および裏生地接合用の熱溶着シートを介して超音波溶着されていることを特徴としている。
マスク本体のプリーツは、マスク本体中央部の上下方向の動きにゆとりを持たせ、口部の動きを自由にすると同時に、鼻腔部前方に所定の膨出空間を形成し、呼吸を楽にする作用を果たす。また、平型マスクを立体構造に変形させ、使用感を向上させる。
プリーツ部は、上記熱溶着により相互に接合された表生地および裏生地を上方から下方(又は下方から上方に)一定の幅で複数段に折り畳んで形成される。そして、折り畳まれた複数の各プリーツの両端は、上記表生地および裏生地接合部の一部を切り欠き、接合用の熱溶着シートの一部を露出させることにより、熱溶着によって接合することが可能である。
しかし、上記のようにプリーツ部には動きがあり、広げられたり、折り畳まれたりする部分であり、その形状固定部である両端側接合部分の接合強度は十分に大きいことが必要である。そこで、プリーツ部の各プリーツ両端部分は、上記マスク本体を形成する表生地および裏生地接合用の熱溶着シートを介して超音波溶着することによって確実に接合固定するようにする。
ポリエステル同士の場合、単に超音波溶着を行っても有効な接合力が得られない。しかし、以上のように表生地および裏生地接合用の熱溶着シートを介して超音波溶着を行うと、熱溶着シートの溶着機能と相俟って有効に接合力が向上する。また、この場合、超音波溶着といっても、プリーツ部の各プリーツ両端部分のみに小面積のフラットなヘッドを当てるスポット溶着で足り、溶着痕は残らない。
(5)請求項5の発明の課題解決手段
請求項5の発明の課題解決手段は、上記請求項1,2,3又は4の発明の課題解決手段において、表生地または裏生地のいずれか一方、またはそれら両生地には吸湿冷感加工が施されていることを特徴としている。
この請求項5の発明で使用できる吸湿冷感剤の代表例として、キシリトール(C12)やエリスリトール(C10)があるが、これらの吸湿冷感剤は、糖アルコールの一種であり、水に溶けるときに水の温度を下げる吸熱性能を備えている。キシリトールの溶解熱(cal/g)は−34.8、エリスリトールの溶解熱(同)は−42.9であり、キシリトール1gで水10gの温度を−3.48℃、エリスリトール1gで水10gの温度を−4.29℃下げることができる。これらの物質は、吸湿作用のない接触冷感剤に対して吸湿冷感剤と呼ばれている。
したがって、マスク本体を構成する表生地または裏生地のいずれか一方、または両方の繊維にそれら吸湿冷感剤を用いた吸湿冷感加工を施しておくと、当該吸湿冷感剤がマスク内に充満する水分に反応して吸熱作用を発揮し、マスク内の温度を有効に低下させる。その結果、夏季等の高気温時におけるマスク着用時の熱中症予防効果が期待される。
この吸湿冷感剤は、水との結合による吸熱、水の分離(蒸発)による放熱を可逆的に繰り返し、継続的に吸熱作用を発揮する。したがって、長時間に亘る安全なマスクの使用が可能となる。
この吸湿冷感加工には、種々の加工方法があり、従来一般の吸着加工では綿のような天然繊維には有効な吸湿冷感加工を施すことが難しかった。したがって、従来一般の加工方法により有効な吸湿冷感加工を施そうとする場合には、上記請求項1記載の発明のように、綿を含まないポリエステル繊維100%の生地を採用することが望ましい。これによって、夏用のマスクを実現することができる。
一方、最近では特殊な乳化技術が開発され、エマルジョン内部に水溶性のキシリトール、エリスリトールをナノレベルで取り込んだ特殊な被覆粒子形態のエマルジョン製品も提供されるようになっており(例えば特許5947628号公報を参照)、このような技術を用いれば、ポリエステル繊維だけでなく、ポリエステル繊維と綿の混紡繊維に対しても全く同様の効率で吸熱作用を発揮させることが可能である。
したがって、そのような吸湿冷感加工方法を採用する場合には、上記請求項2記載の考案のようなポリエステル繊維と綿の混紡生地においても十分に有効な吸湿冷感加工を施すことができる。
上記吸湿冷感加工は、新旧いずれの加工方法にあっても、マスク本体を形成する表生地または裏生地のいずれか一方、または両生地に行うことができる。表生地及び裏生地の両に吸湿冷感加工を行うと、より吸湿冷感効果を向上させることができる。
(6)請求項6の発明の課題解決手段
請求項6の発明の課題解決手段は、上記請求項1,2,3,4または5の発明の課題解決手段において、表生地または裏生地のいずれか一方、またはそれら両生地には抗ウイルス加工が施されていることを特徴としている。
すでに述べたように、家庭用マスクには種々の用途があるが、最近では感染症予防の機能が期待されるようになっている。このような状況の中、マスク本体の表生地または裏生地のいずれか一方、または両方に抗ウイルス加工が施されていると、そのような期待に応えることができる。
また、このような抗ウイルス加工に加えて、さらに制菌加工、抗菌加工、消臭加工などを施すことができる。
以上の結果、本願発明によると、丈夫で、シルクのような上品な光沢感や質感があり、薄くてプリーツ加工も容易でありながら型崩れせず、長期に亘ってシャープな形状を維持し、繰り返し洗って使用することができる、デザイン性の高い、完全無縫製の美しいマスクを実現することができる。
また、耳紐取付部やプリーツ固定部の強度を十分に向上させることができ、耐久性が大きく向上する。
また、そのうえで、さらに冷却性や抗ウイルス性をも付加することができ、夏季等の高気温時における熱中症予防、感染症予防にも有効な効果を発揮させることができる。
本願発明の実施の形態1に係る布製マスクの全体的な構成を示す正面図である。 同布製マスクの全体的な構成を示す背面図である。 同布製マスクのマスク本体中央部の構成を示す拡大断面図(図1のA−A拡大断面図)である。 同布製マスクのマスク本体右端部の構成を示す拡大断面図(図1のB−B拡大断面図)である。 同布製マスクのマスク本体を構成する裏生地と製造過程において同裏生地の表面側にセットされる上下熱溶着シート及び上部側熱溶着シートの表面側に溶着されるノーズフィットの正面図である。 同布製マスクのマスク本体を構成する表生地と製造過程において同表生地の裏面側左右両端にセットされる左右一対の熱溶着シートの裏面図である。 同布製マスクのマスク本体の左右両端側上下に取り付けられる左右一対の耳紐の正面図である。 同布製マスクのマスク本体を構成する裏生地の左側端部の構成(切り欠き部の構成)を示す拡大正面図である。 同布製マスクのマスク本体を構成する表生地の左側端部の構成(切り欠き部の構成)を示す拡大正面図である。 同布製マスクの第1の製造工程(裏生地の表面側上下両端部に剥離紙の付いた上下熱溶着シートをセットする工程)を示す図である。 同布製マスクの第2の製造工程(裏生地の表面側上端部にセットした上部側熱溶着シートのノーズフィット溶着部の剥離シートを剥ぎ取り、熱溶着面を露出させる工程)を示す図である。 同布製マスクの第3の製造工程(裏生地の表面側上端部にセットした上部側熱溶着シートのノーズフィット溶着部の熱溶着面にノーズフィットを設置し、熱溶着する工程)を示す図である。 同布製マスクの第4の製造工程(表生地の裏面側左右両端部に一対の熱溶着シートをセットする工程)を示す図である。 同布製マスクの第5の製造工程(裏生地の表面側上下両端部にセットされた上下熱溶着シート表面側の剥離紙を剥がし、熱溶着面全体を露出させる工程)を示す図である。 同布製マスクの第6の製造工程(上下熱溶着シート全面の剥離紙を剥がした図14の状態の裏生地を型に入れ、同上下熱溶着シートの左右両端部上に取り付けるべき耳紐の上下両端部をセットする工程)を示す図である。 同布製マスクの第7の製造工程(表生地の裏面側左右両端部にセットした左右一対の熱溶着シート全面の剥離紙を剥がす工程)を示す図である。 同布製マスクの第8の製造工程(剥離紙を剥がした上下熱溶着シートの左右両端部上に耳紐の上下両端部をセットした図15の状態の裏生地上面に、左右両端側各熱溶着シートの剥離紙を剥がした図16の表生地の裏面側を重ね、それら両生地及び上下左右両熱溶着シートの端部が重合された4隅に位置する耳紐取付部を超音波溶着装置で超音波溶着する工程)を示す図である。 同布製マスクの第9の製造工程(図17の耳紐取付端部の超音波溶着により4隅が結合固定された表生地及び裏生地の上下左右外周部全体をホットプレス装置でホットプレス(熱溶着)することにより接合一体化する工程)を示す図である。 同布製マスクの第10の製造工程(図18のホットプレス工程により上下左右外周部の全体が所定の幅で接合一体化された表生地及び裏生地重合体のプリーツを形成すべき左右両端部を所定の重なり幅で折り重ねながらプリーツ両端部を超音波溶着してゆく工程)を示す正面図である。 同布製マスクの上記第10の製造工程(超音波溶着装置を用いて、表生地及び裏生地重合体のプリーツを形成すべき左右両端部を所定の重なり幅で折り重ねながらプリーツ形成部両端を超音波溶着してゆく工程)における表生地及び裏生地重合体のプリーツ形成部両端の構造を示す腰部の拡大斜視図である。 同布製マスクの上記第10の製造工程によるプリーツ形成完了状態の正面図である。 同布製マスクの第11の製造工程(上記図21のプリーツ部左右両端側が超音波溶着されたプリーツ部全体をホットプレスして、偏平に形状固定する工程)を示す正面図である。 同布製マスクの第12の製造工程(上記図22のプリーツ部全体のホットプレス工程完了後、最終的にノーズフィット全周囲にステッチを入れる工程)を示す正面図である。
以下、図1〜図23を参照して、本願の発明を実施するための幾つかの形態に係る布製マスクの構成および作用、並びに、その製造方法について詳細に説明する。
<実施の形態1>
図1〜図23は、本願発明の実施の形態1に係る布製マスクの構成およびその製造工程における各パーツの形態を示している。この実施の形態では、マスク自体の形状の一例として、平型マスクにおいてプリーツ構造を採用した所謂プリーツ型マスクの形状が採用されている。
図1〜図4は、同布製マスクの製造完了状態(完成品状態)における全体的な構成(正面・背面・中央断面・端部断面)を、図5は、同布製マスクのマスク本体を形成する裏生地と同裏生地の表面側上下両端面部にセットされる上下熱溶着シート及び同裏生地の表面側上端面部の熱溶着シートの上面に配設されるノーズフィットの構成を、図6は、同布製マスクのマスク本体を形成する表生地と同表生地の裏面側左右両端面部にセットされる左右一対の熱溶着シートの構成を、図7は、同布製マスクのマスク本体の左右両端側コーナー部に取り付けられる左右一対の耳紐の構成を、図8は、裏生地の左右両端側プリーツ形成部の構成を(左側で代表)、図9は、表生地の左右両端側プリーツ形成部の構成を(左側で代表)、図10〜図23は、上記図5〜図9に示すマスク構成パーツを用いて、上記図1〜図4の構成の布製マスクを製造するマスク製造工程を示している。
すなわち、この実施の形態の布製マスクは、まず全体として図1〜図4に示すように、プリーツ構造のマスク本体1と、該マスク本体1の左右両端側上下に取り付けられた耳紐2,2とから構成されている。
まずマスク本体1は、裁断状態において、同じ形状、同じ大きさの表生地11(図5参照)と裏生地12(図6参照)を相互に重ね合わせ(図17参照)、その上下左右外周部所定幅部分W1,W2,W3,W4を熱溶着シート31,32,33,34(図14、図16参照)を介して熱溶着することにより一体化(図18参照)しているとともに、その上下方向中間部分には後述するように第1〜第3の3組のプリーツ(折り畳み部)13〜15を形成している。
上記表生地11及び裏生地12は、それぞれ合成繊維であるポリエステルと天然繊維である綿の混紡繊維により形成されている。ポリエステルと綿の混紡比率は、例えばポリエステル65%、綿35%のものが採用されている。ポリエステルは、マスク生地として、シルクのような上品な光沢感や質感を出すことができる。しかも、軽くて強度が高いため、不織布以上に薄く形成することができる。また、形状記憶性が高いので、マスク本体1全体の形状はもちろん、第1〜第3のプリーツ13〜15も型崩れしない。また、速乾性に優れ、濡れてもすぐに乾き、カビや湿気にも強い。したがって、洗うのに適している。さらに、耐熱性が高く(135℃)、アイロンがけも可能である。もちろん、通気性や保湿性もある。他方、綿は、より吸水性、保湿性に優れ、通気性も高い。したがって、通気性があって、保湿性に優れることが要求されるマスク生地に適している。
このため、マスク本体1を構成する上記表生地11および裏生地12に、そのような特徴を有するポリエステルと綿の混紡繊維を用いると、それら両生地の特徴を生かした、丈夫で、シルクのような上品な光沢感や質感があり、薄くてプリーツ加工も容易でありながら型崩れせず、シャープな形状を維持し、繰り返し洗って使用することができる、通気性、保湿性に優れた布製マスクを形成することができる。
また、上記熱溶着シート31〜34には、ポリエステル繊維の耐熱性(135℃)以下の温度レベル(例えば110℃)で十分に溶融しうる接合機能の高い樹脂材(例えばポリウレタン系ホットメルト樹脂)が採用されている。この各熱溶着シート31〜34は、厚さが例えば0.1〜0.2mm程度の極薄シート状で、マスク本体1形成用の表生地11及び裏生地12における接着すべき各外周縁部の形状および大きさに合わせて、レーザーカッターまたは打ち抜き機などにより裁断されている。
次に、熱溶着シート31,32,33,34を介して熱溶着された上下左右外周部所定幅部分(熱溶着部)W1,W2,W3,W4は、上端側部分W1の幅が下端側部分W2及び左右両端側部分W3,W4の幅よりも所定寸法大きく設定されており、同W1部分の表生地11と裏生地12との間には所定の長さを有するノーズフィット4(図5参照)が左右に伸びる形で溶着一体化され、外周部には確実に固定するためのステッチ5が施されている。
また、マスク本体1の上下左右各コーナー部(4隅部分)の表生地11と裏生地12との間には耳紐2,2の各取付端部2a,2a,2b,2bが挿入され、上記熱溶着シート31,32,33,34を介して超音波溶着されている。上記上下両端側の熱溶着シート31,32は左右両端31a,31a,32a,32aが、また上記左右両端側の熱溶着シート33,34は上下両端33a,33a,34a,34aが、それぞれコーナー方向に直角に曲げられて少し長く伸びており、上下左右両端側のものが上下左右各コーナー部(4隅)で相互に重なるように構成されている。
すなわち、この実施の形態では、上記熱溶着シート31,32,33,34を介した表生地11と裏生地12外周部の接合時に、マスク本体1のコーナー部分(4隅部分)では、上記表生地11と裏生地12との間に位置して上端側熱溶着シート31の左右端部31a,31aと左右両端側熱溶着シート33,34の上端部33a,34aが、また下端側熱溶着シート32の左右端部32a,32aと左右両端側熱溶着シート33,34の下端部33a,34aが、それぞれ相互に重なる形で接合されるようにしており、これら熱溶着シート31と33,34、熱溶着シート32と33,34の間に耳紐2,2の取付端部2a,2a,2b,2bを挿入重合して超音波溶着している。
したがって、耳紐2,2の取付端部2a,2a,2b,2b部分では、それぞれその上下に熱溶着シートが位置することになり、両面側で2倍の量の溶着剤により表生地11及び裏生地12相互に対して強固に溶着一体化されることになり、耳紐2,2の取付強度が大きく向上する。これら耳紐2,2は、例えば伸縮性のある混紡ゴムにより形成されている。
これら熱溶着シート31と33,34、熱溶着シート32と33,34の間に熱溶着される耳紐2,2の取付端部2a,2a,2b,2bは、後述するように、上記熱溶着シート31と33,34、同32と33,34によるホットプレス(熱溶着)に先んじて、超音波溶着装置によってスポット的に(部分的に)強固に溶着固定される。超音波溶着は原子間隔レベルでの圧着溶融接合であり、上記耳紐取付端部2a,2a,2b,2bを介して表生地11及び裏生地12相互を原子間隔レベルで強固に接合することができる。
ただし、すでに述べたように刻印ローラ(ルーレット)を用いた超音波ミシンタイプの超音波溶着装置を用いると、多数の圧着痕が残り、見栄えが悪い。しかし、この実施の形態の場合には、表生地11及び裏生地12間の耳紐取付端部2a,2a,2b,2b部分のみをスポット的に溶着すれば足りるから、刻印ローラ(ルーレット)などは要らず、仮に超音波溶着装置を用いて溶着したとしても、若干のフラットなヘッド痕が薄く残るだけであり、全く見栄えには影響しない。
しかも、上記耳紐取付端部2a,2a,2b,2bの超音波溶着部分には、上記耳紐取付端部2a,2a,2b,2bの上下に位置して熱溶着シート31と33,34、熱溶着シート32と33,34が存在し、上下2重の熱溶着シートを介した超音波溶着となることから、後述するように、上記表生地11及び裏生地12に超音波溶着だけでは溶着しにくいポリエステル繊維を採用した場合にも、超音波エネルギーによる熱溶着シートの溶着と合わせてポリエステル繊維同士を溶着することができることから、より十分な溶着効果(接合効果)を実現することができる。このスポット的な超音波溶着は、次に述べるプリーツ部13〜15両端の固定にも採用されているが、同様の理由で殆ど圧痕は残らない。また、同様に、熱溶着シート33、34を介した超音波溶着としており、十分な溶着強度、耐久性を上げることができる。
マスク本体のプリーツ(折り畳み部)は、マスク本体中央部の上下方向の動きにゆとりを持たせ、口部の動きを自由にすると同時に、鼻腔部前方に所定の膨出空間を形成し、呼吸を楽にする作用を果たす。また、平型マスクを立体構造に変形させ、使用感を向上させる。
この実施の形態における第1〜第3の3組のプリーツ13〜15は、上記熱溶着により相互に接合された表生地11および裏生地12を上方から下方(又は下方から上方に)一定の幅で3段に折り畳んで形成されている。そして、折り畳まれた第1〜第3の3段の各プリーツ13〜15の両端13a〜15a,13a〜15aは、上記表生地11および裏生地12両端側接合部の一部を切り欠き、接合用の熱溶着シート33,34の一部を露出させることにより、同熱溶着シート33,34を介したスポット的な超音波溶着によって強固に接合するようにしている(図4参照)。
すなわち、上記マスク本体1を形成する上記表生地11及び裏生地12各々の左右両端側には、例えば図6及び図5に示すように、第1〜第3のコの字形の切り欠き部11a〜11c、12a〜12cが設けられている。そして、該第1〜第3のコの字形の切り欠き部11a〜11c、12a〜12cには、例えば図8、図9に示すように、それぞれその開口部に沿う所定の深さの切込みa,bが入っている。この切込みa,bの深さは、上記左右溶着部の幅W3,W4の内縁位置に対応したものとなっている。この切込みa,bは、以下に述べる第1〜第6のプリーツ加工ラインPL1〜PL6各々での折り易さを実現するためのものである。
したがって、上記表生地11と裏生地12の左右両端側間に溶着幅W3,W4に対応した熱溶着シート33,34を挟み込んだ状態では、例えば図20に示すように、第1〜第3のコの字形の切り欠き部11a〜11c、12a〜12c以外の部分では、熱溶着シート33,34が上記表生地11と裏生地12間に完全に挟まれた状態となるが、第1〜第3のコの字形の切り欠き部11a〜11c、12a〜12c部分では、熱溶着シート33,34が表裏両面側共にそのまま露出することになる。
そして、この実施の形態では、先ずこの状態で、上記表生地11と裏生地12をホットプレス機にかけて熱溶着する。すると、上記表生地11と裏生地12間の各熱溶着シート31,32,33,34が溶けて、上記表生地11と裏生地12全周の所定幅W1〜W4部分が接合一体化される。この時、溶けた熱溶着樹脂は、上記表生地11及び裏生地12の繊維組織内に有効に浸潤し、それら生地11,12間を確実に接合する。この接合は、熱溶着シート31,32,33,34を用いたホットプレスによる熱溶着であり、接合面全体に亘って平面的な面接合となる。したがって、ローレットを用いた超音波ミシンのような径の大きな圧痕は残らず、生地面だけの美しい仕上がり状態となる。
次に、その上で第1〜第3のプリーツ形成加工がおこなわれる。同状態では、上記表生地11と裏生地12全周の所定幅W1〜W4部分が接合一体化されているが、左右両側の上記第1〜第3のコの字形の切り欠き部11a〜11c、12a〜12c部分では、熱溶着シート33,34が表裏両面側共に熱溶着シート状態でそのまま残っている(図17〜図20参照)。
そこで、この状態において、例えば図19に示す第1のプリーツ加工ライン(谷部)PL1、第2のプリーツ加工ライン(山部)PL2で上下に重なるように折り畳むことにより第1のプリーツ13を、また第3のプリーツ加工ライン(谷部)PL3、第4のプリーツ加工ライン(山部)PL4で上下に重なるように折り畳むことにより第2のプリーツ14を、さらに第5のプリーツ加工ライン(谷部)PL5、第6のプリーツ加工ライン(山部)PL6で上下に重なるように折り畳むことにより第3のプリーツ15を順次形成してゆく。そして、上記各プリーツ13,14,15を形成する毎に、当該各プリーツ13,14,15の両端部13a,14a,15a,13a,14a,15aの相互に重なる部分を上記折り返し部に位置して露出している熱溶着シート33,34部分を介してスポット的に超音波溶着して固定してゆく。これにより上記熱溶着シート31〜34により重合一体化された上記表生地11と裏生地12の中央部分に第1〜第3の3組のプリーツ13〜15が形成されることになる(図21を参照)。
この図21の状態では、第1〜第3の3組のプリーツ13〜15は、一応折り畳まれ、その両端部13a,14a,15a,13a,14a,15aを左右生地本体部分に溶着固定されて、プリーツ形状をしているが、その形状はラフであり、シャープ、かつ偏平に形状固定はなされていない。そこで、次に同状態において、改めてマスク本体1の全体をホットプレス機にかけてホットプレスし、例えば図22に示すように、第1〜第3の3組のプリーツ13〜15の全体を確実に形状固定し、マスク本体1の全体をシャープ、かつ偏平な形状に仕上げる。
さらに、その後、最終的に、例えば図23に示すように、上記マスク本体1上端部中央の内側に熱溶着のみで固定されているノーズフィット4の周囲にステッチ5をかけることにより確実に位置固定する。これによりノーズフィット4の保持、収納状態を安定させ、洗った時にも位置ずれを生じないようにしている。
また、このようにノーズフィット4の周囲にステッチ5をかけると、上記マスク本体1上端部の接合強度が向上し、耳紐2,2取付のための4隅の超音波溶着部、第1〜第3のプリーツ13〜15両端部13a,14a,15a,13a,14a,15aの超音波溶着部の存在と相俟って、熱溶着シートによる熱溶着を基本とする表生地11と裏生地12の接合強度が全周に亘って向上することになる。ステッチ5は部分的であり、また生地11,12と同色の細い糸を使用しているので、殆ど縫い目を感じさせないものとなっている。
また、ノーズフィット4は、柔らかな可撓性のある金属線を例えばポリ塩化ビニルなどの合成樹脂材で被覆した所定の長さのワイヤー部材により構成されており、マスク本体1の上端部をユーザーの鼻の隆起角度に合わせて変形させ、ユーザーの鼻の左右における顔表面との間の隙間を小さくするシール作用を果たす。
この実施の形態の場合、上記マスク本体1を形成する表生地11及び裏生地12の上端は、図示のように、中央部1aがなだらかな山形形状に高く形成され、その左右が相対的に低く形成されている。そして、上記ノーズフィット4は、それら表生地11及び裏生地12の間にあって同中央部1aの山形形状部の下部に位置して左右に伸びる状態で設けられている。したがって、マスク本体1を着用した時に、ノーズフィット4がユーザーの鼻の隆起角度に沿って適切に変形し、ユーザーの鼻の左右における顔表面との間の隙間を小さくシールするとともに、中央部1aの山形部がより適説にユーザーの鼻部分をカバーするようになる。
以上のように、この実施の形態1の布製マスクでは、先ずマスク本体1の表生地11と裏生地12のそれぞれに、ポリエステルと綿の混紡繊維を用いている。
ポリエステル繊維は、マスク生地として、シルクのような上品な光沢感や質感を出すことができ、しかも軽くて強度が高いため、不織布以上に薄く形成することができる。また、形状記憶性が高いので、本体全体の形状はもちろん、加工したプリーツ部も型崩れしない。さらに、速乾性に優れ、濡れてもすぐに乾き、カビや湿気にも強い。したがって、洗うのに適している。また、比較的耐熱性が高く(135℃)、アイロンがけも可能である。もちろん、通気性や保湿性もある。
一方、綿繊維は、さらに吸水性、保湿性に優れ、通気性も高い。したがって、通気性があって、保湿性に優れることが要求されるマスク生地に適している。
このため、マスク本体1を構成する表生地11および裏生地12に、以上のような特徴を有するポリエステルと綿の混紡繊維を用いると、それら両生地の特徴を生かした、丈夫で、シルクのような上品な光沢感や質感があり、薄くてプリーツ加工も容易でありながら型崩れせず、シャープな形状を維持し、繰り返し洗って使用することができる、通気性、保湿性に優れた布製マスクを形成することができる。
また、この実施の形態1の布製マスクでは、上記表生地11および裏生地12相互の接合部は、熱溶着シート31〜34を介して熱溶着することにより面接合されている。すなわち、この熱溶着により面接合された部分は、例えば図1、図2におけるマスク本体1の外周縁から内側2点鎖線までの部分(W1〜W4)であり、この範囲が熱溶着部となっている。
この面接合部(熱溶着部)は、表生地11,裏生地12間にセットした熱溶着シート31〜34がホットプレスにより溶融することで形成されるが、熱溶着シート31〜34が溶融すると、その溶融した熱溶着樹脂が表裏各マスク生地11,12の繊維内に均一に浸潤していき、熱溶着シートがあった部分もなかった部分も殆ど厚さが変わらない面一な状態で接合一体化する。このため面接合部(熱溶着部)を含めたマスク本体1全体を可能な限り薄く(不織布に比べて遥かに薄く)形成することができる。
その結果、非常に軽量になる。しかも、熱溶着後に熱溶着シートの樹脂材は硬化して、それ自体強度が高くて形状安定性が高いポリエステル繊維を中心とする表生地及び裏生地の重合体自体の剛性を向上させる。したがって、薄くて軽いにもかかわらず、マスク全体の形状をより安定したものにし、より型崩れしないマスクを実現することができる。
また、溶融した熱溶着樹脂は、表生地11,裏生地12の繊維内に均一に浸潤する(溶け込む)ので、表裏マスク生地相互の接合部外面には何の跡形も残らず、変色もしない。したがって、接合部と非接合部は外見からは全く見分けがつかなくなり(図1、図2の2点鎖線部分は見えない)、しかも表裏面共にポリエステル繊維特有のシルクのような上品な光沢感や質感をそのまま生かすことができる。その結果、マスク本体1全体が非常に美しいものとなる。
刻印ローラ(ルーレット)による多数の圧着痕が残る超音波溶着による不織布製のマスクと比べると、そのデザイン性の高さ、上質感は比較にならない。また、同構成の場合、完全無縫製であり、全く縫い目がないので、多数の縫い目が残り、厚さが厚い従来の縫製品マスクと比べても、そのデザイン性の高さ、上質感は比較にならない。
また、上記のように、表生地11,裏生地12をそれぞれ薄く形成できることから、プリーツ加工した折り返し部の厚さも十分に薄く形成することができる。しかも、ポリエステル繊維は丈夫で、洗っても変質しにくいことに加えて、高い形状記憶性があることから、洗った後も同様にアイロンがけすることにより、全体形状およびプリーツ加工部共に略新しい時の製品状態に復元することができる。そして、このアイロンがけにより、上記熱溶着部の硬化している樹脂材が再び溶融するので、その都度接合機能も復活する。したがって、耐久性も高くなる。
また、以上の構成の場合、マスク本体1の両端に取り付けられた耳紐2,2の取付端部2a,2a,2b,2bは、マスク本体1を形成する表生地11および裏生地12接合用の熱溶着シート31,32,33,34を介して超音波溶着されている。
マスク本体1を形成する表生地11および裏生地12が共にポリエステル繊維と綿の混紡繊維よりなり、それら両生地11,12を熱溶着シート31,32,33,34を介して面接合すると、上記のように接合時に熱溶着シート31,32,33,34の熱溶着樹脂が溶けて表生地11および裏生地12の繊維組織内に浸潤するので、接合部の厚さが厚くなることもなく、全くフラットな形での接合が実現される。しかも、熱溶着樹脂は半透明であり、表生地および裏生地表面の色を変えることもない。したがって、ポリエステル独特のシルク感、上質感には何の影響も与えない。
しかし、マスク本体1両端の耳紐2,2の取付部はその他の部分に比べて相対的に高い接合強度、耐久性が求められる。そこで、同部分では、さらに上記マスク本体1を形成する表生地11および裏生地12接合用の熱溶着シート(重合部)31,32,33,34を介して部分的に超音波溶着を行い、取付強度を高くするとともに、より耐久性を向上させている。
ポリエステル同士の場合、単に超音波溶着を行っても有効な接合力が得られない。しかし、以上のように表生地11および裏生地12接合用の熱溶着シート31,32,33,34を介して超音波溶着を行うと、熱溶着シート31,32,33,34の熱溶着機能と相俟って有効に接合力が向上する。また、この場合、超音波溶着といっても、耳紐取付部のみに小面積のフラットなヘッドを当てるスポット溶着で足り、溶着痕は残らない。
また、以上の構成では、上記マスク本体1にプリーツ部が設けられており、該プリーツ部の各プリーツ13〜15両端部分13a〜15aは、マスク本体1を形成する表生地11および裏生地12接合用の熱溶着シート33,34を介して超音波溶着されている。
マスク本体のプリーツは、マスク本体中央部の上下方向の動きにゆとりを持たせ、口部の動きを自由にすると同時に、鼻腔部前方に所定の膨出空間を形成し、呼吸を楽にする作用を果たす。また、平型マスクを立体構造に変形させ、使用感を向上させる。
プリーツ部は、上記熱溶着により相互に接合された表生地および裏生地を上方から下方(又は下方から上方に)一定の幅で複数段に折り畳んで形成される。そして、折り畳まれた複数の各プリーツ13〜15の両端部13a〜15a,13a〜15aは、上記表生地11および裏生地12接合部の一部を切り欠き、接合用の熱溶着シート33,34の一部を露出させることにより、熱溶着によって接合することが可能である。
しかし、上記のようにプリーツ部には動きがあり、広げられたり、折り畳まれたりする部分であり、その形状固定部である両端側接合部分の接合強度は十分に大きいことが必要である。そこで、プリーツ部の各プリーツ13〜15両端部分13a〜15aは、上記マスク本体1を形成する表生地11および裏生地12接合用の熱溶着シート33,34を介して超音波溶着することによって確実に接合固定するようにする。
上記のようにポリエステル同士の場合、単に超音波溶着を行っても有効な接合力が得られない。しかし、以上のように表生地11および裏生地12接合用の熱溶着シート33,34を介して超音波溶着を行うと、熱溶着シート33,34の熱溶着機能と相俟って有効に接合力が向上する。また、この場合、超音波溶着といっても、各プリーツ13〜15両端部分13a〜15aのみに小面積のフラットなヘッドを当てるスポット溶着なので、溶着痕は残らない。
以上の結果、上記実施の形態1によると、丈夫で、シルクのような上品な光沢感や質感があり、薄くてプリーツ加工も容易でありながら型崩れせず、長期に亘ってシャープな形状を維持し、繰り返し洗って使用することができる、軽量で、全く縫い目がない完全無縫製のデザイン性の高い美しいマスクを形成することができる。
<マスクの製造方法について>
次に、図5〜図7及び図10〜図23を参照して、上記布製マスクの製造方法について説明する。
先ず図5は、上述した裏生地12とこの裏生地12に対してセットされる上下熱溶着シート31,32、上部熱溶着シート31を利用して取り付けられるノーズフィット4を示している。また、図6は、上述した表生地11とこの表生地11に対してセットされる左右熱溶着シート33,34を示している。図7は、上記図5の裏生地12と図6の表生地11との間に上下熱溶着シート31,32、左右熱溶着シート33,34の各端部を介して超音波溶着される耳紐2,2を示している。
この初期状態の上下熱溶着シート31,32、左右熱溶着シート33,34には、それぞれ剥離紙が付いている。熱溶着シート31の剥離紙中央部分には、ノーズフィット4溶着用の切り取り部(剥離紙剥ぎ取り用のルーレット加工部)31bが設けられている。
(1)第1の製造工程:図10
裏生地12表面側の上下両端部に剥離紙の付いた熱溶着シート31、32をセットし、ホットプレス機により仮熱溶着する。
(2)第2の製造工程:図11
裏生地12の上端部に仮熱溶着した熱溶着シート31のノーズフィット溶着部の剥離紙切り取り部31bのみを剥ぎ取り、ノーズフィット溶着部(熱溶着面)31cを臨ませる。
(3)第3の製造工程:図12
裏生地12の上端部に仮熱溶着した熱溶着シート31の切り取り部31b剥ぎ取り後のノーズフィット溶着部(熱溶着面)31cにノーズフィット4をセットし、ホットプレスにより仮熱溶着する。
(4)第4の製造工程:図13
表生地11の裏面側左右に剥離紙の付いた熱溶着シート33,34を仮熱溶着する。
(5)第5の製造工程:図14
ノーズフィット4を熱溶着した熱溶着シート31及び熱溶着シート32の剥離紙を剥ぎ取り、その後、裏生地12を所定の型に入れる。
(6)第6の製造工程:図15
型に入った裏生地12の上下左右4隅の熱溶着シート31,32の各端部31a,31a、32a,32a上に耳紐2,2の各取付端部2a,2a,2b,2bをセットする。
(7)第7の製造工程:図16
表生地11裏面側左右の熱溶着シート33,34の剥離紙を剥ぎ取る。
(8)第8の製造工程:図17
耳紐2,2の各取付端部2a,2a,2b,2bをセットした図15の裏生地12の上面側に熱溶着シート33,34の剥離紙を剥ぎ取った図16の表生地11の裏面側を重ねて、4隅の耳紐2,2の各取付端部2a,2a,2b,2b部分を超音波溶着する。
これにより、耳紐2,2の各取付端部2a,2a,2b,2bは、裏生地12上面側の熱溶着シート31,32の左右両端部31a,31a、32a,32aと表生地11裏面側の熱溶着シート33,34の上下両端部33a,33a、34a,34aに挟まれる形で、表生地11、裏生地とともに超音波溶着されて強固に取り付けられることになる。
(9)第9の製造工程:図18
次に、耳紐2,2の各取付端部2a,2a,2b,2b(4隅)の取付けが終了すると、当該マスク本体4辺の熱溶着部W1〜W4(熱溶着シート31,32,33,34配設部分)全体をホットプレスすることにより、最終的な熱溶着による面接合を行う。これにより、当該マスク本体4辺の熱溶着部W1〜W4が確実に溶着一体化される。
この結果、耳紐2,2の各取付端部2a,2a,2a,2aの取付強度がさらに向上する(超音波溶着による強度向上に加えて)。また、耳紐2,2の取付端部であるマスク本体1の4隅部分全体の強度、形状安定性も向上する。そのため、不織布製のマスクの場合のような耳紐取付部の分離や、形状変形もなくなる。
(10)第10の製造工程:図19
図18のホットプレス工程により、上下左右各外周部所定幅部分W1〜W4の全体が熱溶着され、フラットな状態で接合一体化されたマスク本体1の第1〜第3のプリーツ13〜15を形成すべき個所を折り重ねながら、その両端13a〜15a,13a〜15aの重なり部を相互に超音波溶着により固定してゆく。
これにより、マスク本体1中央部分に図21に示すような第1〜第3の3組のプリーツ13〜15が形成される。この場合、第1〜第3の3組のプリーツ13〜15の両端13a〜15a,13a〜15aの重なり部は、図17〜図20に示す熱溶着シート(露出部分)33,34を介して相互に超音波溶着されることにより固定一体化されている。したがって、その接合強度は極めて高いものとなる。そして、それによりプリーツ部全体の形状安定性が向上するとともに、マスク本体1左右の上下耳紐取付部間側部W3,W4部分の強度、剛性が向上し、マスク本体全体の形状安定性も高くなる。
(11)第11の製造工程:図22
図21に示す第1〜第3のプリーツ13〜15の全体をホットプレス機でホットプレスし、例えば図22に示すように、第1〜第3のプリーツ13〜15の全体の形状を、偏平で薄く、かつシャープな美しい形状に形状固定する。
(12)第12の製造工程:図23
プリーツ部のホットプレスが終了した耳紐2,2付きのマスク本体1を型から取りだし、例えば図23に示すように、最終的にノーズフィット4の外周部分にステッチ5を入れて、位置ずれしないように確実に固定する。
これにより、ノーズフィット4は素材強度が高く、しかも熱溶着シート31で確実に接合された表生地11と裏生地12の間に確実に固定されるようになり、繰り返し洗っても全く位置ずれしないようになる。
<実施の形態2>
次に、この出願の発明の実施の形態2に係る布製マスクの構成について、詳細に説明する。
この実施の形態2に係る布製マスクは、上記実施の形態1に係る布製マスクのマスク本体1を構成しているポリエステルおよび綿の混紡繊維に対して吸湿冷感加工を施したことを特徴とするものである。その他の構成は、上記実施の形態1に係る布製マスクの構成と全く同一であり、同一の作用を奏する。
この場合、吸湿冷感加工を施す対象は、表生地11または裏生地12のいずれか一方でも、それらの両方の生地11,12であってもよい。
吸湿冷感加工に用いられる吸湿冷感剤の代表例として、キシリトール(C12)やエリスリトール(C10)があるが、これらの吸湿冷感剤は、糖アルコールの一種であり、水に溶けるときに水の温度を下げる吸熱性能を備えている。キシリトールの溶解熱(cal/g)は−34.8、エリスリトールの溶解熱(同)は−42.9であり、キシリトール1gで水10gの温度を−3.48℃、エリスリトール1gで水10gの温度を−4.29℃下げることができる。これらの物質は、吸湿作用のない接触冷感剤に対して吸湿冷感剤と呼ばれている。
したがって、マスク本体1を構成する表生地11または裏生地12のいずれか一方、または両方の繊維にそれら吸湿冷感剤を用いた吸湿冷感加工を施しておくと、当該吸湿冷感剤がマスク内に充満する水分に反応して吸熱作用を発揮し、マスク内の温度を有効に低下させる。その結果、夏季等の高気温時におけるマスク着用時の熱中症予防効果が期待される。
この吸湿冷感剤は、水との結合による吸熱、水の分離(蒸発)による放熱を可逆的に繰り返し、継続的に吸熱作用を発揮する。したがって、長時間に亘る安全なマスクの使用が可能となる。
この吸湿冷感加工には、いくつかのの加工方法があり、従来一般の吸着加工方法では綿のような天然繊維に有効な吸湿冷感加工を施すことが難しかったが、最近では特殊な乳化技術が開発され、エマルジョン内部に水溶性のキシリトール、エリスリトールをナノレベルで取り込んだ特殊な被覆粒子形態のエマルジョン製品も提供されるようになっている(例えば特許5947628号公報を参照)。
したがって、このような技術を用いれば、上記実施の形態1の表生地11及び裏生地12のようなポリエステル繊維と綿の混紡繊維に対しても、ポリエステル繊維単独の場合と全く同様の効率で吸熱作用を発揮させることが可能である。
<実施の形態3>
次に、上記実施の形態2の布製マスクと同様の吸湿冷感加工を施した、この出願の発明の実施の形態3に係る布製マスクの構成について、詳細に説明する。
上記実施の形態2に係る布製マスクの構成では、上記実施の形態1に係る布製マスクの構成と同様にマスク本体1を構成する表生地11および裏生地12共にポリエステルと綿の混紡繊維により形成している。そして、同混紡繊維に対して、特殊な乳化技術を用い、エマルジョン内部に水溶性のキシリトール、エリスリトールなどの水に対して溶解熱が大きい吸湿冷感剤をナノレベルで取り込んだ特殊な被覆粒子形態(エマルジョン形態)での吸湿冷感加工を施す構成を採用している。
このような高度な加工技術を用いれば、合成繊維であるポリエステルはもちろん、天然繊維である綿に対しても全く同等の吸湿冷感加工を施すことができる。つまり、同吸湿冷感加工技術の場合、加工対象繊維を選ばない。
しかし、同吸湿冷感加工技術の場合、加工コストが高く、製品価格が高くなる問題がある。他方、一般的な吸着加工方法による吸湿冷感加工技術の場合には、天然繊維である綿に対して有効な加工を施すことができない問題があり、表生地11および裏生地12共にポリエステル65%と綿35%の混紡繊維で形成した場合、吸湿冷感加工の吸湿冷感能力を65%程度までしか実現できない問題がある。
そこで、この実施の形態3のマスク本体1では、表生地11および裏生地12共に綿を使用することなく、ポリエステル繊維のみで形成し、同ポリエステル繊維100%に対して安価な吸着加工技術による吸湿冷感加工を施したことを特徴としている。その他の構成は、上記実施の形態1に係る布製マスクの構成と同一である。
このような構成によると、従来一般的な吸着加工技術によってマスク本体1に100%有効な吸湿冷感加工を施すことができるようになる。
また、綿繊維が混紡されていないことにより、より薄く形成することができる。
<実施の形態4>
この実施の形態4の布製マスクでは、上記実施の形態1〜実施の形態3の各布製マスクにおいて、そのマスク本体1を構成する表生地11または裏生地12のいずれか一方、またはそれら両生地11,12の繊維に対して抗ウイルス加工を施していることを特徴としている。
すでに述べたように、家庭用マスクには種々の用途があるが、最近では特に感染症予防の機能が期待されるようになっている。このような状況の中、上記実施の形態1〜3におけるマスク本体1の表生地11又は裏生地12のいずれか一方、または両方の繊維11,12に抗ウイルス加工が施されていると、そのような期待に応えることができる。
また、このような抗ウイルス加工に加えて、さらに制菌加工、抗菌加工、消臭加工(防臭加工)を施すこともできる。なお、これらの加工に用いられる抗ウイルス剤、制菌剤、抗菌剤、消臭剤等は、人体に無害な性状のものであることは言うまでもない。
<その他の実施の形態>
上述の実施の形態では、吸湿冷感加工に用いられる吸湿冷感剤の例として、キシリトール(C12)やエリスリトール(C10)を示したが、同様の機能を果たす吸湿冷感剤としては、例えばマンニトール、ソルビトール、トレハロース、ラクトースなどの使用も可能である。
1はマスク本体、2は耳紐、11は表生地、12は裏生地、13〜15は第1〜第3のプリーツ、31〜34はそれぞれ熱溶着シート、PL1〜PL6は第1〜第6のプリーツ加工ラインである。

Claims (6)

  1. 表生地および裏生地よりなるマスク本体と、該マスク本体の両端に取り付けられた耳紐とを備えてなる布製マスクであって、上記表生地および上記裏生地が共にポリエステル繊維よりなり、それら両生地が熱溶着シートを介して面接合されていることを特徴とする布製マスク。
  2. 表生地および裏生地よりなるマスク本体と、該マスク本体の両端に取り付けられた耳紐とを備えてなる布製マスクであって、上記表生地および上記裏生地が共にポリエステル繊維と綿繊維の混紡繊維よりなり、それら両生地が熱溶着シートを介して面接合されていることを特徴とする布製マスク。
  3. マスク本体の両端に取り付けられた耳紐の取付端部は、マスク本体を形成する表生地および裏生地接合用の熱溶着シートを介して超音波溶着されていることを特徴とする請求項1又は2記載の布製マスク。
  4. マスク本体にはプリーツ部が設けられており、該プリーツ部の各プリーツ両端部分は、マスク本体を形成する表生地および裏生地接合用の熱溶着シートを介して超音波溶着されていることを特徴とする請求項1,2又は3記載の布製マスク。
  5. 表生地または裏生地のいずれか一方、またはそれら両生地には吸湿冷感加工が施されていることを特徴とする請求項1,2,3又は4に記載の布製マスク。
  6. 表生地または裏生地のいずれか一方、またはそれら両生地には抗ウイルス加工が施されていることを特徴とする請求項1,2,3,4又は5に記載の布製マスク。
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