JP2021195452A - フェノール化合物、フェノール硬化剤、熱硬化性樹脂組成物およびフェノール化合物の製造方法 - Google Patents

フェノール化合物、フェノール硬化剤、熱硬化性樹脂組成物およびフェノール化合物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ハンドリング性に優れた熱硬化性樹脂組成物を得ることができ、さらに熱伝導性および耐熱性に優れた硬化物を得ることができるフェノール化合物を提供する。【解決手段】本発明のフェノール化合物は、下記一般式(1)で表される。(一般式(1)中、RおよびQは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、または炭素数1〜6のアルコキシ基を示す。複数存在するRまたは複数存在するQは同一でも異なっていてもよい。)【選択図】なし

Description

本発明は、新規なフェノール化合物、フェノール硬化剤、熱硬化性樹脂組成物およびフェノール化合物の製造方法に関する。
従来から、フェノール化合物は、樹脂添加剤、酸化防止剤、医薬品、農薬、染料等の各種用途において用いられている。その中でも、熱硬化性樹脂組成物の硬化剤として広く用いられている。
近年、電気・電子機器等を構成する絶縁材料に対して放熱性の要求が高まっており、絶縁材料の放熱性について様々な開発がなされてきた。この種の技術として、たとえば、特許文献1に記載の技術が知られている。特許文献1には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型フェノール樹脂およびイミダゾール系硬化促進剤を含む熱硬化性樹脂組成物が記載されている。
特開2015−193504号公報
しかしながら、本発明者が検討した結果、特許文献1に記載の熱硬化性樹脂組成物はハンドリング性に改善の余地があり、さらに当該組成物から得られる硬化物は、熱伝導性および耐熱性において改善の余地があった。
本発明者らは、所定の構造を備えるフェノール化合物を新たに見出し、さらに当該フェノール化合物を硬化剤として用いたところ、当該硬化剤を含む熱硬化性樹脂組成物はハンドリング性が改善され、さらに当該組成物から得られる硬化物は熱伝導性および耐熱性に優れることを見出して本発明を完成させた。すなわち、本発明は、以下に示すことができる。
本発明によれば、
下記一般式(1)で表されるフェノール化合物が提供される。
Figure 2021195452
(一般式(1)中、RおよびQは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、または炭素数1〜6のアルコキシ基を示す。複数存在するRまたは複数存在するQは同一でも異なっていてもよい。)
本発明によれば、前記一般式(1)で表されるフェノール化合物を含む硬化剤が提供される。
本発明によれば、
熱硬化性樹脂と、
前記一般式(1)で表されるフェノール化合物を含む硬化剤と、
を含む、熱硬化性樹脂組成物が提供される。
本発明によれば、
下記一般式(a)
Figure 2021195452
(一般式(a)中、Qは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、または炭素数1〜6のアルコキシ基を示す。複数存在するQは同一でも異なっていてもよい。)
で表される化合物と、下記一般式(b)
Figure 2021195452
(一般式(b)中、Rは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、または炭素数1〜6のアルコキシ基を示す。複数存在するRは同一でも異なっていてもよい。)
で表される化合物と、を反応させ、前記一般式(1)で表されるフェノール化合物を合成する工程を含む、フェノール化合物の製造方法が提供される。
本発明の新規なフェノール化合物によれば、当該フェノール化合物を硬化剤として用いることにより、ハンドリング性に優れた熱硬化性樹脂組成物を提供することができ、さらに熱伝導性および耐熱性に優れた硬化物を提供することができる。
本実施形態に係る金属ベース基板の構成を示す概略断面図である。 本実施形態に係るパワーモジュールの構成を示す概略断面図である。 本実施形態に係る半導体装置の一例を示す断面図である。 本実施形態に係る半導体装置の一例を示す断面図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。また、図は概略図であり、実際の寸法比率とは一致していない。また、「〜」は特に断りがなければ「以上」から「以下」を表す。
[フェノール化合物]
本実施形態の新規なフェノール化合物は、下記一般式(1)で表すことができる。
Figure 2021195452
一般式(1)中、RおよびQは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、または炭素数1〜6のアルコキシ基を示す。複数存在するRまたは複数存在するQは同一でも異なっていてもよい。
炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基が挙げられる。アルキル基の炭素数は、好ましくは1〜4、さらに好ましくは1〜3である。
炭素数1〜6のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基及びヘキシルオキシ基等が挙げられる。アルコキシ基の炭素数は、好ましくは1〜4、さらに好ましくは1〜3である。
Rは、本発明の効果の観点から、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましく、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であることがさらに好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
Qは、本発明の効果の観点から、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましく、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であることがさらに好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
本実施形態のフェノール化合物は、熱硬化性樹脂の硬化剤、酸化防止剤、表面処理剤等の各種用途において用いることができるが、特に熱硬化性樹脂組成物の硬化剤として好適に用いることができる。
当該フェノール化合物を硬化剤として用いることにより、ハンドリング性に優れた熱硬化性樹脂組成物を提供することができ、さらに熱伝導性および耐熱性に優れた硬化物を提供することができる。
[フェノール化合物の製造方法]
本実施形態の一般式(1)で表されるフェノール化合物の製造方法は、以下の反応式に示される反応工程を含む。
Figure 2021195452
一般式(a)中、Qは一般式(1)と同義であり、一般式(b)中、Rは一般式(1)と同義である。
当該工程は、具体的には、一般式(a)で表されるエチレンジアニリン類(a)と、一般式(b)で表される安息香酸類(b)と、縮合剤と、反応溶媒とを添加し、攪拌混合して前記化合物(a)と前記化合物(b)とを反応させ、一般式(1)で表されるフェノール化合物(1)を合成することができる。当該反応は、無溶剤下で行うこともできる。反応温度は0〜100℃程度、混合時間は30分〜48時間、反応圧力は常圧で行われる。
前記反応溶媒としては、アセトン、テトラヒドロフラン、N−メチルピロリドン、N,N'−ジメチルホルムアミド、N,N'−ジメチルアセトアミド、γ―ブチロラクトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどを挙げることができる。
前記縮合剤としては、従来公知のものを用いることができ、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N−エチルカルボジイミド塩酸塩、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、トリフェニルホスファイト、ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N'−カルボニルジイミダゾール、ジメトキシ−1,3,5−トリアジニルメチルモルホリニウム、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N',N'−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N',N'−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート、(2,3−ジヒドロ−2−チオキソ−3−ベンゾオキサゾリル)ホスホン酸ジフェニル等を用いることができる。縮合剤の使用量は、エチレンジアニリン類(a)中のアミノ基数に対して1〜2倍モルが好ましく、1〜1.5倍モルがさらに好ましい。
反応工程後、従来公知の方法で、反応溶液の濃縮、抽出、乾燥等の精製工程を行い、一般式(1)で表されるフェノール化合物(1)を合成することができる。
[熱硬化性樹脂組成物]
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂と、一般式(1)で表されるフェノール化合物(1)を含む硬化剤と、を含む。
(熱硬化性樹脂)
熱硬化性樹脂としては、本発明の効果を発揮し得る範囲で公知の熱硬化性樹脂を用いることができる。本実施形態においては、分子内にメソゲン構造(メソゲン骨格)を含有する熱硬化性化合物や、分子内にメソゲン構造を含有しない熱硬化性化合物が挙げられる。
前記熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、ビスマレイミド樹脂、アクリル樹脂、またフェノール誘導体これらの誘導体等が挙げられる。これらの熱硬化性樹脂は、1分子内に反応性官能基を2個以上有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般を用いることができ、その分子量や分子構造は特に限定されない。
これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記熱硬化性樹脂の含有量は、フィラーを含まない熱硬化性樹脂組成物の樹脂成分(100質量%)に対して、例えば、0.1質量%以上80質量%以下が好ましく、0.5質量%以上70質量%以下がより好ましい。前記下限値以上であると、硬化性が向上し、樹脂層を形成するのが容易となる。前記上限値以下であると、樹脂層の保存安定性がより一層向上したり、樹脂層の熱伝導性がより一層向上したりする。
(硬化剤)
硬化剤は、一般式(1)で表されるフェノール化合物(1)を含む。
本実施形態においては、フェノール化合物(1)を含むことにより、熱伝導性および耐熱性に優れた硬化物を提供することができる。
硬化剤は、フェノール化合物(1)以外のその他の硬化剤を含むこともできる。これにより、硬化性、熱伝導性、および耐熱性のバランスに優れた硬化物を得ることができる。
その他の硬化剤としては、熱硬化性樹脂の種類に応じて選択され、これと反応するものであれば特に限定されない。
その他の硬化剤としては、フェノール樹脂系硬化剤、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、メルカプタン系硬化剤等を挙げることができる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記フェノール樹脂系硬化剤としては、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ナフトールノボラック樹脂、アミノトリアジンノボラック樹脂、ノボラック樹脂、トリスフェニルメタン型のフェノールノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂;テルペン変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂等の変性フェノール樹脂;フェニレン骨格及び/又はビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル樹脂、フェニレン骨格及び/又はビフェニレン骨格を有するナフトールアラルキル樹脂等のアラルキル型樹脂;ビスフェノールA、ビスフェノールF等のビスフェノール化合物;レゾール型フェノール樹脂等が挙げられ、これらは1種類を単独で用いても2種類以上を併用してもよい。
本実施形態においては、本発明の効果の観点から、硬化剤はフェノール化合物(1)のみからなることが好ましい。
(硬化促進剤)
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、硬化促進剤を含むことができる。
硬化促進剤は、本発明の効果を発揮し得る範囲で公知の化合物を用いることができ、反応速度や反応温度、保管性などの観点から、適切なものを選択することができる。
前記硬化促進剤としては、例えば、イミダゾール類、有機リン化合物、3級アミン類、フェノール化合物、有機酸等が挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。この中でも、耐熱性を高める観点から、イミダゾール類などの窒素原子含有化合物を用いることが好ましい。
前記イミダゾール類としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2,4−ジエチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート等が挙げられる。
前記3級アミン類としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等が挙げられる。
前記フェノール化合物としては、例えば、フェノール、ビスフェノールA、ノニルフェノール、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン等が挙げられる。
前記有機酸としては、例えば、酢酸、安息香酸、サリチル酸、p−トルエンスルホン酸等が挙げられる。
前記硬化促進剤の含有量は、熱硬化性樹脂と硬化剤との合計100質量%に対して、0.01質量%〜10質量%でもよく、0.02質量%〜5質量%でもよく、0.05質量%〜1.5質量%でもよい。
(フィラー)
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、フィラーを含むことができる。
前記フィラー(充填材)としては、無機フィラーまたは有機フィラーが用いられる。
無機フィラーとして、例えば、溶融破砕シリカ、溶融球状シリカ、結晶シリカ、2次凝集シリカ等のシリカ、アルミナ、チタンホワイト、水酸化アルミニウム、タルク、クレー、マイカ、ガラス繊維等が挙げられる。
また、有機フィラーとしては、例えば、オルガノシリコーンパウダー、ポリエチレンパウダー等が挙げられる。
これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(熱伝導性フィラー)
前記熱硬化性樹脂組成物は、フィラーとして、熱伝導性フィラーを含むことができる。
前記熱伝導性フィラーは、たとえば、20W/m・K以上の熱伝導率を有する高熱伝導性無機粒子を含むことができる。高熱伝導性無機粒子としては、例えば、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素及び酸化マグネシウムから選択される少なくとも1種以上を含むことができる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記熱伝導性フィラーは、窒化ホウ素は、鱗片状窒化ホウ素の、単分散粒子、凝集粒子またはこれらの混合物を含むことができる。鱗片状窒化ホウ素は顆粒状に造粒されていてもよい。鱗片状窒化ホウ素の凝集粒子を用いることによって、さらに熱伝導性を高められる。凝集粒子は、焼結粒子であっても、非焼結粒子であってもよい。
鱗片状窒化ホウ素の凝集粒子(鱗片状フィラーの凝集物)を使用することにより厚み方向の熱伝導率を高めることができる。詳細なメカニズムは定かでないが、鱗片状フィラーの一部がプレス成形時に押しつぶされて、鱗片状フィラーの凝集物が一方向に配向することなく等方的な熱伝導パスが形成されるため、と考えられる。また、遊星型ミキサーまたはホモミキサー等の使用によって、鱗片状フィラーの凝集物の崩壊を抑えつつ、分散を可能となる混合手法を採用することにより、前記のような等方的な熱伝導パスを実現できると考えられる。
前記熱伝導性フィラーの含有量は、フィラーを含まない熱硬化性樹脂組成物の樹脂成分(100質量%)に対して、100質量%〜400質量%であり、好ましくは150質量%〜350質量%であり、より好ましくは200質量%〜300質量%である。前記下限値以上とすることにより、熱伝導性を向上させることができる。前記上限値以下とすることにより、プロセス性の低下を抑制することができる。
(シアネート樹脂)
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、シアネート樹脂を含有することができる。熱硬化性樹脂組成物の硬化物について、低線膨張化や、弾性率および剛性の向上を図ることができる。また、得られる電子装置の耐熱性や耐湿性の向上に寄与することも可能である。
また、シアネート樹脂は1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよく、1種類または2種類以上と、それらのプレポリマーとを併用してもよい。
前記シアネート樹脂は、例えばノボラック型シアネート樹脂;ビスフェノールA型シアネート樹脂、ビスフェノールE型シアネート樹脂、テトラメチルビスフェノールF型シアネート樹脂等のビスフェノール型シアネート樹脂;ナフトールアラルキル型フェノール樹脂とハロゲン化シアンとの反応で得られるナフトールアラルキル型シアネート樹脂;ジシクロペンタジエン型シアネート樹脂;ビフェニレン骨格含有フェノールアラルキル型シアネート樹脂から選択される一種または二種以上を含むことができる。これらの中でも、熱硬化性樹脂組成物の硬化物の低線膨張化や、弾性率および剛性を向上させる観点からは、ノボラック型シアネート樹脂およびナフトールアラルキル型シアネート樹脂のうちの少なくとも一方を含むことがより好ましく、ノボラック型シアネート樹脂を含むことが特に好ましい。
ノボラック型シアネート樹脂としては、例えば、下記一般式(I)で示されるものを使用することができる。
Figure 2021195452
一般式(I)で示されるノボラック型シアネート樹脂の平均繰り返し単位nは任意の整数である。平均繰り返し単位nは、特に限定されないが、1以上が好ましく、2以上がより好ましい。平均繰り返し単位nが前記下限値以上であると、ノボラック型シアネート樹脂の耐熱性が向上し、加熱時に低量体が脱離、揮発することをより一層抑制できる。また、平均繰り返し単位nは、特に限定されないが、10以下が好ましく、7以下がより好ましい。nが前記上限値以下であると、溶融粘度が高くなるのを抑制でき、絶縁層102の成形性を向上させることができる。
また、シアネート樹脂としては、下記一般式(II)で表わされるナフトールアラルキル型シアネート樹脂も好適に用いられる。下記一般式(II)で表わされるナフトールアラルキル型シアネート樹脂は、例えば、α−ナフトールあるいはβ−ナフトール等のナフトール類とp−キシリレングリコール、α,α'−ジメトキシ−p−キシレン、1,4−ジ(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ベンゼン等との反応により得られるナフトールアラルキル型フェノール樹脂とハロゲン化シアンとを縮合させて得られるものである。一般式(II)の繰り返し単位nは10以下の整数であることが好ましい。繰り返し単位nが10以下であると、より均一な絶縁層102を得ることができる。また、合成時に分子内重合が起こりにくく、水洗時の分液性が向上し、収量の低下を防止できる傾向がある。
Figure 2021195452
(前記一般式(II)中、Rはそれぞれ独立に水素原子またはメチル基を示し、nは1以上10以下の整数を示す。)
前記シアネート樹脂の含有量の下限値は、フィラーを含まない熱硬化性樹脂組成物の樹脂成分(100質量%)に対して、例えば、5質量%以上、好ましくは10質量%以上である。これにより、熱硬化性樹脂組成物の硬化物のより効果的な低線膨張化、高弾性率化を図ることができる。一方、シアネート樹脂の含有量の上限値は、フィラーを含まない熱硬化性樹脂組成物の樹脂成分(100質量%)に対して、例えば60質量%以下、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下である。これにより、熱硬化性樹脂組成物の特性のバランスを図ることができる。
(その他の成分)
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、上述した成分以外の他の成分を含むことができる。この他の成分としては、例えば、分散安定剤、シランカップリング剤、酸化防止剤、表面調整剤(レベリング剤や界面活性剤)が挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、分散安定剤を含むことができる。
分散安定剤を使用することにより、熱伝導性フィラーの沈降を抑制することができる。例えば、ナノ成分を添加することで、熱硬化性樹脂組成物のワニス粘度が上昇するため、熱伝導性フィラーの沈降を抑制できる。これにより、フィラーが均一に分散し、成形不良なく複合成形体を得ることが可能とし、安定した熱伝導性を発現できると考えられる。
前記分散安定剤としては、例えば、ナノシリカ粒子などの無機ナノ粒子、アルキルスルホン酸系化合物、四級アンモニウム系化合物、高級アルコールアルキレンオキサイド系化合物、多価アルコールエステル系化合物、アルキルポリアミン系化合物、ポリリン酸系化合物、ポリカルボン酸系化合物、ポリエチレングリコール系化合物、ポリエーテル系化合物、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、非イオン性界面活性剤等が挙げられる。
前記ナノシリカ粒子は、フュームドシリカやコロイダルシリカを用いることができる。コストや性能などの点はフュームドシリカが好ましい。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記ナノシリカ粒子の粒子径は、例えば1nm〜100nm、好ましくは2nm〜50nmである。この径とすることで、上述の熱伝導性粒子の分布の均一性を更に高められると考えられる。
なお、ここでの粒子径は、レーザー回折法による1次粒子平均径を意味する。
前記分散安定剤の含有量は、フィラーを含まない熱硬化性樹脂組成物の樹脂成分(100質量%)に対して、例えば、0.01質量%〜10質量%、好ましくは0.02質量%〜5.0質量%、より好ましくは0.05質量%〜3.0質量%である。前記下限値以上とすることにより、熱伝導率を高めることができる。一方、前記上限値以下とすることにより、成形性や熱伝導パスの形成性を高めることができる。
前記ナノシリカ粒子の量は、フィラーを含まない熱硬化性樹脂組成物の樹脂成分(100質量%)に対して、例えば0.1質量%〜5質量%、好ましくは0.2質量%〜3質量%である。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、シランカップリング剤を含むことができる。
これにより、熱硬化性樹脂組成物中における熱伝導性フィラーの相溶性を向上させることができる。カップリング剤は、熱硬化性樹脂組成物に添加してもよいし、熱伝導性フィラー表面に処理して使用してもよい。
前記シランカップリング剤としては、例えば、エポキシ系シランカップリング剤、アミノ系シランカップリング剤、メルカプト系シランカップリング剤、ウレイド系シランカップリング剤、カチオニック系シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤およびシリコーンオイル型カップリング剤からなる群から選択される一種以上を含むことができる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
この中でも、官能基として、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基、ウレイド基またはヒドロキシ基の少なくとも一種以上を有するシランカップリング剤を用いることができる。また、樹脂成分との相溶性を向上させる観点から、非反応性のフェニル基を有するシランカップリング剤を用いることができる。
前記官能基を有するシランカップリング剤の具体例としては、例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。前記フェニル基を含有するシランカップリング剤としては、例えば、3−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−フェニルアミノプロピルトリエトキシシラン、N−メチルアニリノプロピルトリメトキシシラン、N−メチルアニリノプロピルトリエトキシシラン、3−フェニルイミノプロピルトリメトキシシラン、3−フェニルイミノプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトシキシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、トリフェニルエトキシシラン等が挙げられる。
前記カップリング剤の添加量は、熱伝導性フィラー100質量%に対して、例えば、0.05質量%以上3質量%以下が好ましく、特に0.1質量%以上2質量%以下が好ましい。
[熱硬化性樹脂組成物の製造方法]
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物の製造方法として、例えば、次のような方法がある。
熱伝導性フィラー以外の前記の各成分を、溶剤中に溶解、混合、撹拌することにより樹脂ワニス(ワニス状の熱硬化性樹脂組成物)を調整することができる。この混合は、超音波分散方式、高圧衝突式分散方式、高速回転分散方式、ビーズミル方式、高速せん断分散方式、および自転公転式分散方式などの各種混合機を用いることができる。
前記溶剤としては特に限定されないが、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノン等が挙げられる。
また、当該樹脂ワニスに、熱伝導性フィラーを添加し、三本ロール等を用いて混練することにより、均一に分散した熱硬化性樹脂組成物を得ることができる。混練時に添加することにより、熱硬化性樹脂中に熱伝導性フィラーをより均一に分散させることが可能であるが、これに限定されない。熱伝導性フィラーは、混練時に添加してもよいが、樹脂ワニスの混合時に添加してもよい。なお、分散性の観点から、ナノ粒子は、例えば、所定の溶剤に分散させもの(ナノ粒子分散液)を樹脂ワニス中に添加することが好ましい。
(樹脂シート)
本実施形態の樹脂シートは、キャリア基材と、キャリア基材上に設けられた、本実施形態の熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂層と、を備えるものである。
前記樹脂シートは、たとえばワニス状の熱硬化性樹脂組成物をキャリア基材上に塗布して得られた塗布膜(樹脂層)に対して、溶剤除去処理を行うことにより得ることができる。前記樹脂シート中の溶剤含有率が、熱硬化性樹脂組成物全体に対して10重量%以下とすることができる。たとえば80℃〜150℃、1分間〜30分間の条件で溶剤除去処理を行うことができる。これにより、熱硬化性樹脂組成物の硬化が進行することを抑制しつつ、十分に溶剤を除去することが可能となる。
前記樹脂シート(キャリア基材付き樹脂層)は、巻き取り可能なロール状でもよいし、矩形形状の枚葉状であってもよい。樹脂シートの樹脂膜の表面は、例えば、露出していてもよく、保護フィルム(カバーフィルム)で覆われていてもよい。保護フィルムとしては、公知の保護機能を有するフィルムを用いることができるが、例えば、PETフィルムを使用してもよい。
また、本実施形態において、前記キャリア基材としては、例えば、高分子フィルムや金属箔などを用いることができる。当該高分子フィルムとしては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリカーボネート、シリコーンシート等の離型紙、フッ素系樹脂、ポリイミド樹脂などの耐熱性を有した熱可塑性樹脂シート等が挙げられる。当該金属箔としては、特に限定されないが、例えば、銅および/または銅系合金、アルミおよび/またはアルミ系合金、鉄および/または鉄系合金、銀および/または銀系合金、金および金系合金、亜鉛および亜鉛系合金、ニッケルおよびニッケル系合金、錫および錫系合金などが挙げられる。これらの中でも、ポリエチレンテレフタレートで構成されるシートが安価および剥離強度の調節が簡便なため最も好ましい。これにより、キャリア基材付き樹脂層から、キャリア基材を適度な強度で剥離することが容易となる。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、電気・電子機器などの放熱絶縁材料として用いることが可能である。この放熱絶縁材料は、例えば、電子部品を搭載するための基板材料、接着材料、封止材料に用いることができる。
電気・電子機器は、たとえば、通常の半導体装置(電子部品として半導体素子を備える電子装置)やパワーモジュール(電子部品としてパワー半導体素子を備える電子装置)等を用いることができる。パワー半導体素子は、SiC、GaN、Ga、またはダイヤモンドのようなワイドバンドギャップ材料を使用したものであり、高電圧・大電流で使用されるように設計されているため、通常のシリコンチップ(半導体素子)よりも発熱量が大きくなるので、さらに高温の環境下で動作することになる。パワー半導体素子には、たとえば、200℃以上や250℃以上等の高温の動作環境下で、長時間の使用が要求される。パワー半導体素子の具体例としては、たとえば、整流ダイオード、パワートランジスタ、パワーMOSFET、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、サイリスタ、ゲートターンオフサイリスタ(GTO)、トライアック等が挙げられる。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物によれば、パワーモジュールに用いることができる放熱絶縁材料を提供することができる。
(樹脂基板)
本実施形態の樹脂基板は、前記熱硬化性樹脂組成物の硬化物で構成された絶縁層を備えるものである。この樹脂基板は、半導体素子やパワー半導体などの電子部品を搭載するための素子搭載基板の材料として用いることができる。
(金属ベース基板)
本実施形態の金属ベース基板100について図1に基づいて説明する。
図1は、金属ベース基板100の構成の一例を示す断面図である。
前記金属ベース基板100は、図1に示すように、金属基板101と、金属基板101上に設けられた絶縁層102と、絶縁層102上に設けられた金属層103と、を備えることができる。この絶縁層102は、前記の熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂層、熱硬化性樹脂組成物の硬化物および積層板からなる群から選択される一種で構成することが可能である。これらの樹脂層、積層板のそれぞれは、金属層103の回路加工の前では、Bステージ状態の熱硬化性樹脂組成物で構成されていてもよく、回路加工の後では、それを硬化処理されてなる硬化体であってもよい。
金属層103は絶縁層102上に設けられ、回路加工されるものである。この金属層103を構成する金属としては、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、鉄、錫等から選択される一種または二種以上が挙げられる。これらの中でも、金属層103は、好ましくは銅層またはアルミニウム層であり、特に好ましくは銅層である。銅またはアルミニウムを用いることで、金属層103の回路加工性を良好なものとすることができる。金属層103は、板状で入手できる金属箔を用いてもよいし、ロール状で入手できる金属箔を用いてもよい。
金属層103の厚みの下限値は、例えば、0.01mm以上であり、好ましくは0.10mm以上、さらに好ましくは0.25mm以上である。このような数値以上であれば、高電流を要する用途であっても、回路パターンの発熱を抑えることができる。
また、金属層103の厚みの上限値は、例えば、2.0mm以下であり、好ましくは1.5mm以下であり、さらに好ましくは1.0mm以下である。このような数値以下であれば、回路加工性を向上させることができ、また、基板全体としての薄型化を図ることができる。
金属基板101は、金属ベース基板100に蓄積された熱を放熱する役割を有する。金属基板101は、放熱性の金属基板であれば特に限定されないが、例えば、銅基板、銅合金基板、アルミニウム基板、アルミニウム合金基板であり、銅基板またはアルミニウム基板が好ましく、銅基板がより好ましい。銅基板またはアルミニウム基板を用いることで、金属基板101の放熱性を良好なものとすることができる。
金属基板101の厚さは、本発明の目的が損なわれない限り、適宜設定できる。
金属基板101の厚さの上限値は、例えば、20.0mm以下であり、好ましくは5.0mm以下である。この数値以下の厚さの金属基板101を用いることで、金属ベース基板100全体としての薄型化を行うことができる。また、金属ベース基板100の外形加工や切り出し加工等における加工性を向上させることができる。
また、金属基板101の厚さの下限値は、例えば、0.1mm以上であり、好ましくは1.0mm以上であり、さらに好ましくは2.0mm以上である。この数値以上の金属基板101を用いることで、金属ベース基板100全体としての放熱性を向上させることができる。
本実施形態において、金属ベース基板100は、各種の基板用途に用いることが可能であるが、熱伝導性及び耐熱性に優れることから、パワーモジュールに用いるパワーモジュール用基板として用いることが可能である。
金属ベース基板100は、パターンにエッチング等することによって回路加工された金属層103を有することができる。この金属ベース基板100において、最外層に不図示のソルダーレジストを形成し、露光・現像により電子部品が実装できるよう接続用電極部が露出されていてもよい。
(パワーモジュール)
本実施形態のパワーモジュールについて図2に基づいて説明する。
図2は、パワーモジュール11の構成を示す断面図である。
本実施形態のパワーモジュール11は、前記の金属ベース基板100と、金属ベース基板100上に設けられた電子部品と、を備えることができる。電子部品としては、前記のパワー半導体素子等を用いることができる。パワー半導体素子以外にも、他の電子部品が金属ベース基板100上に搭載されていてもよい。動作により発熱する電子部品(各種の発熱素子)からの熱に対して、金属ベース基板100はヒートスプレッターとして機能することができる。
パワーモジュール11の一例は、図2に示すように、パワーモジュール用回路基板(金属ベース基板100)の金属層103a(金属層103がパターニングされたもの)上に、接着層3を介してパワー半導体素子2が搭載されている。パワー半導体素子2はボンディングワイヤー7を介して金属層103bに導通されている。また、パワー半導体素子2、ボンディングワイヤー7、金属層103a、103bは封止材6により封止されている。
また、パワーモジュール11は、金属ベース基板100の金属層103上に搭載されたチップコンデンサ8やチップ抵抗9等の他の電子部品を備えてもよい。また、パワーモジュール11は、金属基板101が、公知の熱伝導グリス4を介して、放熱フィン5に接続された構造を有していてもよい。
[半導体装置]
本実施形態の半導体装置は、前記熱硬化性樹脂組成物(封止材)の硬化物で半導体素子を封止するものである。本実施形態に係る熱硬化性樹脂組成物を用いた半導体装置について、図3及び図4を用いて説明する。
図3は本実施形態に係る半導体装置200の一例を示す断面図である。ここで、基材230は、例えば、リードフレームである。
本実施形態の半導体装置200は、半導体素子220と、半導体素子220に接続されるボンディングワイヤ240と、封止部材250と、を備えるものであり、当該封止部材250は、上述の熱硬化性樹脂組成物の硬化物により構成される。
より具体的には、半導体素子220は、基材230上にダイアタッチ材210を介して固定されており、半導体装置200は、半導体素子220上に設けられた電極パッドからボンディングワイヤ240を介して接続されるアウターリード234を有する。ボンディングワイヤ240は用いられる半導体素子220に応じて設定することができるが、たとえばCuワイヤを用いることができる。
なお、半導体素子220は、基材230が備えるダイパッド232の上にダイアタッチ材210を介して固定されてもよい。
図4は、図3に示す半導体装置200の変形例を示す断面図である。
ここで、基材230は、例えば、インターポーザである。基材230において、半導体素子220が固定される面と反対の面には、例えば、複数の半田ボール252が形成される。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、本発明の効果を損なわない範囲で、前記以外の様々な構成を採用することができる。
以下に、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
(フェノール化合物1の合成)
3,5−ジヒドロキシ安息香酸(35DHBA、東京化成社製)5.2重量部、
4,4'−エチレンジアニリン(DDEt、東京化成社製)3.7重量部、(N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N'−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDAC、東京化成社製)7.8重量部を脱水アセトン83.3重量部中に溶解し、室温で24hr攪拌した。反応液を濃縮後、酢酸エチルを有機相として抽出を行なった。
濃縮、乾燥後得られた固体をエタノールを用いて再結晶を行い、下記化学式で表されるフェノール化合物1を収率43%で橙色固体として得た。H−NMR測定結果を以下に示す。
H−NMR(300MHz,CD3OD)δ7.7(m,2H),δ7.4(d,J=8.8Hz,4H),6.8−6.7(m,6H),6.4(t,J=2.1Hz,2H),3.5−2.5(m,4H)ppm
Figure 2021195452
[実施例2、比較例1]
(フィラーを含有しない熱硬化性樹脂組成物および硬化物の調製)
表1に示す種類および量でフェノール硬化剤とエポキシ樹脂を仕込み、150℃のホットプレート上で10分間溶融混合した。120℃に冷却後、硬化触媒としてトリフェニルホスフィンを表1に示す量で添加し、1分間混合した。混合後、室温まで冷却し粉砕し混合物を作製した。
調製した混合物を180℃/2MPa/15分間の条件で圧縮成形した後、オーブンにて180℃/3時間の加熱処理を行い、硬化物を作製した。得られた硬化物を10mmΦ×1mm厚に加工した。また、各種熱特性に適した形状の評価用サンプルを加工し、評価に使用した。
表1に記載の各成分は以下の通り。
(熱硬化性樹脂)
・エポキシ樹脂:下記化学式で表されるビフェニル型エポキシ樹脂(2官能エポキシ化合物、メソゲン構造あり、三菱ケミカル社製、YX4000)
Figure 2021195452
(硬化剤)
・フェノール硬化剤1:前述の実施例1で合成されたフェノール化合物1
・フェノール硬化剤2:オルソクレゾールノボラック型フェノール硬化剤(住友ベークライト社製、PR−55617)
(硬化触媒)
・トリフェニルホスフィン
<評価方法>
[熱伝導性評価(熱伝導率)]
・硬化物の密度
密度測定は、JIS K 6911(熱硬化性プラスチック一般試験方法)に準拠して行った。試験片は、上記の硬化物から、縦2cm×横2cm×厚み2mmに切り出したものを試験片として用いた。密度(ρ)の単位をkg/mとする。
・硬化物の比熱
得られた試験片について、DSC法により比熱(Cp)を測定した。
・樹脂成形体の熱伝導率の測定
得られた硬化物から、厚み方向測定用として、直径10mm×厚み約1mmに切り出したものを試験片とした。次に、ULVAC社製のXeフラッシュアナライザーTD−1RTVを用いて、レーザーフラッシュ法により板状の試験片の厚み方向の熱拡散係数(α)の測定を行った。測定は、大気雰囲気下、室温25℃の条件下で行った。
樹脂成形体について、得られた熱拡散係数(α)、比熱(Cp)、密度(ρ)の測定値から、下記式に基づいて熱伝導率を算出した。
熱伝導率[W/m・K]=α[m/s]×Cp[J/kg・K]×ρ[kg/m
[耐熱性評価:(ガラス転移温度Tg)]
得られたフィラーを含有しない熱硬化性樹脂組成物を用いて175℃、180minの硬化を行い、約50mm×約10mm×約3mmの硬化物を得た。この硬化物を用いてガラス転移温度(Tg)を、DMA(動的粘弾性測定)により昇温速度5℃/min、周波数1Hzの条件で測定した。
Figure 2021195452
表1の結果から、実施例1で合成されたフェノール化合物1を硬化剤として含む実施例2の熱硬化性樹脂組成物は、従来の硬化剤を含む比較例1の熱硬化性樹脂組成物と比べて、熱伝導率およびガラス転移温度が高いことから、高熱伝導性および耐熱性に優れた硬化物を提供することができるがことが分かった。
[実施例3、比較例2]
(フィラーを含有する熱硬化性樹脂組成物および硬化物の調製)
表2に記載の各種原料を所定重量はかりとり、溶融混練後に粉砕して複合材パウダーを作製した。作製した複合材パウダー(混合物)を180℃/2MPa/15分間の条件で圧縮成形した後、オーブンにて180℃/3時間の加熱処理を行い、硬化物を作製した。
得られた硬化物を10mmΦ×1mm厚に加工した。また、各種熱特性に適した形状の評価用サンプルを加工し、評価に使用した。熱伝導性および耐熱性の評価以外の評価については以下の方法で行った。
表2に記載の各成分のうち、前記されていない成分は以下の通り。
・アルミナフィラー:DAB−30FC(デンカ社製、平均粒径13μm)
・アルミナ微粉:DAW−02、デンカ社製、平均粒径2.7μm)
・アミン系カップリング剤:CF−4083(N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、東レ・ダウコーニング社製)
・硬化触媒:テトラフェニルフォスフォニウム2,3−ジヒドロキシナフタレート(住友ベークライト社製)
・流動性付与剤:2,3−ジヒドロキシナフタレン(東京化成工業社製)
・離型剤(ワックス):WE−4(クラリアント・ジャパン株式会社製のエステルワックス)
・着色剤:カーボンブラック(カーボン#5、三菱ケミカル社製)
・低応力剤:シリコーンオイル(FZ−3730、東レ・ダウコーニング社製)
<評価方法>
[25℃での貯蔵弾性率E'および損失弾性率E"の測定]
得られた熱硬化性樹脂組成物を175℃条件下でトランスファー成形し、さらに175℃のオーブンで4hr硬化させることで幅約10mmx厚み約1mmx長さ約55mmの硬化物を作製した。得られた硬化物を測定装置(日立ハイテクサイエンス社製、DMS6100)にセットし、両持曲げモード、周波数10Hzでの動的粘弾性測定(DMA)を行った。これにより、25℃における貯蔵弾性率E'(MPa)および25℃における損失弾性率E"(MPa)を測定した。
[軟化点]
熱硬化性樹脂組成物について軟化点をJIS K 2207に従って測定した。使用した装置は、メイテック社製 ASP−M2SPであった。
[線膨張係数]
前記のガラス転移温度の測定結果を利用して、40〜60℃における平均線膨張係数α1(ppm/℃)と、200〜220℃における平均線膨張係数α2(ppm/℃)を求めた。
Figure 2021195452
表2の結果から、熱伝導性フィラーを含む場合においても、実施例1で合成されたフェノール化合物1を硬化剤として含む実施例3は、比較例2に比べて熱伝導率およびガラス転移温度が何れも高いことから、高熱伝導性および耐熱性に優れた硬化物を提供することができるがことが分かった。さらに、実施例3の熱硬化性樹脂組成物は軟化点が高く、ハンドリング性に優れることも確認された。
2 パワー半導体素子
3 接着層
4 熱伝導グリス
5 放熱フィン
6 封止材
7 ボンディングワイヤー
8 チップコンデンサ
9 チップ抵抗
10 ソルダーレジスト
11 パワーモジュール
100 金属ベース基板
101 金属基板
102 絶縁層
103 金属層
103a 金属層
103b 金属層
200 半導体装置
210 ダイアタッチ材
220 半導体素子
230 基材
232 ダイパッド
234 アウターリード
240 ボンディングワイヤ
250 封止部材
252 半田ボール

Claims (7)

  1. 下記一般式(1)で表されるフェノール化合物。
    Figure 2021195452
    (一般式(1)中、RおよびQは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、または炭素数1〜6のアルコキシ基を示す。複数存在するRまたは複数存在するQは同一でも異なっていてもよい。)
  2. 請求項1に記載された一般式(1)で表されるフェノール化合物を含む硬化剤。
  3. 熱硬化性樹脂と、
    請求項2に記載の硬化剤と、
    を含む、熱硬化性樹脂組成物。
  4. 硬化促進剤をさらに含む、請求項3に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  5. フィラーをさらに含む、請求項3または4に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  6. 前記フィラーが熱伝導性フィラーを含む、請求項5に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  7. 下記一般式(a)
    Figure 2021195452
    (一般式(a)中、Qは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、または炭素数1〜6のアルコキシ基を示す。複数存在するQは同一でも異なっていてもよい。)
    で表される化合物と、下記一般式(b)
    Figure 2021195452
    (一般式(b)中、Rは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、または炭素数1〜6のアルコキシ基を示す。複数存在するRは同一でも異なっていてもよい。)
    で表される化合物と、を反応させ、下記一般式(1)で表されるフェノール化合物を合成する工程を含む、フェノール化合物の製造方法。
    Figure 2021195452
    (一般式(1)中、Qは一般式(a)と同義であり、Rは一般式(b)と同義である。)
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