以下図面に基づいて本発明の実施の形態を詳述する。以下の説明において、同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
(1)幼児座席用カバーの構成
まず、本実施形態に係る取付器具を用いて幼児座席に取り付ける幼児座席用カバーの構成について簡単に説明する。図1に示すように、幼児座席用カバー111は、本実施形態に係る取付器具1を用いて、幼児座席100の背もたれ部103に固定される。なお、幼児座席用カバー111は、幼児座席100の持ち手ハンドル100cやフットレスト100d等にもベルト(図示せず)を用いて固定されるが、ここではその説明は省略し、本実施形態に係る取付器具1に関係する構成に着目して以下説明する。
なお、以下実施形態において、取付器具1の裏側とは、背もたれ部103に取付器具1を取り付けた際に、背もたれ部103側に配置され、背もたれ部103と接する面側を示し、取付器具1の表側とは、背もたれ部103に取付器具1を取り付けた際に、背もたれ部103側に配置されずに、背もたれ部103と接しない面側を示す。
また、図1中、zは、高さ方向を示し、xは、高さ方向zと直交する車幅方向を示す。y1は、高さ方向z及び車幅方向xと直交して背もたれ部103の背面から遠ざかる方向であって、取付器具1の裏側から表側に向かう方向(以下、裏表方向と称する)を示す。y2は、高さ方向z及び車幅方向xと直交して背もたれ部103に近づく方向であって、取付器具1の表側から裏側に向かう方向(以下、表裏方向と称する)を示す。
図1に示す幼児座席用カバー111は、自転車後部の幼児座席100に取り付けられる後席用カバーである。なお、ここでは、幼児座席用カバーとして後席用カバーを適用した場合について述べるが、本発明はこれに限らず、自転車前部の幼児座席に取り付けられる前席用カバーであってもよい。
本実施形態に係る幼児座席用カバー111は、一対の側面用シート113a,113bと、側面用シート113a,113b同士の間に設けられた天井用シート114と、側面用シート113a,113bの前方下側に設けられた前面下用シート115とを備え、幼児座席100に被せるように取り付けられる。
一対の側面用シート113a,113bは、同一形状からなり、透明な防水性材料や非透明材料等で形成され、外周が滑らかな曲線を有した略楕円形状に形成されている。側面用シート113a,113bは、弾性変形可能な線材でなる枠部118が外周縁に設けられ、枠部118により側面用シート113a,113bが平面形状に保持される。
天井用シート114は、透明なシート材で形成され、天井用ファスナー(図示せず)を介して側面用シート113a,113bの外縁にある枠部118にそれぞれ接続されている。天井用シート114は、幼児座席100の前側から後側にかけて幼児座席100の上側を覆うように設けられ、搭乗時等に天井用ファスナーを開くことによって、一対の側面用シート113a,113b間に広い開口を形成する。また、天井用シート114の後面には、バックパネル116が設けられており、当該バックパネル116にボタンホール等のカバー側固定具117が形成されている。
幼児座席用カバー111は、幼児座席100の背もたれ部103に設けられた取付器具1のボタン等の固定具2に、バックパネル116に設けられたカバー側固定具117が着脱自在に固定されることで、幼児座席100の背もたれ部103に取付器具1を介して固定される。
(2)本実施形態に係る取付器具が取り付けられる幼児座席の構成
次に、本実施形態に係る取付器具1が取り付けられる幼児座席100の一例を示し、幼児座席100の構成について簡単に説明する。図1に示すように、幼児座席100は、幼児が着座する座部100aと、座部100aに着座した幼児の胴部、肩部及び頭部を支持する背もたれ部103とを有しており、背もたれ部103の所定の位置に本実施形態に係る取付器具1が取り付けられる。
本実施形態の背もたれ部103は、座部100aと一体形成された背もたれ本体100bと、背もたれ本体100bの上端部に設けられた可動式ヘッドレスト102と、から構成されている。可動式ヘッドレスト102は、背もたれ部103の高さ方向zに沿って上下にスライド可能に構成されており、座部100aに着座した幼児の頭部の位置に合わせて高さが調整可能な構成を有する。
ここで、図2の2Aは、本実施形態に係る取付器具1を取り付ける前の幼児座席100の正面側の構成を示した斜視図であり、図2の2Bは、同じく本実施形態に係る取付器具1を取り付ける前の幼児座席100の背面側の構成を示した斜視図である。
図2の2Bに示すように、本実施形態では、背もたれ本体100bの上端部正面側に突出した一対のスライド部109が形成されており、可動式ヘッドレスト102の背面側に高さ方向zに延びた一対の案内溝108内に、背もたれ本体100bのスライド部109がそれぞれ配置されている。
これにより、幼児座席100では、 背もたれ本体100bのスライド部109に係止された可動式ヘッドレスト102が案内溝108に沿って高さ方向zにスライド移動し得、座部100aに着座した幼児の頭部の位置に合わせて可動式ヘッドレスト102の高さが調整される。
かかる構成に加えて、幼児座席100には、図2の2Aに示したように、座部100aに着座した幼児の肩や胴体、股を拘束するシートベルト121が設けられている。シートベルト121は、座部100aに着座した幼児の肩から胴体を拘束する2本の肩ベルト121aと、当該幼児の腰を拘束する腰ベルト121bと、当該幼児の股を拘束する股ベルト121cとを有し、肩ベルト121aの下端部と、腰ベルト121bの中央部と、股ベルト121cの上端部とが、バックル121dで連結された構成を有する。
2本の肩ベルト121aは、可動式ヘッドレスト102に形成された一対のシートベルト用挿通孔107に上端部がそれぞれ挿通されて可動式ヘッドレスト102の背面側に固定されている。腰ベルト121b及び股ベルト121cの端部は、それぞれ座部100aの所定位置に固定されている。
本実施形態に係る取付器具1は、可動式ヘッドレスト102の厚みを貫通するように形成された一対のシートベルト用挿通孔107に、後述する第1ベルト5a及び第2ベルト5bを挿通させ、これら第1ベルト5a及び第2ベルト5bを可動式ヘッドレスト102に巻き付けることで、背もたれ部103に取り付けられる。
(3)本実施形態に係る取付器具
(3−1)取付器具の構成
次に、本実施形態に係る取付器具1について説明する。図2の2A及び2Bに示すように、本実施形態に係る取付器具1は、幼児座席100の背もたれ部103に取り付けられる、並走した第1ベルト5a及び第2ベルト5bと、これら第1ベルト5a及び第2ベルト5b間に張架される第3ベルト4とを有している。
本実施形態に係る取付器具1は、例えば、可動式ヘッドレスト102に形成された一対のシートベルト用挿通孔107に第1ベルト5a及び第2ベルト5bが挿通され、第1ベルト5a及び第2ベルト5bがシートベルト用挿通孔107から背もたれ部103の背面側に引き出される。取付器具1は、図3に示すように、シートベルト用挿通孔107から引き出された第1ベルト5a及び第2ベルト5bを背もたれ部103に環状に巻き付けることで、可動式ヘッドレスト102に対し第1ベルト5a及び第2ベルト5bが高さ方向zに沿って並走して配置される。
具体的には、可動式ヘッドレスト102のシートベルト用挿通孔107と、可動式ヘッドレスト102の上端部との間に、第1ベルト5a及び第2ベルト5bが環状に巻き付けられ、第1ベルト5a及び第2ベルト5b間に張架された第3ベルト4を可動式ヘッドレスト102の背面側に配置させる。この際、第1ベルト5a及び第2ベルト5bは、高さ方向zに沿って上下にずらすことで第3ベルト4の高さを調整し得、当該第3ベルト4を所望の高さ位置z1に位置決めさせる。
図4は、幼児座席100に取り付ける前の本実施形態に係る取付器具1の構成を示した斜視図である。図4に示すように、この取付器具1は、第1ベルト5aの第1端部6aに第1連結具8aが設けられ、第2ベルト5bの第1端部6bに第2連結具8bが設けられており、これら第1連結具8a及び第2連結具8bの間に第3ベルト4が環状に張架される。
ここで、取付器具1は、第1ベルト5aと第2ベルト5bが同一構成でなるとともに、第1連結具8aと第2連結具8bが同一構成でなり、左右対称に形成されていることから、以下、主に第1ベルト5a及び第1連結具8aに着目して説明し、第2ベルト5b及び第2連結具8bの説明は重複するため省略する。また、ここで、第1ベルト5aの第1端部6aとは、第1ベルト5aの中心から一方の端部側までの領域を示し、第1ベルト5aの第2端部7aとは、第1ベルト5aの中心から他方の端部側までの領域を示す。
第1ベルト5aは、例えば、ナイロン等の軽量で、かつ強度が強く、耐久性に優れた扁平状の繊維材料により形成されている。第1ベルト5aには、背もたれ部103に取り付けた際に、背もたれ部103と接する裏面となる第1面S1の全面に、面ファスナー部のループ部9aが設けられている。一方、第1ベルト5aを背もたれ部103に取り付けた際に、背もたれ部103と接しないで外部に露出する第1ベルト5aの第2面は、面ファスナー部のループ部及びフック部のいずれも有しておらず、面ファスナー非形成面となっている。
第1ベルト5aの第1端部6aには、第1ベルト5aを第1連結具8aに連結するベルト連結部6が設けられている。ベルト連結部6は、例えば、ナイロン等の軽量で、かつ強度が強く、耐久性に優れた扁平状の繊維材料により形成されており、その表面に面ファスナー部のフック部9bが設けられている。
ここで、図5の5Aは、第1ベルト5aの第1端部6aの構成を示した側面図である。図5の5Aに示すように、ベルト連結部6は、両端部が重ね合わせられた状態で第1ベルト5aの第1端部6aに接合部13によって接合され、ループ状に形成されている。
なお、本実施形態では、第1ベルト5aとは別体のベルト連結部6を第1ベルト5aに縫い付けた構成としたが、本発明はこれに限らず、例えば、第1ベルト5a自体をループ状にして先端部分を第1ベルト5aに接合させることにより、第1ベルト5a自身でベルト連結部6を形成するようにしてもよい。
第1ベルト5aは、ベルト連結部6によって第1端部6aに形成されたループ内閉塞空間に第1連結具8aの上辺部12aが配置され、第1連結具8aが第1端部6aに遊動自在に設けられている。
また、第1ベルト5aの第1端部6aには、ベルト連結部6の表面に、面ファスナー部のフック部9bが設けられた接着領域ER1が設けられている。
取付器具1では、幼児座席100の背もたれ部103に巻き付けられるに先立って、第1ベルト5a及び第2ベルト5bの各第1端部6a,6bにそれぞれ形成されたループ内閉塞空間に第1連結具8a又は第2連結具8bの上辺部12aが配置され、第1ベルト5a及び第2ベルト5bの第1端部6a,6bに、第1連結具8a又は第2連結具8bが予め連結されている。
その一方で、取付器具1は、幼児座席100の背もたれ部103に巻き付けられる前は、第1ベルト5aの第2端部7aが第1連結具8aに連結されておらず自由端になっているとともに、第2ベルト5bの第2端部7bも第2連結具8bに連結されておらず自由端になっている。
ここで、第1連結具8aは、図5の5Bに示すように、ブラスチック等の合成樹脂部材からなる矩形状の連結具本体8を有する。連結具本体8には、厚みを貫通した第1横長孔10aと第2横長孔10bと第3横長孔10cとが上辺部12aと下辺部12bとの間に並走して形成されている。なお、本実施形態における第1連結具8aには、中段の第2横長孔10bと下段の第3横長孔10cとの間に中間辺部12cが形成されており、当該中間辺部12cによって、第2横長孔10bと下段の第3横長孔10cとが所定の距離を設けて配置されている。
また、連結具本体8は、一般的なラダーロックに設けられている、係止解除用の突起領域(舌状の摘み領域)が、下辺部12bに形成されておらず、下辺部12bの縦幅t2が、隣接する第2横長孔10b及び第3横長孔10cの間の中間辺部12cの縦幅t1とほぼ同じ寸法か、又はそれ以下に形成されている。このように、連結具本体8は、下辺部12bに係止解除用の突起領域がなく下辺部12bの縦幅t2が小さく選定され、取付作業者が下辺部12bを摘み難い形状を有している。
これに加えて、連結具本体8には、厚みを貫通した第1縦長孔11aと第2縦長孔11bとが、これら第1横長孔10aと第2横長孔10bと第3横長孔10cと隣接し、かつ、第1横長孔10aと第2横長孔10bと第3横長孔10cと直交する方向に並走して形成されている。
また、連結具本体8は、一般的なラダーロックに設けられている、係止解除用の突起領域(舌状の摘み領域)が、側辺部12eに形成されておらず、側辺部12eの横幅x2が、隣接する第1縦長孔11a及び第2縦長孔11bの間の中間側辺部12fの横幅x1とほぼ同じ程度の寸法に形成されている。なお、連結具本体8において、側辺部12eの横幅x2を中間側辺部12fの横幅x1の寸法以下としてもよい。このように、連結具本体8は、側辺部12eに係止解除用の突起領域がなく側辺部12eの横幅x2が小さく選定され、取付作業者が側辺部12eを摘み難い形状を有している。
なお、本実施形態では、第2連結具8bも第1連結具8aと同一の構成を有することから、ここでは説明は省略する。
本実施形態に係る第1連結具8aは、図4に示したように、上段に位置する第1横長孔10aに、第1ベルト5aの第1端部6aのベルト連結部6が挿通されている。また、第1連結具8a及び第2連結具8bには、それぞれ第1縦長孔11a及び第2縦長孔11bに第3ベルト4が順次挿通され、第1連結具8a及び第2連結具8b間に第3ベルト4が環状に設けられる。
(3−2)第1連結具及び第2連結具に第3ベルトを取り付ける取付方法
次に、第1連結具8a及び第2連結具8bに第3ベルト4を取り付ける取付方法について説明する。第1ベルト5a及び第2ベルト5bの間に張架される第3ベルト4は、例えば、ナイロン等の軽量で、かつ強度が強く、耐久性に優れた扁平状の繊維材料により形成されている。
また、第3ベルト4は、図6の6Aに示すように、表面側の第1面S3の全面に面ファスナー部のループ部15aが設けられているとともに、当該第1面S3の所定位置に、幼児座席用カバー111のカバー側固定具117に固定される、ボタン等の固定具2が設けられている。第3ベルト4の裏面側の第2面S4には、全面に面ファスナー部のフック部15bが設けられている。
第1ベルト5a及び第2ベルト5bの間に第3ベルト4を環状に取り付ける際には、まず、第1連結具8aが設けられた第1ベルト5aを用意する。そして、第3ベルト4の第1面S3が表側に配置されるようにして、第1連結具8aの中心側の第1縦長孔11aに表側から裏側(表裏方向y2)に向けて第3ベルト4の第1端部14aを挿通し、当該第1端部14aを第1縦長孔11aから裏側に引き出す。
次いで、図6の6B及び6Cに示すように、第1縦長孔11aから裏側に引き出した第3ベルト4の第1端部14aを折り返し、当該第1端部14aを、第1連結具8aの外側の第2縦長孔11bに裏側から表側(裏表方向y1)に向けて挿通させ第2縦長孔11bから表側に引き出す。
これにより、第1連結具8aは、第3ベルト4の第1端部14aを第1縦長孔11a及び第2縦長孔11bに順次挿通させることで、第3ベルト4を締め付け固定させることができる。このように、第1連結具8aは、第3ベルト4を締め付け固定させることで、第3ベルト4が車幅方向xにずれることを防止し得、第3ベルト4の取付状態を安定させることができる。
ところで、第1縦長孔及び第2縦長孔にベルトを順次挿通させて締め付け固定する一般的なラダーロックには、係止解除用の突起領域(舌状の摘み領域)が設けられており、当該突起領域に取付作業者が触れることでベルトの締め付け固定状態を簡単に緩めて解除できてしまう。これに対して、本実施形態に係る第1連結具8aは、連結具本体8の側辺部12eに係止解除用の突起領域が設けられておらず、取付作業者が側辺部12eに触れ難い形状になっていることから、その分、締め付け固定された第3ベルト4が緩み難く、第3ベルト4の締め付け固定状態を安定的に維持させることができる。
このように、第1連結具8aに対する第3ベルト4の締め付け固定状態を安定的に維持できることは、第3ベルト4を幼児座席100に対して強固に固定した状態を一段と維持できることにもつながる。そして、取付器具1によって幼児座席100に幼児座席用カバー111を僅かでも従来より安定して取り付けできることは、安全性の向上が望まれる幼児座席用カバー111の技術分野では大きな効果であると言える。
一方、第2ベルト5b側についても第1ベルト5a側と同様に、第2連結具8bが設けられた第2ベルト5bを用意する。次いで、図6の6Dに示すように、第3ベルト4の第2端部14bを第1端部14aと同様に、第2連結具8bの第1縦長孔11a及び第2縦長孔11bに順次挿通させ、第2連結具8bに第3ベルト4の第2端部14bを締め付け固定させる。
次いで、第1連結具8aの第2縦長孔11bから引き出した第3ベルト4の第1端部14a上に、第2連結具8bの第2縦長孔11bから引き出した第3ベルト4の第2端部14bを重ね合わせる。これにより、第3ベルト4は、第1端部14aと第2端部14bとを重ね合わせた領域が面ファスナー部のループ部15a及びフック部15bにより接着されて、接着部14c(図4)が形成される。
取付器具1は、図7の7A及び7Bに示すように、第3ベルト4の第1端部14aと第2端部14bとの接着部14cにおいて、これら第1端部14aと第2端部14bとを重ね合わせる領域を調整することで、第1ベルト5a及び第2ベルト5bの間で車幅方向xに延びる第3ベルト4のベルト長W1,W2を調整できる。
これにより、取付器具1は、取り付ける幼児座席100の形態に合わせて第1ベルト5a及び第2ベルト5bの間隔が変わり、これら第1ベルト5a及び第2ベルト5b間の車幅方向xの距離が変化しても、第3ベルト4のベルト長W1,W2を調整することで、これら第1ベルト5a及び第2ベルト5bの間に第3ベルト4を張架させることができる。
(3−3)第1連結具及び第2連結具に第1ベルト及び第2ベルトの第2端部を取り付ける取付方法
次に、第1連結具8a及び第2連結具8bに第1ベルト5a及び第2ベルト5bの第2端部7a,7bをそれぞれ取り付ける取付方法について説明する。ここで、第1連結具8aに第1ベルト5aの第2端部7aを取り付ける取付方法と、第2連結具8bに第2ベルト5bの第2端部7bを取り付ける取付方法とは同じであることから、ここでは、説明の重複を避けるため、第1連結具8aに第1ベルト5aの第2端部7aを取り付ける取付方法に着目して以下説明する。
この場合、図8の8A及び8Bに示すように、第1連結具8aの中段の第2横長孔10bに、裏側から表側(裏表方向y1)に向けて、第1ベルト5aの自由端である第2端部7aを挿通し、当該第2端部7aを第2横長孔10bから表側に引き出す。
次いで、図8の8Bに示すように、第2横長孔10bから表側に引き出した第1ベルト5aの第2端部7aを折り返し、第1連結具8aの下段の第3横長孔10cに表側から裏側(表裏方向y2)に向けて当該第2端部7aを挿通させて第3横長孔10cから裏側に引き出す。
これにより、第1連結具8aは、第1ベルト5aの第2端部7aを第2横長孔10b及び第3横長孔10cに順次挿通させることで、第1ベルト5aを締め付け固定させることができる。
また、本実施形態に係る第1連結具8aは、連結具本体8の下辺部12bに係止解除用の突起領域(舌状の摘み領域)が設けられておらず、取付作業者が下辺部12bに触れ難い形状になっていることから、その分、締め付け固定された第1ベルト5aの第2端部7aが緩み難く、当該第2端部7aの締め付け固定状態を安定的に維持させることができる。
このように、第1連結具8aに対する第1ベルト5aの締め付け固定状態を安定的に維持できることは、第1ベルト5aを幼児座席100に対して強固に固定した状態を維持できることにもつながる。そして、取付器具1によって幼児座席100に幼児座席用カバー111を僅かでも従来より安定して取り付けできることは、安全性の向上が望まれる幼児座席用カバー111の技術分野では大きな効果であると言える。
次に、図8の8Cに示すように、下段の第3横長孔10cから裏側に引き出した第1ベルト5aの第2端部7aを第1連結具8aの下辺部12bを基点に、当該第2端部7aを裏側から表側(裏表方向y1)に折り返す。
この際、第1連結具8aでは、係止解除用の突起領域が下辺部12bになく、下辺部12bが矩形状で直線的に形成されていることから、係止解除用の突起領域が設けられている場合に比して、第1ベルト5aの第2端部7aを、下辺部12bを基点に折り返し易く、かつ安定して折り返すことができる。また、第1連結具8aでは、下辺部12bの縦幅t2を小さくして当該下辺部12bで第1ベルト5aの第2端部7aを折り返すことで、当該第2端部7aの折り返し位置がなるべく上方向に配置されるようにしている。
第1ベルト5aは、図8の8Dに示すように、第1端部6aと第2端部7aとが第1連結具8aで連結されて環状に形成される。この際、第1ベルト5aは、第2端部7aが第1連結具8aから引き出される長さが調整されることで、環状内の閉塞領域の大きさを調整することができる。
このようにして、取付器具1は、取り付ける幼児座席100の形態に合わせて、第1ベルト5a及び第2ベルト5bにおける環状内の閉塞領域の大きさを変え、これら第1ベルト5a及び第2ベルト5bを、幼児座席100の背もたれ部103の最適な箇所に張架させることができる。
これに加えて、第1ベルト5aは、図8の8Dに示すように、第1連結具8aから表側に引き出した第2端部7aを、第1連結具8aの下辺部12bを基点に第1端部6aの方向へ折り返すことで、当該第1端部6aの接着領域ER1に、第2端部7aの第1面S1を重ね合わせる。
これにより、図8の8Eに示すように、第1ベルト5aでは、第1端部6aの接着領域ER1における面ファスナー部のフック部9bと、第2端部7aの第1面S1における面ファスナー部のループ部9aとが、着脱自在に接着し、接着部18aが形成される。このようにして、第1ベルト5a及び第2ベルト5bは、第2端部7a,7bによってそれぞれ第1連結具8a及び第2連結具8bを覆い隠して、当該第2端部7a,7bを第1端部6a,6bに固定させることができる。
また、この際、第1ベルト5aは、第1連結具8aの中段の第2横長孔10bと下段の第3横長孔10cとの間の中間辺部12c(図5)上の領域ER2(図8の8D)にも配置されることから、領域ER2の第1ベルト5aと、下辺部12bで折り返した第1ベルト5aとで、下辺部12bを挟み込み、第1連結具8aを確実に保持できる。
以上より、本実施形態に係る取付器具1では、第1連結具8aによる第1ベルト5aの締め付け固定と、第1ベルト5aにおける第1端部6aのフック部9bと第2端部7aのループ部9aとによる面ファスナー部の接着固定との、異なる2種の固定方法によって、第1ベルト5aの第1端部6a及び第2端部7aを確実に、かつ強固に固定させることができる。
次に、実際に、本実施形態に係る取付器具1を幼児座席100の背もたれ部103に取り付ける場合について説明する。この場合、まず、図4に示すように、第1ベルト5a及び第2ベルト5bの第2端部7a,7bをそれぞれ第1連結具8a及び第2連結具8bから取り外しておき、これら第2端部7a,7bを自由端にしておく。
次いで、図2の2A及び2Bに示すように、取付器具1の第3ベルト4にある接着部14cを可動式ヘッドレスト102の背面に当接し、第3ベルト4の固定具2が可動式ヘッドレスト102の背面で視認できるように、第3ベルト4を可動式ヘッドレスト102の背面に位置決めする。
次いで、幼児座席100の背もたれ部103に設けられた一対のシートベルト用挿通孔107に、座部100a側から第1ベルト5a及び第2ベルト5bの各第2端部7a,7bをそれぞれ挿通させる。
この際、第1ベルト5a及び第2ベルト5bは、第1面S1に設けた比較的柔らかいループ部9aが背もたれ部103に接するため、当該ループ部9aによって、背もたれ部103への摩擦によるダメージを低減できる。また、第1ベルト5a及び第2ベルト5bは、シートベルト用挿通孔107に挿通した際にシートベルト121に接する第2面S2に、面ファスナー部のループ部9aやフック部9bが形成されていないので、シートベルト121との不要な接着が生じず、その分、取付作業者に対してスムーズな取付作業を行わせることができる。
次いで、取付器具1の第1ベルト5a及び第2ベルト5bを、幼児座席100のシートベルト用挿通孔107と可動式ヘッドレスト102の上端部とに亘って環状に巻き付ける。その後、図8の8Aから8Eに示した取付方法によって、取付器具1の第1ベルト5a及び第2ベルト5bの第2端部7a,7bを、それぞれ第1連結具8a及び第2連結具8bに取り付ける。
これにより、本実施形態に係る取付器具1は、図3に示したように、第1ベルト5a及び第2ベルト5bを第1連結具8a及び第2連結具8bに締め付け固定させるとともに、第1ベルト5a及び第2ベルト5bの第2端部7a,7bを第1端部6a,6bに接着させ、これら固定の仕方が異なる2つの固定方法を利用して、第1ベルト5a及び第2ベルト5bを、幼児座席100の背もたれ部103に巻き付けて固定させることができる。
また、第1ベルト5a及び第2ベルト5bは、幼児座席100の背もたれ部103に取り付けた際に、シートベルト121や、座部100aに着座した幼児の衣服等に接し易い第2面S2に面ファスナー部のループ部9aやフック部9bが形成されておらず、面ファスナー部のような接着機能がないので、第1ベルト5a及び第2ベルト5bの、シートベルト121や衣服等への不要な接着を防止できる。
さらに、本実施形態に係る取付器具1は、第1ベルト5a及び第2ベルト5bの第2端部7a,7bをそれぞれ第1連結具8a及び第2連結具8bの下辺部12bを基点に反転させて第2端部7a,7bを第1端部6a,6bに固定させていることから、これら第1連結具8a及び第2連結具8bよりも下方に、第1ベルト5a及び第2ベルト5bの第2端部7a,7bやその他の部品等が配置されてしまうことを回避できる。
これにより、可動式ヘッドレスト102に取付器具1を取り付けた際に、第1連結具8a及び第2連結具8bに背もたれ本体100bの上端部が当接するまで、可動式ヘッドレスト102を下方向に最大限下げることができ、第3ベルト4の取り付け高さや可動式ヘッドレスト102の可動域を一段と広げることができる。特に、第1連結具8aは、下辺部12bの縦幅t2を中間辺部12cの縦幅t1よりも小さくして当該下辺部12bで第1ベルト5aの第2端部7aを折り返す位置がなるべく上方向に配置されるようにしていることから、当該第2端部7aが背もたれ本体100bの上端部に当接し難くなり、可動式ヘッドレスト102を下方向に最大限下げることができる。
例えば、取付器具1は、取付作業者によって、可動式ヘッドレスト102に巻き付けた第1ベルト5a及び第2ベルト5bが高さ方向zに沿って回転されることで、第1ベルト5a及び第2ベルト5b間に張架された第3ベルト4が高さ方向zに沿って移動され、当該第3ベルト4が所望の高さ位置z1に位置決めされる。
例えば、図9の9Aに示すように、取付器具1は、第1ベルト5a及び第2ベルト5bを可動式ヘッドレスト102に巻き付ける際に、第1ベルト5a及び第2ベルト5bが高さ方向zに沿って上方向に回転されることで、高さ位置z1にある第3ベルト4を、高さ位置z1から距離h1だけ上方向に位置した高さ位置z2まで移動させることができる。
これにより、取付器具1は、可動式ヘッドレスト102における第3ベルト4の位置を可動式ヘッドレスト102の上端部側に移動させることができるので、図9の9Bに示すように、第3ベルト4を位置決めした状態のまま、第1連結具8a及び第2連結具8bが背もたれ本体100bの上端部に当接する高さ位置z2まで可動式ヘッドレスト102を下方向に下げることができる。
なお、この際、可動式ヘッドレスト102のシートベルト用挿通孔107が背もたれ本体100bに隠れ、シートベルト用挿通孔107が非露出状態になっても、可動式ヘッドレスト102と背もたれ本体100bとの隙間に扁平状の第1ベルト5a及び第2ベルト5bをそのまま配置させることができるので、第1ベルト5a及び第2ベルト5bを、シートベルト用挿通孔107及び可動式ヘッドレスト102の上端部の間に張架させた状態を維持できる。
また、例えば、図10の10Aに示すように、取付器具1は、第1ベルト5a及び第2ベルト5bを可動式ヘッドレスト102に巻き付ける際に、第1ベルト5a及び第2ベルト5bを高さ方向zに沿って可動式ヘッドレスト102の上端部付近まで上方向にさらに移動させることで、高さ位置z1にある第3ベルト4を、高さ位置z2よりも高く、高さ位置z1から距離h2(h1<h2)だけ上方向に位置した高さ位置z3まで移動させることもできる。
これにより、取付器具1は、図10の10Bに示すように、第3ベルト4、第1連結具8a及び第2連結具8bが配置された、可動式ヘッドレスト102の上端部付近まで、可動式ヘッドレスト102を下方向に下げることができる。
このように、取付器具1は、可動式ヘッドレスト102に取り付けても、第1連結具8a及び第2連結具8bよりも下方に、第1ベルト5a及び第2ベルト5bの第2端部7a,7bやその他の部品等が配置されておらず、第3ベルト4、第1連結具8a及び第2連結具8b以外は可動式ヘッドレスト102の上下可動を妨げるものがないため、可動式ヘッドレスト102のほぼ最大限の上下可動域を確保させることができる。
(3−4)本実施形態に係る取付器具とは異なる構成を有した参考例の取付器具との対比説明
次に、本実施形態に係る取付器具1とは異なる構成を有した参考例の取付器具と対比して、本実施形態に係る取付器具1について説明する。まず、参考例とする取付器具について、図11及び図12を用いて以下説明する。
図11は、参考例の取付器具200の構成を示した正面図である。参考例の取付器具200は、並走する第1ベルト201a及び第2ベルト201bと、これら第1ベルト201a及び第2ベルト201bの間に設けた第3ベルト202とを有する。この取付器具200には、第1ベルト201aの第1端部210aに環状の第1連結具203aが設けられ、第2ベルト201bの第1端部210bにも同じく環状の第2連結具203bが設けられている。
なお、取付器具200は、第1ベルト201aと第2ベルト201bが同一構成でなるとともに、第1連結具203aと第2連結具203bが同一構成でなり、左右対称に形成されていることから、以下、主に第1ベルト201a及び第1連結具203aに着目して説明し、第2ベルト201b及び第2連結具203bの説明は重複するため省略する。
この場合、第1ベルト201aは、耐久性に優れた繊維材料により扁平状に形成されており、ループ部とフック部とが混在した面ファスナー部215が片面に設けられている。第1連結具203aは、プラスチック等の合成樹脂部材により環状に形成されており、挿通孔206に第1ベルト201aの第1端部210aが挿通され連結されている。
この場合、第1ベルト201aは、第1端部210aが第1連結具203aの挿通孔206に挿通された状態で折り返され、第1端部210aの裏面同士が、第3ベルト202を介在させて重ね合わせられ、ボタン等の固定具207により連結されている。
第3ベルト202は、繊維材料により扁平状に形成されており、第1端部202aが第1ベルト201aの第1端部210aに固定具207により固定され、第2端部202bが第2ベルト201bの第1端部210bに固定具207により固定されている。
ここで、図12の12A及び12Bは、上述した参考例の取付器具200を、幼児座席130の背もたれ部131に取り付ける取付方法を示した概略図である。なお、幼児座席130の背もたれ本体132には、例えば、可動式ヘッドレスト133にシートベルト挿通孔が設けられておらず、車幅方向xに並走した上側貫通孔134a及び下側貫通孔134b間に背面板135が設けられている。
ここでは、参考例の取付器具200において、第1ベルト201aを幼児座席130の背もたれ部131に巻き付けて取り付ける取付方法に着目して以下説明する。
この場合、参考例の取付器具200は、図12の12A及び12Bに示すように、例えば、第3ベルト202を背もたれ部131の背面板135に配置し、下方向に垂下させた第1ベルト201aの第2端部211aを下側貫通孔134bに表側から裏側(表裏方向y2)に向けて挿入する。下側貫通孔134bに表側から挿通させた第1ベルト201aの第2端部211aを、背面板135の下端部を基点に裏側上方に向けて折り返して背面板135に巻き付ける。なお、この際、第1ベルト201a及び第2ベルト201bは、面ファスナー部215がある表面側が背面板135上に露出するように配置される。
この場合、背もたれ部131の上側貫通孔134aから表側に引き出した第1ベルト201aの第2端部211aを、第1連結具203aの挿通孔206に挿通させることで、第1ベルト201aを背面板135に環状に巻き付ける。
次いで、第1連結具203aの挿通孔206から引き出した第1ベルト201aの第2端部211aを、第1連結具203aを基点に裏側へ折り返すことで、第2端部211aの表面同士を面接触させ、表面の面ファスナー部215により接着させる。このようにして、参考例の取付器具200は、第1ベルト201a及び第2ベルト201bを背面板135に環状に巻き付け、背もたれ部131に取り付けられる。
しかしながら、このような参考例の取付器具200では、第1ベルト201a及び第2ベルト201b間の第3ベルト202について車幅方向xでの調整ができず、取り付けることができる幼児座席130が制限されてしまう。
また、参考例の取付器具200では、背もたれ部131に取り付けた際、第1ベルト201a又は第2ベルト201bの表面に設けた面ファスナー部215が背もたれ部131の背面に露出してしまう。そのため、図2に示したような幼児座席100において、仮に、シートベルト用挿通孔107に第1ベルト201a又は第2ベルト201bを挿通させることができたとしても、第1ベルト201a又は第2ベルト201bの表面に露出した面ファスナー部215がシートベルト121等に接着してしまう恐れがある。
このため、第1ベルト201a及び第2ベルト201bをシートベルト用挿通孔107に挿通させた際には、第1ベルト201a及び第2ベルト201bの面ファスナー部215と、シートベルト121との不要な脱着が生じ、シートベルト121が毛羽立つ等、シートベルト121に対してダメージを与えてしまう恐れがある。また、第1ベルト201a及び第2ベルト201bは、面ファスナー部215が外部に露出していることから、当該面ファスナー部215が幼児の衣服や帽子、その他の物に接着してしまう恐れもあり、取付作業時は使用時に取り扱い難いという問題がある。
次に、図12の12Aに示したように、背もたれ部131に厚みを貫通したシートベルト用挿通孔がない幼児座席130に、本実施形態に係る取付器具1を取り付ける場合について説明する。図13の13A及び13Bは、図12の12Aに示した幼児座席130に、本実施形態に係る取付器具1を取り付ける取付方法を示した斜視図である。
この場合、例えば、図13の13Aに示すように、第1ベルト5a及び第2ベルト5bの第2端部7a,7bを第1連結具8a及び第2連結具8bから取り外して自由端とし、第3ベルト4のベルト長を所定の距離に調整した本実施形態に係る取付器具1を用意する。
次いで、取付器具1の第3ベルト4にある接着部14cを、背もたれ部131における背面板135の背面に当接し、第3ベルト4の固定具2が背面板135の背面で外部から視認できるように、第3ベルト4を背面板135位置決めする。
次いで、取付器具1の第1ベルト5a及び第2ベルト5bの自由端とした第2端部7a,7bを、背もたれ部131の上側貫通孔134aに、表側から裏側(表裏方向y2)に向けて挿入する。
次いで、上側貫通孔134aを介して背もたれ部131の背面板135の裏側を通した第1ベルト5a及び第2ベルト5bの第2端部7a,7bを、背もたれ部131の下側貫通孔135bから表側に引き出した後、背面板135の下端部を基点にして上方向に折り返し、第1ベルト5a及び第2ベルト5bを背面板134に対して環状に巻き付ける。
次いで、図8の8Aから8Eに示した取付方法によって、取付器具1の第1ベルト5a及び第2ベルト5bの第2端部7a,7bを、それぞれ第1連結具8a及び第2連結具8bに取り付ける。このように、本実施形態に係る取付器具1は、第1ベルト5a、第2ベルト5b及び第3ベルト4の各位置を調整し得、図13の13Bに示すように、シートベルト用挿通孔に第1ベルト5a及び第2ベルト5bを挿通できない背もたれ部131にも、取り付けることができる。
また、取付器具1は、このような背もたれ部131でも、第1連結具8a及び第2連結具8bによる第1ベルト5a及び第2ベルト5bの締め付け固定と、面ファスナー部のループ部9aとフック部9bによる第1ベルト5a及び第2ベルト5bの接着固定との、異なる2種の固定方法によって、第1ベルト5a及び第2ベルト5bの第2端部7a,7bを確実に、かつ強固に固定させることができる。
ここで、本実施形態に係る取付器具1では、第1ベルト5a又は第2ベルト5bおいて、シートベルト121や、幼児の衣服及び帽子、その他の物に接し易い第2面S2が、面ファスナー部のループ部9aやフック部9bが設けられていない面ファスナー非形成面となっているので、参考例の取付器具200と異なり、シートベルト121や、幼児の衣服及び帽子、その他の物への面ファスナー部による予期しない接着を防止できる。よって、取付器具1は、参考例の取付器具200とは異なり、シートベルト121や衣服等にダメージを与えることもなく、また、取付作業時や使用時の取り扱い易さを向上させることができる。
(3−5)他の構成を有した幼児座席に対して本実施形態に係る取付器具を取り付ける取付方法
次に、図14の14A及び14Bに示すように、上下動する可動式ヘッドレスト143に第1ベルト5a及び第2ベルト5bを挿通可能なシートベルト用挿通孔がない幼児座席141に、本実施形態に係る取付器具1を取り付ける取付方法について説明する。この場合、幼児座席141は、幼児が着座する座部(図示せず)に一体形成された背もたれ本体142と、背もたれ本体142の上端部に設けられた可動式ヘッドレスト143とから構成された、背もたれ部144を有している。
可動式ヘッドレスト143は、背もたれ部144の高さ方向zに沿って上下にスライド可能に構成されており、図示しない座部に着座した幼児の頭部の位置に合わせて高さが調整可能な構成を有する。この場合、可動式ヘッドレスト143は、着座した幼児の頭部を支持するヘッドレスト本体146aと、ヘッドレスト本体146aの中心部から垂下した柱状のスライド部146bとを有しており、ヘッドレスト本体146aとスライド部146bが一体形成された構成を有する。
ヘッドレスト本体146aは、車幅方向xに延びた略楕円形状を有し、座部に着座した幼児の一方の側頭部と後頭部と他方の側頭部とを取り囲むように楕円面の左右端が車体前方に向けて湾曲した形状を有している。ヘッドレスト本体146aから下方向に延びたスライド部146bは、背もたれ本体142に設けられたスライド支持部148で支持され、ヘッドレスト本体146aを高さ方向zにスライド自在に設けている。
このような幼児座席141に、本実施形態に係る取付器具1を取り付ける場合には、例えば、図14の14Aに示すように、第1ベルト5a及び第2ベルト5bの第2端部7a,7bを第1連結具8a及び第2連結具8bから取り外して自由端とし、第3ベルト4のベルト長を調整した本実施形態に係る取付器具1を用意する。
次いで、取付器具1の第3ベルト4にある接着部14cを、ヘッドレスト本体146aの背面に当接し、第3ベルト4の固定具2がヘッドレスト本体146aの背面で外部から視認できるように、第3ベルト4をヘッドレスト本体146aに位置決めする。
次いで、取付器具1の第1ベルト5a及び第2ベルト5bの自由端とした第2端部7a,7bを、ヘッドレスト本体146aの上端部を基点に表側から裏側に折り返し、ヘッドレスト本体146aの下端部と背もたれ本体142の上端部との間の隙間Gを通して裏側から表側(裏表方向y1)に引き出す。
次いで、隙間Gから取付器具1の表側に引き出した第1ベルト5a及び第2ベルト5bの第2端部7a,7bを、ヘッドレスト本体146aの下端部を基点に表側上方に折り返し、ヘッドレスト本体146aに第1ベルト5a及び第2ベルト5bを環状に巻き付ける。
次いで、図8の8Aから8Eに示した取付方法によって、取付器具1の第1ベルト5a及び第2ベルト5bの第2端部7a,7bを、それぞれ第1連結具8a及び第2連結具8bに取り付ける。
このようにして、本実施形態に係る取付器具1は、第1ベルト5a、第2ベルト5b及び第3ベルト4の各位置を調整し得、図14の14Bに示すように、シートベルト用挿通孔に第1ベルト5a及び第2ベルト5bを挿通できない背もたれ部144にも、取り付けることができる。
また、取付器具1は、このような背もたれ部144でも、第1連結具8a及び第2連結具8bによる第1ベルト5a及び第2ベルト5bの締め付け固定と、面ファスナー部のループ部9aとフック部9bによる第1ベルト5a及び第2ベルト5bの接着固定との、異なる2種の固定方法によって、第1ベルト5a及び第2ベルト5bの第2端部7a,7bを確実に、かつ強固に固定させることができる。
(4)作用及び効果
以上の構成において、本実施形態に係る取付器具1は、例えば、図3に示したように、背もたれ部103の高さ方向zに沿って第1ベルト5a及び第2ベルト5bが配置され、第1ベルト5a及び第2ベルト5bが背もたれ部103に環状に巻かれる。取付器具1は、これら並走する第1ベルト5a及び第2ベルト5bの間に第3ベルト4が張架されており、幼児座席用カバー111のカバー側固定具117が、第3ベルト4の固定具2に着脱自在に固定される。
これに加えて、この取付器具1では、第1ベルト5a及び第2ベルト5bの間の車幅方向xに延びる第3ベルト4のベルト長が、第1ベルト5a及び第2ベルト5bの間の距離に応じて調整可能な構成を有している。
これにより、取付器具1では、並走する第1ベルト5a及び第2ベルト5b間に張架された第3ベルト4の高さ方向zでの位置を、第1ベルト5a及び第2ベルト5bを高さ方向zにずらすことによって調整できるとともに、第1ベルト5a及び第2ベルト5b間に張架された第3ベルト4の車幅方向xのベルト長も調整することができる。
従って、取付器具1は、背もたれ部103の形態が変わっても、背もたれ部103の形態に合わせて、第1ベルト5a、第2ベルト5b及び第3ベルト4の取り付け形態を自由に変え、背もたれ部103に取り付けることができるので、これら第1ベルト5a、第2ベルト5b及び第3ベルト4によって、形態が異なる種々の背もたれ部103に幼児座席用カバー111を強固に固定させることができる。
本実施形態に係る第3ベルト4では、第1面S3に面ファスナー部のループ部15aを設け、第2面S4に面ファスナー部のフック部15bを設け、第1連結具8a及び第2連結具8b間に環状に巻き付けた際に、第1面S3上に第2面S4を重ねることで、ループ部15a及びフック部15bによって第1端部14a及び第2端部14bを接着させる。
このように、第3ベルト4は、ループ部15a及びフック部15bを第1面S3と第2面S4とに別々に設けたことから、例えば、フック部及びループ部が混在した面ファスナー部を第1面S3及び第2面S4の両面に設けた場合に比して、第1連結具8a及び第2連結具8bへの取付作業時に、面ファスナー部による、他への予期しない接着を防止でき、その分、作業負担を軽減できる。
また、取付器具1における第1連結具8aと第2連結具8bには、それぞれ、第1ベルト5a又は第2ベルト5bの第1端部6a,6bが挿通される第1横長孔10aと、第1ベルト5a又は第2ベルト5bの第2端部7a,7bが挿通される第2横長孔10bと、第2横長孔10bを挿通させた第1ベルト5a又は第2ベルト5bの第1端部6a,6bが挿通される第3横長孔10cと、を有している。
取付器具1では、背もたれ部103に取り付ける際、当該背もたれ部103に巻き付けた第1ベルト5a及び第2ベルト5bの第2端部7a,7bを、中段の第2横長孔10bを介して裏側から表側(裏表方向y1)に向けて引き出した後、下段の第3横長孔10cを介して表側から裏側(表裏方向y2)に引き戻す。
そして、第3横長孔10cから裏側に引き戻した第1ベルト5a及び第2ベルト5bの第2端部7a,7bを、第1連結具8a又は第2連結具8bの下辺部12bを基点にそれぞれ裏側から表側(裏表方向y1)に折り返し、当該第2端部7a,7bによって第1連結具8a及び第2連結具8bを覆い隠して、当該第2端部7a,7bを第1ベルト5a又は第2ベルト5bの第1端部6a,6b上に固定する。
これにより、取付器具1では、第1連結具8a及び第2連結具8bによりそれぞれ第1ベルト5a及び第2ベルト5bを締め付け固定させるとともに、第1ベルト5a及び第2ベルト5bの各第1端部6aのフック部9bに、第1ベルト5a及び第2ベルト5bの各第2端部7aのループ部9aをそれぞれ接着固定させることもでき、異なる2種の固定方法によって、第1ベルト5a及び第2ベルト5bの各第2端部7a,7bを確実、かつ強固に固定させることができる。
また、このように、第1ベルト5aの第2端部7aで第1連結具8aを覆って、当該第2端部7aを第1ベルト5aの第1端部6aに接着固定させることで、第1連結具8aに遊動自在に設けられた第1ベルト5aの第1端部6aと、第1連結具8aとの接続箇所を、第1ベルト5aの第2端部7aで押さえつけることができる。これにより、取付器具1では、第1ベルト5aの第2端部7aによって第1端部6aが第1連結具8aの接続箇所で遊動してしまうことを抑制し得、第1ベルト5aと第1連結具8aとを安定して固定させることもできる。
また、この取付器具1では、第1ベルト5a及び第2ベルト5bの各第2端部7a,7bを第1連結具8a及び第2連結具8bを基点に反転させ、第1ベルト5a及び第2ベルト5bの各第1端部6a,6bにそれぞれ接着させることができるため、第1連結具8a及び第2連結具8bの直下に、第1ベルト5a及び第2ベルト5bの第2端部7a,7bや、その他の部品が配置されることを回避できる。
これにより、取付器具1を取り付けた可動式ヘッドレスト102を上下方向に可動させる際に、第1連結具8a及び第2連結具8b以外は、可動式ヘッドレスト102の可動の妨げとならず、取付器具1の第1連結具8a及び第2連結具8bが背もたれ本体100bの上端部に当接するまで、可動式ヘッドレスト102を下方向にスライド移動させることができる。よって、取付器具1を可動式ヘッドレスト102に取り付けても、可動式ヘッドレスト102の可動域を最大限に活用させることができる。
また、第1ベルト5a及び第2ベルト5bは、面ファスナー部のループ部9aが設けられた第1面S1が背もたれ部103に接し、かつ、面ファスナー部のループ部9a及びフック部9bのいずれも設けられていない面ファスナー非形成面の第2面S2が外部に露出するように、背もたれ部103に取り付けられる。これにより、第1ベルト5a又は第2ベルト5bでは、シートベルト121や、幼児の衣服及び帽子、その他の物に接する可能性がある第2面S2への、面ファスナー部による予期しない接着を防止できる。よって、取付器具1は、背もたれ部103に取り付けた際、シートベルト121や衣服等にダメージを与えることを防止できるとともに、取付作業時や使用時の取り扱い易さを向上させることができる。
(5)他の実施形態
(5−1)他の実施形態に係る第1連結具及び第2連結具
上述した実施形態においては、第1横長孔10aと第2横長孔10bと第3横長孔10cとが車幅方向xに並走し、これら第1横長孔10aと第2横長孔10bと第3横長孔10cと直交する高さ方向zに第1縦長孔11a及び第2縦長孔11bとを並走させた第1連結具8a及び第2連結具8bを適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らない。
例えば、他の実施形態に係る第1連結具及び第2連結具としては、図15の15Aに示すように、連結具本体31に第1縦長孔11a及び第2縦長孔11bが左右対称に形成された第1連結具30a及び第2連結具30bを適用してよい。このように、第1連結具30a及び第2連結具30bは、左右対称に形成されていることから、例えば、表裏方向y2(図4)から見て左側に配置される第1連結具8aを、右側に配置される第2連結具8bとしても用いることもできる。そのため、取付作業者は、第1連結具30aと第2連結具30bを間違えることなく取り付け作業を行える。ここで、第1連結具30a及び第2連結具30bは同一構成でなることから、以下、第1連結具30aに着目して説明する。
第1連結具30aは、ブラスチック等の合成樹脂部材からなる矩形状の連結具本体31を有する。また、連結具本体31でも、上述した実施形態と同様に、一般的なラダーロックに設けられている、係止解除用の突起領域(舌状の摘み領域)が、下辺部12bに形成されておらず、下辺部12bの縦幅t2が、隣接する第2横長孔10b及び第3横長孔10cの間の中間辺部12cの縦幅t1の寸法以下に形成されている。
さらに、連結具本体31は、一般的なラダーロックに設けられている、係止解除用の突起領域(舌状の摘み領域)が、左右の側辺部12eにも形成されておらず、側辺部12eの横幅x2が、隣接する第1縦長孔11aと第2縦長孔11bとの間の中間側辺部12fの横幅x1とほぼ同じ寸法に形成されており、当該側辺部12eを取付作業者が摘み難い形状を有している。
これに加えて、連結具本体31の上辺部12aには、上段の第1横長孔10aと外部とを連通させる切り欠き部32が形成されている。これにより、図15の15Bに示すように、第1ベルト5aの第1端部6aを予めループ状に形成していても、第1連結具30aの切り欠き部32から第1横長孔10a内に、ループ状の第1端部6aを挿通させることができ、当該第1端部6aの閉塞したループ内に第1連結具30aの上辺部12aを配置させることができる。
また、他の実施形態に係る第1連結具及び第2連結具としては、横長孔及び縦長孔の数を減らした構成や、増やした構成としてもよい。例えば、図15の15Cに示すように、車幅方向xに並走した2つの第1横長孔10a及び第2横長孔10bと、これら第1横長孔10a及び第2横長孔10bと直交する高さ方向zに延びた1つの第1縦長孔11aとを、連結具本体36に設けた第1連結具35a及び第2連結具35bを適用してもよい。
また、図15の15Dに示すように、上述した実施形態と同様に第1横長孔10aと第2横長孔10bと第3横長孔10cの3つの横長孔を設けつつ、連結具本体39に第1縦長孔11aを1つだけ設けた第1連結具38a及び第2連結具38bを適用してもよい。
(5−2)図15の15Dに示した第1連結具及び第2連結具に第3ベルトを取り付ける取付方法
次に、上記した他の実施形態に係る第1連結具及び第2連結具のうち、例えば、図15の15Dに示した第1連結具38a及び第2連結具38bに第3ベルト4を取り付ける取付方法について説明する。
この場合、図16の16Aに示すように、まず、第1連結具38aを第1端部6aに取り付けた第1ベルト5aを用意する。そして、第3ベルト4の第1面S3が表側に配置されるようにして、第1連結具38aの第1縦長孔11aに表側から裏側(表裏方向y2)に向けて第3ベルト4の第1端部14aを挿通し、当該第1端部14aを第1縦長孔11aから裏側に引き出す。
次いで、図16の16B及び16Cに示すように、第1縦長孔11aから裏側に引き出した第3ベルト4の第1端部14aを、第1連結具38aの側辺部12eを基点に折り返し、当該第1端部14aを第3ベルト4に重ね合わせる。
次いで、図16の16C及び16Dに示すように、第1連結具38aの第1縦長孔11aから裏側に引き出した第3ベルト4の第1端部14aの上に、第2連結具38bの第1縦長孔11aから同じように引き出した第3ベルト4の第2端部14bを重ね合わせる。これにより、第3ベルト4には、第1端部14aと第2端部14bとを重ね合わせた領域を面ファスナーにより接着させて接着部14cが形成される。第3ベルト4は、接着部14cにおいて、これら第1端部14aと第2端部14bとを重ね合わせる領域を調整し得、第1ベルト5a及び第2ベルト5bの間で車幅方向xに延びる第3ベルト4のベルト長を調整できる。
なお、第1連結具38a及び第2連結具38bは、第3ベルト4を単に第1縦長孔11aにだけ挿通させている構成であるため、上述した第1連結具8a及び第2連結具8b(図6)と異なり、第3ベルト4を締め付け固定することができず、環状に張架させた第3ベルト4が第1連結具38aと第2連結具38bとの間で回転してしまう恐れがある。
従って、第1連結具38a及び第2連結具38bでは、例えば、第3ベルト4の第1面S3及び第2面S4に、ループ部とフック部とが混在した面ファスナー部をそれぞれ設けることが望ましい。この場合、第1連結具38a及び第2連結具38bの第1縦長孔11aを挿通させた第3ベルト4を、側辺部12eを基点に折り返した際、当該側辺部12eを第3ベルト4で挟んだ状態で、重ね合わせた第3ベルト4同士を面ファスナー部により接着させることができる。よって、第1連結具38aと第2連結具38bとの間に環状に張架させた第3ベルト4が、第1連結具38aと第2連結具38bとの間で回転してしまうことを防止できる。
(5−3)他の実施形態に係る取付器具の構成
次に、他の実施形態に係る取付器具として、図17の17A〜17Dに示すように、調節具47a,47bによって第1ベルト5c及び第2ベルト5dの第1端部6a,6bを固定し、調節具48a,48bによって第1ベルト5c及び第2ベルト5dの第2端部7a,7bを固定する取付器具45について説明する。
この場合、第1ベルト5c及び第2ベルト5dは、上述した実施形態とは異なり、第1面S1に面ファスナー部(ループ部及びフック部)が形成されておらず、第1ベルト5c及び第2ベルト5dの第1端部6a,6bを調節具47a,47bに固定し、第1ベルト5c及び第2ベルト5dの第2端部7a,7bを調節具48a,48bに固定する。
なお、調節具47a,48aに第1ベルト5cの第1端部6a及び第2端部7aを取り付ける取付方法と、調節具47b,48bに第2ベルト5dの第1端部6b及び第2端部7bを取り付ける取付方法は同じであることから、ここでは、説明の重複を避けるため、調節具47a,48aに第1ベルト5cの第1端部6a及び第2端部7aを取り付ける取付方法に着目して以下説明する。また、ここでは、第1連結具及び第2連結具として、図15の15Dに示した第1連結具38a及び第2連結具38bを用いた例を示す。
この場合、図17の17Aに示すように、調節具47aには、第1横長孔49a及び第2横長孔49bが並列に配置されている。また、調節具48aにも、第1横長孔50a及び第2横長孔50bが並列に配置されている。調節具47aには、第1ベルト5cの第1端部6aが、上段の第1横長孔49aに裏側から表側(裏表方向y1)に挿入され、第1横長孔49aから表側に引き出された第1ベルト5cの第1端部6aが、下段の第2横長孔49bに表側から裏側(表裏方向y2)に挿入され、第1ベルト5cに固定される。
調節具47aの第2横長孔49bから引き出された第1ベルト5cは、図17の17Bに示すように、第1連結具38aの上段の第1横長孔10aに裏側から表側(裏表方向y1)に挿入された後、調節具47aの第2横長孔49b及び第1横長孔49aに順に挿通される。これにより、第1ベルト5cの第1端部6aは、調節具47aに締め付け固定される。
一方、第1ベルト5cの第2端部7aは、図17の17Aに示すように、調節具48aの下段の第2横長孔50bを介して上段の第1横長孔50aに挿通された後、図17の17Bに示すように、第1連結具38aの中段の第2横長孔10bに裏側から表側(裏表方向y1)に挿入され、下段の第3横長孔10cに表側から裏側(表裏方向y2)に挿入され、第1ベルト5cに固定される。
第1連結具38aの第3横長孔10cから裏側に引き出された第1ベルト5cの第2端部7aは、図17の17C及び17Dに示すように、調節具48aの第1横長孔50a及び第2横長孔50bに順に挿通され、調節具48aに締め付け固定される。
なお、この取付器具45では、第1ベルト5c及び第2ベルト5dの第2端部7a,7bや、調節具48a,48bが、第1連結具38a及び第2連結具38bの下方に配置される。そのため、取付器具45は、その分、第1連結具38a及び第2連結具38bを背もたれ本体100bの上端部付近まで近づけることが困難である。しかしながら、この取付器具45でも、上述した実施形態と同様に、第1連結具38a及び第2連結具38bによる締め付け固定と、調節具48a,48bによる締め付け固定との2種の固定方法によって、第1ベルト5c及び第2ベルト5dの各第2端部7a,7bを確実、かつ強固に固定させることができる。
以上より、面ファスナー部を有しない第1ベルト5c及び第2ベルト5dを設けた取付器具45であっても、上述した実施形態と同様に、背もたれ部103の形態が変わっても、背もたれ部103の形態に合わせて取り付け形態を変えることができるので、形態が異なる種々の背もたれ部103に取り付けることができる。
(5−4)図15の15Cに示した第1連結具及び第2連結具を用いた取付器具の一例
次に、上記した他の実施形態に係る第1連結具及び第2連結具のうち、例えば、図15の15Cに示した第1連結具35a及び第2連結具35bを用いた取付器具について以下説明する。なお、図18の18A及び18Bに示した取付器具55は、上述した調節具47a,47b,48a,48bを用いて第1ベルト5c及び第2ベルト5dを固定した構成であり、その固定方法については既に説明していることから、ここではその説明は省略する。
また、第1連結具35aに第1ベルト5cの第1端部6a及び第2端部7aを取り付ける取付方法と、第2連結具35bに第2ベルト5dの第1端部6b及び第2端部7bを取り付ける取付方法は同じであることから、ここでは、説明の重複を避けるため、第1連結具35aに第1ベルト5cの第1端部6a及び第2端部7aを取り付ける取付方法に着目して以下説明する。
例えば、図18の18A及び18Bに示すように、取付器具55では、第1ベルト5cの第1端部6aを、第1連結具35aの上段の第1横長孔10aに裏側から表側(裏表方向y1)に挿通し、第1横長孔10aから表側に引き出した第1端部6aを、第1連結具35aの上辺部12aで折り返して、第1ベルト5cの第1端部6a側に設けた調節具47aに固定する。
また、取付器具55では、第1ベルト5cの第2端部7aも、第1連結具35aの下段の第2横長孔10bに裏側から表側(裏表方向y1)に挿通し、第2横長孔10bから表側に引き出した第2端部7aを、第1連結具35aの下辺部12bで折り返し、第1ベルト5cの第2端部7a側に設けた調節具48aに固定する。
なお、この取付器具55でも、第1ベルト5c及び第2ベルト5dの下方に折り返した第2端部7a,7bや、調節具48a,48bが、第1連結具35a及び第2連結具35bの下方に配置されるので、その分、第1連結具35a及び第2連結具35bを背もたれ本体100bの上端部付近まで近づけることが困難であるものの、第1ベルト5c、第2ベルト5d及び第3ベルト4の位置については自由に調整し得る。
以上より、取付器具55は、上述した実施形態と同様に、背もたれ部103の形態が変わっても、背もたれ部103に合わせて取り付け形態を変えることができるので、形態が異なる種々の背もたれ部103に取り付けることができる。
また、他の実施形態に係る取付器具としては、図18の18C及び18Dに示すように、上述した調節具47a,47b,48a,48bに替えて面ファスナー部9cを設け、第1ベルト5e及び第2ベルト5fの第1端部6a,6b及び第2端部7a,7bをそれぞれ面ファスナー部9cで固定する取付器具60であってもよい。
なお、第1ベルト5eの第1端部6a及び第2端部7aを面ファスナー部9cにより固定する方法と、第2ベルト5fの第1端部6b及び第2端部7bを面ファスナー部9cにより固定する方法は同じであることから、ここでは、説明の重複を避けるため、第1ベルト5eの第1端部6a及び第2端部7aを面ファスナー部9cで固定する方法に着目して以下説明する。
この場合、第1ベルト5eは、背もたれ部103と接する裏面側の第1面S1が、面ファスナー部9cが設けられてない面ファスナー非形成面となっている。一方、背もたれ部103と接しないで外部に露出する表面側の第2面S2には、ループ部とフック部とが混在した面ファスナー部9cが設けられている。
これにより、取付器具60では、図18の18C及び18Dに示すように、第1連結具35aの上段の第1横長孔10aから表側に引き出した第1ベルト5eの第1端部6aを、第1連結具35aの上辺部12aで折り返し、当該第1端部6aの第2面S2同士を重ね合わせ、面ファスナー部9cによって第1端部6a同士を接着させた接着部62を形成する。
また、取付器具60では、第1連結具35aの下段の第2横長孔10bから表側に引き出した第1ベルト5eの第2端部7aを、第1連結具35aの下辺部12bで折り返し、当該第2端部7aの第2面S2同士を重ね合わせ、面ファスナー部9cによって第2端部7a同士を接着させた接着部63を形成する。
取付器具60では、このようにして第1ベルト5eの第1端部6a及び第2端部7aをそれぞれ接着部62,63により第1ベルト5e自体に固定させることができるとともに、第2ベルト5fの第1端部6b及び第2端部7bも接着部62,63により第2ベルト5f自体に固定させることができる。
なお、この取付器具60でも、第1ベルト5e及び第2ベルト5fの下方に折り返した第2端部7a,7bが、第1連結具35a及び第2連結具35bの下方に配置されるので、その分、第1連結具35a及び第2連結具35bを背もたれ本体100bの上端部付近まで近づけることが困難になる恐れもあるが、第1ベルト5e、第2ベルト5f及び第3ベルト4の位置については自由に調整し得る。
以上より、取付器具60では、上述した実施形態と同様に、背もたれ部103の形態が変わっても、背もたれ部103に合わせて取り付け形態を自由に変えることができるので、形態が異なる種々の背もたれ部103に取り付けることができる。
なお、取付器具60では、面ファスナー部9cが外部に露出するため、面ファスナー部9cがシートベルト121や幼児の衣服等へ接着してしまう恐れもある。そこで、例えば、第1ベルト9e及び第2ベルト5fの所定箇所を、樹脂製の平チューブで被覆して、面ファスナー部9cによる予期しない接着を防止するようにしてもよい。
(5−5)その他
なお、上記実施形態においては、例えば、図4に示すように、第1ベルト5a及び第2ベルト5bの第1端部6a,6bに設けた面ファスナー部のフック部9bと、第1ベルト5a及び第2ベルト5bの第2端部7a,7bに設けた面ファスナー部のループ部9aとを接着させ、第1ベルト5a及び第2ベルト5bの第2端部7a,7bを第1端部6a,6bに固定した場合について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、第1ベルト5a及び第2ベルト5bの第1端部6a,6bと第2端部7a,7bとに、ループ部及びフック部が混在した面ファスナー部をそれぞれ設け、当該面ファスナー部によって、第1ベルト5a及び第2ベルト5bの第2端部7a,7bを第1端部6a,6bに接着固定するようにしもよい。
このように、第1ベルト5a及び第2ベルト5bの第2端部7a,7bを第1端部6a,6bに固定することができれば、上述した面ファスナー部の他に、調節具や、紐、粘着テープ等の種々の固定手段を適用してもよい。また、他の実施形態に係る取付器具としては、例えば、第1ベルト5a及び第2ベルト5bの第1端部6a,6bを、図17の17Dに示すように調節具47a,47bで固定し、第1ベルト5a及び第2ベルト5bの第2端部7a,7bを、図8の8Eに示すように接着部18a,18bで固定するようにする等、上述した取付器具1,40,45,55,60の各構成を適宜組み合わせた構成としてもよい。
また、本実施形態においては、第1ベルト5a及び第2ベルト5bの第1端部6a,6bを上側に配置し、第2端部7a,7bを下側に配置した取付器具1について説明したが、取付器具1を上下逆さまにして、第1ベルト5a及び第2ベルト5bの第1端部6a,6bを下側に配置し、第2端部7a,7bを上側に配置した取付器具1としてもよい。なお、他の実施形態に係る取付器具40,45,55,60についても同様に、上下逆さまに取り付けるようにしもてよい。