以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置1を示す平面図である。図2は、図1に示すII-II線に沿う断面図である。図3は、図1に示す半導体チップ2の構造を示す平面図である。図4は、図1に示す半導体装置1の電気的構造を示すブロック回路図である。図5は、図4に示すパワートランジスタ8の等価回路図である。図6は、図5に示すパワートランジスタ8の更なる等価回路図である。
以下では、半導体装置1がハイサイド側のスイッチングデバイスからなる形態例について説明するが、半導体装置1は、各種構造の電気的な接続形態や機能が調整されることにより、ローサイド側のスイッチングデバイスとしても提供されることができる。
図1および図2を参照して、半導体装置1は、この形態(this embodiment)では、直方体形状に形成された半導体チップ2を含む。半導体チップ2は、具体的には、Si(シリコン)チップからなる。半導体チップ2は、一方側の第1主面3、他方側の第2主面4、ならびに、第1主面3および第2主面4を接続する第1〜第4側面5A〜5Dを有している。第1主面3および第2主面4は、それらの法線方向Zから見た平面視(以下、単に「平面視」という。)において四角形状に形成されている。
第1主面3は、機能デバイスが形成されたデバイス面である。第2主面4は、実装面であり、研削痕を有する研削面からなっていてもよい。第1〜第4側面5A〜5Dは、第1側面5A、第2側面5B、第3側面5Cおよび第4側面5Dを含む。第1側面5Aおよび第2側面5Bは、第1主面3に沿う第1方向Xに延び、第1方向Xに交差(具体的には直交)する第2方向Yに対向している。第3側面5Cおよび第4側面5Dは、第2方向Yに延び、第1方向Xに対向している。
図3を参照して、半導体装置1は、第1主面3に区画された第1デバイス領域6を含む。第1デバイス領域6は、外部に出力される出力信号が生成される出力領域である。第1デバイス領域6は、この形態では、第1主面3において第3側面5C側の領域に区画されている。第1デバイス領域6の配置および平面形状は任意であり、特定の形態に限定されない。ただし、良好な出力特性を得る観点から、第1デバイス領域6は、第1主面3の2分の1以上の面積を占めていることが好ましい。
半導体装置1は、第1主面3において第1デバイス領域6とは異なる領域に区画された第2デバイス領域7を含む。第2デバイス領域7は、外部からの電気信号が入力される入力領域である。第2デバイス領域7は、この形態では、第1デバイス領域6に対して第4側面5D側の領域に区画されている。第2デバイス領域7の配置および平面形状は任意であり、特定の形態に限定されない。
第2デバイス領域7は、第1デバイス領域6の平面積以下の平面積を有していることが好ましい。第2デバイス領域7は、第1デバイス領域6に対して0.1以上1以下の面積比で形成されていることが好ましい。面積比は、第1デバイス領域6の平面積に対する第2デバイス領域7の平面積の比である。面積比は、0.1以上0.25以下、0.25以上0.5以下、0.5以上0.75以下、または、0.75以上1以下であってもよい。面積比は、1未満であることが好ましい。
図3〜図6を参照して、半導体装置1は、第1デバイス領域6に形成されたトレンチ絶縁ゲート型のゲート分割トランジスタの一例としてのn系統(n≧2)のパワートランジスタ8を含む。パワートランジスタ8は、パワーMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)と称されてもよい。パワートランジスタ8は、1つのメインドレインDM、1つのメインソースSMおよびn個(n≧2)のメインゲートGMを含む。
n個のメインゲートGMには、同一のまたは異なるn個のゲート信号Gが任意のタイミングで入力される。ゲート信号Gは、パワートランジスタ8をオン状態に制御するオン信号、および、パワートランジスタ8をオフ状態に制御するオフ信号を含む。パワートランジスタ8は、n個のメインゲートGMに入力されたn個のゲート信号Gに応答して、メインドレインDMおよびメインソースSMから単一の出力電流IOUT(出力信号)を出力する。つまり、パワートランジスタ8は、マルチ入力シングル出力型のスイッチングデバイスからなる。出力電流IOUTは、具体的には、メインドレインDMおよびメインソースSMの間を流れるドレイン・ソース電流である。
図5を参照して、パワートランジスタ8は、具体的には、個別制御対象としてのn個(n≧2)の系統トランジスタ9を含む。パワートランジスタ8は、さらに具体的には、n個のゲート信号Gが個別入力されるように並列接続されたn個の系統トランジスタ9の並列回路によって構成されている。n個の系統トランジスタ9は、この形態では、単一の第1デバイス領域6に集約して形成されている。n個の系統トランジスタ9は、互いに電気的に独立してオン状態およびオフ状態に制御されるように構成されている。つまり、n系統のパワートランジスタ8は、オン状態の系統トランジスタ9およびオフ状態の系統トランジスタ9が任意のタイミングで併存するように構成されている。
n個の系統トランジスタ9は、システムドレインDS、システムソースSSおよびシステムゲートGSをそれぞれ含む。n個の系統トランジスタ9のシステムドレインDSは、メインドレインDMにそれぞれ接続されている。n個の系統トランジスタ9のシステムソースSSは、メインソースSMにそれぞれ接続されている。n個の系統トランジスタ9のシステムゲートGSは、1対1対応の関係でメインゲートGMにそれぞれ接続されている。
つまり、パワートランジスタ8のメインドレインDM、メインソースSMおよびn個のメインゲートGMは、n個の系統トランジスタ9のシステムドレインDS、システムソースSSおよびn個のシステムゲートGSによってそれぞれ構成されている。n個のメインゲートGMは、実質的には、n個のシステムゲートGSからなる。
n個の系統トランジスタ9は、ゲート信号Gに応答して系統毎の電気信号を生成し、メインドレインDMおよびメインソースSMに出力する。系統毎の電気信号は、具体的には、各系統トランジスタ9のシステムドレインDSおよびシステムソースSSの間を流れるドレイン・ソース電流である。系統毎の電気信号は、メインドレインDMおよびメインソースSMの間で加算される。これにより、単一の出力電流IOUTが生成される。
n個の系統トランジスタ9は、互いに等しいゲート閾値電圧を有していることが好ましい。n個の系統トランジスタ9は、互いに等しいチャネル面積を有していてもよいし、互いに異なるチャネル面積を有していてもよい。つまり、n個の系統トランジスタ9は、互いに等しいオン抵抗特性を有していてもよいし、互いに異なるオン抵抗特性を有していてもよい。
図6を参照して、n個の系統トランジスタ9は、個別制御対象として系統化(グループ化)された1つまたは複数の単位トランジスタ10をそれぞれ含む。n個の系統トランジスタ9は、具体的には、1つまたは複数の単位トランジスタ10の並列回路によってそれぞれ構成されている。系統トランジスタ9が単一の単位トランジスタ10からなる場合も、ここに言う「並列回路」に含まれるものとする。
各系統トランジスタ9に含まれる単位トランジスタ10の個数は任意であるが、n個の系統トランジスタ9のうちの少なくとも1つの系統トランジスタ9は、複数の単位トランジスタ10を含むことが好ましい。n個の系統トランジスタ9は、同一個数の単位トランジスタ10によって構成されていてもよいし、異なる個数の単位トランジスタ10によって構成されていてもよい。
各単位トランジスタ10は、ユニットドレインDU、ユニットソースSUおよびユニットゲートGUを含む。各系統トランジスタ9において、1つまたは複数の単位トランジスタ10のユニットドレインDUは、システムドレインDSに電気的に接続されている。また、各系統トランジスタ9において、1つまたは複数の単位トランジスタ10のユニットソースSUは、システムソースSSに電気的に接続されている。また、各系統トランジスタ9において、1つまたは複数の単位トランジスタ10のユニットゲートGUは、システムゲートGSに電気的に接続されている。
つまり、各系統トランジスタ9のシステムドレインDS、システムソースSSおよびシステムゲートGSは、1つまたは複数の単位トランジスタ10のユニットドレインDU、ユニットソースSUおよびユニットゲートGUによってそれぞれ構成されている。
複数の単位トランジスタ10は、この形態では、トレンチゲート型からそれぞれなる。複数の単位トランジスタ10は、互いに等しいゲート閾値電圧を有していることが好ましい。また、複数の単位トランジスタ10は、互いに等しいチャネル面積を有していてもよいし、互いに異なるチャネル面積を有していてもよい。つまり、複数の単位トランジスタ10は、互いに等しいオン抵抗特性を有していてもよいし、互いに異なるオン抵抗特性を有していてもよい。
複数の単位トランジスタ10の個数、ゲート閾値電圧、チャネル面積等を調整することによって、各系統トランジスタ9のゲート閾値電圧やオン抵抗特性(チャネル面積)を精密に調整できる。各系統トランジスタ9の電気的特性は、達成すべきパワートランジスタ8の電気的仕様に応じて調整される。パワートランジスタ8の電気的仕様としては、チャネル利用率、オン抵抗Ron、スイッチング波形等が例示される。
図3および図4を参照して、半導体装置1は、第2デバイス領域7に形成された制御回路の一例としてのコントロールIC11(Control Integrated Circuit)を含む。コントロールIC11は、外部から入力された電気信号に応答して種々の機能を実現する複数種の機能回路を含む。複数種の機能回路は、外部からの電気信号に応答してパワートランジスタ8を駆動制御するゲート制御回路12を含む。ゲート制御回路12は、具体的には、n個の系統トランジスタ9を個別制御するn個のゲート信号Gを生成するように構成されている。コントロールIC11は、パワートランジスタ8と共に、所謂IPD(Intelligent Power Device)を形成している。IPDは、IPM(Intelligent Power Module)とも称される。
図2を参照して、半導体装置1は、第1主面3を被覆する層間絶縁層13を含む。層間絶縁層13は、第1デバイス領域6および第2デバイス領域7を一括して被覆している。層間絶縁層13は、この形態では、複数の絶縁層および複数の配線層が交互に積層された積層構造を有する多層配線構造からなる。各絶縁層は、SiO2膜およびSiN膜のうちの少なくとも1つを含む。各配線層は、Al層、Cu層、AlCu合金層、AlSiCu合金層およびAlSi合金層のうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。
図3を参照して、半導体装置1は、第1主面3の上(anywhere above)に形成された制御配線の一例としてのn個のゲート配線14を含む。n個のゲート配線14は、層間絶縁層13内に形成されたn個の配線層からなる。n個のゲート配線14は、層間絶縁層13内に選択的に引き回され、パワートランジスタ8のn個のメインゲートGMおよびコントロールIC11(ゲート制御回路12)にそれぞれ電気的に接続されている。
n個のゲート配線14は、具体的には、互いに電気的に独立した状態でパワートランジスタ8のn個のメインゲートGM(n個のシステムゲートGS)に1対1対応の関係で電気的に接続されている。これにより、n個のゲート配線14は、コントロールIC11(ゲート制御回路12)によって生成されたn個のゲート信号Gをパワートランジスタ8のn個のメインゲートGMに個別的に伝達する。
つまり、n個のゲート配線14は、複数の単位トランジスタ10からなる集合体の中から個別制御対象として系統化すべき1つまたは複数の単位トランジスタ10のユニットゲートGUにそれぞれ電気的に接続されている。n個のゲート配線14は、個別制御対象として系統化すべき1つの単位トランジスタ10に電気的に接続された1つまたは複数のゲート配線14を含んでいてもよい。また、n個のゲート配線14は、個別制御対象として系統化すべき複数の単位トランジスタ10を並列接続させる1つまたは複数のゲート配線14を含んでいてもよい。
半導体装置1は、複数(この形態では6個)の端子電極15〜20を含む。図1では、複数の端子電極15〜20がハッチングによって示されている。複数の端子電極15〜20の個数、配置および平面形状は、パワートランジスタ8の仕様やコントロールIC11の仕様に応じて任意の形態に調整され、図1に示される形態に限定されない。複数の端子電極15〜20は、この形態では、ドレイン端子15(電源端子VBB)、ソース端子16(出力端子OUT)、入力端子17、基準端子18、イネーブル端子19およびセンス端子20を含む。
ドレイン端子15は、半導体チップ2の第2主面4を直接被覆し、第2主面4に電気的に接続されている。ドレイン端子15は、パワートランジスタ8のメインドレインDMおよびコントロールIC11に電気的に接続されている。ドレイン端子15は、パワートランジスタ8のメインドレインDMや、コントロールIC11の各種回路に電源電圧VBを伝達する。ドレイン端子15は、Ti層、Ni層、Au層、Ag層およびAl層のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。ドレイン端子15は、Ti層、Ni層、Au層、Ag層およびAl層のうちの少なくとも2つを任意の態様で積層させた積層構造を有していてもよい。
ソース端子16、入力端子17、基準端子18、イネーブル端子19およびセンス端子20は、層間絶縁層13の上に形成されている。ソース端子16は、第1主面3において第1デバイス領域6の上(above)に形成されている。ソース端子16は、パワートランジスタ8のメインソースSMおよびコントロールIC11に電気的に接続されている。ソース端子16は、パワートランジスタ8によって生成された出力電流IOUTを外部に伝達する。
入力端子17、基準端子18、イネーブル端子19およびセンス端子20は、第1主面3において第1デバイス領域6外の領域(具体的には第2デバイス領域7)の上(above)にそれぞれ形成されている。入力端子17は、コントロールIC11を駆動する入力電圧を伝達する。基準端子18は、パワートランジスタ8およびコントロールIC11に基準電圧(たとえばグランド電圧GND)を伝達する。イネーブル端子19は、コントロールIC11の一部または全部の機能を有効または無効にするための電気信号を伝達する。センス端子20は、コントロールIC11の異常を検出するための電気信号を伝達する。
ドレイン端子15を除く端子電極16〜20は、純Al層、純Cu層、AlCu合金層、AlSiCu合金層およびAlSi合金層のうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。端子電極16〜20の外面には、めっき層がそれぞれ形成されていてもよい。めっき層は、Ni層、Pd層およびAu層のうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。
図7は、図1に示す半導体装置1の一構成例を示すブロック回路図である。以下では、半導体装置1が車に搭載される場合を例にとって説明する。半導体装置1は、ドレイン端子15、ソース端子16、入力端子17、基準端子18、イネーブル端子19、センス端子20、パワートランジスタ8およびコントロールIC11を含む。
ドレイン端子15は、電源に接続される。電源電圧VBは、10V以上20V以下であってもよい。ソース端子16は、誘導性負荷Lに接続される。誘導性負荷Lは、コイル、ソレノイド、ハーネスのインダクタンス成分等であってもよい。入力端子17は、MCU(Micro Controller Unit)、DC/DCコンバータまたはLDO(Low Drop Out)に外部接続される。入力電圧は、1V以上10V以下であってもよい。基準端子18は、グランド接地される。イネーブル端子19は、MCUに接続されてもよい。イネーブル端子19には、コントロールIC11の一部または全部の機能を有効または無効にするための電気信号が入力される。センス端子20は、抵抗器に接続されてもよい。
パワートランジスタ8のメインドレインDMは、ドレイン端子15に電気的に接続されている。パワートランジスタ8のメインソースSMは、コントロールIC11(後述する電流検出回路26)およびソース端子16に電気的に接続されている。パワートランジスタ8のn個のメインゲートGMは、n個のゲート配線14を介してコントロールIC11(具体的にはゲート制御回路12)に電気的に接続されている。図7では、n個のゲート配線14が1つのラインによって簡略化して示されている。
コントロールIC11は、ゲート制御回路12、センストランジスタ21、入力回路22、電流・電圧制御回路23、保護回路24、アクティブクランプ回路25、電流検出回路26、電源逆接続保護回路27および異常検出回路28を含む。センストランジスタ21は、ドレイン、ソースおよびゲートを含む。センストランジスタ21のゲートは、ゲート制御回路12に電気的に接続されている。センストランジスタ21のドレインは、ドレイン端子15に電気的に接続されている。センストランジスタ21のソースは、電流検出回路26に電気的に接続されている。
入力回路22は、入力端子17および電流・電圧制御回路23に電気的に接続されている。入力回路22は、シュミットトリガ回路を含んでいてもよい。入力回路22は、入力端子17に印加された電気信号の波形を整形する。入力回路22によって生成された信号は、電流・電圧制御回路23に入力される。
電流・電圧制御回路23は、保護回路24、ゲート制御回路12、電源逆接続保護回路27および異常検出回路28に電気的に接続されている。電流・電圧制御回路23は、ロジック回路を含んでいてもよい。電流・電圧制御回路23は、入力回路22からの電気信号および保護回路24からの電気信号に応答して、種々の電圧および電流を生成する。電流・電圧制御回路23は、この形態では、駆動電圧生成回路29、第1定電圧生成回路30、第2定電圧生成回路31および基準電圧・電流生成回路32を含む。
駆動電圧生成回路29は、ゲート制御回路12を駆動するための駆動電圧を生成する。駆動電圧は、電源電圧VBから所定値を差し引いた値に設定されてもよい。駆動電圧生成回路29は、電源電圧VBから5Vを差し引いた5V以上15V以下の駆動電圧を生成してもよい。駆動電圧は、ゲート制御回路12に入力される。
第1定電圧生成回路30は、保護回路24を駆動するための第1定電圧を生成する。第1定電圧生成回路30は、ツェナダイオードやレギュレータ回路(ここではツェナダイオード)を含んでいてもよい。第1定電圧は、1V以上5V以下であってもよい。第1定電圧は、保護回路24(具体的には、後述する負荷オープン検出回路34等)に入力される。
第2定電圧生成回路31は、保護回路24を駆動するための第2定電圧を生成する。第2定電圧生成回路31は、ツェナダイオードやレギュレータ回路(ここではレギュレータ回路)を含んでいてもよい。第2定電圧は、1V以上5V以下であってもよい。第2定電圧は、保護回路24(具体的には、後述する過熱保護回路35や低電圧誤動作抑制回路36)に入力される。
基準電圧・電流生成回路32は、各種回路の基準電圧および基準電流を生成する。基準電圧は、1V以上5V以下であってもよい。基準電流は、1mA以上1A以下であってもよい。基準電圧および基準電流は、各種回路に入力される。各種回路がコンパレータを含む場合、基準電圧および基準電流は、当該コンパレータに入力されてもよい。
保護回路24は、電流・電圧制御回路23、ゲート制御回路12、異常検出回路28、パワートランジスタ8のソースおよびセンストランジスタ21のソースに電気的に接続されている。保護回路24は、過電流保護回路33、負荷オープン検出回路34、過熱保護回路35および低電圧誤動作抑制回路36を含む。
過電流保護回路33は、ゲート制御回路12およびセンストランジスタ21のソースに電気的に接続されている。過電流保護回路33は、パワートランジスタ8を流れる出力電流を検出して一定値以下に制限することによって、過電流からパワートランジスタ8を保護する。過電流保護回路33は、電流モニタ回路を含んでいてもよい。過電流保護回路33によって生成された信号は、ゲート制御回路12(具体的には、後述する駆動信号出力回路)に入力される。
負荷オープン検出回路34は、電流・電圧制御回路23およびパワートランジスタ8のメインソースSMに電気的に接続されている。負荷オープン検出回路34は、負荷のオープン状態を検出する。負荷オープン検出回路34によって生成された信号は、電流・電圧制御回路23に入力される。
過熱保護回路35は、電流・電圧制御回路23に電気的に接続されている。過熱保護回路35は、パワートランジスタ8の温度を監視し、過度な温度上昇からパワートランジスタ8を保護する。過熱保護回路35は、パワートランジスタ8の温度が所定の閾値に達したとき、または、パワートランジスタ8および他の回路の温度差が所定の閾値に達したときに、パワートランジスタ8を強制的にオフ状態に制御する。過熱保護回路35は、感温ダイオードやサーミスタ等の感温デバイスを含んでいてもよい。過熱保護回路35によって生成された信号は、電流・電圧制御回路23に入力される。
低電圧誤動作抑制回路36は、電流・電圧制御回路23に電気的に接続されている。低電圧誤動作抑制回路36は、電源電圧VBが所定値未満である場合にパワートランジスタ8が誤動作するのを抑制する。低電圧誤動作抑制回路36によって生成された信号は、電流・電圧制御回路23に入力される。
ゲート制御回路12は、電流・電圧制御回路23、保護回路24、パワートランジスタ8のn個のメインゲートGM、および、センストランジスタ21のゲートに電気的に接続されている。ゲート制御回路12は、発振回路やチャージポンプ回路を含んでいてもよい。ゲート制御回路12は、電流・電圧制御回路23からの電気信号および保護回路24からの電気信号に応答して、パワートランジスタ8のオンオフを制御する。
ゲート制御回路12は、n個のゲート配線14に出力すべきn個のゲート信号Gを生成する。n個のゲート信号Gは、n個のゲート配線14を介してパワートランジスタ8に入力される。これにより、パワートランジスタ8のオンオフが制御される。また、ゲート制御回路12は、センストランジスタ21のオンオフを制御する。ゲート制御回路12は、電流・電圧制御回路23からの電気信号および保護回路24からの電気信号に応答して、センストランジスタ21のゲートに出力すべきゲート信号を生成する。これにより、センストランジスタ21のオンオフが制御される。センストランジスタ21は、パワートランジスタ8と同時に制御されることが好ましい。
アクティブクランプ回路25は、ドレイン端子15、パワートランジスタ8のメインゲートGMおよびセンストランジスタ21のゲートに電気的に接続されている。アクティブクランプ回路25は、逆起電力からパワートランジスタ8を保護する。アクティブクランプ回路25は、複数のダイオードを含んでいてもよい。アクティブクランプ回路25は、逆バイアス接続された第1ダイオード列および第2ダイオード列を含むダイオード対を有していてもよい。
第1ダイオード列は、順方向直列接続された1つまたは複数のダイオードを含む。第2ダイオード列は、順方向直列接続された1つまたは複数のダイオードを含み、第1ダイオード列に逆バイアス接続されている。第1ダイオード列を構成する1つまたは複数のダイオードは、pn接合ダイオードおよびツェナダイオードのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。第2ダイオード列を構成する1つまたは複数のダイオードは、pn接合ダイオードおよびツェナダイオードのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。
電流検出回路26は、保護回路24、異常検出回路28、パワートランジスタ8のソースおよびセンストランジスタ21のソースに電気的に接続されている。電流検出回路26は、パワートランジスタ8およびセンストランジスタ21を流れる電流を検出し、電流検出信号を生成する。電流検出信号は、異常検出回路28に入力される。
電源逆接続保護回路27は、基準端子18および電流・電圧制御回路23に電気的に接続されている。電源逆接続保護回路27は、電源が逆接続された際に、逆電圧から電流・電圧制御回路23やパワートランジスタ8等を保護する。
異常検出回路28は、電流・電圧制御回路23、保護回路24および電流検出回路26に電気的に接続されている。異常検出回路28は、保護回路24の電圧を監視する。過電流保護回路33、負荷オープン検出回路34、過熱保護回路35および低電圧誤動作抑制回路36のいずれかに異常(電圧の変動等)が生じた場合、異常検出回路28は、保護回路24の電圧に応じた異常検出信号を生成し、外部に出力する。
異常検出回路28は、具体的には、第1マルチプレクサ回路37および第2マルチプレクサ回路38を含む。第1マルチプレクサ回路37は、2つの入力部、1つの出力部および1つの選択入力部を含む。第1マルチプレクサ回路37の入力部には、保護回路24および電流検出回路26がそれぞれ接続されている。第1マルチプレクサ回路37の出力部には、第2マルチプレクサ回路38が接続されている。第1マルチプレクサ回路37の選択入力部には、電流・電圧制御回路23が接続されている。
第1マルチプレクサ回路37は、電流・電圧制御回路23からの電気信号、保護回路24からの電圧検出信号および電流検出回路26からの電流検出信号に応答して、異常検出信号を生成する。第1マルチプレクサ回路37によって生成された異常検出信号は、第2マルチプレクサ回路38に入力される。第2マルチプレクサ回路38は、2つの入力部および1つの出力部を含む。第2マルチプレクサ回路38の入力部には、第1マルチプレクサ回路37の出力部およびイネーブル端子19がそれぞれ接続されている。第2マルチプレクサ回路38の出力部には、センス端子20が接続されている。
イネーブル端子19にMCUが接続され、センス端子20に抵抗器が接続されている場合、MCUからイネーブル端子19にオン信号が入力され、センス端子20から異常検出信号が取り出される。異常検出信号は、センス端子20に電気的に接続された抵抗器によって電圧信号に変換される。半導体装置1の状態異常は、この電圧信号に基づいて検出される。
図8A〜図8Cは、図5にそれぞれ対応し、パワートランジスタ8の動作例を説明するための回路図である。図8Aを参照して、n個のゲート配線14の全てにゲート閾値電圧を超えるゲート信号G(つまりオン信号)が入力されると、全ての系統トランジスタ9がオン状態になる。この場合、パワートランジスタ8は、全ての電流経路が解放された状態でオン状態になる。したがって、パワートランジスタ8のチャネル利用率が相対的に増加し、オン抵抗Ronが相対的に減少する。
図8Bを参照して、x個(1≦x<n)のゲート配線14にゲート閾値電圧を超えるゲート信号G(つまりオン信号)が入力され、(n−x)個のゲート配線14にゲート閾値電圧未満のゲート信号G(つまりオフ信号)が入力されると、x個の系統トランジスタ9がオン状態になり、(n−x)個の系統トランジスタ9がオフ状態になる。この場合、パワートランジスタ8は、一部の電流経路が閉じた状態でオン状態になる。したがって、パワートランジスタ8のチャネル利用率が相対的に減少し、オン抵抗Ronが相対的に増加する。
図8Cを参照して、n個のゲート配線14の全てにゲート閾値電圧未満のゲート信号G(つまりオフ信号)が入力されると、全ての電流経路が閉じた状態になる。これにより、全ての系統トランジスタ9がオフ状態になり、パワートランジスタ8がオフ状態になる。
次に、図9〜図15を参照して、第1デバイス領域6(パワートランジスタ8)の具体的な構造を説明する。図9は、図3に示す領域IXの拡大図である。図10は、図9に示す領域Xの拡大図である。図11は、図9に示す領域XIの拡大図である。図12は、図10に示すXII-XII線に沿う断面図である。図13は、図10に示すXIII-XIII線に沿う断面図である。図14は、図12に示す単位セル50を拡大して示す要部断面図である。図15は、図9に示す第1デバイス領域6の要部を示す断面斜視図である。図15では、便宜上、第1主面3の上の構造を省略し、ゲート配線14等を簡略化している。
図9〜図15(特に図12および図13)を参照して、半導体装置1は、半導体チップ2の第2主面4の表層部に形成されたn型(第1導電型)のドレイン領域41(第1不純物領域)を含む。ドレイン領域41は、パワートランジスタ8のメインドレインDMを形成している。ドレイン領域41は、第2主面4の表層部の全域に形成され、第2主面4および第1〜第4側面5A〜5Dから露出している。ドレイン領域41のn型不純物濃度は、1×1018cm−3以上1×1021cm−3以下であってもよい。ドレイン領域41は、この形態では、半導体基板(Si基板)によって形成されている。
ドレイン領域41の厚さは、10μm以上450μm以下であってもよい。ドレイン領域41の厚さは、10μm以上50μm以下、50μm以上150μm以下、150μm以上250μm以下、250μm以上350μm以下、350μm以上450μm以下であってもよい。ドレイン領域41の厚さは、50μm以上150μm以下であることが好ましい。
半導体装置1は、半導体チップ2の第1主面3の表層部に形成されたn型のドリフト領域42(第2不純物領域)を含む。ドリフト領域42は、ドレイン領域41と共にパワートランジスタ8のメインドレインDMを形成している。ドリフト領域42は、ドレイン領域41に電気的に接続されるように第1主面3の表層部の全域に形成され、第1主面3および第1〜第4側面5A〜5Dから露出している。
ドリフト領域42は、ドレイン領域41のn型不純物濃度未満のn型不純物濃度を有している。ドリフト領域42のn型不純物濃度は、1×1015cm−3以上1×1018cm−3以下であってもよい。ドリフト領域42は、この形態では、エピタキシャル層(Siエピタキシャル層)によって形成されている。
ドリフト領域42は、ドレイン領域41の厚さ未満の厚さを有している。ドリフト領域42の厚さは、5μm以上20μm以下であってもよい。ドリフト領域42の厚さは、5μm以上10μm以下、10μm以上15μm以下、または、15μm以上20μm以下であってもよい。ドリフト領域42の厚さは、5μm以上15μm以下であることが好ましい。
半導体装置1は、第1主面3において第1デバイス領域6を区画する領域分離構造の一例としてのトレンチ分離構造43(trench separation structure)を含む。トレンチ分離構造43は、DTI(deep trench isolation)構造、または、STI(shallow trench isolation)構造と称されてもよい。
トレンチ分離構造43は、平面視において第1主面3の一部の領域を取り囲む環状に形成され、所定形状の第1デバイス領域6を区画している。トレンチ分離構造43は、この形態では、平面視において第1〜第4側面5A〜5Dに平行な4辺を有する四角環状に形成され、四角形状の第1デバイス領域6を区画している。トレンチ分離構造43の平面形状は任意であり、多角環状に形成されていてもよい。第1デバイス領域6は、トレンチ分離構造43の平面形状に応じて多角形状に区画されていてもよい。
トレンチ分離構造43は、第1幅W1を有している。第1幅W1は、トレンチ分離構造43が延びる方向に直交する方向の幅である。第1幅W1は、0.5μm以上2.5μm以下であってもよい。第1幅W1は、0.5μm以上1μm以下、1μm以上1.5μm以下、1.5μm以上2μm以下、または、2μm以上2.5μm以下であってもよい。第1幅W1は、1.2μm以上2μm以下であることが好ましい。
トレンチ分離構造43は、第1深さD1を有している。第1深さD1は、1μm以上10μm以下であってもよい。第1深さD1は、1μm以上2.5μm以下、2.5μm以上5μm以下、5μm以上7.5μm以下、または、7.5μm以上10μm以下であってもよい。第1深さD1は、2μm以上6μm以下であることが好ましい。
トレンチ分離構造43のアスペクト比D1/W1は、1を超えて5以下であってもよい。アスペクト比D1/W1は、第1幅W1に対する第1深さD1の比である。アスペクト比D1/W1は、2以上であることが好ましい。トレンチ分離構造43の底壁は、ドリフト領域42の底部に対して1μm以上10μm以下の間隔を空けて形成されていることが好ましい。トレンチ分離構造43の底壁は、ドリフト領域42の底部に対して1μm以上5μm以下の間隔を空けて形成されていることが特に好ましい。
トレンチ分離構造43は、第1方向Xに延びる部分および第2方向Yに延びる部分を円弧状に接続する角部を有している。この形態では、トレンチ分離構造43の四隅が、円弧状に形成されている。つまり、第1デバイス領域6は、円弧状にそれぞれ延びる四隅を有する四角形状に区画されている。トレンチ分離構造43の角部は、円弧方向に沿って一定の第1幅W1を有していることが好ましい。
トレンチ分離構造43は、分離トレンチ44、分離絶縁膜45(分離絶縁体)および分離電極46を含むシングル電極構造を有している。分離トレンチ44は、第1主面3から第2主面4に向けて掘り下がっている。分離トレンチ44は、ドリフト領域42の底部から第1主面3側に間隔を空けて形成されている。
分離トレンチ44は、側壁および底壁を含む。分離トレンチ44の側壁が半導体チップ2内において第1主面3との間で成す角度は、90°以上92°以下であってもよい。分離トレンチ44は、開口から底壁に向けて開口幅が狭まる先細り形状に形成されていてもよい。分離トレンチ44の底壁角部は、湾曲状に形成されていることが好ましい。分離トレンチ44の底壁の全体が、第2主面4に向かう湾曲状に形成されていてもよい。
分離絶縁膜45は、分離トレンチ44の壁面に形成されている。分離絶縁膜45は、具体的には、分離トレンチ44の壁面の全域に膜状に形成され、分離トレンチ44内においてU字状のリセス空間を区画している。分離絶縁膜45は、この形態では、酸化シリコン膜を含む。
分離絶縁膜45は、分離厚さTを有している。分離厚さTは、分離トレンチ44の壁面の法線方向に沿う分離絶縁膜45の厚さである。分離厚さTは、0.1μm以上1μm以下であってもよい。分離厚さTは、0.1μm以上0.25μm以下、0.25μm以上0.5μm以下、0.5μm以上0.75μm以下、または、0.75μm以上1μm以下であってもよい。分離厚さTは、0.15μm以上0.65μm以下であることが好ましい。
分離電極46は、分離絶縁膜45を挟んで分離トレンチ44に一体物(integrated member)として埋設されている。分離電極46は、この形態では、導電性ポリシリコンを含む。分離電極46には、基準電圧としてのソース電圧(たとえばグランド電圧)が印加されてもよい。
半導体装置1は、第1デバイス領域6において第1主面3の表層部に形成されたp型(第2導電型)のボディ領域47を含む。ボディ領域47のp型不純物濃度は、1×1016cm−3以上1×1018cm−3以下であってもよい。ボディ領域47は、第1デバイス領域6において第1主面3の表層部全域に形成され、トレンチ分離構造43に接している。ボディ領域47は、トレンチ分離構造43の底壁に対して第1主面3側の領域に形成されている。ボディ領域47は、具体的には、トレンチ分離構造43の中間部に対して第1主面3側の領域に形成されている。
半導体装置1は、第1デバイス領域6において第1主面3に形成されたパワートランジスタ8を含む。パワートランジスタ8は、トレンチ分離構造43から間隔を空けて第1主面3に形成されている。パワートランジスタ8は、具体的には、第1デバイス領域6の第1主面3に集約して形成された複数の単位トランジスタ10を含む。図9では、96個の単位トランジスタ10が形成された例が示されているが、複数の単位トランジスタ10の個数は任意である。
系統トランジスタ9として系統化可能な単位トランジスタ10の総数は、この形態では、「96」であり、パワートランジスタ8の最大系統数は「96」である。複数の単位トランジスタ10に接続されるゲート配線14の本数が調整されることにより、最大で96個のゲート信号Gが96個の単位トランジスタ10に1対1対応の関係で個別入力され得る。系統数を増加させることにより、n個の系統トランジスタ9に入力されるゲート信号Gの組み合わせパターンを増加させることができる。
複数の単位トランジスタ10は、第1方向Xおよび第2方向Yに間隔を空けて第1主面3に離散的に配列されている。複数の単位トランジスタ10は、平面視において第1主面3に十字路およびT字路の少なくとも1つが区画されるように配列されている。複数の単位トランジスタ10は、この形態では、平面視において複数の十字路が区画されるように第1方向Xおよび第2方向Yに間隔を空けて行列状(6行16列)に配列されている。つまり、複数の単位トランジスタ10は、第1方向Xに一列に並んで配列され、かつ、第2方向Yに一列に並んで配列されている。複数の単位トランジスタ10は、具体的には、第1方向Xに等間隔に配列され、かつ、第2方向Yに等間隔に配列されている。
図10および図11を参照して、複数の単位トランジスタ10は、具体的には、単位セル50によってそれぞれ構成されている。各単位セル50は、第1主面3に形成された1つのトレンチゲート構造51、および、第2方向Yからトレンチゲート構造51に隣接するチャネルセル52を含む。各トレンチゲート構造51は、各単位トランジスタ10のユニットゲートGUを形成している。チャネルセル52は、トレンチゲート構造51によって電流経路の開閉が制御される領域である。
単位セル50のセル幅は、1μm以上5μm以下であってもよい。セル幅は、単位セル50の第2方向Yの幅である。単位セル50の第1方向Xの長さは任意であり、トレンチゲート構造51の長さによって調整される。以下、1つの単位トランジスタ10(単位セル50)の構造について説明した後、複数の単位トランジスタ10(単位セル50)の配置について説明する。
トレンチゲート構造51は、この形態では、平面視において第1方向Xに延びる帯状(長方形状)に形成されている。トレンチゲート構造51は、正方形状に形成されていてもよい。トレンチゲート構造51は、第2幅W2を有している。第2幅W2は、トレンチゲート構造51の第2方向Y(短手方向)の幅である。第2幅W2は、トレンチ分離構造43の第1幅W1未満(W2<W1)であることが好ましい。第2幅W2は、0.5μm以上2μm以下であってもよい。第2幅W2は、0.5μm以上1μm以下、1μm以上1.5μm以下、または、1.5μm以上2μm以下であってもよい。第2幅W2は、0.5μm以上1.5μm以下であることが好ましい。
トレンチゲート構造51は、第1方向Xに第1長さL1を有している。第1長さL1は任意であるが、熱の放散経路およびオン抵抗Ronに基づいて設定される。すなわち、第1長さL1を大きくすると、チャネルセル52で生じた熱の放散経路がトレンチゲート構造51によって制限されるため、温度上昇しやすくなる。一方、第1長さL1を小さくすると、チャネルセル52が形成されるべき領域も小さくなる。その結果、チャネルセル52の狭小化に起因してオン抵抗Ronが上昇しやすくなる。
第1長さL1は、第2幅W2以上(W2≦L1)であることが好ましい。これにより、チャネルセル52の狭小化を抑制できる。第1長さL1は、第2幅W2を超えている(W2<L1)ことが特に好ましい。第1長さL1は、第2幅W2の1倍以上5倍以下であることが好ましい。この範囲の第1長さL1によれば、熱の放散経路を確保しながら、チャネルセル52の狭小化を抑制できる。第1長さL1は、0.5μm以上10μm以下であってもよい。第1長さL1は、0.5μm以上2.5μm以下、2.5μm以上5μm以下、5μm以上7.5μm以下、または、7.5μm以上10μm以下であってもよい。
トレンチゲート構造51は、第2深さD2をそれぞれ有している。第2深さD2は、トレンチ分離構造43の第1深さD1とほぼ等しくてもよい(D2≒D1)。第2深さD2は、第1深さD1未満(D2<D1)であることが好ましい。第2深さD2は、1μm以上10μm以下であってもよい。第2深さD2は、1μm以上2.5μm以下、2.5μm以上5μm以下、5μm以上7.5μm以下、または、7.5μm以上10μm以下であってもよい。第2深さD2は、2μm以上6μm以下であることが好ましい。
トレンチゲート構造51のアスペクト比D2/W2は、1を超えて5以下であってもよい。アスペクト比D2/W2は、第2幅W2に対する第2深さD2の比である。アスペクト比D2/W2は、2以上であることが特に好ましい。トレンチゲート構造51の底壁は、ドリフト領域42の底部に対して1μm以上10μm以下の間隔を空けて形成されていることが好ましい。トレンチゲート構造51の底壁は、ドリフト領域42の底部に対して1μm以上5μm以下の間隔を空けて形成されていることが特に好ましい。
トレンチゲート構造51は、ゲートトレンチ53、上絶縁膜54、下絶縁膜55、上電極56、下電極57および中間絶縁膜58を含むマルチ電極構造を有している。上絶縁膜54、下絶縁膜55および中間絶縁膜58は1つの絶縁体として一体的に形成されている。これにより、上電極56および下電極57は、絶縁体によって上下方向に絶縁分離されるようにゲートトレンチ53内に埋設されている。
ゲートトレンチ53は、第1主面3から第2主面4に向けて掘り下がっている。ゲートトレンチ53は、ボディ領域47を貫通し、ドリフト領域42の底部から第1主面3側に間隔を空けて形成されている。
ゲートトレンチ53は、側壁および底壁を含む。ゲートトレンチ53の側壁が半導体チップ2内において第1主面3との間で成す角度は、90°以上92°以下であってもよい。ゲートトレンチ53は、開口から底壁に向けて開口幅が狭まる先細り形状に形成されていてもよい。ゲートトレンチ53の底壁角部は、湾曲状に形成されていることが好ましい。ゲートトレンチ53の底壁の全体が、第2主面4に向かう湾曲状に形成されていてもよい。
上絶縁膜54は、ゲートトレンチ53の上壁面を被覆している。上絶縁膜54は、具体的には、ボディ領域47の底部に対してゲートトレンチ53の開口側の領域に位置する上壁面を被覆している。上絶縁膜54の下方部は、ドリフト領域42およびボディ領域47の境界を横切っている。上絶縁膜54は、ボディ領域47を被覆する部分、および、ドリフト領域42を被覆する部分を有している。ボディ領域47に対する上絶縁膜54の被覆面積は、ドリフト領域42に対する上絶縁膜54の被覆面積よりも大きい。上絶縁膜54は、この形態では、酸化シリコンを含む。上絶縁膜54は、ゲート絶縁膜として形成されている。
上絶縁膜54は、分離絶縁膜45の分離厚さT未満の第1厚さT1(T1<T)を有している。第1厚さT1は、ゲートトレンチ53の壁面の法線方向に沿う上絶縁膜54の厚さである。第1厚さT1は、0.01μm以上0.05μm以下であってもよい。第1厚さT1は、0.01μm以上0.02μm以下、0.02μm以上0.03μm以下、0.03μm以上0.04μm以下、または、0.04μm以上0.05μm以下であってもよい。第1厚さT1は、0.02μm以上0.04μm以下であることが好ましい。
下絶縁膜55は、ゲートトレンチ53の下壁面を被覆している。下絶縁膜55は、具体的には、ボディ領域47の底部に対してゲートトレンチ53の底壁側の領域に位置する下壁面を被覆している。下絶縁膜55は、ゲートトレンチ53の底壁側の領域においてU字状のリセス空間を区画している。下絶縁膜55は、ドリフト領域42に接している。下絶縁膜55は、この形態では、酸化シリコンを含む。下絶縁膜55は、フィールド絶縁膜として形成されている。
下絶縁膜55は、上絶縁膜54の第1厚さT1を超える第2厚さT2(T1<T2)を有している。第2厚さT2は、分離絶縁膜45の分離厚さTとほぼ等しくてもよい(T2≒T)。第2厚さT2は、ゲートトレンチ53の壁面の法線方向に沿う下絶縁膜55の厚さである。第2厚さT2は、0.1μm以上1μm以下であってもよい。第2厚さT2は、0.1μm以上0.25μm以下、0.25μm以上0.5μm以下、0.5μm以上0.75μm以下、または、0.75μm以上1μm以下であってもよい。第2厚さT2は、0.15μm以上0.65μm以下であることが好ましい。
上電極56は、上絶縁膜54を挟んでゲートトレンチ53内の上側(開口側)に埋設されている。上電極56は、平面視において第1方向Xに延びる帯状(長方形状)に形成されている。上電極56は、上絶縁膜54を挟んでボディ領域47およびドリフト領域42に対向している。ボディ領域47に対する上電極56の対向面積は、ドリフト領域42に対する上電極56の対向面積よりも大きい。上電極56は、この形態では、導電性ポリシリコンを含む。上電極56は、ゲート電極として形成されている。上電極56には、ゲート信号Gが印加される。
下電極57は、下絶縁膜55を挟んでゲートトレンチ53内の下側(底壁側)に埋設されている。下電極57は、下絶縁膜55を挟んでドリフト領域42に対向している。下電極57は、下絶縁膜55から第1主面3側に突出した上端部を有している。下電極57の上端部は、上電極56の底部に咬合するように上電極56に向けて延びている。これにより、下電極57の上端部は、第2方向Yに関して、上電極56の底部を挟んで上絶縁膜54に対向している。
下電極57は、この形態では、導電性ポリシリコンを含む。下電極57は、ゲート電極として形成され、上電極56と同電位に固定されている。したがって、上電極56と同時に下電極57にゲート信号Gが印加され、下電極57は上電極56と同時に制御される。これにより、上電極56および下電極57の間の電圧降下を抑制できるから、上電極56および下電極57の間の電界集中を抑制できる。また、半導体チップ2(特にドリフト領域42)のオン抵抗Ronを削減できる。
中間絶縁膜58は、上電極56および下電極57の間に介在し、上電極56および下電極57を電気的に絶縁させている。中間絶縁膜58は、具体的には、上電極56および下電極57の間の領域において下絶縁膜55から露出する下電極57(上端部)を被覆している。中間絶縁膜58は、上絶縁膜54および下絶縁膜55に連なっている。中間絶縁膜58は、この形態では、酸化シリコンを含む。
中間絶縁膜58は、法線方向Zに関して、下絶縁膜55の第2厚さT2未満の第3厚さT3(T3<T2)を有している。第3厚さT3は、0.01μm以上0.05μm以下であってもよい。第3厚さT3は、0.01μm以上0.02μm以下、0.02μm以上0.03μm以下、0.03μm以上0.04μm以下、または、0.04μm以上0.05μm以下であってもよい。第3厚さT3は、0.02μm以上0.04μm以下であることが好ましい。
単位セル50は、この形態では、第2方向Yの両サイドからトレンチゲート構造51に隣接する一対のチャネルセル52を含む。つまり、一対のチャネルセル52は、トレンチゲート構造51を第2方向Yから挟み込むように、トレンチゲート構造51の一方側の側壁および他方側の側壁に沿って形成されている。一対のチャネルセル52は、第1方向Xに延びる帯状にそれぞれ形成されている。一対のチャネルセル52は、第2方向Yに関して、チャネル幅WCをそれぞれ有している。チャネル幅WCは、0.1μm以上1μm以下であってもよい。
一対のチャネルセル52は、第1方向Xからトレンチゲート構造51に隣接していない。したがって、単位セル50は、トレンチゲート構造51に第2方向Yのみから隣接する一対のチャネルセル52を含む。この構造によれば、トレンチゲート構造51の全周に電流経路が形成されることを抑制できる。つまり、この形態では、トレンチゲート構造51の第1方向Xの両サイドにおける発熱が抑制されている。
一対のチャネルセル52は、第1方向Xに関して、第2長さL2をそれぞれ有している。第2長さL2は、第1長さL1以下(L2≦L1)であることが好ましい。第2長さL2は、第1長さL1未満(L2<L1)であることが特に好ましい。これらの場合、チャネルセル52の全域が、上絶縁膜54を挟んで上電極56に対向する。第2長さL2は、0.5μm以上10μm以下であってもよい。第2長さL2は、0.5μm以上2.5μm以下、2.5μm以上5μm以下、5μm以上7.5μm以下、または、7.5μm以上10μm以下であってもよい。
一対のチャネルセル52は、ボディ領域47の表層部においてトレンチゲート構造51の側壁に沿う領域に形成されたn型のソース領域60(制御領域)をそれぞれ含む。一対のチャネルセル52に含まれるソース領域60の個数は任意であり、各チャネルセル52は2以上のソース領域60を含んでいてもよい。一対のチャネルセル52は、この形態では、1つのソース領域60をそれぞれ含む。単位セル50に含まれる1つまたは複数のソース領域60は、単位トランジスタ10のユニットソースSU(パワートランジスタ8のメインソースSMの一部)を形成している。
ソース領域60のn型不純物濃度は、ドリフト領域42のn型不純物濃度を超えている。ソース領域60のn型不純物濃度は、1×1018cm−3以上1×1021cm−3以下であってもよい。複数のソース領域60は、各チャネルセル52において第1方向Xに間隔を空けて形成されている。複数のソース領域60の底部は、ボディ領域47の底部に対して第1主面3側の領域に位置している。
一対のチャネルセル52は、ボディ領域47内において複数のソース領域60およびドリフト領域42の間に画定された複数のチャネル領域62を含む。複数のチャネル領域62のオンオフは、トレンチゲート構造51によって同時に制御される。したがって、複数のチャネル領域62は、単位トランジスタ10の1つのチャネルを形成している。
複数の単位セル50は、複数のトレンチゲート構造51が第1方向Xおよび第2方向Yに間隔を空けて第1主面3に離散的に配列されるように形成されている。複数のトレンチゲート構造51は、平面視において第1主面3に十字路およびT字路の少なくとも1つが区画されるように配列されている。複数のトレンチゲート構造51は、この形態では、平面視において複数の十字路が区画されるように第1方向Xおよび第2方向Yに間隔を空けて行列状(6行16列)に配列されている。
つまり、複数のトレンチゲート構造51は、第1方向Xに一列に並んで配列され、かつ、第2方向Yに一列に並んで配列されている。複数のトレンチゲート構造51は、具体的には、第1方向Xに等間隔に配列され、かつ、第2方向Yに等間隔に配列されている。これにより、第1主面3には、複数のトレンチゲート構造51によって、複数の十字路を有する格子状に延びるメサ部63が区画されている。つまり、メサ部63は、第1方向Xに延びる第1メサ部63A、および、第2方向Yに延びる第2メサ部63Bを含む。
複数の単位セル50は、この形態では、第2方向Yに隣接する2つの単位セル50のチャネルセル52同士がメサ部63(具体的には第1メサ部63A)において一体化するようにそれぞれ形成されている。このような構造においても、各単位セル50のチャネル領域62のオンオフは、単位セル50毎にトレンチゲート構造51によって制御される。
すなわち、近接する一対の単位セル50について見たとき、一方の単位セル50(トレンチゲート構造51)がオン状態に制御され、他方の単位セル50(トレンチゲート構造51)がオフ状態に制御された場合、当該一方の単位セル50のチャネル領域62はオン状態になるが、他方の単位セル50のチャネル領域62はオン状態にならない。したがって、外部からの電気的な接続がない限り、複数の単位セル50(トレンチゲート構造51)はそれぞれ電気的に独立している。これにより、各単位セル50が、1つの単位トランジスタ10として機能している。
第2方向Yに関して、最も外側に配置された複数の単位セル50は、この形態では、トレンチ分離構造43側においてチャネルセル52を含まない。このような構造によれば、主要な電流経路をメサ部63に制限できると同時に、トレンチゲート構造51およびトレンチ分離構造43の間におけるリーク電流を抑制できる。
複数のトレンチゲート構造51は、第1方向Xに第1間隔I1を開けて形成されている。第1間隔I1は、複数のトレンチゲート構造51から拡がる空乏層が、複数のトレンチゲート構造51の底壁よりも下方で一体化する値に設定されることが好ましい。第1間隔I1は、第1長さL1以下(I1≦L1)であってもよく、第1長さL1未満(I1<L1)であることが好ましい。第1間隔I1は、第2長さL2以下(I1≦L2)であってもよく、第2長さL2未満(I1<L2)であることが好ましい。
第1間隔I1は、第2幅W2の0.25倍以上、かつ、第2幅W2の1.5倍以下であってもよい。第1間隔I1は、第2幅W2以下(I1≦W2)であることが好ましい。第1間隔I1は、0.5μm以上2μm以下であってもよい。第1間隔I1は、0.5μm以上1μm以下、1μm以上1.5μm以下、または、1.5μm以上2μm以下であってもよい。第1間隔I1は、0.4μm以上1.6μm以下であることが好ましい。
複数のトレンチゲート構造51は、第2方向Yに第2間隔I2を開けて形成されている。第2間隔I2は、この形態では、チャネル幅WCを2倍した値に相当する。第2間隔I2は、複数のトレンチゲート構造51から拡がる空乏層が、複数のトレンチゲート構造51の底壁よりも下方で一体化する値に設定されることが好ましい。第2間隔I2は、第1長さL1以下(I2≦L1)であってもよく、第1長さL1未満(I2<L1)であることが好ましい。第2間隔I2は、第2長さL2以下(I2≦L2)であってもよく、第2長さL2未満(I2<L2)であることが好ましい。
第2間隔I2は、第2幅W2の0.25倍以上、かつ、第2幅W2の1.5倍以下であってもよい。第2間隔I2は、第2幅W2以下(I2≦W2)であることが好ましい。第2間隔I2は、第1間隔I1と等しくてもよい。第2間隔I2は、0.5μm以上2μm以下であってもよい。第2間隔I2は、0.5μm以上1μm以下、1μm以上1.5μm以下、または、1.5μm以上2μm以下であってもよい。第2間隔I2は、0.4μm以上1.6μm以下であることが好ましい。
図12および図13を参照して、半導体装置1は、第1主面3においてトレンチ分離構造43の周囲を選択的に被覆するフィールド絶縁膜80を含む。フィールド絶縁膜80は、この形態では、酸化シリコン膜を含む。フィールド絶縁膜80は、上絶縁膜54の第1厚さT1を超える厚さを有している。フィールド絶縁膜80の厚さは、下絶縁膜55の第2厚さT2以下であってもよい。
フィールド絶縁膜80は、第1デバイス領域6外の外側フィールド絶縁膜81、および、第1デバイス領域6内の内側フィールド絶縁膜82を含む。外側フィールド絶縁膜81は、第1主面3において第1デバイス領域6外の領域を被覆し、トレンチ分離構造43の外周壁から露出する分離絶縁膜45に連なっている。内側フィールド絶縁膜82は、第1主面3において第1デバイス領域6の周縁部を被覆し、トレンチ分離構造43の内周壁から露出する分離絶縁膜45に連なっている。
半導体装置1は、第1デバイス領域6において第1主面3を選択的に被覆する主面絶縁膜83を含む。主面絶縁膜83は、この形態では、酸化シリコン膜を含む。主面絶縁膜83は、第1主面3において分離トレンチ44およびゲートトレンチ53外の領域被覆し、上絶縁膜54および内側フィールド絶縁膜82に連なっている。主面絶縁膜83は、内側フィールド絶縁膜82(フィールド絶縁膜80)の厚さ未満の厚さを有している。主面絶縁膜83の厚さは、上絶縁膜54の第1厚さT1とほぼ等しくてもよい。
半導体装置1は、第1主面3を被覆する前述の層間絶縁層13を含む。半導体装置1は、層間絶縁層13に埋設された複数のプラグ電極91〜93(接続電極)を含む。複数のプラグ電極91〜93は、複数のゲートプラグ電極91(第1接続電極)、複数のチャネルプラグ電極92(第2接続電極)および複数の分離プラグ電極93(第3接続電極)を含む。図9〜図11では、複数のプラグ電極91〜93が、X印によって示されている。
複数のゲートプラグ電極91は、層間絶縁層13において複数のトレンチゲート構造51を被覆する部分にそれぞれ埋設されている。つまり、複数のゲートプラグ電極91は、第1方向Xおよび第2方向Yに間隔を空けて層間絶縁層13に埋設され、1対1対応の関係で複数のトレンチゲート構造51にそれぞれ接続されている。各ゲートプラグ電極91は、この形態では、トレンチゲート構造51の周縁(つまりゲートトレンチ53の側壁)から内方に間隔を空けて、トレンチゲート構造51の周縁によって取り囲まれた領域に接続されている。
各ゲートプラグ電極91は、平面視において第1方向Xに延びる帯状(長方形状)に形成されている。各ゲートプラグ電極91は、平面視においてトレンチゲート構造51の中央部を第1方向Xおよび第2方向Yから横切っていることが好ましい。各ゲートプラグ電極91の平面形状は任意である。各ゲートプラグ電極91は、平面視において円形状または正方形状に形成されていてもよい。
各ゲートプラグ電極91は、ゲートトレンチ53外に位置する第1部分91A、および、ゲートトレンチ53内に位置する第2部分92Bを含む。第1部分91Aは、層間絶縁層13を貫通し、各トレンチゲート構造51の上電極56に至っている。第2部分92Bは、第1部分91Aから上電極56および中間絶縁膜58を貫通し、下電極57に至っている。つまり、各ゲートプラグ電極91は、ゲートトレンチ53内において、下電極57に接する底部、および、上電極56および中間絶縁膜58に接する側部を有している。これにより、各ゲートプラグ電極91は、ゲートトレンチ53内において上電極56および下電極57を同電位に固定している。
各ゲートプラグ電極91は、第2方向Yに関して、下電極57の幅(最大幅)未満の幅を有していてもよい。この場合、各ゲートプラグ電極91の下端部(第2部分92Bの下端部)は、第2方向Yに関して、ゲートトレンチ53内において中間絶縁膜58を挟んで上電極56に対向していてもよい。むろん、各ゲートプラグ電極91は、第2方向Yに関して、下電極57の幅(最大幅)を超える幅を有していてもよい。
複数のチャネルプラグ電極92は、チャネルセル52用のソースプラグ電極からそれぞれなる。複数のチャネルプラグ電極92は、層間絶縁層13において複数のメサ部63(具体的には第1メサ部63A)を被覆する部分に、複数のゲートプラグ電極91から第2方向Yに間隔を空けてそれぞれ埋設されている。
各チャネルプラグ電極92は、平面視において第1方向Xに隣り合う複数のチャネルセル52(具体的にソース領域60)に跨るように第1方向Xに延びる帯状に埋設されている。これにより、各チャネルプラグ電極92は、第1方向Xに隣り合う複数のチャネルセル52に電気的に接続されている。また、各チャネルプラグ電極92は、第2方向Yに複数のゲートプラグ電極91を横切り、第1方向Xに複数のゲートプラグ電極91に対向している。
複数のチャネルプラグ電極92の配置や形状は任意である。たとえば、複数のチャネルプラグ電極92は、平面視において円形状または四角形状に形成されていてもよい。この場合、複数のチャネルプラグ電極92は、各第1メサ部63Aにおいてチャネルセル52に電気的に接続されるように、第1方向Xに間隔を空けて配列されていてもよい。また、平面視においてメサ部63(第1メサ部63Aおよび第2メサ部63B)に沿って格子状に延びる1つまたは複数のチャネルプラグ電極92が形成されてもよい。
複数の分離プラグ電極93は、分離電極46用のソースプラグ電極からそれぞれなる。複数の分離プラグ電極93は、層間絶縁層13においてトレンチ分離構造43を被覆する部分にそれぞれ埋設されている。複数の分離プラグ電極93は、分離電極46に沿って間隔を空けて埋設され、分離電極46にそれぞれ電気的に接続されている。複数の分離プラグ電極93の配置や形状は任意である。平面視において帯状または環状に延びる1つまたは複数の分離プラグ電極93が分離電極46の上に形成されていてもよい。
図14を参照して、複数のプラグ電極91〜93は、この形態では、第1電極94および第2電極95を含む積層構造をそれぞれ有している。第1電極94は、バリア膜(下地膜)として、プラグ電極91〜93用の開口の内壁に膜状に形成されている。第1電極94は、TiおよびTiNのうちの少なくとも1つを含むことが好ましい。第2電極95は、プラグ本体として、第1電極94を挟んでプラグ電極91〜93用の開口に埋設されている。第2電極95は、タングステン、アルミニウムおよび銅のうちの少なくとも1つを含むことが好ましい。
図12〜図14を参照して、半導体装置1は、層間絶縁層13内に形成された1つまたは複数のソース配線96を含む。図12〜図14では、ソース配線96が、ブロックによって簡略化して示されている。1つまたは複数のソース配線96は、層間絶縁層13内に形成された配線層からなり、前述のソース端子16に電気的に接続されている。1つまたは複数のソース配線96は、層間絶縁層13内に選択的に引き回され、複数のチャネルプラグ電極92および複数の分離プラグ電極93に電気的に接続されている。これにより、1つまたは複数のソース配線96は、分離電極46およびチャネルセル52(具体的にはソース領域60)に電気的に接続されている。
半導体装置1は、層間絶縁層13内に形成された前述のn個のゲート配線14を含む。図12〜図14では、n個のゲート配線14が、ブロックによって簡略化して示されている。n個のゲート配線14は、図示しない領域において、前述のコントロールIC11(ゲート制御回路12)に電気的に接続されている。n個のゲート配線14は、層間絶縁層13内に選択的に引き回され、対応する1つまたは複数のゲートプラグ電極91にそれぞれ電気的に接続されている。これにより、n個のゲート配線14は、対応する1つまたは複数のトレンチゲート構造51の上電極56および下電極57にそれぞれ電気的に接続されている。
n個のゲート配線14は、具体的には、個別制御対象として系統化すべき1つまたは複数のトレンチゲート構造51(単位トランジスタ10)にそれぞれ電気的に接続されている。n個のゲート配線14は、この形態では、第1方向Xに一列に整列した複数(この形態では6個)のトレンチゲート構造51(単位トランジスタ10)によって構成されたグループを1つの系統トランジスタ9としてそれぞれ系統化している。
むろん、n個のゲート配線14は、個別制御対象として系統化すべき1つのトレンチゲート構造51に電気的に接続された1つまたは複数のゲート配線14を含んでいてもよい。また、n個のゲート配線14は、個別制御対象として系統化すべき任意の複数のトレンチゲート構造51を並列接続させる1つまたは複数のゲート配線14を含んでいてもよい。n個のゲート配線14に電気的に接続された1つまたは複数のトレンチゲート構造51(単位トランジスタ10)の並列回路によって、n個の系統トランジスタ9が構成される。
n系統のパワートランジスタ8は、所定の総チャネル面積ATを有している。総チャネル面積ATは、n系統のパワートランジスタ8を構成するn個の系統トランジスタ9の系統チャネル面積ASの和からなる。系統チャネル面積ASは、系統トランジスタ9を構成する1つまたは複数の単位トランジスタ10(単位セル50)のチャネル面積ACの和からなる。チャネル面積ACは、各単位トランジスタ10のチャネルセル52(具体的にはソース領域60)の平面積によって定義される。
チャネル面積ACは、単位トランジスタ10毎に調整されてもよい。つまり、複数の単位トランジスタ10は、互いに異なるチャネル面積ACを有していてもよいし、互いに等しいチャネル面積ACを有していてもよい。この場合、n個の系統トランジスタ9は、同一のまたは異なるチャネル面積ACをそれぞれ有する複数の単位トランジスタ10の集合体から個別制御対象として系統化された1つまたは複数の単位トランジスタ10を含んでいてもよい。また、n個の系統トランジスタ9は、同一のまたは異なる系統チャネル面積ASをそれぞれ有していてもよい。
チャネル面積ACは、第1デバイス領域6(半導体チップ2)の温度上昇に関係している。たとえば、チャネル面積ACを増加させると、第1デバイス領域6の温度が上昇し易くなる。一方で、チャネル面積ACを減少させると、第1デバイス領域6の温度が上昇し難くなる。したがって、チャネル面積ACは、第1デバイス領域6の温度分布に基づいて単位トランジスタ10毎に調整されてもよい。
比較的小さい値のチャネル面積ACを有する1つまたは複数の単位トランジスタ10が温度の高まり易い領域に配置され、比較的大きい値のチャネル面積ACを有する1つまたは複数の単位トランジスタ10が温度の高まり難い領域に配置されてもよい。第1デバイス領域6の中央部が、温度の高まり易い領域として例示される。第1デバイス領域6の周縁部が、温度の高まり難い領域として例示される。
図16A〜図16Cは、パワートランジスタ8の制御例を示す断面斜視図である。図16A〜図16Cでは、オフ状態のチャネル(ソース領域60)が塗りつぶしハッチングによって示されている。図16A〜図16Cでは、n個のゲート配線14がラインによって簡略化して示されている。また、複数のゲートプラグ電極91の一部が、ラインによって簡略化して示されている。
図16Aを参照して、n個のゲート配線14の全てにゲート閾値電圧を超えるゲート信号G(つまりオン信号)が入力された場合、全ての単位トランジスタ10(n個の系統トランジスタ9)が同時にオン状態に制御される。これにより、パワートランジスタ8は、総チャネル面積AT(つまりn個の系統チャネル面積AS)で駆動する。したがって、パワートランジスタ8のチャネル利用率が相対的に増加し、オン抵抗Ronが相対的に減少する。総チャネル面積ATは、オン抵抗Ronの最小値を決定付ける。
図16Bを参照して、x個(1≦x<n)のゲート配線14にゲート閾値電圧を超えるゲート信号G(つまりオン信号)が入力され、(n−x)個のゲート配線14にゲート閾値電圧未満のゲート信号G(つまりオフ信号)が入力された場合、x個の系統トランジスタ9がオン状態になる一方、(n−x)個の系統トランジスタ9がオフ状態になる。この場合、パワートランジスタ8は、x個の系統チャネル面積AS(つまり総チャネル面積AT未満)で駆動する。したがって、パワートランジスタ8のチャネル利用率が相対的に減少し、オン抵抗Ronが相対的に増加する。
図16Cを参照して、n個のゲート配線14の全てにゲート閾値電圧未満のゲート信号G(つまりオフ信号)が入力された場合、全ての単位トランジスタ10(n個の系統トランジスタ9)が同時にオフ状態に制御される。したがって、パワートランジスタ8は停止する。
パワートランジスタ8は、少なくとも2系統(つまりn≧2)からなり、少なくとも2つの系統トランジスタ9を含んでいてもよい。少なくとも2つの系統トランジスタ9は、1つまたは複数の単位トランジスタ10をそれぞれ含む。少なくとも2つの系統トランジスタ9は、少なくとも2つのゲート配線14にそれぞれ電気的に接続され、少なくとも2つのゲート信号Gによって個別制御される。したがって、2系統以上のパワートランジスタ8によれば、異なるオン抵抗Ronからそれぞれなる少なくとも2つの動作モードを実現できる。
パワートランジスタ8は、少なくとも3系統(つまりn≧3)からなり、少なくとも3つの系統トランジスタ9を含むことが好ましい。少なくとも3つの系統トランジスタ9は、1つまたは複数の単位トランジスタ10をそれぞれ含む。少なくとも3つの系統トランジスタ9は、少なくとも3つのゲート配線14にそれぞれ電気的に接続され、少なくとも3つのゲート信号Gによって個別制御される。したがって、3系統以上のパワートランジスタ8によれば、異なるオン抵抗Ronからそれぞれなる少なくとも3つの動作モードを実現できる。
以上、半導体装置1は、第1方向Xおよび第2方向Yに間隔を空けて第1主面3に離散的に配列された複数の単位トランジスタ10を含む。複数の単位トランジスタ10は、単位セル50をそれぞれ含む。単位セル50は、第1主面3に形成されたトレンチゲート構造51、および、第2方向Yからトレンチゲート構造51に隣接するチャネルセル52を有している。この構造によれば、チャネルセル52で生じた熱の放散経路が近接するトレンチゲート構造51によって妨げられることを抑制できる。
すなわち、第1方向Xおよび第2方向Yに間隔を空けて配列された複数の単位トランジスタ10によれば、複数のトレンチゲート構造51によって第1方向Xに延びる第1メサ部63Aおよび第2方向Yに延びる第2メサ部63Bを有するメサ部63が第1主面3に区画される。これにより、チャネルセル52で生じた熱を第1メサ部63Aおよび第2メサ部63Bを介して外部に放散させることができる。その結果、熱の放散効率を向上させることができ、半導体チップ2の温度上昇を抑制できる。
半導体装置1において、トレンチゲート構造51は、第1方向Xに第1長さLを有し、チャネルセル52は、第1方向Xに第1長さL1未満の第2長さL2(L2<L1)を有していることが好ましい。この構造によれば、チャネルセル52の全域をトレンチゲート構造51に対向させることができる。これにより、チャネルセル52を適切に制御できる。
半導体装置1において、チャネルセル52は、トレンチゲート構造51に第2方向Yのみから隣接していることが好ましい。この構造によれば、トレンチゲート構造51の第1方向Xの両サイド(つまり第2メサ部63B)に電流経路が形成されることを抑制できる。これにより、トレンチゲート構造51の周囲の温度上昇を抑制できる。また、チャネルセル52(つまり第1メサ部63A)で生じた熱をチャネルセル52のない領域(つまり第2メサ部63B)から放散させることができる。
半導体装置1において、複数の単位トランジスタ10は、第1方向Xに一列に並んで配列されていてもよい。複数の単位トランジスタ10は、第1方向Xに等間隔に配列されていることが好ましい。また、複数の単位トランジスタ10は、第2方向Yに等間隔に配列されていることが好ましい。複数の単位トランジスタ10は、平面視において第1主面3に十字路およびT字路の少なくとも1つが区画されるように配列されていることが好ましい。これらの構造によれば、複数のチャネルセル52で生じた熱の放散経路にバラつきが生じることを適切に抑制できる。
半導体装置1は、層間絶縁層13、上電極56および中間絶縁膜58を貫通し、下電極57に至るゲートプラグ電極91を含む。この構造によれば、ゲートプラグ電極91によって上電極56および下電極57を同電位に固定できる。これにより、上電極56および下電極57の間の電圧降下を抑制できるから、上電極56および下電極57の間の電界集中を抑制できる。また、下電極57をゲート電極として機能させることができるから、半導体チップ2(特にドリフト領域42)のオン抵抗Ronを削減できる。また、上電極56および下電極57で生じた熱を、ゲートプラグ電極91を介して外部に放散させることができる。これにより、半導体チップ2の温度上昇を抑制できる。
また、半導体装置1は、半導体チップ2およびn系統(n≧2)のパワートランジスタ8を含む。n系統のパワートランジスタ8は、半導体チップ2に個別制御可能にそれぞれ形成されたn個(n≧2)の系統トランジスタ9を含み、n個の系統トランジスタ9の選択制御によって単一の出力電流IOUT(出力信号)を生成する。
n系統のパワートランジスタ8は、具体的には、n個のゲート信号Gが個別入力されるように並列接続されたn個の系統トランジスタ9の並列回路によって構成されている。n個の系統トランジスタ9は、ゲート信号Gに応答して系統毎の電気信号を生成する。n系統のパワートランジスタ8は、n個の系統トランジスタ9によって生成されたn個の電気信号の加算値からなる単一の出力電流IOUTを生成する。
n系統のパワートランジスタ8は、n個の系統トランジスタ9の選択制御によってチャネル利用率およびオン抵抗Ronが変化する。これにより、パワートランジスタ8は、異なるオン抵抗Ronからそれぞれなる複数の動作モードで制御可能になる。よって、オン抵抗可変型の半導体装置1を提供できる。この半導体装置1によれば、温度上昇を抑制しながら、動作状況に応じた適切なオン抵抗Ronでパワートランジスタ8を駆動制御できる。
パワートランジスタ8は、少なくとも2つの系統トランジスタ9の選択制御によって少なくとも2種の動作モードで制御されてもよい。パワートランジスタ8は、少なくとも3つの系統トランジスタ9の選択制御によって少なくとも3種の動作モードで制御されることが好ましい。
また、半導体装置1は、半導体チップ2に区画された第1デバイス領域6を含む。パワートランジスタ8は、第1デバイス領域6に集約して形成されたn個の系統トランジスタ9を有している。この構造によれば、n個の系統トランジスタ9を半導体チップ2に離散的に配置せずに済むので、配線距離の短縮によって配線抵抗を削減できる。これにより、n個の系統トランジスタ9のスイッチング速度のバラつきを抑制できるから、パワートランジスタ8を適切に駆動制御できる。
n個の系統トランジスタ9は、個別制御対象として系統化された1つまたは複数の単位トランジスタ10をそれぞれ含む。この構造によれば、単位トランジスタ10の個数やチャネル面積ACを調整することにより、系統トランジスタ9毎にチャネル利用率およびオン抵抗特性を調整できる。これにより、パワートランジスタ8のオン抵抗特性を適切に調整できる。
半導体装置1は、半導体チップ2において第1デバイス領域6とは異なる領域に区画された第2デバイス領域7、および、第2デバイス領域7に形成されたコントロールIC11を含む。また、半導体装置1は、パワートランジスタ8およびコントロールIC11に電気的に接続されるように半導体チップ2の上に形成されたn個のゲート配線14を含む。
コントロールIC11は、n個の系統トランジスタ9を個別制御するn個のゲート信号Gを生成し、n個のゲート配線14に出力する。n個のゲート配線14は、コントロールIC11で生成されたn個のゲート信号Gをn個の系統トランジスタ9に個別に伝達する。この構造によれば、パワートランジスタ8およびコントロールIC11を一体的に含むIPDを有する半導体装置1を提供できる。
図17は、本発明の第2実施形態に係る半導体装置101(第1実施形態に係る半導体装置1に2系統のパワートランジスタ8が適用された場合において、2系統制御を行うための形態)を示すブロック回路図である。図18は、図17に示すパワートランジスタ8の等価回路図である。図19は、2系統のパワートランジスタ8の一構成例を示す平面図である。以下、半導体装置1に対して述べた構造に対応する構造については同一の参照符号を付して説明する。
図17〜図19を参照して、半導体装置101は、ドレイン端子15(電源端子VBB)、ソース端子16(出力端子OUT)、2系統のパワートランジスタ8、2個のゲート配線14、アクティブクランプ回路25およびゲート制御回路12を含む。アクティブクランプ回路25およびゲート制御回路12は、コントロールIC11の一部を構成している。図17および図18には、誘導性負荷Lがソース端子16に接続された例が示されている。
2系統のパワートランジスタ8は、2つの系統トランジスタ9を含む。2つの系統トランジスタ9は、第1系統トランジスタ9Aおよび第2系統トランジスタ9Bを含む。第1〜第2系統トランジスタ9A〜9Bの2個のシステムゲートGSは、パワートランジスタ8の2個のメインゲートGM(第1ゲートおよび第2ゲート)をそれぞれ構成している。
第1系統トランジスタ9Aは、複数の単位トランジスタ10から個別制御対象として系統化された1つまたは複数の第1単位トランジスタ10Aを含む。第1系統トランジスタ9Aは、この形態では、図19の紙面左側から2k列目(k≧1)を構成する8個のグループに含まれる複数(48個)の単位トランジスタ10によって構成されている。
つまり、複数の第1単位トランジスタ10Aは、奇数列を構成する単位トランジスタ10を挟み込む態様で第2方向Yに間隔を空けて系統化されている。第1系統トランジスタ9Aとして選択される単位トランジスタ10は任意であるが、複数の第1単位トランジスタ10Aは、第2方向Yに関して、少なくとも1つの単位トランジスタ10を挟み込む態様で間隔を空けて系統化されることが好ましい。
第2系統トランジスタ9Bは、第1単位トランジスタ10Aを除く1つまたは複数の単位トランジスタ10から個別制御対象として系統化された1つまたは複数の第2単位トランジスタ10Bを含む。第2系統トランジスタ9Bは、この形態では、図19の紙面左側から(2k−1)列目(k≧1)を構成する8個のグループに含まれる複数(48個)の単位トランジスタ10によって構成されている。
つまり、複数の第2単位トランジスタ10Bは、偶数列を構成する単位トランジスタ10を挟み込む態様で第2方向Yに間隔を空けて系統化されている。第2系統トランジスタ9Bとして選択される単位トランジスタ10は任意であるが、複数の第2単位トランジスタ10Bは、少なくとも1つの単位トランジスタ10(第1単位トランジスタ10A)を挟み込む態様で間隔を空けて系統化されることが好ましい。
この構造によれば、互いに隣り合う一対の第1単位トランジスタ10Aを第2単位トランジスタ10Bの分だけ離間させることができる。また、互いに隣り合う一対の第2単位トランジスタ10Bを第1単位トランジスタ10Aの分だけ離間させることができる。つまり、同一系統の単位トランジスタ10が第2方向Yに連続的に配列されない。これにより、第1〜第2単位トランジスタ10A〜10Bが個別制御された際に、第1デバイス領域6において温度上昇する領域を分散させることができる。よって、第1デバイス領域6における局所的な温度上昇を抑制できる。
第1〜第2単位トランジスタ10A〜10Bの個数は任意である。第2単位トランジスタ10Bの個数は、第1単位トランジスタ10Aの個数と等しくてもよい。第2単位トランジスタ10Bの個数は、第1単位トランジスタ10Aの個数を超えていてもよいし、第1単位トランジスタ10Aの個数未満であってもよい。
2系統のパワートランジスタ8の総チャネル面積ATは、第1系統トランジスタ9Aおよび第2系統トランジスタ9Bによって、同一のまたは異なる値からそれぞれなる2個の系統チャネル面積ASに分割されている。第1系統トランジスタ9Aは第1系統チャネル面積AS1を有し、第2系統トランジスタ9Bは第2系統チャネル面積AS2を有している。
第1〜第2系統チャネル面積AS1〜AS2は、第1〜第2系統チャネル面積AS1〜AS2の総和AS1+AS2が総チャネル面積ATとなる関係式(AT=AS1+AS2)を具備する限り、種々の値を取る。第2系統チャネル面積AS2は、第1系統チャネル面積AS1と等しくてもよい(AS1≒AS2)。第2系統チャネル面積AS2は、第1系統チャネル面積AS1を超えていてもよいし(AS1<AS2)、第1系統チャネル面積AS1未満(AS2<AS1)であってもよい。
以下では、便宜的に、メサ部63に占める総チャネル面積ATの割合を50%とし、第1〜第2系統チャネル面積AS1〜AS2が等しい値を有している例について説明する。つまり、メサ部63に占める第1系統チャネル面積AS1は25%であり、メサ部63に占める第2系統チャネル面積AS2は25%である。
2系統のパワートランジスタ8は、第1動作モード、第2動作モードおよび第3動作モードで制御される。第1動作モードでは、第1〜第2系統トランジスタ9A〜9Bが同時にオフ状態に制御される。第2動作モードでは、第1〜第2系統トランジスタ9A〜9Bが同時にオン状態に制御される。第3動作モードでは、第1〜第2系統トランジスタ9A〜9Bのいずれか1つのみがオン状態に制御される。
パワートランジスタ8は、第1動作モードにおいて停止状態になる。パワートランジスタ8は、第2動作モードにおいて総チャネル面積ATで駆動される。パワートランジスタ8は、第3動作モードにおいて総チャネル面積AT未満のチャネル割合となる第1系統チャネル面積AS1または第2系統チャネル面積AS2で駆動される。パワートランジスタ8は、この形態では、第3動作モードにおいて第2系統トランジスタ9Bが停止した状態で、第1系統トランジスタ9Aによって駆動される。したがって、パワートランジスタ8は、第3動作モードにおいて第1系統チャネル面積AS1(AS1<AT)で駆動される。
2個のゲート配線14は、第1ゲート配線14Aおよび第2ゲート配線14Bを含む。第1ゲート配線14Aは、第1系統トランジスタ9A(複数の第1単位トランジスタ10A)に電気的に接続されている。第2ゲート配線14Bは、第1系統トランジスタ9Aとは別の第2系統トランジスタ9B(複数の第2単位トランジスタ10B)に電気的に接続されている。
アクティブクランプ回路25は、第1系統トランジスタ9Aのドレイン・ゲート間に接続されている。アクティブクランプ回路25は、ソース端子16が負電圧になったとき、第1系統トランジスタ9Aを強制的にオン状態に制御する。これにより、アクティブクランプ回路25は、パワートランジスタ8のドレイン・ソース電圧(=VBB−VOUT)をクランプ電圧Vclp以下に制限する。第2系統トランジスタ9Bは、アクティブクランプ動作に寄与しない。したがって、第2系統トランジスタ9Bには、アクティブクランプ回路25は接続されていない。
ゲート制御回路12は、第1〜第2ゲート配線14A〜14Bを介して第1〜第2系統トランジスタ9A〜9Bに接続されている。また、ゲート制御回路12は、アクティブクランプ回路25の内部ノード電圧Vxの印加端に電気的に接続されている。ゲート制御回路12は、イネーブル信号ENおよび内部ノード電圧Vxに応答して、第1〜第2系統トランジスタ9A〜9Bを制御する第1〜第2ゲート信号G1〜G2を生成し、第1〜第2ゲート配線14A〜14Bに個別的に出力する。
ゲート制御回路12は、具体的には、イネーブル信号ENがハイレベル(EN=H)となるイネーブル状態において、第1〜第2系統トランジスタ9A〜9Bの双方をオン状態に制御する第1〜第2ゲート信号G1〜G2を生成する。一方、ゲート制御回路12は、イネーブル信号ENがローレベル(EN=L)となるディセーブル状態において、第1〜第2系統トランジスタ9A〜9Bの双方をオフ状態に制御する第1〜第2ゲート信号G1〜G2を生成する。
また、ゲート制御回路12は、内部ノード電圧Vxに応答して、第2系統トランジスタ9Bをオフ状態に制御する一方、第1系統トランジスタ9Aをオン状態に制御する第1〜第2ゲート信号G1〜G2を生成する。ゲート制御回路12は、具体的には、イネーブル状態(EN=H)からディセーブル状態(EN=L)への遷移後、アクティブクランプ回路25の動作前に、内部ノード電圧Vxに応答して第2系統トランジスタ9Bをオフ状態に制御する。
アクティブクランプ回路25の動作前とは、出力電圧VOUTがクランプされる前である。第2系統トランジスタ9Bがオフ状態の場合、第2系統トランジスタ9Bのゲート・ソース間がショートされ、第2系統トランジスタ9Bは完全に停止される。第2系統トランジスタ9Bのゲート・ソース間は、第2ゲート信号G2が出力電圧VOUTに固定されることによってショートされる。
図20は、図17に示すゲート制御回路12およびアクティブクランプ回路25の一構成例を示す回路図である。図20は、コントロールIC11の要部を示す回路図でもある。
第1〜第2系統トランジスタ9A〜9Bは、システムドレインDS、システムソースSSおよびシステムゲートGSをそれぞれ含む。第1〜第2系統トランジスタ9A〜9BのシステムドレインDSは、ドレイン端子15にそれぞれ電気的に接続されている。第1〜第2系統トランジスタ9A〜9BのシステムソースSSは、ソース端子16にそれぞれ電気的に接続されている。
第1ゲート配線14Aは、第1系統トランジスタ9AのシステムゲートGSに電気的に接続されている。第2ゲート配線14Bは、第2系統トランジスタ9BのシステムゲートGSに電気的に接続されている。以下の説明において「第1ゲート配線14Aに電気的に接続された状態」には、「第1系統トランジスタ9AのシステムゲートGSに電気的に接続された状態」が含まれるものとする。また、「第2ゲート配線14Bに電気的に接続された状態」には、「第2系統トランジスタ9BのシステムゲートGSに電気的に接続された状態」が含まれるものとする。
アクティブクランプ回路25は、ツェナダイオード列102、ダイオード列103、および、nチャネル型のクランプMISFET104を含む。ツェナダイオード列102は、順方向直列接続されたm段(たとえばm=8)のツェナダイオードを含む直列回路からなる。ツェナダイオードの個数は任意であり、「m=1」であってもよい。ツェナダイオード列102は、カソードおよびアノードを含む。ツェナダイオード列102のカソードは、ドレイン端子15、および、第1〜第2系統トランジスタ9A〜9BのシステムドレインDSに電気的に接続されている。
ダイオード列103は、順方向直列接続されたn段(たとえばn=3)のpn接合ダイオードを含む直列回路からなる。pn接合ダイオードの個数は任意であり、「n=1」であってもよい。ダイオード列103は、カソードおよびアノードを含む。ダイオード列103のカソードは、第1ゲート配線14Aに電気的に接続されている。ダイオード列103のアノードは、ツェナダイオード列102のアノードに逆バイアス接続されている。
クランプMISFET104は、ドレイン、ソース、ゲートおよびバックゲートを含む。クランプMISFET104のドレインは、ドレイン端子15、および、第1〜第2系統トランジスタ9A〜9BのシステムドレインDSに電気的に接続されている。クランプMISFET104のソースは、第1ゲート配線14Aに電気的に接続されている。クランプMISFET104のゲートは、ダイオード列103のカソードに接続されている。クランプMISFET104のバックゲートは、第1〜第2系統トランジスタ9A〜9BのシステムソースSS、および、ソース端子16に電気的に接続されている。
ゲート制御回路12は、第1〜第4電流源105〜108、コントローラ109、および、nチャネル型のドライブMISFET110を含む。
第1電流源105は、第1ソース電流IH1を生成する。第1電流源105は、昇圧電圧VG(=チャージポンプ出力)の印加端および第1ゲート配線14Aに電気的に接続されている。第2電流源106は、第2ソース電流IH2を生成する。第2電流源106は、昇圧電圧VGの印加端および第2ゲート配線14Bの間に接続されている。
第3電流源107は、第1シンク電流IL1を生成する。第3電流源107は、第1ゲート配線14Aおよびソース端子16(出力電圧VOUT)に接続されている。第4電流源108は、第2シンク電流IL2を生成する。第4電流源108は、第2ゲート配線14Bおよびソース端子16に接続されている。
コントローラ109は、第1〜第4電流源105〜108に接続されている。コントローラ109は、イネーブル状態(EN=H)において、第1〜第2電流源105〜106をオン状態に制御する一方、第3〜第4電流源107〜108をオフ状態に制御する。これにより、第1ソース電流IH1が第1ゲート配線14Aに出力され、第2ソース電流IH2が第2ゲート配線14Bに出力される。
コントローラ109は、ディセーブル状態(EN=L)において、第1〜第2電流源105〜106をオフ状態に制御する一方、第3〜第4電流源107〜108をオン状態に制御する。これにより、第1シンク電流IL1が第1ゲート配線14Aから引き抜かれ、第2シンク電流IL2が第2ゲート配線14Bから引き抜かれる。
ドライブMISFET110は、第2ゲート配線14Bおよびソース端子16の間に接続されている。ドライブMISFET110は、ドレイン、ソース、ゲートおよびバックゲートを含む。ドライブMISFET110のドレインは、第2ゲート配線14Bに電気的に接続されている。ドライブMISFET110のソースは、ソース端子16(出力電圧VOUT)に電気的に接続されている。ドライブMISFET110のゲートは、内部ノード電圧Vxの印加端に電気的に接続されている。
ドライブMISFET110は、内部ノード電圧Vxに応答してオン状態またはオフ状態に制御される。内部ノード電圧Vxは、アクティブクランプ回路25内の任意の電圧であってもよい。内部ノード電圧Vxは、クランプMISFET104のゲート電圧であってもよいし、ダイオード列103のいずれか1つのpn接合ダイオードのアノード電圧であってもよい。
半導体装置101は、この形態では、コントロールIC11において、静電気から各種回路を保護する静電破壊保護回路の一例としての第1保護回路111、第2保護回路112および第3保護回路113を含む。
第1保護回路111は、静電気から第1系統トランジスタ9Aを保護する。第1保護回路111は、第1ゲート配線14Aおよびソース端子16に電気的に接続されている。第1保護回路111は、この形態では、逆バイアス接続された第1ツェナダイオード114および第1ダイオード115を含む第1ダイオード対によって構成されている。
第1ツェナダイオード114は、カソードおよびアノードを含む。第1ツェナダイオード114のカソードは、第1ゲート配線14Aに電気的に接続されている。第1ダイオード115は、カソードおよびアノードを含む。第1ダイオード115のアノードは、第1ツェナダイオード114のアノードに逆バイアス接続されている。第1ダイオード115のカソードは、ソース端子16に電気的に接続されている。
第2保護回路112は、静電気から第2系統トランジスタ9Bを保護する。第2保護回路112は、第2ゲート配線14Bおよびソース端子16に電気的に接続されている。第2保護回路112は、この形態では、逆バイアス接続された第2ツェナダイオード116および第2ダイオード117を含む第2ダイオード対によって構成されている。
第2ツェナダイオード116は、カソードおよびアノードを含む。第2ツェナダイオード116のカソードは、第2ゲート配線14Bに電気的に接続されている。第2ダイオード117は、カソードおよびアノードを含む。第2ダイオード117のアノードは、第2ツェナダイオード116のアノードに逆バイアス接続されている。第2ダイオード117のカソードは、ソース端子16に電気的に接続されている。
第3保護回路113は、静電気からアクティブクランプ回路25を保護する。第3保護回路113は、アクティブクランプ回路25およびソース端子16に電気的に接続されている。第3保護回路113は、デプレッション型のnチャネル型の保護MISFET118および第3ツェナダイオード119を含む並列回路によって構成されている。
保護MISFET118は、ドレイン、ソース、ゲートおよびバックゲートを含む。保護MISFET118のドレインは、クランプMISFET104のゲートに電気的に接続されている。保護MISFET118のソース、ゲートおよびバックゲートは、ソース端子16に電気的に接続されている。第3ツェナダイオード119は、カソードおよびアノードを含む。第3ツェナダイオード119のカソードは、保護MISFET118のドレイン(クランプMISFET104のゲート)に電気的に接続されている。第3ツェナダイオード119のアノードは、ソース端子16に電気的に接続されている。
図21は、アクティブクランプ耐量Eacおよび面積抵抗率Ron・Aの関係を実測によって調べたグラフである。図21の縦軸はアクティブクランプ耐量Eac[mJ/mm2]を示している。図21の横軸は面積抵抗率Ron・A[mΩ・mm2]を示している。図21のグラフは、第1〜第2系統トランジスタ9A〜9Bを同時にオン状態およびオフ状態に制御した場合の特性を示している。
アクティブクランプ耐量Eacは、パワートランジスタ8のオン状態からオフ状態への遷移動作時(つまりアクティブクランプ動作時)において、誘導性負荷Lの誘導性エネルギに起因して生じる逆起電力に対するパワートランジスタ8の耐量によって定義される。面積抵抗率Ron・Aは、通常動作時におけるパワートランジスタ8のオン抵抗Ronを表している。
図21には、第1プロット点P1、第2プロット点P2、第3プロット点P3および第4プロット点P4が示されている。第1プロット点P1、第2プロット点P2、第3プロット点P3および第4プロット点P4は、メサ部63に占める総チャネル面積ATの割合が66%、50%、33%および25%に調整された場合の特性をそれぞれ示している。
総チャネル面積ATを増加させた場合、通常動作時において面積抵抗率Ron・Aが削減され、アクティブクランプ動作時においてアクティブクランプ耐量Eacが低下した。これとは反対に、総チャネル面積ATを低下させた場合、通常動作時において面積抵抗率Ron・Aが増加し、アクティブクランプ動作時においてアクティブクランプ耐量Eacが向上した。
面積抵抗率Ron・Aを鑑みると、総チャネル面積ATの割合は33%以上(具体的には33%以上100%未満)であることが好ましい。アクティブクランプ耐量Eacを鑑みると、総チャネル面積ATの割合は33%未満(具体的には0%を超えて33%未満)であることが好ましい。総チャネル面積ATの増加に起因して面積抵抗率Ron・Aが削減されたのは、電流経路が増加したためである。総チャネル面積ATの増加に起因してアクティブクランプ耐量Eacが低下したのは、逆起電力に起因する急激な温度上昇が引き起こされたためである。
とりわけ、総チャネル面積ATが比較的大きい場合には、互いに隣り合う単位トランジスタ10(具体的にはトレンチゲート構造51)の間の領域において局所的かつ急激な温度上昇が発生する可能性が高まる。アクティブクランプ耐量Eacは、この種の温度上昇に起因して低下したと考えられる。
一方、総チャネル面積ATの低下に起因して面積抵抗率Ron・Aが増加したのは、電流経路が縮小したためである。また、総チャネル面積ATの低下に起因してアクティブクランプ耐量Eacが向上したのは、総チャネル面積ATが比較的小さくなり、局所的かつ急激な温度上昇が抑制されたためと考えられる。
図21のグラフの結果から、総チャネル面積ATに基づく面積抵抗率Ron・Aおよびアクティブクランプ耐量Eacの調整法にはトレードオフの関係が存在するため、当該トレードオフの関係から切り離して優れた面積抵抗率Ron・Aおよび優れたアクティブクランプ耐量Eacを両立することは困難であることが分かる。
この一方、図21のグラフの結果から、パワートランジスタ8において、通常動作時に第1プロット点P1(総チャネル面積ATの割合=66%)に近づく動作をさせ、アクティブクランプ動作時に第4プロット点P4(総チャネル面積ATの割合=25%)に近づく動作をさせることにより、優れた面積抵抗率Ron・Aおよび優れたアクティブクランプ耐量Eacを両立できることが分かる。そこで、半導体装置101では、パワートランジスタ8に対して図22および図23A〜図23Cを用いて説明される制御が実施される。
図22は、パワートランジスタ8の制御例を示すタイミングチャートである。図23A〜23Cは、パワートランジスタ8の制御例を示す断面斜視図である。図23A〜23Cでは、n個のゲート配線14がラインによって簡略化して示されている。また、複数のゲートプラグ電極91の一部が、ラインによって簡略化して示されている。また、オフ状態のチャネル(ソース領域60)が塗りつぶしハッチングによって示されている。図22には、紙面上側から順に、イネーブル信号EN、出力電圧VOUT(実線)、第1ゲート信号G1(一点鎖線)、第2ゲート信号G2(破線)、および、出力電流IOUTが示されている。
以下では、第1系統トランジスタ9Aのゲート・ソース電圧を「Vgs1」、クランプMISFET104のゲート・ソース電圧を「Vgs2」、ドライブMISFET110のゲート・ソース電圧を「Vgs3」、ツェナダイオード列102の降伏電圧を「mVZ」、ダイオード列103の順方向降下電圧を「nVF」とする。
図22を参照して、イネーブル信号ENは、時刻t1に至るまでローレベルに維持されている。イネーブル信号ENにおいて、ローレベルはパワートランジスタ8をオフするときの論理レベルであり、ハイレベルはパワートランジスタ8をオンするときの論理レベルである。この時、第1〜第2ゲート信号G1〜G2がローレベル(≒VOUT)に維持されているので、第1〜第2系統トランジスタ9A〜9Bはオフ状態に制御されている(図23A参照)。したがって、パワートランジスタ8は、停止している。この状態は、パワートランジスタ8の第1動作モードに相当する。
時刻t1において、イネーブル信号ENは、ローレベルからハイレベルに制御される。イネーブル信号ENがハイレベルになると、第1〜第2ゲート信号G1〜G2がローレベル(≒VOUT)からハイレベル(≒VG)に立ち上がり、第1〜第2系統トランジスタ9A〜9Bの双方が同時にオン状態に制御される(図23B参照)。これにより、パワートランジスタ8が通常動作状態になる。この状態は、パワートランジスタ8の第2動作モードに相当する。
第1〜第2系統トランジスタ9A〜9Bがオン状態になると、出力電流IOUTが流れ始める。出力電圧VOUTは、電源電圧VB近傍まで上昇する。パワートランジスタ8は、通常動作時において総チャネル面積AT(=50%)で駆動される。これにより、面積抵抗率Ron・Aは、図21のグラフにおいて第2プロット点P2で示された面積抵抗率Ron・Aに近づく。
時刻t2において、イネーブル信号ENはハイレベルからローレベルに制御される。イネーブル信号ENがローレベルになると、第1〜第2ゲート信号G1〜G2がハイレベルからローレベルに立ち下がる。このとき、誘導性負荷Lは、パワートランジスタ8のオン期間中に蓄えたエネルギを放出するまで出力電流IOUTを流し続ける。その結果、出力電圧VOUTは、グランド電圧GNDよりも低い負電圧まで急低下する。これにより、パワートランジスタ8がアクティブクランプ動作に移行する。
時刻t3において、出力電圧VOUTが電源電圧VBよりも所定値α(=mVZ+nVF+Vgs3)だけ低いチャネル切り換え電圧VB−αまで低下すると、内部ノード電圧Vxがゲート・ソース電圧Vgs3よりも高くなる。これにより、ドライブMISFET110がオン状態になり、第2系統トランジスタ9Bのゲート・ソース間がショート(G2=VOUT)される。その結果、第2系統トランジスタ9Bがオフ状態に制御される。
一方、時刻t4において、出力電圧VOUTが電源電圧VBよりも所定値β(=mVZ+nVF+Vgs1+Vgs2)だけ低い下限電圧VB−βまで低下すると、第1系統トランジスタ9Aは、アクティブクランプ回路25によってオン状態に制御される。下限電圧VB−βは、チャネル切り換え電圧VB−α未満(VB−β<VB−α)である。
したがって、第2系統トランジスタ9Bは、アクティブクランプ回路25の動作前にドライブMISFET110によって完全に停止される。これにより、パワートランジスタ8は、アクティブクランプ動作時において、第2系統トランジスタ9Bが停止した状態で第1系統トランジスタ9Aによって駆動される(図23C参照)。この状態は、パワートランジスタ8の第3動作モードに相当する。
パワートランジスタ8は、アクティブクランプ動作時において第1系統チャネル面積AS1(=25%)で駆動される。つまり、アクティブクランプ動作時のチャネル利用率は、零を超えて通常動作時のチャネル利用率未満となる。これにより、アクティブクランプ耐量Eacは、図21のグラフにおいて第4プロット点P4で示されたアクティブクランプ耐量Eacに近づく。
誘導性負荷Lに起因する出力電流IOUTは、第1系統トランジスタ9Aを介して放電される。したがって、出力電圧VOUTは、下限電圧VB−β以上に制限される。アクティブクランプ回路25は、電源電圧VB基準で出力電圧VOUTを制限し、パワートランジスタ8のドレイン・ソース電圧Vds(=VB−VOUT)をクランプ電圧Vclp(=β)以下に制限する。アクティブクランプ動作は、誘導性負荷Lに蓄えられたエネルギが放出し尽くされて出力電流IOUTが流れなくなる時刻t5まで継続される。
以上、半導体装置101によれば、通常動作時において、第1〜第2系統トランジスタ9A〜9Bを利用して電流を流すことができる。これにより、オン抵抗Ronを低減できる。一方、アクティブクランプ動作時には、第2系統トランジスタ9Bを停止させた状態で第1系統トランジスタ9Aを利用して電流を流すことができる。これにより、誘導性負荷Lの逆起電力に起因する急激な温度上昇を抑制しながら、第1系統トランジスタ9Aによって逆起電力を消費(吸収)できる。その結果、アクティブクランプ耐量Eacを向上できる。
換言すると、半導体装置101によれば、通常動作時においてパワートランジスタ8のチャネル利用率が相対的に増加し、アクティブクランプ動作時においてパワートランジスタ8のチャネル利用率が相対的に低下する。これにより、通常動作時において電流経路が相対的に増加するから、オン抵抗Ronを低減できる。また、アクティブクランプ動作時において誘導性負荷Lの逆起電力に起因する急激な温度上昇を抑制できるから、アクティブクランプ耐量Eacの向上を図ることができる。
このように、半導体装置101によれば、図21に示されるトレードオフの関係から切り離して、優れた面積抵抗率Ron・Aおよび優れたアクティブクランプ耐量Eacの両立を図ることができる。とりわけ、離散的に配置された複数の単位トランジスタ10によれば、半導体チップ2(第1デバイス領域6)の局所的な温度を適切に抑制できる。よって、アクティブクランプ耐量Eacを適切に向上できる。特に、IPD分野において、アクティブクランプ耐量Eacは、より大きな誘導性負荷Lを駆動するために重要な特性の一つとなる。
この形態では、アクティブクランプ動作時において、第1系統トランジスタ9Aがオン状態に制御される一方、第2系統トランジスタ9Bがオフ状態に制御された例について説明した。しかし、アクティブクランプ動作時において、第2系統トランジスタ9Bがオン状態に制御される一方、第1系統トランジスタ9Aがオフ状態に制御されてもよい。この場合、第1系統トランジスタ9Aおよび第2系統トランジスタ9Bの関係を入れ替えて理解すればよい。
図24は、本発明の第3実施形態に係る半導体装置121(第1実施形態に係る半導体装置1に3系統のパワートランジスタ8が適用された場合において、3系統制御を行うための形態)を示すブロック回路図である。図25は、図24に示すパワートランジスタ8の等価回路図である。図26は、3系統のパワートランジスタ8の一構成例を示す平面図である。以下では、半導体装置1に対して述べた構造に対応する構造については同一の参照符号を付して説明する。
図24〜図26を参照して、半導体装置121は、ドレイン端子15(電源端子VBB)、ソース端子16(出力端子OUT)、3系統のパワートランジスタ8、3個のゲート配線14、アクティブクランプ回路25、出力電圧監視回路122およびゲート制御回路12を含む。図24および図25では、抵抗性負荷R、容量性負荷Cおよび誘導性負荷Lのうちの少なくとも1つが、ソース端子16に接続された例が示されている。
3系統のパワートランジスタ8は、この形態では、3つの系統トランジスタ9を含む。3つの系統トランジスタ9は、第1系統トランジスタ9A、第2系統トランジスタ9Bおよび第3系統トランジスタ9Cを含む。第1〜第3系統トランジスタ9A〜9Cの3個のシステムゲートGSは、パワートランジスタ8の3個のメインゲートGM(第1ゲート、第2ゲートおよび第3ゲート)をそれぞれ構成している。
第1系統トランジスタ9Aは、複数の単位トランジスタ10から個別制御対象として系統化された1つまたは複数の第1単位トランジスタ10Aを含む。第1系統トランジスタ9Aは、この形態では、図26の紙面左側から(3k−2)列目(k≧1)を構成する6個のグループに含まれる複数(36個)の単位トランジスタ10によって構成されている。
つまり、第1単位トランジスタ10Aは、(3k−1)列目および3k列目を構成する単位トランジスタ10を挟み込む態様で第2方向Yに間隔を空けて系統化されている。第1系統トランジスタ9Aとして選択される単位トランジスタ10は任意であるが、複数の第1単位トランジスタ10Aは、第2方向Yに関して、少なくとも1つの単位トランジスタ10を挟み込む態様で間隔を空けて系統化されることが好ましい。
第2系統トランジスタ9Bは、第1単位トランジスタ10Aを除く複数の単位トランジスタ10から個別制御対象として系統化された1つまたは複数の第2単位トランジスタ10Bを含む。第2系統トランジスタ9Bは、この形態では、図26の紙面左側から(3k−1)列目(k≧1)を構成する5個のグループに含まれる複数(30個)の単位トランジスタ10によって構成されている。
つまり、複数の第2単位トランジスタ10Bは、3k列目および(3k−2)列目を構成する単位トランジスタ10を挟み込む態様で第2方向Yに間隔を空けて系統化されている。第2系統トランジスタ9Bとして選択される単位トランジスタ10は任意であるが、複数の第2単位トランジスタ10Bは、第2方向Yに関して、少なくとも1つの単位トランジスタ10を挟み込む態様で間隔を空けて系統化されることが好ましい。
第3系統トランジスタ9Cは、第1単位トランジスタ10Aおよび第2単位トランジスタ10Bを除く1つまたは複数の単位トランジスタ10から個別制御対象として系統化された1つまたは複数の第3単位トランジスタ10Cを含む。第3系統トランジスタ9Cは、この形態では、図26の紙面左側から3k列目(k≧1)を構成する5個のグループに含まれる複数(30個)の単位トランジスタ10によって構成されている。
つまり、複数の第3単位トランジスタ10Cは、(3k−1)列目および(3k−2)列目を構成する単位トランジスタ10を挟み込む態様で第2方向Yに間隔を空けて系統化されている。第3系統トランジスタ9Cとして選択される単位トランジスタ10は任意であるが、複数の第3単位トランジスタ10Cは、第2方向Yに関して、少なくとも1つの単位トランジスタ10を挟み込む態様で間隔を空けて系統化されることが好ましい。
互いに隣り合う2つの第1単位トランジスタ10Aの間には、1つまたは複数の第2単位トランジスタ10B、および/または、1つまたは複数の第3単位トランジスタ10Cが介在していてもよい。互いに隣り合う2つの第2単位トランジスタ10Bの間には、1つまたは複数の第1単位トランジスタ10A、および/または、1つまたは複数の第3単位トランジスタ10Cが介在していてもよい。互いに隣り合う2つの第3単位トランジスタ10Cの間には、1つまたは複数の第1単位トランジスタ10A、および/または、1つまたは複数の第2単位トランジスタ10Bが介在していてもよい。
この形態では、第1単位トランジスタ10A、第2単位トランジスタ10Bおよび第3単位トランジスタ10Cが、第2方向Yにこの順で繰り返し系統化されている。この構造によれば、第1〜第3単位トランジスタ10A〜10Cが離散的に系統化されている。つまり、同一系統の単位トランジスタ10が第2方向Yに連続的に系統化されていない。これにより、第1〜第3単位トランジスタ10A〜10Cが個別制御された際に、第1デバイス領域6において温度上昇する領域を分散させることができる。よって、第1デバイス領域6における局所的な温度上昇を抑制できる。
第1〜第3単位トランジスタ10A〜10Cの個数は任意である。第2単位トランジスタ10Bの個数は、第1単位トランジスタ10Aの個数と等しくてもよい。第2単位トランジスタ10Bの個数は、第1単位トランジスタ10Aの個数を超えていてもよいし、第1単位トランジスタ10Aの個数未満であってもよい。
第3単位トランジスタ10Cの個数は、第1単位トランジスタ10Aの個数と等しくてもよい。第3単位トランジスタ10Cの個数は、第1単位トランジスタ10Aの個数を超えていてもよいし、第1単位トランジスタ10Aの個数未満であってもよい。第3単位トランジスタ10Cの個数は、第2単位トランジスタ10Bの個数と等しくてもよい。第3単位トランジスタ10Cの個数は、第2単位トランジスタ10Bの個数を超えていてもよいし、第2単位トランジスタ10Bの個数未満であってもよい。
3系統のパワートランジスタ8の総チャネル面積ATは、第1系統トランジスタ9A、第2系統トランジスタ9Bおよび第3系統トランジスタ9Cによって、同一のまたは異なる値からそれぞれなる3個の系統チャネル面積ASに分割されている。第1系統トランジスタ9Aは第1系統チャネル面積AS1を有し、第2系統トランジスタ9Bは第2系統チャネル面積AS2を有し、第3系統トランジスタ9Cは第3系統チャネル面積AS3を有している。第1〜第3系統チャネル面積AS1〜AS3は、第1〜第3系統チャネル面積AS1〜AS3の総和が総チャネル面積ATとなる関係式(AT=AT1+AT2+AT3)を具備する限り、種々の値を取る。
第2系統チャネル面積AS2は、第1系統チャネル面積AS1と等しくてもよい(AS1≒AS2)。第2系統チャネル面積AS2は、第1系統チャネル面積AS1を超えていてもよいし(AS1<AS2)、第1系統チャネル面積AS1未満(AS2<AS1)であってもよい。第3系統チャネル面積AS3は、第1系統チャネル面積AS1と等しくてもよい(AS1≒AS3)。第3系統チャネル面積AS3は、第1系統チャネル面積AS1を超えていてもよいし(AS1<AS3)、第1系統チャネル面積AS1未満であってもよい(AS3<AS1)。
第3系統チャネル面積AS3は、第2系統チャネル面積AS2と等しくてもよい(AS2≒AS3)。第3系統チャネル面積AS3は、第2系統チャネル面積AS2を超えていてもよいし(AS2<AS3)、第2系統チャネル面積AS2未満(AS3<AS2)であってもよい。
以下では、便宜的に、メサ部63に占める総チャネル面積ATの割合を75%とし、第1〜第3系統チャネル面積AS1〜AS3が等しい値を有している例について説明する。つまり、メサ部63に占める第1系統チャネル面積AS1は25%であり、メサ部63に占める第2系統チャネル面積AS2は25%であり、メサ部63に占める第3系統チャネル面積AS3は25%である。
3系統のパワートランジスタ8は、第1動作モード、第2動作モード、第3動作モードおよび第4動作モードで制御される。第1動作モードでは、第1〜第3系統トランジスタ9A〜9Cが同時にオフ状態に制御される。第2動作モードでは、第1〜第3系統トランジスタ9A〜9Cが同時にオン状態に制御される。第3動作モードでは、第1〜第3系統トランジスタ9A〜9Cのいずれか2つのみが同時にオン状態に制御される。第4動作モードでは、第1〜第3系統トランジスタ9A〜9Cのいずれか1つのみがオン状態に制御される。
パワートランジスタ8は、第1動作モードにおいて停止状態になる。パワートランジスタ8は、第2動作モードにおいて総チャネル面積AT(=75%)で駆動される。パワートランジスタ8は、第3動作モードにおいて総チャネル面積AT未満のチャネル割合となる第1〜第3系統チャネル面積AS1〜AS3のいずれか2つの和(=50%)で駆動される。パワートランジスタ8は、第4動作モードにおいて総チャネル面積AT未満のチャネル割合となる第1〜第3系統チャネル面積AS1〜AS3のいずれか1つ(=25%)で駆動される。
パワートランジスタ8は、この形態では、第3動作モードにおいて第1系統トランジスタ9Aが停止した状態で第2〜第3系統トランジスタ9B〜9Cによって駆動される。したがって、パワートランジスタ8は、第3動作モードにおいて第2〜第3系統チャネル面積AS2〜AS3の和(=50%)で駆動される。また、パワートランジスタ8は、第4動作モードにおいて第1〜第2系統トランジスタ9A〜9Bが停止した状態で第3系統トランジスタ9Cによって駆動される。したがって、パワートランジスタ8は、第4動作モードにおいて第3系統チャネル面積AS3(=25%)で駆動される。
3個のゲート配線14は、第1ゲート配線14A、第1ゲート配線14Bおよび第3ゲート配線14Cを含む。第1ゲート配線14Aは、第1系統トランジスタ9A(複数の第1単位トランジスタ10A)に電気的に接続されている。第1ゲート配線14Bは、第1系統トランジスタ9Aとは別の第2系統トランジスタ9B(複数の第2単位トランジスタ10B)に電気的に接続されている。第3ゲート配線14Cは、第1系統トランジスタ9Aおよび第2系統トランジスタ9Bとは別の第3系統トランジスタ9C(複数の第3単位トランジスタ10C)に電気的に接続されている。
アクティブクランプ回路25は、第3系統トランジスタ9Cのドレイン・ゲート間に接続されている。アクティブクランプ回路25は、ソース端子16が負電圧になったとき、第3系統トランジスタ9Cを強制的にオン状態に制御する。これにより、アクティブクランプ回路25は、パワートランジスタ8のドレイン・ソース電圧Vds(=VBB−VOUT)をクランプ電圧Vclp以下に制限する。第1系統トランジスタ9Aおよび第2系統トランジスタ9Bは、アクティブクランプ動作に寄与しない。したがって、第1系統トランジスタ9Aおよび第2系統トランジスタ9Bには、アクティブクランプ回路25は接続されていない。
出力電圧監視回路122は、ゲート制御回路12およびソース端子16に接続されている。出力電圧監視回路122は、出力電圧VOUTを監視し、出力電圧VOUTの監視結果に基づいて駆動信号Scを生成し、ゲート制御回路12に出力する。
ゲート制御回路12は、パワートランジスタ8、アクティブクランプ回路25(内部ノード電圧Vx)および出力電圧監視回路122に電気的に接続されている。ゲート制御回路12は、第1〜第3ゲート配線14A〜14Cを介して第1〜第3系統トランジスタ9A〜9Cに電気的に接続されている。
ゲート制御回路12は、イネーブル信号EN、内部ノード電圧Vxおよび駆動信号Scに応答して、第1〜第3系統トランジスタ9A〜9Cを個別制御する第1〜第3ゲート信号G1〜G3を生成し、第1〜第3ゲート配線14A〜14Cに個別的に出力する。ゲート制御回路12は、具体的には、パワートランジスタ8のオン遷移動作時、通常動作時、オフ遷移動作時およびアクティブクランプ動作時において、パワートランジスタ8のオン抵抗Ron(チャネル利用率)を切り換えるように、第1〜第3ゲート信号G1〜G3を個別に制御する。
ゲート制御回路12は、基本動作として、イネーブル信号ENがローレベルのときにローレベルの第1〜第3ゲート信号G1〜G3を生成する一方、イネーブル信号ENがハイレベルのときにハイレベルの第1〜第3ゲート信号G1〜G3を生成する。第1〜第3ゲート信号G1〜G3がローレベルの時、第1〜第3系統トランジスタ9A〜9Cはオフ状態に制御される(=第1動作モードに対応)。
ゲート制御回路12は、オン遷移動作時およびオフ遷移動作時において第1〜第3系統トランジスタ9A〜9Cをオン状態に制御する第1〜第3ゲート信号G1〜G3を生成する(=第2動作モードに対応)。
また、ゲート制御回路12は、通常動作時において第1系統トランジスタ9Aをオフ状態に制御する一方、第2〜第3系統トランジスタ9B〜9Cをオン状態に制御する第1〜第3ゲート信号G1〜G3を生成する(=第3動作モードに対応)。
また、ゲート制御回路12は、アクティブクランプ動作時において第1〜第2系統トランジスタ9A〜9Bをオフ状態に制御する一方、第3系統トランジスタ9Cをオン状態に制御する第1〜第3ゲート信号G1〜G3を生成する(=第4動作モードに対応)。
図27は、図24に示すゲート制御回路12およびアクティブクランプ回路25の一構成例を示す回路図である。図27は、コントロールIC11の要部を示す回路図でもある。
第1〜第3系統トランジスタ9A〜9Cは、システムドレインDS、システムソースSSおよびシステムゲートGSをそれぞれ含む。第1〜第3系統トランジスタ9A〜9CのシステムドレインDSは、ドレイン端子15にそれぞれ電気的に接続されている。第1〜第3系統トランジスタ9A〜9CのシステムソースSSは、ソース端子16にそれぞれ電気的に接続されている。
第1ゲート配線14Aは、第1系統トランジスタ9AのシステムゲートGS(第1ゲート)に電気的に接続されている。第2ゲート配線14Bは、第2系統トランジスタ9BのシステムゲートGS(第2ゲート)に電気的に接続されている。第3ゲート配線14Cは、第3系統トランジスタ9CのシステムゲートGS(第3ゲート)に電気的に接続されている。
以下の説明において「第1ゲート配線14Aに電気的に接続された状態」には、「第1系統トランジスタ9AのシステムゲートGSに電気的に接続された状態」が含まれるものとする。また、「第2ゲート配線14Bに電気的に接続された状態」には、「第2系統トランジスタ9BのシステムゲートGSに電気的に接続された状態」が含まれるものとする。また、「第3ゲート配線14Cに電気的に接続された状態」には、「第3系統トランジスタ9CのシステムゲートGSに電気的に接続された状態」が含まれるものとする。
アクティブクランプ回路25は、ツェナダイオード列123、ダイオード列124、および、nチャネル型のクランプMISFET125を含む。ツェナダイオード列123は、順方向直列接続されたm段(たとえばm=8)のツェナダイオードを含む直列回路からなる。ツェナダイオードの個数は任意であり、「m=1」であってもよい。ツェナダイオード列123は、カソードおよびアノードを含む。ツェナダイオード列123のカソードは、ドレイン端子15、および、第1〜第3系統トランジスタ9A〜9CのシステムドレインDSに電気的に接続されている。
ダイオード列124は、順方向直列接続されたn段(たとえばn=3)のpn接合ダイオードを含む直列回路からなる。pn接合ダイオードの個数は任意であり、「n=1」であってもよい。ダイオード列124は、カソードおよびアノードを含む。ダイオード列124のアノードは、ツェナダイオード列123のアノードに逆バイアス接続されている。
クランプMISFET125は、ドレイン、ソースおよびゲートを含む。クランプMISFET125のドレインは、ドレイン端子15、および、第1〜第3系統トランジスタ9A〜9CのシステムドレインDSに電気的に接続されている。クランプMISFET125のソースは、第3ゲート配線14Cに電気的に接続されている。クランプMISFET125のゲートは、ダイオード列124のカソードに接続されている。
出力電圧監視回路122は、閾値電圧Vthを生成する閾値電圧生成部126、比較信号Saを生成するコンパレータ127、遅延信号Sbを生成する遅延部128、および、駆動信号Scを生成するレベルシフタ129を含む。
閾値電圧生成部126は、電源電圧VBおよび定電圧VREG(たとえばVREG=VB−5V)の間において、ヒステリシスを有する閾値電圧Vth(VthH/VthL)を生成する。閾値電圧生成部126は、比較信号Saに応じて異なる電圧値からなる閾値電圧Vthを生成する。閾値電圧生成部126は、具体的には、比較信号Saがローレベルの時にハイレベルの閾値電圧VthH(たとえばVthH=VB−100mV)を生成し、比較信号Saがハイレベルの時にローレベルの閾値電圧VthL(たとえばVthH=VB−200mV)を生成する。
コンパレータ127は、非反転入力端(+)および反転入力端(−)を有している。コンパレータ127は、非反転入力端(+)に入力された出力電圧VOUT、および、反転入力端(−)に入力された閾値電圧Vthを比較し、比較信号Saを生成する。比較信号Saは、出力電圧VOUTが閾値電圧Vth未満(VOUT<Vth)の時にローレベル(≒VREG)になり、出力電圧VOUTが閾値電圧Vthを超えている(VOUT>Vth)時にハイレベル(≒VB)になる。
遅延部128は、比較信号Saの立ち上りエッジに所定期間の遅延を与える遅延信号Sbを生成する。遅延部128は、具体的には、比較信号Saがハイレベルに立ち上がってから所定の遅延時間Tdが経過した後、遅延信号Sbをハイレベル(≒VB)に立ち上げる。一方、遅延部128は、比較信号Saがローレベルに立ち下がった時には、遅延信号Sbを遅滞なくローレベル(≒VREG)に立ち下げる。遅延時間Tdは、出力電圧VOUTが閾値電圧VthHを上回ってから電源電圧VBに達するまでの所要時間以上に設定されることが好ましい。遅延時間Tdは、任意の値に調整される可変値に設定されてもよい。
レベルシフタ129は、遅延信号Vbにレベルシフトを付与して駆動信号Scを生成する。駆動信号Scは、遅延信号Vbがハイレベルの時にハイレベル(≧VOUT+Vgs、ただしVgsは後述の第1ドライブMISFET137のオンスレッショルド電圧)となり、遅延信号Vbがローレベルであるときにローレベル(≒VOUT)となる。
ゲート制御回路12は、第1〜第6電流源130〜135、コントローラ136、および、nチャネル型の第1〜第3ドライブMISFET137〜139(第1〜第3スイッチ)を含む。
第1電流源130は、第1ソース電流IH1を生成する。第1電流源130は、昇圧電圧VG(=チャージポンプ出力)の印加端および第1ゲート配線14Aに電気的に接続されている。第2電流源131は、第2ソース電流IH2を生成する。第2電流源131は、昇圧電圧VGの印加端および第2ゲート配線14Bの間に接続されている。第3電流源132は、第3ソース電流IH3を生成する。第3電流源132は、昇圧電圧VGの印加端および第3ゲート配線14Cの間に接続されている。
第4電流源133は、第1シンク電流IL1を生成する。第4電流源133は、第1ゲート配線14Aおよびソース端子16(出力電圧VOUT)に接続されている。第5電流源134は、第2シンク電流IL2を生成する。第5電流源134は、第2ゲート配線14Bおよびソース端子16に接続されている。第6電流源135は、第3シンク電流IL3を生成する。第6電流源135は、第3ゲート配線14Cおよびソース端子16に接続されている。
コントローラ136は、第1〜第6電流源130〜135に電気的に接続されている。コントローラ136は、イネーブル信号ENがハイレベル(EN=H)の時、第1〜第3電流源130〜132をオン状態に制御する一方、第4〜第6電流源133〜135をオフ状態に制御する。これにより、第1ソース電流IH1が第1ゲート配線14Aに出力され、第2ソース電流IH2が第2ゲート配線14Bに出力され、第3ソース電流IH3が第3ゲート配線14Cに出力される。
コントローラ136は、イネーブル信号ENがローレベル(EN=L)の時、第1〜第3電流源130〜132をオフ状態に制御する一方、第4〜第6電流源133〜135をオン状態に制御する。これにより、第1シンク電流IL1が第1ゲート配線14Aから引き抜かれ、第2シンク電流IL2が第2ゲート配線14Bから引き抜かれ、第3シンク電流IL3が第3ゲート配線14Cから引き抜かれる。
第1ドライブMISFET137は、ドレイン、ソース、ゲートおよびバックゲートを含む。第1ドライブMISFET137のドレインは、第1ゲート配線14Aに電気的に接続されている。第1ドライブMISFET137のソースは、ソース端子16に電気的に接続されている。第1ドライブMISFET137のゲートは、出力電圧監視回路122(具体的にレベルシフタ129)に電気的に接続されている。第1ドライブMISFET137のバックゲートは、ソース端子16に電気的に接続されている。第1ドライブMISFET137は、ゲートに入力された駆動信号Scに応答して駆動制御される。
第2ドライブMISFET138は、ドレイン、ソース、ゲートおよびバックゲートを含む。第2ドライブMISFET138のドレインは、第1ゲート配線14Aに電気的に接続されている。第2ドライブMISFET138のソースは、ソース端子16に電気的に接続されている。第2ドライブMISFET138のゲートは、内部ノード電圧Vxの印加端に電気的に接続されている。第2ドライブMISFET138のバックゲートは、ソース端子16に電気的に接続されている。
第3ドライブMISFET139は、ドレイン、ソース、ゲートおよびバックゲートを含む。第3ドライブMISFET139のドレインは、第2ゲート配線14Bに電気的に接続されている。第3ドライブMISFET139のソースは、ソース端子16に電気的に接続されている。第3ドライブMISFET139のゲートは、内部ノード電圧Vxの印加端に電気的に接続されている。第3ドライブMISFET139のバックゲートは、ソース端子16に電気的に接続されている。
第2〜第3ドライブMISFET138〜139は、ゲートに入力された内部ノード電圧Vxに応答してオン状態またはオフ状態にそれぞれ制御される。内部ノード電圧Vxは、アクティブクランプ回路25内の任意の電圧であってもよい。内部ノード電圧Vxは、クランプMISFET125のゲート電圧であってもよいし、ダイオード列124のいずれか1つのpn接合ダイオードのアノード電圧であってもよい。
図28は、容量性負荷接続時の起動挙動を示す図である。図28には、紙面上側から順に、外部制御信号IN、出力電圧VOUT、および、出力電流IOUTが示されている。以下では、第1実施形態に係る半導体装置1に1系統のパワートランジスタ8が適用され、ソース端子16(出力端子OUT)に容量性負荷Cが接続された場合を例にとって説明する。
半導体装置1は、過熱保護回路35を有している(図7も併せて参照)。過熱保護回路35は、温度条件に応じてパワートランジスタ8を強制的にオフ状態に制御する。過熱保護回路35は、パワートランジスタ8の温度Tjが一定値に達したときにパワートランジスタ8を強制的にオフ状態に制御してもよい。過熱保護回路35は、パワートランジスタ8および他の回路ブロック(発熱を生じにくいロジック回路など)の間の温度差ΔTjが一定値に達したときにパワートランジスタ8を強制的にオフ状態に制御してもよい。
図28を参照して、ソース端子16に容量性負荷Cが接続された場合、パワートランジスタ8のオン遷移動作時にラッシュ電流が流れ、パワートランジスタ8が瞬時的に発熱する(時刻t11〜t12および時刻t13〜t14参照)。パワートランジスタ8の発熱に起因して過熱保護回路35が駆動した場合、パワートランジスタ8は過熱保護回路35によって起動途中に強制的にオフ状態に制御される。その結果、パワートランジスタ8の起動時間に遅延が生じる(時刻t12〜t13および時刻t14〜t15参照)。
図29は、容量性負荷接続時の起動挙動を示す図である。図29には、紙面上側から順に、出力電圧VOUTおよび消費電力Wが示されている。
図29を参照して、パワートランジスタ8では、オン遷移動作時のオン抵抗Ronおよびオフ遷移動作時のオン抵抗Ronが、パワートランジスタ8の通常動作時のオン抵抗Ronよりも高くなる。オン遷移動作時は、出力電圧VOUTの立ち上がり期間(時刻t21〜t23)である。オフ遷移動作時は、出力電圧VOUTの立ち下がり期間(時刻t24〜t26)である。通常動作時は、出力電圧VOUTの定常期間(時刻t23〜t24)である。
したがって、パワートランジスタ8では、オン遷移動作時およびオフ遷移動作時において消費電力Wが増加し、急激な温度上昇が引き起こされる。消費電力Wは、出力電流IOUTにオン抵抗Ronの二乗を積算した値(W=IOUT×RON2)で表現される。この結果から、過熱保護回路35は、ラッシュ電流に起因するパワートランジスタ8の瞬時的な発熱によって誤作動しないように高精度に設計される必要があることがわかる。
前述の第2実施形態に係る半導体装置101のように2系統のパワートランジスタ8を採用することによって、オン遷移動作時、通常動作時およびオフ遷移動作時のオン抵抗Ronを制御できる。つまり、第2実施形態に係る半導体装置101によれば、第1〜第2系統トランジスタ9A〜9Bの個別制御によって、オン遷移動作時(オフ遷移動作時)のオン抵抗Ronが通常動作時のオン抵抗Ron未満になるようにパワートランジスタ8を制御できる。
しかし、この場合、アクティブクランプ動作時のオン抵抗Ronを適切に制御できない。そこで、第3実施形態に係る半導体装置121では、3系統のパワートランジスタ8が採用され、図30および図31A〜図31Dを用いて説明される制御が実施される。
図30は、パワートランジスタ8の制御例を示すタイミングチャートである。図31A〜図31Dは、パワートランジスタ8の制御例を示す断面斜視図である。図31A〜図31Dでは、n個のゲート配線14がラインによって簡略化して示されている。また、複数のゲートプラグ電極91の一部が、ラインによって簡略化して示されている。また、オフ状態のチャネル(ソース領域60)が塗りつぶしハッチングによって示されている。以下では、少なくとも誘導性負荷L(たとえばハーネスのインダクタンス成分)が、ソース端子16(出力端子OUT)に接続されているものとする。
図30には、紙面上側から順に、イネーブル信号EN、出力電圧VOUT(実線)、第1ゲート信号G1(一点鎖線)、第2ゲート信号G2(二点鎖線)、第3ゲート信号G3(破線)、比較信号Sa、遅延信号Sb(駆動信号Sc)、第1ドライブMISFET137の出力信号、第2ドライブMISFET138の出力信号、および、第3ドライブMISFET139の出力信号が示されている。
図30を参照して、イネーブル信号ENは、時刻t31に至るまでローレベルに維持されている。イネーブル信号ENにおいて、ローレベルはパワートランジスタ8をオフするときの論理レベルであり、ハイレベルはパワートランジスタ8をオンするときの論理レベルである。この時、第1〜第3ゲート信号G1〜G3がローレベル(≒VOUT)に維持されているので、第1〜第3系統トランジスタ9A〜9Cはオフ状態に制御されている(図31A参照)。この状態は、パワートランジスタ8の第1動作モードに相当する。
時刻t31において、イネーブル信号ENは、ローレベルからハイレベルに制御される。イネーブル信号ENがハイレベルになると、第1〜第3ゲート信号G1〜G3がローレベル(≒VOUT)からハイレベル(≒VG)にそれぞれ立ち上がる。これにより、パワートランジスタ8がオフ状態からオン遷移動作に移行し、出力電圧VOUTが上昇する。
出力電圧VOUTは、出力電圧VOUTの上昇開始時点ではハイレベルの閾値電圧VthH未満(VOUT<VthH)である。したがって、比較信号Saおよび遅延信号Sb(駆動信号Sc)はいずれもローレベルである。これにより、第1〜第3ドライブMISFET137〜139は、それぞれオフ状態に制御される。つまり、第1〜第3系統トランジスタ9A〜9Cのゲート・ソース間は、それぞれオープン状態に制御されている。
したがって、パワートランジスタ8は、オン遷移動時において第1〜第3系統トランジスタ9A〜9Cによって駆動される(図31B参照)。この状態は、パワートランジスタ8の第2動作モードに相当する。つまり、パワートランジスタ8は、オン遷移動作時において総チャネル面積AT(=75%)で駆動される。したがって、パワートランジスタ8のチャネル利用率が相対的に増加し、オン抵抗Ronが相対的に減少する。
時刻t32において、出力電圧VOUTがハイレベルの閾値電圧VthHを超えると(VthH<VOUT)、パワートランジスタ8がオン遷移動作から通常動作に移行し、比較信号Saがローレベルからハイレベルに立ち上がる。遅延信号Sb(駆動信号Sc)は、遅延時間Tdが経過するまでローレベルに維持されるので、第1〜第3ドライブMISFET137〜139はオフ状態にそれぞれ維持される。
したがって、パワートランジスタ8は、通常動作時に移行後、遅延時間Tdが経過するまでの期間において、第1〜第3系統トランジスタ9A〜9Cによって駆動される。つまり、パワートランジスタ8は、通常動作時に移行後、遅延時間Tdが経過するまでの期間において総チャネル面積AT(=75%)で駆動される。
時刻t33において、比較信号Saがハイレベルに立ち上がってから遅延時間Tdが経過すると、遅延信号Sb(駆動信号Sc)がハイレベルに立ち上がる。これにより、第1ドライブMISFET137がオン状態になり、第1系統トランジスタ9Aのゲート・ソース間がショート状態(G1=VOUT)になる。つまり、第1系統トランジスタ9Aが強制的にオフ状態に制御される一方で、第2〜第3系統トランジスタ9B〜9Cがオン状態に維持される。
したがって、パワートランジスタ8は、遅延時間Tdの経過後の通常動作時において、第1系統トランジスタ9Aが停止した状態で、第2〜第3系統トランジスタ9B〜9Cによって駆動される(図31C参照)。この状態は、パワートランジスタ8の第3動作モードに相当する。つまり、パワートランジスタ8は、遅延時間Tdの経過後の通常動作時において、総チャネル面積AT(=75%)未満となる第2〜第3系統チャネル面積AS2〜AS3の和(=50%)で駆動される。したがって、パワートランジスタ8のチャネル利用率が相対的に低下し、オン抵抗Ronが相対的に増加する。つまり、通常動作時のチャネル利用率は、零を超えてオン遷移動作時のチャネル利用率未満となる。
時刻t34において、イネーブル信号ENがハイレベルからローレベルに制御される。イネーブル信号ENがローレベルになると、第1〜第3ゲート信号G1〜G3がハイレベルからローレベルに立ち下がる。これにより、パワートランジスタ8が通常動作からオフ遷移動作に移行し、出力電圧VOUTが電源電圧VBから低下し始める。
時刻t35において、出力電圧VOUTがローレベルの閾値電圧VthLになると、比較信号Saおよび遅延信号Sb(駆動信号Sc)がローレベルに立ち下がる。これにより、第1ドライブMISFET137がオフ状態になるので、第1系統トランジスタ9Aのゲート・ソース間が再びオープン状態になる。つまり、第1系統トランジスタ9Aは、オフ状態からオン状態に制御される。
したがって、パワートランジスタ8は、オフ遷移動作時において、第1〜第3系統トランジスタ9A〜9Cによって駆動される(図31A参照)。この状態は、パワートランジスタ8の第2動作モードに相当する。つまり、パワートランジスタ8は、オフ遷移動作時において通常動作時のチャネル割合(=50%)を超える総チャネル面積AT(=75%)で駆動される。したがって、パワートランジスタ8のチャネル利用率が相対的に増加し、オン抵抗Ronが相対的に低下する。
誘導性負荷Lは、パワートランジスタ8のオフ遷移動作時においてパワートランジスタ8のオン期間中に蓄えたエネルギを放出するまで出力電流IOUTを流し続ける。これにより、出力電圧VOUTは、グランド電圧GNDよりも低い負電圧まで急低下し、パワートランジスタ8がオフ遷移動作からアクティブクランプ動作に移行する。
時刻t36において、出力電圧VOUTが電源電圧VBよりも所定値αだけ低いチャネル切り換え電圧VB−αまで低下すると、内部ノード電圧Vxが第1〜第2ドライブMISFET136〜137のオンスレッショルド電圧よりも高くなる。これにより、第1ドライブMISFET137がオン状態に制御されるので、第1系統トランジスタ9Aのゲート・ソース間がショート状態(G1=VOUT)になる。また、第2ドライブMISFET138がオン状態に制御されるので、第2系統トランジスタ9Bのゲート・ソース間がショート状態(G2=VOUT)になる。つまり、第1〜第2系統トランジスタ9Bは、時刻t36においてオフ状態に制御される。
一方、時刻t37において、出力電圧VOUTが電源電圧VBよりも所定値β(α<β)だけ低い下限電圧VB−β(例えばVB−50V)まで低下すると、第3系統トランジスタ9Cが、アクティブクランプ回路25によってオン状態に制御される。下限電圧VB−βは、チャネル切り換え電圧VB−α未満(VB−β<VB−α)である。
つまり、第3系統トランジスタ9Cは、アクティブクランプ回路25によって第1〜第2系統トランジスタ9A〜9Bが停止された後、駆動される。したがって、パワートランジスタ8は、アクティブクランプ動作時において、第1〜第2系統トランジスタ9Bが停止した状態で、第3系統トランジスタ9Cによって駆動される(図31D参照)。この状態は、パワートランジスタ8の第4動作モードに相当する。これにより、パワートランジスタ8は、アクティブクランプ動作時において、通常動作時のチャネル割合未満となる第3系統チャネル面積AS3(=25%)で駆動される。
誘導性負荷Lに起因する出力電流IOUTは、第3系統トランジスタ9Cを介して放電される。したがって、出力電圧VOUTは、下限電圧VB−β以上に制限される。アクティブクランプ回路25は、電源電圧VB基準で出力電圧VOUTを制御し、パワートランジスタ8のドレイン・ソース電圧Vds(=VB−VOUT)をクランプ電圧Vclp(=β)以下に制限する。アクティブクランプ動作は、誘導性負荷Lに蓄えられたエネルギが放出し尽くされて出力電流IOUTが流れなくなる時刻t38まで継続される。
パワートランジスタ8の一連の動作は、次のように纏められる。以下では、時刻t31〜t33の期間をオン遷移期間T11と言い、時刻t33〜t35の期間を通常動作期間T12と言い、時刻t35〜t36の期間をオフ遷移期間T13と言い、時刻t36〜t38の期間をアクティブクランプ動作期間T14と言う。
パワートランジスタ8は、オン遷移期間T11に至るまでオフ状態に制御される(=第1動作モードに対応)。オン遷移期間T11では、第1〜第3ドライブMISFET137〜139がオフ状態に制御される。これにより、パワートランジスタ8は、オン遷移期間T11において第1〜第3系統トランジスタ9A〜9Cによって駆動される(=第2動作モードに対応)。パワートランジスタ8は、オン遷移期間T11において総チャネル面積AT(=75%)で駆動される。
通常動作期間T12では、第1ドライブMISFET137がオン状態に制御される一方、第2〜第3ドライブMISFET137〜138がオフ状態に制御される。これにより、パワートランジスタ8は、通常動作期間T12において第1系統トランジスタ9Aが停止した状態で、第2〜第3系統トランジスタ9B〜9Cによって駆動される(=第3動作モードに対応)。パワートランジスタ8は、オン遷移動作時のチャネル割合(=75%)未満のチャネル割合(=50%)で駆動される。
オフ遷移期間T13では、第1ドライブMISFET137が再度オフ状態に制御される。つまり、オフ遷移期間T13では、第1〜第3ドライブMISFET137〜139がいずれもオフ状態に制御される。これにより、パワートランジスタ8は、オフ遷移期間T13において第1〜第3系統トランジスタ9A〜9Cによって駆動される(=第1動作モードに対応)。パワートランジスタ8は、通常動作時のチャネル割合(=50%)を超える総チャネル面積AT(=75%)で駆動される。
アクティブクランプ動作期間T14では、第3ドライブMISFET139がオフ状態に制御される一方、第1〜第2ドライブMISFET136〜137がオン状態に制御される。これにより、パワートランジスタ8は、アクティブクランプ動作期間T14において第1〜第2系統トランジスタ9A〜9Bが停止した状態で、第3系統トランジスタ9Cによって駆動される(=第4動作モードに対応)。パワートランジスタ8は、アクティブクランプ動作時において、通常動作時のチャネル割合(=50%)未満のチャネル割合(=25%)で駆動される。
以上、パワートランジスタ8において、オン遷移動作時のオン抵抗Ronは、定常値である通常動作時のオン抵抗Ronよりも引き下げられた状態となる。したがって、起動時に過大なラッシュ電流が流れ得る状況(容量性負荷Cの接続時)でも、パワートランジスタ8の消費電力Wを抑制できるので、過熱保護(特にΔTj保護)が掛かり難くなる。これにより、パワートランジスタ8の起動時間を短縮できる。
一方、パワートランジスタ8において、通常動作時のオン抵抗Ronは、オン遷移動作時のオン抵抗Ronよりも大きくなる。換言すると、パワートランジスタ8の起動完了後には、パワートランジスタ8のオン抵抗Ronが定常値に戻された状態となる。起動直後のラッシュ電流(例えば数十A)および起動完了後の定常電流(数A)の間の差が大きい場合、消費電力Wの低減よりも過電流保護を優先し、パワートランジスタ8のオン抵抗Ronを引き下げたままとせずに定常値に戻すことが望ましい。
パワートランジスタ8のオフ遷移動作時では、パワートランジスタ8のオン遷移動作時と同様に、パワートランジスタ8のオン抵抗Ronが定常値(通常動作時のオン抵抗Ron)よりも引き下げられた状態となる。したがって、ラッシュ電流および消費電力Wを抑制できる。
パワートランジスタ8のアクティブクランプ動作時には、パワートランジスタ8のオン抵抗Ronが定常値よりも引き上げられた状態となる。したがって、誘導性負荷Lの逆起電力に起因する急激な温度上昇を抑制できる。とりわけ、離散的に配置された複数の単位トランジスタ10によれば、半導体チップ2(第1デバイス領域6)の局所的な温度を適切に抑制できる。よって、アクティブクランプ耐量Eacを適切に向上できる。
この形態では、通常動作時において、第2系統トランジスタ9Bおよび第3系統トランジスタ9Cがオン状態に制御される一方、第1系統トランジスタ9Aがオフ状態に制御された例について説明した。しかし、通常動作時において、第1〜第3系統トランジスタ9A〜9Cのうちの任意の1つまたは2つがオン状態に制御される一方、残りの1つまたは2つがオフ状態に制御されてもよい。
この形態では、アクティブクランプ動作時において、第3系統トランジスタ9Cがオン状態に制御される一方、第1系統トランジスタ9Aおよび第2系統トランジスタ9Bがオフ状態に制御された例について説明した。しかし、アクティブクランプ動作時において、第1〜第3系統トランジスタ9A〜9Cのうちの任意の1つまたは2つがオン状態に制御される一方、残りの1つまたは2つがオフ状態に制御されてもよい。
図32は、本発明の第4実施形態に係る半導体装置141(第1実施形態に係る半導体装置1がローサイド側のスイッチングデバイスからなる形態)を示す平面図である。図33は、図32に示すXXXIII-XXXIII線に沿う断面図である。図34は、図32に示す半導体チップ2の構造を示す平面図である。以下では、半導体装置1に対して述べた構造に対応する構造については同一の参照符号を付して説明を省略する。
前述の第1実施形態では、半導体装置1がハイサイド側のスイッチングデバイスである形態例について説明した。しかし、半導体装置1は、ローサイド側のスイッチングデバイスとしても提供されることができる。ここでは、ローサイド側のスイッチングデバイスとして製造された半導体装置1の一形態例を、第4実施形態に係る半導体装置141として説明する。
図32〜図34を参照して、半導体装置141は、第1実施形態に係る半導体装置1と同様に、半導体チップ2、第1デバイス領域6、第2デバイス領域7、n系統のパワートランジスタ8、コントロールIC11、層間絶縁層13、n個のゲート配線14、および、複数の端子電極15〜17を含む。半導体チップ2、第1デバイス領域6、第2デバイス領域7、n系統のパワートランジスタ8、層間絶縁層13、および、n個のゲート配線14の構成は、前述の第1実施形態と同様であるので、具体的な説明は省略される。
複数の端子電極15〜17は、この形態では、ドレイン端子15(出力端子)、ソース端子16(基準電圧端子)および入力端子17を含む。ドレイン端子15は、第1実施形態の場合と同様に、半導体チップ2の第2主面4を直接被覆し、第2主面4に電気的に接続されている。ドレイン端子15は、パワートランジスタ8によって生成された電気信号を外部に伝達する。
ソース端子16は、第1実施形態の場合と同様に第1主面3において第1デバイス領域6の上に形成されている。ソース端子16は、パワートランジスタ8やコントロールIC11の各種機能回路に基準電圧(たとえばグランド電圧GND)を伝達する。入力端子17は、第1実施形態の場合と同様に第1主面3において第2デバイス領域7の上に形成されている。入力端子17は、コントロールIC11を駆動するための入力電圧を伝達する。
図35は、図32に示す半導体装置141の一構成例を示すブロック回路図である。図35を参照して、半導体装置141は、パワートランジスタ8、コントロールIC11、n個のゲート配線14、ドレイン端子15(出力端子)、ソース端子16(基準電圧端子)、および、入力端子17を含む。ドレイン端子15は、誘導性負荷Lに接続される。基準端子18は、グランド接地される。入力端子17は、MCU、DC/DCコンバータ、LDO等に接続される。
パワートランジスタ8は、メインドレインDM、メインソースSMおよびn個のメインゲートGMを含む。パワートランジスタ8のメインドレインDMは、ドレイン端子15に電気的に接続されている。パワートランジスタ8のメインソースSMは、ソース端子16に電気的に接続されている。パワートランジスタ8のn個のメインゲートGMは、n個のゲート配線14を介してコントロールIC11(具体的にはゲート制御回路12)に接続されている。図35では、n個のゲート配線14が1つのラインによって簡略化して示されている。
コントロールIC11は、この形態では、電流・電圧制御回路23、保護回路24、ゲート制御回路12およびアクティブクランプ回路25を含む。電流・電圧制御回路23は、ソース端子16、入力端子17、保護回路24およびゲート制御回路12に電気的に接続されている。電流・電圧制御回路23は、入力端子17からの電気信号および保護回路24からの電気信号に応じて、種々の電圧を生成する。電流・電圧制御回路23は、この形態では、駆動電圧生成回路29、第1定電圧生成回路30、第2定電圧生成回路31および基準電圧・電流生成回路32を含む。
駆動電圧生成回路29は、ゲート制御回路12を駆動するための駆動電圧を生成する。駆動電圧生成回路29によって生成された駆動電圧は、ゲート制御回路12に入力される。第1定電圧生成回路30は、保護回路24を駆動するための第1定電圧を生成する。第1定電圧生成回路30は、ツェナダイオードやレギュレータ回路を含んでいてもよい。第1定電圧は、保護回路24(たとえば過電流保護回路33)に入力される。
第2定電圧生成回路31は、保護回路24を駆動するための第2定電圧を生成する。第2定電圧生成回路31は、ツェナダイオードやレギュレータ回路を含んでいてもよい。第2定電圧は、保護回路24(たとえば過熱保護回路35)に入力される。基準電圧・電流生成回路32は、各種回路の基準電圧および基準電流を生成する。基準電圧および基準電流は、各種回路に入力される。各種回路がコンパレータを含む場合、基準電圧および基準電流は、当該コンパレータに入力されてもよい。
保護回路24は、電流・電圧制御回路23、ゲート制御回路12およびパワートランジスタ8のソースに電気的に接続されている。保護回路24は、過電流保護回路33、過熱保護回路35および低電圧誤動作抑制回路36を含む。
過電流保護回路33は、ゲート制御回路12に電気的に接続されている。過電流保護回路33は、パワートランジスタ8を流れる出力電流を検出して一定値以下に制限することによって、過電流からパワートランジスタ8を保護する。過電流保護回路33は、電流モニタ回路を含んでいてもよい。過電流保護回路33によって生成された信号は、ゲート制御回路12に入力される。
過熱保護回路35は、電流・電圧制御回路23に電気的に接続されている。過熱保護回路35は、パワートランジスタ8の温度を監視し、過度な温度上昇からパワートランジスタ8を保護する。過熱保護回路35は、パワートランジスタ8の温度が所定の閾値に達したとき、または、パワートランジスタ8および他の回路の温度差が所定の閾値に達したときに、パワートランジスタ8を強制的にオフ状態に制御する。過熱保護回路35は、感温ダイオードやサーミスタ等の感温デバイスを含んでいてもよい。過熱保護回路35によって生成された信号は、電流・電圧制御回路23に入力される。
低電圧誤動作抑制回路36は、電流・電圧制御回路23に電気的に接続されている。低電圧誤動作抑制回路36は、電源電圧VBが所定値未満である場合にパワートランジスタ8が誤動作するのを抑制する。低電圧誤動作抑制回路36によって生成された信号は、電流・電圧制御回路23に入力される。
ゲート制御回路12は、電流・電圧制御回路23、保護回路24、および、n個のゲート配線14に電気的に接続されている。ゲート制御回路12は、発振回路やチャージポンプ回路を含んでいてもよい。ゲート制御回路12は、パワートランジスタ8のオン状態およびオフ状態を制御する。ゲート制御回路12は、電流・電圧制御回路23からの電気信号および保護回路24からの電気信号に応答してn個のゲート配線14に出力すべきn個のゲート信号Gを生成する。これにより、パワートランジスタ8が駆動制御される。
アクティブクランプ回路25は、ドレイン端子15、パワートランジスタ8のメインゲートGMに電気的に接続されている。アクティブクランプ回路25は、逆起電力からパワートランジスタ8を保護する。アクティブクランプ回路25は、順方向直列接続された複数のダイオードを含む直列回路を含んでいてもよい。アクティブクランプ回路25は、逆バイアス接続された第1ダイオード列および第2ダイオード列によって構成されたダイオード対を含んでいてもよい。
第1ダイオード列は、順方向直列接続された1つまたは複数のダイオードを含む。第2ダイオード列は、順方向直列接続された1つまたは複数のダイオードを含み、第1ダイオード列に逆バイアス接続されている。第1ダイオード列を構成する1つまたは複数のダイオードは、pn接合ダイオードおよびツェナダイオードのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。第2ダイオード列を構成する1つまたは複数のダイオードは、pn接合ダイオードおよびツェナダイオードのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。
以上、半導体装置141は、半導体チップ2およびn系統(n≧2)のパワートランジスタ8を含む。n系統のパワートランジスタ8は、半導体チップ2に個別制御可能にそれぞれ形成されたn個(n≧2)の系統トランジスタ9を含み、n個の系統トランジスタ9の選択制御によって単一の出力電流IOUT(出力信号)を生成する。
n系統のパワートランジスタ8は、具体的には、n個のゲート信号Gが個別入力されるように並列接続されたn個の系統トランジスタ9の並列回路によって構成されている。n個の系統トランジスタ9は、ゲート信号Gに応答して系統毎の電気信号を生成する。n系統のパワートランジスタ8は、n個の系統トランジスタ9によって生成されたn個の電気信号の加算値からなる単一の出力電流IOUTを生成する。
n系統のパワートランジスタ8は、n個の系統トランジスタ9の選択制御によってチャネル利用率およびオン抵抗Ronが変化する。これにより、パワートランジスタ8は、異なるオン抵抗Ronからそれぞれなる複数の動作モードで制御可能になる。このように、ローサイド側のスイッチングデバイスからなる半導体装置141によっても、ハイサイド側のスイッチングデバイスからなる半導体装置1に対して述べた効果と同様の効果を奏することができる。
図36は、本発明の第5実施形態に係る半導体装置151(第4実施形態に係る半導体装置141に2系統のパワートランジスタ8が適用された場合において、2系統制御を行うための形態)を示すブロック回路図である。図37は、図36に示すパワートランジスタ8の等価回路図である。図36および図37では、誘導性負荷Lがドレイン端子15に接続された例が示されている。誘導性負荷Lは、コイル、ソレノイド、ハーネスのインダクタンス成分等であってもよい。
図36および図37を参照して、半導体装置151は、ドレイン端子15(出力端子OUT)、ソース端子16(基準電圧端子)、2系統のパワートランジスタ8、2個のゲート配線14、アクティブクランプ回路25およびゲート制御回路12を含む。
半導体装置151に係るパワートランジスタ8は、第2実施形態に係るパワートランジスタ8と同様に、個別制御対象として系統化された第1系統トランジスタ9Aおよび第2系統トランジスタ9Bを含む(図17〜図19も併せて参照)。つまり、半導体装置151に係るパワートランジスタ8は、第2実施形態に係るパワートランジスタ8と同様に、第1動作モード、第2動作モードおよび第3動作モードで駆動制御される。その他、第1系統トランジスタ9Aおよび第2系統トランジスタ9Bの構成は、第2実施形態の場合と同様であるので、具体的な説明は省略される。
2個のゲート配線14は、第1ゲート配線14Aおよび第2ゲート配線14Bを含む。第1ゲート配線14Aは、第1系統トランジスタ9A(複数の第1単位トランジスタ10A)に電気的に接続されている。第2ゲート配線14Bは、第1系統トランジスタ9Aとは別の第2系統トランジスタ9B(複数の第2単位トランジスタ10B)に電気的に接続されている。
アクティブクランプ回路25は、第1系統トランジスタ9Aのドレイン・ゲート間に接続されている。アクティブクランプ回路25は、ドレイン端子15の出力電圧VOUTが過電圧になったとき、第1系統トランジスタ9Aを強制的にオン状態に制御する。これにより、アクティブクランプ回路25は、パワートランジスタ8のドレイン・ソース電圧Vds(=VBB−VOUT)をクランプ電圧Vclp以下に制限する。第2系統トランジスタ9Bは、アクティブクランプ動作に寄与しない。したがって、第2系統トランジスタ9Bには、アクティブクランプ回路25は接続されていない。
ゲート制御回路12は、第1〜第2ゲート配線14A〜14Bを介して第1〜第2系統トランジスタ9A〜9Bに電気的に接続されている。また、ゲート制御回路12は、アクティブクランプ回路25の内部ノード電圧Vyの印加端に電気的に接続されている。ゲート制御回路12は、入力端子17に入力される外部制御信号INに応答して、第1〜第2系統トランジスタ9A〜9Bを制御する第1〜第2ゲート信号G1〜G2を生成し、第1〜第2ゲート配線14A〜14Bに個別的に出力する。外部制御信号INは、パワートランジスタ8のオン/オフ制御信号として機能すると同時に、半導体装置151の電源電圧として機能している。
ゲート制御回路12は、具体的には、外部制御信号INがハイレベルとなるイネーブル状態において、第1〜第2系統トランジスタ9A〜9Bの双方をオン状態に制御する第1〜第2ゲート信号G1〜G2を生成する。一方、ゲート制御回路12は、外部制御信号INがローレベルとなるディセーブル状態において、第1〜第2系統トランジスタ9A〜9Bの双方をオフ状態に制御する第1〜第2ゲート信号G1〜G2を生成する。
また、ゲート制御回路12は、内部ノード電圧Vyに応答して、第2系統トランジスタ9Bをオフ状態に制御する一方、第1系統トランジスタ9Aをオン状態に制御する。ゲート制御回路12は、具体的には、内部ノード電圧Vyに応答して、イネーブル状態(EN=H)からディセーブル状態(EN=L)への遷移後、アクティブクランプ回路25の動作前に第2系統トランジスタ9Bをオフ状態に制御する。
図38は、図36に示すゲート制御回路12およびアクティブクランプ回路25の一構成例を示す回路図である。図38は、コントロールIC11の要部を示す回路図でもある。
第1〜第2系統トランジスタ9A〜9Bは、システムドレインDS、システムソースSSおよびシステムゲートGSをそれぞれ含む。第1〜第2系統トランジスタ9A〜9BのシステムドレインDSは、ドレイン端子15にそれぞれ電気的に接続されている。第1〜第2系統トランジスタ9A〜9BのシステムソースSSは、ソース端子16にそれぞれ電気的に接続されている。
第1ゲート配線14Aは、第1系統トランジスタ9AのシステムゲートGSに電気的に接続されている。第2ゲート配線14Bは、第2系統トランジスタ9BのシステムゲートGSに電気的に接続されている。以下の説明において「第1ゲート配線14Aに電気的に接続された状態」には、「第1系統トランジスタ9AのシステムゲートGSに電気的に接続された状態」が含まれるものとする。また、「第2ゲート配線14Bに電気的に接続された状態」には、「第2系統トランジスタ9BのシステムゲートGSに電気的に接続された状態」が含まれるものとする。
アクティブクランプ回路25は、ツェナダイオード列152およびダイオード列153を含む。ツェナダイオード列152は、順方向直列接続されたm段(たとえばm=8)のツェナダイオードを含む直列回路からなる。ツェナダイオードの個数は任意であり、「m=1」であってもよい。ツェナダイオード列152は、カソードおよびアノードを含む。ツェナダイオード列152のカソードは、ドレイン端子15、および、第1〜第2系統トランジスタ9A〜9BのシステムドレインDSに電気的に接続されている。
ダイオード列153は、順方向直列接続されたn段(たとえばn=3)のpn接合ダイオードを含む直列回路からなる。pn接合ダイオードの個数は任意であり、「n=1」であってもよい。ダイオード列153は、カソードおよびアノードを含む。ダイオード列153のカソードは、第1ゲート配線14Aに電気的に接続されている。ダイオード列153のアノードは、ツェナダイオード列152のアノードに逆バイアス接続されている。
ゲート制御回路12は、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2、第3スイッチSW3、pチャネル型の第1ドライブMISFET154、pチャネル型の第2ドライブMISFET155、nチャネル型の第3ドライブMISFET156、第1ハイサイド抵抗R1H(第1上側抵抗)、第1ローサイド抵抗R1L(第1下側抵抗)、第2ハイサイド抵抗R2H(第2上側抵抗)、第2ローサイド抵抗R2L(第2下側抵抗)、ゲート抵抗RGを含む。
第1ハイサイド抵抗R1Hの第1端は、第1ゲート配線14Aに電気的に接続されている。第1スイッチSW1は、入力端子17および第1ハイサイド抵抗R1Hの第2端に電気的に接続されている。第1スイッチSW1のオンオフは、反転低電圧検出信号UVLOBに応答して制御される。反転低電圧検出信号UVLOBは、低電圧検出信号UVLOの論理レベルを反転させた信号からなる。第1スイッチSW1は、具体的には、反転低電圧検出信号UVLOBがハイレベル(UVLOB=H、UVLO=L)の時にオン状態になり、反転低電圧検出信号UVLOBがローレベル(UVLOB=L、UVLO=H)の時にオフ状態になる。
第2ハイサイド抵抗R2Hの第1端は、第2ゲート配線14Bに電気的に接続されている。第2スイッチSW2のオンオフは、入力端子17および第2ハイサイド抵抗R2Hの第2端に電気的に接続されている。第2スイッチSW2は、反転低電圧検出信号UVLOBに応答して制御される。第2スイッチSW2は、具体的には、反転低電圧検出信号UVLOBがハイレベル(UVLOB=H、UVLO=L)の時にオン状態になり、反転低電圧検出信号UVLOBがローレベル(UVLOB=L、UVLO=H)の時にオフ状態になる。
ゲート抵抗RGの第1端は、ソース端子16に電気的に接続されている。第3スイッチSW3は、内部ノード電圧Vyの印加端およびゲート抵抗RGの第2端に電気的に接続されている。第3スイッチSW3のオンオフは、低電圧検出信号UVLOに応答して制御される。第3スイッチSW3は、具体的には、低電圧検出信号UVLOがハイレベル(UVLOB=L、UVLO=H)の時にオン状態になり、低電圧検出信号UVLOがローレベル(UVLOB=H、UVLO=L)の時にオフ状態になる。
内部ノード電圧Vyの印加端は、アクティブクランプ回路25内の任意の接続ノードであってもよい。内部ノード電圧Vyの印加端は、ツェナダイオード列152およびダイオード列153の接続ノードであってもよいし、ダイオード列153のいずれか1つのpn接合ダイオードの接続ノード(アノード電圧)であってもよい。
低電圧検出信号UVLOおよび反転低電圧検出信号UVLOBは、外部制御信号IN(半導体装置151の電源電圧)および低電圧検出閾値Vuvloの比較結果に応じて、それぞれの論理レベルが切り替わる。外部制御信号INが低電圧検出閾値Vuvlo未満(IN<Vuvlo)の時、低電圧検出信号UVLOはハイレベル(UVLO=H)になり、反転低電圧検出信号UVLOBはローレベル(UVLOB=L)になる(UVLO検出時の論理レベル)。これにより、第1〜第2スイッチSW1〜SW2がオフ状態になる一方、第3スイッチSW3がオン状態になる。
外部制御信号INが低電圧検出閾値Vuvloを超えている(Vuvlo<IN)時、低電圧検出信号UVLOはローレベル(UVLO=L)になり、反転低電圧検出信号UVLOBはハイレベル(UVLOB=H)になる(UVLO解除時の論理レベル)。これにより、第1〜第2スイッチSW1〜SW2がオン状態になる一方、第3スイッチSW3がオフ状態になる。このように、第1〜第2スイッチSW1〜SW2は、第3スイッチSW3に対して相補的に制御される。
第1ローサイド抵抗R1Lの第1端は、ソース端子16に電気的に接続されている。第1ドライブMISFET154は、ドレイン、ソース、ゲートおよびバックゲートを含む。第1ドライブMISFET154のドレインは、第1ローサイド抵抗R1Lの第2端に電気的に接続されている。第1ドライブMISFET154のソースは、第1ゲート配線14Aに電気的に接続されている。第1ドライブMISFET154のゲートは、入力端子17に電気的に接続されている。第1ドライブMISFET154のバックゲートは、第1ゲート配線14Aに電気的に接続されている。
第2ローサイド抵抗R2Lの第1端は、ソース端子16に電気的に接続されている。第2ドライブMISFET155は、ドレイン、ソース、ゲートおよびバックゲートを含む。第2ドライブMISFET155のドレインは、第2ローサイド抵抗R2Lの第2端に電気的に接続されている。第2ドライブMISFET155のソースは、第2ゲート配線14Bに電気的に接続されている。第2ドライブMISFET155のゲートは、入力端子17に電気的に接続されている。第2ドライブMISFET155のバックゲートは、第2ゲート配線14Bに電気的に接続されている。
第3ドライブMISFET156は、ドレイン、ソース、ゲートおよびバックゲートを含む。第3ドライブMISFET156のドレインは、第2ゲート配線14Bに電気的に接続されている。第3ドライブMISFET156のソースは、ソース端子16に電気的に接続されている。第3ドライブMISFET156のゲートは、ゲート抵抗RGの第2端(つまりゲート抵抗RGおよび第3スイッチSW3の接続ノード)に電気的に接続されている。第3ドライブMISFET156のバックゲートは、ソース端子16に電気的に接続されている。
図39は、パワートランジスタ8の制御例を示すタイミングチャートである。図39には、紙面上側から順に、外部制御信号IN、低電圧検出信号UVLOおよび反転低電圧検出信号UVLOB、第1ゲート信号G1(実線)、第2ゲート信号G2(破線)、出力電圧VOUT、および、出力電流IOUTが示されている。以下では、第1系統トランジスタ9Aのゲート・ソース電圧を「Vgs1」、第3ドライブMISFET156のオンスレッショルド電圧を「Vth」、ツェナダイオード列152の降伏電圧を「mVZ」、ダイオード列153の順方向降下電圧を「nVF」とする。
図39を参照して、外部制御信号INは、時刻t41に至るまでローレベルに維持されている。外部制御信号INにおいて、ローレベルはパワートランジスタ8をオフ状態に制御するときの論理レベルであり、ハイレベルはパワートランジスタ8をオン状態に制御するときの論理レベルである。この時、第1〜第2ゲート信号G1〜G2がローレベルに維持されているので、第1〜第2系統トランジスタ9A〜9Bはオフ状態に制御されている(図23Aも併せて参照)。この状態は、パワートランジスタ8の第1動作モードに相当する。
時刻t41において、外部制御信号INは、ローレベルからハイレベルに制御される。外部制御信号INは低電圧検出閾値Vuvlo未満(IN<Vuvlo)のため、低電圧検出信号UVLOはハイレベル(UVLO=H)になり、反転低電圧検出信号UVLOBはローレベル(UVLOB=L)になる。この時、ゲート制御回路12では、第1〜第2スイッチSW1〜SW2がオフ状態になる一方、第3スイッチSW3がオン状態になる。
したがって、第1〜第2ゲート信号G1〜G2がローレベルに維持されるため、第1〜第2系統トランジスタ9A〜9Bはいずれもオフ状態に維持される。これにより、出力電流IOUTは流れず、出力電圧VOUTは電源電圧VBとほぼ等しくなる(VOUT≒VB)。
時刻t42において、外部制御信号INが低電圧検出閾値Vuvloを超えると(Vuvlo<IN)、低電圧検出信号UVLOはローレベル(UVLO=L)になり、反転低電圧検出信号UVLOBはハイレベル(UVLOB=H)になる。この時、ゲート制御回路12では、第1〜第2スイッチSW1〜SW2がオン状態になる一方、第3スイッチSW3がオフ状態になる。
これにより、第1〜第2ゲート配線14A〜14Bが導通し、第1〜第2ゲート信号G1〜G2がローレベルからハイレベルに立ち上がる。第1ゲート信号G1の立ち上がり速度(=スイッチオン時のスルーレート)は、第1ハイサイド抵抗R1Hの抵抗値によって調整される。第2ゲート信号G2の立ち上がり速度(=スイッチオン時のスルーレート)は、第2ハイサイド抵抗R2Hの抵抗値によって調整される。
第1〜第2ゲート信号G1〜G2が立ち上がると、第1〜第2系統トランジスタ9A〜9Bがオン状態になる(図23Bも併せて参照)。これにより、パワートランジスタ8が通常動作状態になる。この状態は、パワートランジスタ8の第2動作モードに相当する。この時、パワートランジスタ8は、50%の総チャネル面積ATで駆動される。これにより、面積抵抗率Ron・Aは、図21のグラフにおいて第2プロット点P2で示された面積抵抗率Ron・Aに近づく。
パワートランジスタ8の通常動作時では、出力電流IOUTが流れ始めるので、出力電圧VOUTがグランド電圧GND近傍まで低下する。この時、第3スイッチSW3はオフ状態であるので、内部ノード電圧Vyは第3ドライブMISFET156のゲートに印加されない。したがって、第3ドライブMISFET156はオフ状態を維持する。
時刻t43において、外部制御信号INは、ハイレベルからローレベルに制御される。これにより、第1〜第2ドライブMISFET154〜155がオン状態になり、第1〜第2ゲート信号G1〜G2がハイレベルからローレベルに立ち下がる。第1ゲート信号G1の立ち下がり速度(=スイッチオン時のスルーレート)は、第1ローサイド抵抗R1Lの抵抗値によって調整される。第2ゲート信号G2の立ち下がり速度(=スイッチオン時のスルーレート)は、第2ローサイド抵抗R2Lの抵抗値によって調整される。
第1ドライブMISFET154がオン状態になると、第1系統トランジスタ9Aのゲート・ソース間がショート状態になるので、第1系統トランジスタ9Aがオフ状態になる。また、第2ドライブMISFET155がオン状態になると、第2系統トランジスタ9Bのゲート・ソース間がショート状態になるので、第2系統トランジスタ9Bがオフ状態になる。
このとき、誘導性負荷Lは、パワートランジスタ8のオン期間中に蓄えたエネルギを放出するまで出力電流IOUTを流し続ける。その結果、出力電圧VOUTは、電源電圧VBよりも高い負電圧まで急上昇する。これにより、パワートランジスタ8がアクティブクランプ動作状態に移行する。
時刻t44において、外部制御信号INが低電圧検出閾値Vuvlo未満(IN<Vuvlo)になり、低電圧検出信号UVLOがローレベルからハイレベルに立ち上がると、第3スイッチSW3がオン状態になる。第3スイッチSW3がオン状態になると、第3ドライブMISFET156のゲートに内部ノード電圧Vy(>Vth)が印加される。これにより、第3ドライブMISFET156がオン状態に制御され、第2系統トランジスタ9Bのゲート・ソース間がショート状態(G2=VOUT)になる。その結果、第2系統トランジスタ9Bがオフ状態に制御される。
一方、時刻t45において、出力電圧VOUTがクランプ電圧Vclp(=Vgs1+nVF+mVZ)まで上昇すると、第1系統トランジスタ9Aは、アクティブクランプ回路25によってオン状態に制御される。第1系統トランジスタ9Aは、具体的には、第2系統トランジスタ9Bの停止後にオン状態に制御される。
したがって、パワートランジスタ8のアクティブクランプ動作時では、第1系統トランジスタ9Aがオン状態に制御される一方、第2系統トランジスタ9Bがオフ状態に制御される(図23Cも併せて参照)。この状態は、パワートランジスタ8の第3動作モードに相当する。
パワートランジスタ8は、アクティブクランプ動作時において第1系統チャネル面積AS1(=25%)で駆動される。つまり、アクティブクランプ動作時のチャネル利用率は、零を超えて通常動作時のチャネル利用率未満となる。これにより、アクティブクランプ耐量Eacは、図21のグラフにおいて第4プロット点P4で示されたアクティブクランプ耐量Eacに近づく。
誘導性負荷Lに起因する出力電流IOUTは、第1系統トランジスタ9Aを介して放電される。したがって、出力電圧VOUTは、クランプ電圧Vclp以下に制限される。このようなアクティブクランプ動作は、誘導性負荷Lに蓄えられたエネルギが放出し尽くされて出力電流IOUTが流れなくなる時刻t46まで継続される。
以上、半導体装置151によれば、通常動作時には、第1〜第2系統トランジスタ9A〜9Bを利用して電流を流すことができる。これにより、オン抵抗Ronを低減できる。一方、アクティブクランプ動作時には、第2系統トランジスタ9Bを停止させた状態で第1系統トランジスタ9Aを利用して電流を流すことができる。これにより、誘導性負荷Lの逆起電力に起因する急激な温度上昇を抑制しながら、第1系統トランジスタ9Aによって逆起電力を消費(吸収)できる。その結果、アクティブクランプ耐量Eacの向上できる。
換言すると、半導体装置151によれば、通常動作時においてパワートランジスタ8のチャネル利用率が相対的に増加し、アクティブクランプ動作時においてパワートランジスタ8のチャネル利用率が相対的に低下する。これにより、通常動作時において電流経路が相対的に増加するから、オン抵抗Ronを低減できる。また、アクティブクランプ動作時において誘導性負荷Lの逆起電力に起因する急激な温度上昇を抑制できる。とりわけ、離散的に配置された複数の単位トランジスタ10によれば、半導体チップ2(第1デバイス領域6)の局所的な温度を適切に抑制できる。よって、アクティブクランプ耐量Eacを適切に向上できる。
このように、半導体装置151によれば、図21に示されるトレードオフの関係から切り離して、優れた面積抵抗率Ron・Aおよび優れたアクティブクランプ耐量Eacの両立を図ることができる。特に、IPD分野において、アクティブクランプ耐量Eacは、より大きな誘導性負荷Lを駆動するために重要な特性の一つとなる。
この形態では、アクティブクランプ動作時において、第1系統トランジスタ9Aがオン状態に制御される一方、第2系統トランジスタ9Bがオフ状態に制御された例について説明した。しかし、アクティブクランプ動作時において、第2系統トランジスタ9Bがオン状態に制御される一方、第1系統トランジスタ9Aがオフ状態に制御されてもよい。この場合には、第1系統トランジスタ9Aおよび第2系統トランジスタ9Bの関係を入れ替えて理解すればよい。
図40は、本発明の第6実施形態に係る半導体装置161(第4実施形態に係る半導体装置1に3系統のパワートランジスタ8が適用された形態)を示すブロック回路図である。前述の第5実施形態では、2系統からなるパワートランジスタ8が適用された例について説明した。しかし、図40に示されるように、3系統からなるパワートランジスタ8が適用されてもよい。
この場合、半導体装置161に係る3系統のパワートランジスタ8に対しては、第3実施形態に係る3系統のパワートランジスタ8に対して実施された制御と同様の制御が実施される。したがって、半導体装置161によっても、第1実施形態に係る半導体装置1や第3実施形態に係る半導体装置121に対して述べた効果と同様の効果を奏することができる。
図41は、本発明の第7実施形態に係る半導体装置201の要部を示す断面斜視図である。以下、半導体装置1に対して述べた構造に対応する構造については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
前述の半導体装置1に係るトレンチゲート構造51は、ゲートトレンチ53、上絶縁膜54、下絶縁膜55、上電極56、下電極57および中間絶縁膜58を含むマルチ電極構造を有している。これに対して、半導体装置201に係るトレンチゲート構造51は、ゲートトレンチ53、ゲート絶縁膜202およびゲート電極203を含むシングル電極構造を有している。
ゲートトレンチ53は、第1実施形態の場合と同様の態様で第1主面3に形成されている。ゲート絶縁膜202は、ゲートトレンチ53の壁面全域に膜状に形成されている。ゲート電極203は、ゲート絶縁膜202を挟んでゲートトレンチ53に一体物として埋設されている。各ゲートプラグ電極91は、この形態では、層間絶縁層13を貫通し、各トレンチゲート構造51の上電極56に接続されている。
以上、半導体装置201によっても、n系統のパワートランジスタ8を構成できる。よって、第1〜第7実施形態において述べた効果と同様の効果を奏することができる。
図42は、図9に対応し、本発明の第8実施形態に係る半導体装置211の要部を示す平面図である。図43は、図42に示す領域XLIIIの拡大図である。図44は、図42に示す領域XLIVの拡大図である。以下、半導体装置1に対して述べた構造に対応する構造については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
前述の第1実施形態では、複数の単位トランジスタ10(単位セル50)が平面視において複数の十字路が第1主面3に区画されるように第1方向Xおよび第2方向Yに間隔を空けて行列状(6行16列)に配列された例について説明した。これに対して、半導体装置211では、複数の単位トランジスタ10(単位セル50)が、平面視において複数のT字路が第1主面3に区画されるように第1方向Xおよび第2方向Yに間隔を空けて千鳥状に配列されている。
図42〜図44では、紙面左側から2k列目(k≧1)を構成する8個のグループが、紙面左側から(2k−1)列目(k≧1)を構成する8個のグループに対して、第1方向Xに単位トランジスタ10のハーフピッチ分だけずれて配列された例が示されている。複数のトレンチゲート構造51は、前述の第1実施形態の場合と同様に、第2幅W2および第1長さL1をそれぞれ有している。
また、複数のトレンチゲート構造51は、第1方向Xに第1間隔I1(等間隔)で配列され、かつ、第2方向Yに第2間隔I2(等間隔)で配列されている。各トレンチゲート構造51は、第2方向Yに関して、第1方向Xに近接する2つのトレンチゲート構造51に対向していることが好ましい。また、複数のチャネルセル52は、前述の第1実施形態の場合と同様に、チャネル幅WCおよび第2長さL2をそれぞれ有している。
第1主面3には、複数のトレンチゲート構造51によって、平面視において複数のT字路を有する格子状に延びるメサ部63が区画されている。つまり、メサ部63は、第1方向Xに延びる第1メサ部63A、および、第2方向Yに延びる第2メサ部63Bを含む。
複数のチャネルセル52は、この形態では、第1メサ部63Aにおいて第1方向Xに互いにずれてそれぞれ配列されている。複数のチャネルセル52は、第1メサ部63Aにおいて互いに間隔を空けて形成されていてもよいし、互いに接続されるように形成されていてもよい。各単位セル50において、各チャネルセル52は、第2メサ部63Bから間隔を空けてトレンチゲート構造51に隣接している。これにより、複数のチャネルセル52は、第1メサ部63Aの一部および第2メサ部63Bを挟んで第2方向Yに互いに対向している。この構造によれば、複数のチャネルセル52で発生した熱を、速やかにチャネルセル52を有さない第2メサ部63Bに伝達できる。
このような構造においても、各単位セル50のチャネル領域62のオンオフは、単位セル50毎にトレンチゲート構造51によって制御される。すなわち、近接する一対の単位セル50について見たとき、一方の単位セル50(トレンチゲート構造51)がオン状態に制御され、他方の単位セル50(トレンチゲート構造51)がオフ状態に制御された場合、当該一方の単位セル50のチャネル領域62はオン状態になるが、他方の単位セル50のチャネル領域62はオン状態にならない。したがって、外部からの電気的な接続がない限り、複数の単位セル50(トレンチゲート構造51)はそれぞれ電気的に独立している。これにより、各単位セル50が、1つの単位トランジスタ10として機能している。
以上、半導体装置221によっても、n系統のパワートランジスタ8を構成できる。よって、第1〜第7実施形態において述べた効果と同様の効果を奏することができる。
図45は、第1〜第8実施形態に係る半導体装置1、101、121、141、151、161、201、211のいずれか1つの半導体装置(以下、単に「半導体装置SD」と言う。)が組み込まれる半導体パッケージ301を示す斜視図である。図46は、図45に示す半導体パッケージ301の内部構造を示す平面図である。
図45および図46を参照して、半導体パッケージ301は、この形態では、8端子タイプのSOP(Small Outline Package)からなる。半導体パッケージ301は、パッケージ本体302を含む。パッケージ本体302は、モールド樹脂(たとえばエポキシ樹脂)からなり、直方体形状に成形されている。
パッケージ本体302は、一方側の実装面303、他方側の非実装面304、ならびに、実装面303および非実装面304を接続する第1〜第4側壁305A〜305Dを有している。実装面303および非実装面304は、それらの法線方向Nから見た平面視において四角形状(具体的には長方形状)に形成されている。実装面303は、半導体パッケージ301が接続対象に実装された状態で、当該接続対象に対向する面である。接続対象としては、PCB(printed circuit board)等の回路基板が例示される。
第1〜第4側壁305A〜305Dは、第1側壁305A、第2側壁305B、第3側壁305Cおよび第4側壁305Dを含む。第1側壁305Aおよび第2側壁305Bは、第1方向Fに沿って延び、第1方向Fに直交する第2方向Sに対向している。第1側壁305Aおよび第2側壁305Bは、パッケージ本体302の長辺を形成している。第3側壁305Cおよび第4側壁305Dは、第2方向Sに沿って延び、第1方向Fに対向している。第3側壁305Cおよび第4側壁305Dは、パッケージ本体302の短辺を形成している。パッケージ本体302の長辺の長さは、2mm以上5mm以下であってもよい。パッケージ本体302の短辺の長さは、1mm以上4mm以下であってもよい。
半導体パッケージ301は、パッケージ本体302内に配置された板状のダイパッド306を含む。ダイパッド306は、パッケージ本体302内において実装面303側に配置されている。ダイパッド306は、銅、銅基合金、鉄および鉄基合金のうちの少なくとも1つを含む。ダイパッド306は、平面視において四角形状に形成されている。
半導体パッケージ301は、パッケージ本体302の内部から外部に引き出された複数(この形態では8個)のリード端子307を含む。複数のリード端子307は、パッケージ本体302外において実装面303側に向けて屈曲している。複数のリード端子307は、銅、銅基合金、鉄および鉄基合金のうちの少なくとも1つをそれぞれ含む。
複数のリード端子307は、この形態では、ドレインリード端子307A、ソースリード端子307B、入力リード端子307C、基準リード端子307D、イネーブルリード端子307Eおよびセンスリード端子307Fを含む。
第1側壁305A側には、3つのドレインリード端子307Aおよび入力リード端子307Cが、第3側壁305C側から第4側壁305D側に向けてこの順に間隔を空けて配置されている。第2側壁305B側には、ソースリード端子307B、基準リード端子307D、イネーブルリード端子307Eおよびセンスリード端子307Fが、第3側壁305C側から第4側壁305D側に向けてこの順に間隔を空けて配置されている。
複数のリード端子307は、内側端部308、外側端部309およびリード部310をそれぞれ有している。内側端部308は、パッケージ本体302内に位置し、実装面303(非実装面304)に平行な板面を有している。3つのドレインリード端子307Aの内側端部308は、この形態では、ダイパッド306と一体的に形成され、ダイパッド306と同電位に固定されている。
外側端部309は、パッケージ本体302外に位置し、実装面303(非実装面304)に平行な板面を有している。リード部310は、内側端部308からパッケージ本体302外に引き出され、外側端部309に接続されている。リード部310は、パッケージ本体302外において実装面303側に向けて屈曲し、法線方向Nに実装面303を横切る高さ位置で外側端部309に接続されている。
複数のリード端子307の個数や機能は、半導体装置SDの端子電極15〜20に応じて調整される。また、複数のリード端子307の形状は任意であり、パッケージタイプに応じて調整される。また、ドレインリード端子307A、ソースリード端子307B、基準リード端子307D、イネーブルリード端子307Eおよびセンスリード端子307Fの配置は任意であり、図45および図46に示された配置に限定されない。
半導体パッケージ301は、パッケージ本体302内においてダイパッド306の上に配置された半導体装置SDを含む。半導体装置SDは、ドレイン端子15をパッケージ本体302の非実装面304に対向させた姿勢で、ダイパッド306の上に配置されている。これにより、ドレイン端子15は、ダイパッド306に電気的に接続されている。
半導体パッケージ301は、パッケージ本体302内においてダイパッド306および半導体装置1の間に介在し、ダイパッド306および半導体装置SD(具体的にはドレイン端子15)を接合する導電接合材311(図46のハッチング部参照)を含む。導電接合材311は、金属接着剤または半田を含む。
半導体パッケージ301は、パッケージ本体302内において半導体装置1の複数の端子電極16〜20(ソース端子16、入力端子17、基準端子18、イネーブル端子19およびセンス端子20)を対応するリード端子307にそれぞれ電気的に接続する複数(この形態では5個)の導線312を含む。複数の導線312は、ボンディングワイヤからそれぞれなる。
複数の導線312は、具体的には、ソース導線312A、入力導線312B、基準導線312C、イネーブル導線312Dおよびセンス導線312Eを含む。ソース導線312Aは、ソース端子16およびソースリード端子307Bに接続されている。入力導線312Bは、入力端子17および入力リード端子307Cに接続されている。基準導線312Cは、基準端子18および基準リード端子307Dに接続されている。イネーブル導線312Dは、イネーブル端子19およびイネーブルリード端子307Eに接続されている。センス導線312Eは、センス端子20およびセンスリード端子307Fに接続されている。
複数の導線312は、銅ワイヤ、金ワイヤおよびアルミニウムワイヤのうちの少なくとも1つを含む。複数の導線312のうちソース導線312Aは、アルミワイヤからなることが好ましい。複数の導線312のうち入力導線312B、基準導線312C、イネーブル導線312Dおよびセンス導線312Eは、銅ワイヤからなることが好ましい。
この形態では、3つのドレインリード端子307Aが形成された例について説明した。しかし、ドレインリード端子307Aの個数は任意であり、1つ以上形成されていればよい。また、この形態では、ドレインリード端子307Aがダイパッド306と一体的に形成された例について説明した。しかし、ドレインリード端子307Aは、ダイパッド306から間隔を空けて形成されていてもよい。この場合、1つまたは複数の導線312が、ダイパッド306およびドレインリード端子307Aに接続されていてもよい。
半導体パッケージ301は、SOPに限らず、QFN(Quad For Non Lead Package)、DFP(Dual Flat Package)、DIP(Dual Inline Package)、QFP(Quad Flat Package)、SIP(Single Inline Package)、もしくは、SOJ(Small Outline J-leaded Package)、または、これらに類する種々のパッケージからなっていてもよい。
以下、半導体装置1の変形例が説明される。むろん、以下に説明される変形例は、半導体装置1に限らず、第2〜第8実施形態に係る半導体装置101、121、141、151、161、201、211にも適用できる。
図47は、第1変形例に係る半導体装置321を示す平面図である。図48は、図47に示すLVIII-LVIII線に沿う断面図である。図49は、図47に示す半導体チップ2の構造を示す平面図である。以下、半導体装置1に対して述べた構造に対応する構造については同一の参照符号を付して説明を省略する。
図47〜図49を参照して、半導体装置321は、半導体チップ2において第2デバイス領域7(コントロールIC11)を有さない。つまり、半導体装置321は、第1デバイス領域6(n系統のパワートランジスタ8)のみを含む。第1デバイス領域6は、この形態では、第1主面3において第3側面5C側の領域に区画されている。第1デバイス領域6の配置および平面形状は任意であり、特定の形態に限定されない。第1デバイス領域6には、第1〜第8実施形態に係るn系統のパワートランジスタ8のいずれか1つが形成される。
半導体装置321は、この形態では、n個のゲート配線14に電気的に接続されるように層間絶縁層13内に配置されたn個のゲートパッド322を含む。図47〜図49では、便宜的に3個のゲートパッド322が形成された例を示している。n個のゲートパッド322は、この形態では、平面視において第1デバイス領域6外の領域に配置されている。n個のゲートパッド322は、互いに電気的に独立した状態でn個のゲート配線14に1対1対応の関係で電気的に接続されている。これにより、n個のゲートパッド322は、n個のゲート配線14を介してn個の系統トランジスタ9にそれぞれ電気的に接続されている。
半導体装置1は、複数の端子電極323を含む。図47では、複数の端子電極323がハッチングによって示されている。複数の端子電極323の個数、配置および平面形状は、パワートランジスタ8の仕様に応じて任意の形態に調整され、図47〜図49に示される形態に限定されない。ただし、n個のゲート端子324の個数は、パワートランジスタ8の系統数に応じて調整される。複数の端子電極323は、この形態では、1つのドレイン端子15、1つのソース端子16およびn個のゲート端子324を含む。
ドレイン端子15は、半導体チップ2の第2主面4を直接被覆し、第2主面4に電気的に接続されている。ドレイン端子15は、Ti層、Ni層、Au層、Ag層およびAl層のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。ドレイン端子15は、Ti層、Ni層、Au層、Ag層およびAl層のうちの少なくとも2つを任意の態様で積層させた積層構造を有していてもよい。
ソース端子16およびn個のゲート端子324は、層間絶縁層13の上に形成されている。ソース端子16は、第1主面3において第1デバイス領域6の上に形成されている。ソース端子16は、パワートランジスタ8のメインソースSMに電気的に接続されている。
n個のゲート端子324は、第1デバイス領域6外の領域の上にそれぞれ形成されている。n個のゲート端子324は、パワートランジスタ8のn個のメインゲートGMに電気的に接続されている。n個のゲート端子324は、具体的には、層間絶縁層13を貫通し、n個のゲートパッド322にそれぞれ接続されている。n個のゲート端子324は、外部から入力されたn個のゲート信号Gを個別的にn個のゲート配線14に伝達する。
ソース端子16およびn個のゲート端子324は、純Al層、純Cu層、AlCu合金層、AlSiCu合金層およびAlSi合金層のうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。ソース端子16およびn個のゲート端子324の外面には、めっき層がそれぞれ形成されていてもよい。めっき層は、Ni層、Pd層およびAu層のうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。
以上、半導体装置321のように、コントロールIC11を備えていない形態が採用されてもよい。この構造によれば、コントロールIC11をn個のゲート端子324に外部接続することによって、第1〜第8実施形態において述べた効果と同様の効果を奏することができる。
また、半導体装置321によれば、コントロールIC11を半導体チップ2に作り込む必要がないので、製造工数を効果的に削減できる。一方で、コントロールIC11(コントロールIC11と同様の機能を備えた電気回路を含む)もn系統のパワートランジスタ8を備える必要がないので、コントロールIC11の製造工数も効果的に削減できる。つまり、IPD(IPM)は、別々に製造された半導体装置321およびコントロールIC11(コントロールIC11と同様の機能を備えた電気回路を含む)を含むアッセンブリによって構成される。
図50は、第1変形例に係る半導体装置321が組み込まれる半導体パッケージ351を示す斜視図である。図51は、図50に示す半導体パッケージ351の電気的構造を回路記号で表した図である。図52は、図50に示す半導体パッケージ351の内部構造を示す平面図である。
図50〜図52を参照して、半導体パッケージ351は、この形態では、n端子タイプ(この形態では5端子タイプ)のSOP(Small Outline Package)からなる。半導体パッケージ351は、パッケージ本体352を含む。パッケージ本体352は、モールド樹脂(たとえばエポキシ樹脂)からなり、直方体形状に成形されている。
パッケージ本体352は、一方側の実装面353、他方側の非実装面354、ならびに、実装面353および非実装面354を接続する第1〜第4側壁355A〜355Dを有している。実装面353および非実装面354は、それらの法線方向Nから見た平面視において四角形状(具体的には長方形状)に形成されている。実装面353は、半導体パッケージ351が接続対象に実装された状態で、当該接続対象に対向する面である。接続対象としては、PCB(printed circuit board)等の回路基板が例示される。
第1〜第4側壁355A〜355Dは、第1側壁355A、第2側壁355B、第3側壁355Cおよび第4側壁355Dを含む。第1側壁355Aおよび第2側壁355Bは、第1方向Fに沿って延び、第1方向Fに直交する第2方向Sに対向している。第1側壁355Aおよび第2側壁355Bは、パッケージ本体352の長辺を形成している。第3側壁355Cおよび第4側壁355Dは、第2方向Sに沿って延び、第1方向Fに対向している。第3側壁355Cおよび第4側壁355Dは、パッケージ本体352の短辺を形成している。パッケージ本体352の長辺の長さは、2mm以上5mm以下であってもよい。パッケージ本体352の短辺の長さは、1mm以上4mm以下であってもよい。
半導体パッケージ351は、パッケージ本体352内に配置された板状のダイパッド356を含む。ダイパッド356は、パッケージ本体352内において実装面353側に配置されている。ダイパッド356は、銅、銅基合金、鉄および鉄基合金のうちの少なくとも1つを含む。ダイパッド356は、平面視において四角形状に形成されている。
半導体パッケージ351は、パッケージ本体352の内部から外部に引き出された複数(この形態では5個)のリード端子357を含む。複数のリード端子357は、パッケージ本体352外において実装面353側に向けて屈曲している。複数のリード端子357は、銅、銅基合金、鉄および鉄基合金のうちの少なくとも1つをそれぞれ含む。複数のリード端子357は、具体的には、ドレインリード端子357A、ソースリード端子357Bおよびn個(この形態では3個)のゲートリード端子357Cを含む。
第1側壁355A側には、3つのゲートリード端子357Cが、第3側壁355C側から第4側壁355D側に向けてこの順に間隔を空けて配置されている。第2側壁355B側には、ソースリード端子357Bおよびドレインリード端子357Aが、第3側壁355C側から第4側壁355D側に向けてこの順に間隔を空けて配置されている。
複数のリード端子357は、内側端部358、外側端部359およびリード部360をそれぞれ有している。内側端部358は、パッケージ本体352内に位置し、実装面353(非実装面354)に平行な板面を有している。ドレインリード端子357Aの内側端部358は、この形態では、ダイパッド356と一体的に形成され、ダイパッド356と同電位に固定されている。
外側端部359は、パッケージ本体352外に位置し、実装面353(非実装面354)に平行な板面を有している。リード部360は、内側端部358からパッケージ本体352外に引き出され、外側端部359に接続されている。リード部360は、パッケージ本体352外において実装面353側に向けて屈曲し、法線方向Nに実装面353を横切る高さ位置で外側端部359に接続されている。
複数のリード端子357の個数や機能は、半導体装置321の端子電極323に応じて調整される。複数のリード端子357の形状は任意である。また、ドレインリード端子357A、ソースリード端子357Bおよびn個のゲートリード端子357Cの配置は任意であり、図50〜図52に示された配置に限定されない。ただし、n個のゲートリード端子357Cの個数は、パワートランジスタ8の系統数(半導体装置321のゲート端子324の個数)に応じて調整される。
半導体パッケージ351は、パッケージ本体352内においてダイパッド356の上に配置された半導体装置321を含む。半導体装置321は、ドレイン端子15をパッケージ本体352の非実装面354に対向させた姿勢で、ダイパッド356の上に配置されている。これにより、ドレイン端子15は、ダイパッド356に電気的に接続されている。
半導体パッケージ351は、パッケージ本体352内においてダイパッド356および半導体装置321の間に介在し、ダイパッド356および半導体装置321を接合する導電接合材361(図51のハッチング部参照)を含む。導電接合材361は、金属接着剤または半田を含む。
半導体パッケージ351は、パッケージ本体352内において半導体装置321の複数の端子電極323(ソース端子16およびn個のゲート端子324)を対応するリード端子357にそれぞれ電気的に接続する複数(この形態では4個)の導線362を含む。複数の導線362は、ボンディングワイヤからそれぞれなる。
複数の導線362は、具体的には、ソース導線362Aおよびn個のゲート導線362Bを含む。ソース導線362Aは、ソース端子16およびソースリード端子357Bに接続されている。n個のゲート導線362Bは、n個のゲート端子324およびn個のゲートリード端子357Cにそれぞれ接続されている。
複数の導線362は、銅ワイヤ、金ワイヤおよびアルミニウムワイヤのうちの少なくとも1つを含む。複数の導線362のうちソース導線362Aは、アルミワイヤからなることが好ましい。複数の導線362のうちn個のゲート導線362Bは、銅ワイヤからなることが好ましい。
この形態では、ドレインリード端子357Aがダイパッド356と一体的に形成された例について説明した。しかし、ドレインリード端子357Aは、ダイパッド356から間隔を空けて形成されていてもよい。この場合、1つまたは複数の導線362が、ダイパッド356およびドレインリード端子357Aに接続されていてもよい。
半導体パッケージ351は、SOPに限らず、QFN(Quad For Non Lead Package)、DFP(Dual Flat Package)、DIP(Dual Inline Package)、QFP(Quad Flat Package)、SIP(Single Inline Package)、もしくは、SOJ(Small Outline J-leaded Package)、または、これらに類する種々のパッケージからなっていてもよい。
図53は、第1変形例に係る半導体装置321および制御チップ363の第1接続例を示す模式的な平面図である。図53を参照して、第1変形例に係る半導体装置321は、半導体パッケージ(図示せず)内、または、半導体パッケージ(図示せず)外において少なくともゲート制御回路12を備えた制御チップ363に接続されることもできる。半導体パッケージ(図示せず)外としては、PCB等の回路基板が例示される。
制御チップ363は、この形態では、コントロールIC11(ゲート制御回路12)、および、n個のゲート出力端子364を含む。n個のゲート出力端子364は、n個の導線365(ボンディングワイヤ)を介して半導体装置321のn個のゲート端子324に1対1対応の関係でそれぞれ接続されている。むろん、複数の導線365が1つのゲート端子324および1つのゲート出力端子364の間に接続されていてもよい。
コントロールIC11(ゲート制御回路12)は、半導体装置321のn個の系統トランジスタ9を個別に制御するn個のゲート信号Gを生成し、n個のゲート出力端子364に出力する。n個のゲート出力端子364に入力されたn個のゲート信号Gは、n個の導線365を介して半導体装置321のn個のゲート端子324に入力される。これにより、半導体装置321において、n個の系統トランジスタ9が個別制御される。
図54は、第1変形例に係る半導体装置321および制御チップ363の第2接続例を示す模式的な断面図である。図54に示されるように、制御チップ363がデバイス搭載用の電極パッド366を備えている場合、半導体装置321は、導電接合材367を介して制御チップ363の電極パッド366の上に接合されてもよい。この場合、半導体装置321のn個のゲート出力端子364は、制御チップ363の上においてn個の導線365を介して制御チップ363のn個のゲート出力端子364に電気的に接続される。
半導体装置321および制御チップ363は、一個体となって、半導体パッケージ(図示せず)に組み込まれてもよいし、回路基板に実装されてもよい。
図55は、図9に対応し、第2変形例に係る半導体装置371の要部を示す平面図である。以下、半導体装置1に対して述べた構造に対応する構造については同一の参照符号を付して説明を省略する。
第1実施形態に係る半導体装置1では、トレンチ分離構造43によって単一の第1デバイス領域6が第1主面3に区画され、当該単一の第1デバイス領域6にn個の系統トランジスタ9が集約して形成されていた。これに対して、半導体装置371では、n個のトレンチ分離構造43によってn個の第1デバイス領域6が第1主面3に区画されている。n個の第1デバイス領域6には、単一系統の系統トランジスタ9が系統毎にそれぞれ分離して配置されている。
図55では、3個の第1デバイス領域6が3個のトレンチ分離構造43によってそれぞれ区画され、各第1デバイス領域6に1個の系統トランジスタ9が形成された例が示されている(図55では、一例として、第1〜第3系統トランジスタ9A〜9Cが示されている)。この形態では、n個のトレンチ分離構造43が間隔を空けて形成されているが、n個のトレンチ分離構造43は一体的に形成されていてもよい。
各第1デバイス領域6において、各系統トランジスタ9は、1つまたは複数の単位トランジスタ10を含んでいてもよい。各第1デバイス領域6において、複数の単位トランジスタ10は並列接続されている。各第1デバイス領域6に形成される単位トランジスタ10(単位セル50)の個数やチャネル面積は任意であり、系統トランジスタ9の仕様毎に調整される。
以上、半導体装置371では、n個の第1デバイス領域6に系統毎に分離して配置されたn個の系統トランジスタ9によって、1個のパワートランジスタ8が形成されている。したがって、半導体装置371によっても、第1〜第8実施形態において述べた効果と同様の効果を奏することができる。ただし、各第1デバイス領域6において2つ以上の単位トランジスタ10(トレンチゲート構造51)が形成されている場合、2つ以上の単位トランジスタ10が同時にオン状態に制御されるため、各第1デバイス領域6における温度上昇に留意する必要がある。
図56は、図9に対応し、第3変形例に係る半導体装置381の要部を示す平面図である。以下、半導体装置1に対して述べた構造に対応する構造については同一の参照符号を付して説明を省略する。
第1実施形態に係る半導体装置1では、トレンチ分離構造43によって単一の第1デバイス領域6が第1主面3に区画され、当該単一の第1デバイス領域6にn個の系統トランジスタ9が集約して形成されていた。これに対して、半導体装置371では、n個のトレンチ分離構造43によってn個の第1デバイス領域6が第1主面3に区画されている。n個の第1デバイス領域6には、n個の系統トランジスタ9がそれぞれ集約して形成されている。
図56では、3個の第1デバイス領域6が3個のトレンチ分離構造43によってそれぞれ区画され、各第1デバイス領域6にn個の系統トランジスタ9がそれぞれ形成された例が示されている(図56では、一例として、第1〜第3系統トランジスタ9A〜9Cが示されている)。この形態では、n個のトレンチ分離構造43が間隔を空けて形成されているが、n個のトレンチ分離構造43は一体的に形成されていてもよい。
各第1デバイス領域6において、n個の系統トランジスタ9は、1つまたは複数の単位トランジスタ10をそれぞれ含んでいてもよい。各第1デバイス領域6に配置される系統トランジスタ9の系統数は任意である。また、各第1デバイス領域6に形成される単位トランジスタ10(単位セル50)の個数やチャネル面積は任意であり、系統トランジスタ9の仕様毎に調整される。
以上、半導体装置381では、n個の第1デバイス領域6にそれぞれ集約して配置されたn個の系統トランジスタ9によって、1個のパワートランジスタ8が形成されている。したがって、半導体装置381によっても、第1〜第8実施形態において述べた効果と同様の効果を奏することができる。
本発明は、さらに他の形態で実施できる。
前述の各実施形態では、コントロールIC11がセンストランジスタ21を含む例について説明した。センストランジスタ21は、パワートランジスタ8を流れる電流を監視する機能上、パワートランジスタ8と同様の構造を有していることが好ましい。つまり、センストランジスタ21は、1つまたは複数の単位トランジスタ10(単位セル50)を含むことが好ましい。
センストランジスタ21は、第2デバイス領域7に形成されていてもよいし、第1デバイス領域6に形成されていてもよい。センストランジスタ21が第1デバイス領域6に形成されている場合、複数の単位トランジスタ10のうちの1つまたは複数の単位トランジスタ10(単位セル50)をセンストランジスタ21として利用してもよい。この場合、センストランジスタ21として機能する単位トランジスタ10(単位セル50)を除く単位トランジスタ10(単位セル50)によってパワートランジスタ8が構成される。
前述の各実施形態において、p型の半導体部分がn型の半導体部分とされ、n型の半導体部分がp型の半導体部分とされてもよい。この場合、前述の各実施形態の説明は、「n型」の部分が「p型」と読み替えられ、「p型」の部分が「n型」と読み替えられる。
本発明の実施形態について詳細に説明してきたが、これらは本発明の技術的内容を明らかにするために用いられた具体例に過ぎず、本発明はこれらの具体例に限定して解釈されるべきではなく、本発明の範囲は添付の請求の範囲によって限定される。