JP2022188517A - スイッチ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】天絡又は地絡等に伴う発熱への耐性を向上させる。【解決手段】スイッチ装置は、複数のゲート信号(G1~G4)に基づき互いに独立してオン状態又はオフ状態に制御される複数のチャネル領域を有する出力トランジスタ(1010)を備え、測定対象温度が所定の保護温度に達すると全チャネル領域をオフ状態に保つ温度保護動作を実行する。複数のチャネル領域の内、一部のチャネル領域をオンとする第1駆動状態にて出力トランジスタを駆動しているときに、測定対象温度が保護温度に達すると温度保護動作を実行し、その後、所定の解除条件が成立すると温度保護動作を解除する。この際、出力トランジスタの駆動状態を、他の一部のチャネル領域をオンとする第2駆動状態に切り替える。【選択図】図40
Description
本開示は、スイッチ装置に関する。
出力トランジスタを有し、出力トランジスタを通じて流れる電流をオン、オフするスイッチ装置がある。この種のスイッチ装置では温度保護機能(過熱保護機能)が設けられ、過熱状態の検出時には出力トランジスタがオフされ、温度が低下すると出力トランジスタがオンへと戻される。
天絡又は地絡等の発生時には、温度保護機能による出力トランジスタのターンオフと、その後の温度低下に伴う出力トランジスタのターンオンとが交互に繰り返し発生することがある。このような繰り返しの過程で生じる出力トランジスタの温度変動は、スイッチ装置の構造に望ましくない影響を与えるおそれがある。天絡又は地絡等に伴う発熱への耐性が高いほど、スイッチ装置の信頼性が向上する。
本開示は、発熱への耐性の向上に寄与するスイッチ装置を提供することを目的とする。
本開示に係るスイッチ装置は、複数のゲート信号に基づき互いに独立してオン状態又はオフ状態に制御される複数のチャネル領域を有する出力トランジスタと、各チャネル領域の状態制御を通じて前記出力トランジスタを駆動可能であるとともに、測定対象温度が所定の保護温度に達することに応答して前記複数のチャネル領域を全てオフ状態に保つ温度保護動作を実行可能に構成された制御回路と、を備え、前記複数のチャネル領域において、1以上のチャネル領域を含む第1電流経路と、他の1以上のチャネル領域を含む第2電流経路と、が形成され、前記制御回路は、前記温度保護動作の非実行区間において、前記出力トランジスタを複数の駆動状態の何れかにて駆動可能であって、前記複数の駆動状態は、前記第1電流経路に属するチャネル領域をオン状態とし且つ前記第2電流経路に属するチャネル領域をオフ状態とする第1駆動状態、及び、前記第2電流経路に属するチャネル領域をオン状態とし且つ前記第1電流経路に属するチャネル領域をオフ状態とする第2駆動状態を含み、前記制御回路は、前記出力トランジスタを前記第1駆動状態にて駆動しているときに前記温度保護動作により全チャネル領域をオフ状態とした後、所定の解除条件が成立することで前記温度保護動作を解除する際、前記出力トランジスタの駆動状態を前記第2駆動状態に切り替え可能に構成される。
本開示によれば、発熱への耐性の向上に寄与するスイッチ装置を提供することが可能となる。
以下、本開示の実施形態の例を、図面を参照して具体的に説明する。参照される各図において、同一の部分には同一の符号を付し、同一の部分に関する重複する説明を原則として省略する。尚、本明細書では、記述の簡略化上、情報、信号、物理量、素子又は部位等を参照する記号又は符号を記すことによって、該記号又は符号に対応する情報、信号、物理量、素子又は部位等の名称を省略又は略記することがある。例えば、後述の“1110”によって参照されるゲート制御回路は(図16参照)、ゲート制御回路1110と表記されることもあるし、制御回路1110又は回路1110と略記されることもあり得るが、それらは全て同じものを指す。
<<第1実施形態>>
本開示の第1実施形態を説明する。図1は、本開示の第1実施形態に係る半導体装置1を1つの方向から見た斜視図である。以下では、半導体装置1がハイサイド側のスイッチングデバイスである形態例について説明するが、半導体装置1はハイサイド側のスイッチングデバイスに限定されるものではない。半導体装置1は、各種構造の電気的な接続形態や機能を調整することにより、ローサイド側のスイッチングデバイスとしても提供されることができる。
本開示の第1実施形態を説明する。図1は、本開示の第1実施形態に係る半導体装置1を1つの方向から見た斜視図である。以下では、半導体装置1がハイサイド側のスイッチングデバイスである形態例について説明するが、半導体装置1はハイサイド側のスイッチングデバイスに限定されるものではない。半導体装置1は、各種構造の電気的な接続形態や機能を調整することにより、ローサイド側のスイッチングデバイスとしても提供されることができる。
図1を参照して、半導体装置1は、半導体層2を含む。半導体層2はシリコンを含む。半導体層2は、直方体形状のチップ状に形成されている。半導体層2は、一方側の第1主面3、他方側の第2主面4、並びに、第1主面3および第2主面4を接続する側面5A,5B,5C,5Dを有している。
第1主面3および第2主面4は、それらの法線方向Zから見た平面視(以下、単に「平面視」という。)において四角形状に形成されている。側面5Aおよび側面5Cは、第1方向Xに沿って延び、第1方向Xに交差する第2方向Yに互いに対向している。側面5Bおよび側面5Dは、第2方向Yに沿って延び、第1方向Xに互いに対向している。第2方向Yは、より具体的には、第1方向Xに直交している。
半導体層2には、出力領域6および入力領域7が設定されている。出力領域6は、側面5C側の領域に設定されている。入力領域7は、側面5A側の領域に設定されている。平面視において、出力領域6の面積SOUTは、入力領域7の面積SIN以上である(SIN≦SOUT)。
面積SINに対する面積SOUTの比SOUT/SINは、1以上10以下であってもよい(1<SOUT/SIN≦10)。比SOUT/SINは、1以上2以下、2以上4以下、4以上6以下、6以上8以下、または、8以上10以下であってもよい。入力領域7の平面形状および出力領域6の平面形状は、任意であり、特定の形状に限定されない。むろん、比SOUT/SINは、0を超えて1未満であってもよい。
出力領域6は、絶縁ゲート型トランジスタの一例としてのパワーMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)9を含む。パワーMISFET9は、ゲート、ドレインおよびソースを含む。
入力領域7は、制御回路の一例としてのコントロールIC(Integrated Circuit)10を含む。コントロールIC10は、種々の機能を実現する複数種の機能回路を含む。複数種の機能回路は、外部からの電気信号に基づいてパワーMISFET9を駆動制御するゲート制御信号を生成する回路を含む。コントロールIC10は、パワーMISFET9と共に所謂IPD(Intelligent Power Device)を形成している。なお、IPDは、IPM(Intelligent Power Module)とも称される。
入力領域7は、領域分離構造8によって出力領域6から電気的に絶縁されている。図1では、領域分離構造8がハッチングによって示されている。具体的な説明は省略するが、領域分離構造8は、トレンチに絶縁体が埋め込まれたトレンチ絶縁構造を有してもよい。
半導体層2の上には、複数(ここでは6つ)の電極11,12,13,14,15,16が形成されている。図1では、ハッチングによって複数の電極11~16が示されている。複数の電極11~16は、導線(たとえばボンディングワイヤ)等によって外部接続される端子電極として形成されている。複数の電極11~16の個数、配置および平面形状は任意であり、図1に示される形態に限定されない。
複数の電極11~16の個数、配置および平面形状は、パワーMISFET9の仕様やコントロールIC10の仕様に応じて調整される。複数の電極11~16は、この形態では、ドレイン電極11(電源電極)、ソース電極12(出力電極)、入力電極13、基準電圧電極14、ENABLE電極15およびSENSE電極16を含む。
ドレイン電極11は、半導体層2の第2主面4の上に形成されている。ドレイン電極11は、半導体層2の第2主面4に電気的に接続されている。ドレイン電極11は、パワーMISFET9のドレインやコントロールIC10の各種回路に電源電圧VBを伝える。
ドレイン電極11は、Ti層、Ni層、Au層、Ag層およびAl層のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。ドレイン電極11は、Ti層、Ni層、Au層、Ag層またはAl層を含む単層構造を有していてもよい。ドレイン電極11は、Ti層、Ni層、Au層、Ag層およびAl層のうちの少なくとも2つを任意の態様で積層させた積層構造を有していてもよい。
ソース電極12は、第1主面3において出力領域6の上に形成されている。ソース電極12は、パワーMISFET9のソースに電気的に接続されている。ソース電極12は、パワーMISFET9によって生成された電気信号を外部に伝達する。
入力電極13、基準電圧電極14、ENABLE電極15及びSENSE電極16は、第1主面3において入力領域7の上にそれぞれ形成されている。入力電極13は、コントロールIC10を駆動するための入力電圧を伝達する。
基準電圧電極14は、コントロールIC10に基準電圧(たとえばグランド電圧)を伝達する。ENABLE電極15は、コントロールIC10の一部または全部の機能を有効または無効にするための電気信号を伝達する。SENSE電極16は、コントロールIC10の異常を検出するための電気信号を伝達する。
半導体層2の上には、制御配線の一例としてのゲート制御配線17がさらに形成されている。ゲート制御配線17は、出力領域6及び入力領域7に選択的に引き回されている。ゲート制御配線17は、出力領域6においてパワーMISFET9のゲートに電気的に接続され、入力領域7においてコントロールIC10に電気的に接続されている。
ゲート制御配線17は、コントロールIC10によって生成されたゲート制御信号をパワーMISFET9のゲートに伝達する。ゲート制御信号は、オン信号Vonおよびオフ信号Voffを含み、パワーMISFET9のオン状態およびオフ状態を制御する。
オン信号Vonは、パワーMISFET9のゲート閾値電圧Vthよりも高い(Vth<Von)。オフ信号Voffは、パワーMISFET9のゲート閾値電圧Vthよりも低い(Voff<Vth)。オフ信号Voffは、基準電圧(たとえばグランド電圧)であってもよい。
ゲート制御配線17は、この形態では、第1ゲート制御配線17A、第2ゲート制御配線17Bおよび第3ゲート制御配線17Cを含む。第1ゲート制御配線17A、第2ゲート制御配線17Bおよび第3ゲート制御配線17Cは、互いに電気的に絶縁されている。
この形態では、2つの第1ゲート制御配線17Aが異なる領域に引き回されている。また、2つの第2ゲート制御配線17Bが異なる領域に引き回されている。また、2つの第3ゲート制御配線17Cが異なる領域に引き回されている。
第1ゲート制御配線17A、第2ゲート制御配線17Bおよび第3ゲート制御配線17Cは、同一のまたは異なるゲート制御信号をパワーMISFET9のゲートに伝達する。ゲート制御配線17の個数、配置、形状等は任意であり、ゲート制御信号の伝達距離や、伝達すべきゲート制御信号の数に応じて調整される。
ソース電極12、入力電極13、基準電圧電極14、ENABLE電極15、SENSE電極16およびゲート制御配線17は、ニッケル、パラジウム、アルミニウム、銅、アルミニウム合金および銅合金のうちの少なくとも1種をそれぞれ含んでいてもよい。
ソース電極12、入力電極13、基準電圧電極14、ENABLE電極15、SENSE電極16およびゲート制御配線17は、Al-Si-Cu(アルミニウム-シリコン-銅)合金、Al-Si(アルミニウム-シリコン)合金、および、Al-Cu(アルミニウム-銅)合金のうちの少なくとも1種をそれぞれ含んでいてもよい。
ソース電極12、入力電極13、基準電圧電極14、ENABLE電極15、SENSE電極16およびゲート制御配線17は、同一種の電極材料を含んでいてもよいし、互いに異なる電極材料を含んでいてもよい。
図2は、図1に示す半導体装置1の電気的構造を示すブロック回路図である。以下では半導体装置1が車に搭載される場合を例にとって説明する。
半導体装置1は、ドレイン電極11、ソース電極12、入力電極13、基準電圧電極14、ENABLE電極15、SENSE電極16、ゲート制御配線17、パワーMISFET9およびコントロールIC10を含む。
ドレイン電極11は、電源に接続される。ドレイン電極11は、パワーMISFET9およびコントロールIC10に電源電圧VBを提供する。電源電圧VBは、10V以上20V以下であってもよい。ソース電極12は、負荷に接続される。
入力電極13は、MCU(Micro Controller Unit)、DC/DCコンバータ、LDO(Low Drop Out)等に接続されてもよい。入力電極13は、コントロールIC10に入力電圧を提供する。入力電圧は、1V以上10V以下であってもよい。基準電圧電極14は基準電圧配線に接続される。基準電圧電極14は、パワーMISFET9およびコントロールIC10に基準電圧を提供する。
ENABLE電極15は、MCUに接続されてもよい。ENABLE電極15には、コントロールIC10の一部または全部の機能を有効または無効にするための電気信号が入力される。SENSE電極16は、抵抗器に接続されてもよい。
パワーMISFET9のゲートは、ゲート制御配線17を介してコントロールIC10(後述のゲート制御回路25)に接続されている。パワーMISFET9のドレインは、ドレイン電極11に接続されている。パワーMISFET9のソースは、コントロールIC10(後述する電流検出回路27)およびソース電極12に接続されている。
コントロールIC10は、センサMISFET21、入力回路22、電流・電圧制御回路23、保護回路24、ゲート制御回路25、アクティブクランプ回路26、電流検出回路27、電源逆接続保護回路28および異常検出回路29を含む。
センサMISFET21のゲートは、ゲート制御回路25に接続されている。センサMISFET21のドレインは、ドレイン電極11に接続されている。センサMISFET21のソースは、電流検出回路27に接続されている。
入力回路22は、入力電極13および電流・電圧制御回路23に接続されている。入力回路22は、シュミットトリガ回路を含んでいてもよい。入力回路22は、入力電極13に印加された電気信号の波形を整形する。入力回路22により生成された信号は、電流・電圧制御回路23に入力される。
電流・電圧制御回路23は、保護回路24、ゲート制御回路25、電源逆接続保護回路28および異常検出回路29に接続されている。電流・電圧制御回路23は、ロジック回路を含んでいてもよい。
電流・電圧制御回路23は、入力回路22からの電気信号および保護回路24からの電気信号に応じて種々の電圧を生成する。電流・電圧制御回路23は、この形態では、駆動電圧生成回路30、第1定電圧生成回路31、第2定電圧生成回路32および基準電圧・基準電流生成回路33を含む。
駆動電圧生成回路30は、ゲート制御回路25を駆動するための駆動電圧を生成する。駆動電圧は、電源電圧VBから所定値を差し引いた値に設定されてもよい。駆動電圧生成回路30は、電源電圧VBから5Vを差し引いた5V以上15V以下の駆動電圧を生成してもよい。駆動電圧は、ゲート制御回路25に入力される。
第1定電圧生成回路31は、保護回路24を駆動するための第1定電圧を生成する。第1定電圧生成回路31は、ツェナーダイオードやレギュレータ回路(ここではツェナーダイオード)を含んでいてもよい。第1定電圧は、1V以上5V以下であってもよい。第1定電圧は、保護回路24(より具体的には、後述する負荷オープン検出回路35等)に入力される。
第2定電圧生成回路32は、保護回路24を駆動するための第2定電圧を生成する。第2定電圧生成回路32は、ツェナーダイオードやレギュレータ回路(ここではレギュレータ回路)を含んでいてもよい。第2定電圧は、1V以上5V以下であってもよい。第2定電圧は、保護回路24(より具体的には、後述する過熱保護回路36や低電圧誤動作抑制回路37)に入力される。
基準電圧・基準電流生成回路33は、各種回路の基準電圧および基準電流を生成する。基準電圧は、1V以上5V以下であってもよい。基準電流は、1mA以上1A以下であってもよい。基準電圧および基準電流は、各種回路に入力される。各種回路がコンパレータを含む場合、基準電圧および基準電流は、当該コンパレータに入力されてもよい。
保護回路24は、電流・電圧制御回路23、ゲート制御回路25、異常検出回路29、パワーMISFET9のソース及びセンサMISFET21のソースに接続されている。保護回路24は、過電流保護回路34、負荷オープン検出回路35、過熱保護回路36および低電圧誤動作抑制回路37を含む。
過電流保護回路34は、過電流からパワーMISFET9を保護する。過電流保護回路34は、ゲート制御回路25およびセンサMISFET21のソースに接続されている。過電流保護回路34は、電流モニタ回路を含んでいてもよい。過電流保護回路34によって生成された信号は、ゲート制御回路25(より具体的には、後述する駆動信号出力回路40)に入力される。
負荷オープン検出回路35は、パワーMISFET9のショート状態やオープン状態を検出する。負荷オープン検出回路35は、電流・電圧制御回路23及びパワーMISFET9のソースに接続されている。負荷オープン検出回路35によって生成された信号は、電流・電圧制御回路23に入力される。
過熱保護回路36は、パワーMISFET9の温度を監視し、過度な温度上昇からパワーMISFET9を保護する。過熱保護回路36は、電流・電圧制御回路23に接続されている。過熱保護回路36は、感温ダイオードやサーミスタ等の感温デバイスを含んでいてもよい。過熱保護回路36によって生成された信号は、電流・電圧制御回路23に入力される。
低電圧誤動作抑制回路37は、電源電圧VBが所定値未満である場合にパワーMISFET9が誤動作するのを抑制する。低電圧誤動作抑制回路37は、電流・電圧制御回路23に接続されている。低電圧誤動作抑制回路37によって生成された信号は、電流・電圧制御回路23に入力される。
ゲート制御回路25は、パワーMISFET9のオン状態およびオフ状態、ならびに、センサMISFET21のオン状態およびオフ状態を制御する。ゲート制御回路25は、電流・電圧制御回路23、保護回路24、パワーMISFET9のゲートおよびセンサMISFET21のゲートに接続されている。
ゲート制御回路25は、電流・電圧制御回路23からの電気信号および保護回路24からの電気信号に応じて、ゲート制御配線17の個数に応じた複数種のゲート制御信号を生成する。複数種のゲート制御信号は、ゲート制御配線17を介してパワーMISFET9のゲートおよびセンサMISFET21のゲートにそれぞれ入力される。
ゲート制御回路25は、より具体的には、発振回路38、チャージポンプ回路39および駆動信号出力回路40を含む。発振回路38は、電流・電圧制御回路23からの電気信号に応じて発振し、所定の電気信号を生成する。発振回路38によって生成された電気信号は、チャージポンプ回路39に入力される。チャージポンプ回路39は、発振回路38からの電気信号を昇圧させる。チャージポンプ回路39によって昇圧された電気信号は、駆動信号出力回路40に入力される。
駆動信号出力回路40は、チャージポンプ回路39からの電気信号および保護回路24(より具体的には、過電流保護回路34)からの電気信号に応じて複数種のゲート制御信号を生成する。複数種のゲート制御信号は、ゲート制御配線17を介してパワーMISFET9のゲートおよびセンサMISFET21のゲートに入力される。センサMISFET21およびパワーMISFET9は、ゲート制御回路25によって同時に制御される。
アクティブクランプ回路26は、逆起電力からパワーMISFET9を保護する。アクティブクランプ回路26は、ドレイン電極11、パワーMISFET9のゲートおよびセンサMISFET21のゲートに接続されている。アクティブクランプ回路26は、複数のダイオードを含んでいてもよい。
アクティブクランプ回路26は、互いに順バイアス接続された複数のダイオードを含んでいてもよい。アクティブクランプ回路26は、互いに逆バイアス接続された複数のダイオードを含んでいてもよい。アクティブクランプ回路26は、互いに順バイアス接続された複数のダイオード、および、互いに逆バイアス接続された複数のダイオードを含んでいてもよい。
複数のダイオードは、pn接合ダイオード、または、ツェナーダイオード、もしくは、pn接合ダイオードおよびツェナーダイオードを含んでいてもよい。アクティブクランプ回路26は、互いにバイアス接続された複数のツェナーダイオードを含んでいてもよい。アクティブクランプ回路26は、互いに逆バイアス接続されたツェナーダイオードおよびpn接合ダイオードを含んでいてもよい。
電流検出回路27は、パワーMISFET9およびセンサMISFET21を流れる電流を検出する。電流検出回路27は、保護回路24、異常検出回路29、パワーMISFET9のソースおよびセンサMISFET21のソースに接続されている。電流検出回路27は、パワーMISFET9によって生成された電気信号およびセンサMISFET21によって生成された電気信号に応じて、電流検出信号を生成する。電流検出信号は、異常検出回路29に入力される。
電源逆接続保護回路28は、電源が逆接続された際に、逆電圧から電流・電圧制御回路23やパワーMISFET9等を保護する。電源逆接続保護回路28は、基準電圧電極14および電流・電圧制御回路23に接続されている。
異常検出回路29は、保護回路24の電圧を監視する。異常検出回路29は、電流・電圧制御回路23、保護回路24および電流検出回路27に接続されている。過電流保護回路34、負荷オープン検出回路35、過熱保護回路36および低電圧誤動作抑制回路37のいずれかに異常(電圧の変動等)が生じた場合、異常検出回路29は、保護回路24の電圧に応じた異常検出信号を生成し、外部に出力する。
異常検出回路29は、より具体的には、第1マルチプレクサ回路41および第2マルチプレクサ回路42を含む。第1マルチプレクサ回路41は、2つの入力部、1つの出力部および1つの選択制御入力部を含む。第1マルチプレクサ回路41の入力部には、保護回路24および電流検出回路27がそれぞれ接続されている。第1マルチプレクサ回路41の出力部には、第2マルチプレクサ回路42が接続されている。第1マルチプレクサ回路41の選択制御入力部には、電流・電圧制御回路23が接続されている。
第1マルチプレクサ回路41は、電流・電圧制御回路23からの電気信号、保護回路24からの電圧検出信号および電流検出回路27からの電流検出信号に応じて、異常検出信号を生成する。第1マルチプレクサ回路41によって生成された異常検出信号は、第2マルチプレクサ回路42に入力される。
第2マルチプレクサ回路42は、2つの入力部および1つの出力部を含む。第2マルチプレクサ回路42の入力部には、第2マルチプレクサ回路42の出力部およびENABLE電極15がそれぞれ接続されている。第2マルチプレクサ回路42の出力部には、SENSE電極16が接続されている。
ENABLE電極15にMCUが接続され、SENSE電極16に抵抗器が接続されている場合、MCUからENABLE電極15にオン信号が入力され、SENSE電極16から異常検出信号が取り出される。異常検出信号は、SENSE電極16に接続された抵抗器によって電気信号に変換される。半導体装置1の状態異常は、この電気信号に基づいて検出される。
図3は、図1に示す半導体装置1のアクティブクランプ動作を説明するための回路図である。図4は、図3に示す回路図の主要な電気信号の波形図である。
ここでは、パワーMISFET9に誘導性負荷Lが接続された回路例を用いて、半導体装置1の通常動作及びアクティブクランプ動作を説明する。ソレノイド、モータ、トランス、リレー等の巻線(コイル)を利用したデバイスが、誘導性負荷Lとして例示される。誘導性負荷Lは、L負荷とも称される。
図3を参照して、パワーMISFET9のソースは、誘導性負荷Lに接続されている。パワーMISFET9のドレインは、ドレイン電極11に電気的に接続されている。パワーMISFET9のゲートおよびドレインは、アクティブクランプ回路26に接続されている。アクティブクランプ回路26は、この回路例では、m個(mは自然数)のツェナーダイオードDZおよびn個(nは自然数)のpn接合ダイオードDを含む。pn接合ダイオードDは、ツェナーダイオードDZに対して逆バイアス接続されている。
図3および図4を参照して、オフ状態のパワーMISFET9のゲートにオン信号Vonが入力されると、パワーMISFET9がオフ状態からオン状態に切り替わる(通常動作)。オン信号Vonは、ゲート閾値電圧Vth以上(Vth≦Von)の電圧を有している。パワーMISFET9は、所定のオン時間TONだけ、オン状態に維持される。
パワーMISFET9がオン状態に切り替わると、ドレイン電流IDが、パワーMISFET9のドレインからソースに向けて流れ始める。ドレイン電流IDは、零から所定の値まで増加し、飽和する。誘導性負荷Lは、ドレイン電流IDの増加に起因して誘導性エネルギを蓄積させる。
パワーMISFET9のゲートにオフ信号Voffが入力されると、パワーMISFET9がオン状態からオフ状態に切り替わる。オフ信号Voffは、ゲート閾値電圧Vth未満の電圧(Voff<Vth)を有している。オフ信号Voffは、基準電圧(たとえばグランド電圧)であってもよい。
パワーMISFET9がオン状態からオフ状態に切り替わる遷移時では、誘導性負荷Lの誘導性エネルギが、逆起電力としてパワーMISFET9に印加される。これにより、パワーMISFET9がアクティブクランプ状態になる(アクティブクランプ動作)。パワーMISFET9がアクティブクランプ状態になると、ソース電圧VSSが、基準電圧(グランド電圧)未満の負電圧まで急激に下降する。
このとき、ソース電圧VSSは、アクティブクランプ回路26の動作に起因して、電源電圧VBから制限電圧VL及びクランプオン電圧VCLPを減算した電圧以上の電圧(VSS≧VB-VL-VCLP)に制限される。
換言すると、パワーMISFET9がアクティブクランプ状態になると、パワーMISFET9のドレイン・ソース間のドレイン電圧VDSは、クランプ電圧VDSSCLまで急激に上昇する。クランプ電圧VDSSCLは、パワーMISFET9およびアクティブクランプ回路26によって、クランプオン電圧VCLPおよび制限電圧VLを加算した電圧以下の電圧(VDS≦VCLP+VL)に制限される。
制限電圧VLは、この形態では、アクティブクランプ回路26におけるツェナーダイオードDZの端子間電圧VZ及びpn接合ダイオードの端子間電圧VFの総和(VL=m・VZ+n・VF)である。
クランプオン電圧VCLPは、パワーMISFET9のゲート・ソース間に印加される正電圧(つまり、ゲート電圧VGS)である。クランプオン電圧VCLPは、ゲート閾値電圧Vth以上(Vth≦VCLP)である。したがって、パワーMISFET9は、アクティブクランプ状態においてオン状態を維持する。
クランプ電圧VDSSCLが最大定格ドレイン電圧VDSSを超えた場合(VDSS<VDSSCL)、パワーMISFET9は破壊に至る。パワーMISFET9は、クランプ電圧VDSSCLが最大定格ドレイン電圧VDSS以下(VDSSCL≦VDSS)になるように設計される。
クランプ電圧VDSSCLが最大定格ドレイン電圧VDSS以下の場合(VDSSCL≦VDSS)、ドレイン電流IDがパワーMISFET9のドレインからソースに向けて流れ続け、誘導性負荷Lの誘導性エネルギがパワーMISFET9において消費(吸収)される。
ドレイン電流IDは、アクティブクランプ時間TAVを経て、パワーMISFET9のオフ直前のピーク値IAVからゼロに減少する。これにより、ゲート電圧VGSが基準電圧(たとえばグランド電圧)になり、パワーMISFET9がオン状態からオフ状態に切り替わる。
パワーMISFET9のアクティブクランプ耐量Eacは、アクティブクランプ動作時におけるパワーMISFET9の耐量によって定義される。アクティブクランプ耐量Eacは、より具体的には、パワーMISFET9のオン状態からオフ状態への遷移時において、誘導性負荷Lの誘導性エネルギに起因して生じる逆起電力に対するパワーMISFET9の耐量によって定義される。
アクティブクランプ耐量Eacは、さらに具体的には、クランプ電圧VDSSCLに起因して生じるエネルギに対するパワーMISFET9の耐量によって定義される。たとえば、アクティブクランプ耐量Eacは、制限電圧VL、クランプオン電圧VCLP、ドレイン電流ID及びアクティブクランプ時間TAVを用いて、Eac=(VL+VCLP)×ID×TAVの式で表される。
図5は、図1に示す領域Vの断面斜視図である。図6は、図5からソース電極12およびゲート制御配線17を取り除いた断面斜視図である。図7は、図6から層間絶縁層142を取り除いた断面斜視図であって、第1形態例に係るチャネル構造を含む形態を示す断面斜視図である。
図8は、図7の平面図である。図9は、図5に示す第1トレンチゲート構造60(第1ゲート構造)および第2トレンチゲート構造70(第2ゲート構造)を含む領域の拡大断面図である。図10は、図5に示す第1トレンチゲート構造60の拡大断面図である。図11は、図5に示す第2トレンチゲート構造70の拡大断面図である。
図5~図11を参照して、半導体層2は、この形態では、n+型の半導体基板51およびn型のエピタキシャル層52を含む積層構造を有している。半導体基板51によって半導体層2の第2主面4が形成されている。エピタキシャル層52によって半導体層2の第1主面3が形成されている。半導体基板51およびエピタキシャル層52によって半導体層2の側面5A~5Dが形成されている。
エピタキシャル層52は、半導体基板51のn型不純物濃度未満のn型不純物濃度を有する。半導体基板51のn型不純物濃度は、1×1018cm-3以上1×1020cm-3以下であってもよい。エピタキシャル層52のn型不純物濃度は、1×1015cm-3以上1×1018cm-3以下であってもよい。
エピタキシャル層52は、半導体基板51の厚さTsub未満の厚さTepi(Tepi<Tsub)を有している。厚さTsubは、50μm以上450μm以下であってもよい。厚さTsubは、50μm以上150μm以下、150μm以上250μm以下、250μm以上350μm以下、又は、350μm以上450μm以下であってもよい。
厚さTsubを低減させることにより、抵抗値を低減できる。厚さTsubは、研削によって調整される。この場合、半導体層2の第2主面4は、研削痕を有する研削面であってもよい。
エピタキシャル層52の厚さTepiは、厚さTsubの1/10以下であることが好ましい。厚さTepiは、5μm以上20μm以下であってもよい。厚さTepiは、5μm以上10μm以下、10μm以上15μm以下、または、15μm以上20μm以下であってもよい。厚さTepiは、5μm以上15μm以下であることが好ましい。
半導体基板51は、ドレイン領域53として半導体層2の第2主面4側に形成されている。エピタキシャル層52は、ドリフト領域54(ドレインドリフト領域)として半導体層2の第1主面3の表層部に形成されている。ドリフト領域54の底部は、半導体基板51およびエピタキシャル層52の境界によって形成されている。以下、エピタキシャル層52をドリフト領域54という。
出力領域6において半導体層2の第1主面3の表層部には、p型のボディ領域55が形成されている。ボディ領域55は、パワーMISFET9の基礎となる領域である。ボディ領域55のp型不純物濃度は、1×1016cm-3以上1×1018cm-3以下であってもよい。
ボディ領域55は、ドリフト領域54の表層部に形成されている。ボディ領域55の底部は、ドリフト領域54の底部に対して第1主面3側の領域に形成されている。ボディ領域55の厚さは、0.5μm以上2μm以下であってもよい。ボディ領域55の厚さは、0.5μm以上1μm以下、1μm以上1.5μm以下、または、1.5μm以上2μm以下であってもよい。
パワーMISFET9は、第1MISFET56(第1トランジスタ)および第2MISFET57(第2トランジスタ)を含む。第1MISFET56は、第2MISFET57から電気的に分離されており、独立して制御される。第2MISFET57は、第1MISFET56から電気的に分離されており、独立して制御される。
つまり、パワーMISFET9は、第1MISFET56及び第2MISFET57の双方がオン状態において駆動するように構成されている(Full-ON制御)。また、パワーMISFET9は、第1MISFET56がオン状態である一方で第2MISFET57がオフ状態で駆動するように構成されている(第1Half-ON制御)。更に、パワーMISFET9は、第1MISFET56がオフ状態である一方で第2MISFET57がオン状態で駆動するように構成されている(第2Half-ON制御)。
Full-ON制御の場合、全ての電流経路が解放された状態でパワーMISFET9が駆動される。したがって、半導体層2内のオン抵抗は相対的に低下する。一方、第1Half-ON制御または第2Half-ON制御の場合、一部の電流経路が遮断された状態でパワーMISFET9が駆動される。したがって、半導体層2内のオン抵抗は相対的に増加する。
第1MISFET56は、具体的には複数の第1FET(Field Effect Transistor)構造58を含む。複数の第1FET構造58は、平面視において第1方向Xに沿って間隔を空けて配列され、第2方向Yに沿って帯状にそれぞれ延びている。複数の第1FET構造58は、平面視において全体としてストライプ状に形成されている。
図5~図8では、第1FET構造58の一端部側の領域を図示し、第1FET構造58の他端部側の領域の図示を省略している。なお、第1FET構造58の他端部側の領域の構造は、第1FET構造58の一端部側の領域の構造とほぼ同様である。以下では、第1FET構造58の一端部側の領域の構造を例にとって説明し、第1FET構造58の他端部側の領域の構造についての説明は省略する。
各第1FET構造58は、この形態では、第1トレンチゲート構造60を含む。第1トレンチゲート構造60の第1幅WT1は、0.5μm以上5μm以下であってもよい。第1幅WT1は、第1トレンチゲート構造60が延びる方向(第2方向Y)に直交する方向(第1方向X)の幅である。
なお、第1幅WT1は、0.5μm以上1μm以下、1μm以上1.5μm以下、1.5μm以上2μm以下、2μm以上2.5μm以下、2.5μm以上3μm以下、3μm以上3.5μm以下、3.5μm以上4μm以下、4μm以上4.5μm以下、または、4.5μm以上5μm以下であってもよい。第1幅WT1は、0.8μm以上1.2μm以下であることが好ましい。
第1トレンチゲート構造60は、ボディ領域55を貫通し、ドリフト領域54に達している。第1トレンチゲート構造60の第1深さDT1は、1μm以上10μm以下であってもよい。第1深さDT1は、1μm以上2μm以下、2μm以上4μm以下、4μm以上6μm以下、6μm以上8μm以下、又は、8μm以上10μm以下であってもよい。第1深さDT1は、2μm以上6μm以下であることが好ましい。
第1トレンチゲート構造60は、一方側の第1側壁61、他方側の第2側壁62、ならびに、第1側壁61および第2側壁62を接続する底壁63を含む。以下では、第1側壁61、第2側壁62および底壁63を纏めて「内壁」または「外壁」ということがある。
半導体層2内において第1側壁61が第1主面3との間で成す角度(テーパ角)の絶対値は、90°を超えて95°以下(たとえば91°程度)であってもよい。半導体層2内において第2側壁62が第1主面3との間で成す角度(テーパ角)の絶対値は、90°を超えて95°以下(たとえば91°程度)であってもよい。第1トレンチゲート構造60は、断面視において第1主面3側から底壁63側に向けて第1幅WT1が狭まる先細り形状(テーパ形状)に形成されていてもよい。
第1トレンチゲート構造60の底壁63は、ドリフト領域54の底部に対して第1主面3側の領域に位置している。第1トレンチゲート構造60の底壁63は、ドリフト領域54の底部に向かう凸湾曲状(U字状)に形成されている。
第1トレンチゲート構造60の底壁63は、ドリフト領域54の底部に対して1μm以上10μm以下の第1間隔IT1を空けて第1主面3側の領域に位置している。第1間隔IT1は、1μm以上2μm以下、2μm以上4μm以下、4μm以上6μm以下、6μm以上8μm以下、又は、8μm以上10μm以下であってもよい。第1間隔IT1は、1μm以上5μm以下であることが好ましい。
第2MISFET57は、この形態では、複数の第2FET構造68を含む。複数の第2FET構造68は、平面視において第1方向Xに沿って間隔を空けて配列され、第2方向Yに沿って帯状にそれぞれ延びている。
複数の第2FET構造68は、複数の第1FET構造58と同一方向に沿って延びている。複数の第2FET構造68は、平面視において全体としてストライプ状に形成されている。複数の第2FET構造68は、この形態では、1個の第1FET構造58を挟む態様で複数の第1FET構造58と交互に配列されている。
図5~図8では、第2FET構造68の一端部側の領域を図示し、第2FET構造68の他端部側の領域の図示を省略している。なお、第2FET構造68の他端部側の領域の構造は、第2FET構造68の一端部側の領域の構造とほぼ同様である。以下では、第2FET構造68の一端部側の領域の構造を例にとって説明し、第2FET構造68の他端部側の領域の構造についての説明は省略する。
各第2FET構造68は、この形態では、第2トレンチゲート構造70を含む。第2トレンチゲート構造70の第2幅WT2は、0.5μm以上5μm以下であってもよい。第2幅WT2は、第2トレンチゲート構造70が延びる方向(第2方向Y)に直交する方向(第1方向X)の幅である。
なお、第2幅WT2は、0.5μm以上1μm以下、1μm以上1.5μm以下、1.5μm以上2μm以下、2μm以上2.5μm以下、2.5μm以上3μm以下、3μm以上3.5μm以下、3.5μm以上4μm以下、4μm以上4.5μm以下、または、4.5μm以上5μm以下であってもよい。第2幅WT2は、0.8μm以上1.2μm以下であることが好ましい。
第2トレンチゲート構造70の第2幅WT2は、第1トレンチゲート構造60の第1幅WT1以上(WT1≦WT2)であってもよい。第2幅WT2は、第1幅WT1以下(WT1≧WT2)であってもよい。第2幅WT2は、第1幅WT1と等しい(WT1=WT2)ことが好ましい。
第2トレンチゲート構造70は、ボディ領域55を貫通し、ドリフト領域54に達している。第2トレンチゲート構造70の第2深さDT2は、1μm以上10μm以下であってもよい。第2深さDT2は、1μm以上2μm以下、2μm以上4μm以下、4μm以上6μm以下、6μm以上8μm以下、又は、8μm以上10μm以下であってもよい。第2深さDT2は、2μm以上6μm以下であることが好ましい。
第2トレンチゲート構造70の第2深さDT2は、第1トレンチゲート構造60の第1深さDT1以上(DT1≦DT2)であってもよい。第2深さDT2は、第1深さDT1以下(DT1≧DT2)であってもよい。なお、第2深さDT2は、第1深さDT1と等しい(DT1=DT2)ことが好ましい。
第2トレンチゲート構造70は、一方側の第1側壁71、他方側の第2側壁72、ならびに、第1側壁71および第2側壁72を接続する底壁73を含む。以下では、第1側壁71、第2側壁72および底壁73を纏めて「内壁」または「外壁」ということがある。
半導体層2内において第1側壁71が第1主面3との間で成す角度(テーパ角)の絶対値は、90°を超えて95°以下(たとえば91°程度)であってもよい。半導体層2内において第2側壁72が第1主面3との間で成す角度(テーパ角)の絶対値は、90°を超えて95°以下(たとえば91°程度)であってもよい。第2トレンチゲート構造70は、断面視において第1主面3側から底壁73側に向けて第2幅WT2が狭まる先細り形状(テーパ形状)に形成されていてもよい。
第2トレンチゲート構造70の底壁73は、ドリフト領域54の底部に対して第1主面3側の領域に位置している。第2トレンチゲート構造70の底壁73は、ドリフト領域54の底部に向かう凸湾曲状(U字状)に形成されている。
第2トレンチゲート構造70の底壁73は、ドリフト領域54の底部に対して1μm以上10μm以下の第2間隔IT2を空けて第1主面3側の領域に位置している。第2間隔IT2は、1μm以上2μm以下、2μm以上4μm以下、4μm以上6μm以下、6μm以上8μm以下、又は、8μm以上10μm以下であってもよい。第2間隔IT2は、1μm以上5μm以下であることが好ましい。
複数の第1トレンチゲート構造60および複数の第2トレンチゲート構造70の間の領域には、セル領域75がそれぞれ区画されている。複数のセル領域75は、平面視において第1方向Xに沿って間隔を空けて配列され、第2方向Yに沿って帯状にそれぞれ延びている。複数のセル領域75は、第1トレンチゲート構造60および第2トレンチゲート構造70と同一方向に沿って延びている。複数のセル領域75は、平面視において全体としてストライプ状に形成されている。
第1トレンチゲート構造60の外壁からは、ドリフト領域54の内部に第1空乏層が拡がる。第1空乏層は、第1トレンチゲート構造60の外壁から第1主面3に沿う方向および法線方向Zに向けて広がる。同様に、第2トレンチゲート構造70の外壁からは、ドリフト領域54内に第2空乏層が拡がる。第2空乏層は、第2トレンチゲート構造70の外壁から第1主面3に沿う方向および法線方向Zに向けて広がる。
第2トレンチゲート構造70は、第2空乏層が第1空乏層に重なる態様で、第1トレンチゲート構造60から間隔を空けて配列されている。つまり、第2空乏層は、セル領域75において第2トレンチゲート構造70の底壁73に対して第1主面3側の領域で第1空乏層に重なる。このような構造によれば、第1トレンチゲート構造60および第2トレンチゲート構造70に電界が集中するのを抑制できるから、ブレークダウン電圧の低下を抑制できる。
第2空乏層は、第2トレンチゲート構造70の底壁73に対してドリフト領域54の底部側の領域で第1空乏層に重なることが好ましい。このような構造によれば、第1トレンチゲート構造60の底壁63および第2トレンチゲート構造70の底壁73に電界が集中するのを抑制できるから、ブレークダウン電圧の低下を適切に抑制できる。
第1トレンチゲート構造60および第2トレンチゲート構造70の側壁間のピッチPSは、0.2μm以上2μm以下であってもよい。ピッチPSは、第1トレンチゲート構造60の第1側壁61(第2側壁62)および第2トレンチゲート構造70の第2側壁72(第1側壁71)の間において、第1トレンチゲート構造60および第2トレンチゲート構造70が延びる方向(第2方向Y)に直交する方向(第1方向X)の距離である。
ピッチPSは、0.2μm以上0.4μm以下、0.4μm以上0.6μm以下、0.6μm以上0.8μm以下、0.8μm以上1.0μm以下、1.0μm以上1.2μm以下、1.2μm以上1.4μm以下、1.4μm以上1.6μm以下、1.6μm以上1.8μm以下、又は、1.8μm以上2.0μm以下であってもよい。ピッチPSは、0.3μm以上1.5μm以下であることが好ましい。
第1トレンチゲート構造60および第2トレンチゲート構造70の中央部間のピッチPCは、1μm以上7μm以下であってもよい。ピッチPCは、第1トレンチゲート構造60の中央部および第2トレンチゲート構造70の中央部の間において、第1トレンチゲート構造60および第2トレンチゲート構造70が延びる方向(第2方向Y)に直交する方向(第1方向X)の距離である。
なお、ピッチPCは、1μm以上2μm以下、2μm以上3μm以下、3μm以上4μm以下、4μm以上5μm以下、5μm以上6μm以下、または、6μm以上7μm以下であってもよい。ピッチPCは、1μm以上3μm以下であることが好ましい。
図9および図10を参照して、第1トレンチゲート構造60は、より具体的には、第1ゲートトレンチ81、第1絶縁層82および第1電極83を含む。第1ゲートトレンチ81は、第1主面3を第2主面4側に向けて掘り下げることによって形成されている。
第1ゲートトレンチ81は、第1トレンチゲート構造60の第1側壁61、第2側壁62および底壁63を区画している。以下では、第1トレンチゲート構造60の第1側壁61、第2側壁62および底壁63を、第1ゲートトレンチ81の第1側壁61、第2側壁62および底壁63ともいう。
第1絶縁層82は、第1ゲートトレンチ81の内壁に沿って膜状に形成されている。第1絶縁層82は、第1ゲートトレンチ81内において凹状の空間を区画している。第1絶縁層82において第1ゲートトレンチ81の底壁63を被覆する部分は、第1ゲートトレンチ81の底壁63に倣って形成されている。これにより、第1絶縁層82は、第1ゲートトレンチ81内においてU字状に窪んだU字空間を区画している。
第1絶縁層82は、酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(SiN)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)および酸化タンタル(Ta2O3)のうちの少なくとも1種を含む。
第1絶縁層82は、半導体層2側からこの順に積層されたSiN層およびSiO2層を含む積層構造を有していてもよい。第1絶縁層82は、半導体層2側からこの順に積層されたSiO2層およびSiN層を含む積層構造を有していてもよい。第1絶縁層82は、SiO2層またはSiN層からなる単層構造を有していてもよい。第1絶縁層82は、この形態では、SiO2層からなる単層構造を有している。
第1絶縁層82は、第1ゲートトレンチ81の底壁63側から第1主面3側に向けてこの順に形成された第1底側絶縁層84および第1開口側絶縁層85を含む。
第1底側絶縁層84は、第1ゲートトレンチ81の底壁63側の内壁を被覆している。第1底側絶縁層84は、より具体的には、ボディ領域55の底部に対して第1ゲートトレンチ81の底壁63側の内壁を被覆している。第1底側絶縁層84は、第1ゲートトレンチ81の底壁63側においてU字空間を区画している。第1底側絶縁層84は、U字空間を区画する平滑な内壁面を有している。第1底側絶縁層84は、ドリフト領域54に接している。第1底側絶縁層84の一部は、ボディ領域55に接していてもよい。
第1開口側絶縁層85は、第1ゲートトレンチ81の開口側の内壁を被覆している。第1開口側絶縁層85は、より具体的には、ボディ領域55の底部に対して第1ゲートトレンチ81の開口側の領域において第1ゲートトレンチ81の第1側壁61および第2側壁62を被覆している。第1開口側絶縁層85は、ボディ領域55に接している。第1開口側絶縁層85の一部は、ドリフト領域54に接していてもよい。
第1底側絶縁層84は、第1厚さT1を有している。第1開口側絶縁層85は、第1厚さT1未満の第2厚さT2(T2<T1)を有している。第1厚さT1は、第1底側絶縁層84において第1ゲートトレンチ81の内壁の法線方向に沿う厚さである。第2厚さT2は、第1開口側絶縁層85において第1ゲートトレンチ81の内壁の法線方向に沿う厚さである。
なお、第1ゲートトレンチ81の第1幅WT1に対する第1厚さT1の第1比T1/WT1は、0.1以上0.4以下であってもよい。また、第1比T1/WT1は、0.1以上0.15以下、0.15以上0.2以下、0.2以上0.25以下、0.25以上0.3以下、0.3以上0.35以下、または、0.35以上0.4以下であってもよい。第1比T1/WT1は、0.25以上0.35以下であることが好ましい。
なお、第1底側絶縁層84の第1厚さT1は、1500Å以上4000Å以下であってもよい。第1厚さT1は、1500Å以上2000Å以下、2000Å以上2500Å以下、2500Å以上3000Å以下、3000Å以上3500Å以下、または、3500Å以上4000Å以下であってもよい。第1厚さT1は、1800Å以上3500Å以下であることが好ましい。
第1厚さT1は、第1ゲートトレンチ81の第1幅WT1に応じて、4000Å以上12000Å以下に調整されてもよい。第1厚さT1は、4000Å以上5000Å以下、5000Å以上6000Å以下、6000Å以上7000Å以下、7000Å以上8000Å以下、8000Å以上9000Å以下、9000Å以上10000Å以下、10000Å以上11000Å以下、又は、11000Å以上12000Å以下であってもよい。この場合、第1底側絶縁層84の厚化により半導体装置1の耐圧を高めることができる。
第1開口側絶縁層85の第2厚さT2は、第1底側絶縁層84の第1厚さT1の1/100以上1/10以下であってもよい。第2厚さT2は、100Å以上500Å以下であってもよい。第2厚さT2は、100Å以上200Å以下、200Å以上300Å以下、300Å以上400Å以下、または、400Å以上500Å以下であってもよい。第2厚さT2は、200Å以上400Å以下であることが好ましい。
第1底側絶縁層84は、第1ゲートトレンチ81の第1側壁61および第2側壁62を被覆する部分から第1ゲートトレンチ81の底壁63を被覆する部分に向けて第1厚さT1が減少する態様で形成されている。
第1底側絶縁層84において第1ゲートトレンチ81の底壁63を被覆する部分の厚さは、第1底側絶縁層84において第1ゲートトレンチ81の第1側壁61および第2側壁62を被覆する部分の厚さよりも小さい。第1底側絶縁層84によって区画されたU字空間の底壁側の開口幅は、第1厚さT1の減少分だけ拡張されている。これにより、U字空間の先細りが抑制されている。このようなU字空間は、たとえば、第1底側絶縁層84の内壁に対するエッチング法(たとえばウエットエッチング法)によって形成される。
第1電極83は、第1絶縁層82を挟んで、第1ゲートトレンチ81に埋め込まれている。第1電極83にはオン信号Vonおよびオフ信号Voffを含む第1ゲート制御信号(第1制御信号)が印加される。第1電極83は、この形態では、第1底側電極86、第1開口側電極87および第1中間絶縁層88を含む絶縁分離型のスプリット電極構造を有している。
第1底側電極86は、第1絶縁層82を挟んで第1ゲートトレンチ81の底壁63側に埋設されている。第1底側電極86は、より具体的には、第1底側絶縁層84を挟んで第1ゲートトレンチ81の底壁63側に埋設されている。第1底側電極86は、第1底側絶縁層84を挟んでドリフト領域54に対向している。第1底側電極86の一部は、第1底側絶縁層84を挟んでボディ領域55に対向していてもよい。
第1底側電極86は、第1上端部86A、第1下端部86Bおよび第1壁部86Cを含む。第1上端部86Aは、第1ゲートトレンチ81の開口側に位置している。第1下端部86Bは、第1ゲートトレンチ81の底壁63側に位置している。第1壁部86Cは、第1上端部86Aおよび第1下端部86Bを接続し、第1ゲートトレンチ81の内壁に沿って壁状に延びている。
第1上端部86Aは、第1底側絶縁層84から露出している。第1上端部86Aは、第1底側絶縁層84に対して第1主面3側に突出している。これにより、第1底側電極86は、第1ゲートトレンチ81の開口側において、第1底側絶縁層84および第1開口側絶縁層85との間で、断面視において逆凹状のリセスを区画している。第1上端部86Aの幅は、第1壁部86Cの幅未満である。
第1下端部86Bは、第1ゲートトレンチ81の底壁63に向かう凸湾曲状に形成されている。第1下端部86Bは、より具体的には、第1底側絶縁層84によって区画されたU字空間の底壁に倣って形成されており、第1ゲートトレンチ81の底壁63に向かう滑らかな凸湾曲状に形成されている。
このような構造によれば、第1底側電極86に対する局所的な電界集中を抑制できるから、ブレークダウン電圧の低下を抑制できる。特に、第1底側絶縁層84の拡張されたU字空間に第1底側電極86を埋設することにより、第1底側電極86が第1上端部86Aから第1下端部86Bに向けて先細り形状になることを適切に抑制できる。これにより、第1底側電極86の第1下端部86Bに対する局所的な電界集中を適切に抑制できる。
第1底側電極86は、導電性ポリシリコン、タングステン、アルミニウム、銅、アルミニウム合金および銅合金のうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。第1底側電極86は、この形態では、導電性ポリシリコンを含む。導電性ポリシリコンは、n型不純物またはp型不純物を含んでいてもよい。なお、導電性ポリシリコンは、n型不純物を含むことが好ましい。
第1開口側電極87は、第1絶縁層82を挟んで第1ゲートトレンチ81の開口側に埋設されている。第1開口側電極87は、より具体的には、第1開口側絶縁層85を挟んで第1ゲートトレンチ81の開口側に区画された逆凹状のリセスに埋設されている。第1開口側電極87は、第1開口側絶縁層85を挟んでボディ領域55に対向している。第1開口側電極87の一部は、第1開口側絶縁層85を挟んでドリフト領域54に対向していてもよい。
第1開口側電極87は、導電性ポリシリコン、タングステン、アルミニウム、銅、アルミニウム合金および銅合金のうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。第1開口側電極87は、第1底側電極86と同一種の導電材料を含むことが好ましい。第1開口側電極87は、この形態では、導電性ポリシリコンを含む。導電性ポリシリコンは、n型不純物またはp型不純物を含んでいてもよい。導電性ポリシリコンは、n型不純物を含むことが好ましい。
第1中間絶縁層88は、第1底側電極86および第1開口側電極87の間に介在し、第1底側電極86および第1開口側電極87を電気的に絶縁している。第1中間絶縁層88は、より具体的には、第1底側電極86及び第1開口側電極87の間の領域において第1底側絶縁層84から露出する第1底側電極86を被覆している。第1中間絶縁層88は、第1底側電極86の第1上端部86A(より具体的には突出部)を被覆している。第1中間絶縁層88は、第1絶縁層82(第1底側絶縁層84)に連なっている。
第1中間絶縁層88は、第3厚さT3を有している。第3厚さT3は、第1底側絶縁層84の第1厚さT1未満(T3<T1)である。第3厚さT3は、第1厚さT1の1/100以上1/10以下であってもよい。第3厚さT3は、100Å以上500Å以下であってもよい。第3厚さT3は、100Å以上200Å以下、200Å以上300Å以下、300Å以上400Å以下、または、400Å以上500Å以下であってもよい。第3厚さT3は、200Å以上400Å以下であることが好ましい。
第1中間絶縁層88は、酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(SiN)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化タンタル(Ta2O3)のうちの少なくとも1種を含む。第1中間絶縁層88は、この形態では、SiO2層からなる単層構造を有している。
第1開口側電極87において第1ゲートトレンチ81から露出する露出部は、この形態では、第1主面3に対して第1ゲートトレンチ81の底壁63側に位置している。第1開口側電極87の露出部は、第1ゲートトレンチ81の底壁63に向かう湾曲状に形成されている。
第1開口側電極87の露出部は、膜状に形成された第1キャップ絶縁層89によって被覆されている。第1キャップ絶縁層89は、第1ゲートトレンチ81内において第1絶縁層82(第1開口側絶縁層85)に連なっている。第1キャップ絶縁層89は、酸化シリコン(SiO2)を含んでいてもよい。
各第1FET構造58は、p型の第1チャネル領域91(第1チャネル)を更に含む。第1チャネル領域91は、ボディ領域55において第1絶縁層82(第1開口側絶縁層85)を挟んで第1電極83(第1開口側電極87)に対向する領域に形成される。
第1チャネル領域91は、第1トレンチゲート構造60の第1側壁61または第2側壁62、もしくは、第1側壁61および第2側壁62に沿って形成されている。第1チャネル領域91は、この形態では、第1トレンチゲート構造60の第1側壁61および第2側壁62に沿って形成されている。
各第1FET構造58は、ボディ領域55の表層部に形成されたn+型の第1ソース領域92をさらに含む。第1ソース領域92は、ボディ領域55内においてドリフト領域54との間で第1チャネル領域91を画定する。第1ソース領域92のn型不純物濃度は、ドリフト領域54のn型不純物濃度を超えている。第1ソース領域92のn型不純物濃度は、1×1019cm-3以上1×1021cm-3以下であってもよい。
各第1FET構造58は、この形態では、複数の第1ソース領域92を含む。複数の第1ソース領域92は、ボディ領域55の表層部において第1トレンチゲート構造60に沿って間隔を空けて形成されている。複数の第1ソース領域92は、より具体的には、第1トレンチゲート構造60の第1側壁61または第2側壁62、もしくは、第1側壁61及び第2側壁62に沿って形成されている。複数の第1ソース領域92は、この形態では、第1トレンチゲート構造60の第1側壁61および第2側壁62に沿って間隔を空けて形成されている。
複数の第1ソース領域92の底部は、ボディ領域55の底部に対して第1主面3側の領域に位置している。これにより、複数の第1ソース領域92は、第1絶縁層82(第1開口側絶縁層85)を挟んで第1電極83(第1開口側電極87)に対向している。このようにして、第1MISFET56の第1チャネル領域91が、ボディ領域55において複数の第1ソース領域92およびドリフト領域54に挟まれた領域に形成される。
各第1FET構造58は、ボディ領域55の表層部に形成されたp+型の第1コンタクト領域93を更に含む。第1コンタクト領域93のp型不純物濃度は、ボディ領域55のp型不純物濃度を超えている。第1コンタクト領域93のp型不純物濃度は、例えば、1×1019cm-3以上1×1021cm-3以下であってもよい。
各第1FET構造58は、この形態では、複数の第1コンタクト領域93を含む。複数の第1コンタクト領域93は、ボディ領域55の表層部において第1トレンチゲート構造60に沿って間隔を空けて形成されている。複数の第1コンタクト領域93は、より具体的には、第1トレンチゲート構造60の第1側壁61または第2側壁62、もしくは、第1側壁61および第2側壁62に沿って形成されている。
複数の第1コンタクト領域93は、この形態では、第1トレンチゲート構造60の第1側壁61及び第2側壁62に沿って間隔を空けて形成されている。複数の第1コンタクト領域93は、より具体的には、複数の第1ソース領域92に対して交互の配列となる態様でボディ領域55の表層部に形成されている。複数の第1コンタクト領域93の底部は、ボディ領域55の底部に対して第1主面3側の領域に位置している。
図9および図11を参照して、第2トレンチゲート構造70は、第2ゲートトレンチ101、第2絶縁層102および第2電極103を含む。第2ゲートトレンチ101は、第1主面3を第2主面4側に向けて掘り下げることによって形成されている。
第2ゲートトレンチ101は、第2トレンチゲート構造70の第1側壁71、第2側壁72および底壁73を区画している。以下では、第2トレンチゲート構造70の第1側壁71、第2側壁72および底壁73を、第2ゲートトレンチ101の第1側壁71、第2側壁72および底壁73ともいう。
第2絶縁層102は、第2ゲートトレンチ101の内壁に沿い膜状に形成されている。第2絶縁層102は、第2ゲートトレンチ101内において凹状の空間を区画している。第2絶縁層102において第2ゲートトレンチ101の底壁73を被覆する部分は、第2ゲートトレンチ101の底壁73に倣って形成されている。これにより、第2絶縁層102は、第2ゲートトレンチ101内においてU字状に窪んだU字空間を区画している。
第2絶縁層102は、酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(SiN)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)及び酸化タンタル(Ta2O3)のうちの少なくとも1種を含む。
第2絶縁層102は、半導体層2側からこの順に積層されたSiN層およびSiO2層を含む積層構造を有していてもよい。第2絶縁層102は、半導体層2側からこの順に積層されたSiO2層およびSiN層を含む積層構造を有していてもよい。第2絶縁層102は、SiO2層またはSiN層からなる単層構造を有していてもよい。第2絶縁層102は、この形態では、SiO2層からなる単層構造を有している。
第2絶縁層102は、第2ゲートトレンチ101の底壁73側から第1主面3側に向けてこの順に形成された第2底側絶縁層104および第2開口側絶縁層105を含む。
第2底側絶縁層104は、第2ゲートトレンチ101の底壁73側の内壁を被覆している。第2底側絶縁層104は、より具体的には、ボディ領域55の底部に対して第2ゲートトレンチ101の底壁73側の内壁を被覆している。第2底側絶縁層104は、第2ゲートトレンチ101の底壁73側においてU字空間を区画している。第2底側絶縁層104は、U字空間を区画する平滑な内壁面を有している。第2底側絶縁層104は、ドリフト領域54に接している。第2底側絶縁層104の一部は、ボディ領域55に接していてもよい。
第2開口側絶縁層105は、第2ゲートトレンチ101の開口側内壁を被覆している。第2開口側絶縁層105は、より具体的には、ボディ領域55の底部に対して第2ゲートトレンチ101の開口側の領域において第2ゲートトレンチ101の第1側壁71及び第2側壁72を被覆している。第2開口側絶縁層105は、ボディ領域55に接している。第2開口側絶縁層105の一部は、ドリフト領域54に接していてもよい。
第2底側絶縁層104は、第4厚さT4を有している。第2開口側絶縁層105は、第4厚さT4未満の第5厚さT5(T5<T4)を有している。第4厚さT4は、第2底側絶縁層104において第2ゲートトレンチ101の内壁の法線方向に沿う厚さである。第5厚さT5は、第2開口側絶縁層105において第2ゲートトレンチ101の内壁の法線方向に沿う厚さである。
第2ゲートトレンチ101の第2幅WT2に対する第4厚さT4の第2比T4/WT2は、0.1以上0.4以下であってもよい。例えば、第2比T4/WT2は、0.1以上0.15以下、0.15以上0.2以下、0.2以上0.25以下、0.25以上0.3以下、0.3以上0.35以下、または、0.35以上0.4以下であってもよい。第2比T4/WT2は、0.25以上0.35以下であることが好ましい。
第2比T4/WT2は、第1比T1/WT1以下(T4/WT2≦T1/WT1)であってもよい。第2比T4/WT2は、第1比T1/WT1以上(T4/WT2≧T1/WT1)であってもよい。また、第2比T4/WT2は、第1比T1/WT1と等しくてもよい(T4/WT2=T1/WT1)。
第2底側絶縁層104の第4厚さT4は、1500Å以上4000Å以下であってもよい。第4厚さT4は、1500Å以上2000Å以下、2000Å以上2500Å以下、2500Å以上3000Å以下、3000Å以上3500Å以下、または、3500Å以上4000Å以下であってもよい。第4厚さT4は、1800Å以上3500Å以下であることが好ましい。
第4厚さT4は、第2ゲートトレンチ101の第2幅WT2に応じて、4000Å以上12000Å以下であってもよい。第4厚さT4は、4000Å以上5000Å以下、5000Å以上6000Å以下、6000Å以上7000Å以下、7000Å以上8000Å以下、8000Å以上9000Å以下、9000Å以上10000Å以下、10000Å以上11000Å以下、又は、11000Å以上12000Å以下であってもよい。この場合、第2底側絶縁層104の厚化により半導体装置1の耐圧を高めることができる。
第4厚さT4は、第1厚さT1以下(T4≦T1)であってもよい。第4厚さT4は、第1厚さT1以上(T4≧T1)であってもよい。第4厚さT4は、第1厚さT1と等しくてもよい(T4=T1)。
第2開口側絶縁層105の第5厚さT5は、第2底側絶縁層104の第4厚さT4未満(T5<T4)である。第5厚さT5は、第4厚さT4の1/100以上1/10以下であってもよい。100Å以上500Å以下であってもよい。第5厚さT5は、100Å以上200Å以下、200Å以上300Å以下、300Å以上400Å以下、または、400Å以上500Å以下であってもよい。第5厚さT5は、200Å以上400Å以下であることが好ましい。
第5厚さT5は、第2厚さT2以下(T5≦T2)であってもよい。第5厚さT5は、第2厚さT2以上(T5≧T2)であってもよい。第5厚さT5は、第2厚さT2と等しくてもよい(T5=T2)。
第2底側絶縁層104は、第2ゲートトレンチ101の第1側壁71および第2側壁72を被覆する部分から第2ゲートトレンチ101の底壁73を被覆する部分に向けて第4厚さT4が減少する態様で形成されている。
第2底側絶縁層104において第2ゲートトレンチ101の底壁73を被覆する部分の厚さは、第2底側絶縁層104において第2ゲートトレンチ101の第1側壁71および第2側壁72を被覆する部分の厚さよりも小さい。第2底側絶縁層104によって区画されたU字空間の底壁側の開口幅は、第4厚さT4の減少分だけ拡張されている。これにより、U字空間の先細りが抑制されている。このようなU字空間は、たとえば、第2底側絶縁層104の内壁に対するエッチング法(たとえばウエットエッチング法)によって形成される。
第2電極103は、第2絶縁層102を挟んで第2ゲートトレンチ101に埋め込まれている。第2電極103にはオン信号Vonおよびオフ信号Voffを含む所定の第2ゲート制御信号(第2制御信号)が印加される。
第2電極103は、この形態では、第2底側電極106、第2開口側電極107および第2中間絶縁層108を含む絶縁分離型のスプリット電極構造を有している。第2底側電極106は、この形態では、第1底側電極86に電気的に接続されている。第2開口側電極107は、第1開口側電極87から電気的に絶縁されている。
第2底側電極106は、第2絶縁層102を挟んで第2ゲートトレンチ101の底壁73側に埋設されている。第2底側電極106は、より具体的には、第2底側絶縁層104を挟んで第2ゲートトレンチ101の底壁73側に埋設されている。第2底側電極106は、第2底側絶縁層104を挟んでドリフト領域54に対向している。第2底側電極106の一部は、第2底側絶縁層104を挟んでボディ領域55に対向していてもよい。
第2底側電極106は、第2上端部106A、第2下端部106B及び第2壁部106Cを含む。第2上端部106Aは、第2ゲートトレンチ101の開口側に位置している。第2下端部106Bは、第2ゲートトレンチ101の底壁73側に位置している。第2壁部106Cは、第2上端部106Aおよび第2下端部106Bを接続し、第2ゲートトレンチ101の内壁に沿って壁状に延びている。
第2上端部106Aは、第2底側絶縁層104から露出している。第2上端部106Aは、第2底側絶縁層104に対して第1主面3側に突出している。これにより、第2底側電極106は、第2ゲートトレンチ101の開口側において、第2底側絶縁層104および第2開口側絶縁層105との間で、断面視において逆凹状のリセスを区画している。第2上端部106Aの幅は、第2壁部106Cの幅未満である。
第2下端部106Bは、第2ゲートトレンチ101の底壁73に向かう凸湾曲状に形成されている。第2下端部106Bは、より具体的には、第2底側絶縁層104によって区画されたU字空間の底壁に倣って形成されており、第2ゲートトレンチ101の底壁73に向かう滑らかな凸湾曲状に形成されている。
このような構造によれば、第2底側電極106に対する局所的な電界集中を抑制できるので、ブレークダウン電圧の低下を抑制できる。特に、第2底側絶縁層104の拡張されたU字空間に第2底側電極106を埋設することにより、第2底側電極106が第2上端部106Aから第2下端部106Bに向けて先細り形状になることを適切に抑制できる。これにより、第2底側電極106の第2下端部106Bに対する局所的な電界集中を適切に抑制できる。
第2底側電極106は、導電性ポリシリコン、タングステン、アルミニウム、銅、アルミニウム合金および銅合金のうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。第2底側電極106は、この形態では、導電性ポリシリコンを含む。導電性ポリシリコンは、n型不純物またはp型不純物を含んでいてもよい。導電性ポリシリコンは、n型不純物を含むことが好ましい。
第2開口側電極107は、第2絶縁層102を挟んで第2ゲートトレンチ101の開口側に埋設されている。第2開口側電極107は、より具体的には、第2開口側絶縁層105を挟んで第2ゲートトレンチ101の開口側に区画された逆凹状のリセスに埋設されている。第2開口側電極107は、第2開口側絶縁層105を挟んでボディ領域55に対向している。第2開口側電極107の一部は、第2開口側絶縁層105を挟んでドリフト領域54に対向していてもよい。
第2開口側電極107は、導電性ポリシリコン、タングステン、アルミニウム、銅、アルミニウム合金および銅合金のうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。第2開口側電極107は、第2底側電極106と同一種の導電材料を含むことが好ましい。第2開口側電極107は、この形態では、導電性ポリシリコンを含む。導電性ポリシリコンは、n型不純物またはp型不純物を含んでいてもよい。導電性ポリシリコンは、n型不純物を含むことが好ましい。
第2中間絶縁層108は、第2底側電極106および第2開口側電極107の間に介在し、第2底側電極106および第2開口側電極107を電気的に絶縁している。第2中間絶縁層108は、より具体的には、第2底側電極106および第2開口側電極107の間の領域において第2底側絶縁層104から露出する第2底側電極106を被覆している。第2中間絶縁層108は、第2底側電極106の第2上端部106A(より具体的には突出部)を被覆している。第2中間絶縁層108は、第2絶縁層102(第2底側絶縁層104)に連なっている。
第2中間絶縁層108は、第6厚さT6を有している。第6厚さT6は、第2底側絶縁層104の第4厚さT4未満(T6<T4)である。第6厚さT6は、第4厚さT4の1/100以上1/10以下であってもよい。第6厚さT6は、100Å以上500Å以下であってもよい。第6厚さT6は、100Å以上200Å以下、200Å以上300Å以下、300Å以上400Å以下、または、400Å以上500Å以下であってもよい。第6厚さT6は、200Å以上400Å以下であることが好ましい。
第6厚さT6は、第3厚さT3以下(T6≦T3)であってもよい。第6厚さT6は、第3厚さT3以上(T6≧T3)であってもよい。第6厚さT6は、第3厚さT3と等しくてもよい(T6=T3)。
第2中間絶縁層108は、酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(SiN)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)および酸化タンタル(Ta2O3)のうちの少なくとも1種を含む。なお、第2中間絶縁層108は、この形態では、SiO2層からなる単層構造を有している。
第2開口側電極107において第2ゲートトレンチ101から露出する露出部は、この形態では、第1主面3に対して第2ゲートトレンチ101の底壁73側に位置している。第2開口側電極107の露出部は、第2ゲートトレンチ101の底壁73に向かう湾曲状に形成されている。
第2開口側電極107の露出部は、膜状に形成された第2キャップ絶縁層109によって被覆されている。第2キャップ絶縁層109は、第2ゲートトレンチ101内において第2絶縁層102(第2開口側絶縁層105)に連なっている。第2キャップ絶縁層109は、酸化シリコン(SiO2)を含んでいてもよい。
各第2FET構造68は、p型の第2チャネル領域111(第2チャネル)をさらに含む。第2チャネル領域111は、より具体的には、ボディ領域55において第2絶縁層102(第2開口側絶縁層105)を挟んで第2電極103(第2開口側電極107)に対向する領域に形成される。
第2チャネル領域111は、より具体的には、第2トレンチゲート構造70の第1側壁71または第2側壁72、もしくは、第1側壁71および第2側壁72に沿って形成されている。第2チャネル領域111は、この形態では、第2トレンチゲート構造70の第1側壁71および第2側壁72に沿って形成されている。
各第2FET構造68は、ボディ領域55の表層部に形成されたn+型の第2ソース領域112をさらに含む。第2ソース領域112は、ボディ領域55内においてドリフト領域54との間で第2チャネル領域111を画定する。
第2ソース領域112のn型不純物濃度は、ドリフト領域54のn型不純物濃度を超えている。第2ソース領域112のn型不純物濃度は、1×1019cm-3以上1×1021cm-3以下であってもよい。第2ソース領域112のn型不純物濃度は、第1ソース領域92のn型不純物濃度と等しいことが好ましい。
各第2FET構造68は、この形態では、複数の第2ソース領域112を含む。複数の第2ソース領域112は、ボディ領域55の表層部において第2トレンチゲート構造70に沿って間隔を空けて形成されている。複数の第2ソース領域112は、具体的には、第2トレンチゲート構造70の第1側壁71または第2側壁72、もしくは、第1側壁71および第2側壁72に沿って形成されている。複数の第2ソース領域112は、この形態では、第2トレンチゲート構造70の第1側壁71および第2側壁72に沿って間隔を空けて形成されている。
各第2ソース領域112は、この形態では、第1方向Xに沿って各第1ソース領域92と対向している。また、各第2ソース領域112は、各第1ソース領域92と一体を成している。図7および図8では、第1ソース領域92および第2ソース領域112を境界線によって区別して示しているが、第1ソース領域92および第2ソース領域112の間の領域には、実際には明確な境界線はない。
各第2ソース領域112は、第1方向Xに沿って各第1ソース領域92の一部または全部と対向しないように、各第1ソース領域92から第2方向Yにずれて形成されていてもよい。つまり、複数の第1ソース領域92および複数の第2ソース領域112は、平面視において千鳥状に配列されていてもよい。
複数の第2ソース領域112の底部は、ボディ領域55の底部に対して第1主面3側の領域に位置している。これによって、複数の第2ソース領域112は、第2絶縁層102(第2開口側絶縁層105)を挟んで第2電極103(第2開口側電極107)に対向している。このようにして、第2MISFET57の第2チャネル領域111が、ボディ領域55において複数の第2ソース領域112およびドリフト領域54に挟まれた領域に形成される。
各第2FET構造68は、ボディ領域55の表層部に形成されたp+型の第2コンタクト領域113を更に含む。第2コンタクト領域113のp型不純物濃度は、ボディ領域55のp型不純物濃度を超えている。第2コンタクト領域113のp型不純物濃度は、1×1019cm-3以上1×1021cm-3以下であってもよい。第2コンタクト領域113のp型不純物濃度は、第1コンタクト領域93のp型不純物濃度と等しいことが好ましい。
各第2FET構造68は、この形態では、複数の第2コンタクト領域113を含む。複数の第2コンタクト領域113は、ボディ領域55の表層部において第2トレンチゲート構造70に沿って間隔を空けて形成されている。複数の第2コンタクト領域113は、より具体的には、第2トレンチゲート構造70の第1側壁71または第2側壁72、もしくは、第1側壁71および第2側壁72に沿って形成されている。複数の第2コンタクト領域113の底部は、ボディ領域55の底部に対して第1主面3側の領域に位置している。
複数の第2コンタクト領域113は、この形態では、第2トレンチゲート構造70の第1側壁71および第2側壁72に沿って間隔を空けて形成されている。複数の第2コンタクト領域113は、より具体的には、複数の第2ソース領域112に対して交互の配列となる態様でボディ領域55の表層部に形成されている。
図7および図8を参照して、各第2コンタクト領域113は、この形態では、第1方向Xに沿って各第1コンタクト領域93と対向している。各第2コンタクト領域113は、各第1コンタクト領域93と一体を成している。
図7では、第1ソース領域92および第2ソース領域112と区別するため、第1コンタクト領域93および第2コンタクト領域113を纏めて「p+」の記号で示している。また、図8では、第1コンタクト領域93および第2コンタクト領域113を境界線によって区別して示しているが、第1コンタクト領域93および第2コンタクト領域113の間の領域には、実際には明確な境界線はない。
各第2コンタクト領域113は、第1方向Xに沿って各第1コンタクト領域93の一部または全部と対向しないように、各第1コンタクト領域93から第2方向Yにずれて形成されていてもよい。つまり、複数の第1コンタクト領域93および複数の第2コンタクト領域113は、平面視において千鳥状に配列されていてもよい。
図7および図8を参照して、半導体層2の第1主面3において第1トレンチゲート構造60の一端部および第2トレンチゲート構造70の一端部の間の領域からは、この形態では、ボディ領域55が露出している。第1ソース領域92、第1コンタクト領域93、第2ソース領域112および第2コンタクト領域113は、第1主面3において第1トレンチゲート構造60の一端部および第2トレンチゲート構造70の一端部に挟まれた領域に形成されていない。
同様に、図示はしないが、半導体層2の第1主面3において第1トレンチゲート構造60の他端部及び第2トレンチゲート構造70の他端部の間の領域からは、この形態では、ボディ領域55が露出している。第1ソース領域92、第1コンタクト領域93、第2ソース領域112および第2コンタクト領域113は、第1トレンチゲート構造60の他端部および第2トレンチゲート構造70の他端部に挟まれた領域に形成されていない。
図5~図8を参照し、半導体層2の第1主面3には、複数(ここは2つ)のトレンチコンタクト構造120が形成されている。複数のトレンチコンタクト構造120は、一方側のトレンチコンタクト構造120および他方側のトレンチコンタクト構造120を含む。
一方側のトレンチコンタクト構造120は、第1トレンチゲート構造60の一端部および第2トレンチゲート構造70の一端部側の領域に位置する。他方側のトレンチコンタクト構造120は、第1トレンチゲート構造60の他端部および第2トレンチゲート構造70の他端部側の領域に位置する。
他方側のトレンチコンタクト構造120は、一方側のトレンチコンタクト構造120とほぼ同様の構造を有している。以下では、一方側のトレンチコンタクト構造120側の構造を例にとって説明し、他方側のトレンチコンタクト構造120側の構造についての具体的な説明は、省略される。
トレンチコンタクト構造120は、第1トレンチゲート構造60の一端部および第2トレンチゲート構造70の一端部に接続されている。トレンチコンタクト構造120は、この形態では、平面視において第1方向Xに沿って帯状に延びている。
トレンチコンタクト構造120の幅WTCは、0.5μm以上5μm以下であってもよい。幅WTCは、トレンチコンタクト構造120が延びる方向(第1方向X)に直交する方向(第2方向Y)の幅である。
幅WTCは、0.5μm以上1μm以下、1μm以上1.5μm以下、1.5μm以上2μm以下、2μm以上2.5μm以下、2.5μm以上3μm以下、3μm以上3.5μm以下、3.5μm以上4μm以下、4μm以上4.5μm以下、または、4.5μm以上5μm以下であってもよい。幅WTCは、0.8μm以上1.2μm以下であることが好ましい。
幅WTCは、第1トレンチゲート構造60の第1幅WT1と等しいことが好ましい(WTC=WT1)。幅WTCは、第2トレンチゲート構造70の第2幅WT2と等しいことが好ましい(WTC=WT2)。
トレンチコンタクト構造120は、ボディ領域55を貫通し、ドリフト領域54に達している。トレンチコンタクト構造120の深さDTCは、1μm以上10μm以下であってもよい。深さDTCは、1μm以上2μm以下、2μm以上4μm以下、4μm以上6μm以下、6μm以上8μm以下、または、8μm以上10μm以下であってもよい。深さDTCは、2μm以上6μm以下であることが好ましい。
深さDTCは、第1トレンチゲート構造60の第1深さDT1と等しいことが好ましい(DTC=DT1)。深さDTCは、第2トレンチゲート構造70の第2深さDT2と等しいことが好ましい(DTC=DT2)。
トレンチコンタクト構造120は、一方側の第1側壁121と、他方側の第2側壁122と、第1側壁121および第2側壁122を接続する底壁123とを含む。以下では、第1側壁121、第2側壁122および底壁123を纏めて「内壁」ということがある。第1側壁121は、第1トレンチゲート構造60および第2トレンチゲート構造70に接続された接続面である。
第1側壁121、第2側壁122および底壁123は、ドリフト領域54内に位置している。第1側壁121および第2側壁122は、法線方向Zに沿って延びている。第1側壁121および第2側壁122は、第1主面3に対して垂直に形成されていてもよい。
半導体層2内において第1側壁121が第1主面3との間で成す角度(テーパ角)の絶対値は、90°を超えて95°以下(例えば91°程度)であってもよい。半導体層2内において第2側壁122が第1主面3との間で成す角度(テーパ角)の絶対値は、90°を超えて95°以下(たとえば91°程度)であってもよい。トレンチコンタクト構造120は、断面視において半導体層2の第1主面3側から底壁123側に向けて幅WTCが狭まる先細り形状(テーパ形状)に形成されていてもよい。
底壁123は、ドリフト領域54の底部に対して第1主面3側の領域に位置している。底壁123は、ドリフト領域54の底部に向かう凸湾曲状に形成されている。底壁123は、ドリフト領域54の底部に対して1μm以上10μm以下の間隔ITCを空けて第1主面3側の領域に位置している。間隔ITCは、1μm以上2μm以下、2μm以上4μm以下、4μm以上6μm以下、6μm以上8μm以下、または、8μm以上10μm以下であってもよい。間隔ITCは、1μm以上5μm以下であることが好ましい。
間隔ITCは、第1トレンチゲート構造60の第1間隔IT1と等しいことが好ましい(ITC=IT1)。間隔ITCは、第2トレンチゲート構造70の第2間隔IT2と等しいことが好ましい(ITC=IT2)。
トレンチコンタクト構造120は、コンタクトトレンチ131、コンタクト絶縁層132およびコンタクト電極133を含む。コンタクトトレンチ131は、半導体層2の第1主面3を第2主面4側に向けて掘り下げることによって形成されている。
コンタクトトレンチ131は、トレンチコンタクト構造120の第1側壁121、第2側壁122および底壁123を区画している。以下では、トレンチコンタクト構造120の第1側壁121、第2側壁122および底壁123を、コンタクトトレンチ131の第1側壁121、第2側壁122および底壁123ともいう。
コンタクトトレンチ131の第1側壁121は、第1ゲートトレンチ81の第1側壁61および第2側壁62に連通している。コンタクトトレンチ131の第1側壁121は、第2ゲートトレンチ101の第1側壁71および第2側壁72に連通している。コンタクトトレンチ131は、第1ゲートトレンチ81および第2ゲートトレンチ101との間で1つのトレンチを形成している。
コンタクト絶縁層132は、コンタクトトレンチ131の内壁に沿って膜状に形成されている。コンタクト絶縁層132は、コンタクトトレンチ131内において凹状の空間を区画している。コンタクト絶縁層132においてコンタクトトレンチ131の底壁123を被覆する部分は、コンタクトトレンチ131の底壁123に倣って形成されている。
コンタクト絶縁層132は、第1底側絶縁層84(第2底側絶縁層104)と同様の態様で、コンタクトトレンチ131内においてU字状に窪んだU字空間を区画している。つまり、コンタクト絶縁層132は、コンタクトトレンチ131の底壁123側の領域が拡張され、先細りが抑制されたU字空間を区画している。このようなU字空間は、例えば、コンタクト絶縁層132の内壁に対するエッチング法(たとえばウエットエッチング法)によって形成される。
コンタクト絶縁層132は、第7厚さT7を有している。第7厚さT7は、1500Å以上4000Å以下であってもよい。第7厚さT7は、1500Å以上2000Å以下、2000Å以上2500Å以下、2500Å以上3000Å以下、3000Å以上3500Å以下、または、3500Å以上4000Å以下であってもよい。第7厚さT7は、1800Å以上3500Å以下であることが好ましい。
第7厚さT7は、トレンチコンタクト構造120の幅WTCに応じて4000Å以上12000Å以下であってもよい。第7厚さT7は、4000Å以上5000Å以下、5000Å以上6000Å以下、6000Å以上7000Å以下、7000Å以上8000Å以下、8000Å以上9000Å以下、9000Å以上10000Å以下、10000Å以上11000Å以下、又は、11000Å以上12000Å以下であってもよい。この場合、コンタクト絶縁層132の厚化により半導体装置1の耐圧を高めることができる。
第7厚さT7は、第1底側絶縁層84の第1厚さT1と等しい(T7=T1)ことが好ましい。第7厚さT7は、第2底側絶縁層104の第4厚さT4と等しい(T7=T4)ことが好ましい。
コンタクト絶縁層132は、酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(SiN)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)及び酸化タンタル(Ta2O3)のうちの少なくとも1種を含む。
コンタクト絶縁層132は、半導体層2側からこの順に積層されたSiN層およびSiO2層を含む積層構造を有していてもよい。コンタクト絶縁層132は、半導体層2側からこの順に積層されたSiO2層およびSiN層を含む積層構造を有していてもよい。コンタクト絶縁層132は、SiO2層またはSiN層からなる単層構造を有していてもよい。コンタクト絶縁層132は、この形態では、SiO2層からなる単層構造を有している。コンタクト絶縁層132は、第1絶縁層82(第2絶縁層102)と同一の絶縁材料からなることが好ましい。
コンタクト絶縁層132は、第1ゲートトレンチ81およびコンタクトトレンチ131の間の連通部において第1絶縁層82と一体を成している。コンタクト絶縁層132は、第2ゲートトレンチ101およびコンタクトトレンチ131の間の連通部において第2絶縁層102と一体を成している。
コンタクト絶縁層132は、この形態では、第1ゲートトレンチ81の一端部および第2ゲートトレンチ101の一端部に引き出された引き出し絶縁層132Aを有している。引き出し絶縁層132Aは、連通部を横切って第1ゲートトレンチ81の一端部の内壁を被覆している。引き出し絶縁層132Aは、連通部を横切って第2ゲートトレンチ101の一端部の内壁を被覆している。
引き出し絶縁層132Aは、第1ゲートトレンチ81内で、第1底側絶縁層84及び第1開口側絶縁層85と一体を成している。引き出し絶縁層132Aは、第1ゲートトレンチ81の一端部の内壁において、第1底側絶縁層84と共にU字空間を区画している。
引き出し絶縁層132Aは、第2ゲートトレンチ101内において第2底側絶縁層104および第2開口側絶縁層105と一体を成している。引き出し絶縁層132Aは、第2ゲートトレンチ101の一端部の内壁において、第2底側絶縁層104と共にU字空間を区画している。
コンタクト電極133は、コンタクト絶縁層132を挟んでコンタクトトレンチ131に埋め込まれている。コンタクト電極133は、第1電極83および第2電極103とは異なり、一体物としてコンタクトトレンチ131に埋め込まれている。コンタクト電極133は、コンタクトトレンチ131から露出する上端部、コンタクト絶縁層132に接する下端部を有している。
コンタクト電極133の下端部は、第1底側電極86(第2底側電極106)と同様の態様で、コンタクトトレンチ131の底壁123に向かう凸湾曲状に形成されている。コンタクト電極133の下端部は、より具体的には、コンタクト絶縁層132によって区画されたU字空間の底壁に倣って形成されており、底壁123に向かう滑らかな凸湾曲状に形成されている。
このような構造によれば、コンタクト電極133に対する局所的な電界集中を抑制できるので、ブレークダウン電圧の低下を抑制できる。特に、コンタクト絶縁層132の拡張されたU字空間にコンタクト電極133を埋設することにより、コンタクト電極133が上端部から下端部に向けて先細り形状になることを適切に抑制できる。これにより、コンタクト絶縁層132の下端部に対する局所的な電界集中を適切に抑制できる。
コンタクト電極133は、第1ゲートトレンチ81およびコンタクトトレンチ131の間の接続部において第1底側電極86に電気的に接続されている。コンタクト電極133は、第2ゲートトレンチ101およびコンタクトトレンチ131の間の接続部において第2底側電極106に電気的に接続されている。これにより、第2底側電極106は、第1底側電極86に電気的に接続されている。
コンタクト電極133は、より具体的には、第1ゲートトレンチ81の一端部および第2ゲートトレンチ101の一端部に引き出された引き出し電極133Aを有している。引き出し電極133Aは、第1ゲートトレンチ81およびコンタクトトレンチ131の間の連通部を横切って第1ゲートトレンチ81内に位置している。引き出し電極133Aは、さらに、第2ゲートトレンチ101およびコンタクトトレンチ131の間の連通部を横切って第2ゲートトレンチ101内に位置している。
引き出し電極133Aは、第1ゲートトレンチ81内においてコンタクト絶縁層132によって区画されたU字空間に埋め込まれている。引き出し電極133Aは、第1ゲートトレンチ81内において第1底側電極86と一体を成している。これにより、コンタクト電極133は、第1底側電極86に電気的に接続されている。
第1ゲートトレンチ81内においてコンタクト電極133および第1開口側電極87の間には、第1中間絶縁層88が介在している。これにより、コンタクト電極133は、第1ゲートトレンチ81内において第1開口側電極87から電気的に絶縁されている。
引き出し電極133Aは、第2ゲートトレンチ101内においてコンタクト絶縁層132によって区画されたU字空間に埋め込まれている。引き出し電極133Aは、第2ゲートトレンチ101内において第2底側電極106と一体を成している。これにより、コンタクト電極133は、第2底側電極106に電気的に接続されている。
第2ゲートトレンチ101内において、コンタクト電極133と第2開口側電極107との間には、第2中間絶縁層108が介在している。これにより、コンタクト電極133は、第2ゲートトレンチ101内において、第2開口側電極107から電気的に絶縁されている。
コンタクト電極133は、導電性ポリシリコン、タングステン、アルミニウム、銅、アルミニウム合金および銅合金のうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。コンタクト電極133は、この形態では、導電性ポリシリコンを含む。導電性ポリシリコンは、n型不純物またはp型不純物を含んでいてもよい。導電性ポリシリコンは、n型不純物を含むことが好ましい。コンタクト電極133は、第1底側電極86および第2底側電極106と同一の導電材料を含むことが好ましい。
コンタクト電極133において、コンタクトトレンチ131から露出する露出部は、この形態では、第1主面3に対してコンタクトトレンチ131の底壁123側に位置している。コンタクト電極133の露出部は、コンタクトトレンチ131の底壁123に向かう湾曲状に形成されている。
コンタクト電極133の露出部は、膜状に形成された第3キャップ絶縁層139により被覆されている。第3キャップ絶縁層139は、コンタクトトレンチ131内においてコンタクト絶縁層132に連なっている。第3キャップ絶縁層139は、酸化シリコン(SiO2)を含んでいてもよい。
図5~図11を参照して、半導体層2の第1主面3の上には、主面絶縁層141が形成されている。主面絶縁層141は、第1主面3を選択的に被覆している。主面絶縁層141は、第1絶縁層82、第2絶縁層102及びコンタクト絶縁層132に連なっている。主面絶縁層141は、酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(SiN)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)および酸化タンタル(Ta2O3)のうちの少なくとも1種を含む。
主面絶縁層141は、半導体層2側からこの順に積層されたSiN層およびSiO2層を含む積層構造を有していてもよい。主面絶縁層141は、半導体層2側からこの順に積層されたSiO2層およびSiN層を含む積層構造を有していてもよい。主面絶縁層141は、SiO2層またはSiN層からなる単層構造を有していてもよい。主面絶縁層141は、この形態では、SiO2層からなる単層構造を有している。主面絶縁層141は、第1絶縁層82、第2絶縁層102およびコンタクト絶縁層132と同一の絶縁材料からなることが好ましい。
主面絶縁層141の上部には、層間絶縁層142が形成されている。層間絶縁層142は、主面絶縁層141の厚さを超える厚さを有していてもよい。層間絶縁層142は、主面絶縁層141のほぼ全域を被覆している。層間絶縁層142は、例えば、酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(SiN)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)および酸化タンタル(Ta2O3)のうちの少なくとも1種を含む。
層間絶縁層142は、ここでは、酸化シリコンの一例としてのUSG(Undoped Silica Glass)層を含む。層間絶縁層142は、USG層からなる単層構造を有してもよい。層間絶縁層142は、平坦化された主面を有していてもよい。層間絶縁層142の主面は、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法により研削された研削面であってもよい。
層間絶縁層142は、酸化シリコンの一例としてPSG(Phosphor Silicate Glass)および/またはBPSG(Boron Phosphor Silicate Glass)を含んでいてもよい。層間絶縁層142は、半導体層2側からこの順に積層されたPSG層およびBPSG層を含む積層構造を有していてもよい。層間絶縁層142は、第1主面3側からこの順に積層されたBPSG層およびPSG層を含む積層構造を有していてもよい。
図5および図6を参照して、出力領域6において層間絶縁層142には、第1プラグ電極143、第2プラグ電極144、第3プラグ電極145および第4プラグ電極146が埋め込まれている。この形態では、複数の第1プラグ電極143、複数の第2プラグ電極144、複数の第3プラグ電極145および複数の第4プラグ電極146が、層間絶縁層142に埋め込まれている。第1プラグ電極143、第2プラグ電極144、第3プラグ電極145および第4プラグ電極146は、タングステンをそれぞれ含んでいてもよい。
複数の第1プラグ電極143は、層間絶縁層142において第1トレンチゲート構造60の第1開口側電極87を被覆する部分にそれぞれ埋め込まれている。複数の第1プラグ電極143は、この形態では、第1トレンチゲート構造60の一端部側の領域で、層間絶縁層142を貫通し、1対1対応の関係で複数の第1開口側電極87に接続されている。
むろん、1つの第1開口側電極87に対して複数の第1プラグ電極143が接続されていてもよい。図示は省略されるが、複数の第1プラグ電極143は、一端部側の領域と同様の態様で、層間絶縁層142において第1トレンチゲート構造60の他端部側の領域を被覆する部分にも埋め込まれている。
複数の第1プラグ電極143は、この形態では、第1方向Xに沿って一列に間隔を空けて配列されている。各第1プラグ電極143は、平面視において三角形状、四角形状、五角形状、六角形状等の多角形状、もしくは、円形状または楕円形状に形成されていてもよい。各第1プラグ電極143は、ここでは、平面視において四角形状に形成されている。
複数の第2プラグ電極144は、層間絶縁層142において第2トレンチゲート構造70の第2開口側電極107を被覆する部分にそれぞれ埋め込まれている。複数の第2プラグ電極144は、この形態では、第2トレンチゲート構造70の一端部側の領域において層間絶縁層142を貫通し、1対1対応の関係で複数の第2開口側電極107に接続されている。
むろん、1つの第2開口側電極107に対して複数の第2プラグ電極144が接続されていてもよい。図示は省略されるが、複数の第2プラグ電極144は、一端部側の領域と同様の態様で、層間絶縁層142において第2トレンチゲート構造70の他端部側の領域を被覆する部分にも埋め込まれている。
複数の第2プラグ電極144は、この形態では、第1方向Xに沿って一列に間隔を空けて配列されている。各第2プラグ電極144は、平面視において三角形状、四角形状、五角形状、六角形状等の多角形状、もしくは、円形状または楕円形状に形成されていてもよい。各第2プラグ電極144は、ここでは、平面視において四角形状に形成されている。
複数の第3プラグ電極145は、層間絶縁層142においてコンタクト電極133を被覆する部分にそれぞれ埋め込まれている。複数の第3プラグ電極145は、層間絶縁層142を貫通し、コンタクト電極133に接続されている。
図示は省略するが、複数の第3プラグ電極145は、一端部側の領域と同様の態様で、層間絶縁層142において他方側のトレンチコンタクト構造120のコンタクト電極133を被覆する部分にも埋め込まれている。
複数の第3プラグ電極145は、この形態では、第1方向Xに沿って一列に間隔を空けて配列されている。各第3プラグ電極145は、平面視において三角形状、四角形状、五角形状、六角形状等の多角形状、もしくは、円形状または楕円形状に形成されていてもよい。各第3プラグ電極145は、ここでは、平面視において四角形状に形成されている。
複数の第4プラグ電極146は、層間絶縁層142において複数のセル領域75を被覆する部分にそれぞれ埋め込まれている。各第4プラグ電極146は、層間絶縁層142を貫通し、各セル領域75にそれぞれ接続されている。各第4プラグ電極146は、より具体的には、各セル領域75において、第1ソース領域92、第1コンタクト領域93、第2ソース領域112および第2コンタクト領域113に電気的に接続されている。
各第4プラグ電極146は、平面視において各セル領域75に沿って延びる帯状に形成されている。各第4プラグ電極146の第2方向Yの長さは、各セル領域75の第2方向Yの長さ未満であってもよい。
むろん、各セル領域75には、複数の第4プラグ電極146が接続されていてもよい。この場合、複数の第4プラグ電極146は、各セル領域75に沿って間隔を空けて形成される。さらに、各第4プラグ電極146は、平面視において三角形状、四角形状、五角形状、六角形状等の多角形状、もしくは、円形状または楕円形状に形成されていてもよい。
出力領域6において層間絶縁層142の上には、前述のソース電極12およびゲート制御配線17が形成されている。ソース電極12は、層間絶縁層142の上において複数の第4プラグ電極146に一括して電気的に接続されている。ソース電極12には、基準電圧(たとえばグランド電圧)が印加される。基準電圧は、複数の第4プラグ電極146を介して第1ソース領域92、第1コンタクト領域93、第2ソース領域112および第2コンタクト領域113に伝達される。
ゲート制御配線17のうちの第1ゲート制御配線17Aは、層間絶縁層142の上において複数の第1プラグ電極143に電気的に接続されている。第1ゲート制御配線17Aには、コントロールIC10からのゲート制御信号が入力される。ゲート制御信号は、第1ゲート制御配線17Aおよび複数の第1プラグ電極143を介して第1開口側電極87に伝達される。
ゲート制御配線17のうちの第2ゲート制御配線17Bは、層間絶縁層142の上において複数の第2プラグ電極144に電気的に接続されている。第2ゲート制御配線17Bには、コントロールIC10からのゲート制御信号が入力される。ゲート制御信号は、第2ゲート制御配線17Bおよび複数の第2プラグ電極144を介して第2開口側電極107に伝達される。
ゲート制御配線17のうちの第3ゲート制御配線17Cは、層間絶縁層142の上において複数の第3プラグ電極145に電気的に接続されている。第3ゲート制御配線17Cには、コントロールIC10からのゲート制御信号が入力される。ゲート制御信号は、第3ゲート制御配線17Cおよび複数の第3プラグ電極145を介してコンタクト電極133に伝達される。つまり、コントロールIC10からのゲート制御信号は、コンタクト電極133を介して第1底側電極86および第2底側電極106に伝達される。
第1MISFET56(第1トレンチゲート構造60)及び第2MISFET57(第2トレンチゲート構造70)が共にオフ状態に制御される場合、第1チャネル領域91および第2チャネル領域111は共にオフ状態に制御される。
第1MISFET56および第2MISFET57が共にオン状態に制御される場合、第1チャネル領域91および第2チャネル領域111は共にオン状態に制御される(Full-ON制御)。
第1MISFET56がオン状態に制御される一方で、第2MISFET57がオフ状態に制御される場合、第1チャネル領域91はオン状態に制御され、第2チャネル領域111はオフ状態に制御される(第1Half-ON制御)。
第1MISFET56がオフ状態に制御される一方で、第2MISFET57がオン状態に制御される場合、第1チャネル領域91はオフ状態に制御され、第2チャネル領域111はオン状態に制御される(第2Half-ON制御)。
このようにして、パワーMISFET9では、1つの出力領域6に形成された第1MISFET56および第2MISFET57を利用して、Full-ON制御、第1Half-ON制御および第2Half-ON制御を含む複数種の制御が実現される。
第1MISFET56を駆動させるとき(つまり、ゲートのオン制御時)、第1底側電極86にオン信号Vonが印加され、第1開口側電極87にオン信号Vonが印加されてもよい。この場合、第1底側電極86および第1開口側電極87は、ゲート電極として機能する。
これにより、第1底側電極86および第1開口側電極87の間の電圧降下を抑制できるので、第1底側電極86及び第1開口側電極87の間の電界集中を抑制できる。また、半導体層2のオン抵抗を低下させることができるので、消費電力低減を図ることができる。
第1MISFET56を駆動させるとき(つまり、ゲートのオン制御時)、第1底側電極86にオフ信号Voff(たとえば基準電圧)が印加され、第1開口側電極87にオン信号Vonが印加されてもよい。この場合、第1底側電極86がフィールド電極として機能する一方で、第1開口側電極87がゲート電極として機能する。これにより、寄生容量を低下させることができるから、スイッチング速度の向上を図ることができる。
第2MISFET57を駆動させるとき(つまり、ゲートのオン制御時)、第2底側電極106にオン信号Vonが印加され、第2開口側電極107にオン信号Vonが印加されてもよい。この場合、第2底側電極106および第2開口側電極107は、ゲート電極として機能する。
これにより、第2底側電極106および第2開口側電極107の間の電圧降下を抑制できるから、第2底側電極106及び第2開口側電極107の間の電界集中を抑制できる。また、半導体層2のオン抵抗を低下させることができるから、消費電力の低減を図ることができる。
第2MISFET57を駆動させるとき(つまり、ゲートのオン制御時)、第2底側電極106にオフ信号Voff(基準電圧)が印加され、第2開口側電極107にオン信号Vonが印加されてもよい。この場合、第2底側電極106がフィールド電極として機能する一方で、第2開口側電極107がゲート電極として機能する。これにより、寄生容量を低下させることができるから、スイッチング速度の向上を図ることができる。
図7および図8を参照して、第1チャネル領域91は、各セル領域75において第1チャネル面積S1で形成されている。第1チャネル面積S1は、各セル領域75に形成された複数の第1ソース領域92のトータル平面面積によって定義される。
第1チャネル領域91は、各セル領域75において第1チャネル割合R1(第1割合)で形成されている。第1チャネル割合R1は、各セル領域75の平面面積を100%としたとき、各セル領域75において第1チャネル面積S1が占める割合である。
第1チャネル割合R1は、0%以上50%以下の範囲で調整される。第1チャネル割合R1は、0%以上5%以下、5%以上10%以下、10%以上15%以下、15%以上20%以下、20%以上25%以下、25%以上30%以下、30%以上35%以下、35%以上40%以下、40%以上45%以下、または、45%以上50%以下であってもよい。第1チャネル割合R1は、10%以上35%以下であることが好ましい。
第1チャネル割合R1が50%の場合、第1トレンチゲート構造60の第1側壁61および第2側壁62のほぼ全域に第1ソース領域92が形成される。この場合、第1トレンチゲート構造60の第1側壁61および第2側壁62に第1コンタクト領域93は形成されない。第1チャネル割合R1は、50%未満であることが好ましい。
第1チャネル割合R1が0%の場合、第1トレンチゲート構造60の第1側壁61および第2側壁62に第1ソース領域92は形成されない。この場合、第1トレンチゲート構造60の第1側壁61および第2側壁62にボディ領域55および/または第1コンタクト領域93だけが形成される。第1チャネル割合R1は、0%を超えることが好ましい。この形態では、第1チャネル割合R1が25%である例が示されている。
第2チャネル領域111は、各セル領域75において第2チャネル面積S2で形成されている。第2チャネル面積S2は、各セル領域75に形成された複数の第2ソース領域112のトータル平面面積によって定義される。
第2チャネル領域111は、各セル領域75において、第2チャネル割合R2(第2割合)で形成されている。第2チャネル割合R2は、各セル領域75の平面面積を100%としたとき、各セル領域75において第2チャネル面積S2が占める割合である。
第2チャネル割合R2は、0%以上50%以下の範囲で調整される。第2チャネル割合R2は、0%以上5%以下、5%以上10%以下、10%以上15%以下、15%以上20%以下、20%以上25%以下、25%以上30%以下、30%以上35%以下、35%以上40%以下、40%以上45%以下、または、45%以上50%以下であってもよい。第2チャネル割合R2は、10%以上35%以下であることが好ましい。
第2チャネル割合R2が50%の場合、第2トレンチゲート構造70の第1側壁71および第2側壁72のほぼ全域に第2ソース領域112が形成される。この場合、第2トレンチゲート構造70の第1側壁71および第2側壁72に第2コンタクト領域113は形成されない。第2チャネル割合R2は、50%未満であることが好ましい。
第2チャネル割合R2が0%の場合、第2トレンチゲート構造70の第1側壁71および第2側壁72に第2ソース領域112は形成されない。この場合、第2トレンチゲート構造70の第1側壁71および第2側壁72にボディ領域55および/または第2コンタクト領域113だけが形成される。第2チャネル割合R2は、0%を超えることが好ましい。この形態では、第2チャネル割合R2が25%である例が示されている。
このように、第1チャネル領域91および第2チャネル領域111は、各セル領域75において0%以上100%以下(好ましくは0%を超えて100%未満)の総チャネル割合RT(RT=R1+R2)で形成される。
各セル領域75における総チャネル割合RTは、この形態では50%である。この形態では、全ての総チャネル割合RTが等しい値に設定されている。そのため、出力領域6内(単位面積)における平均チャネル割合RAVは50%となる。平均チャネル割合RAVは、全ての総チャネル割合RTの和を、総チャネル割合RTの総数で除したものである。
以下、図12Aおよび図12Bに、平均チャネル割合RAVを調整した場合の形態例を示す。図12Aは、図7に対応する領域の断面斜視図であって、第2形態例に係るチャネル構造を含む形態を示す断面斜視図である。図12Bは、図7に対応する領域の断面斜視図であって、第3形態例に係るチャネル構造を含む形態を示す断面斜視図である。
図12Aでは、平均チャネル割合RAVが約66%に調整された場合の形態例が示されている。各セル領域75の総チャネル割合RTは、約66%である。図12Bでは、平均チャネル割合RAVが33%に調整された場合の形態例が示されている。各セル領域75の総チャネル割合RTは、33%である。
総チャネル割合RTは、セル領域75毎に調整されてもよい。つまり、異なる値をそれぞれ有する複数の総チャネル割合RTがセル領域75毎に適用されてもよい。総チャネル割合RTは、半導体層2の温度上昇に関係している。たとえば、総チャネル割合RTを増加させると、半導体層2の温度が上昇し易くなる。一方で、総チャネル割合RTを減少させると、半導体層2の温度が上昇し難くなる。
これを利用して、総チャネル割合RTは、半導体層2の温度分布に応じて調整されてもよい。たとえば、半導体層2において温度が高まり易い領域の総チャネル割合RTを比較的小さくし、半導体層2において温度が高まり難い領域の総チャネル割合RTを比較的大きくしてもよい。
半導体層2において温度が高まり易い領域として、出力領域6の中央部を例示できる。半導体層2において温度が高まり難い領域として、出力領域6の周縁部を例示できる。むろん、半導体層2の温度分布に応じて総チャネル割合RTを調整しながら、平均チャネル割合RAVが調整されてもよい。
20%以上40%以下(たとえば25%)の総チャネル割合RTを有するセル領域75を、温度が高まり易い領域(たとえば中央部)に複数集約させてもよい。60%以上80%以下(たとえば75%)の総チャネル割合RTを有するセル領域75を、温度が高まり難い領域(たとえば周縁部)に複数集約させてもよい。40%を超えて60%未満(たとえば50%)の総チャネル割合RTを有するセル領域75を、温度が高まり易い領域および温度が高まり難い領域の間の領域に複数集約させてもよい。
さらに、20%以上40%以下の総チャネル割合RT、40%以上60%以下の総チャネル割合RTおよび60%以上80%以下の総チャネル割合RTが、規則的な配列で、複数のセル領域75に適用されてもよい。
一例として、25%(low)→50%(middle)→75%(high)の順に繰り返す3種の総チャネル割合RTが、複数のセル領域75に適用されてもよい。この場合、平均チャネル割合RAVは、50%に調整されてもよい。このような構造の場合、比較的簡単な設計で、半導体層2の温度分布に偏りが形成されるのを抑制できる。このような構造を適用した具体的な形態は、次の実施形態に示される。
図13は、アクティブクランプ耐量Eacおよび面積抵抗率Ron・Aの関係を実測によって調べたグラフである。図13のグラフは、第1MISFET56および第2MISFET57を同時にオン状態およびオフ状態に制御した場合の特性を示している。
図13において、縦軸はアクティブクランプ耐量Eac[mJ/mm2]を示し、横軸は面積抵抗率Ron・A[mΩ・mm2]を示している。アクティブクランプ耐量Eacは、図3において述べた通り、逆起電力に対する耐量である。面積抵抗率Ron・Aは、通常動作時における半導体層2内のオン抵抗を表している。
図13には、第1プロット点P1、第2プロット点P2、第3プロット点P3および第4プロット点P4が示されている。第1プロット点P1、第2プロット点P2、第3プロット点P3および第4プロット点P4は、平均チャネル割合RAV(つまり、各セル領域75に占める総チャネル割合RT)が66%、50%、33%および25%に調整された場合の特性をそれぞれ示している。
平均チャネル割合RAVを増加させた場合、通常動作時に面積抵抗率Ron・Aが低下し、アクティブクランプ動作時にアクティブクランプ耐量Eacが低下した。これとは反対に、平均チャネル割合RAVを低下させた場合、通常動作時に面積抵抗率Ron・Aが増加し、アクティブクランプ動作時にアクティブクランプ耐量Eacが向上した。
面積抵抗率Ron・Aを鑑みると、平均チャネル割合RAVは33%以上(より具体的には33%以上100%未満)であることが好ましい。アクティブクランプ耐量Eacを鑑みると、平均チャネル割合RAVは33%未満(より具体的には0%を超えて33%未満)であることが好ましい。
平均チャネル割合RAVの増加に起因して面積抵抗率Ron・Aが低下したのは、電流経路が増加したためである。また、平均チャネル割合RAVの増加に起因してアクティブクランプ耐量Eacが低下したのは、逆起電力に起因する急激な温度上昇が引き起こされたためである。
とりわけ、平均チャネル割合RAV(総チャネル割合RT)が比較的大きい場合には、互いに隣り合う第1トレンチゲート構造60および第2トレンチゲート構造70の間の領域において局所的かつ急激な温度上昇が発生する可能性が高まる。アクティブクランプ耐量Eacは、この種の温度上昇に起因して低下したと考えられる。
一方、平均チャネル割合RAVの低下に起因して面積抵抗率Ron・Aが増加した理由は、電流経路が縮小したためである。平均チャネル割合RAVの低下に起因してアクティブクランプ耐量Eacが向上したのは、平均チャネル割合RAV(総チャネル割合RT)が比較的小さくなり、局所的かつ急激な温度上昇が抑制されたためと考えられる。
図13のグラフの結果から、平均チャネル割合RAV(総チャネル割合RT)に基づく調整法にはトレードオフの関係が存在するため、当該トレードオフの関係から切り離して優れた面積抵抗率Ron・Aおよび優れたアクティブクランプ耐量Eacを両立することは困難であることが分かる。
一方、図13のグラフの結果から、パワーMISFET9において、通常動作時に第1プロット点P1(RAV=66%)に近づく動作をさせ、アクティブクランプ動作時に第4プロット点P4(RAV=25%)に近づく動作をさせることにより、優れた面積抵抗率Ron・A及び優れたアクティブクランプ耐量Eacを両立できることが分かる。そこで、この形態では、以下の制御が実施される。
図14Aは、図1に示す半導体装置1の第1制御例に係る通常動作を説明するための断面斜視図である。図14Bは、図1に示す半導体装置1の第1制御例に係るアクティブクランプ動作を説明するための断面斜視図である。図14Aおよび図14Bでは、説明の便宜上、第1主面3の上の構造を省略し、ゲート制御配線17を簡略化している。
図14Aを参照して、パワーMISFET9の通常動作時では、第1ゲート制御配線17Aに第1オン信号Von1が入力され、第2ゲート制御配線17Bに第2オン信号Von2が入力され、第3ゲート制御配線17Cに第3オン信号Von3が入力される。
第1オン信号Von1、第2オン信号Von2および第3オン信号Von3は、コントロールIC10からそれぞれ入力される。第1オン信号Von1、第2オン信号Von2及び第3オン信号Von3は、ゲート閾値電圧Vth以上の電圧をそれぞれ有している。第1オン信号Von1、第2オン信号Von2および第3オン信号Von3は、それぞれ等しい電圧を有していてもよい。
この場合、第1開口側電極87、第2開口側電極107、第1底側電極86および第2底側電極106がそれぞれオン状態になる。つまり、第1開口側電極87、第2開口側電極107、第1底側電極86および第2底側電極106は、ゲート電極としてそれぞれ機能する。
これにより、第1チャネル領域91および第2チャネル領域111は共にオン状態に制御される。図14Aでは、オン状態の第1チャネル領域91および第2チャネル領域111がドット状のハッチングによって示されている。
その結果、第1MISFET56および第2MISFET57の双方が駆動される(Full-ON制御)。通常動作時のチャネル利用率RUは、100%である。通常動作時の特性チャネル割合RCは、50%である。チャネル利用率RUは、第1チャネル領域91および第2チャネル領域111のうちオン状態に制御されている第1チャネル領域91および第2チャネル領域111の割合である。
なお、特性チャネル割合RCは、平均チャネル割合RAVにチャネル利用率RUを乗じた値(RC=RAV×RU)である。パワーMISFET9の特性(面積抵抗率Ron・Aおよびアクティブクランプ耐量Eac)は、特性チャネル割合RCに基づいて定められる。これにより、面積抵抗率Ron・Aは、図13のグラフにおいて第2プロット点P2で示された面積抵抗率Ron・Aに近づく。
一方、図14Bを参照して、パワーMISFET9のアクティブクランプ動作時では、第1ゲート制御配線17Aにオフ信号Voffが入力され、第2ゲート制御配線17Bに第1クランプオン信号VCon1が入力され、第3ゲート制御配線17Cに第2クランプオン信号VCon2が入力される。
オフ信号Voff、第1クランプオン信号VCon1および第2クランプオン信号VCon2は、コントロールIC10からそれぞれ入力される。オフ信号Voffは、ゲート閾値電圧Vth未満の電圧(たとえば基準電圧)を有している。第1クランプオン信号VCon1および第2クランプオン信号VCon2は、ゲート閾値電圧Vth以上の電圧をそれぞれ有している。第1クランプオン信号VCon1および第2クランプオン信号VCon2は、それぞれ等しい電圧を有していてもよい。第1クランプオン信号VCon1および第2クランプオン信号VCon2は、通常動作時の電圧以下または未満の電圧を有していてもよい。
この場合、第1開口側電極87がオフ状態となり、第1底側電極86、第2底側電極106及び第2開口側電極107がそれぞれオン状態になる。これにより、第1チャネル領域91がオフ状態に制御されると共に第2チャネル領域111がオン状態に制御される。図14Bでは、オフ状態の第1チャネル領域91が塗りつぶしハッチングにより示され、オン状態の第2チャネル領域111がドット状のハッチングにより示されている。
その結果、第1MISFET56がオフ状態に制御される一方、第2MISFET57がオン状態に制御される(第2Half-ON制御)。これによりアクティブクランプ動作時のチャネル利用率RUが、零を超えて通常動作時のチャネル利用率RU未満となる。
アクティブクランプ動作時のチャネル利用率RUは、50%である。また、アクティブクランプ動作時の特性チャネル割合RCは、25%である。これにより、アクティブクランプ耐量Eacは、図13のグラフにおいて第4プロット点P4で示されたアクティブクランプ耐量Eacに近づく。
第1制御例では、アクティブクランプ動作時において第2Half-ON制御が適用された例について説明した。しかし、アクティブクランプ動作時において第1Half-ON制御が適用されてもよい。
図15Aは、図1に示す半導体装置1の第2制御例に係る通常動作を説明するための断面斜視図である。図15Bは、図1に示す半導体装置1の第2制御例に係るアクティブクランプ動作を説明するための断面斜視図である。図15Aおよび図15Bでは、説明の便宜上、第1主面3の上の構造を省略し、ゲート制御配線17を簡略化している。
図15Aを参照して、パワーMISFET9の通常動作時では、第1ゲート制御配線17Aに第1オン信号Von1が入力され、第2ゲート制御配線17Bに第2オン信号Von2が入力され、第3ゲート制御配線17Cにオフ信号Voffが入力される。
第1オン信号Von1、第2オン信号Von2およびオフ信号Voffは、コントロールIC10からそれぞれ入力される。第1オン信号Von1および第2オン信号Von2は、ゲート閾値電圧Vth以上の電圧をそれぞれ有している。第1オン信号Von1および第2オン信号Von2は、それぞれ等しい電圧を有していてもよい。オフ信号Voffは、ゲート閾値電圧Vth未満の電圧(たとえば基準電圧)を有している。
この場合、第1開口側電極87及び第2開口側電極107がそれぞれオン状態になり、第1底側電極86および第2底側電極106がそれぞれオフ状態になる。つまり、第1開口側電極87および第2開口側電極107がゲート電極として機能する一方で、第1底側電極86および第2底側電極106がフィールド電極として機能する。
これにより、第1チャネル領域91および第2チャネル領域111は共にオン状態に制御される。図15Aでは、オン状態の第1チャネル領域91および第2チャネル領域111がドット状のハッチングによって示されている。
その結果、第1MISFET56および第2MISFET57の双方が駆動される(Full-ON制御)。通常動作時のチャネル利用率RUは、100%である。通常動作時の特性チャネル割合RCは、50%である。これにより、面積抵抗率Ron・Aは、図13のグラフにおいて第2プロット点P2で示された面積抵抗率Ron・Aに近づく。
一方、図15Bを参照して、パワーMISFET9のアクティブクランプ動作時では、第1ゲート制御配線17Aに第1オフ信号Voff1が入力され、第2ゲート制御配線17Bにクランプオン信号VConが入力され、第3ゲート制御配線17Cに第2オフ信号Voff2が入力される。
第1オフ信号Voff1、クランプオン信号VCon及び第2オフ信号Voff2は、コントロールIC10からそれぞれ入力される。第1オフ信号Voff1は、ゲート閾値電圧Vth未満の電圧(例えば基準電圧)を有している。クランプオン信号VConは、ゲート閾値電圧Vth以上の電圧を有している。クランプオン信号VConは、通常動作時の電圧以下または未満の電圧を有していてもよい。第2オフ信号Voff2は、ゲート閾値電圧Vth未満の電圧値(たとえば基準電圧)を有している。
この場合、第1開口側電極87、第1底側電極86及び第2底側電極106がそれぞれオフ状態となり、第2開口側電極107がオン状態になる。これにより、第1チャネル領域91がオフ状態に制御されると共に第2チャネル領域111がオン状態に制御される。図15Bでは、オフ状態の第1チャネル領域91が塗りつぶしハッチングにより示され、オン状態の第2チャネル領域111がドット状のハッチングにより示されている。
その結果、第1MISFET56がオフ状態に制御される一方、第2MISFET57がオン状態に制御される(第2Half-ON制御)。これによりアクティブクランプ動作時のチャネル利用率RUが、零を超えて通常動作時のチャネル利用率RU未満となる。
アクティブクランプ動作時のチャネル利用率RUは、50%である。また、アクティブクランプ動作時の特性チャネル割合RCは、25%である。これにより、アクティブクランプ耐量Eacは、図13のグラフにおいて第4プロット点P4で示されたアクティブクランプ耐量Eacに近づく。
第2制御例では、アクティブクランプ動作時において第2Half-ON制御が適用された例について説明した。しかし、アクティブクランプ動作時において第1Half-ON制御が適用されてもよい。
以上、半導体装置1は、半導体層2に形成されたIPD(Intelligent Power Device)を含む。IPDは、パワーMISFET9、および、パワーMISFET9を制御するコントロールIC10を含む。パワーMISFET9は、より具体的には、第1MISFET56および第2MISFET57を含む。コントロールIC10は、第1MISFET56および第2MISFET57を個別に制御する。
コントロールIC10は、より具体的には、通常動作時に第1MISFET56および第2MISFET57をオン状態に制御し、アクティブクランプ動作時に第1MISFET56をオフ状態に制御すると共に第2MISFET57をオン状態に制御する。
したがって、通常動作時には、第1MISFET56および第2MISFET57を利用して電流を流すことができる。これにより、面積抵抗率Ron・A(オン抵抗)の低減を図ることができる。
一方、アクティブクランプ動作時には、第1MISFET56を停止させた状態で第2MISFET57を利用して電流を流すことができるから、第2MISFET57によって逆起電力を消費(吸収)できる。これにより、逆起電力に起因する急激な温度上昇を抑制できるから、アクティブクランプ耐量Eacの向上を図ることができる。
半導体装置1は、より具体的には、第1FET構造58を含む第1MISFET56、および、第2FET構造68を含む第2MISFET57を有している。第1FET構造58は、第1トレンチゲート構造60および第1チャネル領域91を含む。第2FET構造68は、第2トレンチゲート構造70および第2チャネル領域111を含む。
この場合、コントロールIC10は、通常動作時及びアクティブクランプ動作時の間で異なる特性チャネル割合RC(チャネルの面積)が適用されるように、第1MISFET56及び第2MISFET57を制御する。コントロールIC10は、より具体的には、アクティブクランプ動作時のチャネル利用率RUが、零を超えて通常動作時のチャネル利用率RU未満となるように第1MISFET56及び第2MISFET57を制御する。
従って、通常動作時には、特性チャネル割合RCが相対的に増加する。これにより、電流経路が相対的に増加するから、面積抵抗率Ron・A(オン抵抗)の低減を図ることができる。一方、アクティブクランプ動作時には、特性チャネル割合RCが相対的に減少する。これにより、逆起電力に起因する急激な温度上昇を抑制できるから、アクティブクランプ耐量Eacの向上を図ることができる。
よって、図13に示されるトレードオフの関係から切り離して、優れた面積抵抗率Ron・Aおよび優れたアクティブクランプ耐量Eacの両立を図ることができる半導体装置1を提供できる。
<<第2実施形態>>
本開示の第2実施形態を説明する。まず、第2実施形態の記述にて用いられる幾つかの用語について説明を設ける。ラインとは電気信号が伝播又は印加される配線を指す。グランドとは、基準となる0V(ゼロボルト)の電位を有する基準導電部を指す又は0Vの電位そのものを指す。基準導電部は金属等の導体にて形成される。0Vの電位をグランド電位と称することもある。第2実施形態において、特に基準を設けずに示される電圧はグランドから見た電位を表す。
本開示の第2実施形態を説明する。まず、第2実施形態の記述にて用いられる幾つかの用語について説明を設ける。ラインとは電気信号が伝播又は印加される配線を指す。グランドとは、基準となる0V(ゼロボルト)の電位を有する基準導電部を指す又は0Vの電位そのものを指す。基準導電部は金属等の導体にて形成される。0Vの電位をグランド電位と称することもある。第2実施形態において、特に基準を設けずに示される電圧はグランドから見た電位を表す。
レベルとは電位のレベルを指し、任意の注目した信号又は電圧についてハイレベルはローレベルよりも高い電位を有する。任意の注目した信号又は電圧について、信号又は電圧がハイレベルにあるとは厳密には信号又は電圧のレベルがハイレベルにあることを意味し、信号又は電圧がローレベルにあるとは厳密には信号又は電圧のレベルがローレベルにあることを意味する。信号についてのレベルは信号レベルと表現されることがあり、電圧についてのレベルは電圧レベルと表現されることがある。任意の注目した信号又は電圧において、ローレベルからハイレベルへの切り替わりをアップエッジ(或いはライジングエッジ)と称し、ハイレベルからローレベルへの切り替わりをダウンエッジ(或いはフォーリングエッジ)と称する。
MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)を含むFET(電界効果トランジスタ)として構成された任意のトランジスタについて、オン状態とは、当該トランジスタのドレイン及びソース間が導通している状態を指し、オフ状態とは、当該トランジスタのドレイン及びソース間が非導通となっている状態(遮断状態)を指す。FETに分類されないトランジスタについても同様である。MISFETは、特に記述無き限り、エンハンスメント型のMISFETであると解される。以下、任意のトランジスタについて、オン状態、オフ状態を、単に、オン、オフと表現することもある。アナログスイッチ等のスイッチについても同様である。
任意のトランジスタ又はスイッチについて、トランジスタ又はスイッチがオン状態となっている区間をオン区間と称することがあり、トランジスタ又はスイッチがオフ状態となっている区間をオフ区間と称することがある。ハイレベル又はローレベルの信号レベルをとる任意の信号について、当該信号のレベルがハイレベルとなる区間をハイレベル区間と称し、当該信号のレベルがローレベルとなる区間をローレベル区間と称する。ハイレベル又はローレベルの電圧レベルをとる任意の電圧についても同様である。任意の回路素子、配線(ライン)、ノードなど、回路を形成する複数の部位間についての接続とは、特に記述なき限り、電気的な接続を指すと解して良い。
図16に第2実施形態に係るスイッチ装置1000の構成ブロック図を示す。ここでは、例として、スイッチ装置1000がローサイド側のスイッチングデバイスとして構成されることを想定する。
スイッチ装置1000は、入力端子1001、出力端子1002、グランド端子1003及び自己診断端子1004を備えると共に、出力トランジスタ1010、ゲート制御回路1110、低電圧保護回路1120、過電流保護回路1130、第1温度保護回路1140、第2温度保護回路1150、アクティブクランプ回路1160及び自己診断回路1170を備え、更にトランジスタ1172、ツェナーダイオード1174及び1176を備える。
スイッチ装置1000は、半導体基板上に形成された半導体集積回路を有する半導体チップと、半導体チップを収容する筐体(パッケージ)と、筐体からスイッチ装置1000の外部に対して露出する複数の外部端子と、を備えた半導体装置(電子部品)である。半導体チップを樹脂にて構成された筐体(パッケージ)内に封入することで半導体装置が形成される。出力トランジスタ1010、回路1110~1170、トランジスタ1172、ツェナーダイオード1174及び1176を含む、スイッチ装置1000を構成する各回路素子が半導体集積回路に含まれる。図16には、スイッチ装置1000に設けられる外部端子として端子1001~1004のみが示されているが、これら以外の外部端子もスイッチ装置1000に設けられ得る。
入力端子1001に対し外部に設けられた上位システム(不図示)から入力電圧VINが供給され、入力端子1001に入力電圧VINが加わる。入力電圧VINは、出力トランジスタ1010の状態をオン状態及びオフ状態の何れかに指定するための電圧である。入力電圧VINは、回路1120~1150の電源電圧として機能しても良く、この場合、回路1120~1150は入力電圧VINに基づいて駆動する。回路1110及び1170も入力電圧VINに基づいて駆動しても良い。但し、回路1110~1170の内、全部又は任意の一部は、入力電圧VINとは別にスイッチ装置1000に供給される電源電圧(不図示)に基づいて駆動しても良い。
スイッチ装置1000の外部に設けられた端子BBに電圧VBBが加わる。電圧VBBは、正の直流電圧値を有する。例えば、スイッチ装置1000が自動車等の車両に設けられる場合、車両に搭載されたバッテリの出力電圧が電圧VBBとして端子BBに加わる。スイッチ装置1000の外部において、端子BBと出力端子1002との間に負荷LDが挿入される。負荷LDは誘導性負荷を含み得る。誘導性負荷として、ソレノイド、モータ、トランス、リレー等の巻線(コイル)が例示される。負荷LDは、誘導性負荷に加えて或いは誘導性負荷に代えて、抵抗負荷及び容量性負荷の内の少なくとも一方を含んでいても良い。
出力端子1002に加わる電圧を出力電圧VOUTと称する。また、端子BBから出力端子1002に流れる電流を出力電流IOUTと称する。いわゆる天絡が生じない限り、出力電流IOUTは端子BBから負荷LDを通じて出力端子1002へと流れる。
グランド端子1003はグランドに接続される。故に、第2実施形態において、任意の部位がグランドに接続されるとは、当該部位がグランド端子1003に接続されることと等価である。自己診断端子1004は、スイッチ端子1000の外部においてプルアップ抵抗RPUを介し所定の正の直流電圧VDDが加わる端子に接続される。自己診断端子1004に加わる電圧を自己診断電圧VSTと称する。
出力トランジスタ1010は、Nチャネル型のMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)として構成される。出力トランジスタ1010はドレイン、ソース及びゲートを有する。出力トランジスタ1010において、ドレインは出力端子1002に接続され、ソースはグランド端子1003に接続される。故に、出力トランジスタ1010がオン状態であるとき、出力電流IOUTは出力トランジスタ1010のチャネル(ドレイン及びソース間のチャネル)を通じ出力端子1002からグランド端子1003に向けて流れる。
ゲート制御回路1110は出力トランジスタ1010のゲート電位を制御することで出力トランジスタ1010のオン/オフ状態を制御する(即ち出力トランジスタ1010を駆動する)。ゲート制御回路1110は、入力電圧VINと回路1120~1150の出力信号に応じて出力トランジスタ1010のゲート電位を制御する。
低電圧保護回路1120は入力電圧VINに応じた信号SUVLOを生成及び出力する。信号SUVLOはゲート制御回路1110に入力される。低電圧保護回路1120は、入力電圧VINが一定以上の電圧値を有しているときに限って出力トランジスタ1010がオン状態に制御されうるように、信号SUVLOを生成する。
図17に、入力電圧VINと信号SUVLOとの関係を示す。入力電圧VINが0Vであるときを含む入力電圧VINが十分に低い状態において、信号SUVLOはローレベルを有する。信号SUVLOがローレベルである状態を起点に、入力電圧VINが上昇することで“VIN<VUVLO_H”の成立状態から“VIN≧VUVLO_H” の成立状態に切り替わると、信号SUVLOのレベルがローレベルからハイレベルに変化し、その後、入力電圧VINが低下することで“VIN≧VUVLO_L”の成立状態から“VIN<VUVLO_L”の成立状態に切り替わると、信号SUVLOのレベルがハイレベルからローレベルに変化する。ここで、VUVLO_H及びVUVLO_Lは“VUVLO_H>VUVLO_L>0”を満たす正の直流電圧値を有する。
過電流保護回路1130は、出力トランジスタ1010に流れる出力電流IOUTの大きさを検出する機能を有する。過電流保護回路1130は、検出した出力電流IOUTの大きさが所定の上限電流値ILIMに達する状況において出力トランジスタ1010に流れる出力電流IOUTの大きさを上限電流値ILIM以下に制限する過電流保護動作を実行する。“ILIM>0”が満たされる。過電流保護動作では、出力トランジスタ1010をオン状態に保ちつつ、出力電流IOUTの大きさが上限電流値ILIMを超えないように出力トランジスタ1010のゲート電位を制御する。
図18に過電流保護動作が行われるときの出力電流IOUTの波形を示す。負荷LDの天絡等が生じることで出力電流IOUTが過大となったとき、過電流保護動作が行われることで出力トランジスタ1010及びスイッチ装置1000の保護が図られる。負荷LDの天絡とは端子BBが出力端子1002に短絡されて電圧VBBが出力端子1002に直接加わる状態を指す。
第1温度保護回路1140は測定対象温度を検出する。以下、測定対象温度を温度Tjと称する。温度Tjは出力トランジスタ1010の温度である。より具体的には、温度Tjは出力トランジスタ1010を構成する半導体の所定箇所の温度であって、出力トランジスタ1010のジャンクション温度に相当する。但し、温度Tjは、出力トランジスタ1010の温度とは異なる、スイッチ装置1000内の任意の所定箇所の温度でありえても良い。第1温度保護回路1140は、検出した温度Tjに応じた信号STSDを生成及び出力する。信号STSDは第1温度保護信号に相当し、ゲート制御回路1110に入力される。信号STSDはハイレベル又はローレベルの信号レベルをとる二値化信号である。ここでは、ローレベルの信号STSDに対して第1論理値(例えば“0”)が対応付けられ、ハイレベルの信号STSDに対して第2論理値(例えば“1”)が対応付けられているものとする。
図19に、温度Tjと信号STSDとの関係を示す。温度Tjが十分に低い状態において、信号STSDはローレベルを有する。信号STSDがローレベルである状態を起点に、温度Tjが上昇することで“Tj<TTSD_H”の成立状態から“Tj≧TTSD_H” の成立状態に切り替わると、信号STSDのレベルがローレベルからハイレベルに変化し、その後、温度Tjが低下することで“Tj≧TTSD_L”の成立状態から“Tj<TTSD_L”の成立状態に切り替わると、信号STSDのレベルがハイレベルからローレベルに変化する。ここで、TTSD_H及びTTSD_Lは、夫々、所定の保護温度(保護開始温度)及び保護解除温度を表す。保護温度TTSD_Hは保護解除温度TTSD_Lよりも高い。例えば、保護温度TTSD_H、保護解除温度TTSD_Lは、夫々、175℃、155℃である。
第2温度保護回路1150は、温度Tjとは異なる温度Tcntを検出する機能を有し、温度Tj及びTcnt間の温度差に応じた信号SΔTを生成及び出力する。信号SΔTは第2温度保護信号に相当し、ゲート制御回路1110に入力される。温度Tcntはスイッチ装置1000内の所定の温度測定箇所の温度である。温度測定箇所は出力トランジスタ1010から離れた箇所である。例えば、温度Tcntはゲート制御回路1110の温度であって良い。温度Tj及びTcnt間の温度差を、以下、温度差ΔTと称する。但し、温度差ΔTは温度Tcntから見た温度Tjの高さを表し、故に温度差ΔTは“ΔT=Tj-Tcnt”にて表される。信号SΔTはハイレベル又はローレベルの信号レベルをとる二値化信号である。ここでは、ローレベルの信号SΔTに対して第1論理値(例えば“0”)が対応付けられ、ハイレベルの信号SΔTに対して第2論理値(例えば“1”)が対応付けられているものとする。
図20に、温度差ΔTと信号SΔTとの関係を示す。温度差ΔTが十分に小さい状態において、信号SΔTはローレベルを有する。信号SΔTがローレベルである状態を起点に、温度差ΔTが増大することで“ΔT<ΔT_H”の成立状態から“ΔT≧ΔT_H” の成立状態に切り替わると、信号SΔTのレベルがローレベルからハイレベルに変化し、その後、温度差ΔTが減少することで“ΔT≧ΔT_L”の成立状態から“ΔT<ΔT_L”の成立状態に切り替わると、信号SΔTのレベルがハイレベルからローレベルに変化する。ここで、ΔT_H及びΔT_Lは、夫々、所定の保護温度差(保護開始温度差)及び保護解除温度差を表す。保護温度差ΔT_Hは保護解除温度差ΔT_Lよりも大きい。例えば、保護温度差ΔT_H、保護解除温度差ΔT_Lは、夫々、80℃、45℃である。
アクティブクランプ回路1160は、負荷LDが誘導性負荷を含む場合に当該誘導性負荷にて発生する逆起電力から出力トランジスタ1010を保護する。アクティブクランプ回路1160は、例えば複数のダイオードを含んで構成され、出力トランジスタ1010のドレイン及びソース間電圧を所定のクランプ電圧以下に制限することで当該保護を実現する。
自己診断回路1170は、スイッチ装置1000が正常に動作しているか否かを自己診断し、トランジスタ1172を用いて自己診断の結果を自己診断端子1004から出力する。図16の構成例ではトランジスタ1172がNチャネル型のMISFETにて形成され、トランジスタ1172のドレイン、ソースが、夫々、自己診断端子1004、グランドに接続される。そして、自己診断回路1170が信号STSDに応じてトランジスタ1172のオン/オフ状態を制御することで自己診断の結果を自己診断端子1004から出力する。自己診断端子1004における電圧VSTは、トランジスタ1172がオン状態であるときにローレベルとなり、トランジスタ1172がオフ状態であるときにハイレベルとなる。
ツェナーダイオード1174、1176は、端子1004、1001に加わり得る高電圧(静電気等)からスイッチ装置1000の内部回路を保護するための素子である。ツェナーダイオード1174、1176のカソードは、夫々、端子1004、1001に接続される。ツェナーダイオード1174及び1176の各アノードはグランド端子1003に接続される。
図21にスイッチ装置1000における幾つかの電圧及び信号の関係を示す。図21では、上から下に向けて、入力電圧VIN、信号SUVLO、出力電流IOUT、温度Tj、信号STSDの波形が、この順番で示される。任意の自然数iについて、時刻ti+1は時刻tiよりも後の時刻であるとする。
時刻t1において入力電圧VINの電圧値が0Vから所定の正の電圧値に上昇し、これによって信号SUVLOにアップエッジが生じた後、時刻t4において入力電圧VINの電圧値が0Vに戻ることで信号SUVLOにダウンエッジが生じる。
ゲート制御回路1110は、基本的に、入力電圧VINに基づいて出力トランジスタ1010をオン状態又はオフ状態に制御する。即ち、ゲート制御回路1110は、信号SUVLOのハイレベル区間(即ち信号SUVLOがハイレベルとなる程度に入力電圧VINが高い区間)において出力トランジスタ1010を原則としてオン状態に制御する一方、信号SUVLOのローレベル区間(即ち信号SUVLOがローレベルとなる程度に入力電圧VINが低い区間)において出力トランジスタ1010をオフ状態に制御する。以下、信号SUVLOのハイレベル区間をオン指定区間と称し、信号SUVLOのローレベル区間をオフ指定区間と称する。図21の例において、時刻t1から時刻t4までの区間はオン指定区間であり、時刻t1より前の区間と時刻t4より後の区間はオフ指定区間である。
オフ指定区間は入力電圧VINに基づき出力トランジスタ1010の状態がオフ状態に指定される区間である。ゲート制御回路1110は、オフ指定区間では信号SΔT及びSTSDに依らず出力トランジスタ1010をオフ状態に制御する。
これに対し、オン指定区間は入力電圧VINに基づき出力トランジスタ1010の状態がオン状態に指定される区間である。但し、ゲート制御回路1110は、オン指定区間においては、出力トランジスタ1010を原則としてオン状態に制御しつつも、信号SΔT又はSTSDに応じて出力トランジスタ1010をオフ状態に制御することがある。具体的には、ゲート制御回路1110は、オン指定区間においても(即ち信号SUVLOがハイレベルであっても)信号SΔT及びSTSDの内の少なくとも一方がハイレベルであれば出力トランジスタ1010をオフ状態に制御する。ゲート制御回路1110は、信号SΔT及びSTSDの双方がローレベルであって且つ信号SUVLOがハイレベルであれば、出力トランジスタ1010をオン状態に制御する。
時刻t1及び時刻t1の直後では天絡が生じていないが、時刻t2にて天絡が生じたものとする。そうすると、時刻t2を境に出力電流IOUTが急峻に上昇するが、過電流保護動作により出力電流IOUTの大きさが上限電流値ILIM以下に制限される。尚、過電流保護動作の開始直後では、出力電流IOUTの大きさが過渡的に上限電流値ILIMを上回ることもあるが、図21では、その過渡応答の様子の図示が省略されている。
時刻t2以降、大きな出力電流IOUTが流れることにより温度Tjが急激に上昇してゆく。尚、ここでは、第1及び第2温度保護回路1140及び1150の内、第1温度保護回路1140にのみ注目するものとし、時刻t1及びt4間において信号SΔTはローレベルに維持されていると仮定する。スイッチ装置1000から第2温度保護回路1150が除外されても構わない。以下の説明における温度保護動作とは、信号STSDに基づく動作であって、信号STSDのハイレベル区間において出力トランジスタ1010をオフ状態に保つ動作を指す。
時刻t2より後の時刻tH[1]において温度Tjが保護温度TTSD_Hにまで上昇する。そうすると、以後は、天絡が解消されるまで、温度Tjが保護温度TTSD_Hと保護解除温度TTSD_Lとの間で変動する状態が継続する。図21の例において、天絡は時刻t3の直前で解消する。時刻t2から時刻t3までにおいて、上限電流値ILIM近辺の出力電流IOUTが出力トランジスタ1010に流れることによる温度Tjの上昇区間と、温度保護動作にて出力トランジスタ1010がオフ状態に維持されることによる温度Tjの低下区間と、が交互に発生する。
ここでは、時刻t1から時刻t4までのオン指定区間において、信号STSDに計Q回のアップエッジが発生したものとする。Qは2以上の任意の整数であり、十分に大きな整数値(例えば100)を有していると考えて良い。信号STSDにおける第i番目のアップエッジは時刻tH[i]にて発生し、信号STSDにおける第i番目のダウンエッジは時刻tL[i]にて発生する。時刻tH[i]と時刻tH[i+1]との間に時刻tL[i]が存在する。時刻t1以前から時刻tH[1]に至るまで信号STSDはローレベルに維持される。信号STSDにおける第1番目のアップエッジが時刻tH[1]にて発生した後、信号STSDにてダウンエッジとアップエッジが交互に発生し、時刻t3において第Q番目のダウンエッジが信号STSDに生じる。故に時刻t3は時刻tL[Q]と一致する。時刻t3以降、信号STSDはローレベルに維持される。
時刻t1及びtH[1]間の区間をオン区間PON[1]と称する。また、2以上の任意の整数iについて、時刻tL[i-1]及びtH[i]間の区間をオン区間PON[i]と称する。更に、1以上の任意の整数iについて、時刻tH[i]及びtL[i]間の区間をオフ区間POFF[i]と称する。オフ区間POFF[Q]の終了時刻は時刻t3及びtL[Q]と一致する。時刻t3及びt4間の区間をオン区間PON[Q+1]と称する。
オフ区間POFF[1]~POFF[Q]の夫々では、信号TSDに基づく温度保護動作により出力トランジスタ1010はオフ状態に維持され、出力電流IOUTは流れない。オン区間PON[1]~PON[Q+1]の夫々において出力トランジスタ1010はオン状態である。
ところで、出力トランジスタ1010のドレイン及びソースはワイヤボンディングにて対応する電極パッドに接続される。即ち、出力トランジスタ1010のドレインは出力端子1002に相当する第1電極パッドに対し第1ワイヤを通じて接続され、出力トランジスタ1010のソースはグランド端子1003に相当する第2電極パッドに対し第2ワイヤを通じて接続される。図21に示すような、過電流保護動作を伴う温度Tjの上昇区間と温度保護動作による温度Tjの低下区間とが交互に発生するとき、電極パッドとワイヤとの熱膨張係数の違いから、電極パッド及びワイヤ間の接合部に熱応力が生じる。繰り返し発生する熱応力は、電極パッド及びワイヤ間の接合部に亀裂(クラック)を発生させるおそれがあり、ワイヤ接合強度の低下、ひいてはワイヤ断線の可能性を生む。
第2実施形態では、出力トランジスタ1010をゲート分割型FETにて構成した上で、ワイヤ断線等が生じにくくなるよう、温度保護動作が行われるたびにオン状態とされるチャネル領域を切り替え、もって発熱箇所の分散を図る。
ゲート分割型FETとは、第1実施形態にて詳説した構造を有するMISFETであり、第1実施形態のMISFET9はゲート分割型FETに属する。出力トランジスタ1010としてのゲート分割型FETは、互いに絶縁された第1~第nゲートを有し、第1~第nゲートにて夫々第1~第nゲート信号を受ける。nは2以上の任意の整数である。そして、出力トランジスタ1010としてのゲート分割型FETは、第1~第nゲート信号に基づき互いに独立してオン状態又はオフ状態に制御される第1~第nチャネル領域を有する。
図22に“n=2”であるときのゲート分割型FETである出力トランジスタ1010Aを示す。出力トランジスタ1010Aは第1実施形態のMISFET9に相当する。出力トランジスタ1010Aは、図23に示す如く、トランジスタ1011及び1012の並列接続回路と等価であると考えることができる。トランジスタ1011及び1012は、夫々、第1実施形態における第1MISFET56及び第2MISFET57に相当する。ゲート信号G1がトランジスタ1011のゲートに加わり、ゲート信号G2がトランジスタ1012のゲートに加わる。トランジスタ1011、1012のゲートが、出力トランジスタ1010Aの第1、第2ゲートに相当する。トランジスタ1011及び1012の各ドレインが共通接続されて出力トランジスタ1010Aのドレインを形成し、トランジスタ1011及び1012の各ソースが共通接続されて出力トランジスタ1010Aのソースを形成する。
トランジスタ1011のドレイン及びソース間のチャネル領域が出力トランジスタ1010Aの第1チャネル領域に相当し、トランジスタ1012のドレイン及びソース間のチャネル領域が出力トランジスタ1010Aの第2チャネル領域に相当する。出力トランジスタ1010Aの第1チャネル領域は第1実施形態で述べたチャネル領域91により形成され、出力トランジスタ1010Aの第2チャネル領域は第1実施形態で述べたチャネル領域111により形成される。
第1実施形態にて述べた構造を利用することで、“n>3”とすることも可能である。図24に“n=4”であるときのゲート分割型FETである出力トランジスタ1010Bを示す。図25に“n=6”であるときのゲート分割型FETである出力トランジスタ1010Cを示す。図22及び図23から理解されるよう、出力トランジスタ1010Bは4つのNチャネル型のMISFETの並列接続回路と等価であると考えることができ、出力トランジスタ1010Cは6つのNチャネル型のMISFETの並列接続回路と等価であると考えることができる。出力トランジスタ1010A、1010B又は1010Cを図16の出力トランジスタ1010として用いることができる。但し、出力トランジスタ1010を構成するチャネル領域の総数(即ちnの値)は、2、4又は6に限定されず、2以上であれば任意である。尚、以下の説明において、チャネル領域とは、特に記述なき限り、出力トランジスタ1010のチャネル領域を指すものとする。
ゲート分割型FETである出力トランジスタ1010において、第1~第nチャネル領域は電気的に分離されている。このため、出力トランジスタ1010において、第iチャネル領域は第iゲート信号に基づき他の各チャネル領域とは独立してオン状態又はオフ状態に制御される。第iゲート信号は記号“Gi”により参照される。即ち例えば、出力トランジスタ1010Aの第1、第2ゲートに入力される第1、第2ゲート信号は、夫々、ゲート信号G1、G2であり(図22及び図23参照)、出力トランジスタ1010Bの第1~第4ゲートに入力される第1~第4ゲート信号は、夫々、ゲート信号G1~G4であり(図24参照)、出力トランジスタ1010Cの第1~第6ゲートに入力される第1~第6ゲート信号は、夫々、ゲート信号G1~G6である(図25参照)。
ゲート制御回路1110は、出力トランジスタ1010の第1~第nゲートに対して第1~第nゲート信号を供給し、第1~第nゲート信号の電位を個別に制御することで、第1~第nチャネル領域を個別にオン状態又はオフ状態に制御する。各ゲート信号はハイレベル又はローレベルの信号レベルを持つ。第iゲート信号がハイレベルであるとき第iチャネル領域はオン状態となり、第iゲート信号がローレベルであるとき第iチャネル領域はオフ状態となる。任意の整数iについて、第iチャネル領域のオン状態とは第iチャネル領域が導通状態にあることを指し、第iチャネル領域がオン状態であるとき第iチャネル領域を通じて出力電流IOUTが流れる。任意の整数iについて、第iチャネル領域のオフ状態とは第iチャネル領域が遮断状態(非導通状態)にあることを指し、第iチャネル領域がオフ状態であるとき第iチャネル領域を通じた出力電流IOUTの流れは無い(当該流れは遮断される)。以下、チャネル領域について、オン状態、オフ状態を、単に、オン、オフと表現することもある。
上述の説明における出力トランジスタ1010のオフ状態とは第1~第nチャネル領域が全てオフ状態とされるフルオフ状態に相当する。故に、図21のオフ区間POFF[1]~POFF[Q]の夫々では、出力トランジスタ1010の第1~第nチャネル領域が全てオフ状態に維持される。上述の説明における出力トランジスタ1010のオン状態とは、出力トランジスタ1010の第1~第nチャネル領域の内、1以上のチャネル領域がオンとされる状態に相当する。
ゲート制御回路1110は、上述のオン区間PON[1]~PON[Q+1]の夫々において、出力トランジスタ1010を第1~第m駆動状態の内の何れかの駆動状態にて駆動する。mは2以上の整数値を有するが、nの値に依存する。例えば、“n=2”であるとき、第1チャネル領域がオン且つ第2チャネル領域がオフとされる駆動状態と、第1チャネル領域がオフ且つ第2チャネル領域がオンとされる駆動状態とが、第1~第m駆動状態に含まれる。この他の駆動状態の具体例は後述される。
また、第1~第nチャネル領域の内、オン状態となっているチャネル領域が、第1~第nチャネル領域に占める割合を、チャネル利用率RRと称する。ここで、第1~第nチャネル領域間において構造の差はないものとする。そうすると例えば、“n=2”である場合において、第1及び第2チャネル領域の内、一方のみがオン状態であれば、チャネル利用率RRは50%である。また例えば、“n=4”である場合において、第1~第4チャネル領域の内、第1及び第3チャネル領域のみがオン状態であれば或いは第2及び第4チャネル領域のみがオン状態であれば、チャネル利用率RRは50%である。また例えば、“n=4”である場合において、第1~第4チャネル領域の内、任意の1つのチャネル領域のみがオン状態であれば、チャネル利用率RRは25%である。
ゲート制御回路1110は、信号STSDに基づく温度保護動作の実行開始後、所定の解除条件が成立すると温度保護動作を解除する。解除条件は、温度Tjの低下により温度Tjが保護解除温度TTSD_Lを下回ることで成立する。温度保護動作の解除とは温度保護動作が停止されることを指し、温度保護動作が解除されると出力トランジスタ1010が何れかの駆動状態で駆動される。ここで、ゲート制御回路1110は、温度保護動作の実行を経て温度保護動作が解除されるたびに出力トランジスタ1010の駆動状態を切り替える駆動状態切替機能を持ち、当該機能により発熱箇所の分散を図る。
第2実施形態は、以下の実施例EX2_1~EX2_8を含む。実施例EX2_1~EX2_8の中で、駆動状態切替機能の具体例、又は、スイッチ装置1000に関する応用技術及び変形技術等を説明する。第2実施形態にて上述した事項は、特に記述無き限り且つ矛盾無き限り、以下の実施例EX2_1~EX2_8に適用され、各実施例において、第2実施形態で上述した事項と矛盾する事項については各実施例での記載が優先されて良い。また矛盾無き限り、実施例EX2_1~EX2_8の内、任意の実施例に記載した事項を、他の任意の実施例に適用することもできる(即ち複数の実施例の内の任意の2以上の実施例を組み合わせることも可能である)。
<<実施例EX2_1>>
実施例EX2_1を説明する。実施例EX2_1では“n=2”であるとする。従って、図22の出力トランジスタ1010Aが図16の出力トランジスタ1010として用いられる。
実施例EX2_1を説明する。実施例EX2_1では“n=2”であるとする。従って、図22の出力トランジスタ1010Aが図16の出力トランジスタ1010として用いられる。
図26に実施例EX2_1に係る出力トランジスタ1010の駆動状態の切り替え方法を示す。尚、出力トランジスタ1010の駆動状態の切り替え方法を示す図面(図26等)、及び、後に示される駆動状態を模式的に示す図面(図27等)において、第iチャネル領域は符号“chi”にて参照される。実施例EX2_1に係るゲート制御回路1110は、信号STSDに基づく温度保護動作の実行を経て温度保護動作が解除されるたびに、出力トランジスタ1010の駆動状態を駆動状態DRVA1及びDRVA2間で交互に切り替える。従って、第1番目~第(Q+1)番目のオン区間であるオン区間PON[1]~PON[Q+1]の内、奇数番目のオン区間(即ち例えばPON[1]、PON[3]、PON[5]・・・)では出力トランジスタ1010が駆動状態DRVA1にて駆動され、偶数番目のオン区間(即ち例えばPON[2]、PON[4]、PON[6]・・・)では出力トランジスタ1010が駆動状態DRVA2にて駆動される。
図27に駆動状態DRVA1及びDRVA2を模式的に示す。実施例EX2_1では、第1及び第2チャネル領域において、第1チャネル領域のみを含んで構成される電流経路1511と、第2チャネル領域のみを含んで構成される電流経路1512と、を形成(設定)することができる。
駆動状態DRVA1では、電流経路1511に属するチャネル領域がオン状態とされ且つ電流経路1512に属するチャネル領域がオフ状態とされる。即ち、駆動状態DRVA1では、第1チャネル領域(ch1)がオン状態とされる一方で第2チャネル領域(ch2)がオフ状態とされる。故に、駆動状態DRVA1では電流経路1511に属するチャネル領域(ch1)のみを通じて出力電流IOUTが流れる。これに対し、駆動状態DRVA2では、電流経路1511に属するチャネル領域がオフ状態とされ且つ電流経路1512に属するチャネル領域がオン状態とされる。即ち、駆動状態DRVA2では、第1チャネル領域(ch1)がオフ状態とされる一方で第2チャネル領域(ch2)がオン状態とされる。故に、駆動状態DRVA2では電流経路1512に属するチャネル領域(ch2)のみを通じて出力電流IOUTが流れる。
実施例EX2_1によれば、温度保護動作が働くたびに発熱箇所が変化するため、発熱によるスイッチ装置1000の破損等の可能性が低減する。結果、スイッチ装置1000の信頼性が高まる(天絡等に対する耐性が高まる)。
駆動状態DRVA1及びDRVA2は上記の第1~第m駆動状態の内の2つである。実施例EX2_1では“m=2”であると考えて良い。但し、第1及び第2チャネル領域の双方をオンとする駆動状態にて出力トランジスタ1010が駆動されることがあっても良い。
<<実施例EX2_2>>
実施例EX2_2を説明する。実施例EX2_2では“n=4”であるとする。従って、図24の出力トランジスタ1010Bが図16の出力トランジスタ1010として用いられる。
実施例EX2_2を説明する。実施例EX2_2では“n=4”であるとする。従って、図24の出力トランジスタ1010Bが図16の出力トランジスタ1010として用いられる。
図28に実施例EX2_2に係る出力トランジスタ1010の駆動状態の切り替え方法を示す。実施例EX2_2に係るゲート制御回路1110は、信号STSDに基づく温度保護動作の実行を経て温度保護動作が解除されるたびに、出力トランジスタ1010の駆動状態を駆動状態DRVB1及びDRVB2間で交互に切り替える。従って、第1番目~第(Q+1)番目のオン区間であるオン区間PON[1]~PON[Q+1]の内、奇数番目のオン区間(即ち例えばPON[1]、PON[3]、PON[5]・・・)では出力トランジスタ1010が駆動状態DRVB1にて駆動され、偶数番目のオン区間(即ち例えばPON[2]、PON[4]、PON[6]・・・)では出力トランジスタ1010が駆動状態DRVB2にて駆動される。
図29に駆動状態DRVB1及びDRVB2を模式的に示す。実施例EX2_2では、第1~第4チャネル領域において、第1及び第3チャネル領域のみを含んで構成される電流経路1521と、第2及び第4チャネル領域のみを含んで構成される電流経路1522と、を形成(設定)することができる。
駆動状態DRVB1では、電流経路1521に属する各チャネル領域がオン状態とされ且つ電流経路1522に属する各チャネル領域がオフ状態とされる。即ち、駆動状態DRVB1では、第1及び第3チャネル領域(ch1及びch3)がオン状態とされる一方で第2及び第4チャネル領域(ch2及びch4)がオフ状態とされる。故に、駆動状態DRVB1では電流経路1521に属する各チャネル領域(ch1及びch3)のみを通じて出力電流IOUTが流れる。これに対し、駆動状態DRVB2では、電流経路1521に属する各チャネル領域がオフ状態とされ且つ電流経路1522に属する各チャネル領域がオン状態とされる。即ち、駆動状態DRVB2では、第1及び第3チャネル領域(ch1及びch3)がオフ状態とされる一方で第2及び第4チャネル領域(ch2及びch4)がオン状態とされる。故に、駆動状態DRVB2では電流経路1522に属する各チャネル領域(ch2及びch4)のみを通じて出力電流IOUTが流れる。
実施例EX2_2においても、実施例EX2_1と同様に、温度保護動作が働くたびに発熱箇所が変化するため、発熱によるスイッチ装置1000の破損等の可能性が低減する。結果、スイッチ装置1000の信頼性が高まる(天絡等に対する耐性が高まる)。
駆動状態DRVB1及びDRVB2は上記の第1~第m駆動状態の内の2つである。実施例EX2_2では“m=2”であると考えて良い。但し、駆動状態DRVB1及びDRVB2と異なる駆動状態で出力トランジスタ1010が駆動されることがあっても良い。例えば、第1~第4チャネル領域の全てをオンとする駆動状態、又は、第1~第4チャネル領域の内の任意の1つのチャネル領域のみをオンとする駆動状態にて、出力トランジスタ1010が駆動されることがあっても良い。
<<実施例EX2_3>>
実施例EX2_3を説明する。実施例EX2_1及びEX2_2に示した方法は、以下の方法MTD1に属する。方法MTD1では、1以上のチャネル領域を含む第1電流経路(1511又は1521)と、他の1以上のチャネル領域を含む第2電流経路(1512又は1522)と、を第1~第nチャネル領域において形成(設定)する。第1電流経路と第2電流経路は互いに重複するチャネル領域を含まない。即ち、第1電流経路に含まれるチャネル領域は第2電流経路に含まれず、且つ、第2電流経路に含まれるチャネル領域は第1電流経路に含まれない。
実施例EX2_3を説明する。実施例EX2_1及びEX2_2に示した方法は、以下の方法MTD1に属する。方法MTD1では、1以上のチャネル領域を含む第1電流経路(1511又は1521)と、他の1以上のチャネル領域を含む第2電流経路(1512又は1522)と、を第1~第nチャネル領域において形成(設定)する。第1電流経路と第2電流経路は互いに重複するチャネル領域を含まない。即ち、第1電流経路に含まれるチャネル領域は第2電流経路に含まれず、且つ、第2電流経路に含まれるチャネル領域は第1電流経路に含まれない。
そして、方法MTD1では、第1電流経路に属するチャネル領域をオン状態とし且つ第2電流経路に属するチャネル領域をオフ状態とする第1駆動状態(DRVA1又はDRVB1)、及び、第2電流経路に属するチャネル領域をオン状態とし且つ第1電流経路に属するチャネル領域をオフ状態とする第2駆動状態(DRVA2又はDRVB2)を第1~第m駆動状態に含めておく。そして、温度保護動作の実行を経て温度保護動作が解除されるたびに、ゲート制御回路1110は出力トランジスタ1010の駆動状態を第1駆動状態及び第2駆動状態間で切り替える。
実施例EX2_1では、第1及び第2電流経路の夫々に単一のチャネル領域のみが含まれており、実施例EX2_2では、第1及び第2電流経路の夫々に2つのチャネル領域が含まれている。しかしながら、方法MTD1において、第1電流経路に含まれるチャネル領域の個数は1以上であれば任意であり、第2電流経路に含まれるチャネル領域の個数も1以上であれば任意である。例えば、図25の出力トランジスタ1010Cを図16の出力トランジスタ1010として用いる場合、第1電流経路を第1、第3及び第5チャネル領域にて形成し且つ第2電流経路を第2、第4及び第6チャネル領域にて形成することができる。
<<実施例EX2_4>>
実施例EX2_4を説明する。実施例EX2_4では“n=4”であるとする。従って、図24の出力トランジスタ1010Bが図16の出力トランジスタ1010として用いられる。
実施例EX2_4を説明する。実施例EX2_4では“n=4”であるとする。従って、図24の出力トランジスタ1010Bが図16の出力トランジスタ1010として用いられる。
図30に実施例EX2_4に係る出力トランジスタ1010の駆動状態の切り替え方法を示す。実施例EX2_4に係るゲート制御回路1110は、信号STSDに基づく温度保護動作の実行を経て温度保護動作が解除されるたびに、出力トランジスタ1010の駆動状態を駆動状態DRVC2及びDRVC3間で切り替える。但し、オン区間PON[1]では出力トランジスタ1010が駆動状態DRVC1にて駆動される。そして、第1番目~第(Q+1)番目のオン区間であるオン区間PON[1]~PON[Q+1]の内、偶数番目のオン区間(即ち例えばPON[2]、PON[4]、PON[6]・・・)では出力トランジスタ1010が駆動状態DRVC2にて駆動され、オン区間PON[1]を除く奇数番目のオン区間(即ち例えばPON[3]、PON[5]、PON[7]・・・)では出力トランジスタ1010が駆動状態DRVC3にて駆動される。
図31に駆動状態DRVC1~DRVC3を模式的に示す。実施例EX2_4では、第1~第4チャネル領域において、第1及び第3チャネル領域のみを含んで構成される電流経路1541と、第2チャネル領域のみを含んで構成される電流経路1542と、第4チャネル領域のみを含んで構成される電流経路1543と、を形成(設定)することができる。
駆動状態DRVC1では、電流経路1541に属する各チャネル領域がオン状態とされ且つ電流経路1542及び1543に属する各チャネル領域がオフ状態とされる。即ち、駆動状態DRVC1では、第1及び第3チャネル領域(ch1及びch3)がオン状態とされる一方で第2及び第4チャネル領域(ch2及びch4)がオフ状態とされる。故に、駆動状態DRVC1では電流経路1541に属する各チャネル領域(ch1及びch3)のみを通じて出力電流IOUTが流れる。これに対し、駆動状態DRVC2では、電流経路1541及び1543に属する各チャネル領域がオフ状態とされ且つ電流経路1542に属するチャネル領域がオン状態とされる。即ち、駆動状態DRVC2では、第1、第3及び第4チャネル領域(ch1、ch3及びch4)がオフ状態とされる一方で、第2チャネル領域(ch2)がオン状態とされる。故に、駆動状態DRVC2では電流経路1542に属するチャネル領域(ch2)のみを通じて出力電流IOUTが流れる。また、駆動状態DRVC3では、電流経路1541及び1542に属する各チャネル領域がオフ状態とされ且つ電流経路1543に属するチャネル領域がオン状態とされる。即ち、駆動状態DRVC3では、第1~第3チャネル領域(ch1~ch3)がオフ状態とされる一方で、第4チャネル領域(ch4)がオン状態とされる。故に、駆動状態DRVC3では電流経路1543に属するチャネル領域(ch4)のみを通じて出力電流IOUTが流れる。
実施例EX2_4においても、実施例EX2_1と同様に、温度保護動作が働くたびに発熱箇所が変化するため、発熱によるスイッチ装置1000の破損等の可能性が低減する。結果、スイッチ装置1000の信頼性が高まる(天絡等に対する耐性が高まる)。
また、ゲート制御回路1110はオン区間PON[2]の開始後、所定の復帰条件の成否を監視する。温度保護動作の解除を経て何れかのオン区間PON[i]において出力トランジスタ1010が駆動状態DRVC2又はDRVC3にて駆動開始された後、所定時間TREF以上、新たに保護開始動作が開始されないとき、復帰条件は成立する。復帰条件が成立したとき、図32に示す如く、ゲート制御回路1110は、出力トランジスタ1010の駆動状態を当初の駆動状態である駆動状態DRVC1に戻す。例えば、図21に示す例において、時刻t3から所定時間TREF以上、新たに保護開始動作が開始されない場合を考える。この場合、時刻t3から所定時間TREFだけ経過した特定の時刻において復帰条件が成立し、ゲート制御回路1110は、特定の時刻にて出力トランジスタ1010の駆動状態を他の駆動状態から駆動状態DRVC1に戻す(特定の時刻は時刻t4より前の時刻であるとする)。ここにおける他の駆動状態は、オン区間PON[Q+1]の開始時点における出力トランジスタ1010の駆動状態であり、駆動状態DRVC2及びDRVC3の何れかである。
駆動状態DRVC1におけるチャネル利用率RR(50%)は、駆動状態DRVC2又はDRVC3におけるチャネル利用率RR(25%)よりも大きい。このため、駆動状態DRVC1における出力トランジスタ1010のオン抵抗は、駆動状態DRVC2又はDRVC3における出力トランジスタ1010のオン抵抗よりも低くなる。故に、復帰条件の成立により天絡が解消されたと判断される場合には、駆動状態DRVC1に戻すことで損失の低減を図ることができる。
駆動状態DRVC1~DRVC3は上記の第1~第m駆動状態の内の3つである。実施例EX2_4では“m=3”であると考えて良い。但し、駆動状態DRVC1~DRVC3と異なる駆動状態で出力トランジスタ1010が駆動されることがあっても良い。例えば、第1~第4チャネル領域の全てをオンとする駆動状態、又は、第2及び第4チャネル領域のみをオンとする駆動状態にて、出力トランジスタ1010が駆動されることがあっても良い。
ゲート制御回路1110はオン区間PON[2]の開始後、上記復帰条件の成否を監視し、復帰条件が成立したとき、以下の復帰方法MTDCA又はMTDCBにより出力トランジスタ1010の駆動状態を切り替えても良い。
図33に示す如く、復帰方法MTDCAにおいて、ゲート制御回路1110は、出力トランジスタ1010の駆動状態を、駆動状態DRVC2及びDRVC3の何れかから(復帰前駆動状態から)、一旦駆動状態DRVCA(特定の駆動状態)に変化させ、その後に駆動状態DRVC1に戻す。図33の例では駆動状態DRVC2から駆動状態DRVCAを経て駆動状態DRVC1に戻っているが、復帰条件の成立タイミングに依存して、駆動状態DRVC3から駆動状態DRVCAを経て駆動状態DRVC1に戻る場合もある。駆動状態DRVCAでは第1~第4チャネル領域(ch1~ch4)が全てオン状態とされる。
出力トランジスタ1010の駆動状態が駆動状態DRVCAとされる時間は所定の微小時間で良い。駆動状態DRVC2又はDRVC3から駆動状態DRVC1に直接戻す際、出力トランジスタ1010が瞬間的にフルオフ状態になる可能性があるが、駆動状態DRVCAを経由してから駆動状態DRVC1に戻すことで出力トランジスタ1010がフルオフ状態となることが回避される。
図34に示す如く、復帰方法MTDCBにおいて、ゲート制御回路1110は、出力トランジスタ1010の駆動状態を、駆動状態DRVC2及びDRVC3の何れかから(切替前駆動状態から)、駆動状態DRVC1ではなく駆動状態DRVC1’(切替後駆動状態)に切り替える。図34の例では駆動状態DRVC2から駆動状態DRVC1’に切り替えられているが、復帰条件の成立タイミングに依存して、駆動状態DRVC3から駆動状態DRVC1’に切り替えられる場合もある。駆動状態DRVC1とは逆に、駆動状態DRVC1’では、第1及び第3チャネル領域(ch1及びch3)がオフ状態とされる一方で第2及び第4チャネル領域(ch2及びch4)がオン状態とされる。
復帰方法MTDCBによっても出力トランジスタ1010がフルオフ状態となることが回避される。駆動状態DRVC1’におけるチャネル利用率RR(50%)は、駆動状態DRVC1におけるチャネル利用率RR(50%)と同様に、駆動状態DRVC2又はDRVC3におけるチャネル利用率RR(25%)よりも大きい。故に、復帰条件の成立により天絡が解消されたと判断される場合には、駆動状態DRVC1’に切り替えることで損失の低減を図ることができる。
<<実施例EX2_5>>
実施例EX2_5を説明する。実施例EX2_5では“n=6”であるとする。従って、図25の出力トランジスタ1010Cが図16の出力トランジスタ1010として用いられる。
実施例EX2_5を説明する。実施例EX2_5では“n=6”であるとする。従って、図25の出力トランジスタ1010Cが図16の出力トランジスタ1010として用いられる。
図35に実施例EX2_5に係る出力トランジスタ1010の駆動状態の切り替え方法を示す。実施例EX2_5に係るゲート制御回路1110は、信号STSDに基づく温度保護動作の実行を経て温度保護動作が解除されるたびに、出力トランジスタ1010の駆動状態を駆動状態DRVD2~DRVD4間で切り替える。但し、オン区間PON[1]では出力トランジスタ1010が駆動状態DRVD1にて駆動される。以後、オン区間PON[2]~PON[Q+1]の内、オン区間PON[3・k+2]では出力トランジスタ1010が駆動状態DRVD2にて駆動され、オン区間PON[3・k+3]では出力トランジスタ1010が駆動状態DRVD3にて駆動され、オン区間PON[3・k+4]では出力トランジスタ1010が駆動状態DRVD4にて駆動される。ここで、kは0以上の整数を表す。
図36に駆動状態DRVD1~DRVD4を模式的に示す。実施例EX2_5では、第1~第6チャネル領域において、第1、第3及び第5チャネル領域のみを含んで構成される電流経路1551と、第2チャネル領域のみを含んで構成される電流経路1552と、第4チャネル領域のみを含んで構成される電流経路1553と、第6チャネル領域のみを含んで構成される電流経路1554と、を形成(設定)することができる。
駆動状態DRVD1では、電流経路1551に属する各チャネル領域がオン状態とされ且つ電流経路1552~1554に属する各チャネル領域がオフ状態とされる。即ち、駆動状態DRVD1では、第1、第3及び第5チャネル領域(ch1、ch3及びch5)がオン状態とされる一方で、第2、第4及び第6チャネル領域(ch2、ch4及びch6)がオフ状態とされる。故に、駆動状態DRVD1では電流経路1551に属する各チャネル領域(ch1、ch3及びch5)のみを通じて出力電流IOUTが流れる。
これに対し、駆動状態DRVD2では、電流経路1551、1553及び1554に属する各チャネル領域がオフ状態とされ且つ電流経路1552に属するチャネル領域がオン状態とされる。即ち、駆動状態DRVD2では、第1~第6チャネル領域(ch1~ch6)の内、第2チャネル領域(ch2)のみがオン状態とされ、他の5つのチャネル領域はオフ状態とされる。駆動状態DRVD3では、電流経路1551、1552及び1554に属する各チャネル領域がオフ状態とされ且つ電流経路1553に属するチャネル領域がオン状態とされる。即ち、駆動状態DRVD3では、第1~第6チャネル領域(ch1~ch6)の内、第4チャネル領域(ch4)のみがオン状態とされ、他の5つのチャネル領域はオフ状態とされる。駆動状態DRVD4では、電流経路1551~1553に属する各チャネル領域がオフ状態とされ且つ電流経路1554に属するチャネル領域がオン状態とされる。即ち、駆動状態DRVD4では、第1~第6チャネル領域(ch1~ch6)の内、第6チャネル領域(ch6)のみがオン状態とされ、他の5つのチャネル領域はオフ状態とされる。
実施例EX2_5においても、実施例EX2_1と同様に、温度保護動作が働くたびに発熱箇所が変化するため、発熱によるスイッチ装置1000の破損等の可能性が低減する。結果、スイッチ装置1000の信頼性が高まる(天絡等に対する耐性が高まる)。
また、ゲート制御回路1110はオン区間PON[2]の開始後、所定の復帰条件の成否を監視する。温度保護動作の解除を経て何れかのオン区間PON[i]において出力トランジスタ1010が駆動状態DRVD2、DRVD3又はDRVD4にて駆動開始された後、所定時間TREF以上、新たに保護開始動作が開始されないとき、復帰条件は成立する。復帰条件が成立したとき、図37に示す如く、ゲート制御回路1110は、出力トランジスタ1010の駆動状態を当初の駆動状態である駆動状態DRVD1に戻す。例えば、図21に示す例において、時刻t3から所定時間TREF以上、新たに保護開始動作が開始されない場合を考える。この場合、時刻t3から所定時間TREFだけ経過した特定の時刻において復帰条件が成立し、ゲート制御回路1110は、特定の時刻にて出力トランジスタ1010の駆動状態を他の駆動状態から駆動状態DRVD1に戻す(特定の時刻は時刻t4より前の時刻であるとする)。ここにおける他の駆動状態は、オン区間PON[Q+1]の開始時点における出力トランジスタ1010の駆動状態であり、駆動状態DRVD2~DRVD4の何れかである。
駆動状態DRVD1におけるチャネル利用率RR(50%)は、駆動状態DRVD2、DRVD3又はDRVD4におけるチャネル利用率RR(約17%)よりも大きい。このため、駆動状態DRVD1における出力トランジスタ1010のオン抵抗は、駆動状態DRVD2、DRVD3又はDRVD4おける出力トランジスタ1010のオン抵抗よりも低くなる。故に、復帰条件の成立により天絡が解消されたと判断される場合には、駆動状態DRVD1に戻すことで損失の低減を図ることができる。
駆動状態DRVD1~DRVD4は上記の第1~第m駆動状態の内の4つである。実施例EX2_5では“m=4”であると考えて良い。但し、駆動状態DRVD1~DRVD4と異なる駆動状態で出力トランジスタ1010が駆動されることがあっても良い。例えば、第1~第6チャネル領域の全てをオンとする駆動状態、又は、第2、第4及び第6チャネル領域のみをオンとする駆動状態にて、出力トランジスタ1010が駆動されることがあっても良い。
ゲート制御回路1110はオン区間PON[2]の開始後、上記復帰条件の成否を監視し、復帰条件が成立したとき、以下の復帰方法MTDDA又はMTDDBにより出力トランジスタ1010の駆動状態を切り替えても良い。
図38に示す如く、復帰方法MTDDAにおいて、ゲート制御回路1110は、出力トランジスタ1010の駆動状態を、駆動状態DRVD2、DRVD3及びDRVD4の何れかから(復帰前駆動状態から)、一旦駆動状態DRVDA(特定の駆動状態)に変化させ、その後に駆動状態DRVD1に戻す。図38の例では駆動状態DRVD4から駆動状態DRVDAを経て駆動状態DRVD1に戻っているが、復帰条件の成立タイミングに依存して、駆動状態DRVD2又はDRVD3から駆動状態DRVDAを経て駆動状態DRVD1に戻る場合もある。駆動状態DRVDAでは第1~第6チャネル領域(ch1~ch6)が全てオン状態とされる。
出力トランジスタ1010の駆動状態が駆動状態DRVDAとされる時間は所定の微小時間で良い。駆動状態DRVD2、DRVD3及びDRVD4の何れかから駆動状態DRVD1に直接戻す際、出力トランジスタ1010が瞬間的にフルオフ状態になる可能性があるが、駆動状態DRVDAを経由してから駆動状態DRVD1に戻すことで出力トランジスタ1010がフルオフ状態となることが回避される。
図39に示す如く、復帰方法MTDDBにおいて、ゲート制御回路1110は、出力トランジスタ1010の駆動状態を、駆動状態DRVD2、DRVD3及びDRVD4の何れかから(切替前駆動状態から)、駆動状態DRVD1ではなく駆動状態DRVD1’(切替後駆動状態)に切り替える。図39の例では駆動状態DRVD4から駆動状態DRVD1’に切り替えられているが、復帰条件の成立タイミングに依存して、駆動状態DRVD2又はDRVD3から駆動状態DRVD1’に切り替えられる場合もある。駆動状態DRVD1とは逆に、駆動状態DRVD1’では、第1、第3及び第5チャネル領域(ch1、ch3及びch5)がオフ状態とされる一方で、第2、第4及び第6チャネル領域(ch2、ch4及びch6)がオン状態とされる。
復帰方法MTDDBによっても出力トランジスタ1010がフルオフ状態となることが回避される。駆動状態DRVD1’におけるチャネル利用率RR(50%)は、駆動状態DRVD1におけるチャネル利用率RR(50%)と同様に、駆動状態DRVD2、DRVD3又はDRVD4におけるチャネル利用率RR(約17%)よりも大きい。故に、復帰条件の成立により天絡が解消されたと判断される場合には、駆動状態DRVD1’に切り替えることで損失の低減を図ることができる。
<<実施例EX2_6>>
実施例EX2_6を説明する。実施例EX2_4及びEX2_5に示した方法は、以下の方法MTD2に属する。方法MTD2では、1以上のチャネル領域を含む第1電流経路(1541又は1551)と、他の1以上のチャネル領域を含む第2電流経路(1542又は1552)と、更に他の1以上のチャネル領域を含む第3電流経路(1543又は1553)と、を第1~第nチャネル領域において形成(設定)する。第1~第3電流経路は互いに重複するチャネル領域を含まない。即ち、第1電流経路に含まれるチャネル領域は第2及び第3電流経路の何れにも含まれず、且つ、第2電流経路に含まれるチャネル領域は第1及び第3電流経路の何れにも含まれず、第3電流経路に含まれるチャネル領域は第1及び第2電流経路の何れにも含まれない。
実施例EX2_6を説明する。実施例EX2_4及びEX2_5に示した方法は、以下の方法MTD2に属する。方法MTD2では、1以上のチャネル領域を含む第1電流経路(1541又は1551)と、他の1以上のチャネル領域を含む第2電流経路(1542又は1552)と、更に他の1以上のチャネル領域を含む第3電流経路(1543又は1553)と、を第1~第nチャネル領域において形成(設定)する。第1~第3電流経路は互いに重複するチャネル領域を含まない。即ち、第1電流経路に含まれるチャネル領域は第2及び第3電流経路の何れにも含まれず、且つ、第2電流経路に含まれるチャネル領域は第1及び第3電流経路の何れにも含まれず、第3電流経路に含まれるチャネル領域は第1及び第2電流経路の何れにも含まれない。
実施例EX2_4においては電流経路1541、1542、1543が、夫々、第1、第2、第3電流経路に対応する(図31参照)。実施例EX2_5においては電流経路1551、1552、1553が、夫々、第1、第2、第3電流経路に対応する(図36参照)。実施例EX2_4及びEX2_5では、第1電流経路に含まれるチャネル領域の個数が2又は3であるが、第1電流経路に含まれるチャネル領域の個数が1となるように変形しても良い。実施例EX2_4及びEX2_5では、第2電流経路に含まれるチャネル領域の個数が1であるが、第2電流経路に含まれるチャネル領域の個数が2以上となるように変形しても良い。同様に、実施例EX2_4及びEX2_5では、第3電流経路に含まれるチャネル領域の個数が1であるが、第3電流経路に含まれるチャネル領域の個数が2以上となるように変形しても良い。
方法MTD2では、第1電流経路に属するチャネル領域をオン状態とし且つ第2及び第3電流経路に属する各チャネル領域をオフ状態とする第1駆動状態(DRVC1又はDRVD1)、第2電流経路に属するチャネル領域をオン状態とし且つ第1及び第3電流経路に属する各チャネル領域をオフ状態とする第2駆動状態(DRVC2又はDRVD2)、及び、第3電流経路に属するチャネル領域をオン状態とし且つ第1及び第2電流経路に属する各チャネル領域をオフ状態とする第3駆動状態(DRVC3又はDRVD3)を第1~第m駆動状態に含めておく。第1~第3駆動状態以外の駆動状態が第1~第m駆動状態に含まれていても良く、実施例EX2_5(図36)では第4駆動状態としての駆動状態DRVD4が存在する。
方法MTD2において、ゲート制御回路1110は、出力トランジスタ1010を第1駆動状態(DRVC1又はDRVD1)にて駆動しているときに温度保護動作により全チャネル領域をオフ状態とした後、所定の解除条件が成立することで温度保護動作を解除(停止)する際、出力トランジスタ1010の駆動状態を第2駆動状態(DRVC2又はDRVD2)に切り替える。そして、この切り替えの後、ゲート制御回路1110は、温度保護動作の実行を経て温度保護動作が解除されるたびに、出力トランジスタ1010の駆動状態を第2駆動状態及び第3駆動状態を含み且つ第1駆動状態を含まない2以上の駆動状態間で切り替える。ここにおける2以上の駆動状態は、実施例EX2_4(図30及び図31参照)では駆動状態DRVC2及びDRVC3であり、実施例EX2_5では(図35及び図36参照)では駆動状態DRVD2~DRVD4である。
また、方法MTD2において、温度保護動作の解除を経て出力トランジスタ1010が上記2以上の駆動状態の何れかにて駆動開始された後、所定時間TREF以上、新たに温度保護動作が開始されないとき、ゲート制御回路1110は、出力トランジスタ1010の駆動状態を第1駆動状態(DRVC1又はDRVD1)に戻すと良い。
また、方法MTD2において、温度保護動作の解除を経て出力トランジスタ1010が上記2以上の駆動状態の何れかにて駆動開始された後、所定時間TREF以上、新たに温度保護動作が開始されないとき、ゲート制御回路1110は、出力トランジスタ1010の駆動状態を上記2以上の駆動状態に含まれる復帰前駆動状態(例えばDRVC2又はDRVC3、或いは、DRVD2~DRVD4の何れか)から特定の駆動状態(DRVCA又はDRVDA)を経由して第1駆動状態(DRVC1又はDRVD1)に戻すようにしても良い。ここで、出力トランジスタ1010に含まれる複数のチャネル領域の内、特定の駆動状態(DRVCA又はDRVDA)においてオン状態とされるチャネル領域は、復帰前駆動状態においてオン状態とされるチャネル領域を含み且つ第1駆動状態においてオン状態とされるチャネル領域を含む。
また、方法MTD2において、温度保護動作の解除を経て出力トランジスタ1010が上記2以上の駆動状態の何れかにて駆動開始された後、所定時間TREF以上、新たに温度保護動作が開始されないとき、ゲート制御回路1110は、出力トランジスタ1010の駆動状態を上記2以上の駆動状態に含まれる復帰前駆動状態(例えばDRVC2又はDRVC3、或いは、DRVD2~DRVD4の何れか)から切替後駆動状態(DRVC1’又はDRVD1’)に切り替えるようにしても良い。ここで、出力トランジスタ1010に含まれる複数のチャネル領域の内、切替後駆動状態においてオン状態とされるチャネル領域は、切替前駆動状態においてオン状態とされるチャネル領域を含み、他のチャネル領域を更に含む。
<<実施例EX2_7>>
実施例EX2_7を説明する。図40にスイッチ1000の一部の回路例を示す。図40では“n=4”であることが想定されているが、nの値が4以外である場合にも同様の回路を構成できる。図40の回路構成を説明する。
実施例EX2_7を説明する。図40にスイッチ1000の一部の回路例を示す。図40では“n=4”であることが想定されているが、nの値が4以外である場合にも同様の回路を構成できる。図40の回路構成を説明する。
図40の回路例において、スイッチ回路1000は、TSD制御回路1710及びTSD実行回路1720と、アナログスイッチであるスイッチ1731~1734及び1742と、抵抗1741、1743及び1744と、温度検出回路とも称することのできる温度保護回路1800と、を備える。温度保護回路1800は図16の温度保護回路1140の例である。TSD制御回路1710及びTSD実行回路1720並びにスイッチ1731~1734は、図16のゲート制御回路1110の構成要素に含まれる。スイッチ1742並びに抵抗1741、1743及び1744も、ゲート制御回路1110の構成要素に含まれると解して良い。TSD制御回路1710はロジック回路にて構成される。
図40の出力トランジスタ1010として図24の出力トランジスタ1010Bが用いられる。出力トランジスタ1010のドレインは出力端子1002に接続され、出力トランジスタ1010のソースはグランドに接続される。出力トランジスタ1010の第1、第2、第3、第4ゲートは、夫々、ゲート信号G1(第1ゲート信号)が加わるゲートラインGL1、ゲート信号G2(第2ゲート信号)が加わるゲートラインGL2、ゲート信号G3(第3ゲート信号)が加わるゲートラインGL3、ゲート信号G4(第4ゲート信号)が加わるゲートラインGL4に接続される。
温度保護回路1800は、定電流回路1801及び1802と、抵抗1803及び1804と、Nチャネル型のMISFETであるトランジスタ1805と、センサ部1806と、コンパレータ1807と、インバータ1808及び1809と、を備える。
定電流回路1801は、内部電源電圧Vregが加わる内部電源端とノード1821との間に設けられ、内部電源端からノード1821に向けて所定の定電流を供給する。定電流回路1802は、内部電源電圧Vregが加わる内部電源端とノード1822との間に設けられ、内部電源端からノード1822に向けて所定の定電流を供給する。内部電源電圧Vregは正の直流電圧値を有する。スイッチ装置1000は外部から供給される電圧に基づいて内部電源電圧Vregを生成することができる。コンパレータ1807、インバータ1808及び1809並びにTSD制御回路1710を含む、電源電圧を必要とする各回路は、内部電源電圧Vregに基づいて駆動する。
ノード1821は、コンパレータ1807の非反転入力端子に接続されると共に抵抗1803の一端に接続される。抵抗1803の他端は抵抗1804を介してグランドに接続される。ノード1822は、コンパレータ1807の反転入力端子に接続されると共にセンサ部1806の一端に接続される。センサ部1806の他端はグランドに接続される。抵抗1803及び1804間の接続ノードはトランジスタ1805のドレインに接続され、トランジスタ1805のソースはグランドに接続される。コンパレータ1807の出力端子はインバータ1808の入力端子に接続され、インバータ1808の出力端子はインバータ1809の入力端子に接続される。インバータ1809の出力端子はTSD制御回路1710に接続される。インバータ1809の出力端子から信号STSDが出力される。また、インバータ1808の出力端子はトランジスタ1805のゲートに接続される。
センス部1806は複数のダイオードの直列回路から成る。センス部1806を構成する各ダイオードの順方向はノード1822からグランドに向かう向きと一致する。定電流回路1802から出力される定電流がセンス部1806に流れることでセンス部1806の両端間に電圧が発生し、この発生電圧がノード1822に加わる。センス部1806を構成する各ダイオードは出力トランジスタ1010と熱結合しており、センス部1806を構成する各ダイオードに対して温度Tjと実質的に同じ温度が加わる。故に、温度Tjの増大につれてノード1822の電圧が低下する。
温度Tjが相対的に低いことによってノード1822の電圧がノード1821の電圧よりも高いとき、コンパレータ1807の出力端子からローレベルの信号が出力され、これを受けてインバータ1808の出力信号はハイレベルとなると共にインバータ1809の出力信号(STSD)はローレベルとなる。温度Tjが相対的に高いことによってノード1822の電圧がノード1821の電圧よりも低いとき、コンパレータ1807の出力端子からハイレベルの信号が出力され、これを受けてインバータ1808の出力信号はローレベルとなると共にインバータ1809の出力信号(STSD)はハイレベルとなる。
インバータ1808の出力信号がハイレベルであるときトランジスタ1805はオン状態であり、抵抗1804の両端間が短絡される。インバータ1808の出力信号がローレベルであるときトランジスタ1805はオフ状態である。トランジスタ1805のオン区間におけるノード1821の電圧は、トランジスタ1805のオフ区間におけるノード1821の電圧よりも低くなる。このような構成により、トランジスタ1805のオン区間においては温度Tjが上昇して保護温度TTSD_Hに達することを契機にコンパレータ1807の出力信号がローレベルからハイレベルに切り替り、且つ、トランジスタ1805のオフ区間においては温度Tjが低下して保護解除温度TTSD_Lを下回ることを契機にコンパレータ1807の出力信号がハイレベルからローレベルに切り替わる。
TSD実行回路1720は、Nチャネル型のMISFETであるトランジスタ1721~1724から成る。トランジスタ1721~1724のドレインは、夫々、ゲートラインG1~G4に接続される。トランジスタ1721~1724の各ソースはグランドに接続される。TSD制御回路1710は、信号STSDに基づきトランジスタ1721~1724のゲート電位を制御することで、トランジスタ1721~1724を一括してオン状態又はオフ状態に制御する。TSD制御回路1710は、信号STSDのハイレベル区間において、トランジスタ1721~1724を全てオン状態とし、これによってゲート信号G1~G4を十分に低い電位まで低下させることで出力トランジスタ1010の全チャネル領域をオフ状態とする(即ち上記の温度保護動作を実現する)。TSD制御回路1710は、信号STSDのローレベル区間において、トランジスタ1721~1724を全てオフ状態とする。
入力端子1001は抵抗1741を介してスイッチ1742の一端に接続され、スイッチ1742の他端は抵抗1743を介してラインINLに接続される。ラインINLは抵抗1744を介してラインGL1’~GL4’に共通接続される。ラインGL1’はスイッチ1731を介してゲートラインGL1に接続され、ラインGL2’はスイッチ1732を介してゲートラインGL2に接続され、ラインGL3’はスイッチ1733を介してゲートラインGL3に接続され、ラインGL4’はスイッチ1734を介してゲートラインGL4に接続される。
スイッチ1742の制御端には信号SUVLOが入力され、信号SUVLOのハイレベル区間においてのみスイッチ1742はオン状態となる。本実施例では、信号SUVLOのハイレベル区間にのみ注目する。
ゲート制御回路1110(図16参照)は、信号TTSDに基づく温度保護動作の非実行区間において(即ちトランジスタ1721~1724が全てオフとされる区間において)、スイッチ1731~1734を個別にオン状態又はオフ状態に制御し、これによってゲート信号G1~G4を個別にハイレベル又はローレベルに制御する。
信号TTSDに基づく温度保護動作の非実行区間において、スイッチ1731、1732、1733、1734がオン状態であるとき、夫々、ゲート信号G1、G2、G3、G4がハイレベルとなる。スイッチ1731のオン区間では入力電圧VINがゲートラインGL1に加わるため、ゲート信号G1のハイレベルの電位は入力電圧VINの電位と一致する。ゲート信号G2~G4についても同様である。ゲート信号G1、G2、G3、G4がハイレベルであるとき、夫々、出力トランジスタ1010の第1、第2、第3、第4チャネル領域はオン状態となる。信号TTSDに基づく温度保護動作の非実行区間において、スイッチ1731、1732、1733、1734がオフ状態であるとき、図示されない電荷引き抜き回路の機能により、夫々、ゲート信号G1、G2、G3、G4がローレベルとなる。ゲート信号G1、G2、G3、G4がローレベルであるとき、夫々、出力トランジスタ1010の第1、第2、第3、第4チャネル領域はオフ状態となる。
<<実施例EX2_8>>
実施例EX2_8を説明する。実施例EX2_8では、第2実施形態にて上述した事項に対する補足事項、変形技術及び応用技術等を説明する。
実施例EX2_8を説明する。実施例EX2_8では、第2実施形態にて上述した事項に対する補足事項、変形技術及び応用技術等を説明する。
スイッチ装置1000がローサイド側のスイッチングデバイスとして構成されることを想定してスイッチ装置1000の構成及び動作を上述したが、スイッチ装置1000をハイサイド側のスイッチングデバイスとして構成しても良い。この場合、端子BB(図16参照)が端子1002に直接接続されることで電圧VBBが出力トランジスタ1010のドレインに印加され、且つ、出力トランジスタ1010のソースが負荷LDを介してグランドに接続されることになる。
任意の信号又は電圧に関して、上述の主旨を損なわない形で、それらのハイレベルとローレベルの関係は上述したものの逆とされ得る。
各実施形態に示されたFET(電界効果トランジスタ)のチャネルの種類は例示であり、Nチャネル型のFETがPチャネル型のFETに変更されるように、或いは、Pチャネル型のFETがNチャネル型のFETに変更されるように、FETを含む回路の構成は変形され得る。
スイッチ装置1000を自動車等の車両に設置し、当該車両における任意の負荷LDに対してスイッチ装置1000を適用して良い。但し、スイッチ装置1000の用途は車載用途に限定されず、任意である。
本開示の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。以上の実施形態は、あくまでも、本開示の実施形態の例であって、本開示ないし各構成要件の用語の意義は、以上の実施形態に記載されたものに制限されるものではない。上述の説明文中に示した具体的な数値は、単なる例示であって、当然の如く、それらを様々な数値に変更することができる。
<<付記>>
上述の実施形態にて具体的構成例が示された本開示について付記を設ける。
上述の実施形態にて具体的構成例が示された本開示について付記を設ける。
本開示の一側面に係るスイッチ装置(1000;図16)は、複数のゲート信号に基づき互いに独立してオン状態又はオフ状態に制御される複数のチャネル領域を有する出力トランジスタ(1010、1010A、1010B、1010C)と、各チャネル領域の状態制御を通じて前記出力トランジスタを駆動可能であるとともに、測定対象温度が所定の保護温度に達することに応答して前記複数のチャネル領域を全てオフ状態に保つ温度保護動作を実行可能に構成された制御回路(1110)と、を備え、前記複数のチャネル領域において、1以上のチャネル領域を含む第1電流経路(例えば1521又は1541)と、他の1以上のチャネル領域を含む第2電流経路(例えば1522又は1542)と、が形成され、前記制御回路は、前記温度保護動作の非実行区間において、前記出力トランジスタを複数の駆動状態の何れかにて駆動可能であって、前記複数の駆動状態は、前記第1電流経路に属するチャネル領域をオン状態とし且つ前記第2電流経路に属するチャネル領域をオフ状態とする第1駆動状態(例えばDRVB1又はDRVC1)、及び、前記第2電流経路に属するチャネル領域をオン状態とし且つ前記第1電流経路に属するチャネル領域をオフ状態とする第2駆動状態(例えばDRVB2又はDRVC2)を含み、前記制御回路は、前記出力トランジスタを前記第1駆動状態にて駆動しているときに前記温度保護動作により全チャネル領域をオフ状態とした後、所定の解除条件が成立することで前記温度保護動作を解除する際、前記出力トランジスタの駆動状態を前記第2駆動状態に切り替え可能に構成される構成(第1の構成)である。
これにより、発熱箇所が分散し、発熱によるスイッチ装置の破損等の可能性が低減する。結果、スイッチ装置の信頼性が高まる(天絡又は地絡等に対する耐性が高まる)。
上記第1の構成に係るスイッチ装置において、前記制御回路は、前記温度保護動作の実行を経て前記温度保護動作が解除されるたびに、前記出力トランジスタの駆動状態を切り替え可能に構成される構成(第2の構成)であっても良い。
上記第1又は第2の構成に係るスイッチ装置において、前記制御回路は、前記温度保護動作の実行を経て前記温度保護動作が解除されるたびに、前記出力トランジスタの駆動状態を前記第1駆動状態及び前記第2駆動状態間で切り替え可能に構成される構成(第3の構成)であっても良い。
上記第1又は第2の構成に係るスイッチ装置に関し、前記複数のチャネル領域において、前記1以上のチャネル領域を含む前記第1電流経路(例えば1541)と、前記他の1以上のチャネル領域を含む前記第2電流経路(例えば1542)と、更に他の1以上のチャネル領域を含む第3電流経路(例えば1543)と、が形成され、前記第1駆動状態では前記第2電流経路に属するチャネル領域に加えて前記第3電流経路に属するチャネル領域もオフ状態とされ、前記第2駆動状態では前記第1電流経路に属するチャネル領域に加えて前記第3電流経路に属するチャネル領域もオフ状態とされ、前記複数の駆動状態は、前記第3電流経路に属するチャネル領域をオン状態とし且つ前記第1電流経路及び前記第2電流経路に属する各チャネル領域をオフ状態とする第3駆動状態(例えばDRVC3)を更に含み、前記制御回路は、前記出力トランジスタの駆動状態を前記第1駆動状態(例えばDRVC1)から前記第2駆動状態(例えばDRVC2)に切り替えた後、前記温度保護動作の実行を経て前記温度保護動作が解除されるたびに、前記出力トランジスタの駆動状態を前記第2駆動状態及び前記第3駆動状態を含み且つ前記第1駆動状態を含まない2以上の駆動状態間で切り替え可能に構成される構成(第4の構成)であっても良い。
これにより、発熱箇所が分散し、発熱によるスイッチ装置の破損等の可能性が低減する。結果、スイッチ装置の信頼性が高まる(天絡又は地絡等に対する耐性が高まる)。
上記第4の構成に係るスイッチ装置において、前記温度保護動作の解除を経て前記出力トランジスタが前記2以上の駆動状態の何れかにて駆動開始された後、所定時間以上、新たに前記温度保護動作が開始されないとき、前記制御回路は、前記出力トランジスタの駆動状態を前記第1駆動状態に戻すことが可能に構成される構成(第5の構成)であっても良い。
これにより、温度保護動作が不要となる状況に復帰した場合には当初の第1駆動状態に戻される。第1駆動状態を、損失等の低減にとって好ましい駆動状態にしておけば、温度保護動作が不要となる状況に復帰した場合に、出力トランジスタを適正に駆動できる(例えば損失を最小化できる)。
上記第4の構成に係るスイッチ装置において、前記温度保護動作の解除を経て前記出力トランジスタが前記2以上の駆動状態の何れかにて駆動開始された後、所定時間以上、新たに前記温度保護動作が開始されないとき、前記制御回路は、前記出力トランジスタの駆動状態を前記2以上の駆動状態に含まれる復帰前駆動状態から特定の駆動状態を経由して前記第1駆動状態に戻すことが可能に構成され、前記複数のチャネル領域の内、前記特定の駆動状態においてオン状態とされるチャネル領域は、前記復帰前駆動状態においてオン状態とされるチャネル領域を含み且つ前記第1駆動状態においてオン状態とされるチャネル領域を含む構成(第6の構成)であっても良い。
これにより、温度保護動作が不要となる状況に復帰した場合には当初の第1駆動状態に戻される。第1駆動状態を、損失等の低減にとって好ましい駆動状態にしておけば、温度保護動作が不要となる状況に復帰した場合に、出力トランジスタを適正に駆動できる(例えば損失を最小化できる)。
上記第4の構成に係るスイッチ装置において、前記温度保護動作の解除を経て前記出力トランジスタが前記2以上の駆動状態の何れかにて駆動開始された後、所定時間以上、新たに前記温度保護動作が開始されないとき、前記制御回路は、前記出力トランジスタの駆動状態を前記2以上の駆動状態に含まれる切替前駆動状態から切替後駆動状態に切り替えることが可能に構成され、前記複数のチャネル領域の内、前記切替後駆動状態においてオン状態とされるチャネル領域は、前記切替前駆動状態においてオン状態とされるチャネル領域を含み、他のチャネル領域を更に含む構成(第7の構成)であっても良い。
これにより、温度保護動作が不要となる状況に復帰した場合には切替後駆動状態に切り替えられる。切替後駆動状態においてオン状態とされるチャネル領域は、切替前駆動状態においてオン状態とされるチャネル領域を含み、他のチャネル領域を更に含むため、温度保護動作が不要となる状況に復帰した場合に、出力トランジスタを適正に駆動できる(例えば損失を最小化できる)。
上記第4~第7の構成の何れかに係るスイッチ装置において、前記第1電流経路に属するチャネル領域が前記複数のチャネル領域を占める割合(例えば50%)に比べて、前記第2電流経路に属するチャネル領域が前記複数のチャネル領域を占める割合(例えば25%)、及び、前記第3電流経路に属するチャネル領域が前記複数のチャネル領域を占める割合(例えば25%)は、小さい構成(第8の構成)であっても良い。
温度保護動作が働かないような通常時には出力トランジスタを第1駆動状態にて駆動することができる。第6の構成を採用すれば、通常時における損失を低減できる。
上記第1~第8の構成の何れかに係るスイッチ装置において、前記制御回路において、前記測定対象温度が前記保護温度(TTSD_H)に達することで前記温度保護動作が開始され、その後、前記測定対象温度が前記保護温度よりも低い所定の保護解除温度(TTSD_L)を下回ることで前記温度保護動作が解除される構成(第9の構成)であっても良い。
1 半導体装置
9 パワーMISFET
10 コントロールIC
11 ドレイン電極
12 ソース電極
21 センサMISFET
25 ゲート制御回路
26 アクティブクランプ回路
34 過電流保護回路
36 過熱保護回路
56 第1MISFET
57 第2MISFET
91 第1チャネル領域
111 第2チャネル領域
1000 スイッチ装置
1001 入力端子
1002 出力端子
1003 グランド端子
1004 自己診断端子
1010、1010A~1010C 出力トランジスタ
1110 ゲート制御回路
1120 低電圧保護回路
1130 過電流保護回路
1140 第1温度保護回路
1150 第2温度保護回路
1160 アクティブクランプ回路
1170 自己診断回路
9 パワーMISFET
10 コントロールIC
11 ドレイン電極
12 ソース電極
21 センサMISFET
25 ゲート制御回路
26 アクティブクランプ回路
34 過電流保護回路
36 過熱保護回路
56 第1MISFET
57 第2MISFET
91 第1チャネル領域
111 第2チャネル領域
1000 スイッチ装置
1001 入力端子
1002 出力端子
1003 グランド端子
1004 自己診断端子
1010、1010A~1010C 出力トランジスタ
1110 ゲート制御回路
1120 低電圧保護回路
1130 過電流保護回路
1140 第1温度保護回路
1150 第2温度保護回路
1160 アクティブクランプ回路
1170 自己診断回路
Claims (9)
- 複数のゲート信号に基づき互いに独立してオン状態又はオフ状態に制御される複数のチャネル領域を有する出力トランジスタと、
各チャネル領域の状態制御を通じて前記出力トランジスタを駆動可能であるとともに、測定対象温度が所定の保護温度に達することに応答して前記複数のチャネル領域を全てオフ状態に保つ温度保護動作を実行可能に構成された制御回路と、を備え、
前記複数のチャネル領域において、1以上のチャネル領域を含む第1電流経路と、他の1以上のチャネル領域を含む第2電流経路と、が形成され、
前記制御回路は、前記温度保護動作の非実行区間において、前記出力トランジスタを複数の駆動状態の何れかにて駆動可能であって、
前記複数の駆動状態は、前記第1電流経路に属するチャネル領域をオン状態とし且つ前記第2電流経路に属するチャネル領域をオフ状態とする第1駆動状態、及び、前記第2電流経路に属するチャネル領域をオン状態とし且つ前記第1電流経路に属するチャネル領域をオフ状態とする第2駆動状態を含み、
前記制御回路は、前記出力トランジスタを前記第1駆動状態にて駆動しているときに前記温度保護動作により全チャネル領域をオフ状態とした後、所定の解除条件が成立することで前記温度保護動作を解除する際、前記出力トランジスタの駆動状態を前記第2駆動状態に切り替え可能に構成される
、スイッチ装置。 - 前記制御回路は、前記温度保護動作の実行を経て前記温度保護動作が解除されるたびに、前記出力トランジスタの駆動状態を切り替え可能に構成される
、請求項1に記載のスイッチ装置。 - 前記制御回路は、前記温度保護動作の実行を経て前記温度保護動作が解除されるたびに、前記出力トランジスタの駆動状態を前記第1駆動状態及び前記第2駆動状態間で切り替え可能に構成される
、請求項1又は2に記載のスイッチ装置。 - 前記複数のチャネル領域において、前記1以上のチャネル領域を含む前記第1電流経路と、前記他の1以上のチャネル領域を含む前記第2電流経路と、更に他の1以上のチャネル領域を含む第3電流経路と、が形成され、
前記第1駆動状態では前記第2電流経路に属するチャネル領域に加えて前記第3電流経路に属するチャネル領域もオフ状態とされ、前記第2駆動状態では前記第1電流経路に属するチャネル領域に加えて前記第3電流経路に属するチャネル領域もオフ状態とされ、
前記複数の駆動状態は、前記第3電流経路に属するチャネル領域をオン状態とし且つ前記第1電流経路及び前記第2電流経路に属する各チャネル領域をオフ状態とする第3駆動状態を更に含み、
前記制御回路は、前記出力トランジスタの駆動状態を前記第1駆動状態から前記第2駆動状態に切り替えた後、前記温度保護動作の実行を経て前記温度保護動作が解除されるたびに、前記出力トランジスタの駆動状態を前記第2駆動状態及び前記第3駆動状態を含み且つ前記第1駆動状態を含まない2以上の駆動状態間で切り替え可能に構成される
、請求項1又は2に記載のスイッチ装置。 - 前記温度保護動作の解除を経て前記出力トランジスタが前記2以上の駆動状態の何れかにて駆動開始された後、所定時間以上、新たに前記温度保護動作が開始されないとき、前記制御回路は、前記出力トランジスタの駆動状態を前記第1駆動状態に戻すことが可能に構成される
、請求項4に記載のスイッチ装置。 - 前記温度保護動作の解除を経て前記出力トランジスタが前記2以上の駆動状態の何れかにて駆動開始された後、所定時間以上、新たに前記温度保護動作が開始されないとき、前記制御回路は、前記出力トランジスタの駆動状態を前記2以上の駆動状態に含まれる復帰前駆動状態から特定の駆動状態を経由して前記第1駆動状態に戻すことが可能に構成され、
前記複数のチャネル領域の内、前記特定の駆動状態においてオン状態とされるチャネル領域は、前記復帰前駆動状態においてオン状態とされるチャネル領域を含み且つ前記第1駆動状態においてオン状態とされるチャネル領域を含む
、請求項4に記載のスイッチ装置。 - 前記温度保護動作の解除を経て前記出力トランジスタが前記2以上の駆動状態の何れかにて駆動開始された後、所定時間以上、新たに前記温度保護動作が開始されないとき、前記制御回路は、前記出力トランジスタの駆動状態を前記2以上の駆動状態に含まれる切替前駆動状態から切替後駆動状態に切り替えることが可能に構成され、
前記複数のチャネル領域の内、前記切替後駆動状態においてオン状態とされるチャネル領域は、前記切替前駆動状態においてオン状態とされるチャネル領域を含み、他のチャネル領域を更に含む
、請求項4に記載のスイッチ装置。 - 前記第1電流経路に属するチャネル領域が前記複数のチャネル領域を占める割合に比べて、前記第2電流経路に属するチャネル領域が前記複数のチャネル領域を占める割合、及び、前記第3電流経路に属するチャネル領域が前記複数のチャネル領域を占める割合は、小さい
、請求項4~7の何れかに記載のスイッチ装置。 - 前記制御回路において、前記測定対象温度が前記保護温度に達することで前記温度保護動作が開始され、その後、前記測定対象温度が前記保護温度よりも低い所定の保護解除温度を下回ることで前記温度保護動作が解除される
、請求項1~8の何れかに記載のスイッチ装置。
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