JP2022104705A - 半導体装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】出力トランジスタのオン抵抗値を可変制御する。【解決手段】例えば、半導体装置は、複数のゲート信号が入力されるように構成されたゲート分割型の出力トランジスタと、オン抵抗選択信号に応じて前記複数のゲート信号を個別制御することにより前記出力トランジスタのオン抵抗を可変制御するように構成されたゲート制御回路と、を有する。【選択図】図20

Description

本明細書中に開示されている発明は、絶縁ゲート型のトランジスタを備えた半導体装置に関する。
本願出願人は、以前より、車載IPD[intelligent power device]などの半導体装置に関して、数多くの新技術を提案している(例えば特許文献1を参照)。
国際公開第2017/187785号
ところで、車載IPDの重要特性である出力トランジスタのオン抵抗は、負荷に流れる電流に応じて最適な値を選定しなければならない。そのため、従来の半導体装置では、オン抵抗の異なる複数の製品を幅広く取り揃えておく必要があった。
本明細書中に開示されている発明は、本願の発明者により見出された上記課題に鑑み、出力トランジスタのオン抵抗を可変制御することのできる半導体装置を提供することを目的とする。
例えば、本明細書中に開示されている半導体装置は、複数のゲート信号が入力されるように構成されたゲート分割型の出力トランジスタと、オン抵抗選択信号に応じて前記複数のゲート信号を個別制御することにより前記出力トランジスタのオン抵抗を可変制御するように構成されたゲート制御回路と、を有する構成(第1の構成)とされている。
なお、上記第1の構成から成る半導体装置において、前記ゲート制御回路は、イネーブル信号に応じて前記複数のゲート信号を一括制御することにより前記出力トランジスタをオン/オフする構成(第2の構成)にしてもよい。
また、上記第1又は第2の構成から成る半導体装置は、前記出力トランジスタのオフ遷移後、前記出力トランジスタの両端間電圧を所定のクランプ電圧以下に制限するアクティブクランプ回路をさらに有し、前記ゲート制御回路は、前記アクティブクランプ回路の動作前に前記オン抵抗を引き上げるように前記複数のゲート信号を個別制御する構成(第3の構成)にしてもよい。
また、上記第3の構成から成る半導体装置において、前記出力トランジスタは、前記アクティブクランプ回路が接続されない非クランプゲートを有し、前記ゲート制御回路は、前記アクティブクランプ回路の動作前に前記非クランプゲートを無効とする構成(第4の構成)にしてもよい。
また、上記第4の構成から成る半導体装置において、前記ゲート制御回路は、前記出力トランジスタの前記非クランプゲートとソースとの間に接続されて前記アクティブクランプ回路の内部ノード電圧に応じてオン/オフされるスイッチを含む構成(第5の構成)にしてもよい。
また、上記第1~第5いずれかの構成から成る半導体装置は、前記出力トランジスタに流れる出力電流を所定の上限値以下に制限するように構成された過電流保護回路をさらに有する構成(第6の構成)にしてもよい。
また、上記第6の構成から成る半導体装置は、前記複数のゲート信号が入力されて前記出力電流に応じたセンス電流を生成するように構成されたゲート分割型のセンサトランジスタをさらに有し、前記過電流保護回路は、前記センス電流に基づいて前記出力電流の過電流保護を行う構成(第7の構成)にしてもよい。
また、上記第1~第7いずれかの構成から成る半導体装置は、前記出力トランジスタの温度が所定の上限値に達したとき、若しくは、前記出力トランジスタと他の回路ブロックとの温度差が所定の上限値に達したときに、前記出力トランジスタを強制的にオフする、または、前記オン抵抗値選択信号に依ることなく前記出力トランジスタのオン抵抗を引き上げるように構成された過熱保護回路をさらに有する構成(第8の構成)にしてもよい。
また、上記第8の構成から成る半導体装置において、前記過熱保護回路の温度検出素子は、前記出力トランジスタの中央に配置されている構成(第9の構成)にしてもよい。
また、例えば、本明細書中に開示されている電子機器は、上記第1~第9いずれかの構成から成る半導体装置と、前記半導体装置に接続される負荷と、を有する構成(第10の構成)とされている。
本明細書中に開示されている発明によれば、出力トランジスタのオン抵抗を可変制御することのできる半導体装置を提供することが可能となる。
第1実施形態に係る半導体装置を1つの方向から見た斜視図 図1に示す半導体装置の電気的構造を示すブロック回路図 図1に示す半導体装置の通常動作およびアクティブクランプ動作を説明するための回路図 図3に示す回路図に適用される主要な電気信号の波形図 図1に示す領域Vの断面斜視図 図5から電極を取り除いた断面斜視図 図6から半導体層の上の構造を取り除いた断面斜視図であって、第1形態例に係るチャネル構造を含む形態を示す断面斜視図 図7の平面図 図5に示す第1トレンチゲート構造および第2トレンチゲート構造を含む領域の拡大断面図 図5に示す第1トレンチゲート構造の拡大断面図 図5に示す第2トレンチゲート構造の拡大断面図 図7に対応する領域の断面斜視図であって、第2形態例に係るチャネル構造を含む形態を示す断面斜視図 図7に対応する領域の断面斜視図であって、第3形態例に係るチャネル構造を含む形態を示す断面斜視図 アクティブクランプ耐量および面積抵抗率の関係を実測によって調べたグラフ 図1に示す半導体装置の第1制御例に係る通常動作を説明するための断面斜視図 図1に示す半導体装置の第1制御例に係るアクティブクランプ動作を説明するための断面斜視図 図1に示す半導体装置の第2制御例に係る通常動作を説明するための断面斜視図 図1に示す半導体装置の第2制御例に係るアクティブクランプ動作を説明するための断面斜視図 第2実施形態に係る半導体装置(アクティブクランプ動作時にパワーMISFETの第1Half-ON制御を行うための電気的構造)を示すブロック回路図 図16のパワーMISFETを第1MISFET及び第2MISFETとして表した等価回路図 図16におけるゲート制御回路及びアクティブクランプ回路の一構成例を示す回路図 アクティブクランプ動作時にパワーMISFETの第1Half-ON制御が行われる様子を示すタイミングチャート 第3実施形態に係る半導体装置(オン抵抗可変制御を行うための電気的構造)を示すブロック回路図 ピン配置の一例を示す図 オン抵抗選択制御の論理値表を示す図 過電流保護回路の一構成例を示す図 温度検出素子の配置例を示す図
以下では、添付図面を参照して、半導体装置に関する種々の実施形態を説明する。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る半導体装置1を1つの方向から見た斜視図である。以下では、半導体装置1がハイサイド側のスイッチングデバイスである形態例について説明するが、半導体装置1はハイサイド側のスイッチングデバイスに限定されるものではない。半導体装置1は、各種構造の電気的な接続形態や機能を調整することにより、ローサイド側のスイッチングデバイスとしても提供されることができる。
図1を参照して、半導体装置1は、半導体層2を含む。半導体層2はシリコンを含む。半導体層2は、直方体形状のチップ状に形成されている。半導体層2は、一方側の第1主面3、他方側の第2主面4、並びに、第1主面3および第2主面4を接続する側面5A,5B,5C,5Dを有している。
第1主面3および第2主面4は、それらの法線方向Zから見た平面視(以下、単に「平面視」という。)において四角形状に形成されている。側面5Aおよび側面5Cは、第1方向Xに沿って延び、第1方向Xに交差する第2方向Yに互いに対向している。側面5Bおよび側面5Dは、第2方向Yに沿って延び、第1方向Xに互いに対向している。第2方向Yは、より具体的には、第1方向Xに直交している。
半導体層2には、出力領域6および入力領域7が設定されている。出力領域6は、側面5C側の領域に設定されている。入力領域7は、側面5A側の領域に設定されている。平面視において、出力領域6の面積SOUTは、入力領域7の面積SIN以上である(SIN≦SOUT)。
面積SINに対する面積SOUTの比SOUT/SINは、1以上10以下であってもよい(1<SOUT/SIN≦10)。比SOUT/SINは、1以上2以下、2以上4以下、4以上6以下、6以上8以下、または、8以上10以下であってもよい。入力領域7の平面形状および出力領域6の平面形状は、任意であり、特定の形状に限定されない。むろん、比SOUT/SINは、0を超えて1未満であってもよい。
出力領域6は、絶縁ゲート型トランジスタの一例としてのパワーMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)9を含む。パワーMISFET9は、ゲート、ドレインおよびソースを含む。
入力領域7は、制御回路の一例としてのコントロールIC(Integrated Circuit)10を含む。コントロールIC10は、種々の機能を実現する複数種の機能回路を含む。複数種の機能回路は、外部からの電気信号に基づいてパワーMISFET9を駆動制御するゲート制御信号を生成する回路を含む。コントロールIC10は、パワーMISFET9と共に所謂IPD(Intelligent Power Device)を形成している。なお、IPDは、IPM(Intelligent Power Module)とも称される。
入力領域7は、領域分離構造8によって出力領域6から電気的に絶縁されている。図1では、領域分離構造8がハッチングによって示されている。具体的な説明は省略するが、領域分離構造8は、トレンチに絶縁体が埋め込まれたトレンチ絶縁構造を有してもよい。
半導体層2の上には、複数(ここでは6つ)の電極11,12,13,14,15,16が形成されている。図1では、ハッチングによって複数の電極11~16が示されている。複数の電極11~16は、導線(たとえばボンディングワイヤ)等によって外部接続される端子電極として形成されている。複数の電極11~16の個数、配置および平面形状は任意であり、図1に示される形態に限定されない。
複数の電極11~16の個数、配置および平面形状は、パワーMISFET9の仕様やコントロールIC10の仕様に応じて調整される。複数の電極11~16は、この形態では、ドレイン電極11(電源電極)、ソース電極12(出力電極)、入力電極13、基準電圧電極14、ENABLE電極15およびSENSE電極16を含む。
ドレイン電極11は、半導体層2の第2主面4の上に形成されている。ドレイン電極11は、半導体層2の第2主面4に電気的に接続されている。ドレイン電極11は、パワーMISFET9のドレインやコントロールIC10の各種回路に電源電圧VBを伝える。
ドレイン電極11は、Ti層、Ni層、Au層、Ag層およびAl層のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。ドレイン電極11は、Ti層、Ni層、Au層、Ag層またはAl層を含む単層構造を有していてもよい。ドレイン電極11は、Ti層、Ni層、Au層、Ag層およびAl層のうちの少なくとも2つを任意の態様で積層させた積層構造を有していてもよい。
ソース電極12は、第1主面3において出力領域6の上に形成されている。ソース電極12は、パワーMISFET9のソースに電気的に接続されている。ソース電極12は、パワーMISFET9によって生成された電気信号を外部に伝達する。
入力電極13、基準電圧電極14、ENABLE電極15及びSENSE電極16は、第1主面3において入力領域7の上にそれぞれ形成されている。入力電極13は、コントロールIC10を駆動するための入力電圧を伝達する。
基準電圧電極14は、コントロールIC10に基準電圧(たとえばグランド電圧)を伝達する。ENABLE電極15は、コントロールIC10の一部または全部の機能を有効または無効にするための電気信号を伝達する。SENSE電極16は、コントロールIC10の異常を検出するための電気信号を伝達する。
半導体層2の上には、制御配線の一例としてのゲート制御配線17がさらに形成されている。ゲート制御配線17は、出力領域6及び入力領域7に選択的に引き回されている。ゲート制御配線17は、出力領域6においてパワーMISFET9のゲートに電気的に接続され、入力領域7においてコントロールIC10に電気的に接続されている。
ゲート制御配線17は、コントロールIC10によって生成されたゲート制御信号をパワーMISFET9のゲートに伝達する。ゲート制御信号は、オン信号Vonおよびオフ信号Voffを含み、パワーMISFET9のオン状態およびオフ状態を制御する。
オン信号Vonは、パワーMISFET9のゲート閾値電圧Vthよりも高い(Vth<Von)。オフ信号Voffは、パワーMISFET9のゲート閾値電圧Vthよりも低い(Voff<Vth)。オフ信号Voffは、基準電圧(たとえばグランド電圧)であってもよい。
ゲート制御配線17は、この形態では、第1ゲート制御配線17A、第2ゲート制御配線17Bおよび第3ゲート制御配線17Cを含む。第1ゲート制御配線17A、第2ゲート制御配線17Bおよび第3ゲート制御配線17Cは、互いに電気的に絶縁されている。
この形態では、2つの第1ゲート制御配線17Aが異なる領域に引き回されている。また、2つの第2ゲート制御配線17Bが異なる領域に引き回されている。また、2つの第3ゲート制御配線17Cが異なる領域に引き回されている。
第1ゲート制御配線17A、第2ゲート制御配線17Bおよび第3ゲート制御配線17Cは、同一のまたは異なるゲート制御信号をパワーMISFET9のゲートに伝達する。ゲート制御配線17の個数、配置、形状等は任意であり、ゲート制御信号の伝達距離や、伝達すべきゲート制御信号の数に応じて調整される。
ソース電極12、入力電極13、基準電圧電極14、ENABLE電極15、SENSE電極16およびゲート制御配線17は、ニッケル、パラジウム、アルミニウム、銅、アルミニウム合金および銅合金のうちの少なくとも1種をそれぞれ含んでいてもよい。
ソース電極12、入力電極13、基準電圧電極14、ENABLE電極15、SENSE電極16およびゲート制御配線17は、Al-Si-Cu(アルミニウム-シリコン-銅)合金、Al-Si(アルミニウム-シリコン)合金、および、Al-Cu(アルミニウム-銅)合金のうちの少なくとも1種をそれぞれ含んでいてもよい。
ソース電極12、入力電極13、基準電圧電極14、ENABLE電極15、SENSE電極16およびゲート制御配線17は、同一種の電極材料を含んでいてもよいし、互いに異なる電極材料を含んでいてもよい。
図2は、図1に示す半導体装置1の電気的構造を示すブロック回路図である。以下では半導体装置1が車に搭載される場合を例にとって説明する。
半導体装置1は、ドレイン電極11、ソース電極12、入力電極13、基準電圧電極14、ENABLE電極15、SENSE電極16、ゲート制御配線17、パワーMISFET9およびコントロールIC10を含む。
ドレイン電極11は、電源に接続される。ドレイン電極11は、パワーMISFET9およびコントロールIC10に電源電圧VBを提供する。電源電圧VBは、10V以上20V以下であってもよい。ソース電極12は、負荷に接続される。
入力電極13は、MCU(Micro Controller Unit)、DC/DCコンバータ、LDO(Low Drop Out)等に接続されてもよい。入力電極13は、コントロールIC10に入力電圧を提供する。入力電圧は、1V以上10V以下であってもよい。基準電圧電極14は基準電圧配線に接続される。基準電圧電極14は、パワーMISFET9およびコントロールIC10に基準電圧を提供する。
ENABLE電極15は、MCUに接続されてもよい。ENABLE電極15には、コントロールIC10の一部または全部の機能を有効または無効にするための電気信号が入力される。SENSE電極16は、抵抗器に接続されてもよい。
パワーMISFET9のゲートは、ゲート制御配線17を介してコントロールIC10(後述のゲート制御回路25)に接続されている。パワーMISFET9のドレインは、ドレイン電極11に接続されている。パワーMISFET9のソースは、コントロールIC10(後述する電流検出回路27)およびソース電極12に接続されている。
コントロールIC10は、センサMISFET21、入力回路22、電流・電圧制御回路23、保護回路24、ゲート制御回路25、アクティブクランプ回路26、電流検出回路27、電源逆接続保護回路28および異常検出回路29を含む。
センサMISFET21のゲートは、ゲート制御回路25に接続されている。センサMISFET21のドレインは、ドレイン電極11に接続されている。センサMISFET21のソースは、電流検出回路27に接続されている。
入力回路22は、入力電極13および電流・電圧制御回路23に接続されている。入力回路22は、シュミットトリガ回路を含んでいてもよい。入力回路22は、入力電極13に印加された電気信号の波形を整形する。入力回路22により生成された信号は、電流・電圧制御回路23に入力される。
電流・電圧制御回路23は、保護回路24、ゲート制御回路25、電源逆接続保護回路28および異常検出回路29に接続されている。電流・電圧制御回路23は、ロジック回路を含んでいてもよい。
電流・電圧制御回路23は、入力回路22からの電気信号および保護回路24からの電気信号に応じて種々の電圧を生成する。電流・電圧制御回路23は、この形態では、駆動電圧生成回路30、第1定電圧生成回路31、第2定電圧生成回路32および基準電圧・基準電流生成回路33を含む。
駆動電圧生成回路30は、ゲート制御回路25を駆動するための駆動電圧を生成する。駆動電圧は、電源電圧VBから所定値を差し引いた値に設定されてもよい。駆動電圧生成回路30は、電源電圧VBから5Vを差し引いた5V以上15V以下の駆動電圧を生成してもよい。駆動電圧は、ゲート制御回路25に入力される。
第1定電圧生成回路31は、保護回路24を駆動するための第1定電圧を生成する。第1定電圧生成回路31は、ツェナーダイオードやレギュレータ回路(ここではツェナーダイオード)を含んでいてもよい。第1定電圧は、1V以上5V以下であってもよい。第1定電圧は、保護回路24(より具体的には、後述する負荷オープン検出回路35等)に入力される。
第2定電圧生成回路32は、保護回路24を駆動するための第2定電圧を生成する。第2定電圧生成回路32は、ツェナーダイオードやレギュレータ回路(ここではレギュレータ回路)を含んでいてもよい。第2定電圧は、1V以上5V以下であってもよい。第2定電圧は、保護回路24(より具体的には、後述する過熱保護回路36や低電圧誤動作抑制回路37)に入力される。
基準電圧・基準電流生成回路33は、各種回路の基準電圧および基準電流を生成する。基準電圧は、1V以上5V以下であってもよい。基準電流は、1mA以上1A以下であってもよい。基準電圧および基準電流は、各種回路に入力される。各種回路がコンパレータを含む場合、基準電圧および基準電流は、当該コンパレータに入力されてもよい。
保護回路24は、電流・電圧制御回路23、ゲート制御回路25、異常検出回路29、パワーMISFET9のソース及びセンサMISFET21のソースに接続されている。保護回路24は、過電流保護回路34、負荷オープン検出回路35、過熱保護回路36および低電圧誤動作抑制回路37を含む。
過電流保護回路34は、過電流からパワーMISFET9を保護する。過電流保護回路34は、ゲート制御回路25およびセンサMISFET21のソースに接続されている。過電流保護回路34は、電流モニタ回路を含んでいてもよい。過電流保護回路34によって生成された信号は、ゲート制御回路25(より具体的には、後述する駆動信号出力回路40)に入力される。
負荷オープン検出回路35は、パワーMISFET9のショート状態やオープン状態を検出する。負荷オープン検出回路35は、電流・電圧制御回路23及びパワーMISFET9のソースに接続されている。負荷オープン検出回路35によって生成された信号は、電流・電圧制御回路23に入力される。
過熱保護回路36は、パワーMISFET9の温度を監視し、過度な温度上昇からパワーMISFET9を保護する。過熱保護回路36は、電流・電圧制御回路23に接続されている。過熱保護回路36は、感温ダイオードやサーミスタ等の感温デバイスを含んでいてもよい。過熱保護回路36によって生成された信号は、電流・電圧制御回路23に入力される。
低電圧誤動作抑制回路37は、電源電圧VBが所定値未満である場合にパワーMISFET9が誤動作するのを抑制する。低電圧誤動作抑制回路37は、電流・電圧制御回路23に接続されている。低電圧誤動作抑制回路37によって生成された信号は、電流・電圧制御回路23に入力される。
ゲート制御回路25は、パワーMISFET9のオン状態およびオフ状態、ならびに、センサMISFET21のオン状態およびオフ状態を制御する。ゲート制御回路25は、電流・電圧制御回路23、保護回路24、パワーMISFET9のゲートおよびセンサMISFET21のゲートに接続されている。
ゲート制御回路25は、電流・電圧制御回路23からの電気信号および保護回路24からの電気信号に応じて、ゲート制御配線17の個数に応じた複数種のゲート制御信号を生成する。複数種のゲート制御信号は、ゲート制御配線17を介してパワーMISFET9のゲートおよびセンサMISFET21のゲートにそれぞれ入力される。
ゲート制御回路25は、より具体的には、発振回路38、チャージポンプ回路39および駆動信号出力回路40を含む。発振回路38は、電流・電圧制御回路23からの電気信号に応じて発振し、所定の電気信号を生成する。発振回路38によって生成された電気信号は、チャージポンプ回路39に入力される。チャージポンプ回路39は、発振回路38からの電気信号を昇圧させる。チャージポンプ回路39によって昇圧された電気信号は、駆動信号出力回路40に入力される。
駆動信号出力回路40は、チャージポンプ回路39からの電気信号および保護回路24(より具体的には、過電流保護回路34)からの電気信号に応じて複数種のゲート制御信号を生成する。複数種のゲート制御信号は、ゲート制御配線17を介してパワーMISFET9のゲートおよびセンサMISFET21のゲートに入力される。センサMISFET21およびパワーMISFET9は、ゲート制御回路25によって同時に制御される。
アクティブクランプ回路26は、逆起電力からパワーMISFET9を保護する。アクティブクランプ回路26は、ドレイン電極11、パワーMISFET9のゲートおよびセンサMISFET21のゲートに接続されている。アクティブクランプ回路26は、複数のダイオードを含んでいてもよい。
アクティブクランプ回路26は、互いに順バイアス接続された複数のダイオードを含んでいてもよい。アクティブクランプ回路26は、互いに逆バイアス接続された複数のダイオードを含んでいてもよい。アクティブクランプ回路26は、互いに順バイアス接続された複数のダイオード、および、互いに逆バイアス接続された複数のダイオードを含んでいてもよい。
複数のダイオードは、pn接合ダイオード、または、ツェナーダイオード、もしくは、pn接合ダイオードおよびツェナーダイオードを含んでいてもよい。アクティブクランプ回路26は、互いにバイアス接続された複数のツェナーダイオードを含んでいてもよい。アクティブクランプ回路26は、互いに逆バイアス接続されたツェナーダイオードおよびpn接合ダイオードを含んでいてもよい。
電流検出回路27は、パワーMISFET9およびセンサMISFET21を流れる電流を検出する。電流検出回路27は、保護回路24、異常検出回路29、パワーMISFET9のソースおよびセンサMISFET21のソースに接続されている。電流検出回路27は、パワーMISFET9によって生成された電気信号およびセンサMISFET21によって生成された電気信号に応じて、電流検出信号を生成する。電流検出信号は、異常検出回路29に入力される。
電源逆接続保護回路28は、電源が逆接続された際に、逆電圧から電流・電圧制御回路23やパワーMISFET9等を保護する。電源逆接続保護回路28は、基準電圧電極14および電流・電圧制御回路23に接続されている。
異常検出回路29は、保護回路24の電圧を監視する。異常検出回路29は、電流・電圧制御回路23、保護回路24および電流検出回路27に接続されている。過電流保護回路34、負荷オープン検出回路35、過熱保護回路36および低電圧誤動作抑制回路37のいずれかに異常(電圧の変動等)が生じた場合、異常検出回路29は、保護回路24の電圧に応じた異常検出信号を生成し、外部に出力する。
異常検出回路29は、より具体的には、第1マルチプレクサ回路41および第2マルチプレクサ回路42を含む。第1マルチプレクサ回路41は、2つの入力部、1つの出力部および1つの選択制御入力部を含む。第1マルチプレクサ回路41の入力部には、保護回路24および電流検出回路27がそれぞれ接続されている。第1マルチプレクサ回路41の出力部には、第2マルチプレクサ回路42が接続されている。第1マルチプレクサ回路41の選択制御入力部には、電流・電圧制御回路23が接続されている。
第1マルチプレクサ回路41は、電流・電圧制御回路23からの電気信号、保護回路24からの電圧検出信号および電流検出回路27からの電流検出信号に応じて、異常検出信号を生成する。第1マルチプレクサ回路41によって生成された異常検出信号は、第2マルチプレクサ回路42に入力される。
第2マルチプレクサ回路42は、2つの入力部および1つの出力部を含む。第2マルチプレクサ回路42の入力部には、第2マルチプレクサ回路42の出力部およびENABLE電極15がそれぞれ接続されている。第2マルチプレクサ回路42の出力部には、SENSE電極16が接続されている。
ENABLE電極15にMCUが接続され、SENSE電極16に抵抗器が接続されている場合、MCUからENABLE電極15にオン信号が入力され、SENSE電極16から異常検出信号が取り出される。異常検出信号は、SENSE電極16に接続された抵抗器によって電気信号に変換される。半導体装置1の状態異常は、この電気信号に基づいて検出される。
図3は、図1に示す半導体装置1のアクティブクランプ動作を説明するための回路図である。図4は、図3に示す回路図の主要な電気信号の波形図である。
ここでは、パワーMISFET9に誘導性負荷Lが接続された回路例を用いて、半導体装置1の通常動作及びアクティブクランプ動作を説明する。ソレノイド、モータ、トランス、リレー等の巻線(コイル)を利用したデバイスが、誘導性負荷Lとして例示される。誘導性負荷Lは、L負荷とも称される。
図3を参照して、パワーMISFET9のソースは、誘導性負荷Lに接続されている。パワーMISFET9のドレインは、ドレイン電極11に電気的に接続されている。パワーMISFET9のゲートおよびドレインは、アクティブクランプ回路26に接続されている。アクティブクランプ回路26は、この回路例では、m個(mは自然数)のツェナーダイオードDZおよびn個(nは自然数)のpn接合ダイオードDを含む。pn接合ダイオードDは、ツェナーダイオードDZに対して逆バイアス接続されている。
図3および図4を参照して、オフ状態のパワーMISFET9のゲートにオン信号Vonが入力されると、パワーMISFET9がオフ状態からオン状態に切り替わる(通常動作)。オン信号Vonは、ゲート閾値電圧Vth以上(Vth≦Von)の電圧を有している。パワーMISFET9は、所定のオン時間TONだけ、オン状態に維持される。
パワーMISFET9がオン状態に切り替わると、ドレイン電流IDが、パワーMISFET9のドレインからソースに向けて流れ始める。ドレイン電流IDは、零から所定の値まで増加し、飽和する。誘導性負荷Lは、ドレイン電流IDの増加に起因して誘導性エネルギを蓄積させる。
パワーMISFET9のゲートにオフ信号Voffが入力されると、パワーMISFET9がオン状態からオフ状態に切り替わる。オフ信号Voffは、ゲート閾値電圧Vth未満の電圧(Voff<Vth)を有している。オフ信号Voffは、基準電圧(たとえばグランド電圧)であってもよい。
パワーMISFET9がオン状態からオフ状態に切り替わる遷移時では、誘導性負荷Lの誘導性エネルギが、逆起電力としてパワーMISFET9に印加される。これにより、パワーMISFET9がアクティブクランプ状態になる(アクティブクランプ動作)。パワーMISFET9がアクティブクランプ状態になると、ソース電圧VSSが、基準電圧(グランド電圧)未満の負電圧まで急激に下降する。
このとき、ソース電圧VSSは、アクティブクランプ回路26の動作に起因して、電源電圧VBから制限電圧VL及びクランプオン電圧VCLPを減算した電圧以上の電圧(VSS≧VB-VL-VCLP)に制限される。
換言すると、パワーMISFET9がアクティブクランプ状態になると、パワーMISFET9のドレイン・ソース間のドレイン電圧VDSは、クランプ電圧VDSSCLまで急激に上昇する。クランプ電圧VDSSCLは、パワーMISFET9およびアクティブクランプ回路26によって、クランプオン電圧VCLPおよび制限電圧VLを加算した電圧以下の電圧(VDS≦VCLP+VL)に制限される。
制限電圧VLは、この形態では、アクティブクランプ回路26におけるツェナーダイオードDZの端子間電圧VZ及びpn接合ダイオードの端子間電圧VFの総和(VL=m・VZ+n・VF)である。
クランプオン電圧VCLPは、パワーMISFET9のゲート・ソース間に印加される正電圧(つまり、ゲート電圧VGS)である。クランプオン電圧VCLPは、ゲート閾値電圧Vth以上(Vth≦VCLP)である。したがって、パワーMISFET9は、アクティブクランプ状態においてオン状態を維持する。
クランプ電圧VDSSCLが最大定格ドレイン電圧VDSSを超えた場合(VDSS<VDSSCL)、パワーMISFET9は破壊に至る。パワーMISFET9は、クランプ電圧VDSSCLが最大定格ドレイン電圧VDSS以下(VDSSCL≦VDSS)になるように設計される。
クランプ電圧VDSSCLが最大定格ドレイン電圧VDSS以下の場合(VDSSCL≦VDSS)、ドレイン電流IDがパワーMISFET9のドレインからソースに向けて流れ続け、誘導性負荷Lの誘導性エネルギがパワーMISFET9において消費(吸収)される。
ドレイン電流IDは、アクティブクランプ時間TAVを経て、パワーMISFET9のオフ直前のピーク値IAVからゼロに減少する。これにより、ゲート電圧VGSが基準電圧(たとえばグランド電圧)になり、パワーMISFET9がオン状態からオフ状態に切り替わる。
パワーMISFET9のアクティブクランプ耐量Eacは、アクティブクランプ動作時におけるパワーMISFET9の耐量によって定義される。アクティブクランプ耐量Eacは、より具体的には、パワーMISFET9のオン状態からオフ状態への遷移時において、誘導性負荷Lの誘導性エネルギに起因して生じる逆起電力に対するパワーMISFET9の耐量によって定義される。
アクティブクランプ耐量Eacは、さらに具体的には、クランプ電圧VDSSCLに起因して生じるエネルギに対するパワーMISFET9の耐量によって定義される。たとえば、アクティブクランプ耐量Eacは、制限電圧VL、クランプオン電圧VCLP、ドレイン電流ID及びアクティブクランプ時間TAVを用いて、Eac=(VL+VCLP)×ID×TAVの式で表される。
図5は、図1に示す領域Vの断面斜視図である。図6は、図5からソース電極12およびゲート制御配線17を取り除いた断面斜視図である。図7は、図6から層間絶縁層142を取り除いた断面斜視図であって、第1形態例に係るチャネル構造を含む形態を示す断面斜視図である。
図8は、図7の平面図である。図9は、図5に示す第1トレンチゲート構造60(第1ゲート構造)および第2トレンチゲート構造70(第2ゲート構造)を含む領域の拡大断面図である。図10は、図5に示す第1トレンチゲート構造60の拡大断面図である。図11は、図5に示す第2トレンチゲート構造70の拡大断面図である。
図5~図11を参照して、半導体層2は、この形態では、n型の半導体基板51およびn型のエピタキシャル層52を含む積層構造を有している。半導体基板51によって半導体層2の第2主面4が形成されている。エピタキシャル層52によって半導体層2の第1主面3が形成されている。半導体基板51およびエピタキシャル層52によって半導体層2の側面5A~5Dが形成されている。
エピタキシャル層52は、半導体基板51のn型不純物濃度未満のn型不純物濃度を有する。半導体基板51のn型不純物濃度は、1×1018cm-3以上1×1020cm-3以下であってもよい。エピタキシャル層52のn型不純物濃度は、1×1015cm-3以上1×1018cm-3以下であってもよい。
エピタキシャル層52は、半導体基板51の厚さTsub未満の厚さTepi(Tepi<Tsub)を有している。厚さTsubは、50μm以上450μm以下であってもよい。厚さTsubは、50μm以上150μm以下、150μm以上250μm以下、250μm以上350μm以下、又は、350μm以上450μm以下であってもよい。
厚さTsubを低減させることにより、抵抗値を低減できる。厚さTsubは、研削によって調整される。この場合、半導体層2の第2主面4は、研削痕を有する研削面であってもよい。
エピタキシャル層52の厚さTepiは、厚さTsubの1/10以下であることが好ましい。厚さTepiは、5μm以上20μm以下であってもよい。厚さTepiは、5μm以上10μm以下、10μm以上15μm以下、または、15μm以上20μm以下であってもよい。厚さTepiは、5μm以上15μm以下であることが好ましい。
半導体基板51は、ドレイン領域53として半導体層2の第2主面4側に形成されている。エピタキシャル層52は、ドリフト領域54(ドレインドリフト領域)として半導体層2の第1主面3の表層部に形成されている。ドリフト領域54の底部は、半導体基板51およびエピタキシャル層52の境界によって形成されている。以下、エピタキシャル層52をドリフト領域54という。
出力領域6において半導体層2の第1主面3の表層部には、p型のボディ領域55が形成されている。ボディ領域55は、パワーMISFET9の基礎となる領域である。ボディ領域55のp型不純物濃度は、1×1016cm-3以上1×1018cm-3以下であってもよい。
ボディ領域55は、ドリフト領域54の表層部に形成されている。ボディ領域55の底部は、ドリフト領域54の底部に対して第1主面3側の領域に形成されている。ボディ領域55の厚さは、0.5μm以上2μm以下であってもよい。ボディ領域55の厚さは、0.5μm以上1μm以下、1μm以上1.5μm以下、または、1.5μm以上2μm以下であってもよい。
パワーMISFET9は、第1MISFET56(第1トランジスタ)および第2MISFET57(第2トランジスタ)を含む。第1MISFET56は、第2MISFET57から電気的に分離されており、独立して制御される。第2MISFET57は、第1MISFET56から電気的に分離されており、独立して制御される。
つまり、パワーMISFET9は、第1MISFET56及び第2MISFET57の双方がオン状態において駆動するように構成されている(Full-ON制御)。また、パワーMISFET9は、第1MISFET56がオン状態である一方で第2MISFET57がオフ状態で駆動するように構成されている(第1Half-ON制御)。更に、パワーMISFET9は、第1MISFET56がオフ状態である一方で第2MISFET57がオン状態で駆動するように構成されている(第2Half-ON制御)。
Full-ON制御の場合、全ての電流経路が解放された状態でパワーMISFET9が駆動される。したがって、半導体層2内のオン抵抗は相対的に低下する。一方、第1Half-ON制御または第2Half-ON制御の場合、一部の電流経路が遮断された状態でパワーMISFET9が駆動される。したがって、半導体層2内のオン抵抗は相対的に増加する。
第1MISFET56は、具体的には複数の第1FET(Field Effect Transistor)構造58を含む。複数の第1FET構造58は、平面視において第1方向Xに沿って間隔を空けて配列され、第2方向Yに沿って帯状にそれぞれ延びている。複数の第1FET構造58は、平面視において全体としてストライプ状に形成されている。
図5~図8では、第1FET構造58の一端部側の領域を図示し、第1FET構造58の他端部側の領域の図示を省略している。なお、第1FET構造58の他端部側の領域の構造は、第1FET構造58の一端部側の領域の構造とほぼ同様である。以下では、第1FET構造58の一端部側の領域の構造を例にとって説明し、第1FET構造58の他端部側の領域の構造についての説明は省略する。
各第1FET構造58は、この形態では、第1トレンチゲート構造60を含む。第1トレンチゲート構造60の第1幅WT1は、0.5μm以上5μm以下であってもよい。第1幅WT1は、第1トレンチゲート構造60が延びる方向(第2方向Y)に直交する方向(第1方向X)の幅である。
なお、第1幅WT1は、0.5μm以上1μm以下、1μm以上1.5μm以下、1.5μm以上2μm以下、2μm以上2.5μm以下、2.5μm以上3μm以下、3μm以上3.5μm以下、3.5μm以上4μm以下、4μm以上4.5μm以下、または、4.5μm以上5μm以下であってもよい。第1幅WT1は、0.8μm以上1.2μm以下であることが好ましい。
第1トレンチゲート構造60は、ボディ領域55を貫通し、ドリフト領域54に達している。第1トレンチゲート構造60の第1深さDT1は、1μm以上10μm以下であってもよい。第1深さDT1は、1μm以上2μm以下、2μm以上4μm以下、4μm以上6μm以下、6μm以上8μm以下、又は、8μm以上10μm以下であってもよい。第1深さDT1は、2μm以上6μm以下であることが好ましい。
第1トレンチゲート構造60は、一方側の第1側壁61、他方側の第2側壁62、ならびに、第1側壁61および第2側壁62を接続する底壁63を含む。以下では、第1側壁61、第2側壁62および底壁63を纏めて「内壁」または「外壁」ということがある。
半導体層2内において第1側壁61が第1主面3との間で成す角度(テーパ角)の絶対値は、90°を超えて95°以下(たとえば91°程度)であってもよい。半導体層2内において第2側壁62が第1主面3との間で成す角度(テーパ角)の絶対値は、90°を超えて95°以下(たとえば91°程度)であってもよい。第1トレンチゲート構造60は、断面視において第1主面3側から底壁63側に向けて第1幅WT1が狭まる先細り形状(テーパ形状)に形成されていてもよい。
第1トレンチゲート構造60の底壁63は、ドリフト領域54の底部に対して第1主面3側の領域に位置している。第1トレンチゲート構造60の底壁63は、ドリフト領域54の底部に向かう凸湾曲状(U字状)に形成されている。
第1トレンチゲート構造60の底壁63は、ドリフト領域54の底部に対して1μm以上10μm以下の第1間隔IT1を空けて第1主面3側の領域に位置している。第1間隔IT1は、1μm以上2μm以下、2μm以上4μm以下、4μm以上6μm以下、6μm以上8μm以下、又は、8μm以上10μm以下であってもよい。第1間隔IT1は、1μm以上5μm以下であることが好ましい。
第2MISFET57は、この形態では、複数の第2FET構造68を含む。複数の第2FET構造68は、平面視において第1方向Xに沿って間隔を空けて配列され、第2方向Yに沿って帯状にそれぞれ延びている。
複数の第2FET構造68は、複数の第1FET構造58と同一方向に沿って延びている。複数の第2FET構造68は、平面視において全体としてストライプ状に形成されている。複数の第2FET構造68は、この形態では、1個の第1FET構造58を挟む態様で複数の第1FET構造58と交互に配列されている。
図5~図8では、第2FET構造68の一端部側の領域を図示し、第2FET構造68の他端部側の領域の図示を省略している。なお、第2FET構造68の他端部側の領域の構造は、第2FET構造68の一端部側の領域の構造とほぼ同様である。以下では、第2FET構造68の一端部側の領域の構造を例にとって説明し、第2FET構造68の他端部側の領域の構造についての説明は省略する。
各第2FET構造68は、この形態では、第2トレンチゲート構造70を含む。第2トレンチゲート構造70の第2幅WT2は、0.5μm以上5μm以下であってもよい。第2幅WT2は、第2トレンチゲート構造70が延びる方向(第2方向Y)に直交する方向(第1方向X)の幅である。
なお、第2幅WT2は、0.5μm以上1μm以下、1μm以上1.5μm以下、1.5μm以上2μm以下、2μm以上2.5μm以下、2.5μm以上3μm以下、3μm以上3.5μm以下、3.5μm以上4μm以下、4μm以上4.5μm以下、または、4.5μm以上5μm以下であってもよい。第2幅WT2は、0.8μm以上1.2μm以下であることが好ましい。
第2トレンチゲート構造70の第2幅WT2は、第1トレンチゲート構造60の第1幅WT1以上(WT1≦WT2)であってもよい。第2幅WT2は、第1幅WT1以下(WT1≧WT2)であってもよい。第2幅WT2は、第1幅WT1と等しい(WT1=WT2)ことが好ましい。
第2トレンチゲート構造70は、ボディ領域55を貫通し、ドリフト領域54に達している。第2トレンチゲート構造70の第2深さDT2は、1μm以上10μm以下であってもよい。第2深さDT2は、1μm以上2μm以下、2μm以上4μm以下、4μm以上6μm以下、6μm以上8μm以下、又は、8μm以上10μm以下であってもよい。第2深さDT2は、2μm以上6μm以下であることが好ましい。
第2トレンチゲート構造70の第2深さDT2は、第1トレンチゲート構造60の第1深さDT1以上(DT1≦DT2)であってもよい。第2深さDT2は、第1深さDT1以下(DT1≧DT2)であってもよい。なお、第2深さDT2は、第1深さDT1と等しい(DT1=DT2)ことが好ましい。
第2トレンチゲート構造70は、一方側の第1側壁71、他方側の第2側壁72、ならびに、第1側壁71および第2側壁72を接続する底壁73を含む。以下では、第1側壁71、第2側壁72および底壁73を纏めて「内壁」または「外壁」ということがある。
半導体層2内において第1側壁71が第1主面3との間で成す角度(テーパ角)の絶対値は、90°を超えて95°以下(たとえば91°程度)であってもよい。半導体層2内において第2側壁72が第1主面3との間で成す角度(テーパ角)の絶対値は、90°を超えて95°以下(たとえば91°程度)であってもよい。第2トレンチゲート構造70は、断面視において第1主面3側から底壁73側に向けて第2幅WT2が狭まる先細り形状(テーパ形状)に形成されていてもよい。
第2トレンチゲート構造70の底壁73は、ドリフト領域54の底部に対して第1主面3側の領域に位置している。第2トレンチゲート構造70の底壁73は、ドリフト領域54の底部に向かう凸湾曲状(U字状)に形成されている。
第2トレンチゲート構造70の底壁73は、ドリフト領域54の底部に対して1μm以上10μm以下の第2間隔IT2を空けて第1主面3側の領域に位置している。第2間隔IT2は、1μm以上2μm以下、2μm以上4μm以下、4μm以上6μm以下、6μm以上8μm以下、又は、8μm以上10μm以下であってもよい。第2間隔IT2は、1μm以上5μm以下であることが好ましい。
複数の第1トレンチゲート構造60および複数の第2トレンチゲート構造70の間の領域には、セル領域75がそれぞれ区画されている。複数のセル領域75は、平面視において第1方向Xに沿って間隔を空けて配列され、第2方向Yに沿って帯状にそれぞれ延びている。複数のセル領域75は、第1トレンチゲート構造60および第2トレンチゲート構造70と同一方向に沿って延びている。複数のセル領域75は、平面視において全体としてストライプ状に形成されている。
第1トレンチゲート構造60の外壁からは、ドリフト領域54の内部に第1空乏層が拡がる。第1空乏層は、第1トレンチゲート構造60の外壁から第1主面3に沿う方向および法線方向Zに向けて広がる。同様に、第2トレンチゲート構造70の外壁からは、ドリフト領域54内に第2空乏層が拡がる。第2空乏層は、第2トレンチゲート構造70の外壁から第1主面3に沿う方向および法線方向Zに向けて広がる。
第2トレンチゲート構造70は、第2空乏層が第1空乏層に重なる態様で、第1トレンチゲート構造60から間隔を空けて配列されている。つまり、第2空乏層は、セル領域75において第2トレンチゲート構造70の底壁73に対して第1主面3側の領域で第1空乏層に重なる。このような構造によれば、第1トレンチゲート構造60および第2トレンチゲート構造70に電界が集中するのを抑制できるから、ブレークダウン電圧の低下を抑制できる。
第2空乏層は、第2トレンチゲート構造70の底壁73に対してドリフト領域54の底部側の領域で第1空乏層に重なることが好ましい。このような構造によれば、第1トレンチゲート構造60の底壁63および第2トレンチゲート構造70の底壁73に電界が集中するのを抑制できるから、ブレークダウン電圧の低下を適切に抑制できる。
第1トレンチゲート構造60および第2トレンチゲート構造70の側壁間のピッチPSは、0.2μm以上2μm以下であってもよい。ピッチPSは、第1トレンチゲート構造60の第1側壁61(第2側壁62)および第2トレンチゲート構造70の第2側壁72(第1側壁71)の間において、第1トレンチゲート構造60および第2トレンチゲート構造70が延びる方向(第2方向Y)に直交する方向(第1方向X)の距離である。
ピッチPSは、0.2μm以上0.4μm以下、0.4μm以上0.6μm以下、0.6μm以上0.8μm以下、0.8μm以上1.0μm以下、1.0μm以上1.2μm以下、1.2μm以上1.4μm以下、1.4μm以上1.6μm以下、1.6μm以上1.8μm以下、又は、1.8μm以上2.0μm以下であってもよい。ピッチPSは、0.3μm以上1.5μm以下であることが好ましい。
第1トレンチゲート構造60および第2トレンチゲート構造70の中央部間のピッチPCは、1μm以上7μm以下であってもよい。ピッチPCは、第1トレンチゲート構造60の中央部および第2トレンチゲート構造70の中央部の間において、第1トレンチゲート構造60および第2トレンチゲート構造70が延びる方向(第2方向Y)に直交する方向(第1方向X)の距離である。
なお、ピッチPCは、1μm以上2μm以下、2μm以上3μm以下、3μm以上4μm以下、4μm以上5μm以下、5μm以上6μm以下、または、6μm以上7μm以下であってもよい。ピッチPCは、1μm以上3μm以下であることが好ましい。
図9および図10を参照して、第1トレンチゲート構造60は、より具体的には、第1ゲートトレンチ81、第1絶縁層82および第1電極83を含む。第1ゲートトレンチ81は、第1主面3を第2主面4側に向けて掘り下げることによって形成されている。
第1ゲートトレンチ81は、第1トレンチゲート構造60の第1側壁61、第2側壁62および底壁63を区画している。以下では、第1トレンチゲート構造60の第1側壁61、第2側壁62および底壁63を、第1ゲートトレンチ81の第1側壁61、第2側壁62および底壁63ともいう。
第1絶縁層82は、第1ゲートトレンチ81の内壁に沿って膜状に形成されている。第1絶縁層82は、第1ゲートトレンチ81内において凹状の空間を区画している。第1絶縁層82において第1ゲートトレンチ81の底壁63を被覆する部分は、第1ゲートトレンチ81の底壁63に倣って形成されている。これにより、第1絶縁層82は、第1ゲートトレンチ81内においてU字状に窪んだU字空間を区画している。
第1絶縁層82は、酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN)、酸化アルミニウム(Al)、酸化ジルコニウム(ZrO)および酸化タンタル(Ta)のうちの少なくとも1種を含む。
第1絶縁層82は、半導体層2側からこの順に積層されたSiN層およびSiO層を含む積層構造を有していてもよい。第1絶縁層82は、半導体層2側からこの順に積層されたSiO層およびSiN層を含む積層構造を有していてもよい。第1絶縁層82は、SiO層またはSiN層からなる単層構造を有していてもよい。第1絶縁層82は、この形態では、SiO層からなる単層構造を有している。
第1絶縁層82は、第1ゲートトレンチ81の底壁63側から第1主面3側に向けてこの順に形成された第1底側絶縁層84および第1開口側絶縁層85を含む。
第1底側絶縁層84は、第1ゲートトレンチ81の底壁63側の内壁を被覆している。第1底側絶縁層84は、より具体的には、ボディ領域55の底部に対して第1ゲートトレンチ81の底壁63側の内壁を被覆している。第1底側絶縁層84は、第1ゲートトレンチ81の底壁63側においてU字空間を区画している。第1底側絶縁層84は、U字空間を区画する平滑な内壁面を有している。第1底側絶縁層84は、ドリフト領域54に接している。第1底側絶縁層84の一部は、ボディ領域55に接していてもよい。
第1開口側絶縁層85は、第1ゲートトレンチ81の開口側の内壁を被覆している。第1開口側絶縁層85は、より具体的には、ボディ領域55の底部に対して第1ゲートトレンチ81の開口側の領域において第1ゲートトレンチ81の第1側壁61および第2側壁62を被覆している。第1開口側絶縁層85は、ボディ領域55に接している。第1開口側絶縁層85の一部は、ドリフト領域54に接していてもよい。
第1底側絶縁層84は、第1厚さT1を有している。第1開口側絶縁層85は、第1厚さT1未満の第2厚さT2(T2<T1)を有している。第1厚さT1は、第1底側絶縁層84において第1ゲートトレンチ81の内壁の法線方向に沿う厚さである。第2厚さT2は、第1開口側絶縁層85において第1ゲートトレンチ81の内壁の法線方向に沿う厚さである。
なお、第1ゲートトレンチ81の第1幅WT1に対する第1厚さT1の第1比T1/WT1は、0.1以上0.4以下であってもよい。また、第1比T1/WT1は、0.1以上0.15以下、0.15以上0.2以下、0.2以上0.25以下、0.25以上0.3以下、0.3以上0.35以下、または、0.35以上0.4以下であってもよい。第1比T1/WT1は、0.25以上0.35以下であることが好ましい。
なお、第1底側絶縁層84の第1厚さT1は、1500Å以上4000Å以下であってもよい。第1厚さT1は、1500Å以上2000Å以下、2000Å以上2500Å以下、2500Å以上3000Å以下、3000Å以上3500Å以下、または、3500Å以上4000Å以下であってもよい。第1厚さT1は、1800Å以上3500Å以下であることが好ましい。
第1厚さT1は、第1ゲートトレンチ81の第1幅WT1に応じて、4000Å以上12000Å以下に調整されてもよい。第1厚さT1は、4000Å以上5000Å以下、5000Å以上6000Å以下、6000Å以上7000Å以下、7000Å以上8000Å以下、8000Å以上9000Å以下、9000Å以上10000Å以下、10000Å以上11000Å以下、又は、11000Å以上12000Å以下であってもよい。この場合、第1底側絶縁層84の厚化により半導体装置1の耐圧を高めることができる。
第1開口側絶縁層85の第2厚さT2は、第1底側絶縁層84の第1厚さT1の1/100以上1/10以下であってもよい。第2厚さT2は、100Å以上500Å以下であってもよい。第2厚さT2は、100Å以上200Å以下、200Å以上300Å以下、300Å以上400Å以下、または、400Å以上500Å以下であってもよい。第2厚さT2は、200Å以上400Å以下であることが好ましい。
第1底側絶縁層84は、第1ゲートトレンチ81の第1側壁61および第2側壁62を被覆する部分から第1ゲートトレンチ81の底壁63を被覆する部分に向けて第1厚さT1が減少する態様で形成されている。
第1底側絶縁層84において第1ゲートトレンチ81の底壁63を被覆する部分の厚さは、第1底側絶縁層84において第1ゲートトレンチ81の第1側壁61および第2側壁62を被覆する部分の厚さよりも小さい。第1底側絶縁層84によって区画されたU字空間の底壁側の開口幅は、第1厚さT1の減少分だけ拡張されている。これにより、U字空間の先細りが抑制されている。このようなU字空間は、たとえば、第1底側絶縁層84の内壁に対するエッチング法(たとえばウエットエッチング法)によって形成される。
第1電極83は、第1絶縁層82を挟んで、第1ゲートトレンチ81に埋め込まれている。第1電極83にはオン信号Vonおよびオフ信号Voffを含む第1ゲート制御信号(第1制御信号)が印加される。第1電極83は、この形態では、第1底側電極86、第1開口側電極87および第1中間絶縁層88を含む絶縁分離型のスプリット電極構造を有している。
第1底側電極86は、第1絶縁層82を挟んで第1ゲートトレンチ81の底壁63側に埋設されている。第1底側電極86は、より具体的には、第1底側絶縁層84を挟んで第1ゲートトレンチ81の底壁63側に埋設されている。第1底側電極86は、第1底側絶縁層84を挟んでドリフト領域54に対向している。第1底側電極86の一部は、第1底側絶縁層84を挟んでボディ領域55に対向していてもよい。
第1底側電極86は、第1上端部86A、第1下端部86Bおよび第1壁部86Cを含む。第1上端部86Aは、第1ゲートトレンチ81の開口側に位置している。第1下端部86Bは、第1ゲートトレンチ81の底壁63側に位置している。第1壁部86Cは、第1上端部86Aおよび第1下端部86Bを接続し、第1ゲートトレンチ81の内壁に沿って壁状に延びている。
第1上端部86Aは、第1底側絶縁層84から露出している。第1上端部86Aは、第1底側絶縁層84に対して第1主面3側に突出している。これにより、第1底側電極86は、第1ゲートトレンチ81の開口側において、第1底側絶縁層84および第1開口側絶縁層85との間で、断面視において逆凹状のリセスを区画している。第1上端部86Aの幅は、第1壁部86Cの幅未満である。
第1下端部86Bは、第1ゲートトレンチ81の底壁63に向かう凸湾曲状に形成されている。第1下端部86Bは、より具体的には、第1底側絶縁層84によって区画されたU字空間の底壁に倣って形成されており、第1ゲートトレンチ81の底壁63に向かう滑らかな凸湾曲状に形成されている。
このような構造によれば、第1底側電極86に対する局所的な電界集中を抑制できるから、ブレークダウン電圧の低下を抑制できる。特に、第1底側絶縁層84の拡張されたU字空間に第1底側電極86を埋設することにより、第1底側電極86が第1上端部86Aから第1下端部86Bに向けて先細り形状になることを適切に抑制できる。これにより、第1底側電極86の第1下端部86Bに対する局所的な電界集中を適切に抑制できる。
第1底側電極86は、導電性ポリシリコン、タングステン、アルミニウム、銅、アルミニウム合金および銅合金のうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。第1底側電極86は、この形態では、導電性ポリシリコンを含む。導電性ポリシリコンは、n型不純物またはp型不純物を含んでいてもよい。なお、導電性ポリシリコンは、n型不純物を含むことが好ましい。
第1開口側電極87は、第1絶縁層82を挟んで第1ゲートトレンチ81の開口側に埋設されている。第1開口側電極87は、より具体的には、第1開口側絶縁層85を挟んで第1ゲートトレンチ81の開口側に区画された逆凹状のリセスに埋設されている。第1開口側電極87は、第1開口側絶縁層85を挟んでボディ領域55に対向している。第1開口側電極87の一部は、第1開口側絶縁層85を挟んでドリフト領域54に対向していてもよい。
第1開口側電極87は、導電性ポリシリコン、タングステン、アルミニウム、銅、アルミニウム合金および銅合金のうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。第1開口側電極87は、第1底側電極86と同一種の導電材料を含むことが好ましい。第1開口側電極87は、この形態では、導電性ポリシリコンを含む。導電性ポリシリコンは、n型不純物またはp型不純物を含んでいてもよい。導電性ポリシリコンは、n型不純物を含むことが好ましい。
第1中間絶縁層88は、第1底側電極86および第1開口側電極87の間に介在し、第1底側電極86および第1開口側電極87を電気的に絶縁している。第1中間絶縁層88は、より具体的には、第1底側電極86及び第1開口側電極87の間の領域において第1底側絶縁層84から露出する第1底側電極86を被覆している。第1中間絶縁層88は、第1底側電極86の第1上端部86A(より具体的には突出部)を被覆している。第1中間絶縁層88は、第1絶縁層82(第1底側絶縁層84)に連なっている。
第1中間絶縁層88は、第3厚さT3を有している。第3厚さT3は、第1底側絶縁層84の第1厚さT1未満(T3<T1)である。第3厚さT3は、第1厚さT1の1/100以上1/10以下であってもよい。第3厚さT3は、100Å以上500Å以下であってもよい。第3厚さT3は、100Å以上200Å以下、200Å以上300Å以下、300Å以上400Å以下、または、400Å以上500Å以下であってもよい。第3厚さT3は、200Å以上400Å以下であることが好ましい。
第1中間絶縁層88は、酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN)、酸化アルミニウム(Al)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化タンタル(Ta)のうちの少なくとも1種を含む。第1中間絶縁層88は、この形態では、SiO層からなる単層構造を有している。
第1開口側電極87において第1ゲートトレンチ81から露出する露出部は、この形態では、第1主面3に対して第1ゲートトレンチ81の底壁63側に位置している。第1開口側電極87の露出部は、第1ゲートトレンチ81の底壁63に向かう湾曲状に形成されている。
第1開口側電極87の露出部は、膜状に形成された第1キャップ絶縁層89によって被覆されている。第1キャップ絶縁層89は、第1ゲートトレンチ81内において第1絶縁層82(第1開口側絶縁層85)に連なっている。第1キャップ絶縁層89は、酸化シリコン(SiO)を含んでいてもよい。
各第1FET構造58は、p型の第1チャネル領域91(第1チャネル)を更に含む。第1チャネル領域91は、ボディ領域55において第1絶縁層82(第1開口側絶縁層85)を挟んで第1電極83(第1開口側電極87)に対向する領域に形成される。
第1チャネル領域91は、第1トレンチゲート構造60の第1側壁61または第2側壁62、もしくは、第1側壁61および第2側壁62に沿って形成されている。第1チャネル領域91は、この形態では、第1トレンチゲート構造60の第1側壁61および第2側壁62に沿って形成されている。
各第1FET構造58は、ボディ領域55の表層部に形成されたn型の第1ソース領域92をさらに含む。第1ソース領域92は、ボディ領域55内においてドリフト領域54との間で第1チャネル領域91を画定する。第1ソース領域92のn型不純物濃度は、ドリフト領域54のn型不純物濃度を超えている。第1ソース領域92のn型不純物濃度は、1×1019cm-3以上1×1021cm-3以下であってもよい。
各第1FET構造58は、この形態では、複数の第1ソース領域92を含む。複数の第1ソース領域92は、ボディ領域55の表層部において第1トレンチゲート構造60に沿って間隔を空けて形成されている。複数の第1ソース領域92は、より具体的には、第1トレンチゲート構造60の第1側壁61または第2側壁62、もしくは、第1側壁61及び第2側壁62に沿って形成されている。複数の第1ソース領域92は、この形態では、第1トレンチゲート構造60の第1側壁61および第2側壁62に沿って間隔を空けて形成されている。
複数の第1ソース領域92の底部は、ボディ領域55の底部に対して第1主面3側の領域に位置している。これにより、複数の第1ソース領域92は、第1絶縁層82(第1開口側絶縁層85)を挟んで第1電極83(第1開口側電極87)に対向している。このようにして、第1MISFET56の第1チャネル領域91が、ボディ領域55において複数の第1ソース領域92およびドリフト領域54に挟まれた領域に形成される。
各第1FET構造58は、ボディ領域55の表層部に形成されたp型の第1コンタクト領域93を更に含む。第1コンタクト領域93のp型不純物濃度は、ボディ領域55のp型不純物濃度を超えている。第1コンタクト領域93のp型不純物濃度は、例えば、1×1019cm-3以上1×1021cm-3以下であってもよい。
各第1FET構造58は、この形態では、複数の第1コンタクト領域93を含む。複数の第1コンタクト領域93は、ボディ領域55の表層部において第1トレンチゲート構造60に沿って間隔を空けて形成されている。複数の第1コンタクト領域93は、より具体的には、第1トレンチゲート構造60の第1側壁61または第2側壁62、もしくは、第1側壁61および第2側壁62に沿って形成されている。
複数の第1コンタクト領域93は、この形態では、第1トレンチゲート構造60の第1側壁61及び第2側壁62に沿って間隔を空けて形成されている。複数の第1コンタクト領域93は、より具体的には、複数の第1ソース領域92に対して交互の配列となる態様でボディ領域55の表層部に形成されている。複数の第1コンタクト領域93の底部は、ボディ領域55の底部に対して第1主面3側の領域に位置している。
図9および図11を参照して、第2トレンチゲート構造70は、第2ゲートトレンチ101、第2絶縁層102および第2電極103を含む。第2ゲートトレンチ101は、第1主面3を第2主面4側に向けて掘り下げることによって形成されている。
第2ゲートトレンチ101は、第2トレンチゲート構造70の第1側壁71、第2側壁72および底壁73を区画している。以下では、第2トレンチゲート構造70の第1側壁71、第2側壁72および底壁73を、第2ゲートトレンチ101の第1側壁71、第2側壁72および底壁73ともいう。
第2絶縁層102は、第2ゲートトレンチ101の内壁に沿い膜状に形成されている。第2絶縁層102は、第2ゲートトレンチ101内において凹状の空間を区画している。第2絶縁層102において第2ゲートトレンチ101の底壁73を被覆する部分は、第2ゲートトレンチ101の底壁73に倣って形成されている。これにより、第2絶縁層102は、第2ゲートトレンチ101内においてU字状に窪んだU字空間を区画している。
第2絶縁層102は、酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN)、酸化アルミニウム(Al)、酸化ジルコニウム(ZrO)及び酸化タンタル(Ta)のうちの少なくとも1種を含む。
第2絶縁層102は、半導体層2側からこの順に積層されたSiN層およびSiO層を含む積層構造を有していてもよい。第2絶縁層102は、半導体層2側からこの順に積層されたSiO層およびSiN層を含む積層構造を有していてもよい。第2絶縁層102は、SiO層またはSiN層からなる単層構造を有していてもよい。第2絶縁層102は、この形態では、SiO層からなる単層構造を有している。
第2絶縁層102は、第2ゲートトレンチ101の底壁73側から第1主面3側に向けてこの順に形成された第2底側絶縁層104および第2開口側絶縁層105を含む。
第2底側絶縁層104は、第2ゲートトレンチ101の底壁73側の内壁を被覆している。第2底側絶縁層104は、より具体的には、ボディ領域55の底部に対して第2ゲートトレンチ101の底壁73側の内壁を被覆している。第2底側絶縁層104は、第2ゲートトレンチ101の底壁73側においてU字空間を区画している。第2底側絶縁層104は、U字空間を区画する平滑な内壁面を有している。第2底側絶縁層104は、ドリフト領域54に接している。第2底側絶縁層104の一部は、ボディ領域55に接していてもよい。
第2開口側絶縁層105は、第2ゲートトレンチ101の開口側内壁を被覆している。第2開口側絶縁層105は、より具体的には、ボディ領域55の底部に対して第2ゲートトレンチ101の開口側の領域において第2ゲートトレンチ101の第1側壁71及び第2側壁72を被覆している。第2開口側絶縁層105は、ボディ領域55に接している。第2開口側絶縁層105の一部は、ドリフト領域54に接していてもよい。
第2底側絶縁層104は、第4厚さT4を有している。第2開口側絶縁層105は、第4厚さT4未満の第5厚さT5(T5<T4)を有している。第4厚さT4は、第2底側絶縁層104において第2ゲートトレンチ101の内壁の法線方向に沿う厚さである。第5厚さT5は、第2開口側絶縁層105において第2ゲートトレンチ101の内壁の法線方向に沿う厚さである。
第2ゲートトレンチ101の第2幅WT2に対する第4厚さT4の第2比T4/WT2は、0.1以上0.4以下であってもよい。例えば、第2比T4/WT2は、0.1以上0.15以下、0.15以上0.2以下、0.2以上0.25以下、0.25以上0.3以下、0.3以上0.35以下、または、0.35以上0.4以下であってもよい。第2比T4/WT2は、0.25以上0.35以下であることが好ましい。
第2比T4/WT2は、第1比T1/WT1以下(T4/WT2≦T1/WT1)であってもよい。第2比T4/WT2は、第1比T1/WT1以上(T4/WT2≧T1/WT1)であってもよい。また、第2比T4/WT2は、第1比T1/WT1と等しくてもよい(T4/WT2=T1/WT1)。
第2底側絶縁層104の第4厚さT4は、1500Å以上4000Å以下であってもよい。第4厚さT4は、1500Å以上2000Å以下、2000Å以上2500Å以下、2500Å以上3000Å以下、3000Å以上3500Å以下、または、3500Å以上4000Å以下であってもよい。第4厚さT4は、1800Å以上3500Å以下であることが好ましい。
第4厚さT4は、第2ゲートトレンチ101の第2幅WT2に応じて、4000Å以上12000Å以下であってもよい。第4厚さT4は、4000Å以上5000Å以下、5000Å以上6000Å以下、6000Å以上7000Å以下、7000Å以上8000Å以下、8000Å以上9000Å以下、9000Å以上10000Å以下、10000Å以上11000Å以下、又は、11000Å以上12000Å以下であってもよい。この場合、第2底側絶縁層104の厚化により半導体装置1の耐圧を高めることができる。
第4厚さT4は、第1厚さT1以下(T4≦T1)であってもよい。第4厚さT4は、第1厚さT1以上(T4≧T1)であってもよい。第4厚さT4は、第1厚さT1と等しくてもよい(T4=T1)。
第2開口側絶縁層105の第5厚さT5は、第2底側絶縁層104の第4厚さT4未満(T5<T4)である。第5厚さT5は、第4厚さT4の1/100以上1/10以下であってもよい。100Å以上500Å以下であってもよい。第5厚さT5は、100Å以上200Å以下、200Å以上300Å以下、300Å以上400Å以下、または、400Å以上500Å以下であってもよい。第5厚さT5は、200Å以上400Å以下であることが好ましい。
第5厚さT5は、第2厚さT2以下(T5≦T2)であってもよい。第5厚さT5は、第2厚さT2以上(T5≧T2)であってもよい。第5厚さT5は、第2厚さT2と等しくてもよい(T5=T2)。
第2底側絶縁層104は、第2ゲートトレンチ101の第1側壁71および第2側壁72を被覆する部分から第2ゲートトレンチ101の底壁73を被覆する部分に向けて第4厚さT4が減少する態様で形成されている。
第2底側絶縁層104において第2ゲートトレンチ101の底壁73を被覆する部分の厚さは、第2底側絶縁層104において第2ゲートトレンチ101の第1側壁71および第2側壁72を被覆する部分の厚さよりも小さい。第2底側絶縁層104によって区画されたU字空間の底壁側の開口幅は、第4厚さT4の減少分だけ拡張されている。これにより、U字空間の先細りが抑制されている。このようなU字空間は、たとえば、第2底側絶縁層104の内壁に対するエッチング法(たとえばウエットエッチング法)によって形成される。
第2電極103は、第2絶縁層102を挟んで第2ゲートトレンチ101に埋め込まれている。第2電極103にはオン信号Vonおよびオフ信号Voffを含む所定の第2ゲート制御信号(第2制御信号)が印加される。
第2電極103は、この形態では、第2底側電極106、第2開口側電極107および第2中間絶縁層108を含む絶縁分離型のスプリット電極構造を有している。第2底側電極106は、この形態では、第1底側電極86に電気的に接続されている。第2開口側電極107は、第1開口側電極87から電気的に絶縁されている。
第2底側電極106は、第2絶縁層102を挟んで第2ゲートトレンチ101の底壁73側に埋設されている。第2底側電極106は、より具体的には、第2底側絶縁層104を挟んで第2ゲートトレンチ101の底壁73側に埋設されている。第2底側電極106は、第2底側絶縁層104を挟んでドリフト領域54に対向している。第2底側電極106の一部は、第2底側絶縁層104を挟んでボディ領域55に対向していてもよい。
第2底側電極106は、第2上端部106A、第2下端部106B及び第2壁部106Cを含む。第2上端部106Aは、第2ゲートトレンチ101の開口側に位置している。第2下端部106Bは、第2ゲートトレンチ101の底壁73側に位置している。第2壁部106Cは、第2上端部106Aおよび第2下端部106Bを接続し、第2ゲートトレンチ101の内壁に沿って壁状に延びている。
第2上端部106Aは、第2底側絶縁層104から露出している。第2上端部106Aは、第2底側絶縁層104に対して第1主面3側に突出している。これにより、第2底側電極106は、第2ゲートトレンチ101の開口側において、第2底側絶縁層104および第2開口側絶縁層105との間で、断面視において逆凹状のリセスを区画している。第2上端部106Aの幅は、第2壁部106Cの幅未満である。
第2下端部106Bは、第2ゲートトレンチ101の底壁73に向かう凸湾曲状に形成されている。第2下端部106Bは、より具体的には、第2底側絶縁層104によって区画されたU字空間の底壁に倣って形成されており、第2ゲートトレンチ101の底壁73に向かう滑らかな凸湾曲状に形成されている。
このような構造によれば、第2底側電極106に対する局所的な電界集中を抑制できるので、ブレークダウン電圧の低下を抑制できる。特に、第2底側絶縁層104の拡張されたU字空間に第2底側電極106を埋設することにより、第2底側電極106が第2上端部106Aから第2下端部106Bに向けて先細り形状になることを適切に抑制できる。これにより、第2底側電極106の第2下端部106Bに対する局所的な電界集中を適切に抑制できる。
第2底側電極106は、導電性ポリシリコン、タングステン、アルミニウム、銅、アルミニウム合金および銅合金のうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。第2底側電極106は、この形態では、導電性ポリシリコンを含む。導電性ポリシリコンは、n型不純物またはp型不純物を含んでいてもよい。導電性ポリシリコンは、n型不純物を含むことが好ましい。
第2開口側電極107は、第2絶縁層102を挟んで第2ゲートトレンチ101の開口側に埋設されている。第2開口側電極107は、より具体的には、第2開口側絶縁層105を挟んで第2ゲートトレンチ101の開口側に区画された逆凹状のリセスに埋設されている。第2開口側電極107は、第2開口側絶縁層105を挟んでボディ領域55に対向している。第2開口側電極107の一部は、第2開口側絶縁層105を挟んでドリフト領域54に対向していてもよい。
第2開口側電極107は、導電性ポリシリコン、タングステン、アルミニウム、銅、アルミニウム合金および銅合金のうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。第2開口側電極107は、第2底側電極106と同一種の導電材料を含むことが好ましい。第2開口側電極107は、この形態では、導電性ポリシリコンを含む。導電性ポリシリコンは、n型不純物またはp型不純物を含んでいてもよい。導電性ポリシリコンは、n型不純物を含むことが好ましい。
第2中間絶縁層108は、第2底側電極106および第2開口側電極107の間に介在し、第2底側電極106および第2開口側電極107を電気的に絶縁している。第2中間絶縁層108は、より具体的には、第2底側電極106および第2開口側電極107の間の領域において第2底側絶縁層104から露出する第2底側電極106を被覆している。第2中間絶縁層108は、第2底側電極106の第2上端部106A(より具体的には突出部)を被覆している。第2中間絶縁層108は、第2絶縁層102(第2底側絶縁層104)に連なっている。
第2中間絶縁層108は、第6厚さT6を有している。第6厚さT6は、第2底側絶縁層104の第4厚さT4未満(T6<T4)である。第6厚さT6は、第4厚さT4の1/100以上1/10以下であってもよい。第6厚さT6は、100Å以上500Å以下であってもよい。第6厚さT6は、100Å以上200Å以下、200Å以上300Å以下、300Å以上400Å以下、または、400Å以上500Å以下であってもよい。第6厚さT6は、200Å以上400Å以下であることが好ましい。
第6厚さT6は、第3厚さT3以下(T6≦T3)であってもよい。第6厚さT6は、第3厚さT3以上(T6≧T3)であってもよい。第6厚さT6は、第3厚さT3と等しくてもよい(T6=T3)。
第2中間絶縁層108は、酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN)、酸化アルミニウム(Al)、酸化ジルコニウム(ZrO)および酸化タンタル(Ta)のうちの少なくとも1種を含む。なお、第2中間絶縁層108は、この形態では、SiO層からなる単層構造を有している。
第2開口側電極107において第2ゲートトレンチ101から露出する露出部は、この形態では、第1主面3に対して第2ゲートトレンチ101の底壁73側に位置している。第2開口側電極107の露出部は、第2ゲートトレンチ101の底壁73に向かう湾曲状に形成されている。
第2開口側電極107の露出部は、膜状に形成された第2キャップ絶縁層109によって被覆されている。第2キャップ絶縁層109は、第2ゲートトレンチ101内において第2絶縁層102(第2開口側絶縁層105)に連なっている。第2キャップ絶縁層109は、酸化シリコン(SiO)を含んでいてもよい。
各第2FET構造68は、p型の第2チャネル領域111(第2チャネル)をさらに含む。第2チャネル領域111は、より具体的には、ボディ領域55において第2絶縁層102(第2開口側絶縁層105)を挟んで第2電極103(第2開口側電極107)に対向する領域に形成される。
第2チャネル領域111は、より具体的には、第2トレンチゲート構造70の第1側壁71または第2側壁72、もしくは、第1側壁71および第2側壁72に沿って形成されている。第2チャネル領域111は、この形態では、第2トレンチゲート構造70の第1側壁71および第2側壁72に沿って形成されている。
各第2FET構造68は、ボディ領域55の表層部に形成されたn型の第2ソース領域112をさらに含む。第2ソース領域112は、ボディ領域55内においてドリフト領域54との間で第2チャネル領域111を画定する。
第2ソース領域112のn型不純物濃度は、ドリフト領域54のn型不純物濃度を超えている。第2ソース領域112のn型不純物濃度は、1×1019cm-3以上1×1021cm-3以下であってもよい。第2ソース領域112のn型不純物濃度は、第1ソース領域92のn型不純物濃度と等しいことが好ましい。
各第2FET構造68は、この形態では、複数の第2ソース領域112を含む。複数の第2ソース領域112は、ボディ領域55の表層部において第2トレンチゲート構造70に沿って間隔を空けて形成されている。複数の第2ソース領域112は、具体的には、第2トレンチゲート構造70の第1側壁71または第2側壁72、もしくは、第1側壁71および第2側壁72に沿って形成されている。複数の第2ソース領域112は、この形態では、第2トレンチゲート構造70の第1側壁71および第2側壁72に沿って間隔を空けて形成されている。
各第2ソース領域112は、この形態では、第1方向Xに沿って各第1ソース領域92と対向している。また、各第2ソース領域112は、各第1ソース領域92と一体を成している。図7および図8では、第1ソース領域92および第2ソース領域112を境界線によって区別して示しているが、第1ソース領域92および第2ソース領域112の間の領域には、実際には明確な境界線はない。
各第2ソース領域112は、第1方向Xに沿って各第1ソース領域92の一部または全部と対向しないように、各第1ソース領域92から第2方向Yにずれて形成されていてもよい。つまり、複数の第1ソース領域92および複数の第2ソース領域112は、平面視において千鳥状に配列されていてもよい。
複数の第2ソース領域112の底部は、ボディ領域55の底部に対して第1主面3側の領域に位置している。これによって、複数の第2ソース領域112は、第2絶縁層102(第2開口側絶縁層105)を挟んで第2電極103(第2開口側電極107)に対向している。このようにして、第2MISFET57の第2チャネル領域111が、ボディ領域55において複数の第2ソース領域112およびドリフト領域54に挟まれた領域に形成される。
各第2FET構造68は、ボディ領域55の表層部に形成されたp型の第2コンタクト領域113を更に含む。第2コンタクト領域113のp型不純物濃度は、ボディ領域55のp型不純物濃度を超えている。第2コンタクト領域113のp型不純物濃度は、1×1019cm-3以上1×1021cm-3以下であってもよい。第2コンタクト領域113のp型不純物濃度は、第1コンタクト領域93のp型不純物濃度と等しいことが好ましい。
各第2FET構造68は、この形態では、複数の第2コンタクト領域113を含む。複数の第2コンタクト領域113は、ボディ領域55の表層部において第2トレンチゲート構造70に沿って間隔を空けて形成されている。複数の第2コンタクト領域113は、より具体的には、第2トレンチゲート構造70の第1側壁71または第2側壁72、もしくは、第1側壁71および第2側壁72に沿って形成されている。複数の第2コンタクト領域113の底部は、ボディ領域55の底部に対して第1主面3側の領域に位置している。
複数の第2コンタクト領域113は、この形態では、第2トレンチゲート構造70の第1側壁71および第2側壁72に沿って間隔を空けて形成されている。複数の第2コンタクト領域113は、より具体的には、複数の第2ソース領域112に対して交互の配列となる態様でボディ領域55の表層部に形成されている。
図7および図8を参照して、各第2コンタクト領域113は、この形態では、第1方向Xに沿って各第1コンタクト領域93と対向している。各第2コンタクト領域113は、各第1コンタクト領域93と一体を成している。
図7では、第1ソース領域92および第2ソース領域112と区別するため、第1コンタクト領域93および第2コンタクト領域113を纏めて「p」の記号で示している。また、図8では、第1コンタクト領域93および第2コンタクト領域113を境界線によって区別して示しているが、第1コンタクト領域93および第2コンタクト領域113の間の領域には、実際には明確な境界線はない。
各第2コンタクト領域113は、第1方向Xに沿って各第1コンタクト領域93の一部または全部と対向しないように、各第1コンタクト領域93から第2方向Yにずれて形成されていてもよい。つまり、複数の第1コンタクト領域93および複数の第2コンタクト領域113は、平面視において千鳥状に配列されていてもよい。
図7および図8を参照して、半導体層2の第1主面3において第1トレンチゲート構造60の一端部および第2トレンチゲート構造70の一端部の間の領域からは、この形態では、ボディ領域55が露出している。第1ソース領域92、第1コンタクト領域93、第2ソース領域112および第2コンタクト領域113は、第1主面3において第1トレンチゲート構造60の一端部および第2トレンチゲート構造70の一端部に挟まれた領域に形成されていない。
同様に、図示はしないが、半導体層2の第1主面3において第1トレンチゲート構造60の他端部及び第2トレンチゲート構造70の他端部の間の領域からは、この形態では、ボディ領域55が露出している。第1ソース領域92、第1コンタクト領域93、第2ソース領域112および第2コンタクト領域113は、第1トレンチゲート構造60の他端部および第2トレンチゲート構造70の他端部に挟まれた領域に形成されていない。
図5~図8を参照し、半導体層2の第1主面3には、複数(ここは2つ)のトレンチコンタクト構造120が形成されている。複数のトレンチコンタクト構造120は、一方側のトレンチコンタクト構造120および他方側のトレンチコンタクト構造120を含む。
一方側のトレンチコンタクト構造120は、第1トレンチゲート構造60の一端部および第2トレンチゲート構造70の一端部側の領域に位置する。他方側のトレンチコンタクト構造120は、第1トレンチゲート構造60の他端部および第2トレンチゲート構造70の他端部側の領域に位置する。
他方側のトレンチコンタクト構造120は、一方側のトレンチコンタクト構造120とほぼ同様の構造を有している。以下では、一方側のトレンチコンタクト構造120側の構造を例にとって説明し、他方側のトレンチコンタクト構造120側の構造についての具体的な説明は、省略される。
トレンチコンタクト構造120は、第1トレンチゲート構造60の一端部および第2トレンチゲート構造70の一端部に接続されている。トレンチコンタクト構造120は、この形態では、平面視において第1方向Xに沿って帯状に延びている。
トレンチコンタクト構造120の幅WTCは、0.5μm以上5μm以下であってもよい。幅WTCは、トレンチコンタクト構造120が延びる方向(第1方向X)に直交する方向(第2方向Y)の幅である。
幅WTCは、0.5μm以上1μm以下、1μm以上1.5μm以下、1.5μm以上2μm以下、2μm以上2.5μm以下、2.5μm以上3μm以下、3μm以上3.5μm以下、3.5μm以上4μm以下、4μm以上4.5μm以下、または、4.5μm以上5μm以下であってもよい。幅WTCは、0.8μm以上1.2μm以下であることが好ましい。
幅WTCは、第1トレンチゲート構造60の第1幅WT1と等しいことが好ましい(WTC=WT1)。幅WTCは、第2トレンチゲート構造70の第2幅WT2と等しいことが好ましい(WTC=WT2)。
トレンチコンタクト構造120は、ボディ領域55を貫通し、ドリフト領域54に達している。トレンチコンタクト構造120の深さDTCは、1μm以上10μm以下であってもよい。深さDTCは、1μm以上2μm以下、2μm以上4μm以下、4μm以上6μm以下、6μm以上8μm以下、または、8μm以上10μm以下であってもよい。深さDTCは、2μm以上6μm以下であることが好ましい。
深さDTCは、第1トレンチゲート構造60の第1深さDT1と等しいことが好ましい(DTC=DT1)。深さDTCは、第2トレンチゲート構造70の第2深さDT2と等しいことが好ましい(DTC=DT2)。
トレンチコンタクト構造120は、一方側の第1側壁121と、他方側の第2側壁122と、第1側壁121および第2側壁122を接続する底壁123とを含む。以下では、第1側壁121、第2側壁122および底壁123を纏めて「内壁」ということがある。第1側壁121は、第1トレンチゲート構造60および第2トレンチゲート構造70に接続された接続面である。
第1側壁121、第2側壁122および底壁123は、ドリフト領域54内に位置している。第1側壁121および第2側壁122は、法線方向Zに沿って延びている。第1側壁121および第2側壁122は、第1主面3に対して垂直に形成されていてもよい。
半導体層2内において第1側壁121が第1主面3との間で成す角度(テーパ角)の絶対値は、90°を超えて95°以下(例えば91°程度)であってもよい。半導体層2内において第2側壁122が第1主面3との間で成す角度(テーパ角)の絶対値は、90°を超えて95°以下(たとえば91°程度)であってもよい。トレンチコンタクト構造120は、断面視において半導体層2の第1主面3側から底壁123側に向けて幅WTCが狭まる先細り形状(テーパ形状)に形成されていてもよい。
底壁123は、ドリフト領域54の底部に対して第1主面3側の領域に位置している。底壁123は、ドリフト領域54の底部に向かう凸湾曲状に形成されている。底壁123は、ドリフト領域54の底部に対して1μm以上10μm以下の間隔ITCを空けて第1主面3側の領域に位置している。間隔ITCは、1μm以上2μm以下、2μm以上4μm以下、4μm以上6μm以下、6μm以上8μm以下、または、8μm以上10μm以下であってもよい。間隔ITCは、1μm以上5μm以下であることが好ましい。
間隔ITCは、第1トレンチゲート構造60の第1間隔IT1と等しいことが好ましい(ITC=IT1)。間隔ITCは、第2トレンチゲート構造70の第2間隔IT2と等しいことが好ましい(ITC=IT2)。
トレンチコンタクト構造120は、コンタクトトレンチ131、コンタクト絶縁層132およびコンタクト電極133を含む。コンタクトトレンチ131は、半導体層2の第1主面3を第2主面4側に向けて掘り下げることによって形成されている。
コンタクトトレンチ131は、トレンチコンタクト構造120の第1側壁121、第2側壁122および底壁123を区画している。以下では、トレンチコンタクト構造120の第1側壁121、第2側壁122および底壁123を、コンタクトトレンチ131の第1側壁121、第2側壁122および底壁123ともいう。
コンタクトトレンチ131の第1側壁121は、第1ゲートトレンチ81の第1側壁61および第2側壁62に連通している。コンタクトトレンチ131の第1側壁121は、第2ゲートトレンチ101の第1側壁71および第2側壁72に連通している。コンタクトトレンチ131は、第1ゲートトレンチ81および第2ゲートトレンチ101との間で1つのトレンチを形成している。
コンタクト絶縁層132は、コンタクトトレンチ131の内壁に沿って膜状に形成されている。コンタクト絶縁層132は、コンタクトトレンチ131内において凹状の空間を区画している。コンタクト絶縁層132においてコンタクトトレンチ131の底壁123を被覆する部分は、コンタクトトレンチ131の底壁123に倣って形成されている。
コンタクト絶縁層132は、第1底側絶縁層84(第2底側絶縁層104)と同様の態様で、コンタクトトレンチ131内においてU字状に窪んだU字空間を区画している。つまり、コンタクト絶縁層132は、コンタクトトレンチ131の底壁123側の領域が拡張され、先細りが抑制されたU字空間を区画している。このようなU字空間は、例えば、コンタクト絶縁層132の内壁に対するエッチング法(たとえばウエットエッチング法)によって形成される。
コンタクト絶縁層132は、第7厚さT7を有している。第7厚さT7は、1500Å以上4000Å以下であってもよい。第7厚さT7は、1500Å以上2000Å以下、2000Å以上2500Å以下、2500Å以上3000Å以下、3000Å以上3500Å以下、または、3500Å以上4000Å以下であってもよい。第7厚さT7は、1800Å以上3500Å以下であることが好ましい。
第7厚さT7は、トレンチコンタクト構造120の幅WTCに応じて4000Å以上12000Å以下であってもよい。第7厚さT7は、4000Å以上5000Å以下、5000Å以上6000Å以下、6000Å以上7000Å以下、7000Å以上8000Å以下、8000Å以上9000Å以下、9000Å以上10000Å以下、10000Å以上11000Å以下、又は、11000Å以上12000Å以下であってもよい。この場合、コンタクト絶縁層132の厚化により半導体装置1の耐圧を高めることができる。
第7厚さT7は、第1底側絶縁層84の第1厚さT1と等しい(T7=T1)ことが好ましい。第7厚さT7は、第2底側絶縁層104の第4厚さT4と等しい(T7=T4)ことが好ましい。
コンタクト絶縁層132は、酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN)、酸化アルミニウム(Al)、酸化ジルコニウム(ZrO)及び酸化タンタル(Ta)のうちの少なくとも1種を含む。
コンタクト絶縁層132は、半導体層2側からこの順に積層されたSiN層およびSiO層を含む積層構造を有していてもよい。コンタクト絶縁層132は、半導体層2側からこの順に積層されたSiO層およびSiN層を含む積層構造を有していてもよい。コンタクト絶縁層132は、SiO層またはSiN層からなる単層構造を有していてもよい。コンタクト絶縁層132は、この形態では、SiO層からなる単層構造を有している。コンタクト絶縁層132は、第1絶縁層82(第2絶縁層102)と同一の絶縁材料からなることが好ましい。
コンタクト絶縁層132は、第1ゲートトレンチ81およびコンタクトトレンチ131の間の連通部において第1絶縁層82と一体を成している。コンタクト絶縁層132は、第2ゲートトレンチ101およびコンタクトトレンチ131の間の連通部において第2絶縁層102と一体を成している。
コンタクト絶縁層132は、この形態では、第1ゲートトレンチ81の一端部および第2ゲートトレンチ101の一端部に引き出された引き出し絶縁層132Aを有している。引き出し絶縁層132Aは、連通部を横切って第1ゲートトレンチ81の一端部の内壁を被覆している。引き出し絶縁層132Aは、連通部を横切って第2ゲートトレンチ101の一端部の内壁を被覆している。
引き出し絶縁層132Aは、第1ゲートトレンチ81内で、第1底側絶縁層84及び第1開口側絶縁層85と一体を成している。引き出し絶縁層132Aは、第1ゲートトレンチ81の一端部の内壁において、第1底側絶縁層84と共にU字空間を区画している。
引き出し絶縁層132Aは、第2ゲートトレンチ101内において第2底側絶縁層104および第2開口側絶縁層105と一体を成している。引き出し絶縁層132Aは、第2ゲートトレンチ101の一端部の内壁において、第2底側絶縁層104と共にU字空間を区画している。
コンタクト電極133は、コンタクト絶縁層132を挟んでコンタクトトレンチ131に埋め込まれている。コンタクト電極133は、第1電極83および第2電極103とは異なり、一体物としてコンタクトトレンチ131に埋め込まれている。コンタクト電極133は、コンタクトトレンチ131から露出する上端部、コンタクト絶縁層132に接する下端部を有している。
コンタクト電極133の下端部は、第1底側電極86(第2底側電極106)と同様の態様で、コンタクトトレンチ131の底壁123に向かう凸湾曲状に形成されている。コンタクト電極133の下端部は、より具体的には、コンタクト絶縁層132によって区画されたU字空間の底壁に倣って形成されており、底壁123に向かう滑らかな凸湾曲状に形成されている。
このような構造によれば、コンタクト電極133に対する局所的な電界集中を抑制できるので、ブレークダウン電圧の低下を抑制できる。特に、コンタクト絶縁層132の拡張されたU字空間にコンタクト電極133を埋設することにより、コンタクト電極133が上端部から下端部に向けて先細り形状になることを適切に抑制できる。これにより、コンタクト絶縁層132の下端部に対する局所的な電界集中を適切に抑制できる。
コンタクト電極133は、第1ゲートトレンチ81およびコンタクトトレンチ131の間の接続部において第1底側電極86に電気的に接続されている。コンタクト電極133は、第2ゲートトレンチ101およびコンタクトトレンチ131の間の接続部において第2底側電極106に電気的に接続されている。これにより、第2底側電極106は、第1底側電極86に電気的に接続されている。
コンタクト電極133は、より具体的には、第1ゲートトレンチ81の一端部および第2ゲートトレンチ101の一端部に引き出された引き出し電極133Aを有している。引き出し電極133Aは、第1ゲートトレンチ81およびコンタクトトレンチ131の間の連通部を横切って第1ゲートトレンチ81内に位置している。引き出し電極133Aは、さらに、第2ゲートトレンチ101およびコンタクトトレンチ131の間の連通部を横切って第2ゲートトレンチ101内に位置している。
引き出し電極133Aは、第1ゲートトレンチ81内においてコンタクト絶縁層132によって区画されたU字空間に埋め込まれている。引き出し電極133Aは、第1ゲートトレンチ81内において第1底側電極86と一体を成している。これにより、コンタクト電極133は、第1底側電極86に電気的に接続されている。
第1ゲートトレンチ81内においてコンタクト電極133および第1開口側電極87の間には、第1中間絶縁層88が介在している。これにより、コンタクト電極133は、第1ゲートトレンチ81内において第1開口側電極87から電気的に絶縁されている。
引き出し電極133Aは、第2ゲートトレンチ101内においてコンタクト絶縁層132によって区画されたU字空間に埋め込まれている。引き出し電極133Aは、第2ゲートトレンチ101内において第2底側電極106と一体を成している。これにより、コンタクト電極133は、第2底側電極106に電気的に接続されている。
第2ゲートトレンチ101内において、コンタクト電極133と第2開口側電極107との間には、第2中間絶縁層108が介在している。これにより、コンタクト電極133は、第2ゲートトレンチ101内において、第2開口側電極107から電気的に絶縁されている。
コンタクト電極133は、導電性ポリシリコン、タングステン、アルミニウム、銅、アルミニウム合金および銅合金のうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。コンタクト電極133は、この形態では、導電性ポリシリコンを含む。導電性ポリシリコンは、n型不純物またはp型不純物を含んでいてもよい。導電性ポリシリコンは、n型不純物を含むことが好ましい。コンタクト電極133は、第1底側電極86および第2底側電極106と同一の導電材料を含むことが好ましい。
コンタクト電極133において、コンタクトトレンチ131から露出する露出部は、この形態では、第1主面3に対してコンタクトトレンチ131の底壁123側に位置している。コンタクト電極133の露出部は、コンタクトトレンチ131の底壁123に向かう湾曲状に形成されている。
コンタクト電極133の露出部は、膜状に形成された第3キャップ絶縁層139により被覆されている。第3キャップ絶縁層139は、コンタクトトレンチ131内においてコンタクト絶縁層132に連なっている。第3キャップ絶縁層139は、酸化シリコン(SiO)を含んでいてもよい。
図5~図11を参照して、半導体層2の第1主面3の上には、主面絶縁層141が形成されている。主面絶縁層141は、第1主面3を選択的に被覆している。主面絶縁層141は、第1絶縁層82、第2絶縁層102及びコンタクト絶縁層132に連なっている。主面絶縁層141は、酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN)、酸化アルミニウム(Al)、酸化ジルコニウム(ZrO)および酸化タンタル(Ta)のうちの少なくとも1種を含む。
主面絶縁層141は、半導体層2側からこの順に積層されたSiN層およびSiO層を含む積層構造を有していてもよい。主面絶縁層141は、半導体層2側からこの順に積層されたSiO層およびSiN層を含む積層構造を有していてもよい。主面絶縁層141は、SiO層またはSiN層からなる単層構造を有していてもよい。主面絶縁層141は、この形態では、SiO層からなる単層構造を有している。主面絶縁層141は、第1絶縁層82、第2絶縁層102およびコンタクト絶縁層132と同一の絶縁材料からなることが好ましい。
主面絶縁層141の上部には、層間絶縁層142が形成されている。層間絶縁層142は、主面絶縁層141の厚さを超える厚さを有していてもよい。層間絶縁層142は、主面絶縁層141のほぼ全域を被覆している。層間絶縁層142は、例えば、酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN)、酸化アルミニウム(Al)、酸化ジルコニウム(ZrO)および酸化タンタル(Ta)のうちの少なくとも1種を含む。
層間絶縁層142は、ここでは、酸化シリコンの一例としてのUSG(Undoped Silica Glass)層を含む。層間絶縁層142は、USG層からなる単層構造を有してもよい。層間絶縁層142は、平坦化された主面を有していてもよい。層間絶縁層142の主面は、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法により研削された研削面であってもよい。
層間絶縁層142は、酸化シリコンの一例としてPSG(Phosphor Silicate Glass)および/またはBPSG(Boron Phosphor Silicate Glass)を含んでいてもよい。層間絶縁層142は、半導体層2側からこの順に積層されたPSG層およびBPSG層を含む積層構造を有していてもよい。層間絶縁層142は、第1主面3側からこの順に積層されたBPSG層およびPSG層を含む積層構造を有していてもよい。
図5および図6を参照して、出力領域6において層間絶縁層142には、第1プラグ電極143、第2プラグ電極144、第3プラグ電極145および第4プラグ電極146が埋め込まれている。この形態では、複数の第1プラグ電極143、複数の第2プラグ電極144、複数の第3プラグ電極145および複数の第4プラグ電極146が、層間絶縁層142に埋め込まれている。第1プラグ電極143、第2プラグ電極144、第3プラグ電極145および第4プラグ電極146は、タングステンをそれぞれ含んでいてもよい。
複数の第1プラグ電極143は、層間絶縁層142において第1トレンチゲート構造60の第1開口側電極87を被覆する部分にそれぞれ埋め込まれている。複数の第1プラグ電極143は、この形態では、第1トレンチゲート構造60の一端部側の領域で、層間絶縁層142を貫通し、1対1対応の関係で複数の第1開口側電極87に接続されている。
むろん、1つの第1開口側電極87に対して複数の第1プラグ電極143が接続されていてもよい。図示は省略されるが、複数の第1プラグ電極143は、一端部側の領域と同様の態様で、層間絶縁層142において第1トレンチゲート構造60の他端部側の領域を被覆する部分にも埋め込まれている。
複数の第1プラグ電極143は、この形態では、第1方向Xに沿って一列に間隔を空けて配列されている。各第1プラグ電極143は、平面視において三角形状、四角形状、五角形状、六角形状等の多角形状、もしくは、円形状または楕円形状に形成されていてもよい。各第1プラグ電極143は、ここでは、平面視において四角形状に形成されている。
複数の第2プラグ電極144は、層間絶縁層142において第2トレンチゲート構造70の第2開口側電極107を被覆する部分にそれぞれ埋め込まれている。複数の第2プラグ電極144は、この形態では、第2トレンチゲート構造70の一端部側の領域において層間絶縁層142を貫通し、1対1対応の関係で複数の第2開口側電極107に接続されている。
むろん、1つの第2開口側電極107に対して複数の第2プラグ電極144が接続されていてもよい。図示は省略されるが、複数の第2プラグ電極144は、一端部側の領域と同様の態様で、層間絶縁層142において第2トレンチゲート構造70の他端部側の領域を被覆する部分にも埋め込まれている。
複数の第2プラグ電極144は、この形態では、第1方向Xに沿って一列に間隔を空けて配列されている。各第2プラグ電極144は、平面視において三角形状、四角形状、五角形状、六角形状等の多角形状、もしくは、円形状または楕円形状に形成されていてもよい。各第2プラグ電極144は、ここでは、平面視において四角形状に形成されている。
複数の第3プラグ電極145は、層間絶縁層142においてコンタクト電極133を被覆する部分にそれぞれ埋め込まれている。複数の第3プラグ電極145は、層間絶縁層142を貫通し、コンタクト電極133に接続されている。
図示は省略するが、複数の第3プラグ電極145は、一端部側の領域と同様の態様で、層間絶縁層142において他方側のトレンチコンタクト構造120のコンタクト電極133を被覆する部分にも埋め込まれている。
複数の第3プラグ電極145は、この形態では、第1方向Xに沿って一列に間隔を空けて配列されている。各第3プラグ電極145は、平面視において三角形状、四角形状、五角形状、六角形状等の多角形状、もしくは、円形状または楕円形状に形成されていてもよい。各第3プラグ電極145は、ここでは、平面視において四角形状に形成されている。
複数の第4プラグ電極146は、層間絶縁層142において複数のセル領域75を被覆する部分にそれぞれ埋め込まれている。各第4プラグ電極146は、層間絶縁層142を貫通し、各セル領域75にそれぞれ接続されている。各第4プラグ電極146は、より具体的には、各セル領域75において、第1ソース領域92、第1コンタクト領域93、第2ソース領域112および第2コンタクト領域113に電気的に接続されている。
各第4プラグ電極146は、平面視において各セル領域75に沿って延びる帯状に形成されている。各第4プラグ電極146の第2方向Yの長さは、各セル領域75の第2方向Yの長さ未満であってもよい。
むろん、各セル領域75には、複数の第4プラグ電極146が接続されていてもよい。この場合、複数の第4プラグ電極146は、各セル領域75に沿って間隔を空けて形成される。さらに、各第4プラグ電極146は、平面視において三角形状、四角形状、五角形状、六角形状等の多角形状、もしくは、円形状または楕円形状に形成されていてもよい。
出力領域6において層間絶縁層142の上には、前述のソース電極12およびゲート制御配線17が形成されている。ソース電極12は、層間絶縁層142の上において複数の第4プラグ電極146に一括して電気的に接続されている。ソース電極12には、基準電圧(たとえばグランド電圧)が印加される。基準電圧は、複数の第4プラグ電極146を介して第1ソース領域92、第1コンタクト領域93、第2ソース領域112および第2コンタクト領域113に伝達される。
ゲート制御配線17のうちの第1ゲート制御配線17Aは、層間絶縁層142の上において複数の第1プラグ電極143に電気的に接続されている。第1ゲート制御配線17Aには、コントロールIC10からのゲート制御信号が入力される。ゲート制御信号は、第1ゲート制御配線17Aおよび複数の第1プラグ電極143を介して第1開口側電極87に伝達される。
ゲート制御配線17のうちの第2ゲート制御配線17Bは、層間絶縁層142の上において複数の第2プラグ電極144に電気的に接続されている。第2ゲート制御配線17Bには、コントロールIC10からのゲート制御信号が入力される。ゲート制御信号は、第2ゲート制御配線17Bおよび複数の第2プラグ電極144を介して第2開口側電極107に伝達される。
ゲート制御配線17のうちの第3ゲート制御配線17Cは、層間絶縁層142の上において複数の第3プラグ電極145に電気的に接続されている。第3ゲート制御配線17Cには、コントロールIC10からのゲート制御信号が入力される。ゲート制御信号は、第3ゲート制御配線17Cおよび複数の第3プラグ電極145を介してコンタクト電極133に伝達される。つまり、コントロールIC10からのゲート制御信号は、コンタクト電極133を介して第1底側電極86および第2底側電極106に伝達される。
第1MISFET56(第1トレンチゲート構造60)及び第2MISFET57(第2トレンチゲート構造70)が共にオフ状態に制御される場合、第1チャネル領域91および第2チャネル領域111は共にオフ状態に制御される。
第1MISFET56および第2MISFET57が共にオン状態に制御される場合、第1チャネル領域91および第2チャネル領域111は共にオン状態に制御される(Full-ON制御)。
第1MISFET56がオン状態に制御される一方で、第2MISFET57がオフ状態に制御される場合、第1チャネル領域91はオン状態に制御され、第2チャネル領域111はオフ状態に制御される(第1Half-ON制御)。
第1MISFET56がオフ状態に制御される一方で、第2MISFET57がオン状態に制御される場合、第1チャネル領域91はオフ状態に制御され、第2チャネル領域111はオン状態に制御される(第2Half-ON制御)。
このようにして、パワーMISFET9では、1つの出力領域6に形成された第1MISFET56および第2MISFET57を利用して、Full-ON制御、第1Half-ON制御および第2Half-ON制御を含む複数種の制御が実現される。
第1MISFET56を駆動させるとき(つまり、ゲートのオン制御時)、第1底側電極86にオン信号Vonが印加され、第1開口側電極87にオン信号Vonが印加されてもよい。この場合、第1底側電極86および第1開口側電極87は、ゲート電極として機能する。
これにより、第1底側電極86および第1開口側電極87の間の電圧降下を抑制できるので、第1底側電極86及び第1開口側電極87の間の電界集中を抑制できる。また、半導体層2のオン抵抗を低下させることができるので、消費電力低減を図ることができる。
第1MISFET56を駆動させるとき(つまり、ゲートのオン制御時)、第1底側電極86にオフ信号Voff(たとえば基準電圧)が印加され、第1開口側電極87にオン信号Vonが印加されてもよい。この場合、第1底側電極86がフィールド電極として機能する一方で、第1開口側電極87がゲート電極として機能する。これにより、寄生容量を低下させることができるから、スイッチング速度の向上を図ることができる。
第2MISFET57を駆動させるとき(つまり、ゲートのオン制御時)、第2底側電極106にオン信号Vonが印加され、第2開口側電極107にオン信号Vonが印加されてもよい。この場合、第2底側電極106および第2開口側電極107は、ゲート電極として機能する。
これにより、第2底側電極106および第2開口側電極107の間の電圧降下を抑制できるから、第2底側電極106及び第2開口側電極107の間の電界集中を抑制できる。また、半導体層2のオン抵抗を低下させることができるから、消費電力の低減を図ることができる。
第2MISFET57を駆動させるとき(つまり、ゲートのオン制御時)、第2底側電極106にオフ信号Voff(基準電圧)が印加され、第2開口側電極107にオン信号Vonが印加されてもよい。この場合、第2底側電極106がフィールド電極として機能する一方で、第2開口側電極107がゲート電極として機能する。これにより、寄生容量を低下させることができるから、スイッチング速度の向上を図ることができる。
図7および図8を参照して、第1チャネル領域91は、各セル領域75において第1チャネル面積S1で形成されている。第1チャネル面積S1は、各セル領域75に形成された複数の第1ソース領域92のトータル平面面積によって定義される。
第1チャネル領域91は、各セル領域75において第1チャネル割合R1(第1割合)で形成されている。第1チャネル割合R1は、各セル領域75の平面面積を100%としたとき、各セル領域75において第1チャネル面積S1が占める割合である。
第1チャネル割合R1は、0%以上50%以下の範囲で調整される。第1チャネル割合R1は、0%以上5%以下、5%以上10%以下、10%以上15%以下、15%以上20%以下、20%以上25%以下、25%以上30%以下、30%以上35%以下、35%以上40%以下、40%以上45%以下、または、45%以上50%以下であってもよい。第1チャネル割合R1は、10%以上35%以下であることが好ましい。
第1チャネル割合R1が50%の場合、第1トレンチゲート構造60の第1側壁61および第2側壁62のほぼ全域に第1ソース領域92が形成される。この場合、第1トレンチゲート構造60の第1側壁61および第2側壁62に第1コンタクト領域93は形成されない。第1チャネル割合R1は、50%未満であることが好ましい。
第1チャネル割合R1が0%の場合、第1トレンチゲート構造60の第1側壁61および第2側壁62に第1ソース領域92は形成されない。この場合、第1トレンチゲート構造60の第1側壁61および第2側壁62にボディ領域55および/または第1コンタクト領域93だけが形成される。第1チャネル割合R1は、0%を超えることが好ましい。この形態では、第1チャネル割合R1が25%である例が示されている。
第2チャネル領域111は、各セル領域75において第2チャネル面積S2で形成されている。第2チャネル面積S2は、各セル領域75に形成された複数の第2ソース領域112のトータル平面面積によって定義される。
第2チャネル領域111は、各セル領域75において、第2チャネル割合R2(第2割合)で形成されている。第2チャネル割合R2は、各セル領域75の平面面積を100%としたとき、各セル領域75において第2チャネル面積S2が占める割合である。
第2チャネル割合R2は、0%以上50%以下の範囲で調整される。第2チャネル割合R2は、0%以上5%以下、5%以上10%以下、10%以上15%以下、15%以上20%以下、20%以上25%以下、25%以上30%以下、30%以上35%以下、35%以上40%以下、40%以上45%以下、または、45%以上50%以下であってもよい。第2チャネル割合R2は、10%以上35%以下であることが好ましい。
第2チャネル割合R2が50%の場合、第2トレンチゲート構造70の第1側壁71および第2側壁72のほぼ全域に第2ソース領域112が形成される。この場合、第2トレンチゲート構造70の第1側壁71および第2側壁72に第2コンタクト領域113は形成されない。第2チャネル割合R2は、50%未満であることが好ましい。
第2チャネル割合R2が0%の場合、第2トレンチゲート構造70の第1側壁71および第2側壁72に第2ソース領域112は形成されない。この場合、第2トレンチゲート構造70の第1側壁71および第2側壁72にボディ領域55および/または第2コンタクト領域113だけが形成される。第2チャネル割合R2は、0%を超えることが好ましい。この形態では、第2チャネル割合R2が25%である例が示されている。
このように、第1チャネル領域91および第2チャネル領域111は、各セル領域75において0%以上100%以下(好ましくは0%を超えて100%未満)の総チャネル割合RT(RT=R1+R2)で形成される。
各セル領域75における総チャネル割合RTは、この形態では50%である。この形態では、全ての総チャネル割合RTが等しい値に設定されている。そのため、出力領域6内(単位面積)における平均チャネル割合RAVは50%となる。平均チャネル割合RAVは、全ての総チャネル割合RTの和を、総チャネル割合RTの総数で除したものである。
以下、図12Aおよび図12Bに、平均チャネル割合RAVを調整した場合の形態例を示す。図12Aは、図7に対応する領域の断面斜視図であって、第2形態例に係るチャネル構造を含む形態を示す断面斜視図である。図12Bは、図7に対応する領域の断面斜視図であって、第3形態例に係るチャネル構造を含む形態を示す断面斜視図である。
図12Aでは、平均チャネル割合RAVが約66%に調整された場合の形態例が示されている。各セル領域75の総チャネル割合RTは、約66%である。図12Bでは、平均チャネル割合RAVが33%に調整された場合の形態例が示されている。各セル領域75の総チャネル割合RTは、33%である。
総チャネル割合RTは、セル領域75毎に調整されてもよい。つまり、異なる値をそれぞれ有する複数の総チャネル割合RTがセル領域75毎に適用されてもよい。総チャネル割合RTは、半導体層2の温度上昇に関係している。たとえば、総チャネル割合RTを増加させると、半導体層2の温度が上昇し易くなる。一方で、総チャネル割合RTを減少させると、半導体層2の温度が上昇し難くなる。
これを利用して、総チャネル割合RTは、半導体層2の温度分布に応じて調整されてもよい。たとえば、半導体層2において温度が高まり易い領域の総チャネル割合RTを比較的小さくし、半導体層2において温度が高まり難い領域の総チャネル割合RTを比較的大きくしてもよい。
半導体層2において温度が高まり易い領域として、出力領域6の中央部を例示できる。半導体層2において温度が高まり難い領域として、出力領域6の周縁部を例示できる。むろん、半導体層2の温度分布に応じて総チャネル割合RTを調整しながら、平均チャネル割合RAVが調整されてもよい。
20%以上40%以下(たとえば25%)の総チャネル割合RTを有するセル領域75を、温度が高まり易い領域(たとえば中央部)に複数集約させてもよい。60%以上80%以下(たとえば75%)の総チャネル割合RTを有するセル領域75を、温度が高まり難い領域(たとえば周縁部)に複数集約させてもよい。40%を超えて60%未満(たとえば50%)の総チャネル割合RTを有するセル領域75を、温度が高まり易い領域および温度が高まり難い領域の間の領域に複数集約させてもよい。
さらに、20%以上40%以下の総チャネル割合RT、40%以上60%以下の総チャネル割合RTおよび60%以上80%以下の総チャネル割合RTが、規則的な配列で、複数のセル領域75に適用されてもよい。
一例として、25%(low)→50%(middle)→75%(high)の順に繰り返す3種の総チャネル割合RTが、複数のセル領域75に適用されてもよい。この場合、平均チャネル割合RAVは、50%に調整されてもよい。このような構造の場合、比較的簡単な設計で、半導体層2の温度分布に偏りが形成されるのを抑制できる。このような構造を適用した具体的な形態は、次の実施形態に示される。
図13は、アクティブクランプ耐量Eacおよび面積抵抗率Ron・Aの関係を実測によって調べたグラフである。図13のグラフは、第1MISFET56および第2MISFET57を同時にオン状態およびオフ状態に制御した場合の特性を示している。
図13において、縦軸はアクティブクランプ耐量Eac[mJ/mm]を示し、横軸は面積抵抗率Ron・A[mΩ・mm]を示している。アクティブクランプ耐量Eacは、図3において述べた通り、逆起電力に対する耐量である。面積抵抗率Ron・Aは、通常動作時における半導体層2内のオン抵抗を表している。
図13には、第1プロット点P1、第2プロット点P2、第3プロット点P3および第4プロット点P4が示されている。第1プロット点P1、第2プロット点P2、第3プロット点P3および第4プロット点P4は、平均チャネル割合RAV(つまり、各セル領域75に占める総チャネル割合RT)が66%、50%、33%および25%に調整された場合の特性をそれぞれ示している。
平均チャネル割合RAVを増加させた場合、通常動作時に面積抵抗率Ron・Aが低下し、アクティブクランプ動作時にアクティブクランプ耐量Eacが低下した。これとは反対に、平均チャネル割合RAVを低下させた場合、通常動作時に面積抵抗率Ron・Aが増加し、アクティブクランプ動作時にアクティブクランプ耐量Eacが向上した。
面積抵抗率Ron・Aを鑑みると、平均チャネル割合RAVは33%以上(より具体的には33%以上100%未満)であることが好ましい。アクティブクランプ耐量Eacを鑑みると、平均チャネル割合RAVは33%未満(より具体的には0%を超えて33%未満)であることが好ましい。
平均チャネル割合RAVの増加に起因して面積抵抗率Ron・Aが低下したのは、電流経路が増加したためである。また、平均チャネル割合RAVの増加に起因してアクティブクランプ耐量Eacが低下したのは、逆起電力に起因する急激な温度上昇が引き起こされたためである。
とりわけ、平均チャネル割合RAV(総チャネル割合RT)が比較的大きい場合には、互いに隣り合う第1トレンチゲート構造60および第2トレンチゲート構造70の間の領域において局所的かつ急激な温度上昇が発生する可能性が高まる。アクティブクランプ耐量Eacは、この種の温度上昇に起因して低下したと考えられる。
一方、平均チャネル割合RAVの低下に起因して面積抵抗率Ron・Aが増加した理由は、電流経路が縮小したためである。平均チャネル割合RAVの低下に起因してアクティブクランプ耐量Eacが向上したのは、平均チャネル割合RAV(総チャネル割合RT)が比較的小さくなり、局所的かつ急激な温度上昇が抑制されたためと考えられる。
図13のグラフの結果から、平均チャネル割合RAV(総チャネル割合RT)に基づく調整法にはトレードオフの関係が存在するため、当該トレードオフの関係から切り離して優れた面積抵抗率Ron・Aおよび優れたアクティブクランプ耐量Eacを両立することは困難であることが分かる。
一方、図13のグラフの結果から、パワーMISFET9において、通常動作時に第1プロット点P1(RAV=66%)に近づく動作をさせ、アクティブクランプ動作時に第4プロット点P4(RAV=25%)に近づく動作をさせることにより、優れた面積抵抗率Ron・A及び優れたアクティブクランプ耐量Eacを両立できることが分かる。そこで、この形態では、以下の制御が実施される。
図14Aは、図1に示す半導体装置1の第1制御例に係る通常動作を説明するための断面斜視図である。図14Bは、図1に示す半導体装置1の第1制御例に係るアクティブクランプ動作を説明するための断面斜視図である。図14Aおよび図14Bでは、説明の便宜上、第1主面3の上の構造を省略し、ゲート制御配線17を簡略化している。
図14Aを参照して、パワーMISFET9の通常動作時では、第1ゲート制御配線17Aに第1オン信号Von1が入力され、第2ゲート制御配線17Bに第2オン信号Von2が入力され、第3ゲート制御配線17Cに第3オン信号Von3が入力される。
第1オン信号Von1、第2オン信号Von2および第3オン信号Von3は、コントロールIC10からそれぞれ入力される。第1オン信号Von1、第2オン信号Von2及び第3オン信号Von3は、ゲート閾値電圧Vth以上の電圧をそれぞれ有している。第1オン信号Von1、第2オン信号Von2および第3オン信号Von3は、それぞれ等しい電圧を有していてもよい。
この場合、第1開口側電極87、第2開口側電極107、第1底側電極86および第2底側電極106がそれぞれオン状態になる。つまり、第1開口側電極87、第2開口側電極107、第1底側電極86および第2底側電極106は、ゲート電極としてそれぞれ機能する。
これにより、第1チャネル領域91および第2チャネル領域111は共にオン状態に制御される。図14Aでは、オン状態の第1チャネル領域91および第2チャネル領域111がドット状のハッチングによって示されている。
その結果、第1MISFET56および第2MISFET57の双方が駆動される(Full-ON制御)。通常動作時のチャネル利用率RUは、100%である。通常動作時の特性チャネル割合RCは、50%である。チャネル利用率RUは、第1チャネル領域91および第2チャネル領域111のうちオン状態に制御されている第1チャネル領域91および第2チャネル領域111の割合である。
なお、特性チャネル割合RCは、平均チャネル割合RAVにチャネル利用率RUを乗じた値(RC=RAV×RU)である。パワーMISFET9の特性(面積抵抗率Ron・Aおよびアクティブクランプ耐量Eac)は、特性チャネル割合RCに基づいて定められる。これにより、面積抵抗率Ron・Aは、図13のグラフにおいて第2プロット点P2で示された面積抵抗率Ron・Aに近づく。
一方、図14Bを参照して、パワーMISFET9のアクティブクランプ動作時では、第1ゲート制御配線17Aにオフ信号Voffが入力され、第2ゲート制御配線17Bに第1クランプオン信号VCon1が入力され、第3ゲート制御配線17Cに第2クランプオン信号VCon2が入力される。
オフ信号Voff、第1クランプオン信号VCon1および第2クランプオン信号VCon2は、コントロールIC10からそれぞれ入力される。オフ信号Voffは、ゲート閾値電圧Vth未満の電圧(たとえば基準電圧)を有している。第1クランプオン信号VCon1および第2クランプオン信号VCon2は、ゲート閾値電圧Vth以上の電圧をそれぞれ有している。第1クランプオン信号VCon1および第2クランプオン信号VCon2は、それぞれ等しい電圧を有していてもよい。第1クランプオン信号VCon1および第2クランプオン信号VCon2は、通常動作時の電圧以下または未満の電圧を有していてもよい。
この場合、第1開口側電極87がオフ状態となり、第1底側電極86、第2底側電極106及び第2開口側電極107がそれぞれオン状態になる。これにより、第1チャネル領域91がオフ状態に制御されると共に第2チャネル領域111がオン状態に制御される。図14Bでは、オフ状態の第1チャネル領域91が塗りつぶしハッチングにより示され、オン状態の第2チャネル領域111がドット状のハッチングにより示されている。
その結果、第1MISFET56がオフ状態に制御される一方、第2MISFET57がオン状態に制御される(第2Half-ON制御)。これによりアクティブクランプ動作時のチャネル利用率RUが、零を超えて通常動作時のチャネル利用率RU未満となる。
アクティブクランプ動作時のチャネル利用率RUは、50%である。また、アクティブクランプ動作時の特性チャネル割合RCは、25%である。これにより、アクティブクランプ耐量Eacは、図13のグラフにおいて第4プロット点P4で示されたアクティブクランプ耐量Eacに近づく。
第1制御例では、アクティブクランプ動作時において第2Half-ON制御が適用された例について説明した。しかし、アクティブクランプ動作時において第1Half-ON制御が適用されてもよい。
図15Aは、図1に示す半導体装置1の第2制御例に係る通常動作を説明するための断面斜視図である。図15Bは、図1に示す半導体装置1の第2制御例に係るアクティブクランプ動作を説明するための断面斜視図である。図15Aおよび図15Bでは、説明の便宜上、第1主面3の上の構造を省略し、ゲート制御配線17を簡略化している。
図15Aを参照して、パワーMISFET9の通常動作時では、第1ゲート制御配線17Aに第1オン信号Von1が入力され、第2ゲート制御配線17Bに第2オン信号Von2が入力され、第3ゲート制御配線17Cにオフ信号Voffが入力される。
第1オン信号Von1、第2オン信号Von2およびオフ信号Voffは、コントロールIC10からそれぞれ入力される。第1オン信号Von1および第2オン信号Von2は、ゲート閾値電圧Vth以上の電圧をそれぞれ有している。第1オン信号Von1および第2オン信号Von2は、それぞれ等しい電圧を有していてもよい。オフ信号Voffは、ゲート閾値電圧Vth未満の電圧(たとえば基準電圧)を有している。
この場合、第1開口側電極87及び第2開口側電極107がそれぞれオン状態になり、第1底側電極86および第2底側電極106がそれぞれオフ状態になる。つまり、第1開口側電極87および第2開口側電極107がゲート電極として機能する一方で、第1底側電極86および第2底側電極106がフィールド電極として機能する。
これにより、第1チャネル領域91および第2チャネル領域111は共にオン状態に制御される。図15Aでは、オン状態の第1チャネル領域91および第2チャネル領域111がドット状のハッチングによって示されている。
その結果、第1MISFET56および第2MISFET57の双方が駆動される(Full-ON制御)。通常動作時のチャネル利用率RUは、100%である。通常動作時の特性チャネル割合RCは、50%である。これにより、面積抵抗率Ron・Aは、図13のグラフにおいて第2プロット点P2で示された面積抵抗率Ron・Aに近づく。
一方、図15Bを参照して、パワーMISFET9のアクティブクランプ動作時では、第1ゲート制御配線17Aに第1オフ信号Voff1が入力され、第2ゲート制御配線17Bにクランプオン信号VConが入力され、第3ゲート制御配線17Cに第2オフ信号Voff2が入力される。
第1オフ信号Voff1、クランプオン信号VCon及び第2オフ信号Voff2は、コントロールIC10からそれぞれ入力される。第1オフ信号Voff1は、ゲート閾値電圧Vth未満の電圧(例えば基準電圧)を有している。クランプオン信号VConは、ゲート閾値電圧Vth以上の電圧を有している。クランプオン信号VConは、通常動作時の電圧以下または未満の電圧を有していてもよい。第2オフ信号Voff2は、ゲート閾値電圧Vth未満の電圧値(たとえば基準電圧)を有している。
この場合、第1開口側電極87、第1底側電極86及び第2底側電極106がそれぞれオフ状態となり、第2開口側電極107がオン状態になる。これにより、第1チャネル領域91がオフ状態に制御されると共に第2チャネル領域111がオン状態に制御される。図15Bでは、オフ状態の第1チャネル領域91が塗りつぶしハッチングにより示され、オン状態の第2チャネル領域111がドット状のハッチングにより示されている。
その結果、第1MISFET56がオフ状態に制御される一方、第2MISFET57がオン状態に制御される(第2Half-ON制御)。これによりアクティブクランプ動作時のチャネル利用率RUが、零を超えて通常動作時のチャネル利用率RU未満となる。
アクティブクランプ動作時のチャネル利用率RUは、50%である。また、アクティブクランプ動作時の特性チャネル割合RCは、25%である。これにより、アクティブクランプ耐量Eacは、図13のグラフにおいて第4プロット点P4で示されたアクティブクランプ耐量Eacに近づく。
第2制御例では、アクティブクランプ動作時において第2Half-ON制御が適用された例について説明した。しかし、アクティブクランプ動作時において第1Half-ON制御が適用されてもよい。
以上、半導体装置1は、半導体層2に形成されたIPD(Intelligent Power Device)を含む。IPDは、パワーMISFET9、および、パワーMISFET9を制御するコントロールIC10を含む。パワーMISFET9は、より具体的には、第1MISFET56および第2MISFET57を含む。コントロールIC10は、第1MISFET56および第2MISFET57を個別に制御する。
コントロールIC10は、より具体的には、通常動作時に第1MISFET56および第2MISFET57をオン状態に制御し、アクティブクランプ動作時に第1MISFET56をオフ状態に制御すると共に第2MISFET57をオン状態に制御する。
したがって、通常動作時には、第1MISFET56および第2MISFET57を利用して電流を流すことができる。これにより、面積抵抗率Ron・A(オン抵抗)の低減を図ることができる。
一方、アクティブクランプ動作時には、第1MISFET56を停止させた状態で第2MISFET57を利用して電流を流すことができるから、第2MISFET57によって逆起電力を消費(吸収)できる。これにより、逆起電力に起因する急激な温度上昇を抑制できるから、アクティブクランプ耐量Eacの向上を図ることができる。
半導体装置1は、より具体的には、第1FET構造58を含む第1MISFET56、および、第2FET構造68を含む第2MISFET57を有している。第1FET構造58は、第1トレンチゲート構造60および第1チャネル領域91を含む。第2FET構造68は、第2トレンチゲート構造70および第2チャネル領域111を含む。
この場合、コントロールIC10は、通常動作時及びアクティブクランプ動作時の間で異なる特性チャネル割合RC(チャネルの面積)が適用されるように、第1MISFET56及び第2MISFET57を制御する。コントロールIC10は、より具体的には、アクティブクランプ動作時のチャネル利用率RUが、零を超えて通常動作時のチャネル利用率RU未満となるように第1MISFET56及び第2MISFET57を制御する。
従って、通常動作時には、特性チャネル割合RCが相対的に増加する。これにより、電流経路が相対的に増加するから、面積抵抗率Ron・A(オン抵抗)の低減を図ることができる。一方、アクティブクランプ動作時には、特性チャネル割合RCが相対的に減少する。これにより、逆起電力に起因する急激な温度上昇を抑制できるから、アクティブクランプ耐量Eacの向上を図ることができる。
よって、図13に示されるトレードオフの関係から切り離して、優れた面積抵抗率Ron・Aおよび優れたアクティブクランプ耐量Eacの両立を図ることができる半導体装置1を提供できる。
<第2実施形態>
図16は、第2実施形態に係る半導体装置(=半導体装置1がハイサイドスイッチICである場合において、アクティブクランプ動作時にパワーMISFETの第1Half-ON制御を行うための電気的構造)を示すブロック回路図である。
本実施形態の半導体装置X1は、ドレイン電極11(=電源電極VBB)と、ソース電極12(=出力電極OUT)と、パワーMISFET9と、ゲート制御回路25と、アクティブクランプ回路26とを有する。なお、既出の構成要素については、これまでと同一の符号を付している。
また、本図では、説明を簡単とするために、一部の構成要素のみを抽出して示したが、半導体装置X1には、基本的に、先出の半導体装置1(図2を参照)と同様の構成要素が含まれていると理解してよい。
パワーMISFET9は、これまでに種々の実施形態を例示して、その構造を詳細に説明してきたゲート分割素子である。すなわち、パワーMISFET9は、図17で示すように、並列接続された第1MISFET56及び第2MISFET57(=それぞれ第1トランジスタ及び第2トランジスタに相当)として等価的に表すことができる。
別の見方をすると、それぞれ独立して制御される第1MISFET56及び第2MIFET57が、単一のゲート分割素子であるパワーMISFET9として、一体的に形成されていると理解することもできる。
ゲート制御回路25は、パワーMISFET9のゲート制御(延いては、第1MISFET56及び第2MISFET57それぞれのゲート制御)を行う。例えば、ゲート制御回路25は、イネーブル信号ENがハイレベルとされるイネーブル状態(=第1動作状態に相当)において、第1MISFET56及び第2MISFET57をいずれもオンする一方、イネーブル信号ENがローレベルとされるディセーブル状態(=第2動作状態に相当)において、第1MISFET56及び第2MISFET57をいずれもオフするように、第1MISFET56及び第2MISFET57それぞれのゲート信号G1及びG2を生成する。
また、ゲート制御回路25は、アクティブクランプ回路26から内部ノード電圧Vxの入力を受け付けており、イネーブル状態(EN=H)からディセーブル状態(EN=L)への遷移後、アクティブクランプ回路26が動作する前(=出力電圧VOUTがクランプされる前)に、第2MISFET57のゲート・ソース間をショートする機能、つまり、G2=VOUTとして第2MISFET57を完全に停止させることにより、パワーMISFET9の第1Half-ON制御を実現する機能を備えている。
アクティブクランプ回路26は、第1MISFET56のドレイン・ゲート間に接続されており、ソース電極12の出力電圧VOUTが負電圧となったときに、第1MISFET56を強制的にオンさせる(フルオフさせない)ことで、第1MISFET56及び第2MISFET57それぞれのドレイン・ソース間電圧(=VB-VOUT)を所定のクランプ電圧Vclp以下に制限する。なお、第2MISFET57は、アクティブクランプ動作に寄与しないので、そのドレイン・ゲート間には、アクティブクランプ回路26が接続されていない。
図18は、図16におけるゲート制御回路25及びアクティブクランプ回路26の一構成例を示す回路図である。
まず、アクティブクランプ回路26の構成について具体的に説明する。本構成例のアクティブクランプ回路26は、m段(例えばm=8)のツェナダイオード列261と、n段(例えばn=3)のダイオード列262と、Nチャネル型のMISFET263(=第3トランジスタに相当)と、を含む。
ツェナダイオード列261のカソードとMISFET263のドレインは、第1MISFET56及び第2MISFET57それぞれのドレインと共に、ドレイン電極11(=電源電圧VBが印加される電源電極VBBに相当)に接続されている。ツェナダイオード列261のアノードは、ダイオード列262のアノードに接続されている。ダイオード列262のカソードは、MISFET263のゲートに接続されている。MISFET263のソースは、第1MISFET56のゲート(=ゲート信号G1の印加端)に接続されている。MISFET263のバックゲートは、第1MISFET56及び第2MISFET57それぞれのソースと共に、ソース電極12(=出力電圧VOUTが印加される出力電極OUTに相当)に接続されている。なお、ソース電極12には、先出の図16及び図17で示したように、コイルやソレノイドなどの誘導性負荷Lが接続され得る。
次に、ゲート制御回路25の構成について具体的に説明する。本構成例のゲート制御回路25は、電流源251~254と、コントローラ255と、Nチャネル型のMISFET256(=第4トランジスタに相当)と、を含む。
電流源251は、昇圧電圧VG(=チャージポンプ出力)の印加端と第1MISFET56のゲートとの間に接続されており、ソース電流IH1を生成する。
電流源252は、昇圧電圧VGの印加端と第2MISFET57のゲートとの間に接続されており、ソース電流IH2を生成する。
電流源253は、第1MISFET56のゲートと出力電圧VOUTの印加端(=ソース電極12)との間に接続されており、シンク電流IL1を生成する。
電流源254は、第2MISFET57のゲートと出力電圧VOUTの印加端との間に接続されており、シンク電流IL2を生成する。
コントローラ255は、イネーブル状態(EN=H)において、電流源251及び252をオンし、電流源253及び254をオフする。このような電流制御により、第1MISFET56及び第2MISFET57それぞれのゲートには、ソース電流IH1及びIH2が流し込まれる。
一方、コントローラ255は、ディセーブル状態(EN=L)において、電流源251及び252をオフし、電流源253及び254をオンする。このような電流制御により、第1MISFET56及び第2MISFET57それぞれのゲートから、シンク電流IL1及びIL2が引き抜かれる。
MISFET256は、第2MISFET57のゲート・ソース間に接続されており、アクティブクランプ回路26の内部ノード電圧Vxに応じてオン/オフされる。なお、内部ノード電圧Vxとしては、例えば、本図で示したように、MISFET263のゲート電圧を入力することが望ましい。ただし、内部ノード電圧Vxは、これに限定されるものではなく、例えば、ダイオード列262を形成するn段のダイオードのうち、いずれかのアノード電圧を内部ノード電圧Vxとして用いても構わない。
また、半導体装置X1には、上記構成要素のほか、静電破壊保護素子として、ツェナダイオードZD1~ZD3と、ダイオードD1及びD2と、デプレッションNチャネル型のMISFET・DN1が設けられている。それぞれの接続関係について簡単に述べる。
ツェナダイオードZD1及びZD2それぞれのカソードは、第1MISFET56及び第2MISFET57それぞれのゲートに接続されている。ツェナダイオードZD1及びZD2それぞれのアノードは、ダイオードD1及びD2それぞれのアノードに接続されている。ツェナダイオードZD3のカソードとMISFET・DN1のドレインは、MISFET263のゲートに接続されている。ダイオードD1及びD2それぞれのカソード、ツェナダイオードZD3のアノード、並びに、MISFET・DN1のソース、ゲート及びバックゲートは、出力電圧VOUTの印加端に接続されている。
以下では、第1MISFET56のゲート・ソース間電圧をVgs1とし、MISFET263のゲート・ソース間電圧をVgs2とし、MISFET256のゲート・ソース間電圧をVgs3とし、ツェナダイオード列261の降伏電圧をmVZとし、ダイオード列262の順方向降下電圧をnVFとして、アクティブクランプ動作時におけるパワーMISFET9の第1Half-ON制御を説明する。
図19は、半導体装置X1において、アクティブクランプ動作時にパワーMISFET9の第1Half-ON制御が行われる様子を示すタイミングチャートであり、上から順に、イネーブル信号EN、出力電圧VOUT(実線)、ゲート信号G1(一点鎖線)及びG2(破線)、並びに、出力電流IOUTが描写されている。なお、本図では、ソース電極12(出力電極OUT)に誘導性負荷Lが接続されているものとする。
時刻t1において、イネーブル信号ENがハイレベル(=パワーMISFET9をオンするときの論理レベル)に立ち上げられると、ゲート信号G1及びG2がハイレベル(≒VG)に立ち上がり、第1MISFET56及び第2MISFET57がいずれもオンする。その結果、出力電流IOUTが流れ始めるので、出力電圧VOUTが電源電圧VB近傍まで上昇する。この状態は、パワーMISFET9のFull-ON状態に相当する。
その後、時刻t2において、イネーブル信号ENがローレベル(=パワーMISFET9をオフするときの論理レベル)に立ち下げられると、第1MISFET56及び第2MISFET57をいずれもオフするために、ゲート信号G1及びG2がローレベル(≒VOUT)に立ち下がる。
このとき、誘導性負荷Lは、パワーMISFET9のオン期間に蓄えたエネルギーを放出するまで出力電流IOUTを流し続ける。その結果、出力電圧VOUTは、接地電圧GNDよりも低い負電圧まで急低下する。
ただし、時刻t4において、出力電圧VOUTが電源電圧VBよりも所定値α(=mVZ+nVF+Vgs1+Vgs2)だけ低い下限電圧VB-α(例えばVB-50V)まで低下すると、アクティブクランプ回路26の働きにより、第1MISFET56がオンする(フルオフされない)ので、出力電流IOUTが第1MISFET56を介して放電される。従って、出力電圧VOUTは、下限電圧VB-α以上に制限される。
つまり、アクティブクランプ回路26は、電源電圧VB基準で出力電圧VOUTを制限することにより、パワーMISFET9のドレイン・ソース間電圧Vds(=VB-VOUT)を所定のクランプ電圧Vclp(=α)以下に制限する。このようなアクティブクランプ動作は、誘導性負荷Lに蓄えられたエネルギーが放出し尽くされて出力電流IOUTが流れなくなる時刻t5まで継続される。
一方、第2MISFET57に着目すると、イネーブル状態(EN=H)からディセーブル状態(EN=L)への遷移後、時刻t3において、出力電圧VOUTが電源電圧VBよりも所定値β(=mVZ+nVF+Vgs3)だけ低いチャネル切替電圧VB-β(>VB-α)まで低下すると、内部ノード電圧Vxがゲート・ソース間電圧Vgs3よりも高くなるので、MISFET256がオンして、第2MISFET57のゲート・ソース間がショート(G2=VOUT)される。
すなわち、第2MISFET57は、MISFET256の働きにより、アクティブクランプ回路26が動作する前(時刻t4以前)に完全に停止される。この状態は、パワーMISFET9の第1Half-ON状態に相当する。
このように、Full-ON状態から第1Half-ON状態への切替を行うことにより、アクティブクランプ動作時(=時刻t4~t5)のチャネル利用率RUが、零を超えて通常動作時(=時刻t1~t2)のチャネル利用率RU未満となる。
従って、通常動作時には、特性チャネル割合RCが相対的に増加する(例えばRC=50%)。これにより、電流経路が相対的に増加するから、面積抵抗率Ron・A(オン抵抗)の低減を図ることができる。一方、アクティブクランプ動作時には、特性チャネル割合RCが相対的に減少する(例えばRC=25%)。これにより、誘導性負荷Lの逆起電力に起因する急激な温度上昇を抑制できるから、アクティブクランプ耐量Eacの向上を図ることができる。
よって、図13に示されるトレードオフの関係から切り離して、優れた面積抵抗率Ron・Aおよび優れたアクティブクランプ耐量Eacの両立を図ることができる半導体装置1を提供することが可能となる。特に、IPD分野において、アクティブクランプ耐量Eacは、より大きな誘導性負荷Lを駆動するために重要な特性の一つとなる。
なお、図16~図19では、アクティブクランプ動作時において、第1Half-ON制御が適用された例について説明した。しかし、アクティブクランプ動作時において、第2Half-ON制御が適用されてもよい。その場合には、第1MISFET56と第2MISFET57を相互に入れ替えて理解すればよい。
<負荷に応じたオン抵抗選定に関する考察>
背景技術の項でも述べたが、車載IPD(ハイサイドスイッチIC及びローサイドスイッチICなど)の重要特性である出力トランジスタのオン抵抗は、負荷に流れる電流に応じて最適な値を選定しなければならない。
例えば、車両に搭載されるボディECU[electronic control unit]、エンジンECU及びトランスミッションECUは、ハイサイドスイッチICまたはローサイドスイッチICを介して、様々な誘導性負荷(リレーやソレノイドなど)を駆動する。これらの誘導性負荷は、それぞれに流す必要のある負荷電流が大きく異なる(リレーでは200mA程度、ソレノイドでは1~2A程度)そのため、従来の半導体装置では、オン抵抗の異なる複数の製品(例えば20mΩ~200mΩ〉を幅広く取り揃えておく必要があった。
以下では、上記の考察に鑑み、単一の製品で出力トランジスタのオン抵抗を任意かつ容易に可変制御することのできる新規な実施形態を提案する。
<第3実施形態>
図20は、第3実施形態に係る半導体装置(=半導体装置1がハイサイドスイッチICである場合において、パワーMISFET9のオン抵抗可変制御を実現するための電気的構造)を示すブロック回路図である。
本実施形態の半導体装置X2は、ドレイン電極11(=電源電極VBB)と、ソース電極12(=出力電極OUT)と、パワーMISFET9と、ゲート制御回路25と、アクティブクランプ回路26とを有する。なお、既出の構成要素については、これまでと同一の符号を付している。
本図で示したように、ソース電極12には、抵抗性負荷R、容量性負荷C、及び、誘導性負荷Lがどれでも接続され得る。
また、本図では、説明を簡単とするために、一部の構成要素のみを抽出して示したが、半導体装置X2には、基本的に、先出の半導体装置1(図2を参照)と同様の構成要素が含まれていると理解してよい。
パワーMISFET9は、これまでにその構造を詳細に説明してきたゲート分割トランジスタである。ただし、パワーMISFET9のゲート本数は、後述する4値のオン抵抗可変制御を実現するために、これまでの2本(G1、G2)から4本(G11~G14)に増設されている。すなわち、パワーMISFET9は、ゲート信号G11が入力される第1ゲートと、ゲート信号G12が入力される第2ゲートと、ゲート信号G13が入力される第3ゲートと、ゲート信号G14が入力される第4ゲートと、を有する。そして、パワーMISFET9のオン抵抗RONは、複数のゲート信号G11~G14の個別制御により4通りに可変制御される(詳細は後述)。
なお、パワーMISFET9は、本図中の括弧内で示したように、並列接続された4つのMISFETとして等価的に表すことができる。別の見方をすると、それぞれ独立して制御される4つのMISFETが、単一のゲート分割素子であるパワーMISFET9として、一体的に形成されていると理解することもできる。
ゲート制御回路25は、パワーMISFET9のゲート制御(=ゲート信号G11~G14それぞれの駆動制御)を行う。なお、ゲート制御回路25は、基本的に、イネーブル信号ENがハイレベルであるときにゲート信号G11~G14をいずれもハイレベルとする一方、イネーブル信号ENがローレベルであるときにゲート信号G11~G14をいずれもローレベルとするように、ゲート信号G11~G14の一括制御を行う。
また、ゲート制御回路25は、アクティブクランプ回路26の内部ノード電圧Vxを受け付けており、パワーMISFET9のオフ遷移時において、アクティブクランプ回路26の動作前にパワーMISFET9の第1~第3ゲート(=非クランプゲートに相当)を無効とし、パワーMISFET9のオン抵抗RONを定常値から引き上げるように、ゲート信号G11~G14それぞれを個別に制御する機能も備えている。
さらに、ゲート制御回路25は、オン抵抗選択信号SEL1及びSEL2に応じてパワーMISFET9のオン抵抗RONを切り替えるように、ゲート信号G11~G14それぞれを個別に制御する機能も備えている。なお、ゲート制御回路25の内部構成及び動作については、後ほど詳細に説明する。
アクティブクランプ回路26は、パワーMISFET9の第4ゲート(=ゲート信号G14の印加端)とドレインとの間に接続されており、ソース電極12の出力電圧VOUTが負電圧となったときに、パワーMISFET9を強制的にオンさせる(フルオフさせない)ことでパワーMISFET9のドレイン・ソース間電圧(=VB-VOUT)を所定のクランプ電圧Vclp以下に制限する。なお、パワーMISFET9の第1~第3ゲート(=ゲート信号G11~G13がそれぞれ印加される非クランプゲートに相当)は、いずれもアクティブクランプ動作に寄与しないので、アクティブクランプ回路26が接続されていない。また、パワーMISFET9の第4ゲート(=ゲート信号G14の印加端)は、最も小さいチャネル(高アクティブクランプ耐量)のゲートにするとよい。アクティブクランプ回路26の内部構成は、先述の通りであるため、重複した説明を割愛する。
次に、ゲート制御回路25の内部構成について具体的に説明する。本構成例のゲート制御回路25は、電流源25a~25h、Nチャネル型のMISFET25i~25kと、コントローラ25xと、を含む。
電流源25aは、昇圧電圧VG(=チャージポンプ出力)の印加端とパワーMISFET9の第1ゲート(=ゲート信号G11の印加端)との間に接続されており、ソース電流IH1を生成する。
電流源25bは、昇圧電圧VGの印加端とパワーMISFET9の第2ゲート(=ゲート信号G12の印加端)との間に接続されており、ソース電流IH2を生成する。
電流源25cは、昇圧電圧VGの印加端とパワーMISFET9の第3ゲート(=ゲート信号G13の印加端)との間に接続されており、ソース電流IH3を生成する。
電流源25dは、昇圧電圧VGの印加端とパワーMISFET9の第4ゲート(=ゲート信号G14の印加端)との間に接続されており、ソース電流IH4を生成する。
電流源25eは、パワーMISFET9の第1ゲートと出力電圧VOUTの印加端(=ソース電極12)との間に接続されており、シンク電流IL1を生成する。
電流源25fは、パワーMISFET9の第2ゲートと出力電圧VOUTの印加端との間に接続されており、シンク電流IL2を生成する。
電流源25gは、パワーMISFET9の第3ゲートと出力電圧VOUTの印加端との間に接続されており、シンク電流IL3を生成する。
電流源25hは、パワーMISFET9の第4ゲートと出力電圧VOUTの印加端との間に接続されており、シンク電流IL4を生成する。
MISFET25iは、パワーMISFET9の第1ゲートとソースとの間に接続されており、ゲートに入力されるアクティブクランプ回路26の内部ノード電圧Vxに応じてオン/オフされる。
MISFET25jは、パワーMISFET9の第2ゲートとソースとの間に接続されており、ゲートに入力されるアクティブクランプ回路26の内部ノード電圧Vxに応じてオン/オフされる。
MISFET25kは、パワーMISFET9の第3ゲートとソースとの間に接続されており、ゲートに入力されるアクティブクランプ回路26の内部ノード電圧Vxに応じてオン/オフされる。
パワーMISFET9のオフ遷移時には、アクティブクランプ回路26が動作する前に上記のMISFET25i~25kがオンするので、パワーMISFET9の第1~第3ゲート(=非クランプゲートに相当)がソースに短絡されて無効となり、パワーMISFET9のオン抵抗RONが引き上げられた状態となる。従って、誘導性負荷Lの逆起電力に起因する急激な温度上昇を抑制することができるので、アクティブクランプ耐量Eacの向上を図ることが可能となる。この点は、先の第2実施形態(図16)と変わらない。
なお、内部ノード電圧Vxとしては、例えば、本図で示したように、MISFET263のゲート電圧を入力することが望ましい。ただし、内部ノード電圧Vxは、これに限定されるものではなく、例えば、ダイオード列262を形成するn段のダイオードのうち、いずれかのアノード電圧を内部ノード電圧Vxとして用いても構わない。
コントローラ25xは、その基本動作として、イネーブル信号ENがハイレベルであるときに電流源25a~25dをオンして、電流源25e~25hをオフする。このような電流制御により、パワーMISFET9の第1~第4ゲートには、それぞれ、ソース電流IH1~IH4が流し込まれる。その結果、ゲート信号G11~G14がそれぞれハイレベルに立ち上げられる。
一方、コントローラ25xは、その基本動作として、イネーブル信号ENがローレベルであるときに、電流源25a~25dをオフして、電流源25e~25hをオンする。このような電流制御により、パワーMISFET9の第1~第4ゲートから、それぞれ、シンク電流IL1~IL4が引き抜かれる。その結果、ゲート信号G11~G14がそれぞれローレベルに立ち下げられる。
また、先にも述べたように、コントローラ25xは、オン抵抗選択信号SEL1及びSEL2に応じてパワーMISFET9のオン抵抗RONを切り替えるように、ゲート信号G11~G14それぞれを個別に制御する機能も備えている。
図21は、半導体装置X2におけるピン配置の一例を示す図(=半導体装置X2のパッケージを裏面から見た図)である。例えば、半導体装置X2は、8本の外部端子(IN、GND、SEL1、SEL2、ST、OUT×3)と1つの裏面パッド(VBB)を備えてもよい。なお、本図のSTピンは、異常ステータス出力端子であり、図2のSENSE電極16に相当する。また、OUTピンは、大電流を流すために複数本(本図では3本)設けられている。
SEL1ピン及びSEL2ピンは、それぞれ、オン抵抗選択信号SEL1及びSEL2の入力端子である。このように、オン抵抗選択信号SEL1及びSEL2は、専用端子を介して外部入力される信号であってもよい。ただし、半導体装置X2が外部との通信インタフェイス(ICバスなど)を備えている場合には、外部コマンドに応じてオン抵抗選択信号SEL1及びSEL2を内部生成またはレジスタ格納してもよい。
図22は、オン抵抗選択制御の論理値表を示す図である。例えば、SEL1=SEL2=”0”である場合には、イネーブル信号ENがハイレベルに立ち上げられると、第1~第4ゲート(G11~G14)がいずれもハイレベルとされる。このとき、パワーMISFET9の特性チャネル割合RCが最大値(例えば75%)となり、オン抵抗RONが最低値(例えば30mΩ)となる。
また、SEL1=”0”かつSEL2=”1”である場合には、イネーブル信号ENがハイレベルに立ち上げられると、第1ゲート(G11)がローレベルとされたまま、第2~第4ゲート(G12~G14)がいずれもハイレベルとされる。このとき、パワーMISFET9の特性チャネル割合RCが最大値よりも1段階引き下げられた値(例えば33%)となり、オン抵抗RONが最小値よりも1段階引き上げられた値(例えば45mΩ)となる。
また、SEL1=”1”かつSEL2=”0”である場合には、イネーブル信号ENがハイレベルに立ち上げられると、第1ゲート(G11)及び第2ゲート(G12)がローレベルとされたまま、第3ゲート(G13)及び第4ゲート(G14)がハイレベルとされる。このとき、パワーMISFET9の特性チャネル割合RCが最大値よりも2段階引き下げられた値(例えば15%)となり、オン抵抗RONが最小値よりも2段階引き上げられた値(例えば90mΩ)となる。
また、SEL1=SEL2=”1”である場合には、イネーブル信号ENがハイレベルに立ち上げられると、第1~第3ゲート(G11~G13)がローレベルとされたまま、第4ゲート(G14)のみハイレベルとされる。このとき、パワーMISFET9の特性チャネル割合RCが最小値(例えば10%)となり、オン抵抗RONが最高値(例えば150mΩ)となる。
なお、パワーMISFET9の第1~第4ゲート(G11~G14)のうち、最も小さいチャネル(高アクティブクランプ耐量)の第4ゲート(G14)は、オン抵抗選択信号SEL1及びSEL2に依ることなく、常時有効としておけばよい。
このように、オン抵抗選択信号SEL1及びSEL2に応じて、ゲート分割型のパワーMISFET9に入力されるゲート信号G11~G14を個別制御することにより、単一の製品でパワーMISFET9のオン抵抗RONを任意かつ容易に可変制御することが可能となる。従って、オン抵抗の異なる複数の製品を幅広く取り揃えておく必要がなくなるので、利便性の向上やコストの低減を図ることができる。
また、ゲート分割型のパワーMISFET9を使用することにより、複数のパワーMISFETを並列接続する場合と比べて、パッケージの小面積化(一意のオン抵抗を持つ製品と同サイズ)を実現することも可能となる。
また、パワーMISFET9の分割ゲート数とオン抵抗選択信号SELの本数を増減することにより、パワーMISFET9のオン抵抗RONの選択肢を任意に増減し得ることは言うまでもない。
また、上記で説明したオン抵抗可変制御は、ハイサイドスイッチICに限らず、ローサイドスイッチICにも適用することが可能である。
<過電流保護回路>
図23は、過電流保護回路34の一構成例を示す図である。本構成例の過電流保護回路34は、パワーMISFET9に流れる出力電流IOUTを検出して所定の上限値Iocp以下に制限するように過電流保護信号S34を生成する回路ブロックであり、Nチャネル型のMISFET341及び342と、抵抗343及び344と、電流源345及び346と、を含む。
電流源345及び346それぞれの第1端は、いずれも昇圧電圧VGの印加端に接続されている。電流源345の第2端は、MISFET341のドレインに接続されている。電流源346の第2端は、MISFET342のドレインに接続されている。なお、MISFET342のドレインは、過電流保護信号S34の出力端としてゲート制御回路25にも接続されている。MISFET341及び342それぞれのゲートは、いずれもMISFET341のドレインに接続されている。
MISFET341のソースは、抵抗343(抵抗値:Rref)の第1端に接続されている。MISFET342のソースは、センサMISFET21のソース(=出力電流IOUTに応じたセンス電流Is(ただしIs:IOUT=1:α)の出力端)と共に、抵抗344(抵抗値:Rs)の第1端に接続されている。センサMISFET21のドレインは、ドレイン電極11に接続されている。また、抵抗343及び344それぞれの第2端は、出力電圧VOUTの印加端に接続されている。
センサMISFET21は、パワーMOSFET9と同じくゲート分割型であり、センサMISFET21の第1~第4ゲートは、パワーMISFET9の第1~第4ゲートに接続されている。なお、センサMISFET21として、ゲート非分割型を用いる場合、センサMISFET21のゲートは、パワーMISFET9の第4ゲート(常時駆動ゲート)に接続しておけばよい。
なお、上記構成から成る過電流保護回路34において、MISFET341のソースには、基準電圧Vref(=Iref×Rref+VOUT)が生成される。一方、MISFET342のソースには、センス電圧Vs(=(Iref+Is)×Rs+VOUT)が生成される。従って、過電流保護信号S34は、センス電圧Vsが基準電圧Vrefよりも低いときにローレベル(=異常未検出時の論理レベル)となり、センス電圧Vsが基準電圧Vrefよりも高いときにハイレベル(=異常検出時の論理レベル)となる。
ここで、パワーMISFET9とセンサMISFET21は、いずれもゲート分割型であり、ゲート制御回路25がゲート信号G11~G14を個別制御することにより、パワーMISFET9及びセンサMISFET21それぞれのオン抵抗RON及びRON2が同様の挙動で可変制御される。その結果、パワーMISFET9に流す必要のある出力電流IOUTに応じて、過電流保護回路34の上限値Iocpを適切に可変制御することが可能となる。また、複数のパワーMISFETを並列接続する場合と比べて、センサMISFETのゲート制御も容易となる。
<過熱保護回路>
図24は、過熱保護回路36(図2を参照)における温度検出素子ThD(例えば温度検出ダイオード)の配置例を示す図である。なお、上段には複数のパワーMISFETを並列接続した場合の素子レイアウトが描写されており、下段にはゲート分割型のパワーMISFET9を用いた場合の素子レイアウトが描写されている。
過熱保護回路36は、パワーMISFET9の温度が所定の上限値に達したとき、若しくは、パワーMISFET9と他の回路ブロック(例えばゲート制御回路25)との温度差が所定の上限値に達したときに、パワーMISFET9を強制的にオフするように構成された保護機能ブロックの一つである。
本図から分かるように、複数のパワーMISFETを並列接続した場合には、それぞれの中央に温度検出素子ThDを配置する必要がある。一方、ゲート分割型のパワーMISFET9を用いた場合には、その中央に単一の温度検出素子ThDを配置すれば足りる。従って、チップ面積の縮小や配線レイアウトの単純化に寄与することが可能となる。
次に、過熱保護回路36の動作例について述べる。例えば、過熱保護回路36は、過熱検出時において、まず、非クランプゲートである第1ゲート~第3ゲート(G11~G13)を強制的にオフする一方、クランプゲートである第4ゲート(G14)をイネーブル信号ENに応じてオン/オフするように、ゲート制御回路25を介して過熱保護動作を発動する。すなわち、外部入力されるオン抵抗選択信号SEL1及びSEL2により、第1チャネル比(例えば50%)での動作が選択されているときであっても、過熱検出時には強制的に第2チャネル比(最小値の10%)で動作するようになる。このとき、チップの熱耐量も最大であるため、有効な過熱保護動作となる。それでも所定時間に亘って過熱検出状態が続く場合には、パワーMISFET9を完全にオフしてもよい。
1 半導体装置
9 パワーMISFET
10 コントロールIC
11 ドレイン電極
12 ソース電極
21 センサMISFET
25 ゲート制御回路
251~254 電流源
255 コントローラ
256 MISFET
25a~25h 電流源
25i~25k MISFET
25x コントローラ
26 アクティブクランプ回路
261 ツェナダイオード列
262 ダイオード列
263 MISFET
34 過電流保護回路
341、342 MISFET
343、344 抵抗
345、346 電流源
36 過熱保護回路
56 第1MISFET
57 第2MISFET
91 第1チャネル領域
111 第2チャネル領域
D1、D2 ダイオード
DN1 MISFET
X1、X2 半導体装置
ZD1~ZD3 ツェナダイオード

Claims (10)

  1. 複数のゲート信号が入力されるように構成されたゲート分割型の出力トランジスタと、
    オン抵抗選択信号に応じて前記複数のゲート信号を個別制御することにより前記出力トランジスタのオン抵抗を可変制御するように構成されたゲート制御回路と、
    を有する半導体装置。
  2. 前記ゲート制御回路は、イネーブル信号に応じて前記複数のゲート信号を一括制御することにより前記出力トランジスタをオン/オフする、請求項1に記載の半導体装置。
  3. 前記出力トランジスタのオフ遷移後、前記出力トランジスタの両端間電圧を所定のクランプ電圧以下に制限するアクティブクランプ回路をさらに有し、
    前記ゲート制御回路は、前記アクティブクランプ回路の動作前に前記オン抵抗を引き上げるように前記複数のゲート信号を個別制御する、請求項1又は2に記載の半導体装置。
  4. 前記出力トランジスタは、前記アクティブクランプ回路が接続されない非クランプゲートを有し、
    前記ゲート制御回路は、前記アクティブクランプ回路の動作前に前記非クランプゲートを無効とする、請求項3に記載の半導体装置。
  5. 前記ゲート制御回路は、前記出力トランジスタの前記非クランプゲートとソースとの間に接続されて前記アクティブクランプ回路の内部ノード電圧に応じてオン/オフされるスイッチを含む、請求項4に記載の半導体装置。
  6. 前記出力トランジスタに流れる出力電流を所定の上限値以下に制限するように構成された過電流保護回路をさらに有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の半導体装置。
  7. 前記複数のゲート信号が入力されて前記出力電流に応じたセンス電流を生成するように構成されたゲート分割型のセンサトランジスタをさらに有し、
    前記過電流保護回路は、前記センス電流に基づいて前記出力電流の過電流保護を行う、請求項6に記載の半導体装置。
  8. 前記出力トランジスタの温度が所定の上限値に達したとき、若しくは、前記出力トランジスタと他の回路ブロックとの温度差が所定の上限値に達したときに、前記出力トランジスタを強制的にオフする、または、前記オン抵抗値選択信号に依ることなく前記出力トランジスタのオン抵抗を引き上げるように構成された過熱保護回路をさらに有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の半導体装置。
  9. 前記過熱保護回路の温度検出素子は、前記出力トランジスタの中央に配置されている、請求項8に記載の半導体装置。
  10. 請求項1~9のいずれか一項に記載の半導体装置と、
    前記半導体装置に接続される負荷と、
    を有する電子機器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2024127760A1 (ja) * 2022-12-14 2024-06-20 ローム株式会社 半導体装置、電子機器、車両

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