JP2021190465A - 二波長センサ素子、赤外線検出器、及びイメージングシステム - Google Patents

二波長センサ素子、赤外線検出器、及びイメージングシステム Download PDF

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Abstract

【課題】より単純な構造で駆動が簡単な二波長センサ素子を提供する。【解決手段】二波長センサ素子は、第1の波長に感度を有する第1の受光層と、前記第1の波長を含む所定範囲の波長域に感度を有する第2の受光層と、前記第2の受光層の側壁に外部電界を印加する電界印加構成と、を有し、前記外部電界のオン・オフ制御によって前記第1の受光層の応答出力と、前記第1の受光層と前記第2の受光層の合成出力が切り換えられる。【選択図】図3

Description

本発明は、二波長センサ素子、赤外線検出器、及びイメージングシステムに関する。
従来から、1つの素子で複数の波長に応答する光センサが知られている。カラーフィルタ等を用いずに素子自体で複数波長の光を識別可能な光学素子は多くの応用分野をもち、ガスセンサへの適用が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。ガスセンサは、検知対象のガスの吸収線波長を含む第1の波長域の光を感知する第1の受光素子と、第1の波長域よりも広い第2の波長域の光を感知する第2の受光素子とを有する。
タイプ2超格子(T2SL:Type II Super Lattice)を用いた受光素子は、比較的広い波長範囲の赤外線に応答するが、素子端面に表面リーク電流が発生しやすい。T2SL素子の端面に絶縁膜を介して電界を印加することで、表面リーク電流を抑制できることが知られている(たとえば、非特許文献1参照)。
異なる波長の赤外線を吸収する画素の分離溝の側壁の一部にバイアス配線を設けた構成が知られている(たとえば、特許文献2参照)。
特開2018−128346号公報 特開2012−129247号公報
P.C. Klipstein, et al., Proc. Of SPIE 98190T-1
複数波長の光を検知する従来の素子構成は、それぞれの波長に対する応答結果を個別に読み出すために、画素ごとに複数の配線が設けられ、複雑な構成を有する。応答波長を切り替えるバイアス電圧の正負の極性や電流の方向を制御する回路の構成も複雑になる。
本発明は、より単純な構造で駆動が簡単な二波長センサ素子と、赤外線検出器を提供することを目的とする。
開示の一態様では、二波長センサ素子は、
第1の波長に感度を有する第1の受光層と、
前記第1の波長を含む所定範囲の波長域に感度を有する第2の受光層と、
前記第2の受光層の側壁に外部電界を印加する電界印加構成と、
を有し、前記外部電界のオン・オフ制御によって、前記第1の受光層の応答出力と、前記第1の受光層と前記第2の受光層の合成出力とが切り換えられる。
より単純な構造で駆動が簡単な二波長センサ素子と赤外線検出器が実現される。
実施形態の二波長センサ素子の基本構成図である。 異なる波長に感度をもつ受光素子の光応答特性を示す模式図である。 実施形態の二波長センサ素子の原理説明図である。 実施形態の二波長センサ素子の動作例を示す図である。 実施形態の赤外線検出器の模式図である。 センサアレイの画素配置例を示す図である。 実施形態のセンサアレイの製造工程図である。 実施形態のセンサアレイの製造工程図である。 実施形態のセンサアレイの製造工程図である。 実施形態のセンサアレイの製造工程図である。 実施形態のセンサアレイの製造工程図である。 実施形態のセンサアレイの製造工程図である。 実施形態のセンサアレイの製造工程図である。 実施形態の赤外線検出器で用いられる読み出し回路の構成例である。 実施形態の赤外線検出器を用いたイメージングシステムの模式図である。
図1は、実施形態の二波長センサ素子10の基本構成図である。図1では、画素分離溝17で区画される一つの画素101が示されているが、実際の二波長センサ素子10は、複数の画素101が2次元状に配置されたセンサアレイとして形成されてもよい。
二波長センサ素子10は、たとえば、赤外領域の2つの波長域に感度を有する。二波長センサ素子10は、第1の波長域に感度を有する受光層1と、第1の波長域を含み第1の波長域よりも広い第2の波長域の光に感度を有する受光層2と、受光層2の側壁に絶縁膜24を介して外部電界を印加する電界印加構成と、を有する。受光層2への外部電界のオン・オフを切り替えることで、応答出力を切り替える。
受光層1は、量子井戸、量子ドット等の量子構造を有し、第1の波長域、たとえば検出対象となるガスの光吸収波長に感度を有する。受光層2はT2SLで形成され、目的とするガスの光吸収波長を含む広い波長域に感度を有する。
大気中に放出されるガスは、各ガスに固有の吸収スペクトルを有する。ガスが高圧トランスの絶縁材に使われるSFの場合、8.0〜8.6μmに吸収ピークを有する。メタンやブタンは3.2〜3.4μm、COは4.2〜4.4μm、COは4.5〜4.7μmに吸収ピークを有する。受光層1では、検知対象とするガスの光吸収波長に応じて、所望のバンドギャップエネルギーを持つように、量子構造の材料、組成などが設計されている。
一例として、受光層1を、GaAsの井戸層とAlGaAsの障壁層を交互に積層した多重量子井戸(MQW:Multi-Quantum Well)で形成すると、受光層1は8.4μmの波長に吸収ピークを有する。この受光層1は、SFの検知に用いることができる。InGaAsの井戸層とAlGaAsの障壁層を交互に積層したMQWは、4.5〜4.9μmの波長の光に対して吸収ピークを有し、COの検知に用いることができる。
受光層2は、ブロードな吸収スペクトルを有するT2SLで形成される。T2SLは、受光層1の吸収波長を含む一定範囲の波長域に感度を有するように、積層される薄膜の材料、組成、膜厚、周期数などが設計されている。
一例として、InAs薄膜とInAsSb薄膜の短周期の繰り返しが用いられる。このT2SLでは、伝導帯の谷(InAsの伝導帯)に閉じ込められる電子のミニバンドが繰り返し方向に連続し、価電子帯の山(InAsSbの価電子帯)に閉じ込められるホールのミニバンドが繰り返し方向に連続する。電子のミニバンドの波動関数と、ホールのミニバンドの波動関数が重なり合う部分で光吸収が起きる。
ミニバンド間のエネルギー差は、T2SLを形成する化合物半導体のバンドギャップと比較して十分に小さく、長波長の光が吸収される。また、ミニバンド間の多様な準位での遷移によって、吸収スペクトルがブロードになる。InAs/InAsSbのT2SLのカットオフ波長は13μmである。
アンチモン(Sb)を含むT2SLでは、表面リーク電流が顕著になる。表面リーク電流を抑制するために、絶縁膜24を介して、受光層2に外部電界が印加される。外部電界構成の一例として、受光層2の側壁(すなわち画素分離溝17との界面をなす端面)を取り囲んで、共通電極膜22が設けられている。
共通電極膜22は、絶縁膜24を介して、受光層2の側壁から画素分離溝17の底面を覆って隣接する画素101へと連続し、隣接画素の受光層2の側壁(端面)を取り囲む。各画素101が直方体の形状を有する場合、受光層2の側壁に4方向から外部電界が印加されて、表面リーク電流が抑制される。
実施形態では、共通電極膜22に印加される表面リーク抑制のためのバイアス電圧を利用して、二波長センサ素子10の応答出力を切り替える。受光層2の端面における表面リーク電流の有無を利用して、受光層1の応答出力と、受光層1と受光層2の合成出力とを切り替える。表面リーク電流の制御を利用した応答波長の切り替えについては、図3を参照してより詳しく説明する。
二波長センサ素子10はまた、共通配線13を有する。共通配線13は、接地電位に接続され、全画素101に共通に用いられる。各画素101の受光層1の表面に、個別の表面配線23が設けられ、表面配線23にバンプ電極21が接続されている。バンプ電極21と表面配線23で、画素101ごとの読み出し配線が形成される。
図1では、基板(図1では「sub」と表記されている)上に受光層2と受光層1がこの順に成膜された状態で画素101が描かれているが、実際の使用では、二波長センサ素子10は、バンプ電極21によって読み出し回路にフリップチップ接合される。基板の少なくとも一部は、後工程で除去されてもよい。
二波長センサ素子10は、稼働中の変電設備やプラントの点検、火山噴火などの自然災害発生時の有毒ガスの検知などに有用である。これらの環境下で検出されるガスの光吸収波長は、熱赤外線領域にあることが多い。ガス検出の現場では、検出対象のガスだけではなく、室温で周囲の物体から放射される多様な種類の赤外光が存在する。そのため、目的ガスからの光を、背景の赤外光から分離する必要がある。検出対象のガスの吸収波長に一致する光は、一部がそのガスで吸収され、吸収されなかった残りが受光層1に入射して検出される。目的ガスの濃度は、受光層1で検出される光の量と反比例するので、二波長センサ素子10の全体出力に対する受光層1の出力の比を求めることで、目的ガスの濃度を決定することができる。
図2は、受光層1と受光層2の光応答特性を示す。図2の(A)は、受光層1の単体での応答特性である。受光層1は、特定の波長に応答ピークを有する。光電変換効果をもつ受光素子では、光の入射がないときでも一定の暗電流が流れるので、応答ピークから暗電流を差し引いた光電流が、受光層1の出力となる。光電流の量は、特定の波長の光の入射量によって変化する。
図2の(B)は、表面リークがないときの受光層2の単体での応答特性である。受光層2でも暗電流は存在する。したがって、暗電流を差し引いた光電流が、受光層2の出力となる。光電流の量は、所定の波長域にわたる光の入射量によって変化する。
二波長センサ素子10では、受光層1と受光層2が直列に積層されている。単純に考えると、二波長センサ素子10の応答特性は、図2の(A)と(B)を合成したものになるが、実際は受光層2に表面リーク電流が存在する。この状態で、受光層1の出力を個別に取り出したい。
実施形態では、受光層2の表面リーク電流を抑制するバイアス電圧のオン・オフを制御することで、受光層1の検出結果と合成出力を、交互に取り出す。
図3は、実施形態の二波長センサ素子10の原理説明図である。図3の(A)は、受光層2の側壁に表面リーク制御バイアスが印加された状態、図3の(B)は、表面リーク制御バイアスがオフにされた状態である。
GaAs/AlAs系の量子井戸や量子ドットにキャリアを閉じ込める受光層1では、画素101の側壁での表面リークの問題は生じない。一方、InAs/GaSb系のT2SLでは、画素101の側壁に表面リーク電流が流れる。
図3の(A)で、受光層2の側壁に発生する電荷を打ち消す方向に電界を印加することで、受光層2の表面リーク電流が抑制される。このときの二波長センサ素子10の出力は、受光層1の出力と受光層2の出力を合成した(かけ合わせた)ものになる。
図3の(B)で、表面リーク制御バイアスがオフにされると、受光層2で表面リーク電流が流れる。受光層2はショートした状態になり、バンプ電極21を介して読み出される検出結果は、受光層1の応答結果となる。
この原理を利用して、目的ガスの吸収波長の光の検出結果と、全体の検出結果を交互に取り出す。
図4は、実施形態の二波長センサ素子10の動作例である。横軸は時間経過を表す。受光層2の側壁に印加される表面リーク制御バイアスのオン・オフは、一定の時間間隔で切り換えられる。オン・オフの切り替えタイミングは、後述する読み出し回路の積分タイミングに一致させてもよい。一例として、1秒間に60フレーム読み出す場合は、60Hzでオン・オフが切り換えられる。
図1の構成例を参照すると、バンプ電極21に正バイアスを印加して光電流を読み出す場合、表面リーク制御バイアスとして、たとえば、−10Vの負電圧を印加して、表面の電荷を打ち消す。表面リーク制御バイアスのオン区間では、受光層2のT2SLの端面で表面リーク電流が抑制され、各画素101で、熱赤外線に相当する広い波長応答特性が得られる。
表面リーク制御バイアスのオフ区間では、受光層2のT2SLの端面に表面リーク電流が流れる。その結果、受光層1の量子構造で決まる特定波長の光の受光結果がバンプ電極21から読み出される。
図5は、二波長センサ素子10を用いた赤外線検出器60の模式図である。赤外線検出器60は、センサアレイ10Aと、センサアレイ10Aに接続される読み出し回路50を有する。センサアレイ10Aは、二波長センサ素子10の一例である。
センサアレイ10Aでは、図1の画素101が二次元方向に配置されている。各画素101のバンプ電極21は、読み出し回路50に設けられた突起電極に接合され、センサアレイ10Aと読み出し回路50を電気的に接続する接合部40が形成されている。
読み出し回路50は、センサアレイ10Aの画素101を選択するとともに、表面リーク制御バイアスのオン・オフを制御する。
図6は、センサアレイ10Aの画素配置例を示す。センサアレイ10Aは、有効画素領域100と、有効画素領域100の周囲に配置されるダミー画素領域200を有する。有効画素領域100には、実質的に光検出を行う画素101が配置されている。
ダミー画素領域200には、バンプ電極31を介して接地電位が印加されるダミー画素201と、バンプ電極32を介して表面リーク制御バイアスが印加されるダミー画素202が配置される。ダミー画素201のバンプ電極31は、全画素101に共通の共通配線13と電気的に接続されている。ダミー画素202のバンプ電極32は、全画素101に共通の共通電極膜22と電気的に接続されている。バンプ電極32への表面リーク制御バイアスの入力オン・オフは、読み出し回路50によって制御される。
図7A〜図7Gは、センサアレイ10Aの製造工程を、図6のX−X'断面で示す。図7Aで、基板11上に、エッチングストッパ層12、共通配線13、T2SL層14、量子井戸層15をこの順にエピタキシャル成長する。各層の成長は、分子線エピタキシー(MBE:Molecular Beam Epitaxy)法、有機金属化学気相成長(MOCVD:Metal-Organic Chemical Vapor Deposition)法など、適切な手法で行うことができる。各層の厚さは、適宜設計される
基板11は、たとえば厚さ400〜800μmのGaAs基板である。GaAsの基板11上に、エッチングストッパ層12として、たとえばInGaP層を形成する。エッチングストッパ層12の上に、共通配線13として、n型のGaAs層を全面に形成する。n型不純物として、たとえばSiを1×1018cm-3から3×1018cm-3の濃度で添加してもよい。
積層(成膜)方向で共通配線13の上に設けられるT2SL層14は、受光層2として用いられる。T2SL層14の上の量子井戸層15は、受光層1として用いられる。T2SL層14と量子井戸層15の間に、適切なバリア層が挿入されてもよい。T2SL層14として、たとえば、膜厚が13.9nmのInAs層と、膜厚が4.5nmのInAs0.62Sb0.38層を120周期繰り返す。このT2SL層14のカットオフ波長は13μmである。
T2SL層14の上に、厚さ2.8nmのInAs層と、厚さ2.5nmのAl0.8Ga0.2As0.01Sb0.99層を17周期繰り返して、バリア層を形成してもよい。バリア層を設ける場合は、バリア層の上に連続して、厚さ40nmのAl0.28Ga0.72Asの障壁層と、厚さ4.75nmのGaAsの井戸層を50周期繰り返して、量子井戸層15層を形成してもよい。この量子井戸層15の吸収ピーク波長は、8.4μmである。
図7Bで、図7Aの積層体に、共通配線13に達する画素分離溝17を形成する。画素分離溝17は、ドライエッチングで形成されてもよいし、ウェットエッチングで形成されてもよい。ウェットエッチングを行う場合は、所定の開口パターンを有するレジストマスクを形成し、硫酸系のエッチャントで量子井戸層15を除去し、次いで、リン酸、過酸化水素水、クエン酸、および水の混合溶液でT2SL層14を除去してもよい。リン酸と過酸化水素水は、InAsのエッチングに寄与し、クエン酸はSbのエッチングの促進に寄与する。
ドライエッチングの場合は、リソグラフィとドライエッチングで、所定の開口パターンを有するSiONマスクを形成し、SiONマスクを用いて反応性イオンエッチング(RIE:Reactive Ion Etching)を行ってもよい。あるいは、塩素(Cl)とアルゴン(Ar)を用いた誘導結合プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)方式のプラズマエッチングを行ってもよい。ドライエッチングの後に、ウェットエッチングでダメージ層を除去してもよい。
画素分離溝17の形成により、受光層1と受光層2を含む積層体の2次元配列が形成される。有効画素領域100に位置する積層体は、画素101として用いられる。ダミー画素領域200に位置する積層体は、ダミー画素201、202として用いられる。画素ピッチは、たとえば40μm、隣接する画素101、及びダミー画素201、202の間隔(すなわち画素分離溝17の幅)は、たとえば3μmである。
図7Cで、CVD法などにより、全面を覆う絶縁膜24を形成する。絶縁膜24は、たとえば酸化シリコン(SiO)膜である。
図7Dで、リソグラフィとドライエッチングにより、所望の位置で絶縁膜24の一部を除去する。これにより有効画素領域100の画素101の積層体の上面、すなわち受光層1の表面が露出する。また、ダミー画素201と202の間の画素分離溝17の底面で、共通配線13が露出される。
図7Eで、スパッタリングなどにより、全面に金属膜18を形成する。金属膜18は、チタン(Ti)と白金(Pt)をこの順でスパッタした二層構造の膜であってもよい。Ti膜を挿入することで、絶縁膜24への密着性が高まる。
図7Fで、たとえば、リソグラフィとイオンミリングにより、金属膜18の不要な部分を除去する。これにより、有効画素領域100の各画素101で、積層の上面に表面配線23が形成され、受光層2の側壁に共通電極膜22が形成される。共通電極膜22は、表面リーク制御バイアスが印加されるダミー画素202まで連続している。接地電位に接続されるダミー画素201で、金属膜は共通電極膜22から切り離されて、共通配線13に接続される配線26が形成される。
図7Gで、有効画素領域100の画素101の表面配線23に、バンプ電極21が形成される。ダミー画素領域200のダミー画素201と202に、それぞれバンプ電極31、32が形成される。バンプ電極21、31、及び32は、所定のレジストパターンを形成した後に、インジウム(In)を蒸着し、リフトオフすることで形成される。
バンプ電極21、31、及び32は、センサアレイ10Aを読出し回路50にフリップチップ接合する接続用の電極である。センサアレイ10Aを読み出し回路50にフリップチップ接合した後に、機械加工、エッチング等により基板11を除去してもよい。この場合、エッチングストッパ層12でエッチングが停止され、エッチングストッパ層12が光入射面となる。
フリップチップ接合により、ダミー画素201のバンプ電極31は、全画素101に共通の接地電位に接続される。動作時は、読み出し回路50によって選択された画素101のバンプ電極21に読み出し用のバイアス電圧が印加される。ダミー画素202のバンプ電極32に、所定のタイミングで表面リーク制御バイアスが入力されて、各画素101の受光層1の応答出力と、受光層1及び2の合成出力とが切り換えられる。
図8は、赤外線検出器60で用いられる読み出し回路50の構成例である。読み出し回路は、共通電極バイアス回路51と、水平垂直選択回路52と、画素101ごとに光電流を読み出す駆動セル500を有する。センサアレイ10Aの画素101の数に対応する数の駆動セル500が設けらる。
共通電極バイアス回路51は、ダミー画素202に電気的に接続されて、所定のタイミングで表面リーク制御バイアスを出力する。水平垂直選択回路52は、たとえば水平走査信号を出力する水平シフトレジスタと、垂直走査信号を出力する垂直シフトレジスタを含み、センサアレイ10Aの画素101を順番に選択する。
画素101ごとに設けられる駆動セル500は、電子シャッタ501と、リセットトランジスタRSと、積分容量502と、駆動トランジスタ503と、水平選択スイッチ504を有する。電子シャッタ501は、露光時間(すなわち露光量)を調整して、各画素101の露光時間が均等になるように制御する。
積分容量502は、対応する画素101で生成され読み出された電荷を、一定時間蓄積する。リセットトランジスタRSは、積分容量をリセットする。積分容量502は、駆動トランジスタのゲートに接続される。水平選択スイッチ504は、駆動トランジスタ503と負荷トランジスタ56の間を導通させる。駆動トランジスタ503と負荷トランジスタ56が導通することで、蓄積された容量が増幅されて水平信号線に出力される。水平出力は出力アンプで増幅されて、マルチプレクサ54に入力される。
マルチプレクサ54は、各水平出力を垂直方向に切り替えて、選択された信号を出力する。読み出し回路50から出力される信号は、各画素101で検知された特定波長の光の強度分布を表しており、適切な信号処理を施すことで、画像表示することができる。
読み出し回路50は、センサアレイ10Aの共通電極膜22に印加される表面リーク制御バイアスのオン・オフを制御するだけで、受光層1の応答結果と、受光層1と受光層2の合成応答とを読み出すことができ、回路構成が簡単である。
図9は、赤外線検出器60を用いたイメージングシステム70の模式図である。赤外線検出器60の光入射側、すなわち二波長センサ素子10の側に、光学系71を配置してもよい。光学系71は、各画素101に入射赤外光の光像を結像させるマイクロレンズアレイでもよいし、入射光を二波長センサ素子10の全体に集光するひとつの集光レンズであってもよい。二波長センサ素子10で検知され、読み出し回路50に供給された各画素101の電荷情報は、検出対象のガスの濃度分布情報を含んでいる。
読み出し回路50の出力は、信号処理回路72の入力に接続されている。信号処理回路72は、読み出し回路50の出力をデジタル処理して、受光層1の応答出力と、受光層1及び受光層2の合成応答出力の比を計算してもよい。
信号処理回路72は、検出対象のガスが存在しない初期状態で測定した受光層1と受光層2の合成応答を、基準情報として有していてもよい。実際の動作時には、各画素で得られた応答出力比を、基準情報と用いた比率と比較して、ガスの濃度分布情報を生成してもよい。濃度分布情報を画像処理によって画像信号に変換してもよい。
信号処理回路72の出力は、表示モニタ73に入力されてもよい。表示モニタ73は、パーソナルコンピュータやスマートフォンの表示装置であってもよい。表示モニタ73に検出対象のガス濃度分布がリアルタイムで表示され得る。
以上、特定の構成例に基づいて二波長センサ素子10(及びセンサアレイ10A)と赤外線検出器60について説明してきたが、本発明は上述した特定の例に限定されない。検出対象となる第1の波長は、量子井戸層の材料、組成などによって適宜設計される。第2の波長域は、T2SL層の組成、周期、繰り返し回数、組成の段階的な変化等を調整することで、所望の波長域に設計可能である。目的とする波長域に応じて、T2SL層を、GaAs、InAs、AlAs、GaSb、InSb、AlSb、GaP、InP、AlP、及びこれらの混晶材料で形成してもよい。
受光層1と受光層2の積層順序を逆にしてもよい。この場合も、表面リーク制御バイアスのオン・オフを切り替えることで、ガスの吸収波長に対応する受光層1単独の出力と、受光層1と受光層2の合成出力を交互に得ることができる。
側壁からの外部電界の印可に応答するのはT2SLの受光層2だけなので、共通電極膜22は受光層2の側壁のみを覆う構成であってもよい。各画素101において、バンプ電極21からホールを引き抜く構成にしてもよい。この場合、共通電極膜22に印加される表面リーク制御バイアスを正バイアスにしてもよい。
読み出し回路50からのアナログ出力を信号処理回路72に供給して、信号処理回路72でデジタル変換してからデジタル処理を行ってもよいし、読み出し回路50の出力段にデジタル変換器を設けてもよい。赤外線検出器60の全体が冷却容器内に収容されていてもよい。
実施形態の構成によると、表面リーク制御バイアスのオン・オフを切り替えるだけで、2つの光応答結果が個別に読み出される。各画素101は単一のバンプ電極21と、受光層2を取り囲む共通電極膜22を有する単純な構造を有するので、読み出し回路50の構成も簡単になる。各画素101が単純な構成を有するので、受光層1と受光層2の面積を広くとることができ、感度と製造コストの点で有利である。二波長センサ素子10をガスセンサに適用する場合は、小型で安価なガス可視化カメラを低価格で製造、販売することが可能になる。
以上に説明に対し、以下の付記を呈示する。
(付記1)
第1の波長に感度を有する第1の受光層と、
前記第1の波長を含む所定範囲の波長域に感度を有する第2の受光層と、
前記第2の受光層の側壁に外部電界を印加する電界印加構成と、
を有し、
前記外部電界のオン・オフ制御によって、前記第1の受光層の応答出力と、前記第1の受光層と前記第2の受光層の合成出力が切り換えられる二波長センサ素子。
(付記2)
前記第1の受光層は、量子井戸または量子ドットを有し、
前記第2の受光層は、タイプ2の超格子層である、
付記1に記載の二波長センサ素子。
(付記3)
前記電界印加構成は、絶縁膜を介して前記第2の受光層の前記側壁を取り囲む電極膜である、付記1または2に記載の二波長センサ素子。
(付記4)
前記側壁に印加される前記外部電界がオンのときに前記合成出力が取り出され、前記外部電界がオフのときに前記第1の受光層の応答出力が取り出される、
付記1〜3のいずれかに記載の二波長センサ素子。
(付記5)
前記外部電界がオンのときに、前記第2の受光層の前記側壁で表面リーク電流が抑制され、前記外部電界のオフのときに、前記第2の受光層は前記表面リーク電流によって短絡される、
付記1〜4のいずれか1項に記載の二波長センサ素子。
(付記6)
前記第1の受光層と前記第2の受光層の積層で形成される画素を複数有し、
前記電界印加構成は、複数の前記画素の間で連続して前記第2の受光層の前記側壁を取り囲む共通電極膜である、
請求項1〜5のいずれかに記載の二波長センサ素子。
(付記7)
前記第1の受光層と前記第2の受光層の積層で画素が形成され
前記画素を選択する選択信号と、前記画素の前記側壁に前記外部電界を印加するバイアス電圧の電気極性は逆である、付記1〜5のいずれかに記載の二波長センサ素子。
(付記8)
複数の前記画素の各々は、選択信号が入力される単一の突起電極を有し、
前記選択信号と、前記画素の前記側壁に前記外部電界を印加するバイアス電圧の電気極性は逆である、付記6に記載の二波長センサ素子。
(付記9)
前記第2の受光層は、アンチモンを含む化合物半導体で形成されている、
付記1〜8の何れかに記載の二波長センサ素子。
(付記10)
付記1〜8のいずれかに記載の二波長センサ素子と、
前記二波長センサ素子に接続される読み出し回路と、
を有し、前記読み出し回路によって、前記外部電界のオン・オフが切り換えられる、
赤外線検出器。
(付記11)
前記読み出し回路は、前記外部電界を印加するバイアス回路を有し、
前記二波長センサ素子は、前記電界印加構成と前記バイアス回路との間を電気的に接続するダミー画素を有する、付記10に記載の赤外線検出器。
(付記12)
前記読み出し回路は接地電位を有し、
前記二波長センサ素子は、前記接地電位に接続される共通配線を有する付記10または11に記載の赤外線検出器。
(付記13)
付記10〜12のいずれかに記載の赤外線検出器と、
前記赤外線検出器の光入射側に配置される光学系と、
前記赤外線検出器から出力される信号を処理する信号処理回路と、
を有するイメージングシステム。
1 受光層
2 受光層
10 二波長センサ素子
10A センサアレイ
11 基板
12 エッチングストッパ層
13 共通配線
14 T2SL層
15 量子井戸層
21 バンプ電極
22 共通電極膜
23 表面配線
31、32 バンプ電極(ダミー画素用)
40 接合部
50 読み出し回路
60 赤外線検出器
70 イメージングシステム
71 光学系
72 信号処理回路
73 表示モニタ
100 有効画素領域
101 画素
200 ダミー画素領域
201、201 ダミー画素

Claims (8)

  1. 第1の波長に感度を有する第1の受光層と、
    前記第1の波長を含む所定範囲の波長域に感度を有する第2の受光層と、
    前記第2の受光層の側壁に外部電界を印加する電界印加構成と、
    を有し、
    前記外部電界のオン・オフ制御によって、前記第1の受光層の応答出力と、前記第1の受光層と前記第2の受光層の合成出力が切り換えられる二波長センサ素子。
  2. 前記第1の受光層は、量子井戸または量子ドットを有し、
    前記第2の受光層は、タイプ2の超格子層である、
    請求項1に記載の二波長センサ素子。
  3. 前記電界印加構成は、絶縁膜を介して前記第2の受光層の前記側壁を取り囲む電極膜である、請求項1または2に記載の二波長センサ素子。
  4. 前記側壁に印加される前記外部電界がオンのときに前記合成出力が取り出され、前記外部電界がオフのときに前記第1の受光層の応答出力が取り出される、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の二波長センサ素子。
  5. 前記外部電界がオンのときに、前記第2の受光層の前記側壁で表面リーク電流が抑制され、前記外部電界のオフのときに、前記第2の受光層は前記表面リーク電流によって短絡される、
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の二波長センサ素子。
  6. 前記第1の受光層と前記第2の受光層の積層で形成される画素を複数有し、
    前記電界印加構成は、複数の前記画素の間で連続して前記第2の受光層の前記側壁を取り囲む共通電極膜である、
    請求項1〜5のいずれか1項に記載の二波長センサ素子。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の二波長センサ素子と、
    前記二波長センサ素子に接続される読み出し回路と、
    を有し、前記読み出し回路によって、前記外部電界のオン・オフが切り換えられる、
    赤外線検出器。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の二波長センサ素子を用いた赤外線検出器と、
    前記赤外線検出器の光入射側に配置される光学系と、
    前記赤外線検出器から出力される信号を処理する信号処理回路と、
    を有するイメージングシステム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023233732A1 (ja) * 2022-05-31 2023-12-07 パナソニックIpマネジメント株式会社 レーザ加工装置

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