以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態において、先行する実施形態で説明した事項と同一もしくは均等である部分には、同一の参照符号を付し、その説明を省略する場合がある。また、実施形態において、構成要素の一部だけを説明している場合、構成要素の他の部分に関しては、先行する実施形態において説明した構成要素を適用することができる。以下の実施形態は、特に組み合わせに支障が生じない範囲であれば、特に明示していない場合であっても、各実施形態同士を部分的に組み合わせることができる。
(第1実施形態)
本実施形態について、図1〜図13を参照して説明する。図面中に示す上下を示す矢印は、冷却システム1が使用されている状況での重力の方向を基準とした上下方向DR1を示している。また、図面中に示す前後、左右を示す各矢印は、冷却システム1において便宜的に前と決めた方向を基準とする前後方向DR2および左右方向DR3を示すものである。なお、上下方向DR1は、製造、販売、輸送等、冷却システム1が実際に使用されていない状況での冷却システム1の姿勢を限定するものでない。また、前後方向DR2および左右方向DR3は、実際の冷却システム1の姿勢を限定するものでない。
冷却システム1は人が持ち運べる程度の大きさおよび重量を有している。冷却システム1は、例えば、搬送用トラックの荷台への搬入および荷台からの搬出等が可能になっている。つまり、冷却システム1は、モバイル型の小型冷却システムである。図1に示すように、冷却システム1は、保冷ボックス2、冷却装置3を備えている。
冷却装置3は、保冷ボックス2の内部の冷却室2xから空気を回収して保冷ボックス2の外部において冷却し、冷却された後の空気を冷却室2xに供給する装置である。冷却装置3は、保冷ボックス2の外側に配置されている。
図2および図3に示すように、冷却装置3は、ケーシング31、バッテリ32、第1仕切部材33、第2仕切部材34、コンプレッサ35、コンデンサ36、膨張弁37、およびエバポレータ38を有している。また、冷却装置3は、排気ファン39、吹出ファン40、ドレンパン41、蒸発皿42、インバータ43、制御装置46を有している。
ケーシング31は、冷却装置3の外殻を構成する部材である。ケーシング31は、冷却装置3の主たる構成要素を収容する。冷却装置3の外形は、略直方体形状である。冷却装置3は、左右方向DR3の長さが、上下方向DR1の長さおよび前後方向DR2の長さそれぞれよりも短い。
ケーシング31は、4つの側面部の1つが保冷ボックス2の1つの側面に接するように保冷ボックス2に対向している。ケーシング31は、上面部311、下面部312、前側面部313、後側面部314、右側面部315、および左側面部316を有する。ケーシング31は、左側面部316が保冷ボックス2に接するように保冷ボックス2に対向している。
図1および図2に示すように、ケーシング31の前側面部313には、外気導入孔313aが形成されている。外気導入孔313aは、ケーシング31の外部からケーシング31の内のコンデンサ36に空気を導入する孔である。
図1および図4に示すように、ケーシング31の右側面部315には、外気排出孔315aが形成されている。外気排出孔315aは、コンデンサ36において冷媒と熱交換した空気をケーシング31の外に放出する孔である。
ケーシング31の左側面部316には、内気回収孔316aおよび内気供給孔316bが形成されている。内気回収孔316aは、保冷ボックス2の内部の冷却室2xから冷却装置3に回収される空気が通る孔である。内気供給孔316bは、冷却装置3から保冷ボックス2の内部の冷却室2xに供給される空気が通る孔である。内気供給孔316bは、内気回収孔316aの上方側に形成されている。
また、ケーシング31の左側面部316には、図4に示すように、回収ダクト317および供給ダクト318が形成されている。
回収ダクト317は、内気回収孔316aを囲むようにケーシング31の左側面部316から外側に突出する管形状の部材である。回収ダクト317は、一方側の端部がケーシング31の左側面部316に接続されている。回収ダクト317は、他方側の端部が、後述する保冷ボックス2の回収用連通孔213aに圧入される。
供給ダクト318は、内気供給孔316bを囲むようにケーシング31の左側面部316から外側に突出する管形状の部材である。供給ダクト318は、一方側の端部がケーシング31の左側面部316に接続されている。供給ダクト318は、他方側の端部が、後述する保冷ボックス2の供給用連通孔213bに圧入される。
冷却装置3は、保冷ボックス2の外部に配置されるとともに、保冷ボックス2に対して脱着可能に取り付けられている。具体的には、冷却装置3は、後述する保冷ボックス2の回収用連通孔213aおよび供給用連通孔213bに回収ダクト317および供給ダクト318を圧入することで、保冷ボックス2に取り付けられている。冷却装置3は、後述する保冷ボックス2の回収用連通孔213aおよび供給用連通孔213bから回収ダクト317および供給ダクト318を抜き取ることで、保冷ボックス2から取り外すことが可能になっている。
図2および図3に示すように、バッテリ32は、ケーシング31の外側に配置されている。バッテリ32は、ケーシング31のうち、外気導入孔313aが形成された前側面部313と反対側の後側面部314に隣接配置されている。バッテリ32は、膨張弁37、インバータ43、制御装置46に作動のための電力を供給する。なお、バッテリ32は、ケーシング31の内側に配置されていてもよい。
図4に示すように、第1仕切部材33は、ケーシング31の内部においてエバポレータ38が配置される吸熱室31xとコンデンサ36が配置される放熱室31yとを仕切る板部材である。
第1仕切部材33は、吸熱室31xと放熱室31yとの間の熱の移動を妨げる断熱材を含んでいてもよい。第2仕切部材34は吸熱室31xにおいて空気の通路を形成するための板部材である。
吸熱室31xは、放熱室31yの右側および上側に形成されている。上述の外気導入孔313aおよび外気排出孔315aは、放熱室31yに開口している。また、内気回収孔316a、内気供給孔316bは、吸熱室31xに開口している。
コンプレッサ35は、ケーシング31内において吸熱室31xとも放熱室31yとも違う機械室31zに配置されている。第1仕切部材33および第2仕切部材34は、機械室31zと吸熱室31x、放熱室31yとの間も仕切っている。外気導入孔313aは、機械室31zに対して開口している。コンプレッサ35は、冷媒を圧縮して吐出する流体機械であり、インバータ43から供給される交流電流によって作動する。
コンデンサ36は、放熱室31yに配置されている。コンデンサ36は、コンプレッサ35から吐出された高温高圧の冷媒と放熱室31y内の空気とを熱交換させる熱交換器である。コンデンサ36は、エバポレータ38にて空気から吸熱した冷媒を放熱室31y内の空気に放熱させる放熱部に対応する。
膨張弁37は、機械室31zに配置されている。膨張弁37は、冷媒の通路を絞ることでコンデンサ36を通過した冷媒を減圧膨張させる。膨張弁37は、バッテリ32から供給される電力によって作動する電気式膨張弁である。
エバポレータ38は、吸熱室31xに配置されている。換言すれば、エバポレータ38は、コンデンサ36の上方向に配置されている。エバポレータ38は、膨張弁37で減圧膨張された冷媒と吸熱室31xの空気とを熱交換させる熱交換器である。エバポレータ38は、吸熱室31xの空気と冷媒とを熱交換させて吸熱室31xの空気を冷却する冷却部に対応する。
排気ファン39は、吸熱室31xにおいて、外気排出孔315aに配置されている。排気ファン39は、ケーシング31の外部の空気(以下、外気とも呼ぶ。)をケーシング31の内側の放熱室31yに導入するとともに、導入した外気をコンデンサ36および外気排出孔315aを介して、保冷ボックス2および冷却装置3の外部に吹き出す。
吹出ファン40は、吸熱室31xにおいて、内気供給孔316bに対向して配置されている。吹出ファン40は、保冷ボックス2の内側の空気(以下、内気とも呼ぶ。)をケーシング31の内側の吸熱室31xに導入するとともに、エバポレータ38、内気供給孔316b、および供給ダクト318を介して、保冷ボックス2の冷却室2xに吹き出す。
コンプレッサ35、コンデンサ36、膨張弁37、エバポレータ38は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを構成するものであって、図2および図3に示す配管Pによって互いに接続されている。
ドレンパン41は、第1仕切部材33を吸熱室31xから放熱室31yに貫通する漏斗形状の部材である。ドレンパン41は、吸熱室31xにおいては、エバポレータ38の下方に配置され、エバポレータ38で発生して滴下した凝縮水を受け、受けた凝縮水を放熱室31yに導く形状をしている。また、ドレンパン41は、放熱室31yにおいては、蒸発皿42の上方に配置され、放熱室31yに導いた凝縮水を蒸発皿42に滴下させる形状をしている。
蒸発皿42は、放熱室31yにおいて、コンデンサ36およびドレンパン41の下方に配置される。蒸発皿42は、ドレンパン41から滴下した凝縮水を受け、受けた凝縮水をコンデンサ36の下方に導く形状をしている。
したがって、蒸発皿42に滴下した凝縮水は、コンデンサ36を通る冷媒の熱によって蒸発する。この結果、コンデンサ36の温度も低下し、ひいては、冷却室2xの冷却効果も高まる。
インバータ43は、バッテリ32から電力供給を受け、制御装置46からの指令に応じた形態でコンプレッサ35に交流電流を供給することで、コンプレッサ35の回転数等の作動を制御する。冷却装置3の制御装置46については後述する。
保冷ボックス2は、保冷対象Tを収容する箱である。保冷対象Tは、食品、薬剤等、冷却されることで意味があるものならば、どのようなものでもよい。図1、図5、図6に示すように、保冷ボックス2は、略直方体形状の箱である。
保冷ボックス2は、上下方向DR1の長さが冷却装置3と同程度の長さを有し、前後方向DR2の長さおよび左右方向DR3の長さそれぞれよりも短い横長のもので構成されている。
保冷ボックス2は、柔軟性を有するソフトケースで構成されている。保冷ボックス2は、冷却装置3のケーシング31よりも高い柔軟性を有する。保冷ボックス2は、図7に示すように、断熱材2yの外側を柔軟なシート材2zで覆ったもので構成されている。断熱材2yは、例えば、発泡ウレタン、発泡スチレン等の軽量なもので構成されている。シート材2zは、例えば、アルミ蒸着シート等の軽量なもので構成されている。保冷ボックス2をソフトケースで構成する場合、ハードケースに比べて保冷力が劣るものの、使用後に折り畳むことでコンパクトにできるといったメリットがある。
保冷ボックス2は、冷却室2xを囲んでいる。冷却室2xは、保冷ボックス2の庫内である。保冷ボックス2は、外殻のうち、冷却装置3に対向する側面に冷却装置3を脱着させることが可能に構成されている。
具体的には、保冷ボックス2は、保冷対象Tを出し入れするための開口部210を有する本体部21および開口部210を開閉する開閉蓋22を有する。保冷ボックス2は、冷却装置3と対向しない部位である上面に開口部210が形成されている。本実施形態の保冷ボックス2は、その上面全体に開口部210が形成されている。
本体部21は、前壁部211、後壁部212、右壁部213、左壁部214、および下壁部215を有し、その上面全体が開口している。本体部21は右壁部213が冷却装置3に対向している。本実施形態では、保冷ボックス2の右壁部213が冷却装置3に対向する対向壁部に対応している。
本体部21の右壁部213には、冷却室2xと保冷ボックス2の外部とを連通させる回収用連通孔213aおよび供給用連通孔213bが形成されている。回収用連通孔213aは、冷却室2xから冷却装置3に回収される空気が通る。供給用連通孔213bは、冷却装置3において冷却された後に冷却装置3から冷却室2xに供給される空気が通る。回収用連通孔213aは供給用連通孔213bよりも下方に配置される。
本実施形態では、回収用連通孔213aおよび供給用連通孔213bが、冷却装置3に回収される空気、並びに冷却装置3によって冷却された後に庫内に供給される空気が通る連通部を構成している。
回収用連通孔213aは、保冷ボックス2を冷却装置3に取り付けた際に内気回収孔316aと連通するように、右壁部213のうち、冷却装置3の内気回収孔316aと対向する部位に形成されている。回収用連通孔213aは、回収ダクト317を圧入可能なように、回収ダクト317との嵌め合い公差がしまり嵌めとなるサイズになっている。
供給用連通孔213bは、保冷ボックス2を冷却装置3に取り付けた際に内気供給孔316bと連通するように、右壁部213のうち、冷却装置3の内気供給孔316bと対向する部位に形成されている。供給用連通孔213bは、供給ダクト318を圧入可能なように、供給ダクト318との嵌め合い公差がしまり嵌めとなるサイズになっている。
開閉蓋22は、本体部21の開口部210を閉塞可能な大きさを有している。開閉蓋22は、所定の部位を基準に回動可能なように本体部21に対して連結されている。具体的には、開閉蓋22は、冷却装置3が取り付けられる右壁部213の上部に対してヒンジ等で連結されている。なお、開閉蓋22は本体部21と別体で構成されていてもよい。
次に、冷却装置3の電子制御部である制御装置46について説明する。制御装置46は、不図示のCPU、RAM、ROM、フラッシュメモリ等を備えるマイクロコンピュータである。RAM、ROM、フラッシュメモリは、いずれも、非遷移的実体的記憶媒体である。CPUが、ROMまたはフラッシュメモリに記憶されたプログラムを実行し、その際にRAMを作業領域として使用する。このようなCPUによるプログラムの実行により、制御装置46の種々の作動が実現する。
図8に示すように、制御装置46の入力側には、保冷ボックス2の庫内温度を検出する庫内温度センサ47、冷却装置3の動作のオンオフを行う運転スイッチ等を有する操作部48、図示しない外気温センサ等が接続されている。庫内温度センサ47は、冷却室2xから回収した空気の温度を庫内温度として検出する。
庫内温度センサ47および操作部48は、保冷ボックス2ではなく冷却装置3に取り付けられている。具体的には、庫内温度センサ47は、庫内から回収した空気が通る回収ダクト317の内側に取り付けられている。また、操作部48は、冷却装置3を保冷ボックス2に取り付けた状態で操作可能なように、ケーシング31のうち外部に露出する部位に取り付けられている。
本実施形態の冷却システム1では、制御装置46、電源、センサ類等を含む電気系統が冷却装置3に集約され、保冷ボックス2に設けられていない。このため、冷却システム1では、冷却装置3を保冷ボックス2から脱着する際に電気的な接続を行う必要や保冷ボックス2に電気絶縁性を確保する対策等を施す必要がない。
制御装置46は、庫内温度センサ47、操作部48等からの信号に応じて、冷却装置3の出力側に接続された膨張弁37、排気ファン39、吹出ファン40、インバータ43等の動作を制御する。
次に、冷却システム1のクールダウンおよび保冷モードの実行時の作動について説明する。クールダウンおよび保冷モードは、エバポレータ38を通過した後の空気を庫内に吹き出す運転モードである。具体的には、クールダウンは、エバポレータ38で冷却された後の空気によって保冷ボックス2の庫内温度を低下させる運転モードである。保冷モードは、エバポレータ38を通過した空気を庫内に吹き出すことで、保冷ボックス2の庫内温度を目標温度付近に維持させる運転モードである。
冷却システム1は、例えば、開閉蓋22によって本体部21の開口部210が閉塞された状態で、操作部48の運転スイッチがオンされると、クールダウンまたは保冷モードを開始する。クールダウンや保冷モードの実行時には、保冷ボックス2の内側に冷風が供給されるように制御装置46によって冷却装置3が制御される。例えば、制御装置46は、所望の温度の冷風が保冷ボックス2の内側に吹き出されるように、冷却装置3の膨張弁37、排気ファン39、吹出ファン40、インバータ43の動作を制御する。
コンプレッサ35は、エバポレータ38から流出した冷媒を圧縮してコンデンサ36側に吐出する。コンプレッサ35から吐出された高温高圧の冷媒はコンデンサ36にて外気に放熱される。すなわち、コンデンサ36は、コンプレッサ35から吐出された冷媒と外気とを熱交換させることで冷媒の熱を外気に放出させるとともに冷媒を凝縮させる。
外気は、排気ファン39の作用により、図2の矢印のように、外気導入孔313aを通ってケーシング31内の機械室31zに入る。機械室31zに入った外気は、コンプレッサ35を通過する。コンプレッサ35を通過した外気は、機械室31zから放熱室31yに入り、コンデンサ36を通過する。コンデンサ36を通過した外気は、吹出ファン40によって吸い込まれて、外気排出孔315aを通ってケーシング31の外部に排出される。
コンデンサ36を通過した冷媒は、膨張弁37に流入する。膨張弁37は、コンデンサ36で凝縮された冷媒を減圧させる。膨張弁37にて減圧された冷媒は、エバポレータ38に流入し、内気との熱交換により蒸発する。この際、内気は冷媒の蒸発潜熱により冷却される。
内気は、吹出ファン40の作用により、図9の矢印に示すように、回収用連通孔213a、内気回収孔316aを通って冷却室2xから吸熱室31xに入る。吸熱室31xに入った内気は、吸熱室31xを上昇してエバポレータ38を通過し、その後、吹出ファン40によって吸い込まれて、内気供給孔316b、供給用連通孔213bを通って吸熱室31xから冷却室2xに吹き出される。冷却室2xに入った空気は、図9の矢印に示すように冷却室2xで下降しながら保冷対象Tを冷却する。
ここで、クールダウンや保冷モードの実行中に、図10に示すように、保冷ボックス2の開閉蓋22が外されると、庫内の冷えた空気(すなわち、冷気)が外部に漏れ出してしまう。この際、外気が保冷ボックス2の庫内に流れ込むことで庫内温度が上昇する。
この対策としては、例えば、保冷ボックス2の開閉蓋22が外されたことを検知するスイッチを保冷ボックス2に追加し、当該スイッチの検知結果に応じて庫内へ空気を吹き出す吹出ファン40を制御することが挙げられる。
しかしながら、上記のようなスイッチを保冷ボックス2に取り付ける場合、保冷ボックス2に対して、スイッチだけでなく、電源や電線等も追加する必要があり、保冷ボックス2が複雑となってしまう。このことは、保冷ボックス2の可搬性(すなわち、モバイル性)の低下を招く要因となることから好ましくない。
これらを加味して、制御装置46は、専用のスイッチを追加することなく、保冷ボックス2の庫内からの気体の漏れを抑制するためのファン制御処理を実行する。ファン制御処理については、図11のフローチャートを参照して説明する。図11に示す制御ルーチンは、エバポレータ38を通過した空気を庫内に吹き出すクールダウンや保冷モードの実行時に周期的または不定期に制御装置46によって実行される。なお、クールダウンや保冷モードは、操作部48の運転スイッチがオンされると制御装置46によって開始される。
図11に示すように、制御装置46は、ステップS100にて、庫内温度センサ47の検知信号、操作部48の操作信号等の各種信号を読み込む。そして、制御装置46は、ステップS110にて、吹出ファン40を動作させる。この際、吹出ファン40の送風能力は、冷却装置3の運転開始時における外気温と目標温度との温度差に応じて決定される。例えば、制御装置46は、冷却装置3の運転開始時における外気温と目標温度との温度差が大きい場合、温度差が小さい場合よりも吹出ファン40の送風能力が大きくなるように吹出ファン40を制御する。
続いて、制御装置46は、ステップS120にて、冷却室2xにおける単位時間当たりの温度上昇量が所定の昇温閾値以上であるか否かを判定する。この判定処理は、庫内温度センサ47の検出値の単位時間当たりの上昇量が所定の昇温閾値以上となる際に成立する昇温条件の成否を問うものである。なお、昇温条件は、庫内温度センサ47の検出値の単位時間当たりの上昇量が所定の昇温閾値未満では不成立となる。
ステップS120の判定処理では、庫内温度センサ47のノイズの影響を考慮し、庫内温度センサ47の検出値を移動平均等によって平滑化した値に基づいて、冷却室2xにおける単位時間当たりの温度上昇量を算出することが望ましい。また、昇温閾値は、クールダウンや保冷モードの実行中に保冷ボックス2の開閉蓋22が外された際に想定される冷却室2xにおける単位時間当たりの温度変化量に設定される。
ここで、保冷ボックス2の開閉蓋22が外された際の庫内温度の上昇は、外気温が高いほど顕著となる。このことを加味して、本実施形態のファン制御処理では、昇温閾値を外気温に応じて可変させている。図12に示すように、本実施形態の制御装置46は、外気温が高くなるにともなって大きい値に昇温閾値を設定し、外気温が低くなるに伴って昇温閾値を小さい値に設定する。制御装置46は、例えば、外気温と昇温閾値との関係を制御マップとして規定し、当該制御マップおよび外気温センサの検出値に基づいて昇温閾値を決定する。
冷却室2xにおける温度上昇量が昇温閾値を下回っている場合、保冷ボックス2の開閉蓋22が外されていないと考えられる。この場合、制御装置46は、吹出ファン40の動作を継続しつつ、本処理を抜ける。
一方、冷却室2xにおける温度上昇量が昇温閾値以上である場合、保冷ボックス2の開閉蓋22が外されていると考えられる。この場合、制御装置46は、ステップS130にて、吹出ファン40を停止させる。これにより、冷却室2xの冷気が外部に漏れることが抑制されるので、冷却室2xにおける温度上昇が緩やかになる。
吹出ファン40が停止された状態で、保冷ボックス2の開口部210が開閉蓋22によって閉塞されると、冷却装置3からの冷熱が冷却室2xに伝わることで冷却室2xの温度が低下する。
このことを加味して、本実施形態の冷却システム1は、吹出ファン40が停止された状態での冷却室2xの温度変化に基づいて、保冷ボックス2の開口部210が開閉蓋22によって閉塞された否かを判定する。
具体的には、制御装置46は、ステップS140にて、庫内温度センサ47の検知信号、操作部48の操作信号等の各種信号を再び読み込む。そして、制御装置46は、ステップS150にて、冷却室2xにおける単位時間当たりの温度低下量が所定の降温閾値以上であるか否かを判定する。この判定処理は、庫内温度センサ47の検出値の単位時間当たりの低下量が所定の降温閾値以上となる際に成立する降温条件の成否を問うものである。なお、降温条件は、庫内温度センサ47の検出値の単位時間当たりの低下量が所定の降温閾値未満では不成立となる。
ステップS150の判定処理では、庫内温度センサ47のノイズの影響を考慮し、庫内温度センサ47の検出値を移動平均等によって平滑化した値に基づいて、冷却室2xにおける単位時間当たりの温度低下量を算出することが望ましい。また、降温閾値は、吹出ファン40が停止された状態で保冷ボックス2の開口部210が開閉蓋22によって閉塞された際に想定される冷却室2xにおける単位時間当たりの温度変化量に設定される。
ステップS150の判定処理の結果、冷却室2xにおける単位時間当たりの温度低下量が降温閾値以上である場合、保冷ボックス2の開口部210が開閉蓋22によって閉塞されていると考えられる。このため、制御装置46は、ステップS160にて、停止状態の吹出ファン40を動作させて、本処理を抜ける。
一方、ステップS150の判定処理の結果、冷却室2xにおける単位時間当たりの温度低下量が降温閾値未満である場合、制御装置46は、ステップS170にて、昇温条件が成立してからの所定時間経過しているか否かを判定する。具体的には、制御装置46は、ステップS120の判定処理で冷却室2xにおける温度上昇量が昇温閾値以上と判定されてから所定時間経過しているか否かを判定する。
ステップS170の判定処理の結果、昇温条件が成立してからの所定時間経過している場合、制御装置46は、ステップS160に移行し、吹出ファン40を動作させて、本処理を抜ける。また、昇温条件が成立してからの所定時間経過していない場合、制御装置46は、ステップS140に戻る。
ここで、図13に示すグラフは、クールダウン時に保冷ボックス2の開口部210から一時的に開閉蓋22を取り外した際の庫内温度の時間変化の実測結果である。図13では、上述のファン制御処理を実行した際の庫内温度の時間変化を実線で示し、上記のファン制御処理を実行せず、吹出ファン40の動作を維持した際の庫内温度の時間変化を一点鎖線で示している。
図13に示すように、上述のファン制御処理を実行した場合、保冷ボックス2の開口部210から一時的に開閉蓋22を取り外された際の庫内温度のピーク温度Tp1が、上述のファン制御処理を実行しない場合のピーク温度Tp2に比べて大幅に低下する。
以上説明した冷却システム1は、エバポレータ38を通過した後の気体が庫内に吹き出されている状態において所定条件が成立すると、制御装置46によって吹出ファン40が停止される。この所定条件は、庫内温度センサ47の検出値の単位時間当たりの上昇量が所定の昇温閾値以上になる際に成立する昇温条件を含み、昇温条件が成立すると成立する。
これによると、保冷ボックス2の開閉蓋22が外されたことを検知するためのスイッチを保冷ボックス2に追加することなく、冷却室2xからの気体の漏れを抑えることができる。すなわち、簡素な構成で保冷ボックス2の庫内からの気体の漏れを抑制することが可能な冷却システム1を実現することができる。
具体的には、制御装置46は、外気温が高くなるにともなって昇温閾値を大きい値に設定し、外気温が低くなるにともなって昇温閾値を小さくする。このように、昇温閾値を外気温に応じて可変させることで、保冷ボックス2の庫内からの気体の漏れを適切に抑制することができる。
加えて、制御装置46は、昇温条件が成立した後、庫内温度センサ47の検出値の単位時間あたりの低下量が所定の降温閾値以上になると、吹出ファン40を動作させる。これによると、保冷ボックス2の開口部210が開閉蓋22で閉塞されたことを検知するためのスイッチを保冷ボックス2に追加することなく、冷却装置3で冷却された気体の庫内への供給を再開させることができる。すなわち、簡素な構成で保冷ボックス2の庫内の冷却を再開することができる。
また、制御装置46は、昇温条件が成立してから所定時間経過すると、吹出ファン40を動作させる。これによっても、保冷ボックス2の開口部210が開閉蓋22で閉塞されたことを検知するためのスイッチを保冷ボックス2に追加することなく、冷却装置3で冷却された気体の庫内への供給を再開させることができる。
さらに、庫内温度センサ76は、冷却装置3に取り付けられ、冷却室2xから回収した気体の温度を庫内温度として検出する。これによると、保冷ボックス2に庫内温度センサ47を設ける場合に比べて、保冷ボックス2の簡素化を図ることができる。
ここで、保冷ボックス2は、可搬性(すなわち、モバイル性)を確保するために、その構成材を軽量なものとする必要があり、設置型の冷蔵庫等のようにシール材をふんだんに使うことが難しいので、保冷ボックス2において空気の漏れ箇所が多くなってしまう。
具体的には、冷却装置3は、保冷ボックス2の外部に配置されるとともに、保冷ボックス2に脱着可能に取り付けられている。保冷ボックス2には、冷却装置3に回収される空気、並びに冷却装置3によって冷却された後に庫内に供給される空気が通る連通部が形成されている。クールダウンや保冷モードの実行時には、連通部を介した外部への気体の漏れが懸念されるが、保冷ボックス2の庫内温度の上昇量が昇温閾値以上になると吹出ファン40が停止されるので、庫内から外部への空気の漏れが抑制される。
また、保冷ボックス2は、少なくとも一部に柔軟性を有するソフトケースで構成されている。このように、保冷ボックス2がソフトケースで構成されている場合、容易に変形してしまうことで庫内の気密性を維持し難いが、保冷ボックス2の庫内温度の上昇量が昇温閾値以上になると吹出ファン40が停止されるので、庫内から外部への空気の漏れが抑制される。
ここで、保冷ボックス2は、冷却装置3に対向するとともに保冷ボックス2の内部と外部を仕切る右壁部213を有する。そして、当該右壁部213には、保冷ボックス2の内部から冷却装置3に回収される空気が通過する回収用連通孔213aおよび冷却装置3から保冷ボックス2に供給される空気が通過する供給用連通孔213bが形成されている。
このように、保冷ボックス2は、冷却装置3に対向する右壁部213によって保冷ボックス2の内部と外部とが仕切られているので、冷却装置3が保冷ボックス2から取り外されたとしても、保冷ボックス2の内部の気体が保冷ボックス2の外部に流出し難い。したがって、保冷ボックス2の保冷機能の低下を抑えつつ保冷ボックス2から冷却装置3を取り外すことができる。
なお、冷却装置3を保冷ボックス2から取り外した後の回収用連通孔213a、供給用連通孔213bに関しては、冷却装置3の取り外し後に容易に塞ぐことができる。また、回収用連通孔213a、供給用連通孔213bを塞がなかったとしても、右壁部213自体の存在により、冷却装置3を取り外した後の保冷ボックス2の保冷機能の低下は、従来よりも低減される。
また、エバポレータ38とコンデンサ36は、上下方向DR1に並んでいる。このように、エバポレータ38とコンデンサ36が、上下方向DR1に並んでいる場合、上下方向DR1に直交する方向に並んでいる場合に比べ、前後方向DR2または左右方向DR3におけるケーシング31の薄型化が実現できる。
加えて、エバポレータ38は、コンデンサ36の上方向に配置されている。このようになっていることで、エバポレータ38における冷気が下がってコンデンサ36を冷やすことで、冷却装置3が内気を冷却する能力が向上する。
また、ケーシング31において、図1に示すように、外気導入孔313aが形成される面と外気排出孔315aが形成される面は、異なる方向に向いている。このようになっていることで、外気排出孔315aから排出された高温の外気がすぐに外気導入孔313aからケーシング31の内部に導入されてしまう現象、すなわち、ショートサーキットが、発生し難くなる。
さらに、冷却装置3の作動中、外気導入孔313aからケーシング31内に導入された外気は、コンプレッサ35を通過した後にコンデンサ36を通り、その後、コンプレッサ35を通らずに外気排出孔315aからケーシング31の外に排出される。このようにコンプレッサ35を通る外気は、コンデンサ36を通って昇温する前の外気であるので、昇温した外気によるコンプレッサ35への影響を抑制できる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について、図14を参照して説明する。本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について主に説明する。
クールダウンや保冷モードの実行時は、保冷ボックス2の庫内温度が目標温度に対して近い状態で、保冷ボックス2の開閉蓋22が外されると、庫内温度の上昇が顕著となるので、吹出ファン40を停止させることが望ましい。
一方、庫内温度が目標温度に対して大きく乖離している状態で、保冷ボックス2の開閉蓋22が外されると、庫内温度の上昇が限定的であり、吹出ファン40の動作を継続させて冷却室2xの冷却を維持することが望ましいことがある。
このことを加味して、本実施形態のファン制御処理には、クールダウンや保冷モードの実行中に吹出ファン40を停止させる所定条件として、保冷ボックス2の目標温度と庫内温度との温度差が所定の基準温度差以下となる場合に成立する縮小条件が追加されている。
本実施形態のファン制御処理については、図14のフローチャートを参照して説明する。図14に示す制御ルーチンは、エバポレータ38を通過した空気を庫内に吹き出すクールダウンや保冷モードの実行時に周期的または不定期に制御装置46によって実行される。
図14に示すように、制御装置46は、ステップS200にて、庫内温度センサ47の検知信号、操作部48の操作信号等の各種信号を読み込む。そして、制御装置46は、ステップS210にて、吹出ファン40を動作させる。
続いて、制御装置46は、ステップS220にて、冷却室2xにおける単位時間当たりの温度上昇量が所定の昇温閾値以上であるか否かを判定する。この判定処理は、第1実施形態で説明したステップS120の判定処理と同様である。このため、ステップS220の判定処理の詳細は省略する。
ステップS220の判定処理の結果、冷却室2xにおける温度上昇量が昇温閾値を下回っている場合、制御装置46は、吹出ファン40の動作を継続しつつ、本処理を抜ける。
一方、冷却室2xにおける温度上昇量が昇温閾値以上である場合、制御装置46は、ステップS230にて、保冷ボックス2の目標温度と庫内温度との温度差である目標温度差が基準温度差以下であるか否かを判定する。この判定処理は、目標温度差が基準温度差以下となる際に成立する縮小条件の成否を問うものである。縮小条件は、目標温度差が基準温度差を超えると不成立となる。また、基準温度差は、目標温度と外気温との温度差よりも小さい値に設定される。基準温度差は、例えば、目標温度と外気温との温度差の半分の値に設定される。
ステップS230の判定処理の結果、目標温度差が基準温度差より大きい場合、保冷ボックス2の開閉蓋22が外された際の庫内温度の上昇が限定的であり、吹出ファン40の動作を継続させて冷却室2xの冷却を維持することが望ましいことがある。このため、制御装置46は、吹出ファン40を動作させた状態で本処理を抜ける。
一方、ステップS230の判定処理の結果、目標温度差が基準温度差以下である場合、保冷ボックス2の開閉蓋22が外された際の庫内温度の上昇が顕著であり、吹出ファン40を停止させることが望ましい。このため、制御装置46は、ステップS240に移行して、吹出ファン40を停止させる。
図14に示すステップS240〜S280までの処理は、第1実施形態で説明したステップS130〜S170までの処理と同様である。このため、本実施形態では、図14に示すステップS240〜S280までの処理についての説明を省略する。
以上説明した冷却システム1は、第1実施形態と共通の構成または均等な構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。本実施形態のファン制御処理では、エバポレータ38を通過した後の空気が庫内に吹き出されている状態で昇温条件および縮小条件それぞれが成立すると、制御装置46によって吹出ファン40が停止される。これによれば、保冷ボックス2の開閉蓋22が外れた際の庫内温度の上昇が限定的となる場合に、吹出ファン40の動作を継続させて保冷ボックス2の庫内の冷却を維持することができる。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について、図15を参照して説明する。本実施形態では、第1実施形態および第2実施形態と異なる部分について主に説明する。
本実施形態のファン制御処理には、クールダウンや保冷モードの実行中に吹出ファン40を停止させる所定条件として、保冷ボックス2の庫内温度が所定の基準温度以下となる場合に成立する低温条件が追加されている。
本実施形態のファン制御処理については、図15のフローチャートを参照して説明する。図15に示す制御ルーチンは、エバポレータ38を通過した空気を庫内に吹き出すクールダウンや保冷モードの実行時に周期的または不定期に制御装置46によって実行される。
図15に示すように、制御装置46は、ステップS300にて、庫内温度センサ47の検知信号、操作部48の操作信号等の各種信号を読み込む。そして、制御装置46は、ステップS310にて、吹出ファン40を動作させる。
続いて、制御装置46は、ステップS320にて、冷却室2xにおける単位時間当たりの温度上昇量が所定の昇温閾値以上であるか否かを判定する。この判定処理は、第1実施形態で説明したステップS120の判定処理と同様である。このため、ステップS320の判定処理の詳細は省略する。
ステップS320の判定処理の結果、冷却室2xにおける温度上昇量が昇温閾値を下回っている場合、制御装置46は、吹出ファン40の動作を継続しつつ、本処理を抜ける。
一方、冷却室2xにおける温度上昇量が昇温閾値以上である場合、制御装置46は、ステップS330にて、保冷ボックス2の庫内温度が基準温度以下であるか否かを判定する。この判定処理は、庫内温度が基準温度以下となる際に成立する低温条件の成否を問うものである。低温条件は、庫内温度が基準温度を超えると不成立となる。また、基準温度は、目標温度よりも高く、且つ、外気温よりも低い温度に設定される。基準温度は、例えば、目標温度と外気温との中間温度に設定される。
ステップS330の判定処理の結果、庫内温度が基準温度より大きい場合、保冷ボックス2の開閉蓋22が外された際の庫内温度の上昇が限定的であり、吹出ファン40の動作を継続させて冷却室2xの冷却を維持することが望ましいことがある。このため、制御装置46は、吹出ファン40を動作させた状態で本処理を抜ける。
一方、ステップS330の判定処理の結果、庫内温度が基準温度以下である場合、保冷ボックス2の開閉蓋22が外された際の庫内温度の上昇が顕著であり、吹出ファン40を停止させることが望ましい。このため、制御装置46は、ステップS340に移行して、吹出ファン40を停止させる。
図15に示すステップS340〜S380までの処理は、第1実施形態で説明したステップS130〜S170までの処理と同様である。このため、本実施形態では、図15に示すステップS340〜S380までの処理についての説明を省略する。
以上説明した冷却システム1は、第1実施形態および第2実施形態と共通の構成または均等な構成から奏される効果を第1実施形態および第2実施形態と同様に得ることができる。本実施形態のファン制御処理では、エバポレータ38を通過した後の空気が庫内に吹き出されている状態において昇温条件および低温条件それぞれが成立すると、制御装置46によって吹出ファン40が停止される。これによれば、保冷ボックス2の開閉蓋22が外れた際の庫内温度の上昇が限定的となる場合に、吹出ファン40の動作を継続させて保冷ボックス2の庫内の冷却を維持することができる。
(他の実施形態)
以上、本開示の代表的な実施形態について説明したが、本開示は、上述の実施形態に限定されることなく、例えば、以下のように種々変形可能である。
上述の実施形態では、庫内温度の低下量が降温閾値以上になったり、吹出ファン40を停止してから所定時間経過したりすると、吹出ファン40の動作を再開するものを例示したが、ファン制御処理は、これに限定されない。ファン制御処理は、例えば、前述の2つの条件のうち一方が成立した際に吹出ファン40の動作を再開する処理になっていてもよい。また、ファン制御処理は、例えば、昇温条件が不成立となった際に吹出ファン40の動作を再開する処理になっていてもよい。
上述の実施形態では、昇温閾値を可変閾値としたものを例示したが、昇温閾値は、固定閾値になっていてもよい。
上述の実施形態では、庫内温度センサ47が冷却装置3に取り付けられているものを例示したが、これに限らず、庫内温度センサ47は、例えば、保冷ボックス2に取り付けられていてもよい。
上述の実施形態では、冷却装置3が保冷ボックス2の外部に配置されているものを例示したが、冷却システム1は、これに限定されない。冷却システム1は、例えば、保冷ボックス2の内部に配置されていてもよい。
上述の実施形態では、保冷ボックス2がソフトケースで構成されているものを例示したが、保冷ボックス2は、これに限定されない。保冷ボックス2は、例えば、少なくとも一部がハードケースで構成されていてもよい。
上述の実施形態では、保冷ボックス2は、保冷ボックス2の側壁部に冷却装置3を脱着させることが可能に構成されているものを例示したが、これに限定されない。保冷ボックス2は、例えば、上壁部に冷却装置3を脱着させることが可能に構成されていてもよい。この場合、保冷ボックス2は、上壁部のうち冷却装置3に対向しない部位、または、側壁部に開口部210を設ければよい。
上述の実施形態では、回収用連通孔213aおよび供給用連通孔213bといった2つの孔によって、冷却室2xと保冷ボックス2の外部とを連通させる連通部が構成されたものを例示したが、連通部は、これに限定されない。連通部は、例えば、内気回収孔316aおよび内気供給孔316bそれぞれに対向する単一の孔または3つ以上の孔によって構成されていてもよい。連通部を構成する単一の孔または3つ以上の孔は、保冷ボックス2に冷却装置3を取り付けると、内気回収孔316aに連通する部分と内気供給孔316bに連通する部分との間が冷却装置3の左側面部316によって塞がれる。このため、連通部を単一の孔または3つ以上の孔によって構成したとしても、上述の実施形態と実質的に同様に機能する構成が得られる。
上述の実施形態では、保冷ボックス2内と冷却装置3内を流れる内気は、上記実施形態では空気であったが、空気以外の気体であってもよい。また、保冷ボックス2内と冷却システム1の外部を流れる外気は、空気以外の気体であってもよい。
上述の実施形態では、外気導入孔313a、外気排出孔315aがそれぞれケーシング31の側面に形成されているが、必ずしもこのようになっていなくてもよい。例えば、外気導入孔313aが右側面部315に、外気排出孔315aが前側面部313に形成されていてもよい。また、例えば、外気導入孔313a、外気排出孔315aの両方がケーシング31の右側面部315に形成されていてもよい。また、例えば、外気導入孔313aの位置と外気排出孔315aの位置は、上記実施形態と逆になっていてもよい。
上述の実施形態では、冷却装置3の保冷ボックス2へのユーザが脱着可能な取り付けは、回収ダクト317、供給ダクト318の各々の回収用連通孔213a、供給用連通孔213bへの圧入によって実現している。しかし、冷却装置3の保冷ボックス2への脱着可能な取り付けは、このような圧入による方法に限らず、他の方法によって実現されてもよい。冷却装置3の保冷ボックス2への脱着可能な取り付けは、例えば、ベルトによる保冷ボックス2と冷却装置3の括り付けで実現されてもよいし、面ファスナーにより実現されていてもよい。
上述の実施形態では、冷却装置3内でエバポレータ38の下方にコンデンサ36が配置されている。しかし、コンデンサ36とエバポレータ38の配置は必ずしもこのようになっていなくてもよい。例えば、エバポレータ38の上方にコンデンサ36が配置されていてもよい。この場合、ケーシング31内に配置されたダクトが、エバポレータ38で冷却された内気を内気供給孔316bまで導いてもよい。なお、コンデンサ36とエバポレータ38は、上下方向DR1に直交する方向に重なって配置されていてもよい。
上述の実施形態では、コンデンサ36、排気ファン39から構成される凝縮器ユニットと、エバポレータ38、吹出ファン40で構成される蒸発器ユニットが、同じケーシング31に収められている。しかし、凝縮器ユニットと蒸発器ユニットは、異なるケーシングに収められていてもよい。
上述の実施形態では、排気ファン39は、コンデンサ36の空気流れ下流側に配置された吸い込みタイプである。しかし、排気ファン39は、コンデンサ36の空気流れ上流側に配置される押し込みタイプであってもよい。このことは、吹出ファン40についても同様である。
上述の実施形態では、外気は外気導入孔313aに入った後、コンプレッサ35、コンデンサ36をこの順に通って、外気排出孔315aからケーシング31の外に出る。しかし、外気は外気導入孔313aに入った後、バッテリ32、コンプレッサ35、コンデンサ36をこの順に通って、外気排出孔315aからケーシング31の外に出てもよい。
冷却装置3から、バッテリ32が取り除かれてもよい。その場合、冷却装置3は、外部の電源(例えば系統電源)から電力の供給を受けてもよい。
上述の実施形態では、放熱部の一例としてコンデンサ36が示され、冷却部の一例としてエバポレータ38が示されている。しかし、放熱部と冷却部は、コンデンサ36とエバポレータ38の組み合わせ以外のものでもよい。例えば、放熱部と冷却部は、水回路における放熱部であってもよい。
上述の実施形態では、冷却システム1の一例として、小型のモバイル型の冷却システムが開示されている。しかし、冷却システム1は、モバイル型である必要はなく、小型である必要もない。
上述の実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
上述の実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されない。
上述の実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されない。
上述の実施形態において、センサから外部環境情報(例えば外気温)を取得することが記載されている場合、そのセンサを廃し、外部のサーバまたはクラウドからその外部環境情報を受信することも可能である。あるいは、そのセンサを廃し、外部のサーバまたはクラウドからその外部環境情報に関連する関連情報を取得し、取得した関連情報からその外部環境情報を推定することも可能である。
(まとめ)
上述の実施形態の一部または全部で示された第1の観点によれば、冷却システムは、保冷ボックスと、冷却部、冷却部で冷却された後の気体を庫内に吹き出す吹出ファン、吹出ファンを制御する制御装置を含む冷却装置と、庫内温度センサと、を備える。制御装置は、冷却部を通過した後の気体が庫内に吹き出されている状態においてに、庫内温度センサの検出値の単位時間当たりの上昇量が所定の昇温閾値以上になる際に成立する昇温条件が成立すると、吹出ファンを停止させる。
第2の観点によれば、制御装置は、所定条件が成立した後、庫内温度センサの検出値の単位時間あたりの低下量が所定の降温閾値以上になると、吹出ファンを動作させる。
保冷ボックスの開口部が開閉蓋によって閉塞されると、冷却装置からの冷熱が庫内に伝わることで庫内温度が低下する。このことを加味して、本開示の冷却システムでは、所定条件が成立して吹出ファンを停止させた後、庫内温度が低下し始めると、吹出ファンを動作させる。これによると、保冷ボックスの開口部が開閉蓋で閉塞されたことを検知するためのスイッチを保冷ボックスに追加することなく、冷却装置で冷却された気体の庫内への供給を再開させることができる。すなわち、簡素な構成で保冷ボックスの庫内の冷却を再開することができる。
第3の観点によれば、制御装置は、所定条件が成立してから所定時間経過すると、吹出ファンを動作させる。これによっても、保冷ボックスの開口部が開閉蓋で閉塞されたことを検知するためのスイッチを保冷ボックスに追加することなく、冷却装置で冷却された気体の庫内への供給を再開させることができる。すなわち、簡素な構成で保冷ボックスの庫内の冷却を再開することができる。
第4の観点によれば、制御装置は、外気温が高くなるにともなって昇温閾値を大きい値に設定し、外気温が低くなるにともなって昇温閾値を小さくする。
保冷ボックスの開口部から開閉蓋が外された際の庫内温度の上昇は、外気温が高いほど顕著となる。このため、昇温閾値を外気温に応じて可変させることで、保冷ボックスの庫内からの気体の漏れを適切に抑制することができる。
第5の観点によれば、所定条件は、昇温条件に加えて、保冷ボックスの目標温度と庫内温度との温度差が所定の基準温度差以下となる場合に成立する縮小条件を含み、昇温条件および縮小条件それぞれが成立すると成立する。
ここで、保冷ボックスの庫内温度が目標温度に対して近い状態で、保冷ボックスの開口部から開閉蓋が外されると、庫内温度の上昇が顕著となるので、吹出ファンを停止させることが望ましい。
一方、保冷ボックスの庫内温度が目標温度に対して大きく乖離している状態で、保冷ボックスの開口部から開閉蓋が外されると、庫内温度の上昇が限定的であり、吹出ファンの動作を継続させて保冷ボックスの庫内の冷却を維持することが望ましいことがある。
このため、吹出ファンの停止を昇温条件および縮小条件それぞれが成立した際に制限すれば、保冷ボックスの開口部から開閉蓋が外れた際の庫内温度の上昇が限定的となる場合に、吹出ファンの動作を継続させて保冷ボックスの庫内の冷却を維持することができる。
第6の観点によれば、所定条件は、昇温条件に加えて、庫内温度が所定の基準温度以下となる際に成立する低温条件を含み、昇温条件および低温条件それぞれが成立すると成立する。
このように、吹出ファンの停止を昇温条件および低温条件それぞれが成立した際に制限すれば、保冷ボックスの開口部から開閉蓋が外れた際の庫内温度の上昇が限定的となる場合に、吹出ファンの動作を継続させて保冷ボックスの庫内の冷却を維持することができる。
第7の観点によれば、庫内温度センサは、冷却装置に取り付けられ、庫内から回収した気体の温度を庫内温度として検出する。これによると、保冷ボックスに庫内温度センサを設ける場合に比べて、保冷ボックスの簡素化を図ることができる。