JP2021188006A - インクジェット用インク - Google Patents
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Abstract
【課題】吐出安定性及び間欠印字性に優れ、かつ画像濃度及び耐擦過性に優れる画像を形成できるインクジェット用インクを提供する。【解決手段】インクジェット用インクは、顔料粒子と、バインダー樹脂粒子と、第1水溶性溶媒と、第2水溶性溶媒と、2−ピロリドンと、グリセリンと、水とを含有する。前記第1水溶性溶媒は、ジエチレングリコールジエチルエーテル及びプロピレングリコールモノメチルエーテルのうち少なくとも一方を含む。前記第2水溶性溶媒は、1,3−プロパンジオール及びトリエチレングリコールのうち少なくとも一方を含む。前記バインダー樹脂粒子は、特定アクリル樹脂を含む。前記特定アクリル樹脂のガラス転移点は、−30℃以上60℃以下である。前記第1水溶性溶媒の含有割合は、4.5質量%以上10.5質量%以下である。前記第2水溶性溶媒の含有割合は、14.5質量%以上25.5質量%以下である。【選択図】なし
Description
本発明は、インクジェット用インクに関する。
近年、インクジェット記録装置は急速に進歩している。例えば、インクジェット記録装置は、記録媒体として写真用紙を用いる場合、銀塩写真に匹敵する高画質の画像を形成することができる。
一方、インクジェット記録装置は、アナログ印刷及び電子写真方式の画像形成装置と比較し、形成される画像の画像濃度及び耐擦過性が低い傾向がある。そのため、インクジェット用インクは、形成される画像の画像濃度及び耐擦過性を向上させることが要求されている。また、インクジェット用インクは、吐出安定性(連続印刷において画像不良の発生を抑制できる性能)に優れることが要求されている。更に、インクジェット用インクは、間欠印字性(間欠印刷において画像不良の発生を抑制できる性能)に優れることも要求されている。
このような要求に対して、例えば、アクリル樹脂を含有するインクジェット用インクが提案されている(例えば、特許文献1及び2)。特許文献1及び2に記載のインクジェット用インクは、アクリル樹脂を含有することで、機械的強度に優れる画像を形成することができ、その結果、形成される画像の耐擦過性を向上できると判断される。
しかしながら、特許文献1及び2に記載のインクジェット用インクによっても、優れた吐出安定性及び間欠印字性を発揮しつつ、画像濃度及び耐擦過性に優れる画像を形成することは困難である。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、吐出安定性及び間欠印字性に優れ、かつ画像濃度及び耐擦過性に優れる画像を形成できるインクジェット用インクを提供することである。
本発明に係るインクジェット用インクは、顔料粒子と、バインダー樹脂粒子と、第1水溶性溶媒と、第2水溶性溶媒と、2−ピロリドンと、グリセリンと、水とを含有する。前記第1水溶性溶媒は、ジエチレングリコールジエチルエーテル及びプロピレングリコールモノメチルエーテルのうち少なくとも一方を含む。前記第2水溶性溶媒は、1,3−プロパンジオール及びトリエチレングリコールのうち少なくとも一方を含む。前記バインダー樹脂粒子は、特定アクリル樹脂を含む。前記特定アクリル樹脂のガラス転移点は、−30℃以上60℃以下である。前記第1水溶性溶媒の含有割合は、4.5質量%以上10.5質量%以下である。前記第2水溶性溶媒の含有割合は、14.5質量%以上25.5質量%以下である。2−ピロリドンの含有割合は、1.5質量%以上4.5質量%以下である。グリセリンの含有割合は、4.5質量%以上8.5質量%以下である。前記バインダー樹脂粒子の含有割合は、0.7質量%以上1.8質量%以下である。
本発明に係るインクジェット用インクは、吐出安定性及び間欠印字性に優れ、かつ画像濃度及び耐擦過性に優れる画像を形成できる。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下において、体積中位径(D50)の測定値は、何ら規定していなければ、動的光散乱式粒径分布測定装置(シスメックス株式会社製「ゼータサイザーナノZS」)を用いて測定された値である。
ガラス転移点(Tg)は、何ら規定していなければ、示差走査熱量計(例えば、島津製作所株式会社製「DSC−50」)を用いて「JIS(日本産業規格)K7121−2012」に従って測定した値である。
酸価の測定値は、何ら規定していなければ、「JIS(日本産業規格)K0070−1992」に従い測定した値である。
本明細書では、アクリル及びメタクリルを包括的に「(メタ)アクリル」と総称する場合がある。
<インク>
以下、本発明に係るインクジェット用インク(以下、単にインクと記載することがある)を説明する。本発明のインクは、顔料粒子と、バインダー樹脂粒子と、第1水溶性溶媒と、第2水溶性溶媒と、2−ピロリドンと、グリセリンと、水とを含有する。第1水溶性溶媒は、ジエチレングリコールジエチルエーテル及びプロピレングリコールモノメチルエーテルのうち少なくとも一方を含む。第2水溶性溶媒は、1,3−プロパンジオール及びトリエチレングリコールのうち少なくとも一方を含む。バインダー樹脂粒子は、特定アクリル樹脂を含む。特定アクリル樹脂のガラス転移点は、−30℃以上60℃以下である。第1水溶性溶媒の含有割合は、4.5質量%以上10.5質量%以下である。第2水溶性溶媒の含有割合は、14.5質量%以上25.5質量%以下である。2−ピロリドンの含有割合は、1.5質量%以上4.5質量%以下である。グリセリンの含有割合は、4.5質量%以上8.5質量%以下である。バインダー樹脂粒子の含有割合は、0.7質量%以上1.8質量%以下である。
以下、本発明に係るインクジェット用インク(以下、単にインクと記載することがある)を説明する。本発明のインクは、顔料粒子と、バインダー樹脂粒子と、第1水溶性溶媒と、第2水溶性溶媒と、2−ピロリドンと、グリセリンと、水とを含有する。第1水溶性溶媒は、ジエチレングリコールジエチルエーテル及びプロピレングリコールモノメチルエーテルのうち少なくとも一方を含む。第2水溶性溶媒は、1,3−プロパンジオール及びトリエチレングリコールのうち少なくとも一方を含む。バインダー樹脂粒子は、特定アクリル樹脂を含む。特定アクリル樹脂のガラス転移点は、−30℃以上60℃以下である。第1水溶性溶媒の含有割合は、4.5質量%以上10.5質量%以下である。第2水溶性溶媒の含有割合は、14.5質量%以上25.5質量%以下である。2−ピロリドンの含有割合は、1.5質量%以上4.5質量%以下である。グリセリンの含有割合は、4.5質量%以上8.5質量%以下である。バインダー樹脂粒子の含有割合は、0.7質量%以上1.8質量%以下である。
本発明のインクの用途としては、特に限定されないが、ラインヘッドを備えるインクジェット記録装置に用いるインクとして好適である。
本発明のインクは、上述の構成を備えることにより、吐出安定性及び間欠印字性に優れ、かつ画像濃度及び耐擦過性に優れる画像を形成できる。その理由は以下の通りであると推察される。まず、本発明のインクが画像濃度に優れる画像を形成できる理由を説明する。本発明のインクは、バインダー樹脂粒子を含有する。本発明のインクにおいて、バインダー樹脂粒子の含有割合は、0.7質量%以上1.8質量%以下と比較的少量である。このように、本発明のインクは、バインダー樹脂粒子の含有割合が比較的少量であり、固形分における顔料粒子の含有割合が比較的高いため、画像濃度に優れる画像を形成できる。
本発明のインクが耐擦過性に優れる画像を形成できる理由を説明する。バインダー樹脂粒子が含む特定アクリル樹脂は、ガラス転移点が60℃以下と比較的低い。バインダー樹脂粒子は、ガラス転移点が比較的低い特定アクリル樹脂を含むため、室温で適度に柔らかい。そのため、バインダー樹脂粒子は、画像形成時に優れた造膜性を発揮し、顔料粒子を保護する膜を形成し易い。ここで、バインダー樹脂粒子によって顔料粒子を効率的に保護するためには、本発明のインクが記録媒体に着弾した後に、バインダー樹脂粒子が記録媒体に浸透せず、バインダー樹脂粒子が記録媒体の表面に留めることが重要となる。これに対して、本発明のインクは、第1水溶性溶媒及び第2水溶性溶媒を含有する。第2水溶性溶媒は、特定アクリル樹脂との親和性がやや低い。そのため、本発明のインクにおいて、バインダー樹脂粒子は、やや不安定な状態で溶媒に分散している。また、第1水溶性溶媒は、疎水性が適度に高いため、記録媒体に浸透し易い。そのため、本発明のインクは、記録媒体の表面に着弾した後に、第1水溶性溶媒が記録媒体に速やかに浸透する。これにより、本発明のインクは、記録媒体の表面に着弾した後に、第2水溶性溶媒の濃度が増大し、バインダー樹脂粒子の分散状態が更に不安定になる。以上の結果、本発明のインクは、記録媒体に着弾した後に、バインダー樹脂粒子が析出して記録媒体の表面に留まり易い。そのため、本発明のインクは、バインダー樹脂粒子の含有割合が比較的少ないが、バインダー樹脂粒子によって顔料粒子を効率的に保護できるため、耐擦過性に優れる画像を形成できる。
本発明のインクが吐出安定性及び間欠印字性に優れる理由を説明する。ガラス転移点が過度に低い樹脂を含むバインダー樹脂粒子は、室温で過度に柔らかいため、インクノズルの詰まりを発生させるおそれがある。これに対して、バインダー樹脂粒子が含む特定アクリル樹脂は、ガラス転移点が−30℃以上であり、過度に低いわけではない。また、上述の通り、本発明のインクにおいて、バインダー樹脂粒子の含有割合は比較的少量である。そのため、本発明のインクは、バインダー樹脂粒子がインクノズルの詰まりを発生させ難い。更に、本発明のインクは、保湿剤であるグリセリンを適量含有する。グリセリンは、インクノズルの表面を保湿することでインクノズルの詰まりの発生を抑制する。更に、本発明のインクは、2−ピロリドンを1.5質量%以上4.5質量%以下含有する。本発明のインクは、特性の異なる複数の溶媒(第1水溶性溶媒、第2水溶性溶媒、グリセリン及び水)を含有するが、相溶化剤である2−ピロリドンを適量含有するため、吐出前に各成分が分離し難い。以上から、本発明のインクは、優れた吐出安定性及び間欠印字性を発揮できる。
以下、本発明のインクについて、更に詳細に説明する。なお、以下に説明する各成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[顔料粒子]
本発明のインクにおいて、顔料粒子は、例えば、溶媒に分散して存在する。本発明のインクの色濃度、色相、又は安定性を向上させる観点から、顔料粒子のD50としては、30nm以上200nm以下が好ましく、70nm以上130nm以下がより好ましい。
本発明のインクにおいて、顔料粒子は、例えば、溶媒に分散して存在する。本発明のインクの色濃度、色相、又は安定性を向上させる観点から、顔料粒子のD50としては、30nm以上200nm以下が好ましく、70nm以上130nm以下がより好ましい。
顔料粒子は、顔料のみを含んでいてもよい。また、顔料粒子は、顔料及び顔料分散樹脂を含んでいてもよい。顔料及び顔料分散樹脂を含む顔料粒子としては、例えば、顔料を含む顔料コアと、顔料コアの表面を被覆する顔料分散樹脂とを含む顔料粒子が挙げられる。
顔料粒子が含む顔料としては、例えば、黄色顔料、橙色顔料、赤色顔料、青色顔料、紫色顔料、及び黒色顔料が挙げられる。黄色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー(74、93、95、109、110、120、128、138、139、151、154、155、173、180、185、及び193)が挙げられる。橙色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ(34、36、43、61、63、及び71)が挙げられる。赤色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド(122及び202)が挙げられる。青色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー(15、より具体的には15:3)が挙げられる。紫色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントバイオレット(19、23、及び33)が挙げられる。黒色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブラック(7)が挙げられる。
顔料粒子における顔料の含有割合としては、40質量%以上90質量%以下が好ましく、60質量%以上80質量%以下が更に好ましい。
顔料分散樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、ウレタン樹脂及びポリエステル樹脂が挙げられる。
ここで、アクリル樹脂は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する繰り返し単位を有する樹脂である。アクリル樹脂は、(メタ)アクリル酸に由来する繰り返し単位を更に有してもよい。スチレン−アクリル樹脂は、スチレン単位と、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する繰り返し単位とを有する樹脂である。スチレン−アクリル樹脂は、(メタ)アクリル酸に由来する繰り返し単位を更に有してもよい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル及び(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルが挙げられる。
顔料分散樹脂としては、スチレン−アクリル樹脂が好ましい。スチレン−アクリル樹脂としては、スチレン単位と、(メタ)アクリル酸に由来する繰り返し単位と、(メタ)アクリル酸メチルに由来する繰り返し単位と、(メタ)アクリル酸ブチルに由来する繰り返し単位とを有する樹脂が好ましく、スチレン単位と、メタクリル酸に由来する繰り返し単位と、メタクリル酸メチルに由来する繰り返し単位と、アクリル酸ブチルに由来する繰り返し単位とを有する樹脂がより好ましい。
顔料分散樹脂の酸価としては、例えば、50mgKOH/g以上150mgKOH/g以下である。顔料分散樹脂の酸価を50mgKOH/g以上150mgKOH/g以下とすることで、顔料粒子の凝集を効果的に抑制し、その結果、本発明のインクの保存安定性を向上できる。
顔料分散樹脂の酸価は、顔料分散樹脂を合成する際に使用するモノマーの量を変えることによって調整できる。例えば、顔料分散樹脂を合成する際に、酸性の官能基(例えば、カルボキシ基)を有するモノマー(例えば、(メタ)アクリル酸)を使用することで、顔料分散樹脂の酸価を増大させることができる。
顔料分散樹脂の質量平均分子量(Mw)としては、例えば、10000以上50000以下である。顔料分散樹脂のMwを10000以上50000以下とすることで、本発明のインクの粘度の増大を抑制しつつ、本発明のインクにより形成される画像の画像濃度を更に向上できる。
顔料分散樹脂のMwは、顔料分散樹脂の重合条件(例えば、重合開始剤の使用量、重合温度、及び重合時間)を変えることによって調整できる。
顔料粒子における顔料分散樹脂の含有量としては、顔料100質量部に対して、10質量部以上100質量部以下が好ましく、30質量部以上50質量部以下がより好ましい。
本発明のインクにおいて、顔料粒子の含有割合としては、2.0質量%以上15.0質量%以下が好ましく、5.0質量%以上10.0質量%以下がより好ましい。顔料粒子の含有割合を2.0質量%以上とすることで、本発明のインクにより形成される画像の画像濃度を更に向上できる。また、顔料粒子の含有割合を15.0質量%以下とすることで、本発明のインクの流動性を向上できる。
[バインダー樹脂粒子]
バインダー樹脂粒子は、特定アクリル樹脂を含む。バインダー樹脂粒子は、特定アクリル樹脂のみを含有することが好ましい。バインダー樹脂粒子における特定アクリル樹脂の含有割合としては、80質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましく、100質量%が更に好ましい。
バインダー樹脂粒子は、特定アクリル樹脂を含む。バインダー樹脂粒子は、特定アクリル樹脂のみを含有することが好ましい。バインダー樹脂粒子における特定アクリル樹脂の含有割合としては、80質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましく、100質量%が更に好ましい。
特定アクリル樹脂のガラス転移点は、−30℃以上60℃以下であり、−30℃以上−10℃以下が好ましい。特定アクリル樹脂のガラス転移点を−30℃以上とすることで、バインダー樹脂粒子が室温で過度に柔らかくなることを抑制できる。その結果、本発明のインクは、バインダー樹脂粒子がインクノズルの詰まりを発生させることを抑制できる。特定アクリル樹脂のガラス転移点を60℃以下とすることで、バインダー樹脂粒子が室温で適度に柔らかくなる。その結果、本発明のインクは、画像形成時にバインダー樹脂粒子が優れた造膜性を発揮し、耐擦過性に優れる画像を形成できる。
バインダー樹脂粒子の体積中位径としては、30nm以上400nm以下が好ましく、30nm以上200nm以下がより好ましい。バインダー樹脂粒子の体積中位径を30nm以上とすることで、インク中でバインダー樹脂粒子が凝集することを抑制できる。バインダー樹脂粒子の体積中位径を400nm以下とすることで、本発明のインクの吐出安定性及び間欠印字性を向上できる。
本発明のインクにおいて、バインダー樹脂粒子の含有割合は、0.7質量%以上1.8質量%以下であり、0.7質量%以上1.3質量%以下が好ましい。バインダー樹脂粒子の含有割合を0.7質量%以上とすることで、本発明のインクにより形成される画像の耐擦過性を向上できる。バインダー樹脂粒子の含有割合を1.8質量%以下とすることで、本発明のインクの吐出安定性及び間欠印字性を向上できる。
[第1水溶性溶媒]
第1水溶性溶媒は、ジエチレングリコールジエチルエーテル及びプロピレングリコールモノメチルエーテルのうち少なくとも一方を含む。第1水溶性溶媒は、ジエチレングリコールジエチルエーテルを含むことが好ましい。
第1水溶性溶媒は、ジエチレングリコールジエチルエーテル及びプロピレングリコールモノメチルエーテルのうち少なくとも一方を含む。第1水溶性溶媒は、ジエチレングリコールジエチルエーテルを含むことが好ましい。
本発明のインクにおいて、第1水溶性溶媒の含有割合は、4.5質量%以上10.5質量%以下であり、4.5質量%以上6.0質量%以下が好ましい。第1水溶性溶媒の含有割合を4.5質量%以上とすることで、本発明のインクは、耐擦過性に優れる画像を形成できる。第1水溶性溶媒の含有割合を10.5質量%以下とすることで、本発明のインクの吐出安定性を向上できる。
[第2水溶性溶媒]
第2水溶性溶媒は、1,3−プロパンジオール及びトリエチレングリコールのうち少なくとも一方を含む。第2水溶性溶媒は、1,3−プロパンジオールを含むことが好ましい。
第2水溶性溶媒は、1,3−プロパンジオール及びトリエチレングリコールのうち少なくとも一方を含む。第2水溶性溶媒は、1,3−プロパンジオールを含むことが好ましい。
本発明のインクにおいて、第2水溶性溶媒の含有割合としては、14.5質量%以上25.5質量%以下であり、14.5質量%以上16.0質量%以下が好ましい。第2水溶性溶媒の含有割合を14.5質量%以上とすることで、本発明のインクにより形成される画像の耐擦過性を向上できる。第2水溶性溶媒の含有割合を25.5質量%以下とすることで、本発明のインクの吐出安定性及び間欠印字性を向上できる。
[2−ピロリドン]
本発明のインクにおいて、2−ピロリドンの含有割合は、1.5質量%以上4.5質量%以下であり、1.5質量%以上3.0質量%以下が好ましい。2−ピロリドンの含有割合を1.5質量%以上とすることで、本発明のインクの吐出安定性を向上できる。2−ピロリドンの含有割合を4.5質量%以下とすることで、本発明のインクにより形成される画像の耐擦過性を向上できる。
本発明のインクにおいて、2−ピロリドンの含有割合は、1.5質量%以上4.5質量%以下であり、1.5質量%以上3.0質量%以下が好ましい。2−ピロリドンの含有割合を1.5質量%以上とすることで、本発明のインクの吐出安定性を向上できる。2−ピロリドンの含有割合を4.5質量%以下とすることで、本発明のインクにより形成される画像の耐擦過性を向上できる。
[グリセリン]
本発明のインクにおいて、グリセリンの含有割合は、4.5質量%以上8.5質量%以下であり、4.5質量%以上6.0質量%以下が好ましい。グリセリンの含有割合を4.5質量%以上とすることで、本発明のインクの間欠印字性を向上できる。グリセリンの含有割合を8.5質量%以下とすることで、本発明のインクの吐出安定性を向上できる。
本発明のインクにおいて、グリセリンの含有割合は、4.5質量%以上8.5質量%以下であり、4.5質量%以上6.0質量%以下が好ましい。グリセリンの含有割合を4.5質量%以上とすることで、本発明のインクの間欠印字性を向上できる。グリセリンの含有割合を8.5質量%以下とすることで、本発明のインクの吐出安定性を向上できる。
[水]
本発明のインクにおいて、水の含有割合としては、50.0質量%以上70.0質量%以下が好ましく、60.0質量%以上65.0質量%以下がより好ましい。
本発明のインクにおいて、水の含有割合としては、50.0質量%以上70.0質量%以下が好ましく、60.0質量%以上65.0質量%以下がより好ましい。
本発明のインクは、溶媒として、第1水溶性溶媒、第2水溶性溶媒、2−ピロリドン、グリセリン及び水のみを含有してもよいが、他の有機溶媒(例えば、炭素原子数5以上10以下のアルカンジオール化合物)を更に含有してもよい。本発明のインクにおいて、全溶媒100.0質量%に対して、第1水溶性溶媒、第2水溶性溶媒、2−ピロリドン、グリセリン及び水の合計割合としては、80.0質量%以上100.0質量%が好ましく、97.0質量%以上99.9質量%以下がより好ましい。
[界面活性剤]
本発明のインクは、界面活性剤を更に含有することが好ましい。界面活性剤は、本発明のインクに含まれる各成分の相溶性及び分散安定性を向上させる。また、界面活性剤は、本発明のインクの記録媒体に対する浸透性(濡れ性)を向上させる。界面活性剤としては、ノニオン界面活性剤が好ましい。
本発明のインクは、界面活性剤を更に含有することが好ましい。界面活性剤は、本発明のインクに含まれる各成分の相溶性及び分散安定性を向上させる。また、界面活性剤は、本発明のインクの記録媒体に対する浸透性(濡れ性)を向上させる。界面活性剤としては、ノニオン界面活性剤が好ましい。
ノニオン界面活性剤としては、アセチレングリコール構造を有する界面活性剤が好ましく、アセチレンジオールのエチレンオキサイド付加物がより好ましい。
本発明のインクが界面活性剤を含有する場合、本発明のインクにおいて、界面活性剤の含有割合としては、0.1質量%以上3.0質量%以下が好ましく、0.3質量%以上1.0質量%以下がより好ましい。
本発明のインクは、第1水溶性溶媒がジエチレングリコールジエチルエーテルを含み、第2水溶性溶媒が1,3−プロパンジオールを含み、特定アクリル樹脂のガラス転移点が−30℃以上−10℃以下であり、第1水溶性溶媒の含有割合が4.5質量%以上6.0質量%以下であり、第2水溶性溶媒の含有割合が14.5質量%以上16.0質量%以下であり、2−ピロリドンの含有割合が1.5質量%以上3.0質量%以下であり、グリセリンの含有割合が4.5質量%以上6.0質量%以下であり、バインダー樹脂粒子の含有割合が0.7質量%以上1.3質量%以下であることが好ましい。本発明のインクは、上述の構成を満たすことで、形成される画像の画像濃度を更に向上できる。
[他の成分]
本発明のインクは、必要に応じて、公知の添加剤(より具体的には、例えば、溶解安定剤、乾燥防止剤、酸化防止剤、粘度調整剤、pH調整剤及び防カビ剤)を更に含有してもよい。
本発明のインクは、必要に応じて、公知の添加剤(より具体的には、例えば、溶解安定剤、乾燥防止剤、酸化防止剤、粘度調整剤、pH調整剤及び防カビ剤)を更に含有してもよい。
[インクの製造方法]
本発明のインクは、例えば、顔料粒子を含む顔料分散液と、バインダー樹脂粒子と、第1水溶性溶媒と、第2水溶性溶媒と、2−ピロリドンと、グリセリンと、水と、必要に応じて配合される他の成分(例えば、界面活性剤)とを攪拌機により均一に混合することにより製造できる。本発明のインクの製造では、各成分を均一に混合した後、フィルター(例えば孔径5μm以下のフィルター)により異物及び粗大粒子を除去してもよい。
本発明のインクは、例えば、顔料粒子を含む顔料分散液と、バインダー樹脂粒子と、第1水溶性溶媒と、第2水溶性溶媒と、2−ピロリドンと、グリセリンと、水と、必要に応じて配合される他の成分(例えば、界面活性剤)とを攪拌機により均一に混合することにより製造できる。本発明のインクの製造では、各成分を均一に混合した後、フィルター(例えば孔径5μm以下のフィルター)により異物及び粗大粒子を除去してもよい。
(顔料分散液)
顔料分散液は、顔料粒子を含む分散液である。顔料分散液の分散媒としては、水が好ましい。顔料分散液は、少量の有機溶媒を更に含有することが好ましい。有機溶媒としては、例えば、炭素原子数5以上10以下のアルカンジオール化合物(例えば、1,2−オクタンジオール)が挙げられる。
顔料分散液は、顔料粒子を含む分散液である。顔料分散液の分散媒としては、水が好ましい。顔料分散液は、少量の有機溶媒を更に含有することが好ましい。有機溶媒としては、例えば、炭素原子数5以上10以下のアルカンジオール化合物(例えば、1,2−オクタンジオール)が挙げられる。
顔料分散液における顔料の含有割合としては、5.0質量%以上25.0質量%以下が好ましく、10.0質量%以上20.0質量%以下がより好ましい。顔料分散液が顔料分散樹脂を含有する場合、顔料分散液における顔料分散樹脂の含有割合としては、2.0質量%以上15.0質量%以下が好ましく、4.0質量%以上8.0質量%以下がより好ましい。顔料分散液における上述のジオール化合物の含有割合としては、0.1質量%以上5.0質量%以下が好ましく、0.1質量%以上1.0質量%以下がより好ましい。
顔料分散液は、顔料及び分散媒と、必要に応じて配合される他の成分(例えば、顔料分散樹脂及び上述のアルカンジオール化合物)をメディア型分散機により湿式分散することで調製できる。顔料分散液の調製においては、顔料分散樹脂を中和するため、塩基化合物(例えば、水酸化ナトリウム)を添加することが好ましい。塩基化合物の添加量としては、例えば、顔料分散樹脂の中和当量に対して、1.0倍以上1.2倍以下である。メディア型分散機による湿式分散では、メディアとして、例えば、小粒径ビーズ(例えば、D50が0.5mm以上1.0mm以下のビーズ)を用いることができる。ビーズの材質としては、特に限定されないが、硬質の材料(例えば、ガラス及びジルコニア)が好ましい。
本発明のインクの製造において顔料分散液を添加する場合、インクの全原料に対する顔料分散液の割合としては、例えば、25.0質量%以上60.0質量%以下である。
以下、本発明の実施例を説明する。ただし、本発明は、以下の実施例に限定されない。
(顔料分散樹脂の合成)
容量1000mLの四つ口フラスコにスターラー、窒素導入管、攪拌機付きコンデンサー及び滴下ロートをセットし、これを反応容器として用いた。反応容器に、イソプロピルアルコール100g及びメチルエチルケトン300gを投入した。次いで、反応容器の内容物に対して、窒素ガスでバブリングしながら温度70℃で加熱還流を行った。
容量1000mLの四つ口フラスコにスターラー、窒素導入管、攪拌機付きコンデンサー及び滴下ロートをセットし、これを反応容器として用いた。反応容器に、イソプロピルアルコール100g及びメチルエチルケトン300gを投入した。次いで、反応容器の内容物に対して、窒素ガスでバブリングしながら温度70℃で加熱還流を行った。
別途、スチレン(ST)40gと、メタクリル酸(MAA)10gと、アクリル酸ブチル(BA)10gと、メタクリル酸メチル(MMA)40gと、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.4gとを混合することで、モノマー溶液を得た。次いで、モノマー溶液を滴下ロートに投入した。次いで、滴下ロート内のモノマー溶液を、加熱還流中の反応容器の内容物に対して2時間かけて滴下した。滴下終了後、反応容器の内容物に対して、更に6時間の加熱還流を行った。
次いで、AIBN0.2gを含有するメチルエチルケトン溶液50mLを15分間かけて反応容器に滴下した。滴下終了後、反応容器の内容物に対して、更に5時間の加熱還流を行った。その結果、質量平均分子量(Mw)20000、酸価100mgKOH/gのスチレン−アクリル樹脂を得た。このスチレン−アクリル樹脂を顔料分散樹脂として用いた。
(顔料分散液の調製)
メディア型分散機(ウィリー・エ・バッコーフェン(WAB)社製「DYNO(登録商標)−MILL」)の容量0.6Lのベッセルに、シアン顔料(トーヨーカラー株式会社製「リオノール(登録商標)ブルーFG−7330」、成分:銅フタロシアニン、カラーインデックス:ピグメントブルー15:3)15.0質量部と、上述の顔料分散樹脂6.0質量部と、1,2−オクタンジオール0.5質量部と、イオン交換水と、水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液とをベッセル内に投入した。上述のNaOH水溶液は、顔料分散樹脂を中和するために投入した成分である。各成分を投入した後のベッセル内容物のpHは、8.0であった。上述のNaOH水溶液には、顔料分散樹脂の中和当量の1.1倍の質量のNaOHが含まれていた。ベッセルに投入された水の質量は、78.5質量部であった。なお、ベッセルに投入された水の質量は、ベッセルに投入したイオン交換水の質量と、ベッセルに投入したNaOH水溶液に含まれる水の質量と、ベッセル内でNaOH及び顔料分散樹脂が中和反応することで生じた水の質量との合計質量である。
メディア型分散機(ウィリー・エ・バッコーフェン(WAB)社製「DYNO(登録商標)−MILL」)の容量0.6Lのベッセルに、シアン顔料(トーヨーカラー株式会社製「リオノール(登録商標)ブルーFG−7330」、成分:銅フタロシアニン、カラーインデックス:ピグメントブルー15:3)15.0質量部と、上述の顔料分散樹脂6.0質量部と、1,2−オクタンジオール0.5質量部と、イオン交換水と、水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液とをベッセル内に投入した。上述のNaOH水溶液は、顔料分散樹脂を中和するために投入した成分である。各成分を投入した後のベッセル内容物のpHは、8.0であった。上述のNaOH水溶液には、顔料分散樹脂の中和当量の1.1倍の質量のNaOHが含まれていた。ベッセルに投入された水の質量は、78.5質量部であった。なお、ベッセルに投入された水の質量は、ベッセルに投入したイオン交換水の質量と、ベッセルに投入したNaOH水溶液に含まれる水の質量と、ベッセル内でNaOH及び顔料分散樹脂が中和反応することで生じた水の質量との合計質量である。
次いで、上述のベッセル内に、ベッセル容量の70体積%に相当する量のメディア(直径0.5mmのジルコニアビーズ)を充填した。次いで、上述のメディア型分散機を用いて、温度10℃かつ周速8m/秒の条件で、ベッセル内容物を240分間混練した。その結果、顔料粒子を含む顔料分散液が得られた。動的光散乱式粒径分布測定装置(シスメックス株式会社製「ゼータサイザーナノ」)を用いて、顔料分散液に含まれる顔料粒子の体積中位径(D50)を測定した。顔料粒子の体積中位径(D50)は、100nmであった。なお、上述の体積中位径(D50)の測定においては、イオン交換水で300倍に希釈した顔料分散液を測定試料として用いた。
<インクの調製>
以下の方法により、実施例1〜9及び比較例1〜14のインクを調製した。まず、インクの調製に用いたバインダー樹脂粒子について説明する。
以下の方法により、実施例1〜9及び比較例1〜14のインクを調製した。まず、インクの調製に用いたバインダー樹脂粒子について説明する。
バインダー樹脂粒子(B−1):ジャパンコーティングレジン株式会社製「モビニール(登録商標)6963」、体積中位径:170nm、ガラス転移点が−28℃であるアクリル樹脂を含む樹脂粒子。
バインダー樹脂粒子(B−2):ジャパンコーティングレジン株式会社製「モビニール(登録商標)6899D」、体積中位径:100nm、ガラス転移点が49℃であるアクリル樹脂を含む樹脂粒子。
バインダー樹脂粒子(b−3):ジャパンコーティングレジン株式会社製「モビニール(登録商標)6969D」、体積中位径:110nm、ガラス転移点が71℃であるアクリル樹脂を含む樹脂粒子。
バインダー樹脂粒子(b−4):ジャパンコーティングレジン株式会社製「モビニール(登録商標)6960」、体積中位径:170nm、ガラス転移点が−32℃であるアクリル樹脂を含む樹脂粒子。
バインダー樹脂粒子(B−2):ジャパンコーティングレジン株式会社製「モビニール(登録商標)6899D」、体積中位径:100nm、ガラス転移点が49℃であるアクリル樹脂を含む樹脂粒子。
バインダー樹脂粒子(b−3):ジャパンコーティングレジン株式会社製「モビニール(登録商標)6969D」、体積中位径:110nm、ガラス転移点が71℃であるアクリル樹脂を含む樹脂粒子。
バインダー樹脂粒子(b−4):ジャパンコーティングレジン株式会社製「モビニール(登録商標)6960」、体積中位径:170nm、ガラス転移点が−32℃であるアクリル樹脂を含む樹脂粒子。
上述のガラス転移点(Tg)は、示差走査熱量計(島津製作所株式会社製「DSC−50」)を用いて「JIS(日本産業規格)K7121−2012」に従って測定した。
[実施例1]
上述の顔料分散液40.0質量部と、第1水溶性溶媒としてのジエチレングリコールジエチルエーテル5.0質量部と、第2水溶性溶媒としての1,3−プロパンジオール15.0質量部と、グリセリン5.0質量部と、2−ピロリドン2.0質量部と、バインダー樹脂粒子(B−1)(ジャパンコーティングレジン株式会社製「モビニール(登録商標)6963」)1.0質量部と、ノニオン界面活性剤(日信化学工業株式会社製「サーフィノール(登録商標)420」、成分:アセチレン基で置換されたグリコール化合物)0.5質量部と、イオン交換水31.5質量部とを、攪拌機(新東科学株式会社製「スリーワンモーター BL−600」)を用いて回転速度400rpmで攪拌して均一に混合した。次いで、得られた混合液を、孔径5μmのフィルターを用いてろ過して、混合液中の異物及び粗大粒子を除去した。その結果、実施例1のインクが得られた。
上述の顔料分散液40.0質量部と、第1水溶性溶媒としてのジエチレングリコールジエチルエーテル5.0質量部と、第2水溶性溶媒としての1,3−プロパンジオール15.0質量部と、グリセリン5.0質量部と、2−ピロリドン2.0質量部と、バインダー樹脂粒子(B−1)(ジャパンコーティングレジン株式会社製「モビニール(登録商標)6963」)1.0質量部と、ノニオン界面活性剤(日信化学工業株式会社製「サーフィノール(登録商標)420」、成分:アセチレン基で置換されたグリコール化合物)0.5質量部と、イオン交換水31.5質量部とを、攪拌機(新東科学株式会社製「スリーワンモーター BL−600」)を用いて回転速度400rpmで攪拌して均一に混合した。次いで、得られた混合液を、孔径5μmのフィルターを用いてろ過して、混合液中の異物及び粗大粒子を除去した。その結果、実施例1のインクが得られた。
[実施例2〜9及び比較例1〜14]
各成分の種類及び添加量を下記表1に示す通りに変更した以外は、実施例1のインクと同様の方法により、実施例2〜9及び比較例1〜14のインクを調製した。
各成分の種類及び添加量を下記表1に示す通りに変更した以外は、実施例1のインクと同様の方法により、実施例2〜9及び比較例1〜14のインクを調製した。
下記表1において、「部」は、質量部を示す。有機溶媒の「第1」及び「第2」は、第1水溶性溶媒及び第2水溶性溶媒を示す。バインダー樹脂粒子の「Tg」は、特定アクリル樹脂のガラス転移点を示す。各成分の略称は、以下の通りである。
DGDE:ジエチレングリコールジエチルエーテル
PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテル
TGME:トリエチレングリコールモノブチルエーテル
PD:1,3−プロパンジオール
TEG:トリエチレングリコール
PG:プロピレングリコール
Gly:グリセリン
Py:2−ピロリドン
SA:ノニオン界面活性剤(日信化学工業株式会社製「サーフィノール(登録商標)420」)
IEW:イオン交換水
DGDE:ジエチレングリコールジエチルエーテル
PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテル
TGME:トリエチレングリコールモノブチルエーテル
PD:1,3−プロパンジオール
TEG:トリエチレングリコール
PG:プロピレングリコール
Gly:グリセリン
Py:2−ピロリドン
SA:ノニオン界面活性剤(日信化学工業株式会社製「サーフィノール(登録商標)420」)
IEW:イオン交換水
なお、トリエチレングリコールモノブチルエーテルは、比較例3のインクの調製において、第1水溶性溶媒の代わりに用いた溶媒である。プロピレングリコールは、比較例6のインクの調製において、第2水溶性溶媒の代わりに用いた溶媒である。
<評価>
以下の方法により、実施例1〜9及び比較例1〜14のインクについて、形成される画像の画像濃度と、間欠印字性と、吐出安定性と、形成される画像の耐擦過性とを評価した。評価結果を下記表2に示す。なお、各評価は、25℃、50%RH環境下で行った。
以下の方法により、実施例1〜9及び比較例1〜14のインクについて、形成される画像の画像濃度と、間欠印字性と、吐出安定性と、形成される画像の耐擦過性とを評価した。評価結果を下記表2に示す。なお、各評価は、25℃、50%RH環境下で行った。
[評価機及び記録媒体]
各評価において、評価機としては、ラインヘッド方式の記録ヘッドを備えるインクジェット記録装置(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製の試験機)を用いた。記録媒体としては、A4サイズの普通紙(mondi社製「Color Copy(登録商標)」、坪量:90g/m2)を用いた。
各評価において、評価機としては、ラインヘッド方式の記録ヘッドを備えるインクジェット記録装置(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製の試験機)を用いた。記録媒体としては、A4サイズの普通紙(mondi社製「Color Copy(登録商標)」、坪量:90g/m2)を用いた。
[画像濃度]
評価機を用いて、記録媒体に10cm×10cmのソリッド画像を形成した。ソリッド画像の形成においては、記録ヘッドから吐出するインク一滴の量(1画素当たりのインク量)が9pLとなるように設定した。形成されたソリッド画像の画像濃度を、ポータブル反射濃度計(X−Rite社製「RD−19」)を用いて測定した。詳しくは、ソリッド画像内の10箇所において画像濃度を測定し、その平均値を画像濃度の評価値とした。画像濃度は、下記基準に従って判定した。
評価機を用いて、記録媒体に10cm×10cmのソリッド画像を形成した。ソリッド画像の形成においては、記録ヘッドから吐出するインク一滴の量(1画素当たりのインク量)が9pLとなるように設定した。形成されたソリッド画像の画像濃度を、ポータブル反射濃度計(X−Rite社製「RD−19」)を用いて測定した。詳しくは、ソリッド画像内の10箇所において画像濃度を測定し、その平均値を画像濃度の評価値とした。画像濃度は、下記基準に従って判定した。
(画像濃度の基準)
A(良好):0.90以上
B(不良):0.90未満
A(良好):0.90以上
B(不良):0.90未満
[間欠印字性]
評価機を用いて、記録媒体に10cm×10cmの第1ソリッド画像を形成した。ソリッド画像の形成においては、記録ヘッドから吐出するインクの一滴の量(1画素当たりのインク量)を9pLに設定した。第1ソリッド画像の形成から1分後、第1ソリッド画像の形成と同様の条件で第2ソリッド画像を形成した。第2ソリッド画像を目視で観察し、画像欠損(詳しくは、白抜け)の有無を確認した。間欠印字性は、下記基準に従って判定した。
評価機を用いて、記録媒体に10cm×10cmの第1ソリッド画像を形成した。ソリッド画像の形成においては、記録ヘッドから吐出するインクの一滴の量(1画素当たりのインク量)を9pLに設定した。第1ソリッド画像の形成から1分後、第1ソリッド画像の形成と同様の条件で第2ソリッド画像を形成した。第2ソリッド画像を目視で観察し、画像欠損(詳しくは、白抜け)の有無を確認した。間欠印字性は、下記基準に従って判定した。
(間欠印字性の基準)
A(良好):第2ソリッド画像に画像欠損が存在しない
B(不良):第2ソリッド画像に画像不良が存在する
A(良好):第2ソリッド画像に画像欠損が存在しない
B(不良):第2ソリッド画像に画像不良が存在する
[吐出安定性]
評価機を用いて、100枚の記録媒体に10cm×10cmのソリッド画像を連続で形成した。ソリッド画像の形成においては、記録ヘッドから吐出するインクの一滴の量(1画素当たりのインク量)を9pLに設定した。100枚の記録媒体に形成されたソリッド画像を目視でそれぞれ観察し、画像欠損(詳しくは、白抜け)の有無を確認した。吐出安定性は、下記基準に従って判定した。
評価機を用いて、100枚の記録媒体に10cm×10cmのソリッド画像を連続で形成した。ソリッド画像の形成においては、記録ヘッドから吐出するインクの一滴の量(1画素当たりのインク量)を9pLに設定した。100枚の記録媒体に形成されたソリッド画像を目視でそれぞれ観察し、画像欠損(詳しくは、白抜け)の有無を確認した。吐出安定性は、下記基準に従って判定した。
(吐出安定性の基準)
A(良好):100枚の記録媒体のソリッド画像の何れにも画像欠損が存在しない
B(不良):100枚の記録媒体のソリッド画像のうち何れかに画像不良が存在する
A(良好):100枚の記録媒体のソリッド画像の何れにも画像欠損が存在しない
B(不良):100枚の記録媒体のソリッド画像のうち何れかに画像不良が存在する
[耐擦過性]
評価機を用いて、1枚の記録媒体に10cm×10cmのソリッド画像を形成した。ソリッド画像の形成においては、記録ヘッドから吐出するインクの一滴の量(1画素当たりのインク量)を9pLに設定した。ソリッド画像を形成した記録媒体上に、未印刷の記録媒体(評価用紙)を重ねた。評価用紙の上に1000gの重り(底面:縦30mm×横40mm)を記録媒体に形成したソリッド画像の中心と重りの底面の中心とが重なるように載せることで評価用紙に1000gの荷重を加えた。評価用紙に1000gの荷重を加えた状態で、記録媒体に形成したソリッド画像を評価用紙によって5往復擦過した。5分後、ソリッド画像のインクが評価用紙に付着することで形成された汚染部の画像濃度を、ポータブル反射濃度計(X−Rite社製「RD−19」)を用いて測定した。詳しくは、汚染部の3箇所において画像濃度を測定し、その平均値を耐擦過性の評価値とした。
評価機を用いて、1枚の記録媒体に10cm×10cmのソリッド画像を形成した。ソリッド画像の形成においては、記録ヘッドから吐出するインクの一滴の量(1画素当たりのインク量)を9pLに設定した。ソリッド画像を形成した記録媒体上に、未印刷の記録媒体(評価用紙)を重ねた。評価用紙の上に1000gの重り(底面:縦30mm×横40mm)を記録媒体に形成したソリッド画像の中心と重りの底面の中心とが重なるように載せることで評価用紙に1000gの荷重を加えた。評価用紙に1000gの荷重を加えた状態で、記録媒体に形成したソリッド画像を評価用紙によって5往復擦過した。5分後、ソリッド画像のインクが評価用紙に付着することで形成された汚染部の画像濃度を、ポータブル反射濃度計(X−Rite社製「RD−19」)を用いて測定した。詳しくは、汚染部の3箇所において画像濃度を測定し、その平均値を耐擦過性の評価値とした。
(耐擦過性の基準)
A(良好):汚染部の画像濃度が0.20未満
B(不良):汚染部の画像濃度が0.20以上
A(良好):汚染部の画像濃度が0.20未満
B(不良):汚染部の画像濃度が0.20以上
表1〜2に示すように、実施例1〜9のインクは、顔料粒子と、バインダー樹脂粒子と、第1水溶性溶媒と、第2水溶性溶媒と、2−ピロリドンと、グリセリンと、水とを含有していた。第1水溶性溶媒は、ジエチレングリコールジエチルエーテル及びプロピレングリコールモノメチルエーテルのうち少なくとも一方を含んでいた。第2水溶性溶媒は、1,3−プロパンジオール及びトリエチレングリコールのうち少なくとも一方を含んでいた。バインダー樹脂粒子は、特定アクリル樹脂を含んでいた。特定アクリル樹脂のガラス転移点は、−30℃以上60℃以下であった。第1水溶性溶媒の含有割合は、4.5質量%以上10.5質量%以下であった。第2水溶性溶媒の含有割合は、14.5質量%以上25.5質量%以下であった。2−ピロリドンの含有割合は、1.5質量%以上4.5質量%以下であった。グリセリンの含有割合は、4.5質量%以上8.5質量%以下であった。バインダー樹脂粒子の含有割合は、0.7質量%以上1.8質量%以下であった。実施例1〜9のインクは、吐出安定性及び間欠印字性に優れ、かつ画像濃度及び耐擦過性に優れる画像を形成できた。
一方、比較例1〜14のインクは、上述の構成を備えなかったため、吐出安定性、間欠印字性、形成される画像の画像濃度及び耐擦過性のうち少なくとも1つが不良であった。
詳しくは、比較例1のインクは、第1水溶性溶媒の含有割合が4.5質量%未満であった。比較例1のインクは、記録媒体の表面に着弾した後に、第1水溶性溶媒が記録媒体に速やかに浸透しなかった。その結果、比較例1のインクは、記録媒体の表面に着弾した後に、バインダー樹脂粒子が記録媒体の表面に凝集しなかったため、形成される画像の耐擦過性が低下したと判断される。
比較例2のインクは、第1水溶性溶媒の含有割合が10.5質量%超であった。比較例2のインクは、第1水溶性溶媒を過度に含有することでバインダー樹脂粒子の分散状態が不安定であったため、吐出安定性が低下したと判断される。
比較例3のインクは、第1水溶性溶媒の代わりにトリエチレングリコールモノブチルエーテルを含有していた。比較例3のインクは、トリエチレングリコールモノブチルエーテルを含有することでバインダー樹脂粒子の分散状態が不安定であったため、吐出安定性が低下したと判断される。
比較例4のインクは、第2水溶性溶媒が不足しているため、バインダー樹脂粒子が安定な状態で溶媒に分散していた。その結果、比較例4のインクは、記録媒体の表面に着弾した後に、バインダー樹脂粒子が溶媒と共に記録媒体に浸透したため、形成される画像の耐擦過性が低下したと判断される。
比較例5のインクは、第2水溶性溶媒が過剰であるため、バインダー樹脂粒子が過度に不安定な状態で溶媒に分散していた。その結果、比較例5のインクは、バインダー樹脂粒子が凝集し、間欠印字性及び吐出安定性が低下したと判断される。
比較例6のインクは、第2水溶性溶媒を含有していないため、バインダー樹脂粒子が安定な状態で溶媒に分散していた。その結果、比較例6のインクは、記録媒体の表面に着弾した後に、バインダー樹脂粒子が溶媒と共に記録媒体に浸透したため、形成される画像の耐擦過性が低下したと判断される。
比較例7のインクは、グリセリンが不足していたため、インクノズルの表面を濡れた状態に維持することができなかった。その結果、比較例7のインクは、間欠印字性が低下したと判断される。
比較例8のインクは、グリセリンが過剰であった。グリセリンは、粘度が高く、かつ高沸点の有機溶媒であるため、インクノズルに大量に付着するとインクの吐出を妨げることがある。比較例8のインクは、インクノズルの表面に大量のグリセリンが付着したため、間欠印字性が低下したと判断される。
比較例9のインクは、2−ピロリドンが不足しているため、溶媒として含む各成分(第1水溶性溶媒、第2水溶性溶媒、グリセリン及び水)が分離し易かった。その結果、比較例9のインクは、間欠印字性が低下したと判断される。
比較例10のインクは、記録媒体を膨潤させ易い溶媒である2−ピロリドンが過剰であった。そのため、比較例10のインクは、記録媒体の表面に着弾した後に記録媒体を膨潤させ、形成される画像の耐擦過性が低下したと判断される。
比較例11のインクは、バインダー樹脂粒子が不足しているため、形成される画像の耐擦過性が低下したと判断される。
比較例12のインクは、バインダー樹脂粒子が過剰であった。比較例12のインクは、バインダー樹脂粒子が凝集し、間欠印字性及び吐出安定性が低下したと判断される。また、比較例12のインクは、固形分における顔料の含有割合が低いため、形成される画像の画像濃度が低下したと判断される。
比較例13のインクは、バインダー樹脂粒子の含むアクリル樹脂のガラス転移点が過度に高かった。その結果、比較例13のインクは、バインダー樹脂粒子が画像形成時に優れた造膜性を発揮することができず、形成される画像の耐擦過性が低下したと判断される。
比較例14のインクは、バインダー樹脂粒子の含むアクリル樹脂のガラス転移点が過度に低かった。比較例14のインクは、バインダー樹脂粒子が常温でも柔らかいため、インクノズルの詰まりが発生し、間欠印字性及び吐出安定性が低下したと判断される。
本発明のインクは、画像を形成するために用いることができる。
Claims (2)
- 顔料粒子と、バインダー樹脂粒子と、第1水溶性溶媒と、第2水溶性溶媒と、2−ピロリドンと、グリセリンと、水とを含有し、
前記第1水溶性溶媒は、ジエチレングリコールジエチルエーテル及びプロピレングリコールモノメチルエーテルのうち少なくとも一方を含み、
前記第2水溶性溶媒は、1,3−プロパンジオール及びトリエチレングリコールのうち少なくとも一方を含み、
前記バインダー樹脂粒子は、特定アクリル樹脂を含み、
前記特定アクリル樹脂のガラス転移点は、−30℃以上60℃以下であり、
前記第1水溶性溶媒の含有割合は、4.5質量%以上10.5質量%以下であり、
前記第2水溶性溶媒の含有割合は、14.5質量%以上25.5質量%以下であり、
2−ピロリドンの含有割合は、1.5質量%以上4.5質量%以下であり、
グリセリンの含有割合は、4.5質量%以上8.5質量%以下であり、
前記バインダー樹脂粒子の含有割合は、0.7質量%以上1.8質量%以下である、インクジェット用インク。 - 前記第1水溶性溶媒は、ジエチレングリコールジエチルエーテルを含み、
前記第2水溶性溶媒は、1,3−プロパンジオールを含み、
前記特定アクリル樹脂のガラス転移点は、−30℃以上−10℃以下であり、
前記第1水溶性溶媒の含有割合は、4.5質量%以上6.0質量%以下であり、
前記第2水溶性溶媒の含有割合は、14.5質量%以上16.0質量%以下であり、
2−ピロリドンの含有割合は、1.5質量%以上3.0質量%以下であり、
グリセリンの含有割合は、4.5質量%以上6.0質量%以下であり、
前記バインダー樹脂粒子の含有割合は、0.7質量%以上1.3質量%以下である、請求項1に記載のインクジェット用インク。
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