JP2021187786A - イミド化合物、アミドアルコール化合物の水和物、それらの製造方法、ラクトン化合物の製造方法、及び、アミドアルコール化合物の無水物の製造方法 - Google Patents
イミド化合物、アミドアルコール化合物の水和物、それらの製造方法、ラクトン化合物の製造方法、及び、アミドアルコール化合物の無水物の製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】アミドアルコール化合物を効率的に製造する方法、また、アミドアルコール化合物と同等に、非天然型ビオチンの製造原料として使用できる化合物を提供する。【解決手段】ウレイド化合物と第一光学活性アミン化合物より式(3)のイミド化合物が製造され、該化合物と還元剤とを反応させ、第一アミドアルコール化合物が製造される。【選択図】なし
Description
本発明は、イミド化合物、アミドアルコール化合物の水和物、それらの製造方法、ラクトン化合物の製造方法、及び、アミドアルコール化合物の無水物の製造方法に関する。
医薬品、食品、化粧品の各種有用化合物において、複雑な光学活性化合物の合成手法のひとつとして、入手可能な光学活性化合物を合成原料(中間体)とするキラルビルディングブロック法が知られている。例えば、下記式で示される化合物は、非天然型ビオチン(1−ビオチン)の合成原料として期待されている。
式中、Bnはベンジル基であり、Phはフェニル基である。
以上のようなアミドアルコール化合物(上記式で示される化合物を単に「ALC’」とする場合もある。)を使用することにより、非天然型のビオチン(1−ビオチン)を製造できる。
上記アミドアルコールは、下記式で示されるシス−1,3−ジベンジル−4−[N−(R)−1−フェネチルカルバモイル]−5−ハイドロキシメチルテトラヒドロイミダゾール−2−ワン(以下、単に「ALC」とする場合もある)を製造する際の異性体として同時に製造されていた(例えば、特許文献1、2参照)。
上記反応に従い得られたALCはビオチンの製造原料として使用できる。このALCの異性体として、前記式で示されるアミドアルコール化合物(ALC’)を製造できる。しかしながら、この方法では、ALCを製造することが主目的であるため、ALC’の製造量が少なくなるといった問題があった。
したがって、本発明の目的は、ALC’を効率的に製造する方法を提供することにある。また、ALC’同等に、非天然型ビオチンの製造原料として使用できる、新規な化合物を提供することを目的とする。
実施形態によると、イミド化合物の製造方法が提供される。この方法によると、下記式(1)で示されるウレイド化合物と、下記式(2)で示される第一光学活性アミン化合物とを接触させること、あるいは、前記式(1)に示すウレイド化合物を脱水した後、前記式(2)に示す第一光学活性アミン化合物と接触させることにより、下記式(3)で示されるイミド化合物が製造される。
式中、R1及びR2は、それぞれ、ベンジル基又は置換基を有するベンジル基である。
式中、R31は、フェニル基又は置換基を有するフェニル基である。
式中、R1及びR2は、前記式(1)におけるものと同義であり、R31は、前記式(2)におけるものと同義である。
他の実施形態によると、アミドアルコール化合物の製造方法が提供される。この製造方法によると、上記式(3)で示されるイミド化合物と、還元剤と、を反応させることにより、下記式(4)で示される第一アミドアルコール化合物が製造される。
式中、R1、R2及びR31は、前記式(3)におけるものと同義であり、xは、0以上1以下である。
他の実施形態によると、ラクトン化合物の製造方法が提供される。この製造方法によると、上記式(4)で示される第一アミドアルコール化合物と酸とを接触させることにより、下記式(5)で示されるラクトン化合物が製造される。
R1及びR2は、前記式(4)におけるものと同義である。
他の実施形態によると、アミドアルコール化合物の製造方法が提供される。この製造方法によると、有機アルミニウム化合物の存在下、上記式(5)で示されるラクトン化合物と、下記式(6)で示される第二光学活性アミン化合物と反応させることにより、下記式(7)で示される第二アミドアルコール化合物が製造される。
R3は、フェニル基又は置換基を有するフェニル基である。
R1及びR2は、前記式(5)におけるものと同義であり、R3は、前記式(6)におけるものと同義であり、mは、0以上1以下である。
他の実施形態によると、上記式(3)で示されるイミド化合物が提供される。
他の実施形態によると、下記式(4)で示される第一アミドアルコール化合物が提供される。
R1及びR2は、それぞれ、ベンジル基又は置換基を有するベンジル基であり、R31は、フェニル基又は置換基を有するフェニル基であり、xは、0以上1以下である。
他の実施形態によると、下記式(7’)で示される第二アミドアルコール化合物の水和物が提供される。
R1及びR2は、それぞれ、ベンジル基又は置換基を有するベンジル基であり、R3は、フェニル基又は置換基を有するフェニル基であり、nは、0より大きく1以下である。
他の実施形態によると、アミドアルコール化合物の無水物の製造方法が提供される。この製造方法によると、上記式(7’)で示される第二アミドアルコール化合物の水和物を加熱することにより、下記式(8)で示される第二アミドアルコール化合物の無水物が製造される。
R1、R2、およびR3は、前記式(7’)におけるものと同義である。
本発明によると、イミド化合物、アミドアルコール化合物の水和物、それらの製造方法、ラクトン化合物の製造方法、及び、アミドアルコール化合物の無水物の製造方法が提供される。
本発明者が上記課題について鋭意研究したところ、ALC’(以下、第二アミドアルコール化合物とも称する)の新たな製造方法を見出した。この新たな製造方法では、新たなイミド化合物及びアミドアルコール化合物を中間体として使用する。この新たな製造方法は、イミド化合物を製造する第1工程と、このイミド化合物を用いて第一アミドアルコール化合物を製造する第2工程と、この第一アミドアルコール化合物を用いてラクトン化合物を製造する第3工程と、このラクトン化合物を用いて第二アミドアルコール化合物を製造する第4工程とを含む。各工程の詳細を以下に説明する。
(第1工程)
第1工程では、イミド化合物が製造される。この工程は、下記式(1)で示されるウレイド化合物(以下、単にウレイド化合物とも称する)と、下記式(2)で示される第一光学活性アミン化合物(以下、単に第一光学活性アミン化合物とも称する)とを接触させること、あるいは、前記式(1)に示すウレイド化合物を脱水した後、前記式(2)に示す第一光学活性アミン化合物と接触させることにより、下記式(3)で示されるイミド化合物(以下、単にイミド化合物とも称する)を得ることを含む。
第1工程では、イミド化合物が製造される。この工程は、下記式(1)で示されるウレイド化合物(以下、単にウレイド化合物とも称する)と、下記式(2)で示される第一光学活性アミン化合物(以下、単に第一光学活性アミン化合物とも称する)とを接触させること、あるいは、前記式(1)に示すウレイド化合物を脱水した後、前記式(2)に示す第一光学活性アミン化合物と接触させることにより、下記式(3)で示されるイミド化合物(以下、単にイミド化合物とも称する)を得ることを含む。
式中、R1及びR2は、それぞれ、ベンジル基又は置換基を有するベンジル基である。ベンジル基の置換基は、例えば、炭素数が1以上6以下のアルキル基、及び炭素数が1以上6以下のアルコキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
式中、R31は、フェニル基又は置換基を有するフェニル基である。フェニル基の置換基は、例えば、メチル、メトキシ、及びハロゲンからなる群より選ばれる少なくとも1種である。
式中、R1及びR2は、前記式(1)におけるものと同義であり、R31は、前記式(2)におけるものと同義である。
ウレイド化合物と第一光学活性アミン化合物とを接触させると、脱水縮合反応が生じて、イミド化合物が生成し得る。ウレイド化合物及び第一光学活性アミン化合物は、それぞれ、市販のものを用いてもよく、合成したものを用いてもよい。
ウレイド化合物と第一光学活性アミン化合物との接触は、有機溶媒下で行われることが好ましい。有機溶媒下で行うことにより、これらの脱水縮合反応が促進される。ウレイド化合物を有機溶媒に溶解させた後、この溶液に第一光学活性アミン化合物を加えると、反応性を高められるため好ましい。
ウレイド化合物と第一光学活性アミン化合物との接触は、反応性を高めるために高温下で一定時間にわたって行われることが好ましい。高温下で反応を進める際には、反応系内から生じる水を除去(脱水)しながら反応を実施する。ウレイド化合物と第一光学活性アミン化合物との反応温度は、100℃以上280℃以下であることが好ましく、130℃以上180℃以下で行われることがより好ましい。反応時間は、0.3時間以上5時間以下であることが好ましく、1時間以上3時間以下であることがより好ましい。
有機溶媒としては、例えば、置換ベンゼン、NMP(N−メチル−2−ピロリドン)、DMI(N,N−ジメチルイミダゾリドン)、DMA(ジメチルアセトアミド)、DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)、及びDMSO(ジメチルスルホキシド)からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いる。有機溶媒としては、DMAを用いることが好ましい。
置換ベンゼンとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、又はイソプロピル基などの炭素数が1以上12以下の置換基を、1以上6以下有するか、又は、F、Cl、又はBr等のハロゲン基を1以上6以下有し、沸点が、140℃以上250℃以下の範囲内のものを用いることが好ましい。置換ベンゼンの好ましい例としては、メシチレン、シュードクメン、へメリトール、クメン、1,2−ジクロロベンゼン、1、3−ジクロロベンゼン、及び1、4−ジクロロベンゼンが挙げられる。
有機溶媒の量は特に限定されないが、1gのウレイド化合物に対する有機溶媒の量は、一例によると、0.2mL以上10mL以下であり、他の例によると、0.5ml以上3mL以下である。
イミド化合物は、脱水処理後のウレイド化合物と第一光学活性アミン化合物とを反応させることでも生成できる。脱水処理後のウレイド化合物と第一光学活性アミン化合物の反応条件は、脱水処理を行っていないウレイド化合物と第一光学活性アミン化合物との反応条件と同じであってもよい。ウレイド化合物の脱水方法は特に限定されない。例えば、芳香族炭化水素系溶媒にウレイド化合物を溶解させた後、還流することにより脱水できる。還流温度は140℃以上210℃以下とすることが好ましい。芳香族系炭化水素系溶媒としては、上述した置換ベンゼンを用い得る。
第一光学活性アミン化合物としては、S体のものを用いる。例えば、S−1−メチルベンジルアミン、S−1−メチル(4−メチルベンジル)アミン、S−1−メチル(4−クロロベンジル)アミン、及び、S−1−メチル(4−メトキシベンジル)アミンからなる群より選ばれる少なくとも1種を用いる。
1モルのウレイド化合物に対する第一光学活性アミン化合物の量は、0.8モル以上2モル以下であることが好ましく、1.0モル以上1.2モル以下であることが好ましい。
上記の反応に有機溶媒を用いた場合、ウレイド化合物と第一光学活性アミン化合物とを反応させて得られた反応溶液からイミド化合物の結晶を晶析させることが好ましい。具体的には、先ず、反応溶液を一定温度に保った状態で、第1晶析溶媒を徐々に滴下させ、その後、反応溶液を上記の温度に保った状態で攪拌する。反応溶液の温度は、0℃以上100℃以下であることが好ましく、40℃以上90℃以下であることがより好ましい。第1晶析溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、及びイソプロピルアルコールからなる群より選ばれる少なくとも1種を用いる。晶析溶媒としては、水を用いることが好ましい。攪拌時間は、10分以上3時間以下とすることが好ましい。
次に、攪拌後の反応溶液に更に第1晶析溶媒を加え、反応溶液を一定温度まで冷却した後、更に攪拌処理を行い、スラリーを得る。第1晶析溶媒は、例えば、0.1mL以上3mL以下の量を、1分以上10分以下の間隔をあけて、5回以上15回以下に分けて反応溶液に加えることが好ましい。反応溶液に徐々に第1晶析溶媒を加えることにより、イミド化合物の結晶性が高まる。反応溶液を冷却するために、第1晶析溶媒を更に加えてもよい。1gのウレイン化合物に対する第1晶析溶媒の合計量は、例えば、1mL以上8mL以下とし、好ましくは、2mL以上6mL以下とする。攪拌時間は、10分以上3時間以下とすることが好ましい。
次に、スラリーを濾過し、得られた固形物を更に第1晶析溶媒で洗浄する。洗浄後の固形物を乾燥させることにより、イミド化合物の結晶が得られる。乾燥温度は、例えば、40℃以上80℃以下とし、乾燥時間は、例えば、6時間以上24時間以下とする。
イミド化合物の構造は、X線結晶解析、IR、NMR、質量分析、元素分析、及び旋光度により同定できる。
(第2工程)
第2工程では、上記式(3)に示すイミド化合物を用いて、第一アミドアルコール化合物が製造される。この工程は、上記式(3)で示されるイミド化合物と、還元剤とを反応させることにより、下記式(4)で示される第一アミドアルコール化合物(以下、単に第一アミドアルコール化合物とも称する)を得ることを含む。
第2工程では、上記式(3)に示すイミド化合物を用いて、第一アミドアルコール化合物が製造される。この工程は、上記式(3)で示されるイミド化合物と、還元剤とを反応させることにより、下記式(4)で示される第一アミドアルコール化合物(以下、単に第一アミドアルコール化合物とも称する)を得ることを含む。
式中、R1、R2及びR31は、前記式(3)におけるものと同義であり、xは、0以上1以下である。すなわち、第一アミドアルコール化合物は、xが0である無水物、又は、xが0より大きく1以下の水和物の形態にある。第一アミドアルコール化合物は、無水物及び水和物の混合物であってもよい。
第一アミドアルコール化合物の水和物は、下記式(4’)で表される。
R1及びR2は、それぞれ、ベンジル基又は置換基を有するベンジル基であり、R31は、フェニル基又は置換基を有するフェニル基であり、yは、0より大きく1以下である。
イミド化合物としては、第1工程で得られた晶析処理後のイミド化合物の結晶を用いることが好ましい。イミド化合物の結晶は、乾燥後のものでもよく、未乾燥のものでもよい。
イミド化合物と、還元剤との反応は、イミド化合物と還元剤とを接触させることで生じる。イミド化合物と還元剤との反応は、還元剤と反応溶媒とを含む還元剤溶液に、イミド化合物を加えて、攪拌することにより行うことが好ましい。イミド化合物と還元剤との反応は、窒素雰囲気下で行うことが好ましい。
イミド化合物と還元剤との反応温度は、生成物の収率を高めるために低温とすることが好ましい。反応温度は、一例によると、−10℃以上80℃以下であり、他の例によると、5℃以上40℃以下である。イミド化合物は、反応温度を保った状態で、発熱しないように5分以上30分以下の時間をかけて滴下することが好ましい。その後、反応温度以内の温度で1時間以上40時間にわたって攪拌することが好ましい。
還元剤としては、例えば、水素化ホウ素カルシウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、及び水素化ホウ素リチウムからなる群より選ばれる少なくとも1種を用いる。1モルのイミド化合物に対する還元剤の量は、1モル以上10モル以下であることが好ましく、1モル以上3モル以下であることがより好ましい。
還元剤としては、水素化ホウ素カルシウムを用いることが好ましい。水素化ホウ素カルシウムは、例えば、ハロゲン化カルシウムと水素化ホウ素の1価金属塩とを、反応溶媒中で反応させることにより調製される。水素化ホウ素の1価金属塩の例は、水素化ホウ素ナトリウム、及び水素化ホウ素カリウムを含む。より好ましくは、窒素雰囲気下、反応溶媒に塩化カルシウムを溶解させた後、この溶液を反応温度まで冷却し、水素化ホウ素ナトリウムを加えて、水素化ホウ素カルシウムを含む還元剤溶液を得る方法である。
塩化カルシウムと水素化ホウ素ナトリウムとの反応温度は、0℃以上20℃以下の低温下で行うことが好ましい。1モルのイミド化合物に対する塩化カルシウムの量は、例えば、1モル以上2モル以下であり、好ましくは、1.0モル以上1.2モル以下である。1モルのイミド化合物に対する水素化ホウ素ナトリウムの量は、例えば、0.5モル以上4モル以下であり、好ましくは、1モル以上3モル以下である。
反応溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、2−ブタノール、及びDMEからなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。より好ましくは、エタノールを用いる。
反応溶媒の量は特に限定されないが、1gのイミド化合物に対する反応溶媒の量は、一例によると、4mL以上20mL以下であり、他の例によると、5mL以上10mL以下である。
上記の反応に反応溶媒を用いた場合、イミド化合物と還元剤との反応溶液から第一アミドアルコール化合物の結晶を晶析させることが好ましい。具体的には、先ず、反応溶液に第2晶析溶媒を加えた後、反応温度まで加熱する。第2晶析溶媒は、例えば、10分以上30分以下の時間をかけて徐々に反応溶液に加えられることが好ましい。反応温度は、40℃以上80℃以下であることが好ましく、30℃以上70℃以下であることがより好ましい。
第2晶析溶媒としては、例えば、塩酸、硫酸、及び酢酸からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いる。第2晶析溶媒としては塩酸を用いることが好ましい。塩酸の濃度は、1質量%以上37質量%以下であることが好ましく、35質量%以上の濃塩酸を用いることがより好ましい。1gのイミド化合物に対する第2晶析溶媒の量は、例えば、1mL以上5mL以下とし、好ましくは、1.5mL以上3mL以下とする。
次に、加熱後の反応溶液に第3晶析溶媒を加えて攪拌した後、冷却して更に攪拌して、スラリーを得る。第3晶析溶媒は、10分以上1時間以下の時間をかけて徐々に反応溶液に加えられることが好ましい。第3晶析溶媒を加えた後の反応溶液、及び、冷却後の反応溶液の攪拌時間は、それぞれ、例えば、30分以上10時間以下であり、好ましくは、1時間以上5時間以下である。冷却後の反応溶液の温度は、例えば、20℃以上80℃以下であり、好ましくは、30℃以上70℃以下である。
第3晶析溶媒としては、水を用いることが好ましい。1gのイミド化合物に対する第3晶析溶媒の量は、例えば、1mL以上5mL以下とし、好ましくは、1.5mL以上3mL以下とする。
次に、スラリーを濾過し、得られた固形物を洗浄溶媒で洗浄する。洗浄後の固形物を乾燥させることにより、第一アミドアルコール化合物の結晶が得られる。洗浄溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、及び2−プロパノールからなる群より選ばれる少なくとも1種を用いる。固形物は、水及びメタノールの混合溶媒で洗浄された後、更に水で洗浄されることが好ましい。乾燥温度は、例えば、40℃以上80℃以下とし、乾燥時間は、例えば、6時間以上24時間以下とする。
得られた第一アミドアルコール化合物の構造は、X線結晶解析、IR、NMR、質量分析、元素分析、及び旋光度により同定できる。また、第一アミドアルコール化合物の水和物の水分子の量は、カールフィッシャー水分計及び元素分析により確認できる。
(第3工程)
第3工程では、上記式(4)に示す第一アミドアルコール化合物を用いて、ラクトン化合物が製造される。この工程は、上記式(4)で示される第一アミドアルコール化合物と酸とを接触させることにより、下記式(5)で示されるラクトン化合物(以下、単にラクトン化合物とも称する)を得ることを含む。
第3工程では、上記式(4)に示す第一アミドアルコール化合物を用いて、ラクトン化合物が製造される。この工程は、上記式(4)で示される第一アミドアルコール化合物と酸とを接触させることにより、下記式(5)で示されるラクトン化合物(以下、単にラクトン化合物とも称する)を得ることを含む。
R1及びR2は、上記式(4)におけるものと同義である。
第一アミドアルコール化合物としては、第2工程で得られた晶析処理後の第一アミドアルコール化合物の結晶を用いることが好ましい。第一アミドアルコール化合物の結晶は、乾燥後のものでもよく、未乾燥のものでもよい。
第一アミドアルコール化合物と酸とを接触させることにより、第一アミドアルコール化合物がラクトン化されて、ラクトン化合物が生成される。第一アミドアルコール化合物と酸との接触は、有機溶媒下で行われることが好ましい。第一アミドアルコール化合物を有機溶媒に溶解させた後、この溶液に酸を加えると、反応性を高められるため好ましい。この際、酸は、5分以上30分以下の時間をかけて徐々に第一アミドアルコール溶液中に加えられることが好ましい。
なお、第一アミドアルコール化合物を溶解させるために、有機溶媒は加熱されてもよい。有機溶媒の温度は、例えば、20℃以上150℃以下とし、好ましくは50℃以上120℃以下とする。
第一アミドアルコール化合物と酸との接触は、反応性を高めるために高温下で一定時間にわたって行われることが好ましい。第一アミドアルコール化合物と酸との反応温度は、好ましくは20℃以上150℃以下とし、より好ましくは50℃以上120℃以下とする。反応時間は、0.3時間以上5時間以下であることが好ましく、1時間以上3時間以下であることがより好ましい。
酸としては、例えば、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、及びp―トルエンスルホン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いる。酸としては、塩酸を用いることが好ましい。塩酸の濃度は、1質量%以上37質量%以下であることが好ましく、35質量%以上の濃塩酸を用いることがより好ましい。1モルの第一アミドアルコール化合物に対する酸の量は、例えば、1モル以上5モル以下とし、好ましくは、1.5モル以上3モル以下とする。
有機溶媒としては、例えば、t−ブチルメチルエーテル(TBME)、クロロベンゼン、トルエン、キシレン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF),N,N−ジメチルアセトアミド(DMA),N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルイミダゾリジン−オン(DMI)、塩化メチレン、及びクロロホルムからなる群より選ばれる少なくとも1種を用いる。有機溶媒としては、DMAを用いることが好ましい。
1gの第一アミドアルコール化合物に対する有機溶媒の量は、例えば、0.1mL以上3mL以下とし、好ましくは、0.2mL以上1mL以下とする。
第一アミドアルコール化合物と酸との反応液から、以下の方法でラクトン化合物を取り出すことが好ましい。すなわち、先ず、反応液に分離液を加えて攪拌して、反応液を二層に分離させる。この際、反応液は20℃以上30℃以下の範囲内にあることが好ましい。
分離液としては、例えば、ジクロロメタンと塩化ナトリウム水溶液の混合物を用いる。塩化ナトリウム水溶液の濃度は、例えば、5質量%以上20質量%以下とする。混合物において、ジクロロメタンの体積に対する塩化ナトリウム水溶液の体積は、例えば、0.5以上2以下とする。
次に、分液ロートを用いて下層であるジクロロメタン層を分取して、これを水で十分に洗浄する。洗浄後の下層を濃縮して、ラクトン化合物の結晶を得る。
得られたラクトン化合物の構造は、X線結晶解析、IR,NMR、質量分析、元素分析、及び旋光度により同定できる。
(第4工程)
第4工程では、上記式(5)に示すラクトン化合物を用いて、下記式(7)に示す第二アミドアルコール化合物が製造される。この工程は、有機アルミニウム化合物の存在下、上記式(5)で示されるラクトン化合物と、下記式(6)で示される第二光学活性アミン化合物(以下、単に第二光学活性アミン化合物とも称する)と反応させることにより、下記式(7)で示される第二アミドアルコール化合物(以下、第二アミドアルコール化合物とも称する)が製造される。
第4工程では、上記式(5)に示すラクトン化合物を用いて、下記式(7)に示す第二アミドアルコール化合物が製造される。この工程は、有機アルミニウム化合物の存在下、上記式(5)で示されるラクトン化合物と、下記式(6)で示される第二光学活性アミン化合物(以下、単に第二光学活性アミン化合物とも称する)と反応させることにより、下記式(7)で示される第二アミドアルコール化合物(以下、第二アミドアルコール化合物とも称する)が製造される。
R3は、フェニル基又は置換基を有するフェニル基である。
R1及びR2は、前記式(5)におけるものと同義であり、R3は、前記式(6)におけるものと同義であり、mは、0以上1以下である。すなわち、第二アミドアルコール化合物は、mが0である無水物、又は、mが0より大きく1以下の水和物の形態にある。第二アミドアルコール化合物は、無水物及び水和物の混合物であってもよい。第二アミドアルコール化合物の水和物は、第二アミドアルコール化合物の無水物と同様に、非天然型ビオチンの製造原料として使用できる。
第二アミドアルコール化合物の水和物は、下記式(7’)で表される。
R1及びR2は、それぞれ、前記式(5)におけるものと同義であり、R3は、前記式(6)におけるものと同義であり、nは、0より大きく1以下である。
第二アミドアルコール化合物の無水物は、下記式(8)で表される。
R1、R2、およびR3は、前記式(7’)におけるものと同義である。
有機アルミニウム化合物存在下、ラクトン化合物と第二光学活性アミン化合物とを反応させることにより、ラクトン化合物が開環して第二アミドアルコール化合物を合成できる。有機アルミニウム化合物、ラクトン化合物、及び第二光学活性アミン化合物としては、市販のものを用いてもよく、合成したものを用いてもよい。
ラクトン化合物と第二光学活性アミン化合物との反応は、有機溶媒下で行われることが好ましい。有機溶媒下で行うことにより、反応が促進される。有機アルミニウムと有機溶媒とを混合させた後、この混合液に第二光学活性アミン化合物を加え攪拌した後、これにラクトン化合物を加えることが好ましい。
有機アルミニウムと有機溶媒との混合液は、例えば、−100℃以上50℃以下、好ましくは−78℃以上50℃以下、より好ましくは0℃以下に冷却された後、第二光学活性アミン化合物を加えられることが好ましい。第二光学活性アミン化合物を加えた後、混合液を室温で5分以上1時間以下にわたって攪拌することが好ましい。ラクトン化合物は、有機溶媒に溶解させた後、5分以上30分以下の時間をかけて徐々に混合液に加えられることが好ましい。
ラクトン化合物を加えた後、混合液は、例えば、1時間以上17時間以下、好ましくは3時間以上7時間以下にわたって攪拌されることが好ましい。この際、ラクトン化合物を加えた混合液は、10℃以上40℃以下の温度範囲で1時間以上10時間以下にわたって攪拌された後、20℃以上60℃以下の温度に加熱されて更に1時間以上6時間以下にわたって攪拌されることが好ましい。
第二光学活性アミン化合物としては、R体のものを用いる。例えば、R−1−メチルベンジルアミン、R−1−メチル(4−メチルベンジル)アミン、R−1−メチル(4−クロロベンジル)アミン、及びR−1−メチル(4−メトキシベンジル)アミンからなる群より選ばれる少なくとも1種を用いる。
1モルのラクトン化合物に対する第二光学活性アミン化合物の量は、0.8モル以上2モル以下であることが好ましく、1.0モル以上1.2モル以下であることが好ましい。
有機アルミニウムは、ラクトン化合物と第二光学活性アミン化合物との反応の活性化剤となる。有機アルミニウムとしては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、及びトリイソブチルアルミニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種を用いる。
1モルの第二光学活性アミン化合物に対する有機アルミニウムの量は、例えば、0.8モル以上1.5モル以下とし、好ましくは0.9モル以上1.1モルとする。
ラクトン化合物と第二光学活性アミン化合物との反応液から、以下の方法で第二アミドアルコール化合物を取り出すことが好ましい。すなわち、先ず、反応液に第4晶析溶媒を加えて、反応液を上層及び下層に分離させる。この際、第4晶析溶媒は、反応液に5分以上1時間以下の時間をかけて徐々に加えることが好ましい。
第4晶析溶媒としては、例えば、塩酸、硫酸、及び酢酸からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いる。第2晶析溶媒としては塩酸を用いることが好ましい。塩酸の濃度は、1質量%以上37質量%以下であることが好ましい。1gのラクトン化合物に対する第4晶析溶媒の量は、例えば、1mL以上5mL以下とし、好ましくは、1.5mL以上3mL以下とする。
次に、分液ロートを用いて下層である有機溶媒層を分取して、これを水で十分に洗浄する。洗浄後の下層に第5晶析溶媒を加え攪拌して、固形物を析出させる。第5晶析溶媒としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、及びジイソプロピルエータルからなる群より選ばれる少なくとも1種を用いる。
次に、析出した固形物を取りだし、洗浄液で洗浄する。洗浄液としては、例えば、酢酸エチル、ヘキサン、ヘプタン、及びジイソプロピルエータルからなる群より選ばれる少なくとも1種を用いる。
次に、洗浄後の固形物を、第5晶析溶媒に溶解させる。第5晶析溶媒としては、例えば、エタノール、メタノール、及びイソプロパノールからなる群より選ばれる少なくとも1種を用いる。第5晶析溶媒としては、エタノールを用いることが好ましい。エタノールを用いる場合、40℃以上70℃以下に加熱して、固形物を十分に溶解させることが好ましい。
次に、固形物を溶解させた第5晶析溶媒に、第6晶析溶媒を加え攪拌して、固形物を再析出させる。第6晶析溶媒としては、水、メタノール、エタノール、及びイソプロヒピルアルコールからなる群より選ばれる少なくとも1種を用いる。第6晶析溶媒としては、水又は水とエタノールとの混合溶媒を用いることが好ましい。水とエタノールとの混合溶媒におけるエタノールの割合は、例えば、1/3以上3/4以下であり、好ましくは、1/2以上2/3以下である。
次に、再析出させた固形物を取り出し、洗浄液で洗浄する。洗浄液としては、第6晶析溶媒と同様のものを用い得る。洗浄後の固形物を乾燥させることにより、第二アミドアルコール化合物の結晶が得られる。乾燥温度は、例えば、40℃以上80℃以下とし、乾燥時間は、例えば、6時間以上24時間以下とする。
得られた第二アミドアルコール化合物の構造は、X線結晶解析、IR,NMR、質量分析、元素分析、及び旋光度により同定できる。また、第二アミドアルコール化合物の水和物の水分子の量は、カールフィッシャー水分計及び元素分析により確認できる。
(第二アミドアルコール化合物の無水物の製造方法)
上記式(7’)で示す第二アミドアルコール化合物の水和物を加熱することにより、上記式(8)で示す第二アミドアルコール化合物の無水物が得られる。第二アミドアルコール化合物の水和物の加熱は、減圧下で行われることが好ましい。加熱温度は、40℃以上100℃以下であることが好ましく、50℃以上70℃以下であることがより好ましい。加熱時間は、10分以上2時間以下であることが好ましく、20分以上1時間以下であることがより好ましい。
上記式(7’)で示す第二アミドアルコール化合物の水和物を加熱することにより、上記式(8)で示す第二アミドアルコール化合物の無水物が得られる。第二アミドアルコール化合物の水和物の加熱は、減圧下で行われることが好ましい。加熱温度は、40℃以上100℃以下であることが好ましく、50℃以上70℃以下であることがより好ましい。加熱時間は、10分以上2時間以下であることが好ましく、20分以上1時間以下であることがより好ましい。
(実施例1)
(第1工程:イミド化合物の調製)
200mL4つ口フラスコに、20.00g(0.0564mol)の式(1に示すウレイド化合物(R1、およびR2がベンジル基である化合物)と、30mLのDMAとを加えて室温で撹拌して懸濁液を得た。この懸濁液に、6.84g(0.0564mol)の(S)−α−メチルベンジルアミン(式(2)において、R31がフェニル基)を加えて150℃の温度で2時間にわたって反応させて混合液を得た。この反応は、水を除去しながら行った。
(第1工程:イミド化合物の調製)
200mL4つ口フラスコに、20.00g(0.0564mol)の式(1に示すウレイド化合物(R1、およびR2がベンジル基である化合物)と、30mLのDMAとを加えて室温で撹拌して懸濁液を得た。この懸濁液に、6.84g(0.0564mol)の(S)−α−メチルベンジルアミン(式(2)において、R31がフェニル基)を加えて150℃の温度で2時間にわたって反応させて混合液を得た。この反応は、水を除去しながら行った。
反応後、内温95℃まで冷却し、内温が85℃以上を保つように混合液に6mLの水をゆっくり滴下した。混合液内に結晶が析出したことを確認した後、同温で30分間撹拌した。その後、この混合液に1mLの水を5分間隔で13回(計13mL)加えた。次に、この混合液に71mLの水を15分かけて加え、混合液の温度を50℃以下まで冷却し、1時間撹拌してスラリーを得た。このスラリーをろ過し、濾別した固形物を20mLの水で洗浄した。洗浄後の固形物を60℃で12時間送風乾燥させ、24.2gの結晶を得た。
得られた結晶を、IR、NMR、及び旋光度で確認したところ、その構造は式(3)に示すイミド化合物であった。R1及びR2は、それぞれ、ベンジル基であり、R31はフェニル基であった。イミド化合物の収率は97.6%であり、HPLCの面積は99.4%であった。また、得られたイミド化合物の物性は下記のとおりであった。
融点(Mp):159.1℃−159.4℃。
核磁気共鳴(NMR)分析:1H−NMR(CDCl3,400MHz) 1.80(d, J=7.2 Hz, 3H) 3.92(q, J=8.8 Hz, 2H) 4.25(dd, J=15.2 Hz, 18.8 Hz, 2H) 5.05(d, J=14.4 Hz, 2H) 5.37(d, J=7.2Hz, 1H) 7.30−7.34(m, 15H)。
赤外(IR)分光分析(KBr): 3033 cm−1, 2940 cm−1, 1713 cm−1, 1685 cm−1, 1449 cm−1, 1358 cm−1, 1233 cm−1, 698cm−1。
赤外(IR)分光分析(KBr): 3033 cm−1, 2940 cm−1, 1713 cm−1, 1685 cm−1, 1449 cm−1, 1358 cm−1, 1233 cm−1, 698cm−1。
比旋光度:[α]D 20 −76.3°cm2/g。
(第2工程:第一アミドアルコール化合物の水和物の調製)
先ず、4.77g(0.0430mol)の塩化カルシウムを、126mLのエタノールに溶解させて塩化カルシウム溶液を調製した。窒素雰囲気下、200mL4つ口フラスコに塩化カルシウム溶液を投入し、これを氷水冷却にて10℃まで冷却した。冷却した塩化カルシウム溶液に、3.41g(0.0902mol)の水素化ホウ素ナトリウムを加え、10℃以下で5分間攪拌して混合液を得た。この混合液に、第1工程で得られた18.0g(0.0410mol)のイミド化合物を、10℃以下で発熱しないように15分かけて分割添加し、5〜15℃で1時間、25〜30℃で22時間にわたって攪拌した。
先ず、4.77g(0.0430mol)の塩化カルシウムを、126mLのエタノールに溶解させて塩化カルシウム溶液を調製した。窒素雰囲気下、200mL4つ口フラスコに塩化カルシウム溶液を投入し、これを氷水冷却にて10℃まで冷却した。冷却した塩化カルシウム溶液に、3.41g(0.0902mol)の水素化ホウ素ナトリウムを加え、10℃以下で5分間攪拌して混合液を得た。この混合液に、第1工程で得られた18.0g(0.0410mol)のイミド化合物を、10℃以下で発熱しないように15分かけて分割添加し、5〜15℃で1時間、25〜30℃で22時間にわたって攪拌した。
攪拌後の混合液に、9.12g(0.090mol)の37質量%塩酸を15分かけて添加し、60℃まで昇温した。その後、この混合液に43.2mLの水を30分かけて滴下し、60℃の温度で2時間攪拌した後、40℃で2時間更に攪拌した。攪拌後の混合液をろ過して、固形物を分取した。分取した固形物を、14.4mLのメタノールと3.6mLの水との混合溶媒で洗浄したのち、18mLの水で更に洗浄して、未乾燥の結晶を得た。
得られた未乾燥の結晶を、カールフィッシャー水分測定装置で確認したところ、その構造は式(4’)に示す第一アミドアルコール化合物の水和物であった。R1及びR2は、それぞれ、ベンジル基であり、R31はフェニル基であった。カールフィッシャー水分計及び元素分析で確認したところ、yの値は1であった。未乾燥の第一アミドアルコール化合物の水和物結晶の質量は、20.24gであり、収率は107%であった。なお、乾燥後の第一アミドアルコール化合物の水和物は、0.0271molであり、収率は63%であった。また、第一アミドアルコール化合物の水和物のHPLCの面積は98.74%であった。また、得られた第一アミドアルコール化合物の水和物の物性は下記のとおりであった。
Mp:131.8−132.5℃。
NMR分析:1H−NMR(CDCl3,400MHz) 1.34(d, J=7.2 Hz, 3H) 2.87(dd, J=4.8 Hz, 9.6 Hz, 1H) 3.24(ddd, J=4.4 Hz, 8.0 Hz, 12.8 Hz, 1H) 3.48(ddd, J=3.2 Hz, 9.6 Hz, 12.8 Hz, 1H) 3.60(ddd, J=3.2 Hz, 8.0 Hz, 11.2 Hz, 1H) 4.00(d, J=9.6 Hz, 1H) 4.17(t, J=14.8 Hz, 2H) 4.64(d, J=15.6 Hz, 1H) 4.81(d, J=15.2Hz, 1H) 5.09(quin, J=7.2Hz, 1H) 6.54 (d, J=8.0Hz, 1H) 7.23−7.33(m, 15H)。
IR分析(KBr):3430 cm−1, 3271 cm−1, 1682 cm−1, 1652 cm−1, 1453 cm−1, 1240 cm−1, 1064 cm−1, 697cm−1。
IR分析(KBr):3430 cm−1, 3271 cm−1, 1682 cm−1, 1652 cm−1, 1453 cm−1, 1240 cm−1, 1064 cm−1, 697cm−1。
比旋光度:[α]D 20 +10.0°cm2/g。
(第3工程:ラクトン化合物の調製)
10.8mLのDMAを200mLフラスコに入れ、80℃に加熱した。第2工程で得られた20.24gの未乾燥の第二アミドアルコール化合物の水和物結晶を、加熱後のDMAに加えて混合液を得た。この混合液に、37質量%の塩酸を、塩化水素換算で0.053molとなるように10分かけて滴下し、100℃に加熱して2時間撹拌した。
10.8mLのDMAを200mLフラスコに入れ、80℃に加熱した。第2工程で得られた20.24gの未乾燥の第二アミドアルコール化合物の水和物結晶を、加熱後のDMAに加えて混合液を得た。この混合液に、37質量%の塩酸を、塩化水素換算で0.053molとなるように10分かけて滴下し、100℃に加熱して2時間撹拌した。
その後、この混合液を30℃以下まで冷却し、43.2mLのジクロロメタンと、44gの10%塩化ナトリウム水溶液を更に加えて撹拌して、混合液を二層に分離させた。分離させた混合液を分液ロートに移し、下層であるジクロロメタン層を取り出して、これを43.2mLの水で3回洗浄した。洗浄後の下層を濃縮して、7.48gの結晶を得た。
得られた結晶を、X線回折、IR、NMR、及び旋光度で確認したところ、その構造は式(5)に示すラクトン化合物であった。R1及びR2は、それぞれ、ベンジル基であった。ラクトン化合物の収率は57.2%であり、HPLCの面積は99.33%であった。また、得られたイミド化合物の物性は下記のとおりであった。
Mp:115.8−116.8℃。
NMR分析:1H−NMR(CDCl3,400MHz) 3.92(d, J=8.4 Hz, 1H) 4.12(dt, J=15.6 Hz, 3.2 Hz, 1H) 4.16(d, J=3.6 Hz, 2H) 4.37(dd, J=11.6 Hz, 15.6 Hz 2H) 4.64(d, J=15.2 Hz, 1H) 5.06(d, J=15.2 Hz, 1H) 7.25−7.38(m, 10H)。
IR分析(KBr):3034 cm−1, 2921 cm−1, 1777 cm−1, 1698 cm−1, 1445 cm−1, 1416cm−1, 1211 cm−1, 700cm−1。
IR分析(KBr):3034 cm−1, 2921 cm−1, 1777 cm−1, 1698 cm−1, 1445 cm−1, 1416cm−1, 1211 cm−1, 700cm−1。
比旋光度:[α]D 20 −162.9°cm2/g。
(第4工程:第二アミドアルコール化合物の水和物の調製)
50mL2口フラスコに、0.66g(0.00544mol)の(R)−α−メチルベンジルアミン(式(6)においてR3がフェニル基)と、8mLのジクロロメタンとを投入し、ドライアイス/アセトンバスで−76℃まで冷却した。この50mL2口フラスコに、更に2.8mLのトリメチルアルミニウム溶液を加えて混合液を得た。トリメチルアルミニウム溶液は、0.0056molのトリメチルアルミニウムをトルエン溶解することで調製した。次に、50mL2口フラスコからドライアイス/アセトンバスを外して、混合液を20℃〜30℃で30分撹拌した。攪拌後の混合液に、ラクトン化合物溶液をロートを用いて4分間かけて滴下した。ラクトン化合物溶液は、第3工程で得られた2.00g(0.0062mol)のラクトン化合物を、5mLのジクロロメタン(5mL)に溶解させることにより調製した。使用したロートを1mLのジクロロメタンを用いて洗浄した。ラクトン化合物溶液滴下後の混合液を、室温で3時間攪拌した後、40℃に加熱して2時間にわたって更に撹拌した。
50mL2口フラスコに、0.66g(0.00544mol)の(R)−α−メチルベンジルアミン(式(6)においてR3がフェニル基)と、8mLのジクロロメタンとを投入し、ドライアイス/アセトンバスで−76℃まで冷却した。この50mL2口フラスコに、更に2.8mLのトリメチルアルミニウム溶液を加えて混合液を得た。トリメチルアルミニウム溶液は、0.0056molのトリメチルアルミニウムをトルエン溶解することで調製した。次に、50mL2口フラスコからドライアイス/アセトンバスを外して、混合液を20℃〜30℃で30分撹拌した。攪拌後の混合液に、ラクトン化合物溶液をロートを用いて4分間かけて滴下した。ラクトン化合物溶液は、第3工程で得られた2.00g(0.0062mol)のラクトン化合物を、5mLのジクロロメタン(5mL)に溶解させることにより調製した。使用したロートを1mLのジクロロメタンを用いて洗浄した。ラクトン化合物溶液滴下後の混合液を、室温で3時間攪拌した後、40℃に加熱して2時間にわたって更に撹拌した。
攪拌後の混合液に、0.59gの37質量%塩酸と6mLの水との混合溶媒を20分かけて滴下して、混合液を二層に分離させた。この混合液から、分液ロートを用いて有機層である下層を分離した。分離した下層を6mLの水を用いて3回洗浄した。洗浄後の有機層に、15mLのヘキサンを加えて室温で攪拌し、固体を析出させた。析出した固体を濾別して取り出し、これを10mLの酢酸エチルで洗浄した。洗浄後の固体の質量は1.53gであった。洗浄後の固体を15mLのエタノールと混合してこれを60℃に加熱し、エタノールに固体を溶解させた。固体を溶解したエタノール溶液に、15mLの水を加え室温で1時間攪拌して、再び固体を析出させた。析出した固体を濾別して取り出し、得られた固体を2.5mLのエタノールと2.5mLの水との混合溶媒で洗浄した。洗浄後の固体を、50℃で3時間にわたって乾燥させて、結晶を得た。
得られた結晶を、IR、NMR及び旋光度で確認したところ、その構造は式(7’)に示す第二アミドアルコール化合物の水和物であった。R1及びR2は、それぞれ、ベンジル基であり、R3はフェニル基であった。カールフィッシャー水分計及び元素分析で確認したところ、nの値は1であった。第二アミドアルコール化合物の水和物結晶の質量は、1.44gであり、収率は52.3%であった。また、得られた第二アミドアルコール化合物の水和物の物性は下記のとおりであった。
Mp:93.4−93.9℃。
NMR分析:1H−NMR(CDCl3,400MHz) 1.50(d, J=7.2 Hz, 3H) 3.05(dd, J=4.8 Hz, 9.6 Hz, 1H) 3.47−3.53(m, 1H) 3.63−3.69(m, 2H) 3.84(d, J=14.8 Hz, 1H) 3.94(d, J=10.0 Hz, 1H) 4.19(d, J=15.6 Hz, 1H) 4.75(d, J=15.2Hz, 1H) 4.96(d, J=14.8Hz, 1H) 5.16(quin, J=7.2Hz, 1H) 6.64 (d, J=8.4Hz, 1H) 7.14(dd, J=2.4 Hz, 6.8 Hz, 2H) 7.25−7.38(m, 13H)。
IR分析(KBr):3468 cm−1, 3267 cm−1, 2976 cm−1, 1680 cm−1, 1645 cm−1, 1465 cm−1, 1452 cm−1, 1055 cm−1, 698cm−1。
比旋光度:[α]D 20 +180.8°cm2/g。
元素分析: C 69.70%, H 6.70%, N 8.90%(計算値:C 70.26%, H 6.77%, N 9.10%)。
PXRD(2θ):5.325±0.2°, 7.770±0.2°, 9.822±0.2°, 11.458±0.2°, 13.920±0.2°, 14.638±0.2°, 17.307±0.2°, 17.522±0.2°, 18.599±0.2°, 19.991±0.2°, 21.156±0.2°, 22.398±0.2°, 23.506±0.2°, 24.686±0.2°, 26.959±0.2°, 28.651±0.2°, 33.328±0.2°, 39.218±0.2°。
(第5工程:第二アミドアルコール化合物の無水物の調製)
第4工程で得られた第二アミドアルコール化合物の水和物を、減圧下、60℃の温度で30分間にわたって乾燥させた。乾燥後の結晶を元素分析で確認したところ、式(8)に示す第二アミドアルコール化合物の無水物であった。R1及びR2は、それぞれ、ベンジル基であり、R3はフェニル基であった。得られた第二アミドアルコール化合物の無水物の物性は下記のとおりであった。
第4工程で得られた第二アミドアルコール化合物の水和物を、減圧下、60℃の温度で30分間にわたって乾燥させた。乾燥後の結晶を元素分析で確認したところ、式(8)に示す第二アミドアルコール化合物の無水物であった。R1及びR2は、それぞれ、ベンジル基であり、R3はフェニル基であった。得られた第二アミドアルコール化合物の無水物の物性は下記のとおりであった。
Mp:93.1−93.7℃。
NMR分析:1H−NMR(CDCl3,400MHz) 1.50(d, J=7.2 Hz, 3H) 3.05(dd, J=4.8 Hz, 9.6 Hz, 1H) 3.47−3.53(m, 1H) 3.63−3.69(m, 2H) 3.84(d, J=14.8 Hz, 1H) 3.94(d, J=10.0 Hz, 1H) 4.19(d, J=15.6 Hz, 1H) 4.75(d, J=15.2Hz, 1H) 4.96(d, J=14.8Hz, 1H) 5.16(quin, J=7.2Hz, 1H) 6.64 (d, J=8.4Hz, 1H) 7.14(dd, J=2.4 Hz, 6.8 Hz, 2H) 7.25−7.38(m, 13H)。
IR分析(KBr):3398 cm−1, 3324 cm−1, 2933 cm−1, 1672 cm−1, 1651 cm−1, 1471 cm−1, 1451 cm−1, 1060 cm−1, 699cm−1。
比旋光度:[α]D 20 +181.3ocm2/g。
PXRD(2θ):5.446±0.2°, 6.498±0.2°, 8.104±0.2°, 11.081±0.2°, 12.018±0.2°, 14.606±0.2°, 16.447±0.2°, 17.726±0.2°, 18.401±0.2°, 19.950±0.2°, 20.789±0.2°, 22.453±0.2°, 23.002±0.2°, 25.328±0.2°。
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