JP2021184655A - Dcdc変換器の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】電力変換器におけるインダクタンスを高精度に推定し、位相指令値に加えるフィードフォワード項を最適化する。【解決手段】1次側、2次側DCリンクキャパシタと、1次側、2次側電力変換部と、1次側と2次側を絶縁するトランスとを備えた絶縁型DCDC変換器において、前記電力変換部の出力電流を周期Tsでサンプリングした電流検出値ia,ibと、1次側、2次側DCリンクキャパシタ電圧E1,E2から、Lc=(E1+E2)Ts/(ib−ia)を演算してインダクタンス推定値Lcを求めるインダクタンス算出部13を設け、前記Lcをインダクタンス基準値Lrefで除して制御ゲインKfを求め、Kfに出力電力値を乗算してフィードフォワード項を演算し、それに位相指令値を加算して求めた位相指令値によって前記1次側電力変換部と2次側電力変換部の出力電圧の位相差δを調整する。【選択図】 図4

Description

本発明は、絶縁型DCDC変換器におけるフィードフォワード項の最適化方法に関する。
従来、例えば特許文献1には、インバータ回路の直流リアクトルのインダクタンスの大きさにより制御ゲインを変更することが提案されている。この特許文献1の手法は、インダクタのインダクタンス値が既知の場合に有効であり、インダクタンスの製造ばらつきや回路に含まれる寄生インダクタンス等まで考慮されていない。この場合制御ゲインの最適化が図れないため、応答性や安定性が製造ばらつきにより変化してしまい制御性能の低下に伴う性能の低下や直流電流の増加に伴う損失の増加という問題が生じる。
また、電気的な絶縁を確保しつつ直流電圧を可変する手法として図1のようなDCDCコンバータ(絶縁型DCDC変換器100)が検討されている。
図1の絶縁型DCDC変換器100において、C1は、例えば図示省略の直流電圧源に接続された1次側DCリンクキャパシタである。1次側DCリンクキャパシタC1の正、負極端間には、第1〜第4の半導体スイッチング素子X1,Y1,U1,V1を単相ブリッジ接続して1次側電力変換部101を構成している。
C2は、例えば図示省略の負荷に接続された2次側DCリンクキャパシタである。2次側DCリンクキャパシタC2の正、負極端間には、第5〜第8の半導体スイッチング素子X2,Y2,U2,V2を単相ブリッジ接続して2次側電力変換部102を構成している。
1次側電力変換部101の第1の半導体スイッチング素子X1および第2の半導体スイッチング素子Y1の共通接続点と、第3の半導体スイッチング素子U1および第4の半導体スイッチング素子V1の共通接続点との間には、1次側リアクトルL1およびトランスTの1次巻線T1が直列に接続されている。
2次側電力変換部102の第5の半導体スイッチング素子X2および第6の半導体スイッチング素子Y2の共通接続点と、第7の半導体スイッチング素子U2および第8の半導体スイッチング素子V2の共通接続点との間には、2次側リアクトルL2およびトランスTの2次巻線T2が直列に接続されている。
110は1次側電力変換部101の出力電流i1を検出する電流センサである。
E1は1次側DCリンクキャパシタC1の直流電圧、E2は2次側DCリンクキャパシタC2の直流電圧、v1は1次側電力変換部101の交流側電圧、v2は2次側電力変換部102の交流側電圧である。
前記半導体スイッチング素子X1、Y1,U1,V1,X2,Y2,U2,V2は、例えばIGBTで構成されている。
尚、L1,L2は、電流制御用の1次側リアクトル、2次側リアクトルであるとともに、それらの各インダクタンス値でもある。
図1のDCDCコンバータの伝送電力制御は、2台の電力変換部101,102が出力する電圧v1,v2の位相差δを調整すること(つまり電力変換部内の半導体スイッチング素子のゲート信号(オンオフ指令信号)を調整すること)で、電力を制御する手法である。
出力電力Pの大きさは次の(1)式、(2)式で定義される。ωはスイッチング周波数、E1,E2はDCリンクキャパシタ電圧、Lは外付けリアクトルのインダクタンス値(L1+L2)を表している。
Figure 2021184655
Figure 2021184655
(1)式、(2)式からわかるように、位相差δを可変にすることで、Lに流れる電流を制御することができるため出力電力Pを制御できる。また、電力値を推定するためにはインダクタンスLの値が必要となることがわかる。尚、(1)式はトランスTの損失等を考慮していない理論式である。
特開2012−95442号公報
図1の変換器の負荷外乱応答性を向上させる手法として出力電力指令値をフィードフォワード項として装置の位相指令値に加える手法が一般的に知られている。しかし、変換器の定数ばらつきによって最適なフィードフォワード量の大きさが変化してしまうため制御の応答性が低下してしまうという問題が生じる。特に図1の変換器は(1)式に示したようにインダクタンスLの大きさにより送電できる電力が変化するため影響が大きくなってしまう。
本発明は、上記課題を解決するものであり、その目的は、電力変換器におけるインダクタンスを高精度に推定し、位相指令値に加えるフィードフォワード項を最適化することができるDCDC変換器の制御装置を提供することにある。
上記課題を解決するための請求項1に記載のDCDC変換器の制御装置は、
1次側DCリンクキャパシタの正、負極端間に、第1〜第4の半導体スイッチング素子を単相ブリッジ接続した1次側電力変換部と、2次側DCリンクキャパシタの正、負極端間に第5〜第8の半導体スイッチング素子を単相ブリッジ接続した2次側電力変換部と、前記1次側電力変換部の交流側に接続された1次側リアクトルおよび絶縁トランスの1次巻線と、前記2次側電力変換部の交流側に接続された2次側リアクトルおよび前記絶縁トランスの2次巻線とを備えたDCDC変換器の制御装置であって、
前記1次側電力変換部の出力電流又は2次側電力変換部の出力電流をサンプリング周期Tsでサンプリングした電流検出値ia,ibと、前記1次側DCリンクキャパシタの電圧E1と、前記2次側DCリンクキャパシタの電圧E2によって、次の(5)式を演算してインダクタンス推定値Lcを求めるインダクタンス算出部を備え、
Figure 2021184655
前記インダクタンス推定値Lcに基づいてフィードフォワード項としての出力電力指令値を求め、該出力電力指令値と位相指令値を加算して1次側電力変換部と2次側電力変換部の位相差指令信号を生成し、生成された位相差指令信号とキャリア信号に基づいて前記1次側電力変換部と2次側電力変換部の出力電圧の位相差δを調整することを特徴としている。
請求項2に記載のDCDC変換器の制御装置は、請求項1において、
前記電流検出値ia,ibは、
前記キャリア信号の周波数をfcとし、前記位相差δが
Figure 2021184655
の条件を満たすときにサンプリングした電流検出値であることを特徴としている。
請求項3に記載のDCDC変換器の制御装置は、請求項1又は2において、
前記インダクタンス推定値Lcとインダクタンス基準値Lrefから
Figure 2021184655
を演算してフィードフォワード項のゲインKfを決定し、
前記ゲインKfに出力電力値を乗算して、フィードフォワード項としての出力電力指令値を求めるフィードフォワード項演算部を備えたことを特徴としている。
請求項4に記載のDCDC変換器の制御装置は、請求項1から3のいずれか1項において、
前記インダクタンス算出部の(5)式における、
1次側DCリンクキャパシタの電圧E1は、E1から、1次側電力変換部における導通している半導体スイッチング素子の導通電圧を差し引いた電圧であり、
2次側DCリンクキャパシタの電圧E2は、E2から、2次側電力変換部における導通している半導体スイッチング素子の導通電圧を差し引いた電圧であることを特徴としている。
請求項5に記載のDCDC変換器の制御装置は、請求項4において、
前記導通している半導体スイッチング素子の導通電圧は、電流が0の時のオン電圧とサンプリングした電流値におけるオン電圧を平均化した電圧を用いることを特徴としている。
請求項6に記載のDCDC変換器の制御装置は、請求項1から5のいずれか1項において、
前記DCDC変換器を複数段直並列接続し、各段のキャリア信号を同期させて構成したことを特徴とする。
(1)請求項1〜6に記載の発明によれば、インダクタンスを高精度に推定し、位相指令値に加えるフィードフォワード項を最適化することができる。これによって、外乱に対する応答性を向上させることができ、必要な静電容量を低減させて装置の小型化、軽量化を図ることができる。
(2)請求項2に記載の発明によれば、1次側および2次側電力変換部の半導体スイッチング素子のスイッチングのタイミングと電流サンプリングタイミングが重ならないので、インダクタンス推定値Lcを求めるための電流検出値ia,ibを精度良く検出することができる。
(3)請求項3に記載の発明によれば、フィードフォワード項のゲインKfを適正に決定することができる。
(4)請求項4に記載の発明によれば、半導体スイッチング素子の導通電圧による影響を考慮することができ、インダクタンスをより高精度に算出し、フィードフォワード項の大きさを最適化することができる。
(5)請求項5に記載の発明によれば、電流に対する半導体スイッチング素子のオン電圧の変化の影響を低減することができる。
(6)請求項6に記載の発明によれば、DCDC変換器を複数段設けた構成において、各段のDCDC変換器におけるフィードフォワード項を最適化することができる。また、キャリア周波数のずれに伴うビート現象を防ぐことができる。
本発明が適用される絶縁型DCDC変換器の一例を示す構成図。 絶縁型DCDC変換器の動作波形図。 本発明の実施形態例による電流のサンプリングタイミングを示す動作波形図。 本発明の実施例1における制御ブロック図。 本発明の実施例2における制御ブロック図。 本発明が適用される絶縁型DCDC変換器の他の例を示し、(a)は複数段並列接続の構成図、(b)は複数段直列接続の構成図。 本発明の実施例3における制御ブロック図。
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明するが、本発明は下記の実施形態例に限定されるものではない。
本実施例1は、本発明を図1の絶縁型DCDC変換器に適用した実施例であり、電流の傾きを検出することでインダクタンスLcを推定算出し、フィードフォワード項の大きさを最適化するように構成した。
図1の1次側電力変換部101又は2次側電力変換部102のどちらか一方に電流検出機構を接続し、電流検出を行うものであるが、本実施例では図1のように1次側の電流i1を電流センサ110により検出した場合について記載する。
図1のDCDC変換器の動作波形例を図2に示す。図2において、最上段には1次側電力変換部101の位相指令値、2次側電力変換部102の位相指令値、頂点が−1,1のキャリア信号を記載し、その下段には半導体スイッチング素子X1,V1のオン、オフ波形、半導体スイッチング素子Y1,U1のオン、オフ波形、半導体スイッチング素子X2,V2のオン、オフ波形、半導体スイッチング素子Y2,U2のオン、オフ波形、1次側の出力電圧v1の波形、2次側の出力電圧v2の波形を順次記載し、最下段には電流センサ110の検出電流i1の波形を記載している。
δは出力電圧v1とv2の位相差を示している。
電流の検出はスイッチングのタイミングが重ならないよう、位相差δの時に行い、図3のようにキャリアを16分割したポイントにてサンプリングを行う。これはスイッチングによるノイズの影響を避け精度良く電流を検出するために必要となる。
図3では、上段から、頂点が−1,1の三角波キャリア、出力電圧v1、出力電圧v2、検出電流i1の各波形を示しており、Tsはサンプリング周期である。
また、電流を検出する際の位相差δの条件を以下に示す。位相差δの最小値はキャリアのサンプリング周期Tsより決定し、最大値はδ=π/2の時最大電力を取るためπ/2とする。キャリア周波数をfcとすると位相差δの条件は次の(3)式となる。
Figure 2021184655
図2のように頂点が−1,1のキャリアにより変調し、位相差δを持ったゲート信号を生成する場合を考えると、位相指令値の振幅範囲は、
Figure 2021184655
である。
上記条件が成り立つδにて運転し、1次側電力変換部101の電流i1をサンプリングする。
この時、インダクタンス推定値Lcに関してはv=Lc*di/dtより次の(5)式が成り立つ。
Figure 2021184655
ここでLcは1次側と2次側のリアクトルL1,L2のインダクタンス値を含むものとする。E1は1次側DCリンクキャパシタC1の直流電圧、E2は2次側DCリンクキャパシタC2の直流電圧、iaは図3に示すサンプリングポイントtaの時の電流、ibは図3に示すサンプリングポイントtbの時の電流、Tsはサンプリング周期である。運転中にインダクタンス推定値Lcの算出を行う場合、半導体スイッチング素子のスイッチングタイミングと電流のサンプリングタイミングが重なると正しく検出できないため、図3のtaからtbの区間中(キャリア波高値が0.75以上の範囲の時)にサンプリングした電流i1(ia,ib)を用いる。尚、図3ではキャリア波高値が0.75以上の範囲におけるサンプリングポイントta,tbの時の電流を用いるように図示しているが、これに限らず、キャリア波高値が−0.75以下の範囲のときにサンプリングした電流も用いるものである。
上記(3)式、(4)式の条件が成り立つδであればキャリア波高値が0.75以上、−0.75以下の範囲の時にスイッチングタイミングが重なることなく電流をサンプリングすることができる。
上記(5)式によりインダクタンス推定値Lcを算出し、フィードフォワード項のゲインKfを決定することで制御の最適化を図ることができる。
フィードフォワード項のゲインKfは次の(6)式により決定する。
Figure 2021184655
(6)式においてLrefはインダクタンスの基準値を表す。インダクタンスの基準値LrefよりもLcの方が大きい場合、ゲインは1より高くなり、インダクタンスの基準値LrefよりもLcの方が小さい場合、ゲインは1よりも低くなる。
図4に、実施例1における制御ブロック図を示す。本実施例1の制御ブロックは、1次側電力変換部101と2次側電力変換部102の位相差指令値(δ)を生成する位相指令値生成部10と、前記位相差指令値に応じてゲート信号を生成するゲート生成部20とを備えている。ここで、図4で扱われる信号はすべて単位法に換算されていることを前提とする。
位相指令値生成部10においては、11は頂点が−1,1の三角波のキャリア信号が0.75以上か又は−0.75以下であることの論理和をとるアンド回路である。
12は、サンプリング周期Tsでサンプリングした電流値i1の中からアンド回路11の論理和条件成立時の電流値、例えば図3のia,ibを電流検出値として出力する電流検出部である。
13は、電流検出部12から出力された電流検出値(ia,ib)と、図1の1次側DCリンクキャパシタC1の電圧E1と2次側DCリンクキャパシタC2の電圧E2に基づいて、前記(5)式を演算してインダクタンス推定値Lcを求めるインダクタンス算出部である。
14は、前記インダクタンス推定値Lcと、基準値設定部15で設定されたインダクタンス基準値Lrefから、(6)式のKf=Lc/Lrefを演算して制御ゲインKfを決定し、制御ゲインKfに、出力電力検出部16で検出された出力電力値を乗算して、フィードフォワード項としての出力電力指令値を求めるフィードフォワード項演算部である。
17は、位相指令値設定部18で設定された位相指令値と、フィードフォワード項演算部14で求められた出力電力指令値を加算して1次側と2次側の位相差指令値(δ)を出力する加算器である。
ゲート生成部20において、21は三角波のキャリア信号を波形成形して2つの矩形波信号を生成する矩形波生成部である。
22は、矩形波生成部21で生成された第1の矩形波に、加算器17の出力(位相差指令値(δ))を乗算する第1の乗算器である。
23は、矩形波生成部21で生成された第2の矩形波に、加算器17の出力(位相差指令値(δ))を乗算する第2の乗算器である。
第1の乗算器22の出力信号と第2の乗算器23の出力信号は、加算器17から出力される位相差指令値(δ)の分だけ位相がずれている。
24は、第1の乗算器22の出力信号と三角波のキャリア信号を比較して図1の1次側電力変換部101の半導体スイッチング素子X1,V1用のゲート信号と半導体スイッチング素子U1,Y1用のゲート信号を出力する第1の比較器である。
25は、第2の乗算器23の出力信号と三角波のキャリア信号を比較して図1の2次側電力変換部102の半導体スイッチング素子X2,V2用のゲート信号と半導体スイッチング素子U2,Y2用のゲート信号を出力する第2の比較器である。
以上のように本実施例1によれば、絶縁型DCDC変換器においてフィードフォワード項を最適化できるので外乱に対する応答性を向上させることができる。これにより変換器に搭載するキャパシタの静電容量を低減できるため装置の小型化、低コスト化を図ることができる。
本実施例2では、実施例1に対して半導体スイッチング素子のオン電圧Vceの影響を考慮し、インダクタ(リアクトルL1,L2)に印加される電圧を補正し、電流の傾きを検出することで、インダクタンスLをより高精度に算出しフィードフォワード項の大きさを最適化するように構成した。
図5は実施例2による制御ブロックを示し、図4と同一部分は同一符号をもって示している。図5において図4と異なる点は、位相指令値生成部10に、前記電力変換部101、102内の、導通している側の半導体スイッチング素子のオン電圧を演算するオン電圧算出部51を追加するとともに、前記インダクタンス算出部13に代えて、前記(5)式を演算する際に、1次側DCリンクキャパシタ電圧E1、2次側DCリンクキャパシタ電圧E2から、前記オン電圧算出部51で演算された半導体スイッチング素子のオン電圧を各々差し引いた電圧を用いてインダクタンス推定値Lcを求めるインダクタンス算出部52を設けた点にあり、その他の部分は図4と同一に構成されている。
前記オン電圧算出部51は、導通している側の半導体スイッチング素子、例えばIGBTのオン電圧Vceとダイオード(帰還ダイオード)のオン電圧Vfを算出するものであり、この算出したIGBTのオン電圧Vce,ダイオードのオン電圧Vfを使用し、DCリンクキャパシタC1,C2の直流電圧E1,E2から差し引くことで、インダクタンス(前記リアクトルL1,L2)に印加される電圧を精度よく算出することができるため、電流の傾きの算出精度を向上することができる。
オン電圧算出部51は、使用する半導体スイッチング素子のデータをテーブル化するなどしておき、電流検出部12でサンプリングしたときの電流値からオン電圧Vce,Vfを算出する。尚、オン電圧Vce,Vfは検出した値を使用してもよい。
電流の傾きの演算には、例えば電流が0の時のオン電圧とサンプリングした電流値におけるオン電圧を平均化した値Vfm,Vcemを使用する。平均化することにより電流に対するオン電圧Vce、Vfの変化の影響を低減することができる。具体的には、インダクタンス算出部52が、例えば下記(7)式を演算することでインダクタンス推定値Lcを求める。
Figure 2021184655
(7)式において、Vcex1mは電流値に対して半導体スイッチング素子X1のIGBTのオン電圧を平均化した値、Vcev1mは電流値に対して半導体スイッチング素子V1のIGBTのオン電圧を平均化した値、Vfx1mは電流値に対して半導体スイッチング素子X1のダイオードのオン電圧を平均化した値、Vfv1mは電流値に対して半導体スイッチング素子V1のダイオードのオン電圧を平均化した値である。
Vcey2mは電流値に対して半導体スイッチング素子Y2のIGBTのオン電圧を平均化した値、Vceu2mは電流値に対して半導体スイッチング素子U2のIGBTのオン電圧を平均化した値、Vfy2mは電流値に対して半導体スイッチング素子Y2のダイオードのオン電圧を平均化した値、Vfu2mは電流値に対して半導体スイッチング素子U2のダイオードのオン電圧を平均化した値である。
(7)式は図1において、半導体スイッチング素子X1,V1,U2,Y2が導通状態で図3のようにサンプリング期間中に電流極性が変化する場合の例であるが、半導体スイッチング素子U1,Y1,X2,V2が導通状態で図3のようにサンプリング期間中に電流極性が変化する場合も同様である。
また、テーブルよりVcem,Vfm(オン電圧を平均化した値)を算出する場合は、サンプリングした際の電流の極性によりIGBT、ダイオードのどちらに電流が流れているかを判定する。検出方法は実施例1と同一の手法とする。
以上のように本実施例2によれば、絶縁型DCDC変換器において、半導体スイッチング素子の導通電圧による影響を考慮してインダクタンスをより高精度に算出し、フィードフォワード項を最適化できるので外乱に対する応答性を向上させることができる。
本実施例3では、DCDC変換器を複数段設けた構成に本発明を適用し、各段のDCDC変換器におけるフィードフォワード項を最適化するように構成した。
図6は、絶縁型DCDC変換器を任意の段数n段に拡張して大容量化した回路構成を表し、図1と同一部分は同一符号をもって示している。
図6(a)は、1次側DCリンクキャパシタC1と2次側DCリンクキャパシタC2に対して、n段の絶縁型DCDC変換器100−1〜100−nを並列に接続した構成である。
図6(b)は、1次側DCリンクキャパシタC1に対してn段の絶縁型DCDC変換器100−1〜100−nを並列に接続し、n個の2次側DCリンクキャパシタC21〜C2nを直列に接続した構成である。
図7は、n段の絶縁型DCDC変換器を備えた図6の装置の制御ブロックを示している。
図7において、図4の位相指令値生成部10と同一構成の位相指令値生成部をn個(10−1〜10−n)設け、図4のゲート生成部20と同一構成のゲート生成部をn個(20−1〜20−n)設け、n段のDCDC変換器にそれぞれ同期したキャリア信号(三角波キャリア)を出力するキャリア生成部70を設けて構成されている。
このキャリア生成部70から出力されるキャリア信号によって各段のキャリア周波数は同期する。これはキャリア周波数のずれに伴うビート現象を防ぐために必要となる。この時、各段のキャリア周波数の位相は任意の値にずらして出力してもよい。
位相指令値生成部10−1〜10−nやゲート生成部20−1〜20−nの動作は実施例1と同様である。
尚、位相指令値生成部10−1〜10−nは、実施例2の図5に示す位相指令値生成部(オン電圧算出部51、インダクタンス算出部52を含んだ構成)を用いてもよい。
以上により、複数段直並列接続した絶縁型DCDC変換器において各々の変換器におけるフィードフォワード量を最適化できるので、外乱に対する応答性を向上させることができる。これにより変換器に搭載するキャパシタの静電容量を低減できるため装置の小型化、低コスト化を図ることができる。
10、10−1〜10−n…位相指令値生成部
11…オア回路
12…電流検出部
13、52…インダクタンス算出部
14…フィードフォワード項演算部
15…基準値設定部
16…出力電力検出部
17…加算器
18…位相指令値設定部
20、20−1〜20−n…ゲート生成部
21…矩形波生成部
22、23…乗算器
24、25…比較器
51…オン電圧算出部
70…キャリア生成部
100、100−1〜100−n…絶縁型DCDC変換器
101、101−1〜101−n…1次側電力変換部
102、102−1〜102−n…2次側電力変換部
110…電流センサ
T…トランス
L1、L2…リアクトル
X1、X2、Y1、Y2、U1、U2、V1、V2…半導体スイッチング素子
C1、C2…DCリンクキャパシタ

Claims (6)

  1. 1次側DCリンクキャパシタの正、負極端間に、第1〜第4の半導体スイッチング素子を単相ブリッジ接続した1次側電力変換部と、2次側DCリンクキャパシタの正、負極端間に第5〜第8の半導体スイッチング素子を単相ブリッジ接続した2次側電力変換部と、前記1次側電力変換部の交流側に接続された1次側リアクトルおよび絶縁トランスの1次巻線と、前記2次側電力変換部の交流側に接続された2次側リアクトルおよび前記絶縁トランスの2次巻線とを備えたDCDC変換器の制御装置であって、
    前記1次側電力変換部の出力電流又は2次側電力変換部の出力電流をサンプリング周期Tsでサンプリングした電流検出値ia,ibと、前記1次側DCリンクキャパシタの電圧E1と、前記2次側DCリンクキャパシタの電圧E2によって、次の(5)式を演算してインダクタンス推定値Lcを求めるインダクタンス算出部を備え、
    Figure 2021184655
    前記インダクタンス推定値Lcに基づいてフィードフォワード項としての出力電力指令値を求め、該出力電力指令値と位相指令値を加算して1次側電力変換部と2次側電力変換部の位相差指令信号を生成し、生成された位相差指令信号とキャリア信号に基づいて前記1次側電力変換部と2次側電力変換部の出力電圧の位相差δを調整することを特徴とするDCDC変換器の制御装置。
  2. 前記電流検出値ia,ibは、
    前記キャリア信号の周波数をfcとし、前記位相差δが
    Figure 2021184655
    の条件を満たすときにサンプリングした電流検出値であることを特徴とする請求項1に記載のDCDC変換器の制御装置。
  3. 前記インダクタンス推定値Lcとインダクタンス基準値Lrefから
    Figure 2021184655
    を演算してフィードフォワード項のゲインKfを決定し、
    前記ゲインKfに出力電力値を乗算して、フィードフォワード項としての出力電力指令値を求めるフィードフォワード項演算部を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載のDCDC変換器の制御装置。
  4. 前記インダクタンス算出部の(5)式における、
    1次側DCリンクキャパシタの電圧E1は、E1から、1次側電力変換部における導通している半導体スイッチング素子の導通電圧を差し引いた電圧であり、
    2次側DCリンクキャパシタの電圧E2は、E2から、2次側電力変換部における導通している半導体スイッチング素子の導通電圧を差し引いた電圧であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のDCDC変換器の制御装置。
  5. 前記導通している半導体スイッチング素子の導通電圧は、電流が0の時のオン電圧とサンプリングした電流値におけるオン電圧を平均化した電圧を用いることを特徴とする請求項4に記載のDCDC変換器の制御装置。
  6. 前記DCDC変換器を複数段直並列接続し、各段のキャリア信号を同期させて構成したことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のDCDC変換器の制御装置。
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