JP2021183315A - 中空糸膜モジュール - Google Patents

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Abstract

【課題】モジュールの大型化及びモジュール内での水の滞留を抑制しつつ処理水量を多く確保することが可能な中空糸膜モジュールを提供する。【解決手段】中空糸膜モジュールは、複数の中空糸膜と、前記中空糸膜を収容するハウジングと、前記ハウジング内で折り返された前記中空糸膜の両端部を固定し、前記ハウジングの径方向に広がる形状に形成された固定部と、を備える。前記中空糸膜は、前記固定部の内周領域に固定された内側端部と、前記固定部のうち前記内周領域よりも前記径方向の外側の領域である外周領域に固定された外側端部と、を含む。複数の前記中空糸膜は、前記ハウジングの軸周りの周方向に並ぶように前記固定部にそれぞれ固定されている。前記中空糸膜は、前記径方向に垂直な軸方向から見た平面視において、前記内側端部と前記外側端部とを繋ぐ膜形状が前記周方向の一方に凸となるように、前記固定部に固定されている。【選択図】図2

Description

本発明は、中空糸膜モジュールに関する。
中空糸膜モジュールは、広範な分野で水処理に用いられている。特に近年では、中空糸膜モジュールの小型で且つ処理水質に優れる特性を利用して、ポイントオブユース(POU;Point Of Use)やポイントオブエントリー(POE;Point Of Entry)の浄水システムに中空糸膜モジュールが用いられるケースが増えている。例えば、家庭用浄水器、医療や食品産業分野での無菌処理、エンドトキシンフリー水製造装置のユースポイントフィルター又は科学実験用や精密電子機器分野等での超純水製造装置のユースポイントフィルター等に中空糸膜モジュールが用いられている。
特許文献1には、中空糸膜モジュールを用いた浄水器が記載されている。この中空糸膜モジュールは、中空糸膜束と、中空糸膜束が収納された筒状ケースと、中空糸膜束を筒状ケース内で固定する封止材と、を備えている。この中空糸膜モジュールでは、中空糸膜は、筒状ケース内においてU字状に曲がった状態で両端部が封止材に固定されている。
特開2000−167361号公報
本発明者は、POUやPOEの浄水システムでは、中空糸膜モジュールを大型化することなく処理水量を多く確保する必要がある点に着目した。しかし、特許文献1に記載された中空糸膜モジュールでは、モジュールのサイズを維持しつつ処理水量を増加させようとした場合に、以下の問題が生じ得る。
モジュールのサイズを小型に維持しつつ処理水量を増加させるための1つの方策としては、モジュールのサイズを変更せずに膜面積を広くすることが考えられるが、この場合にはより長い中空糸膜を用いる必要がある。しかし、特許文献1においてケースのサイズを維持しつつより長い中空糸膜を収容しようとすると、ケース内の空間のうち中空糸膜の折り返し部の近傍において膜密度が局所的に高くなる場合がある。この場合、ケース内の空間における圧力損失が不均一となり、当該折り返し部の近傍において水の滞留が起こり得るため、細菌等が繁殖し易くなるという問題がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、モジュールの大型化及びモジュール内での水の滞留を抑制しつつ処理水量を多く確保することが可能な中空糸膜モジュールを提供することである。
本発明の一局面に係る中空糸膜モジュールは、複数の中空糸膜と、前記中空糸膜を収容するハウジングと、前記ハウジング内で折り返された前記中空糸膜の両端部を固定し、前記ハウジングの径方向に広がる形状に形成された固定部と、を備える。前記中空糸膜は、前記固定部の内周領域に固定された内側端部と、前記固定部のうち前記内周領域よりも前記径方向の外側の領域である外周領域に固定された外側端部と、を含む。複数の前記中空糸膜は、前記ハウジングの軸周りの周方向に並ぶように前記固定部にそれぞれ固定されている。前記中空糸膜は、前記径方向に垂直な軸方向から見た平面視において、前記内側端部と前記外側端部とを繋ぐ膜形状が前記周方向の一方に凸となるように、前記固定部に固定されている。
この中空糸膜モジュールでは、中空糸膜は、ハウジング内で折り返されると共に周方向に並んでおり、且つ内側端部と外側端部とを繋ぐ膜形状が周方向の一方に凸となるように固定部に固定されている。このため、従来の中空糸膜モジュールとは異なり、小型のハウジング内に長い中空糸膜を折り返して収容する場合でも、ハウジング内の空間のうち中空糸膜の折り返し部の近傍において膜密度が局所的に高くなるのが抑制される。これにより、長い中空糸膜を用いて膜面積を広く確保しようとする場合に、ハウジング内での水の滞留を抑制することができる。したがって、上記中空糸膜モジュールによれば、モジュールの大型化及びモジュール内での水の滞留を抑制しつつ、処理水量を多く確保することができる。
上記中空糸膜モジュールにおいて、前記中空糸膜は、前記固定部に対して90°未満の第1傾斜角を成していてもよい。
この構成によれば、中空糸膜が固定部に対して垂直に固定される場合(上記第1傾斜角が90°である場合)に比べて、より広い膜面積を確保することができる。これにより、中空糸膜モジュールの処理水量を増加させることができる。
上記中空糸膜モジュールにおいて、前記第1傾斜角は、30°以上89°以下であってもよい。
上記第1傾斜角が小さ過ぎると、僅かな衝撃等によって中空糸膜が糸切れを起こし易くなり、またモジュール製造時に中空糸膜の端部を固定部に固定する作業が困難になる。これに対し、第1傾斜角の下限値を上記の通り規定することにより、糸切れや製造上の不具合を回避することができる。
上記中空糸膜モジュールにおいて、前記ハウジングのうち前記中空糸膜の折り返し部に対向する部位には、前記ハウジング内に原水を導入するための原水入口が設けられていてもよい。
上記部位に原水入口が設けられる場合、通水抵抗が小さい膜間の隙間に原水が優先的に流れ込むため(水流のショートカット)、ハウジング内の広い範囲に亘って原水を行き渡らせるのが困難になる場合がある。これに対し、上記のように内側端部と外側端部とを繋ぐ膜形状が周方向の一方に凸となるように中空糸膜を固定することにより、ハウジング内での水流のショートカットを抑制し、ハウジング内の広い範囲に原水を行き渡らせることができる。その結果、ハウジング内での原水の滞留を抑制することができる。
上記中空糸膜モジュールにおいて、前記中空糸膜のエンドトキシン阻止性能が3以上であってもよい。
この構成によれば、ポイントオブユースやポイントオブエントリーの浄水システムにおいて上記中空糸膜モジュールを好適に用いることができる。
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、モジュールの大型化及びモジュール内での水の滞留を抑制しつつ処理水量を多く確保することが可能な中空糸膜モジュールを提供することができる。
本発明の一実施形態に係る中空糸膜モジュールの構成を模式的に示す正面図である。 上記中空糸膜モジュールにおいて中空糸膜が周方向に並んだ様子を模式的に示す平面図である。
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態に係る中空糸膜モジュールを詳細に説明する。
まず、本発明の一実施形態に係る中空糸膜モジュール1の構成を、図1及び図2に基づいて説明する。
本実施形態に係る中空糸膜モジュール1は、POU又はPOEの浄水システムに用いられるものであり、清澄な原水を濾過処理の対象とする。図1に示すように、中空糸膜モジュール1は、複数の中空糸膜10と、ハウジング20と、固定部30と、を主に備えている。中空糸膜モジュール1は、ハウジング20の軸方向(長さ方向)が上下方向に一致する縦姿勢で設置されているが、これに限定されない。
中空糸膜10は、原水を濾過して清浄な濾過水を得るための中空円筒状の膜であり、両方の端部12がそれぞれ開口している。本実施形態に係る中空糸膜モジュール1は外圧濾過式であり、原水は中空糸膜10の外面から内面に向かって透過することにより濾過され、両端部の開口から濾過水が取り出される。図1に示すように、中空糸膜10は、長さ方向の略中央部で180°折り返されたU字の状態でハウジング20内に収容されている。中空糸膜10の折り返し部11(U字形状の底部)は、中空糸膜10の端部12よりも上側に位置している。
中空糸膜10は、エンドトキシン阻止性能(LRV)が3以上であり、当該エンドトキシン阻止性能が4以上であることが好ましい。この「エンドトキシン阻止性能」は、エンドトキシン濃度が100EU/mlである試験液を用いて、JIS K3824「限外濾過膜のエンドトキシン阻止性能試験方法」に準じた方法により測定される。このように、LRVが3以上である中空糸膜10を用いることにより、POU又はPOEの浄水システムにおいても十分な処理水質を確保することができる。しかし、中空糸膜は、LRVが3以上であるものに限定されない。
中空糸膜10は、純水透水性能が100LMH以上2000LMH以下である。純水透水性能が100LMHより小さい場合はモジュールとしての十分な透水性能を確保することができず、一方で純水透水性能が2000LMHより大きい場合はエンドトキシン阻止性能を維持するのが困難になる。このため、中空糸膜10の純水透水性能は、上記範囲内となっており、200LMH以上1800LMH以下であることが好ましく、300LMH以上1500LMH以下であることがより好ましい。しかし、中空糸膜は、純水透水性能が100LMH以上2000LMH以下であるものに限定されない。
上記の「純水透水性能」は、以下のように測定される。まず、一端部が封止された有効長20cmの中空糸膜を20本有する中空糸膜モジュールを準備する。そして、ハウジング内に純水を充たし、0.1MPaの外圧を加える。このとき、他端部の開口から流出する水の量を1分間測定する。この測定水量(l)を、膜面積(m)及び測定時間(h)を用いて「l/m/hr@0.1MPa」の単位に換算し、これを「LMH」とした。
中空糸膜10の材質は特に限定されないが、以下の材質を用いることができる。例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン又はこれらの共重合体を、中空糸膜10の材質として用いることができる。特に、エンドトキシン除去性能及び処理水質に優れるという点から、ポリスルホン又はポリエーテルスルホンが中空糸膜10の材質として好ましい。
ハウジング20は、中空糸膜10を収容する容器であり、上下方向に長い中空筒形状に形成されている。より具体的には、ハウジング20は、中空円筒形状に形成された胴部21と、胴部21の上端に繋がる曲面状の入口部22と、胴部21の下端に繋がると共に下側に向かって縮径するテーパ状の出口部23と、を含む。ハウジング20内には、原水が充たされる原水空間20Aと、濾過水が充たされる濾過水空間20Bと、がそれぞれ設けられている。中空糸膜10は、原水空間20Aに収容されている。
原水空間20Aは、濾過水空間20Bよりも広く、且つ当該濾過水空間20Bよりも上側に位置している。原水空間20Aと濾過水空間20Bとは、固定部30により液密に仕切られており、これにより原水と濾過水との混水が抑制されている。
ハウジング20のうち中空糸膜10の折り返し部11に対向する部位(入口部22の頂部)には、ハウジング20内に原水を導入するための原水入口24が設けられている。原水入口24は、原水空間20Aと連通している。原水は、原水入口24から原水空間20Aに向かって下向きに流入する。
図1に示すように、ハウジング20(出口部23)の底部には、濾過水をハウジング20の外に導くための濾過水出口25が設けられており、ハウジング20(胴部21)の側部にはハウジング20内からエアを抜くためのエア抜き口26が設けられている。濾過水出口25は濾過水空間20Bと連通しており、エア抜き口26は原水空間20Aと連通している。なお、原水入口24、濾過水出口25及びエア抜き口26の各位置は、図1中の位置に限定されない。
ハウジング20内には、原水の滞留部が存在しないことが好ましい。滞留部とは、ハウジング20内で原水の流れが留まる部分を意味する。例えば、ハウジング20内のうち原水が接触する部分(内側面)には、凸凹部分が形成されていないことが好ましい。凸凹部分が存在すると、そこで原水が滞留する可能性があるためである。特に、部材同士の接続部が平滑になるように両部材を接続することが好ましい。
また原水の導入方向(本実施形態では下向き)に対して垂直に原水が流れる領域が存在すると、その領域において原水が滞留し易くなる。このため、ハウジング20内の角部分は、C面又はR面加工等により面取りされていることが好ましく、その面部分は原水の流れ方向に対して斜めに加工されていることが好ましい。このように、原水の滞留が発生し難く且つ内部空間全体を濾過処理に使用できるように、ハウジング20内(特に、中空糸膜10が収容される空間部分)の圧力損失が一定であることが好ましい。このため、シンプルなモジュール構造が好ましく、例えばネジ切部分等が原水と接触しないような配慮がなされていることが好ましい。
ハウジング20の材質も特に限定されないが、以下の材質を用いることができる。例えば、SUS304又はSUS316等のステンレス類や、FRP、ABS、AES、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスルホン又はポリエーテルスルホン等のプラスチック類を、ハウジング20の材質として用いることができる。特に、純水中への溶出物の混入抑制の点から、中空糸膜10の材質と同じポリスルホン等がハウジング20の材質として好ましい。
固定部30は、ハウジング20内で折り返された中空糸膜10の両端部を接着固定する樹脂製の部分であり、ハウジング20の径方向(ハウジング20の軸方向に垂直な方向)に広がる円板形状に形成されている。図1に示すように、固定部30の外周面はハウジング20の内面に接触(密着)しており、これにより原水と濾過水との混水が抑制されている。
固定部30は、原水空間20A側を向く上面31と、当該上面31と反対側(濾過水空間20B側)を向く下面32と、を含む。中空糸膜10の端部12は、上面31側から固定部30を厚さ方向に貫通しており、その端面が下面32と略面一になっている。中空糸膜10の端部12は濾過水空間20Bに開放されており、これにより中空糸膜10の中空空間と濾過水空間20Bとが互いに連通している。
固定部30の材質は、中空糸膜10を固定可能であれば特に限定されないが、以下の材質を用いることができる。例えば、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂又は熱可塑性樹脂等を、固定部30の材質として用いることができる。特に、成型性の点からは2種混合型のエポキシ樹脂やウレタン樹脂が好ましく、水の使用環境下における耐熱性能や耐圧性能も考慮すると、エポキシ樹脂が好ましい。
図2は、固定部30(上面31)を、ハウジング20の軸方向から平面視した模式図である。図2に示すように、複数の中空糸膜10は、ハウジング20の軸P1周りの周方向に1周回って並ぶように、固定部30にそれぞれ固定されている。
より具体的には、固定部30は、軸P1が通過する領域である内周領域33と、内周領域33よりも径方向の外側の領域である外周領域34と、を含む。図2に示すように、内周領域33は、固定部30のうち仮想円C1よりも径方向内側の領域であり、外周領域34は、固定部30のうち仮想円C1よりも径方向外側の領域である。仮想円C1は、固定部30と同様に軸P1を中心とする円(固定部30の同心円)であり、その半径が固定部30の半径の半分である。
中空糸膜10の端部12は、固定部30の内周領域33及び外周領域34にそれぞれ接着固定されている。すなわち、中空糸膜10は、内周領域33に固定された内側端部12Aと、外周領域34に固定された外側端部12Bとを含み、内側端部12A及び外側端部12Bのうち一方から一方向に延びた後に反対向きに折り返し、内側端部12A及び外側端部12Bのうち他方まで至る形状を有している。
中空糸膜10は、ハウジング20の軸方向から見た平面視(図2)において、内側端部12Aと外側端部12Bとを繋ぐ膜部12Cの形状が周方向の一方に凸となるように、固定部30に固定されている。より具体的には、図2中の時計回りを第1方向D1、同図中の反時計周りを第2方向D2としたときに、内側端部12Aと外側端部12Bとを繋ぐ膜部12Cが第1方向D1に膨らむ円弧状となっている。別の観点から説明すると、膜部12Cは、内側端部12Aと外側端部12Bとを繋ぐ仮想直線L1と一致せず、当該仮想直線L1から見て第1方向D1に張り出している。なお、膜部12Cは、第2方向D2に膨らむ円弧状となっていてもよい。
中空糸膜10は、固定部30に対して90°未満の第1傾斜角θ1を成すように当該固定部30に固定されている。「第1傾斜角θ1」は、図1に示す中空糸膜モジュール1の正面視において、1本の中空糸膜10の凸の先端部分P2(U字状の中空糸膜10の折り返し部11)と固定部30の下面32とを繋ぐ直線S1と、当該下面32と、が成す角である。下面32は、ハウジング20の軸方向に対して垂直である。
第1傾斜角θ1は、30°以上89°以下であることが好ましく、45°以上88°以下であることがより好ましく、45°以上85°以下であることがさらに好ましい。第1傾斜角θ1は、ハウジング20内に収容された複数の中空糸膜10のそれぞれの第1傾斜角θ1の平均値として定義される。
図1中には、中空糸膜10の端部12が固定部30に対して成す第2傾斜角θ2も示されている。第2傾斜角θ2は、固定部30への中空糸膜10の端部12の挿入方向と固定部30の下面32とが成す角として定義される。
第2傾斜角θ2は、第1傾斜角θ1と同様に、90°未満であり、30°以上89°以下であることが好ましく、45°以上88°以下であることがより好ましく、45°以上85°以下であることがさらに好ましい。また第2傾斜角θ2は、第1傾斜角θ1と同じであることが好ましい。これにより、第1傾斜角θ1と第2傾斜角θ2とが互いに異なる場合に比べて、端部12の近傍において中空糸膜10に加わる負荷を軽減することができる。しかし、第1傾斜角θ1と第2傾斜角θ2とが互いに異なっていてもよい。
第2傾斜角θ2も、ハウジング20内に収容された複数の中空糸膜10のそれぞれの第2傾斜角θ2の平均値として定義される。第2傾斜角θ2は、固定部30を厚さ方向に切断したときの断面に基づいて測定されてもよい。また固定部30の材質がエポキシ樹脂等の透明樹脂である場合には、固定部30を切断せずに外観から第2傾斜角θ2が測定されてもよい。
上記の通り、本実施形態に係る中空糸膜モジュール1は、POU又はPOEの用途を想定したものであるが、当該用途では、熱水によるモジュールの殺菌処理を要求されることが多い。このため、中空糸膜モジュール1は、90℃以上の耐熱性能を有することが好ましい。
「90℃以上の耐熱性能」とは、昇温時間及び降温時間をそれぞれ30分とし、95℃の熱水の供給と25℃の冷水の供給とを交互に繰り返し、その場合でもモジュールに破損やリーク等が発生しないことを意味する。この繰り返し回数は、30回以上であることが好ましく、100回以上であることがより好ましく、150回以上であることがさらに好ましい。
次に、上記中空糸膜モジュール1の洗浄方法について説明する。
上記の通り、本実施形態に係る中空糸膜モジュール1は、比較的清澄な原水の濾過処理に使用されるため、ディスポに近い使い方がなされる。すなわち、原水を一定量流した後、中空糸膜モジュール1は、廃棄されるか若しくは化学薬品により洗浄される。
なお、中空糸膜10の目詰まりを解消する方法としては、物理的なエアバブリングや逆洗等の方法がある。しかし、これらの洗浄方法を上記中空糸膜モジュール1のように中空糸膜10が固定部30に対して斜めに配置されたモジュールにおいて実施すると、中空糸膜10の接着部分の物理的強度の低さに起因して、糸切れやリークが発生し易くなる。したがって、上記中空糸膜モジュール1は、エアバブリングや逆洗等の物理的洗浄が実施されない用途、すなわちPOUやPOE等の用途において好適に用いられる。
一方で、中空糸膜モジュール1の化学洗浄は可能である。例えば、熱水、次亜塩素酸ナトリウム、過酢酸、酢酸、シュウ酸、クエン酸、水酸化ナトリウム又は過酸化水素等の薬品類を、中空糸膜モジュール1内で循環させる。このように洗浄することで、中空糸膜モジュール1を再利用することもできる。
以上の通り、本実施形態に係る中空糸膜モジュール1では、中空糸膜10は、ハウジング20内でU字状に折り返されると共に周方向に並んでおり、内側端部12Aと外側端部12Bとを繋ぐ膜形状が周方向の一方に凸となるように固定部30に固定されている。このため、小型のハウジング20内に長い中空糸膜10を折り返して収容する場合でも、ハウジング20内の空間のうち中空糸膜10の折り返し部11の近傍において膜密度が局所的に高くなることが抑制される。これにより、長い中空糸膜10を用いて膜面積を広く確保しようとする場合に、ハウジング20内での原水の滞留を抑制することができる。また上記中空糸膜モジュール1によれば、ハウジング20内の空間において中空糸膜10を配置することができないデッドスペースが形成され難いため、デッドスペースにおける原水の滞留を抑制することができる。したがって、本実施形態に係る中空糸膜モジュール1によれば、モジュールの大型化及びモジュール内での水の滞留を抑制しつつ、処理水量を多く確保することができる。
(実施例1)
上記実施形態の構成を備えた中空糸膜モジュールを用いて、モジュールの透水性を評価した。
中空糸膜としては、株式会社クラレ製のポリスルホン製中空糸膜を用いた。この中空糸膜は、純水透水性能が700LMHであり、エンドトキシン除去性能(エンドトキシン阻止性能)が4.7以上であった。この中空糸膜を、内径が40mmで且つ長さが200mmであるポリスルホン製の樹脂ハウジング内に収容し、180°折り返した状態で両端部をエポキシ樹脂製固定部に接着固定した。またこのように折り返された中空糸膜を、ハウジング内において周方向に1周回るように固定した。第1傾斜角θ1及び第2傾斜角θ2は、それぞれ平均で60°とした。ハウジング内の膜面積の合計は、0.46mであった。この中空糸膜モジュールの透水性(m/h/bar)を評価した。
(実施例2)
第1傾斜角θ1及び第2傾斜角θ2を平均45°とした点以外は、上記実施例1と同様である。このときのハウジング内の膜面積の合計は、0.57mであった。
(実施例3)
第1傾斜角θ1及び第2傾斜角θ2を平均80°とした点以外は、上記実施例1と同様である。このときのハウジング内の膜面積の合計は、0.44mであった。
(実施例4)
第1傾斜角θ1を60°とし、且つ第2傾斜角θ2を45°とした点以外は、上記実施例1と同様である。このときのハウジング内の膜面積の合計は、0.48mであった。
(比較例1)
内側端部と外側端部とを繋ぐ膜形状が直線状になるように中空糸膜を固定し、第1傾斜角θ1及び第2傾斜角θ2をそれぞれ平均1°未満とした点以外は、上記実施例1と同様である。
(比較例2)
中空糸膜を周方向に並ぶように固定せず、ランダムに固定した点以外は、上記比較例1と同様である。
実施例1〜3及び比較例1,2のそれぞれについての透水性の評価結果は、下記の表1に示す通りである。表1の通り、実施例1〜3では、比較例1,2に比べて膜面積が広く、モジュールの透水性が高いため、より多くの処理水量を確保可能であることが分かった。
Figure 2021183315
今回開示された実施形態及び実施例は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと解されるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなくて特許請求の範囲により示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
1 中空糸膜モジュール
10 中空糸膜
11 折り返し部
12 端部
12A 内側端部
12B 外側端部
12C 膜部
20 ハウジング
24 原水入口
30 固定部
33 内周領域
34 外周領域
P1 軸
θ1 第1傾斜角

Claims (4)

  1. 複数の中空糸膜と、
    前記中空糸膜を収容するハウジングと、
    前記ハウジング内で折り返された前記中空糸膜の両端部を固定し、前記ハウジングの径方向に広がる形状に形成された固定部と、を備え、
    前記中空糸膜は、前記固定部の内周領域に固定された内側端部と、前記固定部のうち前記内周領域よりも前記径方向の外側の領域である外周領域に固定された外側端部と、を含み、
    複数の前記中空糸膜は、前記ハウジングの軸周りの周方向に並ぶように前記固定部にそれぞれ固定されており、
    前記中空糸膜は、前記径方向に垂直な軸方向から見た平面視において、前記内側端部と前記外側端部とを繋ぐ膜形状が前記周方向の一方に凸となるように、前記固定部に固定されている、中空糸膜モジュール。
  2. 前記中空糸膜は、前記固定部に対して90°未満の第1傾斜角を成している、請求項1に記載の中空糸膜モジュール。
  3. 前記第1傾斜角は、30°以上89°以下である、請求項2に記載の中空糸膜モジュール。
  4. 前記中空糸膜のエンドトキシン阻止性能が3以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の中空糸膜モジュール。
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