JP2021181179A - 噴射孔プレート、液体噴射ヘッド及び液体噴射記録装置 - Google Patents

噴射孔プレート、液体噴射ヘッド及び液体噴射記録装置 Download PDF

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Abstract

【課題】長期に亘って安定した噴射性能を得ることができる噴射孔プレート、液体噴射ヘッド及び液体噴射記録装置を提供する。【解決手段】本開示の一態様に係るノズルプレート54は、ノズルプレート54の下面のうちノズル孔100に対して−X側に位置する部分に窪み部101が形成されている。窪み部101は、X方向から見てノズル孔100全体と重なり合うとともに、ノズル孔100に対してY方向の外側に両端部101aを有している。窪み部101の開口縁のうち、X方向でノズル孔100の下端開口縁と向かい合う内側縁102は、ノズル孔100に向けて膨出する凸形状、及びノズル孔100から離間する凹形状の何れかに形成されている。【選択図】図6

Description

本開示は、噴射孔プレート、液体噴射ヘッド及び液体噴射記録装置に関する。
従来、記録紙等の被記録媒体に液滴状のインクを吐出して、被記録媒体に画像や文字を記録する装置として、インクジェットヘッドを備えたインクジェットプリンタがある。インクジェットヘッドは、チャネルが形成されたヘッドチップと、ヘッドチップに接合されたノズルプレートと、を備えている。
この構成によれば、チャネル内の容積が変化することで、チャネル内のインクがノズルプレートに形成されたノズル孔を通じて吐出される。
上述したインクジェットヘッドでは、ノズル孔の吐出性能の維持や回復のために、ノズルプレートの吐出面上でワイパ等を摺接させ、吐出面上に付着したインク等を払拭する場合がある。
しかしながら、上述したインクジェットヘッドでは、ワイパと吐出面との間に生じる摩擦によって、ノズルプレートが摩耗する。例えば、吐出面上に撥液膜等の表面処理を施している場合には、ワイパによる払拭動作によって撥液膜が削れ、ノズル孔周辺でのノズルプレートの表面エネルギーが変化する可能性がある。
そこで、例えば下記特許文献1には、ノズルプレートの吐出面上において、ノズル孔の周囲に位置する部分に複数の凹部を形成する構成が開示されている。この構成によれば、繰り返しの払拭動作によっても撥液性を維持できるとされている。
特開2008−49588号公報
しかしながら、上述した従来技術では、吐出面上において、凹部とノズル孔との間に位置する部分に摩耗が生じた場合、依然として吐出性能が低下する要因になる。具体的に、吐出面上において、ノズル孔に対して第1側と第2側と(例えば、ワイパの移動方向における上流側と下流側)で表面エネルギーの差が生じると、インクの偏向(飛翔曲がり)が生じるおそれがある。
本開示は、長期に亘って安定した吐出性能を得ることができる噴射孔プレート、液体噴射ヘッド及び液体噴射記録装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本開示は以下の態様を採用した。
(1)本開示の一態様に係る噴射孔プレートは、液体を噴射する噴射孔が形成されたプレート本体を備え、前記プレート本体のうち、液体の噴射方向で下流側を向く噴射面に沿う方向で互いに交差する方向に第1方向及び第2方向を有し、前記プレート本体のうち、前記第1方向で前記噴射孔に対して一方側に位置する部分には、前記噴射面に対して窪んだ窪み部が形成され、前記窪み部は、前記第1方向から見て前記噴射孔全体と重なり合うとともに、前記第2方向における前記噴射孔よりも外側に両端部を有し、前記窪み部の開口縁のうち、前記第1方向で前記噴射孔の開口縁と向かい合う対向縁は、前記噴射孔に向けて膨出する凸形状、及び前記噴射孔から離間する凹形状の何れかに形成されている。
本態様によれば、例えば噴射孔に対して第1方向の窪み部側を上流側として噴射孔プレートの噴射面上にワイパを摺接させる場合、ワイパの移動方向において窪み部の対向縁がワイパと対向する。これにより、対向縁が噴射孔の開口縁に合わせて摩耗し易くなる。そのため、噴射孔の開口縁のうち、ワイパの移動方向における下流部分周辺と上流部分周辺と、で摩耗の進行具合を近似させ易くなる。その結果、噴射孔プレートのうち噴射孔に対して第1方向の両側での表面エネルギーのバランスを均一化し易い。これにより、長期使用によっても飛翔曲がりが少なく、安定した噴射性能を得ることができるので、噴射孔プレートの長寿命化を図ることができる。
(2)上記(1)の態様の噴射孔プレートにおいて、前記噴射孔は、前記第1方向に間隔をあけて複数形成され、前記窪み部は、複数の前記噴射孔のそれぞれに対して前記第1方向の一方側のみに1つずつ設けられていることが好ましい。
本態様によれば、各噴射孔に対して第1方向の両側にそれぞれ窪み部を設ける場合に比べ、噴射孔を狭ピッチ化し易い。そのため、噴射孔プレートを液体噴射ヘッドに搭載した場合に、液体噴射ヘッドの小型化や高解像度化を実現し易い。
(3)上記(1)の態様の噴射孔プレートにおいて、前記噴射孔は、前記第1方向に間隔をあけて複数形成され、前記窪み部は、複数の前記噴射孔それぞれの周囲に複数ずつ設けられていることが好ましい。
本態様によれば、各噴射孔の周囲に窪み部を複数配置することで、例えば噴射孔プレートが搭載される液体噴射記録装置によってワイパの移動方向(第1方向)が異なる場合であっても、同一の噴射孔プレートにより上述した作用効果を発揮させることができる。これにより、ワイパの移動方向によって、噴射孔に対する窪み部の位置が異なる複数種類の噴射孔プレートを製造する場合に比べ、製造効率の向上を図ることができる。
(4)上記(1)から(3)何れかの態様の噴射孔プレートにおいて、前記対向縁は、前記噴射孔における下流開口縁の曲率半径と同等の曲率半径に形成された凹形状であることが好ましい。
本態様によれば、対向縁が噴射孔の下流開口縁の曲率半径に形成された凹形状とすることで、対向縁に起因した噴射孔の上流部分周辺での摩耗領域全体が同等のタイミングで噴射孔の下流開口縁に到達することになる。そのため、摩耗領域が噴射孔に到達した場合には、噴射孔に対して下流部分周辺と上流部分周辺との摩耗量の差(表面エネルギーの差)を一斉に小さくできる。
(5)上記(1)から(3)何れかの態様の噴射孔プレートにおいて、前記対向縁は、頂部と、前記頂部から前記第1方向で前記噴射孔から離間するに従い前記第2方向で互いに離間する方向に延在する一対の挟辺と、を備えていることが好ましい。
本態様によれば、対向縁に起因して噴射孔の上流部分周辺で摩耗が発生した場合に、対向縁に起因して発生する摩耗領域を速やかに噴射孔に到達させることができる。これにより、噴射孔に対して下流部分周辺と上流部分周辺との摩耗量の差を早期に小さくできる。その結果、長期使用によっても飛翔曲がりが少なく、安定した噴射性能を得ることができるので、噴射孔プレートの長寿命化を図ることができる。
(6)上記(1)から(3)何れかの態様の噴射孔プレートにおいて、前記対向縁は、前記第1方向で前記噴射孔に向けて突出する円弧状に形成されていることが好ましい。
本態様によれば、対向縁に起因して噴射孔の上流部分周辺で摩耗が発生した場合に、対向縁に起因して発生する摩耗領域を速やかに噴射孔に到達させることができる。これにより、噴射孔に対して下流部分周辺と上流部分周辺との摩耗量の差を早期に小さくできる。その結果、長期使用によっても飛翔曲がりが少なく、安定した噴射性能を得ることができるので、噴射孔プレートの長寿命化を図ることができる。
(7)上記(1)から(6)何れかの態様の噴射孔プレートにおいて、前記プレート本体は、第1領域と、前記第1領域に対して前記噴射方向の下流側に位置するとともに、前記噴射面を構成する第2領域と、を備え、前記第2領域は、前記第1領域に対して表面エネルギーが異なることが好ましい。
本態様によれば、表面エネルギーの異なる複数の領域によって噴射孔プレートを形成することで、例えば第1領域によって強度や加工性を確保しつつ、第2領域によって所望の表面エネルギーを確保することができる等、設計自由度を高めることができる。
(8)上記(7)の態様の噴射孔プレートにおいて、前記プレート本体は、前記第1領域を構成する基材と、前記第2領域を構成するとともに、前記基材のうち前記噴射方向の下流側を向く基材表面を覆う保護膜と、を備えていることが好ましい。
本態様によれば、噴射孔プレートの表面エネルギーを保護膜によって異ならせることで、噴射孔プレートの厚さや材料選択の自由度を向上させることができる。
(9)上記(8)の態様の噴射孔プレートにおいて、前記窪み部は、前記基材に形成された凹部の内面が前記保護膜に覆われて構成され、前記凹部の深さは、前記保護膜の厚さよりも深いことが好ましい。
本態様によれば、内面が保護膜により構成された窪み部を形成できる。これにより、窪み部内に液体等が滞留するのを抑制できる。その結果、窪み部に滞留した液体がワイパによる払拭動作の際に噴射面上に広がるのを抑制できる。
(10)上記(7)の態様の噴射孔プレートにおいて、前記プレート本体は、前記第1領域を構成する母材と、前記母材における前記噴射方向の下流側に位置する表層部分が改質されることで前記第2領域を構成する改質層と、を備えていることが好ましい。
本態様によれば、表面改質によって噴射孔プレートの表面エネルギーを調整することで、噴射孔プレートの薄型化が可能になる。
(11)本態様の液体噴射ヘッドは、上記(1)から(10)の何れかの態様の噴射孔プレートを備えている。
本態様によれば、上記態様の噴射孔プレートを備えているため、長期に亘って安定した噴射性能を発揮できる液体噴射ヘッドを提供できる。
(12)本態様の液体噴射記録装置は、上記(11)の態様の液体噴射ヘッドを備えている。
本態様によれば、上記態様の液体噴射ヘッドを備えているため、高性能で信頼性に優れた液体噴射記録装置を提供できる。
本開示の一態様によれば、長期に亘って安定した噴射性能を得ることができる噴射孔プレート、液体噴射ヘッド及び液体噴射記録装置を提供できる。
第1実施形態に係るインクジェットプリンタの概略構成図である。 第1実施形態に係るインクジェットヘッドの斜視図である。 第1実施形態に係るヘッドチップの斜視図である。 第1実施形態に係るヘッドチップの分解斜視図である。 図4のV−V線に沿う断面図である。 第1実施形態に係るノズルプレートの底面図である。 第1実施形態に係るノズルプレートの底面図である。 第1実施形態に係るノズルプレートの底面図である。 第1実施形態の変形例に係るノズルプレートの底面図である。 第1実施形態の変形例に係るノズルプレートの底面図である。 第1実施形態の変形例に係るノズルプレートの底面図である。 第2実施形態に係るノズルプレートの底面図である。 第2実施形態に係るノズルプレートの底面図である。 第2実施形態に係るノズルプレートの底面図である。 第2実施形態の変形例に係るノズルプレートの底面図である。 第2実施形態の変形例に係るノズルプレートの底面図である。 第2実施形態の変形例に係るノズルプレートの底面図である。 第2実施形態の変形例に係るノズルプレートの底面図である。 第3実施形態に係るノズルプレートの断面図である。
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照して説明する。以下で説明する実施形態や変形例において、対応する構成については同一の符号を付して説明を省略する場合がある。なお、以下の説明において、例えば「平行」や「直交」、「中心」、「同軸」等の相対的又は絶対的な配置を示す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差や同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。以下の実施形態では、インク(液体)を利用して被記録媒体に記録を行うインクジェットプリンタ(以下、単にプリンタという)を例に挙げて説明する。なお、以下の説明に用いる図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
(第1実施形態)
[プリンタ1]
図1はプリンタ1の概略構成図である。
図1に示すように、本実施形態のプリンタ(液体噴射記録装置)1は、一対の搬送機構2,3と、インク供給機構4と、インクジェットヘッド(液体噴射ヘッド)5と、走査機構6と、クリーニング機構7と、を備えている。
以下の説明では、必要に応じてX,Y,Zの直交座標系を用いて説明する。この場合、X方向は被記録媒体P(例えば、紙等)の搬送方向(副走査方向)に一致している。Y方向は走査機構6の走査方向(主走査方向)に一致している。Z方向は、X方向及びY方向に直交する高さ方向(重力方向)を示している。以下の説明では、X方向、Y方向及びZ方向のうち、図中矢印側をプラス(+)側とし、矢印とは反対側をマイナス(−)側として説明する。本実施形態において、+Z側は重力方向の上方に相当し、−Z側は重力方向の下方に相当する。
搬送機構2,3は、被記録媒体Pを+X側に搬送する。搬送機構2,3は、例えばY方向に延びる一対のローラ11,12をそれぞれ含んでいる。
インク供給機構4は、インクが収容されたインクタンク15と、インクタンク15とインクジェットヘッド5とを接続するインク配管16と、を備えている。インクタンク15には、例えばイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のインクが各別に収容されている。各インクジェットヘッド5は、接続されたインクタンク15に応じてイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のインクをそれぞれ吐出可能に構成されている。
走査機構6は、インクジェットヘッド5をY方向に往復走査させる。具体的に、インクジェットヘッド5は、キャリッジ23に搭載された状態で、印字領域Sとクリーニング領域Cとの間を移動する。印字領域Sとは、被記録媒体P(搬送機構2)に対して上方の領域である。インクジェットヘッド5は、被記録媒体Pへの印字動作の際に印字領域SをY方向に往復移動する。
クリーニング領域Cとは、印字領域Sに対して+Y側であって、クリーニング機構7に対して上方の領域である。インクジェットヘッド5は、メンテナンス時や駆動停止時等にクリーニング領域Cまで移動する。
<インクジェットヘッド5>
図2は、インクジェットヘッド5の斜視図である。以下の説明では一のインクジェットヘッド5を例にしてインクジェットヘッド5の詳細について説明する。
図2に示すように、インクジェットヘッド5は、キャリッジ23に固定されるベースフレーム31と、ベースフレーム31に固定されたヘッドチップ32と、インク供給機構4(インク配管16)及びヘッドチップ32間を接続するインク供給部33と、ヘッドチップ32に駆動電圧を印加する制御部34と、を備えている。
<ヘッドチップ32>
図3は、ヘッドチップ32の斜視図である。図4は、ヘッドチップ32の分解斜視図である。
図3、図4に示すヘッドチップ32は、後述する吐出チャネル55における延在方向(Z方向)の端部からインクを吐出する、いわゆるエッジシュートタイプのものである。具体的に、ヘッドチップ32は、アクチュエータプレート51と、カバープレート52と、支持プレート53と、ノズルプレート(噴射孔プレート、プレート本体)54と、を備えている。
アクチュエータプレート51には、複数のチャネル55,56がX方向に間隔をあけて並設されている。上述した複数のチャネル55,56は、インクが充填される吐出チャネル55、及びインクが充填されない非吐出チャネル56(図4参照)である。吐出チャネル55及び非吐出チャネル56は、X方向に交互に並んで配置されている。なお、チャネル55内面には、図示しない駆動電極が形成されている。
カバープレート52は、Y方向から見た正面視で矩形状に形成されている。カバープレート52は、アクチュエータプレート51の上端部(+Z側端部)を露出させた状態で、アクチュエータプレート51に対して+Y側から接合されている。
カバープレート52には、共通インク室61と、複数のスリット62と、が形成されている。共通インク室61には、上述したインク供給部33を通じてインクが流入する。スリット62は、共通インク室61のうち、吐出チャネル55とY方向で対向する位置に形成されている。スリット62は、共通インク室61内と各吐出チャネル55内とを各別に連通している。一方、非吐出チャネル56は、共通インク室61内には連通していない。
支持プレート53は、アクチュエータプレート51及びカバープレート52を支持するともに、ノズルプレート54を同時に支持している。支持プレート53には、Z方向に貫通するとともにX方向に沿って延びる嵌合孔53aが形成されている。アクチュエータプレート51及びカバープレート52は、嵌合孔53a内に嵌め込まれた状態で支持プレート53に支持されている。
<ノズルプレート54>
図5は、図4のV−V線に沿う断面図である。
図4、図5に示すように、ノズルプレート54は、アクチュエータプレート51及びカバープレート52の下面(−Z側端面)に、例えば接着剤等により固定されている。ノズルプレート54は、基材(第1領域)71と、基材71の下面(基材表面)71aに積層された撥液膜(第2領域、保護膜)72と、を備えている。
図5に示すように、基材71は、Z方向を厚さ方向とする板状に形成されている。基材71の厚さは、例えば20〜100μm程度とされている。本実施形態において、基材71は、樹脂材料(ポリイミド等)や金属材料(SUSやNi−Pd等)、ガラス、シリコン等による単層構造、又は積層構造とされている。
撥液膜72は、基材71の下面71a全体に亘って形成されている。撥液膜72の下面は、ノズルプレート54の下面(液体の噴射方向で下流側を向く噴射面)54aを構成している。撥液膜72には、フッ素含有シランカップリング剤や有機フッ素化合物等、基材71よりも表面エネルギーが低くなる材料が好適に用いられている。なお、撥液膜72は、基材71よりも薄くなっている。なお、撥液膜72の形成領域は、適宜変更が可能である。すなわち、撥液膜72は、基材71の下面全体に亘って形成する必要はなく、部分的に形成してもよい。
ノズルプレート54には、ノズルプレート54(基材71及び撥液膜72)をZ方向に貫通するノズル孔(噴射孔)100が形成されている。ノズル孔100は、Z方向から見た平面視で円形状に形成されるとともに、上方から下方に向かうに従い漸次縮径するテーパ状に形成されている。ノズル孔100の内径は、Z方向の全体に亘って一様であってもよい。また、ノズル孔100の平面視外形は適宜変更が可能である。
ノズル孔100は、基材71のうち吐出チャネル55にZ方向で対向する位置に各別に形成されている。すなわち、各ノズル孔100は、隣り合う吐出チャネル55同士の間隔と同ピッチでX方向に間隔をあけて形成されている。これにより、上述した吐出チャネル55は、ノズル孔100を通して外部に連通している。一方、非吐出チャネル56は、ノズルプレート54により閉塞されている。なお、ノズル孔100は、単数であってもよい。
ノズル孔100の形成方法は、基材71の材質によって適宜選択可能である。例えば、基材71が樹脂材料により形成された場合には、レーザー加工やエッチング等によりノズル孔100を形成することができる。基材71がシリコンの場合には、エッチング等によりノズル孔100を形成することができる。基材71がSUSの場合には、レーザー加工やプレス加工等によってノズル孔100を形成することができる。基材71がNi−Pdの場合には、電鋳による基材71の成形と同時にノズル孔100を形成することができる。また、撥液膜72は、ノズル孔100の形成後に基材71の下面71a上に積層してもよく、ノズル孔100の形成前に基材71の下面71aに積層してもよい。
図6は、ノズルプレート54の底面図である。
ここで、図6に示すように、ノズルプレート54のうち、各ノズル孔100に対して−X側に位置する部分には、下面54a上で開口する窪み部101が形成されている。窪み部101は、Z方向から見た平面視において、Y方向(第2方向)を長手方向とし、X方向(第1方向)を短手方向とする溝状に形成されている。具体的に、窪み部101は、平面視において−X側に向けて湾曲するC字状に形成されている。本実施形態において、窪み部101の平面視外形は、Z方向の全体に亘って一様に形成されている。但し、窪み部101の平面視外形は、Z方向の位置によって連続的に変化していてもよい。なお、以下の説明では、一のノズル孔100に対応する窪み部101を例にして説明する。
本実施形態の窪み部101は、内側縁(対向縁)102と、外側縁103と、により平面視の輪郭(下端開口縁)が形成されている。窪み部101は、ノズル孔100に対して−X側を経て、ノズル孔100に対してY方向の両側に至る部分まで延在している。すなわち、窪み部101は、X方向から見てノズル孔100の全体と重なり合うとともに、Y方向の両端部101aがノズル孔100に対してY方向の外側に位置している。よって、窪み部101におけるY方向の長さは、ノズル孔100における下端開口の内径(Y方向での直径)よりも大きくなっている。
上述した内側縁102は、−X側(ノズル孔100から離間する側)に向けて湾曲する凹形状に形成されている。具体的に、内側縁102は、中央延在部102aと、中央延在部102aの両端にそれぞれ連なる外側延在部102bと、を備えている。
中央延在部102aは、ノズル孔100に対して−X側において、ノズル孔100に向かい合っている。中央延在部102aは、−X側に向けて凸の円弧状に形成されている。中央延在部102aの曲率半径は、ノズル孔100の下端開口縁の曲率半径と同等に形成されている。本実施形態において、中央延在部102aの中心角は、例えば180°未満に設定されている。なお、中央延在部102aの曲率中心は、ノズル孔100の中心に対して−X側に位置していること(ノズル孔100と同心にならないこと)が好ましい。
各外側延在102bは、中央延在部102aの両端から+X側に向かうに従い互いに離間する側に延在している。各外側延在部102bは、中央延在部102aの両端において、中央延在部102aの接線方向に沿う直線状、又は中央延在部102aの曲率半径よりも大きい円弧状に形成されている。外側延在部102bのうち、中央延在部102a寄りに位置する部分は、ノズル孔100にX方向で向かい合っている。外側延在部102bのうち、中央延在部102a側とは反対側の端部は、ノズル孔100よりもY方向の外側において窪み部101の端部101aを構成している。なお、図示の例では、Y方向から見て窪み部101の端部101aがノズル孔100に重なり合う構成について説明するが、この構成に限られない。端部101aは、ノズル孔100に対してY方向の外側に位置していれば、Y方向から見てノズル孔100と重なり合わなくてもよい。
本実施形態において、内側縁102のうちノズル孔100の下端開口縁と向かい合う領域において、内側縁102とノズル孔100とのX方向での距離は、一様になっていることが好ましい。但し、内側縁102とノズル孔100とのX方向での距離は、適宜変更が可能である。
外側縁103は、内側縁102に対して−X側に位置している。外側縁103は、内側縁102と同様に、中央延在部103a及び外側延在部103bを有し、−X側に湾曲する凹形状に形成されている。
中央延在部103aは、曲率半径が内側縁102の中央延在部102aと同等とされ、中心角が内側縁102の中央延在部102aよりも小さくなっている。
外側延在部103bは、中央延在部103aの両端から+X側に向かうに従い互いに離間する側(Y方向の外側)に延在している。外側延在部103bは、窪み部101の端部101aにおいて、内側縁102の外側延在部102bに接続されている。したがって、窪み部101の溝幅(内側縁102と外側縁103との距離)は、窪み部101の端部101aに向かうに従い漸次狭くなっている。
図5に示すように、上述した窪み部101は、基材71の下面71aに形成された凹部110の内面が、撥液膜72により覆われて構成されている。本実施形態において、凹部110の深さD1は、撥液膜72の厚さD2よりも深くなっている。したがって、凹部110内には、凹部110の深さD1と同等の深さ(例えば、数μm程度)を有する窪み部101が形成される。なお、窪み部101の深さは、適宜変更が可能である。なお、撥液膜72の厚さD2は、凹部110の深さD1より厚くてもよい。窪み部101は、撥液膜72のみによって構成されていてもよく、凹部110内に撥液膜72が形成されていなくてもよい。
本実施形態において、内側縁102と一のノズル孔100との最小距離D3は、外側縁103と一のノズル孔100に対して−X側に位置する他のノズル孔100との最小距離D4よりも小さくなっている(D3<D4)。本実施形態において、最小距離D3は、例えば数μm程度に設定されている。
図1、図5、図6に示すクリーニング機構7は、上述したクリーニング領域Cに配置されている。クリーニング機構7は、ワイパ120を備えている。ワイパ120は、インクジェットヘッド5がクリーニング領域Cに配置された状態で、各インクジェットヘッド5の下方に個別に設けられている。
ワイパ120は、例えば弾性変形可能な材料(ゴムや樹脂材料)により板状に形成されている。ワイパ120は、X方向に移動可能に構成されている。ワイパ120は、インクジェットヘッド5がクリーニング領域Cに配置された状態で、ノズルプレート54の下面54aに摺接することで、ノズルプレート54の下面54aに付着したインク等を払拭する。本実施形態において、ワイパ120は、インクジェットヘッド5に対して−X側を上流側とし、下流側である+X側に移動する。
[プリンタの動作方法]
次に、上述したプリンタ1を利用して、被記録媒体Pに情報を記録する方法について説明する。
図1に示すように、プリンタ1を作動させると、被記録媒体Pが搬送機構2,3のローラ11,12間に挟み込まれながら+X側に搬送される。また、これと同時に走査機構6によってインクジェットヘッド5が印字領域S上をY方向に往復移動する。
この間に、各インクジェットヘッド5において、ヘッドチップ32の駆動電極に駆動電圧を印加する。これにより、アクチュエータプレート51に厚みすべり変形を生じさせ、吐出チャネル55内に充填されたインクに圧力波を発生させる。この圧力波により、吐出チャネル55の内圧が高まり、インクがノズル孔100を通して吐出される。そして、インクが被記録媒体P上に着弾することで、各種情報が被記録媒体P上に記録される。
上述したプリンタ1においては、インクの吐出時等にノズルプレート54の周囲に飛散したインクがノズルプレート54の下面に付着する場合がある。本実施形態において、ノズルプレート54の下面に付着したインクは、撥液膜72上で作用する表面張力により、ノズルプレート54の下面上に濡れ広がるのが抑制される。その結果、ノズルプレート54の下面上に付着したインクがノズル孔100内に進入するのを抑制することができる。
<払拭動作及びノズルプレート54の作用>
インクジェットヘッド5のメンテナンス時等には、インクジェットヘッド5をクリーニング領域Cまで移動させ、ノズルプレート54の払拭動作を行う。具体的には、図5に示すように、クリーニング領域Cに配置されたインクジェットヘッド5に対し、ノズルプレート54の下面54aにワイパ120を摺接させる。すると、ワイパ120が−X側から+X側に移動する過程で、ノズルプレート54の下面54aに付着したインク等を払拭する。これにより、ノズル孔100の吐出性能の維持や回復を行うことができる。
ところで、上述した払拭動作においては、ワイパ120とノズルプレート54との間の摩擦によってノズルプレート54が摩耗する。この際、ノズル孔100の下端開口縁のうちワイパ120の移動方向で下流側に位置する部分(以下、下流部分100aという。)は、ワイパ120が引っ掛かり易い等の理由により、上流部分100bに比べて摩耗の進行が速い。下流部分100a周辺の摩耗により、撥液膜72が削れると、撥液性能が低下する。その結果、ノズル孔100に対して下流部分100a周辺と上流部分100b周辺とで表面エネルギーのバランスが崩れる可能性がある。ノズル孔100周辺での表面エネルギーのバランスが崩れると、インクは親液性の高い部分(下流部分100a周辺)に引っ張られる結果、飛翔曲がりが生じる可能性がある。
ここで、本実施形態では、ノズル孔100に対して−X側(ワイパ120の上流側)に位置する部分に、Y方向の長さがノズル孔100よりも長い窪み部101が形成されている構成とした。
この構成によれば、図7に示すように、ワイパ120による払拭動作の際に、窪み部101の下端開口縁のうちワイパ120の移動方向でワイパ120と対向する部分(内側縁102)を、ノズル孔100の下流部分100a周辺の摩耗領域130に合わせて摩耗させ易くすることができる(摩耗領域131)。これにより、ノズル孔100の下端開口縁のうち、下流部分100a周辺の摩耗領域130と上流部分100b周辺の摩耗領域131と、で摩耗の進行具合を近似させ易くなる。その結果、ノズルプレート54のうちノズル孔100に対して両側での表面エネルギーのバランスを均一化し易い。これにより、長期使用によっても飛翔曲がりが少なく、安定した吐出性能を得ることができるので、ノズルプレート54の長寿命化を図ることができる。なお、本実施形態において、「表面エネルギー」は、撥液性能や親液性能、表面粗さ等、ノズルプレート54の下面54aにおいてインクの伝わりに影響を及ぼすエネルギーである。
特に、本実施形態では、内側縁102がノズル孔100に対して離間する凹形状に形成されている。そのため、ノズル孔100の上流部分100bの形状に倣って内側縁102を形成し易い。この場合には、図8に示すように、内側縁102に起因した上流部分100b周辺での摩耗領域131全体が同等のタイミングで上流部分100bに到達することになる。そのため、摩耗領域130が上流部分100bに到達した場合には、ノズル孔100に対して下流部分100a周辺と上流部分100b周辺との摩耗量の差(表面エネルギーの差)を一斉に小さくできる。
ところで、例えば特許文献1発明のように、撥液性能を維持することを目的として凹部を設けた場合には、仮に凹部内にインク等の汚れが溜まった場合に凹部内での撥液性能も低下し、凹部の効果を有効に発揮させることが難しくなる。
これに対して、本実施形態の窪み部101は、あくまでノズル孔100周辺での撥液膜72の摩耗の進行具合を近似させることを目的としたものであって、窪み部101内での撥液性能が吐出性能に影響を及ぼすものではない。この点においても、本実施形態の構成によれば、長期に亘って安定した吐出性能を得ることができる。
本実施形態では、窪み部101が各ノズル孔100に対して−X側のみに1つずつ設けられている構成とした。
この構成によれば、各ノズル孔100に対してX方向の両側にそれぞれ窪み部を設ける場合に比べ、ノズル孔100を狭ピッチ化し易い。そのため、インクジェットヘッド5の小型化や高解像度化を実現し易い。
本実施形態では、内側縁102(中央延在部102a)がノズル孔100の曲率半径と同等に形成される構成とした。
この構成によれば、ノズル孔100の下端開口縁のうち、下流部分100a周辺及び上流部分100b周辺での摩耗の進行具合をより近似させ易くなる。その結果、ノズルプレート54のうちノズル孔100に対して両側での表面エネルギーのバランスを均一化し易い。
本実施形態のように、表面エネルギーの異なる複数の層によってノズルプレート54を形成することで、例えば基材71によって強度や加工性を確保しつつ、撥液膜72によって所望の表面エネルギーを確保することができる等、設計自由度を高めることができる。
本実施形態では、ノズルプレート54が、基材71と、基材71の下面71aを覆う撥液膜72と、を備える構成とした。
この構成によれば、撥液膜72によってノズルプレート54の表面エネルギーを低下させることができる。その結果、ノズルプレート54の下面54aに付着したインクがノズル孔100内に進入するのを抑制できる。また、ワイパ120の払拭動作の際に、インクを効率的に払拭できる。
しかも、本実施形態では、ノズルプレート54の表面エネルギーを基材71とは別の撥液膜72によって異ならせることで、ノズルプレート54の厚さや材料選択の自由度を向上させることができる。
本実施形態では、基材71に形成された凹部110の内面が撥液膜72により覆われて窪み部101が形成された構成とした。
この構成によれば、内面が撥液膜72により構成された窪み部101を形成できる。これにより、窪み部101内にインク等が滞留するのを抑制できる。その結果、窪み部101に滞留したインクがワイパ120による払拭動作の際にノズルプレート54の下面54a上に広がるのを抑制できる。
本実施形態のインクジェットヘッド5では、上述したノズルプレート54を備えているため、長期に亘って安定した吐出性能を発揮できるインクジェットヘッド5を提供できる。
本実施形態のプリンタ1では、上述したインクジェットヘッド5を備えているため、高性能で信頼性に優れたプリンタ1を提供できる。
(変形例)
次に、第1実施形態の変形例について説明する。
図9に示すように、窪み部101は、一つのノズル孔100の周囲に複数配置されていてもよい。図9に示す例において、窪み部101は、ノズル孔100に対して四方にそれぞれ配置されている。但し、窪み部101は、ノズル孔100の周囲に少なくとも2つ配置されていればよい。
隣り合う窪み部101のうち、向かい合う端部101a同士は、互いに連なっていても、離間していてもよい。仮に窪み部101同士が連なっている場合、一の窪み部101の外側延在部102bと他の窪み部101の外側延在部102bとの間において、曲率半径が変化する部分(変曲点)が、隣り合う窪み部101同士の境界となる。
本変形例のように、各ノズル孔100の周囲に窪み部101を複数配置することで、ノズルプレート54が搭載されるプリンタ1によってワイパ120の移動方向が異なる場合であっても、同一のノズルプレート54により上述した作用効果を発揮させることができる。これにより、ワイパ120の移動方向によって、ノズル孔100に対する窪み部101の位置が異なる複数種類のノズルプレート54を製造する場合に比べ、製造効率の向上を図ることができる。なお、窪み部101を複数有する場合には、各窪み部101について、窪み部101とノズル孔100とが向かい合う方向が「第1方向」となり、平面視で「第1方向」に直交する方向が「第2方向」となる。そして、ワイパ120の移動方向は、何れかの窪み部101の第1方向に一致させることが好ましい。
また、図10に示すように、窪み部101は、内側縁102及び外側縁103が互いに平行に延在する構成であってもよい。この場合、窪み部101の溝幅(内側縁102及び外側縁103間の距離)は全体に亘って一様に形成される。
さらに、窪み部101は、内側縁102がノズル孔100に対して凹形状に形成されていればよい。この場合、図11に示す窪み部101において、外側縁150は、内側縁102に向かい合う位置で直線状に延びる直線部150aと、直線部150aの端部と内側縁102の端部同士を接続する接続部150bと、を備えている。
本変形例によれば、外側縁150の寸法管理に余裕を持たせることができるので、内側縁102を高精度に形成し易くなる。
(第2実施形態)
図12は、第2実施形態に係るノズルプレート54の底面図である。本実施形態では、窪み部201の内側縁210がノズル孔100に向けて突出する凸形状に形成されている点で上述した第1実施形態と相違している。
図12に示す窪み部201において、内側縁210はノズル孔100に向けて突出する円弧状に形成されている。内側縁210とノズル孔100(上流部分100b)とのX方向での距離は、内側縁210におけるY方向の中央部で最小となっている。図示の例において、内側縁210の曲率半径は、ノズル孔100の曲率半径よりも大きくなっている。但し、内側縁210の曲率半径は、適宜変更が可能である。
外側縁211は、直線部213と、接続部214と、を備えている。
直線部213は、内側縁210に対して−X側でY方向に直線状に延在している。
接続部214は、直線部213におけるY方向の両端部からそれぞれ+X側に延在している。各接続部214の+X側端部は、内側縁210におけるY方向の両端部にそれぞれ接続されている。接続部214(外側縁211)と内側縁210との接続部分は、窪み部201の端部201aを構成している。本実施形態においても、窪み部201の端部201aは、ノズル孔100に対してY方向の外側に位置している。
本実施形態では、図13に示すように、ワイパ120による払拭動作の際に、窪み部201の下端開口縁のうちワイパ120の移動方向と対向する部分(内側縁210)を、ノズル孔100の下流部分100a周辺の摩耗領域130に合わせて摩耗させ易くできる。
この場合、本実施形態では、内側縁210がノズル孔100に向けて突出する凸形状に形成されている。そのため、図14に示すように、上流部分100b周辺における摩耗領域131の一部(内側縁210のうちノズル孔100との最小距離部分)を速やかにノズル孔100の上流部分100bに到達させることができる。これにより、ノズル孔100に対して下流部分100a周辺と上流部分100b周辺との摩耗量の差を早期に小さくできる。これにより、長期使用によっても飛翔曲がりが少なく、安定した吐出性能を得ることができるので、ノズルプレート54の長寿命化を図ることができる。
(変形例)
次に、本実施形態の変形例について説明する。
第2実施形態に係る窪み部201についても、図15に示すように、ノズル孔100の周囲に複数配置されていてもよい。
本実施形態の窪み部201は、少なくとも内側縁210が凸形状に形成されていればよく、例えば図16に示すように、外側縁211が円弧状に形成されていてもよい。この場合、外側縁211は、図16に示すようにノズル孔100から離間する側に凸の円弧状でもよく、ノズル孔100に接近する側に凸の円弧状であってもよい。なお、各変形例においても、内側縁210と外側縁211との接続部分が、窪み部201の端部201aを構成している。
上述した実施形態では、内側縁210が円弧状に形成されている構成について説明したが、この構成に限られない。例えば図17に示す窪み部201のように、ノズル孔100に向けて凸の三角形状に形成されていてもよい。この場合、内側縁250は、ノズル孔100に近接した頂部250aと、頂部250aに連なる一対の挟辺250bと、を備えている。
挟辺250bは、ノズル孔100から離間するに従い互いに離間する側に延在している。
本変形例によれば、頂部250a周辺をより積極的に摩耗させることができるので、ノズル孔100の上流部分100bに対して速やかに摩耗を到達させることができる。なお、図17の例では、窪み部201が三角形状に形成された構成について説明したが、この構成に限られない。例えば図18に示すように、頂部250aが直線状に延びる台形状に窪み部201を形成してもよい。この場合においても、頂部250a及び挟辺250bからなる内側縁250は、ノズル孔100に向けて突出する凸形状となる。
(第3実施形態)
図19は、第3実施形態に係るノズルプレート54の断面図である。本実施形態では、ノズルプレート54を構成する母材300に対して表面処理が施されている点で上述した実施形態と相違している。
図19に示すノズルプレート54は、母材300と、改質層301と、を備えている。
母材300は、上述した基材71と同様に、樹脂材料や金属材料等により形成されている。
改質層301は、母材300の下層部分に対して表面処理を施すことで形成されている。改質層301は、母材300に対して表面エネルギーが異なっている。改質層301としては、撥液処理や親液処理によって表面エネルギーを調整してもよく、表面粗さを調整することによって表面エネルギーを調整してもよい。
本実施形態においても、上述した第1実施形態と同様に、表面エネルギーの異なる複数の層によってノズルプレート54を形成することで、例えば母材300によって強度や加工性を確保しつつ、改質層301によって所望の表面エネルギーを確保することができる等、設計自由度を高めることができる。
しかも、本実施形態では、表面改質によってノズルプレート54の表面エネルギーを調整することで、ノズルプレート54の薄型化が可能になる。
なお、本開示の技術範囲は上述した実施形態に限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上述した実施形態では、液体噴射記録装置の一例として、インクジェットプリンタ1を例に挙げて説明したが、プリンタに限られるものではない。例えば、ファックスやオンデマンド印刷機等であっても構わない。
上述した実施形態では、被記録媒体Pが紙の場合について説明したが、この構成に限られない。被記録媒体Pは、紙に限らず、金属材料や樹脂材料であってもよく、食品等であってもよい。
上述した実施形態では、噴射孔プレート及び液体噴射ヘッドが液体噴射記録装置に搭載された構成について説明したが、この構成に限られない。すなわち、噴射孔プレートや液体噴射ヘッドから噴射される液体は、被記録媒体に着弾させるものに限らず、例えば調剤中に配合する薬液や、食品に添加する調味料や香料等の食品添加物、空気中に噴射する芳香剤等であってもよい。
上述した実施形態では、エッジシュートのヘッドチップについて説明したが、これに限られない。例えば、吐出チャネルにおける延在方向の中央部からインクを吐出する、いわゆるサイドシュートタイプのヘッドチップに本開示を適用しても構わない。
また、インクに加わる圧力の方向と、インクの吐出方向と、を同一方向とした、いわゆるルーフシュートタイプのヘッドチップに本開示を適用しても構わない。
上述した実施形態では、Z方向が重力方向に一致する構成について説明したが、この構成のみに限らず、Z方向を水平方向に一致させても構わない。
上述した実施形態では、ノズルプレート54の下面54aが撥液性を有する構成について説明したが、この構成に限られない。ノズルプレート54の下面54aが親液性を有していてもよい。また、ノズルプレート54は、基材71や母材300の単層構造であってもよい。
その他、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した各変形例を適宜組み合わせても構わない。
1…インクジェットプリンタ(液体噴射記録装置)
5…インクジェットヘッド(液体噴射ヘッド)
54…ノズルプレート(噴射孔プレート、プレート本体)
54a…下面(噴射面)
71…基材(第1領域)
71a…下面(基材表面)
72…撥液膜(第2領域、保護膜)
100…ノズル孔(噴射孔)
101…窪み部
101a…端部
102…内側縁(対向縁)
110…凹部
120…ワイパ
201…窪み部
210…内側縁(対向縁)
250…内側縁(対向縁)
250a…頂部
250b…挟辺
300…母材(第1領域)
301…改質層(第2領域)

Claims (12)

  1. 液体を噴射する噴射孔が形成されたプレート本体を備え、
    前記プレート本体のうち、液体の噴射方向で下流側を向く噴射面に沿う方向で互いに交差する方向に第1方向及び第2方向を有し、
    前記プレート本体のうち、前記第1方向で前記噴射孔に対して一方側に位置する部分には、前記噴射面に対して窪んだ窪み部が形成され、
    前記窪み部は、前記第1方向から見て前記噴射孔全体と重なり合うとともに、前記第2方向における前記噴射孔よりも外側に両端部を有し、
    前記窪み部の開口縁のうち、前記第1方向で前記噴射孔の開口縁と向かい合う対向縁は、前記噴射孔に向けて膨出する凸形状、及び前記噴射孔から離間する凹形状の何れかに形成されている噴射孔プレート。
  2. 前記噴射孔は、前記第1方向に間隔をあけて複数形成され、
    前記窪み部は、複数の前記噴射孔のそれぞれに対して前記第1方向の一方側のみに1つずつ設けられている請求項1に記載の噴射孔プレート。
  3. 前記噴射孔は、前記第1方向に間隔をあけて複数形成され、
    前記窪み部は、複数の前記噴射孔それぞれの周囲に複数ずつ設けられている請求項1に記載の噴射孔プレート。
  4. 前記対向縁は、前記噴射孔における下流開口縁の曲率半径と同等の曲率半径に形成された凹形状である請求項1から請求項3の何れか1項に記載の噴射孔プレート。
  5. 前記対向縁は、
    頂部と、
    前記頂部から前記第1方向で前記噴射孔から離間するに従い前記第2方向で互いに離間する方向に延在する一対の挟辺と、を備えている請求項1から請求項3の何れか1項に記載の噴射孔プレート。
  6. 前記対向縁は、前記第1方向で前記噴射孔に向けて突出する円弧状に形成されている請求項1から請求項3の何れか1項に記載の噴射孔プレート。
  7. 前記プレート本体は、
    第1領域と、
    前記第1領域に対して前記噴射方向の下流側に位置するとともに、前記噴射面を構成する第2領域と、を備え、
    前記第2領域は、前記第1領域に対して表面エネルギーが異なる請求項1から請求項6の何れか1項に記載の噴射孔プレート。
  8. 前記プレート本体は、
    前記第1領域を構成する基材と、
    前記第2領域を構成するとともに、前記基材のうち前記噴射方向の下流側を向く基材表面を覆う保護膜と、を備えている請求項7に記載の噴射孔プレート。
  9. 前記窪み部は、前記基材に形成された凹部の内面が前記保護膜に覆われて構成され、
    前記凹部の深さは、前記保護膜の厚さよりも深い請求項8に記載の噴射孔プレート。
  10. 前記プレート本体は、
    前記第1領域を構成する母材と、
    前記母材における前記噴射方向の下流側に位置する表層部分が改質されることで前記第2領域を構成する改質層と、を備えている請求項7に記載の噴射孔プレート。
  11. 請求項1から請求項10の何れか1項に記載の噴射孔プレートを備えている液体噴射ヘッド。
  12. 請求項11に記載の液体噴射ヘッドを備えている液体噴射記録装置。
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