JP2006103320A - インクジェットヘッド、インクジェットプリンタおよびインクジェットヘッドの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 フェイス濡れに起因する不吐出等を防止する。
【解決手段】 本発明のインクジェットヘッドは、インク滴を吐出するインクノズル101を有し、前記ノズル101に連通し、撥水面101に形成された吐出口から被プリント媒体Pに対してインクを吐出するインクジェットヘッド100において、撥水面101に対して凹状となるようにインクノズル101が形成されているノズルプレート104に、親水溝10が形成されていることを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】 本発明のインクジェットヘッドは、インク滴を吐出するインクノズル101を有し、前記ノズル101に連通し、撥水面101に形成された吐出口から被プリント媒体Pに対してインクを吐出するインクジェットヘッド100において、撥水面101に対して凹状となるようにインクノズル101が形成されているノズルプレート104に、親水溝10が形成されていることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、インクジェットヘッド、インクジェットプリンタおよびインクジェットヘッドの製造方法に関する。具体的には、主走査方向に配列されている複数のノズルアレイの各々に多数のインクノズルが副走査方向に配列されているインクジェットヘッド、インクジェットプリンタおよびインクジェットヘッドの製造方法に関する。
インクジェットプリンタとして、従来から、インクジェットヘッドをキャリッジに搭載して主走査方向に往復移動させるとともに、被記録媒体を副走査方向に移動させ、インクジェットヘッドから吐出されるインク滴で被記録媒体に記録を行うものがある。
上述のプリンタに用いられるインクジェットヘッドは、インクノズルが副走査方向に配列されてノズルアレイを形成しており、カラー記録を行うために、ノズルアレイが主走査方向に複数配列されている構成が一般的である。このようなヘッドの中には、特許文献1に記載されているように、カラーインクを吐出するノズルを、半ピッチずらして左右対称に配置するものもあり、往復印字を行うのに極めて優れた性能を有するものである。
このようなインクジェットヘッドの中には、特許文献2に記載されているように、吐出口からの蒸発を抑制して不安定な吐出を防止するために、吐出口の近くに蒸発抑制溝を備えているものが知られている。また、流路となる型の上に樹脂を塗布後、型を除去して流路を形成するインクジェットヘッドの製造方法において、樹脂の膜厚を均一化するためにノズルの表面(以下、フェイス面と称す)に溝を設けることが特許文献3に開示されている。
さて、インクジェットヘッドで記録を行うと、主たるインク滴に付随して、主たるインク滴より遅れて飛翔する微小なインク滴が発生する場合がある。また、さらに主たるインク滴の被記録媒体への着弾の際に、インクが跳ね返る現象により、微小なインク滴が発生する場合もある。これらの微小なインク滴はインクミストと呼ばれており、キャリッジ移動及び吐出する液滴自身による気流によって、フェイス面に付着する。さらに、フェイス面上のインクミストは集合しインク溜り(以下、フェイス濡れと称す)となる場合がある。このフェイス濡れが使用する吐出口近傍に付着すると、インクを吐出する際に吐出方向が乱れ、記録上所望の位置に着弾しないヨレを生じてしまう等の問題がある。そのため、フェイス面を撥水面にすることで吐出口近傍に残るインクミストを少なくし、吐出性能への影響を少なくする方法が用いられている。
特開2001−171119号公報
特開平11−5307号公報
特開平09−001809号公報
しかしながら、本発明者らは、撥水面上においてインクミストが集中的に付着した際に、次のような現象が発生する場合があることを見出した。
すなわち、インク吐出を行うための駆動周波数を極端に高くするなどしてフェイス濡れを発生させた場合,フェイス濡れの径が100μm程度に達すると、ヘッドの往復走査時の慣性力などによりインクミストがフェイス面上を移動しやすくなる。そのため、周りのフェイス濡れと合体することで、さらに大きなフェイス濡れに成長する。このように成長したフェイス濡れがフェイス面に存在すると、場合によってはノズル内に気泡が存在している状態で濡れが吐出口に対し蓋をしてしまい、記録中に不吐を生じさせる要因にもなりうる。このような現象は、前述の特許文献2や特許文献3に開示される構成でも発生する恐れがあった。
この課題は、フェイス面をブレードなどでクリーニングしたり、インク吸引を行ったりという、いわゆる回復処理を行うことによって解決できるが、記録動作中に頻繁に回復処理を行うようでは印字速度が犠牲となってしまう。今後のインクジェットヘッドはより一層の高画質化,高速化のために従来よりもノズル数がさらに増えることが予想されるが、それに伴い上記の問題が顕著となってくる。そこで、従来とはまったく異なる解決方法が求められていた。
本発明の目的は、上記課題を解決し、高周波数で連続してインクを吐出させても、回復処理を頻繁に行うことなく吐出状態を安定に保つことを可能とするインクジェットヘッド、インクジェットプリンタおよびインクジェットヘッドの製造方法を提供することである。
上述の目的を達成するために、本発明のインクジェットヘッドは、被記録媒体に対して相対的に移動する際に任意のインクノズルから前記被記録媒体にインク滴を吐出するインクジェットヘッドであって、多数の前記インクノズルが配列されたノズルアレイを前記相対的な移動方向に複数備え、前記複数のノズルアレイ間に、凹状をなす親水性の溝が前記副走査方向に向けて連続的に形成されており、該溝の毛管力は、中央部よりも端部部が高いことを特徴とする。
また、本発明のインクジェット記録装置は、上述のインクジェットヘッドを用いるとともに、前記インクジェットヘッドを主走査方向に移動させる主走査機構と、前記インクジェットヘッドと対向する位置で前記被記録媒体を副走査方向に移動させる副走査機構と、前記インクジェットヘッドと前記主走査機構と前記副走査機構との動作を統合制御する統合制御回路と、前記吐出口の機能を回復するためのキャップ手段と、を備え、前記インクジェットヘッドは、前記複数のノズルアレイが前記主走査方向に並ぶように前記主走査機構に保持されていることを特徴とするものである。
また、本発明のインクジェットヘッドの製造方法は、インク滴を吐出するノズルを有し、前記ノズルに連通し、撥水性の表面に形成された吐出口から被記録媒体に対してインクを吐出するインクジェットヘッドの製造方法において、前記表面に凹状の親水性の溝を形成する工程を含むことを特徴とするものである。
本発明によれば、吐出口が形成された撥水性の表面に凹状の親水性の溝が形成されていることでフェイス濡れに起因する不吐出を防止することができる。よって、高周波数で連続してインクを吐出させた際でも、フェイス面のクリーニングおよびインク吸引を頻繁に行うことなく吐出状態を安定に保つことが可能となる。
以下,図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。なお,以下の説明では、同様の機能を有する構成要件には同一の符号を付与し、その説明を省略する。
[第1の実施形態]
図1は、本実施形態におけるインクジェットヘッドのインクノズル及び親水溝のパターンを示す平面図である。図2は、本実施形態のインクジェットヘッドが有するインクノズルの配列パターンを示す平面図である。図3は、本実施形態のインクジェットヘッドのインクノズル及び親水溝のパターンを示す断面図であり、(a)は図1のA−A断面図、(b)は図1のB−B断面図である。
[第1の実施形態]
図1は、本実施形態におけるインクジェットヘッドのインクノズル及び親水溝のパターンを示す平面図である。図2は、本実施形態のインクジェットヘッドが有するインクノズルの配列パターンを示す平面図である。図3は、本実施形態のインクジェットヘッドのインクノズル及び親水溝のパターンを示す断面図であり、(a)は図1のA−A断面図、(b)は図1のB−B断面図である。
図1に示すように、本実施形態のインクジェットヘッド100は、フルカラー印刷に対応した往復タイプに形成されており、各々が副走査方向に配列された多数のインクノズル101からなる10列のノズルアレイ102が主走査方向に配列されている。詳細には、図2に示すように、10列のノズルアレイ102が、三原色であるY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)色のインク滴D(例えば図9(a)参照)を個々に吐出するノズルアレイ102−Y、102−M、102−Cからなる。そして、これらY、M、C用のノズルアレイ102−Y、102−M、102−CがY用を中心に主走査方向で対称に配列されている。すなわち、主走査方向の一方から他方までは、ノズルアレイ102−CL1、102−CS1、102−ML1、102−MS1、102−YL1、102−YL2、102−MS2、102−ML2、102−CS2、102−CL2、の順番に配列されている。なお、M、C用のノズルアレイ102−M、102−Cのインクノズル101は、直径が約“10(μm)”の円形に形成されている。
また、本実施形態のインクジェットヘッド100では、各ノズルアレイ102にインクノズル101が600dpi(dot per inch)の密度で配列されているので、各ノズルアレイ102でのインクノズル101の配列間隔Tは約42μmとなっている。
また、本実施形態のインクジェットヘッド100では、ノズルアレイ102−Lの配列ピッチおよびノズルアレイ102−Sの配列ピッチはおよそ1.4mmであり、隣接する同色のノズルアレイ102の配列ピッチはおよそ0.25mmである。このとき、隣接する同色のノズルアレイ102−Lおよびノズルアレイ102−S間にはインク供給口111が配置されている。
つまり、同一インク供給口111に対応するノズル101−Lとノズル101−Sは主走査方向に対し、千鳥格子状に周期約21μmで並んでいる。
また、図1および図3に示すように、各色Y、M、C用のノズルアレイ102−Y、102−M、102−Cの周囲には、前述の特許文献3に開示される凹部12が設けられている。本実施形態ではノズルからおよそ150μmの位置に、その幅が一定な(およそ100μm)にて設けられている。
本発明の特徴である親水溝10は、図1に示すように、各インクの異色のノズル列間(102−Cと102−M、102−Mと102−Y)の4箇所に、すなわち、異色のノズル列間のほぼ中間部分にそれぞれ2本ずつ略平行に設けられている。なお、この中間とは、2本の親水溝10の間の中心線がノズル列間の略中間に位置するものである。また、親水溝10が1本の構成の場合には、この中間位置は、親水溝10の中心線を意味するものとなる。さらに、3本以上の親水溝10が形成されている場合も同様に、溝数が偶数の場合は、真ん中の2本の親水溝10の間の中心線がノズル列間の略中間に位置するものであり、溝数が奇数の場合は真ん中に位置する親水溝10の中心線を意味する。
これら親水溝10の副走査方向を法線とする断面の断面積は主走査方向に向けて一定でない。すなわち、図3(a)、(b)に示すように、これら親水溝10のノズル列方向の幅は、列中央部分が最も広く、列端部へ行くほど狭くなっている。
親水溝10の副走査方向の間隔、つまり親水溝10になっていない撥水面の幅は500μm以上になると、多量のフェイス濡れが生成してしまう。そこで、本実施形態では、撥水面11のノズル列中央付近における主走査方向の幅は200μm以上とならないように親水溝10の幅を設定した。その結果、親水溝10は中心部(図3(b)のt2)が120μm、端部(図3(a)のt1)が80μm程度の溝を2本並列する構成とした。すなわち、ノズルアレイの親水溝10の側の接線から、親水溝10のノズルアレイ側の稜線までの間の、撥水面の幅は500μm以下であり、親水溝10の幅は500μm以下である。また、各親水溝10の間の撥水面の幅は500μm以下である。
また、この親水溝10の断面積は中央部が最も大きく、端部ほど小さくなる構成を有し、長手方向の長さはノズル列と同じか若干長い。ちなみに、ノズルプレート104の断面部分には撥水処理を施さない。また、親水溝10の底面10aおよび側壁面10bにも撥水処理は施していない。すなわち、親水溝10の底面10aおよび側壁面10bはノズルプレート表面と比較して相対的に親水性を呈する。なお、底面10aあるいは側壁面10bのいずれか一方のみ親水性とするものであってもよい。
インクミストはこの親水溝10に回収されると親水溝10のノズルプレート断面に沿って溜る。さらに親水溝10は、端部に向かうほど断面積を小さくしているので、親水溝10の中央部に付着したインクミストが親水溝10のノズルプレート断面に沿って流れて長手方向の両端部へ溜りやすい構造にしている。
このような親水溝10を有することで、フェイスミストが付着しやすい親水溝10の中央部のインクミストをノズル列方向に分散させることができる。その結果、親水溝10の中央部に局所的にフェイスミストが溜まりすぎて溢れてしまい、多量のフェイス濡れの生成を助長してしまうことを防ぐことができる。
ここで、ノズルプレート製造上、凹部12を設けない場合には、各色YMC用のノズルアレイ102−Y、102−M、102−C間の撥水面積は大きくなってしまうため、親水溝10の幅を広げると好適である。もしくは親水溝10を上述の凹部12の位置に設けるものであってもよい。
次に、図4及び図5を用いて本実施形態のインクジェットヘッドの製造方法について説明する。
図4にインクジェットヘッドの内部構造を示す。図4(a)はシリコン基板の平面図であり、図4(b)はインクジェットヘッドの縦断正面図である。本実施形態のインクジェットヘッド100は、図4(b)に示すように、ノズルプレート104とシリコン基板105とを有しており、これらが積層されている。インクノズル101はノズルプレート104に形成されており、隣接する同色のノズルアレイ102ごとにノズルプレート104の内部で一体に連通されている。
シリコン基板105は、例えば、〈100〉シリコンからなり、図4(a)に示すように、その表面にはインクノズル101の位置ごとにインク吐出手段である発熱素子107−L、107−Sが形成されている。この発熱素子107−L、107−Sがインクを発泡させることにより、インクノズル101からインク滴Dが吐出される。本実施形態では、大径のインクノズル101−Lに対応した発熱素子107−Lの大きさは22×22μm、小径のインクノズル101−Sに対応した発熱素子107−Sの大きさは20×20μmである。
これらの発熱素子107-L、107−Sに主走査方向で隣接する位置には駆動回路108が形成されており、この駆動回路108に隣接する発熱素子107-L、107−Sが結線されている。また、シリコン基板105表面の副走査方向両端近傍の位置には、多数の接続端子109が形成されており、その接続端子109に駆動回路108が結線されている。
シリコン基板105には、隣接する同色のノズルアレイ102ごとにインク供給路111が形成されているので、図4(a)に示すように、このインク供給路111は隣接する同色のノズルアレイ102に共通に連通している。なお、このインク供給路111は、〈100〉シリコンからなるシリコン基板105に異方性エッチングにより形成されているので、図4(b)に示すように、その断面形状は台形となっている。
このようなインクジェットヘッドの製造方法としては、まず、図5(a)に示すようにシリコン基板105上に発熱素子107として電気熱変換素子(TaN)を配置し、さらに保護層としてSiN層、Ta層(不図示)を形成した。次いで図5(b)に示すようにシリコン基板105上に密着層108としてポリエーテルアミドの樹脂層を形成した。次いで、図5(c)に示すように、この密着層108を、レジストなどを用いてパターニングした。
次いで図5(d)に示すように、基板105上に東京応化工業(株)ポジレジストODUR13を塗布した後、図5(e)に示すようにマスク材106を用いて露光し、現像を行うことでインク流路22パターンを形成した(図5(f))。この際、後述する流路構成部材14の平面性を高めるために、インク流路22のパターンからおよそ150μmの位置におよそ100μm幅のポジレジストODUR13を残している。
次に、図5(g)に示すように、エポキシ樹脂からなる流路構成部材14を基板105上に形成し、マスク材106を用いた露光、現像工程によって吐出口15を形成した(図5(h))。この際、同様にマスク材106を用いて吐出口列周囲に任意のパターンを設け、本発明の特徴であるノズルプレートの親水溝10を形成した。
次いで基板105をSi異方性エッチングによりエッチングしインク供給口10を形成した(図5(i))。
さらに流路構成部材14のフェイス面に対して、シリコンゴム等の可撓性部材上に塗布した撥水剤を転写し、乾燥や硬化等の工程を経てインクジェットヘッドの撥水処理を行った。以上によりノズルプレートの製造工程が完了する。
次に本実施形態のインクジェットヘッドを搭載するインクジェットプリンタ、インクジェットカートリッジなどについて、図6〜図8を用いて説明する。
本実施形態のインクジェットヘッド100は、図6に示すように、インクジェットプリンタ200の一部として形成されており、図6および図7に示すように、本実施形態のインクジェットプリンタ200のキャリッジ201に搭載されている。
すなわち、本実施形態のインクジェットヘッド100は、より詳細には、図8に示すように、ヘッド本体202に装着されており、図7に示すように、このヘッド本体202がキャリッジ201に装着されている。キャリッジ201には、Y、M、C用のインクカートリッジ202−Y、202−M、202−Cが着脱自在に装着されている。そして、インクカートリッジ202−Y、202−M、202−CからYMC色のインクがインクジェットヘッド100のYMC用のノズルアレイ102−Y、102−M、102−Cに各々供給される。
また、図6に示すように、本実施形態のインクジェットプリンタ200は、主走査機構204と副走査機構205とを有している。主走査機構204は、キャリッジ201を主走査方向に移動自在に支持しており、副走査機構205は、インクジェットヘッド100と対向する位置で被プリント媒体Pを副走査方向に移動させる。
さらに、本実施形態のインクジェットプリンタ200は、マイクロコンピュータやドライバ回路などからなる統合制御回路を有している(図示せず)。この統合制御回路により、インクジェットヘッド100、主走査機構204および副走査機構205の動作を統合制御する。
上述のような構成において、本実施形態のインクジェットプリンタ200は、被プリント媒体Pの表面にカラー画像を形成することができる。その場合、副走査機構205により被プリント媒体Pを副走査方向に移動させるとともに、主走査機構204によりインクジェットヘッド100を主走査方向に往復移動させる。このとき、インクジェットヘッド100のインクノズル101から被プリント媒体Pにインク滴Dを吐出させるので、このインク滴Dが被プリント媒体Pに付着することでドットマトリクスのカラー画像が形成される。
本実施形態のインクジェットヘッド100は、図2に示したように、前述のようにインク滴Dが同色で同径の左側と右側とのノズルアレイ102−1、102−2では、インクノズル101の配列の周期Tが同一で位相が半周期分tだけ相反している。このため、上述のように全部のノズルアレイ102を同時に稼働させることで、インク滴Dによる画素を被プリント媒体Pに副走査方向に周期tで配列することができる。
さらに、本実施形態のインクジェットプリンタ200は、Y、M、C色の画素の密度を調節することで二次色を疑似的に形成する。ちなみにさらなる高画質を実現する際には、この目安としてドット径約20μmが適当である。これは画素視認性の観点からドット径約20μmで下限に達するためである。これはにじみ率約2%の紙面上に打ち込まれたと仮定すると吐出量下限は約0.5pl相当である。
本実施形態のインクジェットプリンタ200は、複数の動作モードが切換自在に設定され、その動作モードに対応して各種の記録動作が実行される。例えば、高画質モードでは、インクジェット100が主走査方向に往復移動されるとき、その往路と復路との両方で全部のノズルアレイ102が低デューティにて数回の走査することで稼働される。
一方、複数の動作モードのうち、高速モードでは最小限の主走査回数で画像を形成したいため、インクジェット100が主走査方向に往復移動されるとき、1度の主走査で高デューティな記録をしなくてはならない。特に、ドット径20μm程度の小液滴量の吐出するヘッドで達成しようとした場合、単色の記録でも複数のノズル列(例えば101−CL1、101−CS1、101−CL2、101−CS2)を用いて記録をすることとなる。
また、二次色等の記録の際には、さらに使用ノズル列数が増えてしまう。この場合、使用列の間隔によって、インクミスト20(図9参照)の撥水面11への付着の仕方が異なることは本発明者等の検討で確認されている。
以下、使用ノズル間隔によるミストの付着を説明する。同一吐出量のノズルにて、周波数、デューティ、ノズル列数を同一とし、ヘッドと被プリント媒体P間を約1.7mmで記録を行った後のフェイス濡れ21の様子を比較する。図9(a)に示すように使用ノズル列間が十分広い場合、インクミスト20は比較的広範囲に付着することで、大きなフェイス濡れ21(図10参照)は少ない。一方、図9(b)に示すように使用ノズル列間が狭い場合、吐出、及びヘッドの往復移動に伴って生じる気流が干渉し強め合うことで、フェイス面への上昇気流が助長される。さらにヘッドの走査とインクの吐出に伴う気流の作用により、インクミスト20はノズル列の中心部分に集中しやすくなる。
その結果、図10に示すようにシアンインク用のノズル列102−Cとマゼンタインク用のノズル列102−Mを同時に用いた記録の後には両色のノズル列間には特にインクミスト20が集中しやすく、大きなフェイス濡れ21の発生も多くなってしまう。特に駆動周波数30kHz、ノズル列102−Cとノズル列102−Mを同時100%デューティにて記録を行った際、撥水面11が500μm以上ある構成では、フェイス濡れ21が多量に集まることが観測された。
本発明の特徴である親水溝10は、上述のような高周波数、高デューティな記録の際に、特に効果を示す。すなわち、溝の中央部より端部の方が毛管力が高いため、溜まったインクミスト20はノズルプレート構成材の壁部分を伝わり中心部から端部へ向かって溜りやすくなっている。そのため、図11(a)に示すような従来のインクミスト20が撥水面11上にて多量に溜まりやすい場合にも、図11(b)に示すように多量に溜まる前に親水溝10を介して記録ヘッドの端部へインクを移動させることが出来る。
よって、従来の構成ではインクミスト20が溜り易く、多量なフェイス濡れ21により、ヨレや不吐が発生していたのに対し、本発明の構成によって、多量なフェイス濡れ21の発生を押さえることが可能となる。しかもインクミスト20が集中するインクジェットヘッドの中央域には留めない構造によって、親水溝10からのインクミスト20の溢れも防止することで、フェイス面11上のフェイス濡れ21防止の効果を一層高めている。
その結果として、高画質化と高速化を実現する際に課題となる小液滴ノズルの高周波数駆動時においてもインクミストによるフェイス濡れが引き起こす不吐現象を抑制し、記録持続性能を高めることができる。
例えば、シアンインク用のノズル列102−Cとマゼンタインク用のノズル列102−Mを同時に用いた高デューティな記録の際には、本実施形態は従来の形態と比較して2倍以上のベタ記録持続性能を示した。
なお、本発明は上記ヘッド形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で各種の変形を許容する。例えば、上記形態では画質への影響が少ないY色のためには多量ノズルアレイ102−YL1、102−YL2しか形成していないことにより、インクジェットヘッド100の構造を簡略化することを例示した。しかし、Y、M、C用の全部もしくは部分的に吐出液滴の大きい多量ノズルアレイ102−L1、102−L2と高画質、高階調を達成する少量ノズルアレイ102−S1、102−S2を併せ持って形成すること等も可能である。
同様に、本実施形態ではインクジェットプリンタ200のY、M、C用のインクジェットヘッド100のみ搭載することを例示したが、さらにK(ブラック)用のインクジェットヘッドを搭載することも可能である。また、Y、M、C以外の色用のインクジェットヘッドを搭載することも可能である(図示せず)。
さらに、本実施形態ではインクジェットプリンタ200がインクジェットヘッド100を主走査方向に往復移動させるときに全部のノズルアレイ102を常時稼働させることを例示した。しかし、例えば、図1でインクジェットヘッド100が右側に移動するときには右側のノズルアレイ102−1のみ稼働させ、左側に移動するときには左側のノズルアレイ102−2のみ稼働させるようなことも可能である。
また、本実施形態ではインクノズル101からインク滴Dを吐出させるインク吐出手段として発熱素子107を例示したが、これを振動素子(図示せず)とすることも可能である。
従来、印刷時に複数のノズル列をほぼ同時に吐出させた際、各ノズルアレイの間には局所的にインクミストが撥水性を有する表面(フェイス面)に付着し、集合することでフェイス濡れが発生する場合があった。本発明によれば、フェイス濡れがフェイス面上を移動しやすくなる数百μm程度以上に集合する前にフェイス濡れを分散し、多量に集合したフェイス濡れが撥水面上を移動することを防止することが可能となる。すなわち、本発明は以上説明したようにフェイス面に形成された親水性の溝によってフェイス濡れを捕捉することで、多量なフェイス濡れが原因となり引き起こされる記録中の不吐について改善することができる。
[第2の実施形態]
本実施形態のインクジェットヘッドのインクノズル及び親水溝のパターンを示す平面図を図12(a)に、また、その部分拡大図を図12(b)にそれぞれ示す。
[第2の実施形態]
本実施形態のインクジェットヘッドのインクノズル及び親水溝のパターンを示す平面図を図12(a)に、また、その部分拡大図を図12(b)にそれぞれ示す。
本実施形態のインクジェットヘッドは、ノズル列中央部分とノズル列端部のノズル列方向の全幅は変わらない構成になっている点で第1の実施形態とは異なる。さらに、本実施形態のインクジェットヘッドの親水溝310内部にはノズルプレート構成部材からなる複数の凸部13を設けている点でも異なる。
なお、凸部13同士の間隔、および凸部13と親水溝310全幅のノズルプレート壁部分の間に形成される凹部分(「隙間間隔」と称す)との間隔は、中央部より端部の毛管力が大きくなるように設定されている。すなわち、ノズル列中心部においてはインクミスト20を分散させるよう間隔を広く、一方、ノズル列端部はインクミスト20を保持させるよう間隔を狭く設定する。
なお、親水溝310の主走査方向の全幅は、フェイス濡れ21が撥水面11上を移動しやすくなる200μm以上とならないように設定している。すなわち、幅400μm程度の溝1本を各色のノズル列間に設け、さらに、複数の凸部13の隙間間隔は、ノズル列端部がおよそ20μm間隔、ノズル列中心部はおよそ100μm間隔と段階的に変化するように設けている。
ちなみに、第1の実施形態と同様に、この凹部12を設けない場合には、各色YMC用のノズルアレイ102−Y、102−M、102−C間の撥水面積は大きくなってしまうため、親水溝310の幅を広げると好適である。もしくは親水溝310の数を増やすものであってもよい。
本実施形態によっても、第一の実施形態と同様、従来の形態と比較して2倍以上のベタ記録持続性能を示すことができた。
[第3の実施形態]
図13に本実施形態のインクジェットヘッドのインクノズル及び親水溝のパターンを示す平面図を示す。本実施形態のインクジェットヘッドは、第1の実施形態と比較して、複数の親水溝10を、その端部で連通させる回収溝150と、回収溝に接す吸収部材160とを備えている点が異なっている。
[第3の実施形態]
図13に本実施形態のインクジェットヘッドのインクノズル及び親水溝のパターンを示す平面図を示す。本実施形態のインクジェットヘッドは、第1の実施形態と比較して、複数の親水溝10を、その端部で連通させる回収溝150と、回収溝に接す吸収部材160とを備えている点が異なっている。
本実施形態のインクジェットヘッドでは、親水溝10の中央部にあるインクが、親水溝10の毛管力によって端部に移動した後、回収溝150へと移動する。そして回収溝150に移動したインクは、ウレタンフォームなどの多孔質体などからなる吸収部材160に吸収される。このような構成とすることで、ミスとを確実に吸収部材160に保持することができ、より一層吐出状態を安定に保つことが可能となる。なお、吸収部材160に回収されたインクは、非記録時に蒸発させるようにしても良いし、インクジェットプリンタにポンプ(不図示)等を設けて、記録ヘッドのクリーニングなどの際に回収しても良い。
10、310 親水溝
100 インクジェットヘッド
101 ノズル
104 ノズルプレート
P 被プリント媒体
100 インクジェットヘッド
101 ノズル
104 ノズルプレート
P 被プリント媒体
Claims (10)
- 被記録媒体に対して相対的に移動する際に任意のインクノズルから前記被記録媒体にインク滴を吐出するインクジェットヘッドであって、
多数の前記インクノズルが配列されたノズルアレイを前記相対的な移動方向に複数備え、
前記複数のノズルアレイ間に、凹状をなす親水性の溝が前記副走査方向に向けて連続的に形成されており、
該溝の毛管力は、中央部よりも端部部が高いことを特徴とするインクジェットヘッド。 - 前記溝を挟んだ複数のノズルアレイで、互いに異なる色のインクを吐出する、請求項1に記載のインクジェットヘッド。
- 前記親水性の溝の幅は、中央部よりも端部の方が狭い、請求項1または2に記載のインクジェットヘッド。
- 複数の前記ノズルアレイ間の略中間に前記親水性の溝が形成されている、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のインクジェットヘッド。
- 前記親水性の溝の長手方向の長さは前記ノズルアレイの長さ以上である、請求項1ないし4のいずれか1項に記載のインクジェットヘッド。
- 前記親水性の溝の幅は500μm以下である、請求項1ないし5のいずれか1項に記載のインクジェットヘッド。
- 前記親水性の溝と該溝に隣接するノズルアレイとの間隔は500μm以下である、請求項1ないし6のいずれか1項に記載のインクジェットヘッド。
- 前記親水性の溝は複数設けられているとともに、該複数の親水溝の端部同士を連通させる回収溝をさらに備える、請求項1ないし7のいずれか1項に記載のインクジェットヘッド。
- 請求項1ないし8のいずれか1項に記載のインクジェットヘッドを用いるインクジェット記録装置であって、
前記インクジェットヘッドを主走査方向に移動させる主走査機構と、
前記インクジェットヘッドと対向する位置で前記被記録媒体を副走査方向に移動させる副走査機構と、
前記インクジェットヘッドと前記主走査機構と前記副走査機構との動作を統合制御する統合制御回路と、
前記吐出口の機能を回復するためのキャップ手段と、を有し、
前記インクジェットヘッドが、前記複数のノズルアレイが前記主走査方向に並ぶように前記主走査機構に保持されているインクジェット記録装置。 - インク滴を吐出するノズルを有し、前記ノズルに連通し、撥水性の表面に形成された吐出口から被記録媒体に対してインクを吐出するインクジェットヘッドの製造方法において、
前記表面に凹状の親水性の溝を形成する工程を含むことを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
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JP2005265155A JP2006103320A (ja) | 2004-09-13 | 2005-09-13 | インクジェットヘッド、インクジェットプリンタおよびインクジェットヘッドの製造方法 |
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JP (1) | JP2006103320A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009196353A (ja) * | 2008-01-23 | 2009-09-03 | Canon Inc | 液体噴射記録ヘッド |
US8147034B2 (en) | 2008-06-05 | 2012-04-03 | Canon Kabushiki Kaisha | Liquid discharge recording head and recording apparatus |
JP2013082201A (ja) * | 2011-09-29 | 2013-05-09 | Canon Inc | 液体吐出ヘッドの製造方法 |
WO2014068708A1 (ja) * | 2012-10-31 | 2014-05-08 | 富士機械製造株式会社 | 液滴吐出ヘッドおよび印刷装置 |
-
2005
- 2005-09-13 JP JP2005265155A patent/JP2006103320A/ja active Pending
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