JP2021181083A - 水処理方法 - Google Patents

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光泰 佐原
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Abstract

【課題】薬剤量の低減とともに汚泥発生量を低減しながらも、ホウ素含有水からホウ素を排水基準まで適切に除去することができる水処理方法を提供する。【解決手段】被処理水に、アルミニウム系凝集剤である硫酸アルミニウム、または硫酸アルミニウム以外のアルミニウム系凝集剤と硫酸または硫酸塩を添加するアルミニウム添加工程と、前記アルミニウム添加工程の後に、カルシウム塩を含むpH調整剤を添加することで、pHを10以上に調整してホウ素を共沈させるホウ素共沈工程と、被処理水に、分散助剤を添加する分散助剤添加工程と、を備え、前記分散助剤添加工程は、前記ホウ素共沈工程と同時または前記ホウ素共沈工程より前に実行するように構成されている。【選択図】図1

Description

本発明は、廃棄物が埋め立てられた最終処分場からの浸出水、温泉浴場排水、製紙工場排水、焼結炉排煙脱硫などのホウ素含有水を被処理水とする水処理方法に関する。
特許文献1には、以下のように記載されている。ホウ素は、動植物にとって必須の微量栄養素であるが、その反面、農業用水中に数mg/l以上の濃度で含まれている場合、植物の成長を阻害することが知られている。また、ホウ素を人体に継続的に摂取したとき、健康障害が生じるおそれがあることから、ホウ素の人体摂取量が法令で規制されている。
例えば、水道水の水質基準では水道水に含まれるホウ素濃度が1.0mg/l以下に規制されている。また、海域へのホウ素の排水基準ではホウ素濃度が230mg/l以下、海域外への排水基準ではホウ素濃度が10mg/l以下に規制されている。廃棄物が埋め立てられた最終処分場から浸出する浸出水も20から25mg/l程度のホウ素が含まれている場合がある。
当該特許文献1には、ホウ素とケイ素とを含有するホウ素含有水に硫酸アルミニウムを溶解させる第1工程と、前記第1工程の後、前記ホウ素含有水に水酸化カルシウムを添加し、エトリンガイトを生成してホウ素を共沈させる第2工程と、を備え、前記第1工程においてホウ素に対するアルミニウムの添加モル比を4以上とするホウ素含有水の処理方法が提案されている。
また、特許文献2には、300mg/l以下のホウ素を含有する排水に、硫酸アルミニウム及び消石灰を添加し、アルカリ性に調整する反応工程と、生成した不溶性析出物を固液分離する固液分離工程とを含むホウ素含有排水の処理方法において、前記反応工程は、アルミニウム、カルシウムの存在量1:4〜1:6の重量比に調整し、かつpHを9以上に調整する第一反応工程と、消石灰を添加してpHを12以上に調整する第二反応工程とを有するホウ素含有排水の処理方法が提案されている。
さらに、特許文献3には、ホウ素を含有したホウ素含有水から、25〜200mmol/lのカルシウムイオンと、6〜30mmol/lの硫酸イオンと、ホウ素との原子比Al:Bが1.7〜20:1のアルミニウムイオンと、を有しかつそのpHが10.5〜11.5の溶液を調整する溶液調整工程と、該溶液のpHを11.0〜12.0に上昇させて析出物を析出させ、該析出物に該ホウ素を共沈、共析または吸着させて除去する析出工程と、前記析出工程が施された溶液に炭酸イオン源を添加してカルシウムイオンを沈殿させて除去するカルシウム除去工程を有するホウ素含有水の処理方法が開示されている。
上述した従来技術は、何れもホウ素含有水に硫酸アルミニウム及び水酸化カルシウムを添加するとともに、pH調整剤を添加してホウ素含有水のpHを一定に保ちながら、所定時間撹拌することにより、エトリンガイトを生成してホウ素を共沈させるものである。
エトリンガイト(アルミン酸三硫酸カルシウム水和物:3CaO・Al・3CaSO・32HO)は、コンクリートやセメントなどに見られる結晶性の水和物であり、結晶中の硫酸イオンと溶液中のホウ酸イオンを交換することでホウ素を取り込むことができる。そのため、エトリンガイトが生成されると、ホウ素含有水に含まれるホウ素がエトリンガイトに取り込まれて共沈する。
特開2017−23968号公報 特開2010−269310号公報 特開2004−167351号公報
廃棄物が埋め立てられた最終処分場からの浸出水、温泉浴場排水、製紙工場排水、焼結炉排煙脱硫などのホウ素含有水を被処理水とする場合には、ホウ素を排水基準まで確実に除去する必要がある。
特許文献1には、ホウ素に対するアルミニウムの添加モル比を4以上に設定する旨が記載されているが、安定してホウ素を除去するためには、ホウ素に対するアルミニウムの添加モル比を10程度に維持する必要がある。しかし、このように調整すると固液分離により発生する汚泥量が増加し、且つ沈降し難い汚泥であるため、汚泥の脱水に要するコストが上昇する。
特許文献3に記載されたように、析出工程が施された溶液に炭酸イオン源を添加してカルシウムイオンを沈殿させて除去するカルシウム除去工程を実行すると、被処理液のカルシウム濃度が低下するため、エトリンガイトに取り込まれたホウ素が溶出するという問題もあった。
そこで、本願発明者らは、被処理水に、ホウ素イオンに対するアルミニウムイオンの存在モル比が4.0以上となるようにアルミニウム系凝集剤を添加するアルミニウム添加工程と、前記アルミニウム添加工程の後に、ホウ素イオンに対する硫酸イオンの存在モル比が15.0以上となるように硫酸または硫酸塩を添加するとともに、アルミニウムイオンに対するカルシウムイオンの存在モル比が5.0以上となるようにカルシウム塩を添加し、pHが10以上となるようにアルカリ剤を添加してホウ素を共沈させるホウ素共沈工程と、を備えた水処理方法を提案している(特願2019−238783号)。
しかし、当該水処理方法によれば、ホウ素を十分に除去するために硫酸イオンやカルシウム塩などの薬剤の添加量が多くなるため、非常に多量の汚泥が発生し、薬剤のコストが嵩むとともにその処理に要するコストも嵩むという問題があった。
本発明の目的は、上述した従来技術に鑑み、薬剤量の低減とともに汚泥発生量を低減しながらも、ホウ素含有水からホウ素を排水基準まで適切に除去することができる水処理方法を提供する点にある。
上述の目的を達成するため、本発明による水処理方法の第一の特徴構成は、ホウ素含有水を被処理水とする水処理方法であって、被処理水にアルミニウム系凝集剤である硫酸アルミニウム、または硫酸アルミニウム以外のアルミニウム系凝集剤と硫酸または硫酸塩を添加するアルミニウム添加工程と、前記アルミニウム添加工程の後に、カルシウム塩を含むpH調整剤を添加することで、pHを10以上に調整してホウ素を共沈させるホウ素共沈工程と、被処理水に、分散助剤を添加する分散助剤添加工程と、を備え、前記分散助剤添加工程は、前記ホウ素共沈工程と同時または前記ホウ素共沈工程より前に実行する点にある。
分散助剤の添加により、アルミニウム系凝集剤とカルシウム塩により生成されるアルミニウムイオンとカルシウムイオンと硫酸イオンを主成分とする化合物の粒子径が微細化され、それだけ被処理水での化合物とホウ素との接触機会が増大するようになり、単位重量当たりの粒子へのホウ素の吸着量が増大する。しかも、pHが10以上に調整されることにより、アルミニウムイオンとカルシウムイオンと硫酸イオンを主成分とする化合物の生成量が多くなるので、カルシウム塩の添加量を抑制することができ、汚泥発生量も大きく低減できるようになる。
同第二の特徴構成は、上述の第一の特徴構成に加えて、前記アルミニウム添加工程は、ホウ素イオンに対するアルミニウムイオンのモル比が少なくとも5.0となるようにアルミニウム系凝集剤を添加する点にある。
ホウ素イオンに対するアルミニウムイオンのモル比が少なくとも5.0であれば、アルミニウムイオンとカルシウムイオンと硫酸イオンを主成分とする化合物が適切に生成されるようになる。
同第三の特徴構成は、上述の第一または第二の特徴構成に加えて、前記分散助剤は、界面活性剤、分散剤、リン化合物、ケイ酸化合物、還元剤の何れか1種または複数を組合せて使用する点にある。
同第四の特徴構成は、上述の第三の特徴構成に加えて、前記界面活性剤として陰イオン界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤の何れかを選択し、前記分散剤としてアクリル酸系ポリマー、マレイン酸系ポリマー、ホスフィノカルボン酸系ポリマー、ホスホン酸系ポリマーの何れかを選択し、前記リン化合物としてリン酸、亜リン、次亜リン酸、ピロリン酸、ヘキサメタリン酸、ホスホン酸、およびそれらの塩化合物の何れかを選択し、前記ケイ酸化合物としてケイ酸ナトリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、アルミノケイ酸ナトリウム、ケイ酸カルシウムアルミニウムの何れかを選択し、前記還元剤として亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カルシウム、亜硫酸マグネシウム、チオ硫酸ナトリウムの何れかを選択する点にある。
同第五の特徴構成は、上述の第一から第四の何れかの特徴構成に加えて、前記ホウ素共沈工程におけるカルシウム塩の添加量は、ホウ素に対してモル比で22倍を上限とし、上限に達すると苛性ソーダを添加する点にある。
ホウ素に対してモル比で22倍を超えてカルシウム塩を添加しても、ホウ素の共沈に寄与することがなく、却って後の水処理でカルシウムに起因するスケールの発生などの不都合な事態が生じる虞がある。そこで、カルシウム塩の添加量が上限を超える場合には苛性ソーダを添加することによりpHを調整することが好ましい。
同第六の特徴構成は、上述の第一から第五の何れかの特徴構成に加えて、前記ホウ素共沈工程で、被処理水の水温が第1の所定温度以上になると、ホウ素に対してモル比で少なくとも2.5倍の硫酸を添加する点にある。
処理水の水温の上昇とともにホウ素の除去率が低下する。アルミニウムとカルシウムと硫酸イオンを主成分とするホウ素吸着能を有する化合物とホウ素の結合力が弱いため、第1の所定温度以上になるとホウ素吸着能を有する化合物からホウ素が乖離しやすくなるためと考えられる。そこで、硫酸を添加して硫酸カルシウムの生成量を増すことによりホウ素の乖離が抑制されるようになる。なお、硫酸を過剰に添加すると、pHを適正値に維持するためにカルシウム塩などのpH調整剤を添加する必要が生じて、汚泥の発生量が増加するという不都合が生じるので、ホウ素に対してモル比で少なくとも2.5倍の硫酸を添加すればよい。
同第七の特徴構成は、上述の第六の特徴構成に加えて、前記ホウ素共沈工程で、被処理水の水温が第1の所定温度より高い第2の所定温度以上になると、さらに前記分散剤の何れかを添加する点にある。
処理水の水温が第1の所定温度より高い第2の所定温度以上になると、硫酸を添加することで得られる効果が低下する。そこで上述の分散剤、具体的にアクリル酸系ポリマー、マレイン酸系ポリマー、ホスフィノカルボン酸系ポリマー、ホスホン酸系ポリマーの何れかを添加することでホウ素の除去率の低下を抑制することができる。
同第八の特徴構成は、上述の第一から第七の何れかの特徴構成に加えて、前記ホウ素共沈工程の後に、被処理水を固液分離する第1の固液分離工程と、前記第1の固液分離工程で固形分が分離された被処理水に炭酸塩を添加してカルシウムを析出させるカルシウム析出工程と、前記カルシウム析出工程の後に被処理水を固液分離する第2の固液分離工程と、を備えている点にある。
ホウ素共沈工程の後に第1の固液分離工程を実行することにより、析出したホウ素が汚泥に取込まれる。その後、被処理水に炭酸塩が添加され、第2の固液分離工程でカルシウムが除去される。
同第九の特徴構成は、上述の第八の特徴構成に加えて、前記第2の固液分離工程で固形分が分離された被処理水を生物処理する生物処理工程をさらに備えている点にある。
カルシウムが除去された被処理水に対して生物処理工程が実行されるので、生物処理工程でスケール発生による弊害が回避できる。
同第十の特徴構成は、上述の第九の特徴構成に加えて、前記カルシウム析出工程において、さらにアルミニウムイオン濃度が1mg/l以下になるようにマグネシウム塩を添加して、アルミニウムを析出させるアルミニウム析出工程を備える点にある。
生物処理工程ではアルミニウムによる被毒障害が回避でき、良好な生物処理が実現できる。
同第十一の特徴構成は、上述の第八から第十の何れかの特徴構成に加えて、前記第1の固液分離工程で固液分離した汚泥を脱水し、得られた脱水ケーキを外部に搬出する点にある。
同第十二の特徴構成は、上述の第八から第十の何れかの特徴構成に加えて、前記第1の固液分離工程で固液分離された汚泥に前記第2の固液分離工程で固液分離された汚泥を混合して脱水する脱水工程を備えている点にある。
第1の固液分離工程で固液分離された汚泥は、沈降し難い脱水性の悪い汚泥であるが、そのような汚泥に第2の固液分離工程で固液分離された脱水性のよい汚泥を混合することにより、全体として脱水効率を向上させることができる。
同第十三の特徴構成は、上述の第十三の特徴構成に加えて、前記脱水工程で得られた脱水ろ液を前記カルシウム析出工程に戻す脱水ろ液返送工程を備えている点にある。
以上説明した通り、本発明によれば、薬剤量の低減とともに汚泥発生量を低減しながらも、ホウ素含有水からホウ素を排水基準まで適切に除去することができる水処理方法を提供することができるようになった。
本発明による水処理方法のフロー図 本発明による水処理方法の別実施形態を示すフロー図 分散助剤添加の効果を示す特性図 機械的分散の程度による寄与を示す特性図 攪拌時間の程度による寄与を示す特性図 別の実施例の結果を示し、分散助剤添加の効果を示す特性図 別の実施例の結果を示し、(a)はアルミニウム添加工程でのアルミニウム系凝集剤の添加量を異ならせた場合のホウ素共沈工程における反応時間とホウ素濃度の特性図、(b)は異なるpH値に対するホウ素共沈工程における反応時間とホウ素濃度の特性図、(c)はホウ素共沈工程におけるpH値とホウ素濃度の特性図 別の実施例の結果を示し、(a)はアルミニウム添加工程で処理水の温度が異なる場合の反応時間とホウ素濃度の特性図、(b)は処理液の温度が第1の所定温度以上、第2の所定温度未満の場合に、硫酸の添加の有無を比較した反応時間とホウ素濃度の特性図、(c)は処理液の温度が第2の所定温度以上の場合に、分散剤の添加の有無を比較した反応時間とホウ素濃度の特性図
以下、本発明による水処理方法を説明する。
図1には、本発明による水処理方法の一態様、つまり廃棄物が埋め立てられた最終処分場からの浸出水、温泉浴場排水、製紙工場排水、焼結炉排煙脱硫などのホウ素含有水を被処理水とする水処理方法の一態様が示されている。
本発明による水処理方法は、ホウ素含有水を被処理水とする水処理方法であって、被処理水に、アルミニウム系凝集剤として硫酸アルミニウム(図面では、「硫酸バンド」と表記している。)を添加するアルミニウム添加工程と、前記アルミニウム添加工程の後に、カルシウム塩を含むpH調整剤を添加することで、pHを10以上、好ましくは10〜13に調整してホウ素を共沈させるホウ素共沈工程と、被処理水に、分散助剤を添加する分散助剤添加工程と、を備え、分散助剤添加工程は、ホウ素共沈工程と同時またはホウ素共沈工程より前に実行するように構成されている。
例えば、最終処分場から浸出するカルシウム濃度200から300mg/lでホウ素濃度20から25mg/lのホウ素含有水が被処理水として調整槽に貯留される。被処理水のpH値は6〜8前後である。調整槽に貯留された被処理水を計量槽にポンプアップしてアルミニウム系凝集剤の一例である硫酸アルミニウムを添加するアルミニウム添加工程が実行される。
アルミニウム添加工程では、pH値を3.5以上に保った状態で、ホウ素イオンに対するアルミニウムイオンのモル比が少なくとも5.0となるようにアルミニウム系凝集剤である硫酸アルミニウムを添加する。後に実行される生物処理工程で微生物の活性阻害を招くアルミニウムイオンの濃度上昇を抑制するため、ホウ素イオンに対するアルミニウムイオンのモル比は5.0以上で、少なくとも15.0以下の範囲に設定することが好ましい。なお、硫酸アルミニウムの添加量は、ホウ素イオンに対する酸化アルミニウムのモル比で表記すると少なくとも2.5であればよく、2.5以上で少なくとも7.5以下の範囲となる。また、硫酸アルミニウムであれば、アルミニウムイオンと硫酸イオンのモル比が2:3に保たれる。
アルミニウム系凝集剤として硫酸アルミニウム以外にポリ塩化アルミニウム(PAC)などを用いることも可能である。この場合には、ホウ素に対する硫酸イオンのモル比が7.5〜11.5となるように、硫酸または硫酸塩を別途添加する必要がある。硫酸または硫酸塩はアルミニウム添加工程の前に添加してもよいし、アルミニウム添加工程で添加してもよい。
アルミニウム添加工程と並行して、計量槽の被処理水に、所定量の分散助剤を添加する分散助剤添加工程が実行される。分散助剤として界面活性剤、分散剤、リン化合物、ケイ酸化合物、還元剤の何れか1種または複数の組合せを好適に用いることができる。上記分散助剤を計量槽に添加することで、計量槽のスケール防止もできるようになる。
例えば、前記界面活性剤として陰イオン界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤の何れかを好適に用いることができる。
分散剤としてアクリル酸系ポリマー、マレイン酸系ポリマー、ホスフィノカルボン酸系ポリマー、ホスホン酸系ポリマーなどのアクリル系分散剤やスルホン酸系分散剤の何れかを好適に用いることができる。
リン化合物としてリン酸(オルトリン酸)、亜リン酸(ホスホン酸)、次亜リン酸、ピロリン酸、ヘキサメタリン酸、ホスホン酸、およびそれらの塩化合物の何れかを好適に用いることができる。
ケイ酸化合物としてケイ酸ナトリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、アルミノケイ酸ナトリウム、ケイ酸カルシウムアルミニウムの何れかを好適に用いることができる。
前記還元剤として亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カルシウム、亜硫酸マグネシウム、チオ硫酸ナトリウムの何れかを好適に用いることができる。
分散助剤として上述した界面活性剤を用いる場合には、有効成分濃度で1〜10mg/lの添加量であることが好ましく、1〜5mg/lの添加量であることがさらに好ましい。分散助剤として上述した分散剤を用いる場合には、荷姿で50〜300mg/lの添加量であることが好ましく、50〜200mg/lの添加量であることがさらに好ましく、60〜170mg/lの添加量であることがより好ましい。分散助剤として上述したリン化合物、ケイ酸化合物または還元剤の何れかを用いる場合には、0.05〜1.0mmol/lの添加量であることが好ましく、0.05〜0.5mmol/lの添加量であることがさらに好ましい。
また、分散助剤として界面活性剤を用いる場合には、発泡の程度が顕著で消泡作業が要求される陰イオン性界面活性剤などよりも、発泡の程度が小さい非イオン性界面活性剤を選択することが好ましい。
なお、分散助剤添加工程は、計量槽ではなく反応槽1の被処理水に対して実行してもよい。
ホウ素共沈工程では、アルカリ剤としても機能するカルシウム塩である水酸化カルシウムを添加して、pHを10から13の範囲、好ましくは11から13の範囲、さらに好ましくは11.4から11.7に調整することにより、アルミニウムイオンとカルシウムイオンと硫酸イオンを主成分とする化合物であるエトリンガイト(アルミン酸三硫酸カルシウム水和物:3CaO・Al・3CaSO・32HO)などの生成量を増やすことができる。これにより結晶中の硫酸イオンと溶液中のホウ酸イオンが交換されてホウ素が取り込まれ、或いは吸着されることによりホウ素を効率的に除去することが可能となる。同時にカルシウム塩の添加量を抑制することができ、汚泥発生量も大きく低減できるようになる。
ホウ素共沈工程におけるカルシウム塩の添加量は、ホウ素に対してモル比で22倍を上限とし、上限に達してもpHを目標範囲に調整できない場合には、苛性ソーダを添加する。
これは、ホウ素に対してモル比で22倍を超えてカルシウム塩を添加しても、ホウ素の共沈に寄与することがなく、却って後の水処理でカルシウムに起因するスケールの発生などの不都合な事態が生じる虞があるためである。
また、ホウ素共沈工程では、処理水の水温の上昇とともにホウ素の除去率が低下する傾向がみられる。アルミニウムとカルシウムと硫酸イオンを主成分とするホウ素吸着能を有する化合物とホウ素の結合力が弱いため、第1の所定温度以上になるとホウ素吸着能を有する化合物からホウ素が乖離しやすくなるためと考えられる。
そこで、被処理水の水温が第1の所定温度以上になると、ホウ素に対してモル比で2.5倍以上の硫酸を添加することが好ましい。硫酸カルシウムの生成量を増すことによりホウ素の乖離が抑制されるようになる。第1の所定温度は27℃、詳しくは27±0.3℃に設定される。
処理水の水温が第1の所定温度より高い第2の所定温度以上になると、硫酸を添加することで得られる効果が低下する。そこで、ホウ素共沈工程で、被処理水の水温が第1の所定温度より高い第2の所定温度以上になると、さらに上述した分散剤、具体的にアクリル酸系ポリマー、マレイン酸系ポリマー、ホスフィノカルボン酸系ポリマー、ホスホン酸系ポリマーの何れかを添加することが好ましい。これによりホウ素の除去率の低下が抑制される。第2の所定温度は29℃、詳しくは29±0.3℃に設定される。
ホウ素共沈工程では、反応槽1で薬剤を添加して撹拌した後に凝集槽1でポリマーを添加してさらに撹拌することによりフロックを生成する。ホウ素共沈工程の後に、被処理水を沈降槽1に導入して固液分離する第1の固液分離工程を実行する。
第1の固液分離工程の後に、沈降槽1の上澄みを反応槽2に導入して、炭酸ナトリウムを添加してカルシウムイオン濃度が100mg/l以下になるように炭酸カルシウムとしてカルシウムを析出させるカルシウム析出工程と、アルミニウムイオン濃度が1mg/l以下になるようにマグネシウム塩を添加してアルミニウムをアルミン酸マグネシウムとして析出させるアルミニウム析出工程を実行する。マグネシウム塩として塩化マグネシウムや水酸化マグネシウムなどを用いることができる。必要に応じて行なわれる後の生物処理工程で微生物の活性を阻害するアルミニウムイオンを除去し、配管の詰りを招くカルシウムイオンを除去するためである。
カルシウム析出工程の後に第2の固液分離工程を実行する。即ち、混和槽に導水した被処理水に凝集剤として塩化第二鉄や水酸化ナトリウムを添加して撹拌し、さらに凝集槽2に導水してポリマーを添加して撹拌することでフロックを形成し、沈降槽2で固液分離する。
pH値が11から12を示す沈降槽2の上澄みを中和槽に導水して、塩酸や硫酸などの中和剤を添加してpH8程度に調整した後に中継槽に貯留し、その後に生物処理槽にポンプアップして生物処理工程を実行する。生物処理工程では、活性汚泥を用いて硝化処理、脱窒処理が行なわれ、必要に応じて脱リン処理が行なわれる。
カルシウム析出工程では、沈降槽2の上澄みのカルシウム濃度を指標にして炭酸ナトリウムの添加量をフィードバック制御するように構成している。
ホウ素共沈工程の後に第1の固液分離工程を実行することにより、析出したホウ素が汚泥に取込まれる。ホウ素が除去された被処理水に、炭酸ナトリウムを添加してカルシウムを析出させるカルシウム析出工程を実行してもホウ素が溶出する虞がなく、充分にカルシウム濃度を低下させることができる。また、マグネシウム塩を添加してアルミニウムを析出させるアルミニウム析出工程を実行してもホウ素が溶出する虞がなく、充分にカルシウム濃度及びアルミニウム濃度を低下させることができる。そのため、生物処理工程ではアルミニウムによる被毒障害もスケール析出による弊害も抑制でき、良好な生物処理が実現できる。
沈降槽1で引抜かれたアルミニウムを含有する脱水性の悪い汚泥は、汚泥濃縮槽で濃縮処理された後に汚泥貯留槽1に貯留される。沈降槽2で引抜かれた脱水性の良好な汚泥は汚泥貯留槽2に貯留される。沈降槽1で引抜かれた汚泥の濃度が十分に高い場合には、直接汚泥貯留槽1に貯留することができ、汚泥濃縮槽を不要とすることができる。
汚泥貯留槽2に貯留された汚泥は遠心脱水機などの脱水機で脱水処理された後に脱水ケーキとして最終処分場に埋め戻され、脱水ろ液は必要に応じて生物処理槽で生物処理するべく調整槽に戻され、或いは河川などに放流される。
汚泥貯留槽2に貯留された汚泥の一部が汚泥貯留槽1に投入され、沈降槽1で引抜かれた汚泥と混合された後に遠心脱水機などの脱水機で脱水処理され、脱水ケーキが場外搬出され或は一部が最終処分場に埋め戻され、カルシウム濃度の高い脱水ろ液はカルシウム析出工程を実行する反応槽2に送られる。
つまり、第1の固液分離工程で固液分離された汚泥に第2の固液分離工程で固液分離された汚泥の一部を混合して脱水する脱水工程と、脱水工程で得られた脱水ろ液をカルシウム析出工程に戻す脱水ろ液返送工程とを備えている。
第1の固液分離工程で固液分離された汚泥は、沈降し難い脱水性の悪い汚泥であるが、そのような汚泥に第2の固液分離工程で固液分離された脱水性のよい汚泥を一部または全部混合することにより、全体として脱水効率を向上させることができる。
また、脱水ケーキを最終処分場に埋め戻す場合に生じるホウ素の再溶出の弊害を回避すべく、ホウ素共沈工程の後に、被処理水を固液分離工程で固液分離した汚泥を脱水し、脱水ケーキを最終処分場から外部に搬出することが好ましい。
図2には、別実施形態のフローが示されている。ホウ素を除去するための工程は上述した実施形態と同様である。
上述と同様に、最終処分場から浸出するホウ素含有水が被処理水として調整槽に貯留される。調整槽に貯留された被処理水を計量槽にポンプアップしてアルミニウム系凝集剤の一例である硫酸アルミニウムを添加するアルミニウム添加工程が実行される。
アルミニウム添加工程と並行して、計量槽の被処理水に、所定量の分散助剤を添加する分散助剤添加工程が実行される。分散助剤添加工程は、計量槽ではなく反応槽の被処理水に対して実行してもよい。
そして、混和槽で炭酸ナトリウムを添加してカルシウムイオン濃度が200〜250mg/lになるように炭酸カルシウムとしてカルシウムを析出させるカルシウム析出工程と、アルミニウムイオン濃度が1mg/l以下になるようにマグネシウム塩を添加してアルミニウムをアルミン酸マグネシウムとして析出させるアルミニウム析出工程を実行する。さらに凝集槽でポリマーを添加した後に固液分離工程を実行する。つまり、ホウ素の除去と並行してカルシウム析出工程が実行される。
カルシウム析出工程は、カルシウムイオン濃度が200mg/l未満となると、ホウ素を含む沈殿が再溶解する不都合が生じ、カルシウムイオン濃度が250mg/lより高くなると、下流側の工程で設備へのスケール付着という不都合が生じるため、カルシウムイオン濃度が200〜250mg/lになるように調整するための工程である。
別実施形態では、第2の固液分離工程を実行することなく、沈降槽の上澄みを中和槽に導いて中和した後に生物処理してもよい。分散助剤添加工程を設けることによりカルシウム塩の添加量が抑制できるため、沈降槽の上澄みのカルシウムイオン濃度がそれほど高くない。
[分散助剤添加による溶存ホウ素濃度特性及び汚泥発生特性]
図1または図2に示したフローで、分散助剤添加工程を採用することにより生じる効果を確認する実験を以下の手順で行なった。
溶存ホウ素濃度18.4〜20.1mg/l(0.45μmろ過)、カルシウム濃度153〜167mg/l、pH8.0、EC1040〜1086mS/mの浸出水を計量槽で6m/hの流量に調整する。
アルミニウム添加工程で硫酸アルミニウム(8%、Al)を4.7ml/l添加するとともに、10〜130mg/lの範囲の分散助剤を添加する分散助剤添加工程を実行した。
分散助剤の種類及び添加量は、図3の凡例に示している通りである。凡例の「なし」との表記は、分散助剤を添加することなく、特願2019−238783号に記載された方法を実施しないという意味であり、「硫酸20mモル/l」との表記は、分散助剤を添加することなく、特願2019−238783号に記載された方法を実施したことを意味する。
特願2019−238783号に記載された方法とは、被処理水に、ホウ素イオンに対するアルミニウムイオンの存在モル比が4.0以上となるようにアルミニウム系凝集剤を添加するアルミニウム添加工程と、アルミニウム添加工程の後に、ホウ素イオンに対する硫酸イオンの存在モル比が15.0以上となるように硫酸または硫酸塩を添加するとともに、アルミニウムイオンに対するカルシウムイオンの存在モル比が5.0以上となるようにカルシウム塩を添加し、pHが10以上となるようにアルカリ剤を添加してホウ素を共沈させるホウ素共沈工程とを実行する方法をいう。
「なし」の場合には、特許文献1に記載された方法が採用される。具体的には、ホウ素とケイ素とを含有するホウ素含有水に硫酸アルミニウムを溶解させる第1工程と、第1工程の後、ホウ素含有水に水酸化カルシウムを添加し、エトリンガイトを生成してホウ素を共沈させる第2工程と、を備え、第1工程においてホウ素に対するアルミニウムの添加モル比を4以上とするホウ素含有水の処理方法が実行される。
次に、滞留時間(=攪拌時間)が20分に設定された有効容積2.9mの反応槽1に、定格0.75kWの攪拌機を3台(トヨキ製のギヤ式竪型攪拌機TTF−4を2基、阪和化工機製の可搬式攪拌機KP−4004を1基)設置し、水温24〜25℃でカルシウム塩として水酸化カルシウム(30%)を、pH11.5を指標にして自動添加する条件下で、0.45μmでろ過した水質を測定した。
次に、滞留時間(=攪拌時間)が22分に設定された有効容積2.2mの凝集層1に定格0.75kWの攪拌機(同上)を1台設置し、0.45μmでろ過した水質を測定した。
次に、滞留時間(=攪拌時間)が42分に設定された有効容積4.2mのフロック形成槽に定格0.75kWの攪拌機(同上)を1台設置し、炭酸ナトリウム、塩化マグネシウム、高分子凝集剤を添加して、0.45μmでろ過した水質を測定した。
最後に、有効容積37.5mの沈殿槽1の上澄みを0.45μmでろ過した水質を測定した。
図3には、上述した実験による計量槽、反応槽、凝集槽、沈殿槽の各処理水の溶存ホウ素濃度特性が示されている。分散助剤を添加しない場合に比べて分散助剤を添加した場合は最終的に沈殿槽上澄みの溶存ホウ素濃度は大きく低下することが確認でき、汚泥の発生量も大きく低減できることが明らかになった。また特願2019−238783号に記載された方法を採用する場合に比べて分散助剤を添加した場合は硫酸塩、硫酸の添加を低減でき、カルシウム塩の添加量も抑制されるため、薬品費で50〜60%低減でき、汚泥発生量も50%以下に減量できることが明らかになった。
例えば、1日当たり350mの被処理水に対して硫酸の使用量が700kgから70kgと1/10に低減でき、苛性ソーダの使用量が94kgから45kgと1/2に低減でき、消石灰の使用量が5275kgから3692kgと7/10に低減でき、無水炭酸ソーダの使用量が1316kgから438kgと約1/3に低減でき、塩化第二鉄の使用量が309kgから148kg1/2に低減できるようになった。
即ち、アルミニウム系凝集剤とカルシウム塩により生成されるアルミニウムイオンとカルシウムイオンと硫酸イオンを主成分とする化合物の粒子径が微細化され、それだけホウ素との接触機会が増大するようになり、単位重量当たりの粒子へのホウ素の吸着量が増大するということが証明された。
図6には、図3と同様の条件で分散助剤の種類を異ならせて添加した場合の計量槽、反応槽、凝集槽、沈殿槽の各処理水の溶存ホウ素濃度特性が示されている。分散助剤を添加しない場合に比べて分散助剤を添加した場合は最終的に沈殿槽上澄みの溶存ホウ素濃度は大きく低下することが確認でき、汚泥の発生量も大きく低減できることが明らかになった。
[分散助剤添加時の反応槽、凝集槽での攪拌による溶存ホウ素濃度特性]
図1または図2に示したフローで、分散助剤添加工程を採用するとともに、反応槽1、凝集槽1、フロック形成槽に備えた攪拌機で処理液を機械的に攪拌して分散させた場合の溶存ホウ素濃度特性を確認する実験を以下の手順で行なった。
溶存ホウ素濃度19.2mg/l(0.45μmろ過)、カルシウム濃度165mg/l、pH8.0、EC1082mS/mの浸出水を計量槽で6m/hの流量に調整する。
アルミニウム添加工程で硫酸アルミニウム(8%、Al)を500mg/l添加するとともに、東亞合成T−50(アクリル酸系スケール分散剤)0.068ml/l(=68ppm)の分散助剤を添加する分散助剤添加工程を実行した。
次に、滞留時間(=攪拌時間)が20分に設定された有効容積2.9mの反応槽1に、定格0.75kWの攪拌機(同上)を3台設置し、3台、2台、1台と運転台数(攪拌強度に相当する)を切り替えて、水温24〜25℃でカルシウム塩として水酸化カルシウム(30%)を、pH11.5を指標にして自動添加する条件下で、0.45μmでろ過した水質を測定した。なお、攪拌強度は、消費電力と同等の値とみなし、攪拌機の電動機実測相電流A×200V×30.5で求めた。ここでは、電動機の力率、攪拌プロペラの効率は考慮していない。
次に、滞留時間(=攪拌時間)が22分に設定された有効容積2.2mの凝集層1に定格0.75kWの攪拌機(同上)を1台設置し、0.45μmでろ過した水質を測定した。
図4には、上述した実験による計量槽、反応槽、凝集槽の各処理水の溶存ホウ素濃度特性が示されている。反応槽の攪拌機動力は0.5kW/m以上、攪拌機台数は2台以上、回転速度は300〜600rpmが好ましいことが確認された。攪拌翼はスクリュー型、パドル型、タービン型、エッジドタービン型から選ぶことができ、攪拌性能の点でタービン型が最適となる。タービン型の攪拌翼を用いると分散助剤が素早く攪拌されて粒子の成長が抑制され、より粒子が微細化することが確認された。
即ち、攪拌によっても、アルミニウム系凝集剤とカルシウム塩により生成されるアルミニウムイオンとカルシウムイオンと硫酸イオンを主成分とする化合物の粒子径が微細化され、それだけホウ素との接触機会が増大するようになり、単位重量当たりの粒子へのホウ素の吸着量が増大するということが証明された。
[分散助剤添加時の反応槽、凝集槽での攪拌による溶存ホウ素濃度特性]
図1または図2に示したフローで、分散助剤添加工程を採用するとともに、反応槽1の処理水を一部抽出して攪拌時間の長短による溶存ホウ素濃度特性の影響を確認する実験を以下の手順で行なった。
溶存ホウ素濃度21.0mg/l(0.45μmろ過)、カルシウム濃度159mg/l、pH8.0、EC1056mS/mの浸出水を計量槽で6m/hの流量に調整する。
アルミニウム添加工程で硫酸アルミニウム(8%、Al)を4.7ml/l添加するとともに、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(14%)(厨房用の合成洗剤)0.029ml/l(=29ppm)の分散助剤を添加する分散助剤添加工程を実行した。
次に、滞留時間(=攪拌時間)が20分に設定された有効容積2.0mの反応槽1に、定格0.75kWの攪拌機(同上)を3台設置し、水温24〜25℃でカルシウム塩として水酸化カルシウム(30%)を、pH11.5を指標にして自動添加する条件下で、0.45μmでろ過した水質を測定した。
さらに、反応槽1の処理水1lをビーカー取り出して、マグネットスターラーで20分、30分、40分、120分攪拌した後に、0.45μmでろ過した水質を測定した。
図5には、上述した実験で、溶存ホウ素濃度に対する攪拌時間の影響の程度が示されている。攪拌時間が長くなるほどホウ素の吸着確率が上昇するために、溶存ホウ素濃度が低下するということが証明された。なお、溶存ホウ素濃度に基づいて攪拌時間を調節することが好ましいが、実際には攪拌時間が40分を超えると溶存ホウ素濃度の低下率は低くなるため、40分程度までの攪拌時間で十分である。
図7(a)には、上述と同様の浸出水を対象に、アルミニウム添加工程で原水に含まれるホウ素に対してアルミニウムイオンがモル比で2.5倍と5.0倍となるようにアルミニウム系凝集剤を添加して、ホウ素共沈工および分散助剤添加工程を実行した場合のホウ素濃度の時間変化の特性図が示されている。ホウ素に対してアルミニウムイオンがモル比で5.0倍となるアルミニウム系凝集剤を添加することにより好適にホウ素を除去でき、2.5倍では十分にホウ素を除去できないことが確認された。なお、ホウ素に対してアルミニウムイオンがモル比で5.0倍より多量のアルミニウム系凝集剤を添加すると、アルミニウムが残留することで、後段の生物処理が阻害されることも確認されている。
図7(b),(c)には、処理水のpH値が異なる場合のホウ素除去特性が示されている。pH値が11.5であるときに最大のホウ素除去特性が得られることが確認された。図7(c)より、ホウ素共沈工程では、アルカリ剤としても機能するカルシウム塩である水酸化カルシウム(消石灰)を添加して、pHを10から13の範囲、好ましくは11から13の範囲、さらに好ましくは11.4から11.7に調整することにより、ホウ素を効率的に除去することが可能となることが確認された。なお、攪拌時間が40分を超えると溶存ホウ素濃度の低下率は低くなるため、実際には攪拌時間は40分程度までで十分である。
上述した実施例は、何れも処理水の水温が24℃での実験結果であるが、処理水の水温が上昇するにつれてホウ素の除去特性が低下する現象が現れる。図8(a)に示す特性に示すように、水温が24℃から27℃、29℃と上昇すると、次第にホウ素の除去率が低下するという現象が確認された。このような場合でも、図8(b)の下側の特性に示すように、ホウ素に対してモル比で少なくとも2.5倍の硫酸を添加することにより、ホウ素の除去率の低下を抑制できることが判明した。
また、水温が29℃に上昇する場合には、図8(c)の上側の特性に示すように、硫酸の添加によってもホウ素の除去特性が低下する。このような場合でも、図8(c)の下側の特性に示すように、さらに分散剤を添加することによりホウ素の除去率の低下を抑制できることが判明した。分散剤として、アクリル酸系ポリマー、マレイン酸系ポリマー、ホスフィノカルボン酸系ポリマー、ホスホン酸系ポリマーの何れかを添加することでホウ素の除去率の低下を抑制することができる。分散剤の添加量は、荷姿で60〜170mg/lの範囲が好ましいことが判明した。
以上説明した実施形態は、本発明の一態様を示すものであり、該記載により本発明の範囲が限定されるものではなく、各部の具体的構成は本発明の作用効果が奏される範囲で適宜変更設計可能であることはいうまでもない。

Claims (13)

  1. ホウ素含有水を被処理水とする水処理方法であって、
    被処理水に、アルミニウム系凝集剤である硫酸アルミニウム、または硫酸アルミニウム以外のアルミニウム系凝集剤と硫酸または硫酸塩を添加するアルミニウム添加工程と、
    前記アルミニウム添加工程の後に、カルシウム塩を含むpH調整剤を添加することで、pHを10以上に調整してホウ素を共沈させるホウ素共沈工程と、
    被処理水に、分散助剤を添加する分散助剤添加工程と、
    を備え、
    前記分散助剤添加工程は、前記ホウ素共沈工程と同時または前記ホウ素共沈工程より前に実行する水処理方法。
  2. 前記アルミニウム添加工程は、ホウ素イオンに対するアルミニウムイオンのモル比が少なくとも5.0となるようにアルミニウム系凝集剤を添加する請求項1記載の水処理方法。
  3. 前記分散助剤は、界面活性剤、分散剤、リン化合物、ケイ酸化合物、還元剤の何れか1種または複数を組合せて使用する請求項1または2記載の水処理方法。
  4. 前記界面活性剤として陰イオン界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤の何れかを選択し、前記分散剤としてアクリル酸系ポリマー、マレイン酸系ポリマー、ホスフィノカルボン酸系ポリマー、ホスホン酸系ポリマーの何れかを選択し、前記リン化合物としてリン酸、亜リン、次亜リン酸、ピロリン酸、ヘキサメタリン酸、ホスホン酸、およびそれらの塩化合物の何れかを選択し、前記ケイ酸化合物としてケイ酸ナトリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、アルミノケイ酸ナトリウム、ケイ酸カルシウムアルミニウムの何れかを選択し、前記還元剤として亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カルシウム、亜硫酸マグネシウム、チオ硫酸ナトリウムの何れかを選択する請求項3記載の水処理方法。
  5. 前記ホウ素共沈工程におけるカルシウム塩の添加量は、ホウ素に対してモル比で22倍を上限とし、上限に達すると苛性ソーダを添加する請求項1から4の何れかに記載の水処理方法。
  6. 前記ホウ素共沈工程で、被処理水の水温が第1の所定温度以上になると、ホウ素に対してモル比で少なくとも2.5倍の硫酸を添加する請求項1から5の何れかに記載の水処理方法。
  7. 前記ホウ素共沈工程で、被処理水の水温が第1の所定温度より高い第2の所定温度以上になると、さらに前記分散剤の何れかを添加する請求項6記載の水処理方法。
  8. 前記ホウ素共沈工程の後に、被処理水を固液分離する第1の固液分離工程と、
    前記第1の固液分離工程で固形分が分離された被処理水に炭酸塩を添加してカルシウムを析出させるカルシウム析出工程と、
    前記カルシウム析出工程の後に被処理水を固液分離する第2の固液分離工程と、
    を備えている請求項1から7の何れかに記載の水処理方法。
  9. 前記第2の固液分離工程で固形分が分離された被処理水を生物処理する生物処理工程をさらに備えている請求項8記載の水処理方法。
  10. 前記カルシウム析出工程において、さらにアルミニウムイオン濃度が1mg/l以下になるようにマグネシウム塩を添加して、アルミニウムを析出させるアルミニウム析出工程を備える請求項9記載の水処理方法。
  11. 前記第1の固液分離工程で固液分離した汚泥を脱水し、得られた脱水ケーキを外部に搬出する請求項8から10の何れかに記載の水処理方法。
  12. 前記第1の固液分離工程で固液分離された汚泥に前記第2の固液分離工程で固液分離された汚泥を混合して脱水する脱水工程を備えている請求項8から10の何れかに記載の水処理方法。
  13. 前記脱水工程で得られた脱水ろ液を前記カルシウム析出工程に戻す脱水ろ液返送工程を備えている請求項12記載の水処理方法。
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