JP2021180197A - 電子部品およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】一対の電極(対向電極)をそれらの間に抵抗体層を介在させて備える電子部品であって、絶縁性有機フィルム上に(直接または間接的に)形成されている電極をレーザートリミングすることなく抵抗調整されている電子部品を提供する。【解決手段】一対の電極をそれらの間に抵抗体層を介在させて備える電子部品であって、絶縁性有機フィルムと、該絶縁性有機フィルム上に配置された抵抗体層と、該抵抗体層上にて、互いに対向して配置された一対の電極本体部と、該抵抗体層上にて、該一対の電極本体部の一方に接触し、かつ、該一対の電極本体部の他方に向かって突出するように形成された電極拡張部とを含み、該一対の電極本体部および該電極拡張部が、一対の電極を構成する、電子部品。【選択図】図1

Description

本発明は、電子部品、より詳細には、一対の電極をそれらの間に抵抗体層を介在させて備える電子部品およびその製造方法に関する。
一対の電極をそれらの間に抵抗体層を介在させて備える電子部品として、例えばサーミスタが知られている。
従来、チップ型サーミスタとして、チップの本体であるサーミスタ素体(抵抗体層に対応する)の主面上にて、互いに対向して配置された一対の電極(対向電極)を有し、かかる対向電極が、チップの両端に形成された一対の外部電極にてそれぞれ引き出されているサーミスタが知られている(特許文献1を参照のこと)。
更に近年、耐屈曲性に優れたサーミスタが求められるようになり、かかる要望に応えるべく、絶縁性有機フィルム上にサーミスタ部(抵抗体層に対応する)がパターン形成され、更にその上に一対の電極(対向電極)がパターン形成されたフィルム型サーミスタが提案されている(特許文献2を参照のこと)。
特開2004−22672号公報 特開2013−211435号公報 国際公開第2017/022373号
サーミスタの抵抗値は、対向電極を形成する精度に依存してばらつき得ることが知られており、抵抗値のばらつきを小さくするために、サーミスタの製造過程において抵抗調整が行われている。チップ型サーミスタの場合、その抵抗調整は、対向電極をレーザートリミングすることにより行われる(特許文献1)。また、フィルム型サーミスタの場合にも、その抵抗調整は、(例えばサーミスタ部がない部分で)対向電極をレーザートリミングすることにより行われ得る(特許文献2)。
しかしながら、フィルム型サーミスタにおいて、抵抗調整のために対向電極をレーザートリミングすると、絶縁性有機フィルムは絶縁性無機材料(例えば、チップ型サーミスタにおけるサーミスタ素体や一般的な絶縁性無機基板)に比べて熱に弱いため、レーザーからの熱が加わってダメージを受ける(場合によっては絶縁性有機フィルムが溶解し得る)という別の問題が生じる。かかる問題は、絶縁性有機フィルムに吸収され難いレーザーを使用しても、対向電極(および/またはサーミスタ部)を切断するレーザーのエネルギーが、その下方の絶縁性有機フィルムに伝播してダメージを与えるため、回避することができない。従って、従来のフィルム型サーミスタにおいては、レーザートリミングに付してもダメージが実質的に問題にならない程度になるように、使用可能な絶縁性有機フィルムの材料および厚さ等が制約されているのが現状である。
本発明の目的は、一対の電極(対向電極)をそれらの間に抵抗体層を介在させて備える電子部品であって、絶縁性有機フィルム上に(直接または間接的に)形成されている電極をレーザートリミングすることなく抵抗調整されている電子部品およびその製造方法を提供することにある。
本発明の1つの要旨によれば、一対の電極をそれらの間に抵抗体層を介在させて備える電子部品であって、
絶縁性有機フィルムと、
該絶縁性有機フィルム上に配置された抵抗体層と、
該抵抗体層上にて、互いに対向して配置された一対の電極本体部と、
該抵抗体層上にて、該一対の電極本体部の一方に接触し、かつ、該一対の電極本体部の他方に向かって突出するように形成された電極拡張部と
を含み、該一対の電極本体部および該電極拡張部が、一対の電極を構成する、電子部品が提供される。
本発明の1つの実施形態において、前記抵抗体層は、サーミスタ層であり得る。
本発明の1つの実施形態において、前記電子部品は、前記電極拡張部を複数含んでいてよい。
本発明の1つの実施形態において、前記電極本体部は、くし歯形状を有し得る。
本発明の1つの実施形態において、前記電極拡張部は、前記電極本体部のくし歯形状の先端部に接触し得る。
本発明の1つの実施形態において、前記絶縁性有機フィルムは、前記抵抗体層の厚さ以下の厚さを有し得る。
本発明の1つの実施形態において、前記絶縁性有機フィルムは、300℃以下の融点またはガラス転移温度を有し得る。
本発明の1つの実施形態において、前記電極拡張部は、前記電極本体部の材料と異なる材料から成り得る。
本発明の1つの実施形態において、前記電極拡張部は、150℃未満の温度で硬化または固体化した樹脂を含み得る。例えば、前記電極拡張部は、熱可塑性樹脂を含み得る。
本発明のもう1つの要旨によれば、一対の電極をそれらの間に抵抗体層を介在させて備える電子部品の製造方法であって、
(a)絶縁性有機フィルム上に配置された抵抗体層上に、一対の電極本体部を互いに対向させて形成すること、
(b)該一対の電極本体部間の抵抗値を測定すること、および
(c)直前の工程にて測定された抵抗値に応じて、電極拡張部原料を塗布して、該抵抗体層上にて、該一対の電極本体部の一方に接触し、かつ、該一対の電極本体部の他方に向かって突出するように電極拡張部を形成すること
を含み、該一対の電極本体部および該電極拡張部が、一対の電極を構成する、製造方法が提供される。なお、本発明の電子部品の製造方法は、電子部品の抵抗値を調整する方法としても理解可能である。
本発明の1つの実施形態において、前記電子部品の製造方法は、前記工程(c)の後、
(d)前記一対の電極本体部および前記電極拡張部を一対の電極として、それらの間の抵抗値を測定すること、および
(e)直前の工程にて測定された抵抗値に応じて、(i)電極拡張部原料を塗布して、前記抵抗体層上にて、該一対の電極本体部の一方に少なくとも電気的に接触し、かつ、該一対の電極本体部の他方に向かって突出するように追加の電極拡張部を形成するか、(ii)追加の電極拡張部を形成しないこと
を更に含み得る。
本発明の1つの実施形態において、前記電子部品の製造方法は、前記工程(e)にて前記(i)を実施した場合に、前記工程(d)および前記工程(e)を繰り返して実施することを更に含み得る。
本発明の1つの実施形態において、前記電極拡張部原料の塗布は、ディスペンスにより実施され得る。
本発明によれば、一対の電極(対向電極)をそれらの間に抵抗体層を介在させて備える電子部品において、一対の電極を、絶縁性有機フィルム上に配置された抵抗体層上にて、互いに対向して配置された一対の電極本体部と、抵抗体層上にて、一対の電極本体部の一方に接触し、かつ、一対の電極本体部の他方に向かって突出するように形成された電極拡張部とから構成しており、このため、電極拡張部を調節することにより、電子部品の抵抗値を調整することが可能となる。従って、本発明によれば、一対の電極(対向電極)をそれらの間に抵抗体層を介在させて備える電子部品であって、絶縁性有機フィルム上に(直接または間接的に)形成されている電極をレーザートリミングすることなく抵抗調整されている電子部品およびその製造方法が提供される。
本発明の1つの実施形態における電子部品の製造方法を説明する概略模式断面図を示す。 本発明の1つの実施形態における電子部品の概略模式上面図であって、電極拡張部を省略した図(電極拡張部を形成する前の状態に対応する)を示す。 本発明の1つの実施形態における電子部品の部分拡大概略模式断面図を示す。 本発明の1つの実施形態における電子部品の概略模式上面図であって、図2の領域Xの拡大図の1つの例を示す。 本発明の1つの実施形態における電子部品の概略模式上面図であって、図2の領域Xの拡大図の別の例を示す。 本発明の1つの実施形態における電子部品の概略模式上面図であって、図2の領域Xの拡大図の別の例を示す。 本発明の1つの実施形態における電子部品の概略模式上面図であって、図2の領域Xの拡大図の別の例を示す。 本発明の1つの実施形態における電子部品の概略模式上面図であって、図2の領域Xの拡大図の別の例を示す。
本発明の1つの実施形態における電子部品およびその製造方法について、図面を参照しながら以下に詳述するが、本発明はかかる実施形態に限定されない。
本実施形態の電子部品は、一対の電極をそれらの間に抵抗体層を介在させて備える電子部品であり、より詳細には、図1(c)に示すように、本実施形態の電子部品10は、
絶縁性有機フィルム1と、
絶縁性有機フィルム1上に配置された抵抗体層3と、
抵抗体層3上にて、互いに対向して配置された一対の電極本体部5a、5bと、
抵抗体層3上にて、一対の電極本体部5a、5bの一方(図示する態様では電極本体部5a)に接触し、かつ、一対の電極本体部5a、5bの他方(図示する態様では電極本体部5b)に向かって突出するように形成された電極拡張部7と
を含み、一対の電極本体部5a、5bおよび電極拡張部7が、一対の電極(本明細書において対向電極とも称する)を構成する(図示する態様では、電極本体部5aおよび電極拡張部7が一方の電極を構成し、電極本体部5bが他方の電極を構成する)ものである。
本実施形態の電子部品10は、次の工程:
(a)絶縁性有機フィルム1上に配置された抵抗体層3上に、一対の電極本体部5a、5bを互いに対向させて形成すること(図1(a)、(b))、
(b)一対の電極本体部5a、5b間の抵抗値を測定すること(図1(b))、および
(c)直前の工程にて測定された抵抗値に応じて、電極拡張部原料を塗布して、抵抗体層3上にて、一対の電極本体部5a、5bの一方(図示する態様では電極本体部5a)に接触し、かつ、一対の電極本体部5a、5bの他方(図示する態様では電極本体部5b)に向かって突出するように電極拡張部7を形成すること(図1(c))
を含む電子部品の製造方法により、製造され得る。
本実施形態の電子部品およびその製造方法によれば、電極拡張部7(および場合により追加の電極拡張部)を調節することにより、電子部品10の抵抗値を調整することが可能となる。以下、本実施形態の電子部品について、その製造方法を通じて更に詳述する。
まず、絶縁性有機フィルム1を準備する。絶縁性有機フィルム1は、可撓性(フレキシブル)の基材であり得る。
本実施形態によれば電子部品10の製造過程においてレーザートリミングを実施しないので、絶縁性有機フィルム1として、耐熱性の絶縁性有機フィルムのみならず、比較的熱に弱い絶縁性有機フィルムであっても使用することができる。耐熱性の絶縁性有機フィルムとしては、例えば、ポリイミド、ポリアクリロニトリル等の材料から成るフィルムが挙げられる。比較的熱に弱い絶縁性有機フィルムは、300℃以下の融点またはガラス転移温度を有する絶縁性有機フィルムであり得、例えば、ポリフェニレンサルファイド、ポリエステル、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド(例えばいわゆるナイロン)、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール(例えばポリビニルブチラール)、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、アイオノマー樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体等の材料から成るフィルムが挙げられる。なお、本発明において、融点およびガラス転移温度は、JIS K7121に準拠してプラスチックの融解温度およびガラス転移温度として測定され得る温度を言う。
実際には、絶縁性有機フィルム1は、電子部品の製造過程において絶縁性有機フィルムが付され得る温度にて実質的にダメージを受けず、かつ、電子部品に求められる耐熱温度を満たすことが必要とされ、よって、これら温度より高い融点またはガラス転移温度を有する材料から成るフィルムが使用され得る。例えば、抵抗体層、電極本体部および電極拡張部を形成する際の各温度ならびに電子部品に求められる耐熱温度が150℃である場合、150℃超かつ300℃以下の融点またはガラス転移温度を有する絶縁性有機フィルム、より具体的には、例えばポリフェニレンサルファイド、ポリエステル、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール(例えばポリビニルブチラール)、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリプロピレン等の材料から成るフィルムが使用され得る。また例えば、抵抗体層、電極本体部および電極拡張部を形成する際の各温度ならびに電子部品に求められる耐熱温度が150℃未満の低温である場合、上記の絶縁性有機フィルムに加えて、かかる低温以上150℃以下の融点またはガラス転移温度を有する絶縁性有機フィルム、より具体的には、例えばポリカーボネート、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、アイオノマー樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体等の材料から成るフィルムも使用可能となり、材料選択の幅がより広がり得る。
本実施形態によれば電子部品10の製造過程においてレーザートリミングを実施しないので、電子部品10における絶縁性有機フィルム1の厚さtは特に限定されず、例えば10〜125μm、特に30〜70μmであり得る。このように薄くて可撓性の絶縁性有機フィルムを使用することにより、高い耐屈曲性を有する電子部品10を得ることができる。
次いで、絶縁性有機フィルム1上に抵抗体層3を形成する(図1(a))。抵抗体層3は、所定の温度または温度範囲にて電気抵抗を示し得る層であればよい。かかる抵抗体層3は、サーミスタ層であってよく、より詳細には、負の温度係数を有するサーミスタ層(NTCサーミスタ層)であっても、正の温度係数を有するサーミスタ層(PTCサーミスタ層)であってもよい。
抵抗体層3は、従来既知の材料を用いて任意の適切な方法により形成してよい。例えば、NTCサーミスタ層は、所定のセラミック材料の粉末(例えば特許文献3に記載されるような半導体磁気組成物の粉末や、Mn、Niおよび/またはCoなどを主成分とする酸化物を焼成したセラミックスなど)、有機高分子成分(例えば熱硬化性樹脂、湿気硬化性樹脂、光硬化性樹脂などの硬化性樹脂および/または熱可塑性樹脂)および溶剤等を含むNTCサーミスタ原料ペーストを、例えばスクリーン印刷などにより、絶縁性有機フィルム1上に所定のパターンで供給し、その後、溶剤を乾燥除去しながら有機高分子成分を(例えば熱、湿気、光などにより)硬化または固体化させることによって形成できる。NTCサーミスタ原料ペーストは、半導体磁器組成物の粉末のPVCが30%以上70%以下の範囲になるように調整してよく、これにより、十分なサーミスタ特性が得られ、絶縁性有機フィルムとの密着性が得られる。なお、PVCの値は、下記式
Figure 2021180197
を用いることにより算出することができる。
溶剤の乾燥除去および有機高分子成分の硬化または固体化は、例えば熱処理により実施してよい。しかしながら、温度が高いと絶縁性有機フィルム1の変形がおきやすく、温度が低いと溶剤が残留し得るため、熱処理の温度は150℃程度が好ましい。また、熱処理の時間は約30分が好ましい。熱処理は公知の加熱炉を用いて行うことができる。
抵抗体層3は、上記のような有機高分子成分が硬化または固体化して成る樹脂を含み得る。かかる樹脂は、150℃またはそれ以上の温度で硬化または固体化した樹脂であっても、150℃未満の温度(本発明において「低温」とも言う)で硬化または固体化した樹脂であってもよい。後者の場合、抵抗体層を形成する際の温度が低温になるため、他の部材の形成条件等にもよるが、絶縁性有機フィルム1に使用可能な材料選択の幅が広がり得る。
より詳細には、抵抗体層3に含まれる樹脂は、熱可塑性樹脂であってよい。熱可塑性樹脂は、低温において、特に常温においても、溶媒を乾燥除去することにより固体化させることができる。熱可塑性樹脂としては、例えば(メタ)アクリル樹脂、ポリビニルビチラール、ポリエステルなどが挙げられる。
本実施形態においては、電子部品10における抵抗体層3の厚さtは特に限定されず、例えば10〜300μm、特に20〜150μmであり得る。特に、本実施形態の電子部品10においては、絶縁性有機フィルム1の厚さtが、抵抗体層3の厚さt以下であってもよく、例えば、抵抗体層3の厚さtの100%以下、特に15〜50%であってよい。本実施形態によれば、このように抵抗体層よりも薄い絶縁性有機フィルムであっても、電子部品の抵抗値を調整することができる。これに対して、従来のレーザートリミングの場合、抵抗体層の厚さは薄いほど好ましく(抵抗体層が厚いと、加工時間が増えたり、加工熱によって絶縁性有機フィルムの溶解が起きるため、抵抗体層よりも絶縁性有機フィルムが厚くなり得る。また、このような加工熱によって、抵抗体にマイクロクラックが発生し、抵抗ドリフト増加する難点がある)、抵抗体層よりも絶縁性有機フィルムが厚くなり得る。
工程(a)
次いで、絶縁性有機フィルム1上に配置された抵抗体層3上に、一対の電極本体部5a、5bを互いに対向させて形成する(図1(b))。電極本体部5a、5bは、導電性を示し、最終的に形成される「一対の電極」を構成する本体部である。
電極本体部5a、5bは、従来既知の材料を用いて任意の適切な方法により形成してよい。例えば、金属などの導電性材料の粉末、有機高分子成分(例えば熱硬化性樹脂、湿気硬化性樹脂、光硬化性樹脂などの硬化性樹脂および/または熱可塑性樹脂)および溶剤等を含む導電性ペーストを、例えばスクリーン印刷などにより、抵抗体層3(および必要に応じて絶縁性有機フィルム1)上に所定のパターンで供給し、その後、溶剤を乾燥除去しながら有機高分子成分を(例えば熱、湿気、光などにより)硬化または固体化させることによって形成できる。溶剤の乾燥除去および有機高分子成分の硬化または固体化については、抵抗体層3について上述した説明が同様に当て嵌まり得る。
導電性ペーストとしては、例えば、Inktech社製TEC-PA-010、藤倉化成株式会社製ナノドータイトXA-9053、株式会社アサヒ化学研究所製LS-450-5、LS-450-7H、LS-453-2、LS-470L-2F、ペルノックス株式会社製ペルトロンK-3100、ペルトロンK-3107S、太陽インキ製造株式会社製AF6100 L10等を使用し得る。
電極本体部5a、5bは、上述したような有機高分子成分が硬化または固体化して成る樹脂を含み得る。かかる樹脂は、150℃またはそれ以上の温度で硬化または固体化した樹脂であっても、150℃未満の低温で硬化または固体化した樹脂であってもよい。後者の場合、電極本体部を形成する際の温度が低温になるため、他の部材の形成条件等にもよるが、絶縁性有機フィルム1に使用可能な材料選択の幅が広がり得る。より詳細には、電極本体部5a、5bに含まれるかかる樹脂は、熱可塑性樹脂であってよく、抵抗体層3について上述した説明が同様に当て嵌まり得る。
本実施形態においては、電子部品10における電極本体部5a、5bの厚さtは特に限定されず、例えば0.1〜50μm、特に10〜20μmであり得る。電極本体部5a、5bを、スクリーン印刷により形成した場合、電極本体部5a、5bの表面は、比較的大きな凹凸を有し得、厚さtはばらつき得る。
電極本体部5a、5bは、互いに対向している限り、任意の適切な形状を有し得る。本実施形態を限定するものではないが、電極本体部5a、5bは、くし歯形状を有し得る。くし歯形状とは、一般的に理解され得るように、くしの根元部分から、複数の歯部分が互いに実質的に並行に延在している形状を言う。例えば図2に示すように、電極本体部5a、5bが、くし歯形状を各々有し、電極本体部5a、5bの歯の長手方向に延在する部分が互いに対向し、電極本体部5a、5bの一方の歯の先端部分が、他方の歯と歯の間に位置する根元の部分に対向していてよい。
なお、本実施形態を限定するものではないが、電極本体部5a、5bの形成の際に、同時に、電極本体部5a、5bに電気的および物理的に接続されている配線および/または外部接続用電極9a、9bを形成してもよい。
しかしながら本実施形態における配線および/または外部接続用電極の形成は、これに限定されず、任意の適切な段階で実施され得る。この場合、上記と同様の導電性ペーストを、例えばスクリーン印刷などにより、絶縁性有機フィルム1(および必要に応じて抵抗体層3)上に所定のパターンで供給し、その後、溶剤を乾燥除去しながら有機高分子成分を(例えば熱、湿気、光などにより)硬化または固体化させることによって形成できる。溶剤の乾燥除去および有機高分子成分の硬化または固体化については、抵抗体層3について上述した説明が同様に当て嵌まり得る。
工程(b)
このようにして一対の電極本体部5a、5bを形成した後(図1(b))、一対の電極本体部5a、5b間の抵抗値を測定する。抵抗値の測定は、任意の適切な方法により実施してよい。例えば電極本体部5a、5b(またはこれらから各々引き出した外部接続用電極)に対して、市販で入手可能な抵抗測定器を使用して、これらの間の抵抗値を測定してよい。なお、温度による影響を排除するために、予め設定した温度環境にて測定することが望ましい。
工程(c)
次いで、直前の工程にて測定された抵抗値に応じて、電極拡張部原料を塗布して、抵抗体層3上にて、一対の電極本体部5a、5bの一方(図示する態様では電極本体部5a)に接触し、かつ、一対の電極本体部5a、5bの他方(図示する態様では電極本体部5b)に向かって突出するように電極拡張部7を形成する(図1(c))。電極拡張部7は、導電性を示し、最終的に形成される「一対の電極」を構成する抵抗調整部である。
より詳細には、工程(b)にて測定した一対の電極本体部5a、5b間の抵抗値と、電子部品10に所望される抵抗値(以下、「所定の抵抗値」と言う)とを比較する。あるいは、一度に複数の電子部品を作製する場合には、これら各電子部品に形成された一対の電極本体部5a、5b間の抵抗値をそれぞれ測定し、これら測定された抵抗値を比較する。工程(a)における一対の電極本体部5a、5bの形成は、これらの間の抵抗値が所定の抵抗値より大きくならないように、電極本体部5a、5bの配置および抵抗体層3との各接触面積等を選択しておく。そして、比較結果に応じて、電極拡張部7の形成を制御して、形成される電極拡張部7(より詳細には、後述する突出距離aおよび厚さb等)を調節する。
電極拡張部7を形成するための、電極拡張部原料の塗布は、ディスペンスにより実施してよい。ディスペンスは、1つまたは複数の所定箇所において、各箇所につき1回または複数回実施してよい。ディスペンスの場合、ディスペンサから一回に排出される電極拡張部原料の量を調節したり、所定箇所における排出回数を選択したりすることにより、電極拡張部7の形成が制御され得る。
しかしながら本実施形態における電極拡張部原料の塗布は、これに限定されず、他の任意の適切な方法、例えばインクジェット、針型塗布、静電吸引塗布等を適用してもよい。
電極拡張部7は、電極拡張部原料を塗布した後、任意の適切な方法により形成してよい。例えば、金属などの導電性材料の粉末、有機高分子成分(例えば熱硬化性樹脂、湿気硬化性樹脂、光硬化性樹脂などの硬化性樹脂および/または熱可塑性樹脂)および溶剤等を含む電極拡張部原料を、電極本体部5a、5bの一方(図示する態様では電極本体部5a)および抵抗体層3上に跨がるように塗布し、その後、溶剤を乾燥除去しながら有機高分子成分を(例えば熱、湿気、光などにより)硬化または固体化させることによって形成できる。溶剤の乾燥除去および有機高分子成分の硬化または固体化については、抵抗体層3について上述した説明が同様に当て嵌まり得る。
電極拡張部原料としては、電極本体部5a、5bについて上述したような導電性ペーストを使用し得る。電極拡張部7を構成する材料は、電極本体部5a、5bを構成する材料と同じであってもよいが、異なるものとすることができる。例えば、電極本体部5a、5bに含まれる金属(例えばAg)に対して、電極拡張部7において異種金属(例えばCu)を使用することにより、マイグレーションを防止する等の効果を発揮させ得、これにより、電子部品10の信頼性を向上させることができる。
電極拡張部7は、上述したような有機高分子成分が硬化または固体化して成る樹脂を含み得る。かかる樹脂は、150℃またはそれ以上の温度で硬化または固体化した樹脂であっても、150℃未満の低温で硬化または固体化した樹脂であってもよい。後者の場合、電極拡張部を形成する際の温度が低温になるため、他の部材の形成条件等にもよるが、絶縁性有機フィルム1に使用可能な材料選択の幅が広がり得る。より詳細には、電極拡張部7に含まれるかかる樹脂は、熱可塑性樹脂であってよく、抵抗体層3について上述した説明が同様に当て嵌まり得る。
本実施形態において、電子部品10における電極拡張部7の電極本体部5a、5bの一方(図示する態様では電極本体部5a)から他方(図示する態様では電極本体部5b)に向かって突出する距離aは、上記の比較結果等に応じて様々であり得る。突出距離aが存在していると、電極本体部5a、5bのみの場合に比べて、一対の電極間の隙間をより小さく、かつ、一対の電極と抵抗体層との接触面積をより大きくすることができ、電子部品10の抵抗値をより低くすることが可能となる。突出距離aは、例えば1〜30μm、特に20〜30μmであり得る。
本実施形態においては、電子部品10における電極拡張部7の厚さは特に限定されないが、電極拡張部原料を、電極本体部5a、5bの一方(図示する態様では電極本体部5a)および抵抗体層3に跨がるように塗布することにより、電極本体部5a、5bの一方に電極拡張部7が重なって形成されるので、電極拡張部7は、電極本体部5a、5bの一方の表面よりも高くなり、換言すれば、電極本体部5a、5bの一方に電極拡張部7が加わった電極全体としての厚さbを、電極本体部5a、5bの一方単独の厚さtよりも厚くすることができる。電極全体としての厚さbをより厚くすると、断面積をより大きくすることができ、電子部品10の抵抗値をより低くすることが可能となる。電極全体としての厚さbは、例えば1〜70μm、特に20μm程度であり得る。
上述したように、電極本体部5a、5bを、スクリーン印刷により形成した場合、電極本体部5a、5bの表面は、比較的大きな凹凸を有し、厚さtがばらつき得、例えば凸部の厚さt5maxが20μm程度の場合、凹部の厚さt5minは5μm程度となり得る(図3参照、なお、図面は、本実施形態の理解を容易にするための概略模式図であり、縮尺および縦横比等は図示する例に限定されない)。電極本体部5a、5bのみで一対の電極を構成すると、凹凸が大きく、よって、抵抗値が高くなり得る。しかしながら本実施形態のように、電極本体部5a、5bの一方に電極拡張部7が重なって形成されることにより、この重なった部分において、厚さを均一化することができ、抵抗値を低くすることができる。もし、電極本体部5a、5bのみで一対の電極を構成し、低い抵抗値を得るために、より厚い電極本体部5a、5bを形成すると、電極本体部5a、5bの形成位置の精度があまり高くないため、電極本体部5a、5b間の距離cが小さくなり過ぎて、ショートを招くおそれがある。これに対して、本実施形態では、電極本体部5a、5bを形成した後に電極拡張部7を追加して電極全体としての厚さを制御できるので、電極本体部5a、5bを厚く形成する必要がないため、かかるショートのおそれを回避することができる。
電極拡張部7は、電子部品10において1個または複数個で存在していてよい。後者の場合、電極拡張部は、電極本体部5a、5bのいずれか一方のみに複数個接触して存在していても、電極本体部5a、5bの双方にそれぞれ少なくとも1個接触して存在していてもよい。
電極拡張部7の形成位置は、適宜選択可能である。例えば電極本体部5a、5bがくし歯形状をそれぞれ有する場合、電極拡張部7は、図4〜6に示すように、電極本体部5a、5bの一方(図示する態様では電極本体部5a)の歯の長手方向に延在する部分に重なって形成されていてよい。図4では、1個の電極拡張部7が、電極本体部5aの歯の一方の側面側から電極本体部5bに向かって突出して形成されている。図5では、複数個の電極拡張部7a、7bが互いに離間して、電極本体部5aの歯の一方の側面側から電極本体部5bに向かって突出して形成されている。図6では、1個の電極拡張部7cが、電極本体部5aの歯の両方の側面側から、電極本体部5aの両側の電極本体部5b(片側の電極本体部5bは図示せず)に向かって突出して形成されている。複数個の電極拡張部が互いに離間して、電極本体部5aの歯の両方の側面側から、電極本体部5aの両側の電極本体部5b突出して形成されてもよい。
また、電極本体部5a、5bがくし歯形状をそれぞれ有する場合、電極拡張部7は、図7〜8に示すように、電極本体部5a、5bの一方(図示する態様では電極本体部5a)の歯の先端部に重なって形成されていてよい。図7〜8では、電極拡張部7dが、電極本体部5aの歯の先端部から電極本体部5bに向かって突出して形成されている。電極拡張部7を、電極本体部5a、5bの一方の先端部に接触させて形成する場合、電極本体部5a、5b間の隙間が比較的広いため、電極拡張部原料を重ねて塗布し易く(またはディスペンスを複数回行い易く)、よって、電極拡張部の形成を制御し易く、抵抗調整をより高精度に行い得る。
その後、必要に応じて、次の工程:
(d)一対の電極本体部5a、5bおよび電極拡張部7を一対の電極として、それらの間の抵抗値を測定すること、および
(e)直前の工程にて測定された抵抗値に応じて、(i)電極拡張部原料を塗布して、抵抗体層7上にて、一対の電極本体部5a、5bの一方に少なくとも電気的に接触し、かつ、一対の電極本体部5a、5bの他方に向かって突出するように追加の電極拡張部7を形成するか、(ii)追加の電極拡張部を形成しないこと
を更に実施してよい。
工程(d)
以上のようにして電極拡張部7を形成した後、一対の電極本体部5a、5bおよび電極拡張部7を一対の電極として、それらの間の抵抗値を測定する。抵抗値の測定は、工程(b)にて上述した説明が同様に当て嵌まり得る。
工程(e)
次いで、直前の工程にて測定された抵抗値に応じて、(i)追加の電極拡張部を形成するか、(ii)追加の電極拡張部を形成しないことを決定する。追加の電極拡張部も、導電性を示し、先に形成した電極拡張部と同じく、最終的に形成される「一対の電極」を構成する抵抗調整部である。
より詳細には、工程(d)にて測定した一対の電極間の抵抗値と、上記所定の抵抗値とを比較する(通常、測定した一対の電極間の抵抗値が、所定の抵抗値より大きい)。あるいは、一度に複数の電子部品を作製する場合には、これら各電子部品に形成された一対の電極間の抵抗値をそれぞれ測定し、これら測定された抵抗値を比較する。そして、比較結果として求められるこれら抵抗値のばらつきが未だ大きく、許容可能な程度を越えている場合には、(i)追加の電極拡張部を形成する。このばらつきが、許容可能な程度に小さい場合には、(ii)追加の電極拡張部を形成せず、抵抗調整された電子部品10が製造されたものと判定する。
上記(i)にて形成される追加の電極拡張部は、抵抗体層7上にて、一対の電極本体部5a、5bの一方に少なくとも電気的に接触し、かつ、一対の電極本体部5a、5bの他方に向かって突出していればよい。追加の電極拡張部は、電極本体部5a、5bの一方に少なくとも電気的に接触していればよく、これに直接接触していても、いなくてもよい。追加の電極拡張部が電極本体部5a、5bの一方に直接接触している場合、先に形成した電極拡張部が接触している電極本体部と、追加の電極拡張部が接触している電極本体部とは、同じであっても、異なっていてもよい(図示する態様では、先に形成した電極拡張部7は電極本体部5aに接触しており、追加の電極拡張部は、電極本体部5aに接触していても、電極本体部5bに接触していてもよい)。追加の電極拡張部が電極本体部5a、5bの一方に直接接触していない場合、先に形成した電極拡張部を通じて、電極本体部に電気的に接触していればよい。
かかる追加の電極拡張部の形成は、工程(c)にて上述した電極拡張部7の形成と同様にして実施し得、特に断りの無い限り、上記と同様の説明が当て嵌まり得る。追加の電極拡張部は、先の電極拡張部7と同様に、有機高分子成分が硬化または固体化して成る樹脂を含み得る。かかる樹脂は、150℃またはそれ以上の温度で硬化または固体化した樹脂であっても、150℃未満の低温で硬化または固体化した樹脂であってもよい。後者の場合、追加の電極拡張部を形成する際の温度が低温になるため、他の部材の形成条件等にもよるが、絶縁性有機フィルム1に使用可能な材料選択の幅が広がり得る。また、後者の場合、抵抗調整時の熱処理(乾燥)温度を下げることができ、再熱処理時の抵抗値変動を低減することができる。より詳細には、追加の電極拡張部に含まれるかかる樹脂は、熱可塑性樹脂であってよく、抵抗体層3について上述した説明が同様に当て嵌まり得る。
追加の電極拡張部は、電子部品10において1個または複数個で存在していてよい。先に形成した電極拡張部7および追加の電極拡張部は、電子部品10において互いに識別可能でなくてもよく、それらの合計として、電子部品10において複数個存在することとなる。
追加の電極拡張部の形成位置は、適宜選択可能である。例えば電極本体部5a、5bがくし歯形状をそれぞれ有する場合、先の電極拡張部7および追加の電極拡張部を、図7または図8に示すように、電極本体部5aの歯の先端部から電極本体部5bに向かって突出するように、重ねて形成してよい。この場合、電極拡張部の形成を制御し易く、抵抗調整をより高精度に行い得る。
更に、工程(e)にて上記(i)を実施した場合に、工程(d)および工程(e)を繰り返して実施してよい。
このように、工程(d)および工程(e)を実施することにより、抵抗値のばらつきが許容可能な程度に低減されるまで、簡易な方法で、何度でも抵抗調整することができる。抵抗調整部として電極拡張部の形成を、工程(c)のみで実施する場合に比べて、工程(c)と工程(e)とに分けて(先の電極拡張部の形成と追加の電極拡張部の形成とに分けて)実施することにより、徐々に所定の抵抗値(または抵抗値のばらつき)に近づけていくことができ、より高精度に抵抗調整することができる。
本実施形態の電子部品およびその製造方法によれば、電極拡張部(および形成する場合には追加の電極拡張部)を調節することにより、電子部品10の抵抗値を調整することが可能となる。本実施形態を限定するものではないが、所定の抵抗値に対して、例えば2%以下、特に1%以下、より特に0.8%以下の精度で抵抗値を調整すること、あるいは、複数の電子部品間の抵抗値のばらつきを、例えば2%以下、特に1%以下、より特に0.8%の精度で調整することができる。本実施形態の電子部品は、レーザートリミングすることなく抵抗調整されているので、レーザートリミング痕が存在せず、かつ、レーザートリミングでは使用が制約されていた有機絶縁性フィルムの材料および厚さを適用することが可能となる。更に、本実施形態の電子部品は、レーザートリミングすることなく抵抗調整されているので、レーザーの影響により、絶縁性有機フィルムの強度が低下したり、有機絶縁性フィルムと抵抗体層と一対の電極との間の密着力が低下(場合により、これらの間で剥離)したりする、という問題が生じない。
本実施形態の電子部品は、サーミスタとして利用可能である。しかし、本発明の電子部品はこれに限定されず、一対の電極をそれらの間に抵抗体層を介在させて備える任意の電子部品、例えばサーミスタ、ESD(Electro-Static Discharge)保護素子、コイル、抵抗器などとして、幅広く様々な用途に利用可能である。
(実施例1)
本実施例は、上記実施形態において図4に示す電極拡張部を形成した電子部品に関する。
・NTCサーミスタ原料ペーストの作製
まず、セラミック素原料として、Mn、Fe、NiO、Co、AlおよびTiOの各粉末を用意し、これらの粉末を、所定の組成となるように秤量して、原料混合物を得た。次いで、この原料混合物をボールミルに投入して、ジルコニアからなる粉砕媒体と共に十分に湿式粉砕した。粉砕した原料混合物を、730℃の温度で2時間熱処理して、半導体磁器組成物を得た。この半導体磁器組成物の粉末と、有機高分子成分(エポキシ樹脂)と溶剤とを混合し、遠心攪拌機で攪拌して、NTCサーミスタ原料ペーストを得た。NTCサーミスタ原料ペーストにおける混合割合は、半導体磁器組成物の粉末70wt%、有機高分子成分25wt%、溶剤5wt%とした。
・抵抗体層(NTCサーミスタ層)の形成
絶縁性有機フィルムとして、15cm角のポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製ルミラー(登録商標)T60、厚さ75μm)を使用し、その上に、上記で作製したNTCサーミスタ原料ペーストをスクリーン印刷により所定のパターンで(42個分のサーミスタを形成し得るように)供給した後、大気雰囲気下で150℃にて24時間の熱処理(乾燥)に付し、これにより、厚さ20μmの抵抗体層(NTCサーミスタ層)を形成した。
・工程(a) 一対の電極本体部の形成
一対の電極本体部は、くし歯形状の電極パターンを有するものとした。抵抗体層を形成したポリエチレンテレフタレートフィルムに対して、この抵抗体層上にくし歯電極パターンが重なり、42対の電極本体部が形成される(よって、42個のサーミスタが得られる)ように、導電性ペーストとして市販のAgペースト(アサヒ化学研究所製LS-453-2)をスクリーン印刷した後、オーブンで大気雰囲気下150℃にて30分間熱処理(乾燥)に付した。これにより、厚さ10μm、L/S=50/50μm、長辺2.5mm、短辺1.5mmのくし歯形状の一対の電極本体部を形成した。なお、Lは歯の部分の幅であり、Sは歯と歯の間の隙間の大きさである(図4参照)。この電極本体部の形成の際に、接続配線および外部接続用の電極も同時に形成した。
・工程(b) 一対の電極本体部間の抵抗値の測定
上記により作製されたサンプル(未完成電子部品)を測定治具に取り付けて1分間室温で静置した後、フロリナートを満たした精密恒温槽(25℃)中に浸漬して19分間経過した時点で、抵抗測定器(42チャンネル同時測定可能)により、42個のサーミスタの各抵抗値(25℃)を測定した。抵抗値は平均400kΩ、抵抗値のばらつきは7%となった。
抵抗値のばらつきは以下の式を用いて算出した。
ばらつき(%)=(Xmax−Xmid)/Xmid×100
Xmax:抵抗値の最大値
Xmid:抵抗値の中間値(最大値と最小値の中間の値)
・工程(c) 電極拡張部の形成
電極拡張部原料として、上記で使用した市販のAgペースト(アサヒ化学研究所製LS-453-2)に溶剤(ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート)を加えて、粘度を低下させたものを準備した。この電極拡張部原料を、工程(b)で測定した各抵抗値と所定の抵抗値との差および/または工程(b)で算出した抵抗値のばらつきに応じて、電極本体部の一方から抵抗体層上にはみ出るようにして(図4参照)ディスペンサにより塗布し、オーブンで大気雰囲気下150℃にて30分間熱処理(乾燥)に付した。これにより、電極拡張部(図4に示す電極拡張部7)を形成した。
・工程(d) 一対の電極間の抵抗値の測定
上記により作製されたサンプル(電子部品)について、上記と同様にして42個のサーミスタの各抵抗値(25℃)を測定した。抵抗値は平均300kΩ、抵抗値のばらつきは2%となった。
本実施例によれば、絶縁性有機フィルム上の全てのサーミスタ(電子部品)間の抵抗値のばらつきを、2%以下の精度で調整することができた。また、絶縁性有機フィルムとして比較的熱に弱いポリエチレンテレフタレートフィルムを用いつつ、抵抗調整が可能であることが確認された。
(実施例2)
本実施例は、上記実施形態において図5に示す電極拡張部を、工程(c)および工程(e)に分けて形成した電子部品に関する。
上記の実施例1と同様にして工程(b)まで完了した。
・工程(c) 電極拡張部の形成
実施例1で使用したものと同じ電極拡張部原料を、工程(b)で測定した各抵抗値と所定の抵抗値との差および/または工程(b)で算出した抵抗値のばらつきに応じて、電極本体部の一方から抵抗体層上にはみ出るようにして(図5参照)ディスペンサにより塗布し、オーブンで大気雰囲気下150℃にて30分間熱処理(乾燥)に付した。これにより、電極拡張部(例えば図5に示す電極拡張部7a)を形成した。
・工程(d) 一対の電極間の抵抗値の測定
上記により作製されたサンプル(電子部品)について、実施例1と同様にして42個のサーミスタの各抵抗値(25℃)を測定し、抵抗値のばらつきを算出した。
・工程(e) 電極拡張部の形成
実施例1で使用したものと同じ電極拡張部原料を、直前の工程(d)で測定した各抵抗値と所定の抵抗値との差および/または直前の工程(d)で算出した抵抗値のばらつきに応じて、電極本体部の一方から抵抗体層上にはみ出るようにして、先に形成した電極拡張部(例えば図5に示す電極拡張部7a)に対して(電極本体部の一方の縁部に沿って)隣接する位置にディスペンサにより塗布し、オーブンで大気雰囲気下150℃にて30分間熱処理(乾燥)に付した。これにより、先に形成した電極拡張部(例えば図5に示す電極拡張部7a)に隣接する位置に、追加の電極拡張部(図5に示す電極拡張部7b)を形成した。これにより、複数の電極拡張部が形成された。
その後、上記の工程(d)および工程(e)を適宜繰り返し、ある工程(e)において、直前の工程(d)で測定した各抵抗値と所定の抵抗値との差および/または直前の工程(d)で算出した抵抗値のばらつきが所望の程度になったときに、電極拡張部を形成せずに終了した。
終了した時点で作製されていたサンプル(電子部品)では、42個のサーミスタの各抵抗値(25℃)の測定結果から、抵抗値は平均300kΩ、抵抗値のばらつきは1%であった。
(実施例3)
本実施例は、上記実施形態において図8に示す電極拡張部を、工程(c)および工程(e)に分けて形成した電子部品に関する。
上記の実施例1と同様にして工程(b)まで完了した。
・工程(c) 電極拡張部の形成
実施例1で使用したものと同じ電極拡張部原料を、工程(b)で測定した各抵抗値と所定の抵抗値との差および/または工程(b)で算出した抵抗値のばらつきに応じて、電極本体部の一方から抵抗体層上にはみ出るようにして(図7参照)ディスペンサにより塗布し、オーブンで大気雰囲気下150℃にて30分間熱処理(乾燥)に付した。これにより、電極拡張部(例えば図7に示す電極拡張部7d)を形成した。
・工程(d) 一対の電極間の抵抗値の測定
上記により作製されたサンプル(電子部品)について、実施例1と同様にして42個のサーミスタの各抵抗値(25℃)を測定し、抵抗値のばらつきを算出した。
・工程(e) 電極拡張部の形成
実施例1で使用したものと同じ電極拡張部原料を、直前の工程(d)で測定した各抵抗値と所定の抵抗値との差および/または直前の工程(d)で算出した抵抗値のばらつきに応じて、電極本体部の一方から抵抗体層上にはみ出るようにして、先に形成した電極拡張部(例えば図7に示す電極拡張部7d)に対して同じ中心位置として重ねてディスペンサにより塗布し、オーブンで大気雰囲気下150℃にて30分間熱処理(乾燥)に付した。これにより、先に形成した電極拡張部(例えば図7に示す電極拡張部7d)よりも最外周が広がった電極拡張部(図8に示す電極拡張部7e)を形成した。これにより、電極拡張部と、もう一方の電極本体部との間の距離(ギャップ)をより小さく調節することができた。
その後、上記の工程(d)および工程(e)を適宜繰り返し、ある工程(e)において、直前の工程(d)で測定した各抵抗値と所定の抵抗値との差および/または直前の工程(d)で算出した抵抗値のばらつきが所望の程度になったときに、電極拡張部を形成せずに終了した。
終了した時点で作製されていたサンプル(電子部品)では、42個のサーミスタの各抵抗値(25℃)の測定結果から、抵抗値は平均300kΩ、抵抗値のばらつきは0.7%であった。
(実施例4〜36)
実施例4〜36において、絶縁性有機フィルムの厚さおよび抵抗体層の厚さを表1に示すように変更したこと以外は、実施例1、2、3とそれぞれ同様にして電子部品を作成した。実施例4、7、10、13、16、19、22、25、28、31および34が実施例1に対応し、実施例5、8、11、14、17、20、23、26、29、32および35が実施例2に対応し、実施例6、9、12、15、18、21、24、27、30、33および36が実施例3に対応する。
Figure 2021180197
これら実施例4〜36の全ての場合において、抵抗値は平均300kΩ、抵抗値のばらつきは2%以内であった。
本実施例によれば、抵抗体層が厚く、絶縁性有機フィルムが薄い場合であっても、抵抗調整が可能であることが確認された。
本発明の電子部品は、例えばサーミスタ、ESD保護素子、コイル、抵抗器などとして幅広く様々な用途に使用可能であるが、これに限定されない。
1 絶縁性有機フィルム
3 抵抗体層
5a、5b 電極本体部
7、7a、7b、7c、7d、7e 電極拡張部
10 電子部品

Claims (14)

  1. 一対の電極をそれらの間に抵抗体層を介在させて備える電子部品であって、
    絶縁性有機フィルムと、
    該絶縁性有機フィルム上に配置された抵抗体層と、
    該抵抗体層上にて、互いに対向して配置された一対の電極本体部と、
    該抵抗体層上にて、該一対の電極本体部の一方に接触し、かつ、該一対の電極本体部の他方に向かって突出するように形成された電極拡張部と
    を含み、該一対の電極本体部および該電極拡張部が、一対の電極を構成する、電子部品。
  2. 前記抵抗体層が、サーミスタ層である、請求項1に記載の電子部品。
  3. 前記電極拡張部を複数含む、請求項1または2に記載の電子部品。
  4. 前記電極本体部が、くし歯形状を有する、請求項1〜3のいずれかに記載の電子部品。
  5. 前記電極拡張部が、前記電極本体部のくし歯形状の先端部に接触している、請求項4に記載の電子部品。
  6. 前記絶縁性有機フィルムが、前記抵抗体層の厚さ以下の厚さを有する、請求項1〜5のいずれかに記載の電子部品。
  7. 前記絶縁性有機フィルムが、300℃以下の融点またはガラス転移温度を有する、請求項1〜6のいずれかに記載の電子部品。
  8. 前記電極拡張部が、前記電極本体部の材料と異なる材料から成る、請求項1〜7のいずれかに記載の電子部品。
  9. 前記電極拡張部が、150℃未満の温度で硬化または固体化した樹脂を含む、請求項1〜8のいずれかに記載の電子部品。
  10. 前記電極拡張部が、熱可塑性樹脂を含む、請求項1〜9のいずれかに記載の電子部品。
  11. 一対の電極をそれらの間に抵抗体層を介在させて備える電子部品の製造方法であって、
    (a)絶縁性有機フィルム上に配置された抵抗体層上に、一対の電極本体部を互いに対向させて形成すること、
    (b)該一対の電極本体部間の抵抗値を測定すること、および
    (c)直前の工程にて測定された抵抗値に応じて、電極拡張部原料を塗布して、該抵抗体層上にて、該一対の電極本体部の一方に接触し、かつ、該一対の電極本体部の他方に向かって突出するように電極拡張部を形成すること
    を含み、該一対の電極本体部および該電極拡張部が、一対の電極を構成する、製造方法。
  12. 前記工程(c)の後、
    (d)前記一対の電極本体部および前記電極拡張部を一対の電極として、それらの間の抵抗値を測定すること、および
    (e)直前の工程にて測定された抵抗値に応じて、(i)電極拡張部原料を塗布して、前記抵抗体層上にて、該一対の電極本体部の一方に少なくとも電気的に接触し、かつ、該一対の電極本体部の他方に向かって突出するように追加の電極拡張部を形成するか、(ii)追加の電極拡張部を形成しないこと
    を更に含む、請求項11に記載の電子部品の製造方法。
  13. 前記工程(e)にて前記(i)を実施した場合に、前記工程(d)および前記工程(e)を繰り返して実施することを更に含む、請求項12に記載の電子部品の製造方法。
  14. 前記電極拡張部原料の塗布が、ディスペンスにより実施される、請求項11〜13のいずれかに記載の電子部品の製造方法。
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