JP2021179225A - 歯車 - Google Patents
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Abstract
【課題】歯車の強度を維持しつつ歯打ち音を抑制することが可能な歯車を提供する。【解決手段】歯車1は、外周に複数の歯部9を有する歯車本体3と、歯部9に形成されたスリット11を埋めるように設けられている、歯車本体3よりも弾性率が低い低弾性部材5と、を備え、低弾性部材5は、歯部9の歯面9f及び頂面9yの少なくとも一方から露出する露出部5aを有する。【選択図】図1
Description
本発明は、歯車に関する。
歯車としては、金属製ブッシュと、金属製ブッシュの周囲に設けられ外周に歯部が形成された樹脂部材と、金属製ブッシュと樹脂部材との間に設けられた弾性部材と、を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
ところで、近年の歯車では、低騒音化の要求が高まる中、歯車が噛み合う際に発生する歯打ち音(噛合い音とも称される)を抑制することが求められる。歯打ち音の抑制のために、種々の対策が考えられるが、当該対策に起因して歯車の強度が低下してしまうおそれがある。
本発明の一態様は、歯車の強度を維持しつつ歯打ち音を抑制することが可能な歯車を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る歯車は、外周に複数の歯部を有する歯車本体と、歯部に形成されたスリットを埋めるように設けられている、歯車本体よりも弾性率が低い低弾性部材と、を備え、低弾性部材は、歯部の歯面及び頂面の少なくとも一方から露出する露出部を有する。
この歯車では、スリットを埋めるように設けられた低弾性部材が歯部の内部に存在することから、歯打ち音が発生する歯部自体にその減衰効果をもたせることができ、歯打ち音を効果的に抑制することができる。また、低弾性部材は、歯部の全体ではなく、歯部の一部として形成されたスリットに対応する部分に、当該スリットを埋めるように設けられていることから、歯面強さが低下するのを抑制することができ、ひいては、歯車の強度が低下してしまうことを抑制することができる。したがって、歯車の強度を維持しつつ歯打ち音を抑制することが可能となる。
本発明の一態様に係る歯車では、スリットは、歯車の径方向及び歯車の軸方向に沿って延在するように形成されており、低弾性部材は、スリットを埋めるように設けられると共に、歯面において歯車の軸方向に沿って延在する露出部を有していてもよい。
本発明の一態様に係る歯車では、一の歯部の内部には、複数のスリットが歯車の回転方向に配列されており、低弾性部材は、複数のスリットのそれぞれを埋めるように設けられると共に、一の歯部の内部において歯車の回転方向に配列されていてもよい。この構成では、歯打ち音をより効果的に抑制することができる。
本発明の一態様に係る歯車では、低弾性部材は、歯部における端面からも露出するように設けられていてもよい。この構成では、歯部の内部に低弾性部材を容易に形成することが可能となる。
本発明の一態様に係る歯車では、スリットは、歯面において歯車の回転方向に沿って延在するように形成されており、低弾性部材は、スリットを埋めるように設けられると共に、歯面において歯車の回転方向に沿って延在する露出部を有していてもよい。
本発明の一態様に係る歯車では、複数のスリットが、歯車の軸方向に配列されており、低弾性部材は、複数のスリットのそれぞれを埋めるように設けられると共に、歯車の軸方向に配列されていてもよい。この構成では、歯打ち音をより効果的に抑制することができる。
本発明の一態様に係る歯車では、歯面から露出する露出部は、歯面に対して突出していてもよい。この構成では、他の歯車と噛み合うときに、低弾性部材である露出部から接触するので、他の歯車と噛み合う際に発生する歯打ち音を低減することができる。
本発明の一態様に係る歯車では、低弾性部材は、歯部の内部のみに配置されていてもよい。この構成では、歯打ち音をより一層抑制することができる。
本発明の一態様に係る歯車では、この構成では、歯打ち音をより抑制することができる。また、歯車における軸回りの対称性を確保しやすくなる。
本発明の一態様に係る歯車では、低弾性部材は、複数の歯部のうちのN個(Nは1以上の整数)おきの歯部の内部に設けられていてもよい。この構成では、歯車の強度を維持しやすくなる。また、歯車における軸回りの対称性を確保しやすくなる。
本発明によれば、歯車の強度を維持しつつ歯打ち音を抑制することが可能な歯車を提供することができる。
以下、添付図面を参照して、実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
[第1実施形態]
第1実施形態について説明する。図1及び図2に示されるように、第1実施形態に係る歯車1は、金属製ギヤであって、車両用又は産業用の歯車として用いられる。例えば歯車1は、エンジン内のバランスシャフトギヤ及びカムシャフトギヤ等に使用できる。歯車1は、歯車本体3と、低弾性部材5と、を備える。歯車1は、平歯車である。
第1実施形態について説明する。図1及び図2に示されるように、第1実施形態に係る歯車1は、金属製ギヤであって、車両用又は産業用の歯車として用いられる。例えば歯車1は、エンジン内のバランスシャフトギヤ及びカムシャフトギヤ等に使用できる。歯車1は、歯車本体3と、低弾性部材5と、を備える。歯車1は、平歯車である。
歯車本体3は、例えば回転軸(図示省略)に取り付けられる部材である。歯車本体3は、他の歯車と噛み合う部材である。歯車本体3は、例えば、ステンレス鋼等の金属で形成されている。歯車本体3は、本体部7と、複数の歯部9と、を有している。本体部7は、環状である。本体部7には、貫通孔7hが設けられている。貫通孔7hは、本体部7の一方の端面と他方の端面とを貫通している。貫通孔7hには、回転軸が挿入される。歯部9は、本体部7の外周に複数設けられている。歯部9は、本体部7の周方向において、所定の間隔をあけて複数形成されている。
複数の歯部9のそれぞれには、スリット11が設けられている。スリット11は、歯部9の一方の端面9aと他方の端面9bとを貫通している。ここでのスリット11は、板状の隙間である。歯車1の回転方向におけるスリット11のサイズS11の例は、0.5mm〜4.0mmである。また、歯車1の回転方向における歯部9のサイズS9に対するスリット11のサイズS11の割合(S11/S9)は、5%〜40%である。スリット11は、軸方向D1と直交する径方向において歯部9から本体部7の一部まで延在すると共に、歯車1(歯車本体3)の軸方向D1に沿って延在するように形成されている。
低弾性部材5は、歯車1が他の歯車と噛み合うことで発生する歯打ち音を減衰する部材である。低弾性部材5は、複数の歯部9のそれぞれに設けられたスリット11を埋めるように設けられている。歯車1の回転方向における低弾性部材5のサイズ(厚み)S5の例は、0.5mm〜4.0mmである。また、歯車1の回転方向における歯部9のサイズS9に対する低弾性部材5のサイズS5の割合(S5/S9)は、5%〜40%である。低弾性部材5は、歯車本体3よりも弾性率が低い。低弾性部材5は、例えば、ゴムにより形成されている。ゴムは、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、スチレンブタジエンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、アクリルゴム、フッ素ゴム、エピクロロヒドリンゴム又はシリコーンゴム等である。ゴムは、耐久性及び耐熱性の観点から、フッ素ゴム又はシリコーンゴムであることが好ましい。
図示する例では、低弾性部材5は、複数の歯部9のうちの全ての歯部9の内部に設けられている。低弾性部材5は、歯部9の内部と本体部7の内部とに設けられている。低弾性部材5は、それぞれのスリット11を埋めるように隙間なく充填されている。低弾性部材5は、歯部9の端面9a及び端面9bと面一になるように設けられている。低弾性部材5は、歯部9の端面9a及び端面9bから露出するように設けられている。更に、低弾性部材5は、歯部9の歯面6f及び頂面9yの少なくとも一方から露出する露出部5aを有する。本実施形態の露出部5aは、歯部9の頂面9yからのみ露出している。露出部5aは、歯部9の頂面9yを、歯車1の軸方向D1に沿って延在する。
続いて、歯車1の製造方法の一例について説明する。
本実施形態に係る歯車1の製造方法は、金属部材加工工程と、スリット加工工程と、弾性部材形成工程と、歯切加工工程と、を含む。以下、各工程について順に説明する。
<金属部材加工工程>
金属部材加工工程では、図2(a)に示されるように、円環状の金属部材20を形成する。金属部材加工工程では、金属部材20を切削して金属部材20の寸法を調整する。金属部材加工工程では、金属部材20を旋盤等の工作機械によって切削加工する。具体的には、金属部材加工工程では、金属部材20の外径部分及び内径部側面を削り、金属部材20を所定の寸法に加工する。金属部材20を切削した後、金属部材20を洗浄する。
金属部材加工工程では、図2(a)に示されるように、円環状の金属部材20を形成する。金属部材加工工程では、金属部材20を切削して金属部材20の寸法を調整する。金属部材加工工程では、金属部材20を旋盤等の工作機械によって切削加工する。具体的には、金属部材加工工程では、金属部材20の外径部分及び内径部側面を削り、金属部材20を所定の寸法に加工する。金属部材20を切削した後、金属部材20を洗浄する。
<スリット加工工程>
スリット加工工程では、図2(b)に示されるように、金属部材20の外周部に複数のスリット11を形成するスリット加工を行う。例えばスリット加工工程では、フライス加工、ワイヤーカット加工等の工作機械を用いて、金属部材20の外周部に複数のスリット11を、周方向に沿って並ぶよう(配列するように)に形成する。
スリット加工工程では、図2(b)に示されるように、金属部材20の外周部に複数のスリット11を形成するスリット加工を行う。例えばスリット加工工程では、フライス加工、ワイヤーカット加工等の工作機械を用いて、金属部材20の外周部に複数のスリット11を、周方向に沿って並ぶよう(配列するように)に形成する。
<弾性部材形成工程>
弾性部材形成工程では、金属部材20のスリット11に低弾性部材5を形成する。例えば弾性部材形成工程では、図3(a)に示されるように、複数のスリット11が形成された金属部材20を下型31に配置する。続いて、図3(b)に示されるように、ゴム材料Gを上型32によってスリット11に押し込み、スリット11にゴム材料Gを注入して充填する。そして、充填したゴム材料Gの加硫及び加熱を行う。これにより、図4(a)に示されるように、金属部材20のスリット11を埋めるように低弾性部材5が形成される。必要に応じて、低弾性部材5のバリの除去等を行う。
弾性部材形成工程では、金属部材20のスリット11に低弾性部材5を形成する。例えば弾性部材形成工程では、図3(a)に示されるように、複数のスリット11が形成された金属部材20を下型31に配置する。続いて、図3(b)に示されるように、ゴム材料Gを上型32によってスリット11に押し込み、スリット11にゴム材料Gを注入して充填する。そして、充填したゴム材料Gの加硫及び加熱を行う。これにより、図4(a)に示されるように、金属部材20のスリット11を埋めるように低弾性部材5が形成される。必要に応じて、低弾性部材5のバリの除去等を行う。
<歯切加工工程>
歯切加工工程では、図4(b)及び図4(c)に示されるように、低弾性部材5の位置と歯部9の位置との位相を併せて、金属部材20の歯切加工を行う。適用される歯切加工としては、ホブ盤又はシェービング盤による仕上げ加工が挙げられる。歯切加工工程により、低弾性部材5を内部に含む歯部9が、端面9a、端面9b、及び頂面9yからは低弾性部材5が露出し且つ歯面9fからは低弾性部材5が露出しないように形成される。以上の工程により、歯車1が製造される。歯車1の製造方法としては、上述した方法に限定されず、公知の種々の手法を用いることができる。
歯切加工工程では、図4(b)及び図4(c)に示されるように、低弾性部材5の位置と歯部9の位置との位相を併せて、金属部材20の歯切加工を行う。適用される歯切加工としては、ホブ盤又はシェービング盤による仕上げ加工が挙げられる。歯切加工工程により、低弾性部材5を内部に含む歯部9が、端面9a、端面9b、及び頂面9yからは低弾性部材5が露出し且つ歯面9fからは低弾性部材5が露出しないように形成される。以上の工程により、歯車1が製造される。歯車1の製造方法としては、上述した方法に限定されず、公知の種々の手法を用いることができる。
以上説明したように、第1実施形態に係る歯車1では、スリット11を埋めるように設けられた低弾性部材5が歯部9の内部に存在することから、歯打ち音が発生する歯部9自体にその減衰効果をもたせることができ、歯打ち音を効果的に抑制することができる。また、低弾性部材5は、歯部9の全体ではなく、歯部9の一部として形成されたスリット11に対応する部分に、当該スリット11を埋めるように設けられていることから、歯面強さが低下するのを抑制することができ、ひいては、歯車1の強度が低下してしまうことを抑制することができる。したがって、歯車1の強度を維持しつつ歯打ち音を抑制することが可能となる。
第1実施形態に係る歯車1では、低弾性部材5は、複数の歯部9のうちの全ての歯部9の内部に設けられている。この構成では、歯打ち音をより抑制することができる。また、歯車1における軸回りの対称性を確保しやすくなる。
また、第1実施形態に係る歯車1では、歯面9fから低弾性部材5が露出することがないので、母材(金属、樹脂)のみで歯車を製造するときと同レベルの精度で歯車1を形成することができる。
歯車1の歯打ち音の低減効果に関する実証試験について説明する。実証試験では、歯車1を実施例1とし、低弾性部材5及びスリット11を備えない点以外は歯車1と同様な歯車を比較例とし、実施例1及び比較例の歯打ち音(dB)を計測して比較した。歯打ち音の計測は、公知の計測手法を用いた(以下の実証試験において同じ)。歯打ち音の計測時における実施例1及び比較例の回転数は、ともに6000rmpとした。実証試験の結果、実施例1では、比較例に対して歯打ち音を約8%低減できることを確認することができた。
[第2実施形態]
第2実施形態について説明する。第2実施形態の説明では、第1実施形態と異なる点を説明し、重複する説明は省略する。
第2実施形態について説明する。第2実施形態の説明では、第1実施形態と異なる点を説明し、重複する説明は省略する。
図5に示されるように、第2実施形態に係る歯車1Aのスリット11は、軸方向D1と直交する径方向において歯部9から本体部7までは延在していない。すなわち、第1実施形態のスリット11が径方向において歯部9から本体部7の一部まで配置されていたのに対し、第2実施形態のスリット11は、径方向において本体部7にまで到達せず、歯部9の内部のみに配置されている。言い換えれば、第2実施形態に係る歯車1Aの低弾性部材5は、歯部9の内部のみに設けられている。低弾性部材5は、頂面9yから露出する露出部5aを有し、当該露出部5aが、歯部9の頂面9yを歯車1Aの軸方向D1に沿って延在する構成は、第1実施形態と同じである。
第2実施形態に係る歯車1Aにおいても、第1実施形態に係る歯車1と同様に、歯車1Aの強度を維持しつつ歯打ち音を抑制することが可能となる。また、第2実施形態に係る歯車1Aでは、低弾性部材5は、歯部9の内部のみに配置されていので、歯車1Aの強度を維持しやすくなる。
歯車1Aの歯打ち音の低減効果に関する実証試験について説明する。ここでは、歯車1Aを実施例2とし、実施例2及び上記比較例の歯打ち音(dB)を計測して比較した。歯打ち音の計測時における実施例2及び比較例の回転数は、ともに6000rmpとした。実証試験の結果、実施例2では、比較例に対して歯打ち音を約10%低減できることを確認することができた。
[第3実施形態]
第3実施形態について説明する。第3実施形態の説明では、第1実施形態と異なる点を説明し、重複する説明は省略する。
第3実施形態について説明する。第3実施形態の説明では、第1実施形態と異なる点を説明し、重複する説明は省略する。
図6に示されるように、第3実施形態に係る歯車1Bのスリット11は、一つの歯部9の内部に、歯車1Bの回転方向D2に沿って複数配列されている。第3実施形態では、一つの歯部9に6つのスリット11が歯車1Bの回転方向D2に沿って配列されている。低弾性部材5は、複数のスリット11のそれぞれを埋めるように設けられると共に、一の歯部9の内部において歯車1Bの回転方向D2に沿って複数配列されている。
低弾性部材5は、歯部9の歯面9f及び頂面9yから露出する露出部5aを有している。露出部5aは、第1実施形態及び第2実施形態と同様に、歯部9の頂面9y及び歯面9fを歯車1Bの軸方向D1に沿って延在している。歯面9f及び頂面9yから露出する露出部5aは、歯面9fと面一であってもよいし、歯面9fから突出していてもよい。露出部5aの歯面9f又は頂面9yからの突出量は、例えば0.1mm〜2.5mmとすることができる。
第3実施形態に係る歯車1Bにおいても、第1実施形態に係る歯車1と同様に、歯車1Bの強度を維持しつつ歯打ち音を抑制することが可能となる。また、第3実施形態に係る歯車1Bでは、低弾性部材5は、歯部9の内部のみに配置されているので、歯車1Bの強度を維持しやすくなる。更に第3実施形態では、低弾性部材5が、複数のスリット11のそれぞれを埋めるように設けられると共に、一の歯部9の内部において歯車1Bの回転方向に配列されているので、歯打ち音をより効果的に抑制することができる。
また、上述したように、低弾性部材5の露出部5aが歯面9fから突出する構成とすれば、他の歯車1Bの歯部9同士が噛み合うときに、歯面9fよりも低弾性部材5である露出部5aが先に接触するようになるので、他の歯車1Bと噛み合う際に発生する歯打ち音を低減することができる。
[第4実施形態]
第4実施形態について説明する。本実施形態の説明では、第1実施形態と異なる点を説明し、重複する説明は省略する。
第4実施形態について説明する。本実施形態の説明では、第1実施形態と異なる点を説明し、重複する説明は省略する。
図7に示されるように、第4実施形態に係る歯車1Cのスリット11は、軸方向D1と直交する径方向において歯部9の内部を本体部7に到達しない範囲で延在すると共に、歯車1Cの回転方向D2に沿って延在するように形成されている。すなわち、第1実施形態のスリット11が径方向において歯部9から本体部7の一部まで配置されていたのに対し、第4実施形態のスリット11は、径方向において本体部7にまで到達せず、歯部9の内部のみに配置されている。さらに、第1実施形態のスリット11は、歯車1の軸方向D1に沿って延在するように形成されていたのに対し、第4実施形態のスリット11は、歯車1Cの回転方向D2に沿って延在するように形成されている。
低弾性部材5は、スリット11を埋めるように設けられると共に、歯面9f及び頂面9yから歯車1Cの回転方向に沿って延在する露出部5aを有している。歯面9f及び頂面9yから露出する露出部5aは、第2実施形態及び第3実施形態と同様に、歯面9f及び頂面9yと面一であってもよいし、歯面9f及び頂面9yから突出していてもよい。露出部5aの歯面9f又は頂面9yからの突出量は、例えば0.1mm〜2.5mmとすることができる。
第4実施形態に係る歯車1Cにおいても、第1実施形態に係る歯車1と同様に、歯車1Cの強度を維持しつつ歯打ち音を抑制することが可能となる。また、上述したように、低弾性部材5の露出部5aが歯面9fから突出する構成とすれば、他の歯車1Cの歯部9同士が噛み合うときに、歯面9fよりも低弾性部材5である露出部5aが先に接触するようになるので、他の歯車1Cと噛み合う際に発生する歯打ち音を低減することができる。
[第5実施形態]
第5実施形態について説明する。本実施形態の説明では、第1実施形態と異なる点を説明し、重複する説明は省略する。
第5実施形態について説明する。本実施形態の説明では、第1実施形態と異なる点を説明し、重複する説明は省略する。
図8に示されるように、第5実施形態に係る歯車1Dのスリット11は、一つの歯部9の内部には、複数のスリット11が歯車1Dの軸方向D1に沿って配列されている。第5実施形態では、一つの歯部9に3つのスリット11が歯車1Dの軸方向D1に沿って配列されている。低弾性部材5は、複数のスリット11のそれぞれを埋めるように設けられると共に、一の歯部9の内部において歯車1Dの軸方向D1に沿って配列されている。低弾性部材5は、第3実施形態及び第4実施形態と同様に、歯面9f及び頂面9yから露出する露出部5aを有している。
第4実施形態に係る歯車1Dにおいても、第1実施形態に係る歯車1と同様に、歯車1Dの強度を維持しつつ歯打ち音を抑制することが可能となる。また、上述したように、低弾性部材5の露出部5aが歯面9fから突出する構成とすれば、他の歯車1Dの歯部9同士が噛み合うときに、歯面9fよりも低弾性部材5である露出部5aが先に接触するようになるので、他の歯車1Dと噛み合う際に発生する歯打ち音を低減することができる。
以上、第1実施形態〜第5実施形態について説明してきたが、本発明の一態様は必ずしも上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
上記実施形態において、スリット11及び低弾性部材5の大きさ及び範囲は特に限定されない。低弾性部材5は、頂面9yからの径方向における長さを、図1に示される歯車1よりも長くしもよいし、図5に示される歯車1Aよりも短くしてもよい。また、スリット11の幅、すなわち低弾性部材5における厚みも、図1に示される歯車1及び図5に示される歯車1Aよりも薄くてもよいし、厚くてもよい。
上記実施形態及び変形例では、低弾性部材5は、端面9a及び端面9bから露出している例を挙げて説明したが、露出していなくてもよい。なお、低弾性部材5が端面9a及び端面9bから露出する構成の方が、スリット11に低弾性部材5を充填し易くなるので、歯部9の内部に低弾性部材5を容易に形成することが可能となる。すなわち、製造性を高めることができる。
上記実施形態では、全ての歯部9の内部に低弾性部材5を設けたが、低弾性部材5は、N個(Nは1以上の整数)おきの歯部9の内部に設けられていてもよい。この構成では、歯車1,1A,1B,1C,1Dの強度を維持しやすくなる。また、歯車1,1A,1B,1C,1Dにおける軸回りの対称性を確保しやすくなる。なお、低弾性部材5は、複数の歯部9の少なくとも何れかの内部に設けられていればよい。
上記実施形態では、歯車1,1A,1B,1C,1Dが平歯車である形態を一例に説明したが、歯車1,1A,1B,1C,1Dは、はすば歯車等であってもよい。上記実施形態では、低弾性部材5がゴムにより形成されている形態を一例に説明したが、低弾性部材5は、ゴムに限定されない。低弾性部材5は、歯車本体3よりも弾性率が低い部材であればよい。
上記実施形態では、歯車1,1A,1B,1C,1Dが金属製歯車である形態を一例に説明したが、本発明の一態様に係る歯車は、樹脂製歯車であってもよい。樹脂製歯車における歯車本体は、環状の金属製ブッシュと、金属製ブッシュの周囲に設けられ外周に歯部を有する環状の樹脂部材と、を含む。この場合、低弾性部材は、当該樹脂部材よりも弾性率が低い。
上記実施形態及び変形例における各構成には、上述した材料及び形状に限定されず、様々な材料及び形状を適用することができる。上記実施形態又は変形例における各構成は、他の実施形態又は変形例における各構成に任意に適用することができる。上記実施形態又は変形例における各構成の一部は、本発明の一態様の要旨を逸脱しない範囲で適宜に省略可能である。
1,1A,1B,1C,1D…歯車、3…歯車本体、5…低弾性部材、5a…露出部、6f…歯面、9…歯部、9a…端面、9b…端面、9f…歯面、9y…頂面、11…スリット、D1…軸方向、D2…回転方向。
Claims (10)
- 外周に複数の歯部を有する歯車本体と、
前記歯部に形成されたスリットを埋めるように設けられている、前記歯車本体よりも弾性率が低い低弾性部材と、を備え、
前記低弾性部材は、前記歯部の歯面及び頂面の少なくとも一方から露出する露出部を有する、歯車。 - 前記スリットは、前記歯車の径方向及び前記歯車の軸方向に沿って延在するように形成されており、
前記低弾性部材は、前記スリットを埋めるように設けられると共に、前記歯面において前記歯車の軸方向に沿って延在する前記露出部を有する、請求項1記載の歯車。 - 複数の前記スリットが、前記歯車の回転方向に配列されており、
前記低弾性部材は、複数の前記スリットのそれぞれを埋めるように設けられると共に、前記歯車の回転方向に配列されている、請求項2記載の歯車。 - 前記低弾性部材は、前記歯部における端面からも露出するように設けられている、請求項1〜3の何れか一項に記載の歯車。
- 前記スリットは、前記歯面において前記歯車の回転方向に沿って延在するように形成されており、
前記低弾性部材は、前記スリットを埋めるように設けられると共に、前記歯面において前記歯車の回転方向に沿って延在する前記露出部を有する、請求項1記載の歯車。 - 複数の前記スリットが、前記歯車の軸方向に配列されており、
前記低弾性部材は、複数の前記スリットのそれぞれを埋めるように設けられると共に、
前記歯車の軸方向に配列されている、請求項5記載の歯車。 - 前記歯面から露出する前記露出部は、前記歯面に対して突出している、請求項1〜6の何れか一項記載の歯車。
- 前記低弾性部材は、前記歯部の内部のみに配置されている、請求項1〜7の何れか一項記載の歯車。
- 前記低弾性部材は、複数の前記歯部のうちの全ての歯部の内部に設けられている、請求項1〜8の何れか一項記載の歯車。
- 前記低弾性部材は、複数の前記歯部のうちのN個(Nは1以上の整数)おきの歯部の内部に設けられている、請求項1〜8の何れか一項記載の歯車。
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JPH0328353U (ja) * | 1989-07-27 | 1991-03-20 |
-
2020
- 2020-05-12 JP JP2020083702A patent/JP2021179225A/ja active Pending
Patent Citations (2)
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