JP2021179046A - ガラスクロス、プリプレグ、及びプリント配線板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】弾性係数が50GPa以上70GPa以下のガラス糸で構成された、厚さ50μm以上100μm以下のガラスクロスであって、下式(1):
Y=F/(25000/G)×100 ・・・式(1)
{式中、Fは、緯糸幅(μm)であり、そしてGは、緯糸の織密度(本/25mm)である。}で求められる、MD方向における緯糸の存在する部分の割合を示す緯糸占有率Y(%)が、101.5%以上106.0%以下である、ガラスクロス、該ガラスクロスとマトリックス樹脂との複合体であるプリプレグ、並びに該プリプレグを成形してなるプリント配線板。
【選択図】なし
Description
プリント配線板に用いられるガラスクロスは、ガラス糸を経方向及び緯方向に平織することにより形成されているため、ガラスクロスと樹脂組成物とから構成される絶縁体層では、糸が交わる部位でガラスの存在比率が高くなり、糸の重なりが無い部分、或いは糸が無い部分で樹脂の存在比率が高くなる。
通常、ガラスクロスのガラスの誘電率と樹脂組成物の誘電率との間には差異があるため、ガラスの存在比率が高い部分を通過する伝送線路中の信号伝播速度と、樹脂組成物の存在比率が高い部分を通過する伝送線路中の信号伝播速度との間に差が生じることが知られている。このため、複数の信号を同期させる必要がある電子回路では、信号の到達時間にずれが生じたときに、信号処理に不都合が生じる可能性がある。
特許文献4の実施例には、経糸と緯糸にC1200(実施例1)、C900(実施例2)、D900(実施例3)、D450(実施例4)のガラス糸を用いて製織し、次いで扁平化加工、開繊加工、表面処理が施されたガラスクロスが開示されており、これらガラスクロスの緯糸占有度はそれぞれ97.2%、97.7%、98.3%、100.2%である。
[1]弾性係数が50GPa以上70GPa以下のガラス糸で構成された、厚さ50μm以上100μm以下のガラスクロスであって、下式(1):
Y=F/(25000/G)×100 ・・・式(1)
{式中、Fは、緯糸幅(μm)であり、そしてGは、緯糸の織密度(本/25mm)である。}で求められる、MD方向における緯糸の存在する部分の割合を示す緯糸占有率Y(%)が、101.5%以上106.0%以下である、ガラスクロス。
[2]前記ガラスクロスの緯糸幅と経糸幅の比(緯糸幅/経糸幅比)が1.15以上1.32以下である、前記[1]に記載のガラスクロス。
[3]前記ガラス糸の弾性係数が、50GPa以上63GPa以下である、前記[1]又は[2]に記載のガラスクロス。
[4]前記ガラスクロスは、不飽和二重結合を有するシランカップリング剤で表面処理されたものである、前記[1]〜[3]のいずれかに記載のガラスクロス。
[5]前記ガラスクロスは、10GHzの周波数において5.0以下の誘電率を有する、前記[1]〜[4]のいずれかに記載のガラスクロス。
[6]前記[1]〜[5]のいずれかに記載のガラスクロスとマトリックス樹脂との複合体であるプリプレグ。
[7]前記[6]に記載のプリプレグを成形してなるプリント配線板。
Y=F/(25000/G)×100 ・・・式(1)
{式中、Fは、緯糸幅(μm)であり、そしてGは、緯糸の織密度(本/25mm)である。}で求められる、MD方向における緯糸の存在する部分の割合を示す緯糸占有率係数Y(%)が、101.5%以上106.0%以下である、ガラスクロスである。
本実施形態のガラスクロスを構成するガラス糸の弾性係数は50GPa以上であり、好ましくは51Gpa以上であり、より好ましくは52GPa以上である。弾性係数が50GPa以上であれば、ガラス糸の剛性が向上し、製造工程において、ガラスクロスの破断や毛羽立ちが生じ難くなる傾向にある。
他方、ガラス糸の弾性係数は70GPa以下であり、好ましくは65GPa以下であり、より好ましくは63GPa以下である。弾性係数が70GPa以下であれば、ガラス糸が適度な柔軟性を有するため、以下に説明する緯糸占有率が101.5以上となり緯糸同士の重なりが生じても、クリンプ構造に大きな歪みを生じることなく、経糸及び緯糸ともに均一なうねり構造を維持できるため、表面平滑性の良好な構造となる。その結果、ガラスクロスと樹脂とで構成されるプリプレグ及び基板において、樹脂層の厚さを均一に構成することができるため、積層板におけるガラスクロス/樹脂の層間接着性や、樹脂/銅箔との接着性を、均一に高くすることができるため、高い耐熱性が得られる。
本実施形態のガラスクロスの厚さは、50μm以上100μm以下、好ましくは60μm以上98μm以下、より好ましくは65μm以上96μm以下である。ガラスクロスの厚さが100μm以下であれば、プリント配線板の高密度化、高多層化が可能となる。上記厚さはプリント配線板の薄型化や高密度化の観点から薄い方が好ましいが、一般的に多く使用されている、IPCの登録リストに掲載されているような構成(経糸と緯糸の糸番手、織密度)を維持しつつ、以下に説明する緯糸占有率を達成する観点から、厚さの下限は50μmである。
本実施形態のガラスクロスの緯糸占有率は、101.5%以上、好ましくは101.8%以上、より好ましくは102.2%以上、さらに好ましくは102.5%以上である。他方、緯糸占有率は、106.0%以下、好ましくは105.7%以下、より好ましくは105.4%以下、さらに好ましくは105.0%以下である。
本明細書中、緯糸占有率Y(%)とは、ガラスクロスのMD方向(製織における機械方向、経糸方向)における緯糸の存在する部分の割合を示す値である。具体的には、JIS R3420に準拠して測定した緯糸の織密度(本/25mm)と、100mm×100mmの大きさのガラスクロスサンプルを表面から顕微鏡で観察し、全ての緯糸の幅を求め、その合計を緯糸の本数で除算した平均値として求めた緯糸の糸幅(μm)(緯糸の糸幅がサンプル内で変動する場合は、最も幅が大きい箇所の幅)とを用いて、下式(1):
Y=F/(25000/G)×100 ・・・式(1)
で求められる値である。
緯糸占有率が101.5%以上であれば、ガラスクロスの面内均一性に優れるため、ガラスクロスと樹脂とから構成される絶縁体層において、ガラスと樹脂の存在比率がより均一となり、該絶縁体層上に形成された複数の伝送線路の信号伝播速度が同等となる傾向にあるため、信号の到達時間にずれが小さく、安定な信号処理が可能となる。
他方、緯糸と経糸のクリンプ構造に歪が生じることなく、均一な織物構造とする観点から、緯糸占有率の上限は106.0%以下である。
他方、緯糸幅/経糸幅(緯糸幅/経糸幅比)は1.01以上であることが好ましく、より好ましくは1.05以上であり、さらに好ましくは1.1以上であり、特に好ましくは1.15以上である。
緯糸幅/経糸幅比が当該範囲であれば、弾性係数が70GPa以下の風合いが柔らかくしなやかなガラス糸を用いて緯糸占有率が101.5%以上となるような織物構造とした際、緯糸のクリンプ振幅がより小さく抑えられ、経糸と緯糸のクリンプ構造の歪もより小さく抑えられる傾向にあるため、ガラスの面内均一性や表面平滑性のより優れたガラスクロスが得られやすいために好ましい。その結果、ガラスクロスの面内均一性を高く保持した状態で、表面平滑性の優れたガラスクロスとなるため、ガラス面内均一性とガラスクロス/樹脂の層間接着性、樹脂/銅箔の層間接着性、耐熱性を両立しやすくなる。
本実施形態のガラスクロスは、好ましくは、不飽和二重結合を有するシランカップリング剤で表面処理されている。
信号の高速化を達成するために、電子回路基板の絶縁体層に用いられるマトリックス樹脂にも低誘電率化、低誘電正接化が求められるため、従来から電子回路基板に多用されているエポキシ樹脂に代わり、ビニル基、アクリレート基、メタクリレート基、アリル基等のラジカル重合性の官能基を有するポリフェニレンエーテル樹脂等の低誘電樹脂がマトリックス樹脂として有用である。
ガラスクロスが不飽和二重結合を有するシランカップリング剤で表面処理されていることにより、低誘電樹脂との層間接着性が良好となり、絶縁信頼性、耐熱性、機械的耐久性が向上する。
X(R)3-nSiYn ・・・(2)
式(2)中、Xは、マトリックス樹脂との接着が強くなる観点から、少なくとも一つの不飽和二重結合基を有する有機官能基が含まれる。不飽和二重結合基としては、ビニル基、アリル基が好適に挙げられる。
Yは、各々独立して、アルコキシ基であり、nは1以上3以下の整数であり、Rは、各々独立して、メチル基、エチル基、及びフェニル基からなる群より選ばれる基である。
Xの有機官能基には、アミノ基が含まれていてもよい。アミノ基としては、第一級アミンの基(−NH2)、第二級アミンの基(−NH−)、第三級アミンの基(−N<)であってもよく、これら第一級〜第三級のアミンの基のいずれも包含する。
上記のアルコキシ基Yとしては、何れの形態も使用できるが、ガラスクロスへの安定処理化のためには、炭素数5以下のアルコキシ基が好ましい。
本実施形態のガラスクロスは、好ましくは、10GHzの周波数において5.0以下の比誘電率を有する。10GHzの周波数において5.0以下の比誘電率であることにより、ガラスクロスと樹脂とから構成される絶縁体層において、ガラスの存在比率が高い部位と樹脂の存在比率が高い部位での誘電特性差が小さく抑えられ、伝播速度の変化が低減されるため好ましい。
本実施形態のガラスクロスの製造方法は、特に限定されないが、ガラス糸を経糸と緯糸に用い、常法により製織し、その後、ガラスクロスの生機をシランカップリング剤による処理する等の後加工を施す方法が挙げられる。ガラスクロスの織り構造としては、特に限定されないが、例えば、平織り、ななこ織り、朱子織り、綾織り等の織り構造が挙げられる。さらに異種のガラス糸を用いた混織構造でもよい。この中でも、平織り構造が好ましい。
シランカップリング剤を溶解又は分散させる溶媒としては、水、又は有機溶媒のいずれも使用できるが、安全性、地球環境保護の観点から、水を主溶媒とすることが好ましい。水を主溶媒とした処理液を得る方法としては、シランカップリング剤を直接水に投入する方法、シランカップリング剤を水溶性有機溶媒に溶解させて有機溶媒溶液とした後に該有機溶媒溶液を水に投入する方法、のいずれかの方法が好ましい。シランカップリング剤の処理液中での水分散性、安定性を向上させるために、界面活性剤を併用することも可能である。
また、ガラスクロスに処理液を塗布した後、溶媒を加熱乾燥させる方法としては、熱風、電磁波等公知の方法が挙げられる。
スプレー水で開繊する場合、水圧は適宜設定すればよく、ガラスクロスに存在するバスケットホールの総面積を調整するために、水圧は一定にすることが好ましい。ここで、水圧を一定にするとは、開繊を実施するために設定したスプレーの水圧と、実際の水圧の最大値、最小値との差を小さくすることを指す。開繊工程前後においても、加熱乾燥させる工程を有していてもよい。
マトリックス樹脂は、該ガラスクロスに含侵している。
プリプレグは、常法に従って製造することができる。例えば、ガラスクロスに、マトリックス樹脂を有機溶剤で希釈したワニスを含浸させた後、乾燥炉にて有機溶剤を揮発させ、樹脂含浸プリプレグを作製することができる。
熱硬化性樹脂としては、特に限定されないが、例えば、a)エポキシ基を有する化合物と、エポキシ基と反応する、アミノ基、フェノール基、酸無水物基、ヒドラジド基、イソシアネート基、シアネート基、及び水酸基等の少なくとも1つを有する化合物と、を、無触媒で、又は、イミダゾール化合物、3級アミン化合物、尿素化合物、燐化合物等の反応触媒能を持つ触媒を添加して、反応させて硬化させるエポキシ樹脂;b)ビニル基、アリル基、メタクリル基、及びアクリル基の少なくとも1つを有する化合物を、熱分解型触媒、又は光分解型触媒を反応開始剤として使用して、硬化させるラジカル重合型硬化樹脂;c)シアネート基を有する化合物と、マレイミド基を有する化合物と、を反応させて硬化させるマレイミドトリアジン樹脂;d)マレイミド化合物と、アミン化合物と、を反応させて硬化させる熱硬化性ポリイミド樹脂;e)ベンゾオキサジン環を有する化合物を加熱重合により架橋硬化させるベンゾオキサジン樹脂等が挙げられる。
また、熱硬化性樹脂と、熱可塑性樹脂を併用してもよい。
マトリックス樹脂がポリフェニレンエーテル樹脂であると、誘電特性に優れるために好ましい。
また、マトリックス樹脂が、上記の官能基及び数平均分子量を有することにより、プリプレグ作製工程、プレス成型工程において、樹脂組成物がガラスクロスの内部まで浸透しやすく、ガラスクロスとの接着点が多く確保されるために、誘電特性が優れると推測されるが、本実施形態のようにガラスの面内均一性が高く、通気度が小さために、ガラスクロスの上下に形成される樹脂マトリックス層同士の直接の接着点数が下がる系においても、ガラスクロスと樹脂組成物の界面の強い接着性が発現することにより、耐熱性や絶縁信頼性が向上する。
まず、実施例等で用いた各種物性、特性の評価方法を説明する。
ガラスクロスを構成するガラス糸の弾性係数は、ガラス糸を溶融、冷却して得られるガラスバルクを試験片に用い、パルスエコーオーバーラップ法により測定した。
ガラスクロスの厚さは、JIS規格のR3420(7.10クロス及びマットの厚さ)に準拠して測定した。A法を用い、耳端より150mm内側を5等分した5か所の厚さをマイクロメーターで測定し、測定値の算術平均として求めた。
織密度をJIS規格のR3420(7.9織り密度)に準拠して測定した。耳端より150mm内側の3か所について、50mmの間隔にある糸本数を測定した。測定毎に25mm当たりの糸本数を算出し、3回の平均値を求めた。
ガラスクロスを構成する経糸と緯糸の糸幅は、100mm×100mmの大きさのガラスクロスサンプルを表面から顕微鏡で観察し、全ての経糸と緯糸の幅を求め、その合計を経糸と緯糸のそれぞれの本数で除算した平均値として求めた。このとき、緯糸又は経糸の糸幅がサンプル内で変動する場合は、最も幅が大きい箇所の幅をその緯糸又は経糸の糸幅とした。これらを用いて、緯糸幅/経糸幅比を求めた。
前記にようにして緯糸の織密度(本/25mm)と緯糸の糸幅(μm)を用いて、下式(1):
Y=F/(25000/G)×100 ・・・式(1)
で求めた。
ガラス糸を溶融して、長さ約50mm、幅約1.5mmのバルク状のガラス試験片を作製し、空洞共振器にて測定した。該試験片を、105℃±2℃のオーブンに入れ2時間乾燥させた後、23±2℃、相対湿度50±5%の恒温室に96時間静置後、10GHzの比誘電率を測定した。
尚、測定装置には、ネットワークアナライザー(N5230A、AgilentTechnologies社製)、及び関東電子応用開発社製の空洞共振器(Cavity Resornator CPシリーズ)を用い、23±2℃、相対湿度50±5%の環境下で測定した。
ガラスクロスの通気度を、幅方向に均等間隔に12点測定し、以下の基準にて5段階で評価した。尚、通気度の測定は、通気度測定器(TEXTEST AG社製、FX3300LabAir Mark4)を用いて行った。
5:通気度の平均値、最大値ともに3.0以下
4:通気度の平均値が3以下、最大値が3.0を超え3.3以下
3:通気度の平均値が3以下、最大値が3.3を超え3.6以下
2:通気度の平均値が3以下、最大値が3.6を超え5.0以下
1:通気度の平均値が3より大きい
実施例及び比較例で得られたガラスクロスA〜Oに、以下の表1に記載のポリフェニレンエーテル含有樹脂組成物のワニスを含侵させた後、所定のスリットに通すことにより余分なワニスを掻き落とし、105℃の乾燥オーブンにて所定時間乾燥させ、溶剤を除去することにより、プリプレグを得た。
得られたプリプレグを4枚重ね、更にその両側に、厚さ12μm、表面粗さRz2.0μmの銅箔(FV−WS箔、古河電工製)を重ね、温度200℃、圧力40kg/cm2の条件で60分間の真空プレスを行うことによって銅張積層板を作製した。
片側だけの銅箔をエッチングにより除去し、耐熱性試験を実施した。耐熱性試験は、試験片を50mm角に切り出し、次いで、105℃のオーブンに入れ2時間乾燥させた後、プレッシャークッカーテスト(PCT)を実施した(条件1:3気圧、72時間、条件2:3気圧、4時間、条件3:2気圧、4時間)。その後、260℃又は288℃のはんだ浴に20秒ディップする試験を30回繰り返す耐熱性試験を実施した。尚、ディップの間隔は20秒間とした。
目視による観察により、下記評価基準に基づき耐熱性を評価した。
5:はんだ試験288℃(PCT3気圧、72時間)の条件で、膨れ、剥離、及び白化のいずれも確認されなかった積層板
4:はんだ試験288℃(PCT3気圧、4時間)の条件で、膨れ、剥離、及び白化のいずれも確認されなかった積層板
3:はんだ試験288℃(PCT2気圧、4時間)の条件で、膨れ、剥離、及び白化のいずれも確認されなかった積層板
2:はんだ試験260℃(PCT2気圧、4時間)の条件で、膨れ、剥離、及び白化のいずれも確認されなかった積層板(288℃の条件では、膨れ、剥離、及び白化の何れかが発生した)
1:はんだ試験260℃(PCT2気圧、4時間)の条件で、膨れ、剥離、及び白化の何れかが発生した積層板
PPE
・下記製造例1で得られた変性ポリフェニレンエーテル1(変性PPE1、Mn:1600)
・末端メタクリル基変性PPE「製品名SA9000」(Sabicイノベーティブプラスチックス社製、Mn:2756)
・ポリフェニレンエーテル「製品名S201A」(旭化成株式会社製、Mn:22,000)
熱可塑性樹脂
・水添スチレン系熱可塑性樹脂「製品名タフテックH1051」(旭化成社製)
・水添スチレン系熱可塑性樹脂「製品名タフテックN504」(旭化成社製)
その他成分
・架橋剤:TAIC(日本化成社製)
・有機過酸化物:ジ(2−t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン「製品名パーブチルP」(日油社製)
・難燃剤:デカブロモジフェニルエタン「製品名SAYTEX8010」(アルベマール社製)
・添加剤:球状シリカ(龍森社製)
PPE1(PPE1)の合成
500mlの3つ口フラスコに、3方コックを付け、更にジムロートと等圧滴下ロートを設置した。フラスコ内を窒素に置換した後、原料PPE S202A100g、トルエン200g、多官能フェノールとして1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン12.8gを加えた。フラスコに温度計を設置し、マグネチックスターラーにて撹拌しながら、オイルバスにてフラスコを90℃に加熱し、原料PPEを溶解させた。開始剤として、ベンゾイルペルオキシド、ベンゾイルm−メチルベンゾイルペルオキシド、m−トルイルペルオキシドの混合物の40%メタキシレン溶液(日油製:ナイパーBMT)の37.5gをトルエン87.5gに希釈し、等圧滴下ロートに仕込んだ。フラスコ内の温度を80℃まで降温させた後、開始剤溶液を、フラスコ内へ滴下開始し、反応を開始した。開始剤を2時間かけて滴下し、滴下後、再び90℃に昇温し,4時間撹拌を継続した。反応後、ポリマー溶液をメタノール中に滴下し、再沈させた後、溶液と濾別し、ポリマーを回収した。その後、これを真空下100℃で3時間乾燥させた。1H−NMRにより、低分子フェノールがポリマー中に取り込まれ、水酸基のピークが消失していることを確認した。この1H−NMR測定結果から、得られたポリマーは、下記式:
で表される構造を有するPPE(以下、PPE1という)であると確認できた。GPC測定の結果、得られたPPE1のポリスチレン換算での分子量はMn=1,500であった。また、PPE1の20%メチルエチルケトン溶媒中での溶液粘度は125cPoiseであった。
トルエン80g、及び上記で合成したPPE1を26g混合して約85℃に加熱した。加熱された混合物へジメチルアミノピリジン0.55gを添加した。固体が全て溶解したと思われる時点で、溶解物へ無水メタクリル酸4.9gを徐々に添加した。得られた溶液を連続混合しながら85℃に3時間維持した。次いで、溶液を室温に冷却して、メタクリレート変性PPEのトルエン溶液を得た。
溶液の一部を採取し、乾燥後1H−NMR測定を実施した。PPEの水酸基由来のピークが消失していたことから、反応が進行しているものと判断し、精製操作に移った。上記メタクリレート変性PPEのトルエン溶液120gを、1Lビーカー中マグネチックスターラーで激しく撹拌したメタノール360g中に30分掛けて滴下した。得られた沈殿物を、メンブランフィルターで減圧濾過した後に乾燥し、38gのポリマーを得た。乾燥させたポリマーの1H−NMR測定結果を図1に示す。4.5ppm付近のPPEの水酸基由来のピークが消失したこと、及び、5.75ppm付近にメタクリル基のオレフィン由来のピークの発現を確認した。また、GC測定により、ジメチルアミノピリジン、無水メタクリル酸、メタクリル酸由来のピークがほぼ消失していることから、NMRのメタクリル基由来のピークは、PPE末端に結合しているメタクリル基のものと判断した。この結果から、得られたポリマーは、下記式:
また、GPC測定の結果、得られた変性PPE1のポリスチレン換算での分子量はMn=1,600であった。また、変性PPE1の平均末端官能基数は、上記数式(2)に従って、2.0以上であることが算出された。更に、変性PPE1の20%メチルエチルケトン溶媒中での溶液粘度は131cPoiseであった。
経糸、緯糸ともに、平均フィラメント直径6.0μm、フィラメント数200本からなる低誘電ガラス糸(LガラスLCDE340、弾性係数61GPa、比誘電率4.8)を使用し、エアジェットルームを用い、経糸打ち込み密度59.0本/25mm、緯糸の打ち込み密度61.5本/25mmのガラスクロス(生機)を製織した。
該生機に400℃で24時間加熱処理し脱糊した後、表面処理剤としてシランカップリング剤である、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン;KBM502(信越シリコーン社製))を用いた処理液にガラスクロスを浸漬し、絞液後、120℃で1分乾燥し、さらに高圧水スプレーによる拡幅加工、開繊加工を実施し、以下の表1に示すガラスクロスA〜Iを得た。
尚、上記の拡幅加工、開繊加工時に、MDに作用させる張力、スプレー圧を調整し、経糸幅と緯糸幅を調整した。
経糸、緯糸ともに、平均フィラメント直径6.0μm、フィラメント数200本からなる汎用のガラス糸(EガラスECDE300、弾性係数74GPa、比誘電率6.8)を使用した以外は実施例1と同様の操作より、ガラスクロスJ〜Lを得た。
経糸、緯糸ともに、平均フィラメント直径7.0μm、フィラメント数200本からなる低誘電タイプのガラス糸(LガラスLCE255、弾性係数61GPa、比誘電率4.8)を使用し、経糸打ち込み密度60.0本/25mm、緯糸打ち込み密度57.0本/25mmとした以外は実施例1と同様の操作より、ガラスクロスM、Nを得た。
経糸、緯糸ともに、平均フィラメント直径7.0μm、フィラメント数200本からなる汎用のガラス糸(EガラスECE225、弾性係数74GPa、比誘電率6.8)を使用した以外は実施例8と同様の操作より、ガラスクロスOを得た。
比較例1、2、4、7では、緯糸占有率が小さいため、バスケットホールの大きい部位が存在し、通気度が大きく、通気度の均一性が良くなかった。
比較例3では、緯糸占有率が大きいため通気度の均一性は高いが、大きな緯糸占有率に起因して緯糸と経糸のクリンプ構造の歪が大きくなり、耐熱性に劣っていた。
比較例5、6、8では、緯糸占有率が大きく、一定の通気度の均一性は得られるが、弾性係数の大きいEガラスを用いているため、緯糸と経糸のクリンプ構造の歪が大きくなり、耐熱性に劣っていた。
Claims (7)
- 弾性係数が50GPa以上70GPa以下のガラス糸で構成された、厚さ50μm以上100μm以下のガラスクロスであって、下式(1):
Y=F/(25000/G)×100 ・・・式(1)
{式中、Fは、緯糸幅(μm)であり、そしてGは、緯糸の織密度(本/25mm)である。}で求められる、MD方向における緯糸の存在する部分の割合を示す緯糸占有率Y(%)が、101.5%以上106.0%以下である、ガラスクロス。 - 前記ガラスクロスの緯糸幅と経糸幅の比(緯糸幅/経糸幅比)が1.15以上1.32以下である、請求項1に記載のガラスクロス。
- 前記ガラス糸の弾性係数が、50GPa以上63GPa以下である、請求項1又は2に記載のガラスクロス。
- 前記ガラスクロスは、不飽和二重結合を有するシランカップリング剤で表面処理されたものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のガラスクロス。
- 前記ガラスクロスは、10GHzの周波数において5.0以下の比誘電率を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のガラスクロス。
- 求項1〜5のいずれか1項に記載のガラスクロスとマトリックス樹脂との複合体であるプリプレグ。
- 請求項6に記載のプリプレグを成形してなるプリント配線板。
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2020
- 2020-05-14 JP JP2020085370A patent/JP7515299B2/ja active Active
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