しかしながら、特許文献1記載の管材固定具においては、Uボルトをインサートとした射出成形で製作するのが望ましいところ、このような方法だと、金型に対するUボルトの位置決めなど、製作に手間やコストがかかるという問題が生じるほか、配管を固定するにあたっては、別途併用する台座の荷重分散機能が十分でない場合、台座側で配管に不測の荷重が生じたり台座が損傷したりするおそれがあるという問題を生じていた。
また、配管内を温冷水が流れる場合、特に冷却水が流れる場合には、結露水が金属製品を腐食させたり、下方に滴り落ちて様々な不具合を生じさせたりするおそれがあるため、配管周囲には、熱損失を防止する観点でも保温材の巻付けが必要になるほか、配管固定箇所では、Uボルトと配管との間に断熱性を持たせる必要があるが、特許文献1記載の管材固定具では、十分な断熱性を期待することが難しいという問題を生じていた。
なお、非特許文献1には、硬質ウレタンフォームで形成された複数の断熱材を、配管を取り囲む形に配置した上、該断熱材をUバンドで取り囲んでブラケット、門型架台、振れ止め等の取付け側部材に固定する配管固定具が開示されているが、硬質ウレタンフォームに断熱機能と荷重分散機能の両方を十分に持たせることは難しく、加えて、Uバンドによる締付け作業が終了するまで、複数の断熱材が互いに離間やずれを生じたり、落下したりしないよう、配管の外周面に押さえ付けておかねばならないため、複数の作業員が必要になる、作業が繁雑になる、作業に時間を要するといった別の問題が生じる。
また、配管には、さまざまな機械振動が駆動源から伝わるほか、ポンプから圧送される液体の圧力脈動が作用し、その振動数が配管系の固有振動数に一致すると、共振によって配管が大きく振動し、その結果、配管やそれらを固定している配管固定具が破損する事態を招くため、Uボルトと配管との間に防振性を持たせる必要があるが、特許文献1記載の管材固定具では、十分な防振性を期待することが難しいという問題を生じていた。
なお、非特許文献2には、防振ゴムがUバンドの内周側に取り付けられてなる配管固定具を用いて配管を固定する対策が開示されているが、このような配管固定具においては、Uバンドに防振ゴムが先行装着されているため、配管を跨ぐ形に配管固定具を配置しようとすると、取付け途中で防振ゴムの先端が配管の外周面に当接して取付け終了時には該防振ゴムに残留変形が生じたり、不測の残留応力が防振ゴムに発生したりするおそれがあり、それが原因で、基本機能である荷重伝達機能に支障が出たり、防振ゴムが本来の防振機能を発揮できない場合が生じる。
加えて、非特許文献2記載の配管固定具では、直状に製作された防振ゴムを、製作後に湾曲させてUバンドに装着するようになっているので、それに見合う柔らかさとなるように防振ゴムを製作せざるを得ず、防振に適した剛性調整が本来的に困難であるという問題を生じていた。
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、配管全周にわたって高い荷重分散機能を確保するとともに、インサート成形の場合よりも製作コストを低減することが可能で、なおかつ配管への取付け時にインサート成形による場合と同様の作業性を確保することが可能な配管固定用アタッチメントを提供することを目的とする。
また、本発明は、これらに加えて、断熱性や防振性を高めることも可能な配管固定用アタッチメントを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る配管固定用アタッチメントは請求項1に記載したように、ブラケット、架台、振れ止め等の建物側固定部材に配管を固定するためのUボルト、Uバンド等の配管固定具と併用される配管固定用アタッチメントであって、前記配管の外周面に当接する配管側当接面が内周側に設けられ外周側に前記配管固定具の一部が嵌合する嵌合溝が形成されてなり前記配管側当接面及び前記嵌合溝を介して前記配管と前記配管固定具との間の荷重伝達が行われるようになっている荷重伝達部を備え、該荷重伝達部は、前記配管の周方向に沿って該配管を取り囲むように並置される複数の荷重伝達ブロックからなり、該複数の荷重伝達ブロックは、前記配管を取り囲んだ形に連結自在となるように構成されたものである。
また、本発明に係る配管固定用アタッチメントは、前記複数の荷重伝達ブロックをそれぞれ熱可塑性エラストマーで形成したものである。
また、本発明に係る配管固定用アタッチメントは、前記配管固定具をUボルトで構成したものである。
また、本発明に係る配管固定用アタッチメントは、前記複数の荷重伝達ブロックを、前記建物側固定部材に台座として配置される底部側ブロックと、該底部側ブロックに隣接配置される半円筒状の頂部側ブロックとで構成し、前記底部側ブロックの各側面に前記嵌合溝をそれぞれ設けるとともに前記頂部側ブロックの外周面に前記嵌合溝を設け、前記底部側ブロックに設けられた半円筒状凹部の内周面と前記頂部側ブロックの内周面とを前記配管側当接面としてそれらの間に前記配管が挟み込まれるように、なおかつ前記底部側ブロックの内周面の両側に延びる頂面と前記頂部側ブロックの端面がそれぞれ当接面となって前記底部側ブロック及び前記頂部側ブロックが互いに連結されるように、該底部側ブロック及び該頂部側ブロックを構成したものである。
また、本発明に係る配管固定用アタッチメントは、前記複数の荷重伝達ブロックのうち、前記配管を取り囲んだ状態において互いに隣り合う2つの荷重伝達ブロックの一方に磁性体を、他方に該磁性体に磁着する金属物を配置したものである。
また、本発明に係る配管固定用アタッチメントは、前記荷重伝達部を、前記配管の材軸方向に沿って少なくとも該荷重伝達部の両端近傍まで延びる空隙が該配管の周方向に沿って離散配置されるように構成したものである。
また、本発明に係る配管固定用アタッチメントは、前記各空隙の両端が閉じるように前記荷重伝達部を構成したものである。
また、本発明に係る配管固定用アタッチメントは、前記各空隙をそれらの横断面形状が六角形となるように形成するとともに、それらを六角形状隔壁を介して互いに近接配置したものである。
また、本発明に係る配管固定用アタッチメントは、前記荷重伝達部に、前記配管の材軸に向かって延びる形で周方向に離散配置され各先端面が前記配管側当接面として前記配管の外周面にそれぞれ当接されるように形成されてなる複数の突起を設けたものである。
また、本発明に係る配管固定用アタッチメントは、前記荷重伝達部のうち、少なくとも前記突起を、振動吸収機能を備えた熱可塑性エラストマーで形成したものである。
[本発明の作用]
本発明に係る配管固定用アタッチメントにおいては、荷重伝達部の内周側に配管の外周面に当接する配管側当接面が設けられていて、該配管側当接面を介して配管との間の荷重伝達が行われるとともに、外周側には、配管固定具の一部が嵌合する嵌合溝が形成してあり、該嵌合溝の溝内面を介して配管固定具との間の荷重伝達が行われるようになっている。
このようにすると、内周側では、配管側当接面の面積を適宜確保することで、配管との間の荷重伝達が分散状態で行われ、外周側においては、嵌合溝の溝内面を介して配管固定具との間の荷重伝達が確実に行われるとともに、配管の材軸方向に沿った配管固定用アタッチメントの移動が制限される。
そのため、配管から振動荷重が作用するような状況においても、配管固定用アタッチメントが配管の材軸方向にずれたり、配管と配管固定具との間から抜け落ちたりといった懸念がなくなって上述した荷重伝達機能が確実に維持されることとなり、かくして、配管固定具と一体になるよう製作せずとも、より経済性に優れた形で、配管の応力集中を防止することが可能となる。
加えて、配管固定具と一体に製作される場合には、配管を跨ぐように配置しなければならない関係上、配管を全方位で取り囲む形に一体製作することは本来的に困難であったが、本発明に係る配管固定用アタッチメントにおいては、荷重伝達部は、配管の周方向に沿って該配管を取り囲むように並置される複数の荷重伝達ブロックで構成してあるので、配管との間で伝達される荷重を全方位で分散させることが可能となり、配管に応力集中が生じる懸念をいっそう低減することが可能となる。
本発明に係る配管固定用アタッチメントを用いて配管を建物側固定部材に固定するには、まず、複数の荷重伝達ブロックを、配管が取り囲まれるようにして該配管の周方向に沿って配置し、次いで、荷重伝達ブロックに形成された嵌合溝に配管固定具が嵌め込まれるようにしながら、該配管固定具を配管に配置し、しかる後、配管固定具をブラケット、架台、振れ止めといった建物側固定部材に固定するが、複数の荷重伝達ブロックは、配管を取り囲んだ形に連結自在となるように構成してあり、それによって配管を取り囲んだ形が保持されるので、配管固定用アタッチメントを単独で配管に先行配置することができるとともに、配管固定具による固定作業が終わるまでの間、配管固定用アタッチメントが配管から外れたり落下したりしないよう注意を払う必要がなくなる。
[荷重伝達部の基本構成]
複数の荷重伝達ブロックは、配管と配管固定具との間に荷重伝達部として介在して両者の荷重伝達を行うことができるように構成される限り、具体的な形成材料は任意であるが、変形性能に富んだ樹脂材料、特に熱可塑性エラストマーを形成材料として採用するのが望ましい。
配管固定具には、Uバンドも包摂されるが、これをUボルトで構成したならば、Uボルトの横断面が材軸に沿って概ね同一の円形であるため、Uボルトをその材軸に沿って連続的に嵌合溝に嵌合することが可能となり、かくしてUボルトと嵌合溝との密着度合いが高まり、配管から振動荷重が伝達されるような状況であっても、配管固定具と荷重伝達部との間でより確実に荷重を伝達させることができる。
複数の荷重伝達ブロックは、個数については任意であるし、それぞれの形状も限定されないが、建物側固定部材に台座として配置される底部側ブロックと、該底部側ブロックに隣接配置される半円筒状の頂部側ブロックとで構成し、底部側ブロックの各側面に嵌合溝をそれぞれ設けるとともに頂部側ブロックの外周面に嵌合溝を設け、底部側ブロックに設けられた半円筒状凹部の内周面と頂部側ブロックの内周面とを配管側当接面としてそれらの間に配管が挟み込まれるように、なおかつ底部側ブロックの内周面の両側に延びる頂面と頂部側ブロックの端面がそれぞれ当接面となって底部側ブロック及び頂部側ブロックが互いに連結されるように、該底部側ブロック及び該頂部側ブロックを構成したものが典型例となる。
複数の荷重伝達ブロックは、配管を取り囲んだ形に連結自在となるように構成される限り、互いに分離されたものを、配管が取り囲まれるように配置して相互連結するのか、それとも、例えばヒンジ等を介してつながれたものを、配管が取り囲まれるように配置してから相互連結するのかは任意であるし、連結するための構成についても任意である。
連結のための具体的構成としては、互いに隣り合う荷重伝達ブロックのうち、一方に係止部、他方に該係止部に係止される爪をそれぞれ設けた構成や、一方に凹部、他方に該凹部に嵌合される凸部をそれぞれ設けた構成、あるいは一方に両面テープ等の接着シートを貼着し、他方に該接着シートが接着する接着面を設けた構成などを採用することが可能である。
ここで、接着構成であれば、連結作業をやり直すことが難しいが、一方に磁性体、他方に該磁性体に磁着する金属物をそれぞれ設けた構成であれば、製作が容易でなおかつ連結作業のやり直しが可能となる。
[荷重伝達部の断熱性を高める構成]
荷重伝達部は、配管の材軸方向に沿って少なくとも該荷重伝達部の両端近傍まで延びる空隙が該配管の周方向に沿って離散配置されるように構成することができる。
このようにすると、荷重伝達部の形成材料や空隙の離散配置形態を適宜設定することで、荷重伝達機能を確保しつつ、荷重伝達部内に十分な体積の断熱空間を形成することが可能となり、従来の硬質ウレタンフォームを用いた断熱材と同等、あるいはそれ以上の断熱性能を、より経済性に優れた形で持たせることができる。
荷重伝達部に形成される空隙は、例えば蓮根に形成されているような横断面が円形の孔(円孔)で構成することができるが、所要の断熱性能が得られる限り、その横断面形状は任意である。
ここで、各空隙の両端が開くように荷重伝達部を構成した場合には、射出成形の際、金型を用いた製作が容易となるが、これに代えて、各空隙の両端が閉じるように荷重伝達部を構成したならば、空隙を出入りする空気移動が阻止されるため、断熱性能をさらに向上させることができる。
なお、空隙は、いずれの場合であっても、荷重伝達部における断熱性能が実質的に確保されるよう、少なくとも荷重伝達部の両端近傍まで延びるように形成する。
各空隙の両端を閉じるための具体的構成は任意であるが、例えば荷重伝達部の端面と同様の平面形状をなす閉塞板を該荷重伝達部の各端面にそれぞれ貼着して構成することが可能である。
また、各空隙をそれらの横断面形状が六角形となるように形成するとともに、それらを六角形状隔壁を介して互いに近接配置したならば、荷重伝達部がハニカム構造で構成されることになるため、十分な荷重伝達機能を確保しつつ、ほぼ最大限に近い断面積で空隙を形成することが可能となり、断熱性能を格段に向上させることができる。
そのため、従来よりも断熱構造の厚みを抑えることが可能となり、狭隘な箇所での施工性が改善されるとともに、配管周囲に巻く保温材を配管固定具の上から重ねることもできるので、配管周囲の保温材と配管固定具との間に隙間が生じたとしても、その隙間で結露が生じるおそれもない。
[荷重伝達部の防振性を高める構成]
荷重伝達部は、配管の材軸に向かって延びる形で周方向に離散配置され各先端面が配管側当接面として配管の外周面にそれぞれ当接されるように形成されてなる複数の突起を設けた構成とすることができる。
このようにすると、荷重伝達部には上述したように、その内周側に設けられた配管側当接面を介して配管との間の荷重伝達が行われるとともに、外周側に設けられた嵌合溝の溝内面を介して配管固定具との間の荷重伝達が行われるようになっているので、配管から振動荷重が作用する状況においても、配管固定用アタッチメントが配管の材軸方向にずれたり、配管と配管固定具との間から抜け落ちたりといった懸念がなくなって上述した荷重伝達機能が確実に維持される。
そのため、振動荷重に追従するように突起が変形する荷重伝達部の基本的な防振機能が確実に発揮される。
特に、配管固定具をUボルトで構成した場合には、変形性能に富んだ熱可塑性エラストマーで荷重伝達部を形成することにより、上述したように、配管固定具と荷重伝達部との密着度合いが高まり、配管からの振動荷重が作用したとき、両者の間に摩擦やせん断ズレを生じるおそれがなくなって荷重伝達部の基本的な防振機能が確実に担保される。
なお、ここでいう荷重伝達部の防振機能は、配管固定具と圧力脈動とが共振しないように突起の剛性を調整することによる防振機能であり、後述する振動吸収による防振機能とは異なる。
また、防振ゴムをUバンドに取り付ける従来の配管固定具では、直状に成形された防振ゴムを湾曲させ、その状態でUバンドにセットするようになっているため、防振ゴムは、そのような取付け作業に見合った柔らかさで成形される必要があり、剛性を調整するにも制約が大きいが、本発明に係る配管固定用アタッチメントによれば、配管に取り付けられた状態の形状で当初から製作されるため、上記のような問題は起こり得ず、荷重伝達部を形成する材料の種類、突起の断面積、突起の長さなどの仕様を、何らの制約を受けることなく自由に定めることが可能であって、荷重伝達部の剛性を所望の大きさに設定することができる。
また、本発明に係る配管固定用アタッチメントにおいては、配管固定具に取り付けられた状態の振動特性を振動実験等によって明確に定めることができるとともに、これを配管系の固有振動数解析に反映させれば、より正確な解析結果を得ることが可能となる。
ここで、荷重伝達部のうち、少なくとも突起を、振動吸収機能を備えた熱可塑性エラストマーで形成したならば、荷重伝達部の振動吸収機能を高めることが可能となる。
ちなみに、標準的あるいは汎用的な熱可塑性エラストマーの場合、振動吸収機能が十分でない場合もあるが、弾性バネとしての機能は十分に発揮し得るものであって、なおかつその振動特性については、振動実験等で明確に、しかもばらつきが少ない形で把握することができるため、振動吸収機能が十分でないとしても、熱可塑性エラストマーの剛性を適宜設定すれば、配管固定具を含む配管系全体の固有振動数を変化させ、それによって圧力脈動の振動数に一致しないようにすることが可能であって、その意味では、防振機能が発揮されることに何ら変わりはなく、振動吸収機能を備えた熱可塑性エラストマーで形成した場合には、そのような剛性調整による防振機能に加えて、振動吸収機能の向上を図ることが可能となる。
以下、本発明に係る配管固定用アタッチメントの実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
図1は、本実施形態に係る配管固定用アタッチメント1を配管固定具としてのUボルト2とともに示した組立斜視図、図2(a)は、配管固定用アタッチメント1を配管4とともに示した全体斜視図、同図(b)は配管固定用アタッチメント1の分解斜視図、図3は同じく配管固定用アタッチメント1の正面図、A−A線に沿った断面図及びB−B線に沿った断面図である。
これらの図に示すように、本実施形態に係る配管固定用アタッチメント1は、建物側固定部材としてのブラケット3に配管4を固定するための配管固定具としてのUボルト2と併用されるものであって、配管4とUボルト2との間の荷重伝達を行うための荷重伝達部5を備える。
ここで、Uボルト2は、横断面が材軸に沿って概ね同一の円形で全体がU字状をなすとともに、各端近傍に雄ネジ6,6をそれぞれ形成してあり、配管固定用アタッチメント1が予め配管4に装着された状態で該配管を跨ぐようにしてブラケット3の上方から落とし込んだ上、雄ネジ6,6を、該ブラケットに設けられたボルト孔7,7にそれぞれ挿通して該雄ネジの各先端にナット8,8をそれぞれ螺合することで、配管4をブラケット3に固定できるようになっている。
荷重伝達部5は、ブラケット3に台座として配置される荷重伝達ブロックとしての底部側ブロック5a及び該底部側ブロックに隣接配置される半円筒状の頂部側ブロック5bで構成してあるとともに、これらを配管4の周方向に沿って該配管を取り囲むように並置してその形で連結できるようになっている。
底部側ブロック5a及び頂部側ブロック5bは、変形性能に富んだ熱可塑性エラストマーを射出材料とした射出成形によってそれぞれ形成してある。
底部側ブロック5aには、頂部側ブロック5bと対向する側に半円筒状凹部11を設けてあり、底部側ブロック5a及び頂部側ブロック5bは、それらの間に配管4が挟み込まれた状態で、該半円筒状凹部の内周面12aと頂部側ブロック5bの内周面12bがそれぞれ配管側当接面として配管4の外周面に当接できるようになっているとともに、底部側ブロック5aの内周面12aの両側に延びる頂面13,13と頂部側ブロック5bの端面14,14とがそれぞれ当接面となって互いに連結できるようになっていることで、配管側当接面である内周面12a,12bを介して配管4との間の荷重伝達が行われるようになっている。
一方、底部側ブロック5aの外周側である各側面には、Uボルト2のうち、直状部分16,16が嵌合する嵌合溝17,17をそれぞれ設けてあるとともに、環状部分15が嵌合する嵌合溝18を荷重伝達ブロック5bの外周面に設けてあり、嵌合溝17,17及び嵌合溝18を介してUボルト2との間の荷重伝達が行われるようになっている。
本実施形態に係る配管固定用アタッチメント1を用いて配管4をブラケット3に固定するには、まず、底部側ブロック5aを、その嵌合溝17,17がブラケット3のボルト孔7,7に位置決めされるように該ブラケットの上に載せ、次いで、底部側ブロック5aの内周面12aに配管4の外周面が当接されるように、該底部側ブロックの上に配管4を載置する。
次に、頂部側ブロック5bを、その内周面12bが配管4の外周面に当接されるように該配管が挟み込まれる形に配置するとともに、頂部側ブロック5bの端面14,14が、底部側ブロック5aの頂面13,13に当接されるように、該頂部側ブロックを底部側ブロック5aに隣接配置することで配管4を取り囲んだ形とし、しかる後、又はその配置作業と同時に、配管4を取り囲んだ形で底部側ブロック5a及び頂部側ブロック5bを互いに連結する。
頂部側ブロック5bを底部側ブロック5aに連結するには、例えば底部側ブロック5aの頂面13,13に接着シート(図示せず)を連結前に貼着しておき、これが頂部側ブロック5bの端面14,14に接着されるように該頂部側ブロックを配置したり、底部側ブロック5aの頂面13,13に凸部(図示せず)を、頂部側ブロック5bの端面14,14に該凸部に嵌合される凹部(図示せず)をそれぞれ設けておき、該凸部が凹部に嵌合するように該頂部側ブロックを配置したりする構成を適宜採用すればよい。
次に、Uボルト2をブラケット3の上方から落とし込みつつ、該Uボルトの直状部分16,16を底部側ブロック5aの嵌合溝17,17に嵌め込むとともに、環状部分15を頂部側ブロック5bの嵌合溝18に嵌め込み、次いで、Uボルト2の雄ネジ6,6をブラケット3に設けられたボルト孔7,7にそれぞれ挿通し、最後に、雄ネジ6,6の各先端にナット8,8をそれぞれ螺合し、これらを締め付けることで、配管4をブラケット3に固定する。
本実施形態に係る配管固定用アタッチメント1においては、配管4の外周面に当接する配管側当接面として、底部側ブロック5aに内周面12aが、頂部側ブロック5bに内周面12bがそれぞれ設けられていて、該配管側当接面を介して配管4との間の荷重伝達が行われるとともに、外周側では、Uボルト2のうち、直状部分16,16が嵌合する嵌合溝17,17が底部側ブロック5aの各側面に、環状部分15が嵌合する嵌合溝18が荷重伝達ブロック5bの外周面にそれぞれ設けてあり、これら嵌合溝17,17及び嵌合溝18を介してUボルト2との間の荷重伝達が行われるようになっている。
このようにすると、荷重伝達部5の内周側では、該荷重伝達部の幅(配管4の材軸方向に沿った寸法)を適宜設定して配管側当接面の面積を必要なだけ確保することにより、配管4との間の荷重伝達が分散状態で行われ、外周側においては、嵌合溝17,17及び嵌合溝18の各溝内面を介してUボルト2との間の荷重伝達が確実に行われるとともに、配管4の材軸方向に沿った配管固定用アタッチメント1の移動が制限される。
以上説明したように、本実施形態に係る配管固定用アタッチメント1によれば、嵌合溝17,17及び嵌合溝18を介してUボルト2との間の荷重伝達が行われるようになっているので、配管4から振動荷重が作用するような状況においても、該配管固定用アタッチメントが配管4の材軸方向にずれたり、配管4とUボルト2との間から抜け落ちたりといった懸念がなくなって上述した荷重伝達機能が確実に維持される。
そのため、Uボルト2と一体になるよう製作せずとも、より経済性に優れた形で、配管4の応力集中を防止することが可能となる。
加えて、Uボルト2と一体に製作される場合には、配管4を跨ぐように配置しなければならない関係上、配管4を全方位で取り囲む形に一体製作することは本来的に困難であったが、本実施形態に係る配管固定用アタッチメント1においては、荷重伝達部5は、配管4の周方向に沿って該配管を取り囲むように並置される底部側ブロック5a及び頂部側ブロック5bで構成してあるので、配管4との間で伝達される荷重を全方位で分散させることが可能となり、かくして配管4に応力集中が生じる懸念をいっそう低減することが可能となる。
また、本実施形態に係る配管固定用アタッチメント1によれば、底部側ブロック5a及び頂部側ブロック5bを、配管4を取り囲んだ形に連結自在となるように構成してあり、それによって配管4を取り囲んだ形が保持されるので、配管固定用アタッチメント1を単独で配管4に先行配置することができるとともに、Uボルト2による固定作業が終わるまでの間、配管固定用アタッチメント1が配管4から外れたり落下したりしないよう注意を払う必要がなくなる。
また、本実施形態に係る配管固定用アタッチメント1によれば、配管固定具を、材軸に沿って概ね同一の横断面形状を有するUボルト2とした上、該Uボルトのうち、直状部分16,16が嵌合する嵌合溝17,17を底部側ブロック5aの外周側である各側面に、環状部分15が嵌合する嵌合溝18を荷重伝達ブロック5bの外周面にそれぞれ設けるようにしたので、変形性能に富んだ熱可塑性エラストマーで形成することと相俟って、Uボルト2と嵌合溝17,17及び嵌合溝18との密着度合いが高まり、かくして配管4から振動荷重が伝達されるような状況であっても、嵌合溝17,17及び嵌合溝18を介したUボルト2との間の荷重伝達がより確実となる。
本実施形態では、本発明に係る複数の荷重伝達ブロックを、底部側ブロック5a及び頂部側ブロック5bで構成したが、該複数の荷重伝達ブロックは、配管の周方向に沿って該配管を取り囲むように並置される限り、形状や分割数といった具体的構成は任意であり、例えば図4(a)に示すように、底部側ブロック5aを左右に分割して2つの底部側ブロック41,41とし、これらと頂部側ブロック5bとで構成してもよいし、同図(b)に示すように、頂部側ブロック5bを左右に分割した上、これらをそれぞれ底部側ブロック41,41と合体して側方ブロック42,42とし、該2つの側方ブロックで本発明に係る複数の荷重伝達ブロックを構成してもよい。なお、同図(b)に示した変形例の場合、側方ブロック42,42には、Uボルト2の左右部分が嵌合される嵌合溝43,43がそれぞれ形成される。
また、本実施形態では、底部側ブロック5aと頂部側ブロック5bとの連結手段を接着又は嵌着としたが、これに代えて、図5に示すように、磁性体であるマグネットシート51を底部側ブロック5aの頂面13,13に面一に埋め込む一方、それに磁着する金属物であるボルト52を頂部側ブロック5bの端面14,14に埋め込んだ構成としてもよい。
また、本実施形態では、本発明に係る複数の荷重伝達ブロックを、互いに分離された別体の底部側ブロック5a及び頂部側ブロック5bとして構成したが、これに代えて、図6に示すように、ヒンジ62を介して相互接続され該ヒンジの回りに回動自在に構成されてなる底部側ブロック61a及び頂部側ブロック61bで構成してもよい。ヒンジ62は、プラスチック製品に広く使われているヒンジを適宜選択し採用すればよい。
なお、底部側ブロック61a及び頂部側ブロック61bは、ヒンジ62を介して互いにつながれている以外、底部側ブロック5a及び頂部側ブロック5bと同様の構成であるので、ここでは、その詳細な説明は省略する。
また、底部側ブロック61a及び頂部側ブロック61bを、配管4を取り囲んだ形に連結するための連結手段については、上述したように、接着、嵌着、磁着といったものから適宜選択採用することができる。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明するが、第1実施形態と実質的に同一の部品等については同一の番号を付してその説明を省略する。
図7は、本実施形態に係る配管固定用アタッチメント71をUボルト2とともに示した組立斜視図、図8は、配管固定用アタッチメント71の全体斜視図、図9は同じく配管固定用アタッチメント71の正面図、C−C線に沿った断面図及びD−D線に沿った断面図である。
これらの図に示すように、本実施形態に係る配管固定用アタッチメント71は、ブラケット3に配管4を固定するためのUボルト2と併用されるものであって、配管4とUボルト2との間の荷重伝達を行うための荷重伝達部75を備える。
配管4は、その内部に断熱が必要となる冷温水、特に冷却水が流れているものを対象とする。
荷重伝達部75は、ブラケット3に台座として配置される荷重伝達ブロックとしての底部側ブロック75a及び該底部側ブロックに隣接配置される半円筒状の頂部側ブロック75bで構成してあるとともに、これらを配管4の周方向に沿って該配管を取り囲むように並置してその形で連結できるようになっている。
底部側ブロック75a及び頂部側ブロック75bは、変形性能に富んだ熱可塑性エラストマーを射出材料とした射出成形によってそれぞれ形成してある。
底部側ブロック75aには、頂部側ブロック75bと対向する側に半円筒状凹部11を設けてあり、底部側ブロック75a及び頂部側ブロック75bは、それらの間に配管4が挟み込まれた状態で、該半円筒状凹部の内周面12aと頂部側ブロック75bの内周面12bがそれぞれ配管側当接面として配管4の外周面に当接できるようになっているとともに、底部側ブロック75aの内周面12aの両側に延びる頂面13,13と頂部側ブロック75bの端面14,14とがそれぞれ当接面となって互いに連結できるようになっていることで、配管側当接面である内周面12a,12bを介して配管4との間の荷重伝達が行われるようになっている。
一方、底部側ブロック75aの外周側である各側面には、Uボルト2のうち、直状部分16,16が嵌合する嵌合溝17,17をそれぞれ設けてあるとともに、環状部分15が嵌合する嵌合溝18を荷重伝達ブロック75bの外周面に設けてあり、嵌合溝17,17及び嵌合溝18を介してUボルト2との間の荷重伝達が行われるようになっている。
底部側ブロック75a及び頂部側ブロック75bは、荷重伝達機能に加えて、断熱機能を担う部位として機能するように、配管4の材軸方向に沿って両端まで延び該両端で開いた空隙72が該配管の周方向及び径方向に沿って離散配置されるように構成してある。
空隙72は、それらの横断面形状が六角形となるように形成してあり、六角形状隔壁73を介して互いに近接配置してある。
本実施形態に係る配管固定用アタッチメント71を用いて配管4をブラケット3に固定するには、まず、底部側ブロック75aを、その嵌合溝17,17がブラケット3のボルト孔7,7に位置決めされるように該ブラケットの上に載せ、次いで、底部側ブロック75aの内周面12aに配管4の外周面が当接されるように、該底部側ブロックの上に配管4を載置する。
次に、頂部側ブロック75bを、その内周面12bが配管4の外周面に当接されるように該配管が挟み込まれる形に配置するとともに、頂部側ブロック75bの端面14,14が、底部側ブロック75aの頂面13,13に当接されるように、該頂部側ブロックを底部側ブロック75aに隣接配置することで配管4を取り囲んだ形とし、しかる後、又はその配置作業と同時に、配管4を取り囲んだ形で底部側ブロック75a及び頂部側ブロック75bを互いに連結する。
頂部側ブロック75bを底部側ブロック75aに連結するには、例えば底部側ブロック75aの頂面13,13に接着シート(図示せず)を連結前に貼着しておき、これが頂部側ブロック75bの端面14,14に接着されるように該頂部側ブロックを配置したり、底部側ブロック75aの頂面13,13に凸部(図示せず)を、頂部側ブロック75bの端面14,14に該凸部に嵌合される凹部(図示せず)をそれぞれ設けておき、該凸部が凹部に嵌合するように該頂部側ブロックを配置したりする構成を適宜採用すればよい。
次に、Uボルト2をブラケット3の上方から落とし込みつつ、該Uボルトの直状部分16,16を底部側ブロック75aの嵌合溝17,17に嵌め込むとともに、環状部分15を頂部側ブロック75bの嵌合溝18に嵌め込み、次いで、Uボルト2の雄ネジ6,6をブラケット3に設けられたボルト孔7,7にそれぞれ挿通し、最後に、雄ネジ6,6の各先端にナット8,8をそれぞれ螺合し、これらを締め付けることで、配管4をブラケット3に固定する。
本実施形態に係る配管固定用アタッチメント71においては、配管4の外周面に当接する配管側当接面として、底部側ブロック75aに内周面12aが、頂部側ブロック75bに内周面12bがそれぞれ設けられていて、該配管側当接面を介して配管4との間の荷重伝達が行われるとともに、外周側では、Uボルト2のうち、直状部分16,16が嵌合する嵌合溝17,17が底部側ブロック75aの各側面に、環状部分15が嵌合する嵌合溝18が荷重伝達ブロック75bの外周面にそれぞれ設けてあり、これら嵌合溝17,17及び嵌合溝18を介してUボルト2との間の荷重伝達が行われるようになっている。
このようにすると、荷重伝達部75の内周側では、該荷重伝達部の幅(配管4の材軸方向に沿った寸法)を適宜設定して配管側当接面の面積を必要なだけ確保することにより、配管4との間の荷重伝達が分散状態で行われ、外周側においては、嵌合溝17,17及び嵌合溝18の各溝内面を介してUボルト2との間の荷重伝達が確実に行われるとともに、配管4の材軸方向に沿った配管固定用アタッチメント71の移動が制限される。
また、本実施形態に係る配管保持用アタッチメント71においては、配管4とUボルト2との間の荷重伝達を行うための荷重伝達部75を備えるとともに、該荷重伝達部を、底部側ブロック75a及び該底部側ブロックに隣接配置される半円筒状の頂部側ブロック75bで構成してあるが、これら底部側ブロック75a及び頂部側ブロック75bには、配管4の材軸方向に沿って両端まで延び該両端で開いた空隙72が離散配置してある。
このようにすると、荷重伝達部75に荷重伝達機能が確保されつつ、該荷重伝達部に十分な体積の断熱空間が形成される。
以上説明したように、本実施形態に係る配管固定用アタッチメント71によれば、嵌合溝17,17及び嵌合溝18を介してUボルト2との間の荷重伝達が行われるようになっているので、配管4から振動荷重が作用するような状況においても、該配管固定用アタッチメントが配管4の材軸方向にずれたり、配管4とUボルト2との間から抜け落ちたりといった懸念がなくなって上述した荷重伝達機能が確実に維持される。
そのため、Uボルト2と一体になるよう製作せずとも、より経済性に優れた形で、配管4の応力集中を防止することが可能となる。
加えて、Uボルト2と一体に製作される場合には、配管4を跨ぐように配置しなければならない関係上、配管4を全方位で取り囲む形に一体製作することは本来的に困難であったが、本実施形態に係る配管固定用アタッチメント71においては、荷重伝達部75は、配管4の周方向に沿って該配管を取り囲むように並置される底部側ブロック75a及び頂部側ブロック75bで構成してあるので、配管4との間で伝達される荷重を全方位で分散させることが可能となり、かくして配管4に応力集中が生じる懸念をいっそう低減することが可能となる。
また、本実施形態に係る配管固定用アタッチメント71によれば、底部側ブロック75a及び頂部側ブロック75bを、配管4を取り囲んだ形に連結自在となるように構成してあり、それによって配管4を取り囲んだ形が保持されるので、配管固定用アタッチメント71を単独で配管4に先行配置することができるとともに、Uボルト2による固定作業が終わるまでの間、配管固定用アタッチメント71が配管4から外れたり落下したりしないよう注意を払う必要がなくなる。
また、本実施形態に係る配管固定用アタッチメント71によれば、配管固定具を、材軸に沿って概ね同一の横断面形状を有するUボルト2とした上、該Uボルトのうち、直状部分16,16が嵌合する嵌合溝17,17を底部側ブロック75aの外周側である各側面に、環状部分15が嵌合する嵌合溝18を荷重伝達ブロック75bの外周面にそれぞれ設けるようにしたので、変形性能に富んだ熱可塑性エラストマーで形成することと相俟って、Uボルト2と嵌合溝17,17及び嵌合溝18との密着度合いが高まり、かくして配管4から振動荷重が伝達されるような状況であっても、嵌合溝17,17及び嵌合溝18を介したUボルト2との間の荷重伝達がより確実となる。
また、本実施形態に係る配管固定用アタッチメント71によれば、底部側ブロック75a及び頂部側ブロック75bを、配管4の材軸方向に沿って両端まで延び該両端で開いた空隙72が該配管の周方向及び径方向に沿って離散配置されるように構成したので、底部側ブロック75a及び頂部側ブロック75bに十分な体積の断熱空間を形成することができる。
そのため、従来の硬質ウレタンフォームを用いた断熱材と同等、あるいはそれ以上の断熱性能を、より経済性に優れた形で持たせることができる。
また、本実施形態に係る配管固定用アタッチメント71によれば、各空隙72をそれらの横断面形状が六角形となるように形成するとともに、それらを六角形状隔壁73を介して互いに近接配置したので、荷重伝達部75がハニカム構造で構成されることとなり、かくして十分な荷重伝達機能を確保しつつ、ほぼ最大限に近い断面積で空隙を形成することが可能となり、断熱性能を格段に向上させることができる。
そのため、従来よりも断熱構造の厚みを抑えることが可能となり、狭隘な箇所での施工性が改善されるとともに、配管周囲に巻く保温材をUボルト2の上から重ねることもできるので、配管周囲の保温材と荷重伝達部75との間に隙間が生じたとしても、その隙間で結露が生じるおそれもない。
本実施形態では、本発明に係る複数の荷重伝達ブロックを、底部側ブロック75a及び頂部側ブロック75bで構成したが、該複数の荷重伝達ブロックは、配管の周方向に沿って該配管を取り囲むように並置される限り、形状や分割数といった具体的構成は任意であり、例えば図10(a)に示すように、底部側ブロック75aを左右に分割して2つの底部側ブロック101,101とし、これらと頂部側ブロック75bとで構成してもよいし、同図(b)に示すように、頂部側ブロック75bを左右に分割した上、これらをそれぞれ底部側ブロック101,101と合体して側方ブロック102,102とし、該2つの側方ブロックで本発明に係る複数の荷重伝達ブロックを構成してもよい。なお、同図(b)に示した変形例の場合、側方ブロック102,102には、Uボルト2の左右部分が嵌合される嵌合溝103,103がそれぞれ形成される。
また、本実施形態では、底部側ブロック75aと頂部側ブロック75bとの連結手段を接着又は嵌着としたが、これに代えて、図11に示すように、磁性体であるマグネットシート51を底部側ブロック75aの頂面13,13に面一に埋め込む一方、それに磁着する金属物であるボルト52を頂部側ブロック75bの端面14,14に埋め込んだ構成としてもよい。
また、本実施形態では、本発明に係る複数の荷重伝達ブロックを、互いに分離された別体の底部側ブロック75a及び頂部側ブロック75bとして構成したが、これに代えて、図12に示すように、ヒンジ62を介して相互接続され該ヒンジの回りに回動自在に構成されてなる底部側ブロック121a及び頂部側ブロック121bで構成してもよい。ヒンジ62は、プラスチック製品に広く使われているヒンジを適宜選択し採用すればよい。
なお、底部側ブロック121a及び頂部側ブロック121bは、ヒンジ62を介して互いにつながれている以外、底部側ブロック75a及び頂部側ブロック75bと同様の構成であるので、ここでは、その詳細な説明は省略する。
また、底部側ブロック121a及び頂部側ブロック121bを、配管4を取り囲んだ形に連結するための連結手段については、上述したように、接着、嵌着、磁着といったものから適宜選択採用することができる。
また、本実施形態では、荷重伝達部に設ける空隙を、横断面形状が六角形となるように形成された空隙72としたが、本発明の空隙はかかる形状に限定されるものではなく、例えば円形の空隙としてもかまわない。
また、本実施形態では、荷重伝達部に設ける空隙を、配管4の材軸方向に沿って両端まで延び該両端で開いた空隙72としたが、図13に示すように、本発明の荷重伝達部を、底部側ブロック75aと同様に構成された底部側ブロック75a′及び頂部側ブロック75bと同様に構成された頂部側ブロック75b′からなる荷重伝達本体75′と、底部側ブロック75a′の両端に貼着された閉塞板131a,131aと、頂部側ブロック75b′の両端に貼着された半環状の閉塞板131b,131bとで構成することにより、該荷重伝達部に形成される空隙を、配管4の材軸方向に沿って両端近傍まで延び、該両端でそれぞれ閉じた形となるように形成された空隙132としてもよい。
かかる変形例によれば、空隙132に出入りする空気移動が防止されるため、断熱性能をさらに向上させることができる。
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明するが、第1実施形態あるいは第2実施形態と実質的に同一の部品等については同一の番号を付してその説明を省略する。
図14は、本実施形態に係る配管固定用アタッチメント141をUボルト2とともに示した組立斜視図、図15は、配管固定用アタッチメント141の全体斜視図、図16は同じく配管固定用アタッチメント141の正面図、E−E線に沿った断面図及びF−F線に沿った断面図である。
これらの図に示すように、本実施形態に係る配管固定用アタッチメント141は、ブラケット3に配管4を固定するためのUボルト2と併用されるものであって、配管4とUボルト2との間の荷重伝達を行うための荷重伝達部145を備える。
荷重伝達部145は、ブラケット3に台座として配置される荷重伝達ブロックとしての底部側ブロック145a及び該底部側ブロックに隣接配置される半円筒状の頂部側ブロック145bで構成してあるとともに、これらを配管4の周方向に沿って該配管を取り囲むように並置してその形で連結できるようになっている。
底部側ブロック145aには、頂部側ブロック145bと対向する内周側に配管4の材軸に向かって延びる形で周方向に離散配置された複数の突起としての突条146aを設けてあり、該突条は、それらの先端面11が配管4の周面にそれぞれ当接されるように形成してある。
同様に、頂部側ブロック145bには、その内周側に配管4の材軸に向かって延びる形で周方向に離散配置された複数の突起としての突条146bを設けてあり、該突条は、それらの先端面11が配管4の周面にそれぞれ当接されるように形成してある。
底部側ブロック145a及び頂部側ブロック145bは、それらの間に配管4が挟み込まれた状態で、突条146aの先端面11と突条146bの先端面11とがそれぞれ配管側当接面として配管4の外周面に当接できるようになっているとともに、底部側ブロック145aの頂面13,13と頂部側ブロック145bの端面14,14とがそれぞれ当接面となって互いに連結できるようになっていることで、配管側当接面である先端面11,11を介して配管4との間の荷重伝達が行われるようになっている。
一方、底部側ブロック145aの外周側である各側面には、Uボルト2のうち、直状部分16,16が嵌合する嵌合溝17,17をそれぞれ設けてあるとともに、環状部分15が嵌合する嵌合溝18を荷重伝達ブロック145bの外周面に設けてあり、嵌合溝17,17及び嵌合溝18を介してUボルト2との間の荷重伝達が行われるようになっている。
底部側ブロック145a及び頂部側ブロック145bは、Uボルト2と配管4との間で荷重伝達を行うことが可能な剛性及び強度を有するように、変形性能に富んだ熱可塑性エラストマーを射出材料とした射出成形によってそれぞれ形成してあるが、突条146a,146bについては、特に、振動吸収機能を備えた熱可塑性エラストマーで形成してある。
振動吸収機能を備えた熱可塑性エラストマーは、例えば積水ポリマテック株式会社から「エグザゲル」(登録商標)の商品名で市販されているものや、株式会社クラレから「ハイブラー」(登録商標)の商品名で市販されているものを選択することができる。
本実施形態に係る配管固定用アタッチメント141を用いて配管4をブラケット3に固定するには、まず、底部側ブロック145aを、その嵌合溝17,17がブラケット3のボルト孔7,7に位置決めされるように該ブラケットの上に載せ、次いで、底部側ブロック145に設けられた突条146aの先端面11に配管4の外周面が当接されるように、該底部側ブロックの上に配管4を載置する。
次に、頂部側ブロック145bを、その突条146bの先端面11が配管4の外周面に当接されるように該配管が挟み込まれる形に配置するとともに、頂部側ブロック145bの端面14,14が、底部側ブロック145aの頂面13,13に当接されるように、該頂部側ブロックを底部側ブロック145aに隣接配置することで配管4を取り囲んだ形とし、しかる後、又はその配置作業と同時に、配管4を取り囲んだ形で底部側ブロック145a及び頂部側ブロック145bを互いに連結する。
頂部側ブロック145bを底部側ブロック145aに連結するには、例えば底部側ブロック145aの頂面13,13に接着シート(図示せず)を連結前に貼着しておき、これが頂部側ブロック145bの端面14,14に接着されるように該頂部側ブロックを配置したり、底部側ブロック145aの頂面13,13に凸部(図示せず)を、頂部側ブロック145bの端面14,14に該凸部に嵌合される凹部(図示せず)をそれぞれ設けておき、該凸部が凹部に嵌合するように該頂部側ブロックを配置したりする構成を適宜採用すればよい。
次に、Uボルト2をブラケット3の上方から落とし込みつつ、該Uボルトの直状部分16,16を底部側ブロック145aの嵌合溝17,17に嵌め込むとともに、環状部分15を頂部側ブロック145bの嵌合溝18に嵌め込み、次いで、Uボルト2の雄ネジ6,6をブラケット3に設けられたボルト孔7,7にそれぞれ挿通し、最後に、雄ネジ6,6の各先端にナット8,8をそれぞれ螺合し、これらを締め付けることで、配管4をブラケット3に固定する。
本実施形態に係る配管固定用アタッチメント141においては、配管4の外周面に当接する配管側当接面として、底部側ブロック145aに設けられた突条146aに先端面11が、頂部側ブロック145bに設けられた突条146bに先端面11がそれぞれ設けられていて、該配管側当接面を介して配管4との間の荷重伝達が行われるとともに、外周側では、Uボルト2のうち、直状部分16,16が嵌合する嵌合溝17,17が底部側ブロック145aの各側面に、環状部分15が嵌合する嵌合溝18が荷重伝達ブロック145bの外周面にそれぞれ設けてあり、これら嵌合溝17,17及び嵌合溝18を介してUボルト2との間の荷重伝達が行われるようになっている。
このようにすると、荷重伝達部145の内周側では、該荷重伝達部の幅(配管4の材軸方向に沿った寸法)を適宜設定して配管側当接面の面積を必要なだけ確保することにより、配管4との間の荷重伝達が分散状態で行われ、外周側においては、嵌合溝17,17及び嵌合溝18の各溝内面を介してUボルト2との間の荷重伝達が確実に行われるとともに、配管4の材軸方向に沿った配管固定用アタッチメント141の移動が制限される。
また、本実施形態に係る配管固定用アタッチメント141においては、配管4の材軸に向かって延びる形で周方向に離散配置された複数の突条146a,146bが、底部側ブロック145aと頂部側ブロック145bにそれぞれ設けてあり、該各突条は、それらの先端面11が配管4の周面にそれぞれ当接されるように形成してある。
このようにすると、配管4から伝わってきた振動荷重に追従するように、それぞれの突条146a,146bが伸縮方向あるいはせん断方向に変形するが、振動の主たる原因が例えば配管4内を流れる流体の圧力脈動である場合、該圧力脈動と共振しないように突条146a,146bの形成材料である熱可塑性エラストマーの仕様や、突条146a,146bの立体形状(配管4の周方向に沿った寸法、配管4の材軸方向に沿った寸法、高さなど)を適宜選定することで、該突条の圧縮剛性及びせん断剛性を調整し、配管4からUボルト2に伝達される振動荷重の低減を図ることができる。
以上説明したように、本実施形態に係る配管固定用アタッチメント141によれば、嵌合溝17,17及び嵌合溝18を介してUボルト2との間の荷重伝達が行われるようになっているので、配管4から振動荷重が作用するような状況においても、該配管固定用アタッチメントが配管4の材軸方向にずれたり、配管4とUボルト2との間から抜け落ちたりといった懸念がなくなって上述した荷重伝達機能が確実に維持される。
そのため、Uボルト2と一体になるよう製作せずとも、より経済性に優れた形で、配管4の応力集中を防止することが可能となる。
加えて、Uボルト2と一体に製作される場合には、配管4を跨ぐように配置しなければならない関係上、配管4を全方位で取り囲む形に一体製作することは本来的に困難であったが、本実施形態に係る配管固定用アタッチメント141においては、荷重伝達部145は、配管4の周方向に沿って該配管を取り囲むように並置される底部側ブロック145a及び頂部側ブロック145bで構成してあるので、配管4との間で伝達される荷重を全方位で分散させることが可能となり、かくして配管4に応力集中が生じる懸念をいっそう低減することが可能となる。
また、本実施形態に係る配管固定用アタッチメント141によれば、底部側ブロック145a及び頂部側ブロック145bを、配管4を取り囲んだ形に連結自在となるように構成してあり、それによって配管4を取り囲んだ形が保持されるので、配管固定用アタッチメント141を単独で配管4に先行配置することができるとともに、Uボルト2による固定作業が終わるまでの間、配管固定用アタッチメント141が配管4から外れたり落下したりしないよう注意を払う必要がなくなる。
また、本実施形態に係る配管固定用アタッチメント141によれば、配管固定具を、材軸に沿って概ね同一の横断面形状を有するUボルト2とした上、該Uボルトのうち、直状部分16,16が嵌合する嵌合溝17,17を底部側ブロック145aの外周側である各側面に、環状部分15が嵌合する嵌合溝18を荷重伝達ブロック145bの外周面にそれぞれ設けるようにしたので、変形性能に富んだ熱可塑性エラストマーで形成することと相俟って、Uボルト2と嵌合溝17,17及び嵌合溝18との密着度合いが高まり、かくして配管4から振動荷重が伝達されるような状況であっても、嵌合溝17,17及び嵌合溝18を介したUボルト2との間の荷重伝達がより確実となる。
また、従来の配管固定具においては、直状に形成された防振ゴムを湾曲させたながらUバンドの内周側に取り付けねばならないがゆえに、その作業に見合うように防振ゴムを柔らかく形成しておかねばならなかったのに対し、本実施形態に係る配管固定用アタッチメント141によれば、底部側ブロック145a及び頂部側ブロック145bを熱可塑性エラストマーを射出材料とした射出成形によって形成するようにしたので、底部側ブロック145a及び頂部側ブロック145b、特にそれらの突条146a,146bを形成する材料の種類や、突条146a,146bの断面積あるいはそれらの突出長さといった仕様を、何らの制約を受けることなく、自由に定めることができる。
そのため、配管4内を流れる流体の圧力脈動と該配管及びUボルト2を含む配管系が共振しないように、突条146a,146bの剛性を適切に調整することが可能となり、かくして防振機能を高めることが可能となる。
本実施形態では、本発明に係る複数の荷重伝達ブロックを、底部側ブロック145a及び頂部側ブロック145bで構成したが、該複数の荷重伝達ブロックは、配管の周方向に沿って該配管を取り囲むように並置される限り、形状や分割数といった具体的構成は任意であり、例えば図17(a)に示すように、底部側ブロック145aを左右に分割して2つの底部側ブロック171,171とし、これらと頂部側ブロック145bとで構成してもよいし、同図(b)に示すように、頂部側ブロック145bを左右に分割した上、これらをそれぞれ底部側ブロック171,171と合体して側方ブロック172,172とし、該2つの側方ブロックで本発明に係る複数の荷重伝達ブロックを構成してもよい。なお、同図(b)に示した変形例の場合、側方ブロック172,172には、Uボルト2の左右部分が嵌合される嵌合溝173,173がそれぞれ形成される。
また、本実施形態では、底部側ブロック145aと頂部側ブロック145bとの連結手段を接着又は嵌着としたが、これに代えて、図18に示すように、磁性体であるマグネットシート51を底部側ブロック145aの頂面13,13に面一に埋め込む一方、それに磁着する金属物であるボルト52を頂部側ブロック145bの端面14,14に埋め込んだ構成としてもよい。
また、本実施形態では、本発明に係る複数の荷重伝達ブロックを、互いに分離された別体の底部側ブロック145a及び頂部側ブロック145bとして構成したが、これに代えて、図19に示すように、ヒンジ62を介して相互接続され該ヒンジの回りに回動自在に構成されてなる底部側ブロック191a及び頂部側ブロック191bで構成してもよい。ヒンジ62は、プラスチック製品に広く使われているヒンジを適宜選択し採用すればよい。
なお、底部側ブロック191a及び頂部側ブロック191bは、ヒンジ62を介して互いにつながれている以外、底部側ブロック145a及び頂部側ブロック145bと同様の構成であるので、ここでは、その詳細な説明は省略する。
また、底部側ブロック191a及び頂部側ブロック191bを、配管4を取り囲んだ形に連結するための連結手段については、上述したように、接着、嵌着、磁着といったものから適宜選択採用することができる。