JP2021174789A - 電解コンデンサ用セパレータの製造方法および電解コンデンサ - Google Patents
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Abstract
【課題】電解コンデンサのサイズを大きくすることなく、耐電圧特性を維持しつつ静電容量が増加した電解コンデンサを製造可能な電解コンデンサ用セパレータを製造可能にする。【解決手段】カレンダー加工工程と、カレンダー加工工程よりも高い圧力で圧延して、セパレータを形成する圧延工程とを備えた電解コンデンサ用セパレータの製造方法。【選択図】図4
Description
本発明は、電解コンデンサ用セパレータの製造方法および電解コンデンサに関する。
近年、電解コンデンサの高容量化が求められている。例えば、巻回型電解コンデンサにおいては、巻回型電解コンデンサの巻回長を長くすることで高容量化を実現することは可能であるが、巻回長を長くする分だけ当該電解コンデンサが大形化してしまう。そこで、陽極箔と陰極箔との間のセパレータの厚みを薄くすることで大形化を回避しつつ高容量化を図ることが考えられる。しかしながら、セパレータの厚みを単に薄くしただけでは、耐電圧特性が低下する。耐電圧特性を維持するためには、セパレータをより均一かつ緻密な地合にすることや密度を上げることが有効である。
特許文献1には、抄紙後の後加工でカレンダー処理を行うことでセパレータを高密度化する技術について記載されている。
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術においては、カレンダー処理を行ってセパレータを高密度化しても繊維が厚さ方向に圧縮されるのみで繊維の大きさや面方向の緻密性には変化がないため、耐電圧特性を維持しながら高容量化を図ることが困難である。
そこで、本発明の目的は、電解コンデンサのサイズを大きくすることなく、耐電圧特性を維持しつつ静電容量を増加させることができる電解コンデンサ用セパレータの製造方法および電解コンデンサを提供することである。
本発明の電解コンデンサ用セパレータの製造方法は、カレンダー加工工程と、前記カレンダー加工工程よりも高い圧力で圧延して、前記セパレータを形成する圧延工程とを備えている。
これによると、電解コンデンサに用いられるセパレータの厚みを、カレンダー加工工程によって形成されたものよりも小さくすることが可能となる。これにより、電解コンデンサにおいて、セパレータを介して陽極箔と陰極箔とを重ね合わせたシート状物の厚みが小さくなる分だけ、巻回型電解コンデンサにおいては巻回長を長くすること、積層型電解コンデンサにおいては積層枚数を多くすることが可能となる。このため、両電極箔の面積を増加させることが可能となって、電解コンデンサのサイズを大きくすることなく、静電容量を高めた電解コンデンサを製造することが可能となる。また、セパレータをカレンダー加工工程よりも高い圧力で圧縮するため、セパレータの繊維を変形させることができ、一方で、セパレータの繊維径が変形(圧縮方向に薄くなり、圧縮方向と垂直方向に広がる)してもセパレータの繊維間の延長距離は圧延工程前のときとほとんど変わらないため、電流パスの距離が維持される。このため、電解コンデンサの耐電圧特性を維持しつつ静電容量を増加させることが可能となる。
本発明においては、前記圧延工程において、前記セパレータに付与する単位面積当たりの圧力が100MN/m2以上であることが好ましい。これにより、セパレータの厚みをカレンダー加工工程しか行わないものよりも大幅に小さくすることが可能となる。
また、本発明においては、前記セパレータが、マニラ麻を含む混抄紙であることが好ましい。これにより、セパレータを圧縮しやすくなる。
本発明の電解コンデンサは、上述のセパレータを介して、陽極箔と陰極箔とを重ね合わせて巻回してなるコンデンサ素子を備えている。
これにより、電解コンデンサにおいて、セパレータを介して陽極箔と陰極箔とを重ね合わせたシート状物の厚みが小さくなる分だけ、巻回型電解コンデンサにおいては巻回長を長くすること、積層型電解コンデンサにおいては積層枚数を多くすることが可能となる。このため、両電極箔の面積を増加させることが可能となって、電解コンデンサのサイズを大きくすることなく、静電容量を高めることが可能となる。また、セパレータをカレンダー加工工程よりも高い圧力で圧縮するため、セパレータの繊維を変形させることができ、一方で、セパレータの繊維径が変形(圧縮方向に薄くなり、圧縮方向と垂直方向に広がる)してもセパレータの繊維間の延長距離は圧延工程前のときとほとんど変わらないため、電流パスの距離が維持される。このため、電解コンデンサの耐電圧特性を維持しつつ静電容量を増加させることが可能となる。
本発明の電解コンデンサ用セパレータの製造方法によると、電解コンデンサに用いられるセパレータの厚みを、カレンダー加工工程によって形成されたものよりも小さくすることが可能となる。これにより、電解コンデンサにおいて、セパレータを介して陽極箔と陰極箔とを重ね合わせたシート状物の厚みが小さくなる分だけ、巻回型電解コンデンサにおいては巻回長を長くすること、積層型電解コンデンサにおいては積層枚数を多くすることが可能となる。このため、両電極箔の面積を増加させることが可能となって、電解コンデンサのサイズを大きくすることなく、耐電圧特性を維持しつつ静電容量が増加した電解コンデンサを製造することが可能となる。
本発明の電解コンデンサによると、電解コンデンサのサイズを大きくすることなく、電解コンデンサの耐電圧特性を維持しつつ静電容量を増加させることが可能となる。
本発明の電解コンデンサによると、電解コンデンサのサイズを大きくすることなく、電解コンデンサの耐電圧特性を維持しつつ静電容量を増加させることが可能となる。
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
(電解コンデンサの構成)
図1に示すように、巻回型電解コンデンサ1(以下、単に電解コンデンサ1と称す)は、主として、コンデンサ素子2、外装ケース5、および、弾性封口体6を有している。コンデンサ素子2は、図2および図3に示すように、後述の複数のシートを重ね合わせたシート状物3aを巻回した巻回体3を、その外周面に貼り付けられた巻止めテープ4により巻止めすることで形成されている。
図1に示すように、巻回型電解コンデンサ1(以下、単に電解コンデンサ1と称す)は、主として、コンデンサ素子2、外装ケース5、および、弾性封口体6を有している。コンデンサ素子2は、図2および図3に示すように、後述の複数のシートを重ね合わせたシート状物3aを巻回した巻回体3を、その外周面に貼り付けられた巻止めテープ4により巻止めすることで形成されている。
図2に示すように、巻回体3は、陽極箔31、陰極箔32、および2枚のセパレータ33a、33bからなる4枚の帯状のシートを、陽極箔31、セパレータ33a、陰極箔32、セパレータ33bの順で重ね合わせたシート状物3aを、巻回して形成されている。シート状物3aは、陽極箔31が内側となりセパレータ33bが外側となるように配置されている。
陽極箔31は、アルミニウム等の弁作用金属で形成されている。この陽極箔31の表面はエッチング処理により粗面化されるとともに陽極酸化による陽極酸化皮膜が形成されている。また、陰極箔32も陽極箔31と同様にアルミニウム等の弁作用金属で形成されており、その表面は粗面化されるとともに自然酸化皮膜、陽極酸化皮膜、炭素、チタン、チタン化合物で少なくとも一部が覆われているものを使用できる。陽極箔31と陰極箔32とにはそれぞれリードタブが接続され、リードタブを介して陽極箔31と陰極箔32とからリード線34がそれぞれ引き出されている。
また、陽極箔31および陰極箔32との間に介在するセパレータ33a、33bに電解液および/または導電性高分子が保持されている(図示せず)。本実施形態におけるセパレータ33a,33bは、マニラ麻とエスパルトの2種類の繊維の混抄紙からなる。
図1に戻って、外装ケース5は、有底筒形状を有するものであり、コンデンサ素子2を収容している。弾性封口体6は、外装ケース5の開口部を封止するものであり、弾性ゴムで形成されている。コンデンサ素子2のリード線34は、弾性封口体6に形成された貫通孔を介して外装ケース5から引き出されている。
続いて、図4を参照しつつ、電解コンデンサ1の製造方法について説明する。まず、陽極箔31および陰極箔32の表面にエッチング処理を施して粗面化する。さらに、粗面化された陽極箔31の表面に化成処理を施して陽極酸化皮膜を形成し、陰極箔32は、耐水性処理および/または熱処理にて自然酸化皮膜を形成する(ステップS1)。
次に、圧延工程前のセパレータ前躯体として、カレンダー加工されて形成された混抄紙を準備する(カレンダー加工工程)。本実施形態のセパレータ前躯体としては、ニッポン高度紙工業社製のMR5D390を採用するが、他の混抄紙でもよい。セパレータ前躯体としては、好ましくは、マニラ麻を含むものがよい。このようにマニラ麻の繊維を含むマニラ麻系セパレータは、クラフト系セパレータに比べて、圧縮することで容易にマニラ麻繊維を変形させ繊維厚みを減少させ繊維幅を広げることが可能である。これより、マニラ麻系セパレータをセパレータ前躯体として採用することで、セパレータ前躯体の厚みを大幅に小さくし易くなる。最初に、準備したセパレータ前躯体を、公知の圧延装置に通して、セパレータ前躯体の厚みが小さくなったセパレータを形成する(圧延工程:ステップS2)。この圧延工程においては、セパレータ前躯体が形成されるカレンダー加工工程よりも高い圧力で圧延する。本実施形態においては、セパレータ前躯体に対して、単位面積当たり約270MN/m2の圧力を加えているが、単位面積当たり100MN/m2以上の圧力を加えればよい。このように単位面積当たり100N/m2以上の圧力を加えることで、セパレータ前躯体の厚みを大幅に減少させることが可能となる。本実施形態においては、セパレータ33a,33bの厚みがセパレータ前躯体の厚みよりも約40%程度小さい厚みとなっている。より詳細には、図5(a)に示すように、厚みが約90μmのセパレータ前躯体が上記の圧延工程により、図5(b)に示すように、厚みが約50μmのセパレータ33a,33bに形成される。
また、圧延工程でセパレータ前躯体を減厚して形成されたセパレータ33a,33bは、セパレータ前躯体よりも密度が高くなる。より詳細には、減厚前のセパレータ前躯体(ニッポン高度紙工業社製のMR5D390)においては、約0.6g/cm3であるが、減厚後のセパレータ33a,33bにおいては、約1.1g/cm3となり、密度が向上する。なお、マニラ麻系圧縮セパレータを採用することで、セパレータの耐電圧が高くなるので、高電圧用アルミニウム電解コンデンサでもγ−ブチロラクトン(GBL)溶媒の電解液にも適用することが可能となる。
なお、ステップS1とステップS2の工程の順は、前後入れ替わっていてもよいし、同時であってもよい。
次に、陽極酸化皮膜が形成された陽極箔31と、自然酸化皮膜が形成された陰極箔32とのそれぞれにリードタブを介してリード線34を接続する。そして、圧延工程で形成されたセパレータ33a、33bを介して陽極箔31および陰極箔32を重ね合わせてシート状物3aを形成する。その後、シート状物3aを巻回して、円柱形の巻回体3を形成する(ステップS3:素子形成工程の一部)。次いで、巻止めテープ4を巻回体3に貼り付けて巻回体3を巻止めし、コンデンサ素子2を形成する(ステップS4:素子形成工程の一部)。
次に、ステップS4においてコンデンサ素子2を形成した後、電解コンデンサ1の組み立てを行う(ステップS5)。すなわち、ステップS4で形成されたコンデンサ素子2に電解液を含浸させた後、外装ケース5に収容し開口部を弾性封口体6で封止する。このとき、コンデンサ素子2のリード線34を、弾性封口体6に形成された貫通孔を介して外装ケース5から引き出す。こうして、電解コンデンサ1の製造が完了する。
このような電解コンデンサ1の製造方法の圧延工程および素子形成工程を経て形成したコンデンサ素子(実施例)と、セパレータ前躯体(ニッポン高度紙工業社製のMR5D390)をセパレータとして採用し圧延工程を経ずに素子形成工程を経て形成したコンデンサ素子(比較例)との静電容量、耐電圧およびESR(Equivalent Series Resistance)を測定した。このときの結果を表1に示す。なお、実施例におけるコンデンサ素子のセパレータの厚みは50μmであり、シート状物としての巻回長が60cmである。一方、比較例におけるコンデンサ素子のセパレータの厚みは90μmであり、シート状物としての巻回長が50cmである。また、各コンデンサ素子における陽極箔および陰極箔はアルミニウム箔を採用している。
各コンデンサ素子の静電容量は、LCRメータにより室温25℃で測定電圧の周波数を120Hzとして、測定した値である。また、各コンデンサ素子の耐電圧は、65℃で約6mA定電流を印加し、絶縁破壊が発生した電圧を耐電圧としたときの値である。また、各コンデンサ素子のESRは、LCRメータにより室温25℃で測定電圧の周波数を100kHzとして、測定した値である。
表1より、実施例のコンデンサ素子は、カレンダー加工を経て形成されたセパレータ前躯体を圧延工程によってその厚みを減少させて形成されるため、この厚み減少分だけ、同じサイズのコンデンサ素子におけるシート状物3aの巻回長が長くなって、静電容量が上昇する。また、セパレータ前躯体を圧縮してセパレータを形成しているため、セパレータの繊維間の延長距離はセパレータ前躯体のときとほとんど変わらないため、電流パスの距離が維持される。このため、耐電圧特性についても維持しつつ静電容量を増加させることが可能となる。また、ESRについても、比較例のコンデンサ素子と同等以下にすることができる。
以上に述べたように、本実施形態の巻回型電解コンデンサ1の製造方法によると、巻回型電解コンデンサ1に用いられるセパレータ33a,33bの厚みを、カレンダー加工によって形成されたものよりも小さくすることが可能となる。これにより、素子形成工程において、セパレータ33aを介して陽極箔31と陰極箔32とを重ね合わせたシート状物3aの厚みが小さくなる分だけ、巻回長を長くすることが可能となる。このため、両電極箔31,32の面積を増加させることが可能となって、巻回型電解コンデンサ1のサイズを大きくすることなく、静電容量を高めた巻回型電解コンデンサ1を製造することが可能となる。なお、積層型電解コンデンサにおいても、セパレータ33aを介して陽極箔31と陰極箔32とを重ね合わせたシート状物3aの厚みが小さくなる分だけ、積層枚数を多くすることが可能となる。このため、両電極箔31,32の面積を増加させることが可能となって、巻回型電解コンデンサ1と同様に積層型電解コンデンサのサイズを大きくすることなく、静電容量を高めた積層型電解コンデンサを製造することが可能となる。また、セパレータ前躯体を圧縮してセパレータ33a,33bを形成しているため、セパレータ33a,33bの繊維間の延長距離はセパレータ前躯体のときとほとんど変わらないため、電流パスの距離が維持される。このため、巻回型電解コンデンサ1(および積層型電解コンデンサ)の耐電圧特性を維持しつつ静電容量を増加させることが可能となる。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。上述の実施形態においては、圧延工程において、セパレータ前躯体に付与する単位面積当たりの圧力が100MN/m2以上であるが、カレンダー加工で付与される単位面積当たりの圧力よりも高ければよい。こうすれば、セパレータの厚みが減厚され、上述と同様の効果を得ることができる。また、圧延工程に使用される圧延装置はどのようなものであってもよく、セパレータ前躯体を減厚することが可能であればよい。
1 電解コンデンサ
2 コンデンサ素子
3 巻回体
4 巻止めテープ
5 外装ケース
6 弾性封口体
31 陽極箔
32 陰極箔
33a、33b セパレータ
34 リード線
2 コンデンサ素子
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Claims (4)
- 電解コンデンサ用セパレータの製造方法であって、
カレンダー加工工程と、前記カレンダー加工工程よりも高い圧力で圧延して、前記セパレータを形成する圧延工程とを備えていることを特徴とする電解コンデンサ用セパレータの製造方法。 - 前記圧延工程が、前記セパレータに付与する単位面積当たりの圧力が100MN/m2以上であることを特徴とする請求項1に記載の電解コンデンサ用セパレータの製造方法。
- 前記セパレータが、マニラ麻を含む混抄紙であることを特徴とする請求項1または2に記載の電解コンデンサ用セパレータの製造方法。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のセパレータを介して、陽極箔と陰極箔とを重ね合わせて巻回してなるコンデンサ素子を備えていることを特徴とする電解コンデンサ。
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WO2022265099A1 (ja) | 2021-06-18 | 2022-12-22 | 三菱ケミカル株式会社 | 自己組織化炭素繊維束及びその製造方法と、プリプレグ及びその製造方法 |
WO2022265100A1 (ja) | 2021-06-18 | 2022-12-22 | 三菱ケミカル株式会社 | 繊維集合体の製造方法及びプリプレグシートの製造方法 |
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