JP2021170510A - スクリーン印刷用導電性樹脂組成物、及びプリント配線板 - Google Patents

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Abstract

【課題】取扱い性等が良好であって、精度よく安定したパターンを形成でき、良好な抵抗特性を有するスクリーン印刷用導電性樹脂組成物等を提供する。【解決手段】(A)成分100重量部に対して、(B)成分の配合量を150〜350重量部の範囲内の値とし、(C)成分の配合量を100〜450重量部の範囲内の値とし、かつ、(A)成分のガラス転移温度Tg(℃)を60℃以上の値とするスクリーン印刷用導電性樹脂組成物である。【選択図】図1

Description

本発明は、スクリーン印刷用導電性樹脂組成物、及びプリント配線板に関する。
特に、取扱い性等が良好であって、真空成形等によって成形した後であっても、良好な抵抗特性等を有するスクリーン印刷用導電性樹脂組成物及び、それを用いてなるプリント配線板に関する。
従来、家電製品、OA機器、照明機器、アミューズメント機器、及び自動車などの車両の車載電子部品の電極や回路には、銀粉等の金属フィラーを樹脂中に分散させた導電性樹脂組成物が用いられている。
そして、スクリーン印刷法等の印刷プロセスを経て、リジット基材、及びフレキシブル基材等に導電性パターンが形成され、それぞれプリント配線回路として使用されている。
又、近年は、電子機器の小型化、軽量化、及び薄型により、プリント配線板にも、さらなる細線形成や薄膜形成が求められている。
したがって、適用される導電性樹脂組成物にも細線、及び薄膜形成が可能であることは勿論、導電性パターン形成後の成形加工等による延伸にも耐えうる柔軟性、及び抵抗値の上昇が抑制されることが求められている。
ここで、バインダー樹脂、導電性粒子、及び有機溶剤を基本構成とする導電性樹脂組成物が検討されている。
例えば、優れた導電性を有し、特にITOフィルムに対する密着性が良好な導電インキ等が提案されている(特許文献1参照)。
より具体的には、導電インキとしてポリエステル樹脂、タップ密度、比表面積、平均粒径を規定したフレーク状の銀、及び金属キレートを含有する導電インキ等が開示されている。
又、導電性塗膜のレベリング性と、高湿度での耐折り曲げ性とが高い導電性ペーストや、それを用いてなる導電性シート等が提案されている(特許文献2参照)。
より具体的には、その実施例において、導電性粉末と、多価アルコール成分及び所定の飽和脂肪族ジカルボン酸を含む多塩基酸化合物成分から構成されるポリエステル樹脂と、硬化剤としてのブロックドイソシアネート化合物等とを含み、かつ、所定のポリエステル樹脂の酸価を0.3〜2.2mgKOH/gの範囲内の値とする導電性ペースト等が開示されている。
特開2010−059409号公報(特許請求の範囲等) 特開2005−197226号公報(特許請求の範囲等)
しかしながら、特許文献1に開示された導電インキは、架橋成分としての金属キレートを必須成分としていることから、得られる導電性パターンが柔軟性に乏しく、かつ、真空成形等における成形性に劣り、かつ、抵抗特性が著しく低下するという問題があった。
更に又、かかる導電インキは、所定のポリエステルに対して、架橋成分としての金属キレートを含んでいることから、耐腐蝕性が低下したり、あるいは、導電性インキの保存安定性が低いという問題も見られた。
又、特許文献2に開示された導電性ペーストも又、硬化剤としてのブロックドイソシアネート化合物を含んでいることから、得られる導電性シートが比較的強固であって、柔軟性に乏しく、かつ、真空成形等における成形性に劣り、かつ、抵抗特性が著しく低下するという問題があった。
更に又、所定のポリエステル樹脂の酸価を比較的高い範囲で制御しなければならず、耐腐蝕性が低下したり、あるいは、導電性ペーストの保存安定性が低いという問題も見られた。
そこで、本発明の発明者らは鋭意研究した結果、配合成分として、(A)成分としての非晶質ポリエステル樹脂であって、ガラス転移温度が所定値である飽和共重合ポリエステル樹脂、(B)成分としての有機溶剤、及び(C)成分としての銀粉末を、それぞれ所定割合で配合してなるスクリーン印刷用導電性樹脂組成物とすることにより、取り扱い性等に優れ、しかも、所定加工に適用した場合であっても、初期ならず、各種環境条件において、良好な抵抗特性が得られることを見出した。
すなわち、本発明は、事実上、硬化剤等を含まないスクリーン印刷用導電性樹脂組成物であって、取扱い性、成形性等が良好であって、パターン(導電性パターン)を形成でき、かつ、所定加工(真空成形加工やインサート成形等)に適用した場合であっても、良好な抵抗特性を有するスクリーン印刷用導電性樹脂組成物、及びそのようなスクリーン印刷用導電性樹脂組成物に由来してなるプリント配線板を提供することを目的とする。
本発明によれば、配合成分として、(A)成分としての非晶質ポリエステル樹脂である飽和共重合ポリエステル樹脂、(B)成分としての有機溶剤、及び(C)成分としての銀粉末を含有するスクリーン印刷用導電性樹脂組成物であって、(A)成分100重量部に対して、(B)成分の配合量を150〜350重量部の範囲内の値とし、(C)成分の配合量を100〜450重量部の範囲内の値とし、かつ、(A)成分のガラス転移温度を60℃以上の値とすることを特徴とするスクリーン印刷用導電性樹脂組成物が提供され、上述した問題を解決できる。
すなわち、このようにスクリーン印刷用導電性樹脂組成物を構成することによって、成形加工等により引き延ばしたとしても、低抵抗であって、かつ、環境特性等に優れた抵抗特性を発揮することができる。
又、(A)成分である飽和共重合ポリエステル樹脂は、(B)成分である有機溶剤による溶解が容易であって、スクリーン印刷用導電性樹脂組成物としての取り扱い性、加工性及び保存安定性等が良好となる。
更に又、かかるスクリーン印刷用導電性樹脂組成物は、事実上、硬化剤等を含んでおらず、熱可塑性であることから、溶剤を飛散させた後の乾燥塗膜がフレキシブルであって、パターン(例えば、線幅1mm未満)を連続して形成した場合であっても、抵抗特性の低下を効果的に抑制することができる。
なお、(A)成分の一部として、ガラス転移温度が60℃以上の非晶質ポリエステル樹脂以外のポリエステル樹脂(以下、他のポリエステル樹脂と称する場合がある。)を含む場合、当該他のポリエステル樹脂の配合量が、(A)成分の使用量(100重量部)に対して、50重量部以下であれば、(A)成分としての非晶質ポリエステル樹脂と同一視することができる。
又、本発明のスクリーン印刷用導電性樹脂組成物を構成するにあたり、ステンレス製の325メッシュのスクリーン印刷版を用いたスクリーン印刷で得られる膜厚10μmの成形膜における、下式(1)で算出される成形前の抵抗率(X1)と、成形後の抵抗率(X2)の比(X)が5以下であることが好ましい。
Figure 2021170510
このように構成することで、導電性パターン成形による、抵抗特性の低下を、より効果的に抑制することができる。
又、本発明のスクリーン印刷用導電性樹脂組成物を構成するにあたり、(A)飽和共重合ポリエステル樹脂の酸価を10mgKOH/g未満の値とすることが好ましい。
このように構成することによって、飽和共重合ポリエステル樹脂に起因した腐蝕発生等を有効に防止することができ、しかも、幅広い範囲の飽和共重合ポリエステル樹脂を適用することができる。
又、本発明のスクリーン印刷用導電性樹脂組成物を構成するにあたり、(A)飽和共重合ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)が、5000〜40000の範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することによって、溶剤を飛散させた後の乾燥塗膜が更にフレキシブルになって、パターンを安定して形成できるとともに、成形加工等により引き延ばしたとしても、低抵抗であって、かつ、環境特性等に優れた抵抗特性を発揮することができる。
又、本発明のスクリーン印刷用導電性樹脂組成物を構成するにあたり、(B)有機溶剤の全体量を100重量%としたとき、ケトン系溶剤及び炭化水素系溶剤の中から選ばれる一種、又は二種以上の溶剤の配合量が80重量%以上の値であることが好ましい。
このように構成することによって、(A)成分としての飽和共重合ポリエステル樹脂に対する溶解が更に容易になって、溶剤を飛散させた後の乾燥塗膜がフレキシブルになって、パターンを連続して形成した場合であっても、抵抗特性の低下を更に抑制することができる。
又、更に容易に適度な粘度が得られることから、スクリーン印刷適性が良好となって、より安定してパターンを形成することができる。
又、本発明のスクリーン印刷用導電性樹脂組成物を構成するにあたり、(C)銀粉末が、比表面積0.3〜1.8m2/gの範囲内のフレーク状の銀粉末であることが好ましい。
このように銀粉末の比表面積及び形状を制限することによって、(C)成分としての銀粉末を、(A)成分としての飽和共重合ポリエステル樹脂に対して、更に容易かつ均一に分散させることができる。
しかも、成形加工等により引き延ばしたとしても、低抵抗であって、かつ、より環境特性等に優れた抵抗特性を発揮することができる。
又、本発明のスクリーン印刷用導電性樹脂組成物を構成するにあたり、(C)銀粉末の平均粒径が3〜16μmの範囲内の値であって、かつ、タップ密度が1〜3.5g/cm2の範囲内の値であり、銀の純度が99%以上の値であることが好ましい。
このように銀粉末の平均粒径、タップ密度、及び銀の純度を所定範囲に制限することによって、(C)成分としての銀粉末を、(A)成分としての飽和共重合ポリエステル樹脂に対して、容易かつ均一に分散させることができ、しかも、保存安定性に更に優れたスクリーン印刷用導電性樹脂組成物とすることができる。
又、このように構成することによって、フレキシブル性を低下させることなく、所望の抵抗特性を更に容易に得ることができる。
又、本発明の別の態様は、上述したいずれかに記載のスクリーン印刷用導電性樹脂組成物に由来してなる導電性パターンを有するプリント配線板であって、少なくとも基材と、導電性パターンとを含むことを特徴とするプリント配線板である。
このように所定パラメータを満足するスクリーン印刷用導電性樹脂組成物に由来したプリント配線板とすることによって、成形加工等により引き延ばしたとしても、低抵抗であって、かつ、環境特性等に優れた抵抗特性を発揮することができる。
又、(A)成分である飽和共重合ポリエステル樹脂に対する、(B)成分である有機溶剤の溶解が容易になって、所定粘度に調整されて、安定的に形成されたパターンを有する、フレキシブルなプリント配線板を効果的に得ることができる。
図1は、導電性パターンの耐熱性に対する、(A)飽和共重合ポリエステル樹脂のガラス転移温度Tg(℃)の関係を示すために供する図である。 図2は、導電性パターンの耐湿性に対する、(A)飽和共重合ポリエステル樹脂のガラス転移温度Tg(℃)との関係を示すために供する図である。 図3は、導電性パターンの抵抗率比(X)に対する、(C)銀粉末の配合量の影響を説明するために供する図である。 図4は、導電性パターンの成形前の抵抗率(X1)と、(C)銀粉末の配合量との関係を説明するために供する図である。 図5は、導電性パターンの成形後の抵抗率(X2)と、成形加工(真空成形)により、導電性パターンが引き伸ばされた長さ(mm)と関係を説明するために供する図である 図6は、導電性パターンの抵抗率比(X)と、成形加工(真空成形)により、導電性パターンが引き伸ばされた長さ(mm)との関係を説明するために供する図である。 図7は、スクリーン印刷用導電性樹脂組成物に由来したプリント基板を説明するために供する図である。 図8は、スクリーン印刷用導電性樹脂組成物に由来したプリント基板の製造方法を説明するために供する図である。 図9は、実施例1のスクリーン印刷用導電性樹脂組成物に由来した導電性パターンを説明するために供する図(写真)である。 図10は、実施例1のスクリーン印刷用導電性樹脂組成物に由来した導電性パターンを成形(真空加工)した状態を説明するために供する図(写真)である。
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態は、配合成分として、(A)成分としての非晶質ポリエステル樹脂である飽和共重合ポリエステル樹脂、(B)成分としての有機溶剤、及び(C)成分としての銀粉末を含有するスクリーン印刷用導電性樹脂組成物であって、(A)成分100重量部に対して、(B)成分の配合量を150〜350重量部の範囲内の値とし、(C)成分の配合量を100〜450重量部の範囲内の値とし、かつ、(A)成分のガラス転移温度を60℃以上の値とすることを特徴とするスクリーン印刷用導電性樹脂組成物である。
以下、第1の実施形態であるスクリーン印刷用導電性樹脂組成物の構成要件等について、具体的に説明する。
1.(A)成分としての飽和共重合ポリエステル樹脂
(1)種類
第1の実施形態である本発明のスクリーン印刷用導電性樹脂組成物は、(A)成分として、非晶質ポリエステル樹脂である飽和共重合ポリエステル樹脂(以下、単に、(A)成分又は、(A)飽和共重合ポリエステル樹脂と称する場合がある。)を含有することを特徴とする。
このような(A)飽和共重合ポリエステル樹脂を含有することにより、各種基材、例えば、ポリエステルフィルム(PET)やポリカーボネートフィルム(PC)に対して、良好なスクリーン印刷性や密着性を発揮することができる。
又、このような(A)飽和共重合ポリエステル樹脂は、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸などの飽和脂肪族ジカルボン酸成分と、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコールなどのジオール成分の縮重合により形成されるものであり、他のジカルボン酸成分、又はジオール成分の少なくとも一種を共縮重合させることによって得ることができる。
なお、このように得られる飽和共重合ポリエステル樹脂は、一種を単独で用いても良いし、二種以上を混合使用しても好ましい。
又、(A)飽和共重合ポリエステル樹脂は、非晶質ポリエステル樹脂であることを特徴とする。
この理由は、非晶質ポリエステル樹脂であれば、結晶質のポリエステル樹脂と比較して、より幅広い溶剤を用いて溶解することができるためである。
又、配線板の基板として使用されるポリカーボネート等の樹脂や、導電材料である金属などに対して優れた接着性を発揮することで、導電性樹脂組成物の取り扱い性を更に向上させることができるためである。
更に又、熱可塑性であることから、細線形成や薄膜形成が進んだ近年のプリント配線板の成形加工において、好適な加工性を得やすいためである。
(2)数平均分子量(Mn)
又、(A)飽和共重合ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)を5000〜40000の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、数平均分子量が5000未満の値であると、線幅の狭いパターンを印刷した場合に、欠けやカスレが発生しやすくなり、安定したパターンが形成できない場合があるためである。
一方、数平均分子量が40000を超えると、粘度が過度に高くなって、取り扱い性やスクリーン印刷性が著しく低下する場合があるためである。
したがって、飽和共重合ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)を5500〜35000の範囲内の値とすることが好ましく、6000〜30000の範囲内の値とすることが更に好ましい。
なお、飽和共重合ポリエステル樹脂の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算の平均分子量として、測定することができる。
(3)ガラス転移温度(Tg)
又、(A)成分としての飽和共重合ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)を60℃以上の値とすることを特徴とする。
この理由は、このようにガラス転移温度(Tg)を制限することによって、成形加工等により引き延ばしても、初期的にも低抵抗であって、かつ、各種環境特性(耐熱性;80℃×1000時間、耐湿性1;65℃×95%RH×1000時間、耐湿性2;85℃×85%RH×1000時間)において、優れた抵抗特性を発揮することができるためである。
又、かかるガラス転移温度が60℃未満であると、成形加工性が悪くなるとともに、抵抗特性が低下する場合があるためである。
又、導電性パターンの形成後においても、ブロッキングが発生しやすくなって、ひいては、導電性を有するパターンを形成するのが困難となる場合があるためである。
但し、(A)ガラス転移温度が過度に高くなると、溶剤飛散後の導電性パターンが硬くなりすぎ、割れや欠けが発生しやすくなるとともに、密着性が得られ難くなる場合がある。
したがって、(A)飽和共重合ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)を70℃〜100℃の範囲内の値とすることが好ましく、75℃〜90℃の範囲内の値とすることが更に好ましい。
なお、(A)飽和共重合ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、DSCやDTM等の熱分析装置を用いて、比熱の変化点として測定することができる。
(4)2種以上の飽和共重合ポリエステル樹脂を用いる場合のガラス転移温度(Tg)
又、2種以上の飽和共重合ポリエステル樹脂を用いる場合であっても、(A)成分としての飽和共重合ポリエステル樹脂の全体使用量(100重量部)のうち、ガラス転移温度Tg(℃)が60℃以上の飽和共重合ポリエステル樹脂を50重量部以上の値とすることを特徴とする。
この理由は、かかるガラス転移温度Tg(℃)が60℃以上の飽和共重合ポリエステル樹脂を50重量部以上の値にすれば、成形加工等により引き延ばしたとしても、上述した各種環境特性において、それなりに優れた抵抗特性を発揮することができるためである。
しかも、(A)飽和共重合ポリエステル樹脂の全体量(100重量部)のうち、ガラス転移温度Tg(℃)が60℃未満の飽和共重合ポリエステル樹脂を所定量以下配合した場合に、有機溶剤等に溶解しやすくなるばかりか、全体としての粘度調整が容易になって、更には、(C)銀粉末等の混合が更に均一になる場合があるためである。
したがって、2種以上の飽和共重合ポリエステル樹脂を用いる場合、(A)飽和共重合ポリエステル樹脂の全体量(100重量部)のうち、ガラス転移温度Tg(℃)が60℃以上の飽和共重合ポリエステル樹脂を60〜99重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、80〜98重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(5)水酸基価
又、(A)飽和共重合ポリエステル樹脂の水酸基価を0.001〜10mgKOH/gの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる水酸基価が0.001mgKOH/g未満の値になると、導電性パターンの形成において、密着性や耐湿熱性が著しく低下する場合があるためである。
一方、水酸基価が10mgKOH/gを超えると、導電性パターンの柔軟性が著しく低下する場合があるためである。
したがって、飽和共重合ポリエステル樹脂の水酸基価を0.005mgKOH/g〜8mgKOH/gの範囲内の値とすることがより好ましく、0.01mgKOH/g〜5mgKOH/gの範囲内と値とすることが更に好ましい。
なお、水酸基価「mgKOH/g」とは、ポリエステルポリオール中の水酸基量の指標であり、ポリエステルポリオール1g中の水酸基をアセチル化させるために必要な水酸化カリウムのmg数を示す。
(6)酸価
又、(A)飽和共重合ポリエステル樹脂の酸価を、10mgKOH/g未満の値とすることが好ましい。
この理由は、このように構成することによって、飽和共重合ポリエステル樹脂に起因した腐蝕発生を有効に防止し、良好な保存安定性を得ることができ、しかも、幅広い範囲の飽和共重合ポリエステル樹脂を適用することができる。
したがって、飽和共重合ポリエステル樹脂の酸価を8mgKOH/g以下の値とすることがより好ましく、5mgKOH/g以下の値とすることが更に好ましい。
なお、酸価は、単位試料(1g)中に含まれる遊離脂肪酸を中和するのに必要な水酸化カリウムのmg数を示す。
(7)配合量
又、(A)飽和共重合ポリエステル樹脂の配合量を、本発明のスクリーン印刷用導電性樹脂組成物の全体量(100重量%)に対して、5〜35重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、乾燥後の導電性パターンにおいて、柔軟性が得られるとともに、各種の基材に対しても密着性が得られるためである。
すなわち、かかる飽和共重合ポリエステル樹脂が5重量%未満となると、乾燥後の導電性パターンにおいて、柔軟性が得られない場合があるためである。
一方、かかる飽和共重合ポリエステル樹脂が35重量%を超えると、粘度が高くなりすぎ、取扱い性が低下したり、良好なスクリーン印刷性が得られない場合があるためである。
したがって、飽和共重合ポリエステル樹脂の配合量を、スクリーン印刷用導電性樹脂組成物の全体量(100重量%)に対して、6〜30重量%の範囲内の値とすることが好ましく、7〜25重量%の範囲内の値とすることが更に好ましい。
2.(B)成分としての有機溶剤
(1)意義
第1の実施形態のスクリーン印刷用導電性樹脂組成物は、(B)成分として有機溶剤(以下、単に、(B)成分又は(B)有機溶剤と称する場合がある。)を含有することが好ましい。
この理由は、(B)有機溶剤を含有することにより、スクリーン印刷をする際の取扱い性を向上させ、更には、配合成分(A)〜(C)の均一混合性を著しく向上させることができるためである。
したがって、例えば、スクリーン印刷用導電性樹脂組成物の粘度が適当範囲(例えば、5000〜25000mPa・s(25℃測定))であれば、取扱い性を良好にすることができると言える。
(2)配合量
又、(B)有機溶剤の配合量を、(A)飽和共重合ポリエステル樹脂100重量部に対して150〜350重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる配合量が150重量部未満では組成物の粘度が高くなりすぎて、取扱い性やスクリーン印刷性が、著しく低下する場合があるためである。
一方、有機溶剤の配合量が350重量部を超えると、逆に、粘度が低くなりすぎて、(C)成分が沈降し、取扱い性や保存安定性が低下するとともに、高精細パターンを形成するのが困難となる場合があるためである。
したがって、(B)有機溶剤の配合量を、(A)飽和ポリエステル樹脂100重量部に対して、160〜340重量部の範囲内の値とすることが好ましく、170〜330重量部の範囲内の値とすることが更に好ましい。
(3)種類
又、(B)有機溶剤の種類としては、特に制限されるものではないが、通常、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、イソホロン等のケトン系溶剤、トルエン、キシレン、ミネラルスピリット、コールタールナフサ等の炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロピルアルコール(IPA)等のアルコール系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(ブチルセロアセ)、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート(ソルフィットAC)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PMA)、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(カルビトールアセテート)等のエステル系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)、エチレングリコールモノエチルエーテル(エチルセロソルブ)、エチレングリコールモノノルマルブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(セロソルブアセテート)等のエーテル系溶剤の少なくとも一種が挙げられる。
これらの中でも、ケトン系溶剤、及び炭化水素溶剤の中から選ばれる一種、又は二種以上の溶剤を主成分とするのが好ましく、(B)有機溶剤の全体量を100重量%としたとき、ケトン系、及び炭化水素系の中から選ばれる一種、又は二種以上の溶剤の配合量を80重量%以上の値とすることが好ましい。
この理由は、ケトン系、及び炭化水素系の有機溶剤は(A)〜(C)成分等の良溶媒となるとともに、スクリーン印刷する際の取扱い性を、更に良好なものとすることができるためである。
したがって、(B)有機溶剤における、ケトン系溶剤、及び炭化水素系溶剤の中から選ばれる一種、又は二種以上の溶剤の含有比率を、(B)有機溶剤の全体量のうちの90%以上とすることが更に好ましい。
(4)沸点
又、(B)有機溶剤の沸点(大気圧下)が150℃以上であることが好ましい。
この理由は、所定沸点を有する有機溶剤を使用することによって、スクリーン印刷版上での乾燥を遅らせることができるため、組成物の取扱い、及び印刷作業性が良好となるとともに、印刷時には適当な乾燥条件、例えば、120℃、10〜60分の範囲を採用できるためである。
したがって、有機溶剤の沸点を160℃〜300℃の範囲内の値とすることが好ましく、170℃〜270℃の範囲内の値とすることが更に好ましい。
より具体的には、ケトン系溶剤としては、沸点が155℃のシクロヘキサノン、215℃のイソホロン、炭化水素系溶剤としては、沸点が175〜290℃の重質芳香族系石油ソルベントナフサが好適である。
3.(C)成分としての銀粉末
第1の実施形態のスクリーン印刷用導電性樹脂組成物は、(C)成分としての銀粉末を(以下、単に、(C)成分又は(C)銀粉末と称する場合がある。)含有することが好ましい。
この理由は、銀は高価であること、又、マイグレーションを起こしやすいという欠点はあるものの銅などと比べても酸化し難く、取扱いが良好なためである。
したがって、(C)銀粉末は、銀を主成分とするものであれば、他の金属成分を含む銀合金であってもよいが、銀の純度が低いと導電性が低下するため、純度は高い方が好ましく、銀の純度は99%以上であることが好ましい。
(1)形状
又、銀粉末の形状としては、粒状、フレーク状(鱗片状)、球状、針状など、どのような形状であっても用いることが可能であるが、中でも導電性の観点からフレーク状の銀粉末が好ましい。
(2)平均粒径
又、銀粉末の平均粒径が3〜16μmの範囲内であることが好ましい。銀粉の平均粒径がこのような範囲内であることで、導電性樹脂組成物が優れた導電性を得られるとともに、スクリーン印刷の際の版抜けを良好なものとすることができるためである。
したがって、銀粉末の平均粒径が4〜15μmの範囲内であることが好ましく、5〜14μmの範囲内であることが更に好ましい。
なお、銀粉末の平均粒径はレーザー回析法により測定することができる。
(3)タップ密度
又、銀粉末のタップ密度が1〜3.5g/cm3の範囲内であることが好ましい。タップ密度がこのような範囲内であることで、優れた導電性が得られるとともに、導電性樹脂組成物中の銀粉末が沈降し難くなるためである。
したがって、銀粉末のタップ密度が、1.1〜3g/cm3の範囲であることが好ましく、1.2〜2.5g/cm3の範囲であることが更に好ましい。
ここで、銀粉末のタップ密度はJIS Z 2512に準じて、タップ密度測定器により測定して、得られた値である。
具体的には、銀粉100gをはかり、ロートで、100mlメスシリンダーに静かに落とす。
次いで、メスシリンダーをタップ密度測定器に乗せて、落下距離20mm、60回/分の速さで、600回落下させ、圧縮した銀粉の容積を測る。
そして、銀粉末のタップ密度は、サンプル量を圧縮した銀粉の容積で割って算出した値である。
(4)比表面積
又、銀粉末の比表面積を0.3〜1.8m2/gの範囲内の値とすることが好ましい。この理由は、かかる比表面積がこのような範囲内であると、樹脂ペースト組成物の粘度が上昇しすぎることなく、優れたスクリーン印刷性が得られるためである。
したがって、比表面積が0.5〜1.6m2/gの範囲内であることがより好ましく、0.8〜1.4m2/gの範囲内であることが更に好ましい。
なお、かかる銀粉末の比表面積は、比表面積自動測定装置(BET法)にて測定した値である。
(5)配合量
又、(C)銀粉末の配合量を、(A)飽和共重合ポリエステル樹脂100重量部に対して、100〜450重量部の範囲内の値とすることを特徴とする。
この理由は、かかる(C)銀粉末の配合量がこのような配合量であれば、良好な抵抗特性や接着性に加えて、取扱い性や印刷性に優れた導電性樹脂組成物が得られるためである。
すなわち、かかる(C)銀粉末の配合量が100重量部未満の値になると、得られる導電性パターンの抵抗率が過度に大きくなって、良好な抵抗特性を得ることができないためである。
一方、かかる(C)銀粉末の配合量が、450重量部を超えた値になると、(A)成分に対して、均一に配合することが困難になって、導電性を有するパターンを安定して形成したり、良好な印刷適正を得たりすることができないためである。
したがって、(A)飽和共重合ポリエステル樹脂100重量部に対して、(C)銀粉末の配合量を150〜420重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、200〜400重量部の範囲内の値とすることが更に好ましい。
ここで、図3を参照して導電性パターンの抵抗率比(X)に対する、(C)銀粉末の配合量の影響を説明する。
すなわち、図3の横軸に、導電性パターンにおける(C)銀粉末の配合量(重量部)を採って示してあり、縦軸に、導電性パターンの抵抗率比(X)を採って、示してある。
そして、図3中の特性曲線から、(C)銀粉末の配合量が大きくなるほど、導電性パターンの抵抗率比(X)が小さくなることが理解される。
したがって、導電性パターンにおける(C)銀粉末の配合量を、所定値以下とすることによって、導電性パターンの抵抗率比(X)を所望範囲、すなわち、5以下の値に制御できることが理解される。
4.(D)成分としての添加剤
又、スクリーン印刷用導電性樹脂組成物の中に、印刷適正を調整する目的とし、(D)成分としての添加剤として、界面活性剤、消泡剤、レベリング剤、顔料湿潤剤、分散剤、流動調整剤、熱重合禁止剤、酸化重合防止剤等をさらに配合することが好ましい。
かかる(D)添加剤の配合量は、添加剤の種類等によって変更することができるが、例えば、(A)成分100重量部に対して、0.1〜20重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、0.5〜10重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、1〜5重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
5.粘度
又、スクリーン印刷用導電性樹脂組成物(単に、導電性樹脂組成物と称する場合がある。)の粘度を5000〜30000mPa・sの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、導電性樹脂組成物の粘度がこのような範囲内であると、取扱いが良好であるとともに、印刷膜厚を薄膜に調整しやすくすることができるためである。
したがって、導電性樹脂組成物の粘度を6000〜25000mPa・sの範囲内の値とすることが好ましく、7000〜20000mPa・sの範囲内の値とすることが更に好ましい。
なお、かかる導電性樹脂組成物の粘度は、25℃環境下、E型回転粘度計(回転数10rpm)を用いて、測定することができる。
6.抵抗値
(1)成形前の抵抗率(X1)
所定の導電性パターンは、導電性樹脂組成物から形成されるものであるが、その抵抗率(X1:成形前の抵抗率であって、初期抵抗値を意味する。)を1×10-1Ω・cm以下の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる抵抗率(X1)が1×10-1Ω・cmを超えた値になると、成形後の抵抗率との関係で、式(1)を満足することが困難となったり、あるいは、導電性樹脂組成物の適用範囲が過度に狭くなる場合があるためである。
但し、成形前の抵抗率(X1)が過度に小さくなると、好適な導電性パターンを形成するのに使用可能な(A)成分、(B)成分、及び(C)成分の種類や配合量等が過度に制限される場合がある。
したがって、かかる抵抗率(X1)を1×10-5Ω・cm〜1×10-2Ω・cmの範囲内の値とすることが好ましく、5×10-5Ω・cm〜1×10-3Ω・cmの範囲内の値とすることが更に好ましい。
ここで、図4を参照して、導電性パターンの成形前の抵抗率(X1)と、(C)銀粉末の配合量(重量部)との関係を説明する。
すなわち、図4の横軸に、(C)銀粉末の配合量(重量部)を採ってあり、縦軸に、導電性パターンの成形前の抵抗率(X1)を採って、示してある。
そして、図4中の特性曲線より、(C)銀粉末の配合量(重量部)が大きくなるほど、導電性パターンの成形前の抵抗率(X1)が小さくなることが理解される。
したがって、(C)銀粉末の配合量(重量部)を、所定値とすることによって、導電性パターンの成形前の抵抗率(X1)を1×10-1Ω・cm以下の値に制御できることが理解される。
なお、導電性パターンの抵抗率は、例えば、簡易型低抵抗率計(株式会社三菱化学アナリック)を用いて測定することができる。
すなわち、まずは導電性パターンの長手方向の2点間の抵抗値を測定する。
次いで、導電性パターンの断面積、及び導電性パターンの長さを測定する。
そして、下式から、導電性パターンの抵抗率を算出することができる。
抵抗率=2点間の抵抗値×導電性パターンの断面積/導電性パターンの長さ
(2)成形後の抵抗率
又、所定方法で成形後の、導電性樹脂組成物に由来した導電性パターンの抵抗率(X2)を5×10-1Ω・cm以下の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる抵抗率(X2)が5×10-1Ω・cmを超えた値になると、成形前の抵抗率との関係で、式(1)を満足することが困難となったり、あるいは、導電性樹脂組成物の適用範囲が過度に狭くなる場合があるためである。
但し、成形後の抵抗率(X2)が過度に小さくなると、所定導電性パターンを形成するのに使用可能な(A)成分、(B)成分、及び(C)成分の種類や配合量等が過度に制限される場合がある。
したがって、かかる抵抗率(X2)を1×10-5Ω・cm〜1×10-2Ω・cmの範囲内の値とすることが好ましく、5×10-5Ω・cm〜1×10-3Ω・cmの範囲内の値とすることが更に好ましく、1×10-4Ω・cm〜5×10-4Ω・cmの範囲内の値とすることが最も好ましい。
ここで、図5を参照して、導電性パターンの成形後の抵抗率(X2)と、成形加工(真空成形)により引き伸ばされた場合の導電性パターンの長さ(mm)との関係を説明する。
すなわち、図5の横軸に、真空成形により引き伸ばされた場合の導電性パターンの長さ(mm)を採ってあり、縦軸に、導電性パターンの成形後の抵抗率(X2)を採って、示してある。
そして、図5の特性曲線より、真空成形により引き伸ばされた導電性パターンの長さ(mm)が大きくなるほど、導電性パターンの成形後の抵抗率(X2)が大きくなることが理解される。
そして、真空成形により引き伸ばされた導電性パターンの長さ(mm)を、所定値以下とすることによって、導電性パターンの成形後の抵抗率(X2)を5×10-1Ω・cm以下の値に制御できることが理解される。
(3)式(1)で定義されるパラメータとの関係
又、ステンレス製の325メッシュのスクリーン印刷版を用いたスクリーン印刷で得られる120℃、30分乾燥後の膜厚10μmの導電性パターンが、下式(1)で算出される成形前の抵抗率(X1)と、成形後の抵抗率(X2)の比(X)として、5以下の値であることを特徴とする。
Figure 2021170510
この理由は、所定導電性パターンの成形前の抵抗率(X1)と、成形後の抵抗率(X2)の比(X)がこのような値であれば、使用用途が広がり、抵抗特性や耐久性に優れたプリント配線板を提供できるためである。
但し、かかる抵抗率比(X)が、過度に小さくなると、所定導電性パターンを形成するのに使用可能な(A)成分、(B)成分、及び(C)成分の種類や配合量等が過度に制限される場合がある。
したがって、成形前の抵抗率(X1)と、成形後の抵抗率(X2)の抵抗率比(X)を0.1〜3の範囲内の値とすることが好ましく、0.2〜1の範囲内の値とすることが更に好ましい。
なお、成形前後の抵抗率とは、例えば、実施例1で詳述する真空成形工程等の前後の抵抗率を意味する。
ここで、図6を参照して、導電性パターンの抵抗率比(X)と、成形加工(真空成形等)により引き伸ばされた場合の導電性パターンの長さ(mm)との関係を説明する。
すなわち、図6の横軸に、真空成形等により引き伸ばされた場合の導電性パターンの長さ(mm)を採ってあり、縦軸に、導電性パターンの抵抗率比(X)を採って、示してある。
そして、図6中の特性曲線から、真空成形等により引き伸ばされた導電性パターンの長さ(mm)が大きくなるほど、導電性パターンの抵抗率比(X)が大きくなることが理解される。
そして、真空成形等により引き伸ばされた導電性パターンの長さ(mm)を、所定値以下とすることによって、導電性パターンの抵抗率比(X)を5以下の低い値に制御できることが理解される。
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、第1の実施形態のスクリーン印刷用導電性樹脂組成物に由来してなる導電性パターンを有するプリント配線板であって、図7(a)〜(c)に示すように、少なくとも基材12と、導電性パターン10、10a、10bとを含むことを特徴とするプリント配線板20、20´、20´´である。
すなわち、配合成分として、(A)非晶質ポリエステル樹脂である飽和共重合ポリエステル樹脂、(B)有機溶剤、(C)銀粉末を含有し、(A)成分100重量部に対して、(B)成分を150〜350重量部、(C)成分を100〜450重量部の範囲内の値で含み、かつ、(A)成分のガラス転移温度Tg(℃)を60℃以上の値とするスクリーン印刷用導電性樹脂組成物に由来してなる導電性パターンを有するプリント配線板である。
以下、第1の実施形態のスクリーン印刷用導電性樹脂組成物で説明した内容は適宜省略し、第2の実施形態におけるプリント配線板の特徴部分等について、図7〜図10を参照しながら、説明する。
1.導電性パターン
図7(a)〜(c)に示される導電性パターン10、10a、10bの形態は特に制限されるものではなく、通常、直線状、曲線状、階段状等、各種採用することができる。
したがって、導電性パターンの線幅についても、各種用途によって、変えることができるが、通常、0.01〜2mmの範囲内の値とすることが好ましい。
又、よりパターンが要求される場合には、0.05〜1.5mmの範囲内の値とすることがより好ましい。
更に、導電性パターンの線間隔(CTC)についても、通常、0.05〜0.3mmの範囲内の値とすることが好ましいが、0.05〜0.1mmの範囲内の値とすることがより好ましい。
2.基材
(1)厚さ
図7(a)〜(c)に示すように、導電性パターン10、10a、10bを形成する基材12の厚さは、特に制限されるものではないが、通常、1〜500μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる基材の厚さが1μm未満となると、薄すぎて、ハンドリングするのが困難となったり、耐久性が低下する場合があるためである。
一方、かかる基材の厚さが500μmを超えると、折り曲げにくくなって、過度に抵抗値が上昇したり、耐久性が低下する場合があるためである。
したがって、かかる基材の厚さを10〜400μmの範囲内の値とすることがより好ましく、20〜200μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(2)種類
又、基材の種類は、特に制限されるものではないが、例えば、アート紙、コート紙等の紙基材、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリアクリル、ガラスエポキシ、紙フェノール、セラミック、ガラス含有シリコーンガラス、ガラス等の他、表面を絶縁層で被覆した金属などを用いることができる。
特に、ポリエチレンテレフタレートからなる基材であれば、透明性に優れており、又、汎用品であって、経済的にも有利である。
又、ポリカーボネートからなる基材であれば、透明性や靭性に優れており、又、耐熱性や導電性パターンの間の密着性に強いためである。
(3)表面処理層
又、図1(a)〜(c)に示すように、基材12の片面又は両面に、表面処理層(易接着層や装飾層を含む。)16、16a、16bを設けることが好ましい。
この理由は、このように表面処理層を設けることによって、基材と、導電性パターンとの密着性を向上させたり、さらには、文字、図形、記号等による装飾性や情報性を向上させたりすることができるためである。
特に、ポリエチレンテレフタレートからなる基材12の表面は、表面張力の値が低く、導電性パターンとの密着性が低いことから、通常、厚さ0.01〜1000μmの表面処理層を設けることが好適である。
但し、装飾性や情報性を向上させたりするためには、通常、1〜100μmの表面処理層を設けることが好適であり、10〜50μmの表面処理層を設けることがさらに好適である。
3.保護層
又、図7(b)〜(c)に示すように、導電性パターン10a、10bの表面を全面的、あるいは部分的に覆うように、保護層14、14a、14bを設けることが好ましい。
この理由は、係る保護層14、14a、14bによって、導電性パターン10a、10bの機械的特性や耐腐食性を高めるとともに、高周波特性等を向上させるためである。
したがって、ポリエステル樹脂、オレフィン樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等の少なくとも一種からなる樹脂を用いることが好適である。
そして、保護層を構成する樹脂として、これらの樹脂のうち、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、湿気硬化性樹脂等の硬化性樹脂を用いることがより好ましい。
より具体的には、熱硬化性ポリエステル樹脂、熱硬化性アクリル樹脂、光硬化性アクリル樹脂、熱硬化性シリコーン樹脂、光硬化性シリコーン樹脂、湿気硬化性シリコーン樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂、熱硬化性エポキシ樹脂、光硬化性エポキシ樹脂、熱硬化性ウレタン樹脂等の少なくとも一つであることが好ましい。
さらに、保護層を構成する樹脂として、上述した樹脂として、熱硬化性ポリエステル樹脂を用いると、導電性パターンに含まれる、所定のポリエステル樹脂と優れた密着性を示し、かつ、機械的特性や耐腐食性を高めやすいことから好ましいと言える。
すなわち、カルボキシル基や水酸基を有するポリエステル樹脂と、イソシアネート化合物との混合物からなる熱硬化性ポリエステル樹脂を用いることが好ましい。
なお、保護層の厚さは、通常、1〜200μmの範囲内の値であるが、機械的特性や耐腐食性の効率的向上等を考慮すると、5〜120μmの範囲内の値とすることがより好ましく、10〜80μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
4.製造方法
所定のスクリーン印刷用導電性樹脂組成物、及びそれに由来してなる導電性パターンを有するプリント配線板は、以下の工程で、製造することができる。図8を参照しながら、具体的に説明する。
(1)導電性樹脂組成物の準備工程
図8のS1にて示される、導電性樹脂組成物の準備工程においては、特に限定されるものではないが、例えば、本発明の導電性樹脂組成物の(A)非晶質ポリエステル樹脂である飽和共重合ポリエステル樹脂、(B)有機溶剤、(C)銀粉末を準備する。
次いで、図8のS2にて示されるように、それらの(A)〜(C)成分を配合した後、バタフライミキサー、プラネタリーミキサー、ディゾルバーなどの撹拌機を用いて、撹拌、溶解することにより導電性樹脂組成物を製造することができる。
その際、製造時の作業性を考慮して(A)成分に、流動性を与えるために(B)成分である有機溶剤の一部を用いてあらかじめ溶解しておくこともできる。
又、濾過工程を行うことによって粗粒子や異物を除去することで、更に均一、高品質な導電性樹脂組成物とすることもできる。
さらに、ビーズミル、3本ロールミルなどの分散機を用いて、更に均一に分散することによって、均一な特性を有する導電性樹脂組成物を製造することができる。
又、再度濾過工程を行うことによって粗粒子や異物を除去することで、均一かつ、高品質な導電性樹脂組成物とすることもできる。
又、導電性樹脂組成物の粘度を3000〜50000mPa・sの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、導電性樹脂組成物の粘度がこのような値であればスクリーン印刷適正を良好なものとすることができるとともに、パターンを含む印刷物をより経済的に得ることができるためである。
したがって、導電性樹脂組成物の粘度を5000〜30000mPa・sの範囲内の値とすることが好ましく、8000〜20000mPa・sの範囲内の値とすることが更に好ましい。
(2)導電性樹脂組成物の印刷工程
図8のS3に示される、導電性樹脂組成物の印刷工程においては、導電性樹脂組成物を基材上に印刷する際、印刷作業性の観点から更に有機溶剤を加えて適性粘度(例えば、9000〜17000mPa・s、25℃測定)に調整することが好ましい。
有機溶剤による粘度調整に限らず、必要に応じて、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理、フレーム処理、プライマー塗布処理等の易接着処理を行ってもよく、基材と本発明の導電性樹脂組成物との間に他の層(例えば接着層)を有していてもよい。
又、本発明の導電性樹脂組成物の粘性を調整することで、スクリーン印刷以外の塗布方法を採用することもできる。
より具体的には、公知な印刷方法、例えば、スピンコート法、スプレー法、スライドコート法、ディップ法、バーコート法、ロールコーター法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、ディスペンサー法等を適用することが可能である。
(3)導電性樹脂組成物の乾燥工程
次いで、図8のS4に示される、導電性樹脂組成物の加熱乾燥工程においては、例えば、熱風乾燥、及び赤外線乾燥等の加熱乾燥方法を選択して、導電性樹脂組成物を乾燥させ、導電性樹脂組成物に由来した導電性パターンを形成するのが好ましい。
乾燥時の加熱温度は、導電性樹脂組成物を印刷する基材の耐熱性に応じて適宜設定されるが、例えば50℃〜170℃の範囲内の温度が好ましく、70℃〜150℃の範囲内の温度がより好ましい。
又、乾燥時の加熱時間は、加熱温度等にもよるが、通常、5〜120分の範囲であって、10〜100分であることが好ましく、15〜80分であることが更に好ましい。
そして、かかる乾燥工程の前、すなわち、スクリーン印刷による積層厚さを、通常、5〜50μmの範囲内とすることが好ましい。
又、導電性樹脂組成物に由来した導電性パターンの厚さは、各種用途に応じて適宜変更することができるが、通常、1〜30μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、導電性パターンの厚さが1μm未満になると、導電性が低下したり、成形加工を施した場合であっても、パターンが追従することが困難となり、破断する場合があるためである。
一方、導電性パターンの厚さが30μmを超えると、レベリング性が低下したり、均一な厚さに形成することが困難となる場合があり、かつ、銀粉末の使用量が増加することで経済的に導電性パターンを得られなる場合があるためである。
したがって、導電性樹脂組成物に由来した導電性パターンの厚さを2〜25μmの範囲内の値とすることが好ましく、3〜20μmの範囲内の値とすることが更に好ましい。
(4)導電性パターンの成形工程
図8のS5に示される、導電性パターンの成形工程においては、特に限定されるものではないが、導電性パターンを適用したプリント配線板に対し、例えば、真空加工法や、インサート成形法等の製法を実施し成形するのが好ましい。
このような成形工程を経た後、導電性パターンが伸ばされた場合であっても、良好な抵抗特性を得ることができることを確認する。
なお、ステンレス製の325メッシュのスクリーン印刷版を用いたスクリーン印刷で得られる膜厚10μmの導電性パターンにおける、上述した式(1)で算出される成形前の抵抗率(X1)と、成形後の抵抗率(X2)の比(X)が5以下であることが特徴である。
(5)その他の工程
図示しないものの、真空工程等の成形を実施したのちに、導電性パターンの保護層14を形成したり、あるいは、回路部品を接続したりする工程がある。
したがって、その他の工程としての真空工程等の成形方法については、公知の方法をいずれも採用できるため、それらの説明については省略する。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、特に理由なく、これら実施例の記載によって本発明は限定されるものではない。
[実施例1]
1.導電性樹脂組成物の製造
(A)成分100重量部に対して、(B)〜(D)を下記の割合で含む導電性樹脂組成物を、プロペラ撹拌装置を用いて15分間の撹拌を行った後に3本ロールミルによる混錬を経て実施例1の導電性樹脂組成物とした。
(A)飽和共重合ポリエステル樹脂 100重量部
(B)有機溶剤 240重量部
(C)銀粉末 340重量部
(D)消泡剤(アクリル系化合物) 5重量部
2.導電性パターンの形成
次いで、得られた導電性樹脂組成物を、基材として厚み0.4mmのポリカーボネートフィルム(パンライトPC−1151(帝人株式会社))に対して、スクリーン印刷した。
すなわち、ステンレス製の325メッシュのスクリーン印刷版を用い、スキージ速度100mm/sec、スキージ印圧0.2MPaでスクリーン印刷を行った。
次いで、120℃、30分間の加熱乾燥を行って、乾燥膜厚10μm、線幅(1mm)×200mmの導電性パターンを形成した。
なお、図9に、実施例1のスクリーン印刷用導電性樹脂組成物に由来した導電性パターンを示す図(写真)を示す。
3.導電性樹脂組成物及び導電性パターンの評価
(1)粘度の測定
得られた導電性樹脂組成物の粘度を、コーンプレート型粘度計(TVE−25形粘度計(東機産業株式会社))を用い、コーンロータが3°×R77、測定温度が25℃、回転速度が10rpmの条件で、測定した。
(2)導電パターンの印刷性
前記、導電性パターンの形成で得られる線幅1mm×長さ200mmの導電性パターン100枚の印刷物における、四端子法を用いて計測した最大抵抗値(Ω)と最小抵抗値(Ω)の差を印刷性の評価とした。
◎:抵抗値の差が10Ω未満の値である。
○:抵抗値の差が10Ω以上、15Ω未満である。
△:抵抗値の差が15Ω以上、20Ω未満である。
×:抵抗値の差が20Ω以上である。
(3)成形加工前の抵抗率
厚さ400μmの基材上の形成した線幅(1mm)×長さ200mmの導電性パターンの抵抗率を、簡易型低抵抗率計(株式会社三菱化学アナリック)を用いて、抵抗率(X1)を測定した。
なお、かかる抵抗率を、成形加工前の抵抗率(X1)とする。
(4)成形加工後の抵抗率
厚さ400μmのPC基材上に形成した線幅(1mm)×長さ200mmの導電性パターンを、立上げ10mmの金型を用いて真空成形を行い、図10に示すような三次元形態とした。
すなわち、図10は、実施例1のスクリーン印刷用導電性樹脂組成物に由来した導電性パターンを成形(真空加工)してなる状態を説明するために供する図(写真)である。
次いで、このようにして得られた成形後の導電性パターンにつき、簡易型低抵抗率計(株式会社三菱化学アナリック)を用いて、抵抗率(X2)を測定した。
なお、かかる抵抗率を、成形加工後の抵抗率(X2)とする。
(5)抵抗特性(成形後の抵抗率/成形前の抵抗率)
測定された成形前の抵抗率(X1)と、成形後の抵抗率(X2)を基に、式(1)に準じて、抵抗率の比率(X)を算出し、抵抗特性として、下記基準に沿って評価した。
◎:1以下である。
〇:3以下である。
△:5以下である。
×:5超である。
(6)耐熱試験
測定された成形後の抵抗率(X2)と、80℃に保持したオーブンに、1000時間放置した導電性パターンにおける抵抗率(X3)の比率を算出し、下記条件に沿って、相対評価した。
◎:20%以下である。
〇:30%以下である。
△:50%以下である。
×:50%超である。
(7)耐湿試験1
測定された成形後の抵抗率(X2)と、65℃、95%RHに保持した湿度オーブンに、1000時間放置した導電性パターンにおける抵抗率(X4)の比率を算出し、下記条件に沿って、相対評価した。
◎:20%以下である。
〇:30%以下である。
△:50%以下である。
×:50%超である。
(8)耐湿試験2
測定された成形後の導電性パターンにおける抵抗率(X2)と、85℃、85%RHに保持した湿度オーブンに、1000時間放置した導電性パターンにおける抵抗率(X5)の比率を算出し、下記条件に沿って、相対評価した。
◎:20%以下である。
〇:30%以下である。
△:50%以下である。
×:50%超である。
[実施例2〜5]
実施例2〜5において、表1に示すように、配合組成や配合量(重量部)を変えて、導電性樹脂組成物を作成し、次いで、実施例1と同様に、導電性パターンを形成して、評価した。
[比較例1〜4]
比較例1〜4において、表2に示すように、本発明の規定する範囲と異なる配合組成や配合量(重量部)にして、導電性樹脂組成物を作成した後、実施例1と同様に、導電性パターンを形成して、評価した。
なお、実施例1等において、用いた原材料を下記に記す。
A−1:非晶質ポリエステル樹脂(Mn18000、Tg84℃、酸価<4)
A−2:非晶質ポリエステル樹脂(Mn19000、Tg60℃、酸価<2)
A−3:非晶質ポリエステル樹脂(Mn6000、Tg46℃、酸価5)
A−4:非晶質ポリエステル樹脂(Mn23000、Tg7℃、酸価<2)
B−1:イソホロン(ケトン系、沸点215℃)
B−2:重質芳香族系ソルベントナフサ(炭化水素系、沸点240〜290℃)
B−3:ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(エステル系、沸点217℃)
C−1:フレーク状銀粉末
(平均粒径10.3μm、比表面積1.3m2/g、タップ密度1.8g/cm3)
C−2:球状銀粉末
(平均粒径2.0μm、比表面積1.54m2/g、タップ密度2.7g/cm3)
D−1:消泡剤(アクリル系化合物)
Figure 2021170510
Figure 2021170510
すなわち、表1に示すように、実施例1〜5によれば、本発明の所定配合組成、及び所定配合量の構成要件を満足することから、線幅が1mm程度の導電性を有するパターンであっても、精度よく形成できるとともに、成形加工後や各種環境特性後であっても抵抗値が安定した導電性パターンとなった。
それに対して、比較例1は、表2に示すように、(C)成分としての銀粉末の配合量が所定値よりもかなり少ない例である。
又、比較例2は、表2に示すように、(B)成分としての有機溶剤の配合量が所定値よりも多く、かつ、(C)成分としての銀粉末の配合量が所定値よりも少ない例である。
又、比較例3は、表2に示すように、(B)成分としての有機溶剤の配合量が所定値よりもさらに多く、かつ、(C)成分としての銀粉末の配合量が所定値よりもさらに少ない例である。
すなわち、比較例1〜3においては、本発明の導電性樹脂組成物の配合組成、及び配合量に関する構成要件を満たさず、さらには、比較例によっては、式(1)で算出される抵抗率比(X)を満足しないことより、表2に示すように、各種評価の全てを満足する結果が得られなかった。
又、比較例4においては、(A)成分のガラス転移温度(Tg)が極端に低いことから、好適な環境特性を得られず、耐熱性評価及び耐湿性評価において、満足する結果を得られなかった。
本発明のスクリーン印刷用導電性樹脂組成物は、基本的に熱可塑性であって、取扱い性が良好であり、かつ、スクリーン印刷によって、例えば、線幅1mmの導電性を有するパターンを精度よく安定して形成することができるようになった。
又、所定の成形加工(真空成形加工等)により、導電性パターンが引き延ばされたとしても、抵抗率(X2)が低く、かつ、各種環境条件(耐熱試験や耐湿試験)において、良好な抵抗特性を発揮できるようになった。
したがって、本発明のスクリーン印刷用導電性樹脂組成物や、それに由来してなるプリント配線板は、家電製品、OA機器、アミューズメント機器、照明機器、及び自動車などの車両の車載電子部品に適用されるリジットプリント配線、フレキシブルプリント配線等のプリント配線板への使用が期待される。
更には、メンブレンスイッチや太陽電池セルなどの電極、電子書籍端末、有機EL、有機トランジスタ、RFID、ウエアラブル電極等の、特に大きな立体的な配線回路を有する用途への使用が期待される。
10、10a、10b:導電性樹脂組成物(導電性パターン)
12:基材
14、14a、14b:保護層
16、16a、16b:表面処理層
20、20´、20´´:プリント配線板

Claims (8)

  1. 配合成分として、(A)成分としての非晶質ポリエステル樹脂である飽和共重合ポリエステル樹脂、(B)成分としての有機溶剤、及び(C)成分としての銀粉末を含有するスクリーン印刷用導電性樹脂組成物であって、
    前記(A)成分100重量部に対して、前記(B)成分の配合量を150〜350重量部の範囲内の値とし、前記(C)成分の配合量を100〜450重量部の範囲内の値とし、かつ、
    前記(A)成分のガラス転移温度を60℃以上の値とすることを特徴とするスクリーン印刷用導電性樹脂組成物。
  2. ステンレス製の325メッシュのスクリーン印刷版を用いたスクリーン印刷で得られる膜厚10μmの導電性パターンにおける、下式(1)で算出される成形前の抵抗率と、成形後の抵抗値の比が5以下であることを特徴とする請求項1に記載のスクリーン印刷用導電性樹脂組成物。
    Figure 2021170510
  3. 前記(A)成分としての飽和共重合ポリエステル樹脂の酸価を10mgKOH/g未満の値とすることを特徴とする請求項1又は2に記載のスクリーン印刷用導電性樹脂組成物。
  4. 前記(A)成分としての飽和共重合ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)を5000〜40000の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のスクリーン印刷用導電性樹脂組成物。
  5. 前記(B)成分としての有機溶剤の全体量を100重量%としたとき、ケトン系溶剤及び炭化水素系溶剤の中から選ばれる一種、又は二種以上の溶剤の配合量が80重量%以上の値であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のスクリーン印刷用導電性樹脂組成物。
  6. 前記(C)成分としての銀粉末の比表面積を0.3〜1.8m2/gの範囲内のフレーク状の銀粉末とすることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のスクリーン印刷用導電性樹脂組成物。
  7. 前記(C)成分としての銀粉末の平均粒径を3〜16μmの範囲内の値とし、タップ密度を1〜3.5g/cm2の範囲内の値とし、かつ、銀の純度を99%以上の値とすることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のスクリーン印刷用導電性樹脂組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載のスクリーン印刷用導電性樹脂組成物に由来してなる導電性パターンを有するプリント配線板であって、少なくとも基材と、導電性パターンとを含むことを特徴とするプリント配線板。

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