JP2021169753A - コンクリート床版の切断方法及びワイヤーソー装置 - Google Patents

コンクリート床版の切断方法及びワイヤーソー装置 Download PDF

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Abstract

【課題】ハンチの高さが左右で違うコンクリート床版であってもコンクリート床版と桁とを短時間で容易に切断して切り離すことができるコンクリート床版の切断方法及びワイヤーソー装置を提供する。【解決手段】橋梁の横断面で左右に傾斜したコンクリート床版(F1)を桁(G1)から撤去するためにコンクリート床版(F1)を切断するコンクリート床版の切断方法において、傾斜の下側のハンチ(h2)にコンクリート床版(F1)の下面側から縦方向に切削して縦溝(2)を形成する縦溝形成工程と、傾斜の上側のハンチ(h1)側から下側のハンチ(h2)側に横方向に削孔して横孔(4)を形成する横孔削孔工程と、を備える。【選択図】図4

Description

本発明は、橋梁のコンクリート床版の切断方法及びワイヤーソー装置に関し、詳しくは、橋梁の左右に傾斜したコンクリート床版のハンチの高さが左右で違う部分を、橋桁から撤去するためにワイヤーソーを用いて切断する方法及びワイヤーソー装置に関するものである。
道路橋などの橋梁では、車両の通行によりコンクリート床版が損傷するために、一定期間が経過すると、鋼桁などの橋桁から損傷した既設の古いコンクリート床版を撤去して新たな床版に架け替えて更新することが行われている。新たに架け替える床版は、現地で打設するRC製のコンクリート床版とする場合、予め工場等で打設したプレキャスト製のPCa床版とする場合、鋼製床版とする場合など、様々な新設床版にする場合があり得る。
このような既設のコンクリート床版を撤去する方法としては、特許文献1に、床版3の下面側からジベル2dに向かって床版3のコンクリートをジベル2dごとドリル10で削孔することによりジベル2dを切断し、ジベル2dが切断された床版3を主桁2から剥離して撤去する合成桁の床版撤去方法が記載されている(特許文献1の特許請求の範囲の請求項1、明細書の段落[0023]〜[0035]、図面の図8〜図18等参照)。
しかし、特許文献1に記載の合成桁の床版撤去方法では、撤去しようとする床版3のジベル2dを削孔作業により切断する必要があり、多数の孔を削孔しなければならず、削孔作業に時間と労力を要し、結果的に撤去作業も短時間で容易に行うことはできなかった。その上、排水勾配を設けて横断面で左右に傾斜した床版の左右のハンチの高さが違う部分を削孔する際には、削孔する距離がハンチの高さが左右で同一の場合より長くなり、削孔作業に時間と労力がさらに掛かってしまうという問題があった。
また、特許文献2には、削孔工程によりハンチ部22に孔40を削孔し、亀裂発生工程により孔40を起点としてハンチ部22にスタッドジベル13に到達する亀裂60を発生させ、ジベル切断工程により亀裂60からハンチ部22の内部のスタッドジベル13を切断し、床版分離工程により亀裂60を境界として桁10からコンクリート床版20を分離するコンクリート床版の撤去方法が記載されている(特許文献2の特許請求の範囲の請求項1、明細書の段落[0018]〜[0029]、図面の図2〜図8等参照)。
特許文献2に記載のコンクリート床版の撤去方法は、削孔した孔にジャッキやクサビ等を挿入して、それらで押し開いて亀裂を生じさせるため、削孔箇所を低減してコンクリート床版を撤去することができるとされている。しかし、排水勾配を設けて左右に傾斜したコンクリート床版のハンチの高さが左右で違う部分では、削孔する孔を水平ではなく斜めに傾斜して削孔しなければならず、削孔する距離が桁の左右でハンチの高さが同じ箇所と比べて長くなり、削孔作業に時間と労力が掛かってしまうという問題は解消されていなかった。
また、特許文献3には、削孔工程によりフランジ11の下面13からスタッドジベル
14の周囲をくり抜くようにフランジ11の上面12に達する孔40を削孔し、床版分離工程によりコンクリート21により包含されたスタッドジベル14と一緒に桁10のフランジ11からコンクリート床版20を分離するコンクリート床版の撤去方法が記載されている(特許文献3の特許請求の範囲の請求項1、明細書の段落[0015]〜[0020]、図面の図3,図5等参照)。
しかし、特許文献3に記載のコンクリート床版の撤去方法は、鋼桁のフランジ11ごとスタッドジベル14の周囲を削孔するものであり、削孔機のビッドの損耗が激しいだけでなく、鋼桁のフランジに欠損部分を形成することになるとともに、現場で溶植されたスタッドジベル14の正確な位置をフランジ11の下面から削孔しなければならず、正確にスタッドジベル14の周囲をくり抜くように削孔することが極めて困難であるという問題があった。
特開2017−89302号公報 特開2018−91062号公報 特開2018−71275号公報
そこで、本発明は、前述した問題に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、ハンチの高さが左右で違うコンクリート床版であってもコンクリート床版と桁とを短時間で容易に切断して切り離すことができるコンクリート床版の切断方法及びワイヤーソー装置を提供することにある。
第1発明に係るコンクリート床版の切断方法は、橋梁の横断面で左右に傾斜したコンクリート床版を桁から撤去するために前記コンクリート床版を切断するコンクリート床版の切断方法であって、前記傾斜の下側のハンチに前記コンクリート床版の下面側から縦方向に切削して縦溝を形成する縦溝形成工程と、前記傾斜の上側のハンチから前記下側のハンチに向け横方向に削孔して横孔を形成する横孔削孔工程と、を備えることを特徴とする。
第2発明に係るコンクリート床版の切断方法は、第1発明において、前記横孔削孔工程で形成した前記横孔にワイヤーソーを挿通して前記コンクリート床版を切断するワイヤーソー切断工程と、を備えることを特徴とする。
第3発明に係るコンクリート床版の切断方法は、第2発明において、前記コンクリート床版を上下に貫通する上下貫通孔を削孔する上下貫通孔削孔工程を備え、前記ワイヤーソー切断工程では、前記上下貫通孔削孔工程で削孔した前記上下貫通孔にワイヤーソーを挿通して前記コンクリート床版の上面にワイヤーソーの駆動装置を載置して前記コンクリート床版を切断することを特徴とする。
第4発明に係るコンクリート床版の切断方法は、第3発明において、前記ワイヤーソー切断工程では、前記コンクリート床版の上面から下面まで伸縮自在で同一面内で回転自在な自在プーリーを有するワイヤーソー装置を用いて前記自在プーリーで前記ワイヤーソーの切断の進行に伴う屈曲角度の変化に追随させて切断することを特徴とする。
第5発明に係るコンクリート床版の切断方法は、第1発明ないし第4発明のいずれかの発明において、前記コンクリート床版を橋軸直角方向に切断する床版橋軸直角方向切断工程と、前記床版橋軸直角方向切断工程で切断したコンクリート床版を揚重装置で上方に持ち上げて桁から引き剥がす揚重工程と、をさらに備えることを特徴とする。
第6発明に係るワイヤーソー装置は、請求項4に記載のコンクリート床版の切断方法に用いる前記ワイヤーソーを回転駆動するワイヤーソー装置であって、コンクリート床版の上面から下面まで伸縮自在で同一面内で回転自在な複数の自在プーリーを有することを特徴とする。
第1発明〜第6発明によれば、ハンチ高さの低い傾斜の下側のハンチに前記コンクリート床版の下面側から縦方向に切削して縦溝を形成する縦溝形成工程を有するので、ハンチの高さが左右で違うコンクリート床版であっても横孔削孔工程で形成する横孔の削孔距離を短くすることができる。このため、第1発明〜第6発明によれば、コンクリート床版と桁とを短時間で容易に切断して切り離すことができる。
特に、第1発明によれば、交通規制を開始する前に、事前に準備工としてすすめることができ、交通規制下での作業を減らすことができるため、規制時間の短縮化を図ることができる。
特に、第3発明によれば、コンクリート床版の上面にワイヤーソーの駆動装置を載置してコンクリート床版を切断することができる。このため、第3発明によれば、ワイヤーソーの駆動装置を設置する大きなスペースを床版の下方に設ける必要がなくなり、仮設施設を低減してコンクリート床版の切断作業の作業コストを低減することができる。また、第3発明によれば、重量が重いワイヤーソーの駆動装置を落下の恐れが少ない床版上に載置するので、安全性も向上する。
特に、第4発明及び第6発明によれば、切断の進行に伴ってワイヤーソーの屈曲角度が変わっても自在プーリーが回転してそれに追随することができる。このため、第4発明及び第6発明によれば、ワイヤーソー切断工程において、床版下に人員を配置して監視する必要がなく、本工程における労務コストを低減することができる。
特に、第5発明によれば、揚重工程をワイヤーソー切断工程と同時並行で行うことが可能となり、ワイヤーソー切断工程で床版と桁を完全に切り離さなくても、揚重装置で持ち上げて床版に横方向の亀裂を生じさせることができる。このため、第4発明によれば、さらに短時間でコンクリート床版と桁とを切断して切り離すことができる。
図1は、本発明の実施形態に係るコンクリート床版の切断方法を適用する橋梁を橋軸直角方向に鉛直に切断した状態を示す鉛直横断面図である。 図2は、図1のA部拡大図である。 図3は、本発明の第1実施形態に係るコンクリート床版の切断方法の縦溝形成工程を橋軸直角方向Yに沿って切断した断面図で示す工程説明図である。 図4は、本発明の第1実施形態に係るコンクリート床版の切断方法の横孔削孔工程を橋軸直角方向Yに沿って切断した断面図で示す工程説明図である。 図5は、本発明の第1実施形態に係るコンクリート床版の切断方法のワイヤーソー切断工程を透視平面図で示す工程説明図である。 図6は、第1実施形態の変形例に係るコンクリート床版の切断方法の上下貫通孔削孔工程を橋軸直角方向Yに沿って切断した断面図で示す工程説明図である。 図7は、同上のコンクリート床版の切断方法で用いるワイヤーソーの回送ルートの変形例を透視平面図で示す回送ルート説明図である。 図8は、同上のコンクリート床版の切断方法のワイヤーソー切断工程におけるワイヤーソー装置の設置状態を橋軸直角方向Yに沿って切断した断面図で示す設置状態説明図である。 図9は、本発明の第2実施形態に係るコンクリート床版の切断方法の床版橋軸直角方向切断工程を行って切断線Y1,Y2で切断され、揚重工程を行う前の状態を示す平面図である。 図10は、本発明の第2実施形態に係るコンクリート床版の切断方法の揚重工程を橋軸直角方向Yに沿って切断した断面図で示す工程説明図である。 図11は、本発明の第3実施形態に係るコンクリート床版の切断方法で用いるワイヤーソーの回送ルートを透視平面図で示す回送ルート説明図である。 図12は、同上のコンクリート床版の切断方法で用いるワイヤーソー装置を橋軸直角方向に沿って見た正面図及びそのワイヤーソー装置を用いたワイヤーソー切断工程を示す工程説明図である。 図13は、同上のワイヤーソー装置を橋軸方向に沿って見た右側面図及びそのワイヤーソー装置それを用いたワイヤーソー切断工程を示す工程説明図である。
以下、本発明に係るコンクリート床版の切断方法を実施するための一実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1〜図10を用いて、本発明の実施形態に係るコンクリート床版の切断方法について説明する。本発明の実施形態に係るコンクリート床版の切断方法では、鋼桁に接続される合成床版であるコンクリート床版において、排水勾配で最下流側となる最外縁に位置する鋼桁と左右に傾斜したコンクリート床版の接続部分を鋼桁から切断して切り離す場合を例示して説明する。
<橋梁>
先ず、図1,図2を用いて、本発明の実施形態に係るコンクリート床版の切断方法を適用して床版を切断する橋梁について簡単に説明する。図1は、本発明の実施形態に係るコンクリート床版の切断方法を適用する橋梁を橋軸直角方向に鉛直に切断した状態を示す鉛直横断面図であり、図2は、図1のA部拡大図である。
本発明を適用する橋梁B1は、道路橋として使用される橋梁であり、図1,図2に示すように、4本の鋼桁G1〜G4と、これらの鋼桁G1〜G4の上部と図示しないスタッドジベル等のずれ止め材を介して接合された鉄筋コンクリート製の合成床版であるコンクリート床版F1など、から構成されている。また、コンクリート床版F1の両脇の縁沿いには、車止めとして地覆部W1,W2が形成され、コンクリート床版F1の上方には、アスファルト舗装などの舗装P1が敷設されている。但し、地覆部W1,W2の上方に設置される壁高欄等の施設は、省略している。
なお、図中のX方向は、橋梁B1の鋼桁G1〜G4の軸方向に沿った橋軸方向を指し、Y方向は、橋梁B1の橋軸方向Xに直交する水平方向である橋軸直角方向を指している。また、Z方向は、鉛直方向である上下方向を指している。
通常、このような道路橋の橋梁B1には、床版F1の上面に、排水勾配が設けられており、特に、排水勾配で最下流側となる最外縁に位置する鋼桁G1の上方の床版F1は、ハンチの高さが左右でかなり違うようになっている。このため、このようなハンチの高さが左右で違うコンクリート床版F1と鋼桁G1(橋桁)の接合部分を鋼桁G1から切り離す切断方法では、従来の切断方法ように、ハンチ部分を水平に削孔することがそもそも難しいだけでなく、削孔する距離が中側の鋼桁(G2,G3)との接合部分より長くなり、削孔作業に時間と労力が掛かってしまうという問題があった。
図1に示すように、本発明を適用するにあたり図示して例示した橋梁B1は、主桁の中央部分ではなく、一方の縁が高くなった排水勾配が一方向にだけ設けられた直線状の横断勾配となった橋梁となっている。勿論、中央が高く、両方の縁が低くなった拝み勾配となっている橋梁でもよい。
また、図2に示すように、最下流側に位置する鋼桁G1の図示右側のハンチh1の傾斜角度α(水平面となす角度、以下同じ)は、図示形態では約20.0°となっており、図示左側のハンチh2の傾斜角度βは、図示形態では約2.5°となっている。つまり、床版F1の厚さH1が160mmであった場合、右側のハンチh1のハンチ高さH2は、一般的なハンチ高さである100mmであり(tanα=100mm/250mm程度)、左側のハンチh2のハンチ高さH3は、殆どハンチの高さがなく20mm程となっている(tanβ=20mm/430mm程度)。勿論、本発明を適用することができる橋梁は、ハンチの高さが左右で違い、ハンチ間に削孔する削孔距離が長くなる場合であり、例示したハンチの傾斜角度やハンチ高さに限られない。
[第1実施形態]
次に、図3〜図8を用いて、本発明の第1実施形態に係るコンクリート床版の切断方法の具体的な手順について説明する。
(縦溝形成工程)
図3は、本発明の第1実施形態に係るコンクリート床版の切断方法の縦溝形成工程を橋軸直角方向Yに沿って切断した断面図で示す工程説明図である。本実施形態に係るコンクリート床版の切断方法では、先ず、図3に示すように、コンクリート床版の下面側から縦方向に切削して縦溝を形成する縦溝形成工程を行う。
具体的には、ウォールソーやダイヤモンドカッターなどと呼ばれる大型の回転切削装置1を用いて、コンクリート床版F1の下面側から縦方向(上下方向Z)に切削して傾斜角度が小さいハンチ高さが低いハンチh2に縦溝2を切削する。
この縦溝2は、後述の横孔4の削孔位置の先端部に応じた所定深さの橋軸方向Xに沿った溝であり、縦溝2の切削長さは、コンクリート床版F1の橋軸直角方向Yに沿って切断する幅に応じた所定長さとする。所定深さに達したか否かの判断は、回転切削装置1に設けられている目盛の付いた棒材を有する深さ計測治具1aを用いて判断する。
(横孔削孔工程)
図4は、本発明の第1実施形態に係るコンクリート床版の切断方法の横孔削孔工程を橋軸直角方向Yに沿って切断した断面図で示す工程説明図である。本実施形態に係るコンクリート床版の切断方法では、次に、図4に示すように、横方向に削孔して横孔を形成する横孔削孔工程を行う。
具体的には、狭隘な場所でも削孔可能な特殊な削孔装置3を用いて、傾斜角度及び高さが左右で違うハンチh1,h2において、排水勾配(傾斜)の上側のハンチの高さが高いハンチh1側から排水勾配(傾斜)の下側のハンチ高さが低いハンチh2側に向け略水平に横孔4を削孔する。
また、本実施形態に係るコンクリート床版の切断方法で用いる特殊な削孔装置3は、装置本体30の中心軸であるスピンドル31がギア32を介して、スピンドル31より上方に位置するドリルビット33を回転駆動可能な構成となっている。このため、削孔装置3は、駆動力の高い(例えば、直径40mmのコアドリルを10,000回転/分程度で削孔可能な能力)径の大きな装置本体30を用いて、ハンチ高さH2が100mm程度の通常のハンチ高さであるハンチh1のような高さスペースがない狭隘な場所でも削孔が可能であり、短時間で所望深さの削孔が可能となる。また、略水平に削孔することで、最短距離で削孔することになり、その点でも短時間で削孔が可能となる。
削孔装置3は、床版下面に設置する。削孔装置3は、支持治具34に載置してその支持治具34をアンカーで床版下面に吊り下げ支持して固定する。他の設置方法としては、床版下面に吸盤で固定する方法もある。
この支持治具34は、吊下げ状態に設置した削孔装置3の位置決め機能を有しているとともに、載置した削孔装置3を前後に移動できる機能を有しており、削孔装置3を前後に移動して削孔後のコア内のコンクリート片を取り除くことができるようになっている。また、この支持治具34の移動機能により、コアビット延長のためのコア延長治具の装着が容易となるだけでなく、削孔装置3を上下、左右に移動させて位置調整が可能となっている。
それに加え、支持治具34は、削孔装置3の角度調整が可能となっており、削孔装置3による水平面に対して傾斜を付けた削孔や角度を付けた方向性を持った削孔が可能となっている。この支持治具による角度調整は、赤外レーザー等で検知できる構成となっており、傾斜角度の確認や鋼桁との平行性を確保することができるようになっている。
従来の削孔装置は、床版下面に取付けられた装置本体に接続するコアビットが計画位置より、鋼桁の上フランジに近接、又は鋼桁上フランジに接触する位置になる場合がある。原因は、一般の削孔装置は大口径コア削孔用に設計されているため、コア中心部が削孔装置の中心に近いところにあることで大口径のコア削孔を可能にしているため、装置の機械高さの影響をうけるためである。このため、従来の削孔装置は、床版下縁のより近い位置にコア上縁部を設置する必要があった。
本発明の実施形態に係る削孔装置3は、削孔装置のコア部に偏心機能を持たせることで、床版下面から下に10mmの位置にコア上縁部を設置できる構成となっている。これによりハンチ高さが小さい環境、例えばハンチ高さが50mmであっても鋼桁の上フランジ上縁部まで40mmあることになる。
そのため、削孔装置3は、コア削孔径の外周部がφ35mm以下であれば5mm以上の空きが確保されるため削孔可能である。しかし、少しの角度変化で鋼桁に当たる可能性があり、より小口径でコア削孔することが望まれる。よって、本実施形態に係る削孔装置3は、コア外径がφ25mmとなっており、鋼桁上フランジ上縁部まで15mmのクリアランスを確保することができる。
勿論、削孔装置3のコア削孔径は、φ20mmがより好ましく、さらに望ましくはφ15mmである。理論上の削孔装置3のコア削孔径は、ワイヤーソーの径の太さ以上の削孔径であればワイヤーソーを設置することができる。
なお、前述の縦溝形成工程後に、横孔削孔工程を行う場合を例示して説明したが、本横孔削孔工程を行った後に縦溝形成工程を行うことも可能である。横孔削孔工程で削孔する横孔4の深さを確認し、それより鋼桁G1側に縦溝2を切削すれば結果は同じになるからである。
(ワイヤーソー切断工程)
図5は、本発明の第1実施形態に係るコンクリート床版の切断方法のワイヤーソー切断工程を透視平面図で示す工程説明図である。本実施形態に係るコンクリート床版の切断方法では、次に、図5に示すように、横孔削孔工程で形成した横孔4にワイヤーソー5(チェーンソーともいう)を挿通してコンクリート床版F1を切断するワイヤーソー切断工程を行う。
具体的には、ワイヤーソー5を回転駆動可能な駆動装置であるワイヤーソー装置50を用いて、ワイヤーソー5でコンクリート床版F1をスタッドジベルなどのずれ止め材(図示せず)ごと略水平に切削し、鋼桁G1から切り離す。
ワイヤーソー5の回送ルートは、図5に示すように、第1ルートR1〜第4ルートR4までの同一平面上の矩形の回送ルートとなっている。ワイヤーソー装置50は、コンクリート床版F1の下方に、鋼桁G1等に支持させた仮設足場を設置し、その上にワイヤーソー装置50を固定して使用する。また、回送ルートの方向転換は、図示しないプーリー(滑車)や変換架台を用いて行っている。
図5に示すように、第1ルートR1は、ワイヤーソー装置50からコンクリート床版F1の既切断端面F1a沿い、即ち橋軸直角方向Yに沿ったルートであり、鋼桁G1の上フランジを超えた位置に至るルートである。第2ルートR2は、第1ルートR1と略直交し、第1ルートR1の終点から橋軸方向Xに沿った横孔4のハンチh1側に至るルートである。
そして、第3ルートR3は、第2ルートR2と略直交する横孔4内を通過するルートであり、横孔4のハンチh2側に至るルートである。第4ルートは、第3ルートR3と略直交する縦溝2内を通過するルートであり、ワイヤーソー装置50に戻るルートとなっている。
なお、第1ルートR1は、コンクリート床版F1の橋軸直角方向Yに沿った略鉛直な既切断端面F1aに、最初に切欠きを切削加工してワイヤーソー5が引っ掛かるようにする。その際、支保工で受けて(押さえて)ワイヤーソー5がルートから脱落しないようにすると好ましい。
本工程は、ワイヤーソー5での切削が進行するにつれて回送ルート全体が縮まって行き、最終的には、コンクリート床版F1が鋼桁G1から切り離なされることとなる。本工程の作業時間は、実際の現場において、6m×3か所を2台のワイヤーソー装置50で切断作業を行って8〜9時間かかるものである。そして、本工程の終了により本実施形態に係るコンクリート床版の切断方法による床版の切断作業が完了する。
<ワイヤーソーの回送ルートの変形例>
次に、図6〜図8を用いて、ワイヤーソー5の回送ルートの変形例について説明する。図6は、本発明の第1実施形態の変形例に係るコンクリート床版の切断方法の上下貫通孔削孔工程を橋軸直角方向Yに沿って切断した断面図で示す工程説明図であり、図7は、ワイヤーソーの回送ルートの変形例を透視平面図で示す回送ルート説明図である。また、図8は、本実施形態の変形例に係るコンクリート床版の切断方法のワイヤーソー切断工程におけるワイヤーソー装置の設置状態を橋軸直角方向Yに沿って切断した断面図で示す設置状態説明図である。
(上下貫通孔削孔工程)
図6、図7に示すように、ワイヤーソー5の変形例に係る回送ルートでワイヤーソー切断工程を実施する場合は、ワイヤーソー切断工程を実施する前にコンクリート床版F1を上下方向Zに貫通する上下貫通孔6を削孔する上下貫通孔削孔工程を行う必要がある。
具体的には、一般的な市販のコアドリルである削孔装置7を用いて、コンクリート床版F1の上面から下面に向け上下貫通孔6を削孔する。上下貫通孔6の削孔位置は、図6,図7に示すように、前述の第2ルートR2と第3ルートR3との交点部分である横孔4のハンチh1側の開口部直近としている。勿論、上下貫通孔6の削孔位置は、第3ルートR3と第4ルートR4との交点部分など、ワイヤーソー装置50の設置位置に応じて適宜変更できることは云うまでもない。また、ワイヤーソー装置50を複数台用いて、切断してもよい。
このように、上下貫通孔6を削孔して、図7に示すように、前述の第2ルートR2と第3ルートR3との間に、第2ルートR2と直交して鉛直上方に延びる変形第2ルートR2’と、鉛直下方に延びる変形第3ルートR3’と、を設ける。これにより、ワイヤーソー5の回送ルートをコンクリート床版F1の上面を迂回して経由する回送ルートとすることができ、図8に示すように、ワイヤーソー装置50をコンクリート床版F1の上面に設置して使用することができる。このため、コンクリート床版F1の下方に、ワイヤーソー装置50を設置固定する大きなスペースが必要で昇降の困難な仮設の架台を設ける必要がなくなる。そのため、仮設費用を低減することができるだけでなく、安全性が格段に向上する。
なお、図8に示す、符号51は、第2ルートR2〜変形第2ルートR2’及び変形第3ルートR3’〜第3ルートR3への変換架台51を示し、符号52は、防護ネット52を示している。この防護ネット52は、ワイヤーソー装置50全体を覆うネットであり、ダイヤモンドが付着している鋭利なワイヤーソー5に作業員が接触しないように防護する機能を有している。
[第2実施形態]
次に、図9,図10を用いて、本発明の第2実施形態に係るコンクリート床版の切断方法について説明する。前述の第1実施形態に係るコンクリート床版の切断方法と相違する点は、床版橋軸直角方向切断工程と揚重工程であるので、これらの工程を主に説明し、その他の縦溝形成工程、横孔削孔工程、ワイヤーソー切断工程は、前述と同様に行うため、説明を省略する。図9は、本発明の第2実施形態に係るコンクリート床版の切断方法の床版橋軸直角方向切断工程を行って切断線Y1,Y2で切断され、揚重工程を行う前の状態を示す平面図である。
(床版橋軸直角方向切断工程)
本発明の第2実施形態に係るコンクリート床版の切断方法では、図9に示すように、コンクリート床版F1を橋軸直角方向Yに沿った切断線Y1及び切断線Y2で切断する床版橋軸直角方向切断工程を行う。
具縦的には、前述の大型の回転切削装置1を用いて、図9に示すように、コンクリート床版F1を上面から下面まで上下に貫通するとともに、橋軸直角方向Yに沿った切断線である切断線Y1で全幅に亘り切断して既切断床版F1’から切断対象床版であるコンクリート床版F1を切り離す。また、橋軸直角方向Yに沿った切断線Y2でコンクリート床版F1を全幅に亘り切断して未切断床版F1”からも切り離す。
ここで、既切断床版F1’とは、前述の第1実施形態に係るコンクリート床版の切断方法により、コンクリート床版F1の鋼桁G1との接合部分を略水平に既に切断されて切り離されたコンクリート床版F1を指している。また、未切断床版F1”とは、前述の第1実施形態に係るコンクリート床版の切断方法により、鋼桁G1との接合部分を未だ切断されていないコンクリート床版F1を指している。
なお、本工程は、前述の第1実施形態に係るコンクリート床版の切断方法のワイヤーソー切断工程の終了後に行ってもよいし、縦溝形成工程や横孔削孔工程の実行前や同時並行で行っても構わない。要するに、後述の揚重工程前に、既切断床版F1’や未切断床版F1”から切断対象床版であるコンクリート床版F1が切断線Y1,Y2で切り離されていればよい。
(揚重工程)
次に、本発明の第2実施形態に係るコンクリート床版の切断方法では、図9,10に示すように、床版橋軸直角方向切断工程で切断線Y1,Y2で切断して切り離したコンクリート床版F1を揚重装置で上方に持ち上げて鋼桁G1から引き剥がす揚重工程を行う。図10は、本発明の第2実施形態に係るコンクリート床版の切断方法の揚重工程を橋軸直角方向Yに沿って切断した断面図で示す工程説明図である。
本工程を行う前に、前述の上下貫通孔削孔工程と同様に、コンクリート床版F1を上下方向Zに貫通する上下貫通孔6’を削孔する上下貫通孔削孔工程を行う必要がある。具体的には、前述のコアドリルの径より小さい削孔装置7を用いて、コンクリート床版F1の上面から下面に向け後述の高張力鋼棒90を挿通するための上下貫通孔6’を削孔する。
そして、揚重装置である油圧ジャッキ8の上に鋼材からなる吊上げ架台9を井桁に組んで油圧ジャッキ8で吊上げ架台9を持ち上げ、吊上げ架台9にねじ止めされた引張力を負担する引張部材である高張力鋼棒90で切断対象床版であるコンクリート床版F1を吊り上げ、鋼桁G1から引き剥がす。本工程により、ワイヤーソー切断工程でスタッドジベルなどのずれ止め鋼材等が完全に切断されていなくてもコンクリート床版F1を鋼桁G1から撤去することが可能となり、切断作業の作業時間を短縮することができる。
図9に示すように、油圧ジャッキ8及び吊上げ架台9の基礎部91は、前述の切断線Y1,Y2を跨ぐように、既切断床版F1’と未切断床版F1”の上に、それぞれ左右一対設ける。勿論、吊上げ架台9の組み方や、油圧ジャッキ8の設置台数などは、持ち上げるコンクリート床版F1の大きさや重量に合わせて適宜設定すればよく図示形態に限られない。
また、高張力鋼とは、鋼材メーカーにより基準が相違するが、一般的には、SS400材の引張り強度の保証値である400MPaより引張強度が高い490MPa以上となっている鋼材を指している。勿論、高張力鋼棒90の径も持ち上げるコンクリート床版F1の大きさや重量に合わせて適宜設定すればよい。
なお、揚重装置として油圧ジャッキ8を例示して説明したが、本発明に係る揚重装置はジャッキに限られず、クレーン、門型クレーン、下からサポートで押し上げる、又はこれらの併用としてもよい。
[第3実施形態]
次に、図11〜図13を用いて、本発明の第3実施形態に係るコンクリート床版の切断方法について説明する。第3実施形態に係るコンクリート床版の切断方法は、コンクリート床版F1上にあと施工アンカーで固定した特殊なワイヤーソー装置50”を用いて、床版下に前述の変換架台51を設置しなくとてもワイヤーソー切断工程を行える切断方法である。
図11は、本発明の第3実施形態に係るコンクリート床版の切断方法で用いるワイヤーソーの回送ルートを透視平面図で示す回送ルート説明図である。また、図12は、3実施形態に係るコンクリート床版の切断方法で用いるワイヤーソー装置を橋軸直角方向に沿って見た正面図及びそのワイヤーソー装置を用いたワイヤーソー切断工程を示す工程説明図であり、図13は、第3実施形態に係るワイヤーソー装置を橋軸方向に沿って見た右側面図及びそのワイヤーソー装置それを用いたワイヤーソー切断工程を示す工程説明図である。なお、図13では、重なって見えにくいので調整プーリー56”は省略している。
(縦溝形成工程)
第3実施形態に係るコンクリート床版の切断方法でも、図11,図13に示すように、第1実施形態に係るコンクリート床版の切断方法と同様に、コンクリート床版F1の下面側から縦方向に切削して縦溝2を形成する縦溝形成工程を行う。
(横孔削孔工程)
次に、第3実施形態に係るコンクリート床版の切断方法では、図11,図13に示すように、第1実施形態に係るコンクリート床版の切断方法と同様に、横方向に削孔して横孔4を形成する横孔削孔工程を行う。但し、第3実施形態に係るコンクリート床版の切断方法では、第1実施形態に係るコンクリート床版の切断方法と相違して図11に示すように、略平行(水平)に横孔4を2カ所削孔する。
(上下貫通孔削孔工程)
次に、第3実施形態に係るコンクリート床版の切断方法では、図11〜図13に示すように、前述のワイヤーソーの回送ルートの変形例に係るコンクリート床版の切断方法と同様に、コンクリート床版F1を上下方向Zに貫通する上下貫通孔6”を削孔する上下貫通孔削孔工程を行う。但し、第3実施形態に係るコンクリート床版の切断方法では、本工程において、削孔装置7を用いて、コンクリート床版F1の上面から下面に向け上下貫通孔6”を2カ所削孔する。2つの上下貫通孔6”の削孔位置は、図11,図12に示すように、いずれも横孔4のハンチh1側の開口部直近である。また、削孔する上下貫通孔6”は、後述の自在プーリー57”,58”を挿通するために、前述の上下貫通孔6より径の大きい孔(例えば、直径225mm)である。
(ワイヤーソー切断工程)
次に、第3実施形態に係るコンクリート床版の切断方法では、図11〜図13に示すように、コンクリート床版F1上に固定した特殊なワイヤーソー装置50”を用いて、横孔削孔工程で形成した横孔4にワイヤーソー5を挿通してコンクリート床版F1を切断するワイヤーソー切断工程を行う。
本工程で用いるワイヤーソー装置50”は、図12,図13に示すように、下端がコンクリート床版F1上にあと施工アンカーで固定して据え付け可能な支柱51”と、この支柱51”に直交する支持ビーム52”と、支柱51”の上端に取り付けられた防護フレーム53”と、を備えている。また、防護フレーム53”には、防護ネット54”が垂下され、簡単に危険なワイヤーソー5に近づけないようになっている。
そして、支柱51”の上部には、ワイヤーソー5を回転駆動する駆動プーリー55”が取り付けられているとともに、支持ビーム52”には、ワイヤーソー5の長さを調整する複数の調整プーリー56”が取り付けられている。
また、ワイヤーソー装置50”は、図12,図13に示すように、据え付けた支柱51”の下端となるコンクリート床版F1の上面から下面よりも下方まで伸縮(突出又は後退)自在で同一面(同一水平面)内を360度回転自在な一対の自在プーリー57”,58”を備えている。このため、ワイヤーソー装置50”は、前述の上下貫通孔6”に自在プーリー57”,58”を伸ばして挿通するだけで、前述の変換架台51を設置しなくとてもコンクリート床版F1下にワイヤーソー5を回送してワイヤーソー切断工程を行えるようになっている。
本工程で行うワイヤーソー5の回送ルートは、図11に示すように、コンクリート床版F1下の直線状の第1ルートR1”〜第3ルートR3”と、コンクリート床版F1上のワイヤーソー装置50”内を走行する第4ルートR4”からなる。
第1ルートR1”は、横孔4を経由して縦溝2まで到達する床版下の直線状のルートであり、第2ルートR2”は、縦溝2内を次の横孔4まで直線状に走行するルートであり、第3ルートR3”は、横孔4の直線状のルートである。
そして、図11,図12に示すように、第4ルートR4”は、横孔4から曲がり上下貫通孔6”を経由してコンクリート床版F1下に伸ばされた自在プーリー58”で床版上に上昇して複数の調整プーリー56”及び駆動プーリー55”を経由して自在プーリー57”に至る主にワイヤーソー装置50”内を走行するルートである。
本工程では、以上説明したワイヤーソー5の回送ルートを用いてコンクリート床版F1を切断するので、切断の進行に伴ってワイヤーソー5が縮まり、ワイヤーソー5の位置が縦溝2や横孔4の位置からずれてワイヤーソー5の屈曲角度が変わっても自在プーリー57”,58”が回転してそれに追随することができる。このため、本工程では、ワイヤーソー5が方向転換する部分に前述の変換架台51を設置しなくてもワイヤーソー切断工程を行うことができる。また、床版下に変換架台51等のワイヤーソー5が曲がる部分にプーリー等のワイヤーソー5が外れるおそれがある部分がなく、自在プーリー57”,58”も上下貫通孔6”を通じてコンクリート床版F1上から目視確認が可能である。よって、ワイヤーソー切断工程において、床版下に人員を配置して監視する必要がなく、本工程における労務コストを低減することができる。
以上述べた第1実施形態〜第3実施形態に係るコンクリート床版の切断方法によれば、ハンチ高さ低いハンチh1に縦溝2を形成する縦溝形成工程を有するので、ハンチの高さが左右で違うコンクリート床版F1であっても横孔削孔工程で形成する横孔4の削孔距離を短くすることができる。このため、第1実施形態及び第2実施形態に係るコンクリート床版の切断方法によれば、コンクリート床版F1と鋼桁G1とを短時間で容易に切断して切り離すことができる。
また、第1実施形態〜第3実施形態に係るコンクリート床版の切断方法によれば、ワイヤーソー5の回送ルートは、床版上面を経由するように変更してコンクリート床版F1の上面にワイヤーソー装置50を載置してコンクリート床版F1を切断することができる。このため、ワイヤーソー装置50を設置する大きなスペースを床版の下方に設ける必要がなくなり、仮設施設を低減してコンクリート床版F1の切断作業の作業コストを低減することができる。また、重量が重いワイヤーソーの駆動装置であるワイヤーソー装置50を落下の恐れが少ない床版上に載置するので、安全性も向上する。
その上、第2実施形態に係るコンクリート床版の切断方法によれば、ワイヤーソー切断工程でコンクリート床版F1と鋼桁G1を完全に切り離さなくても、揚重装置である油圧ジャッキ8で持ち上げてコンクリート床版F1に横方向の亀裂を生じさせることができる。このため、さらに短時間でコンクリート床版と桁とを切断して切り離すことができる。
それに加え、第3実施形態に係るコンクリート床版の切断方法によれば、切断の進行に伴ってワイヤーソー5が縮まってワイヤーソー5の屈曲角度が変わっていっても自在プーリー57”,58”が回転してそれに追随することができる。このため、変換架台51を設置しなくてもワイヤーソー切断工程を行うことができ、ワイヤーソー切断工程において、床版下に人員を配置して監視する必要がなく、本工程における労務コストを低減することができる。
以上、本発明の実施形態に係るコンクリート床版の切断方法について詳細に説明したが、前述した又は図示した実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたって具体化した一実施形態を示したものに過ぎない。よって、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。
特に、本発明を適用するコンクリート床版として排水勾配で最下流側となる最外縁に位置する鋼桁とコンクリート床版の接続部分を鋼桁から切断して切り離す場合を例示して説明した。しかし、図1のB部など、排水勾配で最上流側となる最外縁に位置する鋼桁とコンクリート床版の接続部分にも本発明を適用することができる。要するに、本発明は、ハンチの高さが左右で違う部分を有するコンクリート床版には、適用することができる。
1:回転削孔装置(切削装置)
1a:深さ計測治具
2:縦溝
3:削孔装置
30:装置本体
31:スピンドル
32:ギア
33:ドリルビット
34:支持治具
4:横孔
5:ワイヤーソー
50,50”:ワイヤーソー装置
51:変換架台
52,54”:防護ネット
51”:支柱
52”:支持ビーム
53”:防護フレーム
55”:駆動プーリー
56”:調整プーリー
57”,58”:自在プーリー
R1,R1”:第1ルート
R2,R2”:第2ルート
R2’:変形第2ルート
R3,R3”:第3ルート
R3’:変形第3ルート
R4,R4”:第4ルート
6,6’,6”:上下貫通孔
7:削孔装置
8:油圧ジャッキ(揚重装置)
9:吊上げ架台
90:高張力鋼棒(引張部材)
91:基礎部
B1:橋梁
F1:コンクリート床版(切断対象床版:床版)
F1a:既切断端面
F1’:既切断床版
F1”:未切断床版
G1〜G4:鋼桁(橋桁)
H1:床版の厚さ
H2,H3:ハンチ高さ
h1:(傾斜の上側の)ハンチ
h2:(傾斜の下側の)ハンチ
α,β:傾斜角度
P1:舗装
W1,W2:地覆部
X:橋軸方向
Y:橋軸直角方向
Z:上下方向

Claims (6)

  1. 橋梁の横断面で左右に傾斜したコンクリート床版を桁から撤去するために前記コンクリート床版を切断するコンクリート床版の切断方法であって、
    前記傾斜の下側のハンチに前記コンクリート床版の下面側から縦方向に切削して縦溝を形成する縦溝形成工程と、前記傾斜の上側のハンチから前記下側のハンチに向け横方向に削孔して横孔を形成する横孔削孔工程と、を備えること
    を特徴とするコンクリート床版の切断方法。
  2. 前記横孔削孔工程で形成した前記横孔にワイヤーソーを挿通して前記コンクリート床版を切断するワイヤーソー切断工程と、を備えること
    を特徴とする請求項1に記載のコンクリート床版の切断方法。
  3. 前記コンクリート床版を上下に貫通する上下貫通孔を削孔する上下貫通孔削孔工程を備え、
    前記ワイヤーソー切断工程では、前記上下貫通孔削孔工程で削孔した前記上下貫通孔にワイヤーソーを挿通して前記コンクリート床版の上面にワイヤーソーの駆動装置を載置して前記コンクリート床版を切断すること
    を特徴とする請求項2に記載のコンクリート床版の切断方法。
  4. 前記ワイヤーソー切断工程では、前記コンクリート床版の上面から下面まで伸縮自在で同一面内で回転自在な自在プーリーを有するワイヤーソー装置を用いて前記自在プーリーで前記ワイヤーソーの切断の進行に伴う屈曲角度の変化に追随させて切断すること
    を特徴とする請求項3に記載のコンクリート床版の切断方法。
  5. 前記コンクリート床版を橋軸直角方向に切断する床版橋軸直角方向切断工程と、前記床版橋軸直角方向切断工程で切断したコンクリート床版を揚重装置で上方に持ち上げて桁から引き剥がす揚重工程と、をさらに備えること
    を特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のコンクリート床版の切断方法。
  6. 請求項4に記載のコンクリート床版の切断方法に用いる前記ワイヤーソーを回転駆動するワイヤーソー装置であって、
    コンクリート床版の上面から下面まで伸縮自在で同一面内で回転自在な複数の自在プーリーを有すること
    を特徴とするワイヤーソー装置。
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