JP2021169436A - カルボン酸系化合物含有組成物用増粘剤 - Google Patents

カルボン酸系化合物含有組成物用増粘剤 Download PDF

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Abstract

【課題】カルボン酸系化合物含有組成物の粘度が経時と共に低下することを抑制でき、経時安定性に優れるカルボン酸系化合物含有組成物を提供することができる、カルボン酸系化合物含有組成物用増粘剤を提供する。【解決手段】本発明の実施形態によるカルボン酸系化合物含有組成物用増粘剤は、カルボン酸系化合物含有組成物の増粘剤であって、該カルボン酸系化合物が、グリオキシル酸、レブリン酸、グリコール酸から選ばれる少なくとも1種であり、該増粘剤は、N−ビニルラクタム系単量体由来の構造単位を全単量体由来の構造単位100モル%に対して50モル%〜100モル%含む重合体(I)を含む。【選択図】なし

Description

本発明は、カルボン酸系化合物含有組成物用増粘剤に関する。
毛髪処理剤としては、例えば、パーマネントウエーブ剤、縮毛矯正剤、脱染剤、トリートメント剤などが知られている。
一般的な縮毛矯正剤には、主成分に還元剤や酸化剤が含まれており、それらの作用によって、毛髪のクセが抑制される。しかし、還元剤や酸化剤の作用は毛髪にダメージを与えることが多い。このため、従来の縮毛矯正剤で処理した後の毛髪は、その感触が悪くなりやすく、毛髪表面が荒れやすく、外観上のつやが失われやすく、毛髪の風合いが低下してしまいやすい。したがって、毛髪のなめらかさ、指通りの良さ、サラサラ感、うるおい感が損なわれてしまうことが多い。
このように、酸化剤や還元剤の毛髪に対する影響は大きく、縮毛矯正を敬遠する大きな要因になっている。
そこで、還元剤や酸化剤を含まずに、縮毛矯正などを行うことができる毛髪処理剤の開発が望まれている。
最近、グリオキシル酸、レブリン酸、グリコール酸などのカルボン酸系化合物が、毛髪へのダメージを軽減し得る毛髪処理剤の成分として利用されている(特許文献1、2)。
特許文献1には、グリオキシル酸を含む溶液を毛髪に塗布して放置し、毛髪を乾燥させた後に、毛髪矯正アイロンで機械力および熱を加えることにより、毛髪を矯正する方法が記載されている。
グリオキシル酸による毛髪矯正効果を向上させるために、特許文献2において、グリオキシル酸とグアニジン塩および/または尿素とを組み合わせて用いる技術が提案されている。しかし、この技術においては、十分な毛髪矯正効果を発現させるために、毛髪処理剤のpHを1.6(実施例データ)という強酸性範囲にする必要があるため、酸性が強すぎて毛髪が過度に収斂し、きしみやゴワゴワ感を生じる場合がある。また、pHが1.6というレベルの強酸性条件は、頭皮に対して大きな刺激や負担を与え、頭皮が炎症を引き起こす問題がある。
上記の問題を回避するため、毛髪処理剤は、pHがおよそ2.0〜3.8の範囲で調整されて使用されることが好ましい。
一方で、毛髪処理剤を毛髪に塗布する際の作業性や効果の持続性の観点から、上記カルボン酸系化合物の増粘性を上げて適度なとろみを付与することが求められる。ところが、現状、毛髪処理剤のpHをおよそ2.0〜3.8の範囲に保ったまま、上記カルボン酸系化合物の増粘性を維持することが困難であるという問題がある。
特許第5919267号公報 特許第5947340号公報
本発明の課題は、グリオキシル酸、レブリン酸、グリコール酸などのカルボン酸系化合物を含むカルボン酸系化合物含有組成物の粘度が経時と共に低下することを抑制でき、経時安定性に優れるカルボン酸系化合物含有組成物を提供することができる、カルボン酸系化合物含有組成物用増粘剤を提供することにある。
上記課題は、好ましくは、毛髪処理剤の成分として利用した場合に、該毛髪処理剤のpHをおよそ2.0〜3.8の範囲に保ったまま、グリオキシル酸、レブリン酸、グリコール酸などのカルボン酸系化合物を含むカルボン酸系化合物含有組成物の粘度が経時と共に低下することを抑制でき、経時安定性に優れるカルボン酸系化合物含有組成物を提供することができる、カルボン酸系化合物含有組成物用増粘剤を提供することにある。
本発明の実施形態によるカルボン酸系化合物含有組成物用増粘剤は、
カルボン酸系化合物含有組成物の増粘剤であって、
該カルボン酸系化合物が、グリオキシル酸、レブリン酸、グリコール酸からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、
該増粘剤は、N−ビニルラクタム系単量体由来の構造単位を全単量体由来の構造単位100モル%に対して50モル%〜100モル%含む重合体(I)を含む。
一つの実施形態においては、上記N−ビニルラクタム系単量体由来の構造単位が一般式(1)で表される。
Figure 2021169436
(一般式(1)中、Rは、水素原子またはメチル基を表し、mは、1〜3の整数を表す。)
一つの実施形態においては、上記重合体(I)が架橋構造を有する。
一つの実施形態においては、上記重合体(I)が、沈殿重合によって得られる重合体である。
一つの実施形態においては、上記カルボン酸系化合物含有組成物用増粘剤は、化粧品用増粘剤である。
本発明によれば、グリオキシル酸、レブリン酸、グリコール酸などのカルボン酸系化合物を含むカルボン酸系化合物含有組成物の粘度が経時と共に低下することを抑制でき、経時安定性に優れるカルボン酸系化合物含有組成物を提供することができる、カルボン酸系化合物含有組成物用増粘剤を提供することができる。本発明によれば、好ましくは、毛髪処理剤の成分として利用した場合に、該毛髪処理剤のpHをおよそ2.0〜3.8の範囲に保ったまま、グリオキシル酸、レブリン酸、グリコール酸などのカルボン酸系化合物を含むカルボン酸系化合物含有組成物の粘度が経時と共に低下することを抑制でき、経時安定性に優れるカルボン酸系化合物含有組成物を提供することができる、カルボン酸系化合物含有組成物用増粘剤を提供することができる。また、本発明のカルボン酸系化合物含有組成物用増粘剤を採用すれば、カルボン酸系化合物含有組成物の増粘の際に、加温が必要でないため、製造効率に優れる。
本明細書中で「重量」との表現がある場合は、重さを示すSI系単位として慣用されている「質量」と読み替えてもよい。
≪カルボン酸系化合物含有組成物用増粘剤≫
本発明の実施形態によるカルボン酸系化合物含有組成物用増粘剤は、カルボン酸系化合物含有組成物を増粘させる用途であれば、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な用途に用い得る。このような用途としては、例えば、化粧品、香料、芳香剤、消臭剤、医薬品、防虫剤、殺虫剤、農薬などが挙げられ、代表的には、化粧品が挙げられる。すなわち、本発明の実施形態によるカルボン酸系化合物含有組成物用増粘剤は、代表的には、化粧品用増粘剤である。
本発明にいう「カルボン酸系化合物」とは、グリオキシル酸、レブリン酸、グリコール酸からなる群から選ばれる少なくとも1種である。
カルボン酸系化合物含有組成物用増粘剤は、N−ビニルラクタム系単量体由来の構造単位を全単量体由来の構造単位100モル%に対して50モル%〜100モル%含む重合体(I)を含む。
カルボン酸系化合物含有組成物用増粘剤中の重合体(I)の含有割合は、本発明の効果をより発現させ得る点で、カルボン酸系化合物含有組成物用増粘剤100質量%に対して、好ましくは50質量%〜100質量%であり、より好ましくは70質量%〜100質量%であり、さらに好ましくは90質量%〜100質量%であり、特に好ましくは95質量%〜100質量%であり、最も好ましくは実質的に100質量%である。
ここにいう「実質的に」とは、重合体(I)に起因する効果以外の効果を発現させるための別の成分が、重合体(I)に積極的に備えられたり、重合体(I)と積極的に併用されたりする形態を除くことを意味し、例えば、本発明の効果を損なわない範囲で、製造過程などによって不可避に混入する不純物等の含有は許容される。
重合体(I)は、N−ビニルラクタム系単量体由来の構造単位を全単量体由来の構造単位100モル%に対して50モル%〜100モル%含み、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは60モル%〜100モル%含み、より好ましくは70モル%〜100モル%含む。
重合体(I)に含まれるN−ビニルラクタム系単量体由来の構造単位は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。N−ビニルラクタム系単量体は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
N−ビニルラクタム系単量体由来の構造単位としては、代表的には、一般式(1)で表される構造単位が挙げられる。
Figure 2021169436
一般式(1)中、Rは、水素原子またはメチル基を表す。
一般式(1)中、mは、1〜3の整数を表す。
なお、本明細書において、単量体由来の構造単位とは、単量体が重合して形成される構造と同じ構造を有する構造単位である。ただし、単量体由来の構造単位は、実際に単量体が重合して形成された構造単位には限定されず、単量体が重合して形成される構造と同じ構造を有していれば、単量体に由来する構造単位に含まれる。
N−ビニルラクタム系単量体由来の構造単位を形成させ得る単量体としては、代表的には、一般式(2)で表されるN−ビニルラクタム系単量体が挙げられる。
Figure 2021169436
一般式(2)中、Rは、水素原子またはメチル基を表す。
一般式(2)中、mは、1〜3の整数を表す。
一般式(2)で表される単量体としては、例えば、N−ビニルピロリドン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルカプロラクタムなどが挙げられる。本発明の効果をより発現させ得る点で、一般式(2)で表される単量体としては、好ましくは、N−ビニルピロリドンである。
重合体(I)は、N−ビニルラクタム系単量体由来の構造単位以外のその他の構造単位を有していてもよい。その他の構造単位は、N−ビニルラクタム系単量体以外のその他の単量体由来の構造単位である。
その他の構造単位は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。その他の単量体は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
その他の単量体としては、N−ビニルラクタム系単量体と共重合できるものであれば、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な単量体を採用し得る。このようなその他の単量体としては、例えば、
1)(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル類;
2)ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−(メタ)アリルオキシ−1,2−ジヒドロキシプロパン、(メタ)アリルアルコール、イソプレノール、およびこれらの水酸基にアルキレンオキシドを付加した不飽和アルコール;
3)(メタ)アクリルアミド、N−モノメチル(メタ)アクリルアミド、N−モノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド誘導体類;
4)(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール等の塩基性不飽和単量体、およびその塩または第4級化物;
5)ビニルホルムアミド、ビニルアセトアミド、ビニルオキサゾリドン等のビニルアミド類;
6)(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等のカルボキシル基含有不飽和単量体、およびその塩;
7)無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和無水物類;
8)酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;
9)ビニルエチレンカーボネート、およびその誘導体;
10)スチレン、およびその誘導体;
11)(メタ)アクリル酸−2−スルホン酸エチル、およびその誘導体;
12)3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、イソプレンスルホン酸、およびこれらの塩等のビニルスルホン酸及びその誘導体;
13)メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;
14)エチレン、プロピレン、オクテン、ブタジエン等のオレフィン類;
などが挙げられる。
その他の単量体が上記2)の場合における上記アルキレンオキシドとしては、炭素数1〜20のアルキレンオキシドが好ましく、炭素数1〜4のアルキレンオキシドがより好ましい。本発明の効果をより発現させ得る点で、アルキレンオキシドとしては、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
その他の単量体が上記2)の場合における上記アルキレンオキシドの付加モル数としては、上記2)の化合物1モルあたり、0〜50モルが好ましく、0〜20モルがより好ましい。
その他の単量体としては、上記の1)〜14)の中でも、N−ビニルラクタム系単量体との共重合性等の点から、好ましくは1)〜9)であり、より好ましくは1)〜6)であり、さらに好ましくは6)であり、特に好ましくは(メタ)アクリル酸である。
重合体(I)中のその他の単量体由来の構造単位の含有割合は、本発明の効果をより発現させ得る点で、全単量体由来の構造単位100モル%に対して、好ましくは0モル%〜50モル%であり、より好ましくは0モル%〜40モル%であり、さらに好ましくは0モル%〜30モル%である。
重合体(I)は、架橋構造を有するものであることが好ましい。重合体(I)が架橋構造を有することにより、本発明の効果がより発現し得る。
架橋構造は、1分子あたりに少なくとも2個の重合性二重結合基を有する架橋剤由来の構造、および、重合体の主鎖または側鎖同士が反応してできる構造、からなる群から選ばれる少なくとも1種である。
架橋剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な架橋剤を採用し得る。このような架橋剤としては、例えば、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、グリセリンアクリレートメタクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリアリルシアヌレート(シアヌル酸トリアリル)、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルホスフェート、トリアリルアミン、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ペンタエリスリトールジアリルエーテル、ポリ(メタ)アリロキシアルカン、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、ジビニルナフタレン、ジビニルエーテル、ジビニルケトン、トリビニルベンゼン、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、炭酸ジアリル、1,3−ビス(アリルオキシ)−2−プロパノール、ジビニルエチレン尿素、1,4−ブチレンビス(N−ビニルアミド)及び(ジ、トリ、テトラ、ペンタ、ヘキサ、ヘプタ、オクタ)アリルスクロース等が挙げられる。
上記架橋剤の中でも、残存するN−ビニルラクタム系単量体及び可溶分(架橋されない重合体分であって水への溶解分)が低下する傾向にあることから、アリル基を2個以上有する化合物を使用することが好ましい。具体的には、ペンタエリスリトール(ジ、トリ、テトラ)(メタ)アリルエーテル、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルホスフェート、トリアリルアミン、炭酸ジアリル、1,4−ブチレンビス(N−ビニルアミド)及び(ジ、トリ、テトラ、ペンタ、ヘキサ、ヘプタ、オクタ)アリルスクロースが好ましく、ペンタエリスリトール(ジ、トリ、テトラ)アリルエーテル及び(ジ、トリ、テトラ、ペンタ、ヘキサ、ヘプタ、オクタ)アリルスクロースがより好ましい。ペンタエリスリトール(ジ、トリ、テトラ)アリルエーテルおよび(ジ、トリ、テトラ、ペンタ、ヘキサ、ヘプタ、オクタ)アリルスクロースは、安全性がより高いため、このような架橋剤を採用して得られる架橋重合体は、化粧品用途に、より好適に用いることができる。
架橋剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
重合体(I)が架橋構造を有するものである場合、重合体(I)中の架橋剤由来の構造単位の含有割合は、本発明の効果をより発現させ得る点で、全単量体由来の構造単位100モル%に対して、好ましくは0.001モル%〜10モル%であり、より好ましくは0.005モル%〜5モル%であり、さらに好ましくは0.01モル%〜5モル%であり、特に好ましくは0.01モル%〜1モル%であり、最も好ましくは0.05モル%〜0.8モル%である。
なお、架橋剤は重合性二重結合基を有するが、しかしながら、本明細書においては、組成の明確化のため、架橋剤は単量体として扱わないものとする。すなわち、「全単量体」の中には架橋剤は含めない。
カルボン酸系化合物含有組成物用増粘剤は、重合体(I)以外のその他の重合体を含んでいてもよい。このようなその他の重合体の含有割合は、本発明の効果をより発現させ得る点で、カルボン酸系化合物含有組成物用増粘剤100質量%に対して、好ましくは0質量%〜50質量%であり、より好ましくは0質量%〜30質量%であり、さらに好ましくは0質量%〜10質量%であり、特に好ましくは0質量%〜5質量%であり、最も好ましくは実質的に0質量%である。
カルボン酸系化合物含有組成物用増粘剤の形状としては、好ましくは、粒子状である。すなわち、カルボン酸系化合物含有組成物用増粘剤は、好ましくは、粒子の形態である。粒子の形は、例えば、球状、立方状、直方状、不定形などが挙げられる。
カルボン酸系化合物含有組成物用増粘剤は、0.02MPa以下の減圧下において100℃で1時間乾燥したときの平均粒子径が、好ましくは100μm以下であり、より好ましくは80μm以下であり、さらに好ましくは60μm以下であり、さらに好ましくは40μm以下であり、特に好ましくは30μm以下であり、最も好ましくは25μm以下である。0.02MPa以下の減圧下において100℃で1時間乾燥したときの平均粒子径の下限値は、現実的には、0.1μm以上である。カルボン酸系化合物含有組成物用増粘剤は、0.02MPa以下の減圧下において100℃で1時間乾燥したときの平均粒子径が上記範囲内にあることにより、各種機能を向上させ得る。なお、0.02MPa以下の減圧下において100℃で1時間乾燥するための手段は、0.02MPa以下の減圧下において100℃で1時間乾燥可能な条件を与える手段であれば、どのような乾燥装置や減圧装置でも使用可能である。
カルボン酸系化合物含有組成物用増粘剤を0.02MPa以下の減圧下において100℃で1時間乾燥したときの平均粒子径は、代表的には、レーザー回折式粒度分布測定装置(乾式)により測定した体積分布の累積50%値である。レーザー回折式粒度分布測定装置(乾式)としては、スペクトリス株式会社マルバーン事業部製の型式:マスターサイザー3000、株式会社堀場製作所製の型式:Partica LA−950V2等が挙げられ、具体的には、後述の実施例に記載の方法で求めることができる。
カルボン酸系化合物含有組成物用増粘剤を化粧品等に配合した場合、カルボン酸系化合物含有組成物用増粘剤は水などの媒体で膨潤した形態となり得る。このような、カルボン酸系化合物含有組成物用増粘剤の膨潤体の平均粒子径は、脱イオン水を用いて膨潤させたときの膨潤体の平均粒子径として、好ましくは200μm以下であり、より好ましくは100μm以下である。脱イオン水を用いて膨潤させたときの膨潤体の平均粒子径の下限値は、現実的には、0.1μm以上である。脱イオン水を用いて膨潤させたときの膨潤体の平均粒子径が上記範囲内にあることにより、各種機能をより向上させ得るカルボン酸系化合物含有組成物用増粘剤となり得る。
カルボン酸系化合物含有組成物用増粘剤を脱イオン水を用いて膨潤させたときの膨潤体の平均粒子径は、代表的には、レーザー回折式粒度分布測定装置(湿式)により測定した体積分布の累積50%値である。レーザー回折式粒度分布測定装置(湿式)としては、スペクトリス株式会社マルバーン事業部製の型式:マスターサイザー3000、株式会社堀場製作所製の型式:Partica LA−950V2等が挙げられ、具体的には、後述の実施例に記載の方法で求めることができる。
カルボン酸系化合物含有組成物用増粘剤は、重合体(I)および必要に応じて含んでいてもよいその他の重合体以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な他の成分を含んでいてもよい。このような他の成分の含有割合は、本発明の効果をより発現させ得る点で、カルボン酸系化合物含有組成物用増粘剤100質量%に対して、好ましくは0質量%〜10質量%であり、より好ましくは0質量%〜5質量%であり、さらに好ましくは0質量%〜3質量%であり、特に好ましくは0質量%〜1質量%であり、最も好ましくは実質的に0質量%である。
≪カルボン酸系化合物含有組成物用増粘剤の製造方法≫
本発明の実施形態によるカルボン酸系化合物含有組成物用増粘剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な方法によって製造し得る。このような製造方法は、好ましくは、重合体(I)を構成するための原料の少なくとも1種として単量体成分を重合反応させる工程を含む。
重合体(I)を構成するための単量体成分は、N−ビニルラクタム系単量体を、全単量体成分100モル%に対して50〜100モル%含み、好ましくは60モル%〜100モル%含み、より好ましくは70モル%〜100モル%含む。
N−ビニルラクタム系単量体は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
N−ビニルラクタム系単量体の詳細は、≪カルボン酸系化合物含有組成物用増粘剤≫の項での説明をそのまま援用し得る。
単量体成分は、N−ビニルラクタム系単量体以外のその他の単量体を有していてもよい。その他の単量体は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
単量体成分は、その他の単量体を、本発明の効果をより発現させ得る点で、全単量体成分100モル%に対して、好ましくは0モル%〜50モル%であり、より好ましくは0モル%〜40モル%であり、さらに好ましくは0モル%〜30モル%である。
その他の単量体の詳細は、≪カルボン酸系化合物含有組成物用増粘剤≫の項での説明をそのまま援用し得る。
重合体(I)は、本発明の効果がより発現し得る点で、架橋構造を有するものであることが好ましい。架橋構造は、1分子あたりに少なくとも2個の重合性二重結合基を有する架橋剤由来の構造、および、重合体の主鎖または側鎖同士が反応してできる構造、からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、単量体成分を重合反応させる工程において架橋剤を使用すること、および、重合体に架橋処理すること、からなる群から選ばれる少なくとも1種によって構築し得る。
架橋剤を使用する場合、架橋剤の使用量は、本発明の効果をより発現させ得る点で、全単量体成分100モル%に対して、好ましくは0.001モル%〜10モル%であり、より好ましくは0.005モル%〜5モル%であり、さらに好ましくは0.01モル%〜5モル%であり、特に好ましくは0.01モル%〜1モル%であり、最も好ましくは0.05モル%〜0.8モル%である。
架橋剤の詳細は、≪カルボン酸系化合物含有組成物用増粘剤≫の項での説明をそのまま援用し得る。
重合体(I)を製造する方法は、好ましくは、上述の通り、重合体(I)を構成するための原料の少なくとも1種として単量体成分を重合反応させる工程を含む。このような重合反応の方法としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な重合方法を採用し得る。このような重合方法としては、例えば、バルク重合法、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法、沈殿重合法などが挙げられる。これらの重合方法の中でも、本発明の効果をより発現させ得る点で、溶液重合法、沈殿重合法が好ましく、沈殿重合法がより好ましい。
<沈殿重合法を用いた製造方法>
沈殿重合法においては、代表的には、N−ビニルラクタム系単量体を含む単量体成分と、重合開始剤と、を別個に反応媒体中に滴下する滴下工程を含む。
滴下工程前の初期反応媒体中の重合開始剤の量は、反応に使用する重合開始剤の全量に対して、好ましくは30質量%以下であり、より好ましくは20質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以下であり、特に好ましくは0質量%〜5質量%である。
滴下工程においては、好ましくは、重合開始剤を単量体成分の滴下時間より長い時間で滴下し、凝集物として重合体を得る。この凝集物は、好ましくは球形物を含み、この球形物としては、完全な球形物、略球形物、平面視で略楕円形物などが挙げられる。
沈殿重合法とは、単量体成分は重合溶媒と相溶・溶解するが、生成した重合体は重合溶媒に溶解しない重合系における重合法である。この重合法においては、重合反応の進行と共に、生成した重合体が析出(沈殿)する。析出した重合体は、単量体成分で膨潤しており、重合反応は、溶媒中と、ポリマー近傍において、それぞれ進行する。この場合に重合開始剤を使用するが、このような重合開始剤は、重合溶媒と単量体成分の両方に溶解可能であることが好ましい。
滴下工程において、N−ビニルラクタム系単量体を含む単量体成分と、重合開始剤と、
を別個に反応媒体中に滴下する方法としては、例えば、N−ビニルラクタム系単量体を含む単量体成分と、重合開始剤と、を別々の滴下ロートに入れ、初期反応媒体を入れた反応容器にそれぞれ別個に滴下すればよい。N−ビニルラクタム系単量体を含む単量体成分と、重合開始剤とは、それぞれ、溶剤との混合溶液であってもよい。
沈殿重合法においては、反応媒体として溶剤を使用する。溶剤としては、例えば、ヘプタン、シクロヘキサン等の炭化水素系溶剤が挙げられる。
滴下工程前の初期反応媒体としては、溶剤、または、溶剤に上記で示した範囲の重合開始剤を加えたものが挙げられる。初期反応媒体中の単量体成分の量としては、単量体成分の全量に対して、好ましくは30質量%以下であり、より好ましくは20質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以下であり、特に好ましくは0質量%〜5質量%である。
初期反応媒体中への単量体成分の滴下時間は、好ましくは0.5時間〜10.0時間である。また、初期反応媒体中への重合開始剤の滴下時間は、単量体成分の滴下時間より長いことが好ましく、1.0時間〜20時間がより好ましい。初期反応媒体中への重合開始剤の滴下時間は、単量体成分の滴下時間に対して、好ましくは1.10倍〜3.00倍であり、より好ましくは1.15倍〜2.50倍であり、さらに好ましくは1.20倍〜2.00倍である。
沈殿重合法を行なう際の重合温度は、重合開始剤の10時間半減期温度に対し、+15℃以上+30℃以下であることが好ましい。重合温度は単量体成分を滴下している間の反応液の温度であり、反応中に変動する場合は、最大温度と最低温度の中間の値とする。10時間半減期温度とは、重合開始剤の濃度が反応開始から10時間後に初期値の1/2となる温度であり、重合開始剤の選択の基準として一般的に用いられている。
重合開始剤を初期一括で添加した場合、反応系内の開始ラジカル濃度は時間の経過と共に減少するのに対し、適切な温度の反応液に重合開始剤を滴下した場合は開始ラジカル濃度が一定に保たれ、単量体消費が安定し、重合物の塊状化や器壁・攪拌羽への付着を抑制できる。重合開始剤については後述する。
重合開始剤の10時間半減期温度としては、例えば、製造メーカーが公開している値を用いることができる。有機過酸化物系開始剤では、例えば日油株式会社から公開されており、イソブチルパーオキシドでは32.7℃、クミルパーオキシネオデカノエートでは36.5℃、ジ−n−プロピルパーオキジカーボネートでは40.3℃、ジイソプロピルパーオキシジカーボネートでは40.5℃、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネ−トでは40.5℃、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエートでは40.7℃、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネートでは40.8℃、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネートでは43.6℃、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエートでは44.5℃、t−ブチルパーオキシネオデカノエートでは46.4℃、t−ヘキシルパーオキシピバレートでは53.2℃、t−ブチルパーオキシピバレートでは54.6℃、ジ(3,5,5ートリメチルヘキサノイル)パーオキシドでは59.4℃、ジラウロイルパーオキシドでは61.6℃、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートでは65.3℃、ジサクシニックアシッドパーオキシドでは65.9℃、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサンでは66.2℃、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートでは69.9℃、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートでは72.1℃、ジ(3−メチルベンゾイル)パーオキシドとベンゾイル(3−メチルベンゾイル)パーオキシドとジベンゾイルパーオキシドの混合物では73.1℃、ジベンゾイルパーオキシドでは73.6℃、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサンでは87.1℃、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサンでは90.7℃、2,2−ジ(4,4−ジ−(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキシル)プロパンでは94.7℃、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネートでは95.0℃、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエートでは97.1℃、t−ブチルパーオキシラウレートでは98.3℃、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネートでは98.7℃、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネートでは99.0℃、t−ヘキシルパーオキシベンゾエートでは99.4℃、2,5−ジメチル2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサンでは99.7℃、t−ブチルパーオキシアセテートでは101.9℃、2,2−ジ(t−ブチルパーオキシ)ブタンでは103.1℃、t−ブチルパーオキシベンゾエ−トでは104.3℃、n−ブチル−4,4,−ジ(t−ブチルパーオキシ)バレレ−トでは104.5℃、ジ(2−t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼンでは119.2℃、ジクミルパーオキシドでは116.4℃、ジ−t−ヘキシルパーオキシドでは116.4℃、2,5−ジメチル2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンでは117.9℃、t−ブチルクミルパーオキシドでは119.5℃、ジ−t−ブチルパーオキシドでは123.7℃、p−メンタンハイドロパーオキシドでは128.0℃、2,5−ジメチル2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3では128.4℃、ジイソプロピルベンゼンでは145.1℃、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキシドでは152.9℃、クメンハイドロパーオキシドでは157.9℃、t−ブチルヒドロパーオキシドでは166.5℃である。また、アルケマ吉冨株式会社からも同様の重合開始剤の10時間半減期温度が開示されている。
アゾ系重合開始剤の10時間半減期温度としては、例えば、富士フイルム和光純薬株式会社より公開されており、2,2−アゾビス(イソブチロニトリル)では65℃、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)では30℃、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)では51℃、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)では66℃、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)では67℃、1、1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カーボニトリル)では88℃、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)では110℃、ジメチル1,1−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボキシレート)では73℃である。
沈殿重合法においては、重合開始剤として、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な重合開始剤を採用し得る。このような重合開始剤としては、例えば、過硫酸塩類、カルボン酸系化合物、有機過酸化物、アゾ化合物などが挙げられ、好ましくは、有機過酸化物とアゾ化合物である。重合開始剤として、酸化剤と還元剤とを組み合わせてラジカルを発生させる酸化還元型開始剤も使用できる。重合開始剤は、1種であってもよいし、2種以上であってもよい。
有機過酸化物としては、例えば、ジイソブチルパーオキシド、クミルパーオキシネオデカノエート、ジ−n−プロピルパーオキジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジラウロイルパーオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジサクシニックアシッドパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ(3−メチルベンゾイル)パーオキシドとベンゾイル(3−メチルベンゾイル)パーオキシドとジベンゾイルパーオキシドの混合物、ジベンゾイルパーオキシド、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ジ(4,4−ジ−(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキシル)プロパン、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパ−オキシラウレート、t−ブチルパ−オキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ジ(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、n−ブチル−4,4,−ジ(t−ブチルパーオキシ)バレレ−ト、ジ(2−t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジクミルパーオキシド、ジ−t−ヘキシルパーオキシド、2,5−ジメチル2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、p−メンタンハイドロパーオキシド、2,5−ジメチル2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジイソプロピルベンゼン、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキシド、クメンハイドロパーオキシド、t−ブチルヒドロパーオキシドなどが挙げられる。
アゾ化合物としては、例えば、2,2−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1、1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カーボニトリル)、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、ジメチル−1,1−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボキシレート)などが挙げられる。
重合開始剤の使用量としては、全単量体と架橋剤との合計量1モルに対して、好ましくは0.01g〜10gであり、より好ましくは0.05g〜7gであり、さらに好ましくは0.1g〜5gである。重合開始剤の使用量をこのようにすれば、得られる重合体に含まれる未反応の単量体や架橋剤の割合を十分に少なくすることができる。
重合工程を行う反応容器は、重合工程を行うことができるものであれば、任意の適切な材質の反応容器を採用し得る。このような反応容器としては、例えば、ステンレス等の材質の反応容器が挙げられる。このような熱が伝わりやすい材質の反応容器を用いて重合反応を行うことで、重合反応が十分に進行し、得られる重合体中に含まれる未反応の単量体や架橋剤の含有量を少なくすることができる。また、ポリプロピレン等の、鉄を溶出させない材質の反応容器を用いることも好ましく、このような材質の反応容器を用いることで、得られる重合体中に含まれる鉄分の含有量を少なくすることができる。
重合工程において重合反応を行なう際の攪拌羽根の形状は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な形状を採用し得る。このような形状としては、例えば、パドル型、多段パドル型、傾斜パドル型、錨型、プロペラ型やこれらを組み合わせたもの、マックスブレンド型などが挙げられる。
沈殿重合法で重合を行うことで、重合の制御が容易となる。沈殿重合法によれば、非常に小さい1次粒子が緩やかに凝集した球形物を含む重合体が好ましく得られる。この球形物は、静電気や気流の影響より自重が勝り、粉が飛び散り難くハンドリングし易いだけでなく、非常に容易に粉砕され得る。このため、粉砕のために特殊な粉砕機が不要であるという優れた効果を発現し得る。また、上記のような凝集した球形物を溶液に投入すると、速やかに1次粒子となって分散し、短時間で均一な分散液またはゲル状物を得ることができる。同様に、粉砕後の球形物についても、溶液へ投入することで、速やかに1次粒子となって分散し、短時間で均一な分散液またはゲル状物を得ることができる。
沈殿重合法によって得られる重合体は、好ましくは数百μmの球形物となる。このような球形物の大きさは、好ましくは100μmを超えて2000μmであり、より好ましくは200μm〜1500μmであり、さらに好ましくは300μm〜1000μmである。
沈殿重合法によって得られる、好ましくは球形物である重合体は、不定形の一次粒子の集合体であり、このような不定形の一次粒子の粒子径は、好ましくは2μm以下であり、より好ましくは10nm〜2000nmであり、さらに好ましくは20nm〜1000nmである。
沈殿重合法においては、重合工程に加え、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な他の工程を含んでいてもよい。このような他の工程としては、例えば、乾燥工程、粉砕工程、分級工程、造粒工程、後架橋工程などが挙げられる。
沈殿重合法においては、乾燥工程を設けることが好ましい。なお、乾燥とは固形分の上昇操作をいい、通常、重合体全体の質量に対する固形分の割合が乾燥前と比較して上昇すればよい。乾燥は重合の一部と同時に行ってもよく、重合時の乾燥と重合後の乾燥とを併用してもよい。好ましくは、重合後に乾燥装置を用いて乾燥する乾燥工程が設けられる。
乾燥工程は、好ましくは乾燥工程の時間全体の50%以上の時間、また、好ましくは実質的に全ての乾燥工程を通じて80℃〜250℃の範囲で行われる。このように乾燥工程を行うことにより、重合体の諸物性がより向上し得る。なお、乾燥温度は熱媒温度で規定するが、マイクロ波等熱媒温度で規定できない場合は材料温度で規定する。乾燥方法としては、乾燥温度が上記範囲内であれば、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な乾燥方法を採用し得る。このような乾燥方法としては、例えば、熱風乾燥、無風乾燥、減圧乾燥、赤外線乾燥、マイクロ波乾燥などが挙げられる。これらの乾燥方法の中でも、熱風乾燥、減圧乾燥を用いることが好ましい。熱風乾燥を用いる場合の乾燥風量は、好ましくは0.01m/sec〜10m/secであり、より好ましくは0.1m/sec〜5m/secである。乾燥温度の範囲は、より好ましくは110℃〜220℃、さらに好ましくは120℃〜200℃である。また、乾燥は、一定温度で乾燥してもよく、温度を変化させて乾燥してもよいが、実質的に全ての乾燥工程が上記の温度範囲内でなされることが好ましい。
本発明の効果をより発現させ得る点で、沈殿重合法においては、粉砕工程を設けることが好ましい。粉砕工程は、粉砕機を使用して行うことが好ましい。沈殿重合法が乾燥工程を含む場合、粉砕工程は、乾燥工程の前、中、後のいずれに行ってもよく、好ましくは乾燥工程の後である。
上述の通り、沈殿重合法によれば、非常に小さい1次粒子が緩やかに凝集した球形物を含む重合体が好ましく得られ、非常に容易に粉砕され得るため、粉砕のために特殊な粉砕機が不要であるという優れた効果を発現し得る。したがって、粉砕機は、簡易な粉砕機を採用し得る。このような粉砕機としては、例えば、ロ−ルミルのようなロ−ル式粉砕機、ハンマ−ミルのようなハンマ−式粉砕機、衝撃式粉砕機、カッタ−ミル、タ−ボグラインダ−、ボ−ルミル、フラッシュミル、ジェットミルなどが挙げられる。これらの中でも、粒度分布をより制御する場合にはロ−ルミルを用いることが好ましい。粒度分布を制御するために、連続して2回以上粉砕してもよく、連続して3回以上粉砕してもよい。また、2回以上粉砕する場合には、それぞれの粉砕機は同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、異なる種類の粉砕機を組み合わせて使うことも可能である。
沈殿重合法で得られる重合体を特定の粒度分布に制御するために、分級工程や造粒工程を設けてもよい。分級工程においては、特定の目開きの篩を使用してもよい。篩で分級するために用いる分級機としては、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切な分級機を採用し得る。このような分級機としては、例えば、振動篩(アンバランスウェイト駆動式、共振式、振動モ−タ式、電磁式、円型振動式等)、面内運動篩(水平運動式、水平円−直線運動式、3次元円運動式等)、可動網式篩、強制攪拌式篩、網面振動式篩、風力篩、音波篩等などが挙げられる。
<溶液重合法を用いた製造方法>
溶液重合法においては、好ましくは、溶媒を使用する。溶媒としては、例えば、水およびアルコ−ルからなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。アルコ−ルとしては、例えば、メチルアルコ−ル、エチルアルコ−ル、イソプロピルアルコ−ル、n−ブチルアルコ−ル、ジエチレングリコ−ルなどが挙げられる。溶媒を使用する場合、溶液中の単量体成分の濃度は、好ましくは20質量%以上80質量%以下である。溶液中の単量体成分の濃度が20質量%未満では、重合体が得られにくかったり、得られた場合であっても重合後に解砕することが困難となったりするおそれがある。また、重合反応後の乾燥に長い時間を必要とし、乾燥中に重合体が劣化してしまうおそれがある。他方、溶液中の単量体成分の濃度が80質量%を超えると、重合の制御が困難となり、残存単量体が増加するおそれがある。
溶液重合法において、重合反応における反応温度や圧力等の反応条件としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な条件を採用し得る。このような条件としては、例えば、反応温度は20〜150℃とすることが好ましく、反応系内の圧力は、常圧または減圧とすることが好ましい。
溶液重合法において、単量体成分の重合を開始する手段としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な手段を採用し得る。このような手段としては、例えば、重合開始剤を添加する方法、UVを照射する方法、熱を加える方法、光開始剤存在下に光を照射する方法などが挙げられる。
重合開始剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な重合開始剤を採用し得る。このような重合開始剤としては、例えば、過酸化水素、t−ブチルヒドロパーオキシド等の過酸化物;2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−フェニルプロリオンアミジン)2塩酸塩、2,2’−アゾビス〔2−(N−アリルアミジノ)プロパン〕2塩酸塩、2,2’−アゾビス〔2−(5−ヒドロキシ−3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン〕2塩酸塩、2,2’−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕、2,2’−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕2塩酸塩、2,2’−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕2硫酸塩水和物、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタ酸)、2,2’−アゾビス〔N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン〕n水和物、2,2’−アゾビス〔2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド〕等のアゾ化合物;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩類;アスコルビン酸と過酸化水素、スルホキシル酸ナトリウムとt−ブチルヒドロパーオキシド、過硫酸塩と金属塩等の、酸化剤と還元剤とを組み合わせてラジカルを発生させる酸化還元型開始剤;などが挙げられる。重合開始剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
重合開始剤の使用量としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な使用量を採用し得る。このような使用量としては、例えば、全単量体(N−ビニルラクタム系単量体およびその他の単量体の合計)および架橋剤の合計100質量%に対して、0.002質量%〜15質量%が好ましく、0.01質量%〜5質量%がさらに好ましい。
溶液重合法においては、重合反応の促進やN−ビニルラクタム系単量体の加水分解を防止するなどの目的で、塩基性pH調節剤を使用してもよい。塩基性pH調節剤の添加は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な方法で行うことができ、例えば、重合初期より系内に仕込んでおいてもよいし、重合中に逐次添加してもよい。塩基性pH調節剤としては、具体的には、例えば、アンモニア;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の脂肪族アミン;アニリン等の芳香族アミン;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物;などが挙げられる。これらの中でも、アンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましい。塩基性pH調節剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。塩基性pH調節剤を用いる場合、その使用量としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な使用量を採用し得る。このような使用量としては、重合時の溶液が、好ましくは5〜10のpH領域、より好ましくは7〜9のpH領域となるように使用するのがよい。
溶液重合法においては、重合反応の促進などの目的で、遷移金属塩を使用してもよい。遷移金属塩としては、具体的には、例えば、銅、鉄、コバルト、ニッケル等のカルボン酸塩や塩化物などが挙げられる。遷移金属塩は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。遷移金属塩を用いる場合、その使用量としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な使用量を採用し得る。このような使用量としては、単量体成分に対して、質量比で0.1ppb〜20000ppbが好ましく、1ppb〜5000ppbがさらに好ましい。
溶液重合法においては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な他の添加剤を用いてもよい。このような他の添加剤としては、例えば、連鎖移動剤、緩衝剤などが挙げられる。
溶液重合法において架橋剤を使用する場合、架橋剤の存在下において、単量体成分を重合する方法により架橋重合体を得てもよく、単量体成分を重合した後に架橋処理する方法により架橋重合体を得てもよい。好ましくは、架橋剤の存在下において、単量体成分を重合する方法により架橋重合体を得ることである。重合した後架橋処理する方法としては、例えば、(i)重合体にUV、γ線、電子線を照射する方法、(ii)重合体に熱を加えて自己架橋させる方法、(iii)重合体にラジカル発生剤を含有させた後、熱を加えて自己架橋させる方法、(iv)重合体にラジカル重合性架橋剤及びラジカル重合開始剤を含有させた後、加熱及び/又は光照射する方法、などが挙げられる。
溶液重合法において、各仕込み成分の添加方法としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な添加方法を採用し得る。このような添加方法としては、例えば、回分式や連続式などが挙げられる。
溶液重合法において、単量体成分としてN−ビニルラクタム系単量体を使用する場合、重合反応後、得られた重合体に有機酸を添加する工程を含むことが好ましい。得られた重合体に有機酸を添加することにより、重合体中の残存N−ビニルラクタム系単量体の量を低減することができる。このような有機酸としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な有機酸を採用し得る。このような有機酸としては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基、硫酸基、リン酸基等の酸基を有する有機化合物が挙げられる。このような有機酸としては、例えば、マロン酸、シュウ酸、コハク酸、アスパラギン酸、クエン酸、グルタミン酸、フマル酸、リンゴ酸、マレイン酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、プロピオン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、グリコール酸、サリチル酸、乳酸、L−アスコルビン酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ラウリルベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンホスホン酸、ラウリル硫酸などが挙げられる。有機酸は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
有機酸の使用量としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な使用量を採用し得る。このような使用量としては、例えば、反応工程で仕込んだN−ビニルラクタム系単量体100質量%に対して、好ましくは0.01質量%〜5質量%であり、より好ましくは0.05質量%〜3質量%であり、さらに好ましくは0.1質量%〜1質量%である。有機酸の使用量が上記範囲内にあれば、得られる重合体中の残存N−ビニルラクタム系単量体の量を低減しつつ、有機酸(塩)の量も低減することができる。なお、有機酸(塩)は、有機酸および/または有機酸の塩を表し、有機酸の塩は、主に後述する中和工程において添加する塩基と有機酸との中和物である。
有機酸と重合体との反応時間としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な反応時間を採用し得る。このような反応時間としては、好ましくは10分〜3時間であり、より好ましくは30分〜2時間である。重合体が架橋重合体である場合、非架橋の重合体よりも、有機酸が重合体の内部まで浸透するのに時間がかかるが、有機酸と重合体との反応時間が10分以上であれば、有機酸が重合体により十分に浸透し、得られる重合体中の残存N−ビニルラクタム系単量体の量をより十分に低減することができる。また、生産性の観点から、有機酸と重合体との反応時間は3時間以下とすることが好ましい。
溶液重合法においては、重合反応後に、重合体を熟成する工程(熟成工程)を含むことが好ましい。熟成工程における温度としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な温度を採用し得る。このような温度としては、好ましくは70℃〜150℃であり、より好ましくは80℃〜100℃である。熟成温度が上記範囲内にあれば、残存N−ビニルラクタム系単量体の重合を促進することができる。
溶液重合法において、熟成工程における熟成時間は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な熟成時間を採用し得る。このような熟成時間としては、好ましくは10分〜5時間であり、より好ましくは30分〜3時間である。
溶液重合法において、有機酸を添加する工程を含む場合、熟成工程は、有機酸を添加する工程の前に行うことが好ましい。
溶液重合法において、熟成工程は、重合体を解砕しながら行うことが好ましい。溶液重合法において、有機酸を添加する工程を含む場合、解砕することにより、有機酸が重合体により十分に浸透することから、得られる重合体中の残存N−ビニルラクタム系単量体の量をより十分に低減することができる。重合体の解砕は、通常用いられる方法により行うことができ、例えば、ニーダーを用いて解砕する方法などが挙げられる。
溶液重合法において、有機酸を添加する場合、有機酸の添加工程の後に中和工程を含むことが好ましい。中和の方法としては、有機酸を重合体に反応させた後に、塩基を添加することが好ましい。このような塩基としては、例えば、アンモニア;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の脂肪族アミン;アニリン等の芳香族アミン;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物などが挙げられる。これらの塩基の中でも、好ましくは、アンモニア、脂肪族アミン、アルカリ金属の水酸化物であり、より好ましくは、アンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムである。このような塩基は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
溶液重合法においては、その他の工程を含んでいてもよい。その他の工程としては、例えば、乾燥工程、粉砕工程、分級工程、造粒工程等である。
乾燥工程において、乾燥とは、固形分の上昇操作をいい、通常、固形分が乾燥前と比較して上昇すればよく、固形分が、好ましくは95質量%以上、より好ましくは96質量%以上まで上昇させる。なお、固形分の上限は、理想的には100質量%であり、現実的には、好ましくは99質量%である。乾燥と重合は同時に行ってもよく、重合時の乾燥と重合後の乾燥とを併用してもよい。好ましくは、重合後に乾燥装置を用いて乾燥する乾燥工程を行うことである溶液重合法において、有機酸の添加工程を含む場合には、乾燥工程を有機酸の添加工程の後に行うことが好ましい。なお、重合体の固形分は、実施例に記載の方法により測定される値をいう。
乾燥工程の温度は、好ましくは、乾燥工程の全体時間の50%以上の時間において80℃〜250℃とすることであり、より好ましくは、乾燥工程の全体時間の実質的に100%の時間において80℃〜250℃とすることである。乾燥温度の範囲は、好ましくは80℃〜250℃であり、より好ましくは110℃〜220℃であり、さらに好ましくは120℃〜200℃である。また、乾燥は、一定温度で乾燥してもよく、温度を変化させて乾燥してもよい。このように乾燥工程の温度を設定することで、重合体の諸物性がより向上し得る。なお、乾燥温度は、熱媒温度で規定すればよく、熱媒温度で規定できない場合は材料温度で規定すればよい。
乾燥工程における乾燥方法としては、例えば、熱風乾燥、無風乾燥、減圧乾燥、赤外線乾燥、マイクロ波乾燥などが挙げられる。これらの中でも、熱風乾燥を用いることがより好ましい。熱風乾燥を用いる場合の乾燥風量は、好ましくは0.01m/sec〜10m/secであり、より好ましくは0.1m/sec〜5m/secである。
粉砕工程においては、粉砕機を使用することが好ましい。溶液重合法において、乾燥工程を含む場合、粉砕工程は、乾燥工程の前、中、後のいずれに行ってもよい。粉砕工程は、好ましくは、乾燥工程の後に行う。
粉砕機としては、<沈殿重合法>の項での説明をそのまま援用し得る。
分級工程や造粒工程については、<沈殿重合法>の項での説明をそのまま援用し得る。
≪カルボン酸系化合物含有組成物≫
本発明の実施形態によるカルボン酸系化合物含有組成物用増粘剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な方法によって、任意の適切な用途に使用し得る。本発明の実施形態によるカルボン酸系化合物含有組成物用増粘剤の代表的な用途として、毛髪処理剤用途を例として取り上げ、本発明の実施形態によるカルボン酸系化合物含有組成物用増粘剤を用いたカルボン酸系化合物含有組成物としての毛髪処理剤について説明する。
<毛髪処理剤>
本発明の実施形態によるカルボン酸系化合物含有組成物用増粘剤を用いた毛髪処理剤は、グリオキシル酸、レブリン酸、グリコール酸からなる群から選ばれる少なくとも1種(a成分)と、本発明の実施形態によるカルボン酸系化合物含有組成物用増粘剤(b成分)と、を必須に含む。
毛髪処理剤中のa成分の配合量は、毛髪処理剤の全量に対して、好ましくは1質量%〜50質量%であり、より好ましくは1.5質量%〜40質量%であり、さらに好ましくは2質量%〜30質量%であり、特に好ましくは2.5質量%〜20質量%である。毛髪処理剤中のa成分の配合量が上記範囲を外れて少なすぎると、毛髪の十分な伸長効果を得ることができないおそれがある。毛髪処理剤中のa成分の配合量が上記範囲を外れて多すぎると、毛髪にダメージを与える等の不具合が発生するおそれがある。
毛髪処理剤中のb成分の配合量は、毛髪処理剤の全量に対して、好ましくは0.1質量%〜50質量%であり、より好ましくは0.5質量%〜40質量%であり、さらに好ましくは1質量%〜30質量%であり、特に好ましくは1.5質量%〜20質量%であり、最も好ましくは2質量%〜15質量%である。毛髪処理剤中のb成分の配合量が上記範囲内にあれば、毛髪処理剤の粘度が経時と共に低下することをより抑制でき、好ましくは、毛髪処理剤のpHをおよそ2.0〜3.8の範囲に保ったまま、毛髪処理剤の粘度が経時と共に低下することをより抑制できる。
毛髪処理剤は、上記a成分およびb成分以外にも、通常、化粧品や医薬品等に用いられる他の成分を、本発明の効果を損なわない範囲内で任意に添加することができる。このような他の成分としては、例えば、水、安定化剤、油性成分、油脂、ろう、カチオン性高分子、高級アルコール、炭化水素、高級脂肪酸、アルキルグリセリルエーテル、エステル、シリコーン、多価アルコール、界面活性剤、溶剤、糖、防腐剤・抗菌剤、安定剤、pH調整剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、香料、キレート化剤、分散剤、アミノ酸、ペプチド、プロテイン、金属イオン封鎖剤、粉末成分、粉末成分、色素、植物抽出物、生薬抽出物、ビタミン、賦形剤等を含有することができる。他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
水は各成分の可溶化剤等として含有され得る。毛髪処理剤中の水の含有量は、毛髪処理剤の全量に対して、好ましくは20質量%以上であり、より好ましくは30質量%以上であり、さらに好ましくは40質量%以上である。
安定化剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。安定化剤としては、例えば、エチレングリコールフェニルエーテル(フェノキシエタノール)、ヒドロキシエタンジホスホン酸、これらの塩などが挙げられる。ヒドロキシエタンジホスホン酸塩としては、例えば、ヒドロキシエタンジホスホン酸四ナトリウム塩、ヒドロキシエタンジホスホン酸二ナトリウム塩などが挙げられる。
油性成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。油性成分は、毛髪にうるおい感等を付与するための成分である。油性成分としては、例えば油脂、ろう、高級アルコール、炭化水素、高級脂肪酸、アルキルグリセリルエーテル、エステル、シリコーンなどが挙げられる。
油脂は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。油脂としては、例えば、オリーブ油、ツバキ油、シア脂、アーモンド油、サフラワー油、ヒマワリ油、大豆油、綿実油、ゴマ油、トウモロコシ油、ナタネ油、コメヌカ油、コメ胚芽油、ブドウ種子油、アボカド油、マカダミアナッツ油、ヒマシ油、ヤシ油、月見草油などが挙げられる。
ろうは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。ろうとしては、例えば、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、ホホバ油、ラノリンなどが挙げられる。
カチオン性高分子は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。カチオン性高分子としては、例えば、塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース、塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(ラウリルジメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリド等のカチオン化セルロース;塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]グアガム等のカチオン化グアガム;デキストラン塩化ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムエーテル等のカチオン化デキストランのような、セルロース誘導体、天然ガム、澱粉、デキストラン等の多糖類をカチオン化して得られるカチオン化多糖;塩化N−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]加水分解カゼイン、塩化N−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]加水分解コラーゲン、塩化N−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]加水分解シルク、塩化N−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]加水分解ケラチン、塩化N−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]加水分解コムギたん白、塩化N−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]加水分解コンキオリン、塩化N−[2−ヒドロキシ−3−(ステアリルジメチルアンモニオ)プロピル]加水分解ケラチン、塩化N−[2−ヒドロキシ−3−(ステアリルジメチルアンモニオ)プロピル]加水分解コラーゲン、塩化N−[2−ヒドロキシ−3−(ステアリルジメチルアンモニオ)プロピル]加水分解シルク、塩化N−[2−ヒドロキシ−3−(ステアリルジメチルアンモニオ)プロピル]加水分解カゼイン、塩化N−[2−ヒドロキシ−3−(ステアリルジメチルアンモニオ)プロピル]加水分解コムギたん白、塩化N−[2−ヒドロキシ−3−(ステアリルジメチルアンモニオ)プロピル]加水分解コンキオリン、塩化N−[2−ヒドロキシ−3−(ラウリルジメチルアンモニオ)プロピル]加水分解ケラチン、塩化N−[2−ヒドロキシ−3−(ラウリルジメチルアンモニオ)プロピル]加水分解コラーゲン、塩化N−[2−ヒドロキシ−3−(ラウリルジメチルアンモニオ)プロピル]加水分解シルク、塩化N−[2−ヒドロキシ−3−(ラウリルジメチルアンモニオ)プロピル]加水分解カゼイン、塩化N−[2−ヒドロキシ−3−(ラウリルジメチルアンモニオ)プロピル]加水分解コムギたん白、塩化N−[2−ヒドロキシ−3−(ラウリルジメチルアンモニオ)プロピル]加水分解コンキオリン、塩化N−[2−ヒドロキシ−3−(ヤシ油アルキルジメチルアンモニオ)プロピル]加水分解大豆たん白、塩化N−[2−ヒドロキシ−3−(ヤシ油アルキルジメチルアンモニオ)プロピル]加水分解カゼイン、塩化N−[2−ヒドロキシ−3−(ヤシ油アルキルジメチルアンモニオ)プロピル]加水分解コラーゲン、塩化N−[2−ヒドロキシ−3−(ヤシ油アルキルジメチルアンモニオ)プロピル]加水分解シルク、塩化N−[2−ヒドロキシ−3−(ヤシ油アルキルジメチルアンモニオ)プロピル]加水分解ケラチン、塩化N−[2−ヒドロキシ−3−(ヤシ油アルキルジメチルアンモニオ)プロピル]加水分解コンキオリン等の、加水分解たん白質をカチオン化して得られるカチオン化加水分解たん白;ポリ塩化ジメチルジアリルアンモニウム;塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、β−メタクリロキシエチルトリメチルアンモニウム・アクリルアミド共重合物、ビニルピロリドン・N,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合物ジエチル硫酸塩、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム等のカチオン化ビニル系又はアクリル系ポリマー;N,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩・N,N−ジメチルアクリルアミド・ジメタクリル酸ポリエチレングリコール等のポリグリコールポリアミン縮合物;アジピオン酸ジメチル−アミノヒドロキシプロピルジエチルトリアミン共重合体;アミノエチルアミノプロピル・メチルポリシロキサン共重合体;などが挙げられる。
高級アルコールは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。高級アルコールとしては、例えば、セチルアルコール(セタノール)、2−ヘキシルデカノール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、オレイルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、2−オクチルドデカノール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、デシルテトラデカノール、ラノリンアルコールなどが挙げられる。
炭化水素は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。炭化水素としては、例えば、パラフィン、オレフィンオリゴマー、ポリイソブテン、水添ポリイソブテン、ミネラルオイル、スクワラン、ポリブテン、ポリエチレン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリンなどが挙げられる。
高級脂肪酸は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、ラノリン脂肪酸などが挙げられる。
アルキルグリセリルエーテルは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。アルキルグリセリルエーテルとしては、例えば、バチルアルコール、キミルアルコール、セラキルアルコール、イソステアリルグリセリルエーテルなどが挙げられる。
エステルは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。エステルとしては、例えば、アジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ステアリル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸イソトリデシル、パルミチン酸2−エチルへキシル、リシノール酸オクチルドデシル、10〜30の炭素数を有する脂肪酸からなるコレステリル/ラノステリル、乳酸セチル、酢酸ラノリン、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、カプリン酸セチル、トリカプリル酸グリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、コハク酸ジオクチル、コハク酸ジエトキシエチル、2−エチルヘキサン酸セチルなどが挙げられる。
シリコーンは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。シリコーンとしては、例えば、ジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、末端水酸基変性ジメチルポリシロキサン、650〜10000の平均重合度を有する高重合シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン(例えば、(PEG/PPG/ブチレン/ジメチコン)コポリマー)、アミノ変性シリコーン、ベタイン変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーンなどが挙げられる。
多価アルコールは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。多価アルコールとしては、例えば、グリコール、グリセリンなどが挙げられる。グリコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,3−プロパンジオール、ヘキシレングリコールなどが挙げられる。グリセリンとしては、例えば、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリンなどが挙げられる。
界面活性剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。界面活性剤としては、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤が挙げられる。
溶剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。溶剤としては、例えば、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、γ−フェニルプロピルアルコール、ケイ皮アルコール、アニスアルコール、p−メチルベンジルアルコール、α−ジメチルフェネチルアルコール、α−フェニルエタノール、フェノキシエタノール、フェノキシイソプロパノール、2−ベンジルオキシエタノール、N−アルキルピロリドン、炭酸アルキレン、及びアルキルエーテルが挙げられる。
糖は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。糖としては、例えば、ソルビトール、マルトース、スクロース、フルクトース、トレハロースなどが挙げられる。
防腐剤・抗菌剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。防腐剤・抗菌剤としては、例えば、イソプロピルパラべンやベンジルパラベン等のパラべン類、安息香酸、安息香酸塩、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、感光素、クロルクレゾール、クロロブタノール、サリチル酸、サリチル酸塩類、ソルビン酸及びその塩類、デヒドロ酢酸及びその塩類、トリクロロヒドロキシジフェニルエーテル(別名トリクロサン)、パラオキシ安息香酸エステル及びそのナトリウム塩、フェノキシエタノール、フェノール、ラウリルジアミノエチルグリシンナトリウム、レゾルシン、亜鉛・アンモニア・銀複合置換型ゼオライト、安息香酸パントテニルエチルエーテル、イソプロピルメチルフェノール、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩酸クロルヘキシジン、オルトフェニルフェノール、オルトフェニルフェノールナトリウム、銀−銅ゼオライト、グルコン酸クロルヘキシジン、クレゾール、クロラミンT、クロルキシレノール、クロルフェネシン、クロルヘキシジン、1,3−ジメチロール−5,5−ジメチルヒダントイン、臭化アルキルイソキノリニウム、チアントール、チモールなどが挙げられる。
安定剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。安定剤としては、例えば、フェナセチン、8−ヒドロキシキノリン、アセトアニリド、ピロリン酸ナトリウム、バルビツール酸、尿酸、タンニン酸などが挙げられる。
pH調整剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。pH調整剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、硫酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン、アンモニア、塩基性アミノ酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、ピロリドンカルボン酸(PCA)、コハク酸、クエン酸、酢酸、グリコール酸、マレイン酸、レブリン酸、グリオキシル酸、フマル酸、アルギニン、リジン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、グアニジンなどが挙げられる。
酸化防止剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。酸化防止剤としては、例えば、ブチルヒドロキシトルエン、d1−α−トコフェノール、アスコルビン酸、亜硫酸塩などが挙げられる。
紫外線吸収剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。紫外線吸収剤としては、例えば、サリチル酸ホモメンチル、2−シアノ−3,3−ジフェニルプロパ−2−エン酸2−エチルヘキシルエステル(別名オクトクリレン)、ジパラメトキシケイ皮酸モノ−2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリスビフェニルトリアジン、パラアミノ安息香酸及びそのエステル、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、4−(2−β−グルコピラノシロキシ)プロポキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、サリチル酸オクチル、2,5−ジイソプロピルケイ皮酸メチル、2−[4−(ジエチルアミノ)−2−ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルエステルシノキサート、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノンジスルホン酸ナトリウム、ジヒドロキシベンゾフェノン、ジメチコジエチルベンザルマロネート、1−(3,4−ジメトキシフェニル)−4,4−ジメチル−1,3−ペンタンジオン、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシルテトラヒドロキシベンゾフェノン、テレフタリリデンジカンフルスルホン酸、2,4,6−トリス[4−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ]−1,3,5−トリアジン、トリメトキシケイ皮酸メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルイソペンチル、ドロメトリゾールトリシロキサン、パラジメチルアミノ安息香酸アミル、パラジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル・ジイソプロピルケイ皮酸エステル混合物、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、2,4−ビス−[{4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ}−フェニル]−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸及びその三水塩、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、フェルラ酸、2,2’−メチレンビス(6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール)などが挙げられる。
香料は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。香料としては、例えば、シトラール、メントール、ショウノウ、サルビノリンA、カンナビノイド、ヒノキチオール、リモネン、ファルネソール、ビタミンA等のテルペン・テルペノイド;フェノキシエタノール等の芳香族アルコール、オイゲノール、ショウガオール等のフェノール類;酪酸エステル、プロピオン酸エステル等のエステル類;γ−ノナラクトン、γ−ウンデカラクトン等のラクトン類;炭素数6〜20のアルデヒド類;などが挙げられる。
キレート化剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。キレート化剤としては、例えば、エデト酸(エチレンジアミン四酢酸(EDTA))、エデト酸二ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)およびその塩、ジエチレントリアミン五酢酸およびその塩類、ヒドロキシエタンジホスホン酸(HEDP)およびその塩、フィチン酸、クエン酸ナトリウム、酒石酸などが挙げられる。
分散剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。分散剤としては、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウムなどのステアリン酸金属塩;タルク;などが挙げられる。
本発明の実施形態によるカルボン酸系化合物含有組成物用増粘剤を用いた毛髪処理剤は、pHを、好ましくは2.0〜3.8の範囲、より好ましくは2.5〜3.8の範囲、さらに好ましくは2.8〜3.7の範囲、特に好ましくは3.0〜3.6の範囲、最も好ましくは3.3〜3.6の範囲に保持する。毛髪処理剤のpHを上記範囲内に保持することにより、毛髪にダメージを与えにくいとともに、毛髪に十分な伸長効果を与えることができる。
毛髪処理剤の剤形は、所望の効果が充分に発揮されるのであれば、任意の適切な剤型を採用し得る。このような剤形としては、例えば、液状、乳液状、ゲル状、フォーム状、クリーム状などが挙げられる。
<毛髪処理方法>
本発明の実施形態によるカルボン酸系化合物含有組成物用増粘剤を用いた毛髪処理剤を用いた毛髪処理方法の一つの代表的な実施形態としては、(1)上記毛髪処理剤を毛髪に塗布し(塗布工程)、(2)塗布した状態で毛髪を放置して毛髪処理剤を毛髪に十分に作用させ(放置工程)、(3)毛髪を水洗して毛髪処理剤を洗い流し(水洗工程)、(4)毛髪を乾燥させ(乾燥工程)、(5)整髪用アイロンで毛髪を矯正する工程(アイロン工程)などを含む。もちろん、本発明の実施形態によるカルボン酸系化合物含有組成物用増粘剤を用いた毛髪処理剤を用いた毛髪処理方法は、上記の一つの代表的な実施形態には限らない。
(1)塗布工程
毛髪処理剤は、シャンプー前のドライ毛に適用することも可能であるが、毛髪処理剤が毛髪に浸透しやすいことから、シャンプーで予め洗浄し水分を切ったウェット毛や、付着した水分をタオルで取り除いたタオルドライ毛に適用することが好ましい。
(2)放置工程
毛髪処理剤の塗布後、代表的には、室温(約23℃)にて、好ましくは10分間〜30分間、より好ましくは15分間〜20分間放置し、毛髪処理剤を毛髪に作用させる。放置時間が10分間未満では、毛髪の十分な伸長効果を得ることができないおそれがあり、一方、放置時間が30分間を超えても、放置時間に見合った毛髪矯正効果のさらなる向上が期待できないおそれがある。
(3)水洗工程
毛髪を水またはぬるま湯ですすぎ、毛髪処理剤を毛髪から洗い流す。毛髪から毛髪処理剤を洗い流すことにより、その後の毛髪の乾燥や、取り扱いが容易になる。
(4)乾燥工程
水洗後、水分をタオルで拭き取った後に、ヘアドライヤーで乾燥させる。
(5)アイロン工程
代表的には、好ましくは140℃〜200℃、より好ましくは約180℃に熱した整髪用アイロンで毛髪に機械力および熱を加えながら毛髪をストレート状に伸ばす。
本発明の実施形態によるカルボン酸系化合物含有組成物用増粘剤を用いた毛髪処理剤を用いた毛髪処理方法によれば、毛髪処理剤のpHをおよそ2.0〜3.8の範囲に保ったまま、グリオキシル酸、レブリン酸、グリコール酸などのカルボン酸系化合物を含むカルボン酸系化合物含有組成物の粘度が経時と共に低下することを抑制できる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味する。
<粘度測定>
B形粘度計(機種:BMII、東機産業株式会社製)によって測定した。測定条件は下記の通りとした。
ローター:No.3、No.4
回転数:6rpm、12rpm、60rpm
測定時間:60秒
温度:25℃
<加速試験条件>
25℃、50℃のインキュベーターにて一カ月間保管した。
<配合性評価>
表1に示す配合で各成分を常温で均一に混合して組成物を製造した。得られた組成物の初期粘度を、B形粘度計を用いて測定した。
(粘度測定条件)
使用粘度計:B形粘度計、
ローター:No.3、No.4、
回転数:6回転、12回転、60回転、
測定時間:1分間、
測定温度:25℃
評価基準は下記の通りとした。
〇:分離などがなく、均一に増粘状態を維持している。
×:分離などがあり、均一に増粘状態を維持していない。
<経時安定性評価>
上記で調整した過酸化水素含有組成物を、50ccガラス容器に充填し、50℃および25℃のインキュベーターに1か月間保存した後の粘度を、B形粘度計を用いて測定した。
評価基準は下記の通りとした。
〇:分離などがなく、均一に増粘状態を維持していた。
×:分離などがあり、均一に増粘状態を維持していない。
<重合体の固形分測定>
底面の直径が約5cmの秤量缶(質量W1g)に約1gの重合体をはかりとり(質量W2g)、150℃の定温乾燥機中において、1時間静置し、乾燥させた。乾燥後の秤量缶と重合体の合計(質量W3g)を測定し、下記式より固形分を求めた。
固形分(質量%)=[(W3−W1)/W2]×100
<0.02MPa以下の減圧下において100℃で1時間乾燥したときの平均粒子径の測定>
乾式の粒子径分布測定装置(スペクトリス株式会社マルバーン事業部製、型式:マスターサイザー3000、乾式)により測定した体積分布の累積50%値を、0.02MPa以下の減圧下において100℃で1時間乾燥したときの平均粒子径とした。測定条件を以下に示す。
(測定条件)
乾式レーザー回折散乱法
分散圧力:2.0bar
ベンチュリ:HEベンチュリ
粒子屈折率:1.52
粒子吸収率:0.01
粒子密度:1.05g/cm
粒子形状:非球形
溶媒名:空気(AIR)
測定範囲:0.1μm〜3500μm
<脱イオン水を用いて膨潤させたときの膨潤体の平均粒子径の測定>
湿式の粒子径分布測定装置(株式会社堀場製作所製、型式:Partica LA−950V2、湿式)により測定した体積分布の累積50%値を、膨潤体の平均粒子径とした。測定条件を以下に示す。
(測定条件)
膨潤体屈折率:1.5
分散媒:脱イオン水
測定範囲:0.01μm〜3000μm
〔実施例1〕
(カルボン酸系化合物含有組成物用増粘剤の製造)
攪拌装置(パドル翼タイプ)、温度計、還流冷却器、窒素導入管を備えた容量300mlのフラスコに、シクロヘキサン:100gを初期仕込みし、窒素雰囲気下で85℃のオイルバスで加熱した。フラスコ内の温度が一定になった後、滴下成分1(N−ビニルピロリドン:25g、アクリル酸:0.025g、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル:0.05g)および滴下成分2(油溶性アゾ重合開始剤V−65(富士フイルム和光純薬株式会社製):0.075g、ヘプタン:40g)の投入を開始した。滴下成分1は3時間、滴下成分2は4.5時間かけて一定速度で計量投入した。滴下開始から10分程度で、重合体の析出が始まり次第に析出量が増えていった。滴下成分2の投入終了後、さらに0.5時間加熱を継続した後、フラスコを冷却し反応を終了した。フラスコ内の温度は、79℃から81℃の間であり、概ね時間の経過と共に上昇する傾向であった(中間値は80℃)。
続いて、反応液をろ過して重合体である沈殿物を回収し、125℃で1時間減圧乾燥を行い、架橋体を得た。架橋体は、適度な大きさの球形物として得られたため、短時間でデカンテーションとろ過が終了し、粉体を取り扱う際に気流や静電気の影響が小さく、取り扱いが容易であった。マイクロスコープで観察すると、大部分が直径約200〜600μmの球形であり、球形物の平均粒子径は460μmであった。
得られた球形物の全量を、大阪ケミカル株式会社製のラボ用粉砕機OML−1によって粉砕すると、20秒程度で容易に粉砕され、きめの細かい均一な粉体としての架橋体(1)の粉体が得られた。得られた架橋体(1)の固形分は99%であった。
得られた架橋体(1)の、0.01MPaの減圧下において100℃で1時間乾燥したときの平均粒子径は20μmであり、脱イオン水を用いて膨潤させたときの膨潤体の平均粒子径は2μmであった。なお、膨潤体の平均粒子径が粉体の平均粒子径より小さい理由は、粉体が水を吸収して膨潤すると同時に、凝集がほぐれて1次粒子に近付いたためと考えられる。
この架橋体(1)を、カルボン酸系化合物含有組成物用増粘剤とした。
(毛髪処理剤の製造)
表1に示す配合割合で、
(成分1)水、
(成分2)グリオキシル酸(50%水溶液、Alfa Aesar製)、
(成分3)水酸化カリウム(10%水溶液、富士フイルム和光純薬株式会社製)、
(成分4)トリエタノールアミン(富士フイルム和光純薬株式会社製)、
(成分5)実施例1で製造したカルボン酸系化合物含有組成物用増粘剤、
を配合した。
配合順序は次の通りである。
まず、(成分1)と(成分2)を均一に混合し、混合液Aとした。得られた混合液Aに、(成分3)または(成分4)を添加し、均一に混合し、混合液Bとした。次に、混合液Bに(成分5)を添加し、均一に混合し、毛髪処理剤(1)を製造した。
結果を表1に示した。
〔実施例2〕
(成分1)、(成分2)、(成分3)、(成分4)、(成分5)の配合割合を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様に行い、毛髪処理剤(2)を製造した。
結果を表1に示した。
〔実施例3〕
(成分1)、(成分2)、(成分3)、(成分4)、(成分5)の配合割合を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様に行い、毛髪処理剤(3)を製造した。
結果を表1に示した。
〔実施例4〕
(成分1)、(成分2)、(成分3)、(成分4)、(成分5)の配合割合を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様に行い、毛髪処理剤(4)を製造した。
結果を表1に示した。
〔実施例5〕
(成分1)、(成分2)、(成分3)、(成分4)、(成分5)の配合割合を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様に行い、毛髪処理剤(5)を製造した。
結果を表1に示した。
〔実施例6〕
(成分1)、(成分2)、(成分3)、(成分4)、(成分5)の配合割合を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様に行い、毛髪処理剤(6)を製造した。
結果を表1に示した。
〔比較例1〕
(成分5)実施例1で製造したカルボン酸系化合物含有組成物用増粘剤に変えて、(成分6)ヒドロキシエチルセルロース(製品名:HEC SE−850、株式会社ダイセル製)を用い、(成分1)、(成分2)、(成分3)、(成分4)、(成分6)の配合割合を表1に示すようにした以外は、実施例1と同様に行い、毛髪処理剤(C1)を製造した。
結果を表1に示した。
Figure 2021169436
本発明のカルボン酸系化合物含有組成物用増粘剤は、グリオキシル酸、レブリン酸、グリコール酸などのカルボン酸系化合物の増粘に有効であり、ヘアケア用途、その他の化粧品用途、各種洗剤用途、皮膚清浄剤用途、衣料用漂白剤用途など、幅広い用途に利用可能である。

Claims (5)

  1. カルボン酸系化合物含有組成物の増粘剤であって、
    該カルボン酸系化合物が、グリオキシル酸、レブリン酸、グリコール酸からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、
    該増粘剤は、N−ビニルラクタム系単量体由来の構造単位を全単量体由来の構造単位100モル%に対して50モル%〜100モル%含む重合体(I)を含む、
    カルボン酸系化合物含有組成物用増粘剤。
  2. 前記N−ビニルラクタム系単量体由来の構造単位が一般式(1)で表される、請求項1に記載のカルボン酸系化合物含有組成物用増粘剤。
    Figure 2021169436
    (一般式(1)中、Rは、水素原子またはメチル基を表し、mは、1〜3の整数を表す。)
  3. 前記重合体(I)が架橋構造を有する、請求項1または2に記載のカルボン酸系化合物含有組成物用増粘剤。
  4. 前記重合体(I)が、沈殿重合によって得られる重合体である、請求項1から3までのいずれかに記載のカルボン酸系化合物含有組成物用増粘剤。
  5. 化粧品用増粘剤である、請求項1から4までのいずれかに記載のカルボン酸系化合物含有組成物用増粘剤。


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