JP2021169093A - 活性炭を用いた汚染対策方法 - Google Patents

活性炭を用いた汚染対策方法 Download PDF

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Abstract

【課題】従前技術での金属鉄と活性炭で構成される複合粒子製剤を用いた浄化は、対象汚染に応じた最適な金属鉄と活性炭の量比設定が困難であり、浄化期間の調整や浄化コストの低減に難を有していた。また、除染機作が、専ら反応速度が緩速な還元的脱ハロゲン化反応に限定されることから、汚染種の適用幅が極めて狭く、非効率な浄化であった。【解決手段】対象汚染に応じた最適な金属鉄と活性炭の量比が設定された金属鉄粒子と活性炭粒子を、水中にて共沈する条件にて両粒子を緩やかに結合させ、更に、酸素化合物の存在下で進行する酸化反応を還元反応の前段に組み入れた、適用汚染種の拡大と反応の高速化を図った、施工リスクが少なく、汎用性の高い、高効率な浄化施工を市場に提供する。【選択図】図2

Description

本発明は、土壌中の汚染物質に対し、活性炭粒子による効率的な集約後に、隣接せしめた金属鉄粒子にて誘導される酸化還元反応による除染を図る非生物学的な汚染対策方法に関する。
金属鉄と活性炭を用いる従来の除染技術は、専ら、活性炭粒子に金属鉄を担持させた複合粒子製剤を汚染土壌に添加し、還元的脱ハロゲン化反応によるハロゲン化有機汚染の除染に限定して実施される汚染浄化対策方法であった。
係る複合粒子製剤を浄化施工に利用する利点として、複合粒子の活性炭部位に吸着された汚染物質が、直ちに同粒子中の金属鉄によって脱塩素化が図られるという、複合粒子ならではの確実性の高い除染機作が挙げられる。
なお、ここでの“複合粒子ならではの確実性の高い”という判断は、係る金属鉄と活性炭を、各々個別の粒子として汚染に施用した場合の、汚染が吸着された活性炭粒子と分散状態にある別粒子の金属鉄粒子が会合して、汚染の分解に至る効率が、複合粒子の効率を上回ることは確率的に考え難いという、仮定に基づく思考実験での判断である。
ところで、金属鉄と活性炭を一体化して複合粒子を製造する技術は多岐に及ぶが、中でもボール(ビーズ)ミルを用いた金属鉄粒子と炭素粒子を原料とした複合粒子の製造技術は、前世紀のメカニカルアロイング技術や機能性活性炭たる添着活性炭製造技術に端を発した長い歴史がある。
また、ボール(ビーズ)ミルを用いた複合粒子製造技術は、乾式と湿式に大別されるが、それぞれの製造方式の作用・機作は、基本的にボール(ビーズ)同士の接触による摩砕と圧着の単純反復作業であって、単純反復作業であるが故に、製造規模のスケールアップを容易に行い得る利点を有していた。
米国EPA, Remedial Technology Fact Sheet- Activated Carbon- Based Technology for In Situ Remediation (2018) J.Gao,W.Wang,A.J.Rondinone, F.He and L.Y.Liang,Degradation of trichloroethene with a novel ball milled FeC nanocomposite, J.Hazard. Mater.,2015,300,443-450, 今井知之、外4名、「ナノ鉄粉/活性炭複合材の調製とそのTCE反応特性の基礎的検討」、第26回 地下水・土壌汚染とその防止対策に関する研究集会講演集、一般社団法人土壌環境センター、令和3年6月、p.241−244
汚染物質は、多種多様に存在し、汚染物質の活性炭への吸着性や金属鉄による反応性も、汚染物質により各々異なる挙動を示す。
加えて、金属鉄による反応性は、汚染土壌の汚染吸着能、酸化還元電位等の環境要因にも影響され易く、例え同じ土壌汚染濃度でも、対象土壌毎に、浄化に必要とされる金属鉄量と活性炭量やその量比が異なる。
ところが、非特許文献1〜3にて示される様な、活性炭粒子に金属鉄を担持させた複合粒子製剤に含まれる金属鉄と活性炭の量比は、実質的に生産ロット毎で固定されており、汚染ケース毎に変化する個々の最適な量比条件を厳密に設定するのであれば、画一的な量比の仕様で製造される複合粒子製剤は、必ずしも使い勝手の良い資材ではない。
例えば、施工直後に現場から引き上げる計画を前提として、複合粒子製剤の施用設計として、製剤に包含される活性炭の吸着容量を勘案し、対象の土壌汚染の溶出濃度を施工直後に環境基準値を達成する様に設定した場合、係る施工では、諸設計の中でも最多の複合粒子製剤が使用されることとなる。
結果、必要とされる分解容量(汚染分解総量)を遥かに超えて施用される過分な金属鉄成分が無駄となり、費用対効果の薄い高コストな浄化となってしまう課題を有していた。
その反対に、活性炭粒子に金属鉄を担持させた複合粒子製剤の施用設計を、現地の汚染濃度に応じて、製剤に包含される金属鉄の還元反応による汚染分解容量を勘案して施用量が決定された場合、この方法が、製剤費用が最も低コストとなる設計である場合が多い。
但し、係る設計による施工は、浄化終点迄に概ね2か月程度に亘る緩慢な還元反応が続き、汚染濃度が環境基準値に向けて緩やかに減少する。結果、施工からかなりの期間が経過しなければ環境基準が達成されないケースもまま存在し、施工完了時期が極めて不明瞭で、動もすると施工期間が長期に至る課題を有していた。
このように、従前の複合粒子製剤を用いた施工は、複合粒子の活性炭部位に吸着された汚染物質が、直ちに複合粒子中の金属鉄成分によって脱塩素化が図られ、確実性の高い浄化が達成されるとの説明が容易なセールスポイントを有し、また、ボール(ビーズ)ミルを用いた複合粒子の製造は、一般にスケールアップが容易とされ、製剤の販売・製造サイドにおける利点に富む技術であった。
その反面、複合粒子製剤の金属鉄と活性炭の量比が固定的であるが故に、現場施工においては、施工期間の長期化や施工の高コスト化を誘引しかねない等、種々の施工リスクを孕む、施工サイドにおける課題に富む技術であり、また、従前の複合粒子による除染機作が、専ら反応速度が緩速な還元的脱ハロゲン化反応に限定されおり、浄化可能な汚染種は、ほぼハロゲン化有機汚染種に限定されてしまう狭い適用性とその反応速度に課題を有していた。
前述の課題を解決するための本発明の要旨とするところは、次の発明に存する。
活性炭粒子を用いて汚染土壌からの汚染の溶出濃度の低減化を図ると共に、該活性炭粒子に吸着された該汚染の内、非ハロゲン化汚染とハロゲン化汚染の少なくともいずれか一方の汚染を、該活性炭粒子に隣接せしめた還元鉄を主成分とする金属鉄粒子の作用により、酸素化合物の共存下における酸化と該酸素化合物の消失後における還元化の両反応を図って除染する方法であって、金属鉄成分と活性炭成分からなる複合粒子製剤を単独で汚染土壌に施用するのではなく、少なくとも各々の成分粒子が混在する製剤を、pH3を超える弱酸性からアルカリ条件下にある汚染土壌に対し施用することを特徴とする活性炭を用いた非生物学的な汚染対策方法。
本発明に係る、所定のpH条件下において、金属鉄成分と活性炭成分を、単剤の複合粒子製剤ではなく、少なくとも各々の成分粒子が混在する製剤として汚染土壌に添加し、活性炭粒子に金属鉄粒子を隣接せしめることで、複合粒子と同等の浄化機能を具有させると共に、汚染状況や施工事情に応じて、任意の金属鉄量と活性炭量を採択することが可能となり、金属鉄と活性炭の量比が固定的な複合粒子を用いた除染よりも、自由度が高く、より安価で、施工リスク要因の少ない浄化施工が達成される。
また、係る施工に酸素化合物を常用することにより、複合粒子を用いた従来法での画一的な作用機作であった緩速な還元反応の前段に酸化反応が加わることにより、浄化が格段に高速化された浄化施工が達成されると共に、ハロゲン化汚染のみであった従来法での適用汚染種を、非ハロゲン化汚染全般を網羅するまでの、飛躍的な適用汚染種の拡大が図られた浄化施工が達成される。
金属鉄粒子と活性炭粒子が水中にて相互に付着し凝集・共沈する現象のpH依存性を示す図である。 本発明であるところの酸素化合物共存下における金属鉄粒子と活性炭粒子が混在する製剤を用いた汚染物質の分解能に関し、従来法である複合粒子法との比較を実施した結果を示す図である。
以下、本発明を代表する実施の形態を、開発経緯を踏まえて説明する。
本発明の着想に至った契機の一つとして、金属鉄粒子と活性炭粒子を高濃度に含む黒色の懸濁液を作成後、一定時間放置後に、金属鉄粒子と活性炭粒子の組合せによっては、懸濁液が透明な上清と黒い沈殿物に分離するケースがあることが分かった。
この結果は、一定の組合せの金属鉄粒子と活性炭粒子が、互いに凝集し共沈する性質を想起させ、条件次第では、金属鉄と活性炭で構成される複合粒子を費用と時間を掛けて製造/購入せずとも、現場にて容易に両粒子の凝集塊を形成させて、複合粒子と同等の浄化機能を具有させることが可能なことを示唆する。
その後の詳細な検討により、この凝集・共沈現象は、概ねpH3を超える弱酸性からアルカリ条件下であれば、金属鉄粒子と活性炭粒子は、水中にて相互に付着する性質を有し、pH3以下の強酸性領域では、係る共沈現象が強く阻害されることが分かり、本現象に関するpH適用条件に関する新たな知見を得た。結果を図1に示す。
図1を得た試験では、希塩酸又は希水酸化ナトリウム溶液にてpH2〜12に調整した水溶液を用いて、金属鉄粒子を一定量含む黒色の懸濁液を、高純度窒素ガスを用いて通気撹拌しながら作成し、作成後、懸濁液の水面から試料を採取してOD750の光学的濁度を測定し、この値をC0とした。
光学的濁度を測定後、活性炭粒子を一定量添加し、再度、高純度窒素ガスを用いて通気撹拌し、活性炭粒子の沈降を加速する為に3000g:1分間の遠心分離処理を実施し、遠心処理後に懸濁液から試料を採取して、改めて光学的濁度を測定し、これをC1とした。
この際、対照区として、各pH条件にて、活性炭粒子のみを添加した懸濁液の遠心処理後の上清の光学的濁度を併せて測定し、C1に対するバックグラウンド補正に使用して、補正値:C2を得た。
なお、係る各pHにおける評価は、各系統で3試験を実施した。
図1は、各pH条件における遠心前後の濁度変化の比(C2/C0)をプロットしたものである。
結果、濁度変化の比は、pH5〜12の区間では、ほぼ0に近い値が示されたのに対し、pH3〜4の区間にて0から1に向けて移行する変化が見られ、pH2では、ほぼ1に近い値が示された。
上記から、概ねpH3を超える弱酸性からアルカリ条件下の水相中であれば、今回、実験に用いた金属鉄粒子と活性炭粒子の組合せは、相互に付着し凝集・共沈する性質を有することが明確に示された。
また、本発明の契機となった別の着想は、四アルキル鉛に対する酸化処理条件に関する検討過程にて、バイアル内に金属鉄粒子と活性炭粒子を含む懸濁液を入れ、気相を空気、或いは窒素で置換して、バイアル気相中の四アルキル鉛の濃度変化を経時的に観察した際に、気相を窒素とした系の四アルキル鉛濃度には変化は見られなかったが、空気とした系の四アルキル鉛濃度には、顕著な減少が観察された事に拠る。
更なる検討の結果、この減少は、気相の酸素濃度が高い程、或いは過酸化水素等の酸化試薬を添加した場合に顕著となり、また係る濃度の減少は、懸濁液へのマンニトールの添加によって阻害されたことから、これらの酸素化合物と金属鉄粒子との相互作用によって、高い酸化還元電位を有するヒドロキシラジカルによる酸化反応を生じた結果と考察された。
更なる検討の結果、係る酸化反応は、酸素化合物が金属鉄粒子との反応によって消費し尽くされると止まり、以後は、金属鉄粒子が残存する場合には、還元反応が主体となって、還元的脱ハロゲン反応等による除染が進行することが確認された。
また、係る本発明であるところの酸化反応付与の効能を確認するために、酸素化合物共存下における金属鉄粒子と活性炭粒子が混在する製剤を用いたトリクロロエチレンの分解能に関し、従来法である複合粒子法との比較を実施した。
実験条件は、非特許文献3に記載の図5を得た試験方法に準拠し、本発明であるところの酸素化合物を添加する場合は、酸化と還元化の両反応後の終点pHを6から8の範囲に収束する様に、過硫酸ナトリウムを系に加えた。
結果を図2に示す。なお、図2における従来法である複合粒子法での経時変化、鉄粒子単独での経時変化、活性炭単独での経時変化に関しては、非特許文献3に記載の図5のグラフから値を引用し図2にプロットした。
図2のグラフにおいて、本発明であるところの実験区は、酸素化合物共存下における金属鉄粒子と活性炭粒子が混在する製剤を用いたpH7の実験区が該当し、また、対照試験として、酸素化合物共存下における金属鉄粒子と活性炭粒子が混在する製剤を用いたpH2の実験区を置いた。
図2のグラフから明確に読み取れることは、本発明であるところの酸素化合物共存下における金属鉄粒子と活性炭粒子が混在する製剤を用いたpH7の実験区が、全ての実験区の中で、初期の分解反応が最も早く、唯一、定量限界濃度である0.001mg/L以下に到達したことである。
また、対照区として置いた酸素化合物共存下における金属鉄粒子と活性炭粒子が混在する製剤を用いたpH2の実験区も、従来法であるところの複合粒子法での実験区よりも良好な分解を示したことから、本発明であるところの酸素化合物共存下における酸化反応は、極めて有効にトリクロロエチレンの浄化に寄与することが明らかとなった。
なお、金属鉄粒子と活性炭粒子が混在する製剤を用いた場合における、pH2実験区とpH7実験区の分解効率の差は、図1が示すところの、金属鉄粒子と活性炭粒子の凝集・共沈現象の有無に起因した差と考察された。
この様に、少なくとも活性炭粒子と金属鉄粒子が混在する製剤と酸素化合物を汚染土壌に添加して酸化条件を設定することで、従来法の複合粒子を用いた還元法を凌駕する汚染浄化を図ることが可能であり、更に所定のpH条件を設定し、活性炭粒子と金属鉄粒子を隣接させることで、更に高い浄化速度にて、極めて効率の良い汚染浄化が図られることが明らかとなった。
ここで実施の形態に係る酸素化合物としては、具体的には例えば、分子状酸素、オゾン、過硫酸塩、過酸化カルシウム、過酸化マグネシウム、過酸化水素等を挙げることができる。その他、酸素化合物を含む汚染浄化に資する薬剤・資材であれば、本発明で利用される酸素化合物として有効であることは言うまでもない。
加えて、本発明であるところの活性炭を用いた非生物学的な汚染対策方法にて、浄化可能な汚染物質として、土壌汚染対策法や化管法(特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律)及びその関連法等で規定される化学物質の他、石油系燃料等の炭化水素成分や芳香族炭化水素化合物を挙げる。
なお、本発明は、酸化反応、或いは還元反応による汚染物質の化学処理を促すと共に、活性炭吸着による吸着処理機能を有する。これらの多岐に亘る処理方法の組合せによって、主として以下の浄化・対策を達成する。
(a)ハロゲン化有機汚染を活性炭吸着後の還元的脱塩素を主とした処理
(b)非ハロゲン化有機汚染を活性炭吸着後の酸化を主とした処理
(c)有機金属等の酸化を主とした処理で無機化後の活性炭による吸着処理
(d)重金属類の酸化或いは還元を主とした処理後の活性炭による吸着処理
(e)上記の組合せによる複合汚染の処理
上記の処理を、汚染種・状況に応じて、必要な酸化反応時間と還元反応時間を酸素化合物濃度と金属鉄粒子濃度を自由に調節して設定し、また、活性炭の吸着能を用いて、土壌からの溶出濃度を環境基準以下に抑制した、施工リスクを十分に低減した汚染対策を実施する。
なお、本発明に最も適した施工方法として、柱状改良機を用いた施工方法を挙げる。柱状改良機は、薬剤射出部を有した撹拌混合翼と、薬剤供給管機能を有する長軸ロッドにて構成され、単軸型/多軸型、或いは、スラリー剤供給型/乾剤供給型を問わず、土壌に対して薬剤を精度高く緻密に混合する目的で使用される土壌改良機械である。また、本機の施工範囲は、撹拌混合翼の回転範囲が施工面積となり、長軸ロッド長が最大施工深度となる、長尺のカラム様を呈する。したがって、施工土量に比する大気接触面が極めて小さく、汚染土壌に含まれる揮発性汚染化合物の大気飛散が最少となる特長を有する。
一方、その他の工法としては、バックホウ混合、オンサイト型土壌混合改良機を用いた混合、グラウト注入法を介した土壌への注入、ダブルパッカー法を介した土壌への注入等の施工方法が挙げられるが、汚染土壌を、pH3を超えた弱酸性〜アルカリ条件に保ち、金属鉄粒子と活性炭粒子の混合物を汚染土壌に添加し、酸素化合物の共存下における酸化と該酸素化合物の消失後における還元化の両反応を図って除染が図られる方法であれば、本発明であるところの施工方法として有効である。
また、係る施工を帯水層に対して実施することにより、汚染土壌の浄化と同時に汚染地下水も併せて浄化されるので、本発明の施工対象に汚染地下水が含まれることは言うまでもない。
以上に説明した実施の形態および実施事例より、次の発明概念が導かれる。
(1)活性炭粒子を用いて汚染土壌からの汚染の溶出濃度の低減化を図ると共に、該活性炭粒子に吸着された該汚染の内、非ハロゲン化汚染とハロゲン化汚染の少なくともいずれか一方の汚染を、該活性炭粒子に隣接せしめた還元鉄を主成分とする金属鉄粒子の作用により、酸素化合物の共存下における酸化と該酸素化合物の消失後における還元化の両反応を図って除染する方法であって、金属鉄成分と活性炭成分からなる複合粒子製剤を単独で汚染土壌に施用するのではなく、少なくとも各々の成分粒子が混在する製剤を、pH3を超える弱酸性からアルカリ条件下にある汚染土壌に対し施用することを特徴とする活性炭を用いた非生物学的な汚染対策方法である。
(2)前記酸素化合物が、少なくとも分子状酸素、オゾン、過硫酸塩、過酸化カルシウム、過酸化マグネシウム、過酸化水素の少なくともいずれか一つを含むことを特徴とする前記(1)に記載の活性炭を用いた非生物学的な汚染対策方法である。
(3)前記少なくとも各々の成分粒子が混在する製剤の一部として、金属鉄と活性炭にて構成される複合粒子が含まれることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の活性炭を用いた非生物学的な汚染対策方法である。
(4)前記酸素化合物の共存下における酸化と該酸素化合物の消失後における還元化の両反応後のpHが6から8の範囲となるように、前記金属鉄粒子と該酸素化合物の施用量比が決定されることを特徴とする前記(1)から(3)のいずれか一項に記載の活性炭を用いた非生物学的な汚染対策方法である。
(5)前記施用が、柱状改良機によって図られることを特徴とする前記(1)から(4)のいずれか一項に記載の活性炭を用いた非生物学的な汚染対策方法である。
(6)前記製剤を、粉体として汚染土壌に施用することを特徴とする前記(1)から(5)のいずれか一項に記載の活性炭を用いた非生物学的な汚染対策方法である。
(7)前記汚染が、アルキル鉛であることを特徴とする前記(1)から(6)のいずれか一項に記載の活性炭を用いた非生物学的な汚染対策方法である。
次に、前述した発明概念の作用効果について説明する。
本開示のうち(1)に係る活性炭を用いた非生物学的な汚染対策方法によれば、pH3を超える弱酸性からアルカリ条件下にて、還元鉄を主成分とする金属鉄粒子と活性炭粒子を水中で混合することにより、両粒子は、水溶液中にて相互に付着するので、コストと時間を掛けて両粒子の複合粒子を作成、又は購入するよりも、安価で効果的な浄化資材を、現場で容易に作成することができる。
また、係る金属鉄粒子と活性炭粒子と共に、酸素化合物を共存させることにより、従前技術では専らハロゲン化物汚染を対象とした還元的脱塩素反応に限定された浄化方法の前段に、非ハロゲン化物汚染に対しても有効であり反応速度に富む酸化処理を導入することが可能となり、適用可能な汚染種の飛躍的な拡大と分解の顕著な高速化を図ることができる。
また更に、係る金属鉄粒子と活性炭粒子の量比を、自ら任意に設定できるので、添加する活性炭粒子濃度を、汚染の溶出濃度を浄化目標以下となる様な添加濃度に設定することで、完了の見通しが不明瞭な還元反応等の終点を待つことなく、汚染土壌への資材混合の初期施工のみで現場を離れることが可能となり、手離れの良い計画性を有する浄化施工を実施できる。
本開示のうち(2)に係る活性炭を用いた非生物学的な汚染対策方法によれば、酸素化合物の種別や共存濃度、また還元鉄を主成分とする金属鉄粒子濃度を自由に調節することで、酸化処理と還元処理の割合を自由に調整することができるので、汚染種や濃度に応じた処理や対策を実施することができる。
例えば、混合/注入施工に伴う大気や地下空気の巻き込みによって生じる、極微量の分子状酸素のみを唯一の酸素化合物とした場合には、酸化反応が極端に短い還元反応を主体とする反応を主導することができる。
反対に、オゾン、過硫酸塩、過酸化カルシウム、過酸化マグネシウム、過酸化水素等を、金属鉄粒子量に比して過分に添加した場合には、強力な酸化力を有するラジカル種の大量生成が図られ、専ら酸化反応を主体とした反応を誘導することができる。
この様に、現場の汚染種やその状況に応じて、還元反応の前段での酸化反応が継続する期間や強度を、自由に設定することができる。
本開示のうち(3)に係る活性炭を用いた非生物学的な汚染対策方法によれば、前記少なくとも各々の成分粒子が混在する製剤の一部として、金属鉄成分と活性炭成分から構成される複合粒子を利用する場合に、複合粒子のみでは、理想的な金属鉄粒子と活性炭粒子の量比を達成できない場合に、不足する金属鉄成分、或いは活性炭成分を各粒子として複合粒子に足して汚染土壌に施用して従前技術を補正することで、上述の(1)と(2)に係る、本発明であるところの活性炭を用いた非生物学的な汚染対策方法による施工上の利点を、複合粒子をベースとした施工においても共有することができる。
本開示のうち(4)に係る活性炭を用いた非生物学的な汚染対策方法によれば、酸化と還元の両反応後のpHが6から8の中性付近で反応が終結する様な設定とすることで、土壌pHへの影響が少なく、重金属の溶出等の環境リスクの少ない施工を実施できる。
本開示のうち(5)に係る活性炭を用いた非生物学的な汚染対策方法によれば、柱状改良機を用いた施工を実施することで、汚染土壌への精度の高い製剤の混錬と、施工環境中への揮発性汚染化合物の飛散を最少とする施工を実施できる。
本開示のうち(6)に係る活性炭を用いた非生物学的な汚染対策方法によれば、スラリー状の従来製剤を多用すると、施工時に土壌の泥濘化が起こるので、スラリー製剤の使用量、即ち製剤の有効成分の汚染土壌への添加量には自ずと限界があったが、製剤を粉体に変えて汚染土壌に施用することにより、泥濘化を起こさずに単位土壌あたりの有効成分の施用量を各段に増やすことができるので、高濃度汚染を本発明であるところの工法の適用範疇とすることができる。
本開示のうち(7)に係る活性炭を用いた非生物学的な汚染対策方法によれば、毒性が極めて高く、未だに有効な浄化対策方法が提案されていないアルキル鉛に対する新たな浄化対策手段として市場提案できる。
以上、本発明の実施の形態および実施例を説明してきたが、具体的な構成は前述した開示に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれることは、言うまでもない。
本発明によるところの汚染対策方法は、活性炭粒子により土壌汚染の溶出濃度の低減化を図り、活性炭粒子に吸着された汚染を、隣接せしめた金属鉄粒子の作用により、酸素化合物の共存下における酸化と該酸素化合物の消失後における還元化の両反応を図って除染する方法であり、浄化施工リスクを最少とし、多様な汚染種に対応可能で効率的な汚染浄化・対策を、土壌地下水汚染対策市場に提供できる。

Claims (7)

  1. 活性炭粒子を用いて汚染土壌からの汚染の溶出濃度の低減化を図ると共に、該活性炭粒子に吸着された該汚染の内、非ハロゲン化汚染とハロゲン化汚染の少なくともいずれか一方の汚染を、該活性炭粒子に隣接せしめた還元鉄を主成分とする金属鉄粒子の作用により、酸素化合物の共存下における酸化と該酸素化合物の消失後における還元化の両反応を図って除染する方法であって、金属鉄成分と活性炭成分からなる複合粒子製剤を単独で汚染土壌に施用するのではなく、少なくとも各々の成分粒子が混在する製剤を、pH3を超える弱酸性からアルカリ条件下にある汚染土壌に対し施用することを特徴とする活性炭を用いた非生物学的な汚染対策方法。
  2. 前記酸素化合物が、少なくとも分子状酸素、オゾン、過硫酸塩、過酸化カルシウム、過酸化マグネシウム、過酸化水素の少なくともいずれか一つを含むことを特徴とする請求項1に記載の活性炭を用いた非生物学的な汚染対策方法。
  3. 前記少なくとも各々の成分粒子が混在する製剤の一部として、金属鉄と活性炭にて構成される複合粒子が含まれることを特徴とする請求項1または2のいずれか一項に記載の活性炭を用いた非生物学的な汚染対策方法。
  4. 前記酸素化合物の共存下における酸化と該酸素化合物の消失後における還元化の両反応後のpHが6から8の範囲となるように、前記金属鉄粒子と該酸素化合物の施用量比が決定されることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の活性炭を用いた非生物学的な汚染対策方法。
  5. 前記施用が、柱状改良機によって図られることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の活性炭を用いた非生物学的な汚染対策方法。
  6. 前記製剤を、粉体として汚染土壌に施用することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の活性炭を用いた非生物学的な汚染対策方法。
  7. 前記汚染が、アルキル鉛であることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の活性炭を用いた非生物学的な汚染対策方法。

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