JP2007105557A - 有機物分解処理材及びそれを用いた有機物を含有する被処理物の分解処理方法 - Google Patents

有機物分解処理材及びそれを用いた有機物を含有する被処理物の分解処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 有機物を十分に分解することができ、且つ水酸化第二鉄を主体とする汚泥の発生を低減させることができる有機物分解処理材及びそれを用いた有機物を含有する被処理物の分解処理方法を提供する。
【解決手段】 本発明の有機物分解処理材は、酸化第一鉄及び四三酸化鉄のうちの少なくとも一方の酸化鉄(特に酸化第一鉄)の粉末と、吸着剤(活性炭等)とを含有する。また、本発明の分解処理方法は、有機物(トリクロロエチレン等)を含有する被処理物(特に水系)と、本発明の有機物分解処理材と、過酸化水素とを接触させることを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、有機物分解処理材及びそれを用いた有機物を含有する被処理物の分解処理方法に関する。更に詳しくは、本発明は、有機物、特に分解が容易ではない有機物の分解に用いられる有機物分解処理材、及びそれを用いた、分解効率に優れ、且つ水酸化第二鉄を主体とする汚泥の発生が低減される有機物を含有する被処理物の分解処理方法に関する。
本発明は、汚染土壌、汚染地下水、埋立地等からの浸出水及び産業排水などの有機物を含有する被処理物の分解処理の技術分野において利用することができる。
トリクロロエチレン、ジクロロエチレン、テトラクロロエチレン等の有機塩素化合物、ベンゼン、キシレン、トルエン等の芳香族類、アセトアルデヒド、ホルムアルデヒド等の高揮発性有機化合物などは、工業的に広範な用途において用いられてきた。しかし、近年、その毒性が問題となり、使用及び廃棄が厳しく規制されるようになった。また、これまでは必ずしも厳重に管理されてはおらず、これらの有機化合物が環境中に投棄されたりして漏洩し、土壌及び地下水等を汚染し、深刻な社会問題を引き起こしている。
有機塩素化合物により汚染された土壌又は地下水から汚染物質である有機塩素化合物を除去する方法としては、汚染物質の揮発性を利用して吸引除去する土壌ガス吸引法、及び地下水に溶解した汚染物質を揚水することで除去する地下水揚水処理法等が知られている。しかし、これらの方法はいずれも除去対象の汚染物質の揮発性の高さを利用して除去する方法であり、除去された汚染物質を別途無害化処理する付加工程を必要とするという欠点がある。
一方、各種の汚染物質を分解する方法として、加熱、焼却等により無害化する高温熱分解法、微生物により分解を促進させる微生物分解法、及び鉄粉を用いた還元分解法などが知られている。しかし、高温熱分解法では、大がかりな設備を必要とし、また、熱処理の際に土壌が変質して土壌が本来有する機能が著しく損なわれ、且つオフサイト処理を行なう場合、別途、掘削、運搬費用が発生するという問題がある。更に、微生物分解法では、汚染物質の種類によっては適用できないことがあり、適用できたとしても、反応が遅いため浄化に長期間を要することがある。また、鉄粉を用いた還元分解法は、常温下で行うことができ、微生物分解法よりも反応速度が大きく改善されるものの、特定の難分解物質に対しては反応が遅く、実用的でない場合がある。
更に、排水中の有機物の分解処理方法として、生物学的な活性汚泥法が一般に広く行われている。しかし、有機物を多く含む排水の場合は、この活性汚泥法のような微生物分解による処理では長期間を必要とし、発生した余剰汚泥の処理も問題となる。そこで、活性汚泥処理に先立ち、予め物理、化学的な処理法で有機物の一部を分解し、活性汚泥法による生物処理の負荷を軽減することも行われている。
また、近年、有機塩素化合物等の難分解性有機物の分解方法として、強力な酸化剤を利用した酸化分解法が注目されている。この酸化分解法としては、オゾン酸化、過酸化水素酸化、フェントン酸化などが挙げられ、これらのうちでは、有機物の分解効率のよさと、大きな設備を必要としない点でフェントン酸化法が優れている。更に、過酸化水素を用いた酸化と紫外線の照射とを併用する方法、オゾンを用いた酸化と紫外線の照射とを併用する方法なども知られており、これらは促進酸化法と呼ばれている。
尚、この促進酸化法は、前記の各種の有機塩素化合物だけでなく、有機塩素化合物の1種であるダイオキシン類及び環境ホルモン等の分解処理にも適用可能といわれている。
促進酸化法の1種であるフェントン酸化法は、第一鉄イオンと過酸化水素とのフェントン反応を利用するものであり、過酸化水素の分解によって生じたヒドロキシルラジカル(OH・)により有機物を酸化させる方法である(例えば、非特許文献1参照。)。より具体的には、有機物を含む水に、硫酸鉄等の第一鉄化合物と過酸化水素とを添加すると、下式の反応によりヒドロキシルラジカルが発生し、このヒドロキシルラジカルにより水中の有機物が酸化分解される。
+Fe2+→OH・+OH−+Fe3+
更に、この鉄源としては、硫酸鉄、塩化鉄等の鉄塩以外に、鉄多孔体等も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平4−100593号公報 辻 幸男:"過酸化水素酸化による排水処理(1)",月間地球環境,1997(7),80
しかし、従来のフェントン法では、第一鉄化合物と過酸化水素とを十分に反応させることが容易ではなく、ヒドロキシルラジカルの発生量が少ない。従って、有機物の除去効率が低く、残留する過酸化水素の処理も必要であった。また、硫酸鉄等の鉄塩を用いるフェントン処理は、反応が急激であるため制御が困難であるという問題もある。更に、過酸化水素を十分に反応させ、ヒドロキシルラジカルを多量に発生させて有機物の除去効率を高めるためには、第一鉄化合物を多量に用いる必要があるが、この場合、溶解鉄量が多くなり、水酸化第二鉄を主体とする汚泥が多量に発生し、この汚泥の処分に多くの費用を必要とすることになる。
尚、鉄多孔体、鉄粉等を用いたフェントン処理でも溶解鉄量が多く、鉄塩を用いたときと同様に水酸化第二鉄を主体とする汚泥が大量に発生するという問題がある。
本発明は上記の従来の状況に鑑みてなされたものであり、有機物、特に分解が容易ではない有機物の分解に用いられ、有機物を効率よく分解することができる有機物分解処理材を提供することを目的とする。また、この有機物分解処理材を用いてなされ、分解効率に優れ、且つ水酸化第二鉄を主体とする汚泥の発生が低減される有機物を含有する被処理物の分解処理方法を提供することを目的とする。
本発明は、有機物を含有する被処理物と、鉄源及び過酸化水素とを接触させて分解処理する有機物を含有する被処理物の分解処理方法において、酸化第一鉄等と活性炭等の吸着剤とを含有する有機物分解処理材と、過酸化水素とを用いたフェントン処理が、従来の硫酸鉄等を用いたフェントン処理に比べて、処理液中の溶存鉄量が少なく、発生する水酸化第二鉄を主体とする汚泥の発生量を低減することができるとの知見に基づきなされたものである。
尚、処理液中の溶存鉄量が少ないのは、酸化第一鉄の処理液中への溶出が少ないことの他、後記の実施例により明らかなとおり、活性炭等の吸着剤の作用によるものと考えられる。
本発明は以下のとおりである。
1.酸化第一鉄及び四三酸化鉄のうちの少なくとも一方を含む酸化鉄成分と、吸着剤とを含有することを特徴とする有機物分解処理材。
2.上記吸着剤が活性炭である上記1.に記載の有機物分解処理材。
3.上記酸化鉄成分と、上記吸着剤との合計を100質量%とした場合に、該酸化鉄成分は3〜92質量%である上記1.又は2.に記載の有機物分解処理材。
4.上記酸化鉄成分と、上記吸着剤とが、バインダにより結合されてなる上記1.乃至3.のうちのいずれか1項に記載の有機物分解処理材。
5.上記バインダが無機バインダである上記4.に記載の有機物分解処理材。
6.上記無機バインダがコロイダルシリカである上記5.に記載の有機物分解処理材。
7.粒状体であり、粒径が1〜10mmである上記4.乃至6.のうちのいずれか1項に記載の有機物分解処理材。
8.有機物を含有する被処理物と、上記1.乃至7.のうちのいずれか1項に記載の有機物分解処理材と、過酸化水素とを接触させることを特徴とする有機物を含有する被処理物の分解処理方法。
9.上記被処理物と、上記有機物分解処理材とを接触させ、その後、更に上記過酸化水素を接触させる上記8.に記載の有機物を含有する被処理物の分解処理方法。
10.上記被処理物は、上記有機物が水に溶解又は分散してなるものである上記8.又は9.に記載の有機物を含有する被処理物の分解処理方法。
本発明の有機物分解処理材は、分解性能に優れ、一般に分解が容易ではない有機物を十分に分解することができ、且つ水酸化第二鉄を主体とする汚泥の発生を大きく低減させることができる。
また、吸着剤が活性炭である場合は、有機物の分解処理において特に有用である。
更に、酸化鉄成分と、吸着剤との合計を100質量%とした場合に、酸化鉄成分が3〜92質量%である場合は、より十分に有機物を分解することができ、且つ汚泥の発生を低減させることができる。
また、酸化鉄成分と、吸着剤とが、バインダにより結合されてなる場合は、より効率よく有機物を分解することができ、処理後、有機物分解処理材と水とを容易に分離することができる。
更に、バインダが無機バインダである場合は、粒状体等の形状が容易に崩れることのない有機物分解処理材とすることができる。
また、無機バインダがコロイダルシリカである場合は、粒状体等の成形体を多孔質体とすることもでき、より分解効率の高い有機物分解処理材とすることができる。
更に、有機物分解処理材が粒状体であり、粒径が1〜10mmである場合は、処理後、有機物分解処理材を処理液から容易に分離することができる。
本発明の有機物を含有する被処理物の分解処理方法によれば、一般に分解が容易ではない有機物を十分に分解することができ、且つ水酸化第二鉄を主体とする汚泥の発生が少なく、有機物を効率よく分解処理することができる。
また、被処理物と、有機物分解処理材とを接触させ、その後、更に過酸化水素を接触させる場合は、より効率よく有機物を分解処理することができる。
更に、被処理物が、有機物が水に溶解又は分散してなるものである場合も、より効率よく有機物を分解処理することができる。
以下、本発明を詳しく説明する。
[1]有機物分解処理材
上記「酸化鉄成分」は、酸化第一鉄及び四三酸化鉄のうちの少なくとも一方を含む。酸化鉄成分を100質量%とした場合に、酸化第一鉄と四三酸化鉄との合計は60質量%以上であり、90質量%以上、特に95質量%以上(100質量%であってもよい。)であることが好ましい。酸化鉄成分は、その全量が酸化第一鉄からなることが好ましい。また、酸化第一鉄と四三酸化鉄とを併用する場合は、これらの合計量を100質量%としたときに、酸化第一鉄が50質量%以上、特に80質量%以上、更に90質量%以上であることが好ましい。
この酸化鉄成分としては、一般に提供されている酸化鉄をそのまま用いることができる。その形状、大きさ等も特に限定されない。酸化鉄成分は、通常、粉体であるが、目的、用途等に応じて、粒状体、膜状体又は塊状体等であってもよい。粉体である場合、その平均粒径は特に限定されず、0.1〜1000μm、特に0.5〜500μmであればよい。粉体以外であるときは、その最大寸法が1000μm以下、特に500μm以下であることが好ましい。
上記「酸化第一鉄」は、NaCl型の結晶構造を有し、主として鉄原子と酸素原子とからなる化合物である。この酸化第一鉄には、鉄原子の一部が他の遷移金属原子などで置換された化合物、及び酸素原子の一部が陰イオンで置換された化合物も含まれ、また原子空孔を有する化合物も含まれる。この酸化第一鉄としては、合成されたものの他に、転炉ダスト、高炉ダスト、転炉スラグ、銅精錬スラグ及びミルスケール等の製鋼工程などで副産物として発生する酸化第一鉄を用いることもできる。また、上記「四三酸化鉄」も、鉄原子の一部が他の遷移金属原子などで置換されていてもよく、酸素原子の一部が陰イオンで置換されていてもよく、原子空孔を有していてもよい。この四三酸化鉄としては、合成されたものの他に、工業的にチタンの精製過程で多量に副生する四三酸化鉄等を用いることもできる。
上記「吸着剤」は、多孔質体であり、被処理物に含有される有機物等が吸着される。この吸着剤は特に限定されず、活性炭、ゼオライト、シリカゲル、活性アルミナ等を用いることができる。この吸着剤の形状及び寸法等は特に限定されず、一般に提供されているものをそのまま用いることができる。有機物の分解においては吸着剤としては活性炭が好ましい。この活性炭は特に限定されず、水処理用として一般に用いられる粒状体又は粉体の活性炭を使用することができる。活性炭の平均粒径も特に限定されないが、粒状体であるときは0.5〜10mm、特に1〜3mm、粉体であるときは0.1〜500μm、特に1〜100μmとすることができる。
酸化鉄成分と吸着剤との質量割合は特に限定されないが、酸化鉄成分と吸着剤との合計を100質量%とした場合に、酸化鉄成分は1〜99質量%とすることができ、3〜92質量%、特に4〜91質量%であることが好ましい。酸化鉄成分の質量割合が1〜99質量%、特に3〜92質量%であれば、有機物の分解効率を十分に高くすることができ、且つ溶解鉄量を低減することができるため、汚泥の発生を抑えることもできる。そのため、分解処理の工程を簡略化することができる。このように、分解効率の観点からは、酸化鉄成分と活性炭との広範な質量割合において十分な作用、効果が奏されるが、酸化鉄成分と吸着剤とのより均一な分散という観点からは、酸化鉄成分と吸着剤との質量割合に大差がないことが好ましい。この観点では、酸化鉄成分は30〜70質量%、特に45〜55質量%であることが好ましい。
酸化鉄成分と吸着剤とは、これらを混合してなる混合物として用いることができる。また、この混合物を押出成形等により成形して特定の形状の成形体として用いることもできる。このように成形体とする場合、成形体の形状を保持する等の目的で、酸化鉄成分と吸着剤とが、バインダにより結合されてなる有機物分解処理材とすることができる。このバインダは特に限定されず、コロイダルシリカ、セメント、粘土、水ガラス等の無機バインダ、及びゴム、エラストマー、樹脂等の高分子材料からなる有機バインダを用いることができる。バインダの配合量は、成形体の形状が保持されればよく、適量とすることができる。酸化鉄成分と吸着剤との合計を100質量部とした場合に、バインダは10〜150質量部、特に20〜90質量部、更に30〜80質量部とすることができる。
バインダは、無機バインダ及び有機バインダのいずれであっても、成形体の形状を保持することはできるが、分解処理材が有機物を分解する作用を有することを勘案すれば、無機バインダがより好ましい。更に、この無機バインダとしてはコロイダルシリカが好ましい。このコロイダルシリカは、水にシリカの微粒子が懸濁してなるものであるが、シリカの含有量は、通常、20〜40質量%であり、多量の水が含有されるため、成形時に水が気化して散逸する際に空隙が形成され、酸化鉄成分と過酸化水素、及び生成するヒドロキシルラジカルと被処理物との接触が容易となり、分解効率が向上するため好ましい。
成形された有機物分解処理材とする場合、その形状は特に限定されず、粒状体、円柱体等とすることができる。これらのうちでは、その形状が特に保持され易い粒状体であることが好ましい。粒状体は各種の造粒法により容易に形成することができ、粒状体の粒径は特に限定されないが、1〜10mmとすることができる。また、この粒径の範囲内で小径側、例えば、1〜5mmであってもよく、大径側、例えば、5〜10mmであってもよく、中間域、例えば、3〜8mm等であってもよい。この粒径はフルイ分級法により測定することができ、有機物分解処理材の全量のうちの60質量%以上、特に80質量%以上が、上記の粒径の範囲内にあればよい。粒状体の粒径が1〜10mmであれば、被処理物と接触する機会が多く、好ましい。
有機物分解処理材には、酸化鉄成分及び吸着剤の他、各種の成分を含有させることができる。この他の成分としては無機成分等が挙げられる。この無機成分としては、例えば、各種の金属及び合金等が挙げられる。この他の成分は有機物分解処理材の分解効率等の特性を損なわない範囲で含有させることができ、有機物分解処理材を100質量部とした場合に、他の成分の合計は30質量部以下、特に10質量部以下であることが好ましい。
[2]有機物を含有する被処理物の分解処理方法
有機物を含有する被処理物と、本発明の有機物分解処理材と、過酸化水素とを接触させることにより、被処理物に含有される有機物を分解処理することができる。被処理物と、有機物分解処理材と、過酸化水素とを接触させる順序は特に限定されず、(1)被処理物と、有機物分解処理材とを接触させ、その後、更に過酸化水素と接触させる方法、(2)有機物分解処理材と、過酸化水素とを接触させ、その後、更に被処理物と接触させる方法、及び(3)被処理物と、過酸化水素とを接触させ、その後、更に有機物分解処理材と接触させる方法、のいずれでもよい。このように接触順序は限定されないが、上記(1)の被処理物と、有機物分解処理材とを接触させ、その後、更に過酸化水素と接触させる方法が特に好ましい。このような順序で接触させれば、被処理物に含有される有機物が有機物分解処理材に含有される吸着剤に吸着された状態で、その近傍において酸化鉄成分と過酸化水素とが反応してヒドロキシルラジカルが発生し、このヒドロキシルラジカルが効率よく有機物に作用し、分解効率が向上する。
この有機物を含有する被処理物の性状は特に限定されず、水系の被処理物であってもよく、土壌等であってもよい。即ち、本発明の有機物分解処理材は、地下から汲み上げられた汚染水及び工場排水等を処理する水処理に用いることができ、土壌に注入して用いることもできる。これらのうちでは、有機物が水に溶解又は分散してなる被処理物に適用した場合に、特に効率よく有機物を分解することができ、好ましい。
上記「被処理物」に含有される上記「有機物」としては、酸化により分解することができるすべての有機物を対象とすることができる。
この有機物としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1、1−ジクロロエタン、1、2−ジクロロエタン、メチルクロロホルム、1、1、2−トリクロロエタン、1、1、1、2−テトラクロロエタン、1、1、2、2−テトラクロロエタン、1、3−ジクロロプロパン、1、1−ジクロロエチレン、シス−1、2−ジクロロエチレン、トランス−1、2−ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン及び1、3−ジクロロプロペンなどの有機塩素化合物が挙げられる。また、ベンゼン、キシレン、トルエン等の芳香族類が挙げられる。更に、アセトアルデヒド、ホルムアルデヒド等のアルデヒド類などの高揮発性有機化合物が挙げられる。
有機物分解処理材と、過酸化水素と、被処理物との質量割合は特に限定されないが、有機物分解処理材に含有される酸化鉄成分と、過酸化水素との合計を100質量%とした場合に、過酸化水素は5〜70質量%とすることができ、10〜60質量%、特に10〜50質量%とすることが好ましい。また、有機物分解処理材に含有される酸化鉄成分と、被処理物に含有される有機物との合計を100質量%とした場合に、有機物は10〜70質量%とすることができ、20〜50質量%、特に30〜50質量%とすることが好ましい。このような質量割合とすることで、余剰となる酸化鉄成分及び過酸化水素を十分に低減することができ、且つ分解すべき有機物の多くを分解処理することができるため好ましい。
本発明の有機物を含有する被処理物の分解処理方法は、上記のように特に水処理の場合に有用であるが、この水処理は、被処理物に硫酸等を添加してpH2〜4程度の酸性とし、その後、有機物分解処理材を添加し、次いで、過酸化水素を配合してヒドロキシルラジカルを発生させ、このヒドロキシルラジカルによって有機物を酸化分解するという手順で行うことが好ましい。この本発明の有機物分解処理材を用いた有機物の分解処理では、被処理物である被処理水中の溶存鉄量が少ないため、除鉄処理が不要である。更に、被処理水を中和処理しても水酸化第二鉄を主体とする汚泥の発生が少なく、この汚泥の処理も容易であり、全体として処理に要する工程を簡略化することができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
(1)有機物分解処理材の製造
製造例1
活性炭(キャタラー工業社製、粒径;8〜32メッシュ、商品名「DSW−3」)と、下記の各種の鉄化合物粉末及び鉄粉とを、攪拌転動流動層造粒機(セイシン企業社製、型式「SEG−100」)に投入して混合した。その後、造粒機上部から無機バインダとしてコロイダルシリカ(日本化学工業社製、商品名「シリカドール30」)を添加しながら造粒した。造粒後、180℃で1時間加熱し、粒径1〜5mmの粒状体を製造した。これを表1における成形体1とする。
製造例2
製造例1で用いた活性炭と、下記の各種の鉄化合物粉末及び鉄粉とを、乳鉢により混合した。その後、混合物をパン型造粒機(アズワン社製、型式「PZ−01」)に投入し、無機バインダとして製造例1で用いたコロイダルシリカを添加しながら造粒した。造粒後、180℃で1時間加熱し、粒径3〜8mmの粒状体を製造した。これを表1における成形体2とする。
製造例3
製造例1で用いた活性炭と、下記の各種の鉄化合物粉末及び鉄粉とを、高速攪拌機(深江パウテック社製、型式「LFS−GS−2J」)に投入し、無機バインダとして製造例1で用いたコロイダルシリカを添加しながら造粒した。造粒後、180℃で1時間加熱し、粒径3〜10mmの粒状体を製造した。これを表1における成形体3とする。
製造例4
製造例1で用いた活性炭と、下記の各種の鉄化合物粉末及び鉄粉とを、ヘンシェルミキサー(三井三池社製、型式「FM20」)に投入して混合した。その後、更に無機バインダとして製造例1で用いたコロイダルシリカを添加して混合した。次いで、この混合物をディスクペレッター(不二パウダル製、F−5)を用いて押出成形して造粒した。造粒後、180℃で1時間加熱し、粒径5〜10mmの粒状体を製造した。これを表1における成形体4とする。
上記のそれぞれの成形体用の鉄化合物粉末としては、自社で製造した酸化第一鉄(以下、単に「酸化第一鉄」という。)、試薬酸化第一鉄(高純度化学研究所製)、試薬四三酸化鉄(高純度化学研究所製)の各々の粉末を用いた。また、比較用として試薬α−Fe(高純度化学研究所製)、試薬γ−Fe(高純度化学研究所製)、試薬α−FeOOH(高純度化学研究所製)、試薬ZnFe(高純度化学研究所製)の各々の粉末を用いた。更に、比較用として試薬還元鉄粉(高純度化学研究所製)、市販鉄粉(同和鉱業社製)を用いた。
尚、後記の実験例では、比較用の鉄化合物粉末として試薬硫酸第一鉄粉末(和光純薬工業社製)も用いた。この試薬硫酸第一鉄粉末は成形体とせずに粉末のまま用いた。
(2)分解処理実験
実験例1〜5
酸化第一鉄粉末50gと活性炭50gとを用いて、製造例1のようにして成形体1を製造し、製造例2のようにして成形体2を製造した。また、酸化第一鉄粉末130gと活性炭130gとを用いて、製造例3のようにして成形体3を製造した。更に、酸化第一鉄粉末1000gと活性炭1000gとを用いて、製造例4のようにして成形体4を製造した。また、製造例1の攪拌転動流動層造粒機を用いて酸化第一鉄粉末50gと活性炭50gとを混合し、表1における混合材1を製造した。成形体1〜4及び混合材1のいずれの場合も、酸化第一鉄粉末と活性炭との合計を100質量%とした場合に、酸化第一鉄粉末は50質量%である。
濃度100mg/Lのトリクロロエチレン(以下、「TCE」と略記する。)水溶液に硫酸を添加してpH3に調整し、この水溶液を50mL、成形体1〜4及び混合材1の各々を0.5g、並びに10質量%過酸化水素水を0.4mL、それぞれバイアル瓶に投入して密閉した。1週間経過後、TCE濃度及び溶液中の溶解鉄量を測定し、TCE分解率を算出した。結果を表1に示す。
尚、TCE濃度はガスクロマトグラフ(日本電子データム社製、型式「GC−310」)を用いてヘッドスペース法により測定した。また、溶解鉄量は分光光度計(島津製作所製、型式「UVmini−1240」)を使用し、共立理化学研究所製の水質測定用試薬No.41Bを用いて測定した。
Figure 2007105557
表1の結果によれば、有機物分解処理材が成形体(粒状体)であっても、単に混合したのみの混合材であっても、TCE分解率はいずれも99%以上であり、溶解鉄量は排水基準値である10mg/L未満である。このように、有機物分解処理材の性状によらず、分解効率が高く、且つ溶解鉄量も少量であることが分かる。
実験例6〜22
濃度100mg/LのTCE水溶液に硫酸を添加してpH3に調整し、この水溶液を50mL、各種の鉄化合物粉末及び鉄粉と活性炭とを用いて製造した成形体を0.05g、並びに10質量%過酸化水素水を0.4ml、それぞれバイアル瓶に投入して密閉した。各々の成形体は,鉄化合物粉末50g又は鉄粉50gと活性炭50gとを用いて、製造例1のようにして製造した。1週間経過後、TCE濃度及び溶液中の溶解鉄量を実験例1〜5の場合と同様にして測定し、TCE分解率を算出した。結果を表2に示す。
Figure 2007105557
表2の結果によれば、酸化第一鉄粉末及び試薬酸化第一鉄粉末を用いた実験例6〜15では、TCE分解率はいずれも99%以上であり、溶解鉄量は排水基準値である10mg/L未満である。また、四三酸化鉄粉末を用いた実験例16では、TCE分解率は97%を越え、溶解鉄量は酸化第一鉄粉末及び試薬酸化第一鉄粉末の場合に比べて更に低減されていることが分かる。一方、他の鉄化合物粉末を用いた実験例17〜20では、溶解鉄量は大きく低減されるものの、TCE分解率が低い。更に、鉄粉を用いた実験例21〜22では、TCE分解率は99%以上と高いものの、溶解鉄量が十分に低減されず、いずれも排水基準値を越えていることが分かる。
実験例23〜34及び参考例1
濃度100mg/LのTCE水溶液に硫酸を添加してpH3に調整し、この水溶液を50mL、酸化第一鉄粉末と活性炭とを用いて(但し、実験例23では活性炭のみを用いた。)製造した成形体を0.05g、並びに10質量%過酸化水素水を0.4ml、それぞれバイアル瓶に投入して密閉した。各々の成形体は、酸化第一鉄粉末と活性炭とを合計で100g使用し、その質量割合を表3のように変化させて、製造例1のようにして製造した。1週間経過後、TCE濃度及び溶液中の溶解鉄量を実験例1〜5の場合と同様にして測定し、TCE分解率を算出した。結果を表3に示す。
Figure 2007105557
表3の結果によれば、酸化第一鉄粉末の質量割合が5質量%から95質量%の実験例24〜34では、TCE分解率がいずれも99%以上であり優れている。また、溶解鉄量は、酸化第一鉄粉末の質量割合が5質量%から90質量%であるときは、いずれも排水基準値を下回っているが、酸化第一鉄粉末の質量割合が95質量%である実験例34では、十分に低減することができない。一方、酸化第一鉄粉末の質量割合が0%、即ち、活性炭のみの場合は、TCE分解率が低い。また、酸化第一鉄粉末の質量割合が100%、即ち、活性炭が含有されていない参考例1の場合は、溶解鉄量は十分に低減することができないものの、TCE分解率は99%以上と高く、良好な結果である。
実験例35〜41
濃度100mg/Lのテトラクロロエチレン(以下、「PCE」と略記する。)水溶液に硫酸を添加してpH3に調整し、この水溶液を50mL、酸化第一鉄粉末と活性炭とを用いて(但し、実験例35では活性炭のみを用いた。)製造した成形体を0.05g、並びに10質量%過酸化水素水を0.4ml、それぞれバイアル瓶に投入して密閉した。各々の成形体は、酸化第一鉄粉末と活性炭とを合計で100g使用し、その質量割合を表4のように変化させて、製造例1のようにして製造した。1週間経過後、PCE濃度及び溶液中の溶解鉄量を実験例1〜5のTCEの場合と同様にして測定し、PCE分解率を算出した。結果を表4に示す。
Figure 2007105557
表4の結果によれば、PCEの場合も、TCEの場合と同様に、酸化第一鉄粉末の質量割合が5質量%から95質量%であるときは、PCE分解率がいずれも99%以上であり優れている。また、活性炭のみの場合は分解率が低い。更に、溶解鉄量は、酸化第一鉄粉末の質量割合が5質量%から80質量%であるときは、いずれも排水基準値を下回っているが、酸化第一鉄粉末の質量割合が95質量%であるときは、溶解鉄量を十分に低減することができない。このように、TCEの場合と同様の傾向であることが分かる。
実験例42〜45
濃度100mg/Lのジクロロエチレン(以下、「DCE」と略記する。)水溶液に硫酸を添加してpH3に調整し、この水溶液を50mL、酸化第一鉄粉末と活性炭とを用いて(但し、実験例42では活性炭のみを用いた。)製造した成形体を0.05g、並びに10質量%過酸化水素水を0.4ml、それぞれバイアル瓶に投入して密閉した。各々の成形体は、酸化第一鉄粉末と活性炭とを合計で100g使用し、その質量割合を表5のように変化させて、製造例1のようにして製造した。1週間経過後、DCE濃度及び溶液中の溶解鉄量を実験例1〜5のTCEの場合と同様にして測定し、DCE分解率を算出した。結果を表5に示す。
Figure 2007105557
表5の結果によれば、DCEの場合は、酸化第一鉄粉末の質量割合が40〜95質量%であるときは、DCE分解率がいずれも96%以上であり優れている。また、活性炭のみの場合は分解率が低い。更に、溶解鉄量は、酸化第一鉄粉末の質量割合が40質量%及び70質量%であるときは、いずれも排水基準値を下回っているが、酸化第一鉄粉末の質量割合が95質量%であるときは、溶解鉄量を十分に低減することができない。このように、DCEの場合もTCE及びPCEと同様の傾向であるが、酸化第一鉄粉末が95質量%であるときは、TCE及びPCEの場合と比べて分解率、溶解鉄量とも少し劣っていることが分かる。
実験例46〜50及び参考例2〜3
濃度100mg/LのTCE水溶液に硫酸を添加してpH3に調整し、この水溶液を50mL、表6の酸化第一鉄粉末、試薬酸化第一鉄粉末及び市販鉄粉を用いて製造した成形体、又は市販鉄粉(実験例49)及び試薬硫酸第一鉄粉末(実験例50)(これらは成形体とせずに粉末のまま用いた。)を各々0.5g、並びに10質量%過酸化水素水を0.4ml、それぞれバイアル瓶に投入して密閉した。各々の成形体は,それぞれの鉄源50gと活性炭50gとを用いて(実験例46〜48)又は活性炭は用いずに(参考例2〜3、この場合は鉄源100gを用いた。)、製造例1のようにして製造した。1週間経過後、TCE濃度及び溶液中の溶解鉄量を実験例1〜5の場合と同様にして測定し、TCE分解率を算出した。結果を表6に示す。
Figure 2007105557
表6の結果によれば、酸化第一鉄粉末及び試薬酸化第一鉄粉末と活性炭との成形体を用いた実験例46〜47では、TCE分解率が高く、溶解鉄量も十分に低減されている。一方、活性炭を用いていない参考例2〜3では、TCE分解率は高いものの、溶解鉄量が十分に低減されない傾向にある。また、市販鉄粉と活性炭との成形体を用いた実験例48、及び市販鉄粉を成形せずにそのまま用いた実験例49では、TCE分解率は高いものの、溶解鉄量が多く、問題である。更に、試薬硫酸第一鉄粉末をそのまま用いた実験例50では、TCE分解率が低いばかりでなく、溶解鉄量が極めて多く、汚泥処理が必要となり、大きな問題である。
実験例51〜53
全炭素量(以下、「TOC」と略記する。)が150mg/Lとなるように調整した水グリコール系難燃性作動液(松村石油社製、商品名「ハイドールHAW」)の水溶液500mLに硫酸を添加してpH3に調整し、その後、酸化第一鉄粉末50gと活性炭50gとを用いて製造例1のようにして製造した成形体(実験例51)、又は試薬硫酸第一鉄粉末(実験例52)及び市販鉄粉(実験例53)(これらは成形体とせずに粉末のまま用いた。)を各々10g、及び30質量%過酸化水素水10gを投入し、スターラーによって攪拌し、24時間経過後にTOCを測定し、スラッジ量を算出した。TOCは、燃焼触媒酸化方式のTOC計(島津製作所製、型式「TOC−VCSH」)を用いて測定した。また、分解処理後の水溶液を苛性ソーダにより中和処理し、処理前後の重量変化からスラッジ量を算出した。結果を表7に示す。
Figure 2007105557
表7の結果によれば、酸化第一鉄粉末と活性炭との成形体を用いた実験例51、試薬硫酸第一鉄粉末をそのまま用いた実験例52及び市販鉄粉をそのまま用いた実験例53は、TOC低減率は同程度である。しかし、実験例51ではスラッジ量が極めて少ないのに対して、実験例52及び実験例53では、スラッジ量が極めて多く、問題である。
実験例54〜55及び参考例4
TOCが50mg/Lとなるように調整したメチレンブルー(C1618SCl・3HO、片山化学工業社製)の水溶液200mLに硫酸を添加してpH3に調整し、その後、酸化第一鉄粉末50gと活性炭50g(実験例54)及び酸化第一鉄粉末100g(参考例4)を用いて製造例1のようにして製造した成形体、又は試薬硫酸第一鉄粉末(実験例55、成形体とせずに粉末のまま用いた。)を各々2g、及び30質量%過酸化水素水0.5gを投入し、スターラーによって攪拌し、24時間経過後にTOC及び溶解鉄量を測定した。TOCは実験例51〜53と同様にして測定し、TOC低減率を算出した。また、溶解鉄量は実験例1〜5と同様にして測定した。結果を表8に示す。
Figure 2007105557
表8の結果によれば、酸化第一鉄粉末と活性炭との成形体を用いた実験例54では、TOC低減率は十分であり、且つ溶解鉄量も少ない。また、酸化第一鉄粉末のみからなる成形体を用いた参考例4では、TOC低減率は十分であり、且つ溶解鉄量も低減されており、活性炭を併用したときほどではないが、良好な結果となっている。一方、試薬硫酸第一鉄粉末をそのまま用いた実験例55では、TOC低減率が低く、溶解鉄量も極めて多く、問題である。
実験例56〜59
TOCが100mg/Lとなるように調整した酢酸の水溶液200mLに硫酸を添加してpH3に調整し、その後、酸化第一鉄粉末50gと活性炭50g(実験例56)、試薬酸化第一鉄粉末50gと活性炭50g(実験例57)及び試薬還元鉄粉50gと活性炭50g(実験例58)をそれぞれ用いて製造例1のように製造した成形体、又は試薬還元鉄粉(実験例59、成形体とせずに粉末のまま用いた。)を各々4g、及び30質量%過酸化水素水1gを投入し、スターラーによって攪拌し、96時間経過後にTOC及び溶解鉄量を測定した。TOCは実験例51〜53と同様にして測定し、TOC低減率を算出した。また、溶解鉄量は実験例1〜5と同様にして測定した。結果を表9に示す。
尚、酢酸はダイオキシン類と同程度に分解し難い有機物といわれており、ダイオキシンをどの程度分解することができるか推定するため、その代用として実験に用いられることがある。
Figure 2007105557
表9の結果によれば、酸化第一鉄粉末又は試薬酸化第一鉄粉末と活性炭との成形体を用いた実験例56〜57では、TOC低減率は十分であり、且つ溶解鉄量も十分に少ない。一方、試薬還元鉄粉と活性炭との成形体を用いた実験例58、及び試薬還元鉄粉をそのまま用いた実験例59では、TOC低減率は十分であるものの、溶解鉄量が多く、問題である。
実験例60〜62及び参考例5
TOCが20mg/Lとなるように調整したメチレンブルー(C1618SCl・3HO、片山化学工業社製)の水溶液200mLに硫酸を添加してpH3に調整し、その後、酸化第一鉄粉末50gと活性炭50gとを使用し、製造例1のようにして製造した成形体を10g、及び30質量%過酸化水素水0.5gを投入し(実験例60)、又は過酸化水素水は投入せず(参考例5)、スターラーによって攪拌し、5時間経過後にTOCを測定した。TOCは実験例51〜53と同様にして測定し、TOC低減率を算出した。また、参考例5及び実験例62では、周波数200kHzの超音波の照射がメチレンブルーの分解に及ぼす影響を併せて確認した。超音波の照射には超音波洗浄機(カイジョー社製、型式「ミッドソニックCA−76Ti−62」)を用いた。結果を表10に示す.
Figure 2007105557
表10の結果によれば、過酸化水素を用いず、有機物分解処理材と超音波照射とを併用した参考例5の場合も、TOC低減率は十分に高いことが分かる。また、有機物分解処理材を用いず、超音波照射のみであっても、実験例62のように、分解率は低いものの有機物を分解することができる。
尚、表2〜10における各種の鉄源は各々の表には明記されていないが、いずれも粉末である。
尚、本発明においては、前記の具体的な実施例に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。例えば、吸着剤として、活性炭と、ゼオライト、シリカゲル、活性アルミナ等の他の吸着剤とを併用することもできる。この場合、他の吸着剤も粒状体又は粉体であることが好ましく、その平均粒径は特に限定されないが、活性炭と同様であることが好ましい。また、活性炭と他の吸着剤との質量割合は特に限定されないが、活性炭と他の吸着剤との合計を100質量%とした場合に、活性炭は60質量%以上、特に80質量%であることが好ましい。
更に、本発明には含まれないが、参考例1〜4のように、酸化第一鉄のみを使用し、活性炭等の吸着剤を併用しない有機物分解処理材とすることもできる。即ち、酸化第一鉄を含む酸化鉄成分を含有する有機物分解処理材とすることができる。この有機物分解処理材の場合も、酸化鉄成分がバインダにより結合されていてもよく、このバインダとしては、無機バインダが好ましく、この無機バインダとしては、コロイダルシリカが特に好ましい。また、この有機物分解処理材は、粒状体であり、その粒径が1〜10mmであることが好ましい。更に、この有機物分解処理材と、有機物を含有する被処理物と、過酸化水素とを接触させることで、有機物を含有する被処理物を分解処理することができる。これらを接触させる順序は特に限定されないが、被処理物と、有機物分解処理材とを接触させ、その後、更に過酸化水素を接触させる方法が、分解効率が向上するため好ましい。この分解処理方法は、被処理物が水系であっても、土壌であっても適用することができるが、被処理物が、有機物が水に溶解又は分散してなるものである場合に特に有用である。
また、本発明には含まれないが、参考例5のように、過酸化水素を用いず、超音波照射を併用して有機物を含有する被処理物を分解処理することもできる。即ち、本発明の有機物分解処理材を、有機物を含有する被処理物と接触させながら、これに超音波を照射して有機物を含有する被処理物を分解処理することができる。更に、超音波の照射の他に、有機物分解処理材と、有機物を含有する被処理物と、オゾンとを接触させて有機物を含有する被処理物を分解処理することもできる。また、有機物を含有する被処理物と、有機物分解処理材とを接触させながら、これに紫外線を照射して有機物を含有する被処理物を分解処理することもできる。このように、有機物分解処理材と、過酸化水素を除く各種の酸化剤及び/又は酸化作用を有する照射線とにより、過酸化水素を用いた場合と同様に効率よく有機物を分解処理することができる。この有機物分解処理材の場合、酸化鉄成分と吸着剤とは単なる混合物でもよく、酸化鉄成分及び吸着剤がバインダにより結合されていてもよい。このバインダとしては、無機バインダが好ましく、この無機バインダとしては、コロイダルシリカが特に好ましい。また、この有機物分解処理材は、粒状体であり、その粒径が1〜10mmであることが好ましい。この分解処理方法は、被処理物が水系であっても、土壌であっても適用することができるが、被処理物が、有機物が水に溶解又は分散してなるものである場合に特に有用である。
尚、前記のように、酸化第一鉄のみを使用し、活性炭等の吸着剤を併用しない有機物分解処理材とした場合も、上記のように、過酸化水素を用いず、有機物分解処理材と、過酸化水素を除く各種の酸化剤及び/又は酸化作用を有する照射線とにより、上記と同様にして過酸化水素を用いた場合と同様に効率よく有機物を分解処理することができる。

Claims (10)

  1. 酸化第一鉄及び四三酸化鉄のうちの少なくとも一方を含む酸化鉄成分と、吸着剤とを含有することを特徴とする有機物分解処理材。
  2. 上記吸着剤が活性炭である請求項1に記載の有機物分解処理材。
  3. 上記酸化鉄成分と、上記吸着剤との合計を100質量%とした場合に、該酸化鉄成分は3〜92質量%である請求項1又は2に記載の有機物分解処理材。
  4. 上記酸化鉄成分と、上記吸着剤とが、バインダにより結合されてなる請求項1乃至3のうちのいずれか1項に記載の有機物分解処理材。
  5. 上記バインダが無機バインダである請求項4に記載の有機物分解処理材。
  6. 上記無機バインダがコロイダルシリカである請求項5に記載の有機物分解処理材。
  7. 粒状体であり、粒径が1〜10mmである請求項4乃至6のうちのいずれか1項に記載の有機物分解処理材。
  8. 有機物を含有する被処理物と、請求項1乃至7のうちのいずれか1項に記載の有機物分解処理材と、過酸化水素とを接触させることを特徴とする有機物を含有する被処理物の分解処理方法。
  9. 上記被処理物と、上記有機物分解処理材とを接触させ、その後、更に上記過酸化水素を接触させる請求項8に記載の有機物を含有する被処理物の分解処理方法。
  10. 上記被処理物は、上記有機物が水に溶解又は分散してなるものである請求項8又は9に記載の有機物を含有する被処理物の分解処理方法。
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