JP2021167368A - 液状組成物及び積層体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】低分子量のエポキシ化合物を使用することにより、無機フィラーの分散安定性に優れる液状組成物、及び、無機フィラーに基づく良好な物性を備えるポリマー層を有する積層体を製造し得る製造方法の提供。【解決手段】本発明の液状組成物は、エポキシ基と反応し得る反応性基を有するテトラフルオロエチレン系ポリマーのパウダーと、エポキシ基を2個以上有し、分子量が200〜3000であるエポキシ化合物と、無機フィラーと、液状分散媒とを含む。【選択図】なし
Description
本発明は、液状組成物及び積層体の製造方法に関する。
テトラフルオロエチレン系ポリマーは、離型性、電気絶縁性、撥水撥油性、耐薬品性、耐候性、耐熱性等の物性に優れており、そのパウダーを含む液状組成物は、種々の成形物(含浸基材、担持基材、層状基材等)の形成に使用できる(特許文献1)。
特許文献2には、エポキシ樹脂と、これと反応し得るテトラフルオロエチレン系ポリマーのパウダーを含む液状組成物を加熱処理して調製された、所定粘度の液状組成物が記載されている。かかる液状組成物は、分散安定性に優れており、テトラフルオロエチレン系ポリマーとエポキシ樹脂とが均一に分布した成形物を形成できる。また、その成形物は、基材接着性にも優れている。
特許文献2には、エポキシ樹脂と、これと反応し得るテトラフルオロエチレン系ポリマーのパウダーを含む液状組成物を加熱処理して調製された、所定粘度の液状組成物が記載されている。かかる液状組成物は、分散安定性に優れており、テトラフルオロエチレン系ポリマーとエポキシ樹脂とが均一に分布した成形物を形成できる。また、その成形物は、基材接着性にも優れている。
近年、テトラフルオロエチレン系ポリマーのパウダーを含む液状組成物から形成される成形物の線膨張係数を低減させる要求や、UV吸収性を向上させる要求がある。そして、かかる要求を満足するべく、上記液状組成物に無機フィラーを配合する検討が盛んに行われている。その際、本発明者らは、液状組成物の分散安定性の低下と、成形物の接着性の低下が生じやすくする課題を知見した。
これらは、液状組成物の加熱処理により、テトラフルオロエチレン系ポリマーとエポキシ樹脂とが反応して、複雑なマトリックスが形成され、無機フィラーの分散性が阻害される点に要因があると思われる。
本発明は、低分子量のエポキシ化合物を使用することにより、無機フィラーの分散安定性に優れる液状組成物、及び、無機フィラーに基づく良好な物性を備えるポリマー層を有する積層体を製造し得る製造方法の提供を目的とする。
これらは、液状組成物の加熱処理により、テトラフルオロエチレン系ポリマーとエポキシ樹脂とが反応して、複雑なマトリックスが形成され、無機フィラーの分散性が阻害される点に要因があると思われる。
本発明は、低分子量のエポキシ化合物を使用することにより、無機フィラーの分散安定性に優れる液状組成物、及び、無機フィラーに基づく良好な物性を備えるポリマー層を有する積層体を製造し得る製造方法の提供を目的とする。
本発明は、下記の態様を有する。
<1> エポキシ基と反応し得る反応性基を有するテトラフルオロエチレン系ポリマーのパウダーと、エポキシ基を2個以上有し、分子量が200〜3000であるエポキシ化合物と、無機フィラーと、液状分散媒とを含む、液状組成物。
<2> 前記反応性基が、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、カーボネート基又は酸無水物残基である、<1>の液状組成物。
<3> 前記テトラフルオロエチレン系ポリマーが、前記反応性基を有するモノマーに基づく単位を含むテトラフルオロエチレン系ポリマーである、<1>又は<2>の液状組成物。
<4> 前記テトラフルオロエチレン系ポリマーが、溶融温度が200〜320℃であるテトラフルオロエチレン系ポリマーである、<1>〜<3>のいずれかの液状組成物。
<5> 前記テトラフルオロエチレン系ポリマーが、ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)に基づく単位又はヘキサフルオロプロピレンに基づく単位を含むテトラフルオロエチレン系ポリマーである、<1>〜<4>のいずれかの液状組成物。
<6> 前記無機フィラーが、シリカフィラーである、<1>〜<5>のいずれかの液状組成物。
<7> 前記テトラフルオロエチレン系ポリマーの含有量が10質量%以上であり、前記無機フィラーの含有量が5質量%以上である、<1>〜<6>のいずれかの液状組成物。
<8> 前記エポキシ化合物が、3級アミン構造、アミド構造又はエステル構造を有するエポキシ化合物である、<1>〜<7>のいずれかの液状組成物。
<9> 前記エポキシ化合物が、脂環構造を有するエポキシ化合物である、<1>〜<8>のいずれかの液状組成物。
<10> 前記液状分散媒が、エステル、ケトン又はアミドである、<1>〜<9>の液状組成物。
<11> さらに、硬化剤を含む、<1>〜<10>の液状組成物。
<12> さらに、架橋剤を含む、<1>〜<11>の液状組成物。
<13> さらに、芳香族性ポリマーを含む、<1>〜<12>の液状組成物。
<14> <1>〜<13>の液状組成物を、基材層に付与し、加熱して前記液状分散媒を揮発させ、さらに加熱して前記テトラフルオロエチレン系ポリマーを焼成して、前記基材層と、前記テトラフルオロエチレン系ポリマーを含むポリマー層とを有する積層体を得る、積層体の製造方法。
<1> エポキシ基と反応し得る反応性基を有するテトラフルオロエチレン系ポリマーのパウダーと、エポキシ基を2個以上有し、分子量が200〜3000であるエポキシ化合物と、無機フィラーと、液状分散媒とを含む、液状組成物。
<2> 前記反応性基が、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、カーボネート基又は酸無水物残基である、<1>の液状組成物。
<3> 前記テトラフルオロエチレン系ポリマーが、前記反応性基を有するモノマーに基づく単位を含むテトラフルオロエチレン系ポリマーである、<1>又は<2>の液状組成物。
<4> 前記テトラフルオロエチレン系ポリマーが、溶融温度が200〜320℃であるテトラフルオロエチレン系ポリマーである、<1>〜<3>のいずれかの液状組成物。
<5> 前記テトラフルオロエチレン系ポリマーが、ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)に基づく単位又はヘキサフルオロプロピレンに基づく単位を含むテトラフルオロエチレン系ポリマーである、<1>〜<4>のいずれかの液状組成物。
<6> 前記無機フィラーが、シリカフィラーである、<1>〜<5>のいずれかの液状組成物。
<7> 前記テトラフルオロエチレン系ポリマーの含有量が10質量%以上であり、前記無機フィラーの含有量が5質量%以上である、<1>〜<6>のいずれかの液状組成物。
<8> 前記エポキシ化合物が、3級アミン構造、アミド構造又はエステル構造を有するエポキシ化合物である、<1>〜<7>のいずれかの液状組成物。
<9> 前記エポキシ化合物が、脂環構造を有するエポキシ化合物である、<1>〜<8>のいずれかの液状組成物。
<10> 前記液状分散媒が、エステル、ケトン又はアミドである、<1>〜<9>の液状組成物。
<11> さらに、硬化剤を含む、<1>〜<10>の液状組成物。
<12> さらに、架橋剤を含む、<1>〜<11>の液状組成物。
<13> さらに、芳香族性ポリマーを含む、<1>〜<12>の液状組成物。
<14> <1>〜<13>の液状組成物を、基材層に付与し、加熱して前記液状分散媒を揮発させ、さらに加熱して前記テトラフルオロエチレン系ポリマーを焼成して、前記基材層と、前記テトラフルオロエチレン系ポリマーを含むポリマー層とを有する積層体を得る、積層体の製造方法。
本発明によれば、無機フィラーの分散安定性に優れる液状組成物、及び、無機フィラーに基づく良好な物性を備えるポリマー層を有する積層体が得られる。
以下の用語は、以下の意味を有する。
「平均粒子径(D50)」は、レーザー回折・散乱法によって求められる対象物(パウダー又は無機フィラー)のパウダーの体積基準累積50%径である。すなわち、レーザー回折・散乱法によって対象物の粒度分布を測定し、対象物の粒子の集団の全体積を100%として累積カーブを求め、その累積カーブ上で累積体積が50%となる点の粒子径である。
「D90」は、同様にして測定される、対象物の体積基準累積90%径である。
「溶融温度(融点)」は、示差走査熱量測定(DSC)法で測定したポリマーの融解ピークの最大値に対応する温度である。
「ガラス転移点(Tg)」は、動的粘弾性測定(DMA)法でポリマー、硬化物又はエラストマーを分析して測定される値である。
「粘度」は、B型粘度計を用いて、25℃で回転数が30rpmの条件下で液状組成物を測定し求められる値である。測定を3回繰り返し、3回分の測定値の平均値とする。
「チキソ比」とは、液状組成物を回転数が30rpmの条件で測定して求められる粘度η1を回転数が60rpmの条件で測定して求められる粘度η2で除して算出される値(η1/η2)である。
ポリマーにおける「単位」は、モノマーから直接形成された原子団であってもよく、得られたポリマーを所定の方法で処理して、構造の一部が変換された原子団であってもよい。ポリマーに含まれる、モノマーAに基づく単位を、単に「モノマーA単位」とも記す。
「平均粒子径(D50)」は、レーザー回折・散乱法によって求められる対象物(パウダー又は無機フィラー)のパウダーの体積基準累積50%径である。すなわち、レーザー回折・散乱法によって対象物の粒度分布を測定し、対象物の粒子の集団の全体積を100%として累積カーブを求め、その累積カーブ上で累積体積が50%となる点の粒子径である。
「D90」は、同様にして測定される、対象物の体積基準累積90%径である。
「溶融温度(融点)」は、示差走査熱量測定(DSC)法で測定したポリマーの融解ピークの最大値に対応する温度である。
「ガラス転移点(Tg)」は、動的粘弾性測定(DMA)法でポリマー、硬化物又はエラストマーを分析して測定される値である。
「粘度」は、B型粘度計を用いて、25℃で回転数が30rpmの条件下で液状組成物を測定し求められる値である。測定を3回繰り返し、3回分の測定値の平均値とする。
「チキソ比」とは、液状組成物を回転数が30rpmの条件で測定して求められる粘度η1を回転数が60rpmの条件で測定して求められる粘度η2で除して算出される値(η1/η2)である。
ポリマーにおける「単位」は、モノマーから直接形成された原子団であってもよく、得られたポリマーを所定の方法で処理して、構造の一部が変換された原子団であってもよい。ポリマーに含まれる、モノマーAに基づく単位を、単に「モノマーA単位」とも記す。
本発明の液状組成物(以下、「本組成物」とも記す。)は、エポキシ基と反応し得る反応性基を有するテトラフルオロエチレン系ポリマー(以下、「Fポリマー」とも記す。)のパウダー(以下、「Fパウダー」とも記す。)と、エポキシ基を2個以上有し、分子量が200〜3000であるエポキシ化合物と、無機フィラーと、液状分散媒とを含む、パウダー分散液である。なお、液状組成物中において、Fパウダー及び無機フィラーは分散しており、かつ、エポキシ化合物は溶解しているのが好ましい。
本組成物は、無機フィラーの分散安定性に優れており、無機フィラーに基づく良好な物性を備えるポリマー層を有する積層体を製造するのに好適に使用できる。
その作用機構としては、エポキシ化合物が、非樹脂状の低分子量の化合物であるため、粘度調製剤、チキソ性付与剤又は分散剤として機能して、本組成物におけるFパウダー及び無機フィラーの分散安定性の向上に寄与すると考えられる。
また、エポキシ化合物が、本組成物から成形物(後述するポリマー層等)を形成する際に、架橋剤として機能し、ポリマーマトリックスの構成成分として無機フィラーの保持と接着性の発現とに寄与するためと考えられる。
その作用機構としては、エポキシ化合物が、非樹脂状の低分子量の化合物であるため、粘度調製剤、チキソ性付与剤又は分散剤として機能して、本組成物におけるFパウダー及び無機フィラーの分散安定性の向上に寄与すると考えられる。
また、エポキシ化合物が、本組成物から成形物(後述するポリマー層等)を形成する際に、架橋剤として機能し、ポリマーマトリックスの構成成分として無機フィラーの保持と接着性の発現とに寄与するためと考えられる。
本組成物におけるFパウダーは、Fポリマーからなるのが好ましい。FパウダーにおけるFポリマーの含有量は、80質量%以上が好ましく、100質量%がより好ましい。
Fパウダーに含まれ得る他の成分としては、芳香族ポリエステル、ポリアミドイミド、熱可塑性ポリイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンオキシド等の耐熱性ポリマーが挙げられる。
FパウダーのD50は、6μm以下が好ましく、4μm以下がより好ましい。FパウダーのD50は、0.1μm以上がより好ましく、1μm以上がさらに好ましい。また、FパウダーのD90は、10μm以下がより好ましく、6μm以下がさらに好ましい。FパウダーのD50及びD90が、かかる範囲にあれば、エポキシ化合物との相互作用が亢進して、本組成物の分散性が向上しやすいだけでなく、Fパウダーが緻密にパッキングしやすい。
本組成物におけるFパウダーの含有量は、10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましい。Fパウダーの含有量は、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましい。Fパウダーの含有量が、かかる範囲にあれば、エポキシ化合物との相互作用が亢進して、本組成物の分散性が向上しやすいだけでなく、Fパウダーが緻密にパッキングしやすい。
Fパウダーに含まれ得る他の成分としては、芳香族ポリエステル、ポリアミドイミド、熱可塑性ポリイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンオキシド等の耐熱性ポリマーが挙げられる。
FパウダーのD50は、6μm以下が好ましく、4μm以下がより好ましい。FパウダーのD50は、0.1μm以上がより好ましく、1μm以上がさらに好ましい。また、FパウダーのD90は、10μm以下がより好ましく、6μm以下がさらに好ましい。FパウダーのD50及びD90が、かかる範囲にあれば、エポキシ化合物との相互作用が亢進して、本組成物の分散性が向上しやすいだけでなく、Fパウダーが緻密にパッキングしやすい。
本組成物におけるFパウダーの含有量は、10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましい。Fパウダーの含有量は、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましい。Fパウダーの含有量が、かかる範囲にあれば、エポキシ化合物との相互作用が亢進して、本組成物の分散性が向上しやすいだけでなく、Fパウダーが緻密にパッキングしやすい。
本組成物におけるFポリマーは、テトラフルオロエチレン(TFE)に基づく単位(TFE単位)を含むポリマーである。
Fポリマーとしては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、TFEとエチレンとのコポリマー(ETFE)、TFEとプロピレンとのコポリマー、TFEとペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)とのコポリマー(PFA)、TFEとヘキサフルオロプロピレン(HFP)とのコポリマー(FEP)が挙げられる。上記コポリマーは、さらに他のコモノマーに基づく単位を含んでいてもよい。なお、PTFEには、TFEのホモポリマーに加えて、極微量のコモノマーとTFEとのコポリマー(いわゆる、変性PTFE)も包含される。
Fポリマーとしては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、TFEとエチレンとのコポリマー(ETFE)、TFEとプロピレンとのコポリマー、TFEとペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)とのコポリマー(PFA)、TFEとヘキサフルオロプロピレン(HFP)とのコポリマー(FEP)が挙げられる。上記コポリマーは、さらに他のコモノマーに基づく単位を含んでいてもよい。なお、PTFEには、TFEのホモポリマーに加えて、極微量のコモノマーとTFEとのコポリマー(いわゆる、変性PTFE)も包含される。
Fポリマーは、TFE単位と、PAVEに基づく単位(PAVE単位)又はHFPに基づく単位(HFP単位)を含むポリマーが好ましい。この場合のFポリマーはPAVE単位及びHFP単位の両方を含んでいてもよく、いずれか一方のみを含んでいてもよい。
PAVEは、CF2=CFOCF3、CF2=CFOCF2CF3又はCF2=CFOCF2CF2CF3(PPVE)が好ましく、PPVEがより好ましい。
Fポリマーは、エポキシ基と反応し得る反応性基を有している。反応性基は、Fポリマー中の単位に含まれていてもよく、ポリマーの主鎖の末端基に含まれていてもよい。後者の態様としては、重合開始剤、連鎖移動剤等に由来する末端基として反応性基を有するFポリマー、Fポリマーをプラズマ処理や電離線処理して得られる反応性基を有するFポリマーが挙げられる。
PAVEは、CF2=CFOCF3、CF2=CFOCF2CF3又はCF2=CFOCF2CF2CF3(PPVE)が好ましく、PPVEがより好ましい。
Fポリマーは、エポキシ基と反応し得る反応性基を有している。反応性基は、Fポリマー中の単位に含まれていてもよく、ポリマーの主鎖の末端基に含まれていてもよい。後者の態様としては、重合開始剤、連鎖移動剤等に由来する末端基として反応性基を有するFポリマー、Fポリマーをプラズマ処理や電離線処理して得られる反応性基を有するFポリマーが挙げられる。
反応性基は、エポキシ基との高い反応性及び本組成物の良好な分散性の観点から、カルボニル基含有基が好ましい。
カルボニル基含有基としては、カルボニル基(>C(O))を含む基であり、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アミド基、イソシアネート基、カルバメート基(−OC(O)NH2)、酸無水物残基(−C(O)OC(O)−)、イミド残基(−C(O)NHC(O)−等)又はカーボネート基(−OC(O)O−)が挙げられる。中でも、エポキシ基との反応性が特に高い観点から、カルボニル基含有基は、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、カーボネート基又は酸無水物残基が好ましい。
カルボニル基含有基としては、カルボニル基(>C(O))を含む基であり、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アミド基、イソシアネート基、カルバメート基(−OC(O)NH2)、酸無水物残基(−C(O)OC(O)−)、イミド残基(−C(O)NHC(O)−等)又はカーボネート基(−OC(O)O−)が挙げられる。中でも、エポキシ基との反応性が特に高い観点から、カルボニル基含有基は、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、カーボネート基又は酸無水物残基が好ましい。
Fポリマーは、反応性基を有するモノマーに基づく単位を含むのが好ましく、TFE単位、PAVE単位及び反応性基を有するモノマーに基づく単位を含むポリマーがより好ましい。このポリマーは、全単位に対して、TFE単位を90〜99モル%、PAVE単位を0.5〜9.97モル%及び反応性基を有するモノマーに基づく単位を0.01〜3モル%、それぞれ含有するのが好ましい。
また、反応性基を有するモノマーは、無水イタコン酸、無水シトラコン酸又は5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物(別称:無水ハイミック酸;以下、「NAH」とも記す。)が好ましい。
かかるFポリマーの具体例としては、国際公開第2018/16644号に記載されるポリマーが挙げられる。
Fポリマーの溶融温度は、200〜320℃が好ましく、260〜320℃がより好ましい。この場合、本組成物から形成される成形物の耐熱性が優れやすい。
Fポリマーのガラス転移点は、75〜125℃が好ましく、80〜100℃がより好ましい。
また、反応性基を有するモノマーは、無水イタコン酸、無水シトラコン酸又は5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物(別称:無水ハイミック酸;以下、「NAH」とも記す。)が好ましい。
かかるFポリマーの具体例としては、国際公開第2018/16644号に記載されるポリマーが挙げられる。
Fポリマーの溶融温度は、200〜320℃が好ましく、260〜320℃がより好ましい。この場合、本組成物から形成される成形物の耐熱性が優れやすい。
Fポリマーのガラス転移点は、75〜125℃が好ましく、80〜100℃がより好ましい。
本組成物におけるエポキシ化合物は、エポキシ基を2個以上有し、分子量が200〜3000である。すなわち、エポキシ化合物は、多官能の低分子化合物である。
エポキシ化合物が有するエポキシ基の数は、3個以上が好ましく、4個以上がより好ましい。エポキシ基の数の上限は、8個であるのが好ましい。かかるエポキシ化合物を使用すれば、成形物において、エポキシ化合物とFポリマーとの架橋密度が適度になるため、成形物の柔軟性及び接着性が低下し過ぎるのを防止しつつ、無機フィラーの保持効果が充分に高まる。
エポキシ化合物は、極性構造を有するのが好ましく、3級アミン構造、アミド構造又はエステル構造を有するのがより好ましく、3級アミン構造を有するのがさらに好ましい。かかる構造を有するエポキシ化合物は、極性が高まり、無機フィラー及び液状分散媒との相互作用がより高まりやすい。
エポキシ化合物が有するエポキシ基の数は、3個以上が好ましく、4個以上がより好ましい。エポキシ基の数の上限は、8個であるのが好ましい。かかるエポキシ化合物を使用すれば、成形物において、エポキシ化合物とFポリマーとの架橋密度が適度になるため、成形物の柔軟性及び接着性が低下し過ぎるのを防止しつつ、無機フィラーの保持効果が充分に高まる。
エポキシ化合物は、極性構造を有するのが好ましく、3級アミン構造、アミド構造又はエステル構造を有するのがより好ましく、3級アミン構造を有するのがさらに好ましい。かかる構造を有するエポキシ化合物は、極性が高まり、無機フィラー及び液状分散媒との相互作用がより高まりやすい。
また、エポキシ化合物は、脂環構造、脂肪族構造(直鎖状又は分枝状)、芳香環構造のいずれを有してもよく、脂環構造を有するのが好ましい。脂環構造を有するエポキシ化合物は、液状組成物の物性を向上させやすい。
エポキシ化合物の分子量は、200〜3000であり、250〜2000が好ましく、300〜1000がより好ましい。かかるエポキシ化合物は、本組成物中の他の成分との相互作用がより高まりやすい。
エポキシ化合物の具体例としては、1,4−ビス(ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ジグリシジルシクロヘキサン、1,3−ジグリシジルシクロヘキサン、1,3,5−トリグリシジルイソシアヌレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルが挙げられる。
本組成物におけるエポキシ化合物の含有量は、0.1質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましい。エポキシ化合物の含有量は、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。エポキシ化合物の含有量が、かかる範囲にあれば、本組成物におけるエポキシ化合物の作用(分散作用、粘度調整作用、チキソ性付与作用)と、本組成物の使用に際するエポキシ化合物の作用(架橋作用)とがバランスしやすい。
エポキシ化合物の分子量は、200〜3000であり、250〜2000が好ましく、300〜1000がより好ましい。かかるエポキシ化合物は、本組成物中の他の成分との相互作用がより高まりやすい。
エポキシ化合物の具体例としては、1,4−ビス(ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ジグリシジルシクロヘキサン、1,3−ジグリシジルシクロヘキサン、1,3,5−トリグリシジルイソシアヌレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルが挙げられる。
本組成物におけるエポキシ化合物の含有量は、0.1質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましい。エポキシ化合物の含有量は、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。エポキシ化合物の含有量が、かかる範囲にあれば、本組成物におけるエポキシ化合物の作用(分散作用、粘度調整作用、チキソ性付与作用)と、本組成物の使用に際するエポキシ化合物の作用(架橋作用)とがバランスしやすい。
本組成物における無機フィラーは、窒化物フィラー又は無機酸化物フィラーが好ましく、窒化ホウ素フィラー、ベリリアフィラー(ベリリウムの酸化物のフィラー)、ケイ酸塩フィラー(シリカフィラー、ウォラストナイトフィラー、タルクフィラー)、又は金属酸化物(酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン等)フィラーがより好ましく、シリカフィラーがさらに好ましい。かかる無機フィラーを使用すれば、成形物の低線膨張性、電気特性を一層向上させられる。
無機フィラーにおける、シリカの含有量は、50質量%以上が好ましく、75質量%がより好ましい。シリカの含有量は、100質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましい。
無機フィラーにおける、シリカの含有量は、50質量%以上が好ましく、75質量%がより好ましい。シリカの含有量は、100質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましい。
無機フィラーは、その表面の少なくとも一部が、表面処理されているのが好ましい。かかる表面処理に用いられる表面処理剤としては、多価アルコール(トリメチロールエタン、ペンタエリストール、プロピレングリコール等)、飽和脂肪酸(ステアリン酸、ラウリン酸等)、そのエステル、アルカノールアミン、アミン(トリメチルアミン、トリエチルアミン等)、パラフィンワックス、シランカップリング剤、シリコーン、ポリシロキサンが挙げられる。
シランカップリング剤は、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン又は3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランが好ましい。
シランカップリング剤は、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン又は3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランが好ましい。
無機フィラーのD50は、20μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましい。平均粒子径は、0.1μm以上が好ましく、1μm以上がより好ましい。
無機フィラーの形状は、粒状、針状(繊維状)、板状のいずれであってもよい。無機フィラーの具体的な形状としては、球状、鱗片状、層状、葉片状、杏仁状、柱状、鶏冠状、等軸状、葉状、雲母状、ブロック状、平板状、楔状、ロゼット状、網目状、角柱状が挙げられる。
無機フィラーの具体例としては、シリカフィラー(アドマテックス社製の「アドマファイン」シリーズ等)、ジカプリン酸プロピレングリコール等のエステルで表面処理された酸化亜鉛(堺化学工業株式会社製の「FINEX」シリーズ等)、球状溶融シリカ(デンカ社製の「SFP」シリーズ等)、多価アルコール及び無機物で被覆処理された(石原産業社製の「タイペーク」シリーズ等)、アルキルシランで表面処理されたルチル型酸化チタン(テイカ社製の「JMT」シリーズ等)が挙げられる。
無機フィラーの形状は、粒状、針状(繊維状)、板状のいずれであってもよい。無機フィラーの具体的な形状としては、球状、鱗片状、層状、葉片状、杏仁状、柱状、鶏冠状、等軸状、葉状、雲母状、ブロック状、平板状、楔状、ロゼット状、網目状、角柱状が挙げられる。
無機フィラーの具体例としては、シリカフィラー(アドマテックス社製の「アドマファイン」シリーズ等)、ジカプリン酸プロピレングリコール等のエステルで表面処理された酸化亜鉛(堺化学工業株式会社製の「FINEX」シリーズ等)、球状溶融シリカ(デンカ社製の「SFP」シリーズ等)、多価アルコール及び無機物で被覆処理された(石原産業社製の「タイペーク」シリーズ等)、アルキルシランで表面処理されたルチル型酸化チタン(テイカ社製の「JMT」シリーズ等)が挙げられる。
本組成物における無機フィラーの含有量は、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましい。無機フィラーの含有量は、40質量%以下が好ましく、35質量%以下がより好ましい。無機フィラーの含有量が、かかる範囲にあれば、本組成物の分散性が向上しやすいだけでなく、無機フィラーが緻密にパッキングしやすい。
Fポリマーの含有量に対する無機フィラーの含有量の比(質量比)は、0.1〜1が好ましい。
本組成物における無機フィラー及びFポリマーの含有量の具体的な態様としては、Fポリマーの含有量が10質量%以上であり、無機フィラーの含有量が5質量%以上である態様が好ましい。
Fポリマーの含有量に対する無機フィラーの含有量の比(質量比)は、0.1〜1が好ましい。
本組成物における無機フィラー及びFポリマーの含有量の具体的な態様としては、Fポリマーの含有量が10質量%以上であり、無機フィラーの含有量が5質量%以上である態様が好ましい。
本組成物における液状分散媒は、25℃で液体の化合物であり、Fポリマー、エポキシ化合物及び無機フィラーのいずれとも反応しない化合物である。液状分散媒は、2種以上を併用してもよい。
液状分散媒の沸点は、80℃以上、かつ、エポキシ化合物の熱分解温度以下であるのが好ましく、80〜150℃であるのがより好ましい。この場合、本組成物におけるエポキシ化合物の作用と、本組成物の使用に際するエポキシ化合物の作用とがバランスしやすい。
液状分散媒は、エステル、ケトン又はアミドであるのが好ましい。かかる液状分散媒の具体例としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、乳酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンが挙げられる。
液状分散媒の沸点は、80℃以上、かつ、エポキシ化合物の熱分解温度以下であるのが好ましく、80〜150℃であるのがより好ましい。この場合、本組成物におけるエポキシ化合物の作用と、本組成物の使用に際するエポキシ化合物の作用とがバランスしやすい。
液状分散媒は、エステル、ケトン又はアミドであるのが好ましい。かかる液状分散媒の具体例としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、乳酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンが挙げられる。
本組成物は、さらに、硬化剤を含むのが好ましい。硬化剤は、Fポリマーとエポキシ化合物との反応を促進する触媒を含むのが好ましい。この場合、成形物(ポリマー層等)を形成する際に、ポリマーマトリックスが円滑かつ均質に生成し、無機フィラーの保持効果がより高まる。
かかる触媒としては、3級アミン類、イミダゾ−ル類、ホスフィン類、テトラフェニルボロン塩、有機酸又はその金属塩(Zn、Cu、Fe等)が挙げられる。なお、これらの触媒は、1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
3級アミン類の具体例としては、1,8−ジアザ−ビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールが挙げられる。
イミダゾ−ル類の具体例としては、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチルー2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾールが挙げられる。
かかる触媒としては、3級アミン類、イミダゾ−ル類、ホスフィン類、テトラフェニルボロン塩、有機酸又はその金属塩(Zn、Cu、Fe等)が挙げられる。なお、これらの触媒は、1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
3級アミン類の具体例としては、1,8−ジアザ−ビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールが挙げられる。
イミダゾ−ル類の具体例としては、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチルー2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾールが挙げられる。
ホスフィン類の具体例としては、トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィンが挙げられる。
テトラフェニルボロン塩も具体例としては、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、2−エチル−4−メチルイミダゾール・テトラフェニルボレート、N−メチルモルホリン・テトラフェニルボレートが挙げられる。
有機酸の具体例としては、オクタン酸、ステアリン酸、アセチルアセト酢酸、ナフテン酸が挙げられる。
本組成物における触媒の含有量は、全固形分の含有量を100重量部としたとき、0.01〜5重量部が好ましい。
テトラフェニルボロン塩も具体例としては、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、2−エチル−4−メチルイミダゾール・テトラフェニルボレート、N−メチルモルホリン・テトラフェニルボレートが挙げられる。
有機酸の具体例としては、オクタン酸、ステアリン酸、アセチルアセト酢酸、ナフテン酸が挙げられる。
本組成物における触媒の含有量は、全固形分の含有量を100重量部としたとき、0.01〜5重量部が好ましい。
本組成物は、さらに、架橋剤を含むのが好ましい。架橋剤は、Fポリマー又はエポキシ化合物と反応して架橋構造を形成する剤であり、エポキシ基と反応し得る反応性基又はエポキシ基と反応し得る基を2個以上有する化合物である。本組成物が架橋剤を含めば、成形物(ポリマー層等)を形成する際に、ポリマーマトリックスの架橋密度を調製して、成形物の柔軟性を確保しつつ、接着性を高度に発現できる。
架橋剤としては、酸無水物残基を2個以上有する化合物(酸無水物型架橋剤)、エステル基を2個以上有する化合物(エステル型架橋剤)、カーボネート基を2個以上有する化合物(カーボネート型架橋剤)、シアン酸基を2個以上有する化合物(シアン酸型架橋剤)、イソシアネート基を2個以上有する化合物(イソシアネート型架橋剤)が挙げられる。
本組成物における架橋剤の含有量は、1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましい。架橋剤の含有量は、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましい。架橋剤の含有量が、かかる範囲にあれば、ポリマーマトリックスの架橋密度を調整しやすい。
架橋剤としては、酸無水物残基を2個以上有する化合物(酸無水物型架橋剤)、エステル基を2個以上有する化合物(エステル型架橋剤)、カーボネート基を2個以上有する化合物(カーボネート型架橋剤)、シアン酸基を2個以上有する化合物(シアン酸型架橋剤)、イソシアネート基を2個以上有する化合物(イソシアネート型架橋剤)が挙げられる。
本組成物における架橋剤の含有量は、1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましい。架橋剤の含有量は、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましい。架橋剤の含有量が、かかる範囲にあれば、ポリマーマトリックスの架橋密度を調整しやすい。
本組成物は、さらに、芳香族性ポリマーを含むのが好ましい。本組成物が芳香族性ポリマーを含めば、本組成物から成形物(ポリマー層等)を形成する際に、Fパウダーの粉落ちが一層抑制されやすい。また、成形物の接着性もより向上しやすい。さらに、成形物がUV吸収性に優れ、積層体がUV加工性に優れやすい。
かかる芳香族性ポリマーとしては、芳香族性ポリイミド(PI)、芳香族性ポリアミック酸、芳香族性液晶ポリエステル(LCP)、芳香族性ポリビスマレイミド(BMI)、スチレン系エラストマーが挙げられる。
かかる芳香族性ポリマーとしては、芳香族性ポリイミド(PI)、芳香族性ポリアミック酸、芳香族性液晶ポリエステル(LCP)、芳香族性ポリビスマレイミド(BMI)、スチレン系エラストマーが挙げられる。
また、芳香族性ポリマーは、その構成単位又は主鎖の末端基に、Fポリマーで挙げたのと同様の反応性基を含んでいるのが好ましい。この場合、成形物(ポリマー層等)を形成する際に、ポリマーマトリックスの架橋密度を更に調製しやすい。
ポリイミド又はポリアミック酸の場合、反応性基としては、例えば、イソシアネート基、カルボン酸無水物基、カルボキシル基が挙げられる。
本組成物における芳香族性ポリマーの含有量は、0.1〜30質量%が好ましく、1〜10質量%がより好ましい。Fポリマーの含有量に対する芳香族性ポリマーの含有量の質量比は、1.0以下が好ましく、0.01〜0.5がより好ましい。
ポリイミド又はポリアミック酸の場合、反応性基としては、例えば、イソシアネート基、カルボン酸無水物基、カルボキシル基が挙げられる。
本組成物における芳香族性ポリマーの含有量は、0.1〜30質量%が好ましく、1〜10質量%がより好ましい。Fポリマーの含有量に対する芳香族性ポリマーの含有量の質量比は、1.0以下が好ましく、0.01〜0.5がより好ましい。
本組成物は、分散性とハンドリング性とを向上させる観点から、さらに、界面活性剤を含んでいてもよい。
界面活性剤は、ノニオン性であるのが好ましい。
界面活性剤の親水部位は、オキシアルキレン基又はアルコール性水酸基を有するのが好ましい。
界面活性剤の疎水部位は、アセチレン基、ポリシロキサン基、ペルフルオロアルキル基又はペルフルオロアルケニル基を有するのが好ましい。換言すれば、界面活性剤は、アセチレン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤又はフッ素系界面活性剤が好ましい。
かかる界面活性剤の具体例としては、「フタージェント」シリーズ(ネオス社製)、「サーフロン」シリーズ(AGCセイミケミカル社製)、「メガファック」シリーズ(DIC社製)、「ユニダイン」シリーズ(ダイキン工業社製)が挙げられる。
本組成物における界面活性剤の含有量は、1〜15質量%が好ましい。この場合、成分同士の間の親和性が亢進しやすい。
界面活性剤は、ノニオン性であるのが好ましい。
界面活性剤の親水部位は、オキシアルキレン基又はアルコール性水酸基を有するのが好ましい。
界面活性剤の疎水部位は、アセチレン基、ポリシロキサン基、ペルフルオロアルキル基又はペルフルオロアルケニル基を有するのが好ましい。換言すれば、界面活性剤は、アセチレン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤又はフッ素系界面活性剤が好ましい。
かかる界面活性剤の具体例としては、「フタージェント」シリーズ(ネオス社製)、「サーフロン」シリーズ(AGCセイミケミカル社製)、「メガファック」シリーズ(DIC社製)、「ユニダイン」シリーズ(ダイキン工業社製)が挙げられる。
本組成物における界面活性剤の含有量は、1〜15質量%が好ましい。この場合、成分同士の間の親和性が亢進しやすい。
本組成物は、上述した成分以外にも、チキソ性付与剤、消泡剤、シランカップリング剤、脱水剤、可塑剤、耐候剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、増白剤、着色剤、導電剤、離型剤、表面処理剤、粘度調節剤、難燃剤等の添加剤を含んでいてもよい。
本組成物の25℃における粘度は、50mPa・s以上が好ましく、100mPa・s以上がより好ましい。本組成物の25℃における粘度は、5000mPa・s以下が好ましく、1000mPa・s以下がより好ましい。
本組成物の25℃におけるチキソ比は、1.0〜2.0が好ましい。
上述した作用機構により、本組成物は、かかる粘度及びかかるチキソ比に容易に調製しやすい。
本組成物の25℃における粘度は、50mPa・s以上が好ましく、100mPa・s以上がより好ましい。本組成物の25℃における粘度は、5000mPa・s以下が好ましく、1000mPa・s以下がより好ましい。
本組成物の25℃におけるチキソ比は、1.0〜2.0が好ましい。
上述した作用機構により、本組成物は、かかる粘度及びかかるチキソ比に容易に調製しやすい。
本発明の積層体の製造方法(以下、「本法」とも記す。)では、本組成物を基材層に付与し、加熱して極性液状分散媒を揮発させ、さらに加熱してFポリマーを焼成すると、上記基材層と、上記テトラフルオロエチレン系ポリマーを含むポリマー層(以下、「F層」とも記す。)とを有する積層体が得られる。
前者の加熱における温度は、120℃〜200℃が好ましい。後者の加熱における温度はFポリマーの溶融温度かつ架橋反応が生じる温度以上の温度が好ましく、具体的には300〜380℃がより好ましい。この場合、F層が表面平滑性及び柔軟性と電気特性とに優れやすい。
それぞれの加熱の方法としては、オーブンを用いる方法、通風乾燥炉を用いる方法、赤外線等の熱線を照射する方法が挙げられる。
前者の加熱における温度は、120℃〜200℃が好ましい。後者の加熱における温度はFポリマーの溶融温度かつ架橋反応が生じる温度以上の温度が好ましく、具体的には300〜380℃がより好ましい。この場合、F層が表面平滑性及び柔軟性と電気特性とに優れやすい。
それぞれの加熱の方法としては、オーブンを用いる方法、通風乾燥炉を用いる方法、赤外線等の熱線を照射する方法が挙げられる。
基材層としては、金属基板(銅、ニッケル、アルミニウム、チタン、それらの合金等の金属箔等)、ポリマーフィルム(ポリイミド、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリアリルスルホン、ポリアミド、ポリエーテルアミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリールエーテルケトン、ポリアミドイミド、液晶性ポリエステル、液晶性ポリエステルアミド等のフィルム)、プリプレグ(繊維強化樹脂基板の前駆体)又は繊維基材が好ましく、金属箔又はポリマーフィルムがより好ましい。
基材層への本組成物の付与は、スプレー法、ロールコート法、スピンコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、グラビアオフセット法、ナイフコート法、キスコート法、バーコート法、ダイコート法、ファウンテンメイヤーバー法、スロットダイコート法等の塗布法によって行うのが好ましい。
基材層への本組成物の付与は、スプレー法、ロールコート法、スピンコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、グラビアオフセット法、ナイフコート法、キスコート法、バーコート法、ダイコート法、ファウンテンメイヤーバー法、スロットダイコート法等の塗布法によって行うのが好ましい。
F層の厚さは、1μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましい。F層の厚さは、100μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましい。本法における積層体は、上述の作用機構により、F層が厚い場合にも平滑平滑性及び柔軟性に優れやすい。
F層の厚さは、Fポリマーの平均粒子径に対し、2倍超100倍未満であるのが好ましい。かかる場合、本組成物から本積層体を成形する際に、粉落ちが抑制されやすい。また、緻密かつ表面平滑性に優れたF層が形成されやすい。
F層の厚さは、Fポリマーの平均粒子径に対し、2倍超100倍未満であるのが好ましい。かかる場合、本組成物から本積層体を成形する際に、粉落ちが抑制されやすい。また、緻密かつ表面平滑性に優れたF層が形成されやすい。
本組成物は、基材層の一方の表面にのみ付与してもよく、基材層の両面に付与してもよい。前者においては、基材層と、基材層の片方の表面にF層を有する積層体が得られ、後者においては、基材層と、基材層の両方の表面にF層を有する積層体が得られる。後者の積層体は、より反りが発生しにくいため、その加工に際するハンドリング性に優れる。
かかる積層体の具体例としては、金属箔と、その金属箔の少なくとも一方の表面にF層を有する金属張積層体、ポリイミドフィルムと、そのポリイミドフィルムの両方の表面にF層を有する多層フィルムが挙げられる。
これらの積層体は、電気特性、はんだリフロー耐性等の耐熱性、耐薬品性、表面平滑性等の諸物性に優れており、プリント基板材料等として好適である。具体的には、かかる積層体は、フレキシブルプリント基板やリジッドプリント基板の製造に使用できる。
かかる積層体の具体例としては、金属箔と、その金属箔の少なくとも一方の表面にF層を有する金属張積層体、ポリイミドフィルムと、そのポリイミドフィルムの両方の表面にF層を有する多層フィルムが挙げられる。
これらの積層体は、電気特性、はんだリフロー耐性等の耐熱性、耐薬品性、表面平滑性等の諸物性に優れており、プリント基板材料等として好適である。具体的には、かかる積層体は、フレキシブルプリント基板やリジッドプリント基板の製造に使用できる。
なお、金属箔には、2層以上の金属箔を含むキャリア付金属箔を使用してもよい。キャリア付金属箔としては、キャリア銅箔(厚さ:10〜35μm)と、剥離層を介してキャリア銅箔上に積層された極薄銅箔(厚さ:2〜5μm)とからなるキャリア付銅箔が挙げられる。かかるキャリア付銅箔を使用すれば、MSAP(モディファイドセミアディティブ)プロセスによるファインパターンの形成が可能である。上記剥離層としては、ニッケル又はクロムを含む金属層、又はこの金属層を積層した多層金属層が好ましい。
キャリア付金属箔の具体例としては、福田金属箔粉工業株式会社製の商品名「FUTF−5DAF−2」が挙げられる。
キャリア付金属箔の具体例としては、福田金属箔粉工業株式会社製の商品名「FUTF−5DAF−2」が挙げられる。
本法における積層体の最表面(ポリマー層の基材層と反対側の表面)は、その低線膨張性や接着性を一層向上させるために、さらに表面処理されてもよい。
表面処理の方法としては、アニール処理、コロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理、エキシマ処理、シランカップリング処理が挙げられる。
アニール処理における条件は、温度を120〜180℃とし、圧力を0.005〜0.015MPaとし、時間を30〜120分間とするのが好ましい。
プラズマ処理に用いるガスとしては、酸素ガス、窒素ガス、希ガス(アルゴン等)、水素ガス、アンモニアガス、酢酸ビニルが挙げられる。これらのガスは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
表面処理の方法としては、アニール処理、コロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理、エキシマ処理、シランカップリング処理が挙げられる。
アニール処理における条件は、温度を120〜180℃とし、圧力を0.005〜0.015MPaとし、時間を30〜120分間とするのが好ましい。
プラズマ処理に用いるガスとしては、酸素ガス、窒素ガス、希ガス(アルゴン等)、水素ガス、アンモニアガス、酢酸ビニルが挙げられる。これらのガスは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本法における積層体の最表面には、さらに他の基板を積層してもよい。
他の基板としては、耐熱性樹脂フィルム、繊維強化樹脂板の前駆体であるプリプレグ、耐熱性樹脂フィルム層を有する積層体、プリプレグ層を有する積層体が挙げられる。
なお、プリプレグは、強化繊維(ガラス繊維、炭素繊維等)の基材(トウ、織布等)に熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂を含浸させたシート状の基板である。
耐熱性樹脂フィルムは、1種以上の耐熱性樹脂を含むフィルムである。耐熱性樹脂としては、ポリイミド、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリアリルスルホン、芳香族ポリアミド、芳香族ポリエーテルアミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリールエーテルケトン、ポリアミドイミド、液晶性ポリエステル、液晶性ポリエステルアミドが挙げられ、ポリイミド(特に、芳香族性ポリイミド)が好ましい。
他の基板としては、耐熱性樹脂フィルム、繊維強化樹脂板の前駆体であるプリプレグ、耐熱性樹脂フィルム層を有する積層体、プリプレグ層を有する積層体が挙げられる。
なお、プリプレグは、強化繊維(ガラス繊維、炭素繊維等)の基材(トウ、織布等)に熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂を含浸させたシート状の基板である。
耐熱性樹脂フィルムは、1種以上の耐熱性樹脂を含むフィルムである。耐熱性樹脂としては、ポリイミド、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリアリルスルホン、芳香族ポリアミド、芳香族ポリエーテルアミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリールエーテルケトン、ポリアミドイミド、液晶性ポリエステル、液晶性ポリエステルアミドが挙げられ、ポリイミド(特に、芳香族性ポリイミド)が好ましい。
積層の方法としては、本法における積層体と他の基板とを熱プレスする方法が挙げられる。
他の基板がプリプレグである場合の熱プレスの条件は、温度を120〜400℃とし、雰囲気の圧力を20kPa以下の真空とし、プレス圧力を0.2〜10MPaとするのが好ましい。
本法における積層体は、電気特性に優れるポリマー層を有するため、プリント基板材料として好適である。具体的には、本法における積層体は、フレキシブル金属張積層板やリジッド金属張積層板としてプリント基板の製造に使用でき、特に、フレキシブル金属張積層板としてフレキシブルプリント基板の製造に好適に使用できる。
他の基板がプリプレグである場合の熱プレスの条件は、温度を120〜400℃とし、雰囲気の圧力を20kPa以下の真空とし、プレス圧力を0.2〜10MPaとするのが好ましい。
本法における積層体は、電気特性に優れるポリマー層を有するため、プリント基板材料として好適である。具体的には、本法における積層体は、フレキシブル金属張積層板やリジッド金属張積層板としてプリント基板の製造に使用でき、特に、フレキシブル金属張積層板としてフレキシブルプリント基板の製造に好適に使用できる。
基材層が金属箔である積層体(ポリマー層付金属箔)の金属箔をエッチング加工し、伝送回路を形成してプリント基板が得られる。具体的には、金属箔をエッチング処理して所定の伝送回路に加工する方法や、金属箔を電解めっき法(セミアディティブ法(SAP法)、MSAP法等)によって所定の伝送回路に加工する方法によって、プリント基板を製造できる。
ポリマー層付金属箔から製造されたプリント基板は、金属箔から形成された伝送回路とポリマー層とをこの順に有する。プリント基板の構成の具体例としては、伝送回路/ポリマー層/プリプレグ層、伝送回路/ポリマー層/プリプレグ層/ポリマー層/伝送回路が挙げられる。
かかるプリント基板の製造においては、伝送回路上に層間絶縁膜を形成してもよく、伝送回路上にソルダーレジストを積層してもよく、伝送回路上にカバーレイフィルムを積層してもよい。これらの層間絶縁膜、ソルダーレジスト及びカバーレイフィルムを、本組成物で形成してもよい。
ポリマー層付金属箔から製造されたプリント基板は、金属箔から形成された伝送回路とポリマー層とをこの順に有する。プリント基板の構成の具体例としては、伝送回路/ポリマー層/プリプレグ層、伝送回路/ポリマー層/プリプレグ層/ポリマー層/伝送回路が挙げられる。
かかるプリント基板の製造においては、伝送回路上に層間絶縁膜を形成してもよく、伝送回路上にソルダーレジストを積層してもよく、伝送回路上にカバーレイフィルムを積層してもよい。これらの層間絶縁膜、ソルダーレジスト及びカバーレイフィルムを、本組成物で形成してもよい。
以上、本発明の液状組成物及び積層体の製造方法について説明したが、本発明は、上述した実施形態の構成に限定されない。
例えば、本発明の液状組成物は、上記実施形態の構成において、他の任意の構成を追加してもよいし、同様の機能を発揮する任意の構成と置換されていてよい。
また、本発明の積層体の製造方法は、上記実施形態の構成において、他の任意の工程を追加で有してもよいし、同様の作用を生じる任意の工程と置換されていてよい。
例えば、本発明の液状組成物は、上記実施形態の構成において、他の任意の構成を追加してもよいし、同様の機能を発揮する任意の構成と置換されていてよい。
また、本発明の積層体の製造方法は、上記実施形態の構成において、他の任意の工程を追加で有してもよいし、同様の作用を生じる任意の工程と置換されていてよい。
1.各成分の準備
[パウダー]
パウダー1:TFE単位、NAH単位及びPPVE単位を、この順に97.9モル%、0.1モル%、2.0モル%含み、反応性基を有するポリマー(溶融温度:300℃)からなるパウダー(D50:2.0μm)
[エポキシ化合物]
エポキシ化合物1:1,4−ビス(ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン(分子量:366)
エポキシ化合物2:1,4−ジグリシジルシクロヘキサン(分子量:191)
[パウダー]
パウダー1:TFE単位、NAH単位及びPPVE単位を、この順に97.9モル%、0.1モル%、2.0モル%含み、反応性基を有するポリマー(溶融温度:300℃)からなるパウダー(D50:2.0μm)
[エポキシ化合物]
エポキシ化合物1:1,4−ビス(ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン(分子量:366)
エポキシ化合物2:1,4−ジグリシジルシクロヘキサン(分子量:191)
[無機フィラー]
フィラー1:球状シリカフィラー(D50:0.5μm)
フィラー2:球状シリカフィラー(D50:2.0μm)
[液状分散媒]
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
MEK:メチルエチルケトン
[界面活性剤]
界面活性剤1:CH2=C(CH3)C(O)OCH2CH2(CF2)6FとCH2=C(CH3)C(O)(OCH2CH2)23OHとのコポリマー
フィラー1:球状シリカフィラー(D50:0.5μm)
フィラー2:球状シリカフィラー(D50:2.0μm)
[液状分散媒]
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
MEK:メチルエチルケトン
[界面活性剤]
界面活性剤1:CH2=C(CH3)C(O)OCH2CH2(CF2)6FとCH2=C(CH3)C(O)(OCH2CH2)23OHとのコポリマー
[芳香族ポリマー]
ワニスP1:熱可塑性の芳香族ポリイミド(PI1)がNMPに溶解したワニス
[エポキシ樹脂のワニス]
ワニスE1:エポキシ樹脂(ER1、数平均分子量:3000超)がMEKに溶解したワニス
ワニスP1:熱可塑性の芳香族ポリイミド(PI1)がNMPに溶解したワニス
[エポキシ樹脂のワニス]
ワニスE1:エポキシ樹脂(ER1、数平均分子量:3000超)がMEKに溶解したワニス
2.分散液(液状組成物)の製造例
(例1)
まず、ポットに、パウダー1と界面活性剤1とNMPとを投入し、ジルコニアボールを投入した。その後、150rpmにて1時間、ポットを転がし、組成物を調製した。
次に、得られた組成物に、エポキシ化合物1と架橋剤と3級アミン類(硬化剤)とワニスE1とフィラー1とフィラー2とを投入し、ジルコニアボールを投入した。その後、150rpmにて1時間、ポットを転がし、分散液1(粘度:800mPa・s)を得た。
なお、分散液1におけるパウダー1の含有量を15質量%とした。また、分散液1中におけるパウダー1とエポキシ化合物1とPI1とフィラー1とフィラー2との質量比は、54:5:1:20:20とした。分散液1は、25℃にて長期保管しても、凝集物が視認されず、分散安定性に優れていた。
(例1)
まず、ポットに、パウダー1と界面活性剤1とNMPとを投入し、ジルコニアボールを投入した。その後、150rpmにて1時間、ポットを転がし、組成物を調製した。
次に、得られた組成物に、エポキシ化合物1と架橋剤と3級アミン類(硬化剤)とワニスE1とフィラー1とフィラー2とを投入し、ジルコニアボールを投入した。その後、150rpmにて1時間、ポットを転がし、分散液1(粘度:800mPa・s)を得た。
なお、分散液1におけるパウダー1の含有量を15質量%とした。また、分散液1中におけるパウダー1とエポキシ化合物1とPI1とフィラー1とフィラー2との質量比は、54:5:1:20:20とした。分散液1は、25℃にて長期保管しても、凝集物が視認されず、分散安定性に優れていた。
(例2)
エポキシ化合物1に代えてエポキシ化合物2を使用する以外は、例1と同様にして、分散液2(粘度:600mPa・s)を得た。分散液2は、25℃にて長期保管すると、凝集物の沈殿が確認された。
(例3)
架橋剤を使用しない以外は、例2と同様にして、分散液3(粘度:600mPa・s)を得た。分散液2は、25℃にて長期保管すると、凝集物の沈殿が確認された。
(例4(比較例))
エポキシ化合物1に代えてワニスE1を使用する以外は、例1と同様にして得られた分散液は、高粘度であった。その粘度を1000mPa・s未満に調製するには、NMPを追加(増量)する必要があり、その場合、層形成成分(パウダー1、PI1、フィラー1及びフィラー2)を充分な量で含有する分散液が得られなかった。
エポキシ化合物1に代えてエポキシ化合物2を使用する以外は、例1と同様にして、分散液2(粘度:600mPa・s)を得た。分散液2は、25℃にて長期保管すると、凝集物の沈殿が確認された。
(例3)
架橋剤を使用しない以外は、例2と同様にして、分散液3(粘度:600mPa・s)を得た。分散液2は、25℃にて長期保管すると、凝集物の沈殿が確認された。
(例4(比較例))
エポキシ化合物1に代えてワニスE1を使用する以外は、例1と同様にして得られた分散液は、高粘度であった。その粘度を1000mPa・s未満に調製するには、NMPを追加(増量)する必要があり、その場合、層形成成分(パウダー1、PI1、フィラー1及びフィラー2)を充分な量で含有する分散液が得られなかった。
3.成形物の製造例
長尺の銅箔(厚さ:18μm)の表面に、バーコーターを用いて分散液1を塗布して、ウェット膜を形成した。
次いで、このウェット膜が形成された銅箔を、120℃にて5分間、乾燥炉に通し、加熱により乾燥させて、ドライ膜を得た。
その後、窒素オーブン中で、ドライ膜を380℃にて3分間、加熱した。
これにより、銅箔と、その表面に成形物としてのポリマー層(厚さ:50μm)とを有する積層体1を製造した。分散液の種類を変更する以外は同様にして、分散液2から積層体2を、分散液3から積層体3をそれぞれ製造した。
長尺の銅箔(厚さ:18μm)の表面に、バーコーターを用いて分散液1を塗布して、ウェット膜を形成した。
次いで、このウェット膜が形成された銅箔を、120℃にて5分間、乾燥炉に通し、加熱により乾燥させて、ドライ膜を得た。
その後、窒素オーブン中で、ドライ膜を380℃にて3分間、加熱した。
これにより、銅箔と、その表面に成形物としてのポリマー層(厚さ:50μm)とを有する積層体1を製造した。分散液の種類を変更する以外は同様にして、分散液2から積層体2を、分散液3から積層体3をそれぞれ製造した。
4.評価
4−1.粉落ちの評価
各積層体を製造する際のドライ膜の縁部を目視確認し、以下の基準に従って粉落ちについて評価した。
[粉落ちの評価基準]
〇:ドライ膜の縁部に欠落が確認されなかった。
△:ドライ膜の縁部の一部に欠落が確認された。
×:ドライ膜の縁部の広い範囲に欠落が確認された。
4−1.粉落ちの評価
各積層体を製造する際のドライ膜の縁部を目視確認し、以下の基準に従って粉落ちについて評価した。
[粉落ちの評価基準]
〇:ドライ膜の縁部に欠落が確認されなかった。
△:ドライ膜の縁部の一部に欠落が確認された。
×:ドライ膜の縁部の広い範囲に欠落が確認された。
4−2.密着性の評価
各積層体1〜3から、長さ100mm、幅10mmの矩形状の試験片を切り出した。その後、試験片の長さ方向の一端から50mmの位置まで、銅箔とポリマー層とを剥離した。
次いで、試験片の長さ方向の一端から50mmの位置を中央にして、引張り試験機(オリエンテック社製)を用いて、引張り速度50mm/分で90度剥離させた際の、最大荷重を剥離強度(N/cm)とし、以下の基準に従って密着性について評価した。
[評価基準]
〇:剥離強度≧10N/cm
×:剥離強度<10N/cm
各積層体1〜3から、長さ100mm、幅10mmの矩形状の試験片を切り出した。その後、試験片の長さ方向の一端から50mmの位置まで、銅箔とポリマー層とを剥離した。
次いで、試験片の長さ方向の一端から50mmの位置を中央にして、引張り試験機(オリエンテック社製)を用いて、引張り速度50mm/分で90度剥離させた際の、最大荷重を剥離強度(N/cm)とし、以下の基準に従って密着性について評価した。
[評価基準]
〇:剥離強度≧10N/cm
×:剥離強度<10N/cm
4−3.折り曲げの評価
各積層体1〜3の銅箔を塩化第二鉄水溶液でエッチングして除去して、単独のポリマー層を作製した。その後、ポリマー層から5mm角の四角い試験片を切り出した。
そして、曲率半径(300μm)の条件で、試験片を180°折り曲げ、上から荷重(50mN、1分間)をかけた。その後、試験片を元の形状に戻し、その外観を目視にて確認し、以下の基準に従って折り曲げについて評価した。
[評価基準]
○:折り目部分に外観異常は見られない。
△:折り目部分に白化が見られた。
×:折り目で破断した。
各積層体1〜3の銅箔を塩化第二鉄水溶液でエッチングして除去して、単独のポリマー層を作製した。その後、ポリマー層から5mm角の四角い試験片を切り出した。
そして、曲率半径(300μm)の条件で、試験片を180°折り曲げ、上から荷重(50mN、1分間)をかけた。その後、試験片を元の形状に戻し、その外観を目視にて確認し、以下の基準に従って折り曲げについて評価した。
[評価基準]
○:折り目部分に外観異常は見られない。
△:折り目部分に白化が見られた。
×:折り目で破断した。
本発明の液状組成物は、アンテナ部品、プリント基板、航空機用部品、自動車用部品、スポーツ用具、食品工業用品、塗料、化粧品等の材料として有用であり、具体的には、電線被覆材(航空機用電線等)、電気絶縁性テープ、石油掘削用絶縁テープ、プリント基板用材料、分離膜(精密濾過膜、限外濾過膜、逆浸透膜、イオン交換膜、透析膜、気体分離膜等)、電極バインダー(リチウム二次電池用、燃料電池用等)、コピーロール、家具、自動車ダッシュボート、家電製品等のカバー、摺動部材(荷重軸受、すべり軸、バルブ、ベアリング、歯車、カム、ベルトコンベア、食品搬送用ベルト等)、工具(シャベル、やすり、きり、のこぎり等)、ボイラー、ホッパー、パイプ、オーブン、焼き型、シュート、ダイス、便器、コンテナ被覆材として有用である。
Claims (14)
- エポキシ基と反応し得る反応性基を有するテトラフルオロエチレン系ポリマーのパウダーと、エポキシ基を2個以上有し、分子量が200〜3000であるエポキシ化合物と、無機フィラーと、液状分散媒とを含む、液状組成物。
- 前記反応性基が、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、カーボネート基又は酸無水物残基である、請求項1に記載の液状組成物。
- 前記テトラフルオロエチレン系ポリマーが、前記反応性基を有するモノマーに基づく単位を含むテトラフルオロエチレン系ポリマーである、請求項1又は2に記載の液状組成物。
- 前記テトラフルオロエチレン系ポリマーが、溶融温度が200〜320℃であるテトラフルオロエチレン系ポリマーである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の液状組成物。
- 前記テトラフルオロエチレン系ポリマーが、ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)に基づく単位又はヘキサフルオロプロピレンに基づく単位を含むテトラフルオロエチレン系ポリマーである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の液状組成物。
- 前記無機フィラーが、シリカフィラーである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の液状組成物。
- 前記テトラフルオロエチレン系ポリマーの含有量が10質量%以上であり、前記無機フィラーの含有量が5質量%以上である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の液状組成物。
- 前記エポキシ化合物が、3級アミン構造、アミド構造又はエステル構造を有するエポキシ化合物である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の液状組成物。
- 前記エポキシ化合物が、脂環構造を有するエポキシ化合物である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の液状組成物。
- 前記液状分散媒が、エステル、ケトン又はアミドである、請求項1〜9のいずれか1項に記載の液状組成物。
- さらに、硬化剤を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の液状組成物。
- さらに、架橋剤を含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載の液状組成物。
- さらに、芳香族性ポリマーを含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載の液状組成物。
- 請求項1〜13のいずれか1項に記載の液状組成物を、基材層に付与し、加熱して前記液状分散媒を揮発させ、さらに加熱して前記テトラフルオロエチレン系ポリマーを焼成して、前記基材層と、前記テトラフルオロエチレン系ポリマーを含むポリマー層とを有する積層体を得る、積層体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020070361A JP2021167368A (ja) | 2020-04-09 | 2020-04-09 | 液状組成物及び積層体の製造方法 |
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ID=78079475
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JP2020070361A Pending JP2021167368A (ja) | 2020-04-09 | 2020-04-09 | 液状組成物及び積層体の製造方法 |
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JP (1) | JP2021167368A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2023100739A1 (ja) * | 2021-11-30 | 2023-06-08 | Agc株式会社 | 液状組成物、積層体及びそれらの製造方法 |
-
2020
- 2020-04-09 JP JP2020070361A patent/JP2021167368A/ja active Pending
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