JP2021167326A - ポリメラーゼによって読み取れないコードオリゴヌクレオチドリンケージを有するdnaコード化ライブラリー - Google Patents
ポリメラーゼによって読み取れないコードオリゴヌクレオチドリンケージを有するdnaコード化ライブラリー Download PDFInfo
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Abstract
【課題】オリゴヌクレオチドコード化ライブラリーの複合体およびそのようなライブラリーをタグ付けおよび使用する方法の提供。
【解決手段】(i)1つ以上の足場または1つ以上のビルディングブロックを含む化学物質;(ii)前記1つ以上の足場またはビルディングブロックの少なくとも1つのアイデンティティをコードする第1オリゴヌクレオチドタグ;および(iii)第1官能基と第2官能基とを有するヘッドピースであって、第1官能基は前記化学物質と機能的に結び付いており、かつ第2官能基は、ポリメラーゼが読み通すまたは通過して移動する(read or translocate through)能力が低下している第1リンケージを介して、前記第1タグと機能的に結び付いている、ヘッドピースを含む、複合体を提供する。
【選択図】なし
【解決手段】(i)1つ以上の足場または1つ以上のビルディングブロックを含む化学物質;(ii)前記1つ以上の足場またはビルディングブロックの少なくとも1つのアイデンティティをコードする第1オリゴヌクレオチドタグ;および(iii)第1官能基と第2官能基とを有するヘッドピースであって、第1官能基は前記化学物質と機能的に結び付いており、かつ第2官能基は、ポリメラーゼが読み通すまたは通過して移動する(read or translocate through)能力が低下している第1リンケージを介して、前記第1タグと機能的に結び付いている、ヘッドピースを含む、複合体を提供する。
【選択図】なし
Description
関連出願の相互参照
本出願は、2012年7月13日に出願された米国仮出願第61/671,406号の恩典を主張するものであり、これはその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
本出願は、2012年7月13日に出願された米国仮出願第61/671,406号の恩典を主張するものであり、これはその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
発明の背景
一般的に、本発明は、化合物のDNAコード化ライブラリー、ならびにそのようなライブラリーの使用および作成方法に関する。本発明はまた、そのようなライブラリーで使用するための組成物に関する。
一般的に、本発明は、化合物のDNAコード化ライブラリー、ならびにそのようなライブラリーの使用および作成方法に関する。本発明はまた、そのようなライブラリーで使用するための組成物に関する。
DNAコード化したコンビナトリアルライブラリーは、創薬のための多くの利点をもたらす。こうしたライブラリーは、迅速にスクリーニングして照合する(interrogate)ことができる、数多くの多様な化合物を提供することが可能である。複雑さをさらに高めるために、創薬プロセスのさまざまな工程をプログラム化して自動化することができる。これらの工程には、原子または多原子足場にビルディングブロックを付加するための多段階スプリット・アンド・プール(split-and-pool)合成の使用、ならびに合成工程とビルディングブロックの両方をコードするオリゴヌクレオチドタグを付加するための酵素的および/または化学的ライゲーションの使用が含まれる。
これらの利点にもかかわらず、非常に大規模なまたは複雑なライブラリーを合成しかつデコンボリューションする必要がある場合には、非常に多くの問題が発生しうる。ライブラリーのサイズが大きくなるにつれて、ロバストで迅速な方法を用いてコードオリゴヌクレオチドタグのライゲーションの高い収率を提供するために、改善された方法が必要とされる。多様な反応条件下でライブラリーを作成するためには、安定したオリゴヌクレオチド構築物、例えば高pHおよび高温の条件下で安定している構築物が有益であろう。タグのデコンボリューションを簡略化するためには、タグ集団のデモグラフィックス(demographics)が鋳型依存的重合および配列決定によって確定され得るように、タグの配列はDNAまたはRNA依存性ポリメラーゼによって認識されるであろう。これらの有益な特質のすべてを備えたライブラリーを作成する際には、さまざまな困難が生じうる。したがって、オリゴヌクレオチドコード化ライブラリーにおいて小さい化合物をスクリーニングして同定するための、改善された、よりロバストな方法の必要性が存在している。
本発明は、DNAコード化ライブラリーで使用するための複合体を特徴とし、これらの複合体は1つ以上のリンケージを有し、該リンケージに対してポリメラーゼは読み通すまたは通過して移動する(read or translocate through)能力が低下している。コード化領域(例えば、ヘッドピース、1つ以上のタグ、および/またはテイルピース)のアイデンティティを突き止めるために、そのリンケージは、それがポリメラーゼに暴露される前に修復されるか、あるいはポリメラーゼによって迂回される。このリンケージは、(例えば、本明細書に記載される5'-または3'-コネクタ中のように)タグの配列情報の全てを捕捉しなくてもよいが、タグのコード配列情報を捕捉する、任意の有用な方法で迂回され得る。このようなリンケージは、誤タグ付け(mis-tagging)の発生頻度を低減させ、複合体およびライブラリーを作成する際に使用されるリンケージの数と種類を増やし、かつDNAコード化複合体を作成してスクリーニングするための非酵素的方法を提供することができる。これらの複合体および方法のさらなる利点は本明細書に記載される。
したがって、一局面において、本発明は、1つ以上の足場または1つ以上のビルディングブロックを含む化学物質;前記1つ以上の足場またはビルディングブロックの少なくとも1つのアイデンティティをコードする第1オリゴヌクレオチドタグ;および第1官能基と第2官能基とを有するヘッドピースであって、第1官能基は前記化学物質と機能的に結び付いており、第2官能基は、ポリメラーゼが読み通すまたは通過して移動する能力が低下している第1リンケージを介して、前記第1タグと機能的に結び付いている、ヘッドピース;を含む複合体を特徴とする。
別の局面において、本発明は、1つ以上の足場または1つ以上のビルディングブロックを含む化学物質;n-1個のリンケージを有するn個のオリゴヌクレオチドタグであって、ここでnは1と約10の間の整数であり、前記リンケージのそれぞれは2つの隣接するタグの間にあり、各タグは1つ以上の足場またはビルディングブロックの少なくとも1つのアイデンティティをコードしている、オリゴヌクレオチドタグ;および該化学物質と機能的に結び付いた第1官能基と、n個のタグの少なくとも1つと第1リンケージを介して機能的に結び付いた第2官能基とを有するヘッドピースであって、ポリメラーゼは第1リンケージおよびn-1個のリンケージの少なくとも1つを読み通すまたは通過して移動する能力が低下している、ヘッドピース;を含む複合体を特徴とする。
いくつかの態様では、nは、1と2、1と3、1と4、1と5、1と6、1と7、1と8、1と9、1と10、1と12、1と15、1と18、1と20、2と3、2と4、2と5、2と6、2と7、2と8、2と9、2と10、2と12、2と15、2と18、2と20、3と4、3と5、3と6、3と7、3と8、3と9、3と10、3と12、3と15、3と18、3と20、4と5、4と6、4と7、4と8、4と9、4と10、4と12、4と15、4と18、または4と20との間である。
いくつかの態様では、ポリメラーゼは、第1リンケージおよびn-1個のリンケージの少なくとも約10%(例えば、対照と比較して、約20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)を読み通すまたは通過して移動する能力が低下している。特定の態様では、ポリメラーゼは、第1リンケージおよびn-1個のリンケージの約10%〜約100%(例えば、対照と比較して(例えば、該リンケージを欠く対照オリゴヌクレオチドと比較して)、20%〜100%、25%〜100%、50%〜100%、75%〜100%、90%〜100%、95%〜100%、10%〜95%、20%〜95%、25%〜95%、50%〜95%、75%〜95%、90%〜95%、10%〜90%、20%〜90%、25%〜90%、50%〜90%、または75%〜90%)を読み通すまたは通過して移動する能力が低下している。
いくつかの態様では、1つ以上のタグは、該1つ以上のタグの5'末端に5'-コネクタおよび該1つ以上のタグの3'末端に3'-コネクタを含む。特定の態様では、各5'-コネクタおよび/または各3'-コネクタは同じ配列を含む。他の態様では、各5'-コネクタおよび/または各3'-コネクタは異なる配列を含む。
いくつかの態様では、第1リンケージおよび/またはn-1個のリンケージは、長さが少なくとも約3オングストローム(例えば、少なくとも約5、8、10、15、20、30、35、40、50、60、65または70オングストローム)である。いくつかの態様では、第1リンケージおよび/またはn-1個のリンケージは、長さが約30オングストローム未満(例えば、約25、20、15または10オングストローム未満)である。
いくつかの態様では、DNAポリメラーゼおよび/またはRNAポリメラーゼ(例えば、本明細書に記載のもの)は、第1リンケージおよび/またはn-1個のリンケージを読み通すまたは通過して移動する能力が低下している。
いくつかの態様では、第1リンケージおよびn-1個のリンケージの約10%未満(例えば、約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%)は酵素的リンケージを含む。いくつかの態様では、第1リンケージおよびn-1個のリンケージは、0%〜90%の酵素的リンケージ(例えば、約0%〜40%、0%〜45%、0%〜50%、0%〜55%、0%〜60%、0%〜65%、0%〜70%、0%〜75%、0%〜80%、0%〜85%、0%〜90%、0%〜95%、0%〜96%、0%〜97%、0%〜98%、0%〜99%、5%〜40%、5%〜45%、5%〜50%、5%〜55%、5%〜60%、5%〜65%、5%〜70%、5%〜75%、5%〜80%、5%〜85%、5%〜90%、5%〜95%、5%〜96%、5%〜97%、5%〜98%、5%〜99%、10%〜40%、10%〜45%、10%〜50%、10%〜55%、10%〜60%、10%〜65%、10%〜70%、10%〜75%、10%〜80%、10%〜85%、10%〜90%、10%〜95%、10%〜96%、10%〜97%、10%〜98%、10%〜99%、15%〜40%、15%〜45%、15%〜50%、15%〜55%、15%〜60%、15%〜65%、15%〜70%、15%〜75%、15%〜80%、15%〜85%、15%〜90%、15%〜95%、15%〜96%、15%〜97%、15%〜98%、15%〜99%、20%〜40%、20%〜45%、20%〜50%、20%〜55%、20%〜60%、20%〜65%、20%〜70%、20%〜75%、20%〜80%、20%〜85%、20%〜90%、20%〜95%、20%〜96%、20%〜97%、20%〜98%、または20%〜99%)を含む。
いくつかの態様では、第1リンケージおよび/またはn-1個のリンケージは、化学的リンケージ(例えば、化学反応基、光反応基、インターカレート部分(intercalating moiety)、または架橋性オリゴヌクレオチド)を含む。特定の態様では、少なくとも1つ(例えば、2つ、3つ、4つ、5つまたはそれ以上)の化学反応基、光反応基、またはインターカレート部分は、タグの5'末端のもしくは5'末端に近接する5'-コネクタ中に存在し、かつ/またはタグの3'末端のもしくは3'末端に近接する3'-コネクタ中に存在する。他の態様では、5'-コネクタの少なくとも1つの配列は、隣接する3'-コネクタの配列に相補的であるか、または相補的オリゴヌクレオチドへのハイブリダイゼーションを可能にするために同一であるかもしくは十分に類似している。いくつかの態様では、第1リンケージおよび/またはn-1個のリンケージの少なくとも10%(例えば、約20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)は化学的リンケージを含む。他の態様では、第1リンケージおよびn-1個のリンケージの約10%〜約100%(例えば、20%〜100%、25%〜100%、50%〜100%、75%〜100%、90%〜100%、95%〜100%、10%〜95%、20%〜95%、25%〜95%、50%〜95%、75%〜95%、90%〜95%、10%〜90%、20%〜90%、25%〜90%、50%〜90%、または75%〜90%)は化学的リンケージである。
いくつかの態様では、化学反応基は、以下から選択される:置換されてもよいアルキニル基と、置換されてもよいアジド基の対;4π電子系を有する置換されてもよいジエンと、2π電子系を有する置換されてもよいジエノフィルまたは置換されてもよいヘテロジエノフィルの対;求核剤とひずみのあるヘテロシクリル求電子剤の対;置換されてもよいアミノ基とアルデヒドまたはケトン基の対;置換されてもよいアミノ基とカルボン酸基の対;置換されてもよいヒドラジンとアルデヒドまたはケトン基の対;置換されてもよいヒドロキシルアミンとアルデヒドまたはケトン基の対;求核剤と置換されてもよいハロゲン化アルキルの対;白金錯体;アルキル化剤;またはフラン修飾ヌクレオチド(例えば、本明細書に記載のいずれか)。
いくつかの態様では、光反応基には、以下が含まれる:インターカレート部分、ソラレン誘導体、置換されてもよいシアノビニルカルバゾール基(例えば、3-シアノビニルカルバゾール-1'-β-デオキシリボシド-5'-三リン酸などの3-シアノビニルカルバゾール基)、置換されてもよいビニルカルバゾール基(例えば、本明細書に記載されるような、アミドビニルカルバゾール基、カルボキシビニルカルバゾール基、またはC2-7アルコキシカルボニルビニルカルバゾール基)、置換されてもよいシアノビニル基、置換されてもよいアクリルアミド基、置換されてもよいジアジリン基、置換されてもよいベンゾフェノン、または置換されてもよいアジド基(例えば、本明細書に記載のいずれか)。
いくつかの態様では、インターカレート部分は、以下のものである:ソラレン誘導体(例えば、ソラレン、8-メトキシソラレン、または4-ヒドロキシメチル-4,5,8-トリメチル-ソラレン(HMT-ソラレン))、アルカロイド誘導体(例えば、ベルベリン、パルマチン、コラリン、サンギナリン(例えば、そのイミニウムもしくはアルカノールアミン形態)、またはアリストロラクタム-β-D-グルコシド)、エチジウムカチオン(例えば、臭化エチジウム)、アクリジン誘導体(例えば、プロフラビン、アクリフラビン、またはアムサクリン)、アントラサイクリン誘導体(例えば、ドキソルビシン、エピルビシン、ダウノルビシン(ダウノマイシン)、イダルビシン、およびアクラルビシン)、またはサリドマイド。
いくつかの態様では、化学的リンケージは架橋性オリゴヌクレオチドを含み、ここで、架橋性オリゴヌクレオチドの5'末端の少なくとも5個のヌクレオチドの配列は、1つ以上のタグの3'末端の少なくとも5個のヌクレオチドの配列に相補的であるか、または相補的オリゴヌクレオチドへのハイブリダイゼーションを可能にするために同一であるかもしくは十分に類似し、かつ架橋性オリゴヌクレオチドの3'末端の少なくとも5個のヌクレオチドの配列は、1つ以上のタグの5'末端の少なくとも5個のヌクレオチドの配列に相補的であるか、または相補的オリゴヌクレオチドへのハイブリダイゼーションを可能にするために同一であるかもしくは十分に類似している。特定の態様では、1つ以上のタグの3'末端は3'-コネクタを含む。特定の態様では、1つ以上のタグの5'末端は5'-コネクタを含む。
いくつかの態様では、架橋性オリゴヌクレオチドの5'末端および/または3'末端は、可逆的な共反応基(例えば、本明細書に記載されるような、シアノビニルカルバゾール基、シアノビニル基、アクリルアミド基、チオール基、またはビニルスルホン基)を含む。
いくつかの態様では、3'-コネクタおよび/または5'-コネクタは、可逆的な共反応基(例えば、本明細書に記載されるような、シアノビニルカルバゾール基、シアノビニル基、アクリルアミド基、チオール基、またはビニルスルホン基)を含む。
いくつかの態様では、化学物質は2官能性スペーサー(例えば、本明細書に記載のいずれか)を介してヘッドピースに機能的に結び付けられる。他の態様では、化学物質はヘッドピースに共有結合で取り付けられる。特定の態様では、ヘッドピースは、二本鎖オリゴヌクレオチド、一本鎖オリゴヌクレオチド、またはヘアピンオリゴヌクレオチドからなる群より選択されるオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの態様では、ヘッドピースはプライマー結合領域を含む。
本明細書に記載のいずれの態様でも、前記複合体または方法は、1つ以上の第1ライブラリー識別タグ、使用タグ、および/または起源タグをさらに含む。いくつかの態様では、前記複合体または方法は、2〜20のタグ(例えば、2〜10のビルディングブロックまたは足場タグ、1つの第1ライブラリー識別タグ、1つの任意使用タグ、および1つの起源タグ)を含む。いくつかの態様では、前記複合体または方法は、5〜75個のヌクレオチド(例えば、本明細書に記載されるように、約40または50個のヌクレオチドなど)を含む。
本明細書に記載のいずれの態様でも、個々のタグセット内のタグのそれぞれは、ほぼ同じ質量を含む。
本明細書に記載のいずれの態様でも、前記複合体はRNA、DNA、修飾DNA、および/または修飾RNA(例えば、本明細書に記載されるような、PNA、LNA、GNA、TNA、または同じオリゴヌクレオチド内のこれらの混合物)を含む。
本明細書に記載のいずれの態様でも、前記複合体はテイルピースをさらに含む。
別の局面において、本発明は、本明細書に記載の1つ以上の複合体を含むライブラリーを特徴とする。いくつかの態様では、そのライブラリーは複数のヘッドピースを含む。他の態様では、複数のヘッドピースの各ヘッドピースは、同一の配列領域(例えば、プライマー結合領域)および異なるコード領域(例えば、ライブラリーの使用、ライブラリーの起源、ライブラリーのアイデンティティ、ライブラリーの履歴、リンケージ、スペーサー、もしくは第1構成成分の付加をコードする第1タグ、またはハイブリダイゼーション、増幅もしくは配列決定技術を容易にするオリゴヌクレオチド配列)を含む。特定の態様では、ライブラリーは約102〜1020の複合体(例えば、約102〜103、102〜104、102〜105、102〜106、102〜107、102〜108、102〜109、102〜1010、102〜1011、102〜1012、102〜1013、102〜1014、102〜1015、102〜1016、102〜1017、102〜1018、102〜1019、104〜105、104〜106、104〜107、104〜108、104〜109、104〜1010、104〜1011、104〜1012、104〜1013、104〜1014、104〜1015、104〜1016、104〜1017、104〜1018、104〜1019、104〜1020、105〜106、105〜107、105〜108、105〜109、105〜1010、105〜1011、105〜1012、105〜1013、105〜1014、105〜1015、105〜1016、105〜1017、105〜1018、105〜1019、または105〜1020の複合体)を含む。いくつかの態様では、各複合体は異なるものである。
別の局面において、本発明は、コード化した化学物質を含む第1ライブラリーをタグ付けする方法を特徴とし、この方法は以下の工程を含む:(a)第1官能基と第2官能基を有するヘッドピースを提供する工程(例えば、ここで、該ヘッドピースは任意で情報をコードする);(b)該ヘッドピースの第1官能基を化学物質の第1構成成分に結合させる工程であって、該ヘッドピースは第1構成成分に直接接合されるか、または該ヘッドピースは2官能性スペーサーによって第1構成成分に間接的に接合される、工程;および(c)該ヘッドピースの第2官能基を第1オリゴヌクレオチドタグに第1リンケージを介して結合させて複合体を形成する工程であって、ポリメラーゼは第1リンケージを読み通すまたは通過して移動する能力が低下している、工程;その際、工程(b)および(c)は任意の順序で実施することができ、第1タグは工程(b)の結合反応をコードしており、それによってタグ付けされたライブラリーを提供する。
さらに別の局面において、本発明は、コード化した化学物質を含む第1ライブラリーをタグ付けする方法を特徴とし、この方法は以下の工程を含む:(a)第1官能基と第2官能基を有するヘッドピースを提供する工程(例えば、ここで、該ヘッドピースは任意で情報をコードする);(b)該ヘッドピースの第1官能基を化学物質の第1構成成分に結合させる工程であって、該ヘッドピースは第1構成成分に直接接合されるか、または該ヘッドピースは2官能性スペーサーによって第1構成成分に間接的に接合される、工程;(c)該ヘッドピースの第2官能基を第1オリゴヌクレオチドタグに第1リンケージを介して結合させる工程;(d)化学物質のnc個の追加の構成成分を結合させる工程であって、ここでncは1と10の間の整数である、工程;および(e)nt個のリンケージを有するnt個の追加のオリゴヌクレオチドタグを結合させて複合体を形成する工程であって、ここでntは1と10の間の整数であり、前記リンケージのそれぞれは2つの隣接するタグの間にあり、各タグは構成成分の少なくとも1つのアイデンティティをコードする、工程;ここで、ポリメラーゼは第1リンケージおよびnt個のリンケージの少なくとも1つを読み通すまたは通過して移動する能力が低下しており、工程(b)および(c)は任意の順序で実施することができ、第1タグは工程(b)の結合反応をコードしており、工程(d)および(e)は任意の順序で実施することができ、追加の各タグは工程(d)の追加の各構成成分の結合反応をコードしており、それによってタグ付けされたライブラリーを提供する。
いくつかの態様では、ncおよびntは、それぞれ独立して、1と2、1と3、1と4、1と5、1と6、1と7、1と8、1と9、1と10、1と12、1と15、1と18、1と20、2と3、2と4、2と5、2と6、2と7、2と8、2と9、2と10、2と12、2と15、2と18、2と20、3と4、3と5、3と6、3と7、3と8、3と9、3と10、3と12、3と15、3と18、3と20、4と5、4と6、4と7、4と8、4と9、4と10、4と12、4と15、4と18、または4と20との間の整数である。
いくつかの態様では、ポリメラーゼは、第1リンケージおよびnt個のリンケージの少なくとも約10%(例えば、第1リンケージおよびnt個のリンケージの、対照と比較して、約20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)を読み通すまたは通過して移動する能力が低下している。特定の態様では、第1リンケージおよびnt個のリンケージを読み通すまたは通過して移動する能力の低下は、約10%〜約100%(例えば、対照と比較して(例えば、該リンケージを欠く対照オリゴヌクレオチドと比較して)、20%〜100%、25%〜100%、50%〜100%、75%〜100%、90%〜100%、95%〜100%、10%〜95%、20%〜95%、25%〜95%、50%〜95%、75%〜95%、90%〜95%、10%〜90%、20%〜90%、25%〜90%、50%〜90%、または75%〜90%)である。
いくつかの態様では、第1構成成分および/または追加の構成成分は、足場またはビルディングブロックを含む。
いくつかの態様では、工程(b)は、ヘッドピースを、2官能性スペーサーを介して、第1構成成分に間接的に結合させることを含む。
いくつかの態様では、前記方法は、使用タグ、起源タグ、および/または第1ライブラリー識別タグを複合体に結合させることをさらに含む。特定の態様では、前記方法は、第2ライブラリーを提供し、第1ライブラリーを第2ライブラリーと組み合わせることをさらに含む。いくつかの態様では、前記方法は、テイルピースを複合体に結合させることをさらに含む。
いくつかの態様では、結合工程は、化学反応基、光反応基、インターカレート部分、または架橋性オリゴヌクレオチド(例えば、本明細書で複合体について記載したとおり)を含む。特定の態様では、前記方法は、1つ以上の工程でスプリット・アンド・プール(split-and-pool)合成を実施すること、1つ以上の複合体を分離すること、および/または1つ以上の複合体を精製することをさらに含む。
本明細書に記載のいずれの方法でも、前記方法は、本明細書に記載の複合体のいずれか、または本明細書に記載のライブラリーのいずれかをもたらす。
さらに別の局面において、本発明は、複数の化学物質をスクリーニングする方法を特徴とし、この方法は以下の工程を含む:(a)標的を本明細書に記載の任意の複合体および/または本明細書に記載のライブラリーと接触させる工程;および(b)対照と比較して、該標的に対して所定の特性を有する1つ以上の複合体を選択し、それによって化学物質をスクリーニングする工程。
いくつかの態様では、所定の特性は、対照と比較して、増加した標的(例えば、本明細書に記載されるような、生物学的標的)への結合を含む。
いくつかの態様では、工程(a)の前に、1つ以上の操作を実施し、該操作は、1つ以上のリレープライマー(relay primer)を前記複合体とアニーリングすること、ここで、該1つ以上のリレープライマーは第1リンケージおよび/またはn-1個のリンケージにまたがっていること;該リレープライマーをポリメラーゼにより伸長させてオリゴヌクレオチド断片を生成すること;および該オリゴヌクレオチド断片をライゲーションして鋳型を生成すること;からなるリストより選択される。
別の局面において、本発明は、本明細書に記載される任意の複合体のヌクレオチド配列を決定する方法を特徴とし、この方法は以下の工程を含む:(a)1つ以上のりリレープライマーを該複合体とアニーリングする工程であって、該1つ以上のリレープライマーは第1リンケージおよび/またはn-1個のリンケージにまたがっている、工程;(b)該リレープライマーをポリメラーゼにより伸長させてオリゴヌクレオチド断片を生成する工程;(c)該オリゴヌクレオチド断片をライゲーションして鋳型を生成する工程;(d)任意で、該鋳型をポリメラーゼ連鎖反応により増幅して、増幅混合物を生成する工程;および(e)任意増幅された混合物を配列決定して該複合体の配列を決定する工程。
いくつかの態様では、複合体は1つ以上のタグの5'末端に5'-コネクタを、1つ以上のタグの3'末端に3'-コネクタを含み、ここで、1つ以上のリレープライマーのそれぞれは、隣接する5'-および3'-コネクタにハイブリダイズする。特定の態様では、各5'-コネクタは同じ配列を含み、かつ/または各3'-コネクタは同じ配列を含む。いくつかの態様では、5'-コネクタの少なくとも1つの配列は、(例えば、ハイブリダイゼーション条件下で5'-コネクタと3'-コネクタとの二本鎖を形成するために)隣接する3'-コネクタの配列に相補的であるか、または相補的オリゴヌクレオチドへのハイブリダイゼーションを可能にするように同一であるかもしくは十分に類似している。さらなる態様では、前記方法は、5'-コネクタを隣接する3'-コネクタにハイブリダイズすることを含む。いくつかの態様では、5'-コネクタと3'-コネクタの間の特定の接合部のための各リレープライマー(例えば、それによって3ヘリックス接合部を形成する)は同じ配列を含む。
別の局面において、本発明は、本明細書に記載される任意の複合体のヌクレオチド配列を決定する方法を特徴とし、この方法は以下の工程を含む:(a)化学的リンケージを含む複合体を提供する工程であって、前記化学的リンケージは、2つの隣接タグ間の接合部にまたがりかつ1つ以上の可逆的共反応基を介して該2つの隣接タグと機能的に結び付く、架橋性オリゴヌクレオチドである、工程;(b)該架橋性オリゴヌクレオチド(例えば、本明細書に記載のいずれか)を放出させて鋳型を生成する工程;(c)任意で、該鋳型をポリメラーゼ連鎖反応により増幅して、増幅混合物を生成する工程;および(d)任意増幅された混合物を配列決定して該複合体の配列を決定する工程。いくつかの態様では、架橋性オリゴヌクレオチドの一部は2つの隣接タグの末端にハイブリダイズし、それによって該2つの隣接タグ間にニックまたはギャップを生成する。
さらなる態様では、前記方法は、工程(b)の前に、化学的方法または酵素的方法(例えば、5'-リン酸化)を用いてタグをライゲーションすることを含む。
いくつかの態様では、前記方法は、任意増幅工程または配列決定工程の前に、鋳型を修復する工程をさらに含む。特定の態様では、修復工程は、第1リンケージおよび/またはn-1個のリンケージの少なくとも1つを修正して、ポリメラーゼが読み通すまたは通過して移動することが可能な、修復されたリンケージとすることを含む。いくつかの態様では、ポリメラーゼは、(例えば、第1リンケージおよびn-1個のリンケージが修復されていない対照オリゴヌクレオチドなどの、対照と比較して)修復されたリンケージの少なくとも50%(例えば、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)を読み通すまたは通過して移動することができる。特定の態様では、ポリメラーゼは、修復されたリンケージの約10%〜約100%(例えば、対照と比較して(例えば、第1リンケージおよびn-1個のリンケージが修復されていない対照オリゴヌクレオチドと比較して)、20%〜100%、25%〜100%、50%〜100%、75%〜100%、90%〜100%、95%〜100%、10%〜95%、20%〜95%、25%〜95%、50%〜95%、75%〜95%、90%〜95%、10%〜90%、20%〜90%、25%〜90%、50%〜90%、または75%〜90%)を読み通すまたは通過して移動することができる。特定の態様では、修復工程は、鋳型に修復酵素(例えば、本明細書に記載されるような、フォトリアーゼ、グリコシラーゼ、エンドヌクレアーゼ、フラップエンドヌクレアーゼ、脱プリン/脱ピリミジン(AP)エンドヌクレアーゼ、ポリADPリボースポリメラーゼ、またはメチルトランスフェラーゼ)を提供することを含む。
上記態様のいずれにおいても、前記方法または複合体は一本鎖分子のみを含むことができ、その場合、ヘッドピース、第1タグ、および/または1つ以上の追加のタグが一本鎖である。
上記態様のいずれにおいても、前記方法はさらに、本明細書に記載されるように、ライブラリーを多様化するための、またはライブラリーのメンバーを照合するための、1つ以上の任意の工程を含む。いくつかの態様では、前記方法はさらに、治療上関心のあるタンパク質と結合する、または該タンパク質を不活性化する、小さい薬物様ライブラリーメンバーを同定することを含む。他の態様では、前記方法はさらに、ライブラリーのメンバーを生物学的標的と、ライブラリーの少なくとも1つのメンバーが該標的に結合するのに適した条件下で接触させ、該標的に結合しない1つ以上のライブラリーメンバーを除去し、該標的と結合した1つ以上のオリゴヌクレオチドタグを分析することを含む。
本明細書に記載されるように、一本鎖分子の使用は非常に多くの利点をもたらすことができる。したがって、本明細書に記載されるいずれの態様でも、前記方法および複合体は、1つ以上の二本鎖分子(例えば、二本鎖ヘッドピースまたは二本鎖タグ)を含む方法と比較して、質量の減少、溶解性(例えば、有機溶媒中)の向上、コストの低下、反応性の増加、標的接近性の増加、流体力学半径の減少、および/または分析評価の精度向上を有する、ヘッドピース、1つ以上のタグ、複合体、化学物質、分子、またはタグ付けされたライブラリーの任意のメンバーを含む。いくつかの態様では、タグのセット内の各タグ(例えば、第1タグまたは、存在する場合、後続のタグ)は、ほぼ同じ質量を有する(例えば、各タグは、2つ以上のタグ間の平均質量から約+/-10%である質量を有する)。特定の態様では、タグは、二本鎖タグ(例えば、約15,000ダルトン、約14,000ダルトン、約13,000ダルトン、または約12,000ダルトンの質量を有する二本鎖タグ)と比較して、減少した質量(例えば、約15,000ダルトン未満、約14,000ダルトン、約13,000ダルトン、約12,000ダルトン、約11,000ダルトン、約10,000ダルトン、約9,000ダルトン、約8,000ダルトン、約7,500ダルトン、約7,000ダルトン、約6,000ダルトン、約6,500ダルトン、約5,000ダルトン、約5,500ダルトン、約4,000ダルトン、約4,500ダルトン、または約3,000ダルトン)を有する。他の態様では、タグは、二本鎖タグ(例えば、約20ヌクレオチド未満、約19ヌクレオチド未満、約18ヌクレオチド未満、約17ヌクレオチド未満、約16ヌクレオチド未満、約15ヌクレオチド未満、約14ヌクレオチド未満、約13ヌクレオチド未満、約12ヌクレオチド未満、約11ヌクレオチド未満、約10ヌクレオチド未満、約9ヌクレオチド未満、約8ヌクレオチド未満、または約7ヌクレオチド未満の長さを有する二本鎖タグ)と比較して、短縮された長さを有する。いくつかの態様では、1つ以上のタグまたはライブラリーのメンバーは、(例えば、サイズ排除クロマトグラフィーを用いた選択などの、選択工程において)プライマー結合領域および/または定常領域を欠く。いくつかの態様では、1つ以上のタグまたはライブラリーのメンバーは、短縮された定常領域(例えば、約30ヌクレオチド未満、約25ヌクレオチド未満、約20ヌクレオチド未満、約19ヌクレオチド未満、約18ヌクレオチド未満、約17ヌクレオチド未満、約16ヌクレオチド未満、約15ヌクレオチド未満、約14ヌクレオチド未満、約13ヌクレオチド未満、約12ヌクレオチド未満、約11ヌクレオチド未満、約10ヌクレオチド未満、約9ヌクレオチド未満、約8ヌクレオチド未満、または約7ヌクレオチド未満の長さ)を有する。他の態様では、前記方法は、分子、化学物質の一部、工程の結合反応(例えば、化学的もしくは酵素的ライゲーション)、またはライブラリーのアイデンティティをコードするヘッドピースを含み、ここで、コードヘッドピースは、このような情報をコードするための追加のタグの必要性を排除する。
上記の態様のいずれにおいても、オリゴヌクレオチド(例えば、ヘッドピース、第1タグ、および/または、存在する場合、1つ以上の追加のタグ)は、ライブラリーのアイデンティティをコードする。いくつかの態様では、オリゴヌクレオチド(例えば、ヘッドピース、第1タグ、および/または、存在する場合、1つ以上の追加のタグ)は、第1ライブラリー識別配列を含み、ここで、該配列は第1ライブラリーのアイデンティティをコードする。特定の態様では、オリゴヌクレオチドは第1ライブラリー識別タグである。いくつかの態様では、前記方法は、第1ライブラリーをコードする配列を含む第1ライブラリー識別タグを提供すること、および/または第1ライブラリー識別タグを複合体に結合させることを含む。いくつかの態様では、前記方法は、第2ライブラリーを提供すること、および第1ライブラリーを第2ライブラリーと組み合わせることを含む。さらなる態様では、前記方法は、第2ライブラリーをコードする配列を含む第2ライブラリー識別タグを提供することを含む。いくつかの態様では、3つ以上のライブラリー(例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上のライブラリー)が組み合わされる。
上記の態様のいずれにおいても、コード化情報は、1つ以上のタグで、または複数のタグの組み合わせで提供される。いくつかの態様では、コード化情報は、複数のタグ(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上のタグ)によって表される。いくつかの態様では、コード化情報は複数のタグによって表され、この場合、全部のコードタグが(例えば、情報をコードするために特定のタグの組み合わせを用いることによって)コード配列内に含まれる。いくつかの態様では、コード化情報は複数のタグによって表され、この場合、全部未満のコードタグが(例えば、個々のコード配列内にコードするために、複数の個々のタグのセットから1つのタグを用いることによって)コード配列内に含まれる。いくつかの態様では、コード化情報はオルソゴナルに表され、この場合、コード化情報は複数のタグの組み合わせによって表され、コード情報の全部未満が個々のライブラリーメンバー内に含まれ、その結果、複数の対応するライブラリーメンバーはコード化情報をデコンボリューションするために配列決定される必要がある。いくつかの態様では、複数の化学的ビルディングブロックは単一のタグによって表される(例えば、ラセミ体のビルディングブロックでは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上のビルディングブロックが単一のタグで表される)。
上記の態様のいずれにおいても、オリゴヌクレオチド(例えば、ヘッドピースおよび/または1つ以上のビルディングブロック)は、ライブラリーのメンバーの使用(例えば、本明細書に記載されるような、選択工程または結合工程での使用)をコードする。いくつかの態様では、オリゴヌクレオチド(例えば、ヘッドピース、第1タグ、および/または、存在する場合、1つ以上の追加のタグ)は使用配列を含み、ここで、該配列は1つ以上の工程(例えば、選択工程および/または結合工程)でのライブラリー内のメンバーのサブセットの使用をコードする。特定の態様では、オリゴヌクレオチドは使用配列を含む使用タグである。いくつかの態様では、オリゴヌクレオチド(例えば、ヘッドピースおよび/または1つ以上のオリゴヌクレオチドタグ)は、(例えば、ライブラリーの特定部分における)ライブラリーのメンバーの起源をコードする。いくつかの態様では、オリゴヌクレオチド(例えば、ヘッドピース、第1タグ、および/または、存在する場合、1つ以上の追加のタグ)は、起源配列(例えば、約10、9、8、7または6ヌクレオチドの長さを有するランダムまたは縮重配列)を含み、ここで、該配列は、ライブラリーの他のメンバーと比較して、ライブラリー内のメンバーの起源をコードする。特定の態様では、オリゴヌクレオチドは起源配列を含む起源タグである。いくつかの態様では、前記方法はさらに、使用タグおよび/または起源タグを複合体に接合する、結合する、または機能的に結び付けることを含む。
本明細書中の態様のいずれにおいても、前記方法、組成物および複合体は、任意で、テイルピースを含み、その際、テイルピースは、本明細書に記載されるように、ライブラリー識別配列、使用配列、または起源配列の1つ以上を含む。特定の態様では、前記方法はさらに、テイルピース(例えば、ライブラリー識別配列、使用配列、または起源配列の1つ以上を含む)を複合体に接合する、結合する、または機能的に結び付けることを含む。
上記の態様のいずれにおいても、前記方法、組成物および複合体、またはそれらの部分(例えば、ヘッドピース、第1タグ、および/または、存在する場合、1つ以上の追加のタグ)は、半水性、低水性、または非水性(例えば、有機)条件における溶解性を促進する修飾を含む。いくつかの態様では、2官能性スペーサー、ヘッドピース、または1つ以上のタグは、前記DNAコード化した化合物ライブラリーのメンバーの有機条件における溶解性を高めるように修飾される。いくつかの態様では、修飾は、アルキル鎖、ポリエチレングリコール単位、正電荷を有する分岐種、または疎水性環構造の1つ以上である。いくつかの態様では、修飾は、疎水性部分を有する1つ以上の修飾ヌクレオチド(例えば、TまたはC塩基のC5位置で脂肪族鎖により修飾されたもの、例えば、5'-ジメトキシトリチル-N4-ジイソブチルアミノメチリデン-5-(1-プロピニル)-2'-デオキシシチジン,3'-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホルアミダイト;5'-ジメトキシトリチル-5-(1-プロピニル)-2'-デオキシウリジン,3'-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホルアミダイト;5'-ジメトキシトリチル-5-フルオロ-2'-デオキシウリジン,3'-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホルアミダイト;および5'-ジメトキシトリチル-5-(ピレン-1-イル-エチニル)-2'-デオキシウリジン,3'-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホルアミダイト)または疎水性部分(例えば、アゾベンゼン)を有する挿入物を含む。いくつかの態様では、ライブラリーのメンバーは、約1.0〜約2.5のオクタノール:水係数(例えば、約1.0〜約1.5、約1.0〜約2.0、約1.3〜約1.5、約1.3〜約2.0、約1.3〜約2.5、約1.5〜約2.0、約1.5〜約2.5、または約2.0〜約2.5)を有する。
上記の態様のいずれにおいても、ヘッドピース、テイルピース、第1タグ、1つ以上の追加のタグ、ライブラリー識別タグ、使用タグ、および/または起源タグは、存在する場合、約5〜約75ヌクレオチド(例えば、5〜7ヌクレオチド、5〜8ヌクレオチド、5〜9ヌクレオチド、5〜10ヌクレオチド、5〜11ヌクレオチド、5〜12ヌクレオチド、5〜13ヌクレオチド、5〜14ヌクレオチド、5〜15ヌクレオチド、5〜16ヌクレオチド、5〜17ヌクレオチド、5〜18ヌクレオチド、5〜19ヌクレオチド、5〜20ヌクレオチド、5〜30ヌクレオチド、5〜40ヌクレオチド、5〜50ヌクレオチド、5〜60ヌクレオチド、5〜70ヌクレオチド、6〜7ヌクレオチド、6〜8ヌクレオチド、6〜9ヌクレオチド、6〜10ヌクレオチド、6〜11ヌクレオチド、6〜12ヌクレオチド、6〜13ヌクレオチド、6〜14ヌクレオチド、6〜15ヌクレオチド、6〜16ヌクレオチド、6〜17ヌクレオチド、6〜18ヌクレオチド、6〜19ヌクレオチド、6〜20ヌクレオチド、7〜8ヌクレオチド、7〜9ヌクレオチド、7〜10ヌクレオチド、7〜11ヌクレオチド、7〜12ヌクレオチド、7〜13ヌクレオチド、7〜14ヌクレオチド、7〜15ヌクレオチド、7〜16ヌクレオチド、7〜17ヌクレオチド、7〜18ヌクレオチド、7〜19ヌクレオチド、7〜20ヌクレオチド、8〜9ヌクレオチド、8〜10ヌクレオチド、8〜11ヌクレオチド、8〜12ヌクレオチド、8〜13ヌクレオチド、8〜14ヌクレオチド、8〜15ヌクレオチド、8〜16ヌクレオチド、8〜17ヌクレオチド、8〜18ヌクレオチド、8〜19ヌクレオチド、8〜20ヌクレオチド、9〜10ヌクレオチド、9〜11ヌクレオチド、9〜12ヌクレオチド、9〜13ヌクレオチド、9〜14ヌクレオチド、9〜15ヌクレオチド、9〜16ヌクレオチド、9〜17ヌクレオチド、9〜18ヌクレオチド、9〜19ヌクレオチド、9〜20ヌクレオチド、10〜11ヌクレオチド、10〜12ヌクレオチド、10〜13ヌクレオチド、10〜14ヌクレオチド、10〜15ヌクレオチド、10〜16ヌクレオチド、10〜17ヌクレオチド、10〜18ヌクレオチド、10〜19ヌクレオチド、10〜20ヌクレオチド、10〜30ヌクレオチド、10〜40ヌクレオチド、10〜50ヌクレオチド、10〜60ヌクレオチド、10〜70ヌクレオチド、10〜75ヌクレオチド、11〜12ヌクレオチド、11〜13ヌクレオチド、11〜14ヌクレオチド、11〜15ヌクレオチド、11〜16ヌクレオチド、11〜17ヌクレオチド、11〜18ヌクレオチド、11〜19ヌクレオチド、11〜20ヌクレオチド、12〜13ヌクレオチド、12〜14ヌクレオチド、12〜15ヌクレオチド、12〜16ヌクレオチド、12〜17ヌクレオチド、12〜18ヌクレオチド、12〜19ヌクレオチド、12〜20ヌクレオチド、13〜14ヌクレオチド、13〜15ヌクレオチド、13〜16ヌクレオチド、13〜17ヌクレオチド、13〜18ヌクレオチド、13〜19ヌクレオチド、13〜20ヌクレオチド、14〜15ヌクレオチド、14〜16ヌクレオチド、14〜17ヌクレオチド、14〜18ヌクレオチド、14〜19ヌクレオチド、14〜20ヌクレオチド、15〜16ヌクレオチド、15〜17ヌクレオチド、15〜18ヌクレオチド、15〜19ヌクレオチド、15〜20ヌクレオチド、16〜17ヌクレオチド、16〜18ヌクレオチド、16〜19ヌクレオチド、16〜20ヌクレオチド、17〜18ヌクレオチド、17〜19ヌクレオチド、17〜20ヌクレオチド、18〜19ヌクレオチド、18〜20ヌクレオチド、19〜20ヌクレオチド、20〜30ヌクレオチド、20〜40ヌクレオチド、20〜50ヌクレオチド、20〜60ヌクレオチド、20〜70ヌクレオチド、20〜75ヌクレオチド、30〜40ヌクレオチド、30〜50ヌクレオチド、30〜60ヌクレオチド、30〜70ヌクレオチド、30〜75ヌクレオチド、40〜50ヌクレオチド、40〜60ヌクレオチド、40〜70ヌクレオチド、40〜75ヌクレオチド、50〜60ヌクレオチド、50〜70ヌクレオチド、50〜75ヌクレオチド、60〜70ヌクレオチド、60〜75ヌクレオチド、および70〜75ヌクレオチド)を含むことができる。特定の態様では、ヘッドピース、第1タグ、第2タグ、1つ以上の追加のタグ、ライブラリー識別タグ、使用タグ、および/または起源タグは、存在する場合、20ヌクレオチド未満(例えば、19ヌクレオチド未満、18ヌクレオチド未満、17ヌクレオチド未満、16ヌクレオチド未満、15ヌクレオチド未満、14ヌクレオチド未満、13ヌクレオチド未満、12ヌクレオチド未満、11ヌクレオチド未満、10ヌクレオチド未満、9ヌクレオチド未満、8ヌクレオチド未満、または7ヌクレオチド未満)の長さを有する。
上記の態様のいずれにおいても、コード配列(例えば、ヘッドピース、テイルピース、第1タグ、存在する場合、1つ以上の追加のタグ、ライブラリー識別タグ、使用タグ、および/または起源タグ)は、20ヌクレオチド超(例えば、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、または75ヌクレオチド超)を含むことができる。
定義
「2'-置換ヌクレオチド」とは、リボースの2'位置に置換を有するヌクレオチド塩基を意味する。
「2'-置換ヌクレオチド」とは、リボースの2'位置に置換を有するヌクレオチド塩基を意味する。
「約」とは、列挙された値の+/-10%を意味する。
「2官能性」とは、2つの化学部分の結合を可能にする2つの反応基をもつことを意味する。
「2官能性スペーサー」とは、複合体の化学物質とコード情報の結合を可能にする2つの反応基を有するスペーシング部分を意味する。1つの非限定的な例では、2官能性スペーサーは化学物質とタグの間に提供される。別の非限定的な例では、2官能性スペーサーは化学物質とヘッドピースの間に提供される。例示的な2官能性スペーサーは本明細書において提供される。
「結合」とは、共有結合または非共有結合で取り付けることを意味する。非共有結合には、ファンデルワールス力、水素結合、イオン結合、封入(entrapment)もしくは物理的カプセル化、吸収、吸着、および/または他の分子間力によって形成されるものが含まれる。結合は、酵素的結合(例えば、酵素的リンケージを提供するための酵素的ライゲーション)または化学的結合(例えば、化学的リンケージを提供するための化学的ライゲーション)などの、任意の有用な手段によって達成され得る。
「ビルディングブロック」とは、化学物質の構造単位を意味し、ここで、該単位は他の化学構造単位に直接連結されるか、または足場を介して間接的に連結される。化学物質がポリマーまたはオリゴマーである場合、ビルディングブロックはそのポリマーまたはオリゴマーのモノマー単位である。ビルディングブロックは、1つ以上の他のビルディングブロックまたは足場の付加を可能にする1つ以上の多様性ノード(diversity node)をもつことができる。ほとんどの場合、各多様性ノードは、化学物質を形成するために1つ以上のビルディングブロックまたは足場と反応することが可能な官能基である。一般的に、ビルディングブロックは少なくとも2つの多様性ノード(または反応性官能基)を有するが、一部のビルディングブロックは1つの多様性ノード(または反応性官能基)を有してもよい。あるいは、コード化される化学または結合工程は、いくつかの化学成分を含むことができる(例えば、多成分縮合反応または多段階プロセス)。2つの異なるビルディングブロック上の反応基は、相補的であるべきであり、すなわち、共有結合または非共有結合を形成するために一緒に反応することが可能であるべきである。
「化学物質」とは、1つ以上のビルディングブロックおよび任意に1つ以上の足場を含む化合物を意味する。化学物質は、1つ以上の所望の特性、例えば、生物学的標的に結合する能力、溶解性、水素結合供与体および受容体の利用可能性、結合の回転自由度、正電荷、負電荷など、を有するように設計または構築された、任意の小分子またはペプチド薬物もしくは薬物候補であり得る。特定の態様では、化学物質は、2官能性または3官能性(またはそれ以上)の物質としてさらに反応させることができる。
「化学反応基」とは、モジュール反応に関与し、したがってリンケージをもたらす、反応基を意味する。例示的な反応および反応基には、以下から選択されるものが含まれる:置換されてもよいアルキニル基と置換されてもよいアジド基の対によるHuisgen 1,3-双極子環化付加反応;4π電子系を有する置換されてもよいジエンと2π電子系を有する置換されてもよいジエノフィルまたは置換されてもよいヘテロジエノフィルの対によるDiels-Alder反応;求核剤と歪のあるヘテロシクリル求電子剤との開環反応;ホスホロチオエート基とヨード基とのスプリントライゲーション反応;および本明細書に記載されるような、アルデヒド基とアミノ基との還元的アミノ化反応。
「相補的」とは、二次構造(核酸分子の二重鎖または二本鎖部分)を形成するために、本明細書で定義されるように、ハイブリダイズすることが可能な配列を意味する。相補性は完全である必要はなく、1、2、3個、またはそれ以上のヌクレオチドに1つ以上のミスマッチを含んでもよい。例えば、相補的な配列は、ワトソン-クリック塩基対合則(例えば、GとC、AとTまたはAとU)に従う水素結合または他の水素結合モチーフ(例えば、ジアミノプリンとT、5-メチルCとG、2-チオチミジンとA、イノシンとC、プソイドイソシトシンとG)を形成することができる核酸塩基を含みうる。配列およびその相補的配列は、同じオリゴヌクレオチド中または異なるオリゴヌクレオチド中に存在することができる。
「複合体」または「ライゲーションされた複合体」とは、共有結合または非共有結合によって化学物質および/または1つ以上のオリゴヌクレオチドタグと機能的に結び付いているヘッドピースを意味する。複合体は、任意で、化学物質とヘッドピースの間に2官能性スペーサーを含んでもよい。
化学物質の「構成成分」とは、足場またはビルディングブロックのいずれかを意味する。
オリゴヌクレオチドタグの「コネクタ」とは、固定された配列を有する、5'もしくは3'末端にあるまたは該末端に近接したタグの部分を意味する。5'-コネクタはオリゴヌクレオチドの5'末端にまたはそれに近接して配置され、3'-コネクタはオリゴヌクレオチドの3'末端にまたはそれに近接して配置される。複合体中に存在する場合、各5'-コネクタは同じでも異なってもよく、かつ各3'-コネクタは同じでも異なってもよい。複数のタグを有する例示的で非限定的な複合体では、各タグは5'-コネクタと3'-コネクタを含むことができ、その場合、各5'-コネクタは同じ配列を有し、各3'-コネクタは同じ配列を有する(例えば、その場合、5'-コネクタの配列は3'-コネクタの配列と同じでも異なってもよい)。別の例示的で非限定的な複合体では、5'-コネクタの配列は、本明細書で定義されるように、3'-コネクタの配列に相補的であるように(例えば、5'-および3'-コネクタ間のハイブリダイゼーションを可能にするように)設計される。コネクタは、任意で、リンケージ(例えば、ポリメラーゼが読み通すまたは通過して移動する能力が低下しているリンケージ、例えば化学的リンケージ)を可能にする1個以上の基を含んでいてもよい。
「定常」または「固定された定常」配列とは、情報をコードしないオリゴヌクレオチドの配列を意味する。定常配列を有する複合体の非限定的で例示的な部分には、プライマー結合領域、5'-コネクタ、または3'-コネクタが含まれる。本発明のヘッドピースは、情報をコードするもの(つまり、タグ)、あるいは情報をコードしないもの(つまり、定常配列)であり得る。同様に、本発明のテイルピースは、情報をコードしても、コードしなくてもよい。
「架橋性オリゴヌクレオチド」とは、複合体中の2つの隣接するタグ間の特定の接合部で、本明細書で定義されるように、機能的に結び付くオリゴヌクレオチドを意味する。非限定的な例では、架橋性オリゴヌクレオチドの一端は、第1タグの3'-コネクタにハイブリダイズし、架橋性オリゴヌクレオチドの他端は、第1タグに隣接する第2タグの5'-コネクタにハイブリダイズする。架橋性オリゴヌクレオチドの例示的で非限定的な態様は、隣接するタグまたは隣接するタグのコネクタと機能的に結び付く1つ以上の反応基(例えば、化学反応基、光反応基、インターカレート部分、もしくは可逆的共反応基、または本明細書に記載のいずれか)を有するものを含む。
「多様性ノード」とは、別のビルディングブロックの付加を可能にする、足場またはビルディングブロック内の位置にある官能基を意味する。
「ヘッドピース」とは、化学物質の構成成分およびタグ、例えば出発オリゴヌクレオチド、に機能的に連結される、ライブラリー合成のための化学構造を意味する。任意で、ヘッドピースはヌクレオチドをほとんどまたは全く含まなくてよいが、機能的に結び付くことができる個所を提供し得る。任意で、2官能性スペーサーがヘッドピースを構成成分に接続する。
「ハイブリダイズする」とは、さまざまなストリンジェンシー条件下で、相補的オリゴヌクレオチドまたはその部分間で二本鎖分子を形成するために対合することを意味する。(例えば、Wahl, G. M. and S. L. Berger (1987) Methods Enzymol. 152:399; Kimmel, A. R. (1987) Methods Enzymol. 152:507を参照されたい。)例えば、高ストリンジェンシーハイブリダイゼーションは、通常は約750mM NaClおよび75mMクエン酸三ナトリウムより低い、約500mM NaClおよび50mMクエン酸三ナトリウムより低い、または約250mM NaClおよび25mMクエン酸三ナトリウムより低い塩濃度により得ることができる。低ストリンジェンシーハイブリダイゼーションは、有機溶媒、例えばホルムアミドの非存在下で得られるが、高ストリンジェンシーハイブリダイゼーションは、少なくとも約35%のホルムアミドまたは少なくとも約50%のホルムアミドの存在下で得られる。高ストリンジェンシーハイブリダイゼーションの温度条件には、通常、少なくとも約30℃、37℃、または42℃の温度が含まれる。例えば、ハイブリダイゼーション時間、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)などの界面活性剤の濃度、およびキャリアDNAの包含または除外などの、追加のパラメータを変化させることは、当業者に周知である。ストリンジェンシーのさまざまなレベルは、必要に応じて、これらの種々の条件を組み合わせることによって達成される。一態様では、ハイブリダイゼーションは、750mM NaCl、75mMクエン酸三ナトリウム、および1%SDS中で30℃にて起こる。他の態様では、ハイブリダイゼーションは、500mM NaCl、50mM クエン酸三ナトリウム、1%SDS、35%ホルムアミド、および100μg/ml変性サケ精子DNA(ssDNA)中で37℃にて起こる。さらに他の態様では、ハイブリダイゼーションは、250mM NaCl、25mM クエン酸三ナトリウム、1%SDS、50%ホルムアミド、および200μg/ml ssDNA中で42℃にて起こる。これらの条件の有用な変更は、当業者には容易に明らかであろう。
ほとんどの適用では、ハイブリダイゼーションに続く洗浄工程もまた、ストリンジェンシーの点で異なってくる。洗浄のストリンジェンシー条件は塩濃度と温度によって規定され得る。上記のように、洗浄ストリンジェンシーは、塩濃度を低下させることによって、または温度を上昇させることによって高めることができる。例えば、洗浄工程のための高ストリンジェンシーの塩濃度は、例えば、約30mM NaClおよび3mMクエン酸三ナトリウムより低い、または約15mM NaClおよび1.5mMクエン酸三ナトリウムより低くてよい。洗浄工程のための高ストリンジェンシーの温度条件には、通常、例えば、少なくとも約25℃、42℃、または68℃の温度が含まれる。一態様では、洗浄工程は、30mM NaCl、3mMクエン酸三ナトリウム、および0.1%SDS中で25℃にて起こる。他の態様では、洗浄工程は、15mM NaCl、1.5mMクエン酸三ナトリウム、および0.1%SDS中で42℃にて起こる。さらに他の態様では、洗浄工程は、15mM NaCl、1.5mMクエン酸三ナトリウム、および0.1%SDS中で68℃にて起こる。これらの条件のさらなる変更は、当業者には容易に明らかであろう。ハイブリダイゼーション技術は当業者に周知であり、例えば、以下に記載されている:Benton and Davis (Science 196:180, 1977); Grunstein and Hogness (Proc. Natl. Acad. Sci., USA 72:3961, 1975); Ausubel et al. (Current Protocols in Molecular Biology, Wiley Interscience, New York, 2001); Berger and Kimmel (Guide to Molecular Cloning Techniques, 1987, Academic Press, New York); およびSambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York。
「インターカレート部分(intercalating moiety)」とは、2つ以上のヌクレオチド間への部分(moiety)の介在をもたらす反応基を意味する。非限定的な例では、インターカレート部分は1つ以上のヌクレオチドと反応して、二重鎖または三重鎖オリゴヌクレオチド間に鎖間または鎖内架橋を形成する。例示的で非限定的なインターカレート部分は本明細書に記載される。
「接合部」とは、複合体中の2つの隣接するタグ間のニック(ヌクレオチド間結合の欠如)またはギャップ(1つ以上のヌクレオチドの欠失)を意味する。接合部はまた、2つの隣接するタグ中に存在する2つの隣接するコネクタ間(例えば、第1タグの3'-コネクタと、第1タグに隣接する第2タグの5'-コネクタの間)であり得る。
「ライブラリー」とは、分子または化学物質のコレクションを意味する。任意で、分子または化学物質は、分子または化学物質の部分をコードする1つ以上のオリゴヌクレオチドに結合される。
「リンケージ」とは、2つ以上の化学構造を機能的に結び付けることを可能にする化学的接続要素を意味し、その場合、リンケージは、ヘッドピースと1つ以上のタグの間、2つのタグの間、またはタグとテイルピースの間に存在する。化学的接続要素は、非共有結合(例えば、本明細書に記載される)、共有結合、または2つの官能基間の反応生成物であり得る。「化学的リンケージ」とは、2つの官能基間の非酵素的な化学反応により形成されるリンケージを意味する。例示的で非限定的な官能基には、化学反応基、光反応基、インターカレート部分、または架橋性オリゴヌクレオチド(例えば、本明細書に記載のもの)が含まれる。「酵素的リンケージ」とは、酵素によって形成されるヌクレオチド間またはヌクレオシド間リンケージを意味する。例示的で非限定的な酵素には、キナーゼ、ポリメラーゼ、リガーゼ、またはこれらの組み合わせが含まれる。「ポリメラーゼが読み通すまたは通過して移動する能力が低下している」リンケージとは、該リンケージを欠く対照オリゴヌクレオチドと比較して、該リンケージが、オリゴヌクレオチド鋳型中に存在するとき、ポリメラーゼによる伸長産物および/または増幅産物の減量をもたらすことを意味する。そのようなリンケージを決定するための例示的で非限定的な方法には、PCR分析(例えば、定量PCR)、RT-PCR分析、液体クロマトグラフィー-質量分析、配列デモグラフィックス(sequence demographics)、または他の方法により評価されるプライマー伸長が含まれる例示的で非限定的なポリメラーゼとしては、以下が挙げられる:DNAポリメラーゼおよびRNAポリメラーゼ、例えばDNAポリメラーゼI、DNAポリメラーゼII、DNAポリメラーゼIII、DNAポリメラーゼVI、Taq DNAポリメラーゼ、Deep VentR(商標) DNAポリメラーゼ(New England Biolabs社から入手可能な高忠実度好熱性DNAポリメラーゼ)、T7 DNAポリメラーゼ、T4 DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼI、RNAポリメラーゼII、RNAポリメラーゼIII、またはT7 RNAポリメラーゼ。
「多価カチオン」とは、複数のリガンドまたはアニオンと複数の結合を形成することが可能なカチオンを意味する。多価カチオンは、イオン性錯体または配位錯体のいずれかを形成することができる。例示的な多価カチオンには、アルカリ土類金属(例:マグネシウム)および遷移金属(例:マンガン(II)もしくはコバルト(III))からのもの、ならびに1つ以上のアニオンおよび/または1つ以上の1価もしくは多座配位子、例えば塩化物、アミンおよび/またはエチレンジアミンなど、と任意に結合されるものが含まれる。
「オリゴヌクレオチド」とは、5'末端、3'末端、および5'末端と3'末端の間の内部位置に1個以上のヌクレオチドを有するヌクレオチドのポリマーを意味する。オリゴヌクレオチドは、DNA、RNA、または合成することが可能で、塩基対認識のために使用することが可能な、当技術分野で知られたそれらの誘導体を含むことができる。オリゴヌクレオチドは連続した塩基をもつ必要はなく、リンカー部分が介在してもよい。オリゴヌクレオチドポリマーおよびヌクレオチド(例えば、修飾DNAまたはRNA)は、以下を含むことができる:天然の塩基(例えば、アデノシン、チミジン、グアノシン、シチジン、ウリジン、デオキシアデノシン、デオキシチミジン、デオキシグアノシン、デオキシシチジン、イノシン、またはジアミノプリン)、塩基アナログ(例えば、2-アミノアデノシン、2-チオチミジン、イノシン、ピロロピリミジン、3-メチルアデノシン、C5-プロピニルシチジン、C5-プロピニルウリジン、C5-ブロモウリジン、C5-フルオロウリジン、C5-ヨードウリジン、C5-メチルシチジン、7-デアザアデノシン、7-デアザグアノシン、8-オキソアデノシン、8-オキソグアノシン、O(6)-メチルグアニン、および2-チオシチジン)、修飾塩基(例えば、2'-置換ヌクレオチド、例えば2'-O-メチル化塩基および2'-フルオロ塩基)、インターカレートされた塩基、修飾された糖(例えば、2'-フルオロリボース、リボース、2'-デオキシリボース、アラビノース、ヘキソース、アンヒドロヘキシトール、アルトリトール、マンニトール、シクロヘキサニル、シクロヘキセニル、オスホルアミデート骨格をも有するモルホリノ、ロックド核酸(LNA、例えば、この場合、リボースの2'-ヒドロキシルは同じリボース糖の4'-炭素にC1-6アルキレンまたはC1-6ヘテロアルキレン橋によって接続されており、ここで、例示的な橋には、メチレン、プロピレン、エーテル、またはアミノ橋が含まれる)、グリコール核酸(GNA、例えばR-GNAまたはS-GNA、この場合、リボースはホスホジエステル結合に結合されたグリコール単位により置き換えられる)、トレオース核酸(TNA、この場合、リボースはα-L-トレオフラノシル-(3'→2')で置き換えられる)、および/またはリボース中の酸素の(例えば、S、Se、またはアルキレン、例えばメチレンもしくはエチレンとの)交換、修飾された骨格(例えば、ペプチド核酸(PNA)、この場合、2-アミノ-エチル-グリシン結合がリボースおよびホスホジエステル骨格に取って代わる)、および/または修飾リン酸基(例えば、ホスホロチオエート、5'-N-ホスホルアミダイト、ホスホロセレネート、ボラノホスフェート、ボラノホスフェートエステル、水素ホスホネート、ホスホルアミデート、ホスホロジアミデート、アルキルまたはアリールホスホネート、ホスホトリエステル、架橋ホスホルアミデート、架橋ホスホロチオエート、および架橋メチレン-ホスホネート)。オリゴヌクレオチドは、一本鎖(例えば、ヘアピン)、二本鎖であってよく、または他の二次もしくは三次構造(例えば、ステム-ループ構造、二重らせん、三重らせん、四重らせんなど)をもつことができる。
「機能的に連結された」または「機能的に結び付いた」とは、2つ以上の化学構造が、それらが受けると予想される各種の操作を介して連結されたままであるような方法で、直接または間接的に一緒に連結されることを意味する。典型的には、化学物質とヘッドピースは間接的な方法で(例えば、適切なスペーサーを介して共有結合で)機能的に結び付いている。例えば、スペーサーは、化学物質のための結合部位とヘッドピースのための結合部位を有する2官能性の部分であり得る。
「光反応基」とは、紫外線、可視光線、または赤外線の吸収によって引き起こされる反応に関与し、したがってリンケージを生成する、反応基を意味する。例示的で非限定的な光反応基は本明細書に記載される。
「保護基」とは、オリゴヌクレオチドコード化ライブラリーを作成し、タグ付けし、または使用する1つ以上の結合工程において望ましくない反応からオリゴヌクレオチドの3'末端もしくは5'末端を保護すること、または化学物質、足場、もしくはビルディングブロックの1つ以上の官能基を保護することを意図した基を意味する。一般的に使用される保護基は、Greene, "Protective Groups in Organic Synthesis," 第4版(John Wiley & Sons, New York, 2007)に開示されており、これは参照により本明細書に組み入れられる。オリゴヌクレオチドのための例示的な保護基としては、以下が挙げられる:不可逆的な保護基、例えば、ジデオキシヌクレオチドおよびジデオキシヌクレオシド(ddNTPまたはddN)、より好ましくは、ヒドロキシル基のための可逆的な保護基、例えば、エステル基(例:O-(α-メトキシエチル)エステル、O-イソバレリルエステル、およびO-レブリニルエステル)、トリチル基(例:ジメトキシトリチルおよびモノメトキシトリチル)、キサンテニル基(例:9-フェニルキサンテン-9-イルおよび9-(p-メトキシフェニル)キサンテン-9-イル)、アシル基(例:フェノキシアセチルおよびアセチル)、ならびにシリル基(例:t-ブチルジメチルシリル)。化学物質、足場、およびビルディングブロックのための例示的で非限定的な保護基としては、以下が挙げられる:合成手順中の望ましくない反応からアミノ基を保護するためのN-保護基(例えば、アシル;アリーロイル(aryloyl);カルバミル基、例えばホルミル、アセチル、プロピオニル、ピバロイル、t-ブチルアセチル、2-クロロアセチル、2-ブロモアセチル、トリフルオロアセチル、トリクロロアセチル、フタリル、o-ニトロフェノキシアセチル、α-クロロブチリル、ベンゾイル、4-クロロベンゾイル、4-ブロモベンゾイル、4-ニトロベンゾイル、およびキラル補助基、例えば保護または非保護D、LまたはD,L-アミノ酸、例えばアラニン、ロイシン、フェニルアラニンなど;スルホニル含有基、例えばベンゼンスルホニル、p-トルエンスルホニルなど;カルバメート形成基、例えばベンジルオキシカルボニル、p-クロロベンジルオキシカルボニル、p-メトキシベンジルオキシカルボニル、p-ニトロベンジルオキシカルボニル、2-ニトロベンジルオキシカルボニル、p-ブロモベンジルオキシカルボニル、3,4-ジメトキシベンジルオキシカルボニル、3,5-ジメトキシベンジルオキシカルボニル、2,4-ジメトキシベンジルオキシカルボニル、4-メトキシベンジルオキシカルボニル、2-ニトロ-4,5-ジメトキシベンジルオキシカルボニル、3,4,5-トリメトキシベンジルオキシカルボニル、1-(p-ビフェニリル)-1-メチルエトキシカルボニル、α,α-ジメチル-3,5-ジメトキシベンジルオキシカルボニル、ベンズヒドリルオキシカルボニル、t-ブチルオキシカルボニル、ジイソプロピルメトキシカルボニル、イソプロピルオキシカルボニル、エトキシカルボニル、メトキシカルボニル、アリルオキシカルボニル、2,2,2,-トリクロロエトキシカルボニル、フェノキシカルボニル、4-ニトロフェノキシカルボニル、フルオレニル-9-メトキシカルボニル、シクロペンチルオキシカルボニル、アダマンチルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル、フェニルチオカルボニルなど;アルカリル基、例えばベンジル、トリフェニルメチル、ベンジルオキシメチルなど;およびシリル基、例えばトリメチルシリルなど;ここで、好ましいN-保護基はホルミル、アセチル、ベンゾイル、ピバロイル、t-ブチルアセチル、アラニル、フェニルスルホニル、ベンジル、t-ブチルオキシカルボニル(Boc)、およびベンジルオキシカルボニル(Cbz)である);合成手順中の望ましくない反応からヒドロキシル基を保護するためのO-保護基(例えば、アルキルカルボニル基、例えばアシル、アセチル、ピバロイルなど;置換されてもよいアリールカルボニル基、例えばベンゾイル;シリル基、例えばトリメチルシリル(TMS)、tert-ブチルジメチルシリル(TBDMS)、トリイソプロピルシリルオキシメチル(TOM)、トリイソプロピルシリル(TIPS)など;ヒドロキシルとのエーテル形成基、例えばメチル、メトキシメチル、テトラヒドロピラニル、ベンジル、p-メトキシベンジル、トリチルなど;アルコキシカルボニル、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、n-プロポキシカルボニル、n-ブチロキシカルボニル、イソブチロキシカルボニル、sec-ブチロキシカルボニル、t-ブチロキシカルボニル、2-エチルヘキシルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル、メチルオキシカルボニルなど;アルコキシアルコキシカルボニル基、例えばメトキシメトキシカルボニル、エトキシメトキシカルボニル、2-メトキシエトキシカルボニル、2-エトキシエトキシカルボニル、2-ブトキシエトキシカルボニル、2-メトキシエトキシメトキシカルボニル、アリルオキシカルボニル、プロパルギルオキシカルボニル、2-ブテノキシカルボニル、3-メチル-2-ブテノキシカルボニルなど;ハロアルコキシカルボニル、例えば2-クロロエトキシカルボニル、2-クロロエトキシカルボニル、2,2,2-トリクロロエトキシカルボニルなど;置換されてもよいアリールアルコキシカルボニル基、例えばベンジルオキシカルボニル、p-メチルベンジルオキシカルボニル、p-メトキシベンジルオキシカルボニル、p-ニトロベンジルオキシカルボニル、2,4-ジニトロベンジルオキシカルボニル、3,5-ジメチルベンジルオキシカルボニル、p-クロロベンジルオキシカルボニル、p-ブロモベンジルオキシカルボニルなど;および置換されてもよいアリールオキシカルボニル基、例えばフェノキシカルボニル、p-ニトロフェノキシカルボニル、o-ニトロフェノキシカルボニル、2,4-ジニトロフェノキシカルボニル、p-メチルフェノキシカルボニル、m-メチルフェノキシカルボニル、o-ブロモフェノキシカルボニル、3,5-ジメチルフェノキシカルボニル、p-クロロフェノキシカルボニル、2-クロロ-4-ニトロフェノキシカルボニルなど);カルボニル保護基(例えば、アセタールおよびケタール基、例えばジメチルアセタール、1,3-ジオキソランなど;アシラール(acylal)基;およびジチアン基、例えば1,3-ジチアン、1,3-ジチオランなど);カルボン酸保護基(例えば、エステル基、例えばメチルエステル、ベンジルエステル、t-ブチルエステル、オルトエステルなど;シリル基、例えばトリメチルシリル、ならびに本明細書に記載されるいずれか;およびオキサゾリン基);およびリン酸保護基(例えば、置換されてもよいエステル基、例えばメチルエステル、イソプロピルエステル、2-シアノエチルエステル、アリルエステル、t-ブチルエステル、ベンジルエステル、フルオレニルメチルエステル、2-(トリメチルシリル)エチルエステル、2-(メチルスルホニル)エチルエステル、2,2,2-トリクロロエチルエステル、3',5'-ジメトキシベンゾインエステル、p-ヒドロキシフェナシルエステルなど)。
オリゴヌクレオチドの末端に「近接」または「近接する」とは、他の残りの末端よりも記載した末端に近いまたは接近していることを意味する。例えば、オリゴヌクレオチドの3'末端に近接する部分または基は、5'末端よりも3'末端に近いか、接近している。特定の態様では、オリゴヌクレオチドの3'末端に近接する部分または基は、3'末端から1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15個、またはそれ以上のヌクレオチドである。他の態様では、オリゴヌクレオチドの5'末端に近接する部分または基は、5'末端から1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15個、またはそれ以上のヌクレオチドである。
「精製」とは、連続した工程で使用される化学物質または生物学的物質の活性を低下させうる、反応混合物中に存在する未反応生成物または剤を除去することを意味する。精製は、除去すべき未反応生成物または試薬のクロマトグラフィー分離、電気泳動分離、および沈殿の1つ以上を含むことができる。
「可逆的共反応基」とは、可逆的反応に関与する反応基を意味する。例示的で非限定的な反応基には光反応基が含まれ、この場合、特定の吸収放射線への暴露は、結果的に光反応基間のリンケージをもたらし、異なる特定の吸収放射線への暴露は、形成されたリンケージの開裂をもたらす(例えば、シアノビニルカルバゾール基、シアノビニル基、およびアクリルアミド基)。別の例示的で非限定的な反応基には、レドックス反応基が含まれ、この場合には、そのような基が可逆的に還元または酸化され得る(例えば、チオール基)。
「足場」(scaffold)とは、特有の幾何学的配置で1つ以上の多様性ノードを表示する化学的部分(chemical moiety)を意味する。多様性ノードは、典型的には、ライブラリー合成中に足場に取り付けられるが、場合によって、1つの多様性ノードはライブラリー合成(例えば、1つ以上のビルディングブロックおよび/または1つ以上のタグの付加)の前に足場に取り付けてもよい。いくつかの態様では、足場は誘導体化されており、その結果、それはライブラリー合成中にオルソゴナルに脱保護され、続いて異なる多様性ノードと反応させることができる。
「小分子」薬物または「小分子」薬物候補とは、約1,000ダルトン未満の分子量を有する分子を意味する。小分子は、有機もしくは無機であってよく、(例えば、化合物ライブラリーもしくは天然源から)単離することができるか、または既知化合物の誘導体化によって得ることができる。
「実質的な同一性」または「実質的に同一」とは、参照配列と同じポリペプチドもしくはポリヌクレオチド配列を有するか、または2つの配列が最適にアライメントされたときに参照配列内の対応する位置で同一であるアミノ酸残基またはヌクレオチドの特定の割合を有する、それぞれ、ポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列を意味する。例えば、参照配列に「実質的に同一」であるアミノ酸配列は、参照アミノ酸配列に対して少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有する。ポリペプチドについて、比較配列の長さは、一般に、少なくとも5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20個連続するアミノ酸、より好ましくは、少なくとも25、50、75、90、100、150、200、250、300、または350個連続するアミノ酸、最も好ましくは、完全長のアミノ酸配列であろう。核酸については、比較配列の長さは、一般に、少なくとも5個連続するヌクレオチド、好ましくは、少なくとも10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25個連続するヌクレオチド、最も好ましくは、完全長のヌクレオチド配列であろう。配列同一性は、配列解析ソフトウェアをデフォルト設定で用いて測定することができる(例えば、Genetics Computer Group (University of Wisconsin Biotechnology Center, 1710 University Avenue, Madison, WI 53705)の配列解析ソフトウェアパッケージ)。このようなソフトウェアは、種々の置換、欠失、および他の改変に対して相同性の程度を割り当てることによって、類似の配列を照会することができる。
「タグ」または「オリゴヌクレオチドタグ」とは、ライブラリーのオリゴヌクレオチド部分を意味し、その少なくとも一部が情報をコードする。このような情報の非限定的な例には、構成成分(すなわち、足場またはビルディングブロック、それぞれ、足場タグまたはビルディングブロックタグと同様)の付加(例えば、結合反応による)、ライブラリー内のヘッドピース、ライブラリーのアイデンティティ(すなわち、アイデンティティタグと同様)、ライブラリーの使用(すなわち、使用タグと同様)、および/またはライブラリーメンバーの起源(すなわち、起源タグと同様)が含まれる。
「テイルピース」とは、先行するタグのすべてを付加した後に複合体に取り付けられ、かつライブラリーのアイデンティティ、ライブラリーの使用、および/またはライブラリーメンバーの起源をコードする、ライブラリーのオリゴヌクレオチド部分を意味する。
「プライマー」とは、オリゴヌクレオチド鋳型にアニーリングすることが可能で、その後鋳型依存的にポリメラーゼにより伸長され得る、オリゴヌクレオチドを意味する。
「リレープライマー」とは、該プライマーがハイブリダイズされる鋳型の領域に、ポリメラーゼが読み通すまたは通過して移動する能力を低下させる少なくとも1つのヌクレオチド間リンケージを含む、オリゴヌクレオチド鋳型にアニーリングすることが可能なオリゴヌクレオチドを意味する。ハイブリダイゼーション後に、1つ以上のリレープライマーは鋳型依存的にポリメラーゼによる伸長を可能にする。
本明細書で使用する「組換え」とは、少なくとも2つの別個のハイブリダイゼーション事象の結果としてのポリメラーゼ産物の生成を意味する。
[本発明1001]
(i)1つ以上の足場または1つ以上のビルディングブロックを含む化学物質;
(ii)前記1つ以上の足場またはビルディングブロックの少なくとも1つのアイデンティティをコードする第1オリゴヌクレオチドタグ;および
(iii)第1官能基と第2官能基とを有するヘッドピースであって、第1官能基は前記化学物質と機能的に結び付いており、かつ第2官能基は、ポリメラーゼが読み通すまたは通過して移動する(read or translocate through)能力が低下している第1リンケージを介して、前記第1タグと機能的に結び付いている、ヘッドピース
を含む、複合体。
[本発明1002]
(i)1つ以上の足場または1つ以上のビルディングブロックを含む化学物質;
(ii)n-1個のリンケージを有するn個のオリゴヌクレオチドタグであって、ここでnは1と10の間の整数であり、かつ前記リンケージのそれぞれは2つの隣接するタグの間にあり、かつ各タグは前記1つ以上の足場またはビルディングブロックの少なくとも1つのアイデンティティをコードしている、オリゴヌクレオチドタグ;および
(iii)前記化学物質と機能的に結び付いた第1官能基と、前記n個のタグの少なくとも1つと第1リンケージを介して機能的に結び付いた第2官能基とを有するヘッドピース
を含み、ポリメラーゼは第1リンケージおよびn-1個のリンケージの少なくとも1つを読み通すまたは通過して移動する能力が低下している、複合体。
[本発明1003]
前記ポリメラーゼは、第1リンケージおよびn-1個のリンケージの少なくとも約10%を読み通すまたは通過して移動する能力が低下している、本発明1002の複合体。
[本発明1004]
1つ以上のタグが、該1つ以上のタグの5'末端に5'-コネクタ、および該1つ以上のタグの3'末端に3'-コネクタを含む、本発明1001〜1003のいずれかの複合体。
[本発明1005]
各5'-コネクタが同じ配列を含む、本発明1004の複合体。
[本発明1006]
各3'-コネクタが同じ配列を含む、本発明1004または1005の複合体。
[本発明1007]
各5'-コネクタおよび/または各3'-コネクタが異なる配列を含む、本発明1004の複合体。
[本発明1008]
第1リンケージおよび/またはn-1個のリンケージが少なくとも約3オングストロームの長さである、本発明1001〜1007のいずれかの複合体。
[本発明1009]
第1リンケージおよび/またはn-1個のリンケージが約30オングストローム未満の長さである、本発明1001〜1008のいずれかの複合体。
[本発明1010]
DNAポリメラーゼおよび/またはRNAポリメラーゼは、第1リンケージおよび/またはn-1個のリンケージを読み通すまたは通過して移動する能力が低下している、本発明1001〜1009のいずれかの複合体。
[本発明1011]
第1リンケージおよびn-1個のリンケージの約50%未満が酵素的リンケージを含む、本発明1001〜1010のいずれかの複合体。
[本発明1012]
第1リンケージおよびn-1個のリンケージが化学的リンケージを含む、本発明1001〜1011のいずれかの複合体。
[本発明1013]
化学的リンケージが化学反応基、光反応基、インターカレート部分(intercalating moiety)、または架橋性オリゴヌクレオチドを含む、本発明1012の複合体。
[本発明1014]
少なくとも1つの化学反応基、光反応基、またはインターカレート部分が、前記タグの5'末端にあるもしくは5'末端に近接する5'-コネクタ中に存在し、かつ/または前記タグの3'末端にあるもしくは3'末端に近接する3'-コネクタ中に存在する、本発明1013の複合体。
[本発明1015]
前記5'-コネクタの少なくとも1つの配列が、隣接する3'-コネクタの配列に相補的であるか、または別個のハイブリダイゼーション事象において接合部の両側にある同じ相補的オリゴヌクレオチドへのハイブリダイゼーションを可能にするために同一であるかもしくは十分に類似している、本発明1014の複合体。
[本発明1016]
前記化学反応基が、置換されてもよいアルキニル基と、置換されてもよいアジド基の対;4π電子系を有する置換されてもよいジエンと、2π電子系を有する置換されてもよいジエノフィルまたは置換されてもよいヘテロジエノフィルの対;求核剤とひずみのあるヘテロシクリル求電子剤の対;置換されてもよいアミノ基とアルデヒドもしくはケトン基の対;置換されてもよいアミノ基とカルボン酸基の対;置換されてもよいヒドラジンとアルデヒドもしくはケトン基の対;置換されてもよいヒドロキシルアミンとアルデヒドもしくはケトン基の対;求核剤と置換されてもよいハロゲン化アルキルの対;白金錯体;アルキル化剤;またはフラン修飾ヌクレオチドから選択される、本発明1013〜1015のいずれかの複合体。
[本発明1017]
前記光反応基が、インターカレート部分、ソラレン誘導体、置換されてもよいシアノビニルカルバゾール基、置換されてもよいビニルカルバゾール基、置換されてもよいシアノビニル基、置換されてもよいアクリルアミド基、置換されてもよいジアジリン基、置換されてもよいベンゾフェノン、置換されてもよい5-(カルボキシ)ビニル-ウリジン基、または置換されてもよいアジド基を含む、本発明1013〜1015のいずれかの複合体。
[本発明1018]
前記インターカレート部分が、ソラレン誘導体、アルカロイド誘導体、エチジウムカチオン、アクリジン誘導体、アントラサイクリン誘導体、またはサリドマイドである、本発明1013〜1015のいずれかの複合体。
[本発明1019]
前記ソラレン誘導体が、ソラレン、8-メトキシソラレン、または4-ヒドロキシメチル-4,5,8-トリメチル-ソラレンである、本発明1018の複合体。
[本発明1020]
前記化学的リンケージが前記架橋性オリゴヌクレオチドを含み、ここで、前記架橋性オリゴヌクレオチドの5'末端の少なくとも5個のヌクレオチドの配列は、1つ以上のタグの3'末端の少なくとも5個のヌクレオチドの配列に相補的であり、かつ前記架橋性オリゴヌクレオチドの3'末端の少なくとも5個のヌクレオチドの配列は、1つ以上のタグの5'末端の少なくとも5個のヌクレオチドの配列に相補的である、本発明1013の複合体。
[本発明1021]
前記1つ以上のタグの3'末端が3'-コネクタを含む、本発明1020の複合体。
[本発明1022]
前記1つ以上のタグの5'末端が5'-コネクタを含む、本発明1020または1021の複合体。
[本発明1023]
前記架橋性オリゴヌクレオチドの5'末端および/または3'末端が可逆的な共反応基を含む、本発明1020〜1022のいずれかの複合体。
[本発明1024]
3'-コネクタおよび/または5'-コネクタが可逆的な共反応基を含む、本発明1021または1022の複合体。
[本発明1025]
前記可逆的な共反応基がシアノビニルカルバゾール基、シアノビニル基、アクリルアミド基、チオール基、またはビニルスルホン基である、本発明1023または1024の複合体。
[本発明1026]
前記化学物質が2官能性スペーサーを介して前記ヘッドピースに機能的に結び付けられる、本発明1001〜1025のいずれかの複合体。
[本発明1027]
前記化学物質が前記ヘッドピースに共有結合で取り付けられる、本発明1001〜1026のいずれかの複合体。
[本発明1028]
前記ヘッドピースが、二本鎖オリゴヌクレオチド、一本鎖オリゴヌクレオチド、またはヘアピンオリゴヌクレオチドからなる群より選択されるオリゴヌクレオチドを含む、本発明1001〜1027のいずれかの複合体。
[本発明1029]
前記ヘッドピースがプライマー結合領域を含む、本発明1028の複合体。
[本発明1030]
1つ以上の第1ライブラリー識別タグ、使用タグ、および/または起源タグをさらに含む、本発明1001〜1029のいずれかの複合体。
[本発明1031]
前記複合体が2〜20のタグを含む、本発明1001〜1030のいずれかの複合体。
[本発明1032]
前記タグのそれぞれが5〜75個のヌクレオチドを含む、本発明1001〜1031のいずれかの複合体。
[本発明1033]
個々のタグセット内の前記タグのそれぞれがほぼ同じ質量を含む、本発明1001〜1032のいずれかの複合体。
[本発明1034]
RNA、DNA、修飾DNA、および/または修飾RNAを含む、本発明1001〜1033のいずれかの複合体。
[本発明1035]
修飾DNAまたは修飾RNAがPNA、LNA、GNA、TNA、または同じオリゴヌクレオチド内のそれらの混合物である、本発明1034の複合体。
[本発明1036]
テイルピースをさらに含む、本発明1001〜1035のいずれかの複合体。
[本発明1037]
本発明1001〜1036のいずれかの1つ以上の複合体を含むライブラリー。
[本発明1038]
前記ライブラリーが複数のヘッドピースを含む、本発明1037のライブラリー。
[本発明1039]
前記複数のヘッドピースの各ヘッドピースが同一の配列領域および異なるコード領域を含む、本発明1038のライブラリー。
[本発明1040]
同一の配列領域がプライマー結合領域である、本発明1039のライブラリー。
[本発明1041]
異なるコード領域が、ライブラリーの使用、ライブラリーの起源、ライブラリーのアイデンティティ、ライブラリーの履歴、リンケージ、スペーサー、もしくは第1構成成分の付加をコードする第1タグ;またはハイブリダイゼーション、増幅、クローニングもしくは配列決定技術を容易にするオリゴヌクレオチド配列である、本発明1039または1040のライブラリー。
[本発明1042]
約102〜1020の複合体を含む、本発明1037〜1041のいずれかのライブラリー。
[本発明1043]
各複合体が異なっている、本発明1037〜1042のいずれかのライブラリー。
[本発明1044]
コード化した化学物質を含む第1ライブラリーをタグ付けする方法であって:
(a)第1官能基と第2官能基を有するヘッドピースを提供する工程;
(b)該ヘッドピースの第1官能基を該化学物質の第1構成成分に結合させる工程であって、該ヘッドピースは第1構成成分に直接接合されるか、または該ヘッドピースは2官能性スペーサーによって第1構成成分に間接的に接合される、工程;および
(c)該ヘッドピースの第2官能基を第1オリゴヌクレオチドタグに第1リンケージを介して結合させて複合体を形成する工程であって、ポリメラーゼは第1リンケージを読み通すまたは通過して移動する能力が低下している、工程
を含み、
前記工程(b)および(c)は任意の順序で実施することができ、かつ前記第1タグは工程(b)の結合反応をコードしており、それによってタグ付けされたライブラリーを提供する、方法。
[本発明1045]
コード化した化学物質を含む第1ライブラリーをタグ付けする方法であって:
(a)第1官能基と第2官能基を有するヘッドピースを提供する工程;
(b)該ヘッドピースの第1官能基を化学物質の第1構成成分に結合させる工程であって、該ヘッドピースは第1構成成分に直接接合されるか、または該ヘッドピースは2官能性スペーサーによって第1構成成分に間接的に接合される、工程;
(c)該ヘッドピースの第2官能基を第1オリゴヌクレオチドタグに第1リンケージを介して結合させる工程;
(d)化学物質のnc個の追加の構成成分を結合させる工程であって、ここでncは1と10の間の整数である、工程;および
(e)nt個のリンケージを有するnt個の追加のオリゴヌクレオチドタグを結合させて複合体を形成する工程であって、ここでntは1と10の間の整数であり、かつ前記リンケージのそれぞれは2つの隣接するタグの間にあり、かつ各タグは前記構成成分の少なくとも1つのアイデンティティをコードする、工程
を含み、
ポリメラーゼは第1リンケージおよびnt個のリンケージの少なくとも1つを読み通すまたは通過して移動する能力が低下しており、
前記工程(b)および(c)は任意の順序で実施することができ、かつ前記第1タグは工程(b)の結合反応をコードしており、前記工程(d)および(e)は任意の順序で実施することができ、かつ追加の各タグは工程(d)の追加の各構成成分の結合反応をコードしており、それによってタグ付けされたライブラリーを提供する、方法。
[本発明1046]
前記ポリメラーゼは、第1リンケージおよびnt個のリンケージの少なくとも約10%を読み通すまたは通過して移動する能力が低下している、本発明1045の方法。
[本発明1047]
第1構成成分および/または追加の構成成分が足場またはビルディングブロックを含む、本発明1044〜1046のいずれかの方法。
[本発明1048]
工程(b)が前記ヘッドピースを、2官能性スペーサーを介して、第1構成成分に間接的に結合させることを含む、本発明1044〜1047のいずれかの方法。
[本発明1049]
使用タグおよび/または起源タグを前記複合体に結合させることをさらに含む、本発明1044〜1048のいずれかの方法。
[本発明1050]
第1ライブラリー識別タグを前記複合体に結合させることをさらに含む、本発明1044〜1049のいずれかの方法。
[本発明1051]
第2ライブラリーを提供し、かつ第1ライブラリーを第2ライブラリーと組み合わせることをさらに含む、本発明1050の方法。
[本発明1052]
テイルピースを前記複合体に結合させることをさらに含む、本発明1044〜1051のいずれかの方法。
[本発明1053]
前記結合させる工程が化学反応基、光反応基、インターカレート部分、または架橋性オリゴヌクレオチドを含む、本発明1044〜1052のいずれかの方法。
[本発明1054]
1つ以上の工程でスプリット・アンド・プール合成を実施すること、1つ以上の複合体を分離すること、および/または1つ以上の複合体を精製することをさらに含む、本発明1044〜1053のいずれかの方法。
[本発明1055]
本発明1001〜1036のいずれかの複合体および/または本発明1037〜1043のいずれかのライブラリーをさらに含む、本発明1044〜1053のいずれかの方法。
[本発明1056]
複数の化学物質をスクリーニングする方法であって:
(a)標的を本発明1001〜1036のいずれかの複合体および/または本発明1037〜1043のいずれかのライブラリーと接触させる工程;および
(b)対照と比較して、該標的に対して所定の特性を有する1つ以上の複合体を選択し、それによって化学物質をスクリーニングする工程
を含む、方法。
[本発明1057]
前記所定の特性が、対照と比較して、増加した前記標的への結合を含む、本発明1056の方法。
[本発明1058]
工程(a)の前に、1つ以上の操作を実施し、該操作が、1つ以上のリレープライマー(relay primer)を前記複合体とアニーリングすることであって、ここで、該1つ以上のリレープライマーは第1リンケージおよび/またはn-1個のリンケージにまたがっている、こと;該リレープライマーをポリメラーゼを用いて伸長させてオリゴヌクレオチド断片を生成すること;および該オリゴヌクレオチド断片をライゲーションして鋳型を生成することからなるリストより選択される、本発明1056または1057の方法。
[本発明1059]
本発明1001〜1036のいずれかの複合体のヌクレオチド配列を決定する方法であって:
(a)1つ以上のリレープライマーを該複合体とアニーリングする工程であって、該1つ以上のリレープライマーは第1リンケージおよび/またはn-1個のリンケージにまたがっている、工程;
(b)該リレープライマーをポリメラーゼを用いて伸長させてオリゴヌクレオチド断片を生成する工程;
(c)該オリゴヌクレオチド断片をライゲーションして鋳型を生成する工程;
(d)任意で、該鋳型をポリメラーゼ連鎖反応により増幅して、増幅混合物を生成する工程;および
(e)前記任意で増幅された混合物を配列決定して該複合体の配列を決定する工程
を含む、方法。
[本発明1060]
前記複合体が、1つ以上のタグの5'末端に5'-コネクタおよび1つ以上のタグの3'末端に3'-コネクタを含み、かつ前記1つ以上のリレープライマーのそれぞれが隣接する5'-および3'-コネクタにハイブリダイズする、本発明1059の方法。
[本発明1061]
各5'-コネクタが同じ配列を含む、本発明1060の方法。
[本発明1062]
各3'-コネクタが同じ配列を含む、本発明1061の方法。
[本発明1063]
前記5'-コネクタの少なくとも1つの配列が、隣接する3'-コネクタの配列に相補的であるか、または別個のハイブリダイゼーション事象において接合部の両側にある同じ相補的オリゴヌクレオチドへのハイブリダイゼーションを可能にするように同一であるかもしくは十分に類似している、本発明1060〜1062のいずれかの方法。
[本発明1064]
5'-コネクタを隣接する3'-コネクタにハイブリダイズすることをさらに含む、本発明1063の方法。
[本発明1065]
5'-コネクタと3'-コネクタの間の特定の接合部のための各リレープライマーが同じ配列を含む、本発明1060〜1064のいずれかの方法。
[本発明1066]
本発明1001〜1036のいずれかの複合体のヌクレオチド配列を決定する方法であって:
(a)化学的リンケージを含む複合体を提供する工程であって、該化学的リンケージは、2つの隣接タグ間の接合部にまたがりかつ1つ以上の可逆的共反応基を介して該2つの隣接タグと機能的に結び付く、架橋性オリゴヌクレオチドである、工程;
(b)該架橋性オリゴヌクレオチドを放出させて鋳型を生成する工程;
(c)任意で、該鋳型をポリメラーゼ連鎖反応により増幅して、増幅混合物を生成する工程;および
(d)前記任意で増幅された混合物を配列決定して該複合体の配列を決定する工程
を含む、方法。
[本発明1067]
前記架橋性オリゴヌクレオチドの一部が2つの隣接タグの末端にハイブリダイズし、それによって該2つの隣接タグ間にニックまたはギャップを生成する、本発明1066の方法。
[本発明1068]
工程(b)の前に、化学的方法または酵素的方法を用いて前記タグをライゲーションすることをさらに含む、本発明1067の方法。
[本発明1069]
前記化学的方法または酵素的方法が5'-リン酸化を含む、本発明1068の方法。
[本発明1070]
前記任意増幅工程または前記配列決定工程の前に、前記鋳型を修復する工程をさらに含む、本発明1059〜1069のいずれかの方法。
[本発明1071]
前記修復する工程が第1リンケージおよび/またはn-1個のリンケージの少なくとも1つを修正して、ポリメラーゼが読み通すまたは通過して移動することが可能な、修復されたリンケージとすることを含む、本発明1070の方法。
[本発明1072]
前記ポリメラーゼが、修復されたリンケージの少なくとも90%を読み通すまたは通過して移動することができる、本発明1071の方法。
[本発明1073]
前記修復する工程が前記鋳型に修復酵素を提供することを含む、本発明1070〜1072のいずれかの方法。
[本発明1074]
前記修復酵素がフォトリアーゼ、グリコシラーゼ、エンドヌクレアーゼ、フラップエンドヌクレアーゼ、脱プリン/脱ピリミジン(AP)エンドヌクレアーゼ、ポリADPリボースポリメラーゼ、またはメチルトランスフェラーゼである、本発明1073の方法。
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
(i)1つ以上の足場または1つ以上のビルディングブロックを含む化学物質;
(ii)前記1つ以上の足場またはビルディングブロックの少なくとも1つのアイデンティティをコードする第1オリゴヌクレオチドタグ;および
(iii)第1官能基と第2官能基とを有するヘッドピースであって、第1官能基は前記化学物質と機能的に結び付いており、かつ第2官能基は、ポリメラーゼが読み通すまたは通過して移動する(read or translocate through)能力が低下している第1リンケージを介して、前記第1タグと機能的に結び付いている、ヘッドピース
を含む、複合体。
[本発明1002]
(i)1つ以上の足場または1つ以上のビルディングブロックを含む化学物質;
(ii)n-1個のリンケージを有するn個のオリゴヌクレオチドタグであって、ここでnは1と10の間の整数であり、かつ前記リンケージのそれぞれは2つの隣接するタグの間にあり、かつ各タグは前記1つ以上の足場またはビルディングブロックの少なくとも1つのアイデンティティをコードしている、オリゴヌクレオチドタグ;および
(iii)前記化学物質と機能的に結び付いた第1官能基と、前記n個のタグの少なくとも1つと第1リンケージを介して機能的に結び付いた第2官能基とを有するヘッドピース
を含み、ポリメラーゼは第1リンケージおよびn-1個のリンケージの少なくとも1つを読み通すまたは通過して移動する能力が低下している、複合体。
[本発明1003]
前記ポリメラーゼは、第1リンケージおよびn-1個のリンケージの少なくとも約10%を読み通すまたは通過して移動する能力が低下している、本発明1002の複合体。
[本発明1004]
1つ以上のタグが、該1つ以上のタグの5'末端に5'-コネクタ、および該1つ以上のタグの3'末端に3'-コネクタを含む、本発明1001〜1003のいずれかの複合体。
[本発明1005]
各5'-コネクタが同じ配列を含む、本発明1004の複合体。
[本発明1006]
各3'-コネクタが同じ配列を含む、本発明1004または1005の複合体。
[本発明1007]
各5'-コネクタおよび/または各3'-コネクタが異なる配列を含む、本発明1004の複合体。
[本発明1008]
第1リンケージおよび/またはn-1個のリンケージが少なくとも約3オングストロームの長さである、本発明1001〜1007のいずれかの複合体。
[本発明1009]
第1リンケージおよび/またはn-1個のリンケージが約30オングストローム未満の長さである、本発明1001〜1008のいずれかの複合体。
[本発明1010]
DNAポリメラーゼおよび/またはRNAポリメラーゼは、第1リンケージおよび/またはn-1個のリンケージを読み通すまたは通過して移動する能力が低下している、本発明1001〜1009のいずれかの複合体。
[本発明1011]
第1リンケージおよびn-1個のリンケージの約50%未満が酵素的リンケージを含む、本発明1001〜1010のいずれかの複合体。
[本発明1012]
第1リンケージおよびn-1個のリンケージが化学的リンケージを含む、本発明1001〜1011のいずれかの複合体。
[本発明1013]
化学的リンケージが化学反応基、光反応基、インターカレート部分(intercalating moiety)、または架橋性オリゴヌクレオチドを含む、本発明1012の複合体。
[本発明1014]
少なくとも1つの化学反応基、光反応基、またはインターカレート部分が、前記タグの5'末端にあるもしくは5'末端に近接する5'-コネクタ中に存在し、かつ/または前記タグの3'末端にあるもしくは3'末端に近接する3'-コネクタ中に存在する、本発明1013の複合体。
[本発明1015]
前記5'-コネクタの少なくとも1つの配列が、隣接する3'-コネクタの配列に相補的であるか、または別個のハイブリダイゼーション事象において接合部の両側にある同じ相補的オリゴヌクレオチドへのハイブリダイゼーションを可能にするために同一であるかもしくは十分に類似している、本発明1014の複合体。
[本発明1016]
前記化学反応基が、置換されてもよいアルキニル基と、置換されてもよいアジド基の対;4π電子系を有する置換されてもよいジエンと、2π電子系を有する置換されてもよいジエノフィルまたは置換されてもよいヘテロジエノフィルの対;求核剤とひずみのあるヘテロシクリル求電子剤の対;置換されてもよいアミノ基とアルデヒドもしくはケトン基の対;置換されてもよいアミノ基とカルボン酸基の対;置換されてもよいヒドラジンとアルデヒドもしくはケトン基の対;置換されてもよいヒドロキシルアミンとアルデヒドもしくはケトン基の対;求核剤と置換されてもよいハロゲン化アルキルの対;白金錯体;アルキル化剤;またはフラン修飾ヌクレオチドから選択される、本発明1013〜1015のいずれかの複合体。
[本発明1017]
前記光反応基が、インターカレート部分、ソラレン誘導体、置換されてもよいシアノビニルカルバゾール基、置換されてもよいビニルカルバゾール基、置換されてもよいシアノビニル基、置換されてもよいアクリルアミド基、置換されてもよいジアジリン基、置換されてもよいベンゾフェノン、置換されてもよい5-(カルボキシ)ビニル-ウリジン基、または置換されてもよいアジド基を含む、本発明1013〜1015のいずれかの複合体。
[本発明1018]
前記インターカレート部分が、ソラレン誘導体、アルカロイド誘導体、エチジウムカチオン、アクリジン誘導体、アントラサイクリン誘導体、またはサリドマイドである、本発明1013〜1015のいずれかの複合体。
[本発明1019]
前記ソラレン誘導体が、ソラレン、8-メトキシソラレン、または4-ヒドロキシメチル-4,5,8-トリメチル-ソラレンである、本発明1018の複合体。
[本発明1020]
前記化学的リンケージが前記架橋性オリゴヌクレオチドを含み、ここで、前記架橋性オリゴヌクレオチドの5'末端の少なくとも5個のヌクレオチドの配列は、1つ以上のタグの3'末端の少なくとも5個のヌクレオチドの配列に相補的であり、かつ前記架橋性オリゴヌクレオチドの3'末端の少なくとも5個のヌクレオチドの配列は、1つ以上のタグの5'末端の少なくとも5個のヌクレオチドの配列に相補的である、本発明1013の複合体。
[本発明1021]
前記1つ以上のタグの3'末端が3'-コネクタを含む、本発明1020の複合体。
[本発明1022]
前記1つ以上のタグの5'末端が5'-コネクタを含む、本発明1020または1021の複合体。
[本発明1023]
前記架橋性オリゴヌクレオチドの5'末端および/または3'末端が可逆的な共反応基を含む、本発明1020〜1022のいずれかの複合体。
[本発明1024]
3'-コネクタおよび/または5'-コネクタが可逆的な共反応基を含む、本発明1021または1022の複合体。
[本発明1025]
前記可逆的な共反応基がシアノビニルカルバゾール基、シアノビニル基、アクリルアミド基、チオール基、またはビニルスルホン基である、本発明1023または1024の複合体。
[本発明1026]
前記化学物質が2官能性スペーサーを介して前記ヘッドピースに機能的に結び付けられる、本発明1001〜1025のいずれかの複合体。
[本発明1027]
前記化学物質が前記ヘッドピースに共有結合で取り付けられる、本発明1001〜1026のいずれかの複合体。
[本発明1028]
前記ヘッドピースが、二本鎖オリゴヌクレオチド、一本鎖オリゴヌクレオチド、またはヘアピンオリゴヌクレオチドからなる群より選択されるオリゴヌクレオチドを含む、本発明1001〜1027のいずれかの複合体。
[本発明1029]
前記ヘッドピースがプライマー結合領域を含む、本発明1028の複合体。
[本発明1030]
1つ以上の第1ライブラリー識別タグ、使用タグ、および/または起源タグをさらに含む、本発明1001〜1029のいずれかの複合体。
[本発明1031]
前記複合体が2〜20のタグを含む、本発明1001〜1030のいずれかの複合体。
[本発明1032]
前記タグのそれぞれが5〜75個のヌクレオチドを含む、本発明1001〜1031のいずれかの複合体。
[本発明1033]
個々のタグセット内の前記タグのそれぞれがほぼ同じ質量を含む、本発明1001〜1032のいずれかの複合体。
[本発明1034]
RNA、DNA、修飾DNA、および/または修飾RNAを含む、本発明1001〜1033のいずれかの複合体。
[本発明1035]
修飾DNAまたは修飾RNAがPNA、LNA、GNA、TNA、または同じオリゴヌクレオチド内のそれらの混合物である、本発明1034の複合体。
[本発明1036]
テイルピースをさらに含む、本発明1001〜1035のいずれかの複合体。
[本発明1037]
本発明1001〜1036のいずれかの1つ以上の複合体を含むライブラリー。
[本発明1038]
前記ライブラリーが複数のヘッドピースを含む、本発明1037のライブラリー。
[本発明1039]
前記複数のヘッドピースの各ヘッドピースが同一の配列領域および異なるコード領域を含む、本発明1038のライブラリー。
[本発明1040]
同一の配列領域がプライマー結合領域である、本発明1039のライブラリー。
[本発明1041]
異なるコード領域が、ライブラリーの使用、ライブラリーの起源、ライブラリーのアイデンティティ、ライブラリーの履歴、リンケージ、スペーサー、もしくは第1構成成分の付加をコードする第1タグ;またはハイブリダイゼーション、増幅、クローニングもしくは配列決定技術を容易にするオリゴヌクレオチド配列である、本発明1039または1040のライブラリー。
[本発明1042]
約102〜1020の複合体を含む、本発明1037〜1041のいずれかのライブラリー。
[本発明1043]
各複合体が異なっている、本発明1037〜1042のいずれかのライブラリー。
[本発明1044]
コード化した化学物質を含む第1ライブラリーをタグ付けする方法であって:
(a)第1官能基と第2官能基を有するヘッドピースを提供する工程;
(b)該ヘッドピースの第1官能基を該化学物質の第1構成成分に結合させる工程であって、該ヘッドピースは第1構成成分に直接接合されるか、または該ヘッドピースは2官能性スペーサーによって第1構成成分に間接的に接合される、工程;および
(c)該ヘッドピースの第2官能基を第1オリゴヌクレオチドタグに第1リンケージを介して結合させて複合体を形成する工程であって、ポリメラーゼは第1リンケージを読み通すまたは通過して移動する能力が低下している、工程
を含み、
前記工程(b)および(c)は任意の順序で実施することができ、かつ前記第1タグは工程(b)の結合反応をコードしており、それによってタグ付けされたライブラリーを提供する、方法。
[本発明1045]
コード化した化学物質を含む第1ライブラリーをタグ付けする方法であって:
(a)第1官能基と第2官能基を有するヘッドピースを提供する工程;
(b)該ヘッドピースの第1官能基を化学物質の第1構成成分に結合させる工程であって、該ヘッドピースは第1構成成分に直接接合されるか、または該ヘッドピースは2官能性スペーサーによって第1構成成分に間接的に接合される、工程;
(c)該ヘッドピースの第2官能基を第1オリゴヌクレオチドタグに第1リンケージを介して結合させる工程;
(d)化学物質のnc個の追加の構成成分を結合させる工程であって、ここでncは1と10の間の整数である、工程;および
(e)nt個のリンケージを有するnt個の追加のオリゴヌクレオチドタグを結合させて複合体を形成する工程であって、ここでntは1と10の間の整数であり、かつ前記リンケージのそれぞれは2つの隣接するタグの間にあり、かつ各タグは前記構成成分の少なくとも1つのアイデンティティをコードする、工程
を含み、
ポリメラーゼは第1リンケージおよびnt個のリンケージの少なくとも1つを読み通すまたは通過して移動する能力が低下しており、
前記工程(b)および(c)は任意の順序で実施することができ、かつ前記第1タグは工程(b)の結合反応をコードしており、前記工程(d)および(e)は任意の順序で実施することができ、かつ追加の各タグは工程(d)の追加の各構成成分の結合反応をコードしており、それによってタグ付けされたライブラリーを提供する、方法。
[本発明1046]
前記ポリメラーゼは、第1リンケージおよびnt個のリンケージの少なくとも約10%を読み通すまたは通過して移動する能力が低下している、本発明1045の方法。
[本発明1047]
第1構成成分および/または追加の構成成分が足場またはビルディングブロックを含む、本発明1044〜1046のいずれかの方法。
[本発明1048]
工程(b)が前記ヘッドピースを、2官能性スペーサーを介して、第1構成成分に間接的に結合させることを含む、本発明1044〜1047のいずれかの方法。
[本発明1049]
使用タグおよび/または起源タグを前記複合体に結合させることをさらに含む、本発明1044〜1048のいずれかの方法。
[本発明1050]
第1ライブラリー識別タグを前記複合体に結合させることをさらに含む、本発明1044〜1049のいずれかの方法。
[本発明1051]
第2ライブラリーを提供し、かつ第1ライブラリーを第2ライブラリーと組み合わせることをさらに含む、本発明1050の方法。
[本発明1052]
テイルピースを前記複合体に結合させることをさらに含む、本発明1044〜1051のいずれかの方法。
[本発明1053]
前記結合させる工程が化学反応基、光反応基、インターカレート部分、または架橋性オリゴヌクレオチドを含む、本発明1044〜1052のいずれかの方法。
[本発明1054]
1つ以上の工程でスプリット・アンド・プール合成を実施すること、1つ以上の複合体を分離すること、および/または1つ以上の複合体を精製することをさらに含む、本発明1044〜1053のいずれかの方法。
[本発明1055]
本発明1001〜1036のいずれかの複合体および/または本発明1037〜1043のいずれかのライブラリーをさらに含む、本発明1044〜1053のいずれかの方法。
[本発明1056]
複数の化学物質をスクリーニングする方法であって:
(a)標的を本発明1001〜1036のいずれかの複合体および/または本発明1037〜1043のいずれかのライブラリーと接触させる工程;および
(b)対照と比較して、該標的に対して所定の特性を有する1つ以上の複合体を選択し、それによって化学物質をスクリーニングする工程
を含む、方法。
[本発明1057]
前記所定の特性が、対照と比較して、増加した前記標的への結合を含む、本発明1056の方法。
[本発明1058]
工程(a)の前に、1つ以上の操作を実施し、該操作が、1つ以上のリレープライマー(relay primer)を前記複合体とアニーリングすることであって、ここで、該1つ以上のリレープライマーは第1リンケージおよび/またはn-1個のリンケージにまたがっている、こと;該リレープライマーをポリメラーゼを用いて伸長させてオリゴヌクレオチド断片を生成すること;および該オリゴヌクレオチド断片をライゲーションして鋳型を生成することからなるリストより選択される、本発明1056または1057の方法。
[本発明1059]
本発明1001〜1036のいずれかの複合体のヌクレオチド配列を決定する方法であって:
(a)1つ以上のリレープライマーを該複合体とアニーリングする工程であって、該1つ以上のリレープライマーは第1リンケージおよび/またはn-1個のリンケージにまたがっている、工程;
(b)該リレープライマーをポリメラーゼを用いて伸長させてオリゴヌクレオチド断片を生成する工程;
(c)該オリゴヌクレオチド断片をライゲーションして鋳型を生成する工程;
(d)任意で、該鋳型をポリメラーゼ連鎖反応により増幅して、増幅混合物を生成する工程;および
(e)前記任意で増幅された混合物を配列決定して該複合体の配列を決定する工程
を含む、方法。
[本発明1060]
前記複合体が、1つ以上のタグの5'末端に5'-コネクタおよび1つ以上のタグの3'末端に3'-コネクタを含み、かつ前記1つ以上のリレープライマーのそれぞれが隣接する5'-および3'-コネクタにハイブリダイズする、本発明1059の方法。
[本発明1061]
各5'-コネクタが同じ配列を含む、本発明1060の方法。
[本発明1062]
各3'-コネクタが同じ配列を含む、本発明1061の方法。
[本発明1063]
前記5'-コネクタの少なくとも1つの配列が、隣接する3'-コネクタの配列に相補的であるか、または別個のハイブリダイゼーション事象において接合部の両側にある同じ相補的オリゴヌクレオチドへのハイブリダイゼーションを可能にするように同一であるかもしくは十分に類似している、本発明1060〜1062のいずれかの方法。
[本発明1064]
5'-コネクタを隣接する3'-コネクタにハイブリダイズすることをさらに含む、本発明1063の方法。
[本発明1065]
5'-コネクタと3'-コネクタの間の特定の接合部のための各リレープライマーが同じ配列を含む、本発明1060〜1064のいずれかの方法。
[本発明1066]
本発明1001〜1036のいずれかの複合体のヌクレオチド配列を決定する方法であって:
(a)化学的リンケージを含む複合体を提供する工程であって、該化学的リンケージは、2つの隣接タグ間の接合部にまたがりかつ1つ以上の可逆的共反応基を介して該2つの隣接タグと機能的に結び付く、架橋性オリゴヌクレオチドである、工程;
(b)該架橋性オリゴヌクレオチドを放出させて鋳型を生成する工程;
(c)任意で、該鋳型をポリメラーゼ連鎖反応により増幅して、増幅混合物を生成する工程;および
(d)前記任意で増幅された混合物を配列決定して該複合体の配列を決定する工程
を含む、方法。
[本発明1067]
前記架橋性オリゴヌクレオチドの一部が2つの隣接タグの末端にハイブリダイズし、それによって該2つの隣接タグ間にニックまたはギャップを生成する、本発明1066の方法。
[本発明1068]
工程(b)の前に、化学的方法または酵素的方法を用いて前記タグをライゲーションすることをさらに含む、本発明1067の方法。
[本発明1069]
前記化学的方法または酵素的方法が5'-リン酸化を含む、本発明1068の方法。
[本発明1070]
前記任意増幅工程または前記配列決定工程の前に、前記鋳型を修復する工程をさらに含む、本発明1059〜1069のいずれかの方法。
[本発明1071]
前記修復する工程が第1リンケージおよび/またはn-1個のリンケージの少なくとも1つを修正して、ポリメラーゼが読み通すまたは通過して移動することが可能な、修復されたリンケージとすることを含む、本発明1070の方法。
[本発明1072]
前記ポリメラーゼが、修復されたリンケージの少なくとも90%を読み通すまたは通過して移動することができる、本発明1071の方法。
[本発明1073]
前記修復する工程が前記鋳型に修復酵素を提供することを含む、本発明1070〜1072のいずれかの方法。
[本発明1074]
前記修復酵素がフォトリアーゼ、グリコシラーゼ、エンドヌクレアーゼ、フラップエンドヌクレアーゼ、脱プリン/脱ピリミジン(AP)エンドヌクレアーゼ、ポリADPリボースポリメラーゼ、またはメチルトランスフェラーゼである、本発明1073の方法。
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
詳細な説明
本発明者らは、ポリメラーゼが読み通すまたは通過して移動する能力が低下している、少なくとも1つのリンケージ(例えば、化学的リンケージ)を有する複合体を開発した。ポリメラーゼの可読性によって制約されることなくライブラリーをタグ付けすることができると、使用できるタグ付け方法の範囲が大幅に拡大する。考えられる非限定的な利点としては、以下が挙げられる:タグおよび/またはライブラリーメンバーの質量の減少;種々の反応条件(例えば、化学物質とタグの両方の合成に適する水性および/または有機条件)でのライブラリーメンバーの溶解度の増加;安定性の向上(例えば、水性および/または有機反応条件下、その場合、このようなオリゴヌクレオチドタグおよびリンケージは、そうしたリンケージを含まないタグと比較して、特定の反応条件に対してより耐性であり得る);コストの削減(例えば、高価な酵素試薬の使用を減らす);使いやすさの向上(例えば、シアノビニルカルバゾール架橋の使用は、5.5〜9.5の広いpH範囲にわたって行われ、これは複合体の化学物質の部分を形成するのに適した反応条件下での架橋を可能にする);反応工程数の減少および試薬の使用の低減(例えば、何千もの個々の小さなアリコートを独立して処理する必要があるコンビナトリアルスプリット反応中の、バッファー交換工程、沈殿工程、またはpH調整工程の使用の減少);忠実度の向上(例えば、誤タグ付け事象の発生頻度を減少させるためにハイブリダイゼーション媒介方法が使用される場合);および化学物質を形成するための反応条件との適合性の増加(例えば、オルソゴナル官能基の使用を可能にする、ここでは、ポスト-スプリット/ミックス工程中には生じない、ユニークなタグ付け化学(例えば、UV照射の使用)を使用することができ、さらに誤タグ付け事象の発生頻度をも減らすであろう)。
本発明者らは、ポリメラーゼが読み通すまたは通過して移動する能力が低下している、少なくとも1つのリンケージ(例えば、化学的リンケージ)を有する複合体を開発した。ポリメラーゼの可読性によって制約されることなくライブラリーをタグ付けすることができると、使用できるタグ付け方法の範囲が大幅に拡大する。考えられる非限定的な利点としては、以下が挙げられる:タグおよび/またはライブラリーメンバーの質量の減少;種々の反応条件(例えば、化学物質とタグの両方の合成に適する水性および/または有機条件)でのライブラリーメンバーの溶解度の増加;安定性の向上(例えば、水性および/または有機反応条件下、その場合、このようなオリゴヌクレオチドタグおよびリンケージは、そうしたリンケージを含まないタグと比較して、特定の反応条件に対してより耐性であり得る);コストの削減(例えば、高価な酵素試薬の使用を減らす);使いやすさの向上(例えば、シアノビニルカルバゾール架橋の使用は、5.5〜9.5の広いpH範囲にわたって行われ、これは複合体の化学物質の部分を形成するのに適した反応条件下での架橋を可能にする);反応工程数の減少および試薬の使用の低減(例えば、何千もの個々の小さなアリコートを独立して処理する必要があるコンビナトリアルスプリット反応中の、バッファー交換工程、沈殿工程、またはpH調整工程の使用の減少);忠実度の向上(例えば、誤タグ付け事象の発生頻度を減少させるためにハイブリダイゼーション媒介方法が使用される場合);および化学物質を形成するための反応条件との適合性の増加(例えば、オルソゴナル官能基の使用を可能にする、ここでは、ポスト-スプリット/ミックス工程中には生じない、ユニークなタグ付け化学(例えば、UV照射の使用)を使用することができ、さらに誤タグ付け事象の発生頻度をも減らすであろう)。
このようなリンケージはポリメラーゼによる可読性が低下している可能性があるため、我々はまた、このような複合体の配列決定を可能にする方法を開発した。こうした方法は、リンケージにまたがるリレープライマーの使用および/または放出可能な架橋性オリゴヌクレオチドの使用を含む。これらの複合体および方法は、特定のタグと、特定の化学反応またはビルディングブロックとの間のコード化された関係を確立することによって、選択可能な化学物質の多様なライブラリーを作成するために使用され得る。1つ以上の化学物質を同定するために、オリゴヌクレオチドタグを増幅し、クローニングし、配列決定して、確立された関係を用いることにより相関させることができる。こうした複合体のライブラリーを作成し、タグ付けする方法は、以下で詳細に説明される。
複合体
本発明は、化学物質と、1つ以上のタグと、該化学物質および1つ以上のタグに機能的に結び付いたヘッドピースとを含む複合体を特徴とする。ヘッドピースとタグの間または2つのタグの間のリンケージの少なくとも1つは、ポリメラーゼが読み通すまたは通過して移動する能力が低下しているリンケージである。化学物質、ヘッドピース、タグ、および2官能性スペーサーは、以下でさらに説明される。
本発明は、化学物質と、1つ以上のタグと、該化学物質および1つ以上のタグに機能的に結び付いたヘッドピースとを含む複合体を特徴とする。ヘッドピースとタグの間または2つのタグの間のリンケージの少なくとも1つは、ポリメラーゼが読み通すまたは通過して移動する能力が低下しているリンケージである。化学物質、ヘッドピース、タグ、および2官能性スペーサーは、以下でさらに説明される。
化学物質
本発明の化学物質またはメンバー(例えば、小分子またはペプチド)は1つ以上のビルディングブロックを含むことができ、任意で1つ以上の足場を含んでもよい。
本発明の化学物質またはメンバー(例えば、小分子またはペプチド)は1つ以上のビルディングブロックを含むことができ、任意で1つ以上の足場を含んでもよい。
足場Sは、単原子または分子足場とすることができる。例示的な単原子足場としては、炭素原子、ホウ素原子、窒素原子、またはリン原子などが挙げられる。例示的な多原子足場としては、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロシクロアルケニル基、アリール基、またはヘテロアリール基が挙げられる。ヘテロアリール足場の特定の例としては、以下が挙げられる:トリアジン、例えば1,3,5-トリアジン、1,2,3-トリアジン、もしくは1,2,4-トリアジン;ピリミジン;ピラジン;ピリダジン;フラン;ピロール;ピロリン;ピロリジン;オキサゾール;ピラゾール;イソオキサゾール;ピラン;ピリジン;インドール;インダゾール;またはプリン。
足場Sは、いずれかの有用な方法でタグに機能的に連結され得る。一例では、Sはヘッドピースに直接連結されるトリアジンである。この例示的な足場を得るために、トリクロロトリアジン(すなわち、3個の塩素を有するトリアジンの塩素化前駆体)をヘッドピースの求核基と反応させる。この方法を用いると、Sには、置換のために利用可能な塩素を有する3つの位置があり、そのうち2つの位置は多様性ノードに利用され、1つの位置はヘッドピースに取り付けられる。次に、ビルディングブロックAnが足場の多様性ノードに付加され、ビルディングブロックAnをコードするタグAn(「タグAn」)がヘッドピースにライゲーションされ、その際、これらの2工程は任意の順序で実施することができる。その後、ビルディングブロックBnが残りの多様性ノードに付加され、ビルディングブロックBnをコードするタグBnがタグAnの末端部にライゲーションされる。別の例では、Sはタグに機能的に連結されるトリアジンであり、この場合は、トリクロロトリアジンをタグのPEG、脂肪族、または芳香族リンカーの求核基(例えば、アミノ基)と反応させる。ビルディングブロックおよび関連するタグは、上記のように付加することができる。
さらに別の例では、SはビルディングブロックAnに機能的に連結されるトリアジンである。この足場を得るために、2つの多様性ノード(例えば、求電子基と求核基、Fmoc-アミノ酸など)を有するビルディングブロックAnをリンカーの求核基(例えば、ヘッドピースに取り付けられる、PEG、脂肪族、または芳香族リンカーの末端基)と反応させる。その後、トリクロロトリアジンをビルディングブロックAnの求核基と反応させる。この方法を用いると、Sの3つすべての塩素位置が、ビルディングブロックのための多様性ノードとして使用される。本明細書に記載されるように、追加のビルディングブロックおよびタグを付加することができ、また、追加の足場Snを付加することができる。
例示的なビルディングブロックAnには、例えば、アミノ酸(例:α-、β-、γ-、δ-、およびε-アミノ酸、ならびに天然および非天然アミノ酸の誘導体)、アミンと化学反応性の反応物(例:アジドまたはアルキン鎖)、チオール反応物、またはこれらの組み合わせが含まれる。ビルディングブロックAnの選択は、例えば、リンカー中で用いられる反応基の性質、足場部分の性質、および化学合成に用いられる溶媒に依存する。
例示的なビルディングブロックBnおよびCnとしては、例えば以下のような、化学物質の有用な構造単位が挙げられる:置換されてもよい芳香族基(例:置換されてもよいフェニルまたはベンジル)、置換されてもよいヘテロシクリル基(例:置換されてもよいキノリニル、イソキノリニル、インドリル、イソインドリル、アザインドリル、ベンズイミダゾリル、アザベンズイミダゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ピリジニル、ピペリジニル、またはピロリジニル)、置換されてもよいアルキル基(例:置換されてもよい直鎖もしくは分岐鎖C1-6アルキル基または置換されてもよいC1-6アミノアルキル基)、または置換されてもよいカルボシクリル基(例:置換されてもよいシクロプロピル、シクロヘキシル、もしくはシクロヘキセニル)。特に有用なビルディングブロックBnおよびCnには、1つ以上の反応基をもつもの、例えば、反応基であるかまたは反応基を形成するように化学的に改変され得る1つもしくは任意の置換基を有する、置換されてもよい基(例えば、本明細書に記載のいずれか)が含まれる。例示的な反応基としては、以下の1つ以上が挙げられる:アミン(-NR2、ここで各Rは、独立して、Hまたは置換されてもよいC1-6アルキル)、ヒドロキシ、アルコキシ(-OR、ここでRは置換されてもよいC1-6アルキルである、例えばメトキシなど)、カルボキシ(-COOH)、アミド、または化学反応性の置換基。制限部位が、例えばタグBnまたはCnに、導入されてもよく、その場合、複合体は、PCRおよび対応する制限酵素の1つによる制限消化を行うことによって同定され得る。
ヘッドピース
ライブラリーでは、ヘッドピースは、各化学物質をそのコードオリゴヌクレオチドタグに機能的に連結する。一般に、ヘッドピースは、さらに誘導体化され得る2つの官能基を有する出発オリゴヌクレオチドであり、ここで、第1官能基は化学物質(またはその構成成分)をヘッドピースに機能的に連結し、第2官能基は1つ以上のタグをヘッドピースに機能的に連結する。ヘッドピースと化学物質の間のスペーシング部分として、任意で、2官能性スペーサーを用いることができる。
ライブラリーでは、ヘッドピースは、各化学物質をそのコードオリゴヌクレオチドタグに機能的に連結する。一般に、ヘッドピースは、さらに誘導体化され得る2つの官能基を有する出発オリゴヌクレオチドであり、ここで、第1官能基は化学物質(またはその構成成分)をヘッドピースに機能的に連結し、第2官能基は1つ以上のタグをヘッドピースに機能的に連結する。ヘッドピースと化学物質の間のスペーシング部分として、任意で、2官能性スペーサーを用いることができる。
ヘッドピースの官能基は、化学物質の構成成分と共有結合を形成し、かつタグと別の共有結合を形成するために使用され得る。その構成成分は、小分子の任意の部分、例えば、多様性ノードを有する足場またはビルディングブロックとすることができる。あるいは、ヘッドピースは、官能基(例えば、ヒドロキシル、アミン、カルボキシル、スルフヒドリル、アルキニル、アジド、またはリン酸基)で終わるスペーサー(すなわち、ライブラリー内に形成される小分子からヘッドピースを隔離するスペーシング部分)を提供するように誘導体化することができ、該官能基は、化学物質の構成成分と共有結合を形成するために用いられる。スペーサーは、ヘッドピースの5'末端に、内部位置のいずれかに、または3'末端に取り付けることができる。スペーサーが内部位置の1つに取り付けられる場合、スペーサーは誘導体化された塩基(例えば、ウリジンのC5位置)に機能的に連結され得るか、または当技術分野で公知の標準的な技術を用いてオリゴヌクレオチドに内部的に配置され得る。例示的なスペーサーは本明細書に記載される。
ヘッドピースは任意の有用な構造をもつことができる。ヘッドピースは、例えば、1〜100ヌクレオチド長、好ましくは、5〜20ヌクレオチド長、最も好ましくは、5〜15ヌクレオチド長であり得る。ヘッドピースは一本鎖または二本鎖であってよく、天然のヌクレオチドまたは本明細書に記載されるような修飾ヌクレオチドで構成され得る。例えば、化学部分は、ヘッドピースの3'末端または5'末端に機能的に連結することができる。特定の態様では、ヘッドピースは配列内の相補的な塩基によって形成されたヘアピン構造を含む。例えば、化学部分は、ヘッドピースの内部位置、3'末端、または5'末端に機能的に連結することができる。
一般に、ヘッドピースは5'末端または3'末端に非自己相補的な配列を含み、該配列は重合、酵素的ライゲーション、または化学反応によるオリゴヌクレオチドタグの結合を可能にする。ヘッドピースはオリゴヌクレオチドタグのライゲーションならびに任意の精製およびリン酸化工程を可能にする。最後のタグを付加した後、追加のアダプター配列を最後のタグの5'末端に付加することができる。例示的なアダプター配列には、プライマー結合配列または標識(例えば、ビオチン)を有する配列が含まれる。多くのビルディングブロックおよび対応するタグが用いられる場合(例えば、100)、必要な数のタグを生成するためにオリゴヌクレオチド合成工程の間にミックス・アンド・スプリット戦略が採用され得る。DNA合成のためのこのようなミックス・アンド・スプリット戦略は当技術分野で知られている。得られたライブラリーメンバーは、関心対象の標的に対する結合物質について選択した後で、PCRにより増幅することができる。
ヘッドピースまたは複合体は、任意で、1つ以上のプライマー結合配列を含むことができる。例えば、ヘッドピースは、ヘアピンのループ領域に、増幅のためのプライマー結合領域として機能する配列を有し、この場合に、そのプライマー結合領域は、ヘッドピース内の配列に対してよりも、その相補的なプライマー(例えば、隣接する識別子領域を含むことができる)に対して高い融解温度を有する。他の態様において、複合体は、1つ以上のビルディングブロックをコードする1つ以上のタグの両側に、(例えば、PCR反応を可能にするために)2つのプライマー結合配列を含む。あるいは、ヘッドピースは、5'または3'末端に1つのプライマー結合配列を含んでもよい。他の態様では、ヘッドピースはヘアピンであって、ループ領域がプライマー結合部位を形成するか、またはプライマー結合部位がループの3'側でヘッドピースへのオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションを介して導入される。ヘッドピースの3'末端に相同な領域を含みかつ(例えば、PCR反応を可能にするために)その5'末端にプライマー結合領域を有する、プライマーオリゴヌクレオチドは、ヘッドピースにハイブリダイズすることができ、かつビルディングブロックまたはビルディングブロックの付加をコードするタグを含むことができる。プライマーオリゴヌクレオチドは、バイオインフォマティクス分析のために含まれる、ランダム化されたヌクレオチドの領域(例えば2〜16ヌクレオチド長)などの、追加の情報を含んでもよい。
ヘッドピースは、任意で、ヘアピン構造を含むことができ、この構造は任意の有用な方法によって達成することができる。例えば、ヘッドピースは、ワトソン・クリックのDNA塩基対形成(例えば、アデニン-チミンおよびグアニン-シトシン)および/またはゆらぎ塩基対形成(例えば、グアニン-ウラシル、イノシン-ウラシル、イノシン-アデニン、およびイノシン-シトシン)などによって、分子間塩基対形成パートナーを形成する相補的な塩基を含むことができる。別の例において、ヘッドピースは、非修飾ヌクレオチドと比較して、より高い親和性の二重鎖形成を形成し得る修飾ヌクレオチドまたは置換ヌクレオチドを含むことができ、こうした修飾または置換ヌクレオチドは当技術分野で公知である。さらに別の例では、ヘッドピースは、ヘアピン構造を形成するために1つ以上の架橋された塩基を含む。例えば、一本鎖内の塩基または異なる二本鎖内の塩基は、例えばソラレンを用いることによって、架橋され得る。
ヘッドピースまたは複合体は、任意で、検出を可能にする1つ以上の標識を含んでもよい。例えば、ヘッドピース、1つ以上のオリゴヌクレオチドタグ、および/または1つ以上のプライマー配列は、アイソトープ、放射性イメージング剤、マーカー、トレーサー、蛍光標識(例:ローダミンもしくはフルオレセイン)、化学発光標識、量子ドット、およびレポーター分子(例:ビオチンもしくはhisタグ)を含むことができる。
他の態様において、ヘッドピースまたはタグは、半水性、低水性、または非水性(例えば、有機)条件での溶解性を促進するように修飾することができる。ヘッドピースまたはタグのヌクレオチド塩基は、それらの相補的塩基に水素結合する能力を有意に破壊することなく、例えば、TまたはC塩基のC5位置を脂肪族鎖で修飾することによって、より疎水性にすることができる。例示的な修飾または置換ヌクレオチドは、5'-ジメトキシトリチル-N4-ジイソブチルアミノメチリデン-5-(1-プロピニル)-2'-デオキシシチジン,3'-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホルアミダイト;5'-ジメトキシトリチル-5-(1-プロピニル)-2'-デオキシウリジン,3'-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホルアミダイト;5'-ジメトキシトリチル-5-フルオロ-2'-デオキシウリジン,3'-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホルアミダイト;および5'-ジメトキシトリチル-5-(ピレン-1-イル-エチニル)-2'-デオキシウリジン,3'-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホルアミダイトである。
また、ヘッドピースオリゴヌクレオチドには、有機溶媒中での溶解性を促進する修飾を組み入れることができる。例えば、アゾベンゼンホスホルアミダイトは、ヘッドピースの設計に疎水性部分を導入し得る。ヘッドピースへの疎水性アミダイトのそうした挿入は、分子内のどこにでも行うことができる。しかし、挿入は、ライブラリー合成時の追加のDNAタグを用いた後続のタグ付け、または選択が完了した時点でのその後のPCR、またはタグのデコンボリューションのために使用する場合はマイクロアレイ分析、を妨害すべきでない。本明細書に記載のヘッドピースの設計へのこのような追加は、例えば15%、25%、30%、50%、75%、90%、95%、98%、99%、または100%の有機溶媒中にヘッドピースを可溶性にするだろう。したがって、ヘッドピースの設計への疎水性残基の追加は、オリゴヌクレオチドタグ付けに対してヘッドピースを適格にしつつ、半水性または非水性(例えば、有機)条件での溶解性の向上を可能にする。さらに、ライブラリーにその後導入されるDNAタグは、TまたはC塩基のC5位置で修飾することができ、その結果、それらもまた、ライブラリーをより疎水性にし、後続のライブラリー合成工程のために有機溶媒中により可溶性にする。
特定の態様において、ヘッドピースおよび第1タグは、同じ物質とすることができ、すなわち、複数のヘッドピース-タグ物質は、すべてが共通の部分(例えば、プライマー結合領域)を共有し、かつすべてが他の部分(コード領域)で異なるように構築され得る。これらは「スプリット」工程で利用され、それらがコードしている事象が起こった後にプールされ得る。
特定の態様において、ヘッドピースは、例えば、第1スプリット工程をコードする配列を含めることによって、または特定のライブラリーに関連した特定の配列を用いるなどして、ライブラリーのアイデンティティをコードする配列を含めることによって、情報をコードすることができる。
オリゴヌクレオチドタグ
本明細書に記載されるオリゴヌクレオチドタグ(例えば、タグまたはヘッドピースの一部またはテイルピースの一部)は、例えば以下のような、有用な情報をコードするために使用することができる:分子、化学物質の一部、構成成分(例えば、足場もしくはビルディングブロック)の付加、ライブラリー内のヘッドピース、ライブラリーのアイデンティティ、1つ以上のライブラリーメンバーの使用(例えば、ライブラリーのアリコート内のメンバーの使用)、および/またはライブラリーメンバーの起源(例えば、起源配列の使用による)。
本明細書に記載されるオリゴヌクレオチドタグ(例えば、タグまたはヘッドピースの一部またはテイルピースの一部)は、例えば以下のような、有用な情報をコードするために使用することができる:分子、化学物質の一部、構成成分(例えば、足場もしくはビルディングブロック)の付加、ライブラリー内のヘッドピース、ライブラリーのアイデンティティ、1つ以上のライブラリーメンバーの使用(例えば、ライブラリーのアリコート内のメンバーの使用)、および/またはライブラリーメンバーの起源(例えば、起源配列の使用による)。
オリゴヌクレオチド中の任意の配列は、任意の情報をコードするために使用することができる。したがって、1つのオリゴヌクレオチド配列は、2つ以上のタイプの情報をコードするため、または1つ以上のタイプの情報をもコードする出発オリゴヌクレオチドを提供するためなど、複数の目的を果たすことができる。例えば、第1タグは、第1ビルディングブロックの付加ならびにライブラリーの識別をコードすることができる。別の例では、ヘッドピースは、化学物質をタグに機能的に連結する出発オリゴヌクレオチドを提供するために使用することができ、この場合、該ヘッドピースはライブラリーのアイデンティティをコードする配列(すなわち、ライブラリー識別配列)をさらに含む。したがって、本明細書に記載の情報はどれも、別個のオリゴヌクレオチドタグ中にコード化されてもよいし、同じオリゴヌクレオチド配列(例えば、タグなどのオリゴヌクレオチドタグ、もしくはヘッドピース)中に組み合わせて、コード化されてもよい。
ビルディングブロック配列は、ビルディングブロックのアイデンティティおよび/またはビルディングブロックを用いて実施される結合反応のタイプをコードする。このビルディングブロック配列はタグに含まれ、該タグは、任意で、以下に記載する配列の1つ以上のタイプ(例えば、ライブラリー識別配列、使用配列、および/または起源配列)を含んでもよい。
ライブラリー識別配列は特定のライブラリーのアイデンティティをコードする。2つ以上のライブラリーの混合を可能にするために、ライブラリーメンバーは、例えば、ライブラリー識別タグ(すなわち、ライブラリー識別配列を含むオリゴヌクレオチド)内に、ライゲーションされるタグ内に、ヘッドピース配列の一部内に、またはテイルピース配列内に、1つ以上のライブラリー識別配列を含み得る。これらのライブラリー識別配列は、コードする関係を推定するために使用することができ、この場合には、タグの配列が翻訳され、化学的(合成)履歴情報と相関される。したがって、これらのライブラリー識別配列は、選択、増幅、精製、配列決定などのために2つ以上のライブラリーを一緒に混合することを可能にする。
使用配列は、ライブラリーの個々のアリコート中の1つ以上のライブラリーメンバーの履歴(すなわち、使用)をコードする。例えば、別個のアリコートは、異なる反応条件、ビルディングブロック、および/または選択工程を用いて処理され得る。特に、この配列を用いると、そのようなアリコートを識別し、かつそれらの履歴(使用)を推定することができ、それによって、選択、増幅、精製、配列決定などのためにサンプルを一緒に混合することを目的として、異なる履歴(使用)(例えば、明確に区別される選択実験)を有する同じライブラリーのアリコートを一緒に混合することが可能になる。こうした使用配列は、ヘッドピース、テイルピース、タグ、使用タグ(すなわち、使用配列を含むオリゴヌクレオチド)、または本明細書に記載される他のタグ(例えば、ライブラリー識別タグもしくは起源タグ)内に含めることができる。
起源配列は、ライブラリーメンバーの起源をコードする、任意の有効な長さ(例えば、約6オリゴヌクレオチド)の縮重(ランダムな、確率的に生成された)オリゴヌクレオチド配列である。この配列は、さもなければすべての点で同一であるライブラリーメンバーを、配列情報によって識別可能な物質へと確率的に細分するのに役立ち、その結果として、ユニークな祖先鋳型(例えば、選択されたライブラリーメンバー)に由来する増幅産物の観察を、同じ祖先鋳型(例えば、選択されたライブラリーメンバー)に由来する多数の増幅産物の観察から識別できるようになる。例えば、ライブラリーの形成後であって選択工程の前に、各ライブラリーメンバーは、例えば起源タグ内に、異なる起源配列を含むことができる。選択の後、選択されたライブラリーメンバーを増幅して増幅産物を生成させ、起源配列を(例えば、起源タグ内に)含んでいると予想されるライブラリーメンバーの部分を観察して、他のライブラリーメンバーの各々における起源配列と比較することができる。起源配列は縮重しているので、各ライブラリーメンバーの各増幅産物は異なる起源配列をもつはずである。しかし、増幅産物での同じ起源配列の観察は、同じ鋳型分子に由来する多数のアンプリコンを示す可能性がある。増幅後に対して、増幅前にコードタグの集団の統計およびデモグラフィックスを決定することが所望される場合は、起源タグを使用することができる。こうした起源配列は、ヘッドピース、テイルピース、タグ、起源タグ(すなわち、起源配列を含むオリゴヌクレオチド)、または本明細書に記載される他のタグ(例えば、ライブラリー識別タグもしくは使用タグ)内に含めることができる。
本明細書に記載される配列のタイプはどれも、ヘッドピースに含めることができる。例えば、ヘッドピースは、ビルディングブロック配列、ライブラリー識別配列、使用配列、または起源配列の1つ以上を含むことができる。
本明細書に記載されるこれらの配列のどれも、テイルピースに含めることができる。例えば、テイルピースは、ライブラリー識別配列、使用配列、または起源配列の1つ以上を含むことができる。
本明細書に記載されるタグはどれも、5'もしくは3'末端に、または該末端に近接して、固定された配列を有するコネクタを含むことができる。コネクタは、反応基(例えば、化学反応基または光反応基)を提供することによって、またはリンケージを可能にする剤(例えば、インターカレート部分またはコネクタもしくは架橋性オリゴヌクレオチド中の可逆的反応基の剤)のための部位を提供することによって、リンケージ(例えば、化学的リンケージ)の形成を容易にする。各5'-コネクタは同じでも異なってもよく、各3'-コネクタは同じでも異なってもよい。複数のタグを有する例示的で非限定的な複合体では、各タグは5'-コネクタと3'-コネクタを含み、ここで、各5'-コネクタは同じ配列を有し、各3'-コネクタは同じ配列を有する(例えば、この場合、5'-コネクタの配列は3'-コネクタの配列と同じでも異なってもよい)。コネクタは、1つ以上のリンケージのために使用することができる配列を提供する。リレープライマーの結合または架橋性オリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションを可能にするために、コネクタは、リンケージ(例えば、ポリメラーゼが読み通すまたは通過して移動する能力が低下しているリンケージ、例えば化学的リンケージ)を可能にする1つ以上の官能基を含むことができる。
これらの配列は、オリゴヌクレオチドについて本明細書で記載した任意の修飾を含むことができ、例えば、有機溶媒中での溶解性を促進する修飾(例えば、ヘッドピースについてなど、本明細書で記載したいずれか)、天然のホスホジエステル結合のアナログ(例えば、ホスホロチオエートアナログ)を提供する修飾、または1つ以上の非天然オリゴヌクレオチド(例えば、2'-O-メチル化ヌクレオチドおよび2'-フルオロヌクレオチドなどの2'-置換ヌクレオチド、または本明細書で記載したいずれか)を提供する修飾の1つ以上を含むことができる。
これらの配列は、オリゴヌクレオチドについて本明細書で記載した任意の特徴を含むことができる。例えば、これらの配列は、(例えば、本明細書に記載されるような)20ヌクレオチド未満であるタグ内に含めることができる。他の例では、これらの配列の1つ以上を含むタグは、ほぼ同じ質量を有する(例えば、各タグは、特定の可変要因をコードするタグの特定のセット内の平均質量から+/-約10%の質量を有する);プライマー結合(例えば、定常)領域を欠く;定常領域を欠く;または短縮された長さ(例えば、30ヌクレオチド未満、25ヌクレオチド未満、20ヌクレオチド未満、19ヌクレオチド未満、18ヌクレオチド未満、17ヌクレオチド未満、16ヌクレオチド未満、15ヌクレオチド未満、14ヌクレオチド未満、13ヌクレオチド未満、12ヌクレオチド未満、11ヌクレオチド未満、10ヌクレオチド未満、9ヌクレオチド未満、8ヌクレオチド未満、もしくは7ヌクレオチド未満の長さ)の定常領域を有する。
この長さのライブラリーおよびオリゴヌクレオチドについての配列決定戦略は、任意で、それぞれ、読み忠実度または配列決定の深さを増加させるためにコンカテネーション(concatenation)またはカテネーション(catenation)戦略を含むことができる。特に、プライマー結合領域を欠くコード化ライブラリーの選択は、SELEXについての文献に記載されており、例えば、Jarosch et al., Nucleic Acids Res. 34: e86 (2006)に記載され、これは参照により本明細書に組み入れられる。例えば、ライブラリーメンバーは、複合体の5'末端に第1アダプター配列および複合体の3'末端に第2アダプター配列を含むように(例えば、選択工程の後で)修飾することができ、ここで、第1配列は第2配列に実質的に相補的であって、二重鎖の形成をもたらす。収率をさらに向上させるためには、2つの固定されたダングリング(dangling)ヌクレオチド(例えば、CC)が5'末端に付加される。特定の態様では、第1アダプター配列は
であり、第2アダプター配列は
である。
であり、第2アダプター配列は
である。
リンケージ
本発明のリンケージは、情報をコードするオリゴヌクレオチド間(例えば、ヘッドピースとタグ間、2つのタグ間、またはタグとテイルピース間など)に存在し、こうしたリンケージには、ポリメラーゼが読み通すまたは通過して移動する能力が低下している任意のリンケージが含まれる。例示的なリンケージには、化学反応基、光反応基、インターカレート部分、架橋性オリゴヌクレオチド、または可逆的共反応基の1つ以上を含む化学的リンケージが含まれる。
本発明のリンケージは、情報をコードするオリゴヌクレオチド間(例えば、ヘッドピースとタグ間、2つのタグ間、またはタグとテイルピース間など)に存在し、こうしたリンケージには、ポリメラーゼが読み通すまたは通過して移動する能力が低下している任意のリンケージが含まれる。例示的なリンケージには、化学反応基、光反応基、インターカレート部分、架橋性オリゴヌクレオチド、または可逆的共反応基の1つ以上を含む化学的リンケージが含まれる。
リンケージは、そのリンケージを読み通すまたは通過して移動するポリメラーゼの能力が低下しているかどうかを判定するために試験され得る。この能力は、液体クロマトグラフィー-質量分析、RT-PCR分析、配列デモグラフィックス、および/またはPCR分析などの、いずれかの有用な方法で試験することができる。
特定の態様では、化学的ライゲーションは、リンケージを提供するための1つ以上の化学反応性の対の使用を含む。例示的な化学反応性の対は、以下を含む対である:Huisgen 1,3-双極子環化付加反応を介してトリアゾールを形成するための、置換されてもよいアルキニル基と置換されてもよいアジド基;Diels-Alder反応を介してシクロアルケニルを形成するための、4π電子系を有する置換されてもよいジエン(例えば、置換されてもよい1,3-不飽和化合物、例えば、置換されてもよい1,3-ブタジエン、1-メトキシ-3-トリメチルシリルオキシ-1,3-ブタジエン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、またはフラン)と2π電子系を有する置換されてもよいジエノフィルまたは置換されてもよいヘテロジエノフィル(例えば、置換されてもよいアルケニル基または置換されてもよいアルキニル基);開環反応を介してヘテロアルキルを形成するための、求核剤(例えば、置換されてもよいアミンまたは置換されてもよいチオール)と歪を有するヘテロシクリル求電子剤(例えば、置換されてもよいエポキシド、アジリジン、アジリジニウムイオン、またはエピスルホニウムイオン);5'-ヨードdTを含むオリゴヌクレオチドと3'-ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドとのスプリント化ライゲーションにおけるなどの、ホスホロチオエート基とヨード基;3'-アルデヒド修飾オリゴヌクレオチド(必要に応じて、市販の3'-グリセリル修飾オリゴヌクレオチドを酸化することによって得ることができる)と5'-アミノオリゴヌクレオチド(すなわち、還元的アミノ化反応)または5'-ヒドラジドオリゴヌクレオチドとの反応のような、置換されてもよいアミノ基とアルデヒド基またはケトン基;置換されてもよいアミノ基とカルボン酸基またはチオール基の対(例えば、trans-4-(マレイミジルメチル)シクロヘキサン-1-カルボン酸スクシンイミジル(SMCC)または1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDAC)を使用するまたは使用しない);置換されてもよいヒドラジンとアルデヒドまたはケトン基の対;置換されてもよいヒドロキシルアミンとアルデヒドまたはケトン基の対;または求核剤と置換されてもよいハロゲン化アルキルの対。
白金錯体、アルキル化剤、またはフラン修飾ヌクレオチドもまた、鎖間または鎖内リンケージを形成するための化学反応基として使用することができる。このような剤は2つのオリゴヌクレオチド間で使用することができ、任意で架橋性オリゴヌクレオチド中に存在してもよい。
例示的で非限定的な白金錯体としては、以下が挙げられる:シスプラチン(cis-ジアミンジクロロ白金(II)、例えば、GG鎖内リンケージを形成する)、トランスプラチン(trans-ジアミンジクロロ白金(II)、例えば、GXG鎖間リンケージを形成する、ここでXは任意のヌクレオチドである)、カルボプラチン、ピコラチン(picolatin)(ZD0473)、オルマプラチン、またはオキサリプラチン(例えば、GC、CG、AGまたはGGリンケージを形成する)。これらのリンケージはどれも、鎖間または鎖内リンケージであり得る。
例示的で非限定的なアルキル化剤としては、以下が挙げられる:ナイトロジェンマスタード(メクロレタミン、例えば、GGリンケージを形成する)、クロラムブシル、メルファラン、シクロホスファミド、シクロホスファミドのプロドラッグ形態(例えば、4-ヒドロペルオキシシクロホスファミドおよびイホスファミド))、1,3-ビス(2-クロロエチル)-1-ニトロソウレア(BCNU、カルムスチン)、アジリジン(例えば、マイトマイシンC、トリエチレンメラミン、またはトリエチレンチオホスホルアミド(チオテパ)、GGまたはAGリンケージを形成する)、ヘキサメチルメラミン、アルキルスルホネート(例えば、ブスルファン、GGリンケージを形成する)、またはニトロソウレア(例えば、2-クロロエチルニトロソウレア、GGまたはCGリンケージを形成する、例えばカルムスチン(BCNU)、クロロゾトシン、ロムスチン(CCNU)、およびセムスチン(メチル-CCNU))。これらのリンケージはどれも、鎖間または鎖内リンケージであり得る。
フラン修飾ヌクレオチドもまた、リンケージを形成するために使用することができる。インサイチュ(in situ)酸化(例えば、N-ブロモスクシンイミド(NBS)による)の際に、フラン部分は反応性オキソ-エナール誘導体を形成し、これは相補的塩基と反応して鎖間リンケージを形成する。いくつかの態様では、フラン修飾ヌクレオチドは相補的AまたはCヌクレオチドとのリンケージを形成する。例示的で非限定的なフラン修飾ヌクレオチドには、任意の2'-(フラン-2-イル)プロパノイルアミノ修飾ヌクレオチド;または2-(フラン-2-イル)エチルグリコール核酸の非環式修飾ヌクレオチドが含まれる。
光反応基もまた、反応基として使用することができる。例示的で非限定的な光反応基としては、以下が挙げられる:インターカレート部分、ソラレン誘導体(例:ソラレン、HMT-ソラレン、または8-メトキシソラレン)、置換されてもよいシアノビニルカルバゾール基、置換されてもよいビニルカルバゾール基、置換されてもよいシアノビニル基、置換されてもよいアクリルアミド基、置換されてもよいジアジリン基、置換されてもよいベンゾフェノン(例:4-ベンゾイル安息香酸のスクシンイミジルエステルまたはベンゾフェノンイソチオシアネート)、置換されてもよい5-(カルボキシ)ビニル-ウリジン基(例:5-(カルボキシ)ビニル-2'-デオキシウリジン)、または置換されてもよいアジド基(例:アリールアジドまたはハロゲン化アリールアジド、例えば4-アジド-2,3,5,6-テトラフルオロ安息香酸(ATFB)のスクシンイミジルエステル)。
インターカレート部分もまた、反応基として使用することができる。例示的で非限定的なインターカレート部分としては、以下が挙げられる:ソラレン誘導体、アルカロイド誘導体(例:ベルベリン、パルマチン、コラリン、サンギナリン(例:そのイミニウムまたはアルカノールアミン形態)、またはアリストロラクタム-β-D-グルコシド)、エチジウムカチオン(例:臭化エチジウム)、アクリジン誘導体(例:プロフラビン、アクリフラビン、またはアムサクリン)、アントラサイクリン誘導体(例:ドキソルビシン、エピルビシン、ダウノルビシン(ダウノマイシン)、イダルビシン、およびアクラルビシン)、またはサリドマイド。
架橋性オリゴヌクレオチドでは、有用な反応基(例えば、本明細書に記載される反応基)はどれも、鎖間または鎖内リンケージを形成するために使用することができる。例示的な反応基には、化学反応基、光反応基、インターカレート部分、および可逆的共反応基が含まれる。架橋性オリゴヌクレオチドとともに使用するための架橋剤には、限定するものではないが、以下が挙げられる:アルキル化剤(例えば、本明細書に記載のもの)、シスプラチン(cis-ジアミンジクロロ白金(II))、trans-ジアミンジクロロ白金(II)、ソラレン、HMT-ソラレン、8-メトキシソラレン、フラン修飾ヌクレオチド、2-フルオロ-デオキシイノシン(2-F-dI)、5-ブロモ-デオキシシトシン(5-Br-dC)、5-ブロモデオキシウリジン(5-Br-dU)、5-ヨード-デオキシシトシン(5-I-dC)、5-ヨード-デオキシウリジン(5-I-dU)、trans-4-(マレイミジルメチル)シクロヘキサン-1-カルボン酸スクシンイミジル、SMCC、EDAC、またはアセチルチオ酢酸スクシンイミジル(SATA)。
オリゴヌクレオチドはまた、チオール部分を含むように修飾することができ、チオール部分は、マレイミド、ハロゲン、ヨードアセトアミドなどの、種々のチオール反応基と反応することができ、したがって2つのオリゴヌクレオチドを架橋するために使用することができる。チオール基は、オリゴヌクレオチドの5'または3'末端に連結することができる。
二重鎖オリゴヌクレオチドをピリミジン(例えば、チミジン)位置で鎖間架橋する場合は、インターカレートする光反応部分ソラレンが選択され得る。ソラレンは、紫外線(約254nm)照射時に、二重鎖にインターカレートして、ピリミジンと、優先的には5'-TpA部位で、共有結合による鎖間架橋を形成する。ソラレン部分は、(例えば、アルカン鎖(例:C1-10アルキル)、またはポリエチレングリコール基(例:-(CH2CH2O)nCH2CH2-、ここでnは1〜50の整数である)によって)修飾オリゴヌクレオチドに共有結合で取り付けることができる。例示的なソラレン誘導体も使用することができ、非限定的な誘導体としては、4'-(ヒドロキシエトキシメチル)-4,5',8-トリメチルソラレン(HMT-ソラレン)および8-メトキシソラレンが挙げられる。
架橋性オリゴヌクレオチドの種々の部分は、リンケージを導入するために修飾することができる。例えば、オリゴヌクレオチドの末端ホスホロチオエートはまた、2つの隣接したオリゴヌクレオチドを連結するために使用することができる。ハロゲン化ウラシル/シトシンもまた、オリゴヌクレオチド中の架橋剤修飾として使用することができる。例えば、2-フルオロ-デオキシイノシン(2-F-dI)修飾オリゴヌクレオチドは、ジスルフィド含有ジアミンまたはチオプロピルアミンと反応して、ジスルフィドリンケージを形成することができる。
以下に記載するように、可逆的共反応基には、シアノビニルカルバゾール基、シアノビニル基、アクリルアミド基、チオール基、またはスルホニルチオエーテルから選択されるものが含まれる。置換されてもよいシアノビニルカルバゾール(CNV)基はまた、相補鎖中のピリミジン塩基(例えば、シトシン、チミン、およびウラシル、ならびにそれらの修飾塩基)に架橋させるために、オリゴヌクレオチド中で使用することができる。CNV基は、366nmで照射すると、隣接ピリミジン塩基との[2+2]環化付加を促進し、結果的に鎖間架橋をもたらす。312nmでの照射はその架橋を逆転させ、したがって、オリゴヌクレオチド鎖を可逆的に架橋するための方法を提供する。非限定的なCNV基は3-シアノビニルカルバゾールであり、これはカルボキシビニルカルバゾールヌクレオチドとして(例えば、3-カルボキシビニルカルバゾール-1'-β-デオキシリボシド-5'-三リン酸として)含めることができる。
CNV基は、置換されてもよいビニルカルバゾール基を提供するために、反応性シアノ基を別の反応基と置換するように改変することができる。ビニルカルバゾール基のための例示的非限定的な反応基には、以下が含まれる:-CONRN1RN2のアミド基(ここで各RN1およびRN2は同じでも異なってもよく、独立してHおよびC1-6アルキルである)、例えば-CONH2;-CO2Hのカルボキシル基;またはC2-7アルコキシカルボニル基(例:メトキシカルボニル)。さらに、反応基はビニル基のαまたはβ炭素上に位置することができる。例示的なビニルカルバゾール基としては、以下が挙げられる:本明細書に記載されるシアノビニルカルバゾール基;アミドビニルカルバゾール基(例えば、アミドビニルカルバゾールヌクレオチド、例えば3-アミドビニルカルバゾール-1'-β-デオキシリボシド-5'-三リン酸など);カルボキシビニルカルバゾール基(例えば、カルボキシビニルカルバゾールヌクレオチド、例えば3-カルボキシビニルカルバゾール-1'-β-デオキシリボシド-5'-三リン酸など);およびC2-7アルコキシカルボニルビニルカルバゾール基(例えば、アルコキシカルボニルビニルカルバゾールヌクレオチド、例えば3-メトキシカルボニルビニルカルバゾール-1'-β-デオキシリボシド-5'-三リン酸など)。置換されてもよいビニルカルバゾール基およびこのような基を有するヌクレオチドのさらなる例は、米国特許第7,972,792号およびYoshimura and Fujimoto, Org. Lett. 10:3227-3230 (2008)に記載される化学式で提供され、これらは両方ともその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
他の可逆的反応基として、ジスルフィドを形成するチオール基と別のチオール基、ならびにスルホニルエチルチオエーテルを形成するチオール基とビニルスルホン基が挙げられる。チオール-チオール基は、任意で、ビス-((N-ヨードアセチル)ピペラジニル)スルホンローダミンとの反応により形成されたリンケージを含むことができる。その他の可逆的反応基(例えば、いくつかの光反応基)としては、置換されてもよいベンゾフェノン基が挙げられる。非限定的な例はベンゾフェノンウラシル(BPU)であり、これはBPU含有オリゴヌクレオチド二重鎖の鎖間架橋の部位-および配列-選択的形成に使用することができる。この架橋は加熱時に逆転させることができ、2つのオリゴヌクレオチド鎖の可逆的架橋方法を提供する。
他の態様において、化学的ライゲーションは、例えば、選択後のPCR分析および配列決定のために、ホスホジエステル結合のアナログを導入することを含む。例示的なホスホジエステルのアナログには、ホスホロチオエートリンケージ(例えば、ホスホロチオエート基と、ヨード基などの脱離基の使用により導入される)、ホスホルアミドリンケージ、またはホスホロジチオエートリンケージ(例えば、ホスホロジチオエート基と、ヨード基などの脱離基の使用により導入される)が含まれる。
本明細書に記載した基(例えば、化学反応基、光反応基、インターカレート部分、架橋性オリゴヌクレオチド、または可逆的共反応基)のいずれについても、その基は、オリゴヌクレオチドの末端に、もしくはそれに近接して、または5'末端と3'末端の間に組み込むことができる。さらに、1つ以上の基が各オリゴヌクレオチド中に存在し得る。反応基の対が必要とされる場合、オリゴヌクレオチドは、それらの基の対の反応を促進するように設計することができる。ピリミジン塩基と共反応するシアノビニルカルバゾール基の非限定的な例では、第1オリゴヌクレオチドは5'末端に、またはそれに近接して、シアノビニルカルバゾール基を含むように設計される。この例では、第2オリゴヌクレオチドは、第1オリゴヌクレオチドに相補的となるように、かつ第1および第2オリゴヌクレオチドがハイブリダイズするとき、シアノビニルカルバゾール基と整列する位置に共反応性のピリミジン塩基が含まれるように設計される。本明細書に記載の基および1つ以上の基を有するオリゴヌクレオチドはどれも、基同士の反応を促進して1つ以上のリンケージを形成するように設計することができる。
2官能性スペーサー
ヘッドピースと化学物質の間の2官能性スペーサーは、適切なスペーシング部分を提供するために、および/または有機溶媒中のヘッドピースの溶解性を増大させるために、変化させることができる。ヘッドピースを小分子ライブラリーと連結することができる、多種多様なスペーサーが市販されている。スペーサーは典型的には直鎖または分岐鎖からなり、以下を含むことができる:C1-10アルキル、1〜10原子のヘテロアルキル、C2-10アルケニル、C2-10アルキニル、C5-10アリール、3〜20原子の環式もしくは多環式系、ホスホジエステル、ペプチド、オリゴサッカライド、オリゴヌクレオチド、オリゴマー、ポリマー、ポリアルキルグリコール(例えば、ポリエチレングリコール、-(CH2CH2O)nCH2CH2-など、ここでnは1〜50の整数である)、またはこれらの組み合わせ。
ヘッドピースと化学物質の間の2官能性スペーサーは、適切なスペーシング部分を提供するために、および/または有機溶媒中のヘッドピースの溶解性を増大させるために、変化させることができる。ヘッドピースを小分子ライブラリーと連結することができる、多種多様なスペーサーが市販されている。スペーサーは典型的には直鎖または分岐鎖からなり、以下を含むことができる:C1-10アルキル、1〜10原子のヘテロアルキル、C2-10アルケニル、C2-10アルキニル、C5-10アリール、3〜20原子の環式もしくは多環式系、ホスホジエステル、ペプチド、オリゴサッカライド、オリゴヌクレオチド、オリゴマー、ポリマー、ポリアルキルグリコール(例えば、ポリエチレングリコール、-(CH2CH2O)nCH2CH2-など、ここでnは1〜50の整数である)、またはこれらの組み合わせ。
2官能性スペーサーは、ヘッドピースとライブラリーの化学物質の間に適切なスペーシング部分を提供することができる。特定の態様では、2官能性スペーサーは3つの部分を含む。部分1は、DNAと共有結合を形成する反応基とすることができ、例えば、カルボン酸、好ましくはDNA上のアミノ基(例えば、アミノ修飾dT)と反応するようにN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステルにより活性化されたもの、一本鎖ヘッドピースの5'または3'末端を改変するためのアミダイト(標準的なオリゴヌクレオチド化学を用いて達成される)、化学反応性の対(例えば、Cu(I)触媒の存在下でのアジド-アルキン環化付加、または本明細書に記載されるもの)、またはチオール反応基であり得る。部分2もまた、化学物質、ビルディングブロックAnまたは足場のいずれかと共有結合を形成する反応基とすることができる。こうした反応基は、例えば、アミン、チオール、アジド、またはアルキンであり得る。部分3は、部分1と部分2の間に導入される、可変長の化学的に不活性なスペーシング部分とすることができる。こうしたスペーシング部分は、エチレングリコール単位の鎖(例えば、さまざまな長さのPEG)、アルカン、アルケン、ポリエン鎖、またはペプチド鎖であり得る。スペーサーは、有機溶媒中のヘッドピースの溶解性を改善するための疎水性部分(例えば、ベンゼン環など)、ならびにライブラリーの検出のために使用される蛍光部分(例えば、フルオレセインもしくはCy-3)を有する分岐部または挿入部を含むことができる。ヘッドピース設計における疎水性残基は、有機溶媒中でのライブラリー合成を容易にするためにスペーサー設計によって変えることができる。例えば、ヘッドピースとスペーサーの組み合わせは、オクタノール:水係数(Poct)が例えば1.0〜2.5となる、適切な残基をもつように設計される。
スペーサーは、ライブラリーを有機溶媒中で、例えば、15%、25%、30%、50%、75%、90%、95%、98%、99%、または100%の有機溶媒中で、合成することができるように、所与の小分子ライブラリー設計のために経験的に選択され得る。スペーサーは、有機溶媒中にヘッドピースを可溶化する適切な鎖長を選択するために、ライブラリー合成の前にモデル反応を用いて変化させることができる。例示的なスペーサーには、増大したアルキル鎖長、増加したポリエチレングリコール単位、正電荷をもつ分岐鎖種(ヘッドピース上の負のリン酸電荷を中和するため)、または増加した疎水性量(例えば、ベンゼン環構造の追加)を有するスペーサーが含まれる。
市販のスペーサーの例としては、以下が挙げられる:アミノ-カルボン酸スペーサー、例えば、ペプチド(例:Z-Gly-Gly-Gly-Osu(N-α-ベンジルオキシカルボニル-(グリシン)3-N-スクシンイミジルエステル)もしくはZ-Gly-Gly-Gly-Gly-Gly-Gly-Osu(N-α-ベンジルオキシカルボニル-(グリシン)6-N-スクシンイミジルエステル、SEQ ID NO: 3))、PEG(例:Fmoc-アミノPEG2000-NHSもしくはアミノ-PEG(12-24)-NHS)、またはアルカン酸鎖(例:Boc-ε-アミノカプロン酸-Osu)であるもの;化学反応対スペーサー、例えば、ペプチド部分(例:アジドホモアラニン-Gly-Gly-Gly-OSu(SEQ ID NO: 4)もしくはプロパルギルグリシン-Gly-Gly-Gly-OSu(SEQ ID NO: 5))、PEG(例:アジド-PEG-NHS)、またはアルカン酸鎖部分(例:5-アジドペンタン酸、(S)-2-(アジドメチル)-1-Boc-ピロリジン、4-アジドアニリン、もしくは4-アジド-ブタン-1-酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル)と組み合わせた、本明細書に記載の化学反応対であるもの;チオール反応性スペーサー、例えば、PEG(例:SM(PEG)n NHS-PEG-マレイミド)、アルカン鎖(例:3-(ピリジン-2-イルジスルファニル)-プロピオン酸-Osuもしくはスルホスクシンイミジル6-(3'-[2-ピリジルジチオ]-プロピオンアミド)ヘキサノエート))であるもの;およびオリゴヌクレオチド合成用のアミダイト、例えば、アミノ修飾剤(例:6-(トリフルオロアセチルアミノ)-ヘキシル-(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)-ホスホルアミダイト)、チオール修飾剤(例:S-トリチル-6-メルカプトヘキシル-1-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホルアミダイト)、または化学反応対の修飾剤(例:6-ヘキシン-1-イル-(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)-ホスホルアミダイト、3-ジメトキシトリチルオキシ-2-(3-(3-プロパルギルオキシプロパンアミド)プロパンアミド)プロピル-1-O-スクシノイル,長鎖アルキルアミノCPG、もしくは4-アジド-ブタン-1-酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル))。さらなるスペーサーは当技術分野で公知であり、ライブラリー合成中に使用できるスペーサーは、限定するものではないが、以下が挙げられる:5'-O-ジメトキシトリチル-1',2'-ジデオキシリボース-3'-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホルアミダイト;9-O-ジメトキシトリチル-トリエチレングリコール,1-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホルアミダイト;3-(4,4'-ジメトキシトリチルオキシ)プロピル-1-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホルアミダイト;および18-O-ジメトキシトリチルヘキサエチレングリコール,1-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホルアミダイト。本明細書に記載のスペーサーはどれも、異なる所望の長さのスペーサーを生成するために、異なる組み合わせで相互に縦一列に付加することができる。
スペーサーはまた、分岐していてもよく、分岐スペーサーは当技術分野で周知であり、例は対称もしくは非対称ダブラー(doubler)または対称トレブラー(trebler)からなることができる。例えば、Newcome et al., Dendritic Molecules: Concepts, Synthesis, Perspectives, VCH Publishers (1996); Boussif et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92:7297-7301 (1995); およびJansen et al., Science 266: 1226 (1994)を参照されたい。
酵素的ライゲーションおよび化学的ライゲーション技術
さまざまなライゲーション技術を用いて、足場、ビルディングブロック、スペーサー、リンケージ、タグ、および/またはヘッドピースを付加して複合体を形成することができる。したがって、本明細書に記載の結合工程はどれも、例えば、酵素的ライゲーションおよび/または化学的ライゲーションなどの、有用なライゲーション技術を含むことができる。こうした結合工程は、ヘッドピースまたは複合体への1つ以上のタグの付加;ヘッドピースへのスペーサーの付加;およびヘッドピースまたは複合体への1つ以上の足場またはビルディングブロックの付加を含むことができる。特定の態様において、任意のオリゴヌクレオチドに使用されるライゲーション技術は、その結果として得られる生成物を提供するが、こうした生成物は、ライブラリーの解読(decoding)を可能にするために、および/または1種以上のDNAもしくはRNAポリメラーゼによる鋳型依存的重合を可能にするために、転写および/または逆転写され得る。
さまざまなライゲーション技術を用いて、足場、ビルディングブロック、スペーサー、リンケージ、タグ、および/またはヘッドピースを付加して複合体を形成することができる。したがって、本明細書に記載の結合工程はどれも、例えば、酵素的ライゲーションおよび/または化学的ライゲーションなどの、有用なライゲーション技術を含むことができる。こうした結合工程は、ヘッドピースまたは複合体への1つ以上のタグの付加;ヘッドピースへのスペーサーの付加;およびヘッドピースまたは複合体への1つ以上の足場またはビルディングブロックの付加を含むことができる。特定の態様において、任意のオリゴヌクレオチドに使用されるライゲーション技術は、その結果として得られる生成物を提供するが、こうした生成物は、ライブラリーの解読(decoding)を可能にするために、および/または1種以上のDNAもしくはRNAポリメラーゼによる鋳型依存的重合を可能にするために、転写および/または逆転写され得る。
一般的に、酵素的ライゲーションは、転写および/または逆転写され得る天然のホスホジエステル結合を有するオリゴヌクレオチドを生成する。例示的な酵素的ライゲーション方法は本明細書に提供され、以下のような1種以上のRNAまたはDNAリガーゼの使用を含む:T4 RNAリガーゼ、T4 DNAリガーゼ、CircLigase(商標)ssDNAリガーゼ、CircLigase(商標)II ssDNAリガーゼ、およびThermoPhage(商標)ssDNAリガーゼ(Prokazyme社, Reykjavik, アイスランド)。
化学的ライゲーションもまた、転写または逆転写され得るオリゴヌクレオチドを生成するために使用することができる。転写または逆転写することが可能なオリゴヌクレオチドを提供する化学的ライゲーション技術の有効性は、試験される必要がある。この有効性は、例えば、液体クロマトグラフィー-質量分析、RT-PCR分析、および/またはPCR分析などの、任意の有用な方法によって試験され得る。特定の態様では、化学的ライゲーションは、転写または逆転写されるスペーシング部分を提供するための1つ以上の化学反応対の使用を含む。特に、化学反応対に適した反応は、ライゲーションプロセスのための好ましい候補である(Kolb et al., Angew. Chem. Int. Ed., 40:2004-2021 (2001); Van der Eycken et al., QSAR Comb. Sci, 26:1115-1326 (2007))。一態様において、ライゲーションされたオリゴヌクレオチドは、ポリメラーゼが読み通すまたは通過して移動する能力が低下しているリンケージ、例えば「読み取り不能」リンケージを含む。
酵素的ライゲーションまたは化学的ライゲーションを促進するための反応条件
本明細書に記載の方法は、ヘッドピースとタグの間または2つのタグの間の酵素的または化学的ライゲーションを促進する1つ以上の反応条件を含み得る。こうした反応条件としては、以下が挙げられる:本明細書に記載するように、タグ内で修飾ヌクレオチドを使用すること;異なる長さを有するドナータグとアクセプタータグを使用すること、およびそれらのタグの濃度を変化させること;異なるタイプのリガーゼと、それらの組み合わせ(例えば、CircLigase(商標)DNAリガーゼおよび/またはT4 RNAリガーゼ)を使用すること、およびそれらの濃度を変化させること;異なる分子量を有するポリエチレングリコール(PEG)を使用すること、およびそれらの濃度を変化させること;非PEGクラウディング剤(例えば、ベタインまたはウシ血清アルブミン)を使用すること;ライゲーションのための温度および持続時間を変化させること;ATP、Co(NH3)6Cl3、および酵母無機ピロホスフェートを含めて、さまざまな剤の濃度を変えること;酵素的または化学的にリン酸化されたオリゴヌクレオチドタグを使用すること;3'-保護されたタグを使用すること;ならびにプレアデニル化されたタグを使用すること。これらの反応条件はまた、化学的ライゲーションを含む。
本明細書に記載の方法は、ヘッドピースとタグの間または2つのタグの間の酵素的または化学的ライゲーションを促進する1つ以上の反応条件を含み得る。こうした反応条件としては、以下が挙げられる:本明細書に記載するように、タグ内で修飾ヌクレオチドを使用すること;異なる長さを有するドナータグとアクセプタータグを使用すること、およびそれらのタグの濃度を変化させること;異なるタイプのリガーゼと、それらの組み合わせ(例えば、CircLigase(商標)DNAリガーゼおよび/またはT4 RNAリガーゼ)を使用すること、およびそれらの濃度を変化させること;異なる分子量を有するポリエチレングリコール(PEG)を使用すること、およびそれらの濃度を変化させること;非PEGクラウディング剤(例えば、ベタインまたはウシ血清アルブミン)を使用すること;ライゲーションのための温度および持続時間を変化させること;ATP、Co(NH3)6Cl3、および酵母無機ピロホスフェートを含めて、さまざまな剤の濃度を変えること;酵素的または化学的にリン酸化されたオリゴヌクレオチドタグを使用すること;3'-保護されたタグを使用すること;ならびにプレアデニル化されたタグを使用すること。これらの反応条件はまた、化学的ライゲーションを含む。
ヘッドピースおよび/またはタグは、1つ以上の修飾または置換されたヌクレオチドを含むことができる。好ましい態様では、ヘッドピースおよび/またはタグは、酵素的ライゲーションを促進する1つ以上の修飾または置換ヌクレオチドを含み、例えば、2'-O-メチルヌクレオチド(例:2'-O-メチルグアニンもしくは2'-O-メチルウラシル)、2'-フルオロヌクレオチド、またはライゲーションの基質として利用される他の修飾ヌクレオチドを含む。あるいは、ヘッドピースおよび/またはタグは、化学的ライゲーションを促進する1つ以上の化学反応基(例えば、置換されてもよいアルキニル基および置換されてもよいアジド基)を含むように修飾される。任意で、タグオリゴヌクレオチドは両末端で化学反応基により官能化され、必要に応じて、これらの末端の一方は保護される。その結果として、これらの基は独立して対処することができ、かつ副反応が低減され得る(例えば、重合副反応の低減)。
酵素的ライゲーションは1種以上のリガーゼを含むことができる。例示的なリガーゼとしては、以下が挙げられる:CircLigase(商標)ssDNAリガーゼ(EPICENTRE Biotechnologies社, Madison, WI)、CircLigase(商標)II ssDNAリガーゼ(同様にEPICENTRE Biotechnologies社から)、ThermoPhage(商標)ssDNAリガーゼ(Prokazyme社, Reykjavik, アイスランド)、T4 RNAリガーゼ、およびT4 DNAリガーゼ。好ましい態様では、ライゲーションはRNAリガーゼまたはRNAリガーゼとDNAリガーゼの組み合わせの使用を含む。ライゲーションはさらに、1種以上のリガーゼとの組み合わせで、Co(NH3)6Cl3などの1種以上の可溶性多価カチオンを含むことができる。
ライゲーション工程の前または後に、複合体は3つの理由のために精製され得る。第一に、交差反応を生じて、コードプロセスに「ノイズ」を導入する可能性がある、未反応のヘッドピースまたはタグを除去するために、複合体を精製することができる。第二に、リガーゼのライゲーション活性を阻害するまたは低下させる可能性がある、試薬類または未反応出発物質を除去するために、複合体を精製することができる。例えば、リン酸はライゲーション活性の低下を招く可能性がある。第三に、化学的またはライゲーション工程に導入された物質は、後続の化学的またはライゲーション工程を可能にするために、除去する必要があるかもしれない。複合体を精製する方法は本明細書に記載される。
酵素的および化学的ライゲーションは、300ダルトンを超える平均分子量(例えば、600ダルトン超、3,000ダルトン、4,000ダルトン、または4,500ダルトン)を有するポリエチレングリコールを含むことができる。特定の態様では、ポリエチレングリコールは約3,000ダルトン〜9,000ダルトン(例えば、3,000ダルトン〜8,000ダルトン、3,000ダルトン〜7,000ダルトン、3,000ダルトン〜6,000ダルトン、および3,000ダルトン〜5,000ダルトン)の平均分子量を有する。好ましい態様では、ポリエチレングリコールは約3,000ダルトン〜約6,000ダルトン(例えば、3,300ダルトン〜4,500ダルトン、3,300ダルトン〜5,000ダルトン、3,300ダルトン〜5,500ダルトン、3,300ダルトン〜6,000ダルトン、3,500ダルトン〜4,500ダルトン、3,500ダルトン〜5,000ダルトン、3,500ダルトン〜5,500ダルトン、および3,500ダルトン〜6,000ダルトン、例えば4,600ダルトン)の平均分子量を有する。ポリエチレングリコールは、例えば約25%(w/v)〜約35%(w/v)などの、任意の有用な量で、例えば30%(w/v)の量で、存在することができる。
本発明の好ましい態様において、タグは、以下で説明するライゲーションプロトコルを使用して、一本鎖オリゴヌクレオチドへの一本鎖オリゴヌクレオチドのライゲーションによって取り付けられる:ヘッドピース:25μM (5'末端:5'-モノホスホ/2'-OMe G、介在ヌクレオチド:2'-デオキシ、および3'末端:2'-保護/3'-保護);タグ:25μM (5'末端:2'-OMe/5'-OH G、介在ヌクレオチド:2'-デオキシ、および3'末端:3'-OH/2'-OMe);Co(NH3)6Cl3:1mM;PEG 4600:30%(w/v);T4 RNAリガーゼ(Promega社):1.5単位/μl;酵母無機ピロホスファターゼ:0.0025単位/μl;Tris:50mM;MgCl2:10mM;ATP:1mM;pH:7.5;および水:残余。さらなる態様では、このプロトコルは37℃で20時間のインキュベーションを含む。実際のライブラリー構築の目的のために、ヘッドピース、タグ、および/またはリガーゼのより高い濃度を採用してもよく、こうした濃度への変更は当業者には明らかであろう。化学的ライゲーションの方法論は、ポリメラーゼが機能的に結合されたリンケージを読み通すまたは該リンケージを通過して移動することができるか否かに関わりなく、2つのコードタグの機能的な結び付きを可能にする、あらゆる化学的方法を包含しうる。
複合体のヌクレオチド配列を決定するための方法
本発明は、コードする関係がタグの配列と化学物質の構造単位(またはビルディングブロック)との間に確立され得るように、複合体のヌクレオチド配列を決定するための方法を特徴とする。特に、化学物質のアイデンティティおよび/または履歴は、オリゴヌクレオチドの塩基配列から推論することが可能である。この方法を使用して、多様な化学物質またはメンバー(例えば、小分子またはペプチド)を含むライブラリーは、特定のタグ配列によりアドレス指定され得る。
本発明は、コードする関係がタグの配列と化学物質の構造単位(またはビルディングブロック)との間に確立され得るように、複合体のヌクレオチド配列を決定するための方法を特徴とする。特に、化学物質のアイデンティティおよび/または履歴は、オリゴヌクレオチドの塩基配列から推論することが可能である。この方法を使用して、多様な化学物質またはメンバー(例えば、小分子またはペプチド)を含むライブラリーは、特定のタグ配列によりアドレス指定され得る。
図1〜4は、複合体のヌクレオチド配列を決定するための種々の例示的な方法を提供する。これらの図面は、読み取り不能リンケージにまたがり、かつ/または架橋性オリゴヌクレオチドを放出して、オリゴヌクレオチド鋳型の形成をもたらす、例示的な方法を提供する。
図1bは、リレープライマーを用いる例示的な方法を提供する。特に、リレープライマーは、固定された定常配列部分(例えば、5'-および3'-コネクタ)にハイブリダイズするが、その際、リレープライマーの各配列は同じでも異なってもよい。リレープライマーは読み取り不能リンケージにまたがり、伸長が複合体の読み取り可能部分(すなわち、コード配列、例えば1つ以上のタグ)に沿って進行してオリゴヌクレオチド断片を生成する。その後、リレープライマーと断片をライゲーションさせると鋳型が形成されるが、この鋳型は、任意で、増幅し、配列決定することができる。
図2〜4は、例示的な読み取り不能リンケージを提供する。図2は、隣接する5'-および3'-コネクタにより形成された二重鎖内で反応する、ソラレンにより形成されたリンケージを提供する。図3は、隣接する5'-および3'-コネクタにハイブリダイズした架橋オリゴヌクレオチドにより形成されたリンケージを提供する。
本明細書に記載のリンケージはどれも、可逆的または不可逆的であり得る。可逆的リンケージには、光反応性リンケージ(例えば、図4におけるような、シアノビニルカルバゾール基とチミジン)およびレドックスリンケージが含まれる。さらなるリンケージは本明細書に記載される。
他の態様では、「読み取り不能」リンケージは、読み取り可能または少なくとも移動可能(translocatable)リンケージを生成するために、酵素的に修復され得る。酵素的修復プロセスは当業者によく知られており、限定するものではないが、以下が含まれる:ピリミジン(例:チミジン)二量体修復機構(例えば、フォトリアーゼまたはグリコシラーゼ(例:T4ピリミジン二量体グリコシラーゼ(PDG))を使用)、塩基除去修復機構(例えば、グリコシラーゼ、脱プリン/脱ピリミジン(AP)エンドヌクレアーゼ、フラップ(Flap)エンドヌクレアーゼ、またはポリADPリボースポリメラーゼ(例:ヒト脱プリン/脱ピリミジン(AP)エンドヌクレアーゼ、APE 1;エンドヌクレアーゼIII(Nth)タンパク質;エンドヌクレアーゼIV;エンドヌクレアーゼV;ホルムアミドピリミジン[fapy]-DNAグリコシラーゼ(Fpg);ヒト8-オキソグアニングリコシラーゼ1(αイソ型)(hOGG1);ヒトエンドヌクレアーゼVIII様1(hNEIL1);ウラシル-DNAグリコシラーゼ(UDG);ヒト一本鎖選択的単官能性ウラシルDNAグリコシラーゼ(SMUG1);およびヒトアルキルアデニンDNAグリコシラーゼ(hAAG))を使用、任意で、修復用の1種以上のエンドヌクレアーゼ、DNAもしくはRNAポリメラーゼ、および/またはリガーゼと組み合わせてもよい)、メチル化修復機構(例えば、メチルグアニンメチルトランスフェラーゼを使用)、AP修復機構(例えば、脱プリン/脱ピリミジン(AP)エンドヌクレアーゼ(例:APE 1;エンドヌクレアーゼIII;エンドヌクレアーゼIV;エンドヌクレアーゼV;Fpg;hOGG1;およびhNEIL1)を使用、任意で、修復用の1種以上のエンドヌクレアーゼ、DNAもしくはRNAポリメラーゼ、および/またはリガーゼと組み合わせてもよい)、ヌクレオチド除去修復機構(例えば、除去修復交差相補性(cross-complementing)タンパク質または切除ヌクレアーゼを使用、任意で、修復用の1種以上のエンドヌクレアーゼ、DNAもしくはRNAポリメラーゼ、および/またはリガーゼと組み合わせてもよい)、ならびにミスマッチ修復機構(例えば、エンドヌクレアーゼ(例:T7エンドヌクレアーゼI;MutS、MutH、および/またはMutL)を使用、任意で、修復用の1種以上のエキソヌクレアーゼ、エンドヌクレアーゼ、ヘリカーゼ、DNAもしくはRNAポリメラーゼ、および/またはリガーゼと組み合わせてもよい)。これらの種類の修復機構を容易に提供するために市販の酵素混合物、例えばPreCR(登録商標)修復ミックス(New England Biolabs社, Ipswich MA)が利用可能であり、これは、Taq DNAリガーゼ、エンドヌクレアーゼIV、Bst DNAポリメラーゼ、Fpg、ウラシル-DNAグリコシラーゼ(UDG)、T4 PDG (T4エンドヌクレアーゼV)、およびエンドヌクレアーゼVIIIを含む。
コード化したライブラリーをタグ付けするための方法
本発明は、コードする関係がタグの配列と化学物質の構造単位(またはビルディングブロック)の間に確立され得るように、オリゴヌクレオチドタグを化学物質と機能的に結び付けるための方法を特徴とする。特に、化学物質のアイデンティティおよび/または履歴をオリゴヌクレオチドの塩基配列から推測することが可能である。この方法を用いて、多様な化学物質またはメンバー(例えば、小分子もしくはペプチド)を含むライブラリーは、特定のタグ配列によりコード化され得る。
本発明は、コードする関係がタグの配列と化学物質の構造単位(またはビルディングブロック)の間に確立され得るように、オリゴヌクレオチドタグを化学物質と機能的に結び付けるための方法を特徴とする。特に、化学物質のアイデンティティおよび/または履歴をオリゴヌクレオチドの塩基配列から推測することが可能である。この方法を用いて、多様な化学物質またはメンバー(例えば、小分子もしくはペプチド)を含むライブラリーは、特定のタグ配列によりコード化され得る。
一般に、これらの方法はヘッドピースの使用を含み、該ヘッドピースは化学的に合成され得る少なくとも1つの官能基と、一本鎖オリゴヌクレオチドが結合(またはライゲーション)され得る少なくとも1つの官能基を有する。結合は、任意の有用な手段によって、例えば、酵素的結合(例えば、RNAリガーゼおよび/またはDNAリガーゼの1種以上によるライゲーション)によって、または化学的結合(例えば、求核剤と脱離基などの、2つの官能基の間の置換反応)によって、達成することができる。
ライブラリー内の多数の化学物質を生成するには、ヘッドピースを含む溶液を複数のアリコートに分割し、次いで、マルチウェルプレートのウェルのような、物理的に隔離された多数の区画の中に配置する。一般的に、これは「スプリット」(split)の工程である。各区画またはウェル内で、各アリコート内の一本鎖タグを用いて連続的な化学反応およびライゲーション工程を実施する。化学反応条件と一本鎖タグの配列の間の関係が記録される。反応およびライゲーション工程は任意の順序で行うことができる。その後、反応してライゲーションされたアリコートを組み合わせて、つまり「プール」して、任意にこの時点で精製を行ってもよい。これらのスプリット・アンド・プール工程は、必要に応じて、繰り返すことができる。
次に、ライブラリーは、本明細書に記載されるように、特性もしくは機能について試験および/または選択され得る。例えば、タグ付けした化学物質の混合物は、第1集団が特定の生物学的標的に結合し、第2集団が結合しない(例えば、負の選択または正の選択による)、少なくとも2つの集団に分離することができる。次に、第1集団を(例えば、関心対象の標的を提供するカラムで溶出することにより、またはアリコートを関心対象の標的とインキュベートすることにより)選択的に捕捉し、必要に応じて、任意の洗浄、精製、負の選択、正の選択、または分離の工程などにより、さらに分析または試験することができる。
最後に、選択した集団内の1つ以上のメンバー(または化学物質)の化学的履歴を、機能的に連結されたオリゴヌクレオチドの配列によって決定することが可能である。その配列を特定のビルディングブロックと相関させることで、この方法は、所定の特性を有する(例えば、標的タンパク質に結合し、それによって治療効果を誘発する傾向が高い)ライブラリーの個々のメンバーを同定することができる。さらなる試験と最適化のために、治療用の候補化合物はその後、それらに結び付いたオリゴヌクレオチドタグの有無にかかわらず、同定したライブラリーメンバーを合成することによって、調製され得る。
本明細書に記載の方法は、ライブラリーを多様化するために、またはライブラリーのメンバーを照合するために、任意の工程をいくつでも含むことができる。本明細書に記載されるタグ付け方法の場合、連続する「n」個の数のタグを、追加の「n」の数のライゲーション、分離、および/またはリン酸化工程により付加することができる。例示的な任意の工程には、以下が含まれる:1種以上の制限エンドヌクレアーゼを用いた、ライブラリーメンバーと結び付いたコードオリゴヌクレオチドの制限;結び付いたコードオリゴヌクレオチドの、例えば本明細書に記載されるような、任意の修復酵素による、修復;ライブラリーメンバーと結び付いたコードオリゴヌクレオチドの末端の一方または両方への1つ以上のアダプター配列(例えば、増幅および配列決定のためのプライミング配列を提供する、または配列の固定化のためのビオチンなどの標識を提供する1つ以上のアダプター配列)のライゲーション;逆転写酵素、転写酵素、または他の鋳型依存性ポリメラーゼを用いた複合体中の集合タグの逆転写または転写、任意でその後の逆転写;複合体中の集合タグの、例えばPCRを用いた、増幅;例えば、細菌の形質転換、エマルジョン形成、希釈、表面捕捉技術などによる、複合体中の集合タグの1つ以上の集団のクローン単離物の生成;例えば、ヌクレオチドの鋳型依存的重合のための鋳型としてクローン単離物を用いることによる、複合体中の集合タグの1つ以上の集団のクローン単離物の増幅;ならびに、例えば、蛍光標識ヌクレオチドを用いた鋳型依存的重合のための鋳型としてクローン単離物を用いることによる、複合体中の集合タグの1つ以上の集団のクローン単離物の配列決定。オリゴヌクレオチドタグを増幅し、配列決定するためのさらなる方法は、本明細書に記載される。
これらの方法は、特性または機能を備えたいくつもの化学物質を、例えば選択工程で、同定および発見するために使用することができる。望ましい特性または機能は、所望の機能を有するライブラリー中のメンバーまたは関連するメンバーの少なくとも1つの同時濃縮により、ライブラリーを少なくとも2つの部分に分割するためのベースとして使用することができる。特定の態様では、この方法は、治療上関心のあるタンパク質と結合する、または該タンパク質を不活性化する、小さい薬物様ライブラリーメンバーを同定することを含む。別の態様では、規定された化学的条件下での所定のビルディングブロックの反応がコンビナトリアルな複数の分子(または分子のライブラリー)を生成し、その際に1つ以上の分子が特定のタンパク質のための治療薬としての有用性をもち得るように、一連の化学反応が設計され、かつビルディングブロックのセットが選択される。例えば、化学反応およびビルディングブロックは、キナーゼ阻害剤に共通して存在する構造グループを有するライブラリーを作成するように選択される。これらの場合のいずれにおいても、オリゴヌクレオチドタグはライブラリーメンバーの化学的履歴をコードしており、それぞれの場合に、化学的可能性のコレクションは特定のタグの組み合わせによって表され得る。
一態様では、化学物質のライブラリーまたはその一部を、生物学的標的と、該ライブラリーの少なくとも1つのメンバーが該標的に結合するのに適した条件下で接触させ、続いて該標的に結合しないライブラリーメンバーを除去し、標的と結び付いた1つ以上のオリゴヌクレオチドタグを解析する。この方法は、任意で、当技術分野で公知の方法によりタグを増幅することを含み得る。例示的な生物学的標的としては、酵素(例えば、キナーゼ、ホスファターゼ、メチラーゼ、デメチラーゼ、プロテアーゼ、およびDNA修復酵素)、タンパク質:タンパク質相互作用に関与するタンパク質(例えば、受容体のためのリガンド)、受容体標的(例えば、GPCRおよびRTK)、イオンチャンネル、細菌、ウイルス、寄生虫、DNA、RNA、プリオン、および炭水化物が挙げられる。
別の態様では、標的に結合する化学物質は、増幅に供することなく、直接解析される。例示的な解析方法としては、エバネッセント共鳴フォトニック結晶解析を含む、マイクロアレイ解析;タグをデコンボリューションするためのビーズベースの方法(例えば、hisタグを用いることによる);ラベルフリーのフォトニック結晶バイオセンサー分析(例えば、SRU Biosystems社(Woburn, MA)製のBIND(登録商標)Reader);またはハイブリダイゼーションに基づくアプローチ(例えば、タグのライブラリー中に存在する配列に相補的な固定化オリゴヌクレオチドのアレイを用いることによる)が挙げられる。
さらに、化学反応対(または官能基)は、固相オリゴヌクレオチド合成スキームに容易に含めることができ、オリゴヌクレオチドの効率的な化学的ライゲーションを支持するであろう。また、その結果得られるライゲーションされたオリゴヌクレオチドは、1種以上のポリメラーゼを用いた鋳型依存的重合のための鋳型として働くことができる。したがって、コード化ライブラリーをタグ付けするための、本明細書に記載の結合工程はどれも、酵素的ライゲーションおよび/または化学的ライゲーション技術の1つ以上を含むように改変することができる。例示的なライゲーション技術には、例えば1種以上のRNAリガーゼおよび/またはDNAリガーゼの使用などの、酵素的ライゲーション;ならびに、例えば化学反応対(例えば、置換されてもよいアルキニルおよびアジド官能基を含む対)の使用などの、化学的ライゲーションが含まれる。
さらに、1つ以上のライブラリーは、スプリット・アンド・ミックス工程で組み合わせることができる。2つ以上のライブラリーの混合を可能にするために、ライブラリーメンバーは、例えば、ライブラリー識別タグ中に、ライゲーションされるタグ中に、または本明細書に記載されるような、ヘッドピース配列の一部として、1つ以上のライブラリー識別配列を含むことができる。
低減された質量を有する方法
一本鎖コード戦略のための動機の多くは、二本鎖タグと比較したときの一本鎖タグの質量の減少に起因する。質量の減少は、潜在的に、溶解性の向上、コストの低下、反応性の増加、標的接近性の増加、流体力学半径の減少、分析評価の精度向上などを含む、いくつかの利点を与える。一本鎖タグ付けの方法論を使用することに加えて、質量のさらなる減少は、以下の1つ以上の使用を含めることによって達成することができる:長さを短縮させた1つ以上のタグ、一定質量のタグのセット、コードするヘッドピース、プライマー結合領域および/または定常領域を欠くライブラリーの1つ以上のメンバー、定常領域を短縮させたライブラリーの1つ以上のメンバー、または本明細書に記載の他のいずれかの方法論。
一本鎖コード戦略のための動機の多くは、二本鎖タグと比較したときの一本鎖タグの質量の減少に起因する。質量の減少は、潜在的に、溶解性の向上、コストの低下、反応性の増加、標的接近性の増加、流体力学半径の減少、分析評価の精度向上などを含む、いくつかの利点を与える。一本鎖タグ付けの方法論を使用することに加えて、質量のさらなる減少は、以下の1つ以上の使用を含めることによって達成することができる:長さを短縮させた1つ以上のタグ、一定質量のタグのセット、コードするヘッドピース、プライマー結合領域および/または定常領域を欠くライブラリーの1つ以上のメンバー、定常領域を短縮させたライブラリーの1つ以上のメンバー、または本明細書に記載の他のいずれかの方法論。
ライブラリーのメンバーの質量を最小にするために、1つ以上のタグの長さは、例えば各スプリットサイズをコードするために可能な限り短い長さに、短縮することができる。具体的には、タグは20ヌクレオチド未満(例えば、19ヌクレオチド未満、18ヌクレオチド未満、17ヌクレオチド未満、16ヌクレオチド未満、15ヌクレオチド未満、14ヌクレオチド未満、13ヌクレオチド未満、12ヌクレオチド未満、11ヌクレオチド未満、10ヌクレオチド未満、9ヌクレオチド未満、8ヌクレオチド未満、または7ヌクレオチド未満)であり得る。以下の実施例に記載するように、より短いタグ(例えば、約10ヌクレオチドまたはそれより短いタグ)をタグのライゲーションのために使用することができる。
一定質量の戦略もまた使用することができ、これはライブラリー合成中の分析を助けることができる。さらに、一定質量のタグのセットは、すべての単一エラーの発生(例えば、配列の読み誤りまたはタグの化学的もしくは酵素的ライゲーションに起因するエラー)およびほとんどの多重エラーの発生の認識を可能にすることができる。一定質量の一本鎖タグセットの長さとコード能力との関係(例えば、特定のビルディングブロックのスプリットサイズまたはライブラリーのアイデンティティなどを支持するための最小の長さ)は、以下の表1に概説される。したがって、一定質量のタグセットの使用は、ライブラリー形成中のエラー認識を維持しつつ、有益なコード能力を提供するために使用することができる。
ライブラリーの質量を最小にするために、ヘッドピースは、化学的部分とタグとを連結するためだけでなく、特定のライブラリーのアイデンティティまたは特定の工程をコードするためにも使用することができる。例えば、ヘッドピースは情報をコードすることができ、例えば、複数のヘッドピースは、特定のライブラリーに関連する特定の配列を用いるなどによって、第1スプリットまたはライブラリーのアイデンティティをコードすることができる。
また、DNAコード化した化学物質のライブラリーからのプライマー結合(例えば、定常)領域は、選択工程中に除くことができる。その後、これらの領域は、例えば一本鎖ライゲーションによって、選択後に付加することができる。1つの例示的な戦略は、コードオリゴヌクレオチドの5'末端に化学物質を提供し、任意の有用な特性または機能に基づいて特定の化学物質を選択し、該コードオリゴヌクレオチドの3'末端に、プライマー結合配列を含みかつ本明細書に記載されるような1つ以上のタグ、例えば「使用」タグ、「起源」タグなどを任意で含むことができるテイルピースオリゴヌクレオチドをライゲーションすることを含むだろう。その後、このプライマー結合配列は、鋳型依存的重合を開始させるために使用され、所定のライブラリーメンバーに相補的なcDNA(またはcRNA)を作成することができる。次に、このcDNAまたはcRNAは、その3'末端で、プライマー結合配列を含むオリゴヌクレオチドにライゲーションされ、この段階でコード情報は両側にプライマー結合配列が配置されるので、該オリゴヌクレオチドは、本明細書に記載されるような、確立されたアプローチを用いて、配列決定および/または増幅が可能である。
質量はさらに、コードタグを隔てる1つ以上の定常配列を省くか、またはそのサイズを縮小することによって、最小化することができる。一本鎖ライゲーションは、ライゲーションされるべき末端部間またはこれらの末端部とスプリント間に相補的な関係を必要としない。したがって、固定配列は酵素的ライゲーションを支持するために必要とされない。タグ間の短い固定領域は、タグのインフォマティクス解析または他のインシリコデコンボリューションプロセスに有用であり得る。
ライブラリー内の化学物質をコードするための方法
本発明の方法は、オリゴヌクレオチドタグでコード化した多様な多数の化学物質を有するライブラリーを合成するために使用することができる。ビルディングブロックおよびコードDNAタグの例は、参照により本明細書に組み入れられる米国特許出願公開第2007/0224607号に見出される。
本発明の方法は、オリゴヌクレオチドタグでコード化した多様な多数の化学物質を有するライブラリーを合成するために使用することができる。ビルディングブロックおよびコードDNAタグの例は、参照により本明細書に組み入れられる米国特許出願公開第2007/0224607号に見出される。
各化学物質は、1つ以上のビルディングブロックおよび任意で足場から形成される。足場は、特定の配置(例えば、ヘテロアリール環のまわりに空間的に配置された3つのノードを提供するトリアジンまたは線形配置)で1つ以上の多様性ノードを提供するのに役立つ。
ビルディングブロックおよびそれらのコードタグは、複合体を形成するためにヘッドピースに直接または(例えば、スペーサーを介して)間接的に付加され得る。ヘッドピースがスペーサーを含む場合、ビルディングブロックまたは足場はスペーサーの末端部に付加される。スペーサーが存在しない場合、ビルディングブロックはヘッドピースに直接付加され得るか、またはビルディングブロックそれ自体が、ヘッドピースの官能基と反応するスペーサーを含むことができる。例示的なスペーサーおよびヘッドピースは本明細書に記載される。
足場は、任意の有用な方法で付加することができる。例えば、足場は、スペーサーまたはヘッドピースの末端部に付加され、連続するビルディングブロックが足場の利用可能な多様性ノードに付加され得る。別の例では、ビルディングブロックAnが最初にスペーサーまたはヘッドピースに付加され、その後、足場Sの多様性ノードがビルディングブロックAnの官能基と反応する。特定の足場をコードするオリゴヌクレオチドタグを、任意で、ヘッドピースまたは複合体に付加してもよい。例えば、Snはn個の反応容器(ここでnは2以上の整数である)内で複合体に付加され、タグSn(すなわち、タグS1、S2、...Sn-1、Sn)は複合体の官能基に結合される。
ビルディングブロックは複数の合成工程で付加することができる。例えば、ヘッドピース(任意で、結合されたスペーサーを有する)のアリコートをn個の反応容器に分離する(ここでnは2以上の整数である)。第1工程で、ビルディングブロックAnをn個の反応容器のそれぞれに添加する(すなわち、ビルディングブロックA1、A2、...An-1、Anを反応容器1、2、...n-1、nに添加する)(ここでnは整数であり、各ビルディングブロックAnは唯一である)。第2工程では、足場Sを各反応容器に添加してAn-S複合体を形成する。任意で、足場Snを各反応容器に添加してAn-Sn複合体を形成することができる(ここでnは2を超える整数であり、各足場Snは唯一であり得る)。第3工程では、ビルディングブロックBnを、An-S複合体を含有するn個の反応容器のそれぞれに添加する(すなわち、ビルディングブロックB1、B2、...Bn-1、Bnを、A1-S、A2-S、... An-1-S、An-S複合体を含有する反応容器1、2、...n-1、nに添加する)(ここで各ビルディングブロックBnは唯一である)。さらなる工程で、ビルディングブロックCnを、Bn-An-S複合体を含有するn個の反応容器のそれぞれに添加することができる(すなわち、ビルディングブロックC1、C2、...Cn-1、Cnを、B1-A1-S ... Bn-An-S複合体を含有する反応容器1、2、...n-1、nに添加する)(ここで各ビルディングブロックCnは唯一である)。結果として得られるライブラリーは、n3個のタグを有するn3個の複合体を含むだろう。このようにして、追加の合成工程を用いて追加のビルディングブロックを結合させることにより、ライブラリーをさらに多様化することができる。
ライブラリーを形成した後、得られた複合体は、必要に応じて精製し、重合または、例えばテイルピースへの、ライゲーション反応に供することができる。この一般的な戦略は、追加の多様性ノードおよびビルディングブロック(例えば、D、E、Fなど)を含むように拡張することができる。例えば、第1多様性ノードをビルディングブロックおよび/またはSと反応させて、オリゴヌクレオチドタグでコードする。次に、追加のビルディングブロックを得られた複合体と反応させ、後続の多様性ノードを追加のビルディングブロックで誘導体化して、これを重合またはライゲーション反応に用いられるプライマーでコードする。
コード化ライブラリーを形成するために、オリゴヌクレオチドタグは各合成工程の後または前に複合体に付加される。例えば、ビルディングブロックAnを各反応容器に添加する前または後に、タグAnをヘッドピースの官能基に結合させる(すなわち、タグA1、A2、...An-1、Anを、ヘッドピースを含有する反応容器1、2、...n-1、nに添加する)。各タグAnは、唯一の各ビルディングブロックAnと相関する固有の配列を有し、タグAnの配列を決定することは、ビルディングブロックAnの化学構造を提供する。このように、追加のタグは、追加のビルディングブロックまたは追加の足場をコードするために使用される。
さらに、複合体に付加された最後のタグは、プライマー結合配列を含むか、またはプライマー結合配列の(例えば、ライゲーションによる)結合を可能にするための官能基を提供することができる。プライマー結合配列は、複合体のオリゴヌクレオチドタグの増幅および/または配列決定のために使用され得る。例示的な増幅および配列決定方法には、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、直鎖増幅(LCR)、ローリングサークル増幅(RCA)、または核酸配列の増幅もしくは決定のために当技術分野で知られている他の方法が含まれる。
これらの方法を使用して、多数のコード化した化学物質を有する大規模ライブラリーを形成することが可能である。例えば、ヘッドピースを、スペーサーおよび1,000の異なる変異体を含むビルディングブロックAn(すなわち、n=1,000)と反応させる。各ビルディングブロックAnにつき、DNAタグAnをヘッドピースにライゲーションさせるか、またはプライマー伸長させる。これらの反応は1,000ウェルプレートまたは10×100ウェルプレートで行うことができる。すべての反応をプールし、必要に応じて精製し、第2セットのプレートに分割することができる。次に、同じ手順をビルディングブロックBnで実施することができ、ビルディングブロックBnもまた1,000の異なる変異体を含む。DNAタグBnをAn-ヘッドピース複合体にライゲーションさせて、すべての反応をプールする。得られたライブラリーは、タグの1,000,000の異なる組み合わせによってタグ付けされたAn×Bnの1,000×1,000の組み合わせ(すなわち、1,000,000の化合物)を含んでいる。同じアプローチは、ビルディングブロックCn、Dn、Enなどを付加するように拡張することができる。その後、作成されたライブラリーは、標的に結合する化合物を同定するために使用され得る。ライブラリーに結合する化学物質の構造は、必要に応じて、DNAタグのPCRおよび配列決定により評価して、濃縮された化合物を同定することができる。
この方法は、各ビルディングブロックの付加後のタグ付けを回避するように、またはプールする(もしくは混合する)ことを回避するように、改変され得る。例えば、この方法は、ビルディングブロックAnをn個の反応容器に添加し(ここでnは2以上の整数である)、同一のビルディングブロックB1を各反応ウェルに添加することによって、改変することができる。ここで、B1は各化学物質について同一であり、したがって、このビルディングブロックをコードするオリゴヌクレオチドタグは必要とされない。ビルディングブロックを付加した後、複合体をプールしても、プールしなくてもよい。例えば、ライブラリーはビルディングブロック付加の最終工程の後にプールされず、標的に結合する化合物を同定するためにプールが個別にスクリーニングされる。合成後に反応のすべてをプールすることを避けるために、例えば、BIND(登録商標)Reader(SRU Biosystems社製)を用いて、ハイスループット形式(例えば、384ウェルプレートおよび1,536ウェルプレート)でセンサー表面上の結合をモニターすることができる。例えば、ビルディングブロックAnはDNAタグAnによりコードされ、ビルディングブロックBnはウェルプレート内のその位置によってコードされ得る。その後、候補化合物は、結合アッセイを用いる(例えば、SRU Biosystems社から入手可能なBIND(登録商標)Biosensorを用いるか、またはELISAアッセイを用いる)ことによって、かつ配列決定、マイクロアレイ解析および/または制限消化解析でAnタグを解析することによって、同定することができる。この解析は、望ましい分子をもたらすビルディングブロックAnおよびBnの組み合わせの同定を可能にする。
増幅の方法は、任意で、複数の水性マイクロリアクターを作成するために油中水型エマルジョンを形成することを含み得る。反応条件(例えば、複合体の濃度およびマイクロリアクターのサイズ)は、平均して、化合物ライブラリーの少なくとも1つのメンバーを有するマイクロリアクターを提供するように、調整することができる。各マイクロリアクターはまた、標的と、複合体もしくは複合体の一部(例えば、1つ以上のタグ)に結合することが可能なおよび/または標的に結合することが可能な単一のビーズと、核酸増幅を実施するために必要な1種以上の試薬を含有する増幅反応液とを含むことができる。マイクロリアクター内でタグを増幅した後、タグの増幅コピーはマイクロリアクター中のビーズに結合するだろう。被覆されたビーズは任意の有用な方法で識別することができる。
関心対象の標的に結合する第1ライブラリーからのビルディングブロックが同定されたら、第2ライブラリーを反復様式で作成することができる。例えば、1つまたは2つの追加の多様性のノードを付加することができ、第2ライブラリーを本明細書に記載するように作成して、サンプリングする。このプロセスは、所望の分子的および薬学的特性を有する分子を作成するために、必要に応じて何回でも繰り返すことができる。
さまざまなライゲーション技術が足場、ビルディングブロック、スペーサー、およびタグを付加するために使用され得る。したがって、本明細書に記載の結合工程はどれも、1つ以上の有用なライゲーション技術を含むことができる。例示的なライゲーション技術としては、本明細書に記載されるような、1種以上のRNAリガーゼおよび/またはDNAリガーゼの使用などの、酵素的ライゲーション;ならびに、本明細書に記載されるような、化学反応対の使用などの、化学的ライゲーションが挙げられる。
実施例1
複合体のための一般的な戦略
本発明の複合体は、ポリメラーゼが読み通すまたは通過して移動する能力が低下している、1つ以上のリンケージを含むように形成することができる。例えば、複合体は、(5'から3'の方向へ)化学物質(星印)、固定された定常配列(例えば、ヘッドピース)、続いて3つの可変コード配列(例えば、3つのタグ)、および別の固定された定常配列(例えば、テイルピース)を含むように形成され、ここで、固定された定常配列と可変コード配列の間のリンケージは読み取り不能であり得る(図1B)。
複合体のための一般的な戦略
本発明の複合体は、ポリメラーゼが読み通すまたは通過して移動する能力が低下している、1つ以上のリンケージを含むように形成することができる。例えば、複合体は、(5'から3'の方向へ)化学物質(星印)、固定された定常配列(例えば、ヘッドピース)、続いて3つの可変コード配列(例えば、3つのタグ)、および別の固定された定常配列(例えば、テイルピース)を含むように形成され、ここで、固定された定常配列と可変コード配列の間のリンケージは読み取り不能であり得る(図1B)。
読み取り不能リンケージは、任意の有用な部分(moiety)または官能基を用いて形成することができる。非限定的な例は、5'-コネクタと3'-コネクタの間に読み取り不能リンケージを形成し得るソラレン(図2)である。
読み取り不能リンケージは、シアノビニルカルバゾール基の可逆的共反応基を有する架橋性オリゴヌクレオチドを用いて形成することができる。複合体は、(5'から3'の方向へ)化学物質(星印)、固定された定常配列(例えば、ヘッドピース)、シアノビニルカルバゾール基の可逆的共反応基(約366nmで架橋され、Xでマークされる)を介して架橋される架橋性オリゴヌクレオチド、続いて5'および3'末端に固定された定常配列を有する可変コード配列(例えば、5'-および3'-コネクタを有するタグ)を含むことができる(図3)。3'-コネクタ、5'-コネクタ、および架橋性オリゴヌクレオチド中に存在し得る、可逆的共反応基(シアノビニルカルバゾール基とチミジンの対)を用いた例示的な可逆反応(図4)。他の読み取り不能リンケージは、修復酵素の使用によってデコンボリューション可能な状態にすることができる。
読み取りまたはデコンボリューションプロセスの一環として、複合体を化学的プロセスおよび/または酵素的プロセス(例えば、リガーゼおよび任意でキナーゼ)により反応させて、タグ同士をライゲーションすることができる。隣接タグ間の接合部がニックである場合は、リガーゼを用いてタグをライゲーションすることができる。任意で、キナーゼを用いて、末端の5'-ヒドロキシル基をリン酸基に変換してもよい。隣接タグ間の接合部が1個以上のヌクレオチドによる伸長を必要とするギャップである場合は、タグをライゲーションする前に、ポリメラーゼを用いてギャップにわたって伸長させることができる(場合によりキナーゼを含む)。任意で、ポリメラーゼは鎖置換活性が低下していてもよい。次に、架橋性オリゴヌクレオチドを(例えば、約312nmでの照射を利用して)放出させ、鋳型を形成させる。最後に、その鋳型を任意でPCRにより増幅して、配列決定する。
これらの複合体のいずれにおいても、可変コード配列の各々は、任意で、固定された定常配列である5'-コネクタおよび3'-コネクタを含みうる。リンケージは読み取り不能であるので、該リンケージにまたがるようにリレープライマーを用いて、ポリメラーゼによる伸長を可能にし、こうしてオリゴヌクレオチド断片を形成させる。これらの断片はその後リガーゼを用いてライゲーションし、任意でPCRにより増幅して、配列決定することができる。
あるいは、読み取り不能リンケージの両側のコード配列は、組換え媒介プロセス(recombination-mediated process)を用いて単一のcDNA配列にコピーすることができ、その際、組換え事象は同じ祖先鋳型配列に由来する配列について起こることが有利である。このメカニズムは、タグの結び付き(tag association)情報を保存し、かつ誘導された配列データからこれらの結び付きを推論できるようにする。組換えを起こしやすいcDNAの鋳型になり得る、読み取り不能リンケージを生成する1つの可能な方法は、該リンケージの両側に反復相同領域を確立することである。
実施例2
1つのタグ付け事象をモデル化するためのシアノビニルカルバゾールを用いた光化学オリゴヌクレオチド架橋
2つのシアノビニルカルバゾール修飾を含むオリゴヌクレオチドCNVKJを日本テクノサービス社(日本)から入手した(図5)。オリゴヌクレオチドCNVK2_P_TagB、CNVK2_NP_TagBおよびCNVK2_TagAは、Integrated DNA Technologies(IDT)社(IA)から入手した。各オリゴヌクレオチドを水に溶解して1mMの濃度とした。
1つのタグ付け事象をモデル化するためのシアノビニルカルバゾールを用いた光化学オリゴヌクレオチド架橋
2つのシアノビニルカルバゾール修飾を含むオリゴヌクレオチドCNVKJを日本テクノサービス社(日本)から入手した(図5)。オリゴヌクレオチドCNVK2_P_TagB、CNVK2_NP_TagBおよびCNVK2_TagAは、Integrated DNA Technologies(IDT)社(IA)から入手した。各オリゴヌクレオチドを水に溶解して1mMの濃度とした。
光化学架橋条件は次の通りであった:オリゴヌクレオチドCNVKJ、CNVK2_P_TagBおよびCNVK2_TagAを、1.5mLの自然色ポリプロピレン微小遠心管(Fisher Scientific社, 02-682-550)内の20μLまたは50μLアリコートにて、pH7.0の500mMリン酸緩衝液中それぞれ100μMの等モル比で混合した。次に、各反応物を、UVL-21(4ワット)ランプ(95-0018-02)(Ultra Violet Products社, CA)を用いて365nmで4℃にて2時間照射した。その後、この反応の生成物を10%変性PAAGでの電気泳動ならびにLCMS(Thermo Fisher Scientific社)で分析した(図6)。出発物質の70%以上が、実測値MW 16,894Da(計算値16,890Da)を有する光化学架橋されたオリゴヌクレオチド結合体に変換された。同じ架橋反応をpH5.5の500mMリン酸緩衝液またはpH9.5の500mMホウ酸緩衝液中で行ったところ、同様の結果と収率が観察された。
CNVK2_P_TagB、CNVK2_TagAおよびCNVKJの光化学架橋されたオリゴヌクレオチド結合体を10%変性PAAGで精製し、1.5mLの自然色ポリプロピレン微小遠心管(Fisher Scientific社, 02-682-550)内の50μLアリコートにて80℃で加熱し、Spectroline EシリーズEB-160C(6ワット)ランプ(Spectronics社, NY)を用いて312nmで1時間照射(80℃)することにより脱架橋した。この生成物をLCMSで分析した。この反応は、変化しない出発オリゴヌクレオチドモデルタグCNVK2_P_TagB実測値MW 6,578Da(計算値6,579Da)およびCNVK2_TagA実測値MW 5,558Da(計算値5,558Da)を定量的に生成する(図7)。
複数のCNVKを含む架橋されたオリゴヌクレオチドの解離を研究するために、本発明者らは、上記のプロトコルを適応させて、2つのCNVKオリゴであるCNVKJおよびSplint_14_CNVK (Splint_14_CNVKは
であり、ここでXはCNVKであり、Biosearch Technologies社(CA)で合成された)を含む複合体を調製し、単一のオリゴヌクレオチドDouble_CNVK_Template
へと光化学架橋した。この複合体をLCMSで分析した:実測値MW 25,079Da(計算値25,055Da)。次に、それを水に溶解して100μMの濃度にし、上記のように再度、UV 312nmを用いて80℃で1時間照射した。この生成物をLCMSで分析したところ、出発Double_CNVK_templateの回復が見られた:実測値MW 16,492Da(計算値16,492Da)(図8)。
であり、ここでXはCNVKであり、Biosearch Technologies社(CA)で合成された)を含む複合体を調製し、単一のオリゴヌクレオチドDouble_CNVK_Template
へと光化学架橋した。この複合体をLCMSで分析した:実測値MW 25,079Da(計算値25,055Da)。次に、それを水に溶解して100μMの濃度にし、上記のように再度、UV 312nmを用いて80℃で1時間照射した。この生成物をLCMSで分析したところ、出発Double_CNVK_templateの回復が見られた:実測値MW 16,492Da(計算値16,492Da)(図8)。
実施例3
光化学架橋されたタグからの配列情報の回復をモデル化するためのシアノビニルカルバゾール光化学架橋されたオリゴヌクレオチドのライゲーションおよび光化学脱架橋
実施例2に記載したように、CNVK2_P_TagB、CNVK2_TagAおよびCNVKJの複合体を調製し、光化学架橋して、ゲル精製した。
光化学架橋されたタグからの配列情報の回復をモデル化するためのシアノビニルカルバゾール光化学架橋されたオリゴヌクレオチドのライゲーションおよび光化学脱架橋
実施例2に記載したように、CNVK2_P_TagB、CNVK2_TagAおよびCNVKJの複合体を調製し、光化学架橋して、ゲル精製した。
光化学架橋されたモデルタグ対を1×T4 DNAリガーゼ緩衝液(NEB社, MA)中に溶解し、T4 DNAリガーゼ(NEB社, MA)と共に37℃で1時間インキュベートした。次に、この反応の生成物を実施例2に記載したように脱架橋し、変性ゲル電気泳動およびLCMSにより分析した(図9)。このライゲーション反応の生成物は高収率で観察された:実測値MW 12,119Da(計算値12,119Da)。
対応する光化学架橋された非リン酸化モデルタグ対CNVK2_NP_TagBとCNVK2_TagAおよびCNVKJもまた、上記のように調製した。この複合体のLCMS分析は16,503Daの実測値MW(計算値16,499Da)を明らかにした(図10)。この光化学架橋された複合体を1×T4 DNAリガーゼ緩衝液(NEB社)中に溶解し、T4ポリヌクレオチドキナーゼとT4 DNAリガーゼの混合物(NEB社)と共に37℃で1時間インキュベートした。次に、この連結したリン酸化-ライゲーション反応の生成物を、実施例2に記載したように、312nmのUVを用いて80℃で1時間照射することにより光化学的に脱架橋した。このリン酸化-ライゲーション反応の生成物を変性ゲル電気泳動およびLCMSで観察したところ、11,894Daの実測値MW(計算値MW 11,896Da(ライゲーション生成物の5'末端に追加のリン酸化))が明らかになった(図10)。
実施例4
1つのタグ付け事象をモデル化するためのステム内にソラレンを用いた光化学オリゴヌクレオチド架橋
5'末端でC2-ソラレンにより修飾されたオリゴヌクレオチド5PSO2_A9_TAはBiosearch社(CA)から入手した(図11)。オリゴヌクレオチドPSO_HP_A9_TCTはIDT社(IA)から入手した(図11)。両方のオリゴヌクレオチドをpH7.0の500mMリン酸緩衝液中にそれぞれ0.5mM濃度で溶解し、95℃に加熱した後に室温へと冷却することによってアニーリングさせた。次に、この反応物を、UVL-21コンパクトUVランプ(UVP社)を用いて365nmのUV光を4℃で30分間照射した。生成物をLCMSで分析した。本発明者らは、17,643Daの実測値MW(計算値MW 17,643.4Da)を有する光化学架橋された生成物の急速な形成を観察した(図12参照)。
1つのタグ付け事象をモデル化するためのステム内にソラレンを用いた光化学オリゴヌクレオチド架橋
5'末端でC2-ソラレンにより修飾されたオリゴヌクレオチド5PSO2_A9_TAはBiosearch社(CA)から入手した(図11)。オリゴヌクレオチドPSO_HP_A9_TCTはIDT社(IA)から入手した(図11)。両方のオリゴヌクレオチドをpH7.0の500mMリン酸緩衝液中にそれぞれ0.5mM濃度で溶解し、95℃に加熱した後に室温へと冷却することによってアニーリングさせた。次に、この反応物を、UVL-21コンパクトUVランプ(UVP社)を用いて365nmのUV光を4℃で30分間照射した。生成物をLCMSで分析した。本発明者らは、17,643Daの実測値MW(計算値MW 17,643.4Da)を有する光化学架橋された生成物の急速な形成を観察した(図12参照)。
実施例5
1つのタグ付け事象をモデル化するためのソラレンを用いた光化学オリゴヌクレオチドライゲーション
オリゴヌクレオチドTag1_PsoCVUおよびSplintC_PsoC2をIDT社(IA)から入手した(図13)。オリゴヌクレオチド5PSOC2_A9_GA(5'末端でC2ソラレンにより修飾)はBiosearch社(CA)から入手した(図13)。
1つのタグ付け事象をモデル化するためのソラレンを用いた光化学オリゴヌクレオチドライゲーション
オリゴヌクレオチドTag1_PsoCVUおよびSplintC_PsoC2をIDT社(IA)から入手した(図13)。オリゴヌクレオチド5PSOC2_A9_GA(5'末端でC2ソラレンにより修飾)はBiosearch社(CA)から入手した(図13)。
Tag1_PsoCVUと5PSOC2_A9_GAの光化学ライゲーションされたオリゴヌクレオチド結合体を次のように調製した。光ライゲーションは、第1オリゴヌクレオチドの5'-ソラレンピロン部分と、第2オリゴヌクレオチドの3'チミジンとを、第1および第2オリゴヌクレオチドの両方にハイブリダイズしかつそれらの反応性末端を共配置(co-locate)するように設計された第3オリゴヌクレオチドの存在下で、光化学反応に供することによって達成される(図14)。
光化学ライゲーション条件は次の通りであった:オリゴヌクレオチド5PsoC2_A9_GA(最終1mM)とTag1_PsoCVU(最終1.1mM)とSplintC_PsoC2(最終1.1mM)を、1.5mLの自然色ポリプロピレン微小遠心管(Fisher Scientific社, 02-682-550)内のpH7.0の500mMリン酸緩衝液中に10μLの光ライゲーション反応物として組み合わせた。この反応混合物を最初に95℃に加熱し、続いて室温へと徐々に冷却した。次に、この反応物に、UVL-21コンパクトUVランプ(UVP社)を用いて365nmのUV光を4℃で照射した。1μLのアリコートを経時的に採取して、15%TBE/8M尿素変性ポリアクリルアミドゲル上で分析した(図15)。このゲルを、蛍光TLCプレートのUVシャドウイングを用いて可視化し、撮影した。光ライゲーションされた5PsoC2_A9_GAとTag1_PsoCVUの結合体は高収率で形成された。24時間後、その収率はおよそ90%である(図15)。
24時間サンプルをLCMSで分析した(図16)。主なLCピークは、15,252.4Daの実測値MW(計算値15,243.1Da)を有する5PsoC2_A9_GAとTag1_PsoCVUの光ライゲーションされた結合体に一致した。
実施例6
単一のタグ付け事象の読み取りをモデル化するための、末端プライマー伸長、非末端プライマー伸長、およびライゲーションを用いたポリメラーゼ読み取り不能な光化学ライゲーションされたソラレン結合モデルタグからのcDNAの作成
ソラレン-チミジン光化学ライゲーションされたオリゴヌクレオチド結合体(Bio_Pso)は、実施例5に記載したのと同様の方法を用いて、次の2つのモデルタグオリゴヌクレオチド:5'-ビオチニル化オリゴヌクレオチド5Bio_Tag_PsoCVUおよび5'-ソラレンオリゴヌクレオチド5PsoC2_A9_GAを、スプリントオリゴヌクレオチドSplintC_PsoC2と共に用いて生成させた。3種すべてのオリゴヌクレオチドはIDT社(IA)から入手し、図17に示される。24時間の反応後、Bio_Psoを10%TBE-尿素変性PAAGで精製し、LCMSで分析したところ、15,834.0Daの実測値MW(計算値MW 15,812.7Da)を有する生成物が明らかになった(図18)。
単一のタグ付け事象の読み取りをモデル化するための、末端プライマー伸長、非末端プライマー伸長、およびライゲーションを用いたポリメラーゼ読み取り不能な光化学ライゲーションされたソラレン結合モデルタグからのcDNAの作成
ソラレン-チミジン光化学ライゲーションされたオリゴヌクレオチド結合体(Bio_Pso)は、実施例5に記載したのと同様の方法を用いて、次の2つのモデルタグオリゴヌクレオチド:5'-ビオチニル化オリゴヌクレオチド5Bio_Tag_PsoCVUおよび5'-ソラレンオリゴヌクレオチド5PsoC2_A9_GAを、スプリントオリゴヌクレオチドSplintC_PsoC2と共に用いて生成させた。3種すべてのオリゴヌクレオチドはIDT社(IA)から入手し、図17に示される。24時間の反応後、Bio_Psoを10%TBE-尿素変性PAAGで精製し、LCMSで分析したところ、15,834.0Daの実測値MW(計算値MW 15,812.7Da)を有する生成物が明らかになった(図18)。
ソラレン-チミジン光化学ライゲーションされたオリゴヌクレオチド結合体Bio_Psoは、T4 DNAポリメラーゼ(NEB社, MA)を用いた末端オリゴヌクレオチドプライマー(FAMprimer)と非末端オリゴヌクレオチドプライマー(Phos-SplintC_PsoC2)の両方の酵素的伸長反応によりcDNAを作成するための鋳型として使用した。Phos-SplintC_PsoC2は、T4 PNK(NEB社, MA)を用いたSplintC_PsoC2の5'-リン酸化により生成させた。cDNAの作成は、1mMの各dNTPおよび10μLのT4 DNAポリメラーゼ(NEB社, MA)を補充した1×T4 DNAリガーゼ緩衝液(NEB社, MA)中に10μMずつのFAMprimer、Phos-SplintC_PsoC2およびBio_Psoを含有する100μL反応物にて実施した。この反応混合物を37℃で1時間インキュベートし、その後0.5mM ATPおよび5μLのT4 DNAリガーゼ(2,000単位/μl, NEB社, MA)を補充してから37℃でさらに1時間インキュベートした。
次に、この反応混合物を200μLのストレプトアビジン被覆ダイナビーズ(DynaBeads)M280(Invitrogen社, PBSを用いて室温で1時間予備洗浄した)と共にインキュベートし、ビーズを1mLのPBSで洗浄して、生成物を35μLの100mM NaOHで溶出した。この溶出液を5μLの1M Tris HCl pH7.0の添加により中和し、LCMSで分析した。
得られた生成物のLCMS分析は、495nmでの検出により、FAMprimerの約50%がBio_Pso鋳型に対する完全長の相補的配列マイナス単一dAヌクレオチドに伸長されていたことを示した(実測値MW 15,170Da、期待された完全長MW 15,458Da)。FAMprimerの残りの大部分は、光化学ライゲーション接合部まで伸長された(実測値MW 11,154Da、計算値MW 11,154Da)(図19)。
上述したcDNAの作成をリガーゼ酵素の添加なしに行ったところ、完全長の相補的配列(マイナス単一dA)は観察されなかった(図20)。
実施例7
1つのタグ付け事象をモデル化するためのカルボキシビニルウリジンを用いた光化学オリゴヌクレオチドライゲーション
オリゴヌクレオチドCVU_GおよびCVU_Aは、Trilink社(CA)で合成された(図21)。両方のオリゴヌクレオチドは、5-(カルボキシ)ビニル-2'-デオキシウリジンにより5'-修飾されている(図21)。オリゴヌクレオチドTag1_PsoCVU、SplintC_CVUおよびSplintA_CVUはIDT DNA社(IA)から入手した(図21)。
1つのタグ付け事象をモデル化するためのカルボキシビニルウリジンを用いた光化学オリゴヌクレオチドライゲーション
オリゴヌクレオチドCVU_GおよびCVU_Aは、Trilink社(CA)で合成された(図21)。両方のオリゴヌクレオチドは、5-(カルボキシ)ビニル-2'-デオキシウリジンにより5'-修飾されている(図21)。オリゴヌクレオチドTag1_PsoCVU、SplintC_CVUおよびSplintA_CVUはIDT DNA社(IA)から入手した(図21)。
照射された5'-5-(カルボキシ)ビニル-2'-デオキシウリジンと3'-チミジンの間に形成された光化学ライゲーション接合部の構造は、図22に示される。
10μLの光化学ライゲーション反応混合物は、1.5mLの自然色ポリプロピレン微小遠心管(Fisher Scientific社, 02-682-550)内のpH7.0の500mMリン酸ナトリウム緩衝液中に溶解した1mM CVU_G、1.1mM Tag1_PsoCVUおよび1.1mM SplintC_CVUを用いて生成させた。この反応混合物を95℃に加熱し、続いて室温へと徐々に冷却した。次に、この反応物に、UVL-21コンパクトUVランプ(UVP社)を用いて365nmのUV光を4℃で24時間照射した。1μLのアリコートを経時的に採取して、15%TBE/8M尿素変性ポリアクリルアミドゲルで電気泳動させた(図23)。このゲルを、蛍光TLCプレートのUVシャドウイングを用いて可視化し、撮影した。24時間の照射後、CVU_Gオリゴヌクレオチドの90%以上が光化学的にライゲーションされていた。
24時間サンプルをLCMSで分析した(図24)。主なピークは、CVU_GとTag1_PsoCVUとの光化学ライゲーション生成物に一致する。実測値MWは15,260.6Daであった(計算値MW 15,238.7Da)。
実施例8
単一のタグ付け事象の読み取りをモデル化するための、末端プライマー伸長、非末端プライマー伸長、およびライゲーションを用いたポリメラーゼ読み取り不能な光化学ライゲーションされたカルボキシビニルウリジン結合モデルタグからのcDNAの作成
カルボキシビニルウリジン-チミジン光化学ライゲーションされたオリゴヌクレオチド結合体(Bio_CVU)は、実施例7に記載したのと同様の方法を用いて、次の2つのモデルタグオリゴヌクレオチド:5'-5-カルボキシビニルウリジンオリゴヌクレオチド5'-CVU_Aおよび5'-ビオチニル化オリゴヌクレオチド5Bio_Tag_PsoCVUを、スプリントオリゴヌクレオチドSplintA_CVUと共に用いて生成された。3種すべてのオリゴヌクレオチドはIDT社(IA)から入手し、図21および25に示される。この反応生成物を実施例6に記載したようにゲル精製し、LCMS分析から、15,811.8Daの実測値MW(計算値MW 15,792.3Da)を有する生成物が明らかになった(図25)。
単一のタグ付け事象の読み取りをモデル化するための、末端プライマー伸長、非末端プライマー伸長、およびライゲーションを用いたポリメラーゼ読み取り不能な光化学ライゲーションされたカルボキシビニルウリジン結合モデルタグからのcDNAの作成
カルボキシビニルウリジン-チミジン光化学ライゲーションされたオリゴヌクレオチド結合体(Bio_CVU)は、実施例7に記載したのと同様の方法を用いて、次の2つのモデルタグオリゴヌクレオチド:5'-5-カルボキシビニルウリジンオリゴヌクレオチド5'-CVU_Aおよび5'-ビオチニル化オリゴヌクレオチド5Bio_Tag_PsoCVUを、スプリントオリゴヌクレオチドSplintA_CVUと共に用いて生成された。3種すべてのオリゴヌクレオチドはIDT社(IA)から入手し、図21および25に示される。この反応生成物を実施例6に記載したようにゲル精製し、LCMS分析から、15,811.8Daの実測値MW(計算値MW 15,792.3Da)を有する生成物が明らかになった(図25)。
カルボキシビニルウリジン-チミジン光化学ライゲーションされたオリゴヌクレオチド結合体Bio_CVUは、T4 DNAポリメラーゼ(NEB社, MA)を用いた末端オリゴヌクレオチドプライマー(FAMprimer)と非末端オリゴヌクレオチドプライマー(Phos-SplintA_CVU)の両方の酵素的伸長反応によりcDNAを作成するための鋳型として使用した。Phos-SplintA_CVUは、T4 PNK(NEB社, MA)を用いたSplintA_CVUの5'-リン酸化により生成させた。cDNAの作成は、1mMの各dNTPおよび10μLのT4 DNAポリメラーゼ(NEB社, MA)を補充した1×T4 DNAリガーゼ緩衝液(NEB社, MA)中に10μMずつのFAMprimer、Phos-SplintA_CVUおよびBio_CVUを含有する100μL反応物中で実施した。この反応混合物を37℃で1時間インキュベートし、その後0.5mM ATPおよび5μLのT4 DNAリガーゼ(2,000単位/μl, NEB社, MA)を補充してから37℃でさらに1時間インキュベートした。
次に、この反応混合物を200μLのストレプトアビジン被覆ダイナビーズM280(Invitrogen社, PBSを用いて室温で1時間予備洗浄した)と共にインキュベートし、ビーズを1mLのPBSで洗浄して、生成物を35μLの100mM NaOHで溶出した。その後、この溶出液を5μLの1M Tris HCl pH7.0の添加により中和し、LCMSで分析した。
得られた生成物のLCMS分析は、495nmでの検出により、FAMprimerの約80%がBio_CVU鋳型に対する完全長の相補的配列マイナス単一dAヌクレオチドに伸長されていたことを示した(実測値MW 15,176Da、計算した完全長MW 15,458Da)。FAMprimerの残りの大部分は、光化学ライゲーション接合部の前の3ヌクレオチドまで伸長された(実測値MW 10,560Da、計算値MW 10,559Da)(図26)。
上述したcDNAの作成をリガーゼ酵素の添加なしに行ったところ、完全長の相補的配列(マイナス単一dA)は観察されなかった。
実施例9
1つのタグ付け事象をモデル化するためのポリメラーゼ読み取り不能なクリック結合を用いたオリゴヌクレオチドのライゲーション
オリゴヌクレオチドS_IDTN3およびS_IDTalkyneはIDT社(IA)から入手した(図27)。オリゴヌクレオチドS_IDTN3の3'-アジド修飾は、IDT社の専売の修飾である(3'IDTアジド修飾/3アジドN/(MW 350))。
1つのタグ付け事象をモデル化するためのポリメラーゼ読み取り不能なクリック結合を用いたオリゴヌクレオチドのライゲーション
オリゴヌクレオチドS_IDTN3およびS_IDTalkyneはIDT社(IA)から入手した(図27)。オリゴヌクレオチドS_IDTN3の3'-アジド修飾は、IDT社の専売の修飾である(3'IDTアジド修飾/3アジドN/(MW 350))。
/3アジドN/修飾を含むオリゴヌクレオチドをHPLCで精製した。
ヘキシニル修飾を含むオリゴヌクレオチドを脱塩し、それ以上精製することなく使用した。
これらのモデルタグのクリック結合(click-conjugation)は、Cu(I)触媒による3+1アジド・アルキン環化付加反応によって次のように達成された:
ストック溶液を次のように調製した:Cu(OAc)2.H2O(FW 181.6)、DMF中に10mM;アスコルビン酸ナトリウム(FW 198.1)、H2O中に20mM;およびトリス-(ベンジルトリアゾリルメチル)アミン(TBTA)(FW 530.6)、DMF中に10mM。エッペンドルフチューブに、10μLのpH7.0リン酸緩衝液(500mM水溶液)、10μLのS_IDTalkyne(1mM水溶液、10nmol、1当量)および10μLのS-IDTN3(1mM水溶液、10nmol、1モル当量)を加えた。この溶液に、5μLのCu_Pre-mix(2モル当量のCu(OAc)2、4モル当量のアスコルビン酸ナトリウム、1モル当量のTBTA)を加えた。この反応物を室温で終夜インキュベートした。その生成物をLCMS(Thermo社)で分析し(図28)、MWは26,304.8Da(計算値:26311.2Da)であることが見出された。この結合体を10%PAAG/8M尿素を用いた電気泳動によりさらに精製した。この結合生成物をConjugate_Click_Sと命名した。
ストック溶液を次のように調製した:Cu(OAc)2.H2O(FW 181.6)、DMF中に10mM;アスコルビン酸ナトリウム(FW 198.1)、H2O中に20mM;およびトリス-(ベンジルトリアゾリルメチル)アミン(TBTA)(FW 530.6)、DMF中に10mM。エッペンドルフチューブに、10μLのpH7.0リン酸緩衝液(500mM水溶液)、10μLのS_IDTalkyne(1mM水溶液、10nmol、1当量)および10μLのS-IDTN3(1mM水溶液、10nmol、1モル当量)を加えた。この溶液に、5μLのCu_Pre-mix(2モル当量のCu(OAc)2、4モル当量のアスコルビン酸ナトリウム、1モル当量のTBTA)を加えた。この反応物を室温で終夜インキュベートした。その生成物をLCMS(Thermo社)で分析し(図28)、MWは26,304.8Da(計算値:26311.2Da)であることが見出された。この結合体を10%PAAG/8M尿素を用いた電気泳動によりさらに精製した。この結合生成物をConjugate_Click_Sと命名した。
実施例10
一対のオルソゴナルタグ付け事象をモデル化するためのオルソゴナルなポリメラーゼ読み取り不能クリック結合の対を用いたオリゴヌクレオチドのライゲーション
TKR_CentralおよびS_IDTN3オリゴはIDT社から入手した(図29)。5'-ジベンゾ-シクロオクチン(DBCO)修飾オリゴTKR_DBCO_SはBiosearch Technologies社(CA)から入手した(図29)。
一対のオルソゴナルタグ付け事象をモデル化するためのオルソゴナルなポリメラーゼ読み取り不能クリック結合の対を用いたオリゴヌクレオチドのライゲーション
TKR_CentralおよびS_IDTN3オリゴはIDT社から入手した(図29)。5'-ジベンゾ-シクロオクチン(DBCO)修飾オリゴTKR_DBCO_SはBiosearch Technologies社(CA)から入手した(図29)。
最初に、クリック結合は、TKR_CentralとTKR_DBCO_Sを用いてシクロオクチンベースの銅フリーのクリック反応により行った。等モル量の各オリゴヌクレオチド(10μLの1mM水溶液)をpH7.0の0.2Mリン酸ナトリウム緩衝液中で一緒に混合した。反応の進行をLCMSでモニタリングした。この反応は30〜60分で完了し、90%以上の純粋な結合体を生成した。MSは25,336DaのMW(計算値25,341.8Da)を示した(図30)。
第二に、クリック結合は、TKR_CentralとTKR_DBCO_Sの結合生成物とS_IDTN3との間で、実施例9に記載したCu(I)触媒によるクリック手法を用いて行った。得られた最終結合体2cl_Sを10%TBE/8M尿素ポリアクリルアミドゲル上で精製し、LCMS(Thermo社)により分析したところ、2cl_Sについて期待された分子量38578.1Da(計算値38560.4Da)が明らかになった(図31)。
実施例11
化学的に結合されたタグからの配列情報の読み取りをモデル化するための、自由溶液中および乳化水性液滴中での非末端プライマー媒介組換えを用いたポリメラーゼ読み取り不能なクリック結合型モデルタグに由来するcDNAのPCR増幅
Conjugate_Click_S(図32)は、実施例9に記載したように、S_IDTN3とS_IDTalkyneとの結合により調製した。
化学的に結合されたタグからの配列情報の読み取りをモデル化するための、自由溶液中および乳化水性液滴中での非末端プライマー媒介組換えを用いたポリメラーゼ読み取り不能なクリック結合型モデルタグに由来するcDNAのPCR増幅
Conjugate_Click_S(図32)は、実施例9に記載したように、S_IDTN3とS_IDTalkyneとの結合により調製した。
Conjugate_Click_L(図32)は、実施例10に記載した結合プロトコルと同様に、L_IDTN3:
とL_IDTalkyne:
との結合により調製した。ゲル精製後のLCMSから、MWは37,582.6Da(計算値37,584.4Da)であると確認された。
とL_IDTalkyne:
との結合により調製した。ゲル精製後のLCMSから、MWは37,582.6Da(計算値37,584.4Da)であると確認された。
結合体Conjugate_Click_LおよびConjugate_Click_Sをそれぞれ1nMに希釈し、Deep Vent(エキソ-)DNAポリメラーゼ(NEB社, MA)を用いたスプリント依存性組換え媒介cDNA作成/PCR増幅のための鋳型として利用した。50μLのDeep Vent(エキソ-)反応物は次のように調製した:5μLの10×Thermopol緩衝液;2.5μLの各フォワードおよびリバースプライマーの10μM溶液、1μLの100nM ePsplintプライマー;2.5μLの10mM dNTPミックス(NEB社);5μLのどちらか一方の結合体の2nM希釈物またはそれらの1:1混合物;2.5μLのDeep Vent(エキソ-)ならびに水を加えて50μL。この反応物を次のように24サイクル行った:94℃で30秒、52℃で30秒、および72℃で60秒。
Conjugate_Click_LまたはConjugate_Click_S結合体を、自由溶液中で両方の末端プライマーおよびスプリントプライマー「ePsplint」の存在下に別々に増幅させ、その後電気泳動で評価すると、それぞれは、鋳型の長さと相関する移動度を有する単一の生成物を生じさせる(図33のレーン5および7)。スプリントプライマー「ePsplint」の非存在下での同様の増幅は、生成物を与えなかった(図33のレーン4および6)。このことは、両結合体のDeep Vent(エキソ-)ポリメラーゼによるスプリント依存性組換え媒介cDNA作成/PCR増幅がePsplintプライマーの存在に依存することを示唆している(図33)。この組換えおよび増幅についての起こり得る作用機序は図34に示される。
Conjugate_Click_LとConjugate_Click_Sの両結合体を、自由溶液中で両方の末端プライマーおよびスプリントプライマー「ePsplint」の存在下に一緒に混合して増幅させ、その後電気泳動で評価すると、鋳型のそれぞれの長さに相関する移動度を有するものだけでなく、鋳型のそれぞれの中間の長さに相関する移動度を有するものを含めて、異なる移動度の生成物のラダー(ladder)が生じる(図35のレーン5)。この組換えおよび増幅についての起こり得る作用機序は図36に示される。
Conjugate_Click_LとConjugate_Click_Sの両結合体を、油中水型エマルジョン中で両方の末端プライマーおよびスプリントプライマー「ePsplint」の存在下に、エマルジョン滴に対して低い結合体濃度で一緒に混合して増幅させ、その後電気泳動で評価すると、鋳型のそれぞれの長さに相関する移動度を有する生成物の対が観察される(図37のレーン3)。エマルジョンの液滴は個々のマイクロリアクターとしての機能を果たし、そのマイクロリアクター内に隔離された個々の結合体が増幅される。油/界面活性剤相は、軽油(Sigma社, カタログ# M-3516)中の4.5%(v/v)のスパン80(Fluka社, カタログ#85548)、0.4%(v/v)のトゥイーン80(Sigma社, カタログ#S-8074)および0.05%(v/v)のトリトンX-100(Sigma社, カタログ# T-9284)を混合することによって調製した。水相(50μL)は、5μLの10×Thermopol緩衝液;2.5μLの各10μMプライマーの溶液、1μLの100nM ePsplintプライマー;2.5μLの10mM dNTPミックス(NEB社);2.5μLのDVエキソ-(NEB社);2.5μLのBSA(NEB社)および水を混合して50μLとすることにより調製した。この反応に結合体Conjugate_Click_LとConjugate_Click_Sの1:1混合物を加えて5pMの最終濃度とした。50μLの水相に、その後150μLの非水性相を加えて、5分間ボルテックス混合することにより乳化を行った。組換え/増幅プロセスを次のように実施した:94℃で30秒、52℃で30秒および72℃で60秒を32サイクル。
スプリント依存性組換え媒介cDNA作成/PCR増幅に続いて、エマルジョンを21,000gで20分微量遠心することにより破壊し、その後非水性相を除去して、水相と界面相をクロロホルムに抽出した。次に、水相を未変性の電気泳動(4%アガロースミニゲル、Invitrogen社(CA))により評価した。
エマルジョン区画化されたスプリント依存性組換え媒介cDNA作成/PCR増幅の結果は、シャッフルされたPCR生成物の形成の程度が著しく減少するかまたは存在しないことを示している(レーン3、図37)。
実施例12
単一のタグ付け事象の読み取りをモデル化するための、自由溶液中での反復相同性媒介組換えを用いたポリメラーゼ読み取り不能なクリック結合型モデルタグに由来するcDNAのPCR増幅
2つの結合体TKR_SおよびTKR_L(図38)は、それぞれ、Cu(I)触媒による環化付加反応および実施例9に記載したプロトコルを用いて3'-アジド修飾オリゴヌクレオチドと5'-ヘキシニル修飾オリゴヌクレオチドの間に形成された単一のポリメラーゼ読み取り不能なクリック結合リンケージを含む。TKR_SおよびTKR_Lは、それぞれ、ポリメラーゼ読み取り不能なリンケージの両側に重複する12-merのGGAATGAACAGGを含有する。TKR_Sは、次の2つのIDT DNAオリゴヌクレオチドTKR_S_N3:
(実施例9ではS_IDTN3とも称される)およびTKR_S_Hex:
を結合させることにより調製した。一方、TKR_Lは、2つのIDT DNAオリゴヌクレオチドTKR_L_N3:
およびTKR_L_Hex:
を結合させることにより調製した。両方の結合体を変性条件下でPAGE精製し、LCMSで分析したところ、TKR_Sについては26,447.5Da(計算値26,449.2Da)、TKR_Lについては37,582.6Da(計算値37,584.4)の分子量が明らかになった。
単一のタグ付け事象の読み取りをモデル化するための、自由溶液中での反復相同性媒介組換えを用いたポリメラーゼ読み取り不能なクリック結合型モデルタグに由来するcDNAのPCR増幅
2つの結合体TKR_SおよびTKR_L(図38)は、それぞれ、Cu(I)触媒による環化付加反応および実施例9に記載したプロトコルを用いて3'-アジド修飾オリゴヌクレオチドと5'-ヘキシニル修飾オリゴヌクレオチドの間に形成された単一のポリメラーゼ読み取り不能なクリック結合リンケージを含む。TKR_SおよびTKR_Lは、それぞれ、ポリメラーゼ読み取り不能なリンケージの両側に重複する12-merのGGAATGAACAGGを含有する。TKR_Sは、次の2つのIDT DNAオリゴヌクレオチドTKR_S_N3:
(実施例9ではS_IDTN3とも称される)およびTKR_S_Hex:
を結合させることにより調製した。一方、TKR_Lは、2つのIDT DNAオリゴヌクレオチドTKR_L_N3:
およびTKR_L_Hex:
を結合させることにより調製した。両方の結合体を変性条件下でPAGE精製し、LCMSで分析したところ、TKR_Sについては26,447.5Da(計算値26,449.2Da)、TKR_Lについては37,582.6Da(計算値37,584.4)の分子量が明らかになった。
これら2つの結合体をそれぞれ1nMに希釈し、反復依存性組換え媒介cDNA作成/PCR増幅のために使用したが、その際、自由溶液中でDeep Vent(エキソ-)DNAポリメラーゼ(NEB社)をフォワードプライマー:
およびリバースプライマー:
と共に使用した。
およびリバースプライマー:
と共に使用した。
反復依存性組換え媒介cDNA作成/PCR増幅反応は、Deep Vent(エキソ-)DNAポリメラーゼ(NEB社)を用いて実施した。5μLの10×Thermopol緩衝液;2.5μLの各フォワードおよびリバースプライマーの10μM溶液;2.5μLの10mM dNTPミックス(NEB社);40pM最終濃度のいずれか一方の結合体またはそれらの1:1混合物;2.5μLのDeep Vent(エキソ-)ポリメラーゼ;および水を加えて最終体積を50μLとした。この反応は次のように熱的に22サイクル実施した:94℃で30秒、52℃で30秒および72℃で60秒。
生成物を4%アガロースミニゲル(Invitrogen社)上で可視化した(図39)。
Deep Vent(エキソ-)ポリメラーゼによる反復依存性組換え媒介cDNA作成/PCR増幅反応は、それぞれ別個に増幅された結合体に由来するアンプリコンを大量にもたらした(レーン3および4、図39)。同じ条件下で結合体の混合物を増幅させても、中間の長さの増幅生成物の生成は生じなかった(レーン5、図39)。これらの増幅生成物中のタグの結び付き(コード化情報)のシャッフリング(損失)の欠如をさらに確認するために、本発明者らは、共増幅されたTKR_SとTKR_Lの混合物に由来する増幅生成物をクローニングして配列決定した。これらの配列データから、共増幅された結合体に由来する増幅生成物中のモデルタグ対のシャッフリングの完全な欠如が確認された(図40)。
実施例13
一対のタグ付け事象の読み取りをモデル化するための、自由溶液中での反復相同性媒介組換えを用いた読み取り不能な2回クリック結合型タグに由来するcDNAのPCR増幅
2つの結合体2_cl_Sおよび2_cl_L(図41)は、それぞれが2つの読み取り不能なクリック結合リンケージを含み、各リンケージの両側には異なる12-merの反復配列:
がそれぞれ配置されているが、実施例10に記載したのと同様の2工程の手順で調製した。
一対のタグ付け事象の読み取りをモデル化するための、自由溶液中での反復相同性媒介組換えを用いた読み取り不能な2回クリック結合型タグに由来するcDNAのPCR増幅
2つの結合体2_cl_Sおよび2_cl_L(図41)は、それぞれが2つの読み取り不能なクリック結合リンケージを含み、各リンケージの両側には異なる12-merの反復配列:
がそれぞれ配置されているが、実施例10に記載したのと同様の2工程の手順で調製した。
第一に、結合は、TKR_central:
とTKR_DBCO_S:
またはTKR_DBCO_L:
のいずれかとの間でシクロオクチンベースの銅フリーのクリック反応を用いて実施した。両方のDBCO含有オリゴヌクレオチドはBiosearch社(CA)から入手し、DBCOは5'-ジベンゾ-シクロオクチン修飾であり、そのためのホスホルアミダイト試薬はGlen Research社(VA)から入手可能である。これらの結合の生成物は、それぞれTKR_S_N3およびTKR_L_N3と命名された。
とTKR_DBCO_S:
またはTKR_DBCO_L:
のいずれかとの間でシクロオクチンベースの銅フリーのクリック反応を用いて実施した。両方のDBCO含有オリゴヌクレオチドはBiosearch社(CA)から入手し、DBCOは5'-ジベンゾ-シクロオクチン修飾であり、そのためのホスホルアミダイト試薬はGlen Research社(VA)から入手可能である。これらの結合の生成物は、それぞれTKR_S_N3およびTKR_L_N3と命名された。
第二に、結合は、Cu(I)触媒によるクリック反応を用いて、1回目の結合の生成物TKR_S_N3とTKR_L_N3の間で実施した。得られた結合体TKR_2_click_SおよびTKR_2_click_L(図41)を、10%TBE/8M尿素ポリアクリルアミドゲルでの電気泳動を用いて精製し、LCMS (Thermo社)により分析したところ、TKR_2_click_Sについて期待された分子量38,578.1Da(計算値38,560.4Da)、およびTKR_2_click_Lについて期待された分子量49,913.3Da(計算値49,916.7Da)が明らかになった(図41)。
これら2つの結合体をそれぞれ1nMに希釈し、Deep Vent(エキソ-)ポリメラーゼ(NEB社)による反復依存性組換え媒介cDNA作成/PCR増幅のために使用した。増幅の際に、フォワードプライマー:
およびリバースプライマー:
を、5μLの10×Thermopol緩衝液;2.5μLの各フォワードおよびリバースプライマーの10μM溶液;2.5μLの10mM dNTPミックス(NEB社);40pM最終濃度のいずれか一方の結合体またはそれらの1:1混合物;2.5μLのDeep Vent(エキソ-)ポリメラーゼ;および水を加えて50μLとすることで使用した。この反応は次のように熱的に22サイクル実施した:94℃で30秒、52℃で30秒および72℃で60秒。増幅生成物は4%アガロースミニゲル(Invitrogen社)上で可視化した。
およびリバースプライマー:
を、5μLの10×Thermopol緩衝液;2.5μLの各フォワードおよびリバースプライマーの10μM溶液;2.5μLの10mM dNTPミックス(NEB社);40pM最終濃度のいずれか一方の結合体またはそれらの1:1混合物;2.5μLのDeep Vent(エキソ-)ポリメラーゼ;および水を加えて50μLとすることで使用した。この反応は次のように熱的に22サイクル実施した:94℃で30秒、52℃で30秒および72℃で60秒。増幅生成物は4%アガロースミニゲル(Invitrogen社)上で可視化した。
Deep Vent(エキソ-)ポリメラーゼによる反復依存性組換え媒介cDNA作成/PCR増幅反応は、それぞれ別個に増幅された結合体に由来するアンプリコンを大量にもたらした(レーン3および4、図42)。同じ条件下で結合体の混合物を増幅させても、中間の長さの増幅生成物の生成は生じなかった(レーン5、図42)。これらの増幅生成物中のタグの結び付き(コード化情報)のシャッフリング(損失)の欠如をさらに確認するために、本発明者らは、共増幅されたTKR_2_click_SとTKR_2_click_Lの混合物に由来する増幅生成物をクローニングして配列決定した。これらの配列データから、共増幅された結合体に由来する増幅生成物中のモデルタグ対のシャッフリングの完全な欠如が確認された(図43)。
他の態様
本明細書中で挙げたすべての刊行物、特許出願、および特許は、参照により本明細書に組み入れられる。
本明細書中で挙げたすべての刊行物、特許出願、および特許は、参照により本明細書に組み入れられる。
本発明の記載された方法およびシステムのさまざまな修飾および変更は、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、当業者には明らかであろう。本発明は、特定の所望の態様に関連して説明してきたが、特許請求の範囲に記載の本発明は、そのような特定の態様に不当に限定されるべきではない、ことを理解すべきである。実際に、医学、薬理学、または関連分野の当業者には明らかである、本発明を実施するための前記方法のさまざまな改変は、本発明の範囲内にあることが意図される。
Claims (74)
- (i)1つ以上の足場または1つ以上のビルディングブロックを含む化学物質;
(ii)前記1つ以上の足場またはビルディングブロックの少なくとも1つのアイデンティティをコードする第1オリゴヌクレオチドタグ;および
(iii)第1官能基と第2官能基とを有するヘッドピースであって、第1官能基は前記化学物質と機能的に結び付いており、かつ第2官能基は、ポリメラーゼが読み通すまたは通過して移動する(read or translocate through)能力が低下している第1リンケージを介して、前記第1タグと機能的に結び付いている、ヘッドピース
を含む、複合体。 - (i)1つ以上の足場または1つ以上のビルディングブロックを含む化学物質;
(ii)n-1個のリンケージを有するn個のオリゴヌクレオチドタグであって、ここでnは1と10の間の整数であり、かつ前記リンケージのそれぞれは2つの隣接するタグの間にあり、かつ各タグは前記1つ以上の足場またはビルディングブロックの少なくとも1つのアイデンティティをコードしている、オリゴヌクレオチドタグ;および
(iii)前記化学物質と機能的に結び付いた第1官能基と、前記n個のタグの少なくとも1つと第1リンケージを介して機能的に結び付いた第2官能基とを有するヘッドピース
を含み、ポリメラーゼは第1リンケージおよびn-1個のリンケージの少なくとも1つを読み通すまたは通過して移動する能力が低下している、複合体。 - 前記ポリメラーゼは、第1リンケージおよびn-1個のリンケージの少なくとも約10%を読み通すまたは通過して移動する能力が低下している、請求項2記載の複合体。
- 1つ以上のタグが、該1つ以上のタグの5'末端に5'-コネクタ、および該1つ以上のタグの3'末端に3'-コネクタを含む、請求項1〜3のいずれか一項記載の複合体。
- 各5'-コネクタが同じ配列を含む、請求項4記載の複合体。
- 各3'-コネクタが同じ配列を含む、請求項4または5記載の複合体。
- 各5'-コネクタおよび/または各3'-コネクタが異なる配列を含む、請求項4記載の複合体。
- 第1リンケージおよび/またはn-1個のリンケージが少なくとも約3オングストロームの長さである、請求項1〜7のいずれか一項記載の複合体。
- 第1リンケージおよび/またはn-1個のリンケージが約30オングストローム未満の長さである、請求項1〜8のいずれか一項記載の複合体。
- DNAポリメラーゼおよび/またはRNAポリメラーゼは、第1リンケージおよび/またはn-1個のリンケージを読み通すまたは通過して移動する能力が低下している、請求項1〜9のいずれか一項記載の複合体。
- 第1リンケージおよびn-1個のリンケージの約50%未満が酵素的リンケージを含む、請求項1〜10のいずれか一項記載の複合体。
- 第1リンケージおよびn-1個のリンケージが化学的リンケージを含む、請求項1〜11のいずれか一項記載の複合体。
- 化学的リンケージが化学反応基、光反応基、インターカレート部分(intercalating moiety)、または架橋性オリゴヌクレオチドを含む、請求項12記載の複合体。
- 少なくとも1つの化学反応基、光反応基、またはインターカレート部分が、前記タグの5'末端にあるもしくは5'末端に近接する5'-コネクタ中に存在し、かつ/または前記タグの3'末端にあるもしくは3'末端に近接する3'-コネクタ中に存在する、請求項13記載の複合体。
- 前記5'-コネクタの少なくとも1つの配列が、隣接する3'-コネクタの配列に相補的であるか、または別個のハイブリダイゼーション事象において接合部の両側にある同じ相補的オリゴヌクレオチドへのハイブリダイゼーションを可能にするために同一であるかもしくは十分に類似している、請求項14記載の複合体。
- 前記化学反応基が、置換されてもよいアルキニル基と、置換されてもよいアジド基の対;4π電子系を有する置換されてもよいジエンと、2π電子系を有する置換されてもよいジエノフィルまたは置換されてもよいヘテロジエノフィルの対;求核剤とひずみのあるヘテロシクリル求電子剤の対;置換されてもよいアミノ基とアルデヒドもしくはケトン基の対;置換されてもよいアミノ基とカルボン酸基の対;置換されてもよいヒドラジンとアルデヒドもしくはケトン基の対;置換されてもよいヒドロキシルアミンとアルデヒドもしくはケトン基の対;求核剤と置換されてもよいハロゲン化アルキルの対;白金錯体;アルキル化剤;またはフラン修飾ヌクレオチドから選択される、請求項13〜15のいずれか一項記載の複合体。
- 前記光反応基が、インターカレート部分、ソラレン誘導体、置換されてもよいシアノビニルカルバゾール基、置換されてもよいビニルカルバゾール基、置換されてもよいシアノビニル基、置換されてもよいアクリルアミド基、置換されてもよいジアジリン基、置換されてもよいベンゾフェノン、置換されてもよい5-(カルボキシ)ビニル-ウリジン基、または置換されてもよいアジド基を含む、請求項13〜15のいずれか一項記載の複合体。
- 前記インターカレート部分が、ソラレン誘導体、アルカロイド誘導体、エチジウムカチオン、アクリジン誘導体、アントラサイクリン誘導体、またはサリドマイドである、請求項13〜15のいずれか一項記載の複合体。
- 前記ソラレン誘導体が、ソラレン、8-メトキシソラレン、または4-ヒドロキシメチル-4,5,8-トリメチル-ソラレンである、請求項18記載の複合体。
- 前記化学的リンケージが前記架橋性オリゴヌクレオチドを含み、ここで、前記架橋性オリゴヌクレオチドの5'末端の少なくとも5個のヌクレオチドの配列は、1つ以上のタグの3'末端の少なくとも5個のヌクレオチドの配列に相補的であり、かつ前記架橋性オリゴヌクレオチドの3'末端の少なくとも5個のヌクレオチドの配列は、1つ以上のタグの5'末端の少なくとも5個のヌクレオチドの配列に相補的である、請求項13記載の複合体。
- 前記1つ以上のタグの3'末端が3'-コネクタを含む、請求項20記載の複合体。
- 前記1つ以上のタグの5'末端が5'-コネクタを含む、請求項20または21記載の複合体。
- 前記架橋性オリゴヌクレオチドの5'末端および/または3'末端が可逆的な共反応基を含む、請求項20〜22のいずれか一項記載の複合体。
- 3'-コネクタおよび/または5'-コネクタが可逆的な共反応基を含む、請求項21または22記載の複合体。
- 前記可逆的な共反応基がシアノビニルカルバゾール基、シアノビニル基、アクリルアミド基、チオール基、またはビニルスルホン基である、請求項23または24記載の複合体。
- 前記化学物質が2官能性スペーサーを介して前記ヘッドピースに機能的に結び付けられる、請求項1〜25のいずれか一項記載の複合体。
- 前記化学物質が前記ヘッドピースに共有結合で取り付けられる、請求項1〜26のいずれか一項記載の複合体。
- 前記ヘッドピースが、二本鎖オリゴヌクレオチド、一本鎖オリゴヌクレオチド、またはヘアピンオリゴヌクレオチドからなる群より選択されるオリゴヌクレオチドを含む、請求項1〜27のいずれか一項記載の複合体。
- 前記ヘッドピースがプライマー結合領域を含む、請求項28記載の複合体。
- 1つ以上の第1ライブラリー識別タグ、使用タグ、および/または起源タグをさらに含む、請求項1〜29のいずれか一項記載の複合体。
- 前記複合体が2〜20のタグを含む、請求項1〜30のいずれか一項記載の複合体。
- 前記タグのそれぞれが5〜75個のヌクレオチドを含む、請求項1〜31のいずれか一項記載の複合体。
- 個々のタグセット内の前記タグのそれぞれがほぼ同じ質量を含む、請求項1〜32のいずれか一項記載の複合体。
- RNA、DNA、修飾DNA、および/または修飾RNAを含む、請求項1〜33のいずれか一項記載の複合体。
- 修飾DNAまたは修飾RNAがPNA、LNA、GNA、TNA、または同じオリゴヌクレオチド内のそれらの混合物である、請求項34記載の複合体。
- テイルピースをさらに含む、請求項1〜35のいずれか一項記載の複合体。
- 請求項1〜36のいずれか一項記載の1つ以上の複合体を含むライブラリー。
- 前記ライブラリーが複数のヘッドピースを含む、請求項37記載のライブラリー。
- 前記複数のヘッドピースの各ヘッドピースが同一の配列領域および異なるコード領域を含む、請求項38記載のライブラリー。
- 同一の配列領域がプライマー結合領域である、請求項39記載のライブラリー。
- 異なるコード領域が、ライブラリーの使用、ライブラリーの起源、ライブラリーのアイデンティティ、ライブラリーの履歴、リンケージ、スペーサー、もしくは第1構成成分の付加をコードする第1タグ;またはハイブリダイゼーション、増幅、クローニングもしくは配列決定技術を容易にするオリゴヌクレオチド配列である、請求項39または40記載のライブラリー。
- 約102〜1020の複合体を含む、請求項37〜41のいずれか一項記載のライブラリー。
- 各複合体が異なっている、請求項37〜42のいずれか一項記載のライブラリー。
- コード化した化学物質を含む第1ライブラリーをタグ付けする方法であって:
(a)第1官能基と第2官能基を有するヘッドピースを提供する工程;
(b)該ヘッドピースの第1官能基を該化学物質の第1構成成分に結合させる工程であって、該ヘッドピースは第1構成成分に直接接合されるか、または該ヘッドピースは2官能性スペーサーによって第1構成成分に間接的に接合される、工程;および
(c)該ヘッドピースの第2官能基を第1オリゴヌクレオチドタグに第1リンケージを介して結合させて複合体を形成する工程であって、ポリメラーゼは第1リンケージを読み通すまたは通過して移動する能力が低下している、工程
を含み、
前記工程(b)および(c)は任意の順序で実施することができ、かつ前記第1タグは工程(b)の結合反応をコードしており、それによってタグ付けされたライブラリーを提供する、方法。 - コード化した化学物質を含む第1ライブラリーをタグ付けする方法であって:
(a)第1官能基と第2官能基を有するヘッドピースを提供する工程;
(b)該ヘッドピースの第1官能基を化学物質の第1構成成分に結合させる工程であって、該ヘッドピースは第1構成成分に直接接合されるか、または該ヘッドピースは2官能性スペーサーによって第1構成成分に間接的に接合される、工程;
(c)該ヘッドピースの第2官能基を第1オリゴヌクレオチドタグに第1リンケージを介して結合させる工程;
(d)化学物質のnc個の追加の構成成分を結合させる工程であって、ここでncは1と10の間の整数である、工程;および
(e)nt個のリンケージを有するnt個の追加のオリゴヌクレオチドタグを結合させて複合体を形成する工程であって、ここでntは1と10の間の整数であり、かつ前記リンケージのそれぞれは2つの隣接するタグの間にあり、かつ各タグは前記構成成分の少なくとも1つのアイデンティティをコードする、工程
を含み、
ポリメラーゼは第1リンケージおよびnt個のリンケージの少なくとも1つを読み通すまたは通過して移動する能力が低下しており、
前記工程(b)および(c)は任意の順序で実施することができ、かつ前記第1タグは工程(b)の結合反応をコードしており、前記工程(d)および(e)は任意の順序で実施することができ、かつ追加の各タグは工程(d)の追加の各構成成分の結合反応をコードしており、それによってタグ付けされたライブラリーを提供する、方法。 - 前記ポリメラーゼは、第1リンケージおよびnt個のリンケージの少なくとも約10%を読み通すまたは通過して移動する能力が低下している、請求項45記載の方法。
- 第1構成成分および/または追加の構成成分が足場またはビルディングブロックを含む、請求項44〜46のいずれか一項記載の方法。
- 工程(b)が前記ヘッドピースを、2官能性スペーサーを介して、第1構成成分に間接的に結合させることを含む、請求項44〜47のいずれか一項記載の方法。
- 使用タグおよび/または起源タグを前記複合体に結合させることをさらに含む、請求項44〜48のいずれか一項記載の方法。
- 第1ライブラリー識別タグを前記複合体に結合させることをさらに含む、請求項44〜49のいずれか一項記載の方法。
- 第2ライブラリーを提供し、かつ第1ライブラリーを第2ライブラリーと組み合わせることをさらに含む、請求項50記載の方法。
- テイルピースを前記複合体に結合させることをさらに含む、請求項44〜51のいずれか一項記載の方法。
- 前記結合させる工程が化学反応基、光反応基、インターカレート部分、または架橋性オリゴヌクレオチドを含む、請求項44〜52のいずれか一項記載の方法。
- 1つ以上の工程でスプリット・アンド・プール合成を実施すること、1つ以上の複合体を分離すること、および/または1つ以上の複合体を精製することをさらに含む、請求項44〜53のいずれか一項記載の方法。
- 請求項1〜36のいずれか一項記載の複合体および/または請求項37〜43のいずれか一項記載のライブラリーをさらに含む、請求項44〜53のいずれか一項記載の方法。
- 複数の化学物質をスクリーニングする方法であって:
(a)標的を請求項1〜36のいずれか一項記載の複合体および/または請求項37〜43のいずれか一項記載のライブラリーと接触させる工程;および
(b)対照と比較して、該標的に対して所定の特性を有する1つ以上の複合体を選択し、それによって化学物質をスクリーニングする工程
を含む、方法。 - 前記所定の特性が、対照と比較して、増加した前記標的への結合を含む、請求項56記載の方法。
- 工程(a)の前に、1つ以上の操作を実施し、該操作が、1つ以上のリレープライマー(relay primer)を前記複合体とアニーリングすることであって、ここで、該1つ以上のリレープライマーは第1リンケージおよび/またはn-1個のリンケージにまたがっている、こと;該リレープライマーをポリメラーゼを用いて伸長させてオリゴヌクレオチド断片を生成すること;および該オリゴヌクレオチド断片をライゲーションして鋳型を生成することからなるリストより選択される、請求項56または57記載の方法。
- 請求項1〜36のいずれか一項記載の複合体のヌクレオチド配列を決定する方法であって:
(a)1つ以上のリレープライマーを該複合体とアニーリングする工程であって、該1つ以上のリレープライマーは第1リンケージおよび/またはn-1個のリンケージにまたがっている、工程;
(b)該リレープライマーをポリメラーゼを用いて伸長させてオリゴヌクレオチド断片を生成する工程;
(c)該オリゴヌクレオチド断片をライゲーションして鋳型を生成する工程;
(d)任意で、該鋳型をポリメラーゼ連鎖反応により増幅して、増幅混合物を生成する工程;および
(e)前記任意で増幅された混合物を配列決定して該複合体の配列を決定する工程
を含む、方法。 - 前記複合体が、1つ以上のタグの5'末端に5'-コネクタおよび1つ以上のタグの3'末端に3'-コネクタを含み、かつ前記1つ以上のリレープライマーのそれぞれが隣接する5'-および3'-コネクタにハイブリダイズする、請求項59記載の方法。
- 各5'-コネクタが同じ配列を含む、請求項60記載の方法。
- 各3'-コネクタが同じ配列を含む、請求項61記載の方法。
- 前記5'-コネクタの少なくとも1つの配列が、隣接する3'-コネクタの配列に相補的であるか、または別個のハイブリダイゼーション事象において接合部の両側にある同じ相補的オリゴヌクレオチドへのハイブリダイゼーションを可能にするように同一であるかもしくは十分に類似している、請求項60〜62のいずれか一項記載の方法。
- 5'-コネクタを隣接する3'-コネクタにハイブリダイズすることをさらに含む、請求項63記載の方法。
- 5'-コネクタと3'-コネクタの間の特定の接合部のための各リレープライマーが同じ配列を含む、請求項60〜64のいずれか一項記載の方法。
- 請求項1〜36のいずれか一項記載の複合体のヌクレオチド配列を決定する方法であって:
(a)化学的リンケージを含む複合体を提供する工程であって、該化学的リンケージは、2つの隣接タグ間の接合部にまたがりかつ1つ以上の可逆的共反応基を介して該2つの隣接タグと機能的に結び付く、架橋性オリゴヌクレオチドである、工程;
(b)該架橋性オリゴヌクレオチドを放出させて鋳型を生成する工程;
(c)任意で、該鋳型をポリメラーゼ連鎖反応により増幅して、増幅混合物を生成する工程;および
(d)前記任意で増幅された混合物を配列決定して該複合体の配列を決定する工程
を含む、方法。 - 前記架橋性オリゴヌクレオチドの一部が2つの隣接タグの末端にハイブリダイズし、それによって該2つの隣接タグ間にニックまたはギャップを生成する、請求項66記載の方法。
- 工程(b)の前に、化学的方法または酵素的方法を用いて前記タグをライゲーションすることをさらに含む、請求項67記載の方法。
- 前記化学的方法または酵素的方法が5'-リン酸化を含む、請求項68記載の方法。
- 前記任意増幅工程または前記配列決定工程の前に、前記鋳型を修復する工程をさらに含む、請求項59〜69のいずれか一項記載の方法。
- 前記修復する工程が第1リンケージおよび/またはn-1個のリンケージの少なくとも1つを修正して、ポリメラーゼが読み通すまたは通過して移動することが可能な、修復されたリンケージとすることを含む、請求項70記載の方法。
- 前記ポリメラーゼが、修復されたリンケージの少なくとも90%を読み通すまたは通過して移動することができる、請求項71記載の方法。
- 前記修復する工程が前記鋳型に修復酵素を提供することを含む、請求項70〜72のいずれか一項記載の方法。
- 前記修復酵素がフォトリアーゼ、グリコシラーゼ、エンドヌクレアーゼ、フラップエンドヌクレアーゼ、脱プリン/脱ピリミジン(AP)エンドヌクレアーゼ、ポリADPリボースポリメラーゼ、またはメチルトランスフェラーゼである、請求項73記載の方法。
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