JP2021167070A - タイヤの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】台タイヤ4からトレッド42が剥離しにくい高品質なタイヤTが得られる、タイヤTの製造方法の提供。【解決手段】この製造方法は、トレッド42のためのゴム組成物をノズル18から吐出し、台タイヤ4の外周面上にエレメント34の前駆体36を形成する第一ステップと、前駆体36に紫外線を照射することでこの前駆体36を硬化させて、エレメント34を形成する第二ステップとを含む。第一ステップと第二ステップとは交互に行われる。トレッド42の切断時引張強さは5MPa以上であり、このトレッド42の圧縮永久ひずみは10%以下である。【選択図】図3

Description

本発明は、タイヤの製造方法に関する。
近年、設計データに基づいて材料を積層及び硬化させて三次元構造物を製造する付加製造装置(以下、3Dプリンタとも称される。)の開発が進められている。この3Dプリンタをタイヤの製造に適用することが検討されている(例えば、下記の特許文献1)。
前述の特許文献1では、材料として熱可塑性を有する材料(熱可塑性材料)を用い、タイヤにトレッドを再生するための装置及び方法が検討されている。この特許文献1では、台タイヤの表面に熱可塑性材料からなる層が載置され、トレッドが形成される。
特表2015−506855号公報
前述の特許文献1では、台タイヤの表面に熱可塑性材料からなる層を載置するとき、台タイヤの表面が加熱される。この特許文献1が開示する装置及び方法によって形成されるトレッドと台タイヤとは物理的に接着されているに過ぎないため、トレッドが台タイヤから剥離することが懸念される。
熱可塑性材料からなる粉体にレーザーを照射して三次元構造物を製造する方式、すなわちレーザー焼結方式が知られている。このレーザー焼結方式で使用される熱可塑性材料は、ナイロンのような結晶性材料である。結晶性材料は冷却時に収縮を伴う。このため、レーザー焼結方式でトレッドを形成した場合、トレッドに反りが生じ、その程度によっては、トレッドが台タイヤから剥離することが懸念される。
本発明は、以上のような実状に鑑みてなされたものであり、台タイヤからトレッドが剥離しにくい高品質なタイヤが得られる、タイヤの製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係るタイヤの製造方法は、台タイヤの外周面上に多数のエレメントを順に形成しながらトレッドを構成してタイヤを製造する、タイヤの製造方法である。この製造方法は、
(1)前記トレッドのためのゴム組成物をノズルから吐出し、前記台タイヤの外周面上に前記エレメントの前駆体を形成する第一ステップと、
(2)前記前駆体に紫外線を照射することで前記前駆体を硬化させて、前記エレメントを形成する第二ステップと
を含む。前記第一ステップと前記第二ステップとは交互に行われる。前記トレッドの切断時引張強さは5MPa以上であり、前記トレッドの圧縮永久ひずみは10%以下である。
好ましくは、このタイヤの製造方法では、相対湿度50%の環境下で、E型粘度計を用いて、温度25℃、振り角1%、周波数1Hzにて計測される、前記ゴム組成物の粘度は1000Pa・s以上である。
好ましくは、このタイヤの製造方法では、前記ゴム組成物は加熱により粘度が低下する性質を有する。前記第一ステップにおいて、加熱された前記ゴム組成物が前記ノズルから吐出される。
好ましくは、このタイヤの製造方法では、前記ノズルから吐出されるゴム組成物の温度は60℃以上100℃以下である。
好ましくは、このタイヤの製造方法では、相対湿度50%の環境下で、E型粘度計を用いて、温度60℃、振り角1%、周波数1Hzにて計測される、前記ゴム組成物の粘度は1Pa・s以上2000Pa・s未満である。
好ましくは、このタイヤの製造方法では、前記ノズルの吐出口の断面積は1960μm以上である。
好ましくは、このタイヤの製造方法では、前記第一ステップにおいて、前記前駆体が載置される載置面から前記ノズルの先端までの距離の、前記吐出口の断面積に基づいて前記吐出口の形状を円と仮定して計算される前記吐出口の仮想内径に対する比は、50%以上800%以下である。
本発明のタイヤの製造方法によれば、台タイヤからトレッドが剥離しにくい高品質なタイヤが得られる。
図1は、本発明の一実施形態に係るタイヤの製造方法で用いられる製造装置の一部が示された側面図である。 図2は、図1に示された製造装置の正面図である。 図3は、エレメントの形成を説明する、概略図である。 図4は、形成途中にあるトレッドの一部が示された平面図である。 図5は、完成したタイヤが示された正面図である。
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて、本発明が詳細に説明される。
本発明において切断時引張強さは、JIS K6251に準拠して測定される値で表される。
本発明において圧縮永久ひずみは、試験温度を25℃とし、試験時間を24時間とし、JIS K6262に準拠して測定される値で表される。
図1及び図2は、本発明の一実施形態に係るタイヤの製造方法で用いられる製造装置2の一例を示す。図1及び図2には、この製造装置2の一部が示される。図1は製造装置2の側面図であり、図2は製造装置2の正面図である。図1において紙面に対して垂直な方向が、タイヤの軸方向に対応する。図2においては、左右方向がタイヤの軸方向に対応する。
この製造方法では、この製造装置2を用いて台タイヤ4の外周面上にトレッドを構成することにより、タイヤが得られる。この製造方法により得られるタイヤとしては、内部に空気を充填して使用される空気入リタイヤ、及び、使用に際し空気の充填が不要なエアレスタイプのタイヤが挙げられる。
この製造方法においてトレッドとは、完成品であるタイヤのうち、路面との接触が考慮されている部分を意味する。この製造方法では、トレッドは、紫外線の照射により硬化する、光硬化性のゴム組成物を用いて形成される。ゴム組成物は未架橋状態にある。この製造方法により得られるトレッドは、硬化したゴム組成物、言い換えれば、架橋ゴムからなる。
この製造方法において台タイヤ4とは、完成品であるタイヤから、この製造装置2で形成されるトレッドを除いた部分を意味する。この製造方法では、例えば、トレッドパターンを変更するためにトレッドが除去されたタイヤ、使用によりトレッドが摩耗したためにトレッドの再生が予定されているタイヤ、及びこの製造装置2を用いてトレッドを形成するために、意図的にトレッドを設けることなく製造されたタイヤが、台タイヤ4として用いられる。
[製造装置2]
図1及び図2に示された製造装置2が説明される。この製造装置2は、付加製造装置、すなわち3Dプリンタである。この製造装置2は、トレッドの設計データに基づいて、台タイヤ4の外周面上に多数のエレメントを順に形成しながら、トレッドを構成する装置である。この製造装置2は、台タイヤ4を回転可能に支持する支持ユニット6と、台タイヤ4の外周面上にエレメントを形成しトレッドを構成する形成ユニット8とを備える。
支持ユニット6は、台タイヤ4を回転可能に支持できればよく、その構成に特に制限はない。この製造装置2では、支持ユニット6は、台タイヤ4が装着されるリム10と、このリム10を支持するタイヤ軸12とを備える。タイヤ軸12は、この製造装置2のフレーム(図示されず)に回転可能に支持される。
図示されないが、支持ユニット6は駆動手段(例えば、モーター)を備える。この製造装置2では、駆動手段によってタイヤ軸12を回転させることで、リム10に装着された台タイヤ4が回転するように、支持ユニット6は構成される。図1及び図2において、符号RAは台タイヤ4の回転軸を表す。矢印Rは、台タイヤ4の回転方向を表す。この製造装置2では、支持ユニット6に支持された台タイヤ4は、回転軸RAを中心に回転する。
形成ユニット8は、トレッドを構成するエレメントを形成する形成手段14と、台タイヤ4に対する形成手段14の位置を調整する調整手段16とを備える。
形成手段14は、ノズル18と、照射部20とを備える。ノズル18は、トレッドのためのゴム組成物を吐出する。これにより、台タイヤ4の外周面上に前述のエレメントの前駆体が形成される。照射部20は、紫外線を照射する。この照射部20は、紫外線を照射するレーザーである。この製造装置2では、照射部20は台タイヤ4の外周面上に形成されたエレメントの前駆体に向けて紫外線を照射する。前駆体は未架橋状態にあるので、この紫外線の照射により、前駆体が硬化し、トレッドの一部分としてのエレメントが形成される。
図2に示されるように、この製造装置2では、軸方向において、ノズル18の両側にそれぞれ照射部20が設けられる。この製造装置2の形成手段14は、ノズル18と、一対の照射部20とを備える。
図示されないが、この製造装置2は、ギアポンプ等の移送手段と、ゴム組成物を収容するタンクとを備える。この製造装置2では、移送手段が、タンクからノズル18に向けてゴム組成物を移送する。
この製造装置2では、調整手段16は、台タイヤ4から形成手段14までの高さと、台タイヤ4に対する形成手段14の軸方向位置とを調整する。この調整により、台タイヤ4に対する形成手段14の位置が調整される。この製造装置2では、台タイヤ4に対する形成手段14の位置を調整できるのであれば、調整手段16の構成に特に制限はない。この調整手段16は、この製造装置2のフレーム(図示されず)に支持される。
この製造装置2の調整手段16は、第一移動機構22と、第二移動機構24とを備える。第一移動機構22は、台タイヤ4の軸方向に、前述の形成手段14を移動させる。第二移動機構24は、上下方向にこの形成手段14を移動させる。この製造装置2における上下方向は、タイヤの径方向に対応する。
第一移動機構22は、第一案内部材26と、第一移動部材28とを備える。この第一移動機構22では、第一移動部材28は第一案内部材26に対して移動する。図示されないが、第一移動機構22は、例えば、アクチュエーターのような駆動部材を備える。この第一移動機構22では、駆動部材が第一移動部材28を第一案内部材26に対して移動させる。この第一移動機構22では、第一案内部材26は台タイヤ4の軸方向に第一移動部材28を案内する。第一移動部材28は台タイヤ4の軸方向に移動する。
第二移動機構24は、第二案内部材30と、第二移動部材32とを備える。この第二移動機構24では、第二移動部材32は第二案内部材30に対して移動する。図示されないが、第二移動機構24は、例えば、アクチュエーターのような駆動部材を備える。この第二移動機構24では、駆動部材が第二移動部材32を第二案内部材30に対して移動させる。この第二移動機構24では、第二案内部材30は上下方向に第二移動部材32を案内する。第二移動部材32は上下方向に移動する。
この製造装置2では、前述の形成手段14は、第二移動機構24の第二移動部材32に固定される。第二移動部材32の移動によって、形成手段14は上下方向に動かされる。これにより、台タイヤ4から形成手段14までの高さが調整される。
この製造装置2では、第二移動機構24の第二案内部材30は第一移動機構22の第一移動部材28に固定される。前述したように、形成手段14は、第二移動機構24の第二移動部材32に固定される。第一移動部材28の移動によって、形成手段14は台タイヤ4の軸方向に動かされる。これにより、台タイヤ4に対する形成手段14の軸方向位置が調整される。
図示されないが、この製造装置2は、制御ユニットを備える。この制御ユニットは、例えばCPU等の演算部、RAM及びROMを含む記憶部等を有するマイクロコンピュータにより構成され、記憶部に記憶されたプログラムを演算部が実行することによって所定の機能を発揮する。
この製造装置2では、制御ユニットは、支持ユニット6及び形成ユニット8と通信ケーブルで繋げられる。詳述しないが、制御ユニットは、記憶部に記憶された、この製造装置2の動作プログラムに基づいて、支持ユニット6及び形成ユニット8の動作を制御する。
[製造方法]
次に、以上説明した製造装置2を用いて、台タイヤ4の外周面上に多数のエレメントを順に形成しながらトレッドを構成してタイヤを製造する、タイヤの製造方法について説明する。この製造方法は、準備ステージ及び形成ステージを含む。
準備ステージでは、台タイヤ4が支持ユニット6に取り付けられる。この製造方法では、タイヤ軸12に予め取り付けられていたリム10に、台タイヤ4が嵌め合わされる。台タイヤ4が嵌め合わされたリム10が、タイヤ軸12に取り付けられてもよい。
この製造方法では、台タイヤ4の外周面位置の変動が抑えられる観点から、リム10に組み込まれた台タイヤ4の内部に空気が充填されるのが好ましい。この場合、台タイヤ4の内圧は5kPa以上が好ましく、10kPa以上がより好ましく、20kPa以上がさらに好ましい。この台タイヤ4の内圧は、100kPa以下が好ましく、90kPa以下がより好ましく、80kPa以下がさらに好ましい。
この製造方法では、形成予定のトレッドを多数のエレメントに区分し、これらエレメントを順に形成しながら、トレッドが構成される。この製造方法では、準備ステージにおいて、エレメントの形状データと、エレメントの位置データと、エレメントの形成順序に関するデータとが準備される。これらデータの準備は、制御ユニットにおいてトレッドの設計データを処理することにより行われる。準備されたデータは、制御ユニットの記憶部に記憶されている、製造装置2の動作プログラムに反映される。
この製造方法では、台タイヤ4を製造装置2にセットし、エレメントの形成開始位置にノズル18を配置すると、形成ステージが開始される。
形成ステージは、第一ステップと、第二ステップとを含む。第一ステップでは、トレッドのためのゴム組成物をノズル18から吐出し、台タイヤ4の外周面上にエレメントの前駆体が形成される。第二ステップでは、第一ステップで形成された前駆体に紫外線を照射することでこの前駆体を硬化させて、エレメントが形成される。第一ステップ及び第二ステップについて、図3を用いて以下に説明する。
この製造方法では、エレメント34の位置データと、エレメント34の形成順序に関するデータとに基づいて、図3(a)に示されるように、調整手段16がエレメント34の形成位置にノズル18を配置する。
この製造方法では、ノズル18の配置が完了すると、第一ステップが行われる。この第一ステップでは、エレメント34の形状データに基づいて、図3(b)に示されるようにトレッドのためのゴム組成物がノズル18から吐出される。これにより、台タイヤ4の外周面上にエレメント34の前駆体36が形成される。
この製造方法では、第一ステップにおいて前駆体36が形成されると、エレメント34の位置データと、エレメント34の形成順序に関するデータとに基づいて、図3(c)に示されるように、調整手段16が次のエレメント34の形成位置にノズル18を配置する。ノズル18の配置後、次の第一ステップが行われる。
この製造装置2の照射部20は、調整手段16によりノズル18とともに動かされる。この製造装置2では、前駆体36の形成後、次のエレメント34の形成位置にノズル18が動かされると、図3(c)に示されるように、照射部20がこの前駆体36の直上に配置される。このように、この製造装置2では、照射部20はノズル18ともに所定位置に動かされるが、形成した前駆体36の直上に照射部20が配置されるのであれば、別の調整手段を設けることで、ノズル18とは別に、照射部20が動かされてもよい。
この製造方法では、エレメント34の位置データと、エレメント34の形成順序に関するデータとに基づいて、調整手段16が前駆体36の直上に照射部20を配置する。この製造方法では、照射部20が前駆体36の直上に配置されると、第二ステップが行われる。この第二ステップでは、照射部20が前駆体36に向けて紫外線を照射する。これにより、前駆体36が硬化し、エレメント34が形成される。
この製造方法では、照射部20が照射する紫外線の強度は、365nm程度の波長において、1mW/cm以上が好ましく、10W/cm以下が好ましい。この紫外線の積算光量は1mJ/cm以上が好ましく、100J/cm以下が好ましい。
この製造方法では、第二ステップにおいてエレメント34が形成されると、エレメント34の位置データと、エレメント34の形成順序に関するデータとに基づいて、調整手段16が、次に形成された前駆体36の直上に照射部20を配置する。照射部20の配置後、次の第二ステップが行われる。
この製造方法では、第一ステップと第二ステップとは交互に行われる。これにより、エレメント34が順に形成され、トレッドが構成される。この製造方法では、第一ステップで形成されたエレメント34の前駆体36に対して行う第二ステップと、次のエレメント34の前駆体36を形成する第一ステップとが同時に行われてもよいし、第一ステップで形成されたエレメント34の前駆体36に対して第二ステップを行った後に、次のエレメント34の前駆体36を形成する第一ステップが行われてもよい。
図4には、形成途中にあるタイヤTの一部が示され、図5には、タイヤTの完成品が示される。図4及び図5において、左右方向はタイヤTの軸方向に対応する。
この製造方法では、エレメント34の位置データと、エレメント34の形成順序に関するデータとに基づいて、台タイヤ4に対する形成手段14の周方向位置が調整される。調整手段16の第二移動機構24によって、台タイヤ4から形成手段14(詳細には、ノズル18)までの高さが調整される。形成手段14の高さを調整後、第一ステップが行われ、エレメント34の前駆体36が形成される。前駆体36の形成後、調整手段16の第一移動機構22によって形成手段14が台タイヤ4の軸方向に動かされ、形成手段14の照射部20が前駆体36の直上に配置される。照射部20の配置後、第二ステップが行われ、エレメント34が形成される。形成手段14のノズル18は、次のエレメント34の形成位置にセットされるので、ノズル18のセット後、次の第一ステップが行われる。
この製造方法では、台タイヤ4に対する形成手段14の周方向位置をセットすると、軸方向において一方側から他方側に向けて形成手段14を動かしつつ、ノズル18の両側に位置する照射部20のうち一方側の照射部20を用いながら、エレメント34が順に形成される。軸方向において外側のエレメント34の形成が完了すると、台タイヤ4を回転させ、次の周方向位置に形成手段14がセットされる。軸方向において他方側から一方側に向けて形成手段14を動かしつつ、他方側の照射部20を用いながら、エレメント34が順に形成される。このようにして、この製造方法では、図4に示されるように、その外面に溝38によって区画された陸部40を有するトレッド42が形成されていく。全てのエレメント34の形成が終了することでトレッド42が構成され、図5に示されたタイヤTが得られる。
この製造方法では、第一ステップと第二ステップとを交互に行いながら、エレメント34を順に形成することで、トレッド42が構成される。この製造方法は、台タイヤ4の外周面の形状を、この外周面と対向する、トレッド42の内周面の形状に反映させて、トレッド42を構成することができる。さらにゴム組成物からなる前駆体36に紫外線を照射し、この前駆体36の紫外線硬化物である、エレメント34を形成する際、台タイヤ4の外周面に残存する官能基と前駆体36に含まれる官能基との間、そして既に形成されているエレメント34に残存する官能基と前駆体36に含まれる官能基との間においても、紫外線硬化反応が生じる。このため、この製造方法では、台タイヤ4とエレメント34とが化学的に結合し、エレメント34とエレメント34とが化学的に結合する。この製造方法では、トレッド42に反りが生じにくい上に、トレッド42は台タイヤ4と化学的に結合する。しかも、この製造方法で得られるトレッド42の切断時引張強さは5MPa以上であり、このトレッド42の圧縮永久ひずみは10%以下である。この製造方法では、台タイヤ4からトレッド42が剥離しにくい高品質なタイヤTが得られる。
前述したように、この製造方法では、第一ステップにおいて、トレッド42のためのゴム組成物をノズル18から吐出し、台タイヤ4の外周面上にエレメント34の前駆体36が形成される。そして、多数のエレメントからなるトレッド42は5MPa以上の切断時引張強さと10%以下の圧縮永久ひずみと、を有する。言い換えれば、このトレッド42は高い切断時引張強さと低い圧縮永久ひずみと、を有する。
この製造方法では、相対湿度50%の環境下で、E型粘度計(例えば、Anton−Paar社製のMCR301)を用いて、温度25℃、振り角1%、周波数1Hzにて計測される、ゴム組成物の粘度は1000Pa・s以上が好ましい。これにより、高い切断時引張強さと低い圧縮永久ひずみと、を有するトレッド42が得られる。この観点から、相対湿度50%の環境下で、E型粘度計を用いて、温度25℃、振り角1%、周波数1Hzにて計測される、このゴム組成物の粘度は、1500Pa・s以上がより好ましく、2500Pa・s以上がさらに好ましい。ゴム組成物の吐出量のコントロールが容易であるとの観点から、相対湿度50%の環境下で、E型粘度計を用いて、温度25℃、振り角1%、周波数1Hzにて計測される、このゴム組成物の粘度は、5000Pa・s以下が好ましく、4500Pa・s以下がより好ましく、3500Pa・s以下がさらに好ましい。
この製造方法では、ゴム組成物はノズル18から吐出される。前述したように、この製造方法では、このゴム組成物に、好ましくは、相対湿度50%の環境下で、E型粘度計を用いて、温度25℃、振り角1%、周波数1Hzにて計測される、粘度が1000Pa・s以上である、ゴム組成物が用いられる。この場合、ゴム組成物の吐出量のコントロール容易の観点から、ゴム組成物は加熱により粘度が低下する性質を有し、第一ステップにおいて、加熱されたゴム組成物がノズル18から吐出されるのが好ましい。
この製造方法では、加熱されたゴム組成物がノズル18から吐出される場合、このゴム組成物が所定の温度に加熱されていればよく、このゴム組成物の加熱方法について特に制限はない。図示されないが、ノズル18にヒーターを設け、ゴム組成物がこのノズル18を通過する際に、このゴム組成物が所定の温度に加熱されてもよい。タンクとノズル18との間にヒーターを設け、移送手段でタンクからノズル18に向かってゴム組成物を移送する途中で、このゴム組成物が所定の温度に加熱されてもよい。タンクにヒーターを設け、タンク内でゴム組成物が所定の温度に加熱されてもよい。
この製造方法では、ゴム組成物をノズル18からスムーズに吐出でき、この吐出により形成される前駆体36の形状を容易にコントロールできるとの観点から、ノズル18から吐出されるゴム組成物の温度は60℃以上が好ましく、65℃以上がより好ましい。ゴム組成物の変質が抑えられる観点から、このノズル18から吐出されるゴム組成物の温度は100℃以下が好ましく、75℃以下がより好ましく、70℃以下がさらに好ましい。
この製造方法では、相対湿度50%の環境下で、E型粘度計を用いて、温度60℃、振り角1%、周波数1Hzにて計測される、ゴム組成物の粘度は2000Pa・s未満が好ましい。これにより、ゴム組成物がノズル18からスムーズに吐出され、この吐出により形成される前駆体36の形状が容易にコントロールできる。この観点から、相対湿度50%の環境下で、E型粘度計を用いて、温度60℃、振り角1%、周波数1Hzにて計測される、このゴム組成物の粘度は1500Pa・s以下がより好ましく、1000Pa・s以下がさらに好ましい。前駆体36の形状が安定に保持されるとの観点から、相対湿度50%の環境下で、E型粘度計を用いて、温度60℃、振り角1%、周波数1Hzにて計測される、このゴム組成物の粘度は1Pa・s以上が好ましく、10Pa・s以上がより好ましく、100Pa・s以上がさらに好ましい。
前述したように、ゴム組成物はノズル18から吐出される。このノズル18の先端には、このゴム組成物を吐出するための口、すなわち吐出口が設けられる。
この製造方法では、吐出口の断面積は1960μm以上が好ましい。これにより、ゴム組成物がノズル18からスムーズに吐出される。この観点から、この吐出口の断面積は7850μm以上がより好ましく、31400μm以上がさらに好ましい。形成される前駆体36の形状コントロールが容易である観点から、この吐出口の断面積は785000μm以下が好ましく、196250μm以下がより好ましい。なお、この製造方法では、この吐出口の形状としては、特に、制限はない。この吐出口の形状としては、例えば、円、楕円、三角形、四角形、五角形及び六角形が挙げられる。
図3(a)において、両矢印Hは前駆体36が載置される載置面からノズル18の先端までの距離を表す。台タイヤ4に前駆体36が載置される場合は、この台タイヤ4の外周面が、前駆体36が載置される載置面である。既に形成されたエレメント34に前駆体36が載置される場合は、このエレメント34の外面が、前駆体36が載置される載置面である。
この製造方法では、第一ステップにおいて、前駆体36が載置される載置面からノズル18の先端までの距離Hは、吐出口の断面積に基づいて吐出口の形状を円と仮定して得られる、吐出口の仮想内径との関係で決められる。これにより、載置面としての台タイヤ4の外周面又は既に形成されているエレメント34の外面に前駆体36を十分に密着させることができる。この製造方法では、台タイヤ4の外周面又は既に形成されているエレメント34の外面に前駆体36が十分に密着した状態で、台タイヤ4の外周面に残存する官能基と前駆体36に含まれる官能基との間、そして既に形成されているエレメント34に残存する官能基と前駆体36に含まれる官能基との間において紫外線硬化反応が生じ、台タイヤ4とエレメント34とが化学的に結合し、エレメント34とエレメント34とが化学的に結合する。この製造方法では、台タイヤ4からトレッド42から剥離しにくいタイヤTが得られる。
この製造方法では、台タイヤ4からのトレッド42の剥離が抑えられる観点から、吐出口の断面積に基づいて吐出口の形状を円と仮定して得られる、吐出口の仮想内径をR(μm)としたとき、第一ステップにおいて、前駆体36が載置される載置面からノズル18の先端までの距離H(μm)の、吐出口の仮想内径R(μm)に対する比(H/R)は、800%以下が好ましく、500%以下がより好ましく、300%以下がさらに好ましい。前駆体36の形状コントロールが容易との観点から、この比(H/R)は50%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、100%以上がさらに好ましい。
前述したように、この製造方法では、トレッド42のためのゴム組成物として、紫外線の照射により硬化する、光硬化性のゴム組成物が用いられる。
この製造方法では、トレッド42のためのゴム組成物は液状ゴムを含むことができる。液状ゴムとしては、特に制限されず、公知のものを使用することができる。液状ゴムの具体例としては、液状ブタジエンゴム、液状スチレン−ブタジエン共重合ゴム、液状イソプレン−ブタジエン共重合ゴム、液状イソプレンゴム、液状水素化イソプレンゴム及び液状イソプレン−スチレン共重合ゴムが挙げられる。これらの中でも、硬化によって得られる架橋ゴムに、トレッド42として十分な特性を発揮させる観点から、紫外線の照射によって架橋点として機能する、(メタ)アクリロイル基やビニル基のような不飽和結合を有するものや、エポキシ化合物やオキセタン化合物のような環状エーテル等を有するものが好ましく、特に(メタ)アクリロイル基を有するものが好ましい。液状ゴムは、1種類単独で含まれていてもよいし、2種類以上が含まれていてもよい。なお、「(メタ)アクリロイル基」とは、「アクリロイル基またはメタクリロイル基」を意味する。これに類する表現も同様である。
ゴム組成物における液状ゴムの含有量としては、特に制限されないが、硬化による収縮を抑制でき、この硬化によって得られる架橋ゴムに、トレッド42として十分な特性を発揮させる観点から、40質量%以上が好ましく、45質量%以上90質量%以下がより好ましく、50質量%以上70質量%以下がさらに好ましい。なお、この液状ゴムの含有量は、ゴム組成物全質量に対する液状ゴムの質量の比率により表される。
液状ゴムの数平均分子量(Mn)は、特に制限されないが、硬化による収縮を抑制でき、この硬化によって得られる架橋ゴムに、トレッド42として十分な特性を発揮させる観点から、好ましくは500以上が好ましく、5,000以上60,000以下がより好ましく、5,000以上40,000以下がさらに好ましい。なお、液状ゴムの数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフを用い、標準ポリスチレンにより換算して測定された値により表される。
このトレッド42のためのゴム組成物は、硬化によって得られる架橋ゴムに、トレッド42として十分な特性を発揮させる観点から、共架橋剤を含むことができる。共架橋剤としては、光反応性樹脂のような共架橋剤として公知のものが使用できる。共架橋剤の具体例としては、アクリル酸亜鉛、アクリル酸マグネシウム、メタクリル酸亜鉛、メタクリル酸マグネシウム;スチレンモノマー、(メタ)アクリレートモノマー、(メタ)アクリルアミドモノマーのように不飽和結合を有するもの、そして、これらのオリゴマーが挙げられる。共架橋剤は、1種類単独で含まれていてもよいし、2種類以上が含まれていてもよい。
ゴム組成物における共架橋剤の含有量としては、特に制限されないが、硬化による収縮を抑制でき、この硬化によって得られる架橋ゴムに、トレッド42として十分な特性を発揮させる観点から、1質量%以上が好ましく、5質量%以上50質量%以下がより好ましく、さらに好ましくは10質量%以上50質量%以下がさらに好ましく、10質量%以上30質量%以下が特に好ましい。なお、この共架橋剤の含有量は、ゴム組成物全質量に対する共架橋剤の質量の比率により表される。
このトレッド42のためのゴム組成物は、硬化による収縮を抑制でき、この硬化によって得られる架橋ゴムに、トレッド42として十分な特性を発揮させる観点から、架橋ゴムを含むことができる。架橋ゴムとしては、特に制限されず、天然ゴム又は合成ゴムを架橋した、公知の架橋ゴムを使用できる。架橋ゴムを構成するゴム成分としては、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、エピクロルヒドリンゴム、塩素化ポリエチレン、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム等が挙げられる。これらの中でも、硬化によって得られる架橋ゴムに、トレッド42として十分な特性を発揮させる観点から、架橋ゴムとしては、硫黄等の加硫剤を用いて天然ゴムを架橋した架橋ゴムが好ましい。架橋ゴムは、1種類単独で含まれていてもよいし、2種類以上が含まれていてもよい。
ゴム組成物が架橋ゴムを含む場合、硬化による収縮を抑制でき、この硬化によって得られる架橋ゴムに、トレッド42として十分な特性を発揮させる観点から、架橋ゴムは微粒子状であるのが好ましい。この場合、架橋ゴムの粒子径としては、特に制限されないが、硬化によって得られる架橋ゴムに、トレッド42として十分な特性を発揮させる観点から、200μm以下が好ましく、100μm以下がより好ましく、50μm以下がさらに好ましい。なお、この架橋ゴムの粒子径は、レーザー回折/散乱式粒子径測定装置を用いて得られるメディアン径(積算50%の粒径)により表される。
ゴム組成物における架橋ゴムの含有量としては、特に制限されないが、硬化による収縮を抑制でき、この硬化によって得られる架橋ゴムに、トレッド42として十分な特性を発揮させる観点から、10質量%以上が好ましく、20質量%以上80質量%以下がより好ましく、30質量%以上50質量%以下がさらに好ましい。なお、この架橋ゴムの含有量は、ゴム組成物全質量に対する架橋ゴムの質量の比率により表される。
このトレッド42のためのゴム組成物は、ラジカル開始剤を含むことができる。このゴム組成物がラジカル開始剤を含むことにより、前述の液状ゴムの硬化が促進される。ラジカル開始剤としては、特に制限されず、紫外線の照射によってラジカルを発生させる、公知のものを使用することができる。好ましいラジカル開始剤としては、アセトフェノン、4,4’−ジメトキシベンジル、ジベンゾイル、2−ヒドロキシ−2−フェニルアセトフェノン、ベンゾフェノン、ベンゾフェノン−2−カルボン酸、ベンゾフェノン−4−カルボン酸、ベンゾフェノン−2−カルボン酸メチル、N,N,N’,N’−テトラエチルー4,4’−ジアミノベンゾフェノン、2−メトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−イソプロポキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−イソブトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−エトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4',5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−[4−(モルフォリノ)フェニル]−1−ブタノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,4−ジエチルチオキサンテン−9−オン、ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、1,4−ジベンゾイルベンゼン、2−エチルアントラキノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−ヒドロキシ−4’−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−メチルプロピオフェノン、2−メチル−4’−(メチルチオ)−2−モルホリノプロピオフェノン、2−イソニトロソプロピオフェノン、2−フェニル−2−(p−トルエンスルホニルオキシ)アセトフェノン、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)が挙げられる。ラジカル開始剤は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
ゴム組成物がラジカル開始剤を含む場合、このラジカル開始剤の含有量は、液状ゴム100質量部に対して、0.5質量以上10質量部以下が好ましく、1質量部以上7質量部以下がより好ましい。
このトレッド42のためのゴム組成物は、フィラーをさらに含むことができる。このゴム組成物がフィラーを含むことにより、硬化による収縮を抑制でき、この硬化によって得られる架橋ゴムに、トレッド42として十分な特性を発揮させることができる。このフィラーとしては、特に制限されず、例えば、カーボンブラック、シリカ、炭酸カルシウム、クレー、タルクなどが挙げられる。シリカをフィラーとする場合、表面改質されていないシリカを用いてもよい。また、シランカップリング剤などで表面改質された表面改質シリカ、またはシリカとシランカップリング剤との混合物などをフィラーとして使用することにより、硬化によって得られるゴム成形体の機械的強度をより一層高めることができる。フィラーは、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
また、このトレッド42のためのゴム組成物がフィラーを含む場合、さらにシランカップリング剤を含んでいてもよい。特に、表面改質されていないフィラーを配合する場合、シランカップリング剤を含んでいることにより、液状ゴムとフィラーとを強固に結合することができ、硬化によって得られるゴム成形体に優れたゴム特性を発揮させることができる。
フィラーの含有量としては、特に制限されないが、硬化による収縮を抑制でき、この硬化によって得られる架橋ゴムに優れたゴム特性を発揮させる観点から、好ましくは5質量%以上が好ましく、5質量%以上70質量%以下がより好ましく、さらに好ましくは10質量%以上50質量%以下がさらに好ましい。
このトレッド42のためのゴム組成物は、硬化による収縮を抑制でき、この硬化によって得られる架橋ゴムに優れたゴム特性を発揮させる観点から、液状ゴムと化学結合可能なポリロタキサンを含んでいてもよい。ポリロタキサンとは、環状分子の開口部が直鎖状分子によって串刺し状に包摂されている擬ポリロタキサンの両端(直鎖状分子の両端)に封鎖基を配置してなるものであり、公知のものが使用できる。
ポリロタキサンを構成する直鎖状分子としては、例えばポリカプロラクトン、スチレン−ブタジエン共重合体、イソブテン−イソプレン共重合体、ポリイソプレン、天然ゴム(NR)、ポリエチレングリコール、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリプロピレングリコール、ポリテトラヒドロフラン、ポリジメチルシロキサン、ポリエチレン、ポリプロピレン及びエチレンーポリプロピレン共重合体が挙げられる。また、直鎖状分子は、例えばスチレン、α−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、3−ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、ジビニルベンゼン、4−シクロヘキシルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン等の芳香族ビニル化合物の1種または2種以上の重合体や、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、1,3−ヘキサジエン等の共役ジエン化合物の1種または2種以上の重合体、あるいは前記芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物の共重合体であってもよい。これら直鎖状分子は、いずれか1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。直鎖状分子の重量平均分子量は、1万以上100万以下が好ましい。また、直鎖状分子の両端を封鎖する封鎖基としては、例えば、ジニトロフェニル基、アダマンチル基、トリチル基、フルオレセイン、ピレン、またはこれらの誘導体の1種または2種以上が挙げられる。
環状分子としては、例えばシクロデキストリン、クラウンエーテル、ベンゾクラウン、ジベンゾクラウン、ジシクロヘキサノクラウン、またはこれらの誘導体の1種または2種以上が挙げられる。環状分子としては、特にα、β、またはγ−シクロデキストリン又はその誘導体の1種または2種以上が好ましい。
前述したように、ポリロタキサンは、液状ゴムと化学結合可能である。より具体的には、ポリロタキサンは、液状ゴムと化学結合可能な官能基を備える。この官能基は、環状分子の側鎖に存在しているのが好ましい。
ポリロタキサンにおいて、液状ゴムと化学結合可能な官能基としては、特に制限されないが、好ましくは、紫外線によって架橋する(メタ)アクリロイル基、ビニル基などの不飽和結合が好ましく、特に(メタ)アクリロイル基が好ましい。前述の液状ゴムが、紫外線によって架橋する前述の不飽和結合を有する場合に、液状ゴムの不飽和結合と、ポリロタキサンの官能基とを化学結合させることができる。
ポリロタキサンとしては、市販品も使用できる。紫外線硬化型のポリロタキサンの市販品としては、例えば、アドバンスト・ソフトマテリアルズ(株)製のセルム(登録商標)スーパーポリマーSM3403P、SA3403P、SA2403P、SM1313P、SA1313P等が挙げられる。これらの製品はいずれも、50質量%メチルエチルケトン溶液として供給される。さらにこの市販品としては、SM3405P、SA3405P、SA2405P等が挙げられる。これらの製品はいずれも、70質量%酢酸エチル溶液として供給される。さらに紫外線硬化型のポリロタキサンとしては、アクリル系オリゴマー等の反応性希釈剤を配合したものも供給されている。かかる製品としては、例えばアドバンスト・ソフトマテリアルズ(株)製のセルム(登録商標)キー・ミクスチャーSM3400C、SA3400C、SA2400C等が挙げられる。ポリロタキサンは、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
このトレッド42のためのゴム組成物に含まれるポリロタキサンの含有量は、特に制限されないが、硬化による収縮を抑制でき、この硬化によって得られる架橋ゴムに優れたゴム特性を発揮させる観点から、1質量%以上が好ましく、1質量%以上20質量%以下がより好ましく、2質量%以上10質量%以下がさらに好ましく、3質量%以上10質量%以下が特に好ましい。
このトレッド42のためのゴム組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において各種の添加剤をさらに含んでいてもよい。添加剤としては、特に制限されず、例えば、ポリマー、染料、顔料、レべリング剤、流動性調整剤、消泡剤、可塑剤、重合禁止剤、難燃化剤、分散安定化剤、保存安定化剤、酸化防止剤、金属、金属酸化物、金属塩、セラミックス、などが挙げられる。ゴム組成物に含まれる添加剤は、1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、台タイヤ4からトレッド42が剥離しにくい高品質なタイヤTが得られる。
以上説明された付加製造装置を用いたタイヤの製造に関する技術は、種々のタイヤに適用されうる。
2・・・製造装置
4・・・台タイヤ
6・・・支持ユニット
8・・・形成ユニット
10・・・リム
12・・・タイヤ軸
14・・・形成手段
16・・・調整手段
18・・・ノズル
20・・・照射部
22・・・第一移動機構
24・・・第二移動機構
26・・・第一案内部材
28・・・第一移動部材
30・・・第二案内部材
32・・・第二移動部材
34・・・エレメント
36・・・前駆体
38・・・溝
40・・・陸部
42・・・トレッド

Claims (7)

  1. 台タイヤの外周面上に多数のエレメントを順に形成しながらトレッドを構成してタイヤを製造する、タイヤの製造方法であって、
    前記トレッドのためのゴム組成物をノズルから吐出し、前記台タイヤの外周面上に前記エレメントの前駆体を形成する第一ステップと、
    前記前駆体に紫外線を照射することで前記前駆体を硬化させて、前記エレメントを形成する第二ステップと
    を含み、
    前記第一ステップと前記第二ステップとが交互に行われ、
    前記トレッドの切断時引張強さが5MPa以上であり、
    前記トレッドの圧縮永久ひずみが10%以下である、タイヤの製造方法。
  2. 相対湿度50%の環境下で、E型粘度計を用いて、温度25℃、振り角1%、周波数1Hzにて計測される、前記ゴム組成物の粘度が1000Pa・s以上である、請求項1に記載のタイヤの製造方法。
  3. 前記ゴム組成物が加熱により粘度が低下する性質を有し、
    前記第一ステップにおいて、加熱された前記ゴム組成物が前記ノズルから吐出される、請求項2に記載のタイヤの製造方法。
  4. 前記ノズルから吐出されるゴム組成物の温度が60℃以上100℃以下である、請求項3に記載のタイヤの製造方法。
  5. 相対湿度50%の環境下で、E型粘度計を用いて、温度60℃、振り角1%、周波数1Hzにて計測される、前記ゴム組成物の粘度が1Pa・s以上2000Pa・s未満である、請求項1から4のいずれかに記載のタイヤの製造方法。
  6. 前記ノズルの吐出口の断面積が1960μm以上である、請求項1から5のいずれかに記載のタイヤの製造方法。
  7. 前記第一ステップにおいて、前記前駆体が載置される載置面から前記ノズルの先端までの距離の、前記吐出口の断面積に基づいて前記吐出口の形状を円と仮定して計算される前記吐出口の仮想内径に対する比が50%以上800%以下である、請求項6に記載のタイヤの製造方法。
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