JP2021167039A - 加工装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】オペレーターにかかる負担を小さく抑えながら、加工室からミストを排出する能力を維持できる切削装置を提供する。【解決手段】加工装置であって、被加工物を保持する保持面を備えた保持テーブルと、砥石工具が装着されるスピンドルを備えた加工ユニットと、保持テーブルと加工ユニットとを収容する加工室と、加工室の内部で発生するミストを吸引して加工室の外部に排出するダクトユニットと、を含み、ダクトユニットは、加工室からミストが流入する流入口を下部に有し、ミストから分離される気体が流出する流出口を上部に有する流路と、流入口から流出口に向かって流れるミストの流れを遮るように流路内に設けられ、流入口側に配置される下面から流出口側に配置される上面へと向かう向きに貫通する穴を有するパンチングメタルと、穴を覆うことができる流量の液体をパンチングメタルの上面側に供給するための液体供給ノズルと、を備える。【選択図】図3
Description
本発明は、板状の被加工物を加工する際に用いられる加工装置に関する。
半導体ウェーハに代表される板状の被加工物を加工する際に、環状の切削ブレードを装着した切削装置が使用されることがある(例えば、特許文献1参照)。高速に回転させた切削ブレードを被加工物に切り込ませながら、切削ブレードと被加工物とを相対的に移動させることで、この移動の経路に沿って被加工物を切削加工できる。
上述した被加工物の切削加工では、被加工物及び切削ブレードの冷却や、発生する屑(切削屑)の除去等を目的として、被加工物と切削ブレードとが接触する加工点に水を主成分とする液体(切削液)が供給される。加工点に供給された液体は、例えば、切削ブレード等が収容される加工室の下部に設けられた排液溝等を通じて、切削装置の外部へと排出される。
ところで、切削ブレードは高速に回転しており加工点で発生する熱量も大きいので、水を主成分とする液体が加工点に供給されると、その一部がミストに変化して屑とともに飛散する。加工室には、排気用のダクトが接続されており、加工室内を漂うミストや屑の多くの部分が、このダクトによって加工室から排出される。
ダクトの内部には、加工室から排出されたミストや屑から気体(エアー)を分離するためのフィルターが設けられている。このフィルターにより、ダクトを通じて切削装置の外部に排出される気体が清浄な状態に保たれる。一方で、フィルターが液体や屑等で詰まると、加工室からミスト等を排出するダクトの能力が低下してしまう。
その結果、加工室の隙間からミスト等が漏れ出て、加工室の外部に配置される駆動系の劣化や、電装系の破損といった問題を引き起こす可能性があった。フィルターを清掃する頻度を高めることも考えられるが、その場合には、オペレーターにかかる負担が大きくなってしまう。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、オペレーターにかかる負担を小さく抑えながら、加工室からミストを排出する能力を維持できる切削装置を提供することである。
本発明の一態様によれば、被加工物を保持する保持面を備えた保持テーブルと、砥石工具が装着されるスピンドルを備えた加工ユニットと、該保持テーブルと該加工ユニットとを収容する加工室と、該加工室の内部で発生するミストを吸引して該加工室の外部に排出するダクトユニットと、を含み、該ダクトユニットは、該加工室から該ミストが流入する流入口を下部に有し、該ミストから分離される気体が流出する流出口を上部に有する流路と、該流入口から該流出口に向かって流れる該ミストの流れを遮るように該流路内に設けられ、該流入口側に配置される下面から該流出口側に配置される上面へと向かう向きに貫通する穴を有するパンチングメタルと、該穴を覆うことができる流量の液体を該パンチングメタルの該上面側に供給するための液体供給ノズルと、を備え、該ミストが該穴を覆う該液体を通過することで、該ミストから該気体が分離される加工装置が提供される。
本発明の一態様において、該流路は、該パンチングメタルよりも下方に排液口を更に有し、該パンチングメタルの該上面側に供給された該液体は、該穴を通じて自重で落下し該排液口より排出されることがある。
また、本発明の一態様において、該ダクトユニットは、該パンチングメタルの該上面側に残る該液体を除去するための気体を噴射する気体噴射ノズルを更に備えることがある。
また、本発明の一態様において、該ダクトユニットは、該ミストから分離された気体の流れを遮るように該流路内の該パンチングメタルよりも該流出口側に設けられた液体排出防止部材を更に備えることがある。
本発明の一態様にかかる切削装置は、加工室からミストが流入する流入口を下部に有し、ミストから分離される気体が流出する流出口を上部に有する流路と、流入口から流出口に向かって流れるミストの流れを遮るように流路内に設けられ、流入口側に配置される下面から流出口側に配置される上面へと向かう向きに貫通する穴を有するパンチングメタルと、を備えるダクトユニットを含んでいる。
よって、液体供給ノズルからパンチングメタルの上面側に液体を供給すると、ある程度の量の液体がパンチングメタルによって保持され、穴を覆う液体の層をパンチングメタルの上面側に形成できる。その結果、液体を通過するようにミストが流路内を流れるので、このミストから液体を除去して気体を分離できる。
つまり、本発明の一態様にかかる切削装置では、従来のような目の細かいフィルターを使用する必要がないので、このフィルターの詰まりに起因して加工室からミストを排出する能力が低下することもない。また、フィルターを清掃する頻度を高めて、オペレーターにかかる負担が大きくなることもない。よって、本発明の一態様にかかる切削装置によれば、オペレーターにかかる負担を小さく抑えながら、加工室からミストを排出する能力を維持できる。
添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。図1は、本実施形態にかかる切削装置(加工装置)2の構造を模式的に示す斜視図であり、図2は、切削装置2の内部の構造を模式的に示す斜視図である。なお、以下の説明で用いられるX軸方向(加工送り方向、前後方向)、Y軸方向(割り出し送り方向、左右方向)、及びZ軸方向(切り込み送り方向、上下方向)は、互いに垂直である。
図1及び図2に示すように、切削装置2は、各構成要素を支持する基台4を備えている。基台4の角部には、開口4aが形成されており、この開口4aには、昇降機構(不図示)によって昇降するカセット支持台6が配置されている。カセット支持台6の上面には、複数の被加工物11を収容できるカセット8が載せられる。なお、図1及び図2では、説明の便宜上、カセット8の輪郭のみを破線で示している。
被加工物11は、例えば、シリコン等の半導体を用いて形成された円盤状のウェーハ(半導体ウェーハ)である。この被加工物11の表面側は、互いに交差する複数の分割予定ライン(ストリート)によって複数の小領域に区画されており、各小領域には、IC(Integrated Circuit)等のデバイスが形成されている。
被加工物11の裏面側には、被加工物11よりも径の大きいテープ(ダイシングテープ)13が貼付されている。テープ13の外周部分は、被加工物11を囲む環状のフレーム15に固定されている。被加工物11は、このテープ13を介してフレーム15に支持された状態でカセット8に収容される。
なお、本実施形態では、シリコン等の半導体を用いて形成された円盤状のウェーハを被加工物11としているが、被加工物11の材質、形状、構造、大きさ等に制限はない。例えば、他の半導体、セラミックス、樹脂、金属等を用いて形成された基板等を被加工物11として用いることもできる。
同様に、デバイスの種類、数量、形状、構造、大きさ、配置等にも制限はない。被加工物11には、デバイスが形成されていなくても良い。また、テープ13は、被加工物11の表面側に貼付されても良い。テープ13に代えて、保護プレート等を被加工物11に貼付することもできる。
図2に示すように、開口4aの側方には、X軸方向に長い開口4bが形成されている。開口4b内には、X軸移動テーブル(不図示)をX軸方向に移動させるボールねじ式のX軸移動機構(加工送りユニット)10が配置されている。X軸移動テーブルの上方には、テーブルカバー12が配置されている。また、テーブルカバー12の前後には、蛇腹状の防塵防滴カバー14が取り付けられている。
X軸移動テーブルの上部には、切削加工の際に被加工物11を保持するチャックテーブル(保持テーブル)16が、テーブルカバー12から露出する態様で設けられている。チャックテーブル16は、モーター等の回転駆動源(不図示)に接続されており、Z軸方向に対して概ね平行な回転軸の周りに回転する。また、このチャックテーブル16は、上述したX軸移動機構10によってX軸移動テーブル等とともにX軸方向に移動する(加工送り)。
チャックテーブル16の上面の一部は、被加工物11を保持する保持面16aになる。この保持面16aは、チャックテーブル16の内部に形成された吸引路(不図示)等を介して吸引源(不図示)に接続されている。また、チャックテーブル16の周囲には、被加工物11を支持するフレーム15を固定できる4個のクランプ18が設けられている。
開口4bの上方には、Y軸方向に対して概ね平行な状態を維持しながら接近、離隔される一対のガイドレール20が配置されている。一対のガイドレール20は、それぞれ、フレーム15を下方から支持できる水平な支持面と、支持面に対して概ね垂直な側面とを備え、カセット8から引き出されたフレーム15をX軸方向において挟み込んで所定の位置に合わせる。
基台4の上方には、門型の第1支持構造22が開口4bを跨ぐように配置されている。第1支持構造22の前面(ガイドレール20側の面)には、Y軸駆動用のアクチュエーター24やZ軸駆動用のアクチュエーター26等を介して第1保持ユニット28が設けられている。
第1保持ユニット28は、例えば、フレーム15の上面に接触してこのフレーム15を吸着し、Y軸駆動用のアクチュエーター24によってY軸方向に移動するとともに、Z軸駆動用のアクチュエーター26によってZ軸方向に移動する。第1保持ユニット28の開口4a側には、フレーム15を把持できる把持機構28aが設けられている。
例えば、把持機構28aでフレーム15を把持してから第1保持ユニット28をY軸方向に移動させれば、カセット8内のフレーム15を一対のガイドレール20に引き出し、又は、一対のガイドレール20上のフレーム15をカセット8に挿入できる。なお、一対のガイドレール20でフレーム15の位置を合わせた後には、第1保持ユニット28でこのフレーム15(被加工物11)を吸着してチャックテーブル16へと搬送する。
また、第1支持構造22の前面には、アクチュエーター24の上方に配置されたY軸駆動用のアクチュエーター30やZ軸駆動用のアクチュエーター32等を介して第2保持ユニット34が設けられている。第2保持ユニット34は、例えば、フレーム15の上面に接触してこのフレーム15を吸着し、Y軸駆動用のアクチュエーター30によってY軸方向に移動するとともに、Z軸駆動用のアクチュエーター32によってZ軸方向に移動する。
第1支持構造22の後方には、門型の第2支持構造36が開口4bを跨ぐように配置されている。第2支持構造36の前面(第1支持構造22側の面)には、それぞれボールねじ式のY軸Z軸移動機構(割り出し送りユニット、切り込み送りユニット)38を介して2組の切削ユニット(加工ユニット)40が設けられている。各切削ユニット40は、対応するY軸Z軸移動機構38によってY軸方向に移動する(割り出し送り)とともに、Z軸方向に移動する(切り込み送り)。
各切削ユニット40は、Y軸方向に対して概ね平行な回転軸となるスピンドル42を備えている。各スピンドル42の一端側には、円環状の切削ブレード(砥石工具)44が装着されている。各スピンドル42の他端側には、モーター等の回転駆動源(不図示)が接続されている。また、切削ブレード44の傍には、被加工物11や切削ブレード44に純水等の液体(切削液)を供給できる切削液供給ノズル46が配置されている。
この切削液供給ノズル46から液体を供給しながら、回転させた切削ブレード44をチャックテーブル16に保持された被加工物11に切り込ませることで、被加工物11を切削加工できる。切削ユニット40に隣接する位置には、チャックテーブル16に保持された被加工物11等を撮像するための撮像ユニット(カメラ)48が設けられている。この撮像ユニット48も、Y軸Z軸移動機構38によってY軸方向に移動するとともに、Z軸方向に移動する。
開口4bに対して開口4aと反対側の位置には、洗浄ユニット50が配置されている。洗浄ユニット50は、筒状の洗浄空間内で被加工物11を保持するスピンナーテーブル52を備えている。スピンナーテーブル52の下部には、このスピンナーテーブル52を所定の速さで回転させるモーター等の回転駆動源(不図示)が接続されている。
スピンナーテーブル52の上方には、スピンナーテーブル52により保持された被加工物11に向けて洗浄用の流体(代表的には、水とエアーとを混合した混合流体)を噴射する流体噴射ノズル54が配置されている。被加工物11を保持したスピンナーテーブル52を回転させて、流体噴射ノズル54から洗浄用の流体を噴射することで、被加工物11は洗浄される。
切削ユニット40で被加工物11を切削加工した後には、例えば、第2保持ユニット34でフレーム15を吸着して洗浄ユニット50へと搬入する。洗浄ユニット50で被加工物11を洗浄した後には、例えば、第1保持ユニット28でフレーム15を吸着して一対のガイドレール20に載せ、その後、フレーム15を把持機構28aで把持してカセット8に収容する。
図1に示すように、基台4の上部には、被加工物11の切削加工が行われる加工室56が設けられている。被加工物11を切削加工する際には、この加工室56の内部にチャックテーブル16や切削ユニット40等が収容される。加工室56には、加工室56の内部で発生するミスト等を吸引して加工室56の外部に排出できるダクトユニット58が接続されている。ダクトユニット58の詳細については、後述する。
基台4の上部は、上述した各構成要素を収容するカバー60によって覆われている。このカバー60の側面60aには、ユーザーインターフェースとなるタッチスクリーン(入出力装置)62が配置されている。また、カバー60の上面60bには、切削装置2の状態に合わせて光を発する表示灯64が設けられている。
例えば、被加工物11を切削加工する際に適用される種々の条件は、タッチスクリーン62に入力される。また、例えば、切削装置2に何らかの異常が生じた場合には、表示灯64が赤色に発光し、又は点滅する。なお、表示装置(出力装置)と入力装置とが一体になったタッチスクリーン62の代わりに、液晶ディスプレイ等の表示装置(出力装置)とキーボードやマウス等の入力装置とをそれぞれ設けても良い。
カセット支持台6を昇降させる昇降機構、X軸移動機構10、チャックテーブル16に接続された回転駆動源、一対のガイドレール20、アクチュエーター24、アクチュエーター26、第1保持ユニット28、アクチュエーター30、アクチュエーター32、第2保持ユニット34、Y軸Z軸移動機構38、切削ユニット40、撮像ユニット48、洗浄ユニット50、ダクトユニット58、タッチスクリーン62、表示灯64等の構成要素には、制御ユニット(不図示)が接続されている。
制御ユニットは、被加工物11の適切な切削加工が実現されるように、各構成要素を制御する。この制御ユニットは、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の処理装置と、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の主記憶装置と、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ等の補助記憶装置と、を含むコンピュータによって構成される。補助記憶装置に記憶されるソフトウェアに従い処理装置等を動作させることによって、制御ユニットの機能が実現されている。
図3は、ダクトユニット58の構造を模式的に示す斜視図である。図3に示すように、ダクトユニット58は、中空の四角柱状に構成された気液分離器(流路)72を備えている。なお、図3では、気液分離器72の内部の構造を確認できるように、気液分離器72を構成する手前側の側壁が省略されている。
気液分離器72の下部には、円筒状に構成された第1配管(流路)74の上端74a側が接続されている。第1配管74は、例えば、筒の高さ方向がZ軸方向に対して概ね平行になるように配置され、この第1配管74の上端74aの開口を通じて、気液分離器72の内側の空間と第1配管74の内側の空間とが接続される。なお、第1配管74の形状や配置等に制限はない。例えば、第1配管74は、角筒状に構成されても良いし、筒の高さ方向がZ軸方向に対して傾くように配置されても良い。
第1配管74の側面には、円筒状に構成された第2配管(流路)76の一端76a側が接続されている。第2配管76は、例えば、筒の高さ方向がZ軸方向に対して概ね垂直になるように配置され、この第2配管76の一端76aの開口を通じて、第1配管74の内側の空間と第2配管76の内側の空間とが接続される。
また、第2配管76の他端76b側は、加工室56に接続されている。すなわち、第2配管76の他端76bの開口を通じて、加工室56の内側の空間と第2配管76の内側の空間とが接続される。なお、第2配管76の形状や配置等に制限はない。例えば、第2配管76は、角筒状に構成されても良いし、筒の高さ方向がZ軸方向に対して傾くように配置されても良い。
気液分離器72の上部には、シロッコファンに代表される排気機構78が設けられている。排気機構78の側部には、円筒状に構成された第3配管(流路)80の一端80a側が接続されている。第3配管80は、例えば、筒の高さ方向がZ軸方向に対して概ね垂直になるように配置され、この第3配管80の一端80aの開口や、排気機構78内の流路等を通じて、気液分離器72の内側の空間と第3配管80の内側の空間とが接続される。
また、第3配管80の他端80b側は、切削装置2が配置される工場等の排気用の配管に接続されている。つまり、第3配管80の他端80bの開口を通じて、切削装置2の外部の空間と第3配管80の内側の空間とが接続される。なお、第3配管80の形状や配置等に制限はない。例えば、第2配管76は、角筒状に構成されても良いし、筒の高さ方向がZ軸方向に対して傾くように配置されても良い。
排気機構78を動作させると、気液分離器72の内部の気体(例えば、エアー)は、第3配管80を通じて切削装置2の外部へと流れ出る。同時に、加工室56の内部で発生したミストは、第2配管76及び第1配管74を通じて気液分離器72に流れ込む。すなわち、第3配管80の他端80bの開口は、ダクトユニット58の内部の気体が流出する流出口として機能し、第2配管76の他端76bの開口は、加工室56で発生するミストが流入する流入口として機能する。
気液分離器72の内部には、第2配管76の他端76bの開口(流入口)から第3配管80の他端80bの開口(流出口)に向かって流れるミストの流れを遮るように、平板状のパンチングメタル82が設けられている。図4は、パンチングメタル82の構造を模式的に示す平面図である。
図3及び図4に示すように、パンチングメタル82は、ステンレス鋼やアルミニウム等の金属を用いて平板状に形成されており、気液分離器72に取り付けられた状態で上方に配置される第1面(上面)82aと、下方に配置される第2面(下面)82bと、を有している。このパンチングメタル82は、例えば、第1面82a又は第2面82bと、水平な仮想平面と、のなす角度が、0°以上30°以下、好ましくは、0°以上15°以下となるように、気液分離器72に固定される。
図4に示すように、パンチングメタル82には、第2面82bから第1面82aへと向かう向きに貫通する複数の穴82cが設けられている。また、図3に示すように、パンチングメタル82の上方には、この穴82cを覆うことができる流量の液体(例えば、水)をパンチングメタル82の第1面82a側に供給できる液体供給ノズル84が配置されている。
そのため、穴82cを通じて自重で落下する液体の量に見合った流量の液体を液体供給ノズル84から供給すると、パンチングメタル82の第1面82a側には、穴82cを覆う液体の層が形成される。この状態で、排気機構78を動作させて、気液分離器72の内部で下方から上方に流れるミストの流れを形成すると、パンチングメタル82の穴82cを介してミストが液体の層を通り抜ける際に、この液体の層にミストを構成する液体(以下、液体成分)が取り込まれる。
その結果、ミストを構成する気体と液体成分とが分離される。なお、切削加工の際に発生する屑(切削屑)等がミストに含まれている場合には、この屑等も併せて液体の層に取り込まれる。液体の層によってミストから分離された気体は、排気機構78が形成する流れに乗って上昇し、第3配管80の他端80bの開口を通じて切削装置2の外部に排出される。
一方で、液体の層を構成する液体は、ミストから取り込んだ液体成分や屑等とともに、穴82cを通じてその自重で徐々に落下し、第1配管74の下端74bに設けられた開口からダクトユニット58の外部に排出される。このように、パンチングメタル82より下方に設けられる第1配管74の下端74bの開口は、排液口として機能する。なお、この第1配管74の下端74b側は、切削装置2が配置される工場等の排液用の配管に接続される。
パンチングメタル82の穴82cの形状、大きさ、数量や、液体供給ノズル84から供給される液体の流量等の条件は、例えば、ダクトユニット58に求められる排気能力等に合わせて設定される。本実施形態では、第1面82a及び第2面82bに露出する開口が円形で、大きさ(直径)が2mm〜5mm程度、開口率が30%〜40%程度の複数の穴82cをパンチングメタル82に設ける。なお、ここでの開口率は、第1面82a又は第2面82bの面積に対して、複数の穴82cの開口の面積の和が占める割合を言う。
この場合には、液体供給ノズル84から供給される液体の流量を、0.1L/min〜2.0L/minに設定することで、十分な厚みの液体の層をパンチングメタル82の第1面82a側に形成して、気液分離の能力を確保しながら、ダクトユニット58の排気能力を高く維持できる。例えば、第3配管80の他端80bの開口から排出される気体の流量を5.0×103L/min以上にすることも容易である。
以上のように、本実施形態にかかる切削装置2は、加工室56からミストが流入する流入口(第2配管76の他端76bの開口)を下部に有し、ミストから分離される気体が流出する流出口(第3配管80の他端80bの開口)を上部に有する流路と、流入口から流出口に向かって流れるミストの流れを遮るように流路内に設けられ、流入口側に配置される第2面(下面)82bから流出口側に配置される第1面(上面)82aへと向かう向きに貫通する穴82cを有するパンチングメタル82と、を備えるダクトユニット58を含んでいる。
よって、液体供給ノズル84からパンチングメタル82の上面側に液体を供給すると、ある程度の量の液体がパンチングメタル82によって保持され、穴82cを覆う液体の層をパンチングメタル82の第1面82a側に形成できる。その結果、液体を通過するようにミストが流路内を流れるので、このミストから液体を除去して気体を分離できる。
つまり、本実施形態にかかる切削装置2では、従来のような目の細かいフィルターを使用する必要がないので、このフィルターの詰まりに起因して加工室56からミストを排出する能力が低下することもない。また、フィルターを清掃する頻度を高めて、オペレーターにかかる負担が大きくなることもない。よって、本実施形態にかかる切削装置2によれば、オペレーターにかかる負担を小さく抑えながら、加工室からミストを排出する能力を維持できる。
なお、本発明は、上述した実施形態の記載に制限されず種々変更して実施可能である。例えば、上述した実施形態のダクトユニット58では、パンチングメタル82の第1面82a側に形成される液体の層で分離された気体が、そのまま、第3配管80の他端80bの開口から外部に流出する構造が採用されているが、このダクトユニット58の気液分離器72の内部には、例えば、パンチングメタル82よりも第3配管80側の領域に、液体排出防止部材が設けられても良い。
液体排出防止部材は、例えば、上述したパンチングメタル82と同様のパンチングメタルであり、液体供給ノズル84によって形成される液体の層から飛散するしぶきを受け止めて、第3配管80の他端80bの開口からしぶきが流出するのを防ぐ。この液体排出防止部材の配置等も、上述したパンチングメタル82の配置等と同様で良い。つまり、液体排出防止部材は、ミストから分離された気体の流れを遮るように気液分離器72の内部に配置される。
ただし、液体排出防止部材は、必ずしもパンチングメタルでなくて良い。例えば、一般的なフィルター等を液体排出防止部材としてダクトユニット58の内部に配置することもできる。上述のように、パンチングメタル82の第1面82a側に形成される液体の層によって、ミストの液体成分とともに屑が除去される。そのため、一般的なフィルター等を液体排出防止部材に用いたとしても、屑等によって液体排出防止部材が詰まることは殆どない。
また、ダクトユニット58の気液分離器72の内部には、例えば、パンチングメタル82の第1面82aに向けてエアー等の気体を噴射できる気体噴射ノズルが設けられても良い。この場合には、気体噴射ノズルからパンチングメタル82の第1面82aに向けて気体を噴射することで、パンチングメタル82の第1面82a側に残る液体を除去できるので、例えば、ダクトユニット58の清掃やメンテナンスが容易になる。
また、上述した実施形態では、加工装置の一例である切削装置2について説明したが、本発明の加工装置には、被加工物11を加工する際に液体を使用する研削装置等が含まれる。この研削装置は、Z軸方向(上下方向)に対して概ね平行な回転軸となるスピンドルを備えた研削ユニット(加工ユニット)を含んでいる。このスピンドルの下端には、研削用の砥石を含む円盤状の研削ホイール(砥石工具)が装着される。
その他、上述した実施形態や変形例等にかかる構造、方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。
2 :切削装置(加工装置)
4 :基台
4a :開口
4b :開口
6 :カセット支持台
8 :カセット
10 :X軸移動機構(加工送りユニット)
12 :テーブルカバー
14 :防塵防滴カバー
16 :チャックテーブル(保持テーブル)
16a :保持面
18 :クランプ
20 :ガイドレール
22 :第1支持構造
24 :アクチュエーター
26 :アクチュエーター
28 :第1保持ユニット
28a :把持機構
30 :アクチュエーター
32 :アクチュエーター
34 :第2保持ユニット
36 :第2支持構造
38 :Y軸Z軸移動機構(割り出し送りユニット、切り込み送りユニット)
40 :切削ユニット(加工ユニット)
42 :スピンドル
44 :切削ブレード(砥石工具)
46 :切削液供給ノズル
48 :撮像ユニット(カメラ)
50 :洗浄ユニット
52 :スピンナーテーブル
54 :流体噴射ノズル
56 :加工室
58 :ダクトユニット
60 :カバー
60a :側面
60b :上面
62 :タッチスクリーン(入出力装置)
64 :表示灯
72 :気液分離器(流路)
74 :第1配管(流路)
74a :上端
74b :下端
76 :第2配管(流路)
76a :一端
76b :他端
78 :排気機構
80 :第3配管(流路)
80a :一端
80b :他端
82 :パンチングメタル
82a :第1面(上面)
82b :第2面(下面)
82c :穴
84 :液体供給ノズル
11 :被加工物
13 :テープ(ダイシングテープ)
15 :フレーム
4 :基台
4a :開口
4b :開口
6 :カセット支持台
8 :カセット
10 :X軸移動機構(加工送りユニット)
12 :テーブルカバー
14 :防塵防滴カバー
16 :チャックテーブル(保持テーブル)
16a :保持面
18 :クランプ
20 :ガイドレール
22 :第1支持構造
24 :アクチュエーター
26 :アクチュエーター
28 :第1保持ユニット
28a :把持機構
30 :アクチュエーター
32 :アクチュエーター
34 :第2保持ユニット
36 :第2支持構造
38 :Y軸Z軸移動機構(割り出し送りユニット、切り込み送りユニット)
40 :切削ユニット(加工ユニット)
42 :スピンドル
44 :切削ブレード(砥石工具)
46 :切削液供給ノズル
48 :撮像ユニット(カメラ)
50 :洗浄ユニット
52 :スピンナーテーブル
54 :流体噴射ノズル
56 :加工室
58 :ダクトユニット
60 :カバー
60a :側面
60b :上面
62 :タッチスクリーン(入出力装置)
64 :表示灯
72 :気液分離器(流路)
74 :第1配管(流路)
74a :上端
74b :下端
76 :第2配管(流路)
76a :一端
76b :他端
78 :排気機構
80 :第3配管(流路)
80a :一端
80b :他端
82 :パンチングメタル
82a :第1面(上面)
82b :第2面(下面)
82c :穴
84 :液体供給ノズル
11 :被加工物
13 :テープ(ダイシングテープ)
15 :フレーム
Claims (4)
- 被加工物を保持する保持面を備えた保持テーブルと、
砥石工具が装着されるスピンドルを備えた加工ユニットと、
該保持テーブルと該加工ユニットとを収容する加工室と、
該加工室の内部で発生するミストを吸引して該加工室の外部に排出するダクトユニットと、を含み、
該ダクトユニットは、
該加工室から該ミストが流入する流入口を下部に有し、該ミストから分離される気体が流出する流出口を上部に有する流路と、
該流入口から該流出口に向かって流れる該ミストの流れを遮るように該流路内に設けられ、該流入口側に配置される下面から該流出口側に配置される上面へと向かう向きに貫通する穴を有するパンチングメタルと、
該穴を覆うことができる流量の液体を該パンチングメタルの該上面側に供給するための液体供給ノズルと、を備え、
該ミストが該穴を覆う該液体を通過することで、該ミストから該気体が分離される加工装置。 - 該流路は、該パンチングメタルよりも下方に排液口を更に有し、
該パンチングメタルの該上面側に供給された該液体は、該穴を通じて自重で落下し該排液口より排出される請求項1に記載の加工装置。 - 該ダクトユニットは、該パンチングメタルの該上面側に残る該液体を除去するための気体を噴射する気体噴射ノズルを更に備える請求項1又は請求項2に記載の加工装置。
- 該ダクトユニットは、該ミストから分離された気体の流れを遮るように該流路内の該パンチングメタルよりも該流出口側に設けられた液体排出防止部材を更に備える請求項1から請求項3のいずれかに記載の加工装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020071114A JP2021167039A (ja) | 2020-04-10 | 2020-04-10 | 加工装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020071114A JP2021167039A (ja) | 2020-04-10 | 2020-04-10 | 加工装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2021167039A true JP2021167039A (ja) | 2021-10-21 |
Family
ID=78080014
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2020071114A Pending JP2021167039A (ja) | 2020-04-10 | 2020-04-10 | 加工装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2021167039A (ja) |
-
2020
- 2020-04-10 JP JP2020071114A patent/JP2021167039A/ja active Pending
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