JP2021165326A - タイヤ用ゴム組成物およびそれを用いたタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】加硫速度を向上させながら、発熱性、破断強度および耐摩耗性を同時に改善し得るタイヤ用ゴム組成物を提供する。
【解決手段】スチレン−ブタジエン共重合体ゴムを65〜100質量部かつブタジエンゴムを0〜35質量部含むジエン系ゴム100質量部に対し、CTAB比表面積が200〜300m/gであるシリカを50〜200質量部、および分子中に−(NH−C)−で表されるエチレンアミン由来の構造単位を少なくとも1個以上有するフェノール樹脂を0.5〜20質量部配合してなるタイヤ用ゴム組成物によって、上記課題を解決した。
【選択図】なし

Description

本発明は、タイヤ用ゴム組成物およびそれを用いたタイヤに関するものであり、詳しくは、加硫速度を速め、かつ発熱性、破断物性並びに耐摩耗性にも優れるタイヤ用ゴム組成物およびそれを用いたタイヤに関するものである。
近年のタイヤには、環境負荷低減を目的として低転がり抵抗性が求められ、この点を満たすためにシリカの高配合化、高配合比率化が行われてきた。
しかし、シリカを高配合すると、破断強度が低下する;耐摩耗性が悪化する;等の問題が生じる。
一方、シリカを配合したゴム組成物は、シリカ固有の表面活性や熱伝導率の低下により、加硫速度が低下するという問題点もある。そこで加硫促進剤等をさらに添加して加硫速度を速めることでタイヤの生産性を向上させることができるが、モジュラスの増大により破断物性が低下するという課題がある。したがって、タイヤの生産性の観点から加硫速度を速めることは重要であるが、他物性とのバランス化を図る必要がある。
なお、ゴム組成物に熱硬化性樹脂を配合する技術が知られている(例えば特許文献1参照)。しかし、熱硬化性樹脂を配合すると、発熱性が悪化し、また破断強度が低下するという問題点がある。
したがって、加硫速度を向上させながら、発熱性、破断強度および耐摩耗性を同時に改善するのは当業界において困難な事項であった。
特開2009−269961号公報
したがって本発明の目的は、加硫速度を速め、かつ発熱性、破断物性並びに耐摩耗性にも優れるタイヤ用ゴム組成物およびそれを用いたタイヤを提供することにある。
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、特定の組成のジエン系ゴムに対し、特定の比表面積を有するシリカおよび特定のフェノール樹脂を特定量でもって配合することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成することができた。
すなわち本発明は以下の通りである。
1.スチレン−ブタジエン共重合体ゴムを65〜100質量部かつブタジエンゴムを0〜35質量部含むジエン系ゴム100質量部に対し、CTAB比表面積が200〜300m/gであるシリカを50〜200質量部、および分子中に下記の化学式(1)で表されるアルキレンアミン由来の構造単位を少なくとも1個以上有するフェノール樹脂を0.5〜20質量部配合してなることを特徴とするタイヤ用ゴム組成物。
Figure 2021165326
(上記一般式(1)中、Rは、それぞれ独立して、炭素数1〜10の直鎖状または分岐状のアルキレン基を表す。)
2.前記フェノール樹脂が、分子中に下記の化学式(2)で表されるエチレンアミン由来の構造単位を少なくとも1個以上有することを特徴とする前記1に記載のタイヤ用ゴム組成物。
Figure 2021165326
3.前記フェノール樹脂中における前記エチレンアミン由来の構造単位の含有比率が、3質量%以上50質量%以下であることを特徴とする前記2に記載のタイヤ用ゴム組成物。
4.前記フェノール樹脂の軟化点が、60℃以上150℃以下であることを特徴とする前記1〜3のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
5.前記ジエン系ゴム100質量部中、末端変性スチレン−ブタジエン共重合体ゴムを65質量部以上含むことを特徴とする前記1〜4のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
6.前記1〜5のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物をキャップトレッドに用いてなるタイヤ。
本発明によれば、特定の組成のジエン系ゴムに対し、特定の比表面積を有するシリカおよび特定のフェノール樹脂を特定量でもって配合したので、加硫速度を速め、かつ発熱性、破断物性並びに耐摩耗性にも優れるタイヤ用ゴム組成物およびそれを用いたタイヤを提供することができる。
本発明において、特定のフェノール樹脂を配合することにより、シリカ表面のシラノール基とフェノール樹脂におけるアルキレンアミン由来の構造単位とが相互作用して加硫が促進されるとともに、発熱性、破断物性並びに耐摩耗性を同時に改善できるものと推測される。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明で使用されるジエン系ゴムは、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)を必須成分とする。SBRの配合量は、ジエン系ゴム全体を100質量部としたときに65〜100質量部であることが必要である。前記SBRの配合量が65質量部未満では、破断強度が悪化する。
また本発明では、必要に応じてブタジエンゴム(BR)を配合することができる。BRの配合量は、ジエン系ゴム全体を100質量部としたときに例えば0〜35質量部であることが好ましく、10〜30質量部がさらに好ましい。
なお、SBR、BR以外にも他のジエン系ゴムを用いることができ、例えば天然ゴム(NR)、合成イソプレンゴム(IR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム(NBR)等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、その分子量やミクロ構造はとくに制限されず、アミン、アミド、シリル、アルコキシシリル、カルボキシル、ヒドロキシル基等で末端変性されていても、エポキシ化されていてもよい。
また本発明のゴム組成物では、ジエン系ゴム100質量部中、末端変性SBRを65質量部以上、好ましくは70〜90質量部含むことによって、本発明の効果をさらに高めることができる。このような末端変性SBRは、例えばアミン、アミド、シリル、アルコキシシリル、カルボキシル、ヒドロキシル基、エポキシ基等またはこれらの組み合わせで末端が変性されたSBRが挙げられる。
(シリカ)
本発明で使用するシリカは特に限定されず、例えばタイヤ用途でゴム組成物に配合されている従来公知の任意のシリカを用いることができる。
シリカの具体例としては、湿式シリカ、乾式シリカ、ヒュームドシリカ等が挙げられる。シリカは、1種のシリカを単独で用いても、2種以上のシリカを併用してもよい。
また本発明で使用されるシリカは、CTAB比表面積が200〜300m/gであることが必要である。CTAB比表面積が200m/g未満であると、破断強度が低下する。逆にCTAB比表面積が300m/gを超えると、混合加工性が悪化する。
本発明で使用されるシリカのさらに好ましいCTAB比表面積は、200〜270m/gである。
なお本明細書において、CTAB比表面積は、シリカ表面へのCTAB吸着量をJIS K6217−3:2001「第3部:比表面積の求め方−CTAB吸着法」にしたがって測定した値である。
(フェノール樹脂)
本発明で使用されるフェノール樹脂は、分子中に下記の化学式(1)で表されるアルキレンアミン由来の構造単位を、少なくとも1個以上有するものである。
Figure 2021165326
上記一般式(1)中、Rは、それぞれ独立して、炭素数1〜10の直鎖状または分岐状のアルキレン基を表す。Rのアルキレン基の炭素数は、例えば、1〜10、好ましくは2〜6、より好ましくは2〜4である。
フェノール樹脂は、本発明の効果向上の観点から、分子中に下記の化学式(2)で表されるエチレンアミン由来の構造単位を少なくとも1個以上有するものを含んでもよい。
Figure 2021165326
フェノール樹脂中におけるアルキレンアミンまたはエチレンアミン由来の構造単位の含有比率の下限は、例えば、3質量%以上、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上である。これにより、弾性率を向上できる。一方、フェノール樹脂中におけるエチレンアミン由来の構造単位の含有比率の上限は、例えば、50質量%以下、好ましくは45質量%以下、より好ましくは40質量%以下でもよい。これにより、軟化点を適当に調整することができる。
エチレンアミン由来構造の含有率は、以下の式に基づいて算出できる。式中の含窒素量(質量%)は、元素分析法により測定できる。
エチレンアミン由来構造の含有率=含窒素量×(43/14)
フェノール樹脂の軟化点は、例えば、60℃〜150℃、好ましくは65℃〜130℃、より好ましくは70℃〜120℃である。フェノール樹脂の軟化点は、ゴムに配合したときの加熱混練時における加熱温度に応じて、適切に制御され得る。これにより、ゴム物性バラツキの少ないゴムを実現できる。
フェノール樹脂は、フェノール類、アルデヒド類、およびアルキレンアミンの重合物で構成されてもよい。フェノール樹脂は、これらの未反応モノマーを含んでもよいし、含まなくてもよい。
フェノール類の一例としては、特に限定されないが、例えば、フェノール;オルソクレゾール、メタクレゾール、パラクレゾール等のクレゾール;2、3−キシレノール、2、4−キシレノール、2、5−キシレノール、2、6−キシレノール、3、5−キシレノール等のキシレノール;2,3,5−トリメチルフェノール、2−エチルフェノール、4−エチルフェノール、2−イソプロピルフェノール、4−イソプロピルフェノール、n−ブチルフェノール、イソブチルフェノール、tert−ブチルフェノール、ヘキシルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、フェニルフェノール、ベンジルフェノール、クミルフェノール、アリルフェノール、カルダノール、ウルシオール、チチオール、ラッコール等のアルキルフェノール;1−ナフトール、2−ナフトール等のナフトール;フルオロフェノール、クロロフェノール、ブロモフェノール、ヨードフェノール等のハロゲン化フェノール、p−フェニルフェノール、アミノフェノール、ニトロフェノール、ジニトロフェノール、トリニトロフェノール等の1価フェノール置換体;レゾルシン、アルキルレゾルシン、ピロガロール、カテコール、アルキルカテコール、ハイドロキノン、アルキルハイドロキノン、フロログルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ジヒドロキシナフタリン、ナフタレン等の多価フェノール;などが挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、フェノール類は、フェノール、クレゾール、キシレノールおよびアルキルフェノールからなる群より選ばれた1種以上を含ことができ、安価な観点から、フェノールを用いることができる。
アルデヒド類としては、特に限定されないが、例えば、ホルマリンやパラホルムアルデヒド等のホルムアルデヒド;トリオキサン、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ポリオキシメチレン、クロラール、ヘキサメチレンテトラミン、フルフラール、グリオキザール、n−ブチルアルデヒド、カプロアルデヒド、アリルアルデヒド、ベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、アクロレイン、テトラオキシメチレン、フェニルアセトアルデヒド、o−トルアルデヒド、サリチルアルデヒド等が挙げられる。これらのアルデヒド類は単独または2種以上を組み合わせて使用してもよい。この中でも、アルデヒド類は、ホルムアルデヒドまたはアセトアルデヒドを含むことができ、生産性および安価な観点から、ホルマリンまたはパラホルムアルデヒドを用いることができる。
アルキレンアミンは、分子内に、炭素数1〜10の直鎖状または分岐状のアルキレン基を1個以上備える脂肪族アミンを用いることができる。脂肪族アミンは、1個以上の一級アミン及び/又は二級アミンを含む化合物であってもよい。例えば、脂肪族アミンとして、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、テトラエチレンペンタアミン、ペンタエチレンヘキサアミン、ポリエチレンイミン、ジプロピレントリアミン、トリプロピレンテトラアミン、テトラプロピレンペンタアミン、ペンタプロピレンヘキサアミン、ポリプロピレンイミン等のポリアルキレンポリアミンが挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
詳細なメカニズムは定かではないが、アルデヒド類が、フェノール類およびアルキレンアミンの両方に反応すると考えられる。
フェノール樹脂を合成する際に用いる触媒は、無触媒でも構わないし、ノボラック型フェノール樹脂を製造する観点から、酸性触媒を用いることができる。酸性触媒としては、特に限定するものではないが、例えば、蓚酸、塩酸、硫酸、ジエチル硫酸、パラトルエンスルホン酸等の酸類、酢酸亜鉛等の金属塩類が挙げられ、これらを単独または2種類以上併用して使用できる。
フェノール樹脂を合成する際に用いる反応溶媒としては、水を用いてもよいが、有機溶剤を用いてもよい。有機溶剤としては、非極性溶媒を用いて非水系を用いることができる。有機溶剤の一例としては、例えば、アルコール類、ケトン類、芳香族類で、アルコール類としては、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン等で、ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン等で、芳香族類としては、トルエン、キシレン等が挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、フェノール類(P)とアルデヒド類(F)のモル比(F/Pモル比)は、フェノール類1モルに対し、例えば、アルデヒド類を0.2〜1.0モルとしてもよく、好ましくは0.3〜0.9モルとすることができる。アルデヒド類を上記範囲とすることで、未反応フェノール量を少なくすることができ、歩留まりを上げることができる。また、フェノール類(P)とアルデヒド類(F)の反応モル比(F/P)を1.0以下の条件、すなわち、モル比換算でフェノールリッチの条件を制御することで、適度な軟化点を有するアルキレンアミン由来の構造単位を含むフェノール樹脂が得られ、このようなフェノール樹脂は、加熱条件下での混合・混練によってゴム中に良好に相溶または分散させることが可能である。
また、反応温度は、例えば、40℃〜120℃としてもよく、好ましくは60℃〜110℃としてもよい。なお、反応時間は、特に制限はなく、出発原料の種類、配合モル比、触媒の使用量及び種類、反応条件に応じて適宜決定すればよい。
以上により、本発明で使用されるフェノール樹脂を得ることができる。フェノール樹脂は、分子中に、ノボラック骨格及び前記エチレンアミン由来の構造単位を有するノボラック型フェノール樹脂を含んでもよい。
(タイヤ用ゴム組成物の配合割合)
本発明のゴム組成物は、ジエン系ゴム100質量部に対し、CTAB比表面積が200〜300m/gであるシリカを50〜200質量部、および分子中に上記化学式(1)で表されるアルキレンアミン由来の構造単位を少なくとも1個以上有するフェノール樹脂を0.5〜20質量部配合してなることを特徴とする。
前記シリカの配合量が50質量部未満であると発熱性が悪化する。また200質量部を超えると破断強度、耐摩耗性、発熱性が悪化する。
前記フェノール樹脂の配合量が0.5質量部未満であると、配合量が少な過ぎて本発明の効果を奏することができない。逆に20質量部を超えると発熱性および破断強度が悪化する。
また、本発明のゴム組成物において、前記シリカの配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対し、70〜150質量部であることが好ましい。
前記フェノール樹脂の配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対し、8〜18質量部であることが好ましい。
(その他成分)
本発明におけるゴム組成物には、前記した成分に加えて、加硫又は架橋剤;加硫又は架橋促進剤;酸化亜鉛、カーボンブラック、クレー、タルク、炭酸カルシウムのような各種充填剤;老化防止剤;可塑剤などのゴム組成物に一般的に配合されている各種添加剤を配合することができ、かかる添加剤は一般的な方法で混練して組成物とし、加硫又は架橋するのに使用することができる。これらの添加剤の配合量も、本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。
また本発明のゴム組成物は、加硫速度を速め、かつ発熱性、破断物性並びに耐摩耗性にも優れることから、タイヤのキャップトレッドに用いることが好ましい。また本発明のタイヤは、空気入りタイヤであることが好ましく、空気、窒素等の不活性ガス及びその他の気体を充填することができる。
また本発明のゴム組成物は、従来のタイヤ、例えば空気入りタイヤの製造方法に従って空気入りタイヤを製造することができる。
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに説明するが、本発明は下記例に制限されるものではない。なお、例中、部となるのは特記しない限り質量基準である。
<フェノール樹脂の合成>
(製造例1)
攪拌装置、還流冷却器及び温度計を備えた反応器に、フェノール1000部、37%ホルマリン水溶液561部、トリエチレンテトラアミン55部を仕込み、還流条件下で2時間反応させた。ついで水を蒸留除去しながら200℃で3時間反応させた。さらに所定の水分、遊離モノマー量になるまで減圧下で水、未反応モノマーの蒸留除去を行った後、反応器から取り出し、フェノール樹脂1を得た。
フェノール樹脂1の、軟化点は110℃であり、含窒素量は2.2質量%であり、エチレンアミン由来構造の含有率は6.8質量%であった。
(製造例2)
37%ホルマリン水溶液の配合量を518部、トリエチレンテトラアミンの配合量を110部としたこと以外は、製造例1と同様にしてフェノール樹脂2を得た。
フェノール樹脂2の、軟化点は108℃であり、含窒素量は4.1質量%であり、エチレンアミン由来構造の含有率は12.6質量%であった。
(製造例3)
37%ホルマリン水溶液の配合量を500部、トリエチレンテトラアミンの配合量を165部としたこと以外は、製造例1と同様にしてフェノール樹脂3を得た。
フェノール樹脂3の、軟化点は102℃であり、含窒素量は6.4質量%であり、エチレンアミン由来構造の含有率は19.7質量%であった。
標準例1、実施例1〜5および比較例1〜6
サンプルの調製
表1に示す配合(質量部)において、加硫促進剤と硫黄を除く成分を1.7リットルの密閉式バンバリーミキサーで5分間混練し、ゴムをミキサー外に放出して室温冷却した。次いで、該ゴムを同ミキサーに再度入れ、加硫促進剤および硫黄を加えてさらに混練し、ゴム組成物を得た。次に得られたゴム組成物を所定の金型中で160℃、20分間プレス加硫して加硫ゴム試験片を得、以下に示す試験法で未加硫のゴム組成物および加硫ゴム試験片の物性を測定した。
加硫速度(T95):JIS K6300に準拠して、振動式ディスク加硫試験機にて、振幅1度、150℃で95%の加硫度に達する時間(T95、分)を測定した。結果は、標準例1の値を100として指数で示した。この値が小さいほど、加硫速度が速く、生産性に優れることを示す。
発熱性(tanδ60℃):(株)東洋精機製作所製、粘弾性スペクトロメーターを用い、初期歪10%、振幅±2%、周波数20Hz、温度60℃の条件で、tanδ(60℃)を測定した。結果は、標準例1の値を100として指数で示した。この値が小さいほど、低発熱性であることを示す。
破断強度(TB):JIS K 6251に従い、20℃で試験した。結果は、標準例1の値を100として指数で示した。この値が大きいほど、高破断強度であることを示す。
耐摩耗性:岩本製作所(株)製のランボーン摩耗試験機を用い、荷重15N、スリップ率25%、時間10分、室温の条件にて測定し摩耗減量を求めた。結果は、標準例1の値を100として指数で示した。指数が大きいほど耐摩耗性に優れることを示す。
結果を表1に併せて示す。
Figure 2021165326
*1:SBR(旭化成株式会社製SBR E581、油展量=SBR100質量部に対し37.5質量部)
*2:BR(日本ゼオン株式会社製Nipol BR1220)
*3:シリカ1(Solvay社製Zeosil 1165MP、CTAB比表面積=155m/g)
*4:シリカ2(Evonik社製ULTRASIL 9100GR、CTAB比表面積=210m/g)
*5:カーボンブラック(キャボットジャパン社製N339)
*6:カシュー変性フェノール樹脂(住友ベークライト株式会社製PSM−9450。アルキレンアミン由来の構造単位を持たない。)
*7:フェノール樹脂1(前記製造例1で製造したフェノール樹脂1)
*8:フェノール樹脂2(前記製造例2で製造したフェノール樹脂2)
*9:フェノール樹脂3(前記製造例3で製造したフェノール樹脂3)
*10:シランカップリング剤(Evonik社製Si69)
*11:酸化亜鉛(正同化学工業株式会社製酸化亜鉛3種)
*12:ステアリン酸(日油株式会社製ビーズステアリン酸YR)
*13:老化防止剤(EASTMAN社製6PPD)
*14:ワックス(大内新興化学工業株式会社製パラフィンワックス)
*15:オイル(昭和シェル石油株式会社製エキストラクト4号S)
*16:硫黄(細井化学工業株式会社製油処理イオウ)
*17:加硫促進剤CBS(三新化学工業株式会社製サンセラーCM−G)
*18:加硫促進剤DPG(住友化学株式会社製ソクシールD−G)
*19:末端変性SBR(旭化成株式会社製タフデンF3420。グリシジルアミン基で末端が変性されている。)
表1の結果から、実施例1〜6のゴム組成物は、特定の組成のジエン系ゴムに対し、特定の比表面積を有するシリカおよび特定のフェノール樹脂を特定量でもって配合したので、標準例1に比べて、発熱性、破断強度および耐摩耗性が同時に改善されている。
これに対し、比較例1は特定のフェノール樹脂を配合していないので、破断強度が悪化した。
比較例2は、シリカのCTAB比表面積が本発明で規定する下限未満であるので、破断強度が悪化した。
比較例3は、SBRの配合量が本発明で規定する下限未満であるので、破断強度が悪化した。
比較例4は、特定のフェノール樹脂の配合量が本発明で規定する上限を超えているので、発熱性および破断強度が悪化した。
比較例5は、シリカの配合量が本発明で規定する下限未満であるので、発熱性および破断強度が悪化した。

Claims (6)

  1. スチレン−ブタジエン共重合体ゴムを65〜100質量部かつブタジエンゴムを0〜35質量部含むジエン系ゴム100質量部に対し、CTAB比表面積が200〜300m/gであるシリカを50〜200質量部、および分子中に下記の化学式(1)で表されるアルキレンアミン由来の構造単位を少なくとも1個以上有するフェノール樹脂を0.5〜20質量部配合してなることを特徴とするタイヤ用ゴム組成物。
    Figure 2021165326
    (上記一般式(1)中、Rは、それぞれ独立して、炭素数1〜10の直鎖状または分岐状のアルキレン基を表す。)
  2. 前記フェノール樹脂が、分子中に下記の化学式(2)で表されるエチレンアミン由来の構造単位を少なくとも1個以上有することを特徴とする請求項1に記載のタイヤ用ゴム組成物。
    Figure 2021165326
  3. 前記フェノール樹脂中における前記エチレンアミン由来の構造単位の含有比率が、3質量%以上50質量%以下であることを特徴とする請求項2に記載のタイヤ用ゴム組成物。
  4. 前記フェノール樹脂の軟化点が、60℃以上150℃以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  5. 前記ジエン系ゴム100質量部中、末端変性スチレン−ブタジエン共重合体ゴムを65質量部以上含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物をキャップトレッドに用いてなるタイヤ。
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