JP2021163626A - 正極組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】低粘度で保存安定性及び電池抵抗低減に優れる正極組成物及びその製造方法、並びに低粘度で分散性に優れるカーボンナノチューブ分散液の提供。【解決手段】(a)正極活物質、(b)結着剤、(c)カーボンナノチューブ、(d)非イオン性高分子分散剤、(e)水酸化リチウム及び弱酸のリチウム塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤、並びに(f)有機溶媒を含む、正極組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、正極組成物に関する。
近年、地球温暖化抑制の観点から二酸化炭素を排出しない電気自動車の開発が盛んに行われている。電気自動車には、ガソリン車に比べて、走行距離が短く、バッテリーの充電に時間がかかるという課題がある。充電時間を短くするためには、正極中での電子の移動速度を速める必要がある。現在、非水電解質電池用の正極には、導電助剤(導電材)として、カーボンブラックが使用されているが、カーボンブラックよりも電子抵抗が小さい導電材の使用が望まれている。
カーボンブラックよりも電子抵抗が小さい導電材として、カーボンナノチューブ(以下、「CNT」と称する場合もある。)があり、その物理的特性、化学的特性により、種々の分野への応用が期待されている。CNTはアスペクト比が高く少量で導電パスを形成できる。CNTの分散液においては、CNTの高い分散が必要となるが、通常使用される炭素材料にくらべ正極組成物や導電材分散液の粘度が高くなる傾向がある。この理由はCNTはファンデルワールス力により凝集しているため、溶媒への分散が困難であることと考えられる。CNTの溶媒中における分散状態が悪いと、塗膜中においてCNTの良質な導電パスが形成されないため、塗膜抵抗が高くなるという問題がある。
特許文献1には、有機溶媒中に、CNTとともに、分散剤として機能する弱酸の塩或いは強塩基を共存させることによって、従来の分散剤(界面活性剤や芳香族化合物等)を使用しないCNT分散液が開示されている。弱酸の塩としては、例えば、酢酸カリウムが、強塩基としては、水酸化ナトリウムが使用されている。
特許文献2には、分散剤であるステアリルメタクリレートとポリオキシプロピレン(平均付加モル数14)メタクリレートの共重合体と、CNT等の炭素材料と、有機溶媒と含む炭素材料分散液が開示されている。
特許文献3には、炭素材料用分散剤として、ステアリルメタクリレートに由来の構成単位とメトキシポリエチレングリコール(平均付加モル数23)メタクリレートに由来の構成単位とを含む共重合体が開示されている。
特許文献4には、正極活物質と、カーボンブラックと、溶媒と、例えばステアリルメタクリレートとPEG(2)MAの共重合体とを含む電池用正極組成物が開示されている。
特開2015−168610号公報 特開2012−166154号公報 特開平1−254237号公報 WO2013/151062
しかし、より良質な導電パスの形成のために、正極組成物やカーボンナノチューブ分散液に含まれるカーボンナノチューブを高度に分散可能な添加剤の提供が望まれている。さらに、リチウムイオンを含む電池への応用には、リチウムイオン以外の無機イオンを含まないカーボンナノチューブ分散液の提供が望まれている。
そこで、本発明は、添加剤を含有し、低粘度で保存安定性及び電池抵抗低減に優れる正極組成物及びその製造方法、低粘度で分散性に優れるカーボンナノチューブ分散液、正極組成物またはカーボンナノチューブ分散液を調製するのに用いられるカーボンナノチューブ用添加剤組成物を提供する。
本発明は、一態様において、(a)正極活物質、(b)結着剤、(c)カーボンナノチューブ、(d)非イオン性高分子分散剤、(e)水酸化リチウム及び弱酸のリチウム塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤、並びに(f)有機溶媒を含む、正極組成物に関する。
本発明は、別の態様において、以下の工程を含む正極組成物の製造方法に関する。
工程1A:(c)カーボンナノチューブ、(d)非イオン性高分子分散剤、(e)水酸化リチウム及び弱酸のリチウム塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤、並びに(f)有機溶媒を混合し、分散処理を行い、カーボンナノチューブ分散液を調製する工程。
工程2A:前記カーボンナノチューブ分散液、(a)正極活物質、及び(b)結着剤を混合し、分散処理を行い、正極組成物を得る工程。
本発明は、別の態様において、以下の工程を含む正極組成物の製造方法に関する。
工程B:(a)正極活物質、(b)結着剤、(c)カーボンナノチューブ、(d)非イオン性高分子分散剤、(e)水酸化リチウム及び弱酸のリチウム塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤、並びに(f)有機溶媒を混合し、分散処理を行い、正極組成物を調製する工程。
本発明は、別の態様において、(c)カーボンナノチューブ、(d)非イオン性高分子分散剤、(e)水酸化リチウム及び弱酸のリチウム塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤、並びに(f)有機溶媒を含む、カーボンナノチューブ分散液に関する。
本発明は、別の態様において、(d)非イオン性高分子分散剤、(e)水酸化リチウム及び弱酸のリチウム塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤、並びに(f)有機溶媒を含む、カーボンナノチューブ用添加剤組成物に関する。
本発明によれば、低粘度で保存安定性及び電池抵抗低減に優れる正極組成物を提供できる。また、低粘度で分散性に優れるカーボンナノチューブ分散液を提供できる。当該正極組成物またはカーボンナノチューブ分散液を調製できるカーボンナノチューブ用添加剤組成物を提供できる。
本発明は、正極組成物又はカーボンナノチューブ(CNT)分散液に水酸化リチウム及び弱酸のリチウム塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤が含まれることにより、低粘度でハンドリング性が良好な正極組成物及びカーボンナノチューブ分散液を提供できる、という知見に基づく。
本発明において、正極組成物中またはCNT分散液中のCNTの分散性が向上して、低粘度化が可能となったメカニズムの詳細については明らかではないが、以下のように推察される。
隣接するCNTは、π-π相互作用およびCNT表面に一部存在する極性基同士の水素結合により、有機溶媒中において凝集する。しかし、本発明では、水酸化リチウム及び弱酸のリチウム塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤が前記極性基と相互作用(中和反応や双極子相互作用)することによってCNT間の水素結合を抑制する。さらに、カチオンであるリチウムイオンがCNT上のπ電子とカチオン-π相互作用することによりCNT間のπ-π相互作用を抑制する。前記水素結合の抑制と前記π-π相互作用の抑制によって、CNTの分散性が向上し、結果、水酸化リチウム及び弱酸のリチウム塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤を添加しない場合と比較して、粘度が低下しているものと推察される。
ただし、本発明はこれらのメカニズムに限定して解釈されない。
[正極組成物]
本発明は、一態様において、(a)正極活物質、(b)結着剤、(c)カーボンナノチューブ、(d)非イオン性高分子分散剤、(e)水酸化リチウム及び弱酸のリチウム塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤、並びに(f)有機溶媒を含む正極組成物(以下、「本発明の正極組成物」ともいう)に関する。
(a)正極活物質
正極活物質としては、無機化合物であれば特に制限はなく、例えば、オリビン構造を有する化合物やリチウム遷移金属複合酸化物を用いることができる。オリビン構造を有する化合物としては、一般式Liy1 sPO4(但し、M1は3d遷移金属、0≦y≦2、0.8≦s≦1.2)で表される化合物を例示できる。オリビン構造を有する化合物には、非晶質炭素等を被覆して用いてもよい。リチウム遷移金属複合酸化物としては、スピネル構造を有するリチウムマンガン酸化物、層状構造を有し一般式Liz22-δ(但し、M2は遷移金属、0.4≦z≦1.2、0≦δ≦0.5)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物等が挙げられる。前記遷移金属M2としては、Co、Ni又はMnを含むものとすることができる。前記リチウム遷移金属複合酸化物は、さらに、Al、Mn、Fe、Ni、Co、Cr、Ti、Zn、P、Bから選ばれる一種又は二種以上の元素を含有していてもよい。正極活物質は1種でもよいし、2種以上の組合せでもよい。
本発明の正極組成物中の正極活物質の含有量は、正極組成物が集電体に塗布するのに適した粘度に応じて調整することができる限り、特に制限はないが、電池のエネルギー密度の観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは65質量%以上であり、正極組成物の安定性の観点から、好ましくは80質量%以下、より好ましくは75質量%以下、さらに好ましくは73質量%以下である。正極活物質が2種以上の組合せである場合、正極活物質の含有量はそれらの合計含有量である。
本発明の正極組成物の全固形分における正極活物質の含有量は、電池のエネルギー密度の観点から、好ましくは90.0質量%以上であり、合材層の導電性や塗膜性に観点から、好ましくは99.9質量%以下である。
(b)結着剤
結着剤としては、通常正極に用いられる結着剤が挙げられ、例えば、ポリフッ化ビニリデン(以下「PVDF」ともいう)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、スチレン−ブタジエンゴム、ポリアクリロニトリル等を単独で、あるいは混合して用いることができる。結着剤は1種でもよいし、2種以上の組合せでもよい。
本発明の正極組成物中の結着剤の含有量は、合材層の塗膜性や集電体との結着性の観点から、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上であり、電池のエネルギー密度の観点からは、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下、さらに好ましくは1.5質量%以下である。結着剤が2種以上の組合せである場合、結着剤の含有量はそれらの合計含有量である。
本発明の正極組成物の全固形分における結着剤の含有量は、合材層の塗膜性や集電体との結着性の観点から、好ましくは0.07質量%以上、より好ましくは0.15質量%以上、さらに好ましくは0.7質量%以上であり、電池のエネルギー密度の観点からは、好ましくは6質量%以下、より好ましくは4質量%以下、さらに好ましくは2質量%以下である。
(c)カーボンナノチューブ
本開示において、カーボンナノチューブ(CNT)とは、複数のCNTを含む総体を意味する。CNTの形態は、特に限定されなくてもよく、例えば、複数のCNTがそれぞれ独立していてもよいし、複数のCNTが束状あるいは絡まり合うなどの形態でもよいし、これらの形態が混合した形態でもよい。CNTは、種々の層数または直径のCNTであってもよい。CNTは、CNTの製造におけるプロセス由来の不純物(例えば、触媒やアモルファスカーボン)を含み得る。
CNTの平均直径は、走査型電子顕微鏡(SEM)や原子間力顕微鏡(AFM)により測定されるが、本発明ではその直径は、特に限定されなくてもよく、CNTの分散性向上の観点から、3nm以上が好ましく、より好ましくは5nm以上、さらに好ましくは8nm以上であり、そして、導電性向上の観点から、100nm以下が好ましく、より好ましくは50nm以下、さらに好ましくは30nm以下、よりさらに好ましくは15nm以下である。
CNTの平均長さは、走査型電子顕微鏡(SEM)や原子間力顕微鏡(AFM)により測定されるが、本発明ではその長さは、特に限定されなくてもよく、導電性向上の観点から、好ましくは2μm以上、より好ましくは10μm以上、さらに好ましくは30μm以上、よりさらに好ましくは50μm以上であり、そして、分散性向上の観点から、500μm以下が好ましく、より好ましくは200μm以下、さらに好ましくは100μm以下、よりさらに好ましくは50μm以下である。
本発明の正極組成物中のCNTの含有量は、合材層の導電性の観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.10質量%以上であり、電池のエネルギー密度の観点から、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以下である。
本発明の正極組成物の全固形分におけるCNTの含有量は、合材層の導電性の観点から、好ましくは0.02質量%以上、より好ましくは0.07質量%以上、さらに好ましくは0.14質量%以上であり、電池のエネルギー密度の観点から、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以下である。
本発明の正極組成物には、CNT以外の導電剤がさらに含まれていてもよい。CNT以外の導電剤としては、アセチレンブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック等のカーボンブラックや、グラファイト等の炭素系導電剤が使用できる。また、ポリアニリン等の炭素系以外の導電性ポリマー等を用いてもよい。
(d)非イオン性高分子分散剤
非イオン性高分子分散剤は、正極組成物中、あるいはカーボンナノチューブ分散液中で、CNTを分散させるものである。CNTの分散性向上の観点から、好ましい非イオン性高分子分散剤として、セルロース誘導体、ビニル系ポリマー及びアクリル系ポリマーから選ばれる少なくとも1種が挙げられる。非イオン性高分子分散剤は1種でもよいし、2種以上の組合せもよい。
セルロース誘導体としては、例えば、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロース等が挙げられる。
ビニル系ポリマーとしては、例えば、ポリニビルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリビニルピリジン、及び酢酸ビニル・ビニルピロリドン共重合体が挙げられ、CNTの分散性向上の観点から、PVA、PVP及びPVBから選ばれる1種以上が好ましく、PVA及びPVPから選ばれる1種以上がより好ましく、PVAがさらに好ましい。
アクリル系ポリマーとしては、一般式(1)で表される構成単位、一般式(2)で表される構成単位、一般式(3)で表される構成単位、及び一般式(4)で表される構成単位から選ばれる2種以上の構成単位を含む共重合体が挙げられる。
Figure 2021163626
但し、上記一般式(1)〜(4)中、R1、R2、R5、R6、R10、R11、R13及びR14は水素原子であり、R3、R7、R12及びR15はそれぞれ独立して水素原子又はメチル基であり、R4は炭素数8〜30の炭化水素基を示し、R8は炭素数2〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、R9は水素原子、メチル基またはエチル基であり、pは1〜50の数であり、X1及びX2はそれぞれ独立してOまたはNHであり、X3はピリジニル基、ピラジニル基、ピリミジル基またはピリダジノ基である。
アクリル系ポリマーは、CNTの分散性向上の観点から、吸着基を有する構成単位と、分散基を有する構成単位とを含む共重合体であると好ましく、一般式(1)で表される構成単位A(以下、単に「構成単位A」ともいう)と、一般式(2)で表される構成単位、一般式(3)で表される構成単位及び一般式(4)で表される構成単位から選ばれる1種以上の構成単位B(以下、単に「構成単位B」ともいう)とを含む共重合体であることがより好ましい。
[構成単位A]
構成単位Aは、前記共重合体のうちのCNT表面に吸着する成分である。
前記一般式(1)において、前記共重合体への構成単位Aの導入の容易性の観点から、R1及びR2は水素原子であり、R3は水素原子又はメチル基である。
前記一般式(1)において、CNTの分散性向上の観点及び前記共重合体への構成単位Aの導入の容易性の観点から、X1は酸素原子が好ましい。
前記一般式(1)において、CNT表面に対する吸着性向上の点から、R4はアルキル基又はアルケニル基が好ましく、同様の観点から、R4の炭素数は、好ましくは8以上、より好ましくは12以上、さらに好ましくは16以上であり、同様の観点から、好ましくは26以下、より好ましくは22以下、さらに好ましくは20以下である。R4としては、具体的には、オクチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基、オレイル基、ベヘニル基等が挙げられ、パルミチル基、ステアリル基、オレイル基及びベヘニル基から選ばれる1種以上が好ましく、パルミチル基、ステアリル基及びオレイル基から選ばれる1種以上がより好ましく、パルミチル基及びステアリル基から選ばれる1種以上がさらに好ましく、ステアリル基がよりさらに好ましい。
前記一般式(1)は、CNTの分散性向上の観点及び共重合体への構成単位Aの導入の容易性の観点から、X1が酸素原子であり、かつR4の炭素数が16〜22の構成単位a1が好ましく、X1が酸素原子であり、かつR4の炭素数が16〜20の構成単位a1がより好ましい。
前記共重合体を合成するにあたり、前記一般式(1)で表される構成単位Aを与えるモノマー(以下、「モノマーA」ともいう)の具体例としては、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、パルミチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレートのエステル化合物;2−エチルヘキシル(メタ)アクリルアミド、オクチル(メタ)アクリルアミド、ラウリル(メタ)アクリルアミド、ミリスチル(メタ)アクリルアミド、パルミチル(メタ)アクリルアミド、ステアリル(メタ)アクリルアミド、ベヘニル(メタ)アクリルアミド等のアミド化合物が挙げられる。なかでも、CNTの分散性向上の観点及び共重合体への構成単位Aの導入の容易性の観点から、パルミチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、オレイル(メタ)アクリレート及びベヘニル(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種が好ましく、パルミチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート及びベヘニル(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種がより好ましく、パルミチル(メタ)アクリレート及びステアリル(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種がさらに好ましく、ステアリル(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種がよりさらに好ましく、ステアリルメタクリレート(以下、「SMA」ともいう)がよりさらに好ましい。
前記共重合体の全構成単位中の構成単位Aの含有量は、CNTに対する吸着性及びCNTの分散性向上の観点から、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは35質量%以上であり、同様の観点から、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、さらに好ましくは60質量%以下である。尚、本開示において、前記共重合体の全構成単位における構成単位Aの含有量は、重合に用いるモノマー全量に対するモノマーAの使用量の割合とみなすことができる。
[構成単位B]
構成単位Bは、前記共重合体のうちの有機溶媒に溶解する成分である。構成単位Bは、一般式(2)で表される構成単位、一般式(3)で表される構成単位、及び一般式(4)で表される構成単位のうちの少なくとも1種類であり、2種類以上を含んでいてもよい。
前記一般式(2)において、前記共重合体への構成単位Bの導入の容易性の観点から、R5及びR6は水素原子であり、R7は水素原子又はメチル基である。
前記一般式(2)において、CNTの分散性向上の観点及び前記共重合体への構成単位Bの導入の容易性の観点から、X2は酸素原子が好ましい。
前記一般式(2)において、前記共重合体の有機溶媒への溶解性向上の観点及びCNTの分散性向上の観点から、pは、好ましくは1以上であり、好ましくは50以下、より好ましくは30以下、さらに好ましくは10以下、よりさらに好ましくは4以下である。
前記一般式(2)において、CNTの分散性向上の観点及び前記共重合体への構成単位Bの導入の容易性の観点から、R8は好ましくはエチレン基又はプロピレン基、より好ましくはエチレン基である。
前記一般式(2)において、CNTの分散性向上の観点及び前記共重合体への構成単位Bの導入の容易性の観点から、R9は好ましくは水素原子又はメチル基である。
前記共重合体を合成するにあたり、前記一般式(2)で表される構成単位Bを与えるモノマー(以下「モノマーB2」ともいう)の具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(以下「HEMA」ともいう)、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、2−メトキシプロピル(メタ)アクリルアミド、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(エチレンオキサイドの平均付加モル数=9)、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(エチレンオキサイドの平均付加モル数=2)(以下、「PEGMA(EO2)」ともいう)等が挙げられ、CNTの分散性向上の観点及び前記共重合体への構成単位Bの導入の容易性の観点から、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(エチレンオキサイドの平均付加モル数=9)、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(エチレンオキサイドの平均付加モル数=2)から選ばれる1種以上が好ましい。
前記一般式(3)において、CNTの分散性向上の観点及び前記共重合体への構成単位Bの導入の容易性の観点から、R10及びR11は水素原子であり、R12は水素原子又はメチル基である。
前記共重合体を合成するにあたり、前記一般式(3)で表される構成単位Bを与えるモノマー(以下「モノマーB3」ともいう)の具体例としては、アクリルアミド、メタクリルアミド(以下「MAAm」ともいう)が挙げられる。
前記一般式(4)において、前記共重合体への構成単位Bの導入の容易性の観点から、R13及びR14は水素原子であり、R15は水素原子又はメチル基である。
前記一般式(4)において、CNTの分散性向上の観点及び前記共重合体への構成単位Bの導入の容易性の観点から、X3は、ピリジニル基、ピラジニル基、ピリミジル基またはピリダジノ基であり、好ましくはピリジニル基である。
前記共重合体を合成するにあたり、前記一般式(4)で表される構成単位Bを与えるモノマー(以下「モノマーB4」ともいう)の具体例としては、4−ビニルピリジン(以下「4−Vpy」ともいう)、2−ビニルピリジン(以下「2−Vpy」ともいう)が挙げられる。
前記一般式(2)で表される構成単位、前記一般式(3)で表される構成単位、前記一般式(4)で表される構成単位から選ばれる少なくとも1種の構成単位Bを与えるモノマー(以下「モノマーB」ともいう)としては、CNTの分散性向上の観点及び前記共重合体への構成単位Bの導入の容易性の観点から、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、2−メトキシプロピル(メタ)アクリルアミド、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(エチレンオキサイドの平均付加モル数=9)、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(エチレンオキサイドの平均付加モル数=2)、アクリルアミド、メタクリルアミド、4−ビニルピリジン及び2−ビニルピリジンから選ばれる少なくとも1種以上が好ましく、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(エチレンオキサイドの平均付加モル数=9)、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(エチレンオキサイドの平均付加モル数=2)、アクリルアミド、メタクリルアミド及び4−ビニルピリジンから選ばれる少なくとも1種以上がより好ましく、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(エチレンオキサイドの平均付加モル数=2)(PEGMA(EO2))、メタクリルアミド(MAAm)及び4−ビニルピリジン(4−Vpy)から選ばれる少なくとも1種がさらに好ましい。
前記共重合体の全構成単位中の構成単位Bの含有量は、前記共重合体の有機溶媒への溶解性向上の観点及びCNTの分散性向上の観点から、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上であり、同様の観点から、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、さらに好ましくは65質量%以下である。尚、本開示において、前記共重合体の全構成単位における構成単位Bの含有量は、重合に用いるモノマー全量に対するモノマーBの使用量の割合とみなすことができる。
前記共重合体における、構成単位Aと構成単位Bの質量比(構成単位B/構成単位A)は、CNTの分散性向上の観点から、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.3以上、さらに好ましくは0.6以上、よりさらに好ましくは0.8以上であり、同様の観点から、好ましくは9以下、より好ましくは4以下、さらに好ましくは2以下、よりさらに好ましくは1.5以下である。
非イオン性高分子分散剤は、本発明の効果が奏される限り、構成単位A及び構成単位B以外の構成単位を更に含んでいてもよい。非イオン性高分子分散剤中の、構成単位Aと構成単位Bの含有量の合計は、CNTの分散性向上の観点から、好ましくは80質量%以上、 より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは98質量%以上、よりさらに好ましくは実質的に100質量%、よりさらに好ましくは100質量%である。ここで、「実質的に」とは、原料となるモノマー等に構成単位A及び構成単位B以外の由来のモノマーが含有されて、不可避的に含まれる場合をいう。
構成単位Aと構成単位Bの好ましい組み合わせは、CNTの分散性向上の観点から、下記が挙げられる。
・SMA/HEMA
・SMA/PEGMA(EO2)/HEMA
・SMA/PEGMA(EO2)/MAAm
・SMA/4−Vpy
・SMA/4−Vpy/MAAm
・SMA/HEMA/MAAm
・SMA/2−Vpy
前記共重合体の合成方法は特に限定されず、通常の(メタ)アクリル酸エステル等のモノマー、及びビニルモノマーの重合に使用される方法が用いられる。例えば、フリーラジカル重合法、リビングラジカル重合法、アニオン重合法、リビングアニオン重合法である。例えば、フリーラジカル重合法を用いる場合は、モノマーA及びモノマーB2〜B4を含むモノマー成分を溶液重合法で重合させるなど、公知の方法で得ることができる。
溶液重合に用いられる溶媒としては、例えば炭化水素(ヘキサン、ヘプタン)、芳香族系炭化水素(トルエン、キシレン等)、低級アルコール(エタノール、イソプロパノール等)、ケトン(アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル)、N−メチルピロリドン等の有機溶媒を使用することができる。溶媒量は、モノマー全量に対する質量比で、0.5〜10倍量が好ましい。
重合開始剤としては、公知のラジカル重合開始剤を用いることができ、例えばアゾ系重合開始剤、ヒドロ過酸化物類、過酸化ジアルキル類、過酸化ジアシル類、ケトンぺルオキシド類等が挙げられる。重合開始剤量は、モノマー成分全量に対し0.01〜5モル%が好ましく、0.05〜4モル%がより好ましく、0.1〜3モル%が特に好ましい。重合反応は、窒素気流下、40〜180℃の温度範囲で行うのが好ましく、反応時間は0.5〜20時間が好ましい。
また、分子量を調整するための、公知の連鎖移動剤を用いることができる。例えば、イソプロピルアルコールや、メルカプトエタノール等のメルカプト化合物が挙げられる。
共重合体の場合において、構成単位A及び構成単位Bの配列は、ランダム、ブロック、又はグラフトのいずれでも良い。また、これら構成単位以外の構成単位を含んでいてもよい。
非イオン性高分子分散剤は、正極組成物及びCNT分散液の粘度低減の観点及び電池の体積抵抗率低減の観点から、好ましくはビニル系ポリマー及びアクリル系ポリマーから選ばれる少なくとも1種以上、より好ましくはアクリル系ポリマーから選ばれる1種以上である。
非イオン性高分子分散剤は、正極組成物及びCNT分散液の粘度低減の観点及び電池抵抗低減の観点から、好ましくはHEC、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロース、PVA、PVP、PVB、ポリビニルピリジン、酢酸ビニル・ビニルピロリドン共重合体、及び構成単位Aと構成単位Bを含む共重合体から選ばれる少なくとも1種以上の非イオン性高分子分散剤、より好ましくはHEC、PVA、PVP、PVB、及び構成単位Aと構成単位Bを含む共重合体から選ばれる少なくとも1種以上の非イオン性高分子分散剤、さらに好ましくは構成単位Aと構成単位Bを含む共重合体から選ばれる少なくとも1種以上の非イオン性高分子分散剤、よりさらに好ましくはSMA由来の構成単位AとHEMA、PEGMA(EO2)、MAAm及び4−Vpyから選ばれる少なくとも1種以上のモノマー由来の構成単位Bを含む共重合体から選ばれる1種以上の非イオン性高分子分散剤、よりさらに好ましくはSMA/HEMA共重合体、SMA/PEGMA(EO2)/HEMA共重合体、SMA/PEGMA(EO2)/MAAm共重合体、SMA/4−Vpy共重合体及びSMA/4−Vpy/MAAm共重合体から選ばれる1種以上である。
非イオン性高分子分散剤の重量平均分子量は、CNTの分散性向上の観点から、好ましくは5,000以上、より好ましくは10,000以上、さらに好ましくは15,000以上であり、そして、同様の観点から、好ましくは1,000,000以下、より好ましくは500,000以下、さらに好ましくは100,000以下、よりさらに好ましくは80,000以下である。なお、重量平均分子量はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定した値であり、測定条件の詳細は実施例に示す通りである。
本発明の正極組成物中の非イオン性高分子分散剤の含有量は、CNTの分散性向上の観点から、好ましくは0.01質量%以上、よりが好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.10質量%以上であり、電池抵抗低減の観点から、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、さらに好ましくは0.3質量%以下である。非イオン性高分子分散剤が2種以上の組合せである場合、非イオン性高分子分散剤の含有量はそれらの合計含有量である。
本発明の正極組成物の全固形分における非イオン性高分子分散剤の含有量は、CNTの分散性向上の観点から、好ましくは0.05質量%以上、よりが好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.15質量%以上であり、電池抵抗低減の観点から、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.6質量%以下、さらに好ましくは0.4質量%以下である。
本発明の正極組成物中の非イオン性高分子分散剤の含有量は、正極組成物中のCNT100質量部に対して、CNTの分散性向上の観点から、好ましくは1質量部以上、より好ましく5質量部以上、さらに好ましくは10質量部以上であり、電池抵抗低減の観点から、好ましくは100質量部以下、より好ましくは50質量部以下、さらに好ましくは30質量部以下である。
(e)添加剤(水酸化リチウム及び弱酸のリチウム塩)
本発明の正極組成物に含まれる添加剤は、水酸化リチウム及び弱酸のリチウム塩から選ばれる少なくとも1種のリチウム化合物である。添加剤としては、正極組成物の保存安定性の観点から、弱酸のリチウム塩の方が好ましい。添加剤は、1種でもよいし、2種以上の組合せでもよい。
本開示において弱酸とは水中での酸解離定数pKa≧0を示す酸をいう。一例を挙げれば、酢酸のpKa=4.6、炭酸のpKa=6.4、シュウ酸のpKa=1.0、クエン酸のpKa=3.1、安息香酸のpKa=4.0等が挙げられる。とくにpKa≧4.0である弱酸として酢酸、炭酸、安息香酸が挙げられる。
一方で、強酸とは水中での酸解離定数pKa<0を示す酸をいい、塩酸のpKa=−3.7、硝酸のpKa=−1.8、臭化水素のpKa=−4.1が挙げられる。
弱酸(水中での酸解離定数pKa≧0を示す酸)のリチウム塩が、強酸(水中での酸解離定数pKa<0を示す酸)のリチウム塩に比べ、減粘効果に優れる理由は明らかでないが、以下のように考えられる。
弱酸のリチウム塩は、強酸のリチウム塩に比べ、リチウムイオンが遊離しやすく、CNT表面に存在するカルボン酸基等の極性基内の水素とイオン交換をしやすく、その結果、CNT同士に生じる水素結合を抑制し、CNT同士の凝集を抑制し、減粘効果がより強く生じたものと推測される。
弱酸のリチウム塩としては、例えば、酢酸リチウム、炭酸リチウム、シュウ酸リチウム、クエン酸リチウム、酢酸リチウム・二水和物、安息香酸リチウム等が挙げられる。これらのなかでも、CNTの分散性向上と正極組成物の保存安定性を両立する観点から、酢酸リチウム、酢酸リチウム・二水和物、安息香酸リチウム及び炭酸リチウムから選ばれる少なくとも1種類の添加剤が好ましく、安息香酸リチウムがより好ましい。また、正電池抵抗低減の観点から、酢酸リチウム、安息香酸リチウムが好ましい。
本発明の正極組成物中の水酸化リチウム及び弱酸のリチウム塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤の含有量は、正極組成物の粘度低減の観点及びCNTの分散性向上の観点から、好ましくは0.0001質量%以上、より好ましくは0.0005質量%以上、さらに好ましくは0.001質量%以上であり、水酸化リチウム及び弱酸のリチウム塩の有機溶媒への溶解性の観点及び正極組成物の保存安定性の観点から、好ましくは0.03質量%以下、より好ましくは0.01質量%以下、さらに好ましくは0.005質量%以下である。添加剤が2種以上の組合せである場合、添加剤の含有量はそれらの合計含有量をいう。
本発明の正極組成物の全固形分における水酸化リチウム及び弱酸のリチウム塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤の含有量は、正極組成物の粘度低減の観点及びCNTの分散性向上の観点から、好ましくは0.0005質量%以上、より好ましくは0.001質量%以上、さらに好ましくは0.0015質量%以上であり、水酸化リチウム及び弱酸のリチウム塩の有機溶媒への溶解性の観点及び正極組成物の保存安定性の観点から、好ましくは0.03質量%以下、より好ましくは0.01質量%以下、さらに好ましくは0.005質量%以下である。
本発明の正極組成物中の水酸化リチウム及び弱酸のリチウム塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤の含有量は、正極組成物の粘度低減の観点及びCNTの分散性向上の観点から、CNT100質量部に対して、好ましくは0.2質量部以上、より好ましくは0.3質量部以上、さらに好ましくは0.5質量部以上であり、水酸化リチウム及び弱酸のリチウム塩の有機溶媒への溶解性の観点及び正極組成物の保存安定性の観点から、好ましくは5質量部以下、より好ましくは3質量部以下、さらに好ましくは2質量部以下である。
本発明の正極組成物中の水酸化リチウム及び弱酸のリチウム塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤の含有量は、正極組成物の粘度低減の観点及びCNTの分散性向上の観点から、非イオン性高分子分散剤100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、さらに好ましくは3質量部以上であり、水酸化リチウム及び弱酸のリチウム塩の有機溶媒への溶解性の観点及び正極組成物の保存安定性の観点から、好ましくは20質量部以下、より好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは7質量部以下である。
本発明の正極組成物中の水酸化リチウム及び弱酸のリチウム塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤由来のLi含有量は、正極組成物の粘度低減の観点及びCNTの分散性向上の観点から、好ましくは0.00001質量%以上、より好ましくは0.00003質量%以上、さらに好ましくは0.00005質量%以上であり、水酸化リチウム及び弱酸のリチウム塩の有機溶媒への溶解性の観点及び正極組成物の保存安定性の観点から、好ましくは0.003質量%以下、より好ましくは0.002質量%以下、さらに好ましくは0.001質量%以下である。
本発明の正極組成物中の水酸化リチウム及び弱酸のリチウム塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤由来のLi含有量は、正極組成物の粘度低減の観点及びCNTの分散性向上の観点から、CNT100質量部に対して、好ましくは0.005質量部以上、より好ましくは0.015質量部以上、さらに好ましくは0.03質量部以上であり、水酸化リチウム及び弱酸のリチウム塩の有機溶媒への溶解性の観点及び正極組成物の保存安定性の観点から、好ましくは1.5質量部以下、より好ましくは1質量部以下、さらに好ましくは0.5質量部以下である。
本発明の正極組成物中の水酸化リチウム及び弱酸のリチウム塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤由来のLi含有量は、正極組成物の粘度低減の観点及びCNTの分散性向上の観点から、非イオン性高分子分散剤100質量部に対して、好ましくは0.02質量部以上、より好ましくは0.05質量部以上、さらに好ましくは0.1質量部以上であり、水酸化リチウム及び弱酸のリチウム塩の有機溶媒への溶解性の観点及び正極組成物の保存安定性の観点から、好ましくは7質量部以下、より好ましくは5質量部以下、さらに好ましくは3質量部以下である。
(f)有機溶媒
有機溶媒は、結着剤を溶解できるものであることが好ましい。具体的には、前記有機溶媒は、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチルピロリドン(NMP)などのアミド系極性有機溶媒;メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール(イソプロピルアルコール)、1−ブタノール(n−ブタノール)、2−メチル−1−プロパノール(イソブタノール)、2−ブタノール(sec−ブタノール)、1−メチル−2−プロパノール(tert−ブタノール)、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、またはオクタノールなどのアルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、またはヘキシレングリコールなどのグリコール類;グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、またはソルビトールなどの多価アルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、またはテトラエチレングリコールモノブチルエーテルなどのグリコールエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、またはシクロペンタノンなどのケトン類;酢酸エチル、γ−ブチルラクトン、およびε−プロピオラクトンなどのエステル類などが挙げられ、これらのいずれか1種または2種以上の混合物が使用できる。
結着剤がPVDF(ポリフッ化ビニリデン樹脂)である場合、前記有機溶媒は、結着剤に対して高い溶解性を示す観点から、N−メチルピロリドン(NMP)が好ましい。
本発明の正極組成物中の有機溶媒の含有量は、結着剤を溶解させる観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上であり、正極活物質の濃度を向上させる観点から、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下である。有機溶媒が2種以上の混合物である場合、有機溶媒の含有量はそれらの合計含有量である。
[正極組成物の粘度]
本発明の正極組成物の25℃における粘度は、塗工性向上の観点から、好ましくは1Pa・s以上、より好ましくは1.5Pa・s以上、さらに好ましくは2Pa・s以上であり、同様の観点から、好ましくは8Pa・s以下、より好ましくは7Pa・s以下、さらに好ましくは5Pa・s以下である
[正極組成物の製造方法]
本発明の正極組成物の製造方法は、1つの態様として、以下の工程を含む正極組成物の製造方法Aが挙げられる。
工程1A:(c)カーボンナノチューブ、(d)非イオン性高分子分散剤、(e)水酸化リチウム及び弱酸のリチウム塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤、並びに(f)有機溶媒を混合し、分散処理を行い、カーボンナノチューブ分散液を調製する工程。
工程2A:前記カーボンナノチューブ分散液、(a)正極活物質、及び(b)結着剤を混合し、分散処理を行い、正極組成物を得る工程。
工程1Aにおいて、例えば、(c)カーボンナノチューブ、(d)非イオン性高分子分散剤、(e)水酸化リチウム及び弱酸のリチウム塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤、並びに(f)有機溶媒を、公知の方法で配合し、混合分散機等を用いて(c)カーボンナノチューブを(f)有機溶媒に分散させることによりカーボンナノチューブ分散液を製造できる。(c)カーボンナノチューブ、(d)非イオン性高分子分散剤、(e)水酸化リチウム及び弱酸のリチウム塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤、並びに(f)有機溶媒は、同時に混合してもよく、別々に混合してもよい。別々に混合する場合は、任意の順序で混合することができる。また、各成分は、全量を一度に投入せずに、複数回に分けて投入することもできる。また、予め、(d)非イオン性高分子分散剤、(e)水酸化リチウム及び弱酸のリチウム塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤、並びに(f)有機溶媒を含むカーボンナノチューブ用添加剤組成物(以下、「本発明のCNT用添加剤組成物」ともいう)を調製し、当該添加剤組成物と(c)カーボンナノチューブとを混合してもよい。
混合分散機としては、例えば、超音波ホモジナイザー、振動ミル、ジェットミル、ボールミル、ビーズミル、サンドミル、ロールミル、ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、超音波装置、アトライター、デゾルバー、及びペイントシェーカー等から選ばれる少なくとも1種が挙げられるが、分散性向上の観点から、高圧ホモジナイザーを用いてCNTを分散することが好ましい。CNT分散液の調製に用いるCNTの状態は、乾燥状態でもよいし、溶媒を含んだ状態であってもよい。当該溶媒は、(f)有機溶媒と同じものであることが好ましい。
本発明のCNT用添加剤組成物は、(d)非イオン性高分子分散剤、(e)水酸化リチウム及び弱酸のリチウム塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤、並びに(f)有機溶媒を含む。
本発明のCNT用添加剤組成物中の非イオン性高分子分散剤の含有量は、経済性の観点及びCNT分散液並びに正極組成物の処方の自由度の観点から、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上であり、非イオン性高分子分散剤、水酸化リチウム及び弱酸のリチウム塩の有機溶媒への溶解性の観点から、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは2質量%以下である。
本発明のCNT用添加剤組成物中の水酸化リチウム及び弱酸のリチウム塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤の含有量は、経済性の観点及びCNT分散液並びに正極組成物の処方の自由度の観点から、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.005質量%以上、さらに好ましくは0.01質量%以上であり、非イオン性高分子分散剤、水酸化リチウム及び弱酸のリチウム塩の有機溶媒への溶解性の観点から、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以下である。
本発明のCNT用添加剤組成物中の水酸化リチウム及び弱酸のリチウム塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤の含有量は、正極組成物及びCNT分散液の粘度低減の観点並びにCNTの分散性向上の観点から、非イオン性高分子分散剤100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、さらに好ましくは3質量部以上であり、水酸化リチウム及び弱酸のリチウム塩の有機溶媒への溶解性の観点から、好ましくは20質量部以下、より好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは7質量部以下である。
なお、本発明のカーボンナノチューブ分散液の好ましい態様については、後述する。
工程2Aにおいて、例えば、CNT分散液、(a)正極活物質、及び(b)結着剤を、公知の方法で配合し、混合分散機等を用いて、(a)正極活物質をCNT分散液に分散させることにより正極組成物を製造できる。CNT分散液、(a)正極活物質、及び(b)結着剤は、同時に混合してもよく、別々に混合してもよい。別々に混合する場合は、任意の順序で混合することができる。また、各成分は、全量を一度に投入せずに、複数回に分けて投入することもできる。また、必要に応じて、(f)有機溶媒を加えることもできる。工程1Aで得たCNT分散液に、(a)正極活物質及び(b)結着剤を混合することが好ましく、(b)結着剤、(a)正極活物質の順に混合することがより好ましい。
工程2Aにおいて、混合分散機の好ましい態様は、工程1Aで記載した態様を同じである。
本発明の正極組成物の製造方法は、別の態様として、以下の工程を含む正極組成物の製造方法Bが挙げられる。
工程B:(a)正極活物質、(b)結着剤、(c)カーボンナノチューブ、(d)非イオン性高分子分散剤、(e)水酸化リチウム及び弱酸のリチウム塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤、並びに(f)有機溶媒を混合し、分散処理を行い、正極組成物を調製する工程。
工程Bにおいて、例えば、(a)正極活物質、(b)結着剤、(c)カーボンナノチューブ、(d)非イオン性高分子分散剤、(e)水酸化リチウム及び弱酸のリチウム塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤、並びに(f)有機溶媒を、公知の方法で配合し、混合分散機等を用いて、(a)正極活物質、(c)カーボンナノチューブを(f)有機溶媒に分散させることにより正極組成物を製造できる。(a)正極活物質、(b)結着剤、(c)カーボンナノチューブ、(d)非イオン性高分子分散剤、(e)水酸化リチウム及び弱酸のリチウム塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤、並びに(f)有機溶媒は、同時に混合してもよく、別々に混合してもよい。別々に混合する場合は、任意の順序で混合することができる。また、各成分は、全量を一度に投入せずに、複数回に分けて投入することもできる。
好ましくは、予め(c)カーボンナノチューブ、(d)非イオン性高分子分散剤、及び(f)有機溶媒を混合してCNT分散液を製造し、このCNT分散液と、(a)正極活物質、(b)結着剤及び(e)水酸化リチウム及び弱酸のリチウム塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤を混合して正極組成物を得る。CNT分散液と、(a)正極活物質、(b)結着剤及び(e)水酸化リチウム及び弱酸のリチウム塩は、同時に混合してもよく、別々に混合してもよい。別々に混合する場合は、任意の順序で混合することができる。
工程Bにおいて、混合分散機の好ましい態様は、工程1Aで記載した態様を同じである。
[カーボンナノチューブ分散液]
本発明は、一態様において、(c)カーボンナノチューブ、(d)非イオン性高分子分散剤、(e)水酸化リチウム及び弱酸のリチウム塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤、及び(f)有機溶媒を含む、カーボンナノチューブ分散液(以下、「本発明のCNT分散液」ともいう)に関する。本発明のCNT分散液によれば、(e)水酸化リチウム及び弱酸のリチウム塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤を含有することにより、CNT分散液の粘度を低減することができる。
本発明のCNT分散液中のCNTの含有量は、正極組成物の濃度調整の利便性向上の観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、さらにより好ましくは3質量%以上であり、分散液を取り扱いやすい粘度とする観点から、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7質量%以下、さらに好ましくは6質量%以下である。
本発明のCNT分散液中の非イオン性高分子分散剤の含有量は、CNTの分散性向上の観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、さらにより好ましくは0.5質量%以上であり、電池抵抗低減の観点から、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下、さらに好ましくは1.5質量%以下である。
本発明のCNT分散液中の非イオン性高分子分散剤の含有量は、CNT100質量部に対して、CNTの分散性向上の観点から、好ましくは1質量部以上、より好ましく5質量部以上、さらに好ましくは10質量部以上であり、電池抵抗低減の観点から、好ましくは100質量部以下、より好ましくは50質量部以下、さらに好ましくは30質量部以下である。
本発明のCNT分散液中の水酸化リチウム及び弱酸のリチウム塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤の含有量は、CNT分散液の粘度低減の観点から、好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、さらにより好ましくは0.03質量%以上であり、水酸化リチウム及び弱酸のリチウム塩の有機溶媒への溶解性の観点、CNT分散液の保存安定性及び経済性の観点から、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.3質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以下である。
本発明のCNT分散液中の水酸化リチウム及び弱酸のリチウム塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤の含有量は、CNT分散液の粘度低減の観点から、CNT100質量部に対して、好ましくは0.2質量部以上、より好ましくは0.3質量部以上、さらに好ましくは0.5質量部以上であり、水酸化リチウム及び弱酸のリチウム塩の有機溶媒への溶解性の観点、CNT分散液の安定性及び経済性の観点から、好ましくは5質量部以下、より好ましくは3質量部以下、さらに好ましくは2質量部以下である。
本発明のCNT分散液中の水酸化リチウム及び弱酸のリチウム塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤の含有量は、CNT分散液の粘度低減の観点から、非イオン性高分子分散剤100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、さらに好ましくは3質量部以上であり、水酸化リチウム及び弱酸のリチウム塩の有機溶媒への溶解性の観点、CNT分散液の安定性及び経済性の観点から、好ましくは20質量部以下、より好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは7質量部以下である。
本発明のCNT分散液中の水酸化リチウム及び弱酸のリチウム塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤由来のLi含有量は、CNT分散液の粘度低減の観点から、CNT100質量部に対して、好ましくは0.005質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上、さらに好ましくは0.03質量部以上であり、水酸化リチウム及び弱酸のリチウム塩の有機溶媒への溶解性の観点、CNT分散液の安定性及び経済性の観点から、好ましくは1質量部以下、より好ましくは0.7質量部以下、さらに好ましくは0.5質量部以下である。
本発明のCNT分散液中の水酸化リチウム及び弱酸のリチウム塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤由来のLi含有量は、CNT分散液の粘度低減の観点から、非イオン性高分子分散剤100質量部に対して、好ましくは0.05質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上、さらに好ましくは0.15質量部以上であり、水酸化リチウム及び弱酸のリチウム塩の有機溶媒への溶解性の観点、CNT分散液の安定性及び経済性の観点から、好ましくは5質量部以下、より好ましくは3質量部以下、さらに好ましくは2質量部以下である。
本発明のCNT分散液の25℃における粘度は、正極組成物調製時のハンドリング性向上の観点から、好ましくは500Pa・s以下、より好ましくは300Pa・s以下、さらに好ましく100Pa・s以下、よりさらに好ましくは80Pa・s以下である。CNT分散液の25℃における粘度は低い方が好ましく、下限値はないが、現実的な観点から、好ましくは1Pa・s以上、より好ましくは3Pa・s以上、さらに好ましく5Pa・s以上である。
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下の正極組成物、正極組成物の製造方法、カーボンナノチューブ分散液、およびカーボンナノチューブ用添加剤組成物を開示する。
<1> (a)正極活物質、(b)結着剤、(c)カーボンナノチューブ、(d)非イオン性高分子分散剤、(e)水酸化リチウム及び弱酸のリチウム塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤、並びに(f)有機溶媒を含む、正極組成物。
<2> (a)正極活物質、(b)結着剤、(c)カーボンナノチューブ、(d)非イオン性高分子分散剤、(e)水酸化リチウム及び水中での酸解離定数pKa≧0を示す酸のリチウム塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤、並びに(f)有機溶媒を含む、<1>に記載の正極組成物。
<3> (a)正極活物質、(b)結着剤、(c)カーボンナノチューブ、(d)非イオン性高分子分散剤、(e)水酸化リチウム及び水中での酸解離定数pKa≧0を示す酸のリチウム塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤、並びに(f)有機溶媒を含み、(e)の添加剤の含有量が、カーボンナノチューブ100質量部に対して、0.2質量部以上5質量部以下である、<1>または<2>に記載の正極組成物。
<4> (a)正極活物質、(b)結着剤、(c)カーボンナノチューブ、(d)非イオン性高分子分散剤、(e)水酸化リチウム及び水中での酸解離定数pKa≧0を示す酸のリチウム塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤、並びに(f)有機溶媒を含み、(e)の添加剤の含有量が、カーボンナノチューブ100質量部に対して、0.2質量部以上5質量部以下であり、(d)非イオン性高分子分散剤の含有量が、カーボンナノチューブ100質量部に対して、1質量部以上100質量部以下であり、(c)カーボンナノチューブの含有量が、0.01質量%以上3質量%以下である、<1>乃至<3>の何れか一つに記載の正極組成物。
<5> (a)正極活物質、(b)結着剤、(c)カーボンナノチューブ、(d)非イオン性高分子分散剤、(e)水酸化リチウム及び水中での酸解離定数pKa≧0を示す酸のリチウム塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤、並びに(f)有機溶媒を含み、(e)の添加剤の含有量が、カーボンナノチューブ100質量部に対して、0.2質量部以上5質量部以下であり、(d)非イオン性高分子分散剤の含有量が、カーボンナノチューブ100質量部に対して、1質量部以上100質量部以下であり、(c)カーボンナノチューブの含有量が、0.01質量%以上3質量%以下であり、(d)非イオン性高分子分散剤が、セルロース誘導体、ビニル系ポリマー及びアクリル系ポリマーから選ばれる少なくとも1種を含む、<1>乃至<4>の何れか一つに記載の正極組成物。
<6> (a)正極活物質、(b)結着剤、(c)カーボンナノチューブ、(d)非イオン性高分子分散剤、(e)水酸化リチウム及び水中での酸解離定数pKa≧0を示す酸のリチウム塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤、並びに(f)有機溶媒を含み、(e)の添加剤の含有量が、カーボンナノチューブ100質量部に対して、0.2質量部以上5質量部以下であり、(d)非イオン性高分子分散剤の含有量が、カーボンナノチューブ100質量部に対して、1質量部以上100質量部以下であり、(c)カーボンナノチューブの含有量が、0.01質量%以上3質量%以下であり、(d)非イオン性高分子分散剤がアクリル系ポリマーを含み、該アクリル系ポリマーが、一般式(1)で表される構成単位Aと、一般式(2)で表される構成単位、一般式(3)で表される構成単位及び一般式(4)で表される構成単位から選ばれる1種以上の構成単位Bとを含む共重合体である、<1>乃至<5>の何れか一つに記載の正極組成物。
<7> (d)非イオン性高分子分散剤が、重量平均分子量5,000以上1,000,000以下の非イオン性高分子分散剤を含む、<1>乃至<6>の何れか一つに記載の正極組成物。
<8> 以下の工程を含む、<1>乃至<7>の何れか一つに記載の正極組成物の製造方法。
工程1A:(c)カーボンナノチューブ、(d)非イオン性高分子分散剤、(e)水酸化リチウム及び弱酸のリチウム塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤、並びに(f)有機溶媒を混合し、分散処理を行い、カーボンナノチューブ分散液を調製する工程。
工程2A:前記カーボンナノチューブ分散液、(a)正極活物質、及び(b)結着剤を混合し、分散処理を行い、正極組成物を得る工程。
<9> 以下の工程を含む、<1>乃至<7>の何れか一つに記載の正極組成物の製造方法。
工程B:(a)正極活物質、(b)結着剤、(c)カーボンナノチューブ、(d)非イオン性高分子分散剤、(e)水酸化リチウム及び弱酸のリチウム塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤、並びに(f)有機溶媒を混合し、分散処理を行い、正極組成物を調製する工程。
<10> (c)カーボンナノチューブ、(d)非イオン性高分子分散剤、(e)水酸化リチウム及び弱酸のリチウム塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤、並びに(f)有機溶媒を含む、カーボンナノチューブ分散液。
<11> (c)カーボンナノチューブ、(d)非イオン性高分子分散剤、(e)水酸化リチウム及び水中での酸解離定数pKa≧0を示す酸のリチウム塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤、並びに(f)有機溶媒を含む、<10>に記載のカーボンナノチューブ分散液。
<12> (c)カーボンナノチューブ、(d)非イオン性高分子分散剤、(e)水酸化リチウム及び水中での酸解離定数pKa≧0を示す酸のリチウム塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤、並びに(f)有機溶媒を含み、(e)の添加剤の含有量が、カーボンナノチューブ100質量部に対して、0.2質量部以上5質量部以下である、<10>または<11>に記載のカーボンナノチューブ分散液。
<13> (c)カーボンナノチューブ、(d)非イオン性高分子分散剤、(e)水酸化リチウム及び水中での酸解離定数pKa≧0を示す酸のリチウム塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤、並びに(f)有機溶媒を含み、(e)の添加剤の含有量が、カーボンナノチューブ100質量部に対して、0.2質量部以上5質量部以下であり、(d)非イオン性高分子分散剤の含有量が、カーボンナノチューブ100質量部に対して、1質量部以上100質量部以下であり、(c)カーボンナノチューブの含有量が、1質量%以上10質量%以下である、<10>乃至<12>の何れか一つに記載のカーボンナノチューブ分散液。
<14> (c)カーボンナノチューブ、(d)非イオン性高分子分散剤、(e)水酸化リチウム及び水中での酸解離定数pKa≧0を示す酸のリチウム塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤、並びに(f)有機溶媒を含み、(e)の添加剤の含有量が、カーボンナノチューブ100質量部に対して、0.2質量部以上5質量部以下であり、(d)非イオン性高分子分散剤の含有量が、カーボンナノチューブ100質量部に対して、1質量部以上100質量部以下であり、(c)カーボンナノチューブの含有量が、1質量%以上10質量%以下であり、(d)非イオン性高分子分散剤が、セルロース誘導体、ビニル系ポリマー及びアクリル系ポリマーから選ばれる少なくとも1種を含む、<10>乃至<13>の何れか一つに記載のカーボンナノチューブ分散液。
<15> (c)カーボンナノチューブ、(d)非イオン性高分子分散剤、(e)水酸化リチウム及び水中での酸解離定数pKa≧0を示す酸のリチウム塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤、並びに(f)有機溶媒を含み、(e)の添加剤の含有量が、カーボンナノチューブ100質量部に対して、0.2質量部以上5質量部以下であり、(d)非イオン性高分子分散剤の含有量が、カーボンナノチューブ100質量部に対して、1質量部以上100質量部以下であり、(c)カーボンナノチューブの含有量が、1質量%以上10質量%以下であり、(d)非イオン性高分子分散剤がアクリル系ポリマーを含み、該アクリル系ポリマーが、一般式(1)で表される構成単位Aと、一般式(2)で表される構成単位、一般式(3)で表される構成単位及び一般式(4)で表される構成単位から選ばれる1種以上の構成単位Bとを含む共重合体である、<10>乃至<14>の何れか一つに記載のカーボンナノチューブ分散液。
<16> (d)非イオン性高分子分散剤が、重量平均分子量5,000以上1,000,000以下の非イオン性分散剤を含む、<10>乃至<15>の何れか一つに記載のカーボンナノチューブ分散液。
<17> (d)非イオン性高分子分散剤、(e)水酸化リチウム及び弱酸のリチウム塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤、並びに(f)有機溶媒を含む、カーボンナノチューブ用添加剤組成物。
<18> (d)非イオン性高分子分散剤、(e)水酸化リチウム及び水中での酸解離定数pKa≧0を示す酸のリチウム塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤、並びに(f)有機溶媒を含む、<17>に記載のカーボンナノチューブ用添加剤組成物。
<19> (d)非イオン性高分子分散剤、(e)水酸化リチウム及び水中での酸解離定数pKa≧0を示す酸のリチウム塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤、並びに(f)有機溶媒を含み、(e)の添加剤の含有量が、非イオン性高分子分散剤100質量部に対して、0.5質量部以上20質量部以下である、<17>又は<18>に記載のカーボンナノチューブ用添加剤組成物。
<20> (d)非イオン性高分子分散剤、(e)水酸化リチウム及び水中での酸解離定数pKa≧0を示す酸のリチウム塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤、並びに(f)有機溶媒を含み、(e)の添加剤の含有量が、非イオン性高分子分散剤100質量部に対して、0.5質量部以上20質量部以下であり、(d)非イオン性高分子分散剤の含有量が、0.05質量%以上5質量%以下である、<17>乃至<19>の何れか一つに記載のカーボンナノチューブ用添加剤組成物。
<21> (d)非イオン性高分子分散剤が、重量平均分子量5,000以上1,000,000以下の非イオン性分散剤を含む、<17>乃至<19>の何れか一つに記載のカーボンナノチューブ用添加剤組成物。
以下、本発明の実施例及び比較例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
[使用原料]
実施例及び比較例の高分子分散剤A〜I及びその原料、CNT並びに添加剤の詳細は、表1、表2及び下記の通りである。
(モノマー)
・SMA:メタクリル酸ステアリル(新中村化学工業社製、品番:NK−エステルS)(R4:C18H37)
・HEMA:2-ヒドロキシエチルメタクリレート(富士フイルム和光純薬株式会社製)
・PEGMA(EO2):メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(新中村化学工業社製、品番:NK−エステルM−20G、エチレンオキサイドの平均付加モル数=2)
・4−VPy:4−ビニルピリジン(東京化成工業製)
・MAAm:メタクリルアミド(東京化成工業社製)
(ホモポリマー)
・PVP(K−30):富士フイルム和光純薬株式会社製
・メチルセルロース(メトローズ4):信越化学工業株式会社製
・PVA(PVA−205):クラレ株式会社製
・PVB(エスレック BL-1):積水化学工業株式会社製
(その他の原料)
・NMP:N−メチル−2−ピロリドン(富士フイルム和光純薬株式会社製)
・V−65B:2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(富士フイルム和光純薬株式会社製)
(カーボンナノチューブ)
・CNT1:多層カーボンナノチューブBT1003M(LG化学社製;平均直径12nm、平均長さ40μm(カタログ値))
・CNT2:多層カーボンナノチューブGカーボンナノチューブs5(SUSN社製;平均直径5nm、平均長さ60μm(カタログ値))
(添加剤)
・酢酸Li・2H2O (富士フイルム和光純薬製)
・酢酸Li (富士フイルム和光純薬製)
・LiOH (富士フイルム和光純薬製)
・炭酸Li (富士フイルム和光純薬製)
・安息香酸Li (アルファ・エイサー製)
・LiCl (富士フイルム和光純薬製)(強酸のリチウム塩)
[高分子分散剤Aの合成例]
滴下用モノマー溶液1として、66.3gのSMA、及び38.7gのPEGMA(EO2)、49.4gのNMPからなる混合溶液、滴下用モノマー溶液2として、45.0gのMAAm、及び67.6gのNMPからなる混合溶液、滴下用開始剤溶液として2.5gのV−65B及び25.0gのNMPからなる混合溶液を作製した。
還流管、攪拌機、温度計、窒素導入管、及び滴下漏斗を取り付けたセパラブルフラスコ内を1時間以上窒素置換した。滴下用モノマー溶液1、滴下用モノマー溶液2、及び滴下用開始剤溶液を、各々、65℃の槽内に160分かけて槽内に滴下した。滴下終了後、更に槽内を65℃に維持しながら1時間撹拌した。その後、槽内を80℃まで昇温し、更に2時間撹拌した。次いで、83.0gのNMPを追加し、希釈を行うことで高分子分散剤A溶液を得た。その不揮発分は40質量%で、重量平均分子量は2.6万であった。
[高分子分散剤F〜Iの合成例]
滴下用モノマー溶液1、滴下用モノマー溶液2を表2−1に示す組成にしたこと以外は、[高分子分散剤Aの合成例]と同様にして、高分子分散剤F〜IのNMP溶液を、各々得た。尚、モノマーが2成分の場合は、滴下用モノマー溶液2の作製は省略した。高分子分散剤A、F〜Iのモノマー組成を表2−2に示す。
[高分子分散剤の重量平均分子量の測定]
高分子分散剤A〜Iの重量平均分子量は、GPC法により測定した。詳細な条件は以下の通りである。結果を表2−2に示す。
測定装置:HLC−8320GPC(東ソー社製)
カラム :α−M + α−M(東ソー社製)
カラム温度 :40℃
検出器 :示差屈折率
溶離液 :60mmol/LのH3PO4及び50mmol/LのLiBrのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)溶液
流速 :1mL/min
検量線に用いる標準試料 :ポリスチレン
試料溶液:共重合体の固形分を0.5wt%含有するDMF溶液
試料溶液の注入量 :100μL
Figure 2021163626
Figure 2021163626
Figure 2021163626
[CNT分散液1の調製]
高分子分散剤AのNMP溶液(40質量%品)5g(固形分2g)、及び酢酸リチウム・二水和物0.1gをNMP185gに溶解し、CNT用添加剤組成物を作製した。次に、CNT1 10gをCNT用添加剤組成物に加え、粗分散液を得た。得られた粗分散液を、分散時に背圧を負荷する多段圧力制御装置(多段降圧器)を有する高圧ホモジナイザー「BERYU MINI」(株式会社美粒製)に充填し、100MPaの圧力で分散処理を行った。具体的には、背圧を負荷しつつ、粗分散液にせん断力を与えてCNT1を分散させてCNT分散液1を得た。なお、分散処理は、分散液を高圧ホモジナイザーから排出させて再び高圧ホモジナイザーに注入するという循環をさせながら行い、当該循環は20回行った。分散液の排出及び注入速度は30g/分とした。
[CNT分散液2〜17の調製]
表3に示すCNT、高分子分散剤及び添加剤を用いた以外は、CNT分散液1と同様に行い、CNT分散液2〜17を得た。なお、CNT分散液15及び16では、添加剤を用いなかった。
Figure 2021163626
[実施例1]
CNT分散液1の0.62g、NMP2.5g、PVDF(8%)NMP溶液「KFポリマーL#7208」(株式会社クレハ製)1.9gを50mlのサンプルビンに秤取り、スパーテルで均一にかき混ぜた。その後、正極活物質としてコバルト酸リチウム「セルシード C−8hV」(日本化学工業製)12gを添加し、再度スパーテルで均一になるまでかき混ぜた。さらに自転公転ミキサー「AR−100」(株式会社 シンキー製)にて10分間撹拌し、実施例1の正極組成物を得た。なお、正極組成物の固形分量とは、正極組成物が含有する、共重合体、正極活物質、導電剤及び結着剤からなる材料の固形分の質量%である。
[実施例2〜14及び比較例1〜3]
CNT分散液2〜17を用いた以外は、実施例1と同様に行い、実施例2〜14及び比較例1〜3の正極組成物を得た。
[実施例15]
CNT分散液15を0.62g、NMP2.41g、PVDF(8%)NMP溶液(KFポリマーL#7208、株式会社クレハ製)1.9gを50mlのサンプルビンに秤取り、スパーテルで均一にかき混ぜた。その後、正極活物質としてLCO(コバルト酸リチウム、日本化学工業製、セルシード C−8hV)12gを添加し、再度スパーテルで均一になるまでかき混ぜて、正極活物質含有組成物を得た。その後、予めNMPに溶解した安息香酸リチウム0.0018g(濃度2%のNMP溶液で0.0918g)を添加した。さらに自転公転ミキサー(AR−100 株式会社 シンキー製)にて10分間撹拌し、実施例15の正極組成物を得た。
[正極組成物の粘度測定]
正極組成物の25℃における粘度は、Anton Paar社のMCR302レオメーターに、パラレルプレートPP50を装着し、せん断速度0.1〜1000 (1/s)まで測定し、せん断速度1(1/s)における粘度を測定した。結果を表4に示す。
[正極塗膜抵抗値の測定]
正極組成物を、ポリエステルフィルムに垂らし、100μmのアプリケータで均一に塗工した。この塗工したポリエステルフィルムを100℃で1時間乾燥し厚み40μmの正極塗膜を得た。
PSPプローブを装着したLoresta-GP(三菱ケミカルアナリテック製)にて限界電圧10vにて体積抵抗値を測定した。結果を表4に示す。
[正極組成物の安定性測定]
正極組成物を調製後、40℃にて14日間保存し、保存後の正極組成物の25℃における粘度を測定し、保存安定性の指標とした。結果を表4に示す。なお、比較例2及び比較例3の正極組成物の粘度は調製直後から既に高いため、保存安定性の評価は省略した。
Figure 2021163626
表4に示す結果から明らかなように、実施例1〜15の正極組成物は、比較例1〜3の正極組成物に比べ、粘度が低く、保存安定性に優れることがわかる。また、アクリル系ポリマーである非イオン性高分子分散剤A、F〜Iを用いた実施例1、2、7〜15の正極組成物は体積抵抗率が低く、導電性に優れている。
[実施例16〜29及び比較例4〜6]
表3で得たCNT分散液1〜17の粘度を正極組成物の粘度測定と同じ方法で測定した。結果を表5に示す。
Figure 2021163626
表5に示す結果から明らかなように、実施例16〜29のCNT分散液は、比較例4〜6のCNT分散液に比べ、粘度が低いことがわかる。
本開示の正極組成物は、水酸化リチウム及び弱酸のリチウム塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤を含むことにより、粘度が低減し、電池抵抗を低減できる。

Claims (18)

  1. (a)正極活物質、(b)結着剤、(c)カーボンナノチューブ、(d)非イオン性高分子分散剤、(e)水酸化リチウム及び弱酸のリチウム塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤、並びに(f)有機溶媒を含む、正極組成物。
  2. 弱酸のリチウム塩が、水中での酸解離定数pKa≧0を示す酸のリチウム塩である、請求項1に記載の正極組成物。
  3. 正極組成物中の(e)水酸化リチウム及び弱酸のリチウム塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤の含有量が、カーボンナノチューブ100質量部に対して、0.2質量部以上5質量部以下である、請求項1又は2に記載の正極組成物。
  4. (d)非イオン性高分子分散剤が、セルロース誘導体、ビニル系ポリマー及びアクリル系ポリマーから選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1から3のいずれかに記載の正極組成物。
  5. (d)非イオン性高分子分散剤が、アクリル系ポリマーを含み、該アクリル系ポリマーが、下記一般式(1)で表される構成単位、下記一般式(2)で表される構成単位、下記一般式(3)で表される構成単位、および下記一般式(4)で表される構成単位から選ばれる2種以上の構成単位を含む共重合体である、請求項1から4のいずれかに記載の正極組成物。
    Figure 2021163626
    但し、上記一般式(1)〜(4)中、R1、R2、R5、R6、R10、R11、R13及びR14は水素原子であり、R3、R7、R12及びR15はそれぞれ独立して水素原子又はメチル基であり、R4は炭素数8〜30の炭化水素基を示し、R8は炭素数2〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、R9は水素原子、メチル基又はエチル基であり、pは1〜50の数であり、X1及びX2はそれぞれ独立してOまたはNHであり、X3はピリジニル基、ピラジニル基、ピリミジル基又はピリダジノ基である。
  6. アクリル系ポリマーが、一般式(1)で表される構成単位Aと、一般式(2)で表される構成単位、一般式(3)で表される構成単位及び一般式(4)で表される構成単位から選ばれる1種以上の構成単位Bとを含む共重合体である、請求項5に記載の正極組成物。
  7. (d)非イオン性高分子分散剤が、重量平均分子量5,000以上1,000,000以下である非イオン性高分子分散剤を含む、請求項1から6のいずれかに記載の正極組成物。
  8. 正極組成物中の(d)非イオン性高分子分散剤の含有量が、カーボンナノチューブ100質量部に対して、1質量部以上100質量部以下である、請求項1から7のいずれかに記載の正極組成物。
  9. 正極組成物中の(c)カーボンナノチューブの含有量が、0.01質量%以上3質量%以下である、請求項1から8のいずれかに記載の正極組成物。
  10. 以下の工程を含む正極組成物の製造方法。
    工程1A:(c)カーボンナノチューブ、(d)非イオン性高分子分散剤、(e)水酸化リチウム及び弱酸のリチウム塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤、並びに(f)有機溶媒を混合し、分散処理を行い、カーボンナノチューブ分散液を調製する工程。
    工程2A:前記カーボンナノチューブ分散液、(a)正極活物質、及び(b)結着剤を混合し、分散処理を行い、正極組成物を得る工程。
  11. 以下の工程を含む正極組成物の製造方法。
    工程B:(a)正極活物質、(b)結着剤、(c)カーボンナノチューブ、(d)非イオン性高分子分散剤、(e)水酸化リチウム及び弱酸のリチウム塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤、並びに(f)有機溶媒を混合し、分散処理を行い、正極組成物を調製する工程。
  12. (c)カーボンナノチューブ、(d)非イオン性高分子分散剤、(e)水酸化リチウム及び弱酸のリチウム塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤、並びに(f)有機溶媒を含む、カーボンナノチューブ分散液。
  13. カーボンナノチューブ分散液中の(e)水酸化リチウム及び弱酸のリチウム塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤の含有量が、カーボンナノチューブ100質量部に対して、0.2質量部以上5質量部以下である、請求項12に記載のカーボンナノチューブ分散液。
  14. カーボンナノチューブ分散液中の(d)非イオン性高分子分散剤の含有量が、カーボンナノチューブ100質量部に対して、1質量部以上100質量部以下である、請求項12又は13に記載のカーボンナノチューブ分散液。
  15. カーボンナノチューブ分散液中の(c)カーボンナノチューブの含有量が、1質量%以上10質量%以下である、請求項12から14のいずれかに記載のカーボンナノチューブ分散液。
  16. (d)非イオン性高分子分散剤、(e)水酸化リチウム及び弱酸のリチウム塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤、並びに(f)有機溶媒を含む、カーボンナノチューブ用添加剤組成物。
  17. カーボンナノチューブ用添加剤組成物中の(e)水酸化リチウム及び弱酸のリチウム塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤の含有量が、非イオン性高分子分散剤100質量部に対して、0.5質量部以上20質量部以下である、請求項16のカーボンナノチューブ用添加剤組成物。
  18. カーボンナノチューブ用添加剤組成物中の(d)非イオン性高分子分散剤の含有量が、0.05質量%以上5質量%以下である、請求項16又は17に記載のカーボンナノチューブ用添加剤組成物。
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