JP2021163581A - 固体電解質組成物、それを用いた成形体、及び全固体二次電池 - Google Patents

固体電解質組成物、それを用いた成形体、及び全固体二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】高圧のみならず低圧でプレス成形した場合でも、優れたイオン電導性を示す固体電解質組成物を提供することを目的とする。【解決手段】周期律表第1族に属する金属イオンの伝導性を有する無機固体電解質と、下記一般式(I)で表されるカルボン酸エステル化合物とを含有することを特徴とする固体電解質組成物を提供する。(R1〜R4はそれぞれ独立しており、少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜12のアルキル基を表す。)【選択図】 なし

Description

本発明は、高圧のみならず低圧でプレス成形した場合でも、優れたイオン伝導性を示す固体電解質組成物、それを用いた成形体、及び全固体二次電池に関する。
近年、蓄電デバイス、特にリチウム電池は、携帯電話やノート型パソコン等の小型電子機器、電気自動車や電力貯蔵用として広く使用されている。尚、本明細書において、リチウム電池という用語は、いわゆるリチウムイオン二次電池も含む概念として用いる。
現在市販されているリチウム電池は、主にリチウムを吸蔵放出可能な材料を含む正極及び負極、リチウム塩と非水溶媒からなる非水電解液から構成され、非水溶媒としては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)等の環状カーボネート類やジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)等の鎖状カーボネート類が使用されている。リチウム電池はこのように可燃性の有機溶媒を含む電解液が使用されているため、液漏れの対策、また短絡時に発火する恐れがあることから短絡時の温度上昇を抑える安全装置の取り付け、短絡防止の構造が必要になる。
このような状況下で有機電解液に代えて、無機固体電解質を用いた全固体二次電池が注目されている。全固体電池は正極、負極および電解質すべてが固体からなるため、有機電解液を用いた電池の課題である安全性、信頼性をより改善できる可能性があり、また安全装置の簡略化が図れることから高エネルギー密度化が可能となるため、電気自動車や大型蓄電池等への応用が期待されている。
電解液を用いる従来のリチウムイオン電池とは異なり全固体電池では、優れたイオン伝導性や長期サイクル特性を実現するという観点より、良好な固体−固体界面を形成することが非常に重要である。良好な固−固界面を形成するために、固体電解質はそれ自身のイオン伝導性だけでなく、高い成形性を有することが非常に重要である。全固体電池に用いられる固体電解質材料として、ガーネット型で立方晶のLiLaZr12(LLZ)などの酸化物固体電解質が多く報告されており高いイオン伝導性を有することが示されているが、これらの酸化物固体電解質は高温での焼結をせずに加圧成型のみにより成形しただけでは、良好な固体−固体界面が形成できず、成形体の導電率が著しく減少してしまう。また高温での熱処理により成形体を緻密化することはできるが、電極合材層として使用する場合、電極材料と酸化物固体電解質が高温での熱処理時に反応する懸念がある。一方、LiS−Pなどからなる硫化物系固体電解質の場合、高い成形性を有しており、室温での加圧のみで、粒子同士の界面がほとんどなく空隙の少なく、比較的緻密な成形体が得られることが報告されている。硫化物系固体電解質はこの性質により固体電解質間および電極材料−電解質の界面を構築する上で高温での焼結が必要でなくなるため、電池製造のプロセスを簡素化でき、また熱処理によって生じる電極−電解質界面での反応も低減できることが期待される。更に電池製造のプロセスの簡素化に加え、全固体電池において良好な電極−電解質界面および電解質−電解質界面を形成し、空隙の少ない緻密な成形体を用いることで長期サイクルにおいても界面を良好に保持することができ、長期にわたって連続的なイオンおよび電子のパスを形成することができる。しかしながら上記のように硫化物系固体電解質を用いることで室温での加圧のみで成形体を緻密化することができるものの、成形体を緻密化するためには非常に高圧で成形する必要がある。非特許文献1にはLiS:P=75:25の硫化物系ガラスにおいて成型圧を変化させたときの成形体のイオン伝導度が報告されており、例えば成型圧を360MPaから180MPaにすると相対密度が低下しイオン伝導度が20%ほど低下することが報告されている。
A. Sakuda, A. Hayashi, and M. Tatsumisago, Sci. Rep., 3 (2013) 2261
本発明は、高圧のみならず低圧でプレス成形した場合でも、優れたイオン伝導性を示す固体電解質組成物、それを用いた成形体、及び全固体二次電池を提供するものである。
本発明者らは、低圧での成形によっても、優れたイオン伝導性を実現すべく、研究を重ねた結果、周期律表第1族に属する金属イオンの伝導性を有する無機固体電解質に特定のカルボン酸エステル化合物を含有させることで、低圧での成形においても簡便に高いイオン伝導性を示すものとすることができることを見出し、本発明を完成した。
本発明は、固体電解質組成物、それを用いた成形体、及び全固体二次電池に関する。
すなわち、本発明は、下記(1)〜(3)を提供するものである。
(1)周期律表第1族に属する金属イオンの伝導性を有する無機固体電解質と、下記一般式(I)で表されるカルボン酸エステル化合物を含有する固体電解質組成物。
Figure 2021163581
(R〜Rはそれぞれ独立しており、少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜12のアルキル基を表す。)
(2)固体電解質組成物を加圧することによって得られた成形体であって、前記成形体が(1)に記載の固体電解質組成物を含む成形体。
(3)正極活物質層、負極活物質層および固体電解質層を備えた全固体二次電池であって、前記正極活物質層、前記負極活物質層および前記固体電解質層の少なくとも1つの層が(1)に記載の固体電解質組成物を含む層である全固体二次電池。
本発明によれば、高圧のみならず低圧でのプレス成形においても優れたイオン伝導性を示す固体電解質組成物、それを用いた成形体、及び全固体二次電池を提供することができる。
本発明は、固体電解質組成物それを用いた成形体及び、全固体二次電池に関する。
〔固体電解質組成物〕
本発明の固体電解質組成物は、周期律表第1族に属する金属イオンの伝導性を有する無機固体電解質と、一般式(I)で表されるカルボン酸エステル化合物とを含有することを特徴とする。
〔周期律表〕
本発明の周期律表とは、IUPAC(国際純正応用化学連合)の規定に基づく長周期型の元素の周期律表をいう。
〔カルボン酸エステル化合物〕
本発明で用いるカルボン酸エステル化合物は、下記一般式(I)で表される。
Figure 2021163581
(R〜Rはそれぞれ独立しており、少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜12のアルキル基を表す。)
前記一般式(I)中のR〜Rはそれぞれ独立しており、少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜12のアルキル基を表す。なお、RとRとは、互いに結合し、環構造を形成していてもよい。
前記一般式(I)中のR〜Rとしては、炭素数1〜12のアルキル基(水素原子が置換されていないアルキル基)、炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基(少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子で置換されているアルキル基)が好適に挙げられ、より好ましくは炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のハロゲン化アルキル基である。R〜Rのいずれもが、炭素数1〜6のアルキル基である態様であるか、あるいは、R〜Rのいずれもが、炭素数1〜6のアルキル基であり、かつ、Rが、炭素数1〜6のハロゲン化アルキル基である態様であることがさらに好ましい。なお、炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基としては、カルボン酸エステル構造を構成する酸素原子と結合する炭素原子以外の炭素原子が、ハロゲン原子で置換されたものであることが好ましい。ハロゲン原子としては特に限定されないが、フッ素原子であることが好ましい。
一般式(I)としては、具体的に以下の化合物が好適に挙げられる。
Figure 2021163581
上記化合物の中でも好ましくは、ピバリン酸メチル(構造式1)、ピバリン酸エチル(構造式2)、ピバリン酸ブチル(構造式3)、ピバリン酸ヘキシル(構造式4)、ピバリン酸オクチル(構造式5)、ピバリン酸トリフルオロエチル(構造式8)、及び1−メチルシクロプロパン−1−カルボン酸メチル(構造式14)である。より好ましくは、ピバリン酸メチル(構造式1)、ピバリン酸エチル(構造式2)、ピバリン酸ブチル(構造式3)、ピバリン酸ヘキシル(構造式4)、及びピバリン酸トリフルオロエチル(構造式8)である。
本発明の固体電解質組成物が、低圧でのプレス成形においても優れたイオン伝導性を有する理由は必ずしも明確ではないが、以下のように考えられる。
本発明の固体電解質組成物は、周期律表第1族に属する金属イオンの伝導性を有する無機固体電解質と特定のカルボン酸エステル化合物とを含む。通常カルボン酸エステル化合物を多量に添加すると無機固体電解質、特に硫化物系固体電解質と複合化する際に過剰に溶解するとともにカルボン酸エステル化合物と反応してしまい、無機固体電解質が本来有する良好なイオン伝導性が得られない。一方で、本発明で用いるカルボン酸エステル化合物はカルボニル基の隣のα炭素上のすべての水素原子がアルキル基で置換された構造を備えるものである。そして、この構造により無機固体電解質との好ましくない反応が抑制されるとともに無機固体電解質を適度に溶解させることができる。これにより、低圧プレスにより成形される空隙の多い成形体においても、溶解した無機固体電解質で空隙が満たされ、優れたイオン伝導性を示すものと考えられる。そして、本発明の固体電解質組成物を用いることで、低圧での成形(たとえば、108〜180MPaの圧力での成形)においても優れたイオン伝導性を有する成形体ができることから、全固体二次電池に用いることで電池製造のプロセスを簡素化でき、更にそれほど強い拘束治具を使用せずに長期にわたって連続的なイオンのパスを形成することができるため、優れた電池特性を実現することが期待される。
本発明の固体電解質組成物において、前記一般式(I)で表されるカルボン酸エステル化合物のそれぞれの含有量は、固体電解質組成物全体100体積%に対して、0.05体積%以上、20体積%以下が好ましい。該含有量は、固体電解質組成物全体100体積%に対して、0.1体積%以上がより好ましく、1体積%以上がさらに好ましく、2.5体積%以上が特に好ましい。また、その上限は、18体積%以下がより好ましく、15体積%以下がさらに好ましく、13.5体積%以下が特に好ましい。
〔無機固体電解質〕
無機固体電解質は、無機の固体電解質のことであり、固体電解質とは、その内部においてイオンを移動させることができる固体状の電解質のことである。無機固体電解質は定常状態では固体であるため、通常カチオンおよびアニオンに解離または遊離していない。無機固体電解質は周期律表第1族に属する金属イオンの伝導性を有するものであれば特に限定されず電子伝導性をほとんど有さないものが一般的である。
本発明において、無機固体電解質は、周期律表第1族に属する金属イオンの伝導性を有する。無機固体電解質は、(A)硫化物系無機固体電解質と(B)酸化物無機固体電解質が代表例として挙げられる。本発明において、高いイオン伝導性を有し、室温での加圧のみで、粒界の少ない緻密な成形体ができるため、硫化物系固体電解質が好ましく用いられる。
(A)硫化物系無機固体電解質
硫化物系無機固体電解質は、硫黄原子(S)を含有し、かつ、周期律表第1族に属する金属イオンの伝導性を有し、かつ、電子絶縁性を有するものが好ましい。前記硫化物系無機固体電解質は周期律表第1族に属する金属元素を有する硫化物と下記一般式(II)で表される硫化物の少なくとも1種を反応させるにより製造することができ、一般式(II)で表される硫化物を2種以上併用しても良い。
Figure 2021163581
(MはP、Si、Ge、B、Al、Ga、及びSbのいずれかを示し、x及びyは、Mの種類に応じて、化学量論比を与える数を示す。)
前記周期律表第1族に属する金属元素を有する硫化物は硫化リチウム、硫化ナトリウム、および硫化カリウムのいずれかを示し、硫化リチウムおよび硫化ナトリウムがより好ましく、硫化リチウムが更に好ましい。
一般式(II)で表される硫化物としては、P、SiS、GeS、B、Al、GaおよびSbのいずれかであることが好ましく、Pが特に好ましい。
前記のように製造された硫化物系無機固体電解質における各元素の組成比は、前記周期律表第1族に属する金属元素を有する硫化物、前記一般式(II)で表される硫化物および単体硫黄の配合量を調整することにより制御できる。
本発明で用いる硫化物系無機固体電解質は非結晶ガラスであっても良く、結晶化ガラスであっても良く、結晶性材料であっても良い。
硫化物系無機固体電解質として、具体的に以下の組み合わせが好適に挙げられるが特に限定されない。
LiS−P、LiS−P−Al、LiS−GeS、LiS−Ga、LiS−GeS−Ga、LiS−GeS−P、LiS−GeS−Sb、LiS−GeS−Al、LiS−SiS、LiS−Al、LiS−SiS−Al、LiS−SiS−P、Li10GeP12
前記組み合わせのなかでも、LiS−Pを組み合わせて製造されるLPSガラスおよびLPSガラスセラミックスが好ましい。
前記周期律表第1族に属する金属元素を有する硫化物と前記一般式(II)で表される硫化物の混合割合は、固体電解質として使用可能であれば、特に限定されないが、50:50〜90:10(モル比)の割合であることが好ましい。前記周期律表第1族に属する金属元素を有する硫化物のモル比が50以上、90以下であれば十分にイオン伝導性を高めることができる。その混合比(モル比)は60:40〜80:40であることがより好ましく、70:30〜80:20が更に好ましい。
前記硫化物系無機固体電解質は、イオン伝導性を高めるために周期律表第1族に属する金属元素を有する硫化物と前記一般式(II)で表される硫化物以外に、LiI、LiBr、LiCl、及びLiFから選ばれる少なくとも1種のハロゲン化リチウムや酸化リチウム、リン酸リチウム等のリチウム塩を含んでも良い。ただし、前記硫化物系無機固体電解質とこれらリチウム塩の混合割合は、60:40〜95:5(モル比)の割合であることが好ましく、より好ましくは80:20〜95:5である。
また上記以外の硫化物系無機固体電解質として、LiPSClやLiPSBrなどのアルジェロダイト型固体電解質も好適に挙げられる。
前記硫化物系無機固体電解質の製造方法は、固相法、メカニカルミリング法、溶液法、溶液振とう法、溶融急冷法等が好適に挙げられるが特に限定されない。
(B)酸化物無機固体電解質
酸化物系無機固体電解質は、酸素原子を含有し、かつ、周期律表第1族に属する金属イオン伝導性を有し、かつ、電子絶縁性を有するものが好ましい。
酸化物無機固体電解質としては、例えば、LISICON(Lithium super ionic conductor)型結晶構造を有するLi3.5Zn0.25GeO、ペロブスカイト型結晶構造を有するLa0.55Li0.35TiO、NASICON(Natrium super ionic conductor)型結晶構造を有するLiTi12、ガーネット型結晶構造を有するLiLaZr12(LLZ)、リン酸リチウム(LiPO)、リン酸リチウムの酸素の一部を窒素で置換したLiPON、LiBO−LiSO、LiO−B−P、LiO−SiO、およびLiBaLaTa12等が好適に挙げられる。
無機固体電解質の体積平均粒径は特に限定されないが、0.01μm以上であることが好ましく、0.1μm以上であることがより好ましい。上限としては、100μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがより好ましい。
〔固体電解質組成物の調製方法〕
本発明の固体電解質組成物の調製方法は、特に限定されず、例えば、前記無機固体電解質の粉末に対して、特定の割合のカルボン酸エステル化合物を添加し遊星ミル等で混合する方法、無機固体電解質を含むスラリーにカルボン酸エステル化合物を添加する方法が好適に挙げられる。
本発明の固体電解質組成物は、全固体二次電池に使用することができる。
〔全固体二次電池〕
本発明の全固体二次電池は、正極、負極及び正極と負極間に位置する固体電解質層からなり、固体電解質層、正極、及び負極のいずれかに本発明の固体電解質組成物が含まれていれば正極、負極等の構成部材は特に制限なく使用できる。
〔固体電解質層〕
固体電解質層は、少なくとも固体電解質を含み、例えば、本発明の固体電解質組成物を含有してもよいし、正極、及び負極のどちらかに本発明の固体電解質組成物が含まれていれば、本発明の固体電解質組成物以外の固体電解質組成物を含有してもよい。また固体電解質層の成形方法は、特に限定されず、例えば、固体電解質の粉末とカルボン酸エステル化合物を加圧成型する方法や、固体電解質の粉末とカルボン酸エステル化合物を混合後、この固体電解質組成物スラリーを集電体のアルミニウム箔やステンレス製のラス板等に塗布して、乾燥、加圧成型する方法などが好適に挙げることができる。
例えば、リチウム二次電池用正極活物質としては、コバルト、マンガン、及びニッケルからなる群より選ばれる1種又は2種以上を含有するリチウムとの複合金属酸化物が使用される。これらの正極活物質は、1種単独で用いるか又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
このようなリチウム複合金属酸化物としては、例えば、LiCoO、LiCo1−x(但し、MはSn、Mg、Fe、Ti、Al、Zr、Cr、V、Ga、Zn、及びCuから選ばれる1種又は2種以上の元素、0.001≦x≦0.05)、LiMn、LiNiO、LiCo1−xNi(0.01<x<1)、LiCo1/3Ni1/3Mn1/3、LiNi0.5Mn0.3Co0.2、LiNi0.8Mn0.1Co0.1、LiNi0.8Co0.15Al0.05、LiMnOとLiMO(Mは、Co、Ni、Mn、Fe等の遷移金属)との固溶体、及びLiNi1/2Mn3/2から選ばれる1種以上が好適に挙げられ、2種以上がより好適である。また、LiCoOとLiMn、LiCoOとLiNiO、LiMnとLiNiOのように併用してもよい。
更に、正極活物質として、リチウム含有オリビン型リン酸塩を用いることもできる。特に鉄、コバルト、ニッケルおよびマンガンから選ばれる少なくとも1種以上含むリチウム含有オリビン型リン酸塩が好ましい。その具体例としては、LiFePO、LiCoPO、LiNiPO、LiMnPO等が挙げられる。
これらのリチウム含有オリビン型リン酸塩の一部は他元素で置換してもよく、鉄、コバルト、ニッケル、マンガンの一部をCo、Mn、Ni、Mg、Al、B、Ti、V、Nb、Cu、Zn、Mo、Ca、Sr、W及びZr等から選ばれる1種以上の元素での置換が可能であり、またはこれらの他元素を含有する化合物や炭素材料で被覆することもできる。これらの中では、LiFePOまたはLiMnPOが好ましい。
また、リチウム含有オリビン型リン酸塩は、例えば前記の正極活物質と混合して用いることもできる。
正極の導電剤は、化学変化を起こさない電子伝導材料であれば特に制限はない。例えば、天然黒鉛(鱗片状黒鉛等)、人造黒鉛等のグラファイト、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック等が挙げられる。また、グラファイトとカーボンブラックを適宜混合して用いてもよい。導電剤の正極合剤への添加量は、1〜10質量%が好ましく、特に2〜5質量%が好ましい。
〔正極活物質層〕
正極活物質層は、前記の正極活物質および固体電解質を少なくとも含有し、必要に応じてアセチレンブラック、カーボンブラック等の導電剤、及びポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレンとブタジエンの共重合体(SBR)、アクリロニトリルとブタジエンの共重合体(NBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、エチレンプロピレンジエンターポリマー等の結着剤等を含んでも良い。正極合剤層の成形方法は、特に限定されず、例えば、前記正極合剤の粉末を加圧成型する方法や正極合剤の粉末を溶剤に加えてスラリーにした後、この正極合剤を集電体のアルミニウム箔やステンレス製のラス板等に塗布して、乾燥、加圧成型する方法などが好適に挙げることができる。
リチウム二次電池用負極活物質としては、リチウム金属やリチウム合金、及びリチウムを吸蔵及び放出することが可能な炭素材料〔易黒鉛化炭素や、(002)面の面間隔が0.37nm(ナノメータ)以上の難黒鉛化炭素や、(002)面の面間隔が0.34nm以下の黒鉛など〕、スズ(単体)、スズ化合物、ケイ素(単体)、ケイ素化合物、LiTi12などのチタン酸リチウム化合物等を1種単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中では、リチウムイオンの吸蔵及び放出能力において、人造黒鉛や天然黒鉛等の高結晶性の炭素材料を使用することが更に好ましく、格子面(002)の面間隔(d002)が0.340nm以下、特に0.335〜0.337nmである黒鉛型結晶構造を有する炭素材料を使用することが特に好ましい。
また、高結晶性の炭素材料(コア材)はコア材よりも低結晶性の炭素材料によって被膜されていると、特性が一段と良好となるので好ましい。被覆の炭素材料の結晶性は、TEMにより確認することができる。
また、負極活物質としてのリチウムを吸蔵及び放出可能な金属化合物としては、Si、Ge、Sn、Pb、P、Sb、Bi、Al、Ga、In、Ti、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ag、Mg、Sr、Ba等の金属元素を少なくとも1種含有する化合物が挙げられる。これらの金属化合物は単体、合金、酸化物、窒化物、硫化物、硼化物、リチウムとの合金等、何れの形態で用いてもよいが、単体、合金、酸化物、リチウムとの合金の何れかが高容量化できるので好ましい。中でも、Si、Ge及びSnから選ばれる少なくとも1種の元素を含有するものが好ましく、Si及びSnから選ばれる少なくとも1種の元素を含むものが電池を高容量化できるので特に好ましい。
また、負極活物質としてのリチウムを吸蔵及び放出可能なチタン原子を含有する金属酸化物が挙げられる。これらのチタンを含有する金属酸化物は充放電時の膨張収縮が小さく、難燃性であるため、電池の安全性を高める面では好ましい。中でも、LiTi12を含有するものが電池特性を向上させるため好ましい。
〔負極活物質層〕
負極活物質層は、負極活物質および固体電解質を少なくとも含有し、上記の正極の作製と同様な導電剤、結着剤を含んでも良い。
負極合剤層の成形方法は、特に限定されず、例えば、前記負極合剤の粉末を加圧成型する方法や負極合剤の粉末を溶剤に加えてスラリーにした後、この負極合剤を集電体の銅箔等に塗布して、乾燥、加圧成型する方法などが好適に挙げることができる。
正極活物質および負極活物質の表面は別の金属酸化物で表面被覆されていてもよい。表面被覆剤としてはTi,Nb、Ta,W,Zr、Al,SiまたはLiを含有する金属酸化物等が挙げられる。具体的には、LiTi12,LiTi,LiTaO,LiNbO,LiAlO,LiZrO,LiWO,LiTiO,Li,LiPO,LiMoO,LiBO,LiBO,LiCO,LiSiO,SiO,TiO,ZrO,Al,B等が挙げられる。
リチウム電池の構造には特に限定はなく、単層または複層のセパレータを有するコイン型電池、円筒型電池、角型電池、ラミネート電池等を適用できる。
[実施例1]
〔硫化物系無機固体電解質の合成〕
アルゴン雰囲気下のグローブボックス内で、硫化リチウム(LiS)及び五硫化二リン(P)をLiS:P=75:25のモル比になるように秤量し、メノウ乳鉢で混合し、原料組成物を得た。
次に、80mLのジルコニアポットにジルコニアボール(直径5mm、160g)と得られた原料組成物2gを投入し、アルゴン雰囲気下で容器を密閉した。このポットを遊星型ボールミル機にセットし、回転数510rpmで16時間メカニカルミリングを行い、黄色粉体の硫化物系無機固体電解質(LPSガラス)を得た。
〔硫化物系固体電解質組成物の調製〕
80mLのジルコニアポットにジルコニアボール(直径4mm、20g)を投入し、上記で合成した硫化物系固体電解質(LPSガラス)とカルボン酸エステル化合物としてピバリン酸メチル(MTMA)をLPSガラス:MTMA=96:4の体積比になるように投入した。その後、このポットを遊星型ボールミル機にセットし、回転数200rpmで15分間撹拌を続け、実施例1の硫化物系固体電解質組成物を調製した。
[実施例2〜3、比較例1、参考例1]
カルボン酸エステル化合物として、下記表1に記載の化合物を使用し、その配合量を、表1に示す量に変えた以外は実施例1の硫化物系固体電解質組成物と同様にして、下記表1に記載の硫化物系固体電解質組成物を調製した。
〔硫化物系固体電解質組成物の各物性測定〕
上記硫化物系固体電解質組成物をそれぞれ100mg秤量し、これらの試料を、プレス圧を変えて室温(25℃)で10分プレスすることでペレットを作製した。なお、プレス圧は、表1に示す圧力とした。
<イオン伝導性測定>
上記ペレットの上下面に金の薄膜をスパッタ法で製膜し、インピーダンス測定を行うことで固体電解質層の伝導度を算出した。イオン伝導度は固体電解質層の厚さと、Cole−coleプロットの実軸上の抵抗値から算出した。結果を表1に示す。
<相対密度の評価>
上記ペレットの体積およびペレット中に含まれるLPSガラスの質量から計算されるLPSガラスのペレット密度とLPSガラスの密度(真密度)から計算される密度を用いて相対密度は下記の式にて算出した。
相対密度(%)= (LPSガラスのペレット密度/LPSガラスの密度(真密度))×100
結果を表1に示す。
Figure 2021163581
上記表1において、本発明の硫化物系固体電解質組成物の実施例1〜3では、180MPaと低圧プレスによって成形したとしても比較例1に比べ高いイオン伝導性を有しており、高圧プレス(360MPa)によってLPSガラスを成形した参考例1と比較しても低圧プレスにもかかわらず同等のイオン伝導性を有していることがわかる。
上記結果より、本発明の硫化物系固体電解質組成物を用いることで、低圧での成形においても優れたイオン伝導性を有する成形体を得ることができることから、電池製造のプロセスを簡素化でき、更にそれほど強い拘束治具を使用せずに長期にわたって連続的なイオンのパスを形成することができるため、優れた電池特性を有することが期待される。

Claims (5)

  1. 周期律表第1族に属する金属イオンの伝導性を有する無機固体電解質と、下記一般式(I)で表されるカルボン酸エステル化合物とを含有することを特徴とする固体電解質組成物。
    Figure 2021163581
    (R〜Rはそれぞれ独立しており、少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜12のアルキル基を表す。)
  2. 前記カルボン酸エステル化合物が固体電解質組成物に対して1体積%以上、20体積%以下の割合で含有されていることを特徴とする請求項1に記載の固体電解質組成物。
  3. 前記無機固体電解質が、硫化物系固体電解質であることを特徴とする請求項1または2に記載の固体電解質組成物。
  4. 固体電解質組成物を加圧することによって得られた成形体であって、前記成形体が請求項1から3のいずれか一項に記載の固体電解質組成物からなる成形体。
  5. 正極活物質層、負極活物質層および固体電解質層を備えた全固体二次電池であって、前記正極活物質層、前記負極活物質層および前記固体電解質層の少なくとも1つの層が請求項1から3のいずれか一項に記載の固体電解質組成物を含む層である全固体二次電池。
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