JP2021163561A - 配線材及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
有機過酸化物架橋では、ポリエチレンと有機過酸化物とを含む混合材料を導体等の外周面に押出被覆した後、高温高圧の架橋反応管内でポリエチレンを架橋反応させる。この架橋反応の条件設定及び安定化には長時間を要するうえ、架橋反応管のメンテナンスも容易ではないため、生産性向上を妨げる要因となる。
また、使用する有機過酸化物の種類によっては、架橋反応の副生成物(例えば、有機過酸化物の分解生成物)を除去するための脱気工程が必要になり、製造コストが嵩む。さらに、架橋ポリエチレンは熱可塑性を失っているため、未架橋のポリエチレンのように溶融させてリサイクルすることが困難である。
一方、リアクターブレンド型の材料を絶縁体層の材料として用いた配線材は、材料の架橋を要しないので、配線材の製造に架橋工程を必要とせず、架橋ポリエチレンを用いる場合の上記問題を招来することなく、生産性及び製造コストに優れ、更にはリサイクル可能という利点を有する。そのため、架橋ポリエチレンに代えてリアクターブレンド型の材料を用いた配線材が着目されている。例えば、結晶性ポリプロピレンをモノマー単位で51〜85モル%含むリアクターブレンド型ポリオレフィン系熱可塑性樹脂とランダムタイプポリプロピレン樹脂とを含む樹脂組成物を絶縁体層に用いた耐熱性配線材が提案されている(特許文献2)。
一方、高圧ケーブルには、通常の絶縁電線等に比較して高度の耐電圧特性が求められるが、リアクターブレンド型ポリオレフィン系熱可塑性樹脂を用いた特許文献2に記載の配線材の耐電圧特性には改善の余地があった。
本発明は、(絶縁体層が未架橋樹脂で形成されたものであっても)耐熱性、可撓性、及び耐電圧特性に優れ、かつ、成形安定性に優れた、配線材を提供することを課題とする。加えて、本発明は、上記ポリエチレンを用いる製造方法に必要な架橋工程なしに製造できる、上記配線材の製造方法を提供することを課題とする。
〔1〕
樹脂組成物で形成された絶縁体層を導体の外周面に有する配線材であって、
前記樹脂組成物が、樹脂成分100質量%中に、
ポリプロピレン樹脂(A)10〜50質量%、
ポリプロピレン成分(b1)とエチレン−α−オレフィン共重合体ゴム成分(b2)とのリアクターブレンド型ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(B)30〜85質量%、及び
ポリエチレン樹脂(C)5〜25質量%
を含有し、
前記ポリプロピレン成分(b1)がホモポリプロピレン又はランダムポリプロピレンからなり、
前記樹脂組成物が、フィラーを実質的に含有しない
配線材。
〔2〕
前記リアクターブレンド型ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(B)が、(i)前記ポリプロピレン成分(b1)がホモポリプロピレンであるリアクターブレンド型ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(B−1)であるか、あるいは、(ii)前記リアクターブレンド型ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(B−1)と、前記ポリプロピレン成分(b1)がランダムポリプロピレンであるリアクターブレンド型ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(B−2)との混合物である〔1〕に記載の配線材。
〔3〕
前記リアクターブレンド型ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(B)が、前記リアクターブレンド型ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(B−1)と前記リアクターブレンド型ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(B−2)との混合物であり、前記リアクターブレンド型ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(B−1)を前記樹脂成分100質量%中に40質量%以上含有する〔1〕又は{2}に記載の配線材。
〔4〕
前記樹脂組成物が、前記樹脂成分100質量%中に、前記ポリプロピレン樹脂(A)10〜35質量%、前記リアクターブレンド型ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(B)55〜80質量%、及び前記ポリエチレン樹脂(C)5〜25質量%を含有する〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の配線材。
〔5〕
前記配線材が、絶縁電線又はケーブルである〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の配線材。
〔6〕
前記ケーブルが、内部半導電層と、前記絶縁体層と、外部半導電層とを具備する〔5〕に記載の配線材。
〔7〕
樹脂組成物で形成された絶縁体層を導体の外周面に有する配線材の製造方法であって、
ポリプロピレン樹脂(A)10〜50質量%、ポリプロピレン成分(b1)とエチレン−α−オレフィン共重合体成分(b2)とのリアクターブレンド型ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(B)30〜85質量%、及びポリエチレン樹脂(C)5〜25質量%をフィラーの非存在下で溶融混合して調製した樹脂組成物で導体の外周面を被覆する工程を含み、
前記ポリプロピレン成分(b1)がホモポリプロピレン又はランダムポリプロピレンからなる、
配線材の製造方法。
〔8〕
前記樹脂組成物を、前記ポリプロピレン樹脂(A)、前記リアクターブレンド型ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(B)、及び前記ポリエチレン樹脂(C)をドライブレンドした後に溶融混合して調製する、〔7〕に記載の配線材の製造方法。
本発明の配線材は、樹脂組成物で形成された絶縁体層を導体の外周面に有し、樹脂組成物は、樹脂成分100質量%中に、ポリプロピレン樹脂(A)10〜50質量%、ポリプロピレン成分(b1)とエチレン−α−オレフィン共重合体ゴム成分(b2)とのリアクターブレンド型ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(B)30〜85質量%、及びポリエチレン樹脂(C)5〜25質量%を含有し、前記ポリプロピレン成分(b1)がホモポリプロピレン又はランダムポリプロピレンからなる。前記樹脂組成物は、フィラーを実質的に含有しない。この絶縁体層を備えた配線材は、耐熱性、可撓性、及び耐電圧特性に優れ、製造過程における成形安定性に優れる。
配線材としては、電気・電子機器の内部配線若しくは外部配線に使用される絶縁電線、ケーブル、コード、光ファイバ心線又は光ファイバコードが挙げられ、絶縁電線又はケーブルが好ましい。中でも、高圧ケーブルが好ましい。
配線材は、導体の外周面に上記樹脂組成物で形成された絶縁体層を少なくとも1層有していればよく、それ以外の構成は配線材の通常の構成と同様とすることができる。
本発明の配線材は、絶縁電線であることが好ましい。絶縁電線は、導体の外周面に少なくとも1層の絶縁体層を有する電線であって、絶縁体層の少なくとも1層が上記樹脂組成物からなる絶縁体層である絶縁電線とできる。ここで、「絶縁樹脂組成物からなる」とは、絶縁体層が樹脂組成物で形成されていることをいう。
用いる導体としては、通常のものを用いることができ、単線でも撚線でもよく、また裸線でも錫メッキ若しくはエナメル被覆したものでもよい。導体を形成する金属材料としては銅、銅合金、アルミニウム等が挙げられる。
上記樹脂組成物からなる絶縁体層は、導体の外周面に直接設けられていてもよく、又は他の部材又は層を介して間接的に設けられていてもよい。
上記樹脂組成物からなる絶縁体層の厚さは、通常の配線材と同様である。配線材が電線である場合の絶縁体層の肉厚は特に限定しないが、通常、0.1〜10mm程度である。
ケーブルは、導体又はこれらを複数束ねた束の外周面に絶縁体層を形成したケーブルであって、この絶縁体層が上記樹脂組成物で形成されたケーブルとすることができる。加えて、ケーブルは、導体又はこれらを複数束ねた束の外周面に、内部半導体層、絶縁体層、外部半導体層を有するケーブルであって、この絶縁体層が上記樹脂組成物で形成されたケーブルとすることができる。さらに、電線又はこれらを複数束ねた束の外周面に絶縁体層を形成したケーブルであって、この絶縁体層が上記樹脂組成物で形成されたケーブルとすることもできる。この際に用いる電線は、上記樹脂組成物で形成された絶縁体層を有するものであってもよい。
ケーブルの中でも、高圧ケーブルが好ましく、高圧ケーブルは、導体の外周面に、内部半導電層、上記樹脂組成物で形成された絶縁体層、及び外部半導電層を有するものが好ましい。ここで、絶縁体層とは、絶縁性(体積固有抵抗測定(JISC2139)で1012〜1017Ωcm)を示す被覆層をいい、半導体層とは、半導電性(体積固有抵抗測定(JISK7194)で100〜102Ωcm)を示す被覆層をいう。
内部半導電層の材料は、通常使用されるものを使用でき、例えば、架橋ポリエチレン、ポリオレフィンエラストマー、エチレン系共重合体(エチレン−オクテン系共重合体を含む)、ポリオレフィンゴム等が好ましい。
外部半導電層の材料は、通常使用されるものを使用でき、例えば、架橋ポリエチレン、ポリオレフィンエラストマー、エチレン系共重合体(エチレン−酢酸ビニル共重合体を含む)、ポリオレフィンゴム等が好ましい。
配線材がケーブルである場合の絶縁体層の肉厚は特に限定しないが、通常、0.2〜20mm程度である。配線材が高圧ケーブルである場合の絶縁体層の肉厚は特に限定しないが、通常、0.8〜20mm程度である。
図1に端面図を示した、高圧ケーブルの好ましい一実施態様は、3層ケーブルであって、1本の導体1と、導体1の外周面を被覆する内部半導電層2と、内部半導電層2の外周面を被覆する絶縁体層3と、絶縁体層3の外周面を被覆する外部半導電層4を有するケーブル101である。絶縁体層3は上記樹脂組成物で形成されている。導体1、内部半導電層2及び外部半導電層4は上記材料で形成されている。
絶縁体層は、通常、溶融混合した樹脂組成物で導体等の外周面を被覆し、その後冷却するという過程を経て、形成される。しかし、ポリプロピレン樹脂を用いた場合、絶縁体層が冷却するまでの時間に、その断面形状が被覆直後の形状から変化してしまうことがある(例えば、円形から楕円形など)。本発明の配線材は、上述のように、このような樹脂組成物の変形を抑制して絶縁体層を形成することができる。このため、本発明の配線材は、導体などの外周面で固化した樹脂組成物の外形を調整する工程(例えば、研磨等)を経ずとも、成形直後の所定の成形形状を維持した絶縁体層を有する。本発明の配線材の成形安定性(成形直後の形状を維持する)とは、後述する実施例に記載の方法で評価することができる。
本発明の配線材は、可撓性及び耐熱性に優れる。これらの特性は、実施例に記載の方法で評価することができる。
樹脂組成物は、樹脂成分として、ポリプロピレン樹脂(A)と、ホモポリプロピレン又はランダムポリプロピレンからなるポリプロピレン成分(b1)とエチレン−α−オレフィン共重合体ゴム成分(b2)とのリアクターブレンド型ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(B)と、ポリエチレン樹脂(C)とを含有する。
樹脂組成物は、通常、各樹脂成分の均一な混合物であるが、本発明の効果を損なわない範囲であれば混合均一性は問わない。また、各樹脂成分が複数の構成成分を含有している場合、これら構成成分は樹脂組成物中に存在していればよく、その存在状態は問わない。
この樹脂組成物中において、樹脂成分は未架橋の樹脂として含有されている。
この樹脂組成物は、実質的に、フィラーを含有しない。樹脂組成物は、フィラーを実質的に含有しないため、耐電圧性に優れる。
ここで、フィラーとは、通常、配線材の分野において使用されるフィラーをいい、難燃剤を包含する。本発明においては、フィラーの中でも難燃剤を実質的に含有しないことが好ましい。
本発明において、フィラーを実質的に含有又は配合しないとは、樹脂組成物100質量部に対して、0.05質量部の程度であればフィラーを含有又は配合することを許容する意味である。
樹脂組成物の各成分について以下に説明する。
ポリプロピレン樹脂(A)は、樹脂組成物に耐熱性を付与する。
ポリプロピレン樹脂(A)は、主成分がプロピレン成分である樹脂であればよく、プロピレンの単独重合体のほか、ランダムポリプロピレン及びブロックポリプロピレン(後述する、リアクターブレンド型ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(B)に該当するものを除く)を包含する。
ここで、「ランダムポリプロピレン」(r−PP)は、プロピレンとエチレン及び/又は1−ブテンとの共重合体をいう。
さらに、「ブロックポリプロピレン」(b−PP)は、ポリプロピレン(ホモポリプロピレン(h−PP)又はr−PP)に、ゴム成分を分散した組成物(混合物)をいう。ブロックポリプロピレンは、ゴム成分を1〜20質量%含有する。ゴム成分量は、5〜20質量%であることが好ましい。ゴム成分としては、エチレン、オクテン、ブテン、ヘキセン等の重合体が挙げられる。ブロックポリプロピレン中のゴム成分の含有量は、フーリエ変換赤外分光法(FT−IR)等により、測定することができる。
ポリプロピレン樹脂(A)としては、JISK7161−1に記載の方法によって測定される、引張弾性率が600〜2400MPaであるものが好ましく、800〜1800MPaであるものがより好ましい。
ポリプロピレン樹脂(A)としては、融点が125〜165℃であるものが好ましく、140〜160℃であるものがより好ましい。
ポリプロピレン樹脂(A)は、1種を単独で用いても2種以上を用いてもよい。
ポリプロピレン樹脂(A)は、耐熱性、可撓性、及び成形安定性の内、成形安定性を重視する観点からは、ブロックポリプロピレン又はランダムポリプロピレンが好ましい。
リアクターブレンド型樹脂(B)は、ポリプロピレン樹脂(A)との相溶性が高いため、均一な樹脂組成物を得ることができる。その結果、特定量で用いた場合には、ポリプロピレン樹脂(A)が本来有する耐熱性等の特性を大きく損なうことなく、形状安定性及び可撓性を付与することができる。
本発明に用いるリアクターブレンド型樹脂(B)は、通常用いられるものであれば特に制限されないが、一般的には、ポリプロピレン成分(b1)の存在下で、少なくともエチレンとα−オレフィンとを共重合させて得られる組成物であって、ポリプロピレン成分(b1)に、エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム成分(b2)が分散した組成物(混合物)をいうことができる。リアクターブレンド型樹脂(B)において、ポリプロピレン成分(b1)とエチレン−α−オレフィン共重合体ゴム成分(b2)とは、好ましくは、機械的に分離できない状態で分散されている。リアクターブレンド型樹脂(B)は、通常、エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム成分(b2)を40〜80質量%含有する。エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム成分(b2)の含有量は、リアクターブレンド型樹脂(B)中、50〜65質量%が好ましく、55〜65質量%がより好ましい。リアクターブレンド型樹脂(B)中のエチレン−α−オレフィン共重合体ゴム成分(b2)の含有量は、フーリエ変換赤外分光法(FT−IR)等により、測定することができる。
リアクターブレンド型樹脂(B)は、そのポリプロピレン成分(b1)に着目すると、ポリプロピレン成分(b1)がホモポリプロピレン樹脂である形態(リアクターブレンド型樹脂(B−1))と、ポリプロピレン成分(b1)がランダムポリプロピレンである形態(リアクターブレンド型樹脂(B−2))とに分類できる。リアクターブレンド型樹脂(B)は、リアクターブレンド型樹脂(B−1)又はリアクターブレンド型樹脂(B−2)でもよく、リアクターブレンド型樹脂(B−1)とリアクターブレンド型樹脂(B−2)との混合物でもよい。
エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム成分(b2)としては、エチレンとα−オレフィンとの二元共重合体ゴム、エチレンとα−オレフィンとジエンとの三元共重合体ゴム等が挙げられる。α−オレフィン構成成分としては、炭素数3〜12の各α−オレフィン構成成分が好ましい。三元共重合体ゴムのジエン構成成分は、共役ジエン構成成分であっても非共役ジエン構成成分であってもよいが、非共役ジエン構成成分が好ましい。共役ジエン構成成分としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等の各構成成分が挙げられ、ブタジエン構成成分等が好ましい。非共役ジエン構成成分の具体例としては、例えば、ジシクロペンタジエン(DCPD)、エチリデンノルボルネン(ENB)、1,4−ヘキサジエン等の各構成成分が挙げられる。二元共重合体ゴムとしては、エチレン−プロピレンゴム(EPM)が好ましく、三元共重合体ゴムとしては、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)が好ましい。
リアクターブレンド型樹脂(B)としては、融点が125〜165℃であるものが好ましく、140〜160℃であるものがより好ましい。
リアクターブレンド型樹脂(B)は、(1)ポリプロピレン成分(b1)を合成した後に、ポリプロピレン成分(b1)にエチレン−α−オレフィン共重合体ゴム成分(b2)の成分である、エチレンとα−オレフィンと、必要によりジエンとを添加し、共重合させることにより、製造することができる。
ポリエチレン樹脂(C)は、成形後の変形を抑えることができる。加えて、ポリエチレン樹脂(C)は、ポリプロピレン樹脂(A)との相溶性が高いため、均一な樹脂組成物を得ることができる。その結果、特定量で用いた場合には、ポリプロピレン樹脂(A)が本来有する耐熱性等の特性を大きく損なうことなく、成形安定性を付与することができる。
ポリエチレン樹脂(C)は、主成分がエチレン成分である樹脂であればよく、エチレンのみからなる単独重合体、エチレンと5mol%以下のα−オレフィレン(プロピレンを除く)との共重合体、並びに、エチレンと官能基に炭素、酸素及び水素原子だけを持つ1mol%以下の非オレフィンとの共重合体が包含される(例えば、JIS K 6748)。なお、上述のα−オレフィレン及び非オレフィンはポリエチレンの共重合成分として従来用いられる公知のものを特に制限されることなく用いられる。
本発明において用い得るポリエチレン(PE)としては、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、超高分子量ポリエチレン(UHMW−PE)、直鎖型低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)が挙げられる。このなかでも、耐熱性を保持する観点からは、高密度ポリエチレン(HDPE)が好ましい。
ポリエチレン(PE)は1種単独で使用してもよく、また2種以上を併用してもよい。
樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲において、配線材に用いる樹脂組成物において、一般的に使用されている各種の添加剤等を含有することができる。例えば、酸化防止剤、及びカーボンブラック等を挙げることができる。
樹脂組成物は、樹脂成分の合計100質量%中に、ポリプロピレン樹脂(A)10〜50質量%、リアクターブレンド型樹脂(B)30〜85質量%、及びポリエチレン樹脂(C)5〜25質量%を含有する。ポリプロピレン樹脂(A)、リアクターブレンド型樹脂(B)、及びポリエチレン樹脂(C)の合計量で100質量%である。
可撓性、及び耐電圧特性をより向上させる観点からは、ポリプロピレン樹脂(A)の含有量は、樹脂成分の合計100質量%中の、10〜35質量%が好ましい。
可撓性、耐熱性、及び成形安定性をより向上させる観点からは、リアクターブレンド型樹脂(B)の含有量は、樹脂成分の合計100質量%中の、55〜80質量%が好ましい。
成形安定性及び耐熱性をより向上させる観点からは、ポリエチレン樹脂(C)の含有量は、樹脂成分の合計100質量%中の、5〜20質量%が好ましい。
樹脂組成物は、樹脂成分の合計100質量%中に、ポリプロピレン樹脂(A)10〜35質量%、リアクターブレンド型樹脂(B)55〜80質量%、及びポリエチレン樹脂(C)5〜25質量%(より好ましくは5〜20質量%)を含有することが好ましい。
耐熱性を高める観点からは、リアクターブレンド型樹脂(B)として、リアクターブレンド型樹脂(B−1)を含有することが好ましい。リアクターブレンド型樹脂(B−1)は、樹脂成分中に50質量%以上であることがより好ましい。
可撓性を高める観点からは、リアクターブレンド型樹脂(B)として、リアクターブレンド型樹脂(B−2)を含有することが好ましい。リアクターブレンド型樹脂(B−2)は、樹脂成分中に20質量%以上であることがより好ましい。
耐熱性の観点からは、リアクターブレンド型樹脂(B)として、リアクターブレンド型樹脂(B−1)を用いるか、あるいは、リアクターブレンド型樹脂(B−1)とリアクターブレンド型樹脂(B−2)との混合物を用いることが好ましく、この混合物は、リアクターブレンド型樹脂(B−1)を樹脂成分中に40質量%以上含有することがより好ましい。
樹脂組成物は、上記樹脂成分を溶融混合することにより製造できる。溶融混合の条件については、後述する、配線材の製造法において説明する。
配線材は、上記樹脂組成物を絶縁体層の形成に用いる以外は、通常の配線材の製造方法で製造することができる。具体的には、上記樹脂組成物で、導体の外周面を被覆することで、絶縁体層を形成し、配線材を得る方法が挙げられる。
配線材の製造方法をより具体的に記載すると、以下のとおりである。
樹脂組成物で形成された絶縁体層を導体の外周面に有する配線材の製造方法であって、
ポリプロピレン樹脂(A)10〜50質量%、ポリプロピレン成分(b1)とエチレン−α−オレフィン共重合体成分(b2)とのリアクターブレンド型樹脂(B)30〜85質量%、及びポリエチレン樹脂(C)5〜25質量%をフィラーの非存在下で溶融混合して調製した樹脂組成物で導体の外周面を被覆する工程を含み、
前記ポリプロピレン成分(b1)がホモポリプロピレン又はランダムポリプロピレンからなる、
配線材の製造方法。
本発明において、フィラーの非存在下で溶融混合するとは、フィラーを実質的に配合せずに溶融混合することを意味する。
溶融混合の条件は、各樹脂成分が溶融する温度、条件であればよい。温度210〜240℃の条件で溶融混合することが好ましい。
混合方法としては、ゴム、プラスチック等で通常用いられる方法であれば、特に限定されない。混合装置として、一軸押出機、二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー又は各種のニーダー等を用いることができる。
上記混合は、後述する被覆と連続して行うことができ、又は被覆前に時間をおいて別途行うことができる。
ドライブレンドは、各樹脂成分が溶融しない温度において行えばよく、混合機を用いて行ってもよく、押出機等の成形機中で混合することにより行ってもよい。混合機での混合は、押出機に付属した混合機で行ってもよく、押出機とは別の混合機で行ってもよい。後述する造粒ではなく、ドライブレンドを行うことにより、耐電圧特性をさらに優れたものとすることができる。
導体の外周面を被覆する方法は、樹脂組成物で導体の外周面を被覆できる方法であればよく、適宜の成形方法が適用される。例えば、成形方法としては、押出機を用いた押出成形、射出成形機を用いた射出成形、その他の成形機を用いた成形が挙げられる。本発明においては、導体と樹脂組成物とを共押出する押出成形が好ましい。
押出成形は、汎用の押出成形機を用いて、行うことができる。押出成形温度は、樹脂の種類、押出速度(引取り速度)等の諸条件に応じて適宜に設定され、例えば、好ましくは200〜220℃に設定することが好ましい。
配線材の長尺にわたる連続生産の観点からは、押出成形が好ましい。
本発明の配線材は、耐熱性、可撓性、及び耐電圧特性に優れる。このため、送電線、通信線、電子機器、自動車の配線材として用いることができる。例えば、高圧ケーブルとして、屋内配線用ケーブルに用いることができる。
ポリプロピレン樹脂(A)、リアクターブレンド型樹脂(B)、及びポリエチレン樹脂(C)を特定の量で併用したことにより、ポリプロピレン樹脂(A)とリアクターブレンド型樹脂(B)とが相補的に作用して、耐熱性及び可撓性がバランス良く得られる。その上、上記併用により、リアクターブレンド型樹脂(B)がゴム弾性を付与し、さらに、ポリエチレン樹脂(C)が結晶化の核として作用して結晶化速度を高めるため、成形後の絶縁体層が冷却するまでの間に生じる変形を抑制できる(成形安定性が高い)。さらに、上記樹脂組成物中に、フィラーを実質的に含有しないため、絶縁破壊が起こりにくい(耐電圧特性が高い)。その結果、耐熱性、可撓性、及び耐電圧特性をバランスよく有し、製造工程において成形安定性に優れた配線材とできる。
上述した、樹脂成分の造粒をせずにドライブレンドを経て、製造する工程を有する、好ましい形態の製造方法を採用する場合には、金属異物の混入を抑制して、より耐電圧特性を高めることができる。
表1において、各例の含有量に関する数値は質量%を表す。
ブロックポリプロピレン1:「VB170A」(商品名)、サンアロマー社製、ゴム成分量20質量%、引張弾性率1100MPa、融点155℃
ホモポリプロピレン1:「VA200A」(商品名、サンアロマー社製)
ランダムポリプロピレン1:「PB222A」(商品名)、サンアロマー社製
<リアクターブレンド型樹脂(B)>
リアクターブレンド型樹脂1:「Adflex Q200F」(商品名)、LyondellBasell社製、ポリプロピレンとエチレン−α−オレフィン共重合体ゴムのブロック共重合体(ポリプロピレン成分がホモポリプロピレン)、引張弾性率200MPa、融点155℃
リアクターブレンド型樹脂2:「Adflex Q100F」(商品名)、LyondellBasell社製、ポリプロピレンとエチレン−α−オレフィン共重合体ゴムのブロック共重合体(ポリプロピレン成分がランダムポリプロピレン)、引張弾性率100MPa、融点145℃
<ポリエチレン樹脂(C)>
ポリエチレン樹脂1:「ハイゼックス5100E」(商品名)、プライムポリマー社製、HDPE
架橋用ポリエチレン樹脂1:「NUC9060」(商品名)、NUC社製、LDPE
有機過酸化物1:パークミルD(商品名)、日油社製、ジクミルパーオキサイド
難燃剤1:「SAYTEX 8010」(商品名)、日本アルベマール社製、エチレンビス(ペンタブロモフェニル)
表1に示す、ポリプロピレン樹脂(A)、リアクターブレンド型樹脂(B)、及びポリエチレン樹脂(C)を、表1に示す質量比で予め別容器でドライブレンドしてドライブレンド物を得た。このドライブレンド物を押出機(スクリュー径:25mm)に投入し、スクリュー回転30〜40rpm、押出温度220℃で、裸軟銅線からなる直径0.8mm単心導体の外周面上に、単心導体の外形と相似形の開口を有するダイスを介して、厚さ約1mmの断面環状に押出被覆し、これを水冷して、絶縁体層を備えた絶縁電線を得た。樹脂組成物は上記押出機内で溶融混合されることにより調製されている(以下、同じ。)。
上記において、内部半導電層用組成物は、以下のものを使用した。
「Plascon100B」(商品名)、Plastrade社製、主成分;エチレン−オクテン系共重合体
上記において、外部半導電層用組成物は、以下のものを使用した。
「Plascon100S」(商品名)、Plastrade社製、主成分;エチレン−酢酸ビニル共重合体
実施例1におけるドライブレンド物に代えて、以下のようにして造粒した樹脂成分の造粒物を押出機に導入して絶縁体層を形成した以外は、実施例1と同様にして、絶縁電線及び3層ケーブルを得た。
造粒物は、表1に示す樹脂成分を表1に示す質量比でバンバリーミキサーに投入し、槽内温度210℃の混合条件下で3分間溶融混合し、次いで、ペレタイザーを用いて5mm角程度のサイズに造粒して、造粒物を得た。
架橋用ポリエチレン樹脂1と有機過酸化物1とを表1に示す質量比で上記単心導体上に上記押出機を用いてスクリュー回転30〜40rpm、押出温度150℃で押出被覆して未架橋被覆体を形成し、この未架橋被覆体を架橋反応管(温度:200℃、時間:10分)に導入して架橋して、比較例1の絶縁電線を得た。
架橋用ポリエチレン樹脂1と有機過酸化物1とを表1に示す質量比で上記内部半導体層上に上記押出機を用いてスクリュー回転10rpm、押出温度140℃で押出被覆して未架橋被覆体を形成し、この未架橋被覆体を架橋反応管(温度:200℃、時間:10分)に導入して架橋して絶縁体層を形成した以外は、実施例1と同様にして比較例1の3層ケーブルを得た。
表1に示すポリプロピレン樹脂(A)を用いて絶縁体層を形成した以外は実施例1と同様にして、比較例2の絶縁電線及び3層ケーブルを得た。
表1に示すリアクターブレンド型樹脂(B)を用いて絶縁体層を形成した以外は実施例1と同様にして、比較例3の絶縁電線及び3層ケーブルを得た。
表1に示すポリプロピレン樹脂(A)、リアクターブレンド型樹脂(B)、及びポリエチレン樹脂(C)を表1に示す質量比で用いて絶縁体層を形成した以外は実施例1と同様にして、比較例4〜8の絶縁電線及び3層ケーブルを得た。
表1に示すリアクターブレンド型樹脂(B)、及びポリエチレン樹脂(C)を表1に示す質量比で用いて絶縁体層を形成した以外は実施例1と同様にして、比較例9の絶縁電線及び3層ケーブルを得た。
表1に示すポリプロピレン樹脂(A)、及びポリエチレン樹脂(C)を表1に示す質量比で用いて絶縁体層を形成した以外は実施例1と同様にして、比較例10の絶縁電線及び3層ケーブルを得た。
表1に示すポリプロピレン樹脂(A)、リアクターブレンド型樹脂(B)、及び難燃剤を表1に示す質量比で用いて絶縁体層を形成した以外は実施例1と同様にして、比較例11の絶縁電線及び3層ケーブルを得た。
表1に示すポリプロピレン樹脂(A)、リアクターブレンド型樹脂(B)、ポリエチレン樹脂(C)、及び難燃剤を表1に示す質量比で用いて絶縁体層を形成した以外は実施例1と同様にして、比較例12の絶縁電線及び3層ケーブルを得た。
成形安定性の評価を、絶縁電線の断面の形状の変形の度合いに基づき行った。
上記で得られた絶縁電線を長手方向に対して垂直に切断し、絶縁電線の断面をマイクロスコープで観察した。上記断面において、導体の中心を通る線分と、絶縁体層の、導体と反対側の外周との2つの交点の間の距離を測定し、その最大値(d1)と最小値(d2)とを求めた。この最大値(d1)及び最小値(d2)から、式:(断面の外周上の2点間の距離の最大値(d1))/(断面の外周上の2点間の距離の最小値(d2))を求め、得られた値(d1/d2)が1.06以下のものを合格とした。
d1/d2が1.06以下であれば、断面形状の変形が少なく、通常の配線材の用途で用いる場合には、絶縁電線の外形を調整する必要がない。
可撓性の評価を、引張伸び率を指標として行った。
上記で得られた絶縁電線から単心導体を抜き取り、長さ100mmの管状試験片を作成した。JIS C3005に記載の方法に準拠し、標線距離20mm、引張速度500mm/minで引張試験を行い、伸びが100%の時の応力を測定した。
評価は13MPa以下が本試験の合格レベルである。
耐熱性の指標として、加熱変形率を測定した。
上記で得られた絶縁電線を用い、JIS C3005に記載の方法に準拠し、加熱変形率を測定した。試験温度150℃、5Nの力がかかるようにおもりを設置し、加熱時間30分とした。
評価は40%以下が本試験の合格レベルである。
上記で得られた3層ケーブルを用いて、耐電圧試験により、耐電圧特性を評価した。
耐電圧試験は、商用周波耐電圧試験を行った。3層ケーブルに、17kVの交流電圧を10分間印加し絶縁破壊の有無を確認した。その後、絶縁破壊がなければ10kV昇圧してさらに30分間印加し、絶縁破壊の有無を確認する動作を繰り返し行った。絶縁破壊が起きた時に印加していた交流電圧を絶縁破壊電圧とする。
評価は77kV以上が本試験の合格レベルである。
これに対して、本発明で規定する組成を満たす樹脂組成物で形成された絶縁体層を導体の外周面に有する絶縁電線又は3層ケーブルは、耐熱性試験、可撓性試験、耐電圧特性試験、及び成形安定性試験のいずれにも合格し、耐熱性、可撓性、耐電圧特性、及び成形安定性に優れている。このように本発明の配線材は高い耐熱性を示し、高圧ケーブルとして必要な耐電圧特性を示しつつ、可撓性にも優れている。加えて、成形安定性に優れ、配線材の外形を調整する工程を省略して、製造を行うことができる。また、本発明の配線材の製造法によれば、上記配線材を、架橋、及び配線材の外形を調整する工程を省略して製造することができる。
1 導体
2 内部半導電層
3 絶縁体層
4 外部半導電層
Claims (8)
- 樹脂組成物で形成された絶縁体層を導体の外周面に有する配線材であって、
前記樹脂組成物が、樹脂成分100質量%中に、
ポリプロピレン樹脂(A)10〜50質量%、
ポリプロピレン成分(b1)とエチレン−α−オレフィン共重合体ゴム成分(b2)とのリアクターブレンド型ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(B)30〜85質量%、及び
ポリエチレン樹脂(C)5〜25質量%
を含有し、
前記ポリプロピレン成分(b1)がホモポリプロピレン又はランダムポリプロピレンからなり、
前記樹脂組成物が、フィラーを実質的に含有しない、
配線材。 - 前記リアクターブレンド型ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(B)が、(i)前記ポリプロピレン成分(b1)がホモポリプロピレンであるリアクターブレンド型ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(B−1)であるか、あるいは、(ii)前記リアクターブレンド型ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(B−1)と、前記ポリプロピレン成分(b1)がランダムポリプロピレンであるリアクターブレンド型ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(B−2)との混合物である請求項1に記載の配線材。
- 前記リアクターブレンド型ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(B)が、前記リアクターブレンド型ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(B−1)と前記リアクターブレンド型ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(B−2)との混合物であり、前記リアクターブレンド型ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(B−1)を前記樹脂成分100質量%中に40質量%以上含有する請求項2に記載の配線材。
- 前記樹脂組成物が、前記樹脂成分100質量%中に、前記ポリプロピレン樹脂(A)10〜35質量%、前記リアクターブレンド型ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(B)55〜80質量%、及び前記ポリエチレン樹脂(C)5〜25質量%を含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の配線材。
- 前記配線材が、絶縁電線又はケーブルである請求項1〜4のいずれか1項に記載の配線材。
- 前記ケーブルが、内部半導電層と、前記絶縁体層と、外部半導電層とを具備する請求項5に記載の配線材。
- 樹脂組成物で形成された絶縁体層を導体の外周面に有する配線材の製造方法であって、
ポリプロピレン樹脂(A)10〜50質量%、ポリプロピレン成分(b1)とエチレン−α−オレフィン共重合体成分(b2)とのリアクターブレンド型ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(B)30〜85質量%、及びポリエチレン樹脂(C)5〜25質量%をフィラーの非存在下で溶融混合して調製した樹脂組成物で導体の外周面を被覆する工程を含み、
前記ポリプロピレン成分(b1)がホモポリプロピレン又はランダムポリプロピレンからなる、
配線材の製造方法。 - 前記樹脂組成物を、前記ポリプロピレン樹脂(A)、前記リアクターブレンド型ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(B)、及び前記ポリエチレン樹脂(C)をドライブレンドした後に溶融混合して調製する、請求項7に記載の配線材の製造方法。
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