JP2021160987A - AlNウィスカーおよび樹脂成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】樹脂材料との密着性が高いAlNウィスカーの提供。【解決手段】繊維状のAlN単結晶12と、AlN単結晶12を覆う酸素原子含有層14と、を有し、酸素原子含有層14は、AlOH及びアモルファス形態のAl2O3の少なくとも一方を含有する、AlNウィスカー。AlN単結晶12は、六角柱であり、酸素原子含有層14は、AlONを更に含有するAlNウィスカー。酸素原子含有層14は、AlN単結晶12側の第1層14aと、第1層よりも外側にある第2層14bとを有し、AlOH及びアモルファス形態のAl2O3は、第1層14aよりも第2層14bに多く含まれており、AlONは、第2層14bよりも第1層14aに多く含まれているAlNウィスカー。AlN単結晶12は、円柱であり、酸素原子含有層14は、アモルファス形態のAl2O3を含有するAlNウィスカー。【選択図】図14

Description

本開示は、AlNウィスカーに関する。
近年、様々な電子機器の高性能化に伴う発熱量の増大や、機器の小型化に伴う放熱部材の小型化により、十分な放熱性能が得にくくなっている。このような場合、発熱を抑えるために機器の性能が抑えられたり、過剰な発熱による機器へのダメージにより機器寿命が低下したりするといった問題があるため、放熱材料について様々な検討が進められている。
例えば、放熱材料として、高い熱伝導性と高い絶縁性とを兼ね備えている窒化アルミニウム(AlN)のウィスカーが知られている。そして、このAlNウィスカーを樹脂材料に混入することで、熱伝導性の低い樹脂材料のみでは得られない高い放熱性を有する複合材料が実現できる(特許文献1参照)。
特開2018−154534号公報
しかしながら、通常のAlNウィスカーは樹脂材料との密着性が低い。そのため、AlNウィスカーを樹脂材料に混入して固化した場合に、樹脂材料とAlNウィスカーとの間に空隙ができることがある。空隙すなわち空気は熱伝導性が高くないため、AlNウィスカーが混入された樹脂材料の熱伝導性には更なる改善の余地がある。
本開示はこうした状況に鑑みてなされており、その例示的な目的の一つは、AlNウィスカーと樹脂材料との密着性を向上する新たな技術を提供することにある。
上記課題を解決するために、本開示のある態様のAlNウィスカーは、繊維状のAlN単結晶と、AlN単結晶を覆う酸素原子含有層と、を有する。酸素原子含有層は、AlOH及びアモルファス形態のAlの少なくとも一方を含有する。
本開示によれば、AlNウィスカーと樹脂材料との密着性を向上できる。
図1(a)は、本実施の形態に係る六角柱タイプのAlNウィスカーの走査電子顕微鏡による画像を示す図、図1(b)は、本実施の形態に係る円柱タイプのAlNウィスカーの走査電子顕微鏡による画像を示す図である。 本実施の形態に係るAlNウィスカーの要部構造を模試的に示した部分断面図である。 本実施の形態のAlNウィスカーを製造するための製造装置を示す概略構成図である。 XPS法(ワイドスキャン)による結合エネルギースペクトルを示す図である。 図5(a)は、六角柱タイプのAlNウィスカーの走査透過型電子顕微鏡像を示す図、図5(b)は、円柱タイプのAlNウィスカーの走査透過型電子顕微鏡像を示す図である。 EELS法による六角柱タイプのAlNウィスカーの分析箇所を示す透過型電子顕微鏡写真を示す図である。 図7(a)は、図6に示すAlNウィスカー表面のEELSスペクトル(N−Kエッジ)、図7(b)は、図6に示すAlNウィスカー表面のEELSスペクトル(O−Kエッジ)を示す図である。 EELS法による円柱タイプのAlNウィスカーの分析箇所を示す透過型電子顕微鏡写真を示す図である。 図9(a)は、図8に示すAlNウィスカー表面のEELSスペクトル(N−Kエッジ)、図9(b)は、図8に示すAlNウィスカー表面のEELSスペクトル(O−Kエッジ)を示す図である。 図10(a)は、六角柱タイプのAlNウィスカーのEDS法による表面近傍の元素マッピング画像を示す図、図10(b)は、円柱タイプのAlNウィスカーのEDS法による表面近傍の元素マッピング画像を示す図である。 図11は、六角柱タイプのAlNウィスカーのHAADF−STEM像である。 図12は、円柱タイプのAlNウィスカーのHAADF−STEM像である。 図13(a)は、六角柱タイプのAlNウィスカー表面をXPS法(ナローキャン)により分析した際の結合エネルギースペクトルを示す図、図13(b)は、円柱タイプのAlNウィスカー表面をXPS法(ナロースキャン)により分析した際の結合エネルギースペクトルを示す図である。 図14(a)は、六角柱タイプのAlNウィスカーの断面を示す模式図、図14(b)は、図14(a)のA−A断面図、図14(c)は、六角柱タイプのAlNウィスカーの断面を示す模式図、図14(d)は、図14に示すB−B断面図である。 図15(a)は、六角柱タイプのAlNウィスカーと異種材料とを混合した場合の接合部を含む模式図、図15(b)は、円柱タイプのAlNウィスカーと異種材料とを混合した場合の接合部を含む模式図である。 AlNウィスカーの表面処理における反応を模式的に示した図である。 本実施の形態に係る表面処理されたAlNウィスカーとエポキシ樹脂との結合を説明するための模式図である。 図18(a)は、表面処理されていないAlNウィスカーがエポキシ樹脂に充填された状態の走査型電子顕微鏡写真を示す図、図18(b)は、表面処理されたAlNウィスカーがエポキシ樹脂に充填された状態の走査型電子顕微鏡写真を示す図である。 図19(a)は、成形体の厚さ方向の熱伝導率のグラフを示す図、図19(b)は、成形体の面内方向の熱伝導率のグラフを示す図である。
本開示のある態様のAlNウィスカーは、繊維状のAlN単結晶と、AlN単結晶を覆う酸素原子含有層と、を有する。酸素原子含有層は、AlOH及びアモルファス形態のAlの少なくとも一方を含有する。
この態様によると、樹脂材料との密着性を向上できる。
AlN単結晶は、六角柱であり、酸素原子含有層は、AlONを更に含有してもよい。
酸素原子含有層は、AlN単結晶側の第1層と、第1層よりも外側にある第2層とを有してもよい。AlOH及びアモルファス形態のAlは、第1層よりも第2層に多く含まれており、AlONは、第2層よりも第1層に多く含まれていてもよい。
第2層を覆い、第2層の表面のオキシ基またはヒドロキシ基と結合した表面処理層を更に有してもよい。
AlN単結晶は、円柱であり、酸素原子含有層は、アモルファス形態のAlを含有してもよい。
酸素原子含有層を覆い、酸素原子含有層の表面のオキシ基またはヒドロキシ基と結合した表面処理層を更に有してもよい。
表面処理層は、オキシ基またはヒドロキシ基と結合したシラン化合物であってもよい。
本開示の他の態様は、樹脂成形体である。この樹脂成形体は、AlNウィスカーと、AlNウィスカーが充填された樹脂材料と、を備える。樹脂材料は、シラン化合物のアルキル基と結合する官能基を有している。
この態様によると、樹脂材料とAlNウィスカーとの密着性が向上し、樹脂材料とAlNウィスカーとの間に空隙が生じにくくなるため、樹脂成形体としての熱伝導性が向上する。
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本開示の表現を方法、装置、システム、などの間で変換したものもまた、本開示の態様として有効である。
はじめに、本願技術に至った経緯について説明する。従来、AlNの表面に酸化物層があることはわかっていたが、その詳細な表面状態については不明であった。そのため、AlNと異種材料(樹脂や他のセラミック)との混合製品を作るとき、材料の組合せに適した表面処理ができず、組み合わせた材料同士の密着性が良い製品を作ることができなかった。
そこで、最先端の様々な分析手法を駆使して検討した結果、AlNウィスカーの表面にAlON層、アモルファスAl層、AlOH層といった層が存在していることがわかった。これにより、AlNウィスカーの表面状態が明らかとなり、その表面状態に適した表面処理層や異種材料を選択することで材料同士の密着性が増し、様々な応用範囲を対象とした成形体の特性を向上できる。換言すると、組み合わせる異種材料に適した表面状態のAlNウィスカーを意図的に製造することもできる。
以下、図面等を参照しながら、本開示を実施するための形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、以下に述べる構成は例示であり、本開示の範囲を何ら限定するものではない。
(AlNウィスカーの外観)
図1(a)は、本実施の形態に係る六角柱タイプのAlNウィスカーの走査電子顕微鏡による画像を示す図、図1(b)は、本実施の形態に係る円柱タイプのAlNウィスカーの走査電子顕微鏡による画像を示す図である。図2は、本実施の形態に係るAlNウィスカーの要部構造を模試的に示した部分断面図である。
図1(a)、図1(b)に示すように、AlNウィスカーは繊維状の材料である。図2に示すように、AlNウィスカー10は、繊維状のAlN単結晶12と、AlN単結晶12を覆う酸素原子含有層14と、を有する。酸素原子含有層14は、Alと酸素を含む化合物が含まれており、AlOH及びアモルファス形態のAlの少なくとも一方を含有する。AlNウィスカー10の長さは、1μm以上5cm以下である。AlNウィスカー10の直径は、0.1μm以上50μm以下である。これらの数値範囲は目安であり、必ずしも上記の数値範囲に限るものではない。
酸素原子含有層14は、AlN単結晶12が少なくとも酸素原子を取り込むことにより生成された層である。酸素原子含有層14はAlN単結晶12の表面を筒状に覆っている。酸素原子含有層14の形状は筒形状である。酸素原子含有層14の膜厚は1nm以上100nm以下、好ましくは2nm以上10nm以下、より好ましくは2nm以上7nm未満である。上記の数値範囲は目安であり、必ずしも上記の数値範囲に限るものではない。
酸素原子含有層14は、AlN単結晶12の表面が大気中の酸素分子若しくは水分と反応したものである。つまり、酸素原子含有層14は、製造過程においてAlN単結晶12であったものである。AlNが酸素分子若しくは水分子と反応すると、Al、AlON及びAlOHのうちの少なくとも一つが発生する可能性がある。したがって、酸素原子含有層14は、Al、AlON及びAlOHのうちの少なくとも一種類を含有する。また、これらの材料の複合材料である可能性がある。酸素原子含有層14は絶縁性である。そして、酸素原子含有層14の熱伝導率はAlN単結晶12の熱伝導率よりも低い。
(製造装置)
図3は、本実施の形態のAlNウィスカー10を製造するための製造装置100を示す概略構成図である。製造装置100は、炉本体110と、ヒーター140と、窒素ガス供給部150と、アルゴンガス供給部160と、を有する。炉本体110は、材料収容部120と、反応室130と、を内部に収容している。炉本体110の材質は、例えば、カーボンまたは石英である。
材料収容部120は、Al材料を収容するとともにAlを気化させることによりAlガスを発生させるための第1室である。材料収容部120の材質は、例えば、カーボンまたは石英である。材料収容部120は、容器121と、1以上の連通部122と、ガス導入口123と、を有する。容器121は、Al材料を収容するためのものである。容器121の材質は、例えば、アルミナである。ガス導入口123は、アルゴンガス等の希ガスを材料収容部120に導入するための希ガス導入口である。
連通部122は、材料収容部120と反応室130とを連通する。連通部122は、材料収容部120と反応室130との間に配置されている。連通部122は、材料収容部120側に開口している開口部122aと、反応室130側に開口している開口部122bと、を有する。連通部122の開口部122bは、材料収容部120で発生させたAlガスを反応室130に供給するための第1の導入口である。
反応室130は、Alガスと窒素ガスとを反応させてAlNウィスカー10を成長させるための第2室である。反応室130は、Al基板131と、ガス導入口132,133と、排気口134と、を有する。Al基板131は、アルミナ基板である。ここでAl基板131は、絶縁性基材の一種である。反応室130の内部には、多数のAl基板131が並んで配列されている。Al基板131は、その表面にAlNウィスカー10を成長させるためのものである。Al基板131は、基板の板面が水平面に交差するように並んで配置されている。ガス導入口132は、窒素ガスを反応室130の内部に導入するための第2の導入口である。ガス導入口133は、アルゴンガスを反応室130の内部に導入するためのものである。排気口134は、反応室130の内部のガスを製造装置100の外部に排出するためのものである。
ヒーター140は、炉本体110の内部を加熱するためのものである。ヒーター140は、材料収容部120を加熱する第1の加熱部である。そのため、ヒーター140は、材料収容部120のAl材料を加熱するとともに蒸発させる。また、ヒーター140は、反応室130をも加熱する。ヒーター140は、反応室130の内部の炉内温度を上昇させる。
窒素ガス供給部150は、ガス導入口132から反応室130の内部に窒素ガスを供給するためのものである。アルゴンガス供給部160は、ガス導入口133から反応室130の内部にアルゴンガスを供給するためのものである。
反応室130は、材料収容部120の上部に配置されている。つまり、材料収容部120は、反応室130からみて鉛直下方側の位置に配置されている。そのため、材料収容部120の内部で発生したAlガスは、材料収容部120から上部の反応室130に向かって流入しやすい。
また、ヒーター140は、材料収容部120と反応室130とを同時に加熱するため、材料収容部120と反応室130とで温度差はほとんどない。AlNウィスカー10を成長させる成長温度は、1500℃以上1800℃以下である。また、基板温度は、炉内の雰囲気温度とほぼ同じである。また、材料収容部120と反応室130との内圧は、ほぼ大気圧である。ただし、材料収容部120の内圧は、反応室130の内圧よりわずかに高いとよい。その場合、反応室130の窒素ガスが材料収容部120に入るおそれはほとんどない。つまり、溶融状態のAl材料の表面が窒化されることはほとんどない。
(AlNウィスカーの製造方法)
[材料準備工程]
まず、製造装置100の容器121の内部にAl材料を収容する。このAl材料は、工業的に製錬されたアルミニウムである。この段階ではAl材料は固体の金属である。
[気化工程(Alガス発生工程)]
次に、材料収容部120の内部でAl材料を加熱してAlガスを発生させる。そのために、ヒーター140により炉本体110を加熱する。これにより、材料収容部120および反応室130の内部の温度が上昇する。この材料収容部120を加熱する際に、アルゴンガス供給部160が材料収容部120の内部にアルゴンガスを供給する。そして、Alの融点に達したときにAlが溶融し始める。その後、Alの沸点には達しないもののAlの一部が蒸発し始める。つまり、Al材料を気化させてAlガスとする。これにより、材料収容部120の内部にはアルゴンガスとAlガスとの混合ガスが充満する。
[AlN単結晶形成工程(ガス供給工程)]
続いて、材料収容部120の内部に発生したアルゴンガスとAlガスとの混合ガスを、連通部122の開口部122bから反応室130の内部に流入させる。この際に、Alガスとアルゴンガスとの混合ガスは、Al基板131の板面にほぼ平行な向きに、反応室130の内部に供給される。一方、アルゴンガス供給部160は、ガス導入口133から反応室130の内部にアルゴンガスを供給する。ここで、Al基板131の周囲をArガスで満たした後にAlガスをAl基板に供給するとよい。また、窒素ガス供給部150は、ガス導入口132から反応室130の内部に窒素ガスを供給する。そして、反応室130の内部では、アルゴンガスとAlガスと窒素ガスとが混合する。そして、Al基板131の表面では、Alガスと窒素ガスとが反応して繊維状のAlN単結晶12が成長する。
AlN単結晶12の成長温度は、1500℃以上1800℃以下である。そのため、AlN単結晶12を成長させる際の反応室130の内部の雰囲気温度を1500℃以上1800℃以下とする。また、AlN単結晶12の製造時間は十分に長いため、基板温度は雰囲気温度とほとんど等しいと考えられる。つまり、Al基板131の温度も1500℃以上1800℃以下である。反応室130の内圧はほぼ1気圧である。つまり、0.9atm以上1.1atm以下である。
その後、製造装置100の炉内温度を室温になるまで降下する。そして、AlN単結晶12を製造装置100から取り出す。このAlN単結晶12の取り出し時にAlN単結晶12の表面が酸素分子若しくは水分子と反応して酸素原子含有層14が形成されると考えられる。このように、製造装置100から取り出したAlN単結晶12の表面には薄い酸素原子含有層14が形成されている。
なお、AlNウィスカーができる、1400℃以上の温度で、窒素ガスを流し、数時間焼成してもよい。その後、冷却時、特に、1200℃以下の温度で、例えば、微量な酸素または微量な水蒸気を添加することにより、AlNウィスカーの表面が所望の状態となるようにAlNウィスカーを製造できる。
このように製造されたAlNウィスカー10について以下に示す分析を行った。
(XPS法によるウィスカー表面状態の分析)
X線光電子分光法(XPS:X-ray Photoelectron Spectroscopy)による分析を行った。図4は、XPS法(ワイドスキャン)による結合エネルギースペクトルを示す図である。
図5(a)は、六角柱タイプのAlNウィスカーの走査透過型電子顕微鏡像を示す図、
図5(b)は、円柱タイプのAlNウィスカーの走査透過型電子顕微鏡像を示す図である。なお、図5(a)、図5(b)の像は、高角度環状暗視野走査透過型電子顕微鏡(HAADF-STEM:High Angle Annular Dark-Field Scanning Transmission Electron Microscopy)像である。
図4に示すように、六角柱タイプのAlNウィスカー、円柱タイプのAlNウィスカーのいずれの表面にも、Al,N,O,C原子が存在していることがわかる。また、表面での各元素の組成を表1に示す。なお、C原子は測定のためにAlNウィスカー表面に堆積した導電性膜(図における「C depo」)に起因するものである。
Figure 2021160987
図4、表1に示すように、AlN単結晶12の表面は、酸素原子が存在する酸素原子含有層14があることがわかる。
(EELS法による界面の評価)
次に、電子エネルギー損失分光法(EELS:Electron Energy Loss Spectroscopy)による分析を行った。図6は、EELS法による六角柱タイプのAlNウィスカーの分析箇所を示す透過型電子顕微鏡写真を示す図である。図7(a)は、図6に示すAlNウィスカー表面のEELSスペクトル(N−Kエッジ)、図7(b)は、図6に示すAlNウィスカー表面のEELSスペクトル(O−Kエッジ)を示す図である。
図7(a)に示すように、六角柱タイプのAlNウィスカーでは、表面に近い場所(図6のラインL1〜L2で示す場所)ではAlONに起因するピークは見られないが、更に深い場所(ラインL3〜L5で示す場所)ではAlONに起因するピークがはっきり見られる。そして、更に深い場所(ラインL6〜L8で示す場所)では、AlN単結晶12に起因するピークが見られる。
一方、図7(b)に示すように、表面に近い場所(ラインL1〜L3に示す場所)では、アモルファス状態のAl(以下、適宜「a−Al」と称する。)に起因するピークが見られる。このように、六角柱タイプのAlNウィスカー10の酸素原子含有層14では、a−Alに加えてAlONを含有している。
図8は、EELS法による円柱タイプのAlNウィスカーの分析箇所を示す透過型電子顕微鏡写真を示す図である。図9(a)は、図8に示すAlNウィスカー表面のEELSスペクトル(N−Kエッジ)、図9(b)は、図8に示すAlNウィスカー表面のEELSスペクトル(O−Kエッジ)を示す図である。
図9(a)に示すように、円柱タイプのAlNウィスカーでは、表面に近い場所(図8のラインL1〜L4で示す場所)ではAlN単結晶12に起因するピークは見られないが、更に深い場所(ラインL6〜L8で示す場所)では、AlN単結晶12に起因するピークが見られる。
一方、図9(b)に示すように、表面に近い場所(ラインL1〜L5に示す場所)では、a−Alに起因するピークが見られる。このように、円柱タイプのAlNウィスカー10の酸素原子含有層14では、a−Alを含有している。
(EDSによる酸素原子含有層の膜厚評価)
次に、エネルギー分散型X線分光法(EDS:Energy Dispersive X-ray Spectroscopy)による分析を行った。図10(a)は、六角柱タイプのAlNウィスカーのEDS法による表面近傍の元素マッピング画像を示す図、図10(b)は、円柱タイプのAlNウィスカーのEDS法による表面近傍の元素マッピング画像を示す図である。
図10(a)、図10(b)に示すように、六角柱タイプのAlNウィスカーと円柱タイプのAlNウィスカーとで、酸素原子含有層14の厚みに違いが見られた。
(ウィスカー表面近傍のHAADF−STEM像)
図11は、六角柱タイプのAlNウィスカーのHAADF−STEM像である。図12は、円柱タイプのAlNウィスカーのHAADF−STEM像である。図11、図12に示すように、AlNウィスカーの表面近傍の格子像が不明瞭であることから、酸素原子含有層14は少なくともa−Alを含有すると推察される。また、円柱タイプのAlNウィスカーは、図12に示すように、AlN/a−Alの界面でのラフネスが大きい。
次に、ウィスカー表面の酸素の化学状態の分析を行った。図13(a)は、六角柱タイプのAlNウィスカー表面をXPS法(ナローキャン)により分析した際の結合エネルギースペクトルを示す図、図13(b)は、円柱タイプのAlNウィスカー表面をXPS法(ナロースキャン)により分析した際の結合エネルギースペクトルを示す図である。
図13(a)、図13(b)に示すように、各AlNウィスカーにおいて、複数の結合状態が検出された。各結合状態の割合を表2に示す。
Figure 2021160987
表2に示すように、六角柱タイプのAlNウィスカーと円柱タイプのAlNウィスカーとで各結合の割合が異なる。また、六角柱タイプのAlNウィスカーではAl−O−N結合のピークが見られることから、酸素原子含有層14にAlONが含有されていることが示唆される。また、このような酸素原子含有層14が生成されるメカニズムは、AlNウィスカー合成中の炉内において、炉内残存酸素によりa−AlやAlOHからなる表面酸化膜が生成され、その後、AlN単結晶12とa−Alとの界面においてAlONが生成されたと考えられる。
以上の各種分析により、六角柱タイプのAlNウィスカー及び円柱タイプのAlNウィスカーの酸素原子含有層14の構成が明らかとなった。図14(a)は、六角柱タイプのAlNウィスカーの断面を示す模式図、図14(b)は、図14(a)のA−A断面図、図14(c)は、六角柱タイプのAlNウィスカーの断面を示す模式図、図14(d)は、図14に示すB−B断面図である。
前述の分析より、六角柱タイプのAlNウィスカー10aは、AlN単結晶12側の第1層14aと、第1層14aよりも外側にある第2層14bとを有している(図14(a)、図14(b)参照。)。そして、AlOH及びa−Alは、第1層14aよりも第2層14bに多く含まれており、AlONは、第2層14bよりも第1層14aに多く含まれている。また、第1層14aの厚みは約1.5nm、第2層14bの厚みは約1.0nmである。
なお、第1層14aと第2層14bとの界面は、必ずしも明瞭に形成されていなくてもよい。例えば、酸素原子含有層14の内部において各化合物の割合が内側から外側に向かって徐々に変わるような場合は、酸素原子含有層14の内部で内側にある領域と外側にある領域とを第1層と第2層とすればよく、必ずしも隣接している場合に限られない。
また、円柱タイプのAlNウィスカー10bは、a−Alからなる酸素原子含有層14を有している(図14(c)、図14(d))。円柱タイプのAlNウィスカー10bの酸素原子含有層14の厚みは約4nmである。
このように、AlNウィスカーの最外表面には、α(アルファ)−Al(いわゆるアルミナ)、a−Al、AlOHが存在することがわかった。これら酸化物や水酸化物は、AlNウィスカーを有機材料や無機材料といった異種材料と混合する際に、互いの密着性を良くし接着するためには好都合な化合物である。そこで、本実施の形態に係るAlNウィスカー10を用いた成形体の製造方法について説明する。
(成形体)
図15(a)は、六角柱タイプのAlNウィスカーと異種材料とを混合した場合の接合部を含む模式図、図15(b)は、円柱タイプのAlNウィスカーと異種材料とを混合した場合の接合部を含む模式図である。
成形体20aは、六角柱タイプのAlNウィスカー10aと、表面処理層16と、異種材料18と、を備える。同様に、成形体20bは、円柱タイプのAlNウィスカー10bと、表面処理層16と、異種材料18と、を備える。異種材料18は、用途や特性によって求められる有機材料や無機材料から適宜選択される。有機材料のうち5G(第5世代移動通信システム)や6G(第6世代移動通信システム)に適用可能な樹脂材料として、液晶ポリマー(LCP)、液晶ポリマー(LCP)フィルム、シクロオレフィンポリマー(COP)、熱硬化性ポリマー(TPE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等が挙げられる。また、無機材料としては、AlN粒子、Al粒子、ZrO粒子、コージェライト粒子等が挙げられる。
(表面処理)
次に、表面処理層を形成するための表面処理剤について説明する。本実施の形態に係る表面処理剤としては、例えば、(CHO)Si(CHCH3(n=0,2,5)の構造式で表されるシラン化合物を用いる。これらの表面処理剤は、AlNウィスカーの表面にあるα−Al、a−Al、AlOHと反応しやすい。そこで、以下の方法でAlNウィスカーの表面処理を行う。
[実施例1]
AlNウィスカー11gを、表面処理剤(例えば前述のアルコキシシラン)1wt%のエタノール中へ分散させる。そして、80±50℃に達してから1h加熱し、減圧濾過後、エタノールで3回洗浄する。その後、真空加熱乾燥を1h行い、エタノールを飛散させる。
図16は、AlNウィスカーの表面処理における反応を模式的に示した図である。本実施の形態に係るAlNウィスカー10の表面には、オキシ基(−O−)やヒドロキシ基(−OH)が存在する。その後、図16に示すシラン化合物は、加水分解によりアルキル基が水素で置換される。そして、縮合過程、脱水過程を経て、AlNウィスカー10の表面に表面処理層16が形成される。このように、表面処理層16は、酸素原子含有層14の第2層14bの表面のオキシ基またはヒドロキシ基と結合する。
(成形体の製造方法)
次に、表面処理層16が形成されたAlNウィスカー10を樹脂材料に充填して成形体を製造する方法について説明する。図17は、本実施の形態に係る表面処理されたAlNウィスカーとエポキシ樹脂との結合を説明するための模式図である。実施例1で作製した、表面処理層を有するAlNウィスカー10を、異種材料18であるエポキシ樹脂(A剤とB剤)と混合し、反応させる。これにより、表面処理層16のアルキル基Rnの部分と、エポキシ樹脂の官能基とが結合し、異種材料同士の密着性が高い強固な成形体が製造される。エポキシ樹脂の代表的な化学構造を下記に示す。
Figure 2021160987
[実施例2]
具体的には、以下の工程にて混合体を作成する。エポキシ樹脂(JER1001:三菱ケミカル株式会社製)と硬化剤(MH−700:新日本理化株式会社製)を所定の割合で合計100g計量し、アセトン溶液と混合し、撹拌混合機で約3分間混合し、減圧脱泡を約2分間行う。
次に、表面処理を行ったAlNウィスカー(エポキシ樹脂に対し、例えば、10、20、30g)を混合機の中に投入し、混合する。この状態を約5分間保ち、その後、脱泡する。次に、混合物を真空乾燥機に移し、0.03MPa、60℃の雰囲気で、2時間保持する。この作業により、アセトンを除去する。
次に、混合体を0.03MPa以下の高真空下、100℃の雰囲気で2時間保持し、さらに、0.03MPa以下の高真空下、150℃の雰囲気で5時間保持する。そして、高真空を維持した後、約20〜60分で室温まで徐冷する。これにより、AlNウィスカーが充填されたエポキシ樹脂が製造される。
図18(a)は、表面処理されていないAlNウィスカーがエポキシ樹脂に充填された状態の走査型電子顕微鏡写真を示す図、図18(b)は、表面処理されたAlNウィスカーがエポキシ樹脂に充填された状態の走査型電子顕微鏡写真を示す図である。図18(a)に示すように、表面処理されていないAlNウィスカー10とエポキシ樹脂18aとの間にははっきりとした空隙があり、密着性が良くないことがわかる。一方、図18(b)に示すように、表面処理されたAlNウィスカー10とエポキシ樹脂18aとの間には空隙がなく、密着性が向上していることがわかる。
(熱伝導率)
次に、エポキシ樹脂とAlNウィスカーとを重量比1:0.1の割合で混合したAlN入りエポキシ樹脂の熱伝導率の結果を以下に示す。図19(a)は、成形体の厚さ方向の熱伝導率のグラフを示す図、図19(b)は、成形体の面内方向の熱伝導率のグラフを示す図である。
図19(a)、図19(b)に示すように、表面処理がないAlNウィスカーが充填された成形体の熱伝導率よりも、シラン化合物(前述のシラン化合物のn=2またはn=5に相当する材料)による表面処理があるAlNウィスカーが充填された成形体の熱伝導率の方が高いことがわかる。
(表面処理剤)
以下に、表面処理剤として好適な例を列挙する。表面処理剤は、例えば、アルコキシシラン、シラザン、シロキサンが挙げられる。アルコキシシランとしては、メチルメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、1,6−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、トリフルオロプロピルトリメトキシシランが挙げられる。シラザンとしては、ヘキサメチルシラザンが挙げられる。シロキサンとしては、加水分解性基含有シロキサンが挙げられる。
(樹脂材料)
本開示の成形体に用いられる樹脂材料としては、例えば、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)、EPDMゴム系ABS、アクリロニトリル・スチレン共重合体、酢酸セルロース、硝酸セルロース、塩素化ポリエチレン、EEA(エチレン・アクリル酸エチル共重合体)、EVA(エチレン酢ビニルコポリマー(エチレン酢酸ビニル共重合体))、ポリプロピレン、ポリスチレン、塩化ビニル、ブタジエン系エラストマー、シリコンゴム系ABS、ポリアミド系エラストマー、熱可塑性エラストマー、ポリエステル系エラストマー、フッ素系エラストマー、超高分子量ポリエチレン、ポリ3フッ化塩化エチレン、4フッ化エチレン・エチレン共重合体、4フッ化エチレン−6フッ化エチレン共重合体、液晶ポリマー/液晶ポリエステル、11ナイロン、12ナイロン、46ナイロン、612ナイロン、6ナイロン(ポリイミド)、66ナイロン、ポリブチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアセタール、ポリフィニレンオキサイド、シンシオクタチックポリスチレン、620ナイロン、ポリアミドイミド、ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルサルホン、4フッ化エチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合、ポリフィニレンサルファイド、ポリサルホン、ポリ4フッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン、熱可塑性ポリイミド、耐衝撃性ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、アクリロニトリル・エチレン・スチレン共重合体、ポリメチルメタクリレート、生分解性プラスチック、ジアリルフタレート、シリコーン、フェノール、不飽和ポリエステル、ポリウレタン、メラミン、ユリア、または、これらの混合物が挙げられる。
また、これらの
[実施例3]
5G用の電子回路基板に使われる材料として、例えば、下記に示す化学構造のCOP(シクロオレフィンポリマー)が挙げられる。なお、COPは日本ゼオン株式会社製のL−24である。
Figure 2021160987
具体的な製造方法は、COPポリマーを100g計量し、アセトン溶液と混合し、撹拌混合機で約3分間混合し、減圧脱泡を約2分間行う。次に、表面処理を行ったAlNウィスカーをCOP樹脂に対し、例えば、10、20、30gを混合機の中に投入し、混合する。この状態を約5分間保ち、その後、脱泡する。次に、混合物を真空乾燥機に移し、0.03MPa、60℃の雰囲気で、2時間保持する。この作業により、アセトンを除去する。
次に、混合体を0.03MPa以下の高真空下、230℃の雰囲気で0.5時間保持し、さらに、0.03MPa以下の高真空下、270〜300℃の雰囲気で約2時間保持する。そして、高真空を維持した後、約20〜60分で室温まで徐冷する。このようにして、AlNウィスカーが充填されたCOP樹脂が製造される。
例えば、AlNウィスカーが20g充填されたCOP樹脂の場合、周波数10GHzでの特性は、比誘電率ε=約2.5、誘電正接が約0.005であった。
[実施例4]
実施例4では、樹脂材料が下記に示す化学構造のPTA(高純度テレフタル酸)の場合について説明する。
Figure 2021160987
具体的には、以下の工程にて混合体を作成する。PTAの粒子を100g計量し、アセトン溶液と混合し、撹拌混合機で約3分間混合し、減圧脱泡を約2分間行う。
次に、表面処理を行ったAlNウィスカーをPTAに対し、例えば、10、20、30gを混合機の中に投入し、混合する。この状態を約5分間保ち、その後、脱泡する。次に、混合物を真空乾燥機に移し、0.03MPa、60℃の雰囲気で、2時間保持する。この作業により、アセトンを除去する。
次に、混合体を0.03MPa以下の高真空下、100℃の雰囲気で0.5時間、200℃の雰囲気で1時間保持し、さらに、0.03MPa以下の高真空下、270〜300℃の雰囲気で約2時間保持する。そして、高真空を維持した後、約20〜60分で室温まで徐冷する。これにより、AlNウィスカーが充填されたPTA樹脂が製造される。
例えば、AlNウィスカーが20g充填されたPTA樹脂の場合、10GHzでの特性は、比誘電率ε=約2.3〜2.5、誘電正接が約0.005であった。
[実施例5]
実施例5では、樹脂材料が下記に示す化学構造のPTFEの場合について説明する。
Figure 2021160987
具体的には、以下の工程にて混合体を作成する。PTFEの粒子を100g計量し、アセトン溶液と混合し、撹拌混合機で約3分間混合し、減圧脱泡を約2分間行う。
次に、表面処理を行ったAlNウィスカーをPTFEに対し、例えば、10、20、30gを混合機の中に投入し、混合する。この状態を約5分間保ち、その後、脱泡する。次に、混合物を真空乾燥機に移し、0.03MPa、60℃の雰囲気で、2時間保持する。この作業により、アセトンを除去する。
次に、混合体を0.03MPa以下の高真空下、100℃の雰囲気で0.5時間、200℃の雰囲気で1時間保持し、さらに、0.03MPa以下の高真空下、270〜300℃の雰囲気で約2時間保持する。そして、高真空を維持した後、約20〜60分で室温まで徐冷する。これにより、AlNウィスカーが充填されたPTFE樹脂が製造される。
例えば、AlNウィスカーが20g充填されたPTFE樹脂の場合、10GHzでの特性は、比誘電率ε=約2.3〜2.5、誘電正接が約0.005であった。
[実施例6]
実施例6では、樹脂材料が下記に示す各化学構造の液晶ポリマーの場合について説明する。
Figure 2021160987
Figure 2021160987
Figure 2021160987
Figure 2021160987
Figure 2021160987
Figure 2021160987
具体的には、以下の工程にて混合体を作成する。上述のいずれかの液晶ポリマーを100g計量し、アセトン溶液と混合し、撹拌混合機で約3分間混合し、減圧脱泡を約2分間行う。
次に、表面処理を行ったAlNウィスカーを液晶ポリマーに対し、例えば、10、20、30gを混合機の中に投入し、混合する。この状態を約5分間保ち、その後、脱泡する。次に、混合物を真空乾燥機に移し、0.03MPa、60℃の雰囲気で、2時間保持する。この作業により、アセトンを除去する。
次に、混合体を0.03MPa以下の高真空下、230℃の雰囲気で0.5時間保持し、さらに、0.03MPa以下の高真空下、250〜270℃の雰囲気で約2時間保持する。そして、高真空を維持した後、約20〜60分で室温まで徐冷する。これにより、AlNウィスカーが充填された液晶ポリマーが製造される。
例えば、AlNウィスカーが20g充填された液晶ポリマーの場合、10GHzでの特性は、比誘電率ε=約2.6、誘電正接が約0.01であった。
[実施例7]
実施例7では、樹脂材料が下記に示す化学構造の熱硬化性ポリマー(TPE:Thermosetting Polyether)の場合について説明する。TPE樹脂は、低伝送損失基板材料に適する樹脂の一例である。
Figure 2021160987
Figure 2021160987
Figure 2021160987
具体的には、以下の工程にて混合体を作成する。TPE樹脂を100g計量し、アセトン溶液と混合し、撹拌混合機で約3分間混合し、減圧脱泡を約2分間行う。
次に、表面処理を行ったAlNウィスカーをTPE樹脂に対し、例えば、10、20、30gを混合機の中に投入し、混合する。この状態を約5分間保ち、その後、脱泡する。次に、混合物を真空乾燥機に移し、0.03MPa、60℃の雰囲気で、2時間保持する。この作業により、アセトンを除去する。
次に、混合体を0.03MPa以下の高真空下、200℃の雰囲気で0.5時間保持し、さらに、0.03MPa以下の高真空下、250〜300℃の雰囲気で約2時間保持する。そして、高真空を維持した後、約20〜60分で室温まで徐冷する。これにより、AlNウィスカーが充填されたTPE樹脂が製造される。
例えば、AlNウィスカーが20g充填されたTPE樹脂の場合、10GHzでの特性は、比誘電率ε=約2.5〜2.7、誘電正接が約0.005〜0.1であった。
[実施例8]
実施例8では、異種材料としてAlN粉末を用いた成形体の場合について説明する。具体的には、以下の工程にて混合体を作成する。AlN粉末(株式会社トクヤマ製:粒子径0.5〜1μm)を100g秤量する。また、有機材料の結合剤(有機結合剤や、水溶性の結合剤)を約5〜40g秤量する。
次に、AlN粉末および結合剤に対し、表面処理を行ったAlNウィスカーを、例えば、5g、10g、20g、30g混合する。混合の方式は、有機溶剤(例えば、エタノール、アセトン、テスクリア、などの有機溶剤)が入った容器の中にAlN粉末と、AlNウィスカーを入れ、スターラーなどの方式で混合する。なお、有機溶剤以外にも、水溶性の結合剤を用いてもよい。
この混合液を、スプレードライ方式で、粒子状に成形する。次に、所望する形状(例えば、プレス装置を用いて0.2〜5mm程度の厚さの板状)に成形する。成形後、窒素雰囲気下で約100〜600℃の温度まで、徐々に温度を上昇させ、有機材料の結合剤を飛散させる(いわゆる脱脂工程で結合剤を飛散させる)。次に、窒素雰囲気下で、数時間かけて約1600〜1800℃の温度まで昇温し、その後、2〜5時間温度を維持し焼成する。焼成後、窒素雰囲気下で徐冷をして、常温にする。
このように、焼成された成形体の特性は以下である。例えば、AlNウィスカー(長さが約20〜100μm、線径が約1〜5μm)が20g充填されたAlN粉末焼結体(厚さが約0.5mm)の場合、熱伝導度は約150〜250W/mkであり、絶縁特性は約3〜15kV・mmである。また、折り曲げ強度は、AlNウィスカーが充填されていない場合と比較して、約3倍の強度があった。
このように成形されたAlN焼結体は、熱伝導性と絶縁性とを兼ね備えた電子回路基板として活用できる。電気回路基板に適用したときの特徴としては、(i)熱の伝導性が良く、絶縁特性が優れ、かつ、機械的な破壊強度が優れているので、薄くても使用できる。また、多重に積層できるので、より有用な基板となり得る。(ii)熱の伝導性が良いので、回路基板のどの位置にも半導体素子を配置することができる。その結果、回路基板の設計の自由度が増加し、コンパクトな基板回路を作ることができる。
[実施例9]
実施例9では、異種材料としてZrO粉末を用いた成形体の場合について説明する。具体的には、以下の工程にて混合体を作成する。ZrO粉末(粒子径約10〜100μm)を100g秤量する。また、有機材料の結合剤(有機結合剤や、水溶性の結合剤)を約5〜40g秤量する。
次に、ZrO粉末および結合剤に対し、表面処理を行ったAlNウィスカーを、例えば、5g、10g、20g、30g混合する。混合の方式は、有機溶剤(例えば、エタノール、アセトン、テスクリア、などの有機溶剤)が入った容器の中にZrO粉末と、AlNウィスカーを入れ、スターラーなどの方式で混合する。なお、有機溶剤以外にも、水溶性の結合剤を用いてもよい。
この混合液を、混練機でペースト状に成形する。次に、所望する形状(例えば、ロールコータ装置を用いて0.2〜5mm程度の厚さの板状)に成形する。成形後、窒素雰囲気下で約100〜600℃の温度まで、徐々に温度を上昇させ、有機材料の結合剤を飛散させる(いわゆる脱脂工程で結合剤を飛散させる)。次に、窒素雰囲気下で、数時間かけて約1600〜1800℃の温度まで昇温し、その後、2〜5時間温度を維持し焼成する。焼成後、窒素雰囲気下で徐冷をして、常温にする。
このように、焼成された成形体の特性は以下である。例えば、AlNウィスカー(長さが約20〜100μm、線径が約1〜5μm)が20g充填されたZrO粉末焼結体(厚さが約0.5mm)の場合、熱伝導度は約100〜250W/mkであり、絶縁特性は約3〜15kV・mmである。また、折り曲げ強度は、AlNウィスカーが充填されていない場合と比較して、約2〜3倍の強度があった。
このように成形されたZrO焼結体は、多くの用途に使用できる。例えば、自動車の排気ガスの酸素濃度を検出する酸素センサに用いることができる。実施例9に係るZrO焼結体の場合、熱伝導率が高いことから応答性の高いセンサを実現できる。また、ZrO焼結体の場合、機械的強度が強いので、センサの厚さを薄くでき、センサを小型にできる。
[実施例10]
実施例10では、異種材料としてAl粉末を用いた成形体の場合について説明する。具体的には、以下の工程にて混合体を作成する。Al粉末(粒子径約10〜100μm)を100g秤量する。また、有機材料の結合剤(有機結合剤や、水溶性の結合剤)を約5〜40g秤量する。
次に、Al粉末および結合剤に対し、表面処理を行ったAlNウィスカーを、例えば、5g、10g、20g、30g混合する。混合の方式は、有機溶剤(例えば、エタノール、アセトン、テスクリア、などの有機溶剤)が入った容器の中にAl粉末と、AlNウィスカーを入れ、スターラーなどの方式で混合する。なお、有機溶剤以外にも、水溶性の結合剤を用いてもよい。
この混合液を、混練機でペースト状に成形する。次に、所望する形状(例えば、ロールコータ装置を用いて0.2〜5mm程度の厚さの板状)に成形する。成形後、窒素雰囲気下で約100〜600℃の温度まで、徐々に温度を上昇させ、有機材料の結合剤を飛散させる(いわゆる脱脂工程で結合剤を飛散させる)。次に、窒素雰囲気下で、数時間かけて約1600〜1800℃の温度まで昇温し、その後、2〜5時間温度を維持し焼成する。焼成後、窒素雰囲気下で徐冷をして、常温にする。
このように、焼成された成形体の特性は以下である。例えば、AlNウィスカー(長さが約20〜100μm、線径が約1〜5μm)が20g充填されたAl粉末焼結体(厚さが約0.5mm)の場合、熱伝導度は約30〜80W/mkであり、絶縁特性は約3〜15kV・mmである。また、折り曲げ強度は、AlNウィスカーが充填されていない場合と比較して、約2〜3倍の強度があった。また、Al粉末焼結体の高周波特性は、10GHzで比誘電率ε=約7、誘電正接が約0.01であった。
このように成形されたAl粉末焼結体は、多くの用途に使用できる。例えば、セラミック電気基板回路に適用すれば、熱伝導率が高く、かつ機械的強度が強いので、電子基板回路の厚さを薄くできる。また、高周波での特性が良いことから、5G用通信機器の回路として活用ができる。また、電気自動車の変圧器に用いられるSi半導体からの放熱を行う熱交換器といった、絶縁性と熱伝導性を兼ね備えた部材として活用できる。
[実施例11]
実施例11では、異種材料としてコージェライト粒子(2MgO・2Al・5SiO)を用いた成形体の場合について説明する。具体的には、以下の工程にて混合体を作成する。コージェライト粒子(粒子径約10〜100μm)を100g秤量する。また、有機材料の結合剤(有機結合剤や、水溶性の結合剤)を約5〜40g秤量する。
次に、コージェライト粒子および結合剤に対し、表面処理を行ったAlNウィスカーを、例えば、5g、10g、20g、30g混合する。混合の方式は、有機溶剤(例えば、エタノール、アセトン、テスクリア、などの有機溶剤)が入った容器の中にコージェライト粉末と、AlNウィスカーを入れ、スターラーなどの方式で混合する。なお、有機溶剤以外にも、水溶性の結合剤を用いてもよい。
この混合液を、混練機でペースト状に成形する。次に、ペースト状の有機溶剤、水溶性溶剤を飛散し、気泡が少なくなった粘土状の成形体にする。粘土状の成形体を格子状(四角形状、または六角形状の蜂の巣形状)にすることができる型に高圧で押し込む。すると、蜂の巣形状の粘土成形体ができる。この粘土成形体を電子レンジ乾燥機にて内部から乾燥する。そして、窒素雰囲気下で有機結合剤を約350〜500℃で飛散させた後、約1540〜1650℃の温度を10〜40時間維持し焼成する。焼成後、窒素雰囲気下で徐冷をして、常温にする。
このように成形されたコージェライト焼結体の特性は以下である。例えば、AlNウィスカー(長さが約20〜100μm、線径が約1〜5μm)が20g充填されたコージェライトの蜂の巣焼結体は、強度が強く、かつ、熱伝導率が良い。
このように成形されたAlNウィスカー入りのコージェライト焼結体は、例えば、自動車の排気ガス浄化用の触媒担体として利用できる。その理由は、機械的強度が強いので、蜂の巣形状の壁の厚さを薄くできる。かつ、熱伝導が良いので、触媒担体の温度を均一にでき、その結果、排気ガスが低温でも、排気ガスの浄化を効率よくできる。例えば、HC、CO、NOxの浄化をする3ウエイ触媒の温度を、従来品の約350℃から約250℃まで下げる効果がある。
以上、本開示を実施の形態や各実施例をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
10 AlNウィスカー、 12 AlN単結晶、 14 酸素原子含有層、 14a 第1層、 14b 第2層、 16 表面処理層、 20a,20b 成形体。

Claims (8)

  1. 繊維状のAlN単結晶と、
    前記AlN単結晶を覆う酸素原子含有層と、を有し、
    前記酸素原子含有層は、AlOH及びアモルファス形態のAlの少なくとも一方を含有することを特徴とするAlNウィスカー。
  2. 前記AlN単結晶は、六角柱であり、
    前記酸素原子含有層は、AlONを更に含有することを特徴とする請求項1に記載のAlNウィスカー。
  3. 前記酸素原子含有層は、前記AlN単結晶側の第1層と、前記第1層よりも外側にある第2層とを有し、
    前記AlOH及びアモルファス形態のAlは、前記第1層よりも前記第2層に多く含まれており、
    前記AlONは、前記第2層よりも前記第1層に多く含まれていることを特徴とする請求項2に記載のAlNウィスカー。
  4. 前記第2層を覆い、前記第2層の表面のオキシ基またはヒドロキシ基と結合した表面処理層を更に有することを特徴とする請求項3に記載のAlNウィスカー。
  5. 前記AlN単結晶は、円柱であり、
    前記酸素原子含有層は、アモルファス形態のAlを含有することを特徴とする請求項1に記載のAlNウィスカー。
  6. 前記酸素原子含有層を覆い、前記酸素原子含有層の表面のオキシ基またはヒドロキシ基と結合した表面処理層を更に有することを特徴とする請求項5に記載のAlNウィスカー。
  7. 前記表面処理層は、前記オキシ基またはヒドロキシ基と結合したシラン化合物であることを特徴とする請求項4または6に記載のAlNウィスカー。
  8. 請求項7に記載のAlNウィスカーと、
    前記AlNウィスカーが充填された樹脂材料と、を備え、
    前記樹脂材料は、前記シラン化合物のアルキル基と結合する官能基を有することを特徴とする樹脂成形体。
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