JP2021160390A - シフト装置 - Google Patents

Abstract

【課題】シフト装置の回動操作に電気的に反力を与えるときに、この反力を指示する制御装置に異常が生じた場合においても、本来操作が制限されているレンジに切り替えることが可能になってしまうことのないシフト装置を提供すること。
【解決手段】反力付与指示手段に異常が生じ合場合には、前記反力付与制御手段は現在レンジから前記駐車レンジとは反対の方向の回動操作に対する反力を付与する。これによって反力の指示が異常の状態のまま車両が走行する可能性を低減できる。
【選択図】図１

Description

本発明は、自動車に搭載される変速機の走行レンジを切り替えるためのシフト装置に関し、特に、運転者の操作を制限するための反力を付与することができるシフト装置に関する。

従来より、自動車において運転者の前方の表示パネルや車両走行用操作ハンドル周辺に設けられ、回動操作部材の回動操作で走行レンジを切り替えて選択することができるシフト装置が知られている。そして、従来のシフト装置においては、回動操作部材によって選択された走行レンジの位置に応じて、現在のシフトレンジの位置が表示される。

特許文献１には、運転者が一回の操作で切り替えることができるシフトレンジの選択に制限を設け、運転者が意図しないシフトレンジの切り替えが回避できるシフト装置が記載されている。このように、運転者が意図するとおりのシフトレンジの切り替えがなされる工夫が施されている。

特開２０１３−４７０７４号公報

そして、回動操作式のシフト装置においては、運転者が意図する所定のレンジ以外のレンジに入ることを抑制するために、シフタ装置の回動操作に電気的に反力を与えることが考えられている。この電気的反力は、運転者がある程度継続して操作した後に反力を付与させることで、運転者は操作が制限されていることを認識できる。また、不必要な電力消費の抑制にもなる。

しかしながら、この反力を指示する制御装置に異常が生じた場合には適切な位置に反力を付与することができず、本来操作が制限されているレンジに切り替えることが可能になってしまうという不具合が生じる。

本発明は、このような従来技術に含まれる課題を解決するべく案出されたものであり、回動操作式のシフト装置において、運転者が意図する所定のレンジ以外のレンジに入ることを抑制するために、シフト装置の回動操作に電気的に反力を与えるときに、この反力を指示する制御装置に異常が生じた場合においても、本来操作が制限されているレンジに切り替えることが可能になってしまうことのないシフト装置を提供することを目的とする。

このような課題を解決するため、本発明においては、ダイヤル式の操作部材を回動操作することによって、駐車レンジ（Ｐ）、後退レンジ（Ｒ）、ニュートラルレンジ（Ｎ）、前進走行レンジ（Ｄ）の順に並んだレンジを切り替えることが可能となるシフト部材を備えた車両のシフト装置において、前記シフト部材が回動操作された場合に反力を付与する反力付与制御手段と、この反力付与制御手段に反力を付与する位置を指示する反力付与指示手段と、を有し、前記反力付与指示手段に異常が生じ合場合には、前記反力付与制御手段は現在レンジから前記駐車レンジとは反対の方向の回動操作に対する反力を付与することを特徴とする。

反力付与指示手段に異常が生じた場合に、現在レンジから前記駐車レンジとは反対の方向の回動操作に対する反力を付与する、すなわち、現在レンジの反力のカベを駐車レンジ側とは反対側に設けることで、現在レンジから走行レンジ側に変更しづらくことができる。これによって反力の指示が異常の状態のまま車両が走行する可能性を低減できる。

また、この場合に本発明においては、前記反力付与指示手段に異常が生じた場合には、前記反力付与制御手段は現在のレンジから前記駐車レンジ側に回動させると、回動されたレンジごとに、回動されたレンジから前記駐車レンジとは反対の方向の回動操作に対する反力を付与することを特徴とする。

反力付与指示手段の異常時に運転者の回動操作によって、回動操作範囲を狭めることによって、意図せずに走行レンジへ変更することをさらに抑制できる。

また、この場合に本発明においては、車両の電源（ＩＧ）がオフになった後に自動で車両を駐車レンジ（Ｐ）に切り替える自動駐車レンジ制御中に前記反力付与指示手段に異常が生じた場合には、前記回動操作に関わらず車両は駐車レンジを維持することを特徴とする。

自動駐車レンジ制御中に反力付与指示手段が異常になった場合には、自動駐車レンジ制御中に運転者がシフト部材による回動操作をしたとしても、運転者が回動操作によって切り替えようとしたレンジに切り替わることなく、駐車レンジを維持することによって、反力付与指示手段が異常なまま車両が動き出すことを抑制できる。

また、この場合に本発明においては、前記シフト装置は、前記レンジへ切り替わるとそのレンジ位置を表示させる表示手段と、この表示手段に表示を指示する表示位置指示手段とを、さらに有し、自動駐車レンジ制御中に前記表示位置指示手段に異常が生じた場合には、表示手段によって報知（消灯、点滅、全点灯など）するとともに、前記回動操作に関わらず車両は駐車レンジを維持することを特徴とする。

自動駐車レンジ制御中に表示位置指示手段が異常になった場合でも、報知手段を作動させることで、運転者が、表示位置指示手段が異常であることを認識できる。また、自動駐車レンジ制御中に運転者がシフト部材による回動操作をしたとしても、運転者が回動操作によって切り替えようとしたレンジに切り替わることなく、駐車レンジを維持することによって、表示位置指示手段が異常なまま車両が動き出すことを抑制できる。

このように、本発明によれば、回動操作式のシフト装置に関し、運転者が意図する所定のレンジ以外のレンジに入ることを抑制するために、シフト装置の回動操作に電気的に反力を与えるときに、反力付与指示手段や表示位置指示手段に異常が生じた場合においても、運転者が意図しないレンジの切り替えを抑制し、異常なまま車両が動き出すことを防止できる。

本発明のシフト装置の制御経路の系統の概観を車両上に示す図 本発明の車両中の運転者前面における各操作部材・表示部材の配置を示す図 本発明のシフト装置における制御経路の系統を示すブロック線図 本発明のシフト装置の各操作部材・表示部材の概観構成図 反力のカベを表す模式図 反力付与指示手段に異常が生じた場合の反力のカベの移動を示す図 反力付与指示手段異常時にレンジ切替がなされた場合の反力のカベ移動図 自動駐車制御中の反力付与指示手段異常発生時における反力のカベの移動図 自動駐車制御中の表示位置指示手段異常発生時における反力のカベの移動図

以下、本発明の一実施態様について、図面を参照しながら、詳細に説明する。

車両Ｖのシフト装置Ｓは、シフト部材１、報知手段２１を含む表示手段２、表示位置指示手段３、反力付与指示手段４、反力付与制御手段５、及び、異常検知手段６を備える。シフト部材１は、運転者１０が車両Ｖのトランスミッションのシフトレンジ位置を選択する操作部材である。図１および図２に示すように、シフト部材１は、運転者１０の前面の表示パネル９上であって、車両走行用操作ハンドル１１の左側の下方に配置される。

シフト部材１の上方に報知手段２１を含む表示手段２が配置されている。表示手段２において、レンジ位置の表示は、車両Ｖ内に配置された表示位置指示手段３によって指示される。また、車両Ｖ内には、他に、シフト装置Ｓのシフト部材１に操作の反力を付与する反力付与指示手段４、反力付与指示手段４を制御する反力付与制御手段５、並びに、表示位置指示手段３及び反力付与指示手段４の異常を検知する異常検知手段６が備えられる。

図３はシフト装置Ｓにおける制御経路の系統を示すブロック線図である。シフト部材（操作部材）１は、運転者１０による回動操作の情報（信号）を、表示位置指示手段３に送り表示手段２にレンジ位置を表示させる。また、シフト部材１（操作部材）は、運転者１０による回動操作の情報（信号）を、反力付与制御手段５に送り、反力付与制御手段からの信号が反力付与指示手段４に送られ、反力付与指示手段４から回動操作に対する反力付与の情報（信号）がシフト部材１（操作部材）に送られる。表示位置指示手段３の異常情報と反力付与指示手段４の異常情報が異常検知手段６に集められ、表示位置指示手段３の異常情報が表示手段２の報知手段２１に送られるとともに、表示位置指示手段３及び反力付与指示手段４の両者の異常情報が、反力付与制御手段５に送られる。シフト装置Ｓと自動駐車レンジ制御手段７の間では相互に情報のやり取りがなされる。また、自動駐車レンジ制御手段７は、電源スイッチ８から、車両の電源情報を受け取る。

図４に示すように、シフト部材１は、ダイヤル式の円柱状のつまみ部材有する回動操作部材からなるものである。表示手段２は、シフト部材１の上方に配置され、シフト部材１の操作により選択されたレンジの位置を表示する。また、レンジ位置の表示部が点滅表示することにより異常状態などを報知することができ、表示手段２は、報知手段２１を含む（兼ねている）といえる。本発明においては、表示位置指示手段３に異常が生じた場合に、表示手段２の全てのレンジ位置の表示か所が点滅することにより、運転者１０に異常状態を報知する。

車両レンジ切り替え装置により切り替えられるレンジ位置、すなわち、シフト部材１によって選択され表示手段２に表示されるレンジ位置には、駐車時のＰ（パーキング）レンジ、車両を後進走行させるＲ（リバース）レンジ、駆動力の伝達を遮断するＮ（ニュートラル）レンジ、車両を前進走行させるＤ（ドライブ）レンジの他、Ｌ（ロー（１速））レンジ、２（セカンド）レンジ、Ｓ（スポーツモード）レンジやＢ（回生制動）レンジなどがある。本発明の実施形態の表示手段２では、Ｐ，Ｒ，Ｎ，Ｄ，Ｓの各レンジを有するものであり、表示手段２において、それぞれのレンジを示す表示位置が、左側から、Ｐ，Ｒ，Ｎ，Ｄ，Ｓの順に配置される。

次に、図５〜図９を参照して、本発明の実施例について説明する。図５はシフト装置Ｓにおける各レンジ位置と反力のカベの関係を表す模式図を説明するための図であり、図６〜図８は、車両におけるシフト装置等に状態の変化が生じた場合の、シフト装置Ｓにおける、現在の各車両レンジ位置での反力のかべの変化（移動）を示す模式図である。

まず、図５を用いて、シフト装置Ｓの模式図及び反力のカベについて説明する。図５には、Ｐ，Ｒ，Ｎ，Ｄ，Ｓの各レンジ及びレンジ位置を選択する円形のシフト部材１を有するシフト装置Ｓが模式的に記載されている。各レンジの内、Ｄレンジにはドット塗が施され、これは現在、Ｄレンジで走行していることを示している。そして、Ｐレンジの外側及びＤレンジとＳレンジの間に、それぞれ、シフト部材１を模した円の中心から径方向に延びる線分が引かれ、この線分が反力のカベを意味するものである。ＤレンジとＳレンジの間の線分（反力のカベ）で説明すると、Ｄレンジに位置するシフト部材１を、ＤレンジからＳレンジ側（Ｐレンジと反対の方向）に回動させようとする操作をすると、その回動操作に対して回動操作方向と反対方向の（Ｐレンジへ向かう）反力が生じ、ＤレンジとＳレンジの間にカベが存在する状態になっているといえる。図５においては、Ｐレンジの外側及びＤレンジとＳレンジの間に反力のカベが設けられ、ＰレンジからＤレンジまでの間は、小さな力でレンジ切り替えの回動操作が可能で、回動操作がしやすいのに対して、ＤレンジからＳレンジへの回動操作は、反力を受けて、大きな力が必要となる。

本発明の実施の態様として、図６の例を説明する。図６においては、変化前（左側）には、反力のカベはＰレンジの外側とＳレンジの外側にあり、したがって、ＰレンジからＳレンジまでの全範囲において、レンジとレンジの間の反力のカベはなく、どのレンジからどのレンジに向かって回動操作しても回動操作に反力は生じない。そして、Ｄレンジにドット塗が施されていることから、現在の車両レンジはＤレンジで走行していることがわかる。

この状態で、反力付与手段に異常が生じた場合、反力のカベは現在レンジに対してＰレンジと反対側の位置に移る（現在レンジから前記駐車（Ｐ）レンジとは反対の方向の回動操作に対する反力を付与する）ことになる。したがって、図６においては、反力付与指示手段に異常が生じた後（右側）は、異常が生じる前にＳレンジの外側にあった反力のカベがＤレンジとＳレンジの間に移ることになる。これによって、回動操作によってＳレンジ（スポーツモードレンジ）に戻りにくくなり、反力付与指示手段の異常状態のままで車両がＳレンジで走行する可能性を低減させることができる。

本発明の別の実施の態様として、図７の例を説明する。図７においては、変化前（左側）には、反力のカベはＰレンジの外側と、ＤレンジとＳレンジの間にあり、したがって、ＰレンジからＤレンジまでの範囲においては、レンジとレンジの間の反力のカベはなく、ＤレンジとＳレンジの間に反力のカベが存在していた。また、Ｄレンジにドット塗が施されていることから、現在の車両レンジはＤレンジで走行していることがわかる。そして、図７の実施態様においては、反力付与指示手段に異常が生じていたことが前提となっている。

この状態で、運転者１０がシフト部材１を回動操作させ、レンジをＤレンジから駐車（Ｐ）レンジ側のＮレンジに切り替えた場合、反力のカベは、回動されたＮレンジの駐車（Ｐ）レンジとは反対側の位置に移る（回動されたレンジから前記駐車レンジとは反対の方向の回動操作に対する反力を付与する）ことになる。したがって、図７においては、運転者１０がシフト部材１によってレンジ位置を駐車レンジ側に切り替えた後（右側）は、レンジ切り替えの前にＤレンジとＳレンジの間にあった反力のカベがＮレンジとＤレンジの間に移ることになる。これによって、回動操作によって運転者１０がシフト部材１の回動操作によって切り替えることのできるレンジ範囲が狭められ、反力付与指示手段の異常状態のままで車両が走行する可能性を低減させることができる。

本発明の別の実施の態様として、図８の例を説明する。図８においては、反力のカベがＰレンジの外側とＳレンジの外側にあり、そして、Ｄレンジにドット塗が施されていることから、現在の車両レンジはＤレンジで走行していたことがわかる（最も左側）。この状態で車両Ｖが停止し、電源スイッチ８により車両電源はオフにされた。このとき、本発明の実施態様では、車両Ｖに備えられた自動駐車レンジ制御手段７により、車両Ｖのレンジは自動的に駐車（Ｐ）レンジに切り替えられる。この場合には、シフト部材１が物理的に回動されるわけではなく、シフト部材１の現状の回動状態の位置（Ｄレンジの位置）が、駐車（Ｐ）レンジ位置に再設定されることになる。

この状態で、反力付与手段に異常が生じた場合、運転者１０のシフト部材１の回動操作によらず、車両Ｖのレンジ位置は駐車（Ｐ）レンジ位置に維持される。これによって、反力付与手段に異常が生じた状態で車両Ｖが動き出すことを防止することができる。

本発明の別の実施の態様として、図９の例を説明する。図９においては、反力のカベがＰレンジの外側とＳレンジの外側にあり、そして、Ｄレンジにドット塗が施されていることから、現在の車両レンジはＤレンジで走行していたことがわかる（最も左側）。この状態で車両Ｖが停止し、電源スイッチ８により車両電源はオフにされた。このとき、本発明の実施態様では、車両Ｖに備えられた自動駐車レンジ制御手段７により、車両Ｖのレンジは自動的に駐車（Ｐ）レンジに切り替えられる。この場合には、シフト部材１が物理的に回動されるわけではなく、シフト部材１の現状の回動状態の位置（Ｄレンジの位置）が、駐車（Ｐ）レンジ位置に再設定されることになる。

この状態で、シフト装置Ｓの表示位置指示手段３に異常が生じた場合、運転者１０のシフト部材１の回動操作によらず、車両Ｖのレンジ位置は駐車（Ｐ）レンジ位置に維持される。これによって、反力付与手段に異常が生じた状態で車両Ｖが動き出すことを防止することができる。そしてこの場合には、さらに、シフト装置Ｓの表示手段２における全てのレンジ位置の表示か所が点滅することにより、異常状態を報知する。これによって、反力付与手段に異常が生じた状態で車両Ｖが動き出すことを防止することができる。

以上、本発明を実施する態様について、実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、種々なる態様で実施できるものであることは勿論である。

Ｖ … 車両
Ｓ … シフト装置
１ … シフト部材（操作部材）
２ … 表示手段
２１… 報知手段
３ … 表示位置指示手段
４ … 反力付与指示手段
５ … 反力付与制御手段
６ … 異常検知手段
７ … 自動駐車レンジ制御手段
８ … 電源スイッチ
９ … 表示パネル
１０… 運転者
１１… 車両走行用操作ハンドル

Claims (4)

1. ダイヤル式の操作部材を回動操作することによって、駐車レンジ、後退レンジ、ニュートラルレンジ、前進走行レンジの順に並んだレンジを切り替えることが可能となるシフト部材を備えた車両のシフト装置において、
   前記シフト部材が回動操作された場合に反力を付与する反力付与制御手段と、この反力付与制御手段に反力を付与する位置を指示する反力付与指示手段と、を有し、
   前記反力付与指示手段に異常が生じた場合には、前記反力付与制御手段は現在レンジから前記駐車レンジとは反対の方向の回動操作に対する反力を付与することを特徴とする車両のシフト装置。
2. 前記反力付与指示手段に異常が生じた場合には、前記反力付与制御手段は現在のレンジから駐車レンジ側に回動させると、回動されたレンジごとに、回動されたレンジから前記駐車レンジとは反対の方向の回動操作に対する反力を付与することを特徴とする請求項１に記載の車両のシフト装置。
3. 車両の電源がオフになった後に自動で車両を前記駐車レンジに切り替える自動駐車レンジ制御中に前記反力付与指示手段に異常が生じた場合には、前記回動操作に関わらず車両は前記駐車レンジを維持することを特徴とする請求項１または２に記載の車両のシフト装置。
4. シフト装置は、前記レンジへ切り替わるとそのレンジ位置を表示させる表示手段と、この表示手段に表示を指示する表示位置指示手段とを、さらに有し、
   自動駐車レンジ制御中に前記表示位置指示手段に異常が生じた場合には、表示手段によって報知するとともに、前記回動操作に関わらず車両は前記駐車レンジを維持することを特徴とする請求項１ないし請求項３のいずれかに記載の車両のシフト装置。
   

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