JP2021160369A - 車両のアップライト - Google Patents

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Motohiro Fujiyoshi
豪軌 杉浦
Toshiki Sugiura
裕之 山口
Hiroyuki Yamaguchi
義和 服部
Yoshikazu Hattori
祐哉 井上
Yuya Inoue
陽一朗 山海
Yoichiro Sankai
真人 柴
Masato Shiba
卓也 本庄
Takuya Honjo
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Abstract

【課題】車両のアップライトにおいて、車輪に外力が作用したとき、ハブキャリアに対するアクスルハブの傾斜を大きくする。【解決手段】アップライト14は、車輪10が固定されるアクスルハブ22と、ベアリング26を介してアクスルハブ22を回転可能に支持するハブキャリア24を含む。また、アップライト14は、ハブキャリア24に対するアクスルハブ22の傾斜を検出するハブ傾斜検出器52を含む。ハブキャリア24のベアリング保持部34と、ベアリング26のアウタレース48の間に変形部材50が介在している。変形部材50の材質は、ベアリング保持部34より低いヤング率を有する。変形部材50が低剛性であることにより、アクスルハブ22が傾斜しやすくなる。【選択図】図3

Description

本発明は、車両において、車輪が取りつけられるアップライトに関する。
乗用車、貨物車などの車両は、サスペンションアーム、スプリングダンパユニット、アクスルなどを介して車体に支持されて、車輪が取り付けられるアップライトを備えている。アップライトは、車輪が固定されて車輪と共に回転するホールハブと、サスペンションアーム等を介して車体に支持され、アクスルハブを回転可能に支持するハブキャリアを備える。なお、ここでは、アップライトは、操舵車輪を支持するナックルを含む。
下記特許文献1には、車輪に加わる外力から路面の摩擦係数(μ)を求める手法が開示されている。また、特許文献2には、ハブキャリア(外輪3)に対するアクスルハブ(ハブ4)の相対変位を測定して、相対変位からアクスルハブ(ハブ4)に加わる力を測定する装置が開示されている。さらに、特許文献3にも、ハブキャリア(外輪11)に対するアクスルハブ(ハブ軸13)の相対変位を測定して、アクスルハブ(ハブ軸13)に加わる外力を測定する装置が開示されている。アクスルハブに加わる外力は、車輪に加わる外力に関連する。なお、上記の( )内の部材名および符号は、該当する特許文献で用いられている部材名および符号であり、本願の説明で用いられる部材名および符号とは関連しない。
特開2004−352046号公報 特開2006−292445号公報 特開2010−122067号公報
車輪に加わる外力をアクスルハブの変位から求めるためには、外力の増減に応じてアクスルハブの変位が増減することが必要であり、理想的には外力と変位の関係が線形であることが望まれる。しかし、変位は、外力の増減に応じた成分以外の成分を含む。アクスルハブの変位の検出精度を高めるためには、外力に応じた成分がそれ以外の成分に対して相対的に大きいことが望まれる。
本発明に係る車両のアップライトは、アクスルハブと、アクスルハブを回転可能に支持するハブキャリアと、ハブキャリアに対するアクスルハブの水平面内における傾斜および鉛直面内における傾斜を検出するハブ傾斜検出器とを備える。ハブ傾斜検出器は、アクスルハブに設けられた検出トラックと、検出トラックとの距離を取得するセンサと、センサと検出トラックの距離に基づきハブキャリアの傾斜を算出する傾斜算出部とを含む。また、ハブキャリアは、アクスルハブを支持するハブ支持体と、ハブ支持体を保持するキャリア本体と、ハブ支持体とキャリア本体の間に介在する変形部材とを含む。キャリア本体には、ハブ傾斜検出器のセンサが固定され、変形部材は、キャリア本体よりも低いヤング率の材料で構成されている。
ハブ支持体とキャリア本体の間にヤング率の低い変形部材を介在させたことにより、キャリア本体に対するハブ支持体の相対変位を大きくすることができる。
ハブ支持体は、アクスルハブの回転軸線と同軸に配置された略円筒形状の部材とすることができ、キャリア本体は、変形部材を介してハブ支持体を径方向外側から囲むものとすることができる。
ハブ支持体とキャリア本体の径方向において互いに対向する面が、アクスルハブの回転軸線に沿った方向において、両端に向けてそれぞれ細くなるテーパ形状を有する2つのテーパ部を有するものとすることができる。変形部材は、テーパ部に対応して配置される。アクスルハブが傾斜しやすくなる。
アクスルハブの回転軸線に沿った方向において、ハブ支持体の中央部がハブキャリアに接触するようにでき、前記中央部の両側に変形部材が配置されるようにすることができる。接触点を中心にアクスルハブが傾動するようにできる。
アクスルハブの回転軸線に沿った方向において、変形部材は、互いに間隔を空けて配置された複数の変形部材セグメントに分割されているものとすることができる。一体の連続した変形部材セグメントに比べ、同じ外力が加えられたときにアクスルハブの傾斜を大きくすることができる。
ハブ支持体とキャリア本体の径方向において互いに対向する面が、アクスルハブの回転軸線に沿った方向において、中央に円筒形の円筒部を有し、前記円筒部の両側に、端に向けて細くなるテーパ形状のテーパ部を有するものとすることができ、円筒部およびテーパ部それぞれに変形部材セグメントが配置されているものとすることができる。アクスルハブの径方向の変位を抑えつつ、アクスルハブが傾斜しやすくなる。
変形部材セグメントは、アクスルハブの回転軸線に沿った方向において、中央部の配置密度が、端部の配置密度より高いものとすることができる。特に、変形部材セグメントの幅を中央部において広く、端部において狭くすることができる。また、特に、隣接する変形部材セグメントの間隔を中央部において狭く、端部において広くすることができる。アクスルハブの径方向の変位を抑えつつ、アクスルハブが傾斜しやすくなる。
変形部材セグメントは、車両の前後方向においてアクスルハブの前方および後方に配置された変形部材セグメントの数が、車両の上下方向においてアクスルハブの上方および下方に配置された変形部材セグメントの数より多いものとすることができる。車両の前後方向に直交する平面内におけるアクスルハブの傾斜の感度を水平面内における傾斜の感度に比べて大きくすることができる。
変形部材セグメントは、車両の前後方向においてアクスルハブの前方および後方に配置された変形部材セグメントの幅が、車両の上下方向においてアクスルハブの上方および下方に配置された変形部材セグメントの幅より広いものとすることができる。車両の前後方向に直交する平面内におけるアクスルハブの傾斜の感度を水平面内における傾斜の感度に比べて大きくすることができる。
ハブ支持体とキャリア本体の一方には、他方に当接してアクスルハブの傾斜角を制限するストッパが設けられているものとすることができる。必要以上に大きく傾斜することを防止することができる。
本発明に係る他の態様の車両のアップライトは、アクスルハブと、アクスルハブを回転可能に支持するハブキャリアと、ハブキャリアに対するアクスルハブの水平面内における傾斜および鉛直面内における傾斜を検出するハブ傾斜検出器とを備える。ハブ傾斜検出器は、アクスルハブに設けられた検出トラックと、検出トラックとの距離を取得するセンサと、センサと検出トラックの距離に基づきハブキャリアの傾斜を算出する傾斜算出部とを含む。また、ハブキャリアは、アクスルハブを支持するハブ支持体と、ハブ支持体を保持するキャリア本体と、ハブ支持体とキャリア本体の間に介在する変形部材とを含む。キャリア本体には、ハブ傾斜検出器のセンサが固定されている。ハブ支持体は、アクスルハブの回転軸線と同軸に配置された略円筒形状の部材である。キャリア本体は、変形部材を介してハブ支持体を径方向外側から囲む。変形部材は、アクスルハブの回転軸線に沿った方向において、互いに間隔を空けて配置された複数の変形部材セグメントに分割されている。
キャリア本体に対するハブ支持体の相対変位、特に傾斜を大きくすることができ、車輪に加わる荷重の検出精度が向上する。
車輪および車輪の支持構造ならびに車輪に作用する外力を示す図である。 車輪10を側方から見た図である。 アップライトの概略構成を模式的に示す図である。 ハブキャリアの構成の一例を示す図である。 ハブキャリアの構成の一例を示す図である。 ハブキャリアの構成の一例を示す図である。 ハブキャリアの構成の一例を示す図である。 ハブキャリアの構成の一例を示す図である。 ハブキャリアの構成の一例を示す図である。 ハブキャリアの構成の一例を示す図である。 ハブキャリアの構成の一例を示す図である。 ハブキャリアの構成の一例を示す図である。 ハブキャリアの構成の一例を示す図である。 ハブキャリアの構成の一例を示す図である。
以下、本発明の実施形態を図面に従って説明する。図1は、車両の車輪10に作用する力およびモーメントを示す図である。車輪10の回転軸線A上かつ車輪の幅の中央に位置する点を原点Oとし、原点Oを通り車両の後方に向かう軸をx軸、原点Oを通り車両の左右方向において内側に向かう軸をy軸、原点を通り上方に向かう軸をz軸とする。各軸に沿う方向の力をFx,Fy,Fzとし、各軸周りのモーメントをMx,My,Mzとする。また、以下の説明において、回転軸線Aに沿う方向を軸線方向、回転軸線Aに直交する方向を径方向と記す。
定常円旋回時に車輪10に作用する外力は、車両の進行方向の摩擦を無視すれば、y軸に沿う方向の路面からの摩擦力Fcのみである(Fy=Fc)。1つの車輪当たりの車両質量をmとし、y軸方向の加速度をGyとすれば、摩擦力Fcは、
Fc=mGy ・・・(1)
である。また、車輪10に作用する垂直抗力Nは、
N=mg ・・・(2)
である(gは重力加速度)。その時に発生している摩擦係数をμとすれば、
Fc=μN=μmg ・・・(3)
となる。式(1),(3)から、
μ=Gy/g ・・・(4)
である。
発生する摩擦係数μの最大値は、路面とタイヤの特性によって定まり、この摩擦係数を路面摩擦係数μaと記す。(μ/μa)は、最大利用可能な摩擦係数のうち、現在利用されている摩擦係数の割合を表し、これを摩擦係数利用率と記す。1からこの摩擦係数利用率を減算した値は、摩擦力Fcの最大値に対する余裕を表し、これをグリップ余裕度εと記す。グリップ余裕度εは、次式(5)で表される。
ε=1−(μ/μa) ・・・(5)
また、摩擦力Fcは、図2に示すように、車輪10の接地範囲の後方寄りの位置に作用する。これは、車輪10にスリップアングルが生じた場合、車輪10のタイヤのトレッド面のゴムが後方にいくほど大きく変形するためである。摩擦力Fcが後方にずれて作用することにより、z軸周りのモーメントMzを生じさせる。
先に述べた特許文献1には、z軸周りのモーメントMzを、y軸方向の力Fyと車輪10の接地長L(図2参照)の積で除した値(Mz/FyL)(以下「MF値」と記す。)がグリップ余裕度εの関数であることが示されている。よって、MF値からグリップ余裕度εを求め、一方式(4)に基づき、加速度Gyからそのとき発生している摩擦係数μを求めることにより、式(5)から路面摩擦係数μaを求めることができる。言い換えれば、路面摩擦係数μaは、摩擦力Fcと、z軸周りのモーメントMzから求めることができる。
摩擦力Fcはx軸周りのモーメントを生じさせるから、車軸12のyz平面内の傾斜を検出すれば、摩擦力Fcを求めることができる。また、摩擦力Fcにより生じるモーメントMzは、車軸12のxy平面内の傾斜を検出すれば求めることができる。本実施形態のアップライト14は、車軸12の傾斜を検出する機能を有している。
図3は、アップライト14およびその周囲の構成を模式的に示す図である。図3中に示すx,y,zの各軸は方向のみを示し、これらの軸の交点は座標系の原点を示すものではない。アップライト14は、サスペンションアーム16,18などのサスペンション部品を介して車体に支持されている。サスペンションアーム以外のサスペンション部品は、例えば、スプリングとダンパが一体となったスプリングダンパユニットなどがある。また、アップライト14は、車輪10を回転可能に支持する。
アップライト14は、車輪10、特に車輪10のホイールディスク20が結合され、これと一体となって回転するアクスルハブ22と、サスペンションアーム16,18に支持され、アクスルハブ22を回転可能に支持するハブキャリア24を含む。アクスルハブ22を回転可能に支持するために、アクスルハブ22とハブキャリア24の間には、ベアリング26の転動体27が介在している。アクスルハブ22は、ハブ軸28と、ハブ軸28と一体に構成されたハブフランジ30を含む。ハブフランジ30にはハブボルト32が立設されており、ハブボルト32にねじ結合するハブナット(不図示)により、ハブフランジ30にホイールディスク20が結合される。アクスルハブ22は、ハブ軸28の中心線を中心に、車輪10と共に回転する。よって、ハブ軸28の中心線が車輪10の回転軸線Aである。
ハブキャリア24は、ベアリング26を囲むように配置されてアクスルハブ22を支持するベアリング保持部34と、ベアリング保持部34から上方に延びるアッパーアップライトアーム36と、ベアリング保持部34から下方に延びるロアアップライトアーム38を含む。アッパーアップライトアーム36とロアアップライトアーム38の端には、それぞれサスペンションアーム16,18と結合するためのボールジョイント40,42が設けられている。
ベアリング26は、転動体27と、転動体27を挟むように配置されるインナレース46およびアウタレース48とを含む。このベアリング26では、転動体27はボール状であり、2列に配置されている。インナレース46は、アクスルハブ22に固定され、アクスルハブ22と一体となって回転する。インナレース46は、アクスルハブ22と一体であり、以下では、アクスルハブ22の一部と見なす。また、独立したインナレースを持たず、アクスルハブ22、特にハブ軸28自体がインナレースとして機能するよう構成されてもよい。アウタレース48は、ハブキャリア24に固定されて一体となっており、こちらも、以下ではハブキャリア24の一部と見なす。したがって、インナレース46を含むアクスルハブ22が、転動体27を介して、アウタレース48を含むハブキャリア24に回転可能に支持されている。
アウタレース48は、ベアリング26の転動体27を介してアクスルハブ22を支持するハブ支持体であり、ベアリング保持部34は、ハブ支持体であるアウタレース48を支持するキャリア本体である。アウタレース(ハブ支持体)48とベアリング保持部(キャリア本体)34の間には、変形部材50が介在している。変形部材50は、ベアリング保持部(キャリア本体)34よりも低いヤング率の材料で構成される。ベアリング保持部34が延鋼材SS400(ヤング率206GPa)である場合、変形部材50の材料の例として、ねずみ鋳鉄(100GPa)、6−4黄銅(103GPa)、りん青銅(110GPa)、アルミニウム合金(約70GPa)、ゴム(エラストマー)(0.001GPa)などが挙げられる。ヤング率の低い変形部材50によって、外力を受けたとき、ベアリング保持部34に対するアクスルハブ22の変位が大きくなる。
アップライト14には、アクスルハブ22の傾斜を検出するためのハブ傾斜検出器52が備わる。ハブ傾斜検出器52は、ハブ軸28に固定されてハブ軸28の周面を周方向に延びる検出トラック54と、ベアリング保持部34に固定され、検出トラック54に対向して配置されたセンサ56を含む。センサ56は、ハブ軸28の上方、下方、前方、後方の4個所に配置され、個々のセンサ56は、回転軸線Aの方向において、2個所で検出トラック54との距離を検出する。距離の検出方法は、例えば先に述べた特許文献2では、検出トラックに所定の形状の凹凸を形成し、凹凸に応じた信号に基づく方法が提案されている。各センサ56の出力は傾斜算出部58(図1参照)に送られる。傾斜算出部58は、上方と下方に配置されたセンサ56の出力に基づき、車両の前後方向に直交する平面(横断面)におけるハブ軸28の傾斜を算出する。また、傾斜算出部58は、前方と後方に配置されたセンサ56の出力に基づき、水平面におけるハブ軸28の傾斜を算出する。
図4から14は、ハブキャリア24の構成の例を模式的に示す図である。各構成例において、図3に示す構成と共通の要素には同一の符号を付し、対応する要素には図3の要素と同一の符号にA〜Lを付す。特に、図4から14は、変形部材の例を示し、変形部材の態様に応じてアウタレース48およびベアリング保持部34の態様が相違している。以下、例示される各変形部材は、ベアリング保持部よりも低いヤング率の材料で構成されている。
図4は、変形部材50の構成の一例である変形部材50Aを採用したハブキャリア24Aを示す模式図である。アウタレース48Aの外周面およびベアリング保持部34Aの内周面は円筒面であり、これら2つの円筒面の間隔は、軸線方向において一定である。変形部材50Aは、アウタレース48Aの外周面とベアリング保持部34Aの内周面の間の空間に配置される。変形部材50Aは円筒形状であってよく、また、円筒を周方向においていくつかに分割し、分割された部分の間に隙間が形成されるように配置されたものであってよい。
図5は、変形部材の構成の一例である変形部材50Bを採用したハブキャリア24Bを示す模式図である。アウタレース48Bは、前述のアウタレース48A(図4参照)に対して外周面の形状が相違する。アウタレース48Bの外周面は、軸線方向において、両端部に、端に向けて細くなるテーパ部48Baを有する。ベアリング保持部34Bは、前述のベアリング保持部34Aに対して内周面の形状が相違する。ベアリング保持部34Bの内周面には、アウタレース48Bのテーパ部48Baと径方向において対向するようにテーパ部34Baが形成されている。テーパ部34Baの内径は、軸線方向において端に向けて細くなる。変形部材50Bは、対向する2つのテーパ部48Ba、34Baに挟まれるように位置する。変形部材50Bも軸線方向において、端に向けて細くなるテーパ形状である。両端部のテーパ形状によって、ハブ軸28は、径方向の並進よりも傾斜が生じやすいように保持されている。
図6は、変形部材の構成の一例である変形部材50Cを採用したハブキャリア24Cを示す模式図である。アウタレース48Cは、前述のアウタレース48A(図4参照)に対して外周面の形状が相違する。アウタレース48Cの外周面48Caは、径方向の外方に向けて凸となっており、軸線方向の中央部でベアリング保持部34の内周面に接している。外周面48Caの断面は、図6に示すアウタレース48Cの場合、外方に向けて凸の曲線、特に円弧である。また、2本の直線で構成された山形であってもよい。変形部材50Cは、軸線方向において、アウタレース48Cとベアリング保持部34Cが接している中央部の両側に配置される。アウタレース48Cとベアリング保持部34Cが中央部で接していることにより、ハブ軸28の径方向の並進が拘束される。一方、中央部の両側には変形を許容する構造が設けられていることによりハブ軸28の傾斜が許容される。さらに、アウタレースの外周面48Caの、軸線方向において縁には、ストッパ60が配置されている。ストッパ60は回転軸線Aを中心線とする円環形状であって、外周面が、ベアリング保持部34の内周面と所定の間隔が空くように配置されている。また、ストッパ60は、変形部材50Cよりヤング率の高い材料で構成されてよく、好ましくはアウタレース48Cまたはベアリング保持部34Cと同じ材料で構成される。ハブ軸28がある程度傾斜するとストッパ60はベアリング保持部34に当接し、それ以上のハブ軸28の傾斜を制限する。発生した摩擦係数μを算出するには、車輪10のスリップアングルが小さいときのハブ軸28の傾きが検出できればよく、ストッパ60は、車両の操縦安定性を損なわないように、ハブ軸28の傾斜を制限している。ストッパ60は、アウタレース48Cに代えてベアリング保持部34に設けられてもよい。また、ストッパは、図4,5に示すハブキャリアに適用してよい。
図7は、変形部材の構成の一例である変形部材50Dを採用したハブキャリア24Dを示す模式図である。アウタレース48Dの外周面およびベアリング保持部34Dの内周面は円筒面であり、変形部材50Dは2つの円筒面の間の空間に配置される。変形部材50Dは、互いに間隔を空けて軸線方向に配列された複数の変形部材セグメント62Dに分割されている。変形部材50Dを分割することで、剛性をより低くすることができる。個々の変形部材セグメント62は、回転軸線Aを中心軸とする円環形状である。さらに個々の変形部材セグメント62は、周方向にいくつかに分割されてもよい。
ベアリング保持部34Dの軸線方向の両端には、径方向内向きに延びるフランジ64が設けられ、フランジ64のアウタレース48と対向する部分にストッパ66が設けられている。ストッパ66は、変形部材50Dよりヤング率の高い材料で構成されてよく、好ましくはアウタレース48Dまたはベアリング保持部34Dと同じ材料で構成される。ハブ軸28がある程度傾斜するとアウタレース48Dはストッパ66に当接し、それ以上のハブ軸28の傾斜を制限する。ストッパ66は、ベアリング保持部に代えてアウタレース48Dに設けられてもよい。
図8は、変形部材の構成の一例である変形部材50Eを採用したハブキャリア24Eを示す模式図である。ハブキャリア24Eは、変形部材の態様のみ前述のハブキャリア24D(図7参照)と相違する。変形部材50Eは、前述の変形部材50Dと同様、軸線方向に間隔を空けて配列された複数の変形部材セグメント62Eから構成される。変形部材セグメント62Eは、軸線方向における配置の密度が中央部で高く、端部で低くなるように構成されている。具体的には、変形部材セグメント62Eの幅(軸線方向の寸法)が、中央部で広く端部で狭い。隣接する変形部材セグメント62Eの間隔は共通である。中央部から端部に向けて変形部材セグメント62Eの幅が徐々に狭くなるように、また段階的に狭くなるようにしてよい。
図9は、変形部材の構成の一例である変形部材50Fを採用したハブキャリア24Fを示す模式図である。ハブキャリア24Fは、変形部材の態様のみ前述のハブキャリア24D(図7参照)と相違する。変形部材50Fは、前述の変形部材50Dと同様、軸線方向に間隔を空けて配列された複数の変形部材セグメント62Fから構成される。変形部材セグメント62Fは、軸線方向における配置の密度が中央部で高く、端部で低くなるように構成されている。具体的には、隣接する変形部材セグメント62Fの間隔が、中央部で狭く、端部で広い。各変形部材セグメント62Fの幅は共通である。変形部材セグメント62F間の間隔が中央部から端部に向けて徐々に広くなるように、また段階的に広くなるようにしてよい。
図10は、変形部材の構成の一例である変形部材50Gを採用したハブキャリア24Gを示す模式図である。ハブキャリア24Gは、変形部材の態様のみ前述のハブキャリア24D(図7参照)と相違する。変形部材50Gは、前述の変形部材50Dと同様、軸線方向に間隔を空けて配列された複数の変形部材セグメント62Gから構成される。変形部材セグメント62Gは、軸線方向における配置の密度が中央部で高く、端部で低くなるように構成されている。具体的には、変形部材セグメント62Gの幅(軸線方向の寸法)が、中央部で広く端部で狭い。さらに、隣接する変形部材セグメント62Gの間隔が、中央部で狭く、端部で広い。変形部材セグメント62Gの幅は、中央部から端部に向けて徐々に狭くなるように、また段階的に狭くなるようにしてよい。また、変形部材セグメント62G間の間隔が中央部から端部に向けて徐々に広くなるように、また段階的に広くなるようにしてよい。
図8〜10に示す変形部材50E,50F,50Gは、軸線方向において中央部より端部が変形しやすい。これにより、ハブ軸28は、径方向の並進よりも傾斜が生じやすいように保持されている。
図11は、変形部材の構成の一例である変形部材50Hを採用したハブキャリア24Hを示す模式図である。アウタレース48Hは、前述の図7に示すアウタレース48Dに対して外周面の形状が相違する。アウタレース48Hの外周面は、軸線方向において、中央に円筒部48Ha、両端部に端に向けて細くなるテーパ部48Hbを有する。ベアリング保持部34Hは、前述の図7に示すベアリング保持部34Dに対して内周面の形状が相違する。ベアリング保持部34Hの内周面には、アウタレース48Hの円筒部48Haおよびテーパ部48Hbと径方向においてそれぞれ対向するように円筒部34Haおよびテーパ部34Hbが形成されている。テーパ部34Hbの内径は、軸線方向において端に向けて細くなる。変形部材50Hは、軸線方向に間隔を空けて配列された複数の変形部材セグメント62Hから構成される。変形部材セグメント62Hは、アウタレース48Hの円筒面48Hsとベアリング保持部34Hの円筒面34Haの間、アウタレース48Hのテーパ面48Hbとベアリング保持部34Hのテーパ面34Hbの間に所定数が配置されている。両端部のテーパ形状によって、ハブ軸28は、径方向の並進よりも傾斜が生じやすいように保持されている。
図12は、変形部材の構成の一例である変形部材50Jを採用したハブキャリア24Jを示す模式図である。ハブキャリア24Jは、変形部材の態様のみ前述のハブキャリア24H(図11参照)と相違する。変形部材50Jは、前述の変形部材50Hと同様、軸線方向に間隔を空けて配列された複数の変形部材セグメント62Jから構成される。変形部材セグメント62Jは、軸線方向における配置の密度が中央部で高く、端部で低くなるように構成されている。具体的には、変形部材セグメント62Jの幅(軸線方向の寸法)が、中央部で広く端部で狭い。さらに、隣接する変形部材セグメント62Jの間隔が、中央部で狭く、端部で広い。変形部材セグメント62Jの幅は、中央部から端部に向けて徐々に狭くなるように、また段階的に狭くなるようにしてよい。また、変形部材セグメント62J間の間隔が中央部から端部に向けて徐々に広くなるように、また段階的に広くなるようにしてよい。変形部材50Hは、軸線方向において端部が変形しやすい。これにより、ハブ軸28は、径方向の並進よりも傾斜が生じやすいように保持されている。
図13は、変形部材の構成の一例である変形部材50Kを採用したハブキャリア24Kを示す模式図である。図13において、中心線(回転軸線A)より上の部分は鉛直断面を示し、下の部分は水平断面を示す。ハブキャリア24Kは、変形部材の態様のみ前述のハブキャリア24D(図7参照)と相違する。変形部材50Kは、軸線方向において間隔を空けて配列された複数の変形部材セグメント62K1,62K2から構成される。また、変形部材50Kは、上下方向と前後方向で変形部材セグメント62K1,62K2の構成が異なる。ハブ軸28に対して上方および下方に配置された変形部材セグメント62K1は、ハブ軸28に対して前方および後方に配置された変形部材セグメント62K2に対して、軸線方向における配置の密度が小さい。具体的には、個々の変形部材セグメント62K1,62K2の形状は同一であるが、上下に配置された変形部材セグメント62K1の数は、前後に配置された変形部材セグメント62K2の数より少ない。変形部材セグメント62K1,62K2の配置密度を異ならせることにより、変形部材50Kの剛性を鉛直断面と水平断面とで異ならせることができる。この結果、x軸周りのモーメントに対する感度を、y軸周りに対するモーメントの感度より高くすることができる。
図14は、変形部材の構成の一例である変形部材50Lを採用したハブキャリア24Lを示す模式図である。図14において、中心線(回転軸線A)より上の部分は鉛直断面を示し、下の部分は水平断面を示す。ハブキャリア24Lは、変形部材の態様のみ前述のハブキャリア24D(図7参照)と相違する。変形部材50Lは、軸線方向において間隔を空けて配列された複数の変形部材セグメント62L1,62L2から構成される。また、変形部材50Lは、上下方向と前後方向で変形部材セグメント62L1,62L2の構成が異なる。ハブ軸28に対して上方および下方に配置された変形部材セグメント62L1は、ハブ軸28に対して前方および後方に配置された変形部材セグメント62L2に対して、軸線方向における配置の密度が小さい。具体的には、変形部材セグメント62L1と変形部材セグメント62L2の数は等しいが、上下に配置された変形部材セグメント62K1の幅(回転軸線方向の寸法)は、前後に配置された変形部材セグメント62L2の幅より狭い。変形部材セグメント62L1,62L2の幅を異ならせることにより、変形部材50Kの剛性を鉛直断面と水平断面とで異ならせることができる。この結果、x軸周りのモーメントに対する感度を、y軸周りに対するモーメントの感度より高くすることができる。
前述のハブキャリア24Kとハブキャリア24Lでは、上下に配置された変形部材セグメントの前後に配置された変形部材セグメントの数と幅の一方のみを異なるものとして、異なる剛性を得ているが、数と幅の両者を異なるものとしてよい。
変形部材が、回転軸線に沿った方向において分割されて互いに間隔を空けて配置された複数の変形部材セグメントから構成された実施形態においては、変形部材を、ベアリング保持部と同じ材料で構成することができる。複数の変形部材セグメントに分割されていることで剛性が低下し、車輪への外力に対するアクスルハブの傾斜を大きくすることができる。
10 車輪、12 車軸、14 アップライト、22 アクスルハブ、24 ハブキャリア、26 ベアリング、27 転動体、28 ハブ軸、34,34A〜34L ベアリング保持部(キャリア本体)、46 インナレース、48,48A〜48L アウタレース(ハブ支持体)、50,50A〜50L 変形部材、52 ハブ傾斜検出器、54 検出トラック、56 センサ、58 傾斜算出部、60,66 ストッパ、62D〜62J,62K1,62K2,62L1,62L2 変形部材セグメント。

Claims (13)

  1. アクスルハブと、
    アクスルハブを回転可能に支持するハブキャリアと、
    ハブキャリアに対するアクスルハブの水平面内における傾斜および鉛直面内における傾斜を検出するハブ傾斜検出器と、
    を備え、
    ハブ傾斜検出器は、アクスルハブに設けられた検出トラックと、検出トラックとの距離を取得するセンサと、センサと検出トラックの距離に基づきハブキャリアの傾斜を算出する傾斜算出部と、を含み、
    ハブキャリアは、アクスルハブを支持するハブ支持体と、ハブ支持体を保持し、ハブ傾斜検出器のセンサが固定されたキャリア本体と、ハブ支持体とキャリア本体の間に介在し、キャリア本体よりも低いヤング率の材料で構成された変形部材と、を含む、
    車両のアップライト。
  2. 請求項1に記載の車両のアップライトであって、ハブ支持体は、アクスルハブの回転軸線と同軸に配置された略円筒形状の部材であり、キャリア本体は、変形部材を介してハブ支持体を径方向外側から囲んでいる、車両のアップライト。
  3. 請求項2に記載の車両のアップライトであって、ハブ支持体とキャリア本体の径方向において互いに対向する面が、アクスルハブの回転軸線に沿った方向において、両端に向けてそれぞれ細くなるテーパ形状を有する2つのテーパ部を有し、変形部材がテーパ部に対応して配置されている、車両のアップライト。
  4. 請求項2に記載の車両のアップライトであって、アクスルハブの回転軸線に沿った方向において、ハブ支持体の中央部がハブキャリアに接触し、前記中央部の両側に変形部材が配置されている、車両のアップライト。
  5. 請求項2に記載の車両のアップライトであって、アクスルハブの回転軸線に沿った方向において、変形部材が、互いに間隔を空けて配置された複数の変形部材セグメントに分割されている、車両のアップライト。
  6. アクスルハブと、
    アクスルハブを回転可能に支持するハブキャリアと、
    ハブキャリアに対するアクスルハブの水平面内における傾斜および鉛直面内における傾斜を検出するハブ傾斜検出器と、
    を備え、
    ハブ傾斜検出器は、アクスルハブに設けられた検出トラックと、検出トラックとの距離を取得するセンサと、センサと検出トラックの距離に基づきハブキャリアの傾斜を算出する傾斜算出部と、を含み、
    ハブキャリアは、アクスルハブを支持するハブ支持体と、ハブ支持体を保持し、ハブ傾斜検出器のセンサが固定されたキャリア本体と、ハブ支持体とキャリア本体の間に介在する変形部材と、を含み、
    ハブ支持体は、アクスルハブの回転軸線と同軸に配置された略円筒形状の部材であり、
    キャリア本体は、変形部材を介してハブ支持体を径方向外側から囲み、
    変形部材は、アクスルハブの回転軸線に沿った方向において、互いに間隔を空けて配置された複数の変形部材セグメントに分割されている、
    車両のアップライト。
  7. 請求項5または6に記載の車両のアップライトであって、ハブ支持体とキャリア本体の径方向において互いに対向する面が、アクスルハブの回転軸線に沿った方向において、中央に円筒形の円筒部を有し、前記円筒部の両側に、端に向けて細くなるテーパ形状のテーパ部を有し、円筒部およびテーパ部それぞれに変形部材セグメントが配置されている、車両のアップライト。
  8. 請求項5から7のいずれか1項に記載の車両のアップライトであって、変形部材セグメントは、アクスルハブの回転軸線に沿った方向において、中央部の配置密度が、端部の配置密度より高い、車両のアップライト。
  9. 請求項8に記載の車両のアップライトであって、変形部材セグメントは、中央部の変形部材セグメントの幅が端部の変形部材セグメントの幅より広い、車両のアップライト。
  10. 請求項8に記載の車両のアップライトであって、変形部材セグメントは、中央部の隣接する変形部材セグメントの間隔が端部の変形部材セグメントの間隔より狭い、車両のアップライト。
  11. 請求項5から7のいずれか1項に記載の車両のアップライトであって、変形部材セグメントは、車両の前後方向においてアクスルハブの前方および後方に配置された変形部材セグメントの数が、車両の上下方向においてアクスルハブの上方および下方に配置された変形部材セグメントの数より多い、車両のアップライト。
  12. 請求項5から7のいずれか1項に記載の車両のアップライトであって、変形部材セグメントは、車両の前後方向においてアクスルハブの前方および後方に配置された変形部材セグメントの幅が、車両の上下方向においてアクスルハブの上方および下方に配置された変形部材セグメントの幅より広い、車両のアップライト。
  13. 請求項1から12のいずれか1項に記載の車両のアップライトであって、ハブ支持体とキャリア本体の一方には、他方に当接してアクスルハブの傾斜角を制限するストッパが設けられている、車両のアップライト。
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