JP2021160189A - 発泡積層シートおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本開示は、例えばマット剤を使用しなくても、良好なマット感を得ることが可能な発泡積層シートを提供することを主目的とする。【解決手段】本開示においては、基材層と、上記基材層の一方の面側に位置する発泡樹脂層と、上記発泡樹脂層の上記基材層とは反対の面側に位置し、樹脂を含有するコート層と、を備え、上記発泡樹脂層を基準として、上記コート層側の表面に凹凸形状を有する発泡積層シートであって、断面視において、上記凹凸形状の凹部表面から、上記発泡積層シートの内部に向かう方向に、クラックを有し、上記クラックを、少なくとも上記コート層に有する、発泡積層シートを提供することにより、上記課題を解決する。【選択図】図1

Description

本開示は、発泡積層シートおよびその製造方法に関する。
発泡積層シートは、発泡樹脂層を備えるシートであり、例えば、壁紙、各種装飾材等の内装材として使用されている。また、発泡積層シートの表面にエンボス加工を行う技術が知られている。例えば、特許文献1には、エンボス加工による凹凸形状が形成された発泡壁紙が開示されている。
また、マット感(低艶感)を有する発泡積層シートに関する技術が知られている。例えば、特許文献1、2には、化粧シートに、シリカ等のマット剤を用いることで、目視する際に艶消し調とする技術が開示されている。また、特許文献3には、電気絶縁性分散媒中に、マット顔料を包含する樹脂粒子を分散させた艶消し湿式現像剤を用いて、被印刷体上にマット印刷層を設ける技術が開示されている。
特許第4907051号明細書 特開2007−83643号公報 特開2000−235284号公報
例えば特許文献1、2では、シリカ等のマット剤を用いて、発泡積層シートにマット感を付与している。一方で、マット剤以外の手段で、発泡積層シートにマット感を付与することが望まれている。本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、例えばマット剤を使用しなくても、良好なマット感を得ることが可能な発泡積層シートを提供することを主目的とする。
本開示においては、基材層と、上記基材層の一方の面側に位置する発泡樹脂層と、上記発泡樹脂層の上記基材層とは反対の面側に位置し、樹脂を含有するコート層と、を備え、上記発泡樹脂層を基準として、上記コート層側の表面に凹凸形状を有する発泡積層シートであって、断面視において、上記凹凸形状の凹部表面から、上記発泡積層シートの内部に向かう方向に、クラックを有し、上記クラックを、少なくとも上記コート層に有する、発泡積層シートを提供する。
本開示によれば、凹凸形状における凹部表面から内部に向かう方向に、クラックを有することから、光散乱により、良好なマット感を有する発泡積層シートとすることができる。そのため、例えばマット剤を使用しなくても、良好なマット感を得ることができる。
上記開示において、上記クラックを、上記凹凸形状の上記凹部表面から、上記コート層の上記発泡樹脂層側の表面まで有していてもよい。
上記開示において、上記発泡積層シートは、上記発泡樹脂層および上記コート層の間にスキン層を備え、上記クラックを、上記スキン層の上記発泡樹脂層とは反対側の表面に有していなくてもよい。
上記開示において、上記コート層は、アクリル樹脂を含有していてもよい。
上記開示において、上記発泡積層シートは、上記コート層の上記発泡樹脂層とは反対の面側に、表面保護層を備えていてもよい。
上記開示において、上記表面保護層は、マット剤を含有しなくてもよい。
上記開示において、上記発泡積層シートは、上記コート層および上記表面保護層の間に、絵柄模様層を備えていてもよい。
また、本開示においては、基材層と、上記基材層の一方の面側に位置する発泡剤含有樹脂層と、上記発泡剤含有樹脂層の上記基材層とは反対の面側に位置し、樹脂を含有するコート層と、を有する第一積層シートを準備する準備工程と、上記第一積層シートにおける上記発泡剤含有樹脂層を、加熱により発泡させ発泡樹脂層を形成し、第二積層シートを得る発泡工程と、上記発泡樹脂層を基準として、上記コート層側の上記第二積層シートの表面に凹凸形状を形成するエンボス加工工程と、を有し、上記エンボス加工工程では、断面視において、上記凹凸形状の凹部表面から、上記第二積層シートの内部に向かう方向に、クラックを形成し、さらに、上記クラックを、少なくとも上記コート層に形成する、発泡積層シートの製造方法を提供する。
本開示によれば、エンボス加工工程において、積極的にクラックを形成することにより、光散乱により、良好なマット感を有する発泡積層シートを得ることができる。
本開示においては、光散乱により、良好なマット感を有する発泡積層シートを得ることができる。そのため、例えばマット剤を使用しなくても、良好なマット感が得られる。
本開示における発泡積層シートを例示する概略断面図である。 本開示における発泡積層シートを例示する概略断面図である。 従来の発泡積層シートを例示する概略断面図である。 本開示における凹凸形状を例示する概略断面図である。 本開示における発泡積層シートを例示する概略平面図である。 本開示における発泡積層シートの製造方法を例示する概略断面図である。 実施例2で製造した発泡積層シートの顕微鏡観察結果である。 実施例2で製造した発泡積層シートの顕微鏡観察結果である。 実施例2および比較例1、2で製造した第一積層シート、第二積層シート、発泡積層シートのグロス値測定結果である。
下記に、図面等を参照しながら本開示の実施の形態を説明する。ただし、本開示は多くの異なる態様で実施することが可能であり、下記に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、図面は説明をより明確にするため、実際の形態に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表わされる場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
本明細書において、ある部材の上に他の部材を配置する態様を表現するにあたり、「上に」または「下に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある部材に接するように、直上あるいは直下に他の部材を配置する場合と、ある部材の上方あるいは下方に、別の部材を介して他の部材を配置する場合との両方を含むものとする。また、本明細書において、ある部材の面に他の部材を配置する態様を表現するにあたり、「面側に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある部材の面に接するように、他の部材を配置する場合と、ある部材の面に、別の部材を介して他の部材を配置する場合との両方を含むものとする。
以下、本開示における発泡積層シートおよびその製造方法について詳細に説明する。
A.発泡積層シート
図1は、本開示における発泡積層シートを例示する概略断面図である。図1に示す発泡積層シート10は、基材層1、接着層2、発泡樹脂層3、スキン層4、コート層5、絵柄模様層6および表面保護層7を厚さ方向に沿って、この順に有する。さらに、発泡積層シート10は、発泡樹脂層3を基準として、コート層5側の表面S5に凹凸形状Xを有する。また、凹凸形状Xにおける凹部Qの表面S1から、発泡積層シート10の内部に向かう方向に、クラックCを有し、そのクラックCを、少なくともコート層5に有している。
本開示によれば、凹凸形状における凹部表面から内部に向かう方向に、クラックを有していることから、光散乱により、良好なマット感を有する発泡積層シートとすることができる。そのため、例えばマット剤を使用しなくても、良好なマット感を得ることができる。例えば、プラスチック感を感じさせない本物の漆喰のような高級感のある質感を有する発泡積層シートを得ることもできる。
上述したように、例えば特許文献1、2では、シリカ等のマット剤を用いて、発泡積層シートにマット感を付与している。具体的には、図3に示すように、従来の発泡積層シート20は、表面保護層7を備え、その表面保護層7が、シリカ等のマット剤を含有していた。マット剤の使用量にも依るが、マット剤を用いることで、コスト増加、マット剤による汚染、マット剤の欠落による傷の発生等の問題が発生する可能性がある。これに対して、本開示における発泡積層シートは、必ずしもマット剤を使用する必要がないため、上記問題の発生を抑制できる。なお、後述するように、本開示における発泡積層シートは、必ずしもマット剤を使用する必要はないが、マット剤の使用を否定するものではない。
1.凹凸形状
本開示における発泡積層シートは、発泡樹脂層を基準として、コート層側の表面に凹凸形状を有する。具体的には、図1(a)、(b)に示すように、発泡積層シート10は、発泡樹脂層3を基準として、コート層5側の表面S5に凹凸形状Xを有する。凹凸形状は、断面視において、発泡積層シートのコート層側の表面から、発泡樹脂層まで到達していることが好ましい。図1(a)は、凹凸形状の断面形状が矩形状の場合、図1(b)は、凹凸形状の断面形状が三角形状(角部が曲線の三角形状)の場合の発泡積層シートの概略断面図である。
凹凸形状は、通常、凹部および凸部を有する。ここで、図2に示すように、発泡樹脂層3の基材層1側の表面S3を基準として、厚さ方向に沿って、凹凸形状Xにおける最も遠い部分までの距離Lと、凹凸形状Xにおける最も近い部分までの距離Lとの差を、凹凸形状Xの高さHとする。凹凸形状Xの凹部Qとは、高さHを基材層側から9:1の比に分けた場合における基材層に近い領域をいい、凹凸形状Xの凸部Pとは、高さHを基材層側から9:1の比に分けた場合における基材層から遠い領域をいう。後述するように、本開示においては、凹凸形状の凹部表面からクラックを有している。また、距離Lは、エンボス加工前(具体的には後述する第二の積層シートの状態)の発泡樹脂層の厚さより小さくてもよく、発泡樹脂層の厚さ以上であってもよい。前者の場合、図2に示すように、発泡樹脂層3の一部の領域が、凹凸形状Xによって圧縮された構造となる。一方、後者の場合は、特に図示しないが、発泡樹脂層の一部の領域が、凹凸形状によって圧縮されていない構造となる。
凹凸形状の断面形状は、特に限定されない。図4は、本開示における凹凸形状を例示する概略断面図である。なお、図4では、便宜上、各層の詳細は省略している。凹凸形状Xの断面形状は、図4(a)に示すように矩形状であってもよく、図4(b)に示すように凹レンズ状であってもよく、図4(c)に示すように凸レンズ状であってもよく、図4(d)に示すように三角形状であってもよい。また、図4(e)に示すように角部が曲線の三角形状であってもよい。
凹凸形状の平面形状は、特に限定されない。図5は、本開示における凹凸形状を例示する概略平面図である。なお、図5では、便宜上、各層の詳細は省略している。凹凸形状Xの平面形状は、図5(a)に示すようにライン状であってもよく、図5(b)に示すようにドット状であってもよい。各ドットの平面形状としては、例えば、円状、楕円状、三角形状、矩形状が挙げられる。凹凸形状の模様の具体例としては、例えば木目板導管溝、石板表面凹凸、布表面テクスチャア、梨地、砂目、ヘアライン、万線条溝が挙げられ、これらの組み合わせであってもよい。
2.クラック
本開示における発泡積層シートは、断面視において、凹凸形状の凹部表面から、発泡積層シートの内部に向かう方向に、クラックを有している。「凹部」の定義については、上述した通りである。「凹部表面」とは、凹部の外表面(発泡樹脂層から遠い側に位置する表面)をいう。また、発泡積層シートには、通常、複数のクラックを有している。複数のクラックは、互いに集合していてもよく、互いに連結していてもよい。また、本開示における発泡積層シートは、断面視において、凸部表面から発泡積層シートの内部に向かう方向にクラックを有していてもよい。例えばエンボス加工の条件によっては、凸部表面から発泡積層シートの内部に向かう方向にクラックが形成される場合もある。
さらに、本開示における発泡積層シートは、クラックを、コート層に有する。具体的には、コート層の発泡樹脂層とは反対側の表面に少なくともクラックを有する。例えば、発泡積層シートが、コート層を最外層として備える場合、凹凸形状の凹部表面と、コート層の発泡樹脂層とは反対側の表面とは一致する。そのため、コート層の発泡樹脂層とは反対側の表面に少なくともクラックを有する。一方、発泡積層シートが、コート層を最外層として備えない場合、すなわち、後述する表面保護層等の他の層を備える場合、凹凸形状の凹部表面(他の層の表面)から、コート層の発泡樹脂層とは反対側の表面までは、少なくともクラックを有する。
また、本開示における発泡積層シートは、クラックを、凹凸形状の凹部表面から、コート層の発泡樹脂層側の表面まで有することが好ましい。すなわち、クラックを、コート層の発泡樹脂層とは反対側の表面から、コート層の発泡樹脂層側の表面まで、連続的に有することが好ましい。
発泡積層シートが、発泡樹脂層およびコート層の間に、後述するスキン層を備える場合、クラックを、スキン層の発泡樹脂層とは反対側の表面に有さないことが好ましい。すなわち、クラックは、スキン層まで到達しないことが好ましい。クラックがスキン層まで到達しないことで、良好な強度を有する発泡積層シートとすることができるからである。
平面視において、凹凸形状がライン状である場合、本開示における発泡積層シートは、クラックを、ライン状の長手方向に沿って有することが好ましい。エンボス加工の際に、積極的にクラックを形成すると、凹凸形状に追従した形で、クラックが形成される。クラックの線幅(短手方向の長さ)は、例えば、50μm以上150μm以下である。また、クラックのアスペクト比(長手方向の長さ/短手方向の長さ)は、例えば2以上であり、3以上であってもよい。また、凹凸形状がドット状である場合、本開示における発泡積層シートは、ドットの周方向に沿ったクラックとドットの中心から外側方向に沿った放射状のクラックとを有することが好ましい。
平面視において、凹凸形状の凹部におけるクラックの面積比(クラックの面積/凹部全体の面積)をAとし、凹凸形状の凸部におけるクラックの面積比(クラックの面積/凸部全体の面積)をBとした場合に、A/Bは、例えば2倍以上であり、5倍以上であってもよい。A/Bは、例えば100倍以下である。
3.コート層
本開示におけるコート層は、発泡樹脂層の基材層とは反対の面側に位置し、樹脂を含有する層である。
コート層に含有される樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂が挙げられる。中でもアクリル樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂が好ましい。
コート層の厚さは、特に限定されないが、例えば0.2μm以上であり、0.3μm以上であってもよい。一方、コート層の厚さは、特に限定されないが、例えば0.6μm以下である。コート層が厚すぎても薄すぎても、所望のクラックが形成されない可能性がある。
4.発泡樹脂層
発泡樹脂層は、内部に発泡セルを有する。発泡セルは、独立気泡であってもよく、連続気泡であってもよく、独立気泡と連続気泡とが混在していてもよい。また、発泡セルの数、大きさ、密度、形状等は特に限定されず、発泡積層シートの種類、用途等に応じて適宜設計することができる。発泡セルは、発泡樹脂層の形成に用いられる発泡剤含有樹脂組成物に含まれる発泡剤を発泡して形成することができる。
発泡樹脂層は、樹脂成分として、樹脂およびその架橋物の少なくとも一方を含有することが好ましい。上記架橋物は、上記樹脂の分子鎖が架橋した架橋物であり、例えば、電子線照射により架橋された架橋物であってもよく、架橋剤により架橋された架橋物であってもよい。
上記樹脂としては、例えば、塩化ビニル樹脂、オレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリフェニレンスルファイド、ポリエーテルエーテルケトンが挙げられる。発泡樹脂層において、これらは、1種単独で含まれていてもよく、2種以上が含まれていてもよい。
本開示においては、発泡樹脂層が、樹脂成分として、オレフィン系樹脂およびその架橋物の少なくとも一方を含有することが好ましい。オレフィン系樹脂としては、例えば、ポリオレフィン、オレフィンビニルエステル共重合体、オレフィン不飽和カルボン酸共重合体、オレフィン不飽和カルボン酸エステル共重合体が挙げられる。
ポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)が挙げられ、中でもPEが好ましい。PEとしては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)が挙げられる。
オレフィンビニルエステル共重合体は、オレフィンおよびビニルエステルをモノマー成分として含む共重合体であり、二元または三元以上の共重合体であってもよい。上記オレフィンとしては、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセンが挙げられる。一方、上記ビニルエステルとしては、例えば酢酸ビニル、カプロン酸ビニル、プロピオン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリル酸ビニル、ステアリン酸ビニルが挙げられる。
オレフィンビニルエステル共重合体の具体例としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−カプロン酸ビニル共重合体、エチレン−プロピオン酸ビニル共重合体、エチレン−カプリル酸ビニル共重合体、エチレン−ラウリル酸ビニル共重合体、エチレン−ステアリン酸ビニル共重合体が挙げられる。
オレフィン不飽和カルボン酸共重合体は、オレフィンおよび不飽和カルボン酸をモノマー成分として含む共重合体であり、二元または三元以上の共重合体であってもよい。上記オレフィンとしては、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセンが挙げられる。一方、上記不飽和カルボン酸としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸が挙げられる。
オレフィン不飽和カルボン酸共重合体の具体例としては、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)が挙げられる。
オレフィン不飽和カルボン酸エステル共重合体としては、例えば、エチレン−メチルアクリレート共重合体(EMA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン−メチルメタクリレート共重合体(EMMA)、エチレン−エチルメタクリレート共重合体(EEMA)が挙げられる。
発泡樹脂層は、オレフィン系樹脂を主成分として含有していてもよく、オレフィン系樹脂の架橋物を主成分して含有していてもよく、オレフィン系樹脂およびその架橋物の混合物を主成分として含有していてもよい。なお、発泡樹脂層の全ての樹脂成分に対する、オレフィン系樹脂およびその架橋物の少なくとも一方の割合は、例えば70質量%以上であり、80質量%以上であってもよく、90質量%以上であってもよい。また、発泡樹脂層は、樹脂成分として、オレフィン系樹脂およびその架橋物の少なくとも一方のみを含有していてもよい。
発泡樹脂層に用いられる樹脂のメルトフローレート(MFR)値は、溶融押出適性の観点から、例えば5g/10分以上であり、20g/10分以上であってもよい。一方、上記樹脂のMFR値は、例えば200g/10分以下であり、100g/10分以下であってもよい。MFR値が大きすぎると、得られる発泡樹脂層が軟らかすぎて、耐傷性に劣る場合がある。
発泡樹脂層における樹脂成分の含有量は、例えば、30質量%以上、80質量%以下であり、40質量%以上、70質量%以下であってもよく、50質量%以上、60質量%以下であってもよい。樹脂成分の含有量が多すぎると、十分な発泡倍率が得られない場合がある。一方、樹脂成分の含有量が少なすぎると、押出製膜性に劣る場合がある。
発泡樹脂層は、難燃性付与、目透き抑制、表面強度向上等を目的として、無機充填剤を含んでいてもよい。無機充填剤としては、特に限定されないが、例えば、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、三酸化アンチモン、ホウ酸亜鉛、モリブデン化合物、二酸化チタンが挙げられる。なお、これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
無機充填剤の含有量は、特に限定されないが、樹脂成分100質量部に対して、例えば、0質量部以上、100質量部以下であり、20質量部以上、70質量部以下であってもよい。
発泡樹脂層は、必要に応じて、防カビ剤、顔料、酸化防止剤、光安定剤、架橋剤、架橋助剤、発泡助剤、防虫剤、防腐剤、抗菌剤、希釈剤、消臭剤、可塑剤等の添加剤を含んでいてもよい。また、未発泡の発泡剤が含まれていてもよい。
発泡樹脂層の厚さは、特に限定されないが、例えば、350μm以上、1500μm以下であり、500μm以上、1200μm以下であってもよい。
5.基材層
本開示における基材層は、発泡樹脂層およびコート層を保持する部材である。基材層に用いられる基材としては、例えば繊維質基材が挙げられる。繊維質基材としては、例えば紙、不織布、織布等の壁紙用途に用いられる公知の材料が挙げられる。上記紙は、一般紙であってもよく、難燃紙であってもよい。
難燃紙は、一般紙の中に難燃剤を含有させた紙である。難燃剤としては、例えば尿素、アンモニウム化合物等の窒素化合物;水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物(好ましくは水和物);自消性を有するリンまたはハロゲン元素を含む難燃剤が挙げられる。中でも、水酸化マグネシウムのように結晶水を含む化合物は、燃焼分解時に結晶水の気化熱によって難燃化を図ることができる。
不織布は、抄紙式等の湿式不織布であってもよく、接着剤式、機械結合式(ニードルパンチ、ステッチボンド)、スパンボンド式等の乾式不織布であってもよい。不織布として具体的には、レーヨン紙、パルプを混抄した不織布、和紙、ガラス不織布、石綿不織布、ポリエステル不織布、ポリカーボネート不織布等の樹脂繊維不織布が挙げられる。
基材層は、必要に応じて、乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、着色剤、サイズ剤、定着剤等の任意の材料を含むことができる。
基材層の厚さは、特に限定されず、発泡積層シートの用途に応じて適宜設定することができる。基材層の坪量は、例えば、30g/m以上、100g/m以下であり、50g/m以上、70g/m以下であってもよい。
6.任意の構成
(1)スキン層
本開示における発泡積層シートは、図2に示すように、発泡樹脂層3およびコート層5の間に、スキン層4を備えていてもよい。スキン層を設けることで、例えば発泡樹脂層の表面強度を高めることができる。すなわち、スキン層は、発泡樹脂層の保護層として機能することが好ましい。また、発泡樹脂層およびコート層の間に、スキン層を設けることで、クラックが発泡樹脂層に達することを抑制することができる。スキン層は、通常、非発泡樹脂層である。
スキン層は、樹脂成分として、樹脂およびその架橋物の少なくとも一方を含有することが好ましい。上記架橋物は、上記樹脂の分子鎖が架橋した架橋物であり、例えば、電子線照射により架橋された架橋物であってもよく、架橋剤により架橋された架橋物であってもよい。
上記樹脂としては、例えば、オレフィン系樹脂、メタクリル系樹脂、熱可塑性ポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、フッ素系樹脂が挙げられる。スキン層において、これらは、1種単独で含まれていてもよく、2種以上が含まれていてもよい。
オレフィン系樹脂としては、上述した発泡樹脂層における材料と同様の材料が挙げられる。スキン層に用いられる、好ましいオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン(低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE))、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリイソプレン等の樹脂単体、エチレンと炭素数が4以上のαオレフィンの共重合体(線状低密度ポリエチレン(LLDPE))、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体等のエチレン(メタ)アクリル酸系共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、エチレン−ビニルアルコール共重合体、アイオノマーが挙げられる。なお、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸およびメタクリル酸の少なくとも一方を意味する。他の(メタ)と記載された部分についても同様である。
スキン層は、充填剤、着色剤、光安定剤、発泡剤、その他滑剤、抗菌剤等の公知の添加剤を含んでもよい。スキン層は透明でもよく、無着色でもよく、また着色してもよい。また、スキン層の厚さは、特に限定されないが、例えば、2μm以上、50μm以下である。
(2)表面保護層
本開示における発泡積層シートは、図2に示すように、コート層5の発泡樹脂層3とは反対の面側に、表面保護層7を備えていてもよい。表面保護層を設けることで、発泡積層シートの表面強度を高めることができる。
表面保護層の種類は、特に限定されず、表面保護層を設ける目的により適宜選択することができる。また、表面保護層が絵柄模様層の保護を目的とする場合、あるいは、耐スクラッチ性または耐汚染性の向上を目的とする場合、表面保護層は、樹脂成分として、樹脂およびその架橋物の少なくとも一方を含有することが好ましい。特に、表面保護層は、樹脂成分として、電離放射線硬化型樹脂の硬化物を含有することが好ましい。
表面保護層は、マット剤を含有していてもよく、マット剤を含有しなくてもよい。本開示における発泡積層シートは、所定のクラックを有するため、例えばマット剤を使用しなくても、良好なマット感を得ることができる。そのため、表面保護層は、マット剤を含有する必要はない。一方、例えば、よりマット感を強くするために、表面保護層にマット剤を添加してもよい。このような場合であっても、所定のクラックを有することで、例えばマット剤の使用量を低減でき、マット剤に起因する問題の発生を抑制できる。
マット剤としては、例えば、シリカ、架橋アクリルビーズ、ウレタンビーズ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、ガラスバルーン、ポリエチレン等の無機または有機のフィラーが挙げられる。
表面保護層の厚さは、特に限定されず、適宜設定することができる。表面保護層の厚さは、例えば、0.1μm以上、10μm以下である。
(3)絵柄模様層
本開示における発泡積層シートは、図2に示すように、コート層5の発泡樹脂層3とは反対の面側に、絵柄模様層6を備えていてもよい。絵柄模様層を設けることで、発泡積層シートに、容易に意匠性を付与することができる。例えば、コート層が比較的厚い場合、濃色の絵柄模様層を形成することが容易になる。また、発泡積層シートが、表面保護層を有する場合、発泡積層シートは、絵柄模様層をコート層および表面保護層の間に備えていてもよい。
絵柄模様層は、コート層に直接接していてもよく、接着層を介して接していてもよい。絵柄模様層は、少なくとも絵柄模様部を有し、絵柄模様層の形成方法に応じて、絵柄模様部を支持する支持部を有していてもよい。
絵柄模様部における絵柄模様は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。絵柄模様としては、例えば木目模様、石目模様、砂目模様、タイル貼模様、煉瓦積模様、布目模様、皮絞模様、幾何学図形、文字、記号、抽象模様、草花模様が挙げられる。
絵柄模様層は、例えば、支持部の一方の面に、印刷用インキを用いて絵柄模様部を印刷して形成することができる。また、支持部にかえて、コート層の表面に、印刷用インキを用いて絵柄模様部を直接印刷して形成してもよい。
印刷用インキは、例えば着色剤、結着剤樹脂および溶剤を少なくとも含む。印刷用インキの組成の詳細については、例えば特開2017−43009号公報、特開2011−179161号公報に開示される絵柄模様層の形成に用いられる印刷インキの組成と同様の組成を採用できる。また、印刷用インキとして、公知又は市販のインキを使用することができる。印刷方法は特に限定されず、公知の印刷方法を用いることができる。また、絵柄模様部が全面ベタ状に形成される場合は、公知の塗工方法を用いることもできる。
絵柄模様層の厚さは、特に限定されず、絵柄模様の種類に応じて適宜設定することができる。絵柄模様層の厚さは、例えば0.1μm以上、10μm以下である。
(4)接着層
本開示における発泡積層シートは、図2に示すように、基材層1および発泡樹脂層3の間に、接着層2を備えていてもよい。接着層により、基材層および発泡樹脂層の接着性を高めることができる。接着層は、樹脂成分として、樹脂およびその架橋物の少なくとも一方を含有することが好ましい。上記架橋物は、上記樹脂の分子鎖が架橋した架橋物であり、例えば、電子線照射により架橋された架橋物であってもよく、架橋剤により架橋された架橋物であってもよい。
上記樹脂としては、例えばオレフィン系樹脂が挙げられる。オレフィン系樹脂としては、上述した発泡樹脂層における樹脂と同様の材料が挙げられる。接着層に用いられる、好ましいオレフィン系樹脂としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)が挙げられる。エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)における酢酸ビニル成分(VA)の含有量(共重合比率)は、例えば、10質量%以上、46質量%以下であり、15質量%以上、41質量%以下であってもよい。また、接着層の厚さは、特に限定されないが、例えば5μm以上、50μm以下である。
7.発泡積層シート
本開示における発泡積層シートは、上述した基材層、発泡樹脂層およびコート層を少なくとも備え、さらに、コート層側の表面に凹凸形状を有する。また、その凹凸形状の凹部表面から、発泡積層シートの内部に向かう方向に、クラックを有している。
発泡積層シートは、コート層側の表面が、良好なマット感を有する。コート層側の表面の平均グロス値は、例えば3.3未満であり、3.2以下であってもよく、2.5以下であってもよい。グロス値は、JIS Z 8741−1997に準拠して入射角=75°の条件で測定した値である。
発泡積層シートの用途は、特に限定されないが、例えば、壁紙、各種装飾材等の内装材用途が挙げられる。特に、発泡積層シートは、壁紙または化粧シートとして用いられることが好ましい。
B.発泡積層シートの製造方法
図6は、本開示における発泡積層シートの製造方法を例示する概略断面図である。図6においては、基材層1、接着層2、発泡剤含有樹脂層31、スキン層4、コート層5、絵柄模様層6および表面保護層7を厚さ方向に沿ってこの順に有する第一積層シート12を準備する(図6(a)、準備工程)。次に、第一積層シート12における発泡剤含有樹脂層31を、加熱により発泡させ発泡樹脂層3を形成し、第二積層シート11を得る(図6(b)、発泡工程)。次に、発泡樹脂層3を基準として、コート層5側の第二積層シート11の表面に凹凸形状Xを形成し、発泡積層シート10を得る(図6(c)、エンボス加工工程)。エンボス加工工程では、凹凸形状Xの凹部Qの表面S1から、第二積層シート11の内部に向かう方向に、クラックCを形成し、さらに、そのクラックCを、少なくともコート層5に形成する。
本開示によれば、エンボス加工工程において、積極的にクラックを形成することにより、光散乱により、良好なマット感を有する発泡積層シートを得ることができる。
1.準備工程
本開示における準備工程は、基材層、発泡剤含有樹脂層、コート層をこの順に有する第一積層シートを準備する工程である。第一積層シートを準備する方法は、特に限定されず、自ら作製してもよく、購入してもよい。発泡剤含有樹脂層以外の層については、上記「A.発泡積層シート」に記載した内容と同様である。
発泡剤含有樹脂層は、樹脂成分と、発泡剤とを含有する。樹脂成分については、上記「A.発泡積層シート」において、発泡樹脂層の樹脂成分として記載した内容と同様である。発泡剤は、公知の発泡剤から選択することができる。発泡剤としては、例えば、アゾジカルボンアミド(ADCA)、アゾビスホルムアミド等のアゾ系;オキシベンゼンスルホニルヒドラジド(OBSH)、パラトルエンスルホニルヒドラジド等のヒドラジド系等の有機系熱分解型発泡剤、マイクロカプセル型発泡剤、重曹等の無機系発泡剤等が挙げられる。これらは、発泡剤含有樹脂層に1種単独で含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。
発泡剤の含有量は、発泡剤の種類、発泡倍率等に応じて適宜設定できる。発泡倍率は、例えば1.5倍以上であり、3倍以上、10倍以下であってもよい。また、発泡剤の含有量は、発泡剤含有樹脂層に含まれる樹脂成分100質量部に対して、例えば、1質量部以上、20質量部以下であり、3質量部以上、10質量部以下であってもよい。
発泡剤含有樹脂層は、発泡助剤を含有していてもよい。発泡助剤としては、例えば金属酸化物、脂肪酸金属塩等の、発泡助剤として用いられる公知の材料が挙げられ、発泡剤の種類に応じて適宜選択することができる。発泡助剤として具体的には、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、オクチル酸亜鉛、オクチル酸カルシウム、オクチル酸マグネシウム、ラウリン酸亜鉛、ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、カルボン酸ヒドラジド化合物等が挙げられる。これらは、発泡剤含有樹脂層に1種単独で含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。
発泡剤含有樹脂層が、オレフィン不飽和カルボン酸共重合体を含む場合、発泡助剤としてカルボン酸ヒドラジド化合物を含むことが好ましい。カルボン酸ヒドラジド化合物は、カルボキシル基を有するオレフィン不飽和カルボン酸共重合体と組み合わせて使用しても、化学的な反応により発泡助剤の効能を失活しにくい。このため、発泡剤含有樹脂層の発泡の際に生じる焼けや発色団の形成により、発泡樹脂層および基材層が黄変することを抑制できる。カルボン酸ヒドラジド化合物としては、例えば、分子中に1個のヒドラジド基を有するモノヒドラジド化合物、分子中に2個のヒドラジド基を有するジヒドラジド化合物、分子中に3個以上のヒドラジド基を有するポリヒドラジド化合物が挙げられる。具体的なモノヒドラジド化合物、ジヒドラジド化合物およびポリヒドラジド化合物については、例えば特開2009−197219号公報に開示される化合物とすることができる。これらは、発泡剤含有樹脂層に1種単独で含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。
発泡助剤の含有量は、特に限定されないが、例えば、発泡剤含有樹脂層に含まれる樹脂成分100質量部に対して、例えば0.3質量部以上、10質量部以下であり、1質量部以上、5質量部以下であってもよい。
また、発泡剤含有樹脂層は、発泡剤としてアゾジカルボンアミド(ADCA)を含み、発泡助剤としてカルボン酸ヒドラジド化合物を含むことが好ましい。この場合のカルボン酸ヒドラジド化合物の含有量としては、アゾジカルボンアミド(ADCA)1質量部に対して、例えば、0.2質量部以上、1質量部以下である。
発泡剤含有樹脂層の形成方法としては、例えば、基材層上に、Tダイ押出機により発泡剤含有樹脂組成物を押出して製膜する押出しラミネート法を用いることができる。また、発泡剤含有樹脂組成物を押出して発泡剤含有樹脂層のシートを形成後、別工程で発泡剤含有樹脂層のシートを基材層にラミネートしてもよい。押出製膜時のシリンダー温度およびダイス温度は、適宜調整することができる。また、発泡剤含有樹脂層の厚さは、例えば、30μm以上、300μm以下であり、50μm以上、150μm以下であってもよい。
また、発泡剤含有樹脂層に電子線を照射して樹脂成分を架橋する電子線照射を行ってもよい。発泡剤含有樹脂層に含まれる樹脂成分が架橋して架橋物を形成することができ、最終的に得られる発泡樹脂層の表面強度や発泡特性等を調整することができる。電子線のエネルギー強度は、例えば、150kV以上、250kV以下であり、175kV以上、200kV以下であってもよい。また、照射量は、例えば、10kGy以上、100kGy以下であり、10kGy以上、50kGy以下であってもよい。電子線源として、公知の電子線照射装置が使用できる。
また、第一積層シートが、スキン層および接着層の少なくとも一方を有する場合、これらの層は、押出製膜により形成してもよく、各フィルムを熱ラミネートすることにより形成してもよい。
コート層については、上記「A.発泡積層シート」に記載した内容と同様である。コート層の形成方法としては、特に限定されず、印刷、塗工等の常法のコーティング法、押出製膜法が挙げられる。コート層用組成物を塗工する場合、その塗工量は比較的多いことが好ましい。クラックを形成しやすいからである。コート層用組成物の塗工量は、例えば1.5g/m以上であり、2g/m以上であってもよい。一方、上記塗工量は、例えば5g/m以下である。コート層用組成物の固形分濃度は、例えば10質量%以上であり、20質量%以上であってもよい。
2.発泡工程
本開示における発泡工程は、上記第一積層シートにおける上記発泡剤含有樹脂層を、加熱により発泡させ発泡樹脂層を形成し、第二積層シートを得る工程である。
発泡工程における加熱温度および加熱時間は、発泡剤含有樹脂層に含まれる発泡剤の分解により層内に発泡セルが形成可能となる条件であれば特に限定されず、発泡剤含有樹脂層の組成に応じて適宜設定することができる。
3.エンボス加工工程
本開示におけるエンボス加工工程は、上記発泡樹脂層を基準として、上記コート層側の上記第二積層シートの表面に凹凸形状を形成する工程である。さらに、エンボス加工工程では、断面視において、凹凸形状の凹部表面から、第二積層シートの内部に向かう方向に、クラックを形成し、さらに、クラックを、少なくともコート層に形成する。
エンボス加工は、例えば、第二積層シートに熱を与えて加熱軟化させた後、コート層側の表面に、目的とする凹凸形状を有するエンボス板を配置して加圧し、冷却固定することにより行う。エンボス加工は、例えば、枚葉式エンボス機または輪転式エンボス機を用いて行うことができる。
エンボス加工の条件は、所望のクラックが形成されるように適宜設定する。すなわち、第二積層シートの構成に応じて、エンボス加工の条件を適宜設定する。例えば、シートの加熱温度を50〜150℃の範囲内、エンボス圧力を0.01〜1.0MPa、エンボス速度10〜120m/sの範囲内で適宜調整することができる。
4.発泡積層シート
上述した各工程により得られる発泡積層シートについては、上記「A.発泡積層シート」に記載した内容と同様である。
なお、本開示は、上記実施形態に限定されない。上記実施形態は、例示であり、本開示の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本開示の技術的範囲に包含される。
(実施例1)
下記に示す配合で発泡剤含有樹脂組成物を溶融混練により調製した。
・樹脂:EVA「エバテートH4011(VA含有量:20重量%)、住友化学製」90重量部、水添石油樹脂「アルコンP−100、荒川化学製」10重量部、
・無機充填剤:炭酸カルシウム「ホワイトンH、東洋ファインケミカル製」40重量部、二酸化チタン「R−108、デュポン製」20重量部、
・発泡剤:ADCA発泡剤「ビニホールAC#3、永和化成工業製」4重量部
・発泡助剤:「ステアリン酸亜鉛」3.3重量部
・安定剤「アデカスタブCPL−19、ADEKA製」0.6重量部
スキン層および接着層に用いられる樹脂として、以下の樹脂を準備した。
・スキン層:樹脂 EMAA「ニュクレルN1560(MAA含有量:15重量%、MFR:60g/10分)、三井・デュポン ポリケミカル製」
・接着層:樹脂 EVA「エバフレックスEV150(VA含有量:33重量%)、三井・デュポン ポリケミカル製」
3種3層マルチマニホールドTダイ押出し機を用いて、スキン層/発泡剤含有樹脂層/接着層の順に厚さ10μm/100μm/10μmになるように裏打紙に押出し製膜した。これにより、スキン層/発泡剤含有樹脂層/接着層/裏打紙からなる積層体を得た。裏打紙としては、「NI−65A(日本製紙製)」を用意し、これを90℃に加熱した後、上記3層を押出し製膜した。押出し条件は、スキン層を形成するための樹脂を収容したシリンダー温度は115℃とし、発泡剤含有樹脂層を形成するための樹脂組成物を収容したシリンダー温度は110℃とし、接着層を形成するための樹脂を収容したシリンダー温度は100℃とした。また、ダイス温度はいずれも110℃とした。
上記積層体に対して、スキン層の側から電子線(200KV,3Mrad)を照射して特にスキン層を樹脂架橋した。また、スキン層上にコロナ放電処理を行った。得られたシートのスキン層に、グラビア印刷機を用いて、オーデプライマー9(DICグラフィックス製、アクリル樹脂20%、コート層用組成物)をwet塗工量1.5g/mで塗工して、コート層を形成した。次に、得られたコート層上に、グラビア印刷機を用いてアクリル系水性インキ(昭和インク製)を塗工して、絵柄模様層を形成した。次に、得られた絵柄模様層上に、グラビア印刷機を用いて、アクリルエマルジョン(アクリル樹脂)により、表面保護層を形成した。このようにして、第一積層シートを得た。その後、ギアオーブンにて220℃で30秒〜40秒間加熱して、発泡剤含有樹脂層を発泡させて発泡樹脂層とし、第二積層シートを得た。
次に、紙面温度100℃に加熱し、エンボス版を押し付け、変形、冷却させることで、凹凸形状を付与した。これにより、発泡積層シートを得た。なお、凹凸形状は、図5(a)に示すライン状、および、図5(b)に示すドット状とした。
[実施例2、3および比較例1、2]
コート層用組成物の塗工量を表1に示す値に変更したこと以外は、実施例1と同様にして発泡積層シートを得た。
[評価]
(外観観察)
実施例1〜3および比較例1、2で得られた発泡積層シートにおける凹凸形状を顕微鏡(300倍)で観察した。代表的な結果として、実施例2の結果を図7および図8に示す。図7(a)は、凹凸形状の平面画像(ライン状)であり、図7(b)は、ライン状の長手方向における断面画像である。図7(a)、(b)に示すように、クラック(白く映っている部分)は、ライン状の長手方向に沿って形成されていることが確認された。クラックは50μm〜150μm程度の線幅で、一部複数のクラックが連結していた。また、クラックは、スキン層までは到達していなかった。
また、図8(a)は、凹凸形状の平面画像(ドット状)であり、図8(b)は、ドットの中心における断面画像である。図8(a)、(b)に示すように、クラックは、ドットの中心付近(凹部)に形成され、中心から外側に向かって放射状に形成されていることが確認された。また、クラックは、スキン層までは到達していなかった。
(グロス測定)
実施例1〜3および比較例1、2で得られた、第一積層シート、第二積層シートおよび発泡積層シートに対して、グロス測定を行った。グロス測定の条件は、JIS Z 8741−1997に準拠して入射角=75°の条件で測定した値とした。代表的な結果として、実施例2および比較例1、2の結果を、それぞれ図9(a)〜(c)に示す。また、平均グロス値を表1に示す。
Figure 2021160189
実施例1〜3では、エンボス加工時に、凹凸形状が形成されると共に、凹部表面から、シート内部に向かう方向に、クラックが形成された。そのため、グロス値が低くなり、良好なマット感が得られた。一方、比較例1、2では、エンボス加工時に、凹部表面から、シート内部に向かう方向に、クラックが形成されなかった。そのため、良好なマット感は得られなかった。
1 … 基材層
2 … 接着層
3 … 発泡樹脂層
4 … スキン層
5 … コート層
6 … 絵柄模様層
7 … 表面保護層
10 … 発泡積層シート
11 … 第二積層シート
12 … 第一積層シート

Claims (8)

  1. 基材層と、
    前記基材層の一方の面側に位置する発泡樹脂層と、
    前記発泡樹脂層の前記基材層とは反対の面側に位置し、樹脂を含有するコート層と、
    を備え、
    前記発泡樹脂層を基準として、前記コート層側の表面に凹凸形状を有する発泡積層シートであって、
    断面視において、前記凹凸形状の凹部表面から、前記発泡積層シートの内部に向かう方向に、クラックを有し、
    前記クラックを、少なくとも前記コート層に有する、発泡積層シート。
  2. 前記クラックを、前記凹凸形状の前記凹部表面から、前記コート層の前記発泡樹脂層側の表面まで有する、請求項1に記載の発泡積層シート。
  3. 前記発泡積層シートは、前記発泡樹脂層および前記コート層の間にスキン層を備え、
    前記クラックを、前記スキン層の前記発泡樹脂層とは反対側の表面に有さない、請求項2に記載の発泡積層シート。
  4. 前記コート層は、アクリル樹脂を含有する、請求項1から請求項3までのいずれかに記載の発泡積層シート。
  5. 前記発泡積層シートは、前記コート層の前記発泡樹脂層とは反対の面側に、表面保護層を備える、請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の発泡積層シート。
  6. 前記表面保護層は、マット剤を含有しない、請求項5に記載の発泡積層シート。
  7. 前記発泡積層シートは、前記コート層および前記表面保護層の間に、絵柄模様層を備える、請求項5または請求項6に記載の発泡積層シート。
  8. 基材層と、前記基材層の一方の面側に位置する発泡剤含有樹脂層と、前記発泡剤含有樹脂層の前記基材層とは反対の面側に位置し、樹脂を含有するコート層と、を有する第一積層シートを準備する準備工程と、
    前記第一積層シートにおける前記発泡剤含有樹脂層を、加熱により発泡させ発泡樹脂層を形成し、第二積層シートを得る発泡工程と、
    前記発泡樹脂層を基準として、前記コート層側の前記第二積層シートの表面に凹凸形状を形成するエンボス加工工程と、を有し、
    前記エンボス加工工程では、断面視において、前記凹凸形状の凹部表面から、前記第二積層シートの内部に向かう方向に、クラックを形成し、さらに、前記クラックを、少なくとも前記コート層に形成する、発泡積層シートの製造方法。
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