JP2021156323A - パーキングロック装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡易な構成でパーキングロックの誤作動を防止する。【解決手段】パーキングロック装置は、パーキングギア1の側方に配置され、アンロック位置に位置する爪22とパーキングギア1の外周面との間の空間に進入する第1位置と、空間から退避する第2位置との間を軸方向に移動可能に設けられた、軸線CL1を中心とした略円環状の大径リング部61を有するカバー60と、大径リング部61が第2位置に移動するようにカバー60を付勢するばね51と、径方向に移動可能に配置され、遠心力による径方向外側への移動に伴い、ばね51の付勢力に抗して大径リング部61が第1位置に移動するようにカバー60を押動するボール75と、を備える。【選択図】図4
Description
本発明は、パーキングギアをロックおよびアンロックするパーキングロック装置に関する。
従来より、車両の走行中にパーキングギアがロックされることを防止するようにした装置が知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1記載の装置は、第1パーキングギアと同軸かつ第1パーキングギアに隣接して、外周面に第1パーキングギアと同一形状の歯部を有する第2パーキングギアを有する。そして、車両の走行時に遠心力によって第1パーキングギアに対し第2パーキングギアが所定量相対回転し、第1パーキングギアの歯部と第2パーキングギアの歯部との位相がずれることで、パーキングポールの爪部が第1パーキングギアに係合不能となるように構成される。
しかしながら、上記特許文献1記載の装置では、第1パーキングギアに隣接して第2パーキングギアを配置する必要があるため、パーキングギアの個数が増加し、装置全体の重量の増加およびコストの上昇を招きやすい。
本発明の一態様であるパーキングロック装置は、軸線を中心とした外周面に凹部と凸部とを周方向交互に有するとともに、軸線を中心として回転軸と一体に回転するパーキングギアと、パーキングギアの凹部に係合してパーキングギアをロックするロック位置と、凹部から離間してパーキングギアをアンロックするアンロック位置とに移動可能な爪部を有するパーキングポールと、パーキングポールの爪部がロック位置とアンロック位置との間で移動するようにパーキングポールを揺動可能に支持する支持部材と、パーキングギアの側方に配置され、アンロック位置に位置する爪部とパーキングギアの外周面との間の空間に進入する第1位置と、空間から退避する第2位置との間を軸方向に移動可能に設けられた、軸線を中心とした略円環状のリング部を有するカバー部材と、リング部が第2位置に移動するようにカバー部材を付勢する付勢部材と、径方向に移動可能に配置され、遠心力による径方向外側への移動に伴い、付勢部材の付勢力に抗してリング部が第1位置に移動するようにカバー部材を押動する球体と、を備える。
本発明によれば、パーキングギアの個数が増加することなく、装置全体の重量の増加およびコストの上昇を抑えることができる。
以下、図1〜図5を参照して本発明の実施形態について説明する。本発明の実施形態に係るパーキングロック装置は、車両に搭載された駐車ブレーキ用のパーキングギアをロックおよびアンロックするものであり、車両を走行駆動する車両駆動装置に組み込まれる。以下では、パーキングギアのロックをパーキングロックの作動と呼び、パーキングロックのアンロックをパーキングロックの非作動と呼ぶことがある。
車両駆動装置は、エンジンやモータ等の駆動源からのトルクを、トルク伝達経路を介して駆動輪に伝達するように構成される。トルク伝達経路には、例えば駆動源から出力された回転を変速する変速機が設けられ、パーキングロック装置は、変速機ケース内に設けられる。
図1は、本実施形態に係るパーキングロック装置100の全体構成を概略的に示す図、すなわち変速機ケース内の一部の構成を示す図である。なお、以下では、便宜上、図示のように互いに直交する3方向を前後方向、左右方向、上下方向と定義して、この定義に従い各部の構成を説明する。前後方向、左右方向および上下方向は、それぞれ例えば車両長さ方向、車幅方向および車両高さ方向に相当する。
図1に示すように、パーキングロック装置100は、変速機ケース内に左右方向に延在する軸線CL1を中心にして回転可能に支持されたパーキングギア1と、パーキングギア1に係合可能に設けられたパーキングポール2とを有する。
パーキングギア1は、例えば変速機ケース内の回転軸3とスプライン結合等により一体に回転可能に設けられる。回転軸3は、例えば動力源から出力された動力が入力される変速機の入力軸である。なお、変速機から動力が出力される出力軸や、入力軸と出力軸との間に介装された中間軸を、回転軸3として構成することもできる。パーキングギア1の外周面には、凹部1aと凸部1bとが周方向交互に形成され、歯部10が構成される。
パーキングポール2は、例えばパーキングギア1の下方に配置される。パーキングポール2は、パーキングギア1の後方から前方にかけて略前後方向に延設され、その後端部は、左右方向の軸線CL2に沿って延在するパーキングシャフト4に回動可能に支持される。パーキングポール2の支持部には、復帰ばね5が設けられ、パーキングポール2の前端部は、復帰ばね5により常時下方(矢印R2方向)に付勢される。
パーキングポール2の前端部の下面には、パーキングカム6に当接する当接面21が設けられる。パーキングカム6は、左右方向に延在する軸線CL3に沿って左右方向に移動可能に設けられる。パーキングカム6は、左端部から右方に向けて外径が大きくなるような軸線CL3を中心とした円錐面6aを有し、全体がコーン形状を呈する。パーキングカム6は、図示しないアクチュエータ(例えば正逆回転可能な電動モータ)の駆動により左右方向に移動する。
パーキングポール2の上面には、パーキングギア1の位置に対応して上方に爪22が突設される。爪22は、パーキングギア1の凹部1aに係合可能に構成される。アクチュエータによりパーキングカム6が左方に駆動されると、パーキングカム6の円錐面6aとパーキングポール2の当接面21とが摺動しながら、パーキングポール2が上方に押動される。これにより、パーキングポール2がパーキングシャフト4を支点にして矢印R1方向に回動し、パーキングポール2の爪22が凹部1aに係合して、パーキングロックが作動される。この場合のパーキングポール2の位置(実線)をロック位置と呼ぶ。
一方、アクチュエータによりパーキングカム6が右方に駆動されると、パーキングポール2は、復帰ばね5の付勢力によりパーキングシャフト4を支点にして矢印R2方向に回動する。これにより、爪22が凹部1aから離脱して、パーキングロックが非作動される。この場合のパーキングポール2の位置(点線)をアンロック位置と呼ぶ。
パーキングカム6の駆動用アクチュエータは、シフトレバーやスイッチの操作に応じて駆動される。すなわち、シフトレバーやスイッチによりパーキングロックの作動が指令されると、パーキングカム6が左方に駆動され、パーキングロックの非作動が指令されると、パーキングカム6が右方に駆動される。
このようなパーキングロック装置100を有する車両の走行中に、ドライバがシフトレバーやスイッチを誤操作してパーキングロックの作動が指令された場合に、パーキングロックが誤作動されることを回避する必要がある。本実施形態では、走行中のパーキングロックの作動を回避するため、パーキングギア1の側方(例えば右方)に以下のようなパーキングロック回避機構が設けられる。
図2は、パーキングロック装置100の要部構成を示す断面図であり、パーキングロック回避機構50の概略構成を示す図である。図2に示すように、パーキングギア1は、軸線CL1を中心とした略円筒形状の第1ハブ11と、第1ハブ11に連なって第1ハブ11の右側に設けられた軸線CL1を中心とした略円筒形状の第2ハブ12とを有する。第1ハブ11の外周面に歯部10が設けられる。軸線CL1を中心とした円筒面である第2ハブ12の外周面12aは、第1ハブ11の歯部10(凹部1a)よりも小径に構成される。
第1ハブ11の内周面は第2ハブ12の内周面よりも大径に構成され、第1ハブ11と第2ハブ12との内周面の境界に段部13が設けられる。段部13は、回転軸3の外周面から径方向外側に突設された凸部3aの端面に当接し、これにより回転軸3に対するパーキングギア1の軸方向の位置が規制される。第2ハブ12の内周面にはスプラインが形成され、回転軸3と第2ハブ12とがスプラインを介して一体に回転可能に結合される。
第2ハブ12の周囲には、それぞれパーキングロック回避機構50を構成するばね51と、カバー60と、ホルダ70と、ボール75と、ストッパ80とが配置される。これらパーキングロック回避機構50の構成材は、第2ハブ12の右端から外周面12aに沿って嵌合される。なお、ストッパ80と回転体7との間には、スペーサ81が設けられる。
ばね51は、軸線CL1を中心とした円筒形状のコイルばねであり、パーキングギア1の第1ハブ11とカバー60との間に配置される。ストッパ80は、軸線CL1を中心とした左右方向所定厚さのリング状の板部材であり、カバー60とスペーサ81との間に配置される。
カバー60は、軸線CL1を中心として略円筒形状に構成される大径リング部61と、大径リング部61の右方において軸線CL1を中心として略円筒形状に構成される小径リング部62と、小径リング部62の右方において径方向外側に延在する円板部63と、大径リング部61と小径リング部62とを接続する接続部64と、小径リング部62と円板部63とを接続する接続部65とを有する。カバー60は、全体が樹脂材により構成される。
小径リング部62の内周面は、パーキングギア1の第2ハブ12の外周面12aに、左右方向に移動可能に嵌合する。小径リング部62は、大径リング部61よりも小径に構成され、かつ、円板部63の内径側縁部よりも小径に構成される。接続部64は、大径リング部61の右端部から小径リング部62の左端部にかけて右斜め内側にテーパ状に延在する円錐台形状を呈し、接続部65は、小径リング部62の右端部から円板部63の内径側縁部にかけて右斜め外側にテーパ状に延在する円錐台形状を呈する。第1ハブ11と小径リング部62との間にばね51が介装される。
大径リング部61の外周面61aは、パーキングギア1の歯部10の外周面よりも大径に構成され、大径リング部61の内周面61bは、歯部10の外周面よりも小径に構成される。大径リング部61の左端面には、大径リング部61の内周面にかけて右方向に向けて所定深さの切り欠きが全周にわたって設けられる。これにより、大径リング部61の左端部には、歯部10の外周面よりも大径の軸線CL1を中心とした略円筒形状の内周面61cと、内周面61cの右端部から径方向内側に延在する略円形の垂直端面61dとが形成される。
ホルダ70とボール75とは、第2ハブ12の外周面12aとカバー60の接続部65とストッパ80とにより囲まれた空間に配置される。図3は、ホルダ70の正面図(左方から見た図)である。図2,3に示すように、ホルダ70は、軸線CL1を中心とした略円筒形状のリング部71と、リング部71の外周面から径方向外側に突設された複数のガイド部72とを有する。ホルダ70は、全体が樹脂材により構成される。
図2に示すように、リング部71は、第2ハブ12の外周面12aに嵌合するように構成される。リング部71の軸方向(左右方向)全長は、カバー60の接続部65の左右方向長さ、すなわち小径リング部62の右端から円板部63の右端面までの長さよりも短い。図3に示すように、ガイド部72は、周方向等間隔に複数個所(図では3か所)に設けられる。なお、ガイド部72を周方向3か所ではなく2か所、または4か所以上に設けるようにしてもよい。
複数のガイド部72は、所定距離L1だけ隔てて互いに対向する一対の板部72aをそれぞれ有する。所定距離L1は、球形状のボール75の直径とほぼ等しく、一対の板部72aの間に、ボール75が軸線CL1を中心とした径方向に移動可能に挿入される。ボール75は、例えば鉄などの金属により構成される。
図2に示すように、ガイド部72(板部72a)の右端面は、円板部63の右端面と略平行に径方向に延在する。一方、板部72aの左端面は、カバー60の接続部65の右側(右下側)の表面と平行に、径方向内側から径方向外側かつ右側に斜めに延在する。ボール75は、カバー60(円板部63)の右端面がストッパ80の左面に当接した状態において、板部72aのテーパ状の左端面から、ボール75の一部が左方に突出するように直径が設定される。
パーキングロック回避機構50は、例えばパーキングギア1の軸線CL1を鉛直方向に向けた状態で、パーキングギア1の第2ハブ12の周囲に組み付けられる。すなわち、軸線CL1を鉛直方向に向けた状態で、第2ハブ12の外周面12aに沿って上方から、ばね51、カバー60、ホルダ70、ボール75、およびストッパ80を順次挿入する。
以上のように構成されたパーキングロック装置100の主要な動作について説明する。図2は、回転軸3の回転が停止された状態を示す。この状態では、カバー60がばね51によって右方に付勢され、カバー60(円板部63)の右端面がストッパ80の左端面に当接する。このとき、カバー60の大径リング部61の左端は、パーキングポール2の爪22よりも右方に位置する(第2位置)。したがって、爪22が、図2のアンロック位置(図1の点線)からロック位置(図1の実線)に移動してパーキングギア1の歯部10(凹部1a)に係合する動作、すなわちパーキングロック動作が阻害されることがない。これにより、パーキングロックの作動指令に応じて爪22が図2の矢印A方向に移動し、パーキングロックを作動することができる。
一方、回転軸3が回転を開始すると、ボール75に遠心力が作用する。さらに、回転軸3の回転数が第1所定値N1以上になると、図4に示すように、ボール75の遠心力によってカバー60の接続部65が押圧され、カバー60がばね51の付勢力に抗して図4の矢印Bに示すように左方へ押動される。その結果、カバー60の大径リング部61の垂直端面61dがパーキングギア1の歯部10の右端面に当接し、大径リング部61の左端部が歯部10の外周面と爪22との間の空間に進入する(第1位置)。これにより、爪22が矢印A方向に移動することを阻止することができ、車両走行中にパーキングロックが作動することを防止できる。
その後、回転軸3の回転数が第2所定値N2以下になると、ボール75に作用する遠心力が低下し、ばね51の付勢力によりカバー60が右方に移動する。これにより、大径リング部61の左端部が歯部10の外周面と爪22との間の空間から退避し、パーキングロックの作動指令に応じて爪22を歯部10に係合すること、すなわちパーキングロックの作動が可能となる。
カバー60が左方に移動するための回転数の閾値である第1所定値N1は、カバー60が右方に移動するための回転数の閾値である第2所定値N2よりも大きい。これら所定値N1,N2は、ボール75の直径や質量およびばね51のばね定数等を調整することで、適宜設定することができる。
図5は、カバー60の移動が開始される回転数の閾値を設定するための計算モデルの一例を示す図である。図5では、カバー60の接続部65におけるボール75に対向する面、すなわち下側のテーパ面65aと、ストッパ80の左端面80aとに沿って、ボール75が遠心力F1により径方向外側に移動(図5では上方に移動)する場合の計算モデルが示される。なお、左右方向の軸線CL1(図2)に対するテーパ面65aのなす角度はθであり、カバー60には右方に向けてばね51の付勢力F2が作用する。
ボール75の半径をRとしてボール75の軸線CL1からの距離をr、質量をm、回転軸3およびパーキングギア1の回転数をωとすると、遠心力F1は次式(I)で表される。
F1=m・r・ω2 ・・・(I)
F1=m・r・ω2 ・・・(I)
ボール75からテーパ面65aに作用する垂直方向の押し付け力をF3、ボール75から左端面80aに作用する垂直方向の押し付け力をF4、摩擦係数をμとすると、遠心力F1が次式(II)の関係を満たせば、カバー60が遠心力F1により左方に移動を開始し、パーキングロックの作動を阻止するようになる。
F1>(F3+F2・sinθ/3)・μ−F2・cosθ/3)・sinθ+(F2/3+F4)・μ ・・・(II)
F1>(F3+F2・sinθ/3)・μ−F2・cosθ/3)・sinθ+(F2/3+F4)・μ ・・・(II)
上式(II)に一例として、R=10.3、θ=60°、F2=2N、r=0.05m、μ=0.2(潤滑油環境)を当てはめると、カバー60が左方に移動を開始するときの回転数ω(第1所定値N1)は390rpmである。なお、カバー60が右方に戻るときの回転数ω(第2所定値N2)は310rpmである。なお、この場合の車速は、いずれも例えば4〜5km/hの範囲内である。
本実施形態によれば以下のような作用効果を奏することができる。
(1)パーキングロック装置100は、軸線CL1を中心とした外周面に凹部1aと凸部1bとを周方向交互に有するとともに、軸線CL1を中心として回転軸3と一体に回転するパーキングギア1と、パーキングギア1の凹部1aに係合してパーキングギア1をロックするロック位置(図1の実線)と、凹部1aから離間してパーキングギア1をアンロックするアンロック位置(図1の点線)とに移動可能な爪22を有するパーキングポール2と、パーキングポール2の爪22がロック位置とアンロック位置との間で移動するようにパーキングポール2を揺動可能に支持するパーキングシャフト4と、パーキングギア1の側方に配置され、アンロック位置に位置する爪22とパーキングギア1の外周面との間の空間に進入する第1位置と、爪22とパーキングギア1の外周面との間の空間から退避する第2位置との間を軸方向に移動可能に設けられた、軸線CL1を中心とした略円環状の大径リング部61を有するカバー60と、大径リング部61が第2位置に移動するようにカバー60を付勢するばね51と、径方向に移動可能に配置され、遠心力による径方向外側への移動に伴い、ばね51の付勢力に抗して大径リング部61が第1位置に移動するようにカバー60を押動するボール75と、を備える(図1,2,4)。
(1)パーキングロック装置100は、軸線CL1を中心とした外周面に凹部1aと凸部1bとを周方向交互に有するとともに、軸線CL1を中心として回転軸3と一体に回転するパーキングギア1と、パーキングギア1の凹部1aに係合してパーキングギア1をロックするロック位置(図1の実線)と、凹部1aから離間してパーキングギア1をアンロックするアンロック位置(図1の点線)とに移動可能な爪22を有するパーキングポール2と、パーキングポール2の爪22がロック位置とアンロック位置との間で移動するようにパーキングポール2を揺動可能に支持するパーキングシャフト4と、パーキングギア1の側方に配置され、アンロック位置に位置する爪22とパーキングギア1の外周面との間の空間に進入する第1位置と、爪22とパーキングギア1の外周面との間の空間から退避する第2位置との間を軸方向に移動可能に設けられた、軸線CL1を中心とした略円環状の大径リング部61を有するカバー60と、大径リング部61が第2位置に移動するようにカバー60を付勢するばね51と、径方向に移動可能に配置され、遠心力による径方向外側への移動に伴い、ばね51の付勢力に抗して大径リング部61が第1位置に移動するようにカバー60を押動するボール75と、を備える(図1,2,4)。
これにより、車両走行時にパーキングギア1の歯部10とパーキングポール2の爪22との間に大径リング部61の先端部が進入して歯部10の周囲が大径リング部61により覆われ、パーキングロックの作動が阻止されるようになるため、車両走行時のパーキングロックの誤作動を防止することができる。特に、ボール75の遠心力によりカバー60が押動されるといった簡易な構成を採用するので、装置全体を安価に構成することができるとともに、従来の一般的なパーキングギアとパーキングポールとを有するパーキングロック装置に対しても、少ない部品の追加により本機構を容易に適用可能である。また、カバー60やホルダ70等を樹脂材により構成することができ、これにより、装置全体の重量の増加を最小限に抑えることができる。
(2)カバー60は、軸線CL1を中心として構成された、ボール75が当接するテーパ状の接続部65を有する(図2)。これにより、接続部65にボール75の遠心力が作用した場合に、カバー60を容易に左方に移動させることができる。
(3)パーキングロック装置100は、カバー60の側方に配置され、ボール75を径方向に移動可能に支持するホルダ70をさらに備える(図3)。これにより、ボール75の移動方向が規制され、カバー60に対し周方向均等にボール75からの押し付け力を付加することができる。
(4)大径リング部61は、第1位置でパーキングギア1の右端面に当接する段付き状の垂直端面61dを有する(図4)。これにより、カバー60の左方への移動量が制限され、カバー60の円板部63とストッパ80との間の隙間を介してボール75が脱落することを防ぐことができる。
なお、上記実施形態では、長手方向の一端部を支点にしてパーキングポール2を回動可能に設けたが、パーキングポール2の構成は上述したものに限らない。例えば長手方向の中央部が回転可能に支持されるとともに、長手方向の一端部に、パーキングギア1の凹部1aに係合する爪部が設けられるようにしてもよい。上記実施形態では、パーキングシャフト4によりパーキングポール2を回動可能に支持するようにしたが、ロック位置とアンロック位置とに揺動可能に支持するのであれば、支持部材の構成はいかなるものでもよい。
上記実施形態では、カバー60の軸方向一端部に大径リング部61を設けるようにしたが、パーキングギア1の外周面と爪との間の空間に進入する第1位置と当該空間から退避する第2位置との間を軸方向に移動可能な略円環状のリング部を有するのであれば、カバー部材の構成はいかなるものでもよい。上記実施形態では、コイルばね51によりカバー60を右方に付勢するようにしたが、例えば板ばねを用いてもよく、付勢部材の構成は上述したものに限らない。上記実施形態では、複数のボール75により大径リング部61が第1位置に移動するように、カバー部材としてのカバー60を押動するようにしたが、球体の構成は上述したものに限らない。
上記実施形態では、カバー60の接続部65におけるテーパ面65aにボール75が当接するようにしたが、テーパ部の構成はこれに限らない。上記実施形態では、ホルダ70によりボール75を径方向に移動可能に支持するようにしたが、球体支持部材の構成はこれに限らない。上記実施形態では、大径リング部61の左端部にパーキングギア1の側端面に当接する段付き状の垂直端面61dを形成するようにしたが、リング部の軸方向の移動を制限するための構成はこれに限らない。
以上の説明はあくまで一例であり、本発明の特徴を損なわない限り、上述した実施形態および変形例により本発明が限定されるものではない。上記実施形態と変形例の1つまたは複数を任意に組み合わせることも可能であり、変形例同士を組み合わせることも可能である。
1 パーキングギア、2 パーキングポール、4 パーキングシャフト、22 爪、60 カバー、51 ばね、61 大径リング、61d 垂直端面、65 接続部、70 ホルダ、75 ボール、100 パーキングロック装置
Claims (4)
- 軸線を中心とした外周面に凹部と凸部とを周方向交互に有するとともに、前記軸線を中心として回転軸と一体に回転するパーキングギアと、
前記パーキングギアの前記凹部に係合して前記パーキングギアをロックするロック位置と、前記凹部から離間して前記パーキングギアをアンロックするアンロック位置とに移動可能な爪部を有するパーキングポールと、
前記パーキングポールの前記爪部が前記ロック位置と前記アンロック位置との間で移動するように前記パーキングポールを揺動可能に支持する支持部材と、
前記パーキングギアの側方に配置され、前記アンロック位置に位置する前記爪部と前記パーキングギアの前記外周面との間の空間に進入する第1位置と、前記空間から退避する第2位置との間を軸方向に移動可能に設けられた、前記軸線を中心とした略円環状のリング部を有するカバー部材と、
前記リング部が前記第2位置に移動するように前記カバー部材を付勢する付勢部材と、
径方向に移動可能に配置され、遠心力による径方向外側への移動に伴い、前記付勢部材の付勢力に抗して前記リング部が前記第1位置に移動するように前記カバー部材を押動する球体と、を備えることを特徴とするパーキングロック装置。 - 請求項1に記載のパーキングロック装置において、
前記カバー部材は、前記軸線を中心として構成された、前記球体が当接するテーパ部を有することを特徴とするパーキングロック装置。 - 請求項2に記載のパーキングロック装置において、
前記カバー部材の側方に配置され、前記球体を径方向に移動可能に支持する球体支持部材をさらに備えることを特徴とするパーキングロック装置。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載のパーキングロック装置において、
前記リング部は、前記第1位置で前記パーキングギアの側端面に当接する段付き状の端面を有することを特徴とするパーキングロック装置。
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