JP2021156227A - 燃料ポンプ制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】目標レール圧に対する実レール圧のずれ抑制を図った、燃料ポンプ制御装置を提供する。【解決手段】燃料ポンプ制御装置としてのECU80は、目標吐出量を演算する演算部81と、目標吐出量に従って調量弁の作動を制御する制御部82とを備える。演算部81は、FB制御部81a(基本演算部)と、FF制御部81b(基本演算部)と、判定部81cと、補正部81dとを有する。基本演算部は、カム割当噴射量に応じて目標吐出量を演算する。判定部81cは、カム割当噴射量の変化の有無を判定する。補正部81dは、判定部81cにより変化有りと判定された場合に、カム割当噴射量の変化量に応じて目標吐出量を見込み補正する。【選択図】図1

Description

この明細書における開示は、プランジャで圧縮吐出する燃料ポンプに適用された、燃料ポンプ制御装置に関する。
特許文献1には、加圧室へ吸入される燃料の量を調整する調量弁と、加圧室へ吸入された燃料を加圧して圧送するプランジャと、を備える燃料ポンプが記載されている。燃料ポンプから圧送された燃料はコモンレールで蓄圧され、内燃機関の各気筒に設けられた燃料噴射弁へ分配される。
また、特許文献1に記載の制御装置は、調量弁を開閉するタイミングを制御することで、加圧室で加圧される量(吐出量)を調整する。この吐出量は、以下に説明するフィードバック制御量(FB制御量)にフィードフォワード制御量(FF制御量)を加算した値に設定されている。
FB制御量は、コモンレール内の燃料圧力(実レール圧)が目標レール圧になるように、実レール圧と目標レール圧との偏差に応じて設定される。FF制御量は、圧縮行程開始から次の圧縮行程開始までに燃料噴射弁から噴射される目標噴射量に応じて設定される。
特開2012−13019号公報
さて、近年の燃料噴射弁では噴射のさせ方が多様に変化する。例えば、圧縮行程での噴射と吸気行程での噴射とを切り替える場合がある。或いは、所望する噴射量を1燃焼サイクル中に複数回に分割して噴射させるにあたり、分割回数や分割率を変更させる場合がある。このように噴射のさせ方が変化した場合、1燃焼サイクル中に係る噴射量に変化が生じていなくても、プランジャ1往復の吐出に割り当てられる噴射量が変化する場合がある。
そして、上記変化が考慮されずにFF制御量に過不足が生じた場合、この過不足分はFB制御量で補われるものの、目標レール圧に対する実レール圧のずれが迅速に解消されない。
開示される1つの目的は、目標レール圧に対する実レール圧のずれ抑制を図った、燃料ポンプ制御装置を提供することである。
上記目的を達成するため、開示された1つの手段は、
カム山(30a)で押し動かされて往復動するプランジャ(20)、およびプランジャによって加圧室(10a)で加圧される燃料の量を調整する調量弁(60)を備える燃料ポンプ(1)と、
加圧室から吐出された燃料を蓄圧するコモンレール(3)と、
コモンレールから分配される高圧燃料を噴射する複数の燃料噴射弁(4)と、
を備える燃料噴射システムに適用された、燃料ポンプ制御装置において、
プランジャが1回往復動することによって加圧室から吐出される1回分の吐出量の目標値を、目標吐出量として演算する演算部(81)と、
目標吐出量に従って、調量弁の作動を制御する制御部(82)と、
を備え、
内燃機関が有する1つの気筒(5)における1回の燃焼サイクルの期間に、1つの燃料噴射弁から噴射される量の目標値を目標噴射量とし、
複数の燃料噴射弁の各々に設定された目標噴射量に含まれる、1つのカム山に割り当てられる噴射量をカム割当噴射量とし、
演算部は、
カム割当噴射量に応じて目標吐出量を演算する基本演算部(81a、81b)と、
カム割当噴射量の変化の有無を判定する判定部(81c)と、
判定部により変化有りと判定された場合に、基本演算部によって演算された目標吐出量を、カム割当噴射量の変化量に応じて見込み補正する補正部(81d)と、
を有する燃料ポンプ制御装置である。
ここに開示された燃料ポンプ制御装置によると、1つのカム山に割り当てられるカム割当噴射量に応じて目標吐出量が演算される。その上で、カム割当噴射量が変化した場合には、その変化量に応じて目標吐出量が見込み補正される。そのため、目標レール圧に対する実レール圧のずれを抑制できる。しかも、目標吐出量を見込みで補正するので、上記ずれに応じたフィードバック制御を実行する場合に比べて、迅速にずれを解消できる。
第1実施形態において、燃料噴射システムの構成を模式的に示す図。 第1実施形態において、プランジャのリフト量と燃焼サイクルとの経過時間の関係を示す図。 第1実施形態において、圧縮噴射と吸気噴射が切り替わるタイミングと、噴射時期と、リフト量と、燃圧との関係を示す、横軸を経過時間としたタイムチャート。 第1実施形態において、判定部および補正部としてマイコンが機能する際の、マイコンが実行する処理の手順を示すフローチャート。 第1実施形態において、FF項に係る補正量を算出する手法を説明するブロック図。 第2実施形態において、圧縮噴射と吸気噴射が切り替わるタイミングと、噴射時期と、リフト量と、燃圧との関係を示す、横軸を経過時間としたタイムチャート。 第3実施形態において、圧縮噴射と吸気噴射が切り替わるタイミングと、噴射時期と、リフト量と、燃圧との関係を示す、横軸を経過時間としたタイムチャート。 第4実施形態において、圧縮噴射と吸気噴射が切り替わるタイミングと、噴射時期と、リフト量と、燃圧との関係を示す、横軸を経過時間としたタイムチャート。 第5実施形態において、圧縮噴射と吸気噴射が切り替わるタイミングと、噴射時期と、リフト量と、燃圧との関係を示す、横軸を経過時間としたタイムチャート。 第6実施形態において、圧縮噴射と吸気噴射が切り替わるタイミングと、噴射時期と、リフト量と、燃圧との関係を示す、横軸を経過時間としたタイムチャート。 第7実施形態において、圧縮噴射と吸気噴射が切り替わるタイミングと、噴射時期と、リフト量と、燃圧との関係を示す、横軸を経過時間としたタイムチャート。 第8実施形態において、マイコンが実行する処理の手順を示すフローチャート。
以下に、図面を参照しながら本開示を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
(第1実施形態)
図1に示す燃料ポンプ1は、車両に搭載されたものであり、燃料タンク2内の燃料を加圧して吐出する高圧ポンプである。燃料ポンプ1から吐出された燃料は、コモンレール3で蓄圧された後、内燃機関の各気筒5に設けられた燃料噴射弁4へ分配され、燃料噴射弁4から各気筒5の燃焼室へ直接噴射される。図1に示す内燃機関は、1つの気筒5に1つの燃料噴射弁4が設けられた4気筒直噴エンジンを想定している。
燃焼により得られた内燃機関の出力トルクの一部は、燃料ポンプ1の駆動に用いられる。燃料タンク2内に配置された低圧ポンプ2aは電動モータにより駆動され、低圧状態の燃料を燃料ポンプ1へ供給する。なお、低圧ポンプ2aは、燃料タンク2の外部に配置されていてもよい。例えば、燃料ポンプ1が低圧ポンプ2aを内蔵していてもよい。この場合の低圧ポンプ2aは、電動モータに替えて、内燃機関の出力トルクで駆動される。
燃料ポンプ1は、以下に説明するシリンダ10、プランジャ20、カム30、回転軸40および調量弁60等を備える。シリンダ10は、燃料を加圧する加圧室10aを形成する。プランジャ20は、シリンダ10内を往復移動することで、加圧室10aへ燃料を吸入するとともに、吸入した燃料を圧縮して加圧する。
具体的には、プランジャ20とカム30の間にはタペット21が配置されており、カム30がタペット21を介してプランジャ20を押し動かすことで、プランジャ20は、燃料を圧縮する向きに移動(つまりリフトアップ)する。また、弾性部材22から付与される弾性力により、プランジャ20は燃料を吸入する向きに移動(つまりリフトダウン)する。
プランジャ20がリフトアップする期間を加圧期間と呼び、リフトダウンする期間を吸入期間と呼ぶ。図1に示すように、本実施形態に係るカム30は4つのカム山30aを有する形状であるため、カム30が1回転するうちにプランジャ20は4往復する。
回転軸40には、カム30および従動歯車(図示せず)が固定されており、カム30および従動歯車は回転軸40と一体となって回転する。従動歯車は、駆動歯車(図示せず)と係合して回転し、回転軸40を回転させる。つまり、駆動歯車の回転駆動力は、従動歯車および回転軸40を介してカム30へ伝達され、プランジャ20をリフトアップさせる駆動力となる。
駆動歯車は、内燃機関の出力トルクを駆動源として回転する。したがって、内燃機関の運転期間中には駆動歯車は常時回転する。また、内燃機関の出力軸の回転速度の変動に応じて駆動歯車の回転速度も変動し、ひいてはカム30の回転速度も変動する。
調量弁60は、電子制御装置(ECU80)により開閉作動する電磁式である。吸入期間には調量弁60を開弁作動させて、加圧室10aへ低圧燃料を吸入させる。加圧期間には、所望のタイミングで閉弁作動させることで、実際に燃料が圧縮を開始するタイミングを制御する。
具体的には、加圧期間であっても調量弁60が開弁作動している期間には、加圧室10aの燃料は、プランジャ20がリフトアップするものの圧縮されず、調量弁60を通じて燃料タンク2に戻される。その後、調量弁60が閉弁作動した以降には、加圧室10aの燃料は、リフトアップするプランジャ20により圧縮される。
要するに、加圧期間において実際に燃料が圧縮される期間は、調量弁60が閉弁作動している期間である。そして、調量弁60の閉弁作動開始のタイミングである閉弁開始時期をECU80が制御することで、加圧室10aで圧縮される燃料の量が制御される。その結果、プランジャ20が1回往復動することによって加圧室10aから吐出される、高圧燃料の1回分の吐出量が制御される。
なお、燃料が圧縮されて加圧室10aの圧力が設定値を超えて高くなると、逆止弁71が開弁し、圧縮された高圧燃料はコモンレール3へ供給される。なお、燃料噴射弁4の噴孔が詰まる故障が生じた場合等、高圧通路73の圧力が異常値を超えて高くなると、リリーフ弁72が開弁し、高圧通路73の燃料は燃料タンク2へリリーフされる。
ECU80は、演算処理装置としてのプロセッサ(CPU80a)と、記憶装置としてのメモリ80bとを有する。これらのCPU80aおよびメモリ80bはマイクロコンピュータ(マイコン)とも呼ばれる。メモリ80bは、CPU80aによって読み取り可能な「プログラムおよび/またはデータ」を非一時的に格納する非遷移的かつ実体的な記憶媒体である。ECU80は、専用ハードウエア論理回路により実現されてもよいし、コンピュータプログラムを実行するプロセッサとハードウエア論理回路との組合せにより実現されてもよい。
ECU80は、コモンレール3に取り付けられた圧力センサ3aの検出信号を取得する。圧力センサ3aは、コモンレール3内の燃料の圧力であるレール圧Pcを検出する。以下の説明では、実際のレール圧Pcの値を実レール圧Pactと記載し、レール圧Pcの目標値を目標レール圧Ptrgと記載する。
ECU80は、所定時間当りに出力軸が回転した回数(エンジン回転数NE)、つまり内燃機関の出力軸の回転速度を、クランク角センサから取得する。さらにECU80は、アクセルペダル踏込量を検出するセンサ等、運転者が要求するエンジン負荷を、各種センサから取得する。
ECU80は、エンジン回転数NEおよびエンジン負荷等のエンジン運転状態に基づき、燃料噴射弁4から噴射される噴射量の目標値(目標噴射量)を演算する。例えば、高回転数かつ高負荷であるほど、目標噴射量は大きい値に設定される。
ECU80は、エンジン運転状態に基づき、燃料噴射弁4から燃料を噴射する時期の目標値(目標噴射時期)を演算する。ECU80は、1燃焼サイクルのうちの圧縮行程で噴射する圧縮噴射と、吸気行程で噴射する吸気噴射とを切り替える。
ECU80は、エンジン運転状態に基づき、所望する噴射量を1燃焼サイクル中に複数回に分割して噴射する分割噴射を実行するか否かを選択する。分割噴射を実行する場合には、分割回数、分割率および分割インターバルを、エンジン運転状態に基づきECU80は演算する。分割インターバルとは、分割された各々の噴射同士の時間間隔のことである。分割率とは、1燃焼サイクル中に噴射されるトータルの噴射量に対する、分割された各々の噴射量の割合のことである。
ECU80は、各種センサから取得したエンジン回転数NEおよびエンジン負荷に基づき、目標レール圧Ptrgを演算する。例えば、高回転数かつ高負荷であるほど、目標レール圧Ptrgは高い値に設定される。
さらにECU80は、マイコンが実行する演算処理によって、以下に詳述する演算部81および制御部82としての機能を発揮する(図1参照)。さらに演算部81は、後に詳述するFB制御部81a、FF制御部81b、判定部81cおよび補正部81dとしての機能を有する。
演算部81は、プランジャ20が1回往復動することによって加圧室10aから吐出される1回分の吐出量の目標値である、目標吐出量を演算する。制御部82が通電により調量弁60を閉弁作動させている期間は、図2に示す通電期間Tqに相当し、目標吐出量に相当する長さに設定されている。
通電期間Tqが長いほど、つまり調量弁60の閉弁開始時期が早いほど、燃料の加圧量が増大し、燃料ポンプ1からの吐出量も増大する。目標吐出量としての通電期間Tqは、以下に説明する噴射補充分T1、目標偏差分T2および無効吐出分T3の3つの項を合算して算出される。
噴射補充分T1はFF制御部81bによって算出される。噴射補充分T1は、燃料噴射弁4から噴射される分だけレール圧Pcの低下が見込まれる分の吐出量に相当する。したがって、噴射補充分T1の吐出量は、先述した目標噴射量に基づいて演算される。具体的には、目標噴射量が多いほど噴射補充分T1は大きい値に設定される。
目標偏差分T2はFB制御部81aによって算出される。目標偏差分T2は、目標レール圧Ptrgに対する実レール圧Pactの不足分に相当する吐出量である。したがって、目標偏差分T2は、目標レール圧Ptrgに対する実レール圧Pactの差分に基づいて演算される。具体的には、差分が大きいほど目標偏差分T2は大きい値に設定される。なお、実レール圧Pactが目標レール圧Ptrgより大きい場合には目標偏差分T2の値はマイナスとなる。
無効吐出分T3は、通電を開始してから調量弁60が閉じ、加圧室10aの圧力が上昇して逆止弁71が開弁するまでの期間に相当する。要するに、通電開始から吐出開始までの期間が無効吐出分T3である。無効吐出分T3には、メモリ80bに記憶されている、予め設定された値が用いられる。
制御部82は、目標吐出量に従って調量弁60の作動を制御する。具体的には、演算部81で演算された目標吐出量に対応する閉弁開始時期tstに、調量弁60を閉弁作動させるように制御する。制御部82は、プランジャ20が1回往復動する毎に、先述したように目標吐出量に従って調量弁60の作動を制御する。
演算部81は、カム30が所定角度回転する都度、目標吐出量を演算する。上記「所定角度」は、プランジャ20が1回往復動するのに要するカム30の回転角度に設定されている。したがって、制御部82が調量弁60の作動を制御して加圧室10aから燃料を吐出させる回数と、通常期間において演算部81が目標吐出量を演算する回数とは一致する。要するに、目標吐出量は回転角同期で演算される。
FB制御部81aおよびFF制御部81bは、上述の如く回転角同期で演算を実行するが、後述する判定部81cおよび補正部81dについてはこの限りでない。例えば、判定部81cおよび補正部81dは、回転角同期で演算を実行してもよいし、所定時間毎に時間同期で演算を実行してもよい。
また、FB制御部81aおよびFF制御部81bによって目標吐出量が演算される周期は、制御部82による制御の周期と一致している。但し、判定部81cおよび補正部81dによる演算についてはこの限りでなく、制御部82による演算と同期してもよいし非同期でもよい。さらに判定部81cおよび補正部81dによる演算は、FB制御部81aおよびFF制御部81bによる演算と同期してもよいし非同期でもよい。
以下、演算部81が目標吐出量を演算する手法について詳細に説明する。なお、以下の説明で用いられる「目標噴射量」および「カム割当噴射量」は、次のように定義される。
目標噴射量とは、1つの気筒5における1回の燃焼サイクルの期間に、1つの燃料噴射弁4から噴射される量の目標値のことである。したがって、先述した分割噴射を実行する場合には、分割された各噴射量の合計が目標噴射量に相当する。なお、分割噴射を実行せず、1燃焼サイクルで1回の噴射を行う場合には、その1回分の噴射量が目標噴射量に相当する。
カム割当噴射量とは、複数の燃料噴射弁4の各々に設定された目標噴射量に含まれる、1つのカム山30aに割り当てられた噴射量のことである。例えば、図1に例示される状況では、1つの気筒5に1つの燃料噴射弁4が設けられており、気筒5の数が4つ、カム山30aの数が4つである。この状況におけるカム割当噴射量は、内燃機関の定常運転時においては、1つの燃料噴射弁4に係る目標噴射量に相当する。
上述したFF制御部81bは、カム割当噴射量に応じて、噴射補充分T1の吐出量であるFF項を算出する。一方、目標偏差分T2の吐出量であるFB項についてはFB制御部81aが算出する。そして演算部81は、これらのFF項およびFB項に応じて目標吐出量を演算する。
しかし、図2に示すように、吸気行程および圧縮行程の境界を跨いで目標噴射時期が変更された場合には、カム割当噴射量は、2つの燃料噴射弁4に係る目標噴射量に相当し得る。この点について、図2を用いて以下に詳述する。
図2中の縦方向はプランジャ20のリフト量を示し、横方向は経過時間を示す。図中の符号C1〜C4は、プランジャ20が1回往復動する期間(カム期間)を示す。カム期間の始期および終期は、プランジャ20が上死点にある時期である。図2の上段は、プランジャ20の上死点時期と燃焼サイクルの切替時期とが一致した場合の例を示し、下段は、これら上死点時期と切替時期とが不一致となる例を示す。上段下段のいずれにおいても、吸気行程および圧縮行程の境界を跨いで目標噴射時期が変更されている。
具体的には、内燃機関の運転状態が、圧縮行程で燃料噴射(圧縮噴射)する運転状態から、吸気行程で燃料噴射(吸気噴射)する運転状態に変更されている。例えば、第1の気筒5で圧縮噴射(符号i1参照)し、その直後の第2の気筒5では、圧縮噴射(符号i3参照)から吸気噴射(符号i2参照)に予定変更されている。
この場合、図2の上段では、カム期間C1では燃料噴射が1回から2回に予定変更され、その次のカム期間C2では1回から0回に予定変更される。したがって、カム期間C1でのカム割当噴射量は、2つ分の目標噴射量に予定変更され、カム期間C2でのカム割当噴射量はゼロに予定変更される。一方、図2の下段では、カム期間C3、C4のいずれにおいても、燃料噴射の予定は1回のままであり、予定変更されない。したがって、カム期間C3、C4のいずれにおいても、カム割当噴射量は1つ分の目標噴射量のままである。
本実施形態に係る燃料噴射システムは、図2の上段の如く圧縮噴射と吸気噴射を切り替えることに起因してカム割当噴射量が変更されるものである(図3参照)。
図3の最上段は、圧縮噴射の要求と吸気噴射の要求とが切り替わるタイミングを示す。また、図中の下向きの矢印は、燃料噴射弁4からの燃料噴射に伴い実レール圧Pactが減少するタイミングを示す。図中の上向きの矢印は、燃料ポンプ1からの燃料吐出に伴い実レール圧Pactが増加するタイミングを示す。
図3中のカム期間Cupでは、圧縮噴射から吸気噴射に切り替わることに伴い、カム割当噴射量が増大するように予定変更されている。具体的には、1つ分の目標噴射量から2つ分に予定変更されている。そこで本実施形態では、カム期間Cupにおける目標吐出量を増大させるように補正する。具体的には、FF制御部81bによって算出された噴射補充分T1であるFF項を2倍に補正する。
図3中のカム期間Cdwでは、吸気噴射から圧縮噴射に切り替わることに伴い、カム割当噴射量が減少するように予定変更されている。具体的には、1つ分の目標噴射量からゼロに予定変更されている。そこで本実施形態では、カム期間Cdwにおける目標吐出量を減少させるように補正する。具体的には、FF制御部81bによって算出された噴射補充分T1であるFF項をゼロに補正する。
要するに、図1に示す判定部81cは、圧縮噴射と吸気噴射とで要求される噴射時期が切り替わった場合に、カム割当噴射量が変化したと判定する。補正部81dは、カム割当噴射量の変化有りと判定された場合に、カム割当噴射量の変化量に応じて目標吐出量を見込み補正する。
なお、図3の例では、2つのカム期間Cupのうちの最初のカム期間Cupについては、上記補正の処理が間に合わず、補正されていない目標吐出量で制御部82が吐出制御している。2つ目のカム期間Cupについては、上記補正の処理が間に合い、目標吐出量が増大するように見込み補正されている。その結果、斜線を付した上向きの矢印に示すタイミングで吐出量が増大している。そのため、図3の最下段に示すように、カム割当噴射量の増大に伴い実レール圧Pactが減少した直後に吐出量が増大補正され、目標レール圧Ptrgにまで迅速に回復している。
また、図3の例では、2つのカム期間Cdwのうちの最初のカム期間Cdwについては、上記補正の処理が間に合わず、補正されていない目標吐出量で制御部82が吐出制御している。2つ目のカム期間Cdwについては、上記補正の処理が間に合い、目標吐出量が減少するように見込み補正されている。その結果、図3の最下段に示すように、カム割当噴射量の減少に伴い実レール圧Pactが増大した直後に吐出量が減少補正され、目標レール圧Ptrgの上限を超えないように抑えられている。
なお、図3の例では、FB制御部81aは、目標レール圧Ptrgに対する上限と下限を設定している。FB制御部81aは、上限と下限の範囲内に実レール圧Pactが収まるよう、目標偏差分T2であるFB項を設定している。なお、これらの上下限を廃止して、目標レール圧Ptrgに実レール圧Pactを合わせ込むようにFB項が設定されてもよい。
図4は、判定部81cおよび補正部81dとして機能する際の、マイコンが実行する処理手順を示す。図4に示す処理は、内燃機関の運転中に所定周期で繰り返し実行される。この所定周期は、先述したように時間同期でもよいし、回転角同期でもよい。
先ず、図4のステップS10において、噴射行程が変化したか否かを判定する。変化したと判定された場合には、ステップS11、S13において、吸気行程から圧縮行程への変化、或いは、圧縮行程から吸気行程への変化のいずれであるかを判定する。
ステップS11にて吸気行程から圧縮行程への変化であると判定された場合には、続くステップS12において、次回の目標吐出量に係るFF項をゼロに補正する。これにより、図3のカム期間Cupにおいてカム割当噴射量が増大するように変化した直後に、吐出量が増大される。
一方、ステップS13にて圧縮行程から吸気行程への変化であると判定された場合には、続くステップS14において、次回の目標吐出量に係るFF項を2倍に補正する。これにより、図3のカム期間Cdwにおいて、カム割当噴射量が減少するように変化した直後に、吐出量が減少される。
図5は、補正部81dがFF項に係る補正量を算出するにあたり、その算出手法を説明するブロック図である。図示されるマップは、カム割当噴射量に吐出ゲインGを乗算して得られた値、目標レール圧Ptrgおよびエンジン回転数NEと、補正量との関係を表す。これら3つの値に基づき、上記マップを参照して補正量を算出する。吐出ゲインGは以下の式で算出される。
G=(ΣA/K)+1
ΣAは、1つのカム期間に増減した噴射回数の合計である。このΣAで定義される噴射回数は、次回以降のカム期間から今回のカム期間に入ってきた分だけ増大し、次回以降のカム期間に出て行った分だけ減少する。前回以前のカム期間から出入りした分は、上記ΣAには加減算されない。Kは、基本吐出係数であり、1つのカム山30aに割り当てられた燃料噴射弁4の数である。本実施形態では、基本吐出係数Kの値は1である。したがって、吐出ゲインGは、増減合計ΣAを基本吐出係数Kで除算した値に、1を加算して得られる。
例えば図3のカム期間Cupでは、燃料噴射が1回から2回に予定変更されたためΣAの値が1となる。そのため、見込み補正に用いられる吐出ゲインGの値は2である。よって、図4のステップS14ではFF項が2倍に補正されている。一方、図3のカム期間Cdwでは、燃料噴射が1回から0回に予定変更されたためΣAの値が−1となる。そのため、見込み補正に用いられる吐出ゲインGの値は0である。よって、図4のステップS12ではFF項が0倍に補正されている。
以下、上述した構成を備えることによる効果について説明する。
燃料ポンプ制御装置としてのECU80は、演算部81および制御部82を備える。演算部81は、基本演算部としてのFB制御部81aおよびFF制御部81bと、判定部81cと、補正部81dと、を有する。判定部81cは、カム割当噴射量の変化の有無を判定する。補正部81dは、変化有りと判定された場合に、基本演算部によって演算された目標吐出量を、カム割当噴射量の変化量に応じて見込み補正する。
これによれば、1つのカム山30aに割り当てられるカム割当噴射量に応じて目標吐出量が演算される。その上で、カム割当噴射量が変化した場合には、その変化量に応じて目標吐出量が見込み補正される。そのため、目標レール圧Ptrgに対する実レール圧Pactのずれを抑制できる。しかも、目標吐出量を見込みで補正するので、フィードバック制御に比べて迅速にずれを解消できる。
例えば図3に示す状況において、仮に見込み補正を実行しなかった場合には、カム期間Cupに噴射が集中したことに伴い、図3の最下段中の点線に示すように実レール圧Pactが目標レール圧Ptrgから大きく落ち込む。その後、FB項によって実レール圧Pactが目標レール圧Ptrgに近づくものの、近づくまでの間は実レール圧Pactが低くなってしまう。これに対し、見込み補正を実行する本実施形態によれば、カム期間Cupに噴射が集中したことに伴い実レール圧Pactが大きく落ち込むことを、抑制できる。そのため、目標レール圧Ptrgに対する実レール圧Pactのずれを迅速に解消できる。
さて、図3の例に反して同一行程内で目標噴射時期が変化する場合には、その変化量に応じてカム割当噴射量が変化したり、変化しなかったりする。しかし、図2の上段の如く、上記境界を跨いで目標噴射時期が変更されると必ずカム割当噴射量が変化する燃料噴射システムの場合には、図4のように補正量を決定できる。
この点を鑑み、本実施形態では、目標噴射時期が吸気行程および圧縮行程の境界を跨いで変更された場合に、判定部81cは、カム割当噴射量の変化が有ると判定する。具体的には、圧縮行程から吸気行程への変化が生じた場合には、目標吐出量に係るFF項を増加させるように見込み補正する。一方、吸気行程から圧縮行程への変化が生じた場合には、目標吐出量に係るFF項を減少させるように見込み補正する。
そのため、カム割当噴射量の変化有無を判定するにあたり、判定に要するマイコンの演算処理負荷を軽減でき、かつ、変化有無を精度良く判定できる。また、カム割当噴射量の変化量に応じて見込み補正するにあたり、見込み補正量の過不足を少なくできる。また、本実施形態ではカム割当噴射量の増減合計ΣAを演算するので、カム割当噴射量の絶対値を吐出毎に演算するのではなく、相対的な増減を演算しているとも言える。よって、マイコンの演算処理負荷を軽減できる。
(第2実施形態)
上記第1実施形態に係る燃料噴射システムでは基本吐出係数Kの値が1であるのに対し、本実施形態に係る燃料噴射システムでは基本吐出係数Kの値が2である。具体的には、本実施形態では気筒5の数が6つで、1つの気筒5に1つの燃料噴射弁4が搭載されており、カム山30aの数が3つである。したがって、1つのカム山30aに割り当てられた燃料噴射弁4の数である基本吐出係数Kは2である。
図6中のカム期間Cupでは、圧縮噴射から吸気噴射に切り替わることに伴い、カム割当噴射量が増大するように予定変更されている。そこで補正部81dは、カム期間Cupにおける目標吐出量を増大させるように補正する。具体的には、2つ分の目標噴射量から4つ分に予定変更されているため、補正部81dはFF項を2倍に補正する。
図6中のカム期間Cdwでは、吸気噴射から圧縮噴射に切り替わることに伴い、カム割当噴射量が減少するように予定変更されている。そこで補正部81dは、カム期間Cdwにおける目標吐出量を減少させるように補正する。具体的には、1つ分の目標噴射量からゼロに予定変更されているため、補正部81dはFF項をゼロに補正する。
本実施形態に係る判定部81cは、圧縮噴射と吸気噴射とで要求される噴射時期が切り替わった場合に、カム割当噴射量が変化するか否かを判定する。補正部81dは、上記変化有りと判定された場合に、カム割当噴射量の変化量に応じて目標吐出量を見込み補正する。
以上に説明した通り、本実施形態でも、カム割当噴射量が変化するとFF項が見込み補正される。そのため、目標レール圧Ptrgに対する実レール圧Pactのずれを迅速に解消できる。
(第3実施形態)
上記第2実施形態では、圧縮噴射から吸気噴射への要求切替タイミングが、第1の気筒5の圧縮工程の後半である。これに対し本実施形態では、図7に示すように、圧縮噴射から吸気噴射への要求切替タイミングが、第1の気筒5の圧縮工程の前半である。その結果、カム割当噴射量の増大を招くカム期間Cupは2回となっている。それら2回とも、カム期間Cupでのカム割当噴射量は、2つ分の目標噴射量から3つ分に予定変更されている。そのため、ΣA=1かつ基本吐出係数K=2となるため、見込み補正に用いられる吐出ゲインGの値は1.5に設定される。
なお、本実施形態でも上記第2実施形態と同様にして、6気筒の各々に燃料噴射弁4が1つ搭載されており、カム山30aの数が3つである。したがって、基本吐出係数Kは2である。
図7の例では、2つのカム期間Cupのうちの最初のカム期間Cupについては、見込み補正の処理が間に合わず、見込み補正されていない目標吐出量で制御部82が吐出制御している。2つ目のカム期間Cupについては、見込み補正の処理が間に合い、目標吐出量が増大するように見込み補正されている。その結果、斜線を付した上向きの矢印に示すタイミングで吐出量が増大している。なお、最初のカム期間Cupについては、前回の吐出ゲインG演算時にΣAへの増大が加味されていない。今回の吐出ゲインG演算時に初めてΣAへの増大分が認識されたため、2つ目のカム期間CupではΣA=2、K=2とし、吐出ゲインGの値を1.5から2.0に変更している。
このように見込み補正した結果、図7の最下段の実線に示すように、カム割当噴射量の増大に伴い実レール圧Pactが減少した直後に吐出量が増大補正され、目標レール圧Ptrgにまで実レール圧Pactが迅速に回復している。なお、見込み補正を実行しない場合には、図7中の点線に示すようにFB項の作用で実レール圧Pactが回復するものの、見込み補正を実行する場合に比べて回復が遅くなる。
また、上記第2実施形態では、吸気噴射から圧縮噴射への要求切替タイミングが、第1の気筒5の吸気工程中である。これに対し本実施形態では、吸気噴射から圧縮噴射への要求切替タイミングが、第1の気筒5の圧縮工程中である。その結果、カム割当噴射量の減少を招くカム期間Cdwは2回となっている。それら2回とも、カム期間Cdwでのカム割当噴射量は、2つ分の目標噴射量から1つ分に予定変更されている。そのため、ΣA=−1かつ基本吐出係数K=2となるため、吐出ゲインGの値は0.5に設定される。
図7の例では、2つのカム期間Cdwのうちの最初のカム期間Cdwについては、見込み補正の処理が間に合わず、見込み補正されていない目標吐出量で制御部82が吐出制御している。2つ目のカム期間Cdwについては、見込み補正の処理が間に合い、目標吐出量が減少するように見込み補正されている。その結果、図7の最下段に示すように、カム割当噴射量の減少に伴い実レール圧Pactが増大した直後に、吐出量が減少している。なお、最初のカム期間Cdwについては、前回の吐出ゲインG演算時にΣAへの減少が加味されていない。今回の吐出ゲインG演算時に初めてΣAへの減少分が認識されたため、2つ目のカム期間CdwではΣA=−2、K=2とし、吐出ゲインGの値を0.5から0に変更している。
このように見込み補正した結果、図7の最下段の実線に示すように、カム割当噴射量の減少に伴い実レール圧Pactが増大した直後に吐出量が減少補正され、目標レール圧Ptrgにまで実レール圧Pactが迅速に低下している。なお、見込み補正を実行しない場合には、図7中の点線に示すようにFB項の作用で実レール圧Pactが低下するものの、見込み補正を実行する場合に比べて低下が遅くなる。
以上に説明した通り、本実施形態でも、カム割当噴射量が変化するとFF項が見込み補正され、しかも、見込み補正が間に合わなかった分も加味して補正量が設定される。そのため、目標レール圧Ptrgに対する実レール圧Pactのずれを、迅速に解消できる。
(第4実施形態)
本実施形態では、吸気工程での噴射時期が、上記第3実施形態と比べて遅い時期に設定されている。なお、本実施形態でも上記第3実施形態と同様にして、圧縮噴射から吸気噴射への要求切替タイミングは、第1の気筒5の圧縮工程の前半である。また、本実施形態でも上記第3実施形態と同様にして、6気筒の各々に燃料噴射弁4が1つ搭載されており、カム山30aの数が3つである。したがって、基本吐出係数Kは2である。
このように本実施形態と第3実施形態とでは、要求切替タイミングと基本吐出係数Kが同一であるものの噴射時期が異なる。その結果、本実施形態では、図8に示すように、カム割当噴射量の増大を招くカム期間Cupは1回となっている。そのカム期間Cupでのカム割当噴射量は、2つ分の目標噴射量から3つ分に予定変更されている。そのため、ΣA=1かつ基本吐出係数K=2となるため、見込み補正に用いられる吐出ゲインGの値は1.5に設定される。
このように見込み補正した結果、図8の最下段の実線に示すように、カム割当噴射量の増大に伴い実レール圧Pactが減少した直後に吐出量が増大補正され、目標レール圧Ptrgにまで実レール圧Pactが迅速に回復している。なお、見込み補正を実行しない場合には、図8中の点線に示すようにFB項の作用で実レール圧Pactが回復するものの、見込み補正を実行する場合に比べて回復が遅くなる。
また、本実施形態では、図8に示すように、カム割当噴射量の減少を招くカム期間Cdwは1回となっている。そのカム期間Cdwでのカム割当噴射量は、2つ分の目標噴射量から1つ分に予定変更されている。そのため、ΣA=−1かつ基本吐出係数K=2となるため、吐出ゲインGの値は0.5に設定される。
このように見込み補正した結果、図8の最下段の実線に示すように、カム割当噴射量の減少に伴い実レール圧Pactが増大した直後に吐出量が減少補正され、目標レール圧Ptrgにまで実レール圧Pactが迅速に低下している。なお、見込み補正を実行しない場合には、図8中の点線に示すようにFB項の作用で実レール圧Pactが低下するものの、見込み補正を実行する場合に比べて低下が遅くなる。
要するに本実施形態では、目標噴射時期が変更された場合に、吸気行程と圧縮行程の境界を跨いだ変更であるか否かに拘わらず、カム割当噴射量の変化の有無を判定部81cは判定する。そのため、カム割当噴射量の変化が見逃されて見込み補正されなくなる機会を、低減できる。
(第5実施形態)
上記各実施形態では、1つの燃料噴射弁4が1燃焼サイクル中に噴射を実行する回数は1回である。これに対し本実施形態では、1つの燃料噴射弁4が1燃焼サイクル中に噴射を複数回実行する。換言すると、本実施形態に係る噴射制御では、1燃焼サイクル中に目標噴射量を複数回に分割して噴射(分割噴射)させる。
図9に示す例では、分割回数が2回に設定されている。2回各々の噴射量は同じ量に設定されている。つまり、分割された各噴射量の目標噴射量に対する割合(分割率)は0.5である。また、分割噴射にかかる噴射時期の要求が、以下に説明する吸気圧縮噴射の要求から、吸気2段噴射の要求に切り替わっている。吸気圧縮噴射では、分割された2回のうちの1回を吸気工程で噴射し、残りの1回を圧縮工程で噴射する。吸気2段噴射では、分割された2回の両方を吸気工程で噴射する。なお、吸気圧縮噴射から吸気2段噴射への要求切替タイミングは、第1の気筒5の圧縮工程の前半である。
なお、本実施形態でも上記第4実施形態と同様にして、6気筒の各々に燃料噴射弁4が1つ搭載されており、カム山30aの数が3つである。したがって、基本吐出係数Kは2である。
図9の例では、カム割当噴射量の増大を招くカム期間Cupは1回となっている。そのカム期間Cupでのカム割当噴射量は、4つ分の目標噴射量から5つ分に予定変更されている。但し、分割率0.5を鑑みると、カム期間Cupでのカム割当噴射量は、2つ分(=4×0.5)の目標噴射量から2.5(=5×0.5)に予定変更されていると言える。そのため、ΣA=0.5かつ基本吐出係数K=2となるため、見込み補正に用いられる吐出ゲインGの値は1.25に設定される。
このように見込み補正した結果、図9の最下段の実線に示すように、カム割当噴射量の増大に伴い実レール圧Pactが減少した直後に吐出量が増大補正され、目標レール圧Ptrgにまで実レール圧Pactが迅速に回復している。なお、見込み補正を実行しない場合には、図9中の点線に示すようにFB項の作用で実レール圧Pactが回復するものの、見込み補正を実行する場合に比べて回復が遅くなる。
また、本実施形態では、図9に示すように、カム割当噴射量の減少を招くカム期間Cdwは1回となっている。そのカム期間Cdwでのカム割当噴射量は、4つ分の目標噴射量から3つ分に予定変更されている。但し、分割率0.5を鑑みると、カム期間Cdwでのカム割当噴射量は、2つ分(=4×0.5)の目標噴射量から1.5(=3×0.5)に予定変更されていると言える。そのため、ΣA=−0.5かつ基本吐出係数K=2となるため、見込み補正に用いられる吐出ゲインGの値は0.75に設定される。
このように見込み補正した結果、図9の最下段の実線に示すように、カム割当噴射量の減少に伴い実レール圧Pactが増大した直後に吐出量が減少補正され、目標レール圧Ptrgにまで実レール圧Pactが迅速に低下している。なお、見込み補正を実行しない場合には、図9中の点線に示すようにFB項の作用で実レール圧Pactが低下するものの、見込み補正を実行する場合に比べて低下が遅くなる。
(第6実施形態)
上記第5実施形態では、1つの目標噴射量が複数に分割されるにあたり、等分割されている。これに対し本実施形態では、不等分割される分割噴射が含まれている。具体的には、吸気圧縮噴射では、吸気噴射の分割率(例えば0.7)の方が、圧縮噴射の分割率(例えば0.3)より大きい値に設定されている。また、吸気2段噴射では各噴射での分割率は等しく設定(等分割)されている。
図10に示す例では、吸気圧縮噴射での分割回数が2回に設定されている。吸気圧縮噴射における吸気噴射の分割率は0.7に設定され、吸気圧縮噴射における圧縮噴射の分割率は0.3に設定されている。また、吸気2段噴射での分割率は0.5に設定されている。なお、本実施形態でも上記第5実施形態と同様にして、吸気圧縮噴射から吸気2段噴射への要求切替タイミングは、第1の気筒5の圧縮工程の前半である。また、6気筒の各々に燃料噴射弁4が1つ搭載されており、カム山30aの数が3つである。したがって、基本吐出係数Kは2である。
図10の例では、カム割当噴射量の増大を招くカム期間Cupは2回となっている。1回目のカム期間Cupでのカム割当噴射量は、分割率の変化を鑑みると、2つ分の目標噴射量が2.3に予定変更されていると言える。そのため、ΣA=0.3かつ基本吐出係数K=2となるため、見込み補正に用いられる吐出ゲインGの値は1.15に設定される。2回目のカム期間Cupでのカム割当噴射量は、分割率の変化を鑑みると、2つ分の目標噴射量が2.2に予定変更されていると言える。そのため、ΣA=0.2かつ基本吐出係数K=2となるため、見込み補正に用いられる吐出ゲインGの値は1.1に設定される。
このように見込み補正した結果、図10の最下段の実線に示すように、カム割当噴射量の増大に伴い実レール圧Pactが減少した直後に吐出量が増大補正され、目標レール圧Ptrgにまで実レール圧Pactが迅速に回復している。なお、見込み補正を実行しない場合には、図10中の点線に示すようにFB項の作用で実レール圧Pactが回復するものの、見込み補正を実行する場合に比べて回復が遅くなる。
また、本実施形態では、図10に示すように、カム割当噴射量の減少を招くカム期間Cdwは2回となっている。1回目のカム期間Cdwでのカム割当噴射量は、分割率の変化を鑑みると、2つ分の目標噴射量から1.8に予定変更されていると言える。そのため、ΣA=−0.2かつ基本吐出係数K=2となるため、見込み補正に用いられる吐出ゲインGの値は0.9に設定される。2回目のカム期間Cdwでのカム割当噴射量は、分割率の変化を鑑みると、2つ分の目標噴射量から1.7に予定変更されていると言える。そのため、ΣA=−0.3かつ基本吐出係数K=2となるため、見込み補正に用いられる吐出ゲインGの値は0.85に設定される。
このように見込み補正した結果、図10の最下段の実線に示すように、カム割当噴射量の減少に伴い実レール圧Pactが増大した直後に吐出量が減少補正され、目標レール圧Ptrgにまで実レール圧Pactが迅速に低下している。なお、見込み補正を実行しない場合には、図10中の点線に示すようにFB項の作用で実レール圧Pactが低下するものの、見込み補正を実行する場合に比べて低下が遅くなる。
要するに本実施形態では、分割率が変更された場合に、カム割当噴射量の変化の有無を判定部81cは判定する。そのため、カム割当噴射量の変化が見逃されて見込み補正されなくなる機会を、低減できる。
(第7実施形態)
図11に示す本実施形態では、上記第6実施形態とは異なるパターンで分割率が変更されている。
図11の例では、カム割当噴射量の増大を招くカム期間Cupは2回となっている。1回目のカム期間Cupでのカム割当噴射量は、分割率の変化を鑑みると、2つ分の目標噴射量が2.2に予定変更されていると言える。そのため、ΣA=0.2かつ基本吐出係数K=2となるため、見込み補正に用いられる吐出ゲインGの値は1.1に設定される。2回目のカム期間Cupでのカム割当噴射量は、分割率の変化を鑑みると、2つ分の目標噴射量が3.2に予定変更されていると言える。そのため、ΣA=1.2かつ基本吐出係数K=2となるため、見込み補正に用いられる吐出ゲインGの値は1.6に設定される。
このように見込み補正した結果、図11の最下段の実線に示すように、カム割当噴射量の増大に伴い実レール圧Pactが減少した直後に吐出量が増大補正され、目標レール圧Ptrgにまで実レール圧Pactが迅速に回復している。なお、見込み補正を実行しない場合には、図11中の点線に示すようにFB項の作用で実レール圧Pactが回復するものの、見込み補正を実行する場合に比べて回復が遅くなる。
また、本実施形態では、図11に示すように、カム割当噴射量の減少を招くカム期間Cdwは2回となっている。1回目のカム期間Cdwでのカム割当噴射量は、分割率の変化を鑑みると、2つ分の目標噴射量から1.3に予定変更されていると言える。そのため、ΣA=−0.7かつ基本吐出係数K=2となるため、見込み補正に用いられる吐出ゲインGの値は0.65に設定される。2回目のカム期間Cdwでのカム割当噴射量も、1回目と同様にしてΣA=−0.7であり、見込み補正に用いられる吐出ゲインGの値は0.65に設定される。
このように見込み補正した結果、図11の最下段の実線に示すように、カム割当噴射量の減少に伴い実レール圧Pactが増大した直後に吐出量が減少補正され、目標レール圧Ptrgにまで実レール圧Pactが迅速に低下している。なお、見込み補正を実行しない場合には、図11中の点線に示すようにFB項の作用で実レール圧Pactが低下するものの、見込み補正を実行する場合に比べて低下が遅くなる。
(第8実施形態)
本実施形態では、第4実施形態の如く目標噴射時期が変更された場合と、第6および第7実施形態の如く分割率が変更された場合との両方を考慮して見込み補正している。
具体的には、図12に示す手順の処理をマイコンが実行する。図12に示す処理は、内燃機関の運転中に所定周期で繰り返し実行される。この所定周期は、先述したように時間同期でもよいし回転角同期でもよい。
先ず、図12のステップS20において、噴射時期または分割率の変化があったか否かを判定する。変化有りと判定された場合、続くステップS21において、上記変化に伴い、1つのカム期間に増減した噴射回数の合計(ΣA)を算出する。続くステップS22では、ステップS21で算出したΣAの値に基づき吐出ゲインGを算出する。G=(ΣA/K)+1である。
続くステップS23では、ステップS22で算出した吐出ゲインGに基づき吐出制御量を算出する。例えば、基本吐出係数Kと吐出ゲインGを目標噴射量Qreqに乗算した値に基づき、マップを参照して吐出制御量を算出する。続くステップS24では、ステップS23で算出した吐出制御量に更新されるよう、FF項を補正する。
(第9実施形態)
本実施形態に係る燃料ポンプ制御装置は、内燃機関が位相可変装置を備えていることを前提とする。カム30の回転軸40は、内燃機関の出力軸を駆動源として回転している。位相可変装置は、回転軸40の回転角度と出力軸の回転角度との相対位相差を変更させる装置である。
補正部81dは、位相可変装置によって相対位相の目標値が変更された量に基づき、見込み補正に係る補正量を算出する。例えば、噴射パターンは変更されていなくても、上記相対位相が変更されると、カム割当噴射量が変化する場合がある。このようなカム割当噴射量の変化を相対位相の変更量に基づき推定して、補正部81dは見込み補正量を算出する。これによれば、カム割当噴射量の変化が見逃されて見込み補正されなくなる機会を、低減できる。
さらに、本実施形態に係る燃料ポンプ制御装置は、相対位相の実位相と目標位相との偏差に基づき位相可変装置がフィードバック制御されていることを前提とする。補正部81dは、フィードバック制御の学習値に基づき、見込み補正に係る補正量を算出する。これによれば、FF制御部81bによって動的に補正することを促進できる。
(他の実施形態)
上記第1実施形態では、実レール圧Pactと目標レール圧Ptrgとの差分に応じて、調量弁60の作動を制御して燃料ポンプ1の吐出量を制御している。これに対し、調量弁60に替えて、加圧室10aへの吸入通路の絞りの大きさを制御する調量弁を採用してもよい。この場合、絞りの大きさを制御することで吸入量を制御し、その結果、燃料ポンプ1の吐出量を制御することになる。
本開示は、実施例に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態が本開示に示されているが、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範ちゅうや思想範囲に入るものである。
1 燃料ポンプ、 10a 加圧室、 20 プランジャ、 3 コモンレール、 30 カム、 30a カム山、 4 燃料噴射弁、 5 気筒、 60 調量弁、 81 演算部、 81a FB制御部(基本演算部)、81b FF制御部(基本演算部)、 81c 判定部、 81d 補正部、 82 制御部。

Claims (6)

  1. カム山(30a)で押し動かされて往復動するプランジャ(20)、および前記プランジャによって加圧室(10a)で加圧される燃料の量を調整する調量弁(60)を備える燃料ポンプ(1)と、
    前記加圧室から吐出された燃料を蓄圧するコモンレール(3)と、
    前記コモンレールから分配される高圧燃料を噴射する複数の燃料噴射弁(4)と、
    を備える燃料噴射システムに適用された、燃料ポンプ制御装置において、
    前記プランジャが1回往復動することによって前記加圧室から吐出される1回分の吐出量の目標値を、目標吐出量として演算する演算部(81)と、
    前記目標吐出量に従って、前記調量弁の作動を制御する制御部(82)と、
    を備え、
    内燃機関が有する1つの気筒(5)における1回の燃焼サイクルの期間に、1つの前記燃料噴射弁から噴射される量の目標値を目標噴射量とし、
    複数の前記燃料噴射弁の各々に設定された前記目標噴射量に含まれる、1つの前記カム山に割り当てられる噴射量をカム割当噴射量とし、
    前記演算部は、
    前記カム割当噴射量に応じて前記目標吐出量を演算する基本演算部(81a、81b)と、
    前記カム割当噴射量の変化の有無を判定する判定部(81c)と、
    前記判定部により変化有りと判定された場合に、前記基本演算部によって演算された前記目標吐出量を、前記カム割当噴射量の変化量に応じて見込み補正する補正部(81d)と、
    を有する燃料ポンプ制御装置。
  2. 前記燃焼サイクルは、吸気行程、圧縮行程、膨張行程および排気行程を含んでおり、
    前記燃料噴射弁から噴射される時期の目標である目標噴射時期が前記吸気行程および前記圧縮行程の境界を跨いで変更された場合に、前記判定部は前記変化有りと判定する、請求項1に記載の燃料ポンプ制御装置。
  3. 前記燃焼サイクルは、吸気行程、圧縮行程、膨張行程および排気行程を含んでおり、
    前記燃料噴射弁から噴射される時期の目標である目標噴射時期が変更された場合に、前記吸気行程と前記圧縮行程の境界を跨いだ変更であるか否かに拘わらず、前記判定部は前記変化の有無を判定する、請求項1に記載の燃料ポンプ制御装置。
  4. 1燃焼サイクル中に前記目標噴射量を複数回に分割して噴射する場合に、分割された各噴射量の前記目標噴射量に対する割合である分割率が変更された場合に、前記判定部は前記変化の有無を判定する、請求項1〜3のいずれか1つに記載の燃料ポンプ制御装置。
  5. 前記カム山が設けられたカム(30)の回転角度と、前記内燃機関の出力軸の回転角度との相対位相が、位相可変装置によって変更可能に構成されており、
    前記補正部は、前記位相可変装置によって前記相対位相の目標値が変更された量に基づき、前記見込み補正に係る補正量を算出する、請求項1〜4のいずれか1つに記載の燃料ポンプ制御装置。
  6. 前記位相可変装置は、前記相対位相の実位相と目標位相との偏差に基づきフィードバック制御され、
    前記補正部は、前記フィードバック制御の学習値に基づき、前記見込み補正に係る補正量を算出する、請求項5に記載の燃料ポンプ制御装置。
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