以下、電動式建設機械の実施形態について、クローラを備えた電動式油圧ショベルを例に挙げ、図1ないし図8を参照しつつ詳細に説明する。なお、実施形態では、油圧ショベルの走行方向を前後方向とし、油圧ショベルの走行方向と直交する方向を左右方向として説明する。
図1において、電動式建設機械の代表例である電動式油圧ショベル1は、前後方向に自走可能なクローラ式の下部走行体2と、下部走行体2上に旋回装置3を介して旋回可能に搭載された上部旋回体4とを備えている。電動式油圧ショベル1の車体は、下部走行体2と上部旋回体4とにより構成されている。下部走行体2の前側には、ブレード(排土板)5が上下方向に回動可能に設けられ、このブレード5を用いて排土作業等が行われる。上部旋回体4の前側には、スイング式の作業装置6が設けられ、この作業装置6を用いて土砂の掘削作業等が行われる。
上部旋回体4は、旋回フレーム7、運転席9、カウンタウエイト11、電動モータ12、バッテリ18、外装カバー20、仕切り部材25等を含んで構成されている。ここで、電動式油圧ショベル1は、後方小旋回型の油圧ショベルとして形成され、上部旋回体4を旋回させたときに、カウンタウエイト11の外周面11Aが下部走行体2の左右方向の幅寸法(車幅寸法)内に収まるようになっている。なお、後方小旋回の定義としては、作業上で問題にならない範囲で、カウンタウエイト11の一部が下部走行体2の車幅寸法から少しはみ出す程度も含むものである。
スイング式の作業装置6は、旋回フレーム7の前側に左右方向に揺動可能に設けられたスイングポスト6Aと、スイングポスト6Aに回動可能に取付けられたブーム6Bと、ブーム6Bの先端に回動可能に取付けられたアーム6Cと、アーム6Cの先端に上下方向に回動可能に取付けられたバケット6Dとを含んで構成されている。また、作業装置6は、スイングポスト6Aを揺動させるスイングシリンダ6Eと、ブーム6Bを回動させるブームシリンダ6Fと、アーム6Cを回動させるアームシリンダ6Gと、バケット6Dを回動させるバケットシリンダ6Hとを備えている。
車体フレームとしての旋回フレーム7は、上部旋回体4のベースを構成している。旋回フレーム7は、旋回装置3を介して下部走行体2上に取付けられ、旋回フレーム7の前側には、作業装置6が取付けられている。
図2に示すように、旋回フレーム7は、底板7Aと、左縦板7Bおよび右縦板7Cと、左サイドフレーム7Dと、右サイドフレーム7Eとを含んで構成されている。底板7Aは、厚肉な鋼板からなり、左右方向の中央部を前後方向に延びている。左縦板7Bおよび右縦板7Cは、底板7A上に立設され、左右方向で対面しつつ前後方向に延びている。左サイドフレーム7Dは、底板7Aおよび左縦板7Bから左側方に張出す左張出しビーム7D1の先端に固定され、前後方向に延びている。右サイドフレーム7Eは、底板7Aおよび右縦板7Cから右側方に張出す右張出しビーム7E1の先端に固定され、円弧状に湾曲しつつ前後方向に延びている。
左縦板7Bと右縦板7Cとの間隔は、後側から前側に向けて小さくなり、左縦板7Bおよび右縦板7Cの前端には円筒状の支持筒体7Fが設けられている。支持筒体7Fには、作業装置6のスイングポスト6Aが左右方向に揺動(スイング)可能に支持されている。旋回フレーム7の前後方向の中間部には、左右方向に延びる横板7Gが設けられている。横板7Gは、底板7A上に立設され、左縦板7Bの後端と右縦板7Cの後端との間を連結している。
旋回フレーム7の後側には、U字型に屈曲した枠状のバッテリ取付枠7Hが設けられている。バッテリ取付枠7Hは、底板7Aの後端側を左右方向に延びた後枠部7H1と、後枠部7H1の左端から前方に延びた左枠部7H2と、後枠部7H1の右端から前方に延びた右枠部7H3とを有し、横板7Gの後側に位置して底板7A上に立設されている。バッテリ取付枠7Hには、後述のバッテリ18が取付けられる。バッテリ取付枠7Hの右側には、前後に離間して複数のモータ支持部材7Jが設けられている。これら複数のモータ支持部材7Jは、電動モータ12を支持する。
右縦板7Cと右張出しビーム7E1との間には、前後に離間して一対のタンク支持部材7Kが設けられている。一対のタンク支持部材7Kは、右縦板7Cから右サイドフレーム7Eに向けて右側方へと延びている。タンク支持部材7Kの上側には、後述のオイルタンク17が支持され、タンク支持部材7Kの下側には、スイングシリンダ6Eが配置される。
右縦板7Cの後側の上端部には、鉛直方向に立上がる左前取付板7Lが設けられ、バッテリ取付枠7Hの右枠部7H3の上端部には、水平方向に張出す左後取付板7Mが設けられている。これら左前取付板7Lと左後取付板7Mには、後述の縦仕切り壁27が取付けられる。また、左前取付板7Lの右側には、右張出しビーム7E1から鉛直方向に立上がる右取付板7Nが設けられている。右取付板7Nには、後述の横仕切り壁26が取付けられる。
底板7Aと右サイドフレーム7Eとの間には、右前アンダカバー7Pと右後アンダカバー7Qとが、右張出しビーム7E1を挟んで前後に離間して設けられている。これら右前アンダカバー7Pおよび右後アンダカバー7Qは鋼板等を用いて形成され、電動式油圧ショベル1の走行時にクローラによって跳上げられた土砂が、後述の電気機器室23および油圧機器室24内に入るのを防止する。
キャブ8は、旋回フレーム7の左側に配置されている。キャブ8は、オペレータが搭乗する運転室を形成している。キャブ8内には、オペレータが座る運転席9が設けられている。即ち、運転席9は、旋回フレーム7の左側(上部旋回体4の左右方向の一側)に配置され、キャブ8によって覆われている。運転席9の前側には、下部走行体の走行を制御する走行用レバーペダル(図示せず)、旋回装置3および作業装置6の動作を制御する作業用操作レバー10等(いずれも図示せず)が設けられている。
カウンタウエイト11は、運転席9の後側に位置して旋回フレーム7の後端に設けられている。カウンタウエイト11は、旋回フレーム7の後端から上方に立上り、作業装置6との重量バランスを保つと共に、バッテリ18を後方から覆っている。カウンタウエイト11の外周面11Aは、左右方向の中央部が後方に突出した円弧状をなしている。これにより、上部旋回体4が旋回したときに、カウンタウエイト11の外周面11Aは一定の旋回半径内に収まる構成となっている。また、上部旋回体4を旋回させたときに、カウンタウエイト11の外周面11Aは、下部走行体2の左,右方向の幅寸法内に収まるように設定され、電動式油圧ショベル1の後方小旋回を実現している。
電動モータ12は、運転席9から右側(上部旋回体4の左右方向の他側)に離間して旋回フレーム7に設けられている。電動モータ12は、旋回フレーム7に設けられた複数のモータ支持部材7Jに、マウント部材13を介して支持されている。電動モータ12は、出力軸(図示せず)が前後方向に延びた状態で旋回フレーム7に取付けられている。電動モータ12の後側には端子箱12Aが設けられ、この端子箱12A内に設けられた接続端子(図示せず)には、後述の強電ケーブル16が接続される。
電動モータ12の前側には油圧ポンプ14が取付けられている。電動モータ12は、バッテリ18から電力が供給されることにより回転し、油圧ポンプ14を駆動する。油圧ポンプ14は、オイルタンク17に貯留された作動油を加圧し、作業装置6の各シリンダ6E、6F、6G、6H、下部走行体2の走行モータ、旋回装置3の旋回モータ(いずれも図示せず)等の油圧アクチュエータに作動用の圧油を供給する。
インバータ15は、電動モータ12の上側に位置して後述の仕切り部材25に取付けられている。インバータ15には、強電ケーブル16の一端が接続されるケーブル接続口15Aが設けられ、強電ケーブル16の他端は、電動モータ12の端子箱12A内に配置された接続端子(図示せず)に接続されている。インバータ15は、強電ケーブル16を介して電動モータ12に電気的に接続され、バッテリ18から電動モータ12に供給される駆動電圧を制御することにより、電動モータ12の作動を制御する。インバータ15は、電動モータ12、強電ケーブル16等と共に電気機器を構成し、電気機器室23内に収容されている。ここで、電動モータ12およびインバータ15には、それぞれ冷却水が循環するウォータジャケット(いずれも図示せず)が設けられ、このウォータジャケットには後述の冷却水ポンプ44が接続されている。
オイルタンク17は、油圧ポンプ14の前側に位置して旋回フレーム7の右前側に設けられている。オイルタンク17は、上下方向に延びる箱型の容器として形成され、旋回フレーム7のタンク支持部材7Kに支持されている。オイルタンク17には、電動式油圧ショベル1に搭載された各種の油圧アクチュエータに供給される作動油が貯留されている。オイルタンク17のうち後述の右前外装カバー22と左右方向で対面する外側面17Aには、右前外装カバー22から離れる方向に窪む凹窪部17Bが設けられている。油圧ポンプ14とオイルタンク17とは、仕切り部材25を構成する横仕切り壁26の前側に配置されている。
バッテリ18は、運転席9よりも後側に位置して旋回フレーム7の後端側に搭載されている。バッテリ18は、電動式油圧ショベル1の電源を構成し、電動モータ12に対して電力を供給(給電)する。バッテリ18は、旋回フレーム7のバッテリ取付枠7H上に、複数(例えば4個)のマウント部材19を介して取付けられている。
外装カバー20は、電動モータ12、インバータ15を含む電気機器、および油圧ポンプ14、オイルタンク17を含む油圧機器を覆って旋回フレーム7に設けられている。外装カバー20は、鋼板等を用いて形成され、キャブ8の後部とカウンタウエイト11との間に配置された左外装カバー(図示せず)と、キャブ8の右側に配置された右後外装カバー21および右前外装カバー22とを有している。
右後外装カバー21は、カウンタウエイト11の右端から運転席9の右側までの範囲に配置されている。右後外装カバー21は、仕切り部材25と共に電気機器室23を形成し、電動モータ12、インバータ15等の電気機器を右側方および上方から覆っている。右後外装カバー21には、後述の電気機器冷却ファン45による冷却風を排出するための冷却風排出口21Aが形成されている。
右前外装カバー22は、右後外装カバー21の前端から旋回フレーム7の前端までの範囲に配置されている。右前外装カバー22は、右前下カバー22Aと、右前下カバー22A上に配置された右前上カバー22Bとにより構成され、仕切り部材25と共に油圧機器室24を形成している。右前下カバー22Aは、油圧ポンプ14、オイルタンク17等を右側方および前方から覆い、右前上カバー22Bは、油圧ポンプ14、オイルタンク17等を上方および前方から覆っている。右前下カバー22Aには、後述の油圧機器冷却ファン48による冷却風を排出するための冷却風排出口22Cが形成されている。
次に、本実施形態に用いられる仕切り部材25について説明する。
仕切り部材25は、運転席9とは左右方向の反対側となる旋回フレーム7の右側後方、即ち、右縦板7Cおよびバッテリ取付枠7Hの右側に位置して旋回フレーム7上に設けられている。仕切り部材25は、電動モータ12、インバータ15を含む電気機器を、旋回フレーム7の底板7Aおよび右後アンダカバー7Q、右後外装カバー21と共に取囲んでいる。仕切り部材25は、鋼板等を用いて形成された横仕切り壁26および縦仕切り壁27を含んで構成され、旋回フレーム7から上方に立上っている。
横仕切り壁26は、旋回フレーム7の前後方向の中間部に配置され、右縦板7Cから右サイドフレーム7Eに向けて左右方向に延びている。これにより、横仕切り壁26は、電動モータ12と油圧ポンプ14との間を前後に仕切った状態で左右方向に延びている。図5および図7に示すように、横仕切り壁26は、L字型に屈曲し上下方向に延びる外枠体26Aと、外枠体26Aよりも小さいL字型の枠状に形成され、外枠体26Aの内側に配置された内枠体26Bと、外枠体26Aと内枠体26Bとの間を連結し鉛直方向に立上る平板状の板体26Cとを含んで構成されている。
外枠体26Aの左側(右縦板7C側)の上部には、連結部26Dが設けられている。この連結部26Dは、縦仕切り壁27に連結される。内枠体26Bの下端には、取付部26Eが設けられている。この取付部26Eは、旋回フレーム7の右取付板7Nに取付けられる。横仕切り壁26が旋回フレーム7に取付けられた状態で、内枠体26Bと旋回フレーム7の右縦板7Cとの間には、前後方向に貫通するポンプ挿通部26Fが形成されている。このポンプ挿通部26Fには、電動モータ12の前側に取付けられた油圧ポンプ14が挿通される。板体26Cの後面には、U字型に屈曲した4個のインバータ支持アーム26Gが、左右方向および上下方向に適度な間隔をもって設けられている。これら4個のインバータ支持アーム26Gは、板体26Cから後方に突出し、後述するインバータ取付板33を弾性部材34を介して支持する。
縦仕切り壁27は、横仕切り壁26の後側に配置され、バッテリ取付枠7Hの右枠部7H3に沿って前後方向に延びている。これにより、縦仕切り壁27は、電動モータ12、インバータ15を含む電気機器とバッテリ18との間を左右に仕切った状態で、横仕切り壁26から後方に延びている。縦仕切り壁27は、ベースとなる下板27Aと、下板27A上に取付けられた上板27Bとを有し、これら下板27Aと上板27Bとは、鉛直方向に立上っている。
図7に示すように、下板27Aの上端には、前後方向に延びる水平面を有する下取付フランジ27Cが設けられている。一方、上板27Bには、前後方向に延びる水平面を有する上取付フランジ27Dが設けられている。上板27Bの後端下側には、下板27Aの後端に向けて前方に張出すブラケット27Eが設けられている。下板27Aの下取付フランジ27Cと上板27Bの上取付フランジ27Dとは、互いに当接した状態でボルト27Fを用いて固定され、上板27Bのブラケット27Eは、ボルト27Gを用いて下板27Aの後端に固定される。これにより、下板27Aと上板27Bとからなる縦仕切り壁27が形成されている。
下板27Aの前端には、下取付フランジ27Cの下側から鉛直方向に延びる前側取付部27Hが設けられている。この前側取付部27Hは、旋回フレーム7の左前取付板7Lに取付けられる。一方、下板27Aの後端には、水平方向に延びる後側取付部27Jが設けられている。この後側取付部27Jは、旋回フレーム7の左後取付板7Mに取付けられる。また、上板27Bの後側には、角孔状の通気口27Kが形成されている。この通気口27Kは、電気機器冷却ファン45の作動時に冷却風を電気機器室23内に流入させる。さらに、上板27Bの上取付フランジ27Dと通気口27Kとの間には、前後方向に延びるカバー取付板27Lが設けられている。カバー取付板27Lには、後述のモータカバー40が取付けられる。
次に、旋回フレーム7に対する仕切り部材25の取付構造について説明する。
仕切り部材25を組立てる場合には、まず、下板27A上に上板27Bを固定して縦仕切り壁27を形成する。そして、縦仕切り壁27の前側に横仕切り壁26を配置し、横仕切り壁26(外枠体26A)の連結部26Dをボルト28を用いて縦仕切り壁27(上板27B)の上側に固定する。また、横仕切り壁26の内枠体26Bの上端と、縦仕切り壁27の下板27Aに設けられた下取付フランジ27Cの前端とをボルト29を用いて固定する。これにより、横仕切り壁26と縦仕切り壁27とを有する仕切り部材25が組立てられる。
そして、横仕切り壁26(内枠体26B)の取付部26Eを、旋回フレーム7の右取付板7Nにボルト30を用いて固定する(図5参照)。一方、縦仕切り壁27(下板27A)の前側取付部27Hを、旋回フレーム7の左前取付板7Lにボルト31を用いて固定する(図5参照)。さらに、縦仕切り壁27(下板27A)の後側取付部27Jを、旋回フレーム7の左後取付板7Mにボルト32を用いて固定する(図4参照)。このようにして、仕切り部材25は旋回フレーム7に立設され、横仕切り壁26の内枠体26Bと旋回フレーム7の右縦板7Cとの間には、ポンプ挿通部26Fが形成される。このポンプ挿通部26Fには、電動モータ12の前側に取付けられた油圧ポンプ14が挿通される。
旋回フレーム7に取付けられた仕切り部材25の横仕切り壁26は、電動モータ12と油圧ポンプ14との間を前後に仕切った状態で左右方向に延びている。また、仕切り部材25の縦仕切り壁27は、電動モータ12、インバータ15等の電気機器とバッテリ18との間を左右に仕切った状態で前後方向に延びている。これにより、横仕切り壁26の後側には、横仕切り壁26、縦仕切り壁27、旋回フレーム7の底板7Aおよび右後アンダカバー7Q、右後外装カバー21等によって囲まれた空間である電気機器室23が形成されている。この電気機器室23には、電動モータ12、インバータ15、強電ケーブル16を含む電気機器と、後述の電気機器冷却装置42が収容されている。
一方、横仕切り壁26の前側には、横仕切り壁26、旋回フレーム7の底板7Aおよび右前アンダカバー7P、右前外装カバー22等によって囲まれた空間である油圧機器室24が形成されている。即ち、油圧機器室24と電気機器室23とは、仕切り部材25の横仕切り壁26によって互いに独立した2つの空間に仕切られている。油圧機器室24には、油圧ポンプ14、オイルタンク17を含む油圧機器と、後述の油圧機器冷却装置46が収容されている。
ここで、インバータ15は、インバータ取付板33を介して仕切り部材25に取付けられており、この仕切り部材25に対するインバータ15の取付構造について、図6および図8を参照して説明する。
インバータ取付部材としてのインバータ取付板33は、上下方向に延びる平板状の板体により形成され、仕切り部材25の横仕切り壁26と前後方向で間隔をもって対面している。インバータ取付板33のうち横仕切り壁26と対面する前面33Aには、インバータ15がボルト等を用いて取付けられる。インバータ取付板33の左端部および右端部には、インバータ取付板33から前方に突出する取付アーム33Bが、それぞれ2個ずつ(合計4個)設けられている。
これら4個の取付アーム33Bは、仕切り部材25の横仕切り壁26に設けられた4個のインバータ支持アーム26Gと上下方向で対面する。横仕切り壁26の4個のインバータ支持アーム26Gには、それぞれ弾性部材34が取付けられ、インバータ取付板33の4個の取付アーム33Bは、それぞれボルト35を用いて弾性部材34に取付けられる。これにより、インバータ取付板33は、弾性部材34を介して横仕切り壁26に取付けられ、インバータ15は、インバータ取付板33を介して仕切り部材25に取付けられている。
ここで、インバータ15は、仕切り部材25の横仕切り壁26とインバータ取付板33との間に挟込まれた状態で仕切り部材25に取付けられている。これにより、インバータ15が発生する電気的なノイズが、横仕切り壁26とインバータ取付板33とによって遮断される構成となっている。また、インバータ15は、ケーブル接続口15Aを下向きにした状態で、鉛直方向に延びるように仕切り部材25に取付けられている。このように、インバータ15のケーブル接続口15Aを下向きとすることにより、インバータ15と、その下側に配置された電動モータ12との間を接続する強電ケーブル16の長さを短くすることができ、強電ケーブル16から発生するノイズが低減される構成となっている。
インバータ取付板33には、4本の円筒状のスペーサ33Cが設けられている。4本のスペーサ33Cは、上下方向および左右方向に適度な間隔をもって配置され、インバータ取付板33から後方に突出している。これら4本のスペーサ33Cは、後述のインバータカバー36が取付けられるもので、その突出端には雌ねじ孔33Dが形成されている。また、インバータ取付板33の右端部に設けられた2個の取付アーム33Bには、それぞれ裏ナット等からなる雌ねじ孔33Eが形成され、後述のケーブルカバー38が取付けられる。
インバータカバー36は、インバータ取付板33の4本のスペーサ33Cに取付けられている。図6および図8に示すように、インバータカバー36は、左右方向に延びる長方形の板体からなっている。インバータカバー36は、4本のスペーサ33Cに形成された雌ねじ孔33Dに螺着されるボルト37により、スペーサ33Cの突出端に取付けられている。インバータカバー36は、インバータ取付板33と前後方向で対面し、インバータ取付板33と共にインバータ15を後方から覆っている。また、インバータカバー36の右端上側には、前方に張出す張出し部36Aが設けられている。張出し部36Aは、インバータ15の上側部位を右側方から覆っている。
ケーブルカバー38は、インバータ取付板33の右端部に設けられた2個の取付アーム33Bに取付けられている。ケーブルカバー38は、上下方向に延びる長方形の板体からなっている。ケーブルカバー38は、取付アーム33Bに形成された雌ねじ孔33Eに螺着されるボルト39により、インバータ取付板33の2個の取付アーム33Bに取付けられている。ケーブルカバー38は、インバータ15、インバータ15のケーブル接続口15A、ケーブル接続口15Aに接続された強電ケーブル16を、右側方から覆っている。
モータカバー40は、電動モータ12の上側に設けられている。図6に示すように、モータカバー40は、電動モータ12と上下方向で対面しつつ前後方向に延びる上面部40Aと、上面部40Aの右端から鉛直下方に延び、仕切り部材25の縦仕切り壁27と左右方向で対面する右側面部40Bとを有する板体からなっている。モータカバー40は、縦仕切り壁27のカバー取付板27Lに、ボルト41を用いて取付けられている。モータカバー40は、電動モータ12の端子箱12A、端子箱12A内の端子に接続された強電ケーブル16の他端側を、上方および右側方から覆っている。
このように、電動式油圧ショベル1の作動時にノイズの発生源となるインバータ15、強電ケーブル16、電動モータ12は、インバータカバー36、ケーブルカバー38、モータカバー40によって個別に覆われている。これにより、インバータ15、強電ケーブル16、電動モータ12から発生する電気的なノイズが遮断される構成となっている。
電気機器冷却装置42は、電動モータ12、インバータ15と共に電気機器室23内に配置されている。電気機器冷却装置42は、ラジエータ43と、冷却水ポンプ44と、電気機器冷却ファン45とを含んで構成されている。ラジエータ43は、縦仕切り壁27の通気口27Kに対応する位置に配置されている。即ち、ラジエータ43は、通気口27Kを覆うように配置され、通気口27Kを通じて電気機器室23内に流入する冷却風がラジエータ43に直接的に供給されるようになっている。ラジエータ43は、冷却水ポンプ44によって電動モータ12およびインバータ15のウォータジャケット(いずれも図示せず)を循環する冷却水の熱を、電気機器室23内に流入する冷却風中に放熱し、電動モータ12およびインバータ15を冷却する。
冷却水ポンプ44は、ブラケット等(図示せず)を介して仕切り部材25に支持され、電動モータ12よりも上側で、かつ電気機器冷却ファン45よりも下側に配置されている。冷却水ポンプ44は、電動モータ12およびインバータ15のウォータジャケット(いずれも図示せず)に接続され、このウォータジャケットに冷却水を循環させる。電気機器冷却ファン45は、ラジエータ43のうち縦仕切り壁27とは反対側の面に取付けられている。電気機器冷却ファン45は、例えば電動ファンからなり、縦仕切り壁27の通気口27Kを通じて電気機器室23内に冷却風を導入する。電気機器室23内に導入された冷却風は、電気機器室23内でラジエータ43、電動モータ12、インバータ15等を冷却した後、右後外装カバー21に設けられた冷却風排出口21Aを通じて上部旋回体4の外部に排出される。
ここで、電動モータ12およびインバータ15に設けられたウォータジャケット(図示せず)を循環する冷却水の熱は、電気機器冷却ファン45によって電気機器室23内に導入された冷却風がラジエータ43を通過するときに、この冷却風中に放熱される。従って、ラジエータ43を冷却して暖められた冷却風を、右後外装カバー21の冷却風排出口21Aを通じて速やかに電気機器室23の外部に排出するため、電気機器室23内に冷却風の流通経路を確保する必要がある。
これに対し、図4に示すように、電動モータ12は、旋回フレーム7のモータ支持部材7Jにマウント部材13を介して取付けられ、インバータ15は、インバータ取付板33を介して仕切り部材25の横仕切り壁26に取付けられている。このように、インバータ15が電動モータ12よりも上側に配置され、電動モータ12およびインバータ15は、いずれも電気機器冷却ファン45と対面しない場所に配置されている。これにより、ラジエータ43を冷却した後、右後外装カバー21の冷却風排出口21Aへと向かう冷却風の流れが、電動モータ12およびインバータ15等によって妨げられることがない。このように、電気機器室23内に円滑な冷却風の流通経路を確保し、電気機器室23内に暖められた冷却風が滞留するのを抑えることにより、ラジエータ43、電動モータ12およびインバータ15を効率良く冷却することができる構成となっている。
油圧機器冷却装置46は、油圧ポンプ14、オイルタンク17と共に油圧機器室24内に配置されている。油圧機器冷却装置46は、オイルクーラ47と、油圧機器冷却ファン48とを含んで構成されている。オイルクーラ47は、オイルタンク17の外側面17Aのうち凹窪部17Bに対応する部位に隙間Gをもって対面し、右前外装カバー22の右前下カバー22Aと左右方向で対面している(図3参照)。オイルクーラ47は、油圧アクチュエータからオイルタンク17に戻る戻り油(作動油)の熱を、油圧機器冷却ファン48による冷却風中に放熱し、作動油を冷却する。
油圧機器冷却ファン48は、オイルクーラ47を挟んでオイルタンク17とは反対側に取付けられ、オイルクーラ47と右前外装カバー22(右前下カバー22A)との間に配置されている。油圧機器冷却ファン48は、例えば電動ファンからなり、油圧機器室24内に冷却風を導入する。油圧機器室24内に導入された冷却風は、オイルクーラ47、オイルタンク17等を冷却した後、右前外装カバー22の右前下カバー22Aに設けられた冷却風排出口22Cを通じて上部旋回体4の外部に排出される。
本実施形態による電動式油圧ショベル1は、上述の如き構成を有するもので、以下、その作動について説明する。
電動式油圧ショベル1を用いて掘削作業等を行う場合には、オペレータが運転席9に座り、電動モータ12を作動させることにより、油圧ポンプ14を駆動させる。この状態で、オペレータが走行用レバーペダル(図示せず)を操作することにより、電動式油圧ショベル1を作業現場まで走行させる。電動式油圧ショベル1が作業現場まで移動した後には、オペレータが作業用操作レバー10を操作することにより、上部旋回体4を旋回させつつ作業装置6によって土砂等の掘削作業を行うことができる。
電動式油圧ショベル1の作動時には、バッテリ18から電動モータ12に電力が供給され、インバータ15は、バッテリ18から電動モータ12に供給される駆動電圧を制御する。これにより、電動式油圧ショベル1の作動状態に応じて電動モータ12の動作が制御される。ここで、インバータ15、インバータ15と電動モータ12との間を接続する強電ケーブル16、電動モータ12等の電気機器は、電動式油圧ショベル1の作動時に電気的なノイズの発生源となる。このノイズは、電動式油圧ショベル1に搭載されたコントローラ等の電子機器(図示せず)、あるいは電動式油圧ショベル1のオペレータが周囲の作業者と通話を行うための通信機器に対し、悪影響を及ぼす可能性がある。
これに対し、本実施形態では、横仕切り壁26と縦仕切り壁27とを有する仕切り部材25が旋回フレーム7に設けられ、電動モータ12、インバータ15、強電ケーブル16を含む電気機器は、旋回フレーム7の底板7Aおよび右後アンダカバー7Q、仕切り部材25、右後外装カバー21によって取り囲まれた電気機器室23内に収容されている。これにより、電動モータ12、インバータ15、強電ケーブル16が電気的なノイズを発生したとしても、このノイズを旋回フレーム7、仕切り部材25、右後外装カバー21によって遮断することができる。この結果、ノイズが電気機器室23の外部に漏洩するのを抑えることができ、電動式油圧ショベル1に搭載された電子機器に対し、ノイズによる悪影響が及ぶのを防止することができる。
しかも、インバータ15は、仕切り部材25の横仕切り壁26と前後方向で間隔をもって対面するインバータ取付板33に取付けられている。即ち、インバータ15は、インバータ取付板33と横仕切り壁26との間に挟込まれた状態で、インバータ取付板33を介して仕切り部材25に取付けられている。これにより、インバータ15が発生する電気的なノイズを、横仕切り壁26とインバータ取付板33とによって遮断することができ、電気機器室23の外部へのノイズの漏洩を低減することができる。
さらに、インバータ15、強電ケーブル16、電動モータ12は、電気機器室23内において、インバータカバー36、ケーブルカバー38、モータカバー40によって個別に覆われている。これにより、インバータ15、強電ケーブル16、電動モータ12から発生する電気的なノイズを、上記各カバー36,38,40によってさらに遮断することができる、この結果、電気機器室23の外部へのノイズの漏洩を、一層低減することができる。
しかも、インバータ15は、ケーブル接続口15Aを下向きにした状態で、鉛直方向に延びるように仕切り部材25に取付けられている。これにより、インバータ15と電動モータ12との間を接続する強電ケーブル16の長さを短くすることができる。この結果、強電ケーブル16から発生するノイズを低減することができる。また、雨水等が、ケーブル接続口15Aに接続された強電ケーブル16を伝ってインバータ15内に浸入するのを抑えることができ、インバータ15の耐久性を高めることができる。
また、電動モータ12は、旋回フレーム7のモータ支持部材7Jにマウント部材13を介して取付けられ、インバータ15は、インバータ取付板33を介して仕切り部材25の横仕切り壁26に取付けられている。このように、インバータ15を電動モータ12よりも上側に配置することにより、電動モータ12およびインバータ15を、いずれも電気機器冷却ファン45と対面しない場所に配置することができる。これにより、ラジエータ43を冷却して暖められた冷却風が、右後外装カバー21の冷却風排出口21Aを通じて上部旋回体4の外部に排出されるときに、この冷却風の流れが、電動モータ12およびインバータ15等によって妨げられることがない。この結果、ラジエータ43を冷却した後の円滑な冷却風の流通経路を電気機器室23内に確保し、電気機器室23内に暖められた冷却風が滞留するのを抑えることにより、ラジエータ43、電動モータ12およびインバータ15を効率良く冷却することができる。
さらに、インバータ15が、鉛直方向に延びる状態で仕切り部材25に取付けられることにより、例えばインバータ15を水平方向(前後方向または左右方向)に延びる状態で電気機器室23内に配置する場合に比較して、インバータ15の設置スペースを小さくすることができる。この結果、電気機器室23が後方に張出すのを抑えることができ、カウンタウエイト11の外周面11Aを、上部旋回体4が後方小旋回を実現できる旋回半径内に収めることができる。
一方、仕切り部材25は、左右方向において運転席9とは反対側となる旋回フレーム7の右側の後方に配置されている。これにより、旋回フレーム7の底板7Aおよび右後アンダカバー7Q、右後外装カバー21、仕切り部材25によって囲まれた電気機器室23を、運転席9に対して可及的に離間させることができる。この結果、例えば電動式油圧ショベル1のオペレータが周囲の作業者と通信機器を用いて通信を行う場合に、この通信機器に対し、電動モータ12等の電気機器から発生した電気的なノイズによる悪影響が及ぶのを防止することができる。
かくして、本実施形態による電動式油圧ショベル1は、自走可能な下部走行体2および上部旋回体4と、上部旋回体4に設けられた作業装置6とを有し、上部旋回体4は、前側に作業装置6が取付けられた旋回フレーム7と、旋回フレーム7上で上部旋回体4の左右方向の一側(左側)に設けられた運転席9と、運転席9から上部旋回体4の左右方向の他側(右側)に離間して旋回フレーム7に設けられ、バッテリ18からの給電により作動する電動モータ12と、電動モータ12に強電ケーブル16を介して電気的に接続され、バッテリ18から電動モータ12に供給される駆動電圧を制御するインバータ15と、電動モータ12、インバータ15を含む電気機器を覆って旋回フレーム7に設けられた右後外装カバー21とを備えている。そして、旋回フレーム7には、運転席9の後側に位置して電源を構成するバッテリ18と、電動モータ12の前側で電動モータ12によって駆動され作業装置6に作動油を供給する油圧ポンプ14と、右後外装カバー21と共に電気機器を取囲む仕切り部材25とが設けられ、仕切り部材25は、電動モータ12と油圧ポンプ14との間を前後方向に仕切った状態で上部旋回体4の左右方向に延びる横仕切り壁26と、電気機器とバッテリ18との間を上部旋回体4の左右方向に仕切った状態で横仕切り壁26から後方に延びる縦仕切り壁27とにより構成され、電気機器は、旋回フレーム7と、横仕切り壁26と、縦仕切り壁27と、右後外装カバー21とによって囲まれる電気機器室23内に収容されている。
この構成によれば、電動モータ12、インバータ15、強電ケーブル16が電気的なノイズを発生したとしても、このノイズを旋回フレーム7、仕切り部材25、右後外装カバー21によって遮断することができる。この結果、ノイズが電気機器室23の外部に漏洩するのを抑えることができ、電動式油圧ショベル1に搭載された電子機器に対し、ノイズによる悪影響が及ぶのを防止することができる。
実施形態では、インバータ15は、電動モータ12よりも上側に位置し、かつ強電ケーブル16が接続されるケーブル接続口15Aを下向きにした状態で仕切り部材25に取付けられている。この構成によれば、インバータ15と、その下側に配置された電動モータ12との間を接続する強電ケーブル16の長さを短くすることができ、強電ケーブル16から発生するノイズを低減することができる。また、雨水等が、ケーブル接続口15Aに接続された強電ケーブル16を伝ってインバータ15内に浸入するのを抑えることができ、インバータ15の耐久性を高めることができる。さらに、インバータ15が、鉛直方向に延びる状態で仕切り部材25に取付けられることにより、例えばインバータ15を水平方向(前後方向または左右方向)に延びる状態で電気機器室23内に配置する場合に比較して、電気機器室23が後方に張出すのを抑えることができる。この結果、カウンタウエイト11の外周面11Aを、上部旋回体4が後方小旋回を実現できる旋回半径内に収めることができる。
実施形態では、仕切り部材25には、仕切り部材25と間隔をもって対面するインバータ取付板33が取付けられ、インバータ15は、仕切り部材25とインバータ取付板33との間に挟込まれた状態で、インバータ取付板33を介して仕切り部材25に取付けられている。この構成によれば、インバータ15が発生する電気的なノイズを、仕切り部材25とインバータ取付板33とによってさらに遮断することができる。
実施形態では、運転席9は、旋回フレーム7の左側に配置され、仕切り部材25は、運転席9とは上部旋回体4の左右方向の反対側となる旋回フレーム7の右側後方に配置され、旋回フレーム7の底板7Aおよび右後アンダカバー7Q、右後外装カバー21と共に電気機器を取囲む構成としている。この構成によれば、電気機器を運転席9に対して可及的に離間させることができる。この結果、例えば電動式油圧ショベル1のオペレータが周囲の作業者と通信機器を用いて通信を行う場合に、この通信機器に対し、電気機器から発生した電気的なノイズによる悪影響が及ぶのを防止することができる。
なお、実施形態では、電動モータ12の電源としてバッテリ18を用いた場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば外部電源から供給される電力によって電動モータ12を駆動する構成としてもよい。
また、実施形態では、車体フレームとして旋回フレーム7を備えた電動式油圧ショベル1を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、旋回動作を行わない車体フレームを備える構成としてもよい。
また、実施形態では、旋回フレーム7の左側(上部旋回体4の左右方向の一側)に運転席9が設けられ、旋回フレーム7の右側(上部旋回体4の左右方向の他側)に電動モータ12が設けられる構成を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば旋回フレーム7の右側に運転席が設けられ、旋回フレーム7の左側に電動モータが設けられる構成としてもよい。
また、実施形態では、内部に運転席9を収容するキャブ8を備えた電動式油圧ショベル1を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば運転席を上方から覆うキャノピを備える構成としてもよい。
さらに、実施形態では、クローラ式の下部走行体2を備えた電動式油圧ショベル1を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えばホイール式の下部走行体を備えた電動式油圧ショベル等の他の電動式建設機械にも適用することができる。