JP2021155669A - エチレン系重合触媒成分の製造方法、エチレン系重合触媒の製造方法、およびエチレン系重合体の製造方法 - Google Patents

エチレン系重合触媒成分の製造方法、エチレン系重合触媒の製造方法、およびエチレン系重合体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】超高分子量成分を有するエチレン系重合体を安定して製造できる、粒子性状の良い触媒成分の製造方法を提供する。【解決手段】工程(I)、(II)、(III)を順次経るエチレン系重合触媒成分の製造方法。工程(I):成分Aと下記成分Bの混合比率が所定の範囲であるスラリーを調製した後、噴霧乾燥造粒により粒子Cを得る工程。工程(II):粒子Cを200℃〜900℃で10分〜30時間加熱する工程。工程(III):粒子Cとクロム化合物とを混合し、クロム化合物担持成分を得る工程。成分A:特性1及び特性2を有する無機酸化物。(特性1)赤外線吸収スペクトルにおいて、範囲Xで最大となるピーク強度Pxに対する範囲Yで最大となるピーク強度Pyの比率Py/Pxが10未満。(特性2)SiO2を90重量%以上含有。成分B:微粒子無機酸化物。【選択図】図1

Description

本発明は、エチレン系重合触媒成分の製造方法、エチレン系重合触媒の製造方法、およびエチレン系重合体の製造方法に関する。さらに詳しくは、超高分子量のエチレン系重合体を製造可能なエチレン系重合触媒成分、エチレン系重合触媒の製造方法、およびエチレン系重合体の製造方法に関する。
エチレン系重合体は、産業分野におけるプラスチック材料を代表する基幹資材である。エチレン系重合体は、非常に多くの技術分野において汎用されているので、その用途や成形法に応じて要求される、分子量分布や流動性などの特性及び機械的物性や熱的性質などの各種の性能が広範囲にわたっている。
そのようなエチレン系重合体を製造するために、各種の重合触媒が開発され、改良が重ねられている。そのなかで、チーグラー触媒やメタロセン触媒と共に、フィリップス触媒が重用されている。フィリップス触媒は、クロム化合物をシリカ、シリカ−アルミナ、シリカ−チタニアのような無機酸化物担体に担持させ、非還元性雰囲気で賦活することにより担持されたクロム原子の少なくとも一部のクロム原子を6価としたクロム触媒である。フィリップス触媒では、広い分子量分布のエチレン系重合体が得られ、一般に成形性が良好でありブロー成形などに用いられる。
大型のブロー成形製品においては、耐クリープ性と耐衝撃性が重要な性能である。従来のフィリップス触媒によって得られる広い分子量分布を有するエチレン系重合体を、大型製品などにブロー成形した場合、成形品は、耐クリープ性と耐衝撃性のバランスが必ずしも十分でない。耐クリープ性と耐衝撃性は、相反する物性であり、耐クリープ性が向上すると、耐衝撃性が低下し、逆に耐衝撃性が向上すると、耐クリープ性が低下するのが一般的である。
従って、フィリップス触媒において、耐クリープ性などの物性と成形性が共に優れたエチレン系重合体が得られるのであれば、従来のレベルを超えて物性と成形性のバランスに優れた材料になる。ところが、フィリップス触媒を用いて、適当な長さの長鎖分岐を適切な分子量領域に適度な量だけ導入するような精密な触媒制御方法は、現段階の技術では困難なため、物性と成形性をともに向上させる方法については具体的な指針は未だ得られていない。
フィリップス触媒を用いて良好な物性バランスと成形性を持ったエチレン系重合体を得る試みとして、特定の構造を有する担体を用いる検討が行われている。例えば特許文献1、特許文献2には、特定の表面積、平均細孔容積、平均細孔径を有する高多孔質シリカを用いることが開示されている。また、特許文献3には、特定の構造を有するシリカから得られるフィリップス触媒と有機アルミニウム化合物を組み合わせて、ポリマーの分子量分布を広げる技術が開示されている。さらに特許文献4では特異な細孔の構造と結晶性を有するシリカを用いることについて開示されている。
しかしながら、これらの触媒ではポリマーの分子量分布や組成分布を制御することは困難であり、目標とする材料特性を発現するように触媒を設計することは出来ていない。
そこで、高分子量成分と低分子量成分とを別々の触媒により重合させる試みが行われている。例えば、分子量が高くかつ分子量分布が広い高分子量成分を製造し、同時に分子量が低くかつ分子量分布が狭い低分子量成分を製造すれば、高分子量成分を増加させ、低分子量成分を減少させることができ、耐クリープ性及び耐衝撃性を共に向上させることが可能になる。このような観点から、特許文献5では、粘土鉱物を担体として用いたフィリップス触媒により高分子量のポリエチレンが得られることが開示されている。また、特許文献6、特許文献7では、粘土鉱物と通常のシリカを組み合わせることにより、得られるポリマーの分子量分布を制御可能なことが開示されている。
また、特許文献7、特許文献8には、噴霧乾燥造粒により、異なる無機酸化物を混合して噴霧乾燥造粒する技術が開示されている。
このように、種々の触媒が開発され、様々なエチレン系重合体が合成されているが、既存の触媒を用いて製造されたエチレン系重合体では所望の効果が得られない場合もある。そこで、エチレン系重合体のバリエーションの一つとして、超高分子量成分を有するエチレン系重合体が安定して製造できる、粒子性状の良い触媒技術が望まれている。
特表2002−533536号公報 特許第5821746号公報 特表2006−512454号公報 特表2007−517962号公報 特開2006−257255号公報 特開2008−150566号公報 国際公開第2002/088196号 特表2000−513402号公報
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、超高分子量成分を有するエチレン系重合体を安定して製造できる、粒子性状の良いエチレン系重合触媒成分を提供することを目的とする。また、本発明は、超高分子量成分を有するエチレン系重合体を安定して製造できる、粒子性状の良いエチレン系重合触媒の製造方法、超高分子量成分を有するエチレン系重合体を安定して製造できるエチレン系重合体の製造方法を提供することも目的とする。本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意研究を重ねた結果、特定の赤外線吸収スペクトル及び化学組成を有するエチレン系重合触媒成分を噴霧乾燥造粒して得られた造粒粒子に対して所定の加熱処理を行うことによって、超高分子量成分を有するエチレン系重合体を安定して製造できる粒子性状の良い触媒技術を提供できることを見出し、この知見に基づき、本発明を完成するに至った。本発明は、以下の形態として実現することが可能である。
〔1〕下記工程(I)、(II)、(III)を順次経ることを含むことを特徴とする、エチレン系重合触媒成分の製造方法。
工程(I):下記成分Aと下記成分Bの混合比率が、それぞれの重量比で、成分A:成分B=1:99〜100:0の範囲であるスラリーを調製した後、噴霧乾燥造粒により粒子Cを得る工程。
工程(II):前記粒子Cを200℃〜900℃で10分〜30時間加熱する工程。
工程(III):工程(II)後、前記粒子Cとクロム化合物とを混合し、クロム化合物担持成分を得る工程。
成分A:以下の特性1及び特性2を有する無機酸化物。
(特性1)分析の前処理として600℃で24時間焼成した後に測定した赤外線吸収スペクトルにおいて、3600cm−1〜3699cm−1の範囲Xで最大となるピーク強度Pxに対する3700cm−1〜3799cm−1の範囲Yで最大となるピーク強度Pyの比率Py/Pxが10未満である。
(特性2)SiOを90重量%以上含有する。
成分B:微粒子無機酸化物。
〔2〕前記成分Aが、さらに以下の特性3を有することを特徴とする、〔1〕に記載のエチレン系重合触媒成分の製造方法。
(特性3)粉末X線回折において2θ=23°〜29°に半値幅0.2°以上5°以下のピークを有する。
〔3〕 前記成分Bが、SiOを90重量%以上含有する微粒子無機酸化物であることを特徴とする、〔1〕または〔2〕に記載のエチレン系重合触媒成分の製造方法。
〔4〕前記成分Aが、さらに以下の特性4を有していることを特徴とする、〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載のエチレン系重合触媒成分の製造方法。
(特性4)平均粒径が0.01μm〜10μm。
〔5〕前記成分Bの平均粒径が、0.01μm〜50μmであることを特徴とする、〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載のエチレン系重合触媒成分の製造方法。
〔6〕前記工程(I)の前記スラリーが、前記成分Aと前記成分Bを合わせた重量として5重量%〜50重量%((前記成分A+前記成分B)/水スラリー×100)で調整されることを特徴とする、〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載のエチレン系重合触媒成分の製造方法。
〔7〕前記工程(III)において、クロム原子を0.01重量%〜2.0重量%含有する前記クロム化合物担持成分を得ることを特徴とする、〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載のエチレン系重合触媒成分の製造方法。
〔8〕〔1〕〜〔7〕のいずれか1項に記載の製造方法により得られるエチレン系重合触媒成分を用いて、さらに下記工程(IV)を経ることを特徴とする、エチレン系重合触媒の製造方法。
工程(IV):前記工程(III)で得られた前記クロム化合物担持成分を、非還元性雰囲気下、400℃〜900℃で焼成活性化することにより少なくとも一部のクロム原子を6価とする工程。
〔9〕前記工程(IV)において、前記クロム化合物担持成分に含まれるクロム原子のうち50%以上のクロム原子を6価に酸化することを特徴とする、〔8〕に記載のエチレン系重合触媒の製造方法。
〔10〕〔8〕または〔9〕に記載のエチレン系重合触媒の製造方法により得られるエチレン系重合触媒を用いて、エチレンを少なくとも含むモノマーを重合することを特徴とする、エチレン系重合体の製造方法。
本発明のエチレン系重合触媒成分の製造方法によれば、超高分子量成分を有するエチレン系重合体を安定して製造でき、粒子性状の良いエチレン系重合触媒を提供できる。
本発明のエチレン系重合体触媒の製造方法によれば、超高分子量成分を有するエチレン系重合体を安定して製造でき、粒子性状の良いエチレン系重合触媒を製造できる。
本発明のエチレン系重合体の製造方法によれば、超高分子量成分を有するエチレン系重合体を安定して製造できる。
無機酸化物粒子A1と無機酸化物粒子B1の赤外線吸収スペクトルを表すグラフである。
以下、本発明について、項目毎に具体的かつ詳細に説明する。
なお、本明細書において、数値範囲について「〜」を用いた記載では、特に断りがない限り、下限値及び上限値を含むものとする。例えば、「10〜20」という記載では、下限値である「10」、上限値である「20」のいずれも含むものとする。すなわち、「10〜20」は、「10以上20以下」と同じ意味である。
1.エチレン系重合触媒成分の製造方法
エチレン系重合触媒成分の製造方法は、下記工程(I)、(II)、(III)を順次経ることを含むことを特徴とする。
工程(I):下記成分Aと下記成分Bの混合比率が、それぞれの重量比で、成分A:成分B=1:99〜100:0の範囲であるスラリーを調製した後、噴霧乾燥造粒により粒子Cを得る工程。
工程(II):前記粒子Cを200℃〜900℃で10分〜30時間加熱する工程。
工程(III):工程(II)後、前記粒子Cとクロム化合物とを混合し、クロム化合物担持成分を得る工程。
成分A:以下の特性1及び特性2を有する無機酸化物。
(特性1)分析の前処理として600℃で24時間焼成した後に測定した赤外線吸収スペクトルにおいて、3600cm−1〜3699cm−1の範囲Xで最大となるピーク強度Pxに対する3700cm−1〜3799cm−1の範囲Yで最大となるピーク強度Pyの比率Py/Pxが10未満である。
(特性2)SiOを90重量%以上含有する。
2.工程(I)における粒子Cの製造方法
粒子Cは、成分Aと成分Bの混合比率が、それぞれの重量比で、成分A:成分B=1:99〜100:0の範囲であるスラリーを調製した後、噴霧乾燥造粒により得られる。成分Aとしては、下記の無機酸化物粒子A1が例示される。成分Bとしては、下記の無機酸化物粒子B1が例示される。
2.1.成分Aとしての無機酸化物粒子A1
特性1及び特性2を有する無機酸化物として、下記の無機酸化物粒子A1が好適に例示される。無機酸化物粒子A1は特性1及び特性2の他に、特性3、特性4、及びその他の特性を有していてもよい。
(1)無機酸化物粒子A1の特性1
特性1は、赤外線吸収スペクトルにおいて、3600cm−1〜3699cm−1の範囲Xで最大となるピーク強度Pxに対する3700cm−1〜3799cm−1の範囲Yで最大となるピーク強度Pyの比率Py/Pxが10未満であるという特性である。
赤外線吸収スペクトルにおいて、3550cm−1付近に現れるピークは、水素結合性OH基に由来する。また、3650cm−1付近に現れるピークは、他と相互作用できない部位にあるOH基に由来する。他方、3750cm−1付近に現れるピークは、外表面の孤立OH基に由来する。上述の特性1の要件を充足する無機酸化物は、3650cm−1付近のピーク強度が相対的に強くなっている。このことは、無機酸化物粒子A1が、高温に加熱した場合にも、脱水縮合に関与しないOH基を多く含有する構造を有していることを示している。このような構造は、熱的に安定な規則性のある構造と考えられ、構造の規則性がOH基の配列に影響していると推定される。
なお、図1のグラフにおいて、無機酸化物粒子A1の一例(後述する実施例)の赤外線吸収スペクトルを実線で示す。
(2)無機酸化物粒子A1の特性2
特性2は、SiOを90重量%以上含有するという特性である。つまり、無機酸化物粒子A1は、主成分がSiOの無機酸化物である。無機酸化物粒子A1におけるSiOの含有率は、90重量%以上であればよいが、95重量%以上が好ましく、98重量%以上が更に好ましい。もちろん、SiOの含有率は、100重量%であってもよい。無機酸化物粒子A1は、主成分がSiOの粒子であるから、無機酸化物の形状を制御し易く、また触媒性能に優れる。
含有率が100重量%未満の場合、残りの成分は任意の無機酸化物成分であって良いが、周期表(無機化合物命名法の1990年規則による周期律表)の第2,3,4、及び13族金属を含む酸化物が好ましい。具体的には、マグネシア(MgO)、アルミナ(Al)、チタニア(TiO)、ジルコニア(ZrO)、及びこれらの複合酸化物、すなわちアルミナ−チタニア(Al−TiO)、アルミナーマグネシア(Al−MgO)、アルミナ−ジルコニア(Al−ZrO)、チタニア−マグネシア(TiO−MgO)、チタニア−ジルコニア(TiO−ZrO)等が例示できる。これらの中で、マグネシア、アルミナ、チタニアが好ましく、さらにはアルミナ、チタニアが好ましい。
(3)無機酸化物粒子A1の特性3
無機酸化物粒子A1は、粉末X線回折において2θ=23°〜29°に半値幅0.2°以上5°以下の結晶性を示すピークを有することが好ましい。無機酸化物粒子A1が結晶性であると、エチレン系重合体が高分子量化する傾向にある。
(4)無機酸化物粒子A1の特性4
無機酸化物粒子A1の平均粒径は、特に限定されない。無機酸化物粒子A1の平均粒径は、噴霧乾燥造粒により粒子Cを形成する上で、0.01μm以上10μm以下であることが好ましく、0.05μm以上6.0μm以下であることがより好ましく、0.1μm以上3.0μm以下であることが更に好ましい。
なお、クロム触媒A2の粒子の平均粒子径は、レーザー回折法による測定か、20個のクロム触媒A2の粒子径を走査型電子顕微鏡(SEM)で測定し、その測定値を平均化することにより求められる。今回は、平均粒子径が0.1μm以上の粒子についてはレーザー回折法による粒度分布測定装置により平均粒子径(メジアン径)を求め、平均粒子径が0.1μm未満の粒子についてはSEM観察により平均粒子径を求めた。
レーザー回折法による測定方法は、まず、無機酸化物粒子A1を0.05g量りとり、これを蒸留水9.95gにスターラーで撹拌させながら、ゆっくり加え、均一な0.5重量%の無機酸化物粒子A1/水スラリーを調製する。この無機酸化物粒子A1/水スラリーをサンプルとしてレーザー回折散乱式の粒度測定装置(例えば、堀場製作所製レーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置LA−920)を用い、分散媒を水、屈折率1.3、形状係数1.0の条件で測定する。
(5)無機酸化物粒子A1の表面積
無機酸化物粒子A1の表面積は、特に限定されない。クロム原子が分散した状態で担持されるという観点から、表面積が10m/g以上1000m/g以下であることが好ましく、20m/g以上500m/g以下であることがより好ましく、50m/g以上400m/g以下であることが更に好ましい。
(6)無機酸化物粒子A1の細孔容積
無機酸化物粒子A1の細孔容積は、特に限定されないが、細孔容積が0.05〜5mL/gであることが好ましく、0.1〜3mL/gであることが更に好ましい。
(7)無機酸化物粒子A1の形状
無機酸化物粒子A1の形状は特に限定されない。例えば、無機酸化物粒子A1は、粒子形状が板状である態様を採用することができる(第1態様)。
または、無機酸化物粒子A1は、板状の無機酸化物粒子A1が凝集した凝集体が含有されている態様を採用することができる(第2態様)。この第2態様の場合には、無機酸化物粒子A1は、凝集体のみから構成されていてもよい。また、この第2態様では、板状の無機酸化物粒子A1が凝集した凝集体と、板状の無機酸化物粒子A1であって凝集していない粒子と、が混在していてもよい。
板状の無機酸化物粒子A1の板厚T(nm)は、特に限定されない。結晶性構造を維持すること、及び重合時のポリマー中への分散性を維持する観点から、無機酸化物粒子A1の板厚T(nm)の平均値が1nm以上100nm以下であることが好ましく、5nm以上50nm以下であることがより好ましく、10nm以上40nm以下であることが更に好ましい。
2.2.成分Bとしての無機酸化物粒子B1
エチレン系重合触媒成分には、無機酸化物粒子A1以外に無機酸化物粒子B1を含むことができる。
無機酸化物粒子B1は、微粒子無機酸化物である。無機酸化物粒子B1は、非晶質であることが好ましい。
無機酸化物粒子B1は、主成分がシリカ(SiO)の粒子、主成分がシリカ−チタニア(SiO−TiO)の粒子、及び主成分がシリカ−アルミナ(SiO−Al)の粒子からなる群より選ばれた少なくとも1種以上の粒子から構成されていることが好ましい。ここで、主成分とは、含有率(重量%)が90重量%以上の物質をいう。
主成分がシリカ(SiO)の粒子におけるシリカ(SiO)の含有率は、90重量%以上であればよいが、95重量%以上が好ましく、98重量%以上が更に好ましい。もちろん、シリカ(SiO)の含有率は、100重量%であってもよい。
主成分がシリカ−チタニア(SiO−TiO)の粒子におけるシリカ(SiO)及びチタニア(TiO)の合計含有率は、90重量%以上であればよいが、95重量%以上が好ましく、98重量%以上が更に好ましい。もちろん、シリカ(SiO)及びチタニア(TiO)の合計含有率は、100重量%であってもよい。
主成分がシリカ−アルミナ(SiO−Al)の粒子におけるシリカ(SiO)及びアルミナ(Al)の合計含有率は、90重量%以上であればよいが、95重量%以上が好ましく、98重量%以上が更に好ましい。もちろん、シリカ(SiO)及びアルミナ(Al)の合計含有率は、100重量%であってもよい。
これらの中でも、無機酸化物の粒子形状制御の容易さや触媒性能の観点から、無機酸化物粒子B1は、主成分がシリカ(SiO)の粒子であることが好ましい。
なお、主成分がシリカ−チタニア(SiO−TiO)の粒子を用いる場合には、金属成分として、チタン原子が0.2重量%〜40重量%、好ましくは0.5重量%〜30重量%、さらに好ましくは1重量%〜20重量%含有された粒子が用いられる。
また、主成分がシリカ−ジルコニア(SiO−ZrO)の粒子を用いる場合には、金属成分として、ジルコニウム原子が0.2重量%〜40重量%、好ましくは0.5重量%〜30重量%、さらに好ましくは1重量%〜20重量%含有された粒子が用いられる。
また、主成分がシリカ−アルミナ(SiO−Al)の粒子を用いる場合には、金属成分として、アルミニウム原子が0.2重量%〜40重量%、好ましくは0.5重量%〜30重量%、さらに好ましくは1重量%〜20重量%含有された粒子が用いられる。
無機酸化物粒子B1の平均粒径は、特に限定されない。無機酸化物粒子B1の平均粒径は、噴霧乾燥造粒により粒子Cを形成する上で、0.01μm以上50μm以下であることが好ましく、0.05μm以上30μm以下であることがより好ましく、0.1μm以上20μm以下であることが更に好ましい。
無機酸化物粒子B1の平均粒径は、無機酸化物粒子A1の平均粒径と同様にして求めることができる。
無機酸化物粒子B1の表面積は、特に限定されない。クロム原子が分散した状態で担持されるという観点から、表面積が100m/g以上1000m/g以下であることが好ましく、150m/g以上950m/g以下であることがより好ましく、200m/g以上900m/g以下であることが更に好ましい。
無機酸化物粒子B1の細孔容積は、特に限定されない。クロム原子が分散した状態で担持され、さらに重合中に粒子が崩壊しながらポリマーが成長しやすいという観点から、細孔容積が0.1mL/g以上5.0mL/g以下であることが好ましく、0.2mL/g以上3.0mL/gであることがより好ましい。
2.3.成分Aと成分Bの混合比率(重量比)
成分Aと成分Bの混合比率は、それぞれの重量比で、成分A:成分B=1:99〜100:0の範囲である。成分Aと成分Bの混合比率は、成分A:成分B=10:90〜90:10であることが好ましく、成分A:成分B=15:85〜90:10であることがより好ましく、成分A:成分B=40:60〜90:10であることが更に好ましい。
成分Aの配合量は、成分Aと成分Bを合計した重量を100重量部とした場合に、10重量部以上であることが好ましく、15重量部以上であることがより好ましく、40重量部以上であることが更に好ましい。成分Aの配合量の上限は100重量部である。成分Aの配合量が下限以上であれば、高分子量の重合体が得られる。
2.4.粒子Cの噴霧乾燥造粒
粒子Cの噴霧乾燥造粒では、原料スラリーの分散媒として、水あるいはメタノール、エタノール、クロロホルム、塩化メチレン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン等の有機溶媒を用いることができる。好ましくは水を分散媒として用いる。
工程(I)における、(成分A+成分B)/水スラリーのスラリー濃度は、特に制限はないが、5重量%〜50重量%が好ましく、より好ましくは10重量%〜45重量%であり、さらに好ましくは15重量%〜40重量%である。噴霧乾燥造粒の熱風の入口の温度は、分散媒により異なるが、水を例にとると、80℃〜260℃、好ましくは100℃〜220℃で行う。
また、造粒の際に有機物、無機溶媒、無機塩、各種バインダーを用いてもよい。用いられるバインダーとしては、例えば砂糖、デキストローズ、コーンシロップ、ゼラチン、グルー、カルボキシメチルセルロース類、ポリビニルアルコール、水ガラス、塩化マグネシウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硫酸マグネシウム、アルコール類、グリコール、澱粉、カゼイン、ラテックス、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、タール、ピッチ、アルミナゾル、シリカゲル、アラビアゴム、アルギン酸ソーダ等が挙げられる。
2.5.粒子Cの平均粒径
粒子Cの平均粒径は、特に限定されない。粒子Cの平均粒径は、1μm〜500μmであることが好ましく、2μm〜300μmであることがより好ましく、5μm〜200μmであることがさらに好ましい。粒子Cの平均粒径を調整する方法としては、噴霧乾燥造粒時のスラリー濃度や、スラリー供給速度を制御する方法が考えられる。平均粒径が下限以上であれば、工程(II)、工程(III)を行うときに粒子Cの取り扱いが容易となり、好ましい。平均粒径が上限以下であれば、工程(II)、工程(III)を行うときに粒子Cが崩壊しにくくなり、好ましい。
3.工程(II)における粒子Cの加熱処理
工程(II)では、粒子Cを200℃〜900℃で10分〜30時間加熱する。
この工程(II)を行うことによって、工程(II)の前に比して粒子Cの強度を向上させることができる。工程(II)を行う前の粒子Cは、粒径測定時に粒度分布が広がるため、粒子Cにおいて粒子崩壊が進行していると推測される。工程(II)を行うことによって、粒径測定時に粒子Cの粒度分布が広がらないようにすることが可能となる。
工程(II)における加熱温度は、250℃〜800℃であることがより好ましく、300℃〜700℃であることがさらに好ましい。
工程(II)における加熱時間は、30分〜25時間であることがより好ましく、60分〜20時間であることがさらに好ましい。
工程(II)における雰囲気は、乾燥空気、乾燥窒素、乾燥アルゴン、又は減圧下であることが好ましい。加熱方法に関しては、特に限定されず、各種方法で実施可能である。
3.1.加熱処理によって粒子崩壊が抑制される作用機序の推定
粒子Cは主に表面OH基の相互作用により、粒子形状を保っていると考えられる。粒子Cは、結晶性シリカ、非晶質シリカ等の構成成分の大きさや形状が異なるため、効率良く表面OH基の相互作用(脱水縮合)が生じていないことが粒子崩壊の一因となると推定される。工程(II)において造粒後でありクロム化合物を含浸する前に、所定の時間と温度で粒子Cを加熱処理することで平面構造を有する結晶性シリカと非晶質シリカそれぞれの表面OH基の脱水縮合が進み、粒子Cの粒子崩壊が抑制されると考えられる。脱水縮合は徐々に進行するため、粒子崩壊の抑制の効果が得られるには、10分以上の加熱時間が必要となる。加熱時間は長くても良いが、生産効率の観点から30時間以内の時間が選択される。
工程(I)においても、噴霧乾燥造粒過程で、スラリー中の溶媒を揮発除去させるために、スラリー又は粒子が高温(例えば入口温度150℃)にさらされ得る。しかし、これは溶媒を揮発させることが目的であり、溶媒の揮発にともなって温度が低下することから、スラリー又は粒子の実際の温度は、設定温度以下であると言える。さらに装置の構造上、噴霧乾燥造粒装置を用いるとスラリー又は粒子に作用する温度が高温となるのは噴霧直後の短時間であり、一般的なエチレン系重合触媒成分の製造過程において、粒子Cが10分以上、均一に200℃以上にさらされることはない。一方で、上記工程(II)では、粒子Cが所定時間、高温にさらされることで、表面OH基の脱水縮合を均一に進行させることができ、粒子崩壊を効果的に抑制することができると推測される。
4.工程(III)におけるクロム化合物担持成分F1,F2の製造方法
クロム化合物担持成分F1は、無機酸化物粒子A1(成分A)及び無機酸化物粒子B1(成分B)を含む粒子Cとクロム化合物Dとを混合して得られる(第1態様)。クロム化合物担持成分F1は、無機酸化物粒子A1(成分A)及び無機酸化物粒子B1(成分B)を含む混合担体にクロム化合物Dが担持された構成である。クロム化合物担持成分F1が非還元性雰囲気で賦活されることによって、クロム触媒G1が製造される。
クロム化合物担持成分F2は、無機酸化物粒子B1(成分B)を含まず、無機酸化物粒子A1(成分A)を含む粒子Cとクロム化合物Dとを混合して得られる(第2態様)。クロム化合物担持成分F2は、無機酸化物担体である無機酸化物粒子A1(成分A)にクロム化合物Dが担持された構成である。クロム化合物担持成分F2が非還元性雰囲気で賦活されることによって、クロム触媒G2が製造される。なお、クロム触媒G2の製造方法は、粒子Cが無機酸化物粒子B1(成分B)を含有しない点を除いて、クロム触媒G1の製造方法と同様であり、その説明を省略する。
ここで、クロム触媒G1について説明する。クロム触媒G1は、無機酸化物粒子A1(成分A)及び無機酸化物粒子B1(成分B)にクロム化合物Eが担持された触媒である。
クロム触媒G1は、少なくとも一部のクロム原子が6価のクロム触媒であり、一般にフィリップス触媒と呼ばれる触媒に分類される。
松浦一雄・三上尚孝編著「ポリエチレン技術読本」81頁 2001年 工業調査会、M.P.McDaniel; Advances in Catalysis Vol.33 p.47(1985)Academic Press Inc.、M.P.McDaniel「Handbook of Heterogeneous Catalysis」p.2400(1997)VCH、M.B.Welch etal.「Handbook of Polyolefins Synthesis and Properties」p.21(1993)Marcel Dekkerなどの文献に、この触媒の概要が記載されている。
上記クロム化合物Eは、少なくとも一部のクロム原子が6価であるクロム化合物であれば、特に限定されない。例えば、クロム化合物Eは、酸化クロム、クロムのハロゲン化物、オキシハロゲン化物、クロム酸塩、重クロム酸塩、硝酸塩、カルボン酸塩、硫酸塩、クロム−1,3−ジケト化合物、クロム酸エステル等(以下、ここに列挙された酸化クロム〜クロム酸エステル等の3価のクロム化合物を「クロム化合物D」ともいう)に由来する。クロム化合物Dは、無機酸化物粒子A1及び無機酸化物粒子B1に担持された後、非還元性雰囲気で賦活されてクロム化合物Eになる。無機酸化物粒子A1及び無機酸化物粒子B1に、6価のクロム化合物Eを直接担持しても良い。
クロム化合物Dとして、より具体的には、酸化クロム(III)、三塩化クロム、塩化クロミル、クロム酸カリウム、クロム酸アンモニウム、重クロム酸カリウム、硝酸クロム、硫酸クロム、酢酸クロム、トリス(2−エチルヘキサノエート)クロム、クロムアセチルアセトネート、ビス(tert−ブチル)クロメート等が挙げられる。特に、クロム化合物Dとして、酸化クロム(III)、酢酸クロム、クロムアセチルアセトネートが好ましい。
なお、酢酸クロム、クロムアセチルアセトネートのような有機基を有するクロム化合物を用いた場合でも、後に述べる非還元性雰囲気での賦活によって有機基部分は、燃焼し、最終的には、酸化クロム(III)を用いた場合と同様に、無機酸化物担体表面の水酸基と反応し、少なくとも一部のクロム原子は6価となってクロム酸エステルの構造で固定化されることが知られている(V.J.Ruddic etal.;J.Phys.Chem.Vol.100 p.11062(1996)、S.M.Augustin etal.;J.Catal.Vol.161 p.641(1996)参照)。
粒子Cとクロム化合物Dと混合する方法として、次の方法を採用できる。粒子Cにクロム化合物D溶液を含浸させた後、溶媒を留去する方法、溶媒を用いずにクロム化合物Dを昇華させる方法が好適に例示される。また、他の公知の方法も採用できる。なお、担持方法は、使用するクロム化合物Dの種類によって、適宜選択される。
工程(III)において、クロム原子を0.01重量%〜2.0重量%含有するクロム化合物担持成分F1,F2を得てもよい。クロム触媒G1,G2におけるクロム原子の含有量は、特に限定されないが、担持されるクロム原子がクロム原子同士で凝集を起こさず、効率的に活性化される観点から、0.01重量%〜2.0重量%であることが好ましく、0.1重量%〜2.0重量%であることがより好ましく、0.2重量%〜1.5重量%であることが更に好ましい。
クロム化合物Dの担持時又は後述する賦活時に、ケイフッ化アンモニウム、一水素二フッ化アンモニウムのようなフッ素化合物、チタンテトライソプロポキシドのようなチタンアルコキシド類、ジルコニウムテトラブトキシドのようなジルコニウムアルコキシド類、アルミニウムトリブトキシドのようなアルミニウムアルコキシド類、トリアルキルアルミニウムに例示される有機アルミニウム類、ジアルキルマグネシウムに例示される有機マグネシウム類等に代表される金属アルコキシド類、又は有機金属化合物を添加して、エチレン重合活性や得られるエチレン系重合体の分子量と分子量分布を調節する公知の方法を、併用してもよい。
これらの金属アルコキシド類又は有機金属化合物では、非還元性雰囲気での賦活によって、有機基部分は燃焼し、チタニア、ジルコニア、アルミナ又はマグネシアのような金属酸化物に酸化されて、触媒中に含まれる。また、フッ素化合物は、賦活時、熱分解することによって、無機酸化物担体をフッ素化する。
これらの方法は、C.E.Marsden;Plastics,Rubber and Composites Processing and Aplications Vol.21 p.193(1994)、T.Pullukat etal.;J.Polym.Sci.,Polym.Chem.Ed.Vol.82 p.118(1980)、M.P.McDaniel etal.;J.Catal.Vol.82 p.118(1983)等の文献に概要又は詳細が記載されている。
5.エチレン系重合触媒の製造方法
エチレン系重合触媒の製造方法は、上述のエチレン系重合触媒成分を用いて、さらに下記工程(IV)を経る。
工程(IV):工程(III)で得られたクロム化合物担持成分F1,F2を、非還元性雰囲気下、400℃〜900℃で焼成活性化することにより少なくとも一部のクロム原子を6価とする工程。
工程(IV)は、工程(III)で得られたクロム化合物Dを担持した粒子Cを、賦活炉で焼成して賦活を行う。賦活は、水分を実質的に含まない非還元性雰囲気で行う。例えば、酸素又は空気下で行われるが、不活性ガスが共存していてもよい。好ましくは、モレキュラーシーブスなどを流通させ充分に乾燥した空気を用い流動状態下で行う。
賦活の温度は、400℃〜900℃であり、430℃〜900℃が好ましく、450℃〜850℃がより好ましい。賦活を行う時間は、特に限定されない。賦活を行う時間は、30分〜48時間が好ましく、1時間〜35時間がより好ましく、2時間〜30時間が更に好ましい。賦活により、粒子Cに担持されたクロム化合物Dのクロム原子の少なくとも一部が、6価に酸化され、粒子Cにクロム化合物Eが化学的に固定される。賦活を400℃未満で行うと重合活性が低下し、さらに900℃を超える温度で行うと、シンタリングが起こり、活性が低下する。
工程(IV)において、クロム化合物担持成分F1,F2に含まれるクロム原子のうち50%以上のクロム原子を6価に酸化することが好ましい。クロム化合物担持成分F1,F2に含まれるクロム原子のうち6価に酸化されるクロム原子は、60%以上がより好ましい。6価に酸化されるクロム原子の上限値は、100%である。6価に酸化されるクロム原子の割合は、賦活の温度及び時間により調節される。
クロム原子の総量は、通常一般の金属分析法、例えば、プラズマ発光分析、蛍光X線法により測定することができる。クロムの価数は、固体生成物の色変化(一般的には、6価は黄色からオレンジ色、3価は緑色、2価は青色)を肉眼観察することにより、概略を知ることができるが、定量を行うには、簡便な手法として、キレート滴定法や吸光光度法が知られている。具体的には、日本化学会編「実験化学講座15 分析」丸善(1991年)P.246〜248に記載がある。例えば、3価のクロムの場合は、酸性溶液中の3価のクロムに対して、過剰の濃度既知のEDTA(エチレンジアミン四酢酸)を加え5〜10分煮沸し、3価の鉄の標準液で滴定することにより、定量できる。また、6価のクロムの場合は、アルカリ性溶液ではCrO 2−として存在することを利用し、366nmの波長の吸光度を測定することにより定量が可能である。
クロム触媒G1の表面積は、特に限定されないが、通常、10m/g以上1000m/g以下であり、20m/g以上950m/g以下であることが好ましく、50m/g以上900m/g以下であることが更に好ましい。
クロム触媒G1の細孔容積は、特に限定されないが、通常、細孔容積が0.05以上5.0mL/g以下であり、0.1以上3.0mL/g以下であることが好ましく、0.1以上2.5mL/g以下であることが更に好ましい。
クロム触媒G1の粒子の平均粒子径は、特に限定されないが、取扱い上の観点から、平均粒子径は、1μm以上500μm以下であることが好ましく、2μm以上300μm以下であることがより好ましく、5μm以上200μm以下であることが更に好ましい。
6.エチレン系重合触媒
エチレン系重合触媒は、予め溶媒の存在下または不存在下、あるいは有機金属化合物の存在下または不存在下で、重合反応器に導入して用いることができる。
エチレン系重合触媒は、本発明の作用効果を阻害しない限り、クロム触媒G1,G2以外の他の成分を含有していてもよい。
他の成分は、特に限定されない。他の成分の含有率(重量%)は、5重量%以下が好ましい。
工程(II)を経て得られたエチレン系重合触媒によってエチレン系重合体を得た場合、工程(II)を行わない場合に比して、エチレン系重合体のポリマーBD(bulk density、嵩密度)を向上させることができる。これは、工程(II)を経ることによりエチレン系重合触媒成分の微粒子成分の発生が抑制され、得られるエチレン重合体の粒子性状が良くなったためと考えられる。微粒子成分の発生が抑制されるのは、工程(II)により粒子Cの粒子強度が向上したためと考えられる。さらに、粒子Cを用いたエチレン系重合触媒によってエチレン系重合体を得た場合、成分Aの混合比率が多くなるにつれて高分子量のエチレン重合体が得られる。これは、成分Aから得られる重合活性種は超高分子量のエチレン重合体を生成させるためであり、成分Bから得られる重合活性種に対して、明らかに高分子量のエチレン重合体となっているためである。
7.エチレン系重合体の製造方法
本発明のエチレン系重合体の製造方法は、上述のエチレン系重合触媒を用いて、エチレンを少なくとも含むモノマーを重合する。
7.1.重合方法
本発明のエチレン系重合体の製造方法は、スラリー重合や溶液重合等の液相重合法又は気相重合法等で実施できる。
液相重合法は、通常には炭化水素溶媒中で実施される。炭化水素溶媒としては、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の不活性炭化水素の単体又は混合物が用いられる。
また、気相重合法では、不活性ガス共存下にて、流動床や撹拌床などの通常知られている重合法を採用できる。気相重合法では、場合により重合熱除去の媒体を共存させる、いわゆるコンデンシングモードを採用できる。
重合方法としては、反応器を一つ用いてエチレン系重合体を製造する単段重合だけでなく、少なくとも二つの反応器を連結させて多段重合を行うこともできる。多段重合の場合、二つの反応器を連結させ、第一段の反応器で重合して得られた反応混合物を、続いて第二段の反応器に連続して供給する二段重合が好ましい。第一段の反応器から第二段の反応器への移送は、連結管を通して行う。この移送は、第二段反応器からの重合反応混合物の連続的排出による差圧を利用して行うことが好ましい。
7.2.重合条件
液相又は気相重合法における重合温度は、一般的には0℃〜300℃であり、実用的には20℃〜200℃、好ましくは50℃〜180℃、さらに好ましくは70℃〜150℃である。
反応器中の触媒濃度及びエチレン濃度は、重合を進行させるのに充分な濃度であれば任意の濃度でよい。例えば、触媒濃度は、液相重合の場合には反応器内容物の重量を基準にして、約0.0001重量%〜約5重量%の範囲とすることができる。同様にエチレン濃度は、気相重合の場合、全圧として0.1MPa〜10MPaの範囲とすることができる。
また、必要に応じて水素を重合反応器に導入して、分子量を調節することもできる。
7.3.共重合
本発明のエチレン系重合体の製造方法において、エチレン単独重合以外に、必要に応じて、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン等のα−オレフィンを単独又は2種類以上重合反応器に導入して、共重合させることもできる。
得られるエチレン系共重合体中のα−オレフィン含量は、15mol%以下、好ましくは10mol%以下が望ましい。
7.4.有機金属化合物
重合に際しては、エチレン系重合体の分子量又は分子量分布を微調整する目的、又はスカベンジャーとして重合系内の不純物を除去する目的で、助触媒として有機金属化合物を導入して、エチレン系重合触媒と接触させることもできる。
特に、有機金属化合物は、エチレン系重合触媒に対しては、触媒活性を向上させる効果、分子量調節剤としての水素をより効きやすくするという効果を有する。
有機金属化合物としては、周期律表第1族、2族、13族の有機金属化合物、具体的には有機リチウム化合物、有機マグネシウム化合物、有機アルミニウム化合物、有機ホウ素化合物が好ましく用いられる。更には、有機アルミニウム化合物、有機ホウ素化合物が好ましい。
有機リチウム化合物としては、アルキルリチウム、具体的には、メチルリチウム、n−ブチルリチウム等が挙げられる。
有機マグネシウム化合物としては、ジアルキルマグネシウム、具体的には、ブチルエチルマグネシウム、ジブチルマグネシウムが挙げられる。
有機アルミニウム化合物としては、トリアルキルアルミニウム、ジアルキルアルミニウムアルコキシド、具体的には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムエトキシドが挙げられる。
有機ホウ素化合物としては、トリアルキルボラン、具体的には、トリエチルボランが挙げられる。
接触させる有機金属化合物の量としては、金属原子とクロム原子のモル比が0.2〜1000、好ましくは0.5〜100となる量が好ましい。
得られたエチレン系重合体は、次いで、混練することが好ましい。混練は、単軸又は二軸の押出機又は連続式混練機を用いて行うことができる。次いで、得られたエチレン系重合体は、常法によりブロー成形等の成形をすることができる。
8.本実施形態の作用効果
本実施形態のエチレン系重合触媒成分、エチレン系重合体触媒の製造方法によれば、超高分子量成分を有するエチレン系重合体を安定して製造できる、粒子性状の良いエチレン系重合触媒を得ることができる。本実施形態のエチレン系重合体の製造方法によれば、耐久性と流動性のバランスに優れるHDPE材料(高密度ポリエチレン材料)の設計が可能になる。
以下において、実施例及び比較例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、これらの実施例によって制約を受けるものではない。
1.物性の測定方法
実施例及び比較例において使用した物性の測定方法等は、以下の通りである。
(1)無機酸化物粒子A1の赤外線吸収スペクトルのピーク強度の測定(赤外分光法)
無機酸化物を高純度アルゴンで置換されたグローブボックス内で、拡散反射IR用のサンプルホルダーに充填し、サンプル表面を平滑にした。その後、窓のついた蓋で試料を密封し、IR測定装置に設置して測定した。
測定条件は以下の通りである。
装置:日本分光株式会社製 FT/IR−6600
検出器:TGS
測光方法:拡散反射法
波長範囲:1000〜4000cm−1
分解能:4cm−1
測定回数:512回
雰囲気:アルゴン
(2)粉末X線回折(XRD):粉末X線回折は、以下の装置および条件で測定した。
装置:リガク社製X−ray Diffractometer Smartlab
X線源:Cu−Kα線(Kβ吸収板使用)、管電圧40kV、管電流30mA
光学系:集中法
発散スリット2/3度、散乱スリット2/3度、受光スリット0.300mm
スキャンモード:2θ/θスキャン
2θスキャン範囲:3.0000〜55.0000度
角度ステップ幅:0.0200度
スキャン速度:4.0000度/分
検出器:シンチレーションカウンタ
(3)表面積および細孔容積
シリカの各試料は加熱、減圧下で十分な乾燥を行った後、カンタークローム社製・オートソーブ3B型を用いて、液体温度下における窒素の吸着等温線測定を行った。得られた吸着等温線の相対圧0.95での吸着量から細孔容積を、BET多点法解析を実施して比表面積を算出した。更に、細孔構造を円筒と仮定することで、式(1)に従い平均細孔径を算出した。この式でDaveは平均細孔径を、Vtotalは細孔容積を、SBETはBET多点法による比表面積を示す。
ave=4Vtotal/SBET 式(1)
更にBJH法解析によりメソ孔分布を求め、指定範囲の細孔容積を算出した。
(4)SEM観察:SEM観察は、以下の装置および条件で実施した。
装置:日立製FE−SEM
加圧電圧:1kV
装置倍率:20k
WD:4mm
(5)HLMI:ASTM−D−1238−57Tに準拠し、190℃、21.6kg荷重で測定した。
(6)6価のクロムの含有量:NaOH水溶液(0.1M)を触媒成分に添加し、6価のクロムを溶解させ、溶液の一部をとり波長366nmの吸光度を測定することにより定量した。
(7)平均粒径:堀場製作所社製レーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置LA−920を用い、分散溶媒を水、屈折率1.0、形状係数1.0の条件で測定し、メジアン径の値を平均粒径とした。
2.実施例及び比較例
(1)実施例1〜5
(1.1)無機酸化物粒子A1の赤外線吸収スペクトル
無機酸化物粒子A1である「サンラブリー」(AGCエスアイテック社製)の赤外線吸収スペクトルを図1において実線で示す。この赤外線吸収スペクトルにおいて、範囲Xの最大ピークは3659cm−1であり、ピーク強度Pxは1.32であった。また、範囲Yの最大ピークは3747cm−1であり、ピーク強度Pyは0.86であった。ピーク強度比Py/Pxは0.65であった。
(1.2)無機酸化物粒子A1の構造解析データ
無機酸化物粒子A1の構造解析データは、以下の通りである。
<無機酸化物粒子A1の構造解析データ>
XRD:2θ=25.8°にピーク、半値幅1.5°
BET法:表面積84m/g
細孔容積:0.2mL/g
SiO純度:99.5%(重量基準)
平均粒径:4.5μm
(1.3)無機酸化物粒子B1の赤外線吸収スペクトル
無機酸化物粒子B1の赤外線吸収スペクトルを図1において破線で示す。この赤外線吸収スペクトルにおいて、範囲Xの最大ピークは3699cm−1であり、ピーク強度Pxは0.43であった。また、範囲Yの最大ピークは3747cm−1であり、ピーク強度Pyは5.83であった。ピーク強度比Py/Pxは13.56であった。
(1.4)無機酸化物粒子B1の構造解析データ
なお、無機酸化物粒子B1の構造解析データは、以下の通りである。
<無機酸化物粒子B1の構造解析データ>
XRD:2θ=22°付近に非晶質特有のブロードなピーク
BET法:表面積310m/g
細孔容積:1.7mL/g
SiO純度:99.8%(重量基準)
平均粒径:12.0μm
(1.5)クロム触媒G1,G2の調製
無機酸化物粒子A1(成分A)と無機酸化物粒子B1(非晶質シリカ凝集体、成分B)の混合比率が、それぞれの重量比で表1の比率となるように配合した。表1の成分比の欄において、左側の数字が成分Aの比率であり、右側の数字が成分Bの比率である。つまり、実施例1は無機酸化物粒子A1(成分A)と無機酸化物粒子B1(成分B)の混合比率が20:80であり、実施例2は無機酸化物粒子A1(成分A)と無機酸化物粒子B1(成分B)の混合比率が100:0である。実施例1,3〜5はクロム触媒G1に対応し、実施例2,6はクロム触媒G2(成分A:成分B=100:0)に対応する。
配合した無機酸化物粒子A1と無機酸化物粒子B1の合計150gを蒸留水600mL中でスラリー化した。このスラリーを、噴霧乾燥造粒装置(大川原化工機社「L−8」)を使用し、次の条件下で上記の無機酸化物粒子/水スラリーの噴霧乾燥造粒を行った。
アトマイザー形式:M type ロータリーディスク
アトマイザー回転数:10,000rpm
スラリー供給速度:1.0L/h
入口温度:150℃
造粒の結果、粒子Cを本体下から回収した。得られた粒子Cの平均粒径(メジアン径)を表1のレーザー粒径の欄に表す。
噴霧乾燥造粒によって得られた粒子C 20gを内温が測定できる石英管に分取した。石英管の内温を熱電対により測定し、内部が所定の温度を所定時間維持できるように外部を電気炉で加熱し、所定時間、所定の温度を維持することで、加熱処理して粒子Cを得た。
得られた粒子C 10gを、酢酸クロム0.22gを蒸留水50mlに溶解させた水溶液でスラリー化し10分間攪拌した。その後、水分を留去することによりクロム含量0.5重量%のクロム含有シリカを得た。その後、クロム含有シリカを、乾燥空気雰囲気下、730℃、12時間の条件で賦活して、クロム触媒G1,G2(Phillipsタイプ触媒)を得た。賦活により、クロム含有シリカは薄い青色から薄いオレンジ色へ色が変化した。このことからクロム原子が6価に変換したことが判る。3価クロムは、実質的に99重量%が6価に変換されていた。
(1.6)エチレン重合
充分に窒素置換した1.5Lの重合槽に、(1.5)で得られた各々のクロム触媒を表1に記載の量にて、1−ヘキセン7g、イソブタン700mLを導入し、内温を100℃まで昇温した。
次いでエチレンを圧入し、エチレン分圧を1.4MPaとなるように保ちながら、重合温度100℃で重合を行った。次いで内容ガスを系外に放出することにより、重合を停止した。
各重合条件と結果を、表1にまとめた。
(2)比較例1〜5
(2.1)比較例に係るクロム触媒の調製
粒子Cの加熱処理を行わない他は実施例と同様にして、比較例に係るクロム触媒を調製した。各比較例は、同じ番号が付された実施例と成分Aと成分Bの混合比率が同じである。つまり、比較例1は実施例1と成分Aと成分Bの混合比率が同じであり、比較例2は実施例2と成分Aと成分Bの混合比率が同じである。
比較例1,3〜5はクロム触媒G1において加熱処理を行わなかったクロム触媒に相当し、比較例2,6はクロム触媒G2(成分A:成分B=100:0)において加熱処理を行わなかったクロム触媒に相当する。
(2.2)エチレン重合
実施例の(1.6)において、クロム触媒を表1に記載のようにした以外は、同様にしてエチレン重合を行った。
各重合条件と結果を、表1にまとめた。
(3)実施例6
(3.1)実施例6に係るクロム触媒G2の調製
実施例2と同じクロム触媒G2を用いた。
(3.2)エチレン重合
1−ヘキセンを用いない以外は、実施例2と同様に行った。
重合条件と結果は表1に記載。
(4)比較例6
(4.1)比較例6に係るクロム触媒の調製
実施例2において、成分Aを噴霧乾燥造粒せずに平均粒径4.5μmの粒子のまま使用し、粒子Cの加熱処理を行わない以外は、実施例2と同様にしてクロム触媒を得た。比較例6に係るクロム触媒は、噴霧乾燥造粒を行っていないものの、成分Aと成分Bの混合比率の観点から、クロム触媒G2(成分A:成分B=100:0)おいて加熱処理を行わなかったクロム触媒に相当するといえる。
(4.2)エチレン重合
比較例6に係るクロム触媒を用いた以外は、実施例6と同様に行った。
重合条件と結果は表1に記載した。
3.実施例及び比較例の結果の考察
実施例及び比較例において、重合結果、得られたエチレン系重合体のHLMFR、密度(ポリマーBD)を表1に示す。
表1の実施例6と比較例6の比較により、クロム触媒G2を用いた場合、噴霧乾燥造粒の有無に関わらず、実用的な重合条件価でもHLMFRが流れないほど高分子量のエチレン重合体が得られることがわかる。これは、噴霧乾燥造粒を行っても、成分Aが有する高分子量のエチレン重合体を与える性能が維持されていることがわかる。一方、ポリマーBDからわかるように、比較例6で得られる重合体は凝集体となる。噴霧乾燥造粒を行った粒子Cを加熱処理したクロム触媒を用いることで、粒子性状の良いポリマーが得られることがわかる。
表1の他の実施例および比較例の比較においても、粒子Cの加熱処理を行ったクロム触媒G1又はG2(実施例1〜5)を用いることで、加熱処理を行っていないクロム触媒(比較例1〜5)と比較してポリマーBDが向上していることがわかる。また、クロム触媒G1において、成分Aの比率が多くなるにしたがってHLMFRは低下している。このことは、クロム触媒G1においても、成分Aが存在することにより、高分子量のポリマー成分が付与されていることを示している。
以上の結果から、ピーク強度の比率Py/Pxが10未満であり、SiOを90重量%以上含有する板状シリカ凝集体(平面状シリカ凝集体)を含有するエチレン系重合触媒において、粒子Cの加熱処理を行った場合に、超高分子量成分を有し、粒子性状の良いエチレン系重合体を製造できることが確認された。
Figure 2021155669
本発明は上記で詳述した実施形態に限定されず、本発明の請求項に示した範囲で様々な変形または変更が可能である。
本発明によれば、超高分子量成分を有するエチレン系重合体を製造できる。このエチレン系重合体は、幅広い用途に適用することができるため、工業的に非常に利用価値が高い。

Claims (10)

  1. 下記工程(I)、(II)、(III)を順次経ることを含むことを特徴とする、エチレン系重合触媒成分の製造方法。
    工程(I):下記成分Aと下記成分Bの混合比率が、それぞれの重量比で、成分A:成分B=1:99〜100:0の範囲であるスラリーを調製した後、噴霧乾燥造粒により粒子Cを得る工程。
    工程(II):前記粒子Cを200℃〜900℃で10分〜30時間加熱する工程。
    工程(III):工程(II)後、前記粒子Cとクロム化合物とを混合し、クロム化合物担持成分を得る工程。
    成分A:以下の特性1及び特性2を有する無機酸化物。
    (特性1)分析の前処理として600℃で24時間焼成した後に測定した赤外線吸収スペクトルにおいて、3600cm−1〜3699cm−1の範囲Xで最大となるピーク強度Pxに対する3700cm−1〜3799cm−1の範囲Yで最大となるピーク強度Pyの比率Py/Pxが10未満である。
    (特性2)SiOを90重量%以上含有する。
    成分B:微粒子無機酸化物。
  2. 前記成分Aが、さらに以下の特性3を有することを特徴とする、請求項1に記載のエチレン系重合触媒成分の製造方法。
    (特性3)粉末X線回折において2θ=23°〜29°に半値幅0.2°以上5°以下のピークを有する。
  3. 前記成分Bが、SiOを90重量%以上含有する微粒子無機酸化物であることを特徴とする、請求項1または2に記載のエチレン系重合触媒成分の製造方法。
  4. 前記成分Aが、さらに以下の特性4を有していることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のエチレン系重合触媒成分の製造方法。
    (特性4)平均粒径が0.01μm〜10μm。
  5. 前記成分Bの平均粒径が、0.01μm〜50μmであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のエチレン系重合触媒成分の製造方法。
  6. 前記工程(I)の前記スラリーが、前記成分Aと前記成分Bを合わせた重量として5重量%〜50重量%((前記成分A+前記成分B)/水スラリー×100)で調整されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のエチレン系重合触媒成分の製造方法。
  7. 前記工程(III)において、クロム原子を0.01重量%〜2.0重量%含有する前記クロム化合物担持成分を得ることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のエチレン系重合触媒成分の製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法により得られるエチレン系重合触媒成分を用いて、さらに下記工程(IV)を経ることを特徴とする、エチレン系重合触媒の製造方法。
    工程(IV):前記工程(III)で得られた前記クロム化合物担持成分を、非還元性雰囲気下、400℃〜900℃で焼成活性化することにより少なくとも一部のクロム原子を6価とする工程。
  9. 前記工程(IV)において、前記クロム化合物担持成分に含まれるクロム原子のうち50%以上のクロム原子を6価に酸化することを特徴とする、請求項8に記載のエチレン系重合触媒の製造方法。
  10. 請求項8または9に記載のエチレン系重合触媒の製造方法により得られるエチレン系重合触媒を用いて、エチレンを少なくとも含むモノマーを重合することを特徴とする、エチレン系重合体の製造方法。
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