JP2021155536A - 抗菌樹脂フィルム及び積層フィルム - Google Patents

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孝陽 溝添
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啓造 高浜
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Abstract

【課題】カット野菜の包装に適用可能であり、十分な抗菌作用を有する、新規の抗菌樹脂フィルムの提供。【解決手段】ソルビン酸金属塩及び乳酸金属塩からなる群より選択される1種又は2種以上を抗菌剤として含む、抗菌樹脂フィルム11。抗菌樹脂フィルム11を備えた、積層フィルム1。【選択図】図1

Description

本発明は、抗菌樹脂フィルム及び積層フィルムに関する。
近年の日本では、生活スタイルや食習慣の多様化等によって、食事時に1個の野菜を使い切る機会が減少してきており、個々の野菜の1回の購買での購買量が減少してきている。これまでは、個数単位で野菜が購買されていたのに対し、特にサイズの大きい野菜は、カットによって、1/2個単位、1/4個単位というように、カットされた状態(本明細書では、「カット野菜」と略記することがある)で購買される機会が多くなっている。
このような購買形態の変化に伴い、カット野菜を包装するためのフィルムの重要性が高まっている。カット野菜では、切断面で露出されるため、カット野菜自体の衛生状態を良好に保つことが重要視される。野菜は、付着している一般生菌の数が特定値に到達すると、消費に適さなくなるため、消費期限が設定される。例えば、保存中の野菜について、一般生菌数を定期的に測定することによって、その測定値から、消費期限に到達するタイミングを予測できる。カット野菜を包装するためのフィルムには、この消費期限を延長する効果が期待される。そこで、カット野菜を包装するためのフィルムとして、抗菌樹脂フィルムを利用することが期待されている。
これに対して、抗菌樹脂フィルムとしては、オイゲノール、シトラール、シンナムアルデヒド、2−ノナノール、1−ヘキサナール、trans−2−ヘキセナール及びこれらの誘導体からなる群より選択される1種以上の揮発性抗菌剤を含む抗菌フィルムが開示されている(特許文献1参照)。
特許文献1には、この抗菌フィルムが、黒麹カビという特定の菌に対して、抗菌作用を有することが開示されている。
特開2019−81862号公報
しかし、特許文献1には、この抗菌フィルムが、カット野菜はおろか、実際に食品の包装時に抗菌作用を示すことは、具体的に開示されていない。
なお、ここまではカット野菜用のフィルムについて主に説明したが、カット野菜の包装に適用可能な抗菌樹脂フィルムは、カット野菜に限らず、食品全般で適用可能であり、その利用価値は高い。
本発明は、特にカット野菜の包装に適用可能であり、十分な抗菌作用を有する、新規の抗菌樹脂フィルムを提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は、以下の構成を採用する。
[1].ソルビン酸金属塩及び乳酸金属塩からなる群より選択される1種又は2種以上を抗菌剤として含む、抗菌樹脂フィルム。
[2].前記ソルビン酸金属塩がソルビン酸カリウムである、[1]に記載の抗菌樹脂フィルム。
[3].前記乳酸金属塩が乳酸ナトリウムである、[1]に記載の抗菌樹脂フィルム。
[4].前記抗菌剤が一般生菌用である、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の抗菌樹脂フィルム。
[5].[1]〜[4]のいずれか一項に記載の抗菌樹脂フィルムを備えた、積層フィルム。
[6].前記積層フィルムが、前記抗菌樹脂フィルムからなるシーラント層と、前記シーラント層の一方の面上に設けられた第2樹脂層と、を備えており、前記第2樹脂層の、25℃、65%RHの雰囲気下における酸素透過量が、5000cc/m・atm・day未満である、[5]に記載の積層フィルム。
本発明によれば、特にカット野菜の包装に適用可能であり、十分な抗菌作用を有する、新規の抗菌樹脂フィルムが提供される。
本発明の一実施形態に係る積層フィルムの一例を模式的に示す断面図である。 実施例及び比較例における、積層フィルムの抗菌性の評価結果を示すグラフである。
<<抗菌樹脂フィルム>>
本発明の一実施形態に係る抗菌樹脂フィルムは、ソルビン酸金属塩及び乳酸金属塩からなる群より選択される1種又は2種以上を抗菌剤として含む。
本実施形態の抗菌樹脂フィルムは、フィルム中に含ませる抗菌剤として、ソルビン酸金属塩又は乳酸金属塩という、特定範囲の抗菌剤を選択したことによって、優れた抗菌作用を有する。
本実施形態の抗菌樹脂フィルムは、食品の包装用として好適である。本実施形態の抗菌樹脂フィルムによって食品を包装した場合、この状態で保存中の食品においては、抗菌樹脂フィルムの抗菌作用によって、菌の増殖が低減される。すなわち、本実施形態の抗菌樹脂フィルムは、食品を包装することによって、食品の消費期限の延長を可能とする。
食品包装用フィルムで用いる抗菌剤には、人体に対して食品添加物と同等の安全性を有すること、包装した食品に対して、フィルム中に含まれた状態で抗菌作用を示すこと、が求められる。本実施形態の抗菌樹脂フィルムは、ソルビン酸金属塩又は乳酸金属塩という、特定範囲の抗菌剤を選択したことによって、このような要求を満たすものとなっている。
本実施形態の抗菌樹脂フィルムは、樹脂及び前記抗菌剤を含む。
前記樹脂は、前記抗菌樹脂フィルムの構造を維持するための成分であり、前記抗菌樹脂フィルムの主成分である。
前記抗菌剤は、前記抗菌樹脂フィルムに抗菌性を付与するための成分である。
前記抗菌樹脂フィルムは、透明性を有することが好ましく、無色で透明性を有することがより好ましい。このような抗菌樹脂フィルムを用いて、目的物を包装することによって、包装後の目的物(包装対象物)を、抗菌樹脂フィルムを介して、包装体の外部からより容易に視認できる。このような視認性は、目的物が食品である場合に、特に重要である。
抗菌樹脂フィルムの透明性及び色調は、抗菌樹脂フィルムの含有成分の種類と、その含有量と、を調節することで調節できる。
<抗菌剤>
前記抗菌樹脂フィルムが含む前記抗菌剤は、無色であることが好ましい。
前記抗菌剤は、無味であることが好ましい。
前記抗菌剤は、無臭又は低臭気であることが好ましい。
前記抗菌剤は、水溶性であることが好ましい。
前記抗菌剤は、揮発性を有することが好ましい。
前記抗菌剤は、ここで挙げた上記の6とおりの特性のうち、2以上を有することが好ましく、すべてを有することがより好ましい。
本明細書においては、単なる「抗菌剤」との記載は、特に断りのない限り、「ソルビン酸金属塩及び乳酸金属塩からなる群より選択される1種又は2種以上」の抗菌剤を意味する。
前記ソルビン酸金属塩は、抗菌性を有する限り、特に限定されない。
前記ソルビン酸金属塩としては、例えば、ソルビン酸カリウム(CHCH=CHCH=CHCOOK)等が挙げられる。
前記乳酸金属塩は、抗菌性を有する限り、特に限定されない。
前記乳酸金属塩としては、例えば、乳酸ナトリウム(CHCH(OH)COONa)、乳酸カリウム(CHCH(OH)COOK)等が挙げられ、乳酸ナトリウムが好ましい。
前記抗菌樹脂フィルムで好ましいものとしては、一般生菌に対して、抗菌作用を有するものが挙げられる。すなわち、前記抗菌剤は、一般生菌用であることが好ましい。
一般生菌用の前記抗菌剤で好ましいものとしては、ソルビン酸カリウム、乳酸ナトリウムが挙げられる。
前記抗菌樹脂フィルムにおいて、抗菌樹脂フィルムの総質量に対する、前記抗菌剤の含有量の割合は、0.01質量%以上であることが好ましく、例えば、0.02質量%以上、0.04質量%以上、及び0.08質量%以上のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、抗菌樹脂フィルムの抗菌性がより高くなる。
前記割合は、通常、後述する抗菌樹脂組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、前記抗菌剤の含有量(質量部)の割合、と同じである。
本明細書において、「常温」とは、特に冷やしたり、熱したりしない温度、すなわち平常の温度を意味し、例えば、15〜25℃の温度等が挙げられる。
前記抗菌樹脂フィルムにおいて、抗菌樹脂フィルムの総質量に対する、前記抗菌剤の含有量の割合の上限値は、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。抗菌剤の過剰使用が抑制される点では、前記割合は、例えば、5質量%以下であることが好ましい。
前記抗菌樹脂フィルムにおいて、抗菌樹脂フィルムの総質量に対する、前記抗菌剤の含有量の割合は、上述のいずれかの下限値と、上限値と、を任意に組み合わせて設定される範囲内に、適宜調節できる。例えば、一実施形態において、前記割合は、0.01〜5質量%であることが好ましく、例えば、0.02〜5質量%、0.04〜5質量%、及び0.08〜5質量%のいずれかであってもよい。ただし、これらは前記割合の一例である。
上述の前記抗菌剤の含有量の割合の数値範囲は、前記抗菌樹脂フィルムが、例えば、食品の包装用である場合に好ましく、野菜の包装用である場合により好ましく、カット野菜の包装用である場合に特に好ましい。
前記抗菌樹脂フィルムにおいて、抗菌樹脂フィルムの総質量に対する、前記抗菌剤の含有量の割合は、抗菌樹脂フィルムの用途に応じて、上述の数値範囲以外に、さらに異なる数値範囲に設定してもよい。
<樹脂>
前記抗菌樹脂フィルムが含む前記樹脂は、前記抗菌樹脂フィルムの用途に応じて任意に選択でき、特に限定されない。
前記抗菌樹脂フィルムが含む前記樹脂は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
前記抗菌樹脂フィルムにおいて、抗菌樹脂フィルムの総質量に対する、前記樹脂の含有量の割合は、80質量%以上であることが好ましく、例えば、85質量%以上、90質量%以上、及び95質量%以上のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、前記樹脂を用いたことによる効果が、より顕著に得られる。
前記割合は、通常、後述する抗菌樹脂組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、前記樹脂の含有量(質量部)の割合、と同じである。
前記抗菌樹脂フィルムにおいて、抗菌樹脂フィルムの総質量に対する、前記樹脂の含有量の割合は、100質量%未満であり、前記抗菌剤の含有量を確保する点では、例えば、99.9質量%以下であることが好ましい。
前記抗菌樹脂フィルムにおいて、抗菌樹脂フィルムの総質量に対する、前記樹脂の含有量の割合は、上述のいずれかの下限値と、上限値と、を任意に組み合わせて設定される範囲内に、適宜調節できる。例えば、一実施形態において、前記割合は、80〜99.9質量%であることが好ましく、例えば、85〜99.9質量%、90〜99.9質量%、及び95〜99.9質量%のいずれかであってもよい。ただし、これらは前記割合の一例である。
前記抗菌樹脂フィルムにおいて、抗菌樹脂フィルムの総質量に対する、前記樹脂の含有量の割合は、抗菌樹脂フィルムの用途に応じて、上述の数値範囲以外に、さらに異なる数値範囲に設定してもよい。
前記抗菌樹脂フィルムは、前記樹脂及び抗菌剤のみを含んでいてもよい(すなわち、前記樹脂及び抗菌剤からなるものであってもよい)し、前記樹脂と、前記抗菌剤と、のいずれにも該当しない他の成分を含んでいてもよい(すなわち、前記樹脂と、前記抗菌剤と、前記他の成分と、からなるものであってもよい)。
<他の成分>
前記抗菌樹脂フィルムが含む前記他の成分は、非樹脂成分であり、かつ、前記抗菌剤に該当しなれば、特に限定されず、目的に応じて任意に選択できる。
前記他の成分としては、例えば、当該分野で公知の添加剤が挙げられる。
前記添加剤としては、例えば、防曇剤、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、無機粒子、有機粒子、減粘剤、増粘剤、熱安定化剤、滑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。
前記抗菌樹脂フィルムが含む前記他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
前記抗菌樹脂フィルムにおいて、前記抗菌樹脂フィルムの総質量に対する、前記樹脂及び抗菌剤の合計含有量の割合は、90質量%以上であることが好ましく、例えば、95質量%以上、97質量%以上及び99質量%以上のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、前記樹脂を用いたことによる効果が、より顕著に得られ、また、抗菌樹脂フィルムの抗菌性がより高くなる。
前記割合の上限値は特に限定されず、前記割合は100質量%以下であればよい。
前記割合は、通常、後述する抗菌樹脂組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、前記樹脂及び抗菌剤の合計含有量(質量部)の割合、と同じである。
◎シーラント層
前記抗菌樹脂フィルムは、例えば、後述する積層フィルムにおけるシーラント層として好適である。
〇イージーピールタイプのシーラント層
シーラント層のうち、イージーピール性を有するシーラント層(本明細書においては、このようなシーラント層を「イージーピールタイプのシーラント層」と称することがある)として、前記抗菌樹脂フィルムを用いる場合には、前記樹脂としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等が挙げられる。
イージーピールタイプのシーラント層が含む抗菌剤は、前記抗菌樹脂フィルムが含む前記抗菌剤と同じである。
イージーピールタイプのシーラント層は、エチレン−酢酸ビニル共重合体と前記抗菌剤のみを含んでいてもよい(すなわち、エチレン−酢酸ビニル共重合体及び前記抗菌剤からなるものであってもよい)し、エチレン−酢酸ビニル共重合体と、前記抗菌剤と、これらのいずれにも該当しない成分(本明細書においては、「第3成分」と称することがある)と、を含んでいてもよい(すなわち、エチレン−酢酸ビニル共重合体と、前記抗菌剤と、前記第3成分と、からなるものであってもよい)。
イージーピールタイプのシーラント層が含む前記第3成分は、特に限定されず、目的に応じて任意に選択でき、例えば、樹脂成分及び非樹脂成分のいずれであってもよい。
樹脂成分である第3成分は、前記抗菌樹脂フィルムが含む前記樹脂に該当し、エチレン−酢酸ビニル共重合体以外の樹脂である。
樹脂成分である第3成分は、構成単位が1種のみである単独重合体であってもよいし、構成単位が2種以上である共重合体であってもよい。
樹脂成分である第3成分として、より具体的には、例えば、エチレン−メタクリル酸共重合体;アイオノマー樹脂(ION樹脂);ポリプロピレン等のポリオレフィン;エチレンプロピレン共重合体等のオレフィン系共重合体等が挙げられる。これら第3成分を含むシーラント層は、イージーピール性をより高くすることが可能である。
前記アイオノマー樹脂としては、例えば、エチレンと少量のアクリル酸又はメタクリル酸との共重合体が、その中の酸部分と、金属イオンと、の塩形成によって、イオン橋かけ構造を有している樹脂が挙げられる。
非樹脂成分である第3成分は、前記抗菌樹脂フィルムが含む前記他の成分に該当する。
非樹脂成分である第3成分としては、例えば、当該分野で公知の添加剤が挙げられる。
非樹脂成分である第3成分として、より具体的には、例えば、防曇剤、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、無機粒子、有機粒子、減粘剤、増粘剤、熱安定化剤、滑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。
イージーピールタイプのシーラント層が含む第3成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
イージーピールタイプのシーラント層において、前記シーラント層の総質量に対する、エチレン−酢酸ビニル共重合体の含有量の割合は、95質量%以上であることが好ましく、例えば、97.5質量%以上、99質量%以上、及び99.2質量%以上のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、前記シーラント層のシール特性がより向上し、また、前記シーラント層の構造がより安定する。
前記割合は、通常、後述する抗菌樹脂組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、エチレン−酢酸ビニル共重合体の含有量(質量部)の割合、と同じである。
イージーピールタイプのシーラント層において、前記シーラント層の総質量に対する、エチレン−酢酸ビニル共重合体の含有量の割合は、100質量%未満であり、前記抗菌剤の含有量を確保する点では、例えば、99.95質量%以下であることが好ましい。
イージーピールタイプのシーラント層において、前記シーラント層の総質量に対する、エチレン−酢酸ビニル共重合体の含有量の割合は、上述のいずれかの下限値と、上限値と、を任意に組み合わせて設定される範囲内に、適宜調節できる。例えば、一実施形態において、前記割合は、95〜99.95質量%であることが好ましく、例えば、97.5〜99.95質量%、99〜99.95質量%、及び99.2〜99.95質量%のいずれかであってもよい。ただし、これらは前記割合の一例である。
イージーピールタイプのシーラント層における、前記シーラント層の総質量に対する、前記抗菌剤の含有量の割合は、先に説明した、前記抗菌樹脂フィルムにおける、抗菌樹脂フィルムの総質量に対する、前記抗菌剤の含有量の割合、と同様であってよい。
前記割合は、通常、後述する抗菌樹脂組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、前記抗菌剤の含有量(質量部)の割合、と同じである。
イージーピールタイプのシーラント層において、前記シーラント層の総質量に対する、エチレン−酢酸ビニル共重合体及び前記抗菌剤の合計含有量の割合は、95.5質量%以上であることが好ましく、例えば、98質量%以上、及び99.5質量%以上のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、前記シーラント層のシール特性がより向上し、また、前記シーラント層の構造がより安定し、また、前記シーラント層の抗菌性がより高くなる。
前記割合の上限値は特に限定されず、前記割合は100質量%以下であればよい。
前記割合は、通常、後述する抗菌樹脂組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、エチレン−酢酸ビニル共重合体及び前記抗菌剤の合計含有量(質量部)の割合、と同じである。
〇非イージーピールタイプのシーラント層
シーラント層のうち、イージーピール性を有しないシーラント層(本明細書においては、このようなシーラント層を「非イージーピールタイプのシーラント層」と称することがある)として、前記抗菌樹脂フィルムを用いる場合には、前記樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂等が挙げられる。
非イージーピールタイプのシーラント層が含む抗菌剤は、前記抗菌樹脂フィルムが含む前記抗菌剤と同じである。
前記ポリオレフィン系樹脂は、オレフィンから誘導された構成単位を有する樹脂であれば、特に限定されず、例えば、構成単位が1種のみである単独重合体であってもよいし、構成単位が2種以上である共重合体であってもよく、前記共重合体は、例えば、ブロック共重合体及びランダム共重合体のいずれであってもよい。
前記ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン−アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、アイオノマー樹脂(ION樹脂)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等が挙げられる。
前記ポリエチレンとしては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE、例えば、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン(mLLDPE)等)等が挙げられる。
前記アイオノマー樹脂は、先に説明したものと同様である。
本明細書においては、単なる「低密度ポリエチレン」との記載は、特に断りのない限り、「直鎖状低密度ポリエチレン以外の低密度ポリエチレン」を意味する。
非イージーピールタイプのシーラント層が含む前記ポリオレフィン系樹脂は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
好ましい前記ポリオレフィン系樹脂としては、汎用樹脂で安価である点では、ポリエチレンが挙げられる。
前記ポリエチレンの中では、非イージーピールタイプのシーラント層のシール特性が特に優れる点から、直鎖状低密度ポリエチレンが特に好ましい。
前記ポリオレフィン系樹脂は、エチレン−酢酸ビニル共重合体であることが特に好ましい。
非イージーピールタイプのシーラント層は、ポリオレフィン系樹脂と前記抗菌剤のみを含んでいてもよい(すなわち、ポリオレフィン系樹脂及び前記抗菌剤からなるものであってもよい)し、ポリオレフィン系樹脂と、前記抗菌剤と、これらのいずれにも該当しない成分(本明細書においては、「第4成分」と称することがある)と、を含んでいてもよい(すなわち、ポリオレフィン系樹脂と、前記抗菌剤と、前記第4成分と、からなるものであってもよい)。
非イージーピールタイプのシーラント層が含む前記第4成分は、特に限定されず、目的に応じて任意に選択でき、例えば、樹脂成分及び非樹脂成分のいずれであってもよい。
樹脂成分である第4成分は、前記抗菌樹脂フィルムが含む前記樹脂に該当し、ポリオレフィン系樹脂以外の樹脂である。
樹脂成分である第4成分は、構成単位が1種のみである単独重合体であってもよいし、構成単位が2種以上である共重合体であってもよい。
非樹脂成分である第4成分は、前記抗菌樹脂フィルムが含む前記他の成分に該当する。
非樹脂成分である第4成分としては、先に説明した、非樹脂成分である第3成分と同様のものが挙げられる。
非イージーピールタイプのシーラント層が含む第4成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
非イージーピールタイプのシーラント層における、前記シーラント層の総質量に対する、ポリオレフィン系樹脂の含有量の割合は、先に説明した、イージーピールタイプのシーラント層における、前記シーラント層の総質量に対する、エチレン−酢酸ビニル共重合体の含有量の割合、と同様であってよい。
前記割合は、通常、後述する抗菌樹脂組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、ポリオレフィン系樹脂の含有量(質量部)の割合、と同じである。
非イージーピールタイプのシーラント層における、前記シーラント層の総質量に対する、前記抗菌剤の含有量の割合は、先に説明した、前記抗菌樹脂フィルムにおける、抗菌樹脂フィルムの総質量に対する、前記抗菌剤の含有量の割合、と同様であってよい。
前記割合は、通常、後述する抗菌樹脂組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、前記抗菌剤の含有量(質量部)の割合、と同じである。
非イージーピールタイプのシーラント層における、前記シーラント層の総質量に対する、ポリオレフィン系樹脂及び前記抗菌剤の合計含有量の割合は、先に説明した、イージーピールタイプのシーラント層における、前記シーラント層の総質量に対する、エチレン−酢酸ビニル共重合体及び前記抗菌剤の合計含有量の割合、と同様であってよい。
前記割合は、通常、後述する抗菌樹脂組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、ポリオレフィン系樹脂及び前記抗菌剤の合計含有量(質量部)の割合、と同じである。
ここまでは、前記抗菌樹脂フィルムがシーラント層である場合について、説明したが、抗菌樹脂フィルムの用途は、これに限定されず、目的に応じて任意に選択できる。
前記抗菌樹脂フィルムの、25℃、65%RH(相対湿度)の雰囲気下における酸素透過量は、2000cc/m・atm・day以上であることが好ましい。
このような抗菌樹脂フィルムを用いて、後述する積層フィルムを構成し、この積層フィルムを用いて、包装対象物を包装して包装体を製造した場合、抗菌樹脂フィルムの酸素透過量が適度に高水準であるために、抗菌樹脂フィルム中の前記抗菌剤、特に揮発性を有する抗菌剤が、包装対象物側に放出され易く、その結果、包装対象物における抗菌作用が、より高くなる。
このような抗菌樹脂フィルムは、食品の包装用として好ましく、野菜の包装用としてより好ましく、カット野菜の包装用として特に好ましい。
本明細書においては、前記抗菌樹脂フィルムの場合に限らず、樹脂フィルム(樹脂層)の、25℃、65%RHの雰囲気下における酸素透過量は、特に断りのない限り、JIS K 7126Bに準拠して測定した値を意味する。
前記抗菌樹脂フィルムの、25℃、65%RHの雰囲気下における酸素透過量は、2300cc/m・atm・day以上であることがより好ましく、2600cc/m・atm・day以上であることがさらに好ましく、2900cc/m・atm・day以上であることが特に好ましい。抗菌樹脂フィルムの前記酸素透過量が前記下限値以上であることで、上述の抗菌作用がより高くなり、抗菌樹脂フィルムは、食品の包装用として特に好ましい。
前記抗菌樹脂フィルムの、25℃、65%RHの雰囲気下における酸素透過量の上限値は、特に限定されない。例えば、前記酸素透過量が5000cc/m・atm・day以下の抗菌樹脂フィルムは、より容易に形成できる。
前記抗菌樹脂フィルムの、25℃、65%RHの雰囲気下における酸素透過量は、上述のいずれかの下限値と、上限値と、を任意に組み合わせて設定される範囲内に、適宜調節できる。例えば、一実施形態において、前記酸素透過量は、2000〜5000cc/m・atm・dayであることが好ましく、2300〜5000cc/m・atm・dayであることがより好ましく、2600〜5000cc/m・atm・dayであることがさらに好ましく、2900〜5000cc/m・atm・dayであることが特に好ましい。ただし、これらは前記酸素透過量の一例である。
前記抗菌樹脂フィルムは、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。前記抗菌樹脂フィルムが複数層からなる場合、これら複数層は互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
明細書においては、前記抗菌樹脂フィルムの場合に限らず、「複数層が互いに同一でも異なっていてもよい」とは、「すべての層が同一であってもよいし、すべての層が異なっていてもよいし、一部の層のみが同一であってもよい」ことを意味し、さらに「複数層が互いに異なる」とは、「各層の構成材料及び厚さの少なくとも一方が互いに異なる」ことを意味する。
前記抗菌樹脂フィルムの厚さは、抗菌樹脂フィルムの用途に応じて適宜設定でき、特に限定されない。
前記抗菌樹脂フィルムの厚さは、通常は、0.1〜100μmであることが好ましく、例えば、0.3〜60μm、0.5〜40μm、1〜20μm、及び1〜10μmのいずれかであってもよい。抗菌樹脂フィルムの厚さが前記下限値以上であることで、抗菌樹脂フィルムの構造がより安定する。抗菌樹脂フィルムの厚さが前記上限値以下であることで、抗菌樹脂フィルムの厚さが、過剰となることが避けられる。
前記抗菌樹脂フィルムが複数層からなる場合には、これら複数層の合計の厚さが、上記の好ましい前記抗菌樹脂フィルムの厚さとなるようにするとよい。
<抗菌樹脂フィルムの製造方法、抗菌樹脂組成物>
前記抗菌樹脂フィルムは、例えば、前記樹脂と、前記抗菌剤と、必要に応じて前記他の成分と、を含む抗菌樹脂組成物を、抗菌樹脂フィルムの形成対象面に塗工し、必要に応じて乾燥させることで、目的とする部位に形成できる。
例えば、剥離フィルムの剥離処理面に、前記抗菌樹脂組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させることで、前記剥離フィルム上に抗菌樹脂フィルムを形成できる。剥離フィルムは、抗菌樹脂フィルムの使用時に取り除けばよい。
また、後述する積層フィルムにおいて、抗菌樹脂フィルムに隣接することになる層(以下、「隣接層」と称することがある)(例えば、後述する第2樹脂層)の一方の面に、前記抗菌樹脂組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させることで、前記隣接層上に抗菌樹脂フィルムを形成できる。この場合、目的とする積層フィルム自体又はその一部の構成を、直ちに得られる。
前記抗菌樹脂組成物は、その塗工適性が向上する点から、溶媒を含有していてもよい。
前記溶媒としては、例えば、水、2−プロパノール(IPA)、エタノール、メタノール、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸エチル、トルエン、アセトン等が挙げられる。
抗菌樹脂組成物が含む前記溶媒は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
前記抗菌樹脂フィルムを、このように抗菌樹脂組成物の塗工を経て製造する方法は、目的とする抗菌樹脂フィルムが、比較的低温で分解、発火又は気化する成分等を含む場合に、特に有効である。このような、高温での取り扱いに適さない成分としては、例えば、ソルビン酸カリウム、乳酸ナトリウム等が挙げられる。
抗菌樹脂組成物の塗工は、公知の方法で行えばよい。例えば、各種コーターを用いる方法で、抗菌樹脂組成物を塗工できる。
抗菌樹脂組成物の乾燥条件は、特に限定されないが、抗菌樹脂組成物は、後述する溶媒を含有している場合、加熱乾燥させることが好ましく、この場合、例えば、40〜120℃で乾燥させることが好ましい。
<<積層フィルム>>
本発明の一実施形態に係る積層フィルムは、前記抗菌樹脂フィルムを備えている。
本実施形態の積層フィルムは、前記抗菌樹脂フィルムを用いていることにより、十分な抗菌作用を有している。
また、抗菌樹脂フィルム中の前記抗菌剤は、食品添加物であるか、又は、人体に対して食品添加物と同等の安全性を有しており、本実施形態の積層フィルムは、安全性が高く、カット野菜をはじめとする食品全般の包装へ適用するのに好適である。
また、本実施形態の積層フィルムは、透明とすることが可能であり、無色透明とすることも可能であって、その場合には、前記積層フィルムを用いて包装した包装物を、前記積層フィルムを介して、包装体の外部からより容易に視認可能である。
以下、図面を参照しながら、本発明について詳細に説明する。なお、以降の説明で用いる図は、本発明の特徴を分かり易くするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。
図1は、本実施形態の積層フィルムの一例を模式的に示す断面図である。
ここに示す積層フィルム1は、抗菌樹脂フィルム11と、抗菌樹脂フィルム11の一方の面11a上に設けられた第2樹脂層12と、を備えて構成されている。
抗菌樹脂フィルム11は、上述の本発明の一実施形態に係る抗菌樹脂フィルムであり、積層フィルム1においては、第1樹脂層と見做せる。抗菌樹脂フィルム11の具体的な態様は、先に説明したとおりである。
積層フィルム1において、抗菌樹脂フィルム11及び第2樹脂層12はいずれも最表層であり、抗菌樹脂フィルム11の他方の面(前記一方の面11aとは反対側の面)11bと、第2樹脂層12の一方の面12aは、いずれも露出面である。
抗菌樹脂フィルム11は、例えば、先の説明のとおり、シーラント層であってもよい。
すなわち、積層フィルム1は、抗菌樹脂フィルム11からなるシーラント層と、前記シーラント層の一方の面(抗菌樹脂フィルム11の一方の面11a)上に設けられた第2樹脂層12と、を備えたものであってよい。
<第2樹脂層>
第2樹脂層12は、樹脂を含む。
第2樹脂層12が含む前記樹脂は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
第2樹脂層12は、透明性を有することが好ましく、無色で透明性を有することがより好ましい。
第2樹脂層12の透明性及び色調は、第2樹脂層12の含有成分の種類と、その含有量と、を調節することで調節できる。
第2樹脂層12の種類は、後述する接着層以外であれば、目的に応じて任意に選択できる。例えば、積層フィルム1を食品の包装用として用いる場合には、第2樹脂層12としては、酸素透過の抑制効果を有する層(フィルム)(以下、「酸素透過抑制層」と称することがある)が挙げられる。
このような場合、例えば、第2樹脂層12の、25℃、65%RHの雰囲気下における酸素透過量は、5000cc/m・atm・day未満であることが好ましい。このような第2樹脂層12を備えた積層フィルム1は、食品の包装用として好ましく、野菜の包装用としてより好ましく、カット野菜の包装用として特に好ましい。
第2樹脂層の、25℃、65%RH(相対湿度)の雰囲気下における酸素透過量が、5000cc/m・atm・day未満である場合、抗菌樹脂フィルム11はシーラント層であることが好ましい。
すなわち、好ましい積層フィルム1としては、例えば、抗菌樹脂フィルム11からなるシーラント層と、前記シーラント層の一方の面(抗菌樹脂フィルム11の一方の面11a)上に設けられた第2樹脂層12と、を備えており、第2樹脂層12の、25℃、65%RHの雰囲気下における酸素透過量が、5000cc/m・atm・day未満である、ものが挙げられる。
このような積層フィルム1を用い、シーラント層(抗菌樹脂フィルム11)を包装対象物側に配置して、包装対象物を包装して包装体を製造した場合、前記包装体においては、第2樹脂層12の前記酸素透過量が低水準であるために、シーラント層(抗菌樹脂フィルム11)中の前記抗菌剤、特に揮発性を有する抗菌剤が、第2樹脂層12を透過し難く、包装対象物側に優先的に放出され、その結果、包装対象物における抗菌作用が、より高くなる。
第2樹脂層12の、25℃、65%RH(相対湿度)の雰囲気下における酸素透過量は、3500cc/m・atm・day以下であることがより好ましく、2000cc/m・atm・day以下であることがさらに好ましい。第2樹脂層12の前記酸素透過量が前記上限値以下であることで、このような第2樹脂層12を備えた積層フィルム1は、上述の抗菌作用がより高くなり、食品の包装用としてより好ましい。
第2樹脂層12の、25℃、65%RHの雰囲気下における酸素透過量の下限値は、特に限定されない。例えば、前記酸素透過量が1500cc/m・atm・day以上の第2樹脂層12は、より容易に形成できる。
第2樹脂層12の、25℃、65%RHの雰囲気下における酸素透過量は、上述の下限値と、いずれかの上限値と、を任意に組み合わせて設定される範囲内に、適宜調節できる。例えば、一実施形態において、前記酸素透過量は、1500cc/m・atm・day以上、5000cc/m・atm・day未満であることが好ましく、1500〜3500cc/m・atm・dayであることがより好ましく、1500〜2000cc/m・atm・dayであることがさらに好ましい。ただし、これらは前記酸素透過量の一例である。
第2樹脂層12は、二軸延伸されていることが好ましい。二軸延伸された第2樹脂層12は、より安価な材料を用いて作製でき、さらに、伸びの異方性を低減できる。
第2樹脂層12が含む前記樹脂は、目的に応じて任意に選択できる。
第2樹脂層12が含む前記樹脂としては、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル等が挙げられる。ポリオレフィン又はポリエステルを含む第2樹脂層12は、安価に製造でき、また、低吸湿性とすることが容易である。
第2樹脂層12が含む前記ポリオレフィンは、オレフィンから誘導された構成単位を有していればよい。
前記ポリオレフィンとしては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等のポリエチレン;ポリプロピレン(PP)等が挙げられる。
これらの中でも、前記ポリオレフィンは、ポリプロピレンであることが好ましい。
第2樹脂層12が含む前記ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)等が挙げられる。
これらの中でも、前記ポリエステルは、ポリエチレンテレフタレートであることが好ましい。
前記酸素透過量が5000cc/m・atm・day未満である第2樹脂層12を作製するためには、第2樹脂層12が含む前記樹脂は、ポリプロピレンであることが好ましい。
そして、前記酸素透過量が5000cc/m・atm・day未満である第2樹脂層12は、二軸延伸されているポリプロピレン(OPP)からなる層であることが、より好ましい。
第2樹脂層12は、前記樹脂のみを含んでいてもよい(すなわち、前記樹脂からなるものであってもよい)し、前記樹脂に該当しない他の成分を含んでいてもよい(すなわち、前記樹脂と、前記他の成分と、からなるものであってもよい)。
第2樹脂層12が含む前記他の成分は、非樹脂成分であれば、特に限定されず、目的に応じて任意に選択できる。
非樹脂成分である前記他の成分としては、例えば、当該分野で公知の添加剤が挙げられる。
非樹脂成分である前記添加剤としては、前記抗菌樹脂フィルムが含むものとして挙げた添加剤と同様のものが挙げられる。
第2樹脂層12が含む前記他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
第2樹脂層12において、第2樹脂層12の総質量に対する、前記樹脂の含有量の割合は、90質量%以上であることが好ましく、例えば、95質量%以上、97質量%以上及び99質量%以上のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、第2樹脂層12の構造がより安定する。
前記割合の上限値は特に限定されず、前記割合は100質量%以下であればよい。
前記割合は、通常、後述する第2樹脂層形成用組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、前記樹脂の含有量(質量部)の割合、と同じである。
第2樹脂層12は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。第2樹脂層12が複数層からなる場合、これら複数層は互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
第2樹脂層12が複数層からなる場合には、これら複数層は、前記酸素透過抑制層を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。
前記複数層のうちの、酸素透過抑制層以外の層(以下、「他の層」と略記することがある)は、後述する接着層以外であれば、特に限定されず、目的に応じて任意に選択できる。
積層フィルム1における、前記酸素透過抑制層以外の層(他の層)の配置位置は、抗菌樹脂フィルム11の一方の面11a上であれば、特に限定されない。例えば、積層フィルム1において、前記他の層は、抗菌樹脂フィルム11と前記酸素透過抑制層との間に配置されていてもよいし、酸素透過抑制層の抗菌樹脂フィルム11側とは反対側に配置されていてもよい。
第2樹脂層12の厚さは、積層フィルム1の用途(換言すると、例えば、抗菌樹脂フィルム11の種類、又は第2樹脂層12の種類)に応じて適宜設定でき、特に限定されない。
第2樹脂層12の厚さは、通常は、4〜100μmであることが好ましく、例えば、8〜70μm、12〜50μm、及び16〜30μmのいずれかであってもよい。第2樹脂層12の厚さが前記下限値以上であることで、第2樹脂層12の構造がより安定する。第2樹脂層12の厚さが前記上限値以下であることで、第2樹脂層12の厚さが、過剰となることが避けられる。
第2樹脂層12が複数層からなる場合には、これら複数層の合計の厚さが、上記の好ましい第2樹脂層12の厚さとなるようにするとよい。
[接着層]
積層フィルム1は、抗菌樹脂フィルム11の一方の面11a上に、接着層を備えていてもよい。
前記接着層は、これに隣接する2層を接着する。
接着層を備えていることにより、前記積層フィルムの積層構造がより安定化する。
接着層は、透明性を有することが好ましく、無色で透明性を有することがより好ましい。
接着層の透明性及び色調は、接着層の含有成分の種類と、その含有量と、を調節することで調節できる。
接着層は、接着性樹脂を含有する樹脂層であることが好ましい。
接着層が含む、接着性を発現する成分(例えば、前記接着性樹脂)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
接着層は、接着性を損なわない範囲で、接着性を発現する成分(例えば、前記接着性樹脂)に該当しない、他の成分を含んでいてもよい。
接着層が含む前記他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
接着層が含む前記他の成分としては、例えば、酸化防止剤等が挙げられる。
接着層において、接着層の総質量に対する、接着性を発現する成分の含有量の割合(例えば、前記接着性樹脂の含有量の割合)は、80〜100質量%であることが好ましく、90〜100質量%であることがより好ましい。前記割合が前記下限値以上であることで、接着層の接着性がより高くなる。
前記割合は、通常、後述する接着層形成用組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、接着性を発現する成分の含有量(質量部)の割合、と同じである。
接着層は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。接着層が複数層からなる場合、これら複数層は互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
接着層の厚さは、特に限定されないが、0.1〜30μmであることが好ましい。接着層の厚さが前記下限値以上であることで、接着層はより優れた接着性を有する。接着層の厚さが前記上限値以下であることで、過剰な厚さとなることが抑制される。
接着層が複数層からなる場合には、これら複数層の合計の厚さが、上記の好ましい接着層の厚さとなるようにするとよい。
<第3樹脂層>
本実施形態の積層フィルムは、前記抗菌樹脂フィルムの他方の面(例えば、抗菌樹脂フィルム11の他方の面11b)上、すなわち、前記抗菌樹脂フィルムの前記第2樹脂層側とは反対側の面上に、他の樹脂層(本明細書においては、「第3樹脂層」と称することがある)を備えていてもよい。
前記第3樹脂層は、樹脂を含み、目的に応じて任意に選択でき、特に限定されない。
第3樹脂層は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。第3樹脂層が複数層からなる場合、これら複数層は互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
第3樹脂層の厚さは、特に限定されず、目的に応じて任意に選択できる。
本実施形態の積層フィルムは、全体として透明性を有することが好ましく、全体として無色で透明性を有することがより好ましい。そのためには、前記積層フィルムを構成するすべての層(フィルム)を、透明性を有するものとするか、又は、無色で透明性を有するものとすればよい。
このような積層フィルムを用いて、目的物を包装することによって、包装後の目的物(包装対象物)を、積層フィルムを介して、包装体の外部からより容易に視認できる。このような視認性は、目的物が食品である場合に、特に重要である。
前記積層フィルムの全体の層数は、2以上であればよく、目的に応じて任意に選択でき、特に限定されない。
<<積層フィルムの製造方法>>
前記積層フィルムは、例えば、積層フィルムにおいて、前記抗菌樹脂フィルムに隣接することになる層(前記隣接層)(例えば、第2樹脂層)の一方の面に、前記抗菌樹脂組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させて、前記隣接層上に抗菌樹脂フィルムを形成することで、製造できる。
また、前記積層フィルムは、例えば、剥離フィルムの剥離処理面に、前記抗菌樹脂組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させて、前記剥離フィルム上に抗菌樹脂フィルムを形成し、次いで、前記隣接層の一方の面に、上記で得られた抗菌樹脂フィルムの露出面(剥離フィルムを備えている側とは反対側の面)を貼り合わせることでも、製造できる。剥離フィルムは、前記隣接層及び抗菌樹脂フィルムの貼り合わせ後、任意のタイミングで取り除くことが可能である。
上述の製造方法において、前記抗菌樹脂組成物の塗工対象、又は、抗菌樹脂フィルムの貼り合わせ対象となる、前記隣接層を含む層は、公知の方法で製造できる。
例えば、前記隣接層を含む層が、1層からなる樹脂層(樹脂フィルム)である場合には、前記隣接層を形成するための樹脂又は樹脂組成物を、成形することで、製造できる。
例えば、前記隣接層を含む層が、2層以上の樹脂層(樹脂フィルム)が積層されて構成された複数層のものである場合には、前記隣接層を含む層は、数台の押出機を用いて、各層の形成材料となる樹脂又は樹脂組成物を溶融押出するフィードブロック法や、マルチマニホールド法等の共押出Tダイ法、空冷式又は水冷式共押出インフレーション法等により、製造できる。
前記隣接層を含む層が複数層である場合には、前記隣接層を含む層は、そのうちのいずれか2層以上を構成するための2枚以上のフィルムをあらかじめ別々に作製しておき、接着剤を用いてこれらフィルムを、ドライラミネート法、押出ラミネート法、ホットメルトラミネート法及びウェットラミネート法のいずれかによって貼り合わせることにより積層し、必要に応じて、これら以外の層を目的とする配置形態となるようにさらに積層することでも、製造できる。このとき、接着剤として、前記接着層を形成可能なものを用いてもよい。
前記隣接層を含む層が複数層である場合には、前記隣接層を含む層は、上記のように、あらかじめ別々に作製しておいた2枚以上のフィルムを、接着剤を用いずに、サーマル(熱)ラミネート法等によって貼り合わせて積層し、必要に応じて、これら以外の層を目的とする配置形態となるようにさらに積層することでも、製造できる。
前記隣接層を含む層が複数層である場合には、ここまでに挙げたいずれかの方法を、2以上組み合わせて、前記隣接層を含む層を製造してもよい。
前記積層フィルム中のいずれかの層の形成材料となる樹脂組成物は、形成する層が目的とする成分を、目的とする含有量で含むように、含有成分の種類と含有量を調節して、製造すればよい。例えば、前記樹脂組成物中の、常温で気化しない成分同士の含有量の比率は、通常、この樹脂組成物から形成された層中の、前記成分同士の含有量の比率と同じとなる。
前記第2樹脂層(図1に示す積層フィルム1においては、第2樹脂層12)を形成するための樹脂組成物(本明細書においては、「第2樹脂層形成用組成物」と称することがある)としては、例えば、前記樹脂(例えば、前記ポリオレフィン、ポリエステル等)と、前記他の成分(例えば、前記添加剤等)と、を含有するものが挙げられる。
前記接着層を形成するための樹脂組成物(本明細書においては、「接着層形成用組成物」と称することがある)としては、例えば、接着性を発現する成分(例えば、前記接着性樹脂)と、前記他の成分(例えば、前記酸化防止剤等)と、を含有するものが挙げられる。
<<包装体及びその製造方法>>
前記積層フィルムを用いて、その中の前記抗菌樹脂フィルム(例えば、シーラント層)を、包装対象物側に配置し、包装対象物を包装することにより、包装体を製造できる。
前記包装体が前記抗菌樹脂フィルムを備えていることにより、前記包装体中の包装物においては、十分な抗菌作用が得られる。
包装時には、例えば、1枚の前記積層フィルムで包装対象物を包み込み、積層フィルムの余剰部位(包装対象物を包み込んでいない部位)を積層フィルムの他の部位と重ね合わせることで、包装対象物を包装できる。このとき、積層フィルム中の抗菌樹脂フィルム同士を重ね合わせてもよいし、抗菌樹脂フィルムと第2樹脂層を重ね合わせてもよい。
また、包装時には、例えば、2枚の前記積層フィルムで包装対象物を挟み込み、これら積層フィルム同士を重ね合わせることで、包装対象物を包装できる。このとき、積層フィルム中の抗菌樹脂フィルム同士を重ね合わせてもよいし、抗菌樹脂フィルムと第2樹脂層を重ね合わせてもよい。
また、トレーを用いて、その上に包装対象物を載置し、前記積層フィルム中の抗菌樹脂フィルムを、トレーの周縁部とシールすることで、包装対象物を包装できる。
以下、具体的実施例により、本発明についてさらに詳しく説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
<<抗菌樹脂フィルム及び積層フィルムの製造>>
<抗菌樹脂組成物の製造>
エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)の水分散物(東洋モートン社製「EA−H700」)(99.5質量部)と、ソルビン酸カリウム(以下、「PK」と略記することがある)(0.5質量部)と、を室温下で混合することによって、抗菌樹脂組成物を得た。
得られた抗菌樹脂組成物は、EVA(49.75質量部)、ソルビン酸カリウム(PK)(0.5質量部)、及び水(49.75質量部)を含有していた。
<抗菌樹脂フィルム及び積層フィルムの製造>
二軸延伸ポリプロピレン(OPP)製フィルム(グンゼ社製「フレッシュバリューMV2」、厚さ20μm)の一方の面に、上記で得られた抗菌樹脂組成物を塗工し、100℃で乾燥させることによって、OPP製フィルム上に抗菌樹脂フィルム(厚さ20μm)を形成した。
この抗菌樹脂フィルムにおいて、抗菌樹脂フィルムの総質量に対する、EVAの含有量の割合は99質量%であり、ソルビン酸カリウム(PK)の含有量の割合は1質量%であった。
以上により、抗菌樹脂フィルム(第1樹脂層、厚さ20μm)と、OPP製フィルム(第2樹脂層、厚さ20μm)と、が積層されて構成された積層フィルムを得た。
[実施例2]
<<抗菌樹脂フィルム及び積層フィルムの製造>>
抗菌樹脂組成物の製造時において、EVA及びPKの使用量を変更した点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、抗菌樹脂フィルム及び積層フィルムを製造した。
得られた抗菌樹脂フィルムにおいて、抗菌樹脂フィルムの総質量に対する、EVAの含有量の割合は99.9質量%であり、PKの含有量の割合は0.1質量%であった。
得られた積層フィルムは、抗菌樹脂フィルム(第1樹脂層、厚さ20μm)と、OPP製フィルム(第2樹脂層、厚さ20μm)と、が積層されて構成されたものであった。
[実施例3]
<<抗菌樹脂フィルム及び積層フィルムの製造>>
<抗菌樹脂組成物の製造>
エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)の水分散物(東洋モートン社製「EA−H700」)(99.5質量部)と、乳酸ナトリウム(以下、「SL」と略記することがある)(0.5質量部)と、を室温下で混合することによって、抗菌樹脂組成物を得た。
得られた抗菌樹脂組成物は、EVA(49.75質量部)、乳酸ナトリウム(SL)(0.5質量部)、及び水(49.75質量部)を含有していた。
<抗菌樹脂フィルム及び積層フィルムの製造>
二軸延伸ポリプロピレン(OPP)製フィルム(グンゼ社製「フレッシュバリューMV2」、厚さ20μm)の一方の面に、上記で得られた抗菌樹脂組成物を塗工し、100℃で乾燥させることによって、OPP製フィルム上に抗菌樹脂フィルム(厚さ20μm)を形成した。
この抗菌樹脂フィルムにおいて、抗菌樹脂フィルムの総質量に対する、EVAの含有量の割合は99質量%であり、乳酸ナトリウム(SL)の含有量の割合は1質量%であった。
以上により、抗菌樹脂フィルム(第1樹脂層、厚さ20μm)と、OPP製フィルム(第2樹脂層、厚さ20μm)と、が積層されて構成された積層フィルムを得た。
[実施例4]
<<抗菌樹脂フィルム及び積層フィルムの製造>>
抗菌樹脂組成物の製造時において、EVA及びSLの使用量を変更した点以外は、実施例3の場合と同じ方法で、抗菌樹脂フィルム及び積層フィルムを製造した。
得られた抗菌樹脂フィルムにおいて、抗菌樹脂フィルムの総質量に対する、EVAの含有量の割合は99.9質量%であり、SLの含有量の割合は0.1質量%であった。
得られた積層フィルムは、抗菌樹脂フィルム(第1樹脂層、厚さ20μm)と、OPP製フィルム(第2樹脂層、厚さ20μm)と、が積層されて構成されたものであった。
[実施例5]
<<抗菌樹脂フィルム及び積層フィルムの製造>>
OPP製フィルムに代えて、ポリエチレン(PE)製フィルム(タマポリ社製「UB−1」、厚さ30μm)を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、抗菌樹脂フィルム(第1樹脂層、厚さ20μm)と、PE製フィルム(第2樹脂層、厚さ30μm)と、が積層されて構成された積層フィルムを得た。
[比較例1]
<<樹脂フィルム及び積層フィルムの製造>>
二軸延伸ポリプロピレン(OPP)製フィルム(グンゼ社製「フレッシュバリューMV2」、厚さ20μm)の一方の面に、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)の水分散物(東洋モートン社製「EA−H700」)を塗工し、100℃で乾燥させることによって、OPP製フィルム上にEVA製フィルム(厚さ20μm)を形成した。
以上により、非抗菌樹脂フィルムであるEVA製フィルム(第1樹脂層、厚さ20μm)と、OPP製フィルム(第2樹脂層、厚さ20μm)と、が積層されて構成された積層フィルムを得た。
<<樹脂フィルムの酸素透過量の測定>>
上記で得られた実施例1〜5、比較例1の各層を構成する樹脂フィルム(第1樹脂層、第2樹脂層)について、JIS K 7126Bに準拠して、25℃、65%RHの雰囲気下における酸素透過量を測定した。結果を表1に示す。
<<積層フィルムの抗菌性の評価>>
上記の各実施例及び比較例で製造した、大きさが10cm×10cmの積層フィルムを用いて、千切りキャベツ(150g)を包装した。このとき、積層フィルム中の第1樹脂層を千切りキャベツに接触させることで、第1樹脂層を内層とし、第2樹脂層を外層として、1枚の積層フィルムで千切りキャベツの全量を包み込み、包装体とした。
このような包装体を2個ずつ作製し、常圧下、10℃で保管して、保管開始時(換言すると保管開始から0日後)と、保管開始から1日後と4日後に、保管中の一部の千切りキャベツを試験片として包装体から取り出し、付着している菌を培養し、一般生菌数を測定した。そして、取得した2水準の生菌数の平均値を算出して、この平均値を、一般生菌数として採用した。結果を図2に示す。また、この一般生菌数に基づいて、積層フィルムの抗菌性を下記基準に従って評価した。結果を表1に示す。なお、下記評価基準中、「ブランク」とは、実施例1で使用したOPP製フィルム、すなわち、抗菌剤を含まない樹脂フィルムを用いて、それ以外は、上記の各実施例及び比較例の場合と同じ条件でキャベツを保管した包装体を意味する。また、図2においては、実施例5の結果を省略している。
<評価基準>
A:ブランクと比較して、生菌数が1/1000倍以下になる。
B:ブランクと比較して、生菌数が1/1000倍超〜1/100倍になる。
C:ブランクと比較して、生菌数が1/100倍超〜1/10倍になる。
D:ブランクと比較して、生菌数が1/10倍超になる。
Figure 2021155536
上記結果から明らかなように、実施例1〜5の積層フィルムは、抗菌剤としてソルビン酸カリウム(PK)又は乳酸ナトリウム(SL)を含む抗菌樹脂フィルムを、第1樹脂層として備えていることにより、カット野菜に対して、十分な抗菌性を示した。なかでも、実施例1〜4の積層フィルムは、特に抗菌性に優れていた。
実施例1〜5の積層フィルムにおいて、第1樹脂層(抗菌樹脂フィルム)の前記酸素透過量は、3000cc/m・atm・dayと十分に多いのに対し、実施例1〜4の積層フィルムにおいて、第2樹脂層の前記酸素透過量は、1500cc/m・atm・dayと十分に少なく、この酸素透過量の少なさが、実施例1〜4の積層フィルムの特に優れた抗菌性に寄与していると推測された。実施例5の積層フィルムにおいては、第2樹脂層の前記酸素透過量が、5000cc/m・atm・dayと多くなっており、これが、実施例5の積層フィルムが、実施例1〜4の積層フィルムよりも、抗菌性の点で劣っていた理由であると推測された。
これに対して、比較例1の積層フィルムは、いずれの層も抗菌剤を含んでおらず、カット野菜に対する抗菌性は不十分であった。
本発明は、食品用の包装体全般で利用可能である。
1・・・積層フィルム
11・・・抗菌樹脂フィルム
11a・・・抗菌樹脂フィルムの一方の面
11b・・・抗菌樹脂フィルムの他方の面
12・・・第2樹脂層
12a・・・第2樹脂層の一方の面

Claims (6)

  1. ソルビン酸金属塩及び乳酸金属塩からなる群より選択される1種又は2種以上を抗菌剤として含む、抗菌樹脂フィルム。
  2. 前記ソルビン酸金属塩がソルビン酸カリウムである、請求項1に記載の抗菌樹脂フィルム。
  3. 前記乳酸金属塩が乳酸ナトリウムである、請求項1に記載の抗菌樹脂フィルム。
  4. 前記抗菌剤が一般生菌用である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の抗菌樹脂フィルム。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の抗菌樹脂フィルムを備えた、積層フィルム。
  6. 前記積層フィルムが、前記抗菌樹脂フィルムからなるシーラント層と、前記シーラント層の一方の面上に設けられた第2樹脂層と、を備えており、
    前記第2樹脂層の、25℃、65%RHの雰囲気下における酸素透過量が、5000cc/m・atm・day未満である、請求項5に記載の積層フィルム。
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