JP2021153422A - ポスピウイロイドの解析用ポジティブコントロール及びその利用 - Google Patents

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Abstract

【課題】ポスピウイロイドの非感染性のポジティブコントロールを提供する。【解決手段】核酸構築物は、リアルタイムRT-PCR用であり、宿主に非感染性であり、ポスピウイロイドのcDNA増幅用のPCRプライマーセットで増幅可能あり、ならびに、増幅される領域は、ポスピウイロイドと異なる塩基配列を有し、塩基配列の長さの差が±5%の範囲内、塩基配列のGC含有率の差が±5%の範囲内である。【選択図】なし

Description

本発明は、ポスピウイロイドの解析用ポジティブコントロール及びその利用に関する。
ポスピウイロイドには、トマト、ジャガイモ等のナス科作物に経済的被害を引き起こすものもある。ポスピウイロイドの多くは種子伝染し、観葉植物では無病徴感染するため、発生地域の拡大が懸念されている。特に、感染種子の流通による拡散は、国際的な問題とされている。そのため、ポスピウイロイドの国内未発生種の国内への侵入を防止すると共に感染植物の流通を阻止するため、植物検疫当局、種苗会社等では、ポスピウイロイドの宿主となり得る植物及び種苗の検査技術が求められている。
ポスピウイロイドの検出技術として、特許文献1及び非特許文献1〜3に記載された技術が知られている。特許文献1並びに非特許文献1及び2には、複数種のポスピウイロイドを検出及び識別する技術が記載されている。
非特許文献3には、ポスピウイロイドの1種であるジャガイモやせいもウイロイド(Potato spindle tuber viroid:PSTVd)をRT−PCR法により検出する際のポジティブコントロールが記載されている。非特許文献3には、このポジティブコントロールが、野生型のPSTVdの配列を2塩基欠損させて、36塩基の挿入配列を組込み、非感染性となったRNAであることが記載されている。
WO2010/140518
柳澤 広宣、志岐 悠介、植物防疫所調査研究報告、第51号:1-6(2015) Yanagisawa et al., Eur. J. Plant Pathol. DOI 10.1007/s10658-017-1157-1, 2017 Tatsuji Hataya, J. Gen. Plant Pathol., (2009) vol.75:167-172
特許文献1並びに非特許文献1及び2に記載されたポスピウイロイドの検出技術は、植物防疫所の輸出検疫における種子検査法として実装されており、さらに、民間種苗メーカーにおける品質検査にも用いられはじめている。
植物防疫所や民間種苗メーカーでは、迅速に大量の種子を抜き取り検査することが求められており、このような検査にはリアルタイムRT−PCRが最も適している。リアルタイムRT−PCRにおいてはポジティブコントロールが必要になるが、現状適切なポジティブコントロールが存在せず、ポスピウイロイド自体がポジティブコントロールとして用いられている。
非特許文献3に記載されたPSTVdのポジティブコントロールは、野生型のPSTVdの配列と長さが異なるため、リアルタイムRT−PCRで得られる増幅曲線及び解離曲線が野生型のPSTVdと大きく異なり、陽性判断の基準として利用することができない。
ポスピウイロイドの多くが国内未発生であるため、感染性を有する野生型のポスピウイロイドの所持は規制されている。また、検査課程におけるコンタミネーションが生じた場合、真の陽性か否かを判断するのが困難な場合もあり、野生型のポスピウイロイドと区別できるポジティブコントロールが求められている。このようなポジティブコントロールを用いたリアルタイムRT−PCR解析によれば、既存のポスピウイロイドの検査技術の精度管理が容易となり、当該技術の普及がより加速すると共に、輸出入される種子及び植物流通の円滑化に貢献することが期待される。
本発明の一態様は、リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応により増幅したポスピウイロイドを解析するためのポジティブコントロールであって、野生型の塩基配列と区別可能な非感染性のポジティブコントロールを提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明は、以下の態様を含む。
1) ポスピウイロイドのポジティブコントロール用の核酸構築物であって、リアルタイムRT-PCR用であり、宿主に非感染性であり、ポスピウイロイドのcDNA増幅用のPCRプライマーセットで増幅可能であり、並びに前記PCRプライマーセットで増幅される領域は、ポスピウイロイドのcDNAにおける増幅される領域との比較で、異なる塩基配列を有し、塩基配列の長さの差が±5%の範囲内であり、かつ、塩基配列のGC含有率の差が±5%の範囲内である、核酸構築物。
2) (a)配列番号1から3のいずれかに示す塩基配列;(b)配列番号1から3のいずれかに示す塩基配列における、少なくとも1つの塩基が置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列;及び(c)配列番号1から3のいずれかに示す塩基配列との同一性が90%以上である塩基配列からなる群より選択されるいずれかの塩基配列からなる、1)に記載の核酸構築物。
3) ポスピウイロイドのcDNAの全長配列との同一性が80%以上の塩基配列からなる、1)又は2)に記載の核酸構築物。
4) 前記PCRプライマーセットで増幅される領域の塩基配列は、ポスピウイロイドのcDNAにおける増幅される領域の塩基配列との同一性が75%以上である、1)から3)のいずれかに記載の核酸構築物。
5) 前記ポスピウイロイドが、ジャガイモやせいもウイロイド、トマト黄化萎縮ウイロイド、カンキツエクソコーティスウイロイド、コルムネアラテントウイロイド、トマトアピカルスタントウイロイド、ペッパーチャットフルーツウイロイド、キク矮化ウイロイド、及びトマトプランタマッチョウイロイドからなる群より選択される、1)から4)のいずれかに記載の核酸構築物。
6) 前記PCRプライマーセットで増幅される領域は、制限酵素で処理された場合に、前記ポスピウイロイドのcDNAにおける増幅される領域とは異なる位置で切断される、1)から5)のいずれかに記載の核酸構築物。
7) 前記PCRプライマーセットで増幅される領域は、前記ポスピウイロイドのcDNAにおける増幅される領域には存在しない制限酵素認識配列を含む、1)から6)のいずれかに記載の核酸構築物。
8) 1)から7)のいずれかに記載の核酸構築物を含む、ベクター。
9) 1)から7)のいずれかに記載の核酸構築物及び被験植物由来のRNAを、リアルタイムRT-PCRにより増幅する増幅工程を包含する、ポスピウイロイドの解析方法。
10) 前記増幅工程において増幅した前記核酸構築物及び前記RNAの解離曲線を生成する生成工程をさらに包含する、9)に記載のポスピウイロイドの解析方法。
11) 1)から7)のいずれかに記載の核酸構築物と、ポスピウイロイドのcDNA増幅用のPCRプライマーセットとを備えた、ポスピウイロイドの解析キット。
12) 前記核酸構築物はベクターに組み込まれた形態である、11)に記載のポスピウイロイドの解析キット。
本発明の一態様によれば、ポスピウイロイドのリアルタイムRT-PCR用であって、野生型の塩基配列と区別可能な非感染性のポジティブコントロールを提供することができる。
本発明の一実施形態に係るポジティブコントロールを用いたポスピウイロイドの解析方法を説明する図である。 野生型のPSTVdの塩基配列及び実施例で作製したユニバーサルポジティブコントロールの塩基配列を示す図である。 野生型のPCFVdの塩基配列及び実施例で作製したPCFVdのポジティブコントロールの塩基配列を示す図である。 野生型のCLVdの塩基配列及び実施例で作製したCLVdのポジティブコントロールの塩基配列を示す図である。 実施例で作製したポジティブコントロールを電気泳動した結果を示す図である。 実施例のリアルタイムRT−PCRにおけるユニバーサルポジティブコントロールの増幅曲線を示す図である。 実施例のリアルタイムRT−PCRにおけるCLVd特異的ポジティブコントロールの増幅曲線を示す図である。 実施例のリアルタイムRT−PCRにおけるPCFVdポジティブコントロールの増幅曲線を示す図である。 実施例のリアルタイムRT−PCRにおけるユニバーサルポジティブコントロールの解離曲線を示す図である。 実施例のリアルタイムRT−PCRにおけるCLVd特異的ポジティブコントロールの解離曲線を示す図である。 実施例のリアルタイムRT−PCRにおけるPCFVdポジティブコントロールの解離曲線を示す図である。 実施例のリアルタイムRT−PCRで増幅したユニバーサルポジティブコントロールを制限酵素で処理し、電気泳動した結果を示す図である。 実施例のリアルタイムRT−PCRで増幅したCLVd特異的ポジティブコントロールを制限酵素で処理し、電気泳動した結果を示す図である。 実施例のリアルタイムRT−PCRで増幅したPCFVdポジティブコントロールを制限酵素で処理し、電気泳動した結果を示す図である。
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。なお、本明細書中に記載された文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。また、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A〜B」は、「A以上(Aを含みかつAより大きい)、B以下(Bを含みかつBより小さい)」を意味する。
本明細書中で使用される場合、用語「核酸」は、「ポリヌクレオチド」又は「核酸分子」と交換可能に使用され、ヌクレオチドの重合体が意図される。ここで、核酸は、DNAの形態(例えば、cDNA若しくはゲノムDNA)、又は、RNA(例えば、mRNA)の形態にて存在し得る。DNA又はRNAは、二本鎖であっても、一本鎖であってもよい。一本鎖DNA又はRNAは、コード鎖(センス鎖)であっても、非コード鎖(アンチセンス鎖)であってもよい。本明細書において使用される場合、塩基の表記は、適宜IUPAC及びIUBの定める1文字表記を使用する。また、本明細書において、「3’末端」とは、遺伝子配列の下流における端部領域又は位置を意味し、「5’末端」とは、遺伝子配列の上流における端部領域又は位置を意味している。
〔核酸構築物〕
本発明の一実施形態に係る核酸構築物は、ポスピウイロイドのポジティブコントロール用の核酸構築物であって、リアルタイムRT-PCR用であり、宿主に非感染性であり、ポスピウイロイドのcDNA増幅用のPCRプライマーセットで増幅可能で、前記PCRプライマーセットで増幅される領域は、ポスピウイロイドのcDNAにおける増幅される領域との比較で、異なる塩基配列を有し、塩基配列の長さの差が±5%の範囲内であり、かつ、塩基配列のGC含有率の差が±5%の範囲内である。
核酸構築物は、ポスピウイロイドの解析において解析基準として用いることができる。核酸構築物は、リアルタイムRT−PCRにおいて、ポスピウイロイド検出の陽性判断の基準や、ポスピウイロイド定量の基準として用いることができる。核酸構築物は、ポスピウイロイドの塩基配列の一部が変異した塩基配列を有しており、野生型のポスピウイロイドが有する宿主植物への感染性は失われている。すなわち、核酸構築物は、宿主に非感染性である。したがって、核酸構築物を、トマトやジャガイモのようなポスピウイロイドの宿主となり得る植物に接種しても、これらの植物はポスピウイロイドに感染しない。
(ポスピウイロイド)
ポスピウイロイドは、ポスピウイロイド科ポスピウイロイド属に属するウイロイドである。ウイロイドは、塩基数の短い環状の1本鎖RNAのみで構成され、高等植物に対して感染性を有する。ポスピウイロイドの例として、ジャガイモやせいもウイロイド(PSTVd)、トマト黄化萎縮ウイロイド(TCDVd)、カンキツエクソコーティスウイロイド(CEVd)、コルムネアラテントウイロイド(CLVd)、トマトアピカルスタントウイロイド(TASVd)、ペッパーチャットフルーツウイロイド(PCFVd)、キク矮化ウイロイド(CSVd)、及びトマトプランタマッチョウイロイド(TPMVd)が挙げられる。核酸構築物は、これらのポスピウイロイド検出の陽性判断の基準や、ポスピウイロイド定量の基準として用いることができる。
(リアルタイムRT−PCR)
リアルタイムRT−PCRは、リアルタイム逆転写ポリメラーゼ連鎖反応を意味しており、RNAを逆転写したcDNAを鋳型としたポリメラーゼ連鎖反応による増幅を経時的(リアルタイム)に測定するものである。核酸構築物は、cDNA又はRNAである。核酸構築物がcDNAである場合、RNAに転写してリアルタイムRT−PCRに用いる。
核酸構築物をポジティブコントロールとして用いることができるリアルタイムRT−PCRの例として、TaqMan Assay、SYBR Green Assay等が挙げられる。核酸構築物をポジティブコントロールとして用いるリアルタイムRT−PCRとして、SYBR Green Assayがより適しているが、これに限定されない。
リアルタイムRT−PCRは、ポスピウイロイドのPCR増幅に適した条件で実行される。当該PCR増幅に適した条件の例として、後述する実施例の条件が挙げられるが、これに限定されない。
(PCRプライマーセット)
核酸構築物は、ポスピウイロイドのcDNA増幅用のPCRプライマーセットで増幅可能である。すなわち、核酸構築物は、ポスピウイロイドのcDNAを増幅するために用いられるPCRプライマーセットと同一のPCRプライマーセットに相補的な配列を有し、当該相補配列にPCRプライマーセットが結合することで増幅されるものである。
PCRプライマーセットは、核酸構築物における相補配列からなるポリヌクレオチドに対して、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることができるように設計された配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーを意味する。「ストリンジェントな条件」は、例えば、1×SSC、0.1% SDS中、60℃で洗浄する条件である。
PCRプライマーセットは、フォワードプライマー及びリバースプライマーを組み合わせたものであり得る。PCRプライマーセットには、例として、配列番号4〜9のいずれかに示す配列からなるプライマーが含まれる。また、PCRプライマーセットは、配列番号4〜9のいずれかに示す配列に対して、80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上の配列同一性を有する塩基配列からなるプライマーが含まれていてもよい。
後述する配列番号1に示す塩基配列からなる核酸構築物において、PCRプライマーセットにより増幅される領域は、配列番号4に示す塩基配列からなるプライマー及び配列番号5に示す塩基配列からなるプライマーからなるPCRプライマーセットを用いて増幅可能である。後述する配列番号2に示す塩基配列からなる核酸構築物において、PCRプライマーセットにより増幅される領域は、配列番号6に示す塩基配列からなるプライマー及び配列番号7に示す塩基配列からなるプライマーからなるPCRプライマーセットを用いて増幅可能である。後述する配列番号3に示す塩基配列からなる核酸構築物において、PCRプライマーセットにより増幅される領域は、配列番号8に示す塩基配列からなるプライマー及び配列番号9に示す塩基配列からなるプライマーからなるPCRプライマーセットを用いて増幅可能である。
なお、PCRプライマーセットは、ポスピウイロイドのcDNAと、本発明に係る核酸構築物(当該ポスピウイロイドのポジティブコントロールとなる)との双方を増幅可能なものであれば、上記した具体例のものに限定されない。例えば、配列番号4に示す塩基配列における少なくとも15個の連続する塩基を含むプライマーは、配列番号4に示す塩基配列からなるプライマーと同様に使用し得る。プライマーの長さは、一例では15bp〜50bpの範囲内であり、15又は17bp〜35bpの範囲内であり、15又は17bp〜30bpの範囲内であり、15、17又は20bp〜25bpの範囲内である。配列番号5、6、7、8、及び9に示すプライマーも同様にして設計変更が可能であり得る。なお、配列番号4〜9に示すよりもプライマーの長さを延ばす場合は、増幅対象となるウイロイドの配列を参照して設計すればよい。
(増幅領域)
PCRプライマーセットで増幅される領域(増幅領域)は、PCRプライマーセットに対する相補配列の領域と、これらの相補配列に挟まれた領域とを含む。核酸構築物及びポスピウイロイドのcDNAにおける増幅領域の長さは、一例では、80塩基長〜300塩基長の範囲内であり、100塩基長〜300塩基長の範囲内であり、100塩基長〜270塩基長の範囲内であり、130塩基長〜270塩基長の範囲内であり、又は135塩基長〜265塩基長の範囲内である。また、核酸構築物及びポスピウイロイドのcDNAにおける増幅領域は、一例では、それらの全長配列における第20番目の塩基から第350番目の塩基までの範囲内、第25番目の塩基から第300番目の塩基までの範囲内、第28番目の塩基から第290番目の塩基までの範囲内、又は、第30番目の塩基から第290番目の塩基までの範囲内の領域である。
核酸構築物において、PCRプライマーセットで増幅される領域は、ポスピウイロイドのcDNAにおける増幅される領域との比較で、異なる塩基配列を有している。すなわち、核酸構築物における増幅領域の塩基配列は、ポスピウイロイドのcDNAにおける増幅領域の塩基配列と異なっている。
核酸構築物における増幅領域の塩基配列は、ポスピウイロイドのcDNAにおける増幅領域の塩基配列との同一性が、一例では、99%以下、98%以下、97%以下、96%以下、又は、95%以下である。
また、核酸構築物における増幅領域の塩基配列は、ポスピウイロイドのcDNAにおける増幅領域の塩基配列との同一性が、一例では、75%以上、80%以上、85%以上、86%以上、87%以上,88%以上、89%以上、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、又は、95%以上であるが、完全同一ではない。これにより、核酸構築物をポスピウイロイドのポジティブコントロールとして用いた場合に、ポスピウイロイド以外の核酸を検出又は定量するリスクが低減し、ポスピウイロイド検出及び定量の精度の低下を防ぐことができる。
核酸構築物における増幅領域の塩基配列とポスピウイロイドのcDNAにおける増幅領域の塩基配列との同一性の範囲は、一例では、75%〜95%、80%〜95%、又は85%〜95%の範囲である。また、一例では、核酸構築物の増幅領域は、ポスピウイロイドのcDNAの増幅領域との比較で、同一性の範囲が75%〜95%、かつ、塩基配列の長さの差は±5%の範囲内であり、同一性の範囲が80%〜95%、かつ、塩基配列の長さの差は±3%の範囲内である。さらに、一例では、核酸構築物の増幅領域は、ポスピウイロイドのcDNAの増幅領域との比較で、同一性の範囲が75%〜95%、かつ、塩基配列のGC含有率の差は±5%の範囲内であり、同一性の範囲が80%〜95%、かつ、塩基配列のGC含有率の差は±3%の範囲内である。
このように、核酸構築物において増幅される領域の塩基配列とポスピウイロイドのcDNAにおいて増幅される領域の塩基配列とが異なっていることによって、増幅された塩基配列に基づいて核酸構築物とポスピウイロイドとを容易に区別することができる。その結果、検出又は定量された核酸構築物が、ポジティブコントロールであるのであって、野生型のポスピウイロイドによるコンタミネーションではないことを、明確に判別することができる。
核酸構築物とポスピウイロイドとは、ゲル電気泳動解析、キャピラリー電気泳動解析、自動シークエンサー等を用いた塩基配列決定解析、MALDI−TOF/MS解析等の公知の解析方法により区別することができるが、これらに限定されない。
(制限酵素認識配列)
核酸構築物において、PCRプライマーセットで増幅される領域は、制限酵素で処理された場合に、ポスピウイロイドのcDNAにおいて増幅される領域とは異なる位置で切断されることが好ましい。すなわち、核酸構築物において増幅される領域の制限酵素認識配列は、ポスピウイロイドのcDNAにおいて増幅される領域の制限酵素認識配列とは異なることが好ましい。これにより、核酸構築物とポスピウイロイドのcDNAとを制限酵素で処理した場合に、切断された核酸断片の長さが異なる。したがって、核酸断片の長さを比較するのみで、核酸構築物をポスピウイロイドと容易に区別することができる。
また、核酸構築物において、PCRプライマーセットで増幅される領域は、前記ポスピウイロイドのcDNAにおける増幅される領域には存在しない制限酵素認識配列を含んでいてもよい。これにより、核酸構築物とポスピウイロイドのcDNAとを制限酵素で処理した場合に、核酸構築物を当該制限酵素認識配列において切断する制限酵素によって、ポスピウイロイドのcDNAは切断されない。したがって、当該制限酵素によって切断されるか否かを判断するのみで、核酸構築物をポスピウイロイドと容易に区別することができる。
核酸構築物において、PCRプライマーセットで増幅される領域に含まれる制限酵素認識配列として、例えば、MunI、HindIII、SmiI、DraI、EcoRI、AatIII、AccIII、AfaI、AflII、Aor13HI、ApaI、BalI、BbeI、BglII、BluI、Bst1107I、ClaI、EcoRV、HpaI、MluI、NaeI、NcoI、NdeI、NheI、NotI、NruI、PmaCI、SpeI、SspI、StuI、XbaI、XhoI等の制限酵素の認識配列が挙げられる。PCRプライマーセットで増幅される領域には、2以上の上記制限酵素の認識配列が含まれていてもよい。PCRプライマーセットで増幅される領域は、例えば、MunI、HindIII、DraI、及びEcoRIの4つの制限酵素認識配列を含んでいてもよい。
核酸構築物において、制限酵素認識配列は、PCRプライマーセットで増幅される領域の5’末端及び3’末端から離れた位置に含まれていることが好ましい。制限酵素認識配列が、増幅される領域の5’末端及び3’末端に近い位置に含まれていると、制限酵素により切断される核酸断片と切断前の核酸との長さの差が小さく、長さの比較による核酸構築物とポスピウイロイドとの識別が困難になる。制限酵素認識配列が、増幅される領域の5’末端及び3’末端から離れた位置に含まれていれば、制限酵素により切断される核酸断片と切断前の核酸との長さの差が大きくなり、長さの比較による核酸構築物とポスピウイロイドとの識別が容易である。核酸構築物において、制限酵素認識配列は、PCRプライマーセットで増幅される領域の5’末端又は3’末端から、増幅される領域の塩基長の約半分程度離れた塩基配列の領域に含まれていることが好ましい。
制限酵素で処理した核酸構築物の検出及び比較は、例えば、ゲル電気泳動解析、キャピラリー電気泳動解析等の塩基配列解析方法により行うことができるが、これらに限定されない。
(塩基配列の長さ)
核酸構築物において、PCRプライマーセットで増幅される領域は、ポスピウイロイドのcDNAにおける増幅される領域との比較において、塩基配列の長さ(bp)の差が±5%の範囲内である。これにより、核酸構築物を、例えば、ポスピウイロイドの定量のポジティブコントロールとして用いた場合に、ポスピウイロイドとの増幅曲線の類似性が高いため、精度よく定量することができる。PCRプライマーセットで増幅される領域の塩基配列の長さは、ポスピウイロイドのcDNAにおける増幅される領域の塩基配列の長さと概ね同一であることが好ましい。
核酸構築物において、PCRプライマーセットで増幅される領域は、ポスピウイロイドのcDNAにおける増幅される領域との比較において、塩基配列の長さの差は、好ましくは±3%の範囲内であり、より好ましくは±1%の範囲内であり、最も好ましくはその長さが同一である。また、核酸構築物の塩基配列は、ポスピウイロイドのcDNAの全長配列との比較において、塩基配列の長さの差は、好ましくは±5%の範囲内であり、より好ましくは±3%の範囲内であり、さらに好ましくは±1%の範囲内であり、最も好ましくはその長さが同一である。
(塩基配列のGC含有率)
核酸構築物の塩基配列は、PCRプライマーセットで増幅される領域は、ポスピウイロイドのcDNAにおける増幅される領域との比較において、塩基配列のGC含有率の差が±5%の範囲内である。これにより、核酸構築物を、例えば、ポスピウイロイドの検出のポジティブコントロールとして用いた場合に、ポスピウイロイドと解離曲線のピーク値の類似性が高いため、精度よく検出することができる。PCRプライマーセットで増幅される領域の塩基配列のGC含有率は、ポスピウイロイドのcDNAにおける増幅される領域の塩基配列のGC含有率と概ね同一であることが好ましい。
GC含有率は、対象領域内の塩基配列におけるグアニンとシトシンとの含有率を意味している。GC含有率は、当該領域内の塩基配列中に出現するグアニン及びシトシンの数を、当該塩基配列の長さで除算することにより算出することができる。
核酸構築物において、PCRプライマーセットで増幅される領域は、ポスピウイロイドのcDNAにおける増幅される領域との比較において、塩基配列のGC含有率の差は、好ましくは±3%の範囲内であり、より好ましくは±1%の範囲内であり、最も好ましくは塩基配列のGC含有率が同一である。また、核酸構築物の塩基配列は、ポスピウイロイドのcDNAの全長配列との比較において、塩基配列のGC含有率の差は、好ましくは±5%の範囲内であり、より好ましくは±3%の範囲内であり、さらに好ましくは±1%の範囲内であり、最も好ましくは塩基配列のGC含有率が同一である。
(核酸構築物の塩基配列)
核酸構築物は、(a)配列番号1から3のいずれかに示す塩基配列;(b)配列番号1から3のいずれかに示す塩基配列における、少なくとも1つの塩基が置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列;及び(c)配列番号1から3のいずれかに示す塩基配列との同一性が90%以上である塩基配列からなる群より選択されるいずれかの塩基配列からなっていてもよい。
前記(a)の塩基配列に関して、配列番号1に示す塩基配列は、PSTVdの塩基配列の一部が変異した塩基配列である。配列番号2に示す塩基配列は、PCFVdの塩基配列の一部が変異した塩基配列である。配列番号3に示す塩基配列は、CLVdの塩基配列の一部が変異した塩基配列である。
配列番号1に示す塩基配列からなる核酸構築物は、PSTVd、TCDVd、TASVd、TPMVd、CSVd、及びCEVdの6種類のポスピウイロイドのポジティブコントロールとして共通に用いることができる。配列番号2に示す塩基配列からなる核酸構築物は、PCFVdのポジティブコントロールとして用いることができる。配列番号3に示す塩基配列からなる核酸構築物は、CLVdのポジティブコントロールとして用いることができる。
前記(b)の塩基配列に関して、配列番号1から3のいずれかに示す塩基配列で示される核酸構築物の、機能的に同等の変異体、誘導体、バリアント、アレル、ホモログ、オルソログ、部分ヌクレオチド、他のヌクレオチドとの融合核酸等の塩基配列を意図しており、ポスピウイロイドのポジティブコントロールとして用いられる限り、その塩基配列については限定されない。
ここで、欠失、置換又は付加されてもよい塩基の数は、上記機能を失わせない限り、限定されていないが、部位特異的突然変異誘発法等の公知の導入法によって、欠失、置換、又は付加できる程度の数をいい、通常は、50塩基以内であり、好ましくは30塩基以内であり、より好ましくは20塩基以内であり、さらに好ましくは10塩基以内であり、最も好ましくは5塩基以内(例えば、5、4、3、2又は1塩基)である。前記(b)の塩基配列に関して、配列番号1〜3のいずれかにおいて欠失、置換又は付加される塩基は、PCRプライマーセットで増幅される領域外の塩基であることが好ましい。
本明細書中において「変異体」とは、部位特異的突然変異誘発法等によって人為的に導入された変異体を主に意味するが、天然に存在する同様の変異体であってもよい。本明細書において「機能的に同等」とは、対象となる塩基配列で示される核酸構築物が、目的とする塩基配列で示される核酸構築物と同等(同一および/または類似)の生物学的機能や生化学的機能を有することを意図する。変異を導入した核酸構築物が所望の機能を有するかどうかは、その変異した核酸構築物をリアルタイムRT−PCRすることにより得られる増幅曲線及び解離曲線と、ポスピウイロイドの増幅曲線及び解離曲線を比較することにより判断できる。
前記(c)の塩基配列に関して、配列番号1から3のいずれかに示す塩基配列で示される核酸構築物の、機能的に同等の変異体、誘導体、バリアント、アレル、ホモログ、オルソログ、部分ヌクレオチド、他のヌクレオチドとの融合遺伝子等の塩基配列を意図しており、ポスピウイロイドのポジティブコントロールとして用いられる限り、その塩基配列については限定されない。前記(c)の塩基配列に関して、配列番号1から3のいずれかにおいて変異する塩基は、PCRプライマーセットで増幅される領域外の塩基であることが好ましい。
塩基配列の同一性とは、塩基配列全体(または機能発現に必要な領域)で、少なくとも90%以上、より好ましくは95%以上(例えば、95%、96%、97%、98%、99%以上)の配列の同一性を有することを意味する。塩基配列の同一性は、BLASTNのプログラム(Altschul et al. J. Mol. Biol., 215: 403-410, 1990)を利用して決定することができる。該プログラムは、KarlinおよびAltschulによるアルゴリズムBLAST(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87:2264-2268, 1990, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90: 5873-5877, 1993)に基づいている。BLASTNによって塩基配列を解析する場合には、パラメーターは例えばscore =100、wordlength =12とする。この解析方法の具体的な手法は公知である。比較対象の塩基配列を最適な状態にアラインメントするために、付加または欠失(例えば、ギャップ等)を許容してもよい。
上述した配列番号1から3のいずれかに示す塩基配列で示される核酸構築物の変異体を得る方法としては、通常行われるポリヌクレオチド改変方法を用いてもよい。すなわち、配列番号1から3のいずれかに示す塩基配列で示されるポリヌクレオチドの特定の塩基を置換、欠失、挿入および/または付加することで、所望の変異体を作製することができる。ポリヌクレオチドの塩基を変換する具体的な方法としては、例えば市販のキット(KOD-Plus Site-Directed Mutagenesis Kit;東洋紡製,Transformer Site-Directed Mutagenesis Kit; Clontech製,QuickChange Site Directed Mutagenesis Kit; Stratagene製など)の使用、またはポリメラーゼ連鎖反応法(polymerase chain reaction:PCR)の利用が挙げられる。これらの方法は当業者に公知である。
核酸構築物は、ポスピウイロイドのcDNAの全長配列との同一性が90%以上の塩基配列からなってもよい。核酸構築物は、ポスピウイロイドのcDNAの全長配列との同一性が、より好ましくは95%以上(例えば、95%、96%、97%、98%、99%以上)の塩基配列からなる。これにより、核酸構築物をポスピウイロイドのポジティブコントロールとして用いた場合に、ポスピウイロイド以外の核酸を検出又は定量するリスクが低減し、ポスピウイロイド検出及び定量の精度の低下を防ぐことができる。
ポスピウイロイドのcDNAの全長配列は、GenBank配列データベースにおいて、PSTVdは、Accession No.EU862231、PCFVdは、Accession No.HQ731652、CLVdは、Accession No.AY372392に登録されている全長塩基配列を示している。
核酸構築物における増幅領域以外の領域の塩基配列は、ポスピウイロイドのcDNAにおける増幅領域以外の領域の塩基配列との同一性が、一例では、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上、又は完全同一である。
また、核酸構築物の全長塩基配列は、ポスピウイロイドのcDNAの全長塩基配列との同一性が、一例では、80%以上、85%以上、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上であるが、完全同一ではない。核酸構築物の全長塩基配列とポスピウイロイドのcDNAの全長塩基配列との同一性の範囲は、一例では、80%〜99%、90%〜98%、又は90%〜95%の範囲である。また、一例では、核酸構築物の全長配列は、ポスピウイロイドのcDNAの全長配列との比較で、同一性の範囲が90%〜98%、かつ、塩基配列の長さの差は±3%の範囲内であり、同一性の範囲が90%〜95%、かつ、塩基配列の長さの差は±1%の範囲内である。さらに、一例では、核酸構築物の全長配列は、ポスピウイロイドのcDNAの全長配列との比較で、同一性の範囲が90%〜98%、かつ、塩基配列のGC含有率の差は±3%の範囲内であり、同一性の範囲が90%〜95%、かつ、塩基配列のGC含有率の差は±1%の範囲内である。
(核酸構築物の作製)
核酸構築物は、鋳型となるcDNAと、適切なプライマーセットとを用いてPCR増幅することにより作製することができる。また、核酸構築物は、公知の他のポリヌクレオチド合成方法により作製してもよい。
配列番号1から3のいずれかに示す塩基配列からなる核酸構築物は、配列番号1から3のいずれかに示す塩基配列が挿入されたベクターと、配列番号10〜12のいずれかに示す塩基配列からなるプライマーを含むプライマーセットを用いて、PCR増幅することにより作製することができる。
配列番号1に示す塩基配列からなる核酸構築物は、配列番号10に示す塩基配列からなるプライマー及び配列番号11に示す塩基配列からなるプライマーからなるプライマーセットを用いて、PCR増幅することにより作製することができる。配列番号2に示す塩基配列からなる核酸構築物は、配列番号10に示す塩基配列からなるプライマー及び配列番号11に示す塩基配列からなるプライマーからなるプライマーセットを用いて、PCR増幅することにより作製することができる。配列番号3に示す塩基配列からなる核酸構築物は、配列番号10に示す塩基配列からなるプライマー及び配列番号12に示す塩基配列からなるプライマーからなるプライマーセットを用いて、PCR増幅することにより作製することができる。
配列番号1から3のいずれかに示す塩基配列が挿入するベクターとしては、pUC19のような公知のクローニングベクターを用いることができる。このようなクローニングベクターを上述したプライマーセットと共に、適切なPCR条件下でPCR増幅することで、配列番号1から3のいずれかに示す塩基配列からなる核酸構築物のcDNAを得ることができる。核酸構築物がRNAである場合には、PCR増幅により得られたcDNAを用いて適切なRNA転写反応条件下でRNA転写し、鋳型cDNAを除去することで得られる。適切なPCR条件及びRNA転写反応条件として、例えば、後述する実施例の条件であり得るが、これに限定されない。
得られた核酸構築物は、リアルタイムRT−PCRにおけるポスピウイロイドのポジティブコントロールとして使用するのに適した濃度に希釈して用いられる。核酸構築物がcDNAである場合には、リアルタイムRT−PCRに用いる前にRNA転写する。RNAはcDNAと比較して不安定であるため、cDNAの核酸構築物を流通又は保管し、リアルタイムRT−PCRを行う作業者が、作業前にRNA転写して用いることが好ましい。
〔ベクター〕
本発明の一実施形態に係るベクターは、上述した核酸構築物のいずれかを含む。核酸構築物が挿入されるベクターとして、例えば、pUC系プラスミド、pHSG系プラスミド(TaKaRa)、pCR系プラスミド(Invitrogen)、pGEM系プラスミド(Promega)等の公知のクローニングベクターが挙げられるがこれに限定されない。上述した核酸構築物のいずれかを含むベクターは、核酸構築物の作製に有用である。
上述した核酸構築物は、本発明に係るベクターに含まれる核酸構築物の一態様である。したがって、本発明に係るベクターの詳細については、上述した本発明の一実施形態に係る核酸構築物の説明に準じる。
〔ポスピウイロイドの解析方法〕
本発明の一実施形態に係るポスピウイロイドの解析方法は、上述したいずれかの核酸構築物及び被験植物由来のRNAを、リアルタイムRT-PCRにより増幅する増幅工程を包含する。
ポスピウイロイドの解析方法における被験植物として、例えば、ポスピウイロイドに対して被感染性を有する植物が挙げられるがこれに限定されない。そのような被験植物の例としては、ナス科植物(例えば、ナス属、ペチュニア属、トウガラシ属、タバコ属)、クマツヅラ科植物(例えば、クマツヅラ属)、キク科植物(例えば、キク属、シュンギク属)等が挙げられる。具体例としては、ジャガイモ、トマト、ペチュニア、ピーマン、タバコ、バーベナ、シュンギク等が挙げられる。ポスピウイロイドの感染の可能性がある植物は、ポスピウイロイドの解析方法の適用対象として特に好適である。
ポスピウイロイドの解析方法における被験植物の試料は、それら被験植物の植物体全体であってもよく、そこから採取した植物体の一部(例えば、葉、茎、果実、がく、花弁、根、塊茎又は種子等)であってもよく、その細胞又は細胞培養物(培養細胞、カルス等)であってもよい。被験植物試料由来のRNAは、例えば、被験植物試料から抽出したRNA(例えば、全RNA)又はその精製物である。被験植物試料からのRNA抽出は、植物分子生物学の分野で慣用されているRNA抽出技術に従って抽出することができる。例えば、シングルステップRNA精製法、ガラス吸着法、酸性フェノール抽出法等の公知の任意のRNA抽出法を使用することができる。RNAの抽出は、例えばTRIzol(登録商標)試薬(Invitrogen)、RNAiso(TaKaRa)、RNeasy(QIAGEN)、ToTALLY RNA(Ambion等の市販のRNA抽出試薬や市販のRNA抽出キット(例えば、TRIzol(登録商標)Plus RNA精製キット(Invitrogen)、Maxwell 16 Total RNA Purification Kit(Promega)等)を用いて行うこともできる。抽出したRNAは、RT−PCRに供する前に、必要に応じてHPLC精製等の周知技術により精製してもよい。
増幅工程においては、ポスピウイロイドのcDNA増幅用のPCRプライマーセットを用いて、核酸構築物及び被験植物由来のRNAから得られるcDNAを鋳型としたリアルタイムRT−PCRによりPCR増幅を行う。増幅工程においては、まず、核酸構築物及び被験植物由来のRNAから、逆転写酵素及び第一鎖cDNA合成プライマーを用いてcDNAを合成する。そして合成したcDNAを、cDNA増幅用のPCRプライマーセットを用いてPCR増幅する。そして、cDNAをPCR増幅する反応系に蛍光色素を存在させ、PCR増幅中の蛍光シグナルを検出する。これにより、リアルタイムRT−PCRによりポスピウイロイドを解析する。
増幅工程において用いられるPCR増幅の反応系に存在させる蛍光色素としては、SYBR Green色素、TB Green色素等の公知の蛍光色素を用いることができる。増幅工程におけるPCR増幅は、ポスピウイロイドのPCR増幅に適した条件で実行される。当該PCR増幅に適した条件の例として、実施例の条件が挙げられるが、これに限定されない。
cDNA増幅用のPCRプライマーセットは、ポスピウイロイドのcDNA増幅用のPCRプライマーセットであり、フォワードプライマー及びリバースプライマーを組み合わせたものであり得る。例えば、cDNA増幅用のPCRプライマーセットには、配列番号4〜9のいずれかに示す配列からなるプライマーが含まれる。
増幅工程においては、PSTVd、TCDVd、TASVd、TPMVd、CSVd、及びCEVdの6種類のポスピウイロイドの解析を行う場合、配列番号4に示す塩基配列からなるプライマー及び配列番号5に示す塩基配列からなるプライマーからなるPCRプライマーセットを共通して用いることができる。また、PCFVdの解析を行う場合、配列番号6に示す塩基配列からなるプライマー及び配列番号7に示す塩基配列からなるプライマーからなるPCRプライマーセットを用いることができる。さらに、CLVdの解析を行う場合、配列番号8に示す塩基配列からなるプライマー及び配列番号9に示す塩基配列からなるプライマーからなるPCRプライマーセットを用いることができる。
ポスピウイロイドの解析方法は、増幅工程において増幅した核酸構築物及びRNAの解離曲線を生成する生成工程をさらに包含していてもよい。生成した解離曲線のピーク値を比較することで、被験植物由来のRNAがポスピウイロイドであるか否かを検出することができる。
また、増幅工程において増幅した核酸構築物とRNAとを、例えば、ゲル電気泳動解析、キャピラリー電気泳動解析等の塩基配列解析方法により解析し、核酸構築物とRNAとのバンドを比較することで、被験植物由来のRNAがポスピウイロイドであるか否かを検出してもよい。
増幅工程においてPCR増幅中の蛍光シグナルを検出することで、核酸構築物及び被験植物由来のRNAの増幅曲線を生成してもよい。生成した増幅曲線を比較することで、被験植物由来のRNAを定量することができる。
ポスピウイロイドの解析方法は、増幅工程において増幅した核酸構築物を、核酸構築物に含まれる制限酵素認識配列を認識する制限酵素で処理する工程を包含してもよい。そして、制限酵素で処理した核酸構築物を、例えば、ゲル電気泳動解析、キャピラリー電気泳動解析等の塩基配列解析方法により解析してもよい。制限酵素で処理した核酸構築物のバンドと野生型のポスピウイロイドの公知のバンドとを比較することで、核酸構築物の増幅が、野生型のポスピウイロイドのコンタミネーションではないことを判別することができる。
ここで、ポスピウイロイドの解析方法について、図1を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るポジティブコントロールを用いたポスピウイロイドの解析方法を説明する図である。増幅工程は、図1に示す1次検定に相当する。図1に示す1次検定及び2次検定は、非特許文献2の記載に従って、好適に行なうことができる。
増幅工程において、PSTVd、TCDVd、TASVd、TPMVd、CSVd、及びCEVdの6種類のポスピウイロイドに対するユニバーサルプライマーを用いて、PSTVd、TCDVd、TASVd、TPMVd、CSVd、及びCEVdの6種類のポスピウイロイドに対する核酸構築物及び被験植物由来のRNAを増幅してもよい。その結果、被験植物由来のRNAが上記6種類のいずれかのポスピウイロイドであるか否かを検出することができる。
ユニバーサルプライマーを用いた1次検定の結果が陽性であった場合には、さらに図1に示す2次検定を行ってもよい。これにより、被験植物由来のRNAが、PSTVd、TCDVd、TASVd、TPMVd、CSVd、及びCEVdの6種類のポスピウイロイドのうち、いずれのポスピウイロイドであるかを識別することができる。なお、1次検定のリアルタイムRT−PCRはSYBR Green法であり、2次検定のリアルタイムRT−PCRはTaqMan法であることが好ましい。
また、増幅工程において、PCFVd特異的プライマーを用いて、PCFVdに対する核酸構築物を及び被験植物由来のRNAを増幅してもよい。その結果、被験植物由来のRNAがPCFVdであるか否かを検出することができる。
さらに、増幅工程において、CLVd特異的プライマーを用いて、PCFVdに対する核酸構築物を及び被験植物由来のRNAを増幅してもよい。その結果、被験植物由来のRNAがCLVdであるか否かを検出することができる。
なお、上述した核酸構築物は、本発明に係るポスピウイロイドの解析方法において用いられる核酸構築物の一態様である。したがって、本発明に係るポスピウイロイドの解析方法の他の詳細については、上述した本発明の一実施形態に係る核酸構築物の説明に準じる。
〔ポスピウイロイドの解析キット〕
本発明の一実施形態に係るポスピウイロイドの解析キットは、上述したいずれかの核酸構築物と、ポスピウイロイドのcDNA増幅用のPCRプライマーセットとを備えている。また、ポスピウイロイドの解析キットにおいて、核酸構築物はベクターに組み込まれた形態である。
なお、上述した核酸構築物は、本発明に係るポスピウイロイドの解析キットに含まれる核酸構築物の一態様である。したがって、本発明に係るポスピウイロイドの解析キットの詳細については、上述した本発明の一実施形態に係る核酸構築物の説明に準じる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
〔1.ポジティブコントロールの作成〕
DNA合成メーカーに依頼し、配列番号1〜3の塩基配列が挿入されたクローニングベクター(pUC19)を入手した。このクローニングベクターを鋳型として、以下に示すプライマーセットを用い、以下に示すPCR反応液中で以下に示すPCR反応条件でPCR増幅した。
配列番号1の塩基配列からなるユニバーサルポジティブコントロールを、フォワードプライマー(pUC19vector-F):TCCGATCTGATGTAATACGACTCAC(配列番号10)及びリバースプライマー(6Pospi-R): TTCAGTTGTTTCCACCGGGTA(配列番号11)を用いて作製した。配列番号2の塩基配列からなるPCFVd特異的ポジティブコントロールを、フォワードプライマー(pUC19vector-F):TCCGATCTGATGTAATACGACTCAC(配列番号10)及びリバースプライマー(6Pospi-R): TTCAGTTGTTTCCACCGGGTA(配列番号11)を用いて作製した。配列番号3の塩基配列からなるCLVd特異的ポジティブコントロールを、フォワードプライマー(pUC19vector-F):TCCGATCTGATGTAATACGACTCAC(配列番号10)及びリバースプライマー(CLV-R3): AGGAAAGGAAACCCGAAGAA(配列番号12)を用いて作製した。
以下の組成のPCR反応液を調製した。
PCR反応液組成
KOD One Master Mix TOYOBO 25μl
DNA (1ng/ul) 2μl
フォワードプライマー(20uM) 2μl
リバースプライマー(20uM) 2μl
蒸留水 19μl
計 50μl
PCR反応は、98℃で1分の変性処理後、98℃で10秒、58℃で5秒、68℃で10秒を1サイクルとして35サイクル行い、続いて12℃で保存することにより行った。
次いで、T7 RiboMAX Express Large Scale RNA Production System(プロメガ製)を用いて、得られたcDNAの逆転写反応を行った。得られたcDNA 約5〜6μgを、バッファー(RiboMAX Express T7 2X Buffer、プロメガ製)20μL及びRNA転写酵素(Enzyme Mix,T7 Express、プロメガ製)4μLと混合し、蒸留水を添加して40μLの逆転写反応液を調製した。37℃で一晩逆転写反応を行った。
反応産物をTurbo DNAase(Turbo DNA−Free Kit、Ambion)で処理し、鋳型cDNAの除去を行い、RNAのみを得た。得られたRNAを、ポジティブコントロールとして使用するのに適切な濃度(通常、20〜25サイクルで増幅される濃度に設定)に希釈した。
また、得られたPCR反応産物のそれぞれを、2%アガロースゲルに注入して1×TAEバッファーを使用して電気泳動を行い、バンドを確認した。結果を図5に示す。図5において、レーン1にはユニバーサルポジティブコントロールのバンドが確認され、レーン2にはCLVd特異的ポジティブコントロールのバンドが確認され、レーン3にはPCFVd特異的ポジティブコントロールのバンドが確認された。レーンMは、100bpラダーマーカーである。図5に示すように、それぞれのポジティブコントロールが特異的に増幅された。
ここで、作製したそれぞれのポジティブコントロールと野生型ポスピウイロイドとの塩基配列とを、図2〜4を参照して比較する。図2は、野生型のPSTVdの塩基配列及び実施例で作製したユニバーサルポジティブコントロールの塩基配列を示す図である。図3は、野生型のPCFVdの塩基配列及び実施例で作製したPCFVdのポジティブコントロールの塩基配列を示す図である。図4野生型のCLVdの塩基配列及び実施例で作製したCLVdのポジティブコントロールの塩基配列を示す図である。
図2〜4において、下線を付した領域はポスピウイロイド由来の配列を示しており、枠囲みした領域はポスピウイロイドのcDNA増幅用のPCRプライマーの塩基配列に相補的な配列を示しており、網掛けを付した領域はポジティブコントロールに挿入した制限酵素認識配列を示している。
図2に示すように、ユニバーサルポジティブコントロールは、PSTVdにおいてPCRプライマーに相補的な配列に挟まれた増幅領域内に、4つの制限酵素認識配列(MunI、HindIII、DraI、及びEcoRI)を含むように変異した塩基配列を有している。ユニバーサルポジティブコントロールの塩基長及びGC含有率は、PSTVdと同一である。
また、図3に示すように、PCFVd特異的ポジティブコントロールは、PCFVdにおいてPCRプライマーに相補的な配列に挟まれた増幅領域内に、4つの制限酵素認識配列(MunI、HindIII、DraI、及びEcoRI)を含むように変異した塩基配列を有している。PCFVd特異的ポジティブコントロールの塩基長及びGC含有率は、PCFVdと同一である。
さらに、図4に示すように、CLVd特異的ポジティブコントロールは、CLVdにおいてPCRプライマーに相補的な配列に挟まれた増幅領域内に、4つの制限酵素認識配列(MunI、HindIII、DraI、及びEcoRI)を含むように変異した塩基配列を有している。CLVd特異的ポジティブコントロールの塩基長及びGC含有率は、CLVdと同一である。
〔2.リアルタイムRT−PCR〕
1.で作成したポジティブコントロール及び野生型ポスピウイロイドについて、Power SYBR Green RNA−to−Ct 1−Step Kit(Applied Biosystems,Foster City,USA)を用いてリアルタイムRT−PCRを行った。PCR反応液として、2μLのRNA、10μLのRT−PCR Master Mix、200nMのフォワードプライマー溶液及びリバースプライマー溶液、0.16μLのRT−Enzyme Mixを含み、蒸留水により20μLとしたPCR反応液を用いた。プライマーダイマーの抑制を、PCRサイクルを比較することで確認した。
配列番号1の塩基配列からなるユニバーサルポジティブコントロール及び野生型のPSTVdに対して、フォワードプライマー: TCCTGTGGTTCACACCTGACC(配列番号4)及びリバースプライマー: TACCCGGTGGAAACAACTGAA(配列番号5)を用いて増幅した。配列番号2の塩基配列からなるPCFVd特異的ポジティブコントロール及び野生型のPCFVdに対して、フォワードプライマー: CCCGAAGCCCGCTTAGG(配列番号6)及びリバースプライマー: TACCCGGTGGATACAACTGACAGA(配列番号7)を用いて増幅した。配列番号3の塩基配列からなるCLVd特異的ポジティブコントロール及び野生型のCLVdに対して、フォワードプライマー: AAGAGCGCAAGAGCGGTCTCAG(配列番号8)及びリバースプライマー: TTCTTCGGGTTTCCT
(配列番号9)を用いて増幅した。
リアルタイムRT−PCR反応を、Step One Plus real-time PCR systems(Applied Biosystems)において、96ウェル中で行った。PCR反応は、48℃で30分及び95℃で15分のサイクルを1サイクル行った後、95℃で30秒、60℃で30秒および72℃で30秒のサイクルを40サイクル行った。
PCR増幅後、増幅曲線分析及び解離曲線分析を行った。結果を図6〜11に示す。図6〜8は、実施例のリアルタイムRT−PCRにおける各ポジティブコントロールと野生型ポスピウイロイドの増幅曲線を示す図である。図6はユニバーサルポジティブコントロールと野生型PSTVdの増幅曲線を示している。図7はCLVd特異的ポジティブコントロールと野生型CLVdの増幅曲線を示している。図8はPCFVd特異的ポジティブコントロールと野生型PCFVdの増幅曲線を示している。
図9〜11は、実施例のリアルタイムRT−PCRにおける各ポジティブコントロールと野生型ポスピウイロイドの解離曲線を示す図である。図9はユニバーサルポジティブコントロールと野生型PSTVdの解離曲線を示している。図10はCLVd特異的ポジティブコントロールと野生型CLVdの解離曲線を示している。図11はPCFVd特異的ポジティブコントロールと野生型PCFVdの解離曲線を示している。
図6〜11に示すように、各ポジティブコントロールは、野生型のポスピウイロイドと同様に増幅し、解離曲線のピークが一致した。したがって、これらのポジティブコントロールは、リアルタイムRT−PCRによるポスピウイロイド解析のポジティブコントロールとして適していることが示された。
また、これらのポジティブコントロールをトマトに接種しても感染は認められなかった。したがって、これらのポジティブコントロールが宿主植物に非感染性であることも示された。
次に、各ポジティブコントロールに挿入した4種の制限酵素認識配列を認識する制限酵素(MunI、HindIII、DraI、及びEcoRI)により、各ポジティブコントロールを処理した。それぞれの制限酵素で処理した反応産物を、2%アガロースゲルに注入して1×TAEバッファーを使用して電気泳動を行い、バンドを確認した。
結果を図12〜14に示す。図12〜14は、実施例のリアルタイムRT−PCRで増幅した各ポジティブコントロールを制限酵素で処理し、電気泳動した結果を示す図である。図12は、ユニバーサルポジティブコントロールを制限酵素で処理し、電気泳動した結果を示している。図12において、「PSp」はユニバーサルポジティブコントロールのレーンを表しており、枠囲みした「PSp」は制限酵素で処理したユニバーサルポジティブコントロールのレーンを表している。
また、図12において、「PS」は野生型PSTVd、「TC」は野生型TCDVd、「TA」は野生型TASVd、「CS」は野生型CSVd、「CE」は野生型CEVd、「TP」は野生型TPMVd、「M」は分子量マーカーのレーンをそれぞれ表している。図7において、一番上はHindIIIにより処理した結果であり、その下はEcoRIにより処理した結果であり、さらにその下はDraIにより処理した結果であり、一番下はMunIにより処理した結果である。
また、図13は、CLVd特異的ポジティブコントロールを制限酵素で処理し、電気泳動した結果を示しており、図14は、PCFVd特異的ポジティブコントロールを制限酵素で処理し、電気泳動した結果を示している。図13及び図14において、「HindIII」、「EcoRI」、「DraI」、及び「MunI」は、それぞれの制限酵素によりポジティブコントロールのレーンを表しており、「M」は分子量マーカーのレーンを表している。なお、図13及び図14において、表記のないレーンは、野生型ポスピウイロイド及び制限酵素で処理していないポジティブコントロールのレーンである。
図12〜14に示すように、制限酵素で処理した各ポジティブコントロールは、野生型ポスピウイロイド及び制限酵素で処理していないポジティブコントロールとは異なる位置にバンドが見られた。このように、制限酵素で処理することにより、ポジティブコントロールと野生型ポスピウイロイドとを容易に区別することができた。
本発明は、ウイロイド感染植物を解析することにより、植物検疫、植物防疫等の分野に利用することができる。また、ウイロイド感染植物を育種対象から排除することにより植物育種分野に利用することもできる。

Claims (12)

  1. ポスピウイロイドのポジティブコントロール用の核酸構築物であって、
    リアルタイムRT-PCR用であり、
    宿主に非感染性であり、
    ポスピウイロイドのcDNA増幅用のPCRプライマーセットで増幅可能であり、並びに
    前記PCRプライマーセットで増幅される領域は、ポスピウイロイドのcDNAにおける増幅される領域との比較で、異なる塩基配列を有し、塩基配列の長さの差が±5%の範囲内であり、かつ、塩基配列のGC含有率の差が±5%の範囲内である、
    核酸構築物。
  2. (a)配列番号1から3のいずれかに示す塩基配列;
    (b)配列番号1から3のいずれかに示す塩基配列における、少なくとも1つの塩基が置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列;及び
    (c)配列番号1から3のいずれかに示す塩基配列との同一性が90%以上である塩基配列
    からなる群より選択されるいずれかの塩基配列からなる、請求項1に記載の核酸構築物。
  3. ポスピウイロイドのcDNAの全長配列との同一性が80%以上の塩基配列からなる、請求項1又は2に記載の核酸構築物。
  4. 前記PCRプライマーセットで増幅される領域の塩基配列は、ポスピウイロイドのcDNAにおける増幅される領域の塩基配列との同一性が75%以上である、
    請求項1から3のいずれか1項に記載の核酸構築物。
  5. 前記ポスピウイロイドが、ジャガイモやせいもウイロイド、トマト黄化萎縮ウイロイド、カンキツエクソコーティスウイロイド、コルムネアラテントウイロイド、トマトアピカルスタントウイロイド、ペッパーチャットフルーツウイロイド、キク矮化ウイロイド、及びトマトプランタマッチョウイロイドからなる群より選択される、請求項1から4のいずれか1項に記載の核酸構築物。
  6. 前記PCRプライマーセットで増幅される領域は、制限酵素で処理された場合に、前記ポスピウイロイドのcDNAにおける増幅される領域とは異なる位置で切断される、請求項1から5のいずれか1項に記載の核酸構築物。
  7. 前記PCRプライマーセットで増幅される領域は、前記ポスピウイロイドのcDNAにおける増幅される領域には存在しない制限酵素認識配列を含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の核酸構築物。
  8. 請求項1から7のいずれか1項に記載の核酸構築物を含む、ベクター。
  9. 請求項1から7のいずれか1項に記載の核酸構築物及び被験植物由来のRNAを、リアルタイムRT-PCRにより増幅する増幅工程を包含する、ポスピウイロイドの解析方法。
  10. 前記増幅工程において増幅した前記核酸構築物及び前記RNAの解離曲線を生成する生成工程をさらに包含する、請求項9に記載のポスピウイロイドの解析方法。
  11. 請求項1から7のいずれか1項に記載の核酸構築物と、
    ポスピウイロイドのcDNA増幅用のPCRプライマーセットと
    を備えた、ポスピウイロイドの解析キット。
  12. 前記核酸構築物はベクターに組み込まれた形態である、請求項11に記載のポスピウイロイドの解析キット。
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