以下に、実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。また、以下に示す各実施形態は、この実施形態の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、実施形態の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。実施形態の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
1.第1実施形態
第1実施形態に係る陽極化成装置について説明する。
1.1 全体構成
まず、陽極化成装置の全体構成の一例について図1を用いて説明する。図1は、陽極化成装置のブロック図である。
図1に示すように、陽極化成装置1は、陽極化成処理部10、電解液A供給ユニット11、電解液B供給ユニット12、電流供給部13、及び制御回路14を含む。
陽極化成処理部10は、処理槽及び処理槽に対応する電極(アノード及びカソード)を含み、半導体基板表面の陽極化成処理を行う。陽極化成処理部10の構成については後述する。
電解液A供給ユニット11は、陽極化成処理部10内に設けられた処理槽に電解液Aを供給する。なお、電解液A供給ユニット11は、処理槽に供給する電解液Aの液圧を調整するための図示せぬ機構(例えば、ポンプ等)を有する。電解液Aは陽極化成処理に用いられる処理液である。電解液Aとしては、例えば、フッ化水素酸(HF)を含む液体が用いられる。なお、本実施形態の電解液A供給ユニット11は、陽極化成処理部10と電解液A混合槽20とにおいて、液体(電解液A)を循環させるための機能を有していない。すなわち、電解液A供給ユニット11は、未使用(新液)の電解液Aを陽極化成処理部10に供給する。
電解液A供給ユニット11は、電解液A混合槽20、供給制御部21、複数の液体供給部22(図1の例では、3つの液体供給部22a〜22c)、及び濃度センサ23を含む。
電解液A混合槽20は、複数の液体を混合して電解液Aを生成するための槽である。電解液A供給ユニット11は、例えば、原料として3つの液体A〜Cを混合して電解液Aを生成する。3つの液体A〜Cは、例えば、HF溶液、DIW(Deionized Water)、及びアルコール等であってもよい。なお、電解液Aの生成に用いられる液体は、3種類に限定されない。また、電解液Aの生成には液体以外の材料が用いられてもよい。生成された電解液Aは、配管17を通して陽極化成処理部10内の処理槽に供給される。
供給制御部21は、制御回路14の制御により、電解液A混合槽20に供給する液体A〜Cの供給量を制御する。例えば、供給制御部21は、各液体の供給ラインに設けられたバルブ及び流量計を含む。
液体供給部22a〜22cは、供給ライン(配管)により、電解液A混合槽20とそれぞれ接続されている。液体供給部22a〜22cは、供給ラインを介して、電解液A混合槽20に液体A〜Cをそれぞれ供給する。液体供給部22a〜22cは、例えば、液体A〜Cの容器から液体A〜Cを圧送するための機構をそれぞれ有していてもよい。
濃度センサ23は、電解液A混合槽20内の電解液Aの濃度(例えばF濃度)をモニタし、その結果を制御回路14に送信する。制御回路14は、濃度モニタの結果に基づいて、供給制御部21を制御し、電解液Aの濃度を調整する。
電解液B供給ユニット12は、陽極化成処理部10内に設けられた電解液Aが供給される処理槽とは異なる処理槽に電解液Bを供給する。なお、電解液B供給ユニット12は、処理槽に供給する電解液Bの液圧を調整するための図示せぬ機構(例えば、ポンプ等)を有する。電解液Bは、陽極化成処理に用いられる処理液である。電解液Bは、電解液Aと同じであってもよく、異なっていてもよい。以下では、電解液Bは、電解液Aと濃度(F濃度)が異なる場合について説明する。電解液Bには、HFを含む液体が用いられる。なお、本実施形態の電解液B供給ユニット12は、陽極化成処理部10と電解液B混合槽30とにおいて電解液Bを循環させるための機能を有する。すなわち、電解液B供給ユニット12は、陽極化成処理部10から回収した液体の成分調整を行い、再度、陽極化成処理部10に供給できる。
電解液B供給ユニット12は、電解液B混合槽30、供給制御部31、複数の液体供給部32(図1の例では、3つの液体供給部32a〜32c)、及び濃度センサ33を含む。
電解液B混合槽30は、複数の液体を混合して電解液Bを生成するための槽である。電解液B供給ユニット12は、原料として、配管16を介して陽極化成処理部10から回収した液体と、3つの液体D〜Fとを混合して電解液Bの生成及び濃度調整が可能である。3つの液体D〜Fは、例えば、HF溶液、DIW、及びアルコールであってもよい。なお、電解液Bの生成に用いられる液体は、3種類に限定されない。また、電解液Bの生成には液体以外の材料が用いられてもよい。生成された電解液Bは、配管15を通して陽極化成処理部10の処理槽の1つに供給される。また、電解液B混合槽30は、槽内の液体がオーバーフローした場合等に排液処理を行うためのオーバーフロー管を有する。
供給制御部31は、制御回路14の制御により、電解液B混合槽30に供給する液体D〜Fの供給量を制御する。例えば、供給制御部31は、各液体の供給ラインに設けられたバルブ及び流量計を含む。
液体供給部32a〜32cは、供給ラインにより、電解液B混合槽30とそれぞれ接続されている。液体供給部32a〜32cは、供給ラインを介して、電解液B混合槽30に液体D〜Fをそれぞれ供給する。液体供給部32a〜32cは、例えば、液体D〜Fの容器から液体D〜Fを圧送するための機構をそれぞれ有していてもよい。
濃度センサ33は、電解液B混合槽30内の電解液Bの濃度(例えばF濃度)をモニタし、その結果を制御回路14に送信する。制御回路14は、濃度モニタの結果に基づいて、供給制御部31を制御し、電解液Bの濃度を調整する。
電流供給部13は、制御回路14の制御により、陽極化成処理部10内に設けられた電極に電流を供給する。
制御回路14は、陽極化成装置1の全体を制御する。
1.2 陽極化成処理部の詳細な構成
次に、陽極化成処理部10の詳細な構成の一例について、図2及び図3を用いて説明する。図2は、陽極化成処理部10の斜視図である。図3は、電解液A及びBが供給されている状態における陽極化成処理部10の断面図である。図2及び図3の例は、陽極化成処理部10は、それぞれ異なる電流源が接続された2つの上部電極と、2つの処理槽とを含む場合を示している。以下、本構成を、「分割電極 複数電源 分割処理槽」とも表記する。
図2に示すように、陽極化成処理部10は、処理槽101及び103、バット102、上部電極104及び106、絶縁体105、及び下部電極107を含む。なお、絶縁体105は廃されてもよい。この場合、例えば、上部電極104と上部電極106との間には、エアギャップが設けられもよい。すなわち、上部電極104と上部電極106とが電気的に接続されていない構成であればよい。
処理槽101は、例えば、円筒形状を有している。処理槽101の内径は、例えば、陽極化成処理の対象となる半導体基板1000の内径と概略同じである。以下では、半導体基板1000が単結晶シリコン(Si)基板である場合について説明する。処理槽101の底面は、下部電極107に接する。陽極化成処理時、処理槽101の上端は、半導体基板1000の表面近傍に位置する。すなわち、処理槽101の上端は、半導体基板1000の下面(陽極化成処理される面)に接していない。処理槽101は、例えば、電解液A及びBに対して耐性を有する絶縁材料で構成される。処理槽101には配管15及び18が接続されている。配管15は、処理槽101への液体供給ラインである。配管18は、処理槽101からの液体排出ラインである。
バット102は、処理槽101の上端から溢れた液体を回収するために設けられている。バット102は、例えば、円筒形状を有している。バット102の内径は、処理槽101、上部電極104、及び半導体基板1000の外径よりも大きい。バット102は、例えば、処理槽101と同心円状となるように配置されている。バット102の底面は、例えば、処理槽101の上端あるいは上端近傍の外周に接する。バットの上端の高さ位置は、処理槽101の上端よりも高い。バット102は、例えば、電解液A及びBに対して耐性を有する絶縁材料で構成される。なお、バット102は、処理槽101と同じ材料であってもよい。バット102には、配管16が接続されている。配管16は、バット102からの液体排出ラインである。
処理槽103は、例えば、円筒形状を有している。処理槽103の内径は、処理槽101の内径よりも小さい。処理槽103は、底面が下部電極107に接し、例えば、処理槽101と同心円状となるように配置されている。処理槽103の上端の高さ位置は、処理槽101と概略同じである。処理槽103の上端は、処理槽101と同様に、半導体基板1000の下面に接していない。処理槽103は、例えば、電解液A及びBに対して耐性を有する絶縁材料で構成される。なお、処理槽103は、処理槽101と同じ材料であってもよい。処理槽103には配管17及び19が接続されている。配管17は、処理槽103への液体供給ラインである。配管19は、処理槽103からの液体排出ラインである。
上部電極104は、処理槽101を用いた陽極化成処理においてアノードとして機能する。従って、上部電極104は、処理槽101に対向する。上部電極106は、処理槽103を用いた陽極化成処理においてアノードとして機能する。従って、上部電極106は、処理槽103に対向する。処理槽101及び103の上方には、上部電極106を中心にして、絶縁体105及び上部電極104が同心円状に設けられている。すなわち、上部電極106と104とが同心円状に設けられており、上部電極106と104との間に、絶縁体105が設けられている。これにより、上部電極106と104とは電気的に接続されていない。
上部電極106の外径は、処理槽103の外径と概略同じである。上部電極104の外径は、処理槽101の外径と概略同じである。すなわち、上部電極104の外径は、半導体基板1000と概略同じである。また、上部電極104の内径は、処理槽103の外径と概略同じである。
本実施形態では、上部電極104及び106に対して、電流供給部13から、それぞれ異なる電流が供給される。より具体的には、電流供給部13は、電流源40及び41を含む。電流源40は、上部電極104及び下部電極107に接続され、陽極化成処理の際に上部電極104に任意の電流を供給する。電流源41は、上部電極106及び下部電極107に接続され、陽極化成処理の際に上部電極106に任意の電流を供給する。
下部電極107は、上部電極104及び106と対向しており、陽極化成処理においてカソードとして機能する。上部電極104及び106、並びに下部電極107は、導電材料により構成される。
なお、処理槽101及び103並びにバット102に対して、配管15〜19は、それぞれ複数設けられてもよい。
図3に示すように、陽極化成処理部10は、保持部108を含む。半導体基板1000は、保持部108により、裏面が上部電極104及び106の底面に接し、表面(陽極化成される面)が下(処理槽101及び103)を向くように設置される。処理槽101の上端と半導体基板1000との間には、ギャップGP1が設けられている。また、処理槽103の上端と半導体基板1000との間にはギャップGP2が設けられている。
本実施形態では、陽極化成処理部10に電解液A及びBを同時に供給する場合、処理槽103に供給する電解液Aの液圧は、処理槽101に供給する電解液Bの液圧よりも高くされる(電解液Aの液圧>電解液Bの液圧)。また、陽極化成処理の際、配管18及び19は閉状態とされる。これにより、ギャップGP2を通って、処理槽103から処理槽101に向かって電解液Aが流れ込む。このとき、電解液Aの液圧が電解液Bの液圧よりも高いため、処理槽101から処理槽103に向かって電解液Bは流れ込まない。また、処理槽101の余剰の電解液B(電解液Aが混合した電解液B)は、ギャップGP1を通って、バット102に流れ込む。
なお、図3の例では、処理槽101の外径が半導体基板1000の内径よりも小さい。このため、処理槽101の上端と半導体基板1000との間にギャップGP1が設けられているが、これに限定されない。例えば、処理槽101の内径が、保持部108を含めた半導体基板1000の外径よりも大きく、処理槽の上端が半導体基板1000の陽極化成処理される面(下面)よりも高い位置にあってもよい。この場合、処理槽101の上端の内側と、保持部108(及び半導体基板1000の外径)との間にギャップGP1が設けられる。
1.3 電解液の濃度調整の一例
次に、電解液の濃度調整の一例について、図4を用いて説明する。図4は、電解液B供給ユニット12における濃度センサ33のモニタ結果を示すグラフである。
図4に示すように、まず、電解液B供給ユニット12は、時刻t0において、電解液B混合槽30において、予め設定された調整目標濃度の電解液Bを生成する。そして、電解液B供給ユニット12は、生成した電解液Bを処理槽101に供給する。
時刻t1において、陽極化成処理が開始される。時刻t0〜t6の期間、陽極化成処理は実行される。この期間、処理槽101と電解液B混合槽30との間で、電解液Bが循環される。
時刻t1〜t2の期間、陽極化成処理により、電解液Bの濃度が徐々に低下する。
時刻t2において、電解液Bの濃度が、予め設定された陽極化成処理を実行可能な下限濃度まで低下すると、電解液B供給ユニット12は、電解液B混合槽30内において、液体D〜Fの少なくとも1つを追加して、電解液Bの濃度調整を開始する。
時刻t2〜t3の期間、電解液B供給ユニット12は、電解液Bの濃度調整を実行する。
時刻t3において、電解液Bの濃度が、調整目標濃度に達すると、電解液B供給ユニット12は、電解液Bの濃度調整を終了する。
時刻t3〜t4の期間、陽極化成処理により、電解液Bの濃度が徐々に低下する。
時刻t4において、電解液Bの濃度が、予め設定された陽極化成処理を実行可能な下限濃度まで低下すると、電解液B供給ユニット12は、再度、電解液Bの濃度調整を開始する。
時刻t4〜t5の期間、電解液B供給ユニット12は、電解液Bの濃度調整を実行する。
時刻t5において、電解液Bの濃度が、調整目標濃度に達すると、電解液B供給ユニット12は、電解液Bの濃度調整を終了する。
時刻t6において、陽極化成処理が終了する。なお、図4の例は、時刻t6において陽極化成処理が終了した後、電解液B供給ユニット12が次の処理に備えて再度電解液Bの濃度調整を行う場合を示しているが、これに限定されない。電解液Bは、排液処理されてもよい。
1.4 陽極化成処理後の半導体基板の表面状態
次に、陽極化成処理後の半導体基板1000の表面状態について、図5を用いて説明する。図5の例は、陽極化成処理後の半導体基板1000の表面及び断面を示す図である。
図5に示すように、本実施形態の陽極化成装置1を用いることにより、半導体基板1000の表面(陽極化成処理される面)には、同心円状に異なる特性を有する多孔質層(例えば、ポーラスSi層)が形成される。
より具体的には、半導体基板1000の表面中央部には、上部電極106及び処理槽103(電解液A)に対応する多孔質層1100が形成される。また、半導体基板1000の表面外周部には、上部電極104及び処理槽101(電解液B)に対応する多孔質層1200が形成される。多孔質層1100及び1200は、陽極化成処理条件が異なる。具体的には、陽極化成処理条件として、例えば、上部電極104及び106に供給される電流量(上部電極104及び106の単位面積当たりの電流量)、及び/または電解液A及びBの濃度、等が異なる。これにより、陽極化成装置1は、膜質(機械的強度)が異なる多孔質層1100と1200とを形成できる。多孔質層1100と1200とは、例えば、硬度、ポーラスの平均粒径、密度、層の厚みのいずれかが異なる。例えば、多孔質層1100の硬度は、多孔質層1200よりも高くてもよく、低くてもよい。例えば、硬度は、ビッカース硬度計により測定できる。平均粒径は、ガス吸着法により測定できる。
1.5 陽極化成処理を行った半導体基板を用いた半導体装置の製造方法の具体例
次に、陽極化成処理を行った半導体基板1000を用いた半導体装置の製造方法の具体例について、図6を用いて説明する。図6は、半導体基板の貼り合わせ方法の一例を示すフローチャートである。半導体装置の製造方法の1つとして、デバイス層1が形成された第1(半導体)基板と、デバイス層2が形成された第2(半導体)基板とを貼り合わせて半導体装置を形成する方法がある。デバイス層1及び2には、例えば、トランジスタ等の素子を含む各種回路が設けられている。この場合、第1基板と第2基板、すなわちデバイス層1とデバイス層2とを貼り合わせた後、第1基板が除去される。図6の例では、第1基板に、本実施形態に係る陽極化成装置1を用いて形成された多孔質層を有する半導体基板を用いた場合について説明する。
図6に示すように、まず、本実施形態の陽極化成装置1を用いて、第1基板1000aの陽極化成処理を行い、表面に多孔質層1100及び1200を形成する(a)。
次に、第1基板の多孔質層1100及び1200が形成された面にデバイス層1を形成する(b)。また、第2基板1000bにデバイス層2を形成する(c)。
次に、デバイス層1とデバイス層2とが向かい合い、互いに電気的に接続されるように、第1基板1000aと第2基板1000bとを貼り合わせる(d)。
次に、多孔質層1100及び1200を剥離層として、第1基板1000aとデバイス層1(第2基板1000b)とを剥離させる(e)。剥離した第1基板1000aは、表面を研磨し、残存する多孔質層1100及び1200を除去する(f)。これにより、表面研磨された第1基板1000aは、再利用できる。
次に、第2基板表面の多孔質層1100及び1200を除去する(g)。これにより、デバイス層1及び2が設けられた第2基板1000bが形成される。
ここで、多孔質層1100及び1200は、デバイス層1の製造工程、及び第1基板1000aと第2基板1000bとの貼り合わせ工程(d)において、第1基板1000aからの多孔質層の剥離や多孔質層の破断が発生しないような硬度を有している。さらに、多孔質層1100及び1200は、第1基板1000aと第2基板1000bとの剥離工程(e)において、剥離層として機能するような硬度を有している。例えば、デバイス層1の製造工程及び貼り合わせ工程において剥離が発生しないためには、多孔質層1200(外周部)の硬度が、多孔質層1100(中央部)の硬度よりも高い方が好ましい。
1.6 本実施形態に係る効果
例えば、半導体装置の製造方法の1つである半導体基板の貼り合わせ法において、多孔質層を有していない半導体基板を用いた場合、半導体基板の機械的強度が高いため、半導体基板とその上に形成されたデバイス層との間での剥離は困難である。従って、不要となった半導体基板は、研削等により除去される場合が多い。この場合、研削により除去された半導体基板は、廃棄され再利用できない。また、半導体基板とデバイス層との間に単一層の多孔質層を設けた場合、多孔質層の機械的強度が低いため、デバイス層の製造工程、あるいは半導体基板の貼り合わせ工程において多孔質層の剥離や破断が発生する可能性が高い。
これに対し、本実施形態に係る構成であれば、陽極化成装置1は、半導体基板表面の中央部と外周部とに対して濃度の異なる電解液A及びBを供給できる。また、陽極化成装置1は、半導体基板表面の中央部と外周部とにそれぞれ対応する2つの上部電極106及び104を有し、各々に異なる電流量を供給できる。従って、陽極化成装置1は、半導体基板表面の中央部と外周部とで膜質の異なる多孔質層1100及び1200を形成できる。
本実施形態の陽極化成装置1を用いて、半導体基板表面の中央部と外周部とで膜質の異なる多孔質層1100及び1200を形成することにより、例えば、半導体基板の貼り合わせ法において、デバイス層の製造工程、あるいは半導体基板の貼り合わせ工程において剥離が発生せずに、半導体基板の剥離工程において剥離層として機能する、多孔質層1100及び1200を形成できる。これにより、多孔質層の位置で分離された半導体基板を再利用できる。
2.第2実施形態
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態では、第1実施形態と異なる陽極化成装置1の構成について、3つの例を示す。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
2.1 第1例
まず、第1例に係る陽極化成装置1について説明する。第1例では、陽極化成処理部10の上部電極が分割されていない場合について説明する。第1例の陽極化成装置1の全体構成は、第1実施形態の図1と同じである。
次に、陽極化成処理部10の詳細な構成の一例について、図7及び図8を用いて説明する。図7は、陽極化成処理部10の斜視図である。図8は、電解液A及びBが供給されている状態における陽極化成処理部10の断面図である。図7及び図8の例は、陽極化成処理部10が、1つの電流源に接続された1つの上部電極と、2つの処理槽とを含む場合を示している。以下、本構成を、「同一電極 単一電源 分割処理槽」とも表記する。
図7及び図8に示すように、陽極化成処理部10は、処理槽101及び103、バット102、上部電極104、下部電極107、及び保持部108を含む。すなわち、本例の陽極化成処理部10は、第1実施形態の図2及び図3に対して、上部電極が分割されていない構成である。
上部電極104は、処理槽101及び103を用いた陽極化成処理においてアノードとして機能する。従って、上部電極104は、処理槽101及び103に対向する。上部電極104の外径は、処理槽101の外径と概略同じである。すなわち、上部電極104の外径は、半導体基板1000と概略同じである。上部電極104の上面の高さ位置は、バット102の上端よりも高い。
本実施形態では、電流供給部13は、電流源40を含む。電流源40は、上部電極104及び下部電極107に接続され、陽極化成処理の際に上部電極104に任意の電流を供給する。
他の構成、すなわち、処理槽101及び103、バット102等に関する構成は、第1実施形態の図2及び図3と同様である。
2.2 第2例
次に、第2例に係る陽極化成装置1について説明する。第2例では、陽極化成処理部10の処理槽103が廃されている場合について説明する。
まず、陽極化成装置1の全体構成の一例について図9を用いて説明する。図9は、陽極化成装置1のブロック図である。
図9に示すように、本例の陽極化成装置1では、電解液B供給ユニット12が廃されている。そして、第1実施形態の図1の電解液B供給ユニット12と同様に、電解液A供給ユニット11は、電解液A混合槽20と陽極化成処理部10とにおいて電解液Aを循環させる循環機構を有する。より具体的には、電解液A混合槽20において、配管16を介して陽極化成処理部10から回収された液体と、3つの液体A〜Cとを混合して電解液Aの生成及び濃度調整が可能である。生成された電解液Aは、配管15を通して陽極化成処理部10に供給される。また、電解液A混合槽20は、槽内の液体がオーバーフローした場合等に排液処理を行うためのオーバーフロー管を有する。なお、電解液A供給ユニット11は、電解液Aの循環機構を有していなくてもよい。すなわち、第1実施形態の図1と同じ構成であってもよい。
次に、陽極化成処理部10の詳細な構成の一例について図10及び図11を用いて説明する。図10は、陽極化成処理部10の斜視図である。図11は、電解液Aが供給されている状態における陽極化成処理部10の断面図である。図10及び図11の例は、陽極化成処理部10が、1つの電流源に接続された2つの上部電極104及び106と、1つの処理槽101とを含む場合を示している。以下、本構成を、「分割電極 単一電源 同一処理槽」とも表記する。
図10及び図11に示すように、陽極化成処理部10は、処理槽101、バット102、上部電極104及び106、絶縁体105、下部電極107、及び保持部108を含む。すなわち、本例の陽極化成処理部10は、第1実施形態の図2及び図3に対して、処理槽103が廃された構成である。また、本例では、処理槽103に接続されていた配管17及び19も廃されている。
上部電極104は、陽極化成処理において多孔質層1200を形成する際のアノードとして機能する。上部電極106は、陽極化成処理において多孔質層1100を形成する際のアノードとして機能する。
本例では、上部電極104は、スイッチSW1を介して電流源40に接続されている。また、上部電極106は、スイッチSW2を介して電流源40に接続されている。
図11に示すように、本例では、処理槽103が廃されているため、ギャップGP2は無い。陽極化成処理の際、配管18は閉状態とされる。このため、処理槽101の余剰の電解液Aは、ギャップGP1を通って、バット102に流れ込む。
他の構成、すなわち、処理槽101、バット102、並びに上部電極104及び106等に関する構成は、第1実施形態の図2及び図3と同様である。
2.3 第3例
次に、第3例に係る陽極化成装置1について説明する。第3例では、第2実施形態の第2例と異なり、上部電極104及び106のそれぞれに電流源が設けられている場合について説明する。第3例の陽極化成装置1の全体構成は、第2実施形態の第2例の図9と同じである。
次に、陽極化成処理部10の詳細な構成の一例について図12及び図13を用いて説明する。図12は、陽極化成処理部10の斜視図である。図13は、電解液Aが供給されている状態における陽極化成処理部10の断面図である。図12及び図13の例は、陽極化成処理部10が、それぞれ異なる電流源に接続された2つの上部電極と、1つの処理槽とを含む場合を示している。以下、本構成を、「分割電極 複数電源 同一処理槽」とも表記する。
図12及び図13に示すように、陽極化成処理部10の構成は、第2実施形態の第2例の図10及び図11と、同様である。
本例では、第1実施形態の図2及び図3と同様に、上部電極104は、電流源40に接続されている。また、上部電極106は、電流源41に接続されている。
2.4 本実施形態に係る効果
本実施形態に係る構成であれば、第1実施形態と同様の効果が得られる。
3.第3実施形態
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態は、陽極化成装置1を用いた陽極化成処理の方法について6つの例を示す。以下、第1及び第2実施形態と異なる点を中心に説明する。
3.1 第1例
まず、第1例に係る陽極化成処理の方法について、図14を用いて説明する。図14は、第1例に係る陽極化成処理の方法を示すフローチャートである。第1例では、第1実施形態または第2実施形態の第1例で説明した陽極化成装置1を用いて、多孔質層1100と多孔質層1200とを異なるタイミングで形成する場合の一例について説明する。
図14に示すように、陽極化成装置1内に搬入された半導体基板1000は、保持部108により固定される(ステップS10)。
次に、電解液A供給ユニット11は、電解液Aを生成し、処理槽103に供給する(ステップS11)。
次に、制御回路14は、半導体基板1000の中央部の陽極化成処理を実行する(ステップS12)。すなわち、制御回路14は、多孔質層1100を形成する。より具体的には、例えば、第1実施形態に係る陽極化成装置1の場合、電流源41から上部電極106に電流が供給され、陽極化成処理が実行される。また、例えば、第2実施形態の第1例に係る陽極化成装置1の場合、電流源40から上部電極104に電流が供給される。このとき、処理槽101に電解液Bが供給されていない。このため、多孔質層1100は形成され、多孔質層1200は形成されない。
次に、制御回路14は、配管19を介して処理槽103から電解液Aを排出する(ステップS13)。
次に、電解液B供給ユニット12は、電解液Bを生成し、処理槽101に供給する(ステップS14)。
次に、制御回路14は、半導体基板1000の外周部の陽極化成処理を実行する(ステップS15)。すなわち、制御回路14は、多孔質層1200を形成する。より具体的には、例えば、第1実施形態に係る陽極化成装置1の場合、電流源40から上部電極104に電流が供給され、陽極化成処理が実行される。また、例えば、第2実施形態の第1例に係る陽極化成装置1の場合、電流源40から上部電極104に電流が供給される。このとき、処理槽103に電解液Aが供給されていない。このため、多孔質層1200は形成され、多孔質層1100は形成されない。
次に、制御回路14は、配管18を介して処理槽101から電解液Bを排出する(ステップS16)。
半導体基板1000が陽極化成装置1から搬出され、陽極化成処理が終了する(ステップS17)。
なお、本例では、多孔質層1100を形成してから多孔質層1200を形成する場合について説明したが、多孔質層1200を形成してから多孔質層1100を形成してもよい。
3.2 第2例
次に、第2例に係る陽極化成処理の方法について、図15を用いて説明する。図15は、第2例に係る陽極化成処理の方法を示すフローチャートである。第2例では、第1実施形態または第2実施形態の第1例で説明した陽極化成装置1を用いて、多孔質層1100と多孔質層1200とを一括して形成する場合の一例について説明する。
図15に示すように、陽極化成装置1内に搬入された半導体基板1000は、保持部108により固定される(ステップS10)。
次に、電解液A供給ユニット11は、電解液Aを生成し、処理槽103に供給する。また、電解液B供給ユニット12は、電解液Bを生成し、処理槽101に供給する(ステップS21)。
次に、制御回路14は、半導体基板1000の陽極化成処理を実行する(ステップS22)。すなわち、制御回路14は、多孔質層1100及び1200を形成する。より具体的には、例えば、第1実施形態に係る陽極化成装置1の場合、電流源40が上部電極104に電流を供給し、電流源41が上部電極106に電流を供給する。また、例えば、第2実施形態の第1例に係る陽極化成装置1の場合、電流源40から上部電極104に電流が供給される。これにより、多孔質層1100と多孔質層1200とが一括して形成される。
次に、制御回路14は、配管19を介して処理槽103から電解液Aを排出する。また、制御回路14は、配管18を介して処理槽101から電解液Bを排出する(ステップS23)。
半導体基板1000が陽極化成装置1から搬出され、陽極化成処理が終了する(ステップS17)。
3.3 第3例
次に、第3例に係る陽極化成処理の方法について、図16を用いて説明する。図16は、第3例に係る陽極化成処理の方法を示すフローチャートである。第3例では、第2実施形態の第2例で説明した陽極化成装置1を用いて、多孔質層1100と多孔質層1200とを異なるタイミングで形成する場合の一例について説明する。
図16に示すように、陽極化成装置1内に搬入された半導体基板1000は、保持部108により固定される(ステップS10)。
次に、電解液A供給ユニット11は、電解液Aを生成し、処理槽101に供給する(ステップS31)。
次に、制御回路14は、スイッチSW1及びSW2の一方をオン状態にして、陽極化成処理を実行する(ステップS32)。制御回路14がスイッチSW2をオン状態にした場合には、電流源40から上部電極106に電流が供給され、多孔質層1100が形成される。あるいは、制御回路14がスイッチSW1をオン状態にした場合には、電流源40から上部電極104に電流が供給され、多孔質層1200が形成される。
次に、制御回路14は、ステップS32でオン状態にしなかったスイッチSW1及びSW2の他方をオン状態にして、陽極化成処理を実行する(ステップS33)。これにより、ステップS32で形成されなかった多孔質層1100または多孔質層1200のいずれかが形成される。
次に、制御回路14は、配管18を介して処理槽101から電解液Aを排出する(ステップS34)。
半導体基板1000が陽極化成装置1から搬出され、陽極化成処理が終了する(ステップS17)。
なお、本例では、多孔質層1100及び多孔質層1200の形成順序は、任意に設定し得る。
3.4 第4例
次に、第4例に係る陽極化成処理の方法について、図17を用いて説明する。図17は、第4例に係る陽極化成処理の方法を示すフローチャートである。第4例では、第2実施形態の第3例で説明した陽極化成装置1を用いて、多孔質層1100と多孔質層1200とを異なるタイミングで形成する場合の一例について説明する。
図17に示すように、陽極化成装置1内に搬入された半導体基板1000は、保持部108により固定される(ステップS10)。
次に、電解液A供給ユニット11は、電解液Aを生成し、処理槽101に供給する(ステップS41)。
次に、制御回路14は、電流源40及び41の一方から対応する上部電極に電流を供給して、半導体基板1000の中央部及び外周部の一方に対して陽極化成処理を実行する(ステップS42)。電流源41から上部電極106に電流が供給された場合には、多孔質層1100が形成される。あるいは、電流源40から上部電極104に電流が供給された場合には、多孔質層1200が形成される。
次に、制御回路14は、ステップS42で使用しなかった電流源40及び41の他方から対応する上部電極に電流を供給して、半導体基板1000の中央部及び外周部の他方に対して陽極化成処理を実行する(ステップS43)。これにより、ステップS42で形成されなかった多孔質層1100または多孔質層1200のいずれかが形成される。
次に、制御回路14は、配管18を介して処理槽101から電解液Aを排出する(ステップS44)。
半導体基板1000が陽極化成装置1から搬出され、陽極化成処理が終了する(ステップS17)。
なお、本例では、多孔質層1100及び多孔質層1200の形成順序は、任意に設定し得る。
3.5 第5例
次に、第5例に係る陽極化成処理の方法について、図18を用いて説明する。図18は、第5例に係る陽極化成処理の方法を示すフローチャートである。第5例では、第2実施形態の第3例で説明した陽極化成装置1を用いて、多孔質層1100と多孔質層1200とを一括して形成する場合の一例について説明する。
図18に示すように、陽極化成装置1内に搬入された半導体基板1000は、保持部108により固定される(ステップS10)。
次に、電解液A供給ユニット11は、電解液Aを生成し、処理槽101に供給する(ステップS51)。
次に、制御回路14は、電流源40及び41から対応する上部電極104及び106に大きさの異なる電流を供給して、陽極化成処理を実行する(ステップS52)。これにより、多孔質層1100と多孔質層1200とが一括して形成される。
次に、制御回路14は、配管18を介して処理槽101から電解液Aを排出する(ステップS53)。
半導体基板1000が陽極化成装置1から搬出され、陽極化成処理が終了する(ステップS17)。
3.6 第6例
次に、第6例に係る陽極化成処理の方法について、図19を用いて説明する。図19は、第6例に係る陽極化成処理の方法を示すフローチャートである。第6例では、第1実施形態で説明した陽極化成装置1を用いて、多孔質層1100と多孔質層1200とを一括して形成する場合の一例について説明する。
図19に示すように、陽極化成装置1内に搬入された半導体基板1000は、保持部108により固定される(ステップS10)。
次に、電解液B供給ユニット12は、電解液Bを生成し、処理槽101に供給する。また、電解液A供給ユニット11は、電解液Bと濃度の異なる電解液Aを生成し、処理槽103に供給する(ステップS61)。
次に、制御回路14は、電流源40及び41から対応する上部電極104及び106に大きさの異なる電流を供給して、陽極化成処理を実行する(ステップS62)。すなわち、本例では、制御回路14は、電解液濃度及び電流量が異なる条件で、陽極化成処理を実行する。これにより、多孔質層1100と多孔質層1200とが一括して形成される。
次に、制御回路14は、配管19を介して処理槽103から電解液Aを排出する。また、制御回路14は、配管18を介して処理槽101から電解液Bを排出する(ステップS63)。
半導体基板1000が陽極化成装置1から搬出され、陽極化成処理が終了する(ステップS17)。
3.7 本実施形態に係る効果
本実施形態の第1例〜第6例を、第1及び第2実施形態で説明した陽極化成装置1にて実行できる。
4.第4実施形態
次に、第4実施形態について、説明する。第4実施形態では、第1実施形態とは異なる電解液A供給ユニット11及び電解液B供給ユニット12の構成について、4つの例を説明する。以下、第1乃至第3実施形態と異なる点を中心に説明する。
4.1 第1例
まず、第1例に係る陽極化成装置1について、図20を用いて説明する。図20は、陽極化成装置1のブロック図である。第1例では、第1実施形態と異なり、電解液B供給ユニット12が電解液Bの循環機構を有していない場合について説明する。
図20に示すように、本例の陽極化成装置1は、陽極化成処理部10、電解液A供給ユニット11、電解液B供給ユニット12、電流供給部13、制御回路14、及び濃度センサ50を含む。
電解液A供給ユニット11の構成は、第1実施形態の図1の電解液A供給ユニット11と同様である。
電解液B供給ユニット12は、電解液A供給ユニット11と同様に、循環機構を有しておらず、未使用の電解液Bを陽極化成処理部10に供給する。すなわち、電解液B供給ユニット12は、電解液B混合槽30において、3つの液体D〜Fを混合して電解液Bを生成する。
配管16は、電解液B混合槽30には、接続されておらず、陽極化成処理部10で使用された液体(すなわち、バット102からの回収液)は、排液として排出される。
濃度センサ50は、配管16における排液(電解液Aと電解液Bとの混合液)の濃度をモニタし、その結果を制御回路14に送信する。例えば、本例の陽極化成装置1では、陽極化成処理毎に、電解液A及びBの新液の供給と排液処理とを繰り返す。但し、濃度センサ50における排液の濃度モニタの結果から、処理槽101及び103内の電解液A及びBが、次の陽極化成処理において、再利用可能と判定された場合には、処理槽101及び103の電解液A及びBの全部または一部を再利用できる。一部を再利用する場合、不足分の電解液A及びBが電解液A供給ユニット11及び電解液B供給ユニット12からそれぞれ供給される。
4.2 第2例
次に、第2例に係る陽極化成装置1について、図21を用いて説明する。図21は、陽極化成装置1のブロック図である。第2例では、電解液A供給ユニット11及び電解液B供給ユニット12が電解液の循環機構を有している場合について説明する。
図21に示すように、本例の陽極化成装置1は、陽極化成処理部10、電解液A供給ユニット11、電解液B供給ユニット12、電流供給部13、及び制御回路14を含む。
電解液B供給ユニット12の構成は、第1実施形態の図1の電解液B供給ユニット12と同様である。つまり、処理槽101から配管16を介して電解液Bを回収する。
電解液A供給ユニット11は、電解液B供給ユニット12と同様に、配管16を介して、陽極化成処理部10内のバット102から回収した液体(電解液Aと電解液Bとの混合液)の成分調整を行い、再度、陽極化成処理部10の処理槽103に供給できる。
4.3 第3例
次に、第3例に係る陽極化成装置1について、図22を用いて説明する。図22は、陽極化成装置1のブロック図である。第3例では、第2例とは異なり、電解液A供給ユニット11が処理槽103から配管19を介して電解液Aを回収する場合について説明する。
図22に示すように、本例の陽極化成装置1は、陽極化成処理部10、電解液A供給ユニット11、電解液B供給ユニット12、電流供給部13、及び制御回路14を含む。
本例の電解液A供給ユニット11の電解液A混合槽20は、配管19を介して陽極化成処理部10の処理槽103と接続されている。すなわち、電解液A供給ユニット11は、処理槽103から回収した電解液Aの成分調整を行い、再度、陽極化成処理部10の処理槽103に供給できる。他の構成は、第4実施形態の第2例の図21と同じである。
4.4 第4例
次に、第4例に係る陽極化成装置1について、図23を用いて説明する。図23は、陽極化成装置1のブロック図である。第4例では、第1実施形態と異なり、電解液A供給ユニット11が循環機構を有しており、電解液B供給ユニット12は循環機構を有していない場合について説明する。
図23に示すように、本例の陽極化成装置1は、陽極化成処理部10、電解液A供給ユニット11、電解液B供給ユニット12、電流供給部13、及び制御回路14を含む。
本例の電解液A供給ユニット11の電解液A混合槽20は、第4実施形態の第2例の図21と同様に、配管16を介して、陽極化成処理部10内のバット102から回収した液体(電解液Aと電解液Bとの混合液)の成分調整を行い、再度、陽極化成処理部10の処理槽103に供給できる。
電解液B供給ユニット12は、第4実施形態の第1例の図20と同様に、循環機構を有しておらず、未使用の電解液Bを陽極化成処理部10に供給する。すなわち、電解液B供給ユニット12は、電解液B混合槽30において、3つの液体D〜Fを混合して電解液Bを生成する。
4.5 本実施形態に係る効果
本実施形態に係る構成であれば、第1乃至第3実施形態と同様の効果が得られる。
なお、第2実施形態の第1例及び第2例で説明した陽極化成処理部10を本実施形態の第1乃至第4例に適用できる。また、第3実施形態の第1例、第2例、及び第6例で説明した陽極化成処理の方法を本実施形態の第1乃至第4例にて実行できる。
5.第5実施形態
次に、第5実施形態について説明する。第5実施形態は、第1乃至第4実施形態とは異なる陽極化成装置1の構成について4つの例を説明する。本実施形態の陽極化成装置1は、上部電極と半導体基板1000の上面(陽極化成処理されない面)との間に電解液を供給するための機構を有している。以下、第1乃至第4実施形態と異なる点を中心に説明する。
5.1 第1例
5.1.1 全体構成
まず、第1例の陽極化成装置1の全体構成について図24を用いて説明する。図24は、陽極化成装置のブロック図である。なお、本実施形態の電解液A供給ユニット11及び電解液B供給ユニット12は、第1実施形態と同じ構成である。このため、図24の例では、電解液A供給ユニット11及び電解液B供給ユニット12の構成要素の詳細については、省略されている。
図24に示すように、陽極化成装置1は、陽極化成処理部10、電解液A供給ユニット11、電解液B供給ユニット12、電解液C供給ユニット61、電流供給部13、及び制御回路14を含む。
陽極化成処理部10は、複数の処理槽及び複数の電極を含み、半導体基板表面の陽極化成処理を行う。陽極化成処理部10の構成については後述する。
電解液A供給ユニット11、電解液B供給ユニット12、及び電流供給部13は、第1実施形態の図1と同様である。
電解液C供給ユニット61は、陽極化成処理部10内の上部電極と半導体基板1000の上面(陽極化成処理されない面)との間に設けられた処理槽に電解液Cを供給する。なお、電解液C供給ユニット61は、処理槽に供給する電解液Cの液圧を調整するための図示せぬ機構(例えば、ポンプ等)を有する。電解液Cとしては、例えば、陽極化成処理の際、半導体基板1000とほとんど反応しない(Siを溶解しない)溶液が用いられる。なお、半導体基板1000の金属汚染を抑制するため、電解液Cは、金属元素を含まない方が好ましい。本実施形態の電解液C供給ユニット61は、陽極化成処理部10と電解液C混合槽70とにおいて、電解液Cを循環させるための機能を有する。すなわち、電解液C供給ユニット61は、陽極化成処理部10から配管64を介して回収した液体の成分調整を行い、再度、陽極化成処理部10に供給できる。
電解液C供給ユニット61は、電解液C混合槽70、供給制御部71、複数の液体供給部72(図24の例では、3つの液体供給部72a〜72c)、及び濃度センサ73を含む。
電解液C混合槽70は、複数の液体を混合して電解液Cを生成するための槽である。電解液C供給ユニット61は、例えば、原料として3つの液体G〜Iを混合して電解液Cを生成する。なお、電解液Cの生成に用いられる液体は、3種類に限定されない。また、電解液Cの生成には、液体以外の材料が用いられてもよい。例えば、電解液Cは、陽極化成処理の際、半導体基板1000とほとんど反応しない希釈HF水溶液であってもよいし、希釈HCl水溶液であってもよいし、非水溶性有機電解液であってもよい。例えば、電解液Cの原料として、非水溶性電解液であるアセトニトリル(acetonitrile)、炭酸プロピレン(propylene carbonate)、またはジメチルホルムアミド(dimethylformamide)の少なくとも1つが選択されてもよい。また、電解液Cの原料として、フッ化物源となる無水HF(anhydrous HF)、テトラフルオロホウ酸塩(tetrafluoroborate)、またはフルオロホウ酸リチウム(lithium fluoroborate)の少なくとも1つが選択されてもよい。生成された電解液Cは、配管63を通して陽極化成処理部10内の処理槽に供給される。また、電解液C混合槽70は、槽内の液体がオーバーフローした場合等に排液処理を行うためのオーバーフロー管を有する。
供給制御部71は、制御回路14の制御により、電解液C混合槽70に供給する液体G〜Iの供給量を制御する。例えば、供給制御部71は、各液体の供給ラインに設けられたバルブ及び流量計を含む。
液体供給部72a〜72cは、供給ライン(配管)により、電解液C混合槽70とそれぞれ接続されている。液体供給部72a〜72cは、供給ラインを介して、電解液C混合槽70に液体G〜Iをそれぞれ供給する。液体供給部72a〜72cは、例えば、液体G〜Iの容器から液体G〜Iを圧送するための機構をそれぞれ有していてもよい。
濃度センサ73は、電解液C混合槽70内の電解液Cの濃度をモニタし、その結果を制御回路14に送信する。制御回路14は、濃度モニタの結果に基づいて、供給制御部71を制御し、電解液Cの濃度を調整する。なお、濃度センサ73は、電解液Cの抵抗値を測定してもよい。
制御回路14は、陽極化成装置1の全体を制御する。より具体的には、制御回路14は、陽極化成処理部10、電解液A供給ユニット11、電解液B供給ユニット12、電解液C供給ユニット61、及び電流供給部13を制御する。
5.1.2 陽極化成処理部の詳細な構成
次に、陽極化成処理部10の詳細な構成の一例について、図25を用いて説明する。図25は、電解液A〜Cが供給されている状態における陽極化成処理部10の断面図である。図25の例は、第1実施形態と同様に、陽極化成装置1が、「分割電極 複数電源 分割処理槽」の構成である場合を示している。
図25に示すように、陽極化成処理部10は、処理槽101、103、及び111、バット102、上部電極104及び106、絶縁体105、下部電極107、及び保持部108を含む。処理槽101及び103、バット102、上部電極104及び106、絶縁体105、並びに下部電極107の構成は、第1実施形態の図2と同様である。第1実施形態と同様に、上部電極104には、電流源40が接続される。上部電極106には、電流源41が接続される。
処理槽111は、例えば、円筒形状を有している。処理槽111の上端は、上部電極104及び106の下面に位置する。陽極化成処理時、処理槽111の下端は、半導体基板1000の上面(陽極化成処理されない面)に位置する。処理槽111の外周は保持部108の側面に囲まれている。すなわち、上部電極104及び106の下面と半導体基板1000の上面と保持部108の側面とに囲まれた領域が処理槽111に相当する。換言すれば、処理槽111は、上部電極104及び106と、処理槽101及び103との間に設けられる。処理槽111には、配管63及び64が接続されている。配管63は、処理槽111への液体供給ラインである。配管64は、処理槽111からの液体排出ラインである。本実施形態では、配管63は、電解液C混合槽70の液体供給ラインに接続される。配管64は、電解液C混合槽70の液体回収ラインに接続される。なお、配管63及び64は、それぞれ複数設けられてもよい。更に、処理槽111には、処理槽111内の液体を廃液として排出する際に用いられる廃液排出用の配管が接続されていてもよい。
本実施形態の保持部108は、例えば円筒形状を有する。保持部108の上端近傍の内面には、上部電極104が接する。第1及び第2実施形態の例では、保持部108の下端に、半導体基板1000の下面に接するL字型のフック部が設けられていた。この場合、半導体基板1000は、上部電極とフック部とに挟まれることにより固定されていた。これに対し、本例では、半導体基板1000の下面に接するフック部は廃されている。保持部108は、固定部113を含む。固定部113は、保持部108の側面に設けられる。陽極化成処理の際に、電解液A及びBの液圧によって、半導体基板1000は、下側から固定部113に押し当てられる。保持部108及び固定部113は、電解液Cに対して耐性を有する絶縁材料で構成される。例えば、保持部108及び固定部113には、半導体基板1000とのシール性を改善するため、弾性材料が用いられてもよい。なお、固定部113の断面の形状は、任意である。例えば、固定部113の断面の形状は、半円形であってもよいし、矩形状であってもよい。
本実施形態では、電解液A及びBの液圧は、電解液Cの液圧よりも高く設定される。このため、陽極化成処理の際、電解液A及びBの液圧により、半導体基板1000の上面は、固定部113に押し当てられる。
半導体基板1000の下面(陽極化成処理される面)と下部電極107との間には、固定部113が設けられていない。換言すれば、半導体基板1000の下面は、保持部108と接していない。このため、陽極化成処理の際、半導体基板1000の下面の外周に、陽極化成処理されない領域(以下、「エッジカット領域」とも表記する)が設けられない。このため、半導体基板1000の下側の面の全面に多孔質層1100及び1200が形成される。
5.1.3 接触部の構成
次に、固定部113の構成の一例について、図26を用いて説明する。図26は、固定部113の上面図である。
図26に示すように、本実施形態の固定部113は、リング形状を有している。陽極化成処理の際、半導体基板1000の上面の外周(エッジ)全体が固定部113と接する。これにより、処理槽101から処理槽111への液体の染み出しが抑制される。
5.2 第2例
次に、第2例について説明する。第2例では、第1例と異なる陽極化成処理部10の構成について、図27を用いて説明する。図27は、電解液A〜Cが供給されている状態における陽極化成処理部10の断面図である。図27の例は、第2実施形態の第1例と同様に、陽極化成装置1が、「同一電極 単一電源 分割処理槽」の構成である場合を示している。
本例の陽極化成装置1の全体構成は、第5実施形態の第1例の図24と同様である。
図27に示すように、陽極化成処理部10は、処理槽101、103、及び111、バット102、上部電極104、下部電極107、及び保持部108を含む。
処理槽101及び103、バット102、上部電極104、並びに下部電極107は、第2実施形態の第1例の図8と同様である。第2実施形態の第1例と同様に、上部電極104に電流供給部13(電流源40)が接続される。
本例では、上部電極104の下面と半導体基板1000の上面と保持部108の側面とに囲まれた領域が処理槽111に相当する。換言すれば、処理槽111は、上部電極104と、処理槽101及び103との間に設けられる。
5.3 第3例
次に、第3例について説明する。第3例では、第1及び第2例と異なる陽極化成装置1の構成について、図28及び図29を用いて説明する。図28は、陽極化成装置のブロック図である。図29は、電解液A及びCが供給されている状態における陽極化成処理部10の断面図である。図29の例は、第2実施形態の第2例と同様に、陽極化成装置1が、「分割電極 単一電源 同一処理槽」の構成である場合を示している。
図28に示すように、本例の陽極化成装置1は、第5実施形態の第1例の構成(図24)から、電解液B供給ユニット12、並びに配管16及び17を廃した構成である。電解液A供給ユニット11の電解液A混合槽20は、配管15を介して陽極化成処理部10内の処理槽101に接続される。
図29に示すように、陽極化成処理部10は、処理槽101及び111、バット102、上部電極104及び106、絶縁体105、下部電極107、及び保持部108を含む。
処理槽101、バット102、上部電極104及び106、絶縁体105、並びに下部電極107は、第2実施形態の第2例の図11と同様である。第2実施形態の第2例と同様に、本例では、上部電極104は、スイッチSW1を介して電流源40に接続されている。また、上部電極106は、スイッチSW2を介して電流源40に接続されている。
本例では、上部電極104及び106の下面と半導体基板1000の上面と保持部108の側面とに囲まれた領域が処理槽111に相当する。換言すれば、処理槽111は、上部電極104及び106と、処理槽101との間に設けられる。
5.4 第4例
次に、第4例について説明する。第4例では、第3例と異なる陽極化成処理部10の構成について、図30を用いて説明する。図30は、電解液A〜Cが供給されている状態における陽極化成処理部10の断面図である。図30の例は、第2実施形態の第3例と同様に、陽極化成装置1が、「分割電極 複数電源 同一処理槽」の構成である場合を示している。
本例の陽極化成装置1の全体構成は、第5実施形態の第3例の図28と同様である。
図30に示すように、陽極化成処理部10は、処理槽101及び111、バット102、上部電極104及び106、絶縁体105、下部電極107、及び保持部108を含む。
処理槽101、バット102、上部電極104及び106、絶縁体105、並びに下部電極107は、第2実施形態の第3例の図13と同様である。第2実施形態の第3例と同様に、上部電極104には、電流源40が接続される。上部電極106には、電流源41が接続される。
処理槽111の構成は、第5実施形態の第3例の図29と同様である。
5.5 本実施形態に係る効果
本実施形態に係る構成であれば、第1乃至第4実施形態と同様の効果が得られる。
更に、本実施形態に係る構成であれば、陽極化成装置は、上部電極と半導体基板との間に電解液を供給できる。これにより、上部電極と半導体基板との接触面積を抑制できる。従って、上部電極による半導体基板の金属汚染を低減できる。
更に、本実施形態に係る構成であれば、上部電極と半導体基板との間に電解液を供給することにより、上部電極と半導体基板との間の導通不良を抑制できる。
6.第6実施形態
次に、第6実施形態について説明する。第6実施形態では、第5実施形態の第1例とは異なる電解液C供給ユニット61の構成について説明する。
6.1 全体構成
陽極化成装置1の全体構成について、図31を用いて説明する。図31は、陽極化成装置1のブロック図である。
図31に示すように、本例の陽極化成装置1は、陽極化成処理部10、電解液A供給ユニット11、電解液B供給ユニット12、電解液C供給ユニット61、電流供給部13、制御回路14、並びに濃度センサ91を含む。
陽極化成処理部10、電解液A供給ユニット11、電解液B供給ユニット12、電流供給部13、及び制御回路14は、第5実施形態の第1例の図24と同様である。
電解液C供給ユニット61は、循環機構を有しておらず、未使用の電解液Cを陽極化成処理部10に供給する。すなわち、電解液C供給ユニット61は、電解液C混合槽70において、3つの液体G〜Iを混合して電解液Cを生成する。
配管64は、電解液C混合槽70には、接続されておらず、処理槽111で使用された液体は、廃液として排出される。
濃度センサ91は、配管64における排液の濃度をモニタし、その結果を制御回路14に送信する。例えば、本例の陽極化成装置1では、陽極化成処理毎に、電解液Cの新液の供給と排液処理とを繰り返す。但し、濃度センサ91のモニタ結果から、処理槽111内の電解液Cが、次の陽極化成処理において、再利用可能と判定された場合、陽極化成装置1は、処理槽111の電解液Cの全部または一部を再利用できる。一部を再利用する場合、不足分の電解液Cが電解液C供給ユニット61から供給される。
6.2 本実施形態に係る効果
本実施形態を第5実施形態に適用できる。
7.第7実施形態
次に、第7実施形態について説明する。第7実施形態では、上部電極と半導体基板上面との間に2種類の電解液が供給されている場合について4つの例を説明する。以下、第5及び第6実施形態と異なる点を中心に説明する。
7.1 第1例
7.1.1 全体構成
まず、第1例の陽極化成装置1の全体構成について図32を用いて説明する。図32は、陽極化成装置のブロック図である。なお、図32の例では、電解液A供給ユニット11及び電解液B供給ユニット12の構成要素の詳細については、省略されている。
図32に示すように、陽極化成装置1は、陽極化成処理部10、電解液A供給ユニット11、電解液B供給ユニット12、電解液C供給ユニット61、電解液D供給ユニット62、電流供給部13、及び制御回路14を含む。
陽極化成処理部10は、上部電極と半導体基板1000との間に2つの処理槽を有する。陽極化成処理部10の詳細は後述する。
電解液A供給ユニット11、電解液B供給ユニット12、及び電流供給部13は、第1実施形態の図1と同様である。
電解液C供給ユニット61の構成は、第5実施形態の第1例の図24と同様である。電解液C混合槽70は、配管65及び66を介して、陽極化成処理部10に接続される。すなわち、電解液C供給ユニット61は、配管65を介して、陽極化成処理部10に電解液Cを供給し、配管66を介して、陽極化成処理部10から液体を回収する。
電解液D供給ユニット62は、陽極化成処理部10内の上部電極と半導体基板1000の上面(陽極化成処理されない面)との間に設けられた処理槽に電解液Dを供給する。なお、電解液D供給ユニット62は、処理槽に供給する電解液Dの液圧を調整するための図示せぬ機構(例えば、ポンプ等)を有する。電解液Dとしては、例えば、陽極化成処理の際、半導体基板1000とほとんど反応しない溶液が用いられる。なお、半導体基板1000の金属汚染を抑制するため、電解液Dは、金属元素を含まない方が好ましい。電解液Dは、電解液Cと同じであってもよく、異なっていてもよい。以下では、電解液Dは、電解液Cと濃度(抵抗値)が異なる場合について説明する。なお、電解液Dの抵抗値は、電解液Cの抵抗値より高くてもよいし、低くてもよい。上部電極104及び106の材質、電解液A〜Dの組み合わせによる陽極化成処理への効果(電界への影響)等を考慮して、電解液C及びDの抵抗値は調整される。本実施形態の電解液D供給ユニット62は、陽極化成処理部10と電解液D混合槽80とにおいて電解液Dを循環させるための機能を有する。すなわち、電解液D供給ユニット62は、陽極化成処理部10から回収した液体の成分調整を行い、再度、陽極化成処理部10に供給できる。
電解液D供給ユニット62は、電解液D混合槽80、供給制御部81、複数の液体供給部82(図24の例では、3つの液体供給部82a〜82c)、及び濃度センサ83を含む。
電解液D混合槽80は、複数の液体を混合して電解液Dを生成するための槽である。電解液D供給ユニット62は、原料として、配管64を介して陽極化成処理部10から回収した液体と、3つの液体J〜Lとを混合して、電解液Dの生成及び濃度調整が可能である。なお、電解液Dの生成に用いられる液体は、3種類に限定されない。また、電解液Dの生成には、液体以外の材料が用いられてもよい。電解液Cと同様に、例えば、電解液Dは、陽極化成処理の際、半導体基板1000とほとんど反応しない希釈HF水溶液であってもよいし、希釈HCl水溶液であってもよいし、非水溶性有機電解液であってもよい。例えば、電解液Dの原料として、非水溶性電解液であるアセトニトリル(acetonitrile)、炭酸プロピレン(propylene carbonate)、またはジメチルホルムアミド(dimethylformamide)の少なくとも1つが選択されてもよい。また、電解液Dの原料として、フッ化物源となる無水HF(anhydrous HF)、テトラフルオロホウ酸塩(tetrafluoroborate)、またはフルオロホウ酸リチウム(lithium fluoroborate)の少なくとも1つが選択されてもよい。生成された電解液Dは、配管63を通して陽極化成処理部10の処理槽の1つに供給される。また、電解液D混合槽80は、槽内の液体がオーバーフローした場合等に排液処理を行うためのオーバーフロー管を有する。
供給制御部81は、制御回路14の制御により、電解液D混合槽80に供給する液体J〜Lの供給量を制御する。例えば、供給制御部81は、各液体の供給ラインに設けられたバルブ及び流量計を含む。
液体供給部82a〜82cは、供給ラインにより、電解液D混合槽80とそれぞれ接続されている。液体供給部82a〜82cは、供給ラインを介して、電解液D混合槽80に液体J〜Lをそれぞれ供給する。液体供給部82a〜82cは、例えば、液体J〜Lの容器から液体J〜Lを圧送するための機構をそれぞれ有していてもよい。
濃度センサ83は、電解液D混合槽80内の電解液Dの濃度をモニタし、その結果を制御回路14に送信する。制御回路14は、濃度モニタの結果に基づいて、供給制御部81を制御し、電解液Dの濃度を調整する。なお、濃度センサ83は、電解液Dの抵抗値を測定してもよい。
制御回路14は、陽極化成装置1の全体を制御する。より具体的には、制御回路14は、陽極化成処理部10、電解液A供給ユニット11、電解液B供給ユニット12、電解液C供給ユニット61、電解液D供給ユニット62、及び電流供給部13を制御する。
7.1.2 陽極化成処理部の詳細な構成
次に、陽極化成処理部10の詳細な構成の一例について、図33を用いて説明する。図33は、電解液A〜Dが供給されている状態における陽極化成処理部10の断面図である。図33の例は、第1実施形態と同様に、陽極化成装置1が、「分割電極 複数電源 分割処理槽」の構成である場合を示している。
図33に示すように、陽極化成処理部10は、処理槽101、103、111、及び112、バット102、上部電極104及び106、絶縁体105、下部電極107、及び保持部108を含む。処理槽101及び103、バット102、上部電極104及び106、絶縁体105、並びに下部電極107の構成は、第1実施形態の図2と同様である。第1実施形態と同様に、上部電極104には、電流源40が接続される。上部電極106には、電流源41が接続される。
本例では、処理槽111の上端は、上部電極104の下面に位置する。上部電極104の下面と半導体基板1000の上面と保持部108の側面と処理槽112の側面とに囲まれた領域が処理槽111に相当する。換言すれば、処理槽111は、上部電極104と、処理槽101との間に設けられる。
処理槽112は、例えば、円筒形状を有している。処理槽112は、例えば、処理槽111と同心円状となるように配置されている。処理槽112の内径は、処理槽111の内径よりも小さい。例えば、処理槽112の内径は、上部電極106と概略同じである。処理槽112は、多孔質層1100の形成に対応する。処理槽112の上端は、上部電極106の下面に接する。処理槽112の下端は、半導体基板1000の上面近傍に位置し、半導体基板1000の上面に接していない。上部電極106の下面と半導体基板1000の上面と処理槽112の側面とに囲まれた領域が処理槽112に相当する。換言すれば、処理槽112は、上部電極106と、処理槽103との間に設けられる。処理槽112の下端と半導体基板1000との間には、ギャップGP3が設けられている。処理槽112の側面は、例えば、電解液C及びDに対して耐性を有する絶縁材料で構成される。なお、処理槽112は、保持部108と同じ材料であってもよい。処理槽103には、配管65及び66が接続されている。配管65は、処理槽112への液体供給ラインである。配管66は、処理槽112からの液体排出ラインである。本実施形態では、配管65は、電解液C混合槽70の液体供給ラインに接続される。配管66は、電解液C混合槽70の液体回収ラインに接続される。なお、配管65及び66は、複数設けられてもよい。更に、処理槽112には、処理槽112内の液体を廃液として排出する際に用いられる廃液排出用の配管が接続されていてもよい。
本実施形態では、電解液A及びBの液圧は、電解液C及びDの液圧よりも高く設定される(電解液A+Bの液圧>電解液C+Dの液圧)。このため、陽極化成処理の際、電解液A及びBの液圧により、半導体基板1000の上面は、固定部113に押し当てられる。
また、電解液Cの液圧は、電解液Dの液圧よりも高く設定される(電解液Cの液圧>電解液Dの液圧)。これにより、陽極化成処理の際、ギャップGP3を通って、処理槽112から処理槽111に向かって電解液Cが流れ込む。例えば、電解液A〜Dが供給される場合、電解液A〜Dの液圧は、電解液A>電解液B>電解液C>電解液Dの関係にあってもよい。
7.2 第2例
次に、第2例について説明する。第2例では、第1例と異なる陽極化成処理部10の構成について、図34を用いて説明する。図34は、電解液A〜Dが供給されている状態における陽極化成処理部10の断面図である。図34の例は、第2実施形態の第1例と同様に、陽極化成装置1が、「同一電極 単一電源 分割処理槽」の構成である場合を示している。
本例の陽極化成装置1の全体構成は、第7実施形態の第1例の図32と同様である。
図34に示すように、陽極化成処理部10は、処理槽101、103、111、及び112、バット102、上部電極104、下部電極107、及び保持部108を含む。
処理槽101及び103、バット102、上部電極104、並びに下部電極107は、第2実施形態の第1例の図8と同様である。第2実施形態の第1例と同様に、上部電極104に対して、電流供給部13(電流源40)から電流が供給される。
本例では、例えば、処理槽111の内径は、処理槽103の内径と概略同じである。換言すれば、処理槽111は、上部電極104の処理槽101と対向する領域と、処理槽101との間に設けられる。処理槽112は、上部電極104の処理槽103と対向する領域と、処理槽103との間に設けられる。
7.3 第3例
次に、第3例について説明する。第3例では、第1及び第2例と異なる陽極化成装置1の構成について、図35及び図36を用いて説明する。図35は、陽極化成装置のブロック図である。図36は、電解液A、C、Dが供給されている状態における陽極化成処理部10の断面図である。図36の例は、第2実施形態の第2例と同様に、陽極化成装置1が、「分割電極 単一電源 同一処理槽」の構成である場合を示している。
図35に示すように、本例の陽極化成装置1は、第7実施形態の第1例の構成(図32)から、電解液B供給ユニット12、並びに配管16及び17を廃した構成である。電解液A供給ユニット11の電解液A混合槽20は、配管15を介して処理槽101に接続される。
図36に示すように、陽極化成処理部10は、処理槽101、111、及び112、バット102、上部電極104及び106、絶縁体105、下部電極107、及び保持部108を含む。
処理槽101、バット102、上部電極104及び106、絶縁体105、並びに下部電極107は、第2実施形態の第2例の図11と同様である。第2実施形態の第2例と同様に、本例では、上部電極104は、スイッチSW1を介して電流源40に接続されている。また、上部電極106は、スイッチSW2を介して電流源40に接続されている。
本例では、処理槽111の上端は、上部電極104の下面に位置する。上部電極104の下面と半導体基板1000の上面と保持部108の側面と処理槽112の側面とに囲まれた領域が処理槽111に相当する。また、処理槽112の上端は、上部電極106の下面に位置する。上部電極106の下面と半導体基板1000の上面と処理槽112の側面とに囲まれた領域が処理槽112に相当する。換言すれば、処理槽111は、上部電極104と、処理槽101の上部電極104と対向する領域との間に設けられる。処理槽112は、上部電極106と、処理槽101の上部電極106と対向する領域との間に設けられる。
7.4 第4例
次に、第4例について説明する。第4例では、第3例と異なる陽極化成処理部10の構成について、図37を用いて説明する。図37は、電解液A、C、Dが供給されている状態における陽極化成処理部10の断面図である。図37の例は、第2実施形態の第3例と同様に、陽極化成装置1が、「分割電極 複数電源 同一処理槽」の構成である場合を示している。
本例の陽極化成装置1の全体構成は、第7実施形態の第3例の図35と同様である。
図37に示すように、陽極化成処理部10は、処理槽101、111、及び112、バット102、上部電極104及び106、絶縁体105、下部電極107、及び保持部108を含む。
処理槽101、バット102、上部電極104及び106、絶縁体105、並びに下部電極107は、第2実施形態の第3例の図13と同様である。第2実施形態の第3例と同様に、上部電極104には、電流源40が接続される。上部電極106には、電流源41が接続される。
処理槽111及び112の構成は、第7実施形態の第3例の図36と同様である。
7.5 本実施形態に係る効果
本実施形態に係る構成であれば、第6実施形態と同様の効果が得られる。
更に、本実施形態に係る構成であれば、上部電極と半導体基板との間において、半導体基板上面の中央部と外周部とに対して抵抗値の異なる電解液C及びDを供給できる。更に、第1、第3、第4例の場合、2つの上部電極106及び104に供給される電流量に応じた電解液C及びDをそれぞれ供給できる。これにより、陽極化成処理において、多孔質層1100及び1200形成の制御性を向上できる。更に、上部電極の電圧制御のレンジをより広くできる。更に、電解液C及びDの抵抗値を調整することにより、消費電力を低減できる。
8.第8実施形態
次に、第8実施形態について説明する。第8実施形態では、第7実施形態の第1例とは異なる電解液C供給ユニット61及び電解液D供給ユニット62の構成について、4つの例を説明する。以下、第7実施形態の第1例と異なる点を中心に説明する。
8.1 第1例
まず、第1例の陽極化成装置1について、図38を用いて説明する。図38は、陽極化成装置1のブロック図である。第1例では、第1実施形態と異なり、電解液C供給ユニット61及び電解液D供給ユニット62が循環機構を有していない場合について説明する。
図38に示すように、本例の陽極化成装置1は、陽極化成処理部10、電解液A供給ユニット11、電解液B供給ユニット12、電解液C供給ユニット61、電解液D供給ユニット62、電流供給部13、制御回路14、並びに濃度センサ91及び92を含む。
陽極化成処理部10、電解液A供給ユニット11、電解液B供給ユニット12、電流供給部13、及び制御回路14は、第7実施形態の第1例の図32と同様である。
電解液C供給ユニット61は、循環機構を有しておらず、未使用の電解液Cを陽極化成処理部10に供給する。すなわち、電解液C供給ユニット61は、電解液C混合槽70において、3つの液体G〜Iを混合して電解液Cを生成する。
電解液D供給ユニット62は、電解液C供給ユニット61と同様に、循環機構を有しておらず、未使用の電解液Dを陽極化成処理部10に供給する。すなわち、電解液D供給ユニット62は、電解液D混合槽80において、3つの液体J〜Lを混合して電解液Dを生成する。
配管64は、電解液D混合槽80には、接続されておらず、処理槽111で使用された液体は、廃液として排出される。
配管66は、電解液C混合槽70には、接続されておらず、処理槽112で使用された液体は、廃液として排出される。
濃度センサ91は、配管66における排液の濃度をモニタし、その結果を制御回路14に送信する。濃度センサ92は、配管64における排液の濃度をモニタし、その結果を制御回路14に送信する。例えば、本例の陽極化成装置1では、陽極化成処理毎に、電解液C及びDの新液の供給と排液処理とを繰り返す。但し、濃度センサ91のモニタ結果から、処理槽112内の電解液Cが、次の陽極化成処理において、再利用可能と判定された場合、陽極化成装置1は、処理槽112の電解液Cの全部または一部を再利用できる。同様に、濃度センサ92のモニタ結果から、処理槽111内の電解液Dが、次の陽極化成処理において、再利用可能と判定された場合、陽極化成装置1は、処理槽111の電解液Dの全部または一部を再利用できる。一部を再利用する場合、不足分の電解液C及びDが電解液C供給ユニット61及び電解液D供給ユニット62からそれぞれ供給される。
8.2 第2例
次に、第2例の陽極化成装置1について、図39を用いて説明する。図39は、陽極化成装置1のブロック図である。第2例では、電解液C供給ユニット61及び電解液D供給ユニット62が処理槽111の排液を循環させる場合について説明する。
図39に示すように、本例の陽極化成装置1は、陽極化成処理部10、電解液A供給ユニット11、電解液B供給ユニット12、電解液C供給ユニット61、電解液D供給ユニット62、電流供給部13、及び制御回路14を含む。
陽極化成処理部10、電解液A供給ユニット11、電解液B供給ユニット12、電流供給部13、及び制御回路14は、第7実施形態の第1例の図32と同様である。
電解液C供給ユニット61は、第7実施形態の第1例の図32と同様である。本例では、電解液C供給ユニット61は、処理槽111から配管64を介して液体を回収する。電解液C供給ユニット61は、配管64を介して処理槽111から回収した液体(電解液Cと電解液Dとの混合液)と、3つの液体G〜Iとを混合して、電解液Cの生成及び濃度調整が可能である。なお、本例では、配管66が省略されているが、配管66は、廃されていてもよく、処理槽112の廃液排出用ラインとして用いられてもよい。
電解液D供給ユニット62は、第7実施形態の第1例の図32と同様である。電解液D供給ユニット62は、電解液C供給ユニット61と同様に、処理槽111から配管64を介して液体を回収する。
8.3 第3例
次に、第3例の陽極化成装置1について、図40を用いて説明する。図40は、陽極化成装置1のブロック図である。第3例では、電解液C供給ユニット61が循環機構を有しておらず、電解液D供給ユニット62が循環機構を有している場合について説明する。
図40に示すように、本例の陽極化成装置1は、陽極化成処理部10、電解液A供給ユニット11、電解液B供給ユニット12、電解液C供給ユニット61、電解液D供給ユニット62、電流供給部13、制御回路14、及び濃度センサ91を含む。
陽極化成処理部10、電解液A供給ユニット11、電解液B供給ユニット12、電解液D供給ユニット62、電流供給部13、及び制御回路14は、第7実施形態の第1例の図32と同様である。
電解液C供給ユニット61及び濃度センサ91は、第8実施形態の第1例の図38と同様である。
8.4 第4例
次に、第4例の陽極化成装置1について、図41を用いて説明する。図41は、陽極化成装置1のブロック図である。第4例では、電解液C供給ユニット61が循環機構を有しており、電解液D供給ユニット62は循環機構を有していない場合について説明する。
図41に示すように、本例の陽極化成装置1は、陽極化成処理部10、電解液A供給ユニット11、電解液B供給ユニット12、電解液C供給ユニット61、電解液D供給ユニット62、電流供給部13、及び制御回路14を含む。
陽極化成処理部10、電解液A供給ユニット11、電解液B供給ユニット12、電流供給部13、及び制御回路14は、第7実施形態の第1例の図32と同様である。
電解液C供給ユニット61は、第8実施形態の第2例の図39と同様である。本例では、電解液C供給ユニット61は、処理槽111から配管64を介して液体を回収する。なお、本例では、電解液C供給ユニット61が、処理槽111から配管64を介して液体(電解液Cと電解液Dとの混合液)を回収する場合について説明したが、電解液C供給ユニット61は、処理槽112から配管66を介して液体(電解液C)を回収してもよい。この場合、例えば、処理槽111に接続されている配管64は、処理槽111の廃液排出用ラインとして用いられる。
電解液D供給ユニット62は、第8実施形態の第1例の図38と同様である。なお、電解液C供給ユニット61が、処理槽112から配管66を介して液体(電解液C)を回収している場合、すなわち、配管66が廃液排出用ラインとして用いられている場合、陽極化成装置1は、第6実施形態の第1例で説明した濃度センサ92を有していてもよい。濃度センサ92のモニタ結果から、処理槽111内の電解液Dが、次の陽極化成処理において、再利用可能と判定された場合、陽極化成装置1は、処理槽111の電解液Dの全部または一部を再利用できる。
8.5 本実施形態に係る効果
本実施形態に係る構成を、第7実施形態に適用できる。
9.第9実施形態
次に、第9実施形態について説明する。第9実施形態では、第5及び第7実施形態とは異なる保持部108の構成について、2つの例を説明する。以下、第5及び第7実施形態と異なる点を中心に説明する。
9.1 第1例
まず、第1例について説明する。第1例では、保持部108が上下に配置された2つの固定部113a及び113bを有している場合について、図42〜図45を用いて説明する。図42は、電解液A〜Cが供給されている状態における陽極化成処理部10の断面図である。図43は、固定部113aの上面図である。図44及び図45は、図42の領域RAの拡大図である。図44は、半導体基板1000を陽極化成装置1にセットするときの固定部113a及び113bの位置を示している。図45は、陽極化成処理の際の固定部113a及び113bの位置を示している。
図42に示すように、陽極化成処理部10は、処理槽101、103、及び111、バット102、上部電極104及び106、絶縁体105、下部電極107、並びに保持部108を含む。処理槽101、103、及び111、バット102、上部電極104及び106、絶縁体105、及び下部電極107は、第7実施形態の第1例と同様である。なお、陽極化成処理部10の構成は、第5及び第7実施形態で説明したいずれの構成であってもよい。
保持部108は、複数の固定部113a及び113bを含む。固定部113a及び113bの断面の形状は、例えば、三角形であってもよい。固定部113a及び113bの形状は、任意である。固定部113a及び113bの断面の形状は、半導体基板1000を保持可能であり、且つ半導体基板1000との接触面がより少ない形状が好ましい。
固定部113aと固定部113bとは、保持部108の側面において異なる高さ位置に配置される。例えば、固定部113aは、固定部113bよりも保持部108の上端側(上部電極104に近い側)に配置されている。固定部113a及び113bは、保持部108の内面に突き出している状態(以下、「突き出し状態」と表記する)と、保持部108の内部に引っ込んでいる状態(以下、「引っ込み状態」と表記する)となるように移動可能である。
図43に示すように、例えば、3つの固定部113aは、保持部108の中心に対してそれぞれが120°回転した位置に配置されている。なお、図43の例は、固定部113aが突き出し状態にある場合を示している。固定部113aは、上面から見て、例えば、三角形の形状を有する。従って、固定部113aは、例えば、円錐または四角錐の形状を有していてもよい。なお、固定部113aの個数は、任意である。陽極化成処理の際に、半導体基板1000を固定できるように、少なくとも3つ以上の固定部113aが配置されていればよい。
固定部113bも固定部113aと同様である。なお、固定部113bの形状、個数、及び配置は、固定部113aと異なっていてもよい。
次に、固定部113a及び113bの動作について説明する。
図44に示すように、例えば、半導体基板1000を保持部108の内部にセットする場合、固定部113aは、引っ込み状態とされ、固定部113bは、突き出し状態とされる。これにより、上方から半導体基板1000をセットした際に、固定部113bが半導体基板1000の下面を保持し、半導体基板1000の落下を防止する。
図45に示すように、例えば、陽極化成処理の際、固定部113aは、突き出し状態とされ、固定部113bは、引っ込み状態とされる。これにより、半導体基板1000は、下側から固定部113aに押し当てられ、その位置が固定される。
9.2 第2例
次に、第2例について説明する。第2例では、保持部108に弾性材料が用いられているについて、図46を用いて説明する。図46は、保持部108と半導体基板1000の配置を示す概念図である。
図46に示すように、保持部108に弾性材料を用いる場合、半導体基板1000の先端が保持部108に押し当てられると、保持部108と半導体基板1000とのシール性が向上する。なお、保持部108は、半導体基板1000の外周全体に接していてもよいし、外周の一部に接していてもよい。
9.3本実施形態に係る効果
本実施形態に係る構成を、第5乃至第8実施形態に適応できる。
なお、本実施形態の第1例と第2例とを組み合わせてもよい。
10.変形例
上記実施形態に係る陽極化成装置は、基板の陽極化成処理が可能な第1処理槽(101)と、第1処理槽の内側に設けられ基板の陽極化成処理が可能な第2処理槽(103)と、第1処理槽に第1電解液を供給可能な第1電解液供給ユニット(12)と、第2処理槽に第2電解液を供給可能な第2電解液供給ユニット(11)と、基板を保持可能な保持部(108)と、第1処理槽または第2処理槽の上方に設けられた第1電極(104)と、第1処理槽及び第2処理槽の下方に設けられた第2電極(107)と、を含む。
上記実施形態を適用することにより、基板表面に膜質の異なる複数の多孔質層を形成できる。
なお、実施形態は上記説明した形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
例えば、上記実施形態では、半導体基板表面の中央部と外周部とで2種類の異なる膜質の多孔質層を形成できる陽極化成装置について説明したが、3種類以上の異なる膜質の多孔質層を形成できる陽極化成装置であってもよい。より具体的には、陽極化成装置1において、上部電極が、例えば同心円状に、3つ以上設けられていてもよいし、処理槽が、例えば同心円状に、3つ以上設けられていてもよい。
また、上記実施形態における「接続」とは、他の何かを介在させて間接的に接続されている状態も含む。
また、上記実施形態における「概略同じ」とは、陽極化成処理を実行するにあって、多孔質層の形成に影響を与えない程度の誤差を含む。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。