JP2021152143A - 水性インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法 - Google Patents

水性インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法 Download PDF

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Abstract

【課題】耐擦過性及び光沢性に優れた画像を記録することが可能なインクジェット用の水性インク、この水性インクを用いたインクカートリッジ、並びにインクジェット記録方法を提供する。【解決手段】色材、及びこの色材とは別の複数の樹脂(第1樹脂及び第2樹脂)を含有するインクジェット用の水性インクである。第1樹脂が、第1ポリエステル樹脂で形成された樹脂粒子であり、第2樹脂が、(i)酸基を有しないAブロック及び酸基を有するBブロックを含むブロック共重合体、並びに、(ii)スルホン酸基を有する第2ポリエステル樹脂、の少なくとも一方である。また、この水性インクを用いたインクカートリッジ、及びこの水性インクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法である。【選択図】なし

Description

本発明は、水性インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法に関する。
近年、インクジェット記録装置により、銀塩写真やオフセット印刷で実現されているような高精細で高い光沢性を示す画像を容易かつ安価に記録することが可能となっている。
光沢性に優れた画像を記録可能なインクの一つとして、色材として染料を含有する染料インクがある。染料インクを用いれば、粒状性が低減された、高品位な画像を記録することができる。但し、染料インクで記録した画像は、染料の分解に起因して堅牢性に劣るといった課題があった。このため、近年、色材として顔料を含有する顔料インクが用いられるようになっている。記録媒体への顔料の定着性を向上させうる顔料インクとして、例えば、ポリエステル系の樹脂粒子を含有するインクジェット用の水性インクが提案されている(特許文献1)。また、ポリエステル系の着色樹脂微粒子を含有する水分散体やそれを用いたインクが提案されている(特許文献2)。
特開2014−88552号公報 特開平08−269310号公報
本発明者らは、特許文献1及び2で提案された水性インクについて検討した。その結果、耐擦過性と光沢性とを近年要求されるレベルで両立した画像を記録することが困難であることが判明した。
したがって、本発明の目的は、耐擦過性及び光沢性に優れた画像を記録することが可能なインクジェット用の水性インクを提供することにある。また、本発明の別の目的は、この水性インクを用いたインクカートリッジ及びインクジェット記録方法を提供することにある。
すなわち、本発明によれば、色材、及び前記色材とは別の複数の樹脂を含有するインクジェット用の水性インクであって、前記複数の樹脂が、第1樹脂及び第2樹脂を含み、前記第1樹脂が、第1ポリエステル樹脂で形成された樹脂粒子であり、前記第2樹脂が、(i)酸基を有しないAブロック及び酸基を有するBブロックを含むブロック共重合体、並びに、(ii)スルホン酸基を有する第2ポリエステル樹脂、の少なくとも一方であることを特徴とする水性インクが提供される。
本発明によれば、耐擦過性及び光沢性に優れた画像を記録することが可能なインクジェット用の水性インクを提供することができる。また、本発明によれば、この水性インクを用いたインクカートリッジ及びインクジェット記録方法を提供することができる。
本発明のインクカートリッジの一実施形態を模式的に示す断面図である。 本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置の一例を模式的に示す図であり、(a)はインクジェット記録装置の主要部の斜視図、(b)はヘッドカートリッジの斜視図である。
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、さらに本発明を詳細に説明する。本発明においては、化合物が塩である場合は、インク中では塩はイオンに解離して存在しているが、便宜上、「塩を含有する」と表現する。また、インクジェット用の水性インクのことを、単に「インク」と記載することがある。物性値は、特に断りのない限り、常温(25℃)、常圧(1気圧=101,325Pa)、常湿(相対湿度50%)における値である。「ユニット」とは、特に断りのない限り、1の単量体に対応する単位構造を意味する。「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリレート」と記載した場合は、それぞれ「アクリル酸、メタクリル酸」、「アクリレート、メタクリレート」を意味する。
ポリエステル樹脂は、通常、多価アルコールに由来するユニット、及び多価カルボン酸に由来するユニットで構成される。多価アルコールに由来するユニットと多価カルボン酸に由来するユニットとで構成される、エステル結合(−COO−)を含む構造を「エステルユニット」とも記す。
エステル結合のカルボニル基を構成する酸素原子は、δに分極している。また、インクジェット記録方法で用いる一般的な記録媒体は中性〜酸性であるので、δに分極した水素原子が存在する。ポリエステル樹脂で形成される樹脂粒子を含有するインクが記録媒体に付与されると、ポリエステル樹脂のδに分極した酸素原子と、記録媒体のδに分極した水素原子とが引き合ことで、記録媒体と樹脂粒子が密着しやすくなる。さらに、カルボン酸基を有するポリエステル樹脂の分子鎖は、記録媒体において、複数のカルボン酸基の間に生ずる水素結合によって絡み合ったような状態となる。そして、記録媒体と樹脂粒子の密着性、及びポリエステル樹脂の分子鎖の絡み合いにより、画像の耐擦過性が発現する。
本発明者らは、第1樹脂としての、第1ポリエステル樹脂で形成される樹脂粒子(以下、単に「樹脂粒子」とも記す)の凝集を抑制することで、記録される画像の平滑性を向上させるべく、樹脂粒子の親水性を高くすることについて検討した。具体的には、樹脂粒子の表面の親水性を制御することで、樹脂粒子の急激な凝集を抑制することができると予想した。しかし、樹脂粒子の親水性を高めても、記録される画像の光沢性が向上しない場合があることがわかった。そこで、さらなる検討の結果、後述する第2樹脂を樹脂粒子とともにインクに含有させることで、耐擦過性を損なうことなく、光沢性が向上した画像を記録可能となることを見出した。この第2樹脂は、(i)酸基を有しないAブロック及び酸基を有するBブロックを含むブロック共重合体、並びに、(ii)スルホン酸基を有する第2ポリエステル樹脂、の少なくとも一方である。
樹脂粒子を形成するポリエステル樹脂の親水性を高める方法として、ポリエステルの分子鎖に酸基を組み込む方法がある。しかし、この方法によると、ポリエステル樹脂の水溶性が高まって樹脂粒子の形状が維持されにくくなる。このため、ポリエステル樹脂が徐々に水性インクに溶解して、インクの粘度が上昇することになる。その結果、記録媒体に付与されたインクのドット間でのレベリング性が低下し、画像表面にマクロな凹凸が生じてしまうので、画像の光沢性が向上しない。
これに対して、本発明のインクは、第1樹脂としての、第1ポリエステル樹脂で形成される樹脂粒子とともに、第2樹脂を含有する。第2樹脂は、(i)酸基を有しないAブロック及び酸基を有するBブロックを含むブロック共重合体、及び、(ii)スルホン酸基を有する第2ポリエステル樹脂、の少なくとも一方である。第2樹脂としてブロック共重合体を用いる場合は、樹脂粒子とAブロックとを疎水性相互作用により物理吸着させることができる。さらに、ブロック共重合体のBブロック中の酸基によって、粒子の形状を保ったまま、樹脂粒子に親水性を付与することができる。また、第2樹脂として、第2ポリエステル樹脂を用いる場合は、第1ポリエステル樹脂及び第2ポリエステル樹脂が疎水性相互作用によって物理吸着する。これに加えて、第2ポリエステル樹脂のスルホン酸基によって、樹脂粒子が粒子としての形状を保持しながら、親水性を持つようになる。これにより、樹脂粒子の急激な凝集を抑制することが可能となり、画像表面のミクロな凹凸までもが低減されるため、画像の光沢性を向上させることができる。この作用を効率よく発揮させるためには、第1樹脂及び第2樹脂が、色材とは異なるものである、すなわち、色材とは別に存在することを要する。
<インク>
本発明のインクは、色材と、色材とは別の複数の樹脂(第1樹脂及び第2樹脂)とを含有するインクジェット用の水性インクである。第1樹脂は、第1ポリエステル樹脂で形成された樹脂粒子である。そして、第2樹脂は、(i)酸基を有しないAブロック及び酸基を有するBブロックを含むブロック共重合体、並びに、(ii)スルホン酸基を有する第2ポリエステル樹脂、の少なくとも一方である。以下、本発明のインクを構成する成分やインクの物性について詳細に説明する。
(色材)
インクは色材を含有する。この色材は、第1樹脂及び第2樹脂のいずれとも異なるものである。すなわち、色材は、第1樹脂及び第2樹脂の少なくとも一方で分散されたものでもなく、また、第1樹脂や第2樹脂に内包されるものでもない。言い換えると、インク中で色材は、第1樹脂及び第2樹脂とは区別され、これらは別に存在している。
色材としては、顔料や染料などを挙げることができ、なかでも、顔料を用いることが好ましい。顔料は、染料と異なり、インク中で粒子の状態で存在する。このため、顔料を色材として含有するインクで記録される画像は、耐擦過性が低下しやすい傾向にある。しかし、前述の第1樹脂を含有させることで、顔料を色材として用いた場合であっても、画像の耐擦過性の低下を効果的に抑制することができる。また、染料を色材として含有するインクを用いた場合は、顔料インクよりも耐擦過性の課題は生じにくい傾向にあるが、前述の第1樹脂を含有させることで、耐擦過性を損なうことなく、光沢性を向上しながら、堅牢性を高めやすい。インク中の色材の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上15.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上10.0質量%以下であることがさらに好ましい。
顔料の具体例としては、カーボンブラック、酸化チタンなどの無機顔料;アゾ、フタロシアニン、キナクリドン、イソインドリノン、イミダゾロン、ジケトピロロピロール、ジオキサジン、ペリノンなどの有機顔料を挙げることができる。顔料のなかでも、カーボンブラック、有機顔料を用いることが好ましい。
顔料の分散方式としては、分散剤として樹脂を用いた樹脂分散顔料や、顔料の粒子表面に親水性基が結合している自己分散顔料などを挙げることができる。また、顔料の粒子表面に樹脂を含む有機基を化学的に結合させた樹脂結合型顔料や、顔料の粒子の表面を樹脂などで被覆したマイクロカプセル顔料などを挙げることができる。なかでも、樹脂結合型顔料やマイクロカプセル顔料ではなく、分散剤としての樹脂を顔料の粒子表面に物理吸着させた樹脂分散顔料を用いることが好ましい。
顔料を水性媒体中に分散させるための樹脂分散剤としては、アニオン性基の作用によって顔料を水性媒体中に分散させうるものを用いることが好ましい。樹脂分散剤としては、水溶性樹脂を用いることが好ましい。この樹脂分散剤は、第1樹脂及び第2樹脂のいずれとも異なる樹脂である。
樹脂分散剤としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂などを挙げることができる。なかでも、アクリル系樹脂が好ましく、(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸エステルに由来するユニットで構成されるアクリル系樹脂がさらに好ましい。
アクリル系樹脂としては、親水性ユニット及び疎水性ユニットを構成ユニットとして有するものが好ましい。なかでも、(メタ)アクリル酸に由来する親水性ユニットと、芳香環を有する単量体及び(メタ)アクリル酸エステルの少なくとも一方に由来する疎水性ユニットと、を有する樹脂が好ましい。特に、(メタ)アクリル酸に由来する親水性ユニットと、スチレン及びα−メチルスチレンの少なくとも一方の単量体に由来する疎水性ユニットとを有する樹脂が好ましい。これらの樹脂は、顔料との相互作用が生じやすいため、顔料を分散させるための樹脂分散剤として好適に利用することができる。
親水性ユニットは、アニオン性基などの親水性基を有するユニットである。親水性ユニットは、例えば、親水性基を有する親水性単量体を重合することで形成することができる。親水性基を有する親水性単量体の具体例としては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸などのカルボン酸基を有する酸性単量体、これらの酸性単量体の無水物や塩などのアニオン性単量体などを挙げることができる。酸性単量体の塩を構成するカチオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、有機アンモニウムなどのイオンを挙げることができる。疎水性ユニットは、アニオン性基などの親水性基を有しないユニットである。疎水性ユニットは、例えば、アニオン性基などの親水性基を有しない、疎水性単量体を重合することで形成することができる。疎水性単量体の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、(メタ)アクリル酸ベンジルなどの芳香環を有する単量体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルなどの(メタ)アクリル酸エステル系単量体などを挙げることができる。
自己分散顔料としては、カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基などのアニオン性基が、顔料の粒子表面に直接又は他の原子団(−R−)を介して結合しているものを用いることができる。アニオン性基は、酸型及び塩型のいずれであってもよく、塩型である場合は、その一部が解離した状態及び全てが解離した状態のいずれであってもよい。アニオン性基が塩型である場合において、カウンターイオンとなるカチオンとしては、アルカリ金属カチオン、アンモニウム、有機アンモニウムなどを挙げることができる。他の原子団(−R−)の具体例としては、炭素原子数1乃至12の直鎖又は分岐のアルキレン基;フェニレン基やナフチレン基などのアリーレン基;カルボニル基;イミノ基;アミド基;スルホニル基;エステル基;エーテル基などを挙げることができる。また、これらの基を組み合わせた基であってもよい。
インクが顔料を含有する場合、インク中の第1樹脂の含有量(質量%)は、顔料の含有量(質量%)に対する質量比率(倍)で、0.5倍以上3.0倍以下であることが好ましい。上記の比率が0.5倍未満であると、顔料に対して第1樹脂が少なすぎてしまい、画像の耐擦過性が向上する程度が低くなる場合がある。一方、上記の比率が3.0倍超であると、顔料に比べて軟らかい第1樹脂が多すぎてしまう。このため、擦過によって画像が変形しやすくなり、画像の耐擦過性が向上する程度が低くなる場合がある。
染料としては、アニオン性基を有するものを用いることが好ましい。染料の具体例としては、アゾ、トリフェニルメタン、(アザ)フタロシアニン、キサンテン、アントラピリドンなどの染料を挙げることができる。
(複数の樹脂:第1樹脂及び第2樹脂)
インクは、複数の樹脂(後述する第1樹脂及び第2樹脂)を含有する。インク中の第1樹脂の含有量(質量%)は、第2樹脂の含有量(質量%)に対する質量比率で、4.0倍以上100.0倍以下であることが好ましい。上記の質量比率が4.0倍未満であると、第1樹脂の量に対する第2樹脂の量が過剰となるため、第1樹脂に物理吸着しない第2樹脂同士がインク中で会合してミセルを形成しやすくなる。そして、インク滴からの水性媒体の蒸発による濃縮や、記録媒体への浸透でミセルが凝集するとともに、第1樹脂も凝集する場合がある。その結果、記録される画像内に樹脂のムラが生じやすくなり、光沢性が向上する程度が低くなる場合がある。一方、上記の質量比率が100.0倍超であると、第1樹脂の量に対する第2樹脂の量が極端に少なくなる。このため、記録媒体に付与されたインクのドット間でのレベリング性が低下し、画像表面にマクロな凹凸が生じやすくなり、光沢性が向上する程度が低くなる場合がある。
(第1樹脂)
第1樹脂は、第1ポリエステル樹脂で形成される樹脂粒子である。第1ポリエステル樹脂は、スルホン酸基を有しないことが好ましい。インク中の第1樹脂の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上15.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上10.0質量%以下であることがさらに好ましい。第1樹脂としての樹脂粒子は、分散状態、すなわち、樹脂エマルションの形態でインク中に存在する。樹脂粒子は色材を内包しないものであることが好ましい。樹脂粒子を形成する樹脂に占める、第1ポリエステル樹脂の割合(質量%)は、樹脂全質量を基準として、80.0質量%以上であることが好ましく、90.0質量%以上であることが好ましい。また、第1ポリエステル樹脂の割合(質量%)は、樹脂全質量を基準として、100.0質量%であってもよく、99.5質量%以下であることがさらに好ましい。すなわち、第1樹脂としての樹脂粒子は、樹脂粒子に内包させてもよい耐光剤(詳細は後述する)以外は、第1ポリエステル樹脂のみで実質的に形成されていることが好ましい。
「樹脂粒子」とは、インクを構成する水性媒体に溶解しない樹脂をいい、具体的には、動的光散乱法により粒子径を測定可能な粒子を形成した状態で水性媒体中に存在し得る樹脂を意味する。一方、「水溶性樹脂」とは、インクを構成する水性媒体に溶解しうる樹脂をいい、具体的には、動的光散乱法により粒子径を測定可能な粒子を形成しない状態で水性媒体中に存在しうる樹脂を意味する。「樹脂粒子」を「水分散性樹脂(水不溶性樹脂)」と言い換えることもできる。
樹脂が「樹脂粒子」であるか否かについては、以下に示す方法にしたがって判断することができる。まず、判断対象の樹脂を含む液体(樹脂固形分:10質量%)を用意する。次いで、用意した液体をイオン交換水で10倍(体積基準)に希釈して試料を調製する。そして、試料中の樹脂の粒子径を動的光散乱法により測定した場合に、粒子径を有する粒子が測定されれば、その粒子は「樹脂粒子」(水分散性樹脂)であると判断する。一方、粒子径を有する粒子が測定されなければ、その樹脂は「樹脂粒子」ではない(「水溶性樹脂」である)と判断する。この際の測定条件は、例えば、SetZero:30秒、測定回数:3回、測定時間:180秒、形状:真球形、屈折率:1.59、とすることができる。粒度分布測定装置としては、動的光散乱法による粒度分析計(例えば、商品名「ナノトラックUPA−EX150」、日機装製)などを使用することができる。勿論、粒度分布測定装置や測定条件などは上記に限られるものではない。
第1樹脂以外の樹脂(樹脂分散剤などのその他の樹脂や、第2樹脂など)についても、上記の方法にしたがって樹脂粒子であるか否か判断する。但し、簡便に判断するため、その他の樹脂については、酸価相当のアルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)により中和された樹脂を含む液体(樹脂の含有量:10質量%)を用いることが好ましい。
〔ポリエステル樹脂の構成材料〕
第1樹脂としての樹脂粒子は、第1ポリエステル樹脂によって形成されている。ポリエステル樹脂の末端には、未反応のヒドロキシ基又はカルボン酸基が存在する。ポリエステル樹脂は、通常、多価アルコールに由来するユニット及び多価カルボン酸に由来するユニットで構成される。第1ポリエステル樹脂に占める、多価アルコールに由来するユニットの割合(質量%)及び多価カルボン酸に由来するユニットの割合(質量%)の合計は、90.0質量%以上であることが好ましい。この合計は、95.0質量%以上であることがさらに好ましく、100.0質量%であってもよい。
[多価アルコール]
多価アルコールとしては、2乃至4価の多価アルコールを挙げることができる。多価アルコールとしては、脂肪族基を有する多価アルコール、芳香族基を有する多価アルコール、糖アルコールなどを挙げることができる。多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール〔1,2−エタンジオール〕、ネオペンチルグリコール〔2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール〕、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ベンゼンジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔ビスフェノールA〕などの2価アルコール;グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンなどの3価アルコール;ペンタエリスリトールなどの4価アルコール;などを挙げることができる。多価アルコールとして、オリゴマー(分子量1,000以下の低分子量の重合体)を用いることもできる。第1ポリエステル樹脂に占める、多価アルコールに由来するユニットの割合(質量%)は、40.0質量%以上60.0質量%以下であることが好ましい。
2価アルコールや3価アルコールを用いることが、得られる第1ポリエステル樹脂の数平均分子量の調整が容易であるために好ましい。多価アルコールとしては、第2樹脂との相互作用を高める観点から、芳香族基を有する多価アルコールを用いることが好ましい。なかでも、ビスフェノールAを用いることが好ましい。また、芳香族基を有する多価アルコールと、脂肪族基を有する多価アルコールとを併用してもよい。脂肪族基を有する多価アルコールとしては、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1乃至6の脂肪族基を有する多価アルコールが好ましい。なかでも、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリンが好ましい。
[多価カルボン酸]
多価カルボン酸としては、2乃至4価の多価カルボン酸を挙げることができる。多価カルボン酸としては、脂肪族基を有する多価カルボン酸、芳香族基を有する多価カルボン酸、含窒素多価カルボン酸などを挙げることができる。多価カルボン酸としては、例えば、グルタル酸、アジピン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などの2価カルボン酸;トリメリット酸などの3価カルボン酸;エチレンジアミン四酢酸などの4価カルボン酸;などを挙げることができる。多価カルボン酸として、オリゴマー(分子量1,000以下の低分子量の重合体)を用いることもできる。第1ポリエステル樹脂に占める、多価カルボン酸に由来するユニットの割合(質量%)は、40.0質量%以上60.0質量%以下であることが好ましい。
[好ましい構成材料]
2価カルボン酸や3価カルボン酸を用いることが、得られる第1ポリエステル樹脂の数平均分子量や酸価の調整が容易であるために好ましい。多価アルコールとしては、第2樹脂との相互作用を高める観点から、芳香族基を有する多価カルボン酸を用いることが好ましい。なかでも、アジピン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸を用いることが好ましい。
低分子量の多価アルコールに由来するユニットや、低分子量の多価カルボン酸に由来するユニットを含むポリエステル樹脂は、高分子量の原料に由来するユニットを含むポリエステル樹脂と比較して、分子鎖に含まれるエステル結合の割合が多い。このため、低分子量の多価アルコールに由来するユニットや、低分子量の多価カルボン酸に由来するユニットを含む第1ポリエステル樹脂を用いることで、より耐擦過性に優れた画像を記録することができるために好ましい。したがって、多価アルコールの分子量は、50以上300以下であることが好ましい。また、多価カルボン酸の分子量は、100以上300以下であることが好ましい。
多価アルコール及び多価カルボン酸の価数は、いずれも2価又は3価であることが好ましい。多価アルコール及び多価カルボン酸の価数が4価以上であると、得られる第1ポリエステル樹脂は多くの分岐を有し、三次元的に複雑な構造となりやすい。このような第1ポリエステル樹脂の分子鎖は、記録媒体上で絡み合ったような状態となりにくいので、耐擦過性が向上する程度が低くなる場合がある。
第1ポリエステル樹脂は、芳香族化合物に由来するユニットを含むことが好ましい。芳香族化合物としては、芳香族基を有する多価アルコール、芳香族基を有する多価カルボン酸を挙げることができる。芳香族化合物に由来するユニット(芳香族基を有するユニット)を含ませることで、第2樹脂とより強く相互作用する第1ポリエステル樹脂とすることができる。また、芳香族化合物に由来するユニットを含む第1ポリエステル樹脂の分子鎖は、芳香族基間の疎水性相互作用により、記録媒体上でより絡み合った状態となりやすいため、画像の耐擦過性をさらに向上させることができる。第1ポリエステル樹脂中の、芳香族化合物に由来するユニットの割合(質量%)は、第1ポリエステル樹脂全質量を基準として、25.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。第1ポリエステル樹脂中の、芳香族基を有しないユニットの割合(質量%)は、第1ポリエステル樹脂全質量を基準として、50.0質量%以上75.0質量%以下であることが好ましい。
[耐光剤]
樹脂粒子には、耐光剤を内包させることが好ましい。樹脂粒子が耐光剤を内包する状態とは、ポリエステル樹脂が絡み合って形成された三次元構造の内部に耐光剤が存在する状態を意味する。耐光剤としては、ベンゾトリアゾール類、チオエーテル類、トリアジン類、ベンゾエート類、ベンゾフェノン類、ポリフェノール類、カロテン類、スルフィド類、ヒンダードアミン類などを挙げることができる。耐光剤を内包した樹脂粒子を用いることで、記録される画像の耐光性を高めることができる。樹脂粒子に占める、耐光剤の割合(質量%)は、樹脂粒子全質量を基準として、0.5質量%以上25.0質量%以下であることが好ましい。樹脂粒子に耐光剤を内包させる手法としては、第1ポリエステル樹脂とともに耐光剤を有機溶媒に溶解させる点以外は、後述する樹脂粒子の製造方法と同様の方法を挙げることができる。
〔第1樹脂(樹脂粒子及び第1ポリエステル樹脂)の物性〕
[樹脂粒子の粒子表面に存在するカルボン酸基の量]
樹脂粒子の粒子表面に存在するカルボン酸基の量は、30μmol/g以上110μmol/g以下であることが好ましい。カルボン酸基を有するポリエステル樹脂により形成される樹脂粒子においては、カルボン酸基の少なくとも一部は粒子の内部に取り込まれた状態で存在しやすいため、粒子表面に露出した状態のカルボン酸基の量を考慮するとよい。樹脂粒子の粒子表面に存在するカルボン酸基の量が30μmol/g未満であると、複数のカルボン酸基の間で生ずる電荷の反発が弱く、インク滴からの水性媒体の蒸発による濃縮や、記録媒体への浸透で樹脂粒子が急激に凝集する場合がある。その結果、記録される画像の表面にミクロな凹凸が生じやすくなり、光沢性が向上する程度が低くなる場合がある。一方、樹脂粒子の粒子表面に存在するカルボン酸基の量が110μmol/g超であると、樹脂粒子の親水性が高すぎるので、樹脂粒子を形成する第1ポリエステル樹脂が徐々にインクに溶解してインクの粘度が上昇することがある。その結果、記録媒体に付与されたインクのドット間でのレベリング性が低下し、画像表面にマクロな凹凸が生じやすくなり、光沢性が向上する程度が低くなる場合がある。樹脂粒子の粒子表面に存在するカルボン酸基の量は、電位差を利用したコロイド滴定により測定することができる。樹脂粒子の粒子表面に存在する、スルホン酸基などの、カルボン酸基以外の酸基の量は、5μmol/g以下であることが好ましく、0μmol/gであることがさらに好ましい。
[第1ポリエステル樹脂の酸価]
第1ポリエステル樹脂の酸価は、2mgKOH/g以上30mgKOH/g以下であることが好ましい。第1ポリエステル樹脂の酸価が2mgKOH/g未満であると、カルボン酸基の量が少なすぎるので、インク滴からの水性媒体の蒸発による濃縮や、記録媒体への浸透で樹脂粒子が急激に凝集する場合がある。その結果、記録される画像の表面にミクロな凹凸が生じやすくなり、光沢性が向上する程度が低くなる場合がある。一方、第1ポリエステル樹脂の酸価が30mgKOH/g超であると、カルボン酸基の量が多すぎるので、第1ポリエステル樹脂が徐々にインクに溶解してインクの粘度が上昇することがある。その結果、記録媒体に付与されたインクのドット間でのレベリング性が低下し、画像表面にマクロな凹凸が生じやすくなり、光沢性が向上する程度が低くなる場合がある。第1ポリエステル樹脂の酸価は、電位差を利用した中和滴定により測定することができる。酸価X(mgKOH/g)とカルボン酸基の量Y(μmol/g)は、式:「X=Y×56.1/1,000」により換算することができる。
[第1ポリエステル樹脂の数平均分子量]
第1ポリエステル樹脂の数平均分子量は、3,000以上30,000以下であることが好ましい。第1ポリエステル樹脂の数平均分子量が5,000未満であると、分子鎖が短すぎて絡み合いにくくなるので、耐擦過性が向上する程度が低くなる場合がある。一方、第1ポリエステル樹脂の数平均分子量が30,000超であると、分子鎖が長すぎて分子運動しにくくなり、絡み合いにくくなる。このため、耐擦過性が向上する程度が低くなる場合がある。第1ポリエステル樹脂の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定されるポリスチレン換算の値である。
[樹脂粒子のガラス転移温度]
樹脂粒子のガラス転移温度は、40℃以上120℃以下であることが好ましい。ガラス転移温度は、樹脂粒子がガラス状態から粘性状態へと変化しはじめる温度であり、樹脂粒子の軟化しやすさを示す指標となる物性値である。樹脂粒子は、ガラス転移温度が高いほど、常温(25℃)付近では硬い状態で存在する傾向にある。樹脂粒子は、硬いほど外力によって変形しにくくなる。このため、ガラス転移温度が高い樹脂粒子を用いることで、第1ポリエステル樹脂によって記録媒体上に形成される樹脂層の強度が向上し、記録される画像の耐擦過性をさらに高めることができる。樹脂粒子のガラス転移温度は、示差走査熱量計(DSC)などの熱分析装置を用いて測定することができる。
[樹脂粒子の粒子径]
樹脂粒子の体積基準の累積50%粒子径(D50)は、50nm以上200nm以下であることが好ましい。一定量の樹脂粒子を考えた場合、粒子径が小さいと比表面積は大きくなり、粒子径が大きいと比表面積は小さくなる。樹脂粒子のD50が50nm未満であると、樹脂粒子の比表面積が大きく、樹脂粒子同士の接触機会が増加し、インク滴からの水性媒体の蒸発による濃縮が、記録媒体への浸透で樹脂粒子が急激に凝集しやすくなる。その結果、記録される画像の表面にミクロな凹凸が生じやすくなり、光沢性が向上する程度が低くなる場合がある。一方、樹脂粒子のD50が200nm超であると、樹脂粒子の分散状態が不安定になり、記録媒体においてインクのドットが均一に形成されにくくなることがある。その結果、画像表面にマクロな凹凸が生じやすくなり、光沢性が向上する程度が低くなる場合がある。樹脂粒子の体積基準の累積90%粒子径(D90)は、70nm以上280nm以下であることが好ましい。
樹脂粒子の体積基準の累積50%粒子径(D50)は、樹脂粒子の体積基準の累積90%粒子径(D90)に対する比率(倍)で、0.6倍以上0.8倍以下であることが好ましい。上記の比率が0.6倍未満であると、樹脂粒子の粒子径分布が広く、粒子径が大きく異なる樹脂粒子が多く存在することになる。粒子径の大きい樹脂粒子と、粒子径の小さい樹脂粒子が衝突すると、いわゆるヘテロ凝集により樹脂粒子が凝集しやすくなる。その結果、記録される画像の表面にミクロな凹凸が生じやすくなり、光沢性が向上する程度が低くなる場合がある。樹脂粒子の体積基準の累積50%粒子径(D50)及び累積90%粒子径(D90)は、粒子径積算曲線において、測定された粒子の総体積を基準として、小粒子径側から積算して50%又は90%となる粒子の直径である。樹脂粒子のD50及びD90は、前述の「樹脂が樹脂粒子であるか否か」の判断手法と同様の条件で、動的光散乱法によって測定することができる。
〔樹脂粒子の製造方法〕
樹脂粒子は、例えば、第1ポリエステル樹脂を合成した後、粒子化することで製造することができる。第1ポリエステル樹脂は、例えば、多価アルコールと多価カルボン酸を反応(エステル化反応)させることで得ることができる。必要に応じて、多価アルコール及び多価カルボン酸のいずれかを添加してエステル結合の一部を切断する、いわゆるエステル交換反応を行い、得られる第1ポリエステル樹脂の分子量を調整してもよい。ポリエステル樹脂を合成する際に使用する多価カルボン酸は、塩型(ナトリウム塩などのアルカリ金属塩型が好ましい)であっても、また、エステル型(アルキルエステル型が好ましい)であってもよい。
例えば、多価アルコールのヒドロキシ基のモル数よりも、多価カルボン酸のカルボン酸基のモル数が多くなるように、原料の使用量を調整することで、得られる第1ポリエステル樹脂のカルボン酸基の量を調整することができる。また、エステル交換反応の際に多価カルボン酸を添加することでも、得られる第1ポリエステル樹脂のカルボン酸基の量を調整することができる。
エステル化反応は、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下で行う。エステル化反応の際の反応温度は、180〜260℃であることが好ましい。エステル化反応の反応時間は、2.5〜10時間であることが好ましく、4〜6時間であることがさらに好ましい。
エステル化反応の途中で反応系内を減圧し、エステル化反応で生じた水を系外に排出してエステル化(脱水縮合)反応を促進してもよい。減圧した状態での反応は、エステル化反応に引き続き、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下で行う。減圧した状態での反応温度は、220〜280℃であることが好ましい。減圧した状態での反応時間は、2.5〜10時間であることが好ましく、4〜6時間であることがさらに好ましい。減圧度(真空度)は1Pa以上130Pa以下であることが好ましい。但し、減圧度が低すぎると、反応効率が低下したり、第1ポリエステル樹脂の数平均分子量が小さくなったりするので、所望の反応条件に応じて調整することが好ましい。大気圧(101,325Pa)から130Pa以下になるまで、60〜180分程度の時間をかけて徐々に減圧することが好ましい。
エステル交換反応は、多価アルコール及び多価カルボン酸のいずれかを添加してエステル結合の一部を切断し、第1ポリエステル樹脂の分子量を調整するために行う。第1ポリエステル樹脂の数平均分子量と酸価をバランスよく調整しやすいため、3価以上の多価カルボン酸(なかでも、トリメリット酸及びトリメリット酸無水物の少なくともいずれかが好ましい)を添加してエステル交換反応することが好ましい。
エステル交換反応も、エステル化反応に引き続き、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下で行う。エステル交換反応の際の反応温度は、180〜260℃であることが好ましい。エステル交換反応の反応時間は、1〜5時間であることが好ましい。エステル交換反応は、触媒や熱安定剤の存在下で行うことができる。触媒としては、酢酸亜鉛、三酸化アンチモン、テトラ−n−ブチルチタネート、n−ブチルヒドロキシオキシスズなどを挙げることができる。触媒の使用量(mol)は、エステル交換反応に用いる多価アルコール又は多価カルボン酸1molに対し、1×10−1mol〜20×10−4molであることが好ましい。熱安定剤としては、リン酸などの酸、リン酸トリエチルなどの酸エステルを挙げることができる。
合成した第1ポリエステル樹脂は、加圧、粉砕などにより適切な形態にした後、粒子化する次工程で用いることが好ましい。第1ポリエステル樹脂で形成される樹脂粒子は、水性インクの構成成分として用いるため、水性の液媒体に分散させた分散液の状態(樹脂粒子を含む液体)となるように粒子化することが好ましい。水性の液媒体は、脱イオン水、イオン交換水、蒸留水などの水を主成分とし、必要に応じて水溶性有機溶剤を含有する。水性の液媒体中の水の含有量は50質量%以上であることが好ましく、水溶性有機溶剤を含まない水を用いることも好ましい。
第1ポリエステル樹脂を粒子化して樹脂粒子を形成する方法としては、例えば、分散法、転相(乳化)法などを挙げることができる。分散法としては、以下に示す(1)及び(2)の方法などを挙げることができる。
(1)第1ポリエステル樹脂を有機溶剤に溶解させて得た溶液を、水性の液媒体に添加して、第1ポリエステル樹脂を分散させる方法
(2)第1ポリエステル樹脂を有機溶剤に溶解させた後、水性の液媒体を添加して混合し、第1ポリエステル樹脂を分散させる方法
転相(乳化)法としては、第1ポリエステル樹脂を有機溶剤に溶解させて得た溶液に、水性の液媒体を添加し、溶剤系から水系に転相させる過程で、第1ポリエステル樹脂を粒子の形態として析出させる方法などを挙げることができる。分散法及び転相(乳化)法のいずれの方法においても、公知の分散機などを利用し、適度な剪断力をかけながら粒子化することで、得られる樹脂粒子の粒子径を調整することが好ましい。粒子表面に存在するカルボン酸基の量を精度よく調整することができるため、転相(乳化)法によって樹脂粒子を製造することが好ましい。以下、転相(乳化)法による樹脂粒子の製造方法について説明する。
第1ポリエステル樹脂を溶解しうる有機溶剤に第1ポリエステル樹脂を溶解させて樹脂溶液を調製する。有機溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジブチルエーテルなどのエーテル類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;イソプロパノールなどのアルコール類を挙げることができる。水溶性が低く、任意の割合で混和しない有機溶剤(メチルエチルケトンなど)のみを用いると、粒子表面に存在するカルボン酸基の量を所定の範囲内に調整することが困難になる場合がある。このため、有機溶剤としては、水と任意の割合で混和しうるテトラヒドロフランなどのエーテル類を用いることが好ましい。テトラヒドロフランなどのエーテル類は、第1ポリエステル樹脂の溶解性に優れている点でも好ましい。樹脂溶液の第1ポリエステル樹脂の濃度が希薄であると、粒子表面に存在するカルボン酸基の量を所定の範囲内に調整することが困難になる場合がある。このため、樹脂溶液中の第1ポリエステル樹脂の含有量(質量%)は、20.0質量%以上80.0質量%以下であることが好ましく、30.0質量%以上50.0質量%以下であることがさらに好ましい。
次いで、調製した樹脂溶液に水性の液媒体を徐々に添加し、樹脂粒子を析出させる。樹脂粒子の分散状態を安定に保つことができるため、水性の液媒体の添加前又は添加する過程で、塩基を添加することが好ましい。塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物やアンモニアなどを挙げることができる。塩基は、水溶液の状態で添加することが好ましい。塩基を添加した系内にはカチオンが存在する。このカチオンを中和しようとして、第1ポリエステル樹脂のカルボン酸基が粒子表面に位置した状態で粒子化され、粒子表面にカルボン酸基が存在する樹脂粒子が形成される。すなわち、系内の塩基の量を調整することで、樹脂粒子の粒子表面に存在するカルボン酸基の量を精度よく調整することができる。例えば、系内の塩基の量が多ければ、得られる樹脂粒子の粒子表面のカルボン酸基の量も多くなる。一方、系内の塩基の量が少なければ、得られる樹脂粒子の粒子表面のカルボン酸基の量も少なくなる。
添加する塩基の量は、第1ポリエステル樹脂の酸価を基準とした中和率(モル%)で管理することができる。水性の液媒体の添加量の増加に伴い、当初は透明であった樹脂溶液が徐々に白濁して乳化し、樹脂粒子が形成される。樹脂溶液中の第1ポリエステル樹脂の含有量、水性の液媒体の添加速度、分散時に付加する剪断力などによって、得られる樹脂粒子の粒子径や粒度分布を制御することができる。
樹脂粒子を含有する乳化物を減圧して有機溶剤を留去し、必要に応じて、適切な孔径のフィルタ(ステンレスメッシュ)などでろ過して粗大粒子を除去する。その後、水を添加して樹脂粒子の含有量を調整することで、樹脂粒子を含む液体(樹脂粒子の水分散液)を調製することができる。インクの生産性の観点から、樹脂粒子を含む液体中の樹脂粒子の含有量(質量%)は、10.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましく、20.0質量%以上45.0質量%以下であることがさらに好ましい。
〔樹脂粒子の分析〕
樹脂粒子を構成する第1ポリエステル樹脂の組成については、例えば、以下に示す方法で分析することができる。まず、樹脂粒子を溶解しうるテトラヒドロフランなどの有機溶剤に樹脂粒子を溶解させて試料を調製する。有機溶剤に溶解させる樹脂粒子は、水分散液の状態であってもよく、乾燥状態であってもよい。調製した試料について、核磁気共鳴(NMR)分光法、マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析法(MALDI−MS)などの分析法で分析することで、樹脂を構成するユニット(単量体)の種類や割合を知ることができる。また、樹脂粒子を熱分解ガスクロマトグラフィーで分析することで、樹脂を構成するユニット(単量体)を検出することもできる。試料を調製する際に、有機溶剤に溶解しない不溶分が生ずる場合、生じた不溶分を熱分解ガスクロマトグラフィーで分析して、樹脂を構成するユニット(単量体)を検出することもできる。なお、後述する第2ポリエステル樹脂も、第1ポリエステル樹脂と同様の手法で分析することができる。
(第2樹脂)
第2樹脂は、(i)酸基を有しないAブロック及び酸基を有するBブロックを含むブロック共重合体、並びに、(ii)スルホン酸基を有する第2ポリエステル樹脂、の少なくとも一方である。インク中の第2樹脂の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上5.0質量%以下であることが好ましく、0.5%質量以上2.0質量%以下であることがさらに好ましい。第2樹脂としての、ブロック共重合体及び第2ポリエステル樹脂は、溶解した状態でインク中に存在していてもよく、分散した状態でインク中に存在していてもよい。第2樹脂が分散した状態でインク中に存在する、すなわち、樹脂粒子である場合、色材を内包しないものであることが好ましい。なかでも、ブロック共重合体は、分散した状態でインク中に存在していること、すなわち、ミセルの形態でインク中に存在していることが好ましい。また、第2ポリエステル樹脂は、水溶性樹脂であり、溶解した状態でインク中に存在していることが好ましい。なお、吐出特性の観点からは、第2樹脂としては、第2ポリエステル樹脂よりも、ブロック共重合体のほうがより好ましい。
(第2樹脂(i):ブロック共重合体)
〔ブロック共重合体の構成材料〕
第2樹脂としてのブロック共重合体は、酸基を有しないAブロック及び酸基を有するBブロックを含む。ブロック中の酸基の有無は、各ブロックを合成する過程で酸基を有する公知の単量体を使用するか否かによって調整することができる。各ブロックは、公知の単量体により形成することができる。各ブロックは、単一の単量体に由来するユニットのみで形成された単独重合体であってもよく、複数の単量体に由来するユニットを含む共重合体であってもよい。各ブロックには、複数のセグメントが含まれていてもよい。具体的には、ブロック共重合体は、1つのAブロック及び1つのBブロックのみからなる、いわゆるA−Bブロック共重合体であってもよい。また、2つのセグメントAで構成されるAブロックと、1つのセグメントBで構成されるBブロックとを含むブロック共重合体であってもよい。また、1つのセグメントAで構成されるAブロックと、2つのセグメントBで構成されるBブロックとを含むブロック共重合体であってもよい。
〔Aブロック〕
Aブロックは、酸基を有しないユニットで構成される、疎水性のポリマーブロックである。セグメントAは、酸基を有しない1以上の公知の単量体を(共)重合することで形成することができる。
Aブロックを形成するための単量体としては、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、(メタ)アクリル酸ベンジルなどの芳香族基を有する単量体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボニル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルなどの、アミノ基などの置換基を有してもよい(メタ)アクリル酸エステル(脂肪族基を有する単量体);(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリル酸誘導体;などを挙げることができる。
樹脂粒子とブロック共重合体の相互作用が弱いと、インク中で樹脂粒子からブロック共重合体が脱離してインクの粘度が上昇しやすくなることがある。その結果、記録媒体に付与されたインクのドット間でのレベリング性が低下し、画像表面にマクロな凹凸が生じやすくなり、光沢性が向上する程度が低くなる場合がある。このため、樹脂粒子とブロック共重合体との相互作用を高める観点から、Aブロックは、芳香族基を有する単量体に由来するユニットを含むことが好ましい。芳香族基を有する単量体としては、スチレン、(メタ)アクリル酸ベンジルが好ましい。
〔Bブロック〕
Bブロックは、酸基を有するユニットで構成される、親水性のポリマーブロックである。Bブロックは、酸基を有する単量体を含む、1以上の公知の単量体を(共)重合することで形成することができる。セグメントBは、2種類以上のユニットを含む共重合体であることが好ましく、ランダム共重合体であることがさらに好ましい。
酸基を有する単量体としては、カルボン酸基を有する単量体が好ましく、(メタ)アクリル酸がさらに好ましい。Bブロックを構成するための単量体に由来するユニットとして、酸基を有しない単量体に由来するユニットをさらに用いることができる。酸基を有しない単量体としては、前述のAブロックを形成するための単量体として例示したものと同様のものを挙げることができる。重合によりBブロックを形成するユニットとなる単量体としては、(メタ)アクリル酸に加えて、酸基を有しない単量体を含むことが好ましい。この酸基を有しない単量体は、(メタ)アクリル酸エステルを含むことが好ましい。
〔ブロック共重合体の物性〕
[ブロック共重合体の酸価]
ブロック共重合体の酸価は、50mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であることが好ましい。ブロック共重合体の酸価が50mgKOH/g未満であると、酸基の量が少なすぎるので、インク中でブロック共重合体同士が会合してミセルを形成しやすくなる。そして、インク滴からの水性媒体の蒸発による濃縮や、記録媒体への浸透でミセルが凝集するとともに、樹脂粒子も凝集する場合がある。その結果、記録される画像内に樹脂のムラが生じやすくなり、光沢性が向上する程度が低くなる場合がある。一方、ブロック共重合体の酸価が200mgKOH/g超であると、カルボン酸基の量が多すぎるので、ブロック共重合体がインク中で広がり、インクの粘度が上昇することがある。その結果、記録媒体に付与されたインクのドット間でのレベリング性が低下し、画像表面にマクロな凹凸が生じやすくなり、光沢性が向上する程度が低くなる場合がある。ブロック共重合体の酸価は、電位差を利用した中和滴定により測定することができる。酸価X(mgKOH/g)とカルボン酸基の量Y(μmol/g)は、式:「X=Y×56.1/1,000」により換算することができる。
[ブロック共重合体の数平均分子量]
ブロック共重合体の数平均分子量は、3,000以上20,000以下であることが好ましい。ブロック共重合体の数平均分子量が3,000未満であると、ブロック共重合体の分子鎖が他の樹脂の分子鎖と絡み合いにくくなるので、耐擦過性が向上する程度が低くなる場合がある。一方、ブロック共重合体の数平均分子量が20,000超であると、インクの粘度が上昇することがある。その結果、記録媒体に付与されたインクのドット間でのレベリング性が低下し、画像表面にマクロな凹凸が生じやすくなり、光沢性が向上する程度が低くなる場合がある。ブロック共重合体の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定されるポリスチレン換算の値である。
〈Aブロックの数平均分子量/ブロック共重合体の数平均分子量〉
Aブロックの数平均分子量は、ブロック共重合体の数平均分子量に対する比率で、0.30倍以上0.80倍以下であることが好ましい。上記の比率が0.30倍未満であると、酸基を有しないAブロックの割合が小さく、酸基を有するBブロックの割合が大きいため、樹脂粒子とブロック共重合体の相互作用が弱くなる。これにより、インク中で樹脂粒子からブロック共重合体が脱離してインクの粘度が上昇することがある。その結果、記録媒体に付与されたインクのドット間でのレベリング性が低下し、画像表面にマクロな凹凸が生じやすくなり、光沢性が向上する程度が低くなる場合がある。一方、上記の比率が0.80倍超であると、酸基を有しないAブロックの割合が大きく、酸基を有するBブロックの割合が小さいため、インク中でブロック共重合体同士が会合してミセルを形成しやすくなる。そして、インク滴からの水性媒体の蒸発による濃縮や、記録媒体への浸透でミセルが凝集するとともに、樹脂粒子も凝集する場合がある。その結果、記録される画像内に樹脂のムラが生じやすくなり、光沢性が向上する程度が低くなる場合がある。
[ブロック共重合体のガラス転移温度]
ブロック共重合体のガラス転移温度は、40℃以上120℃以下であることが好ましい。ガラス転移温度は、ブロック共重合体がガラス状態から粘性状態へと変化しはじめる温度であり、ブロック共重合体の軟化しやすさを示す指標となる物性値である。ブロック共重合体は、ガラス転移温度が高いほど、常温(25℃)付近では硬い状態で存在する傾向にある。ブロック共重合体は、硬いほど外力によって変形しにくくなる。このため、ガラス転移温度が高いブロック共重合体を用いることで、第1ポリエステル樹脂によって記録媒体上に形成される樹脂層の強度が向上し、記録される画像の耐擦過性をさらに高めることができる。ブロック共重合体のガラス転移温度は、示差走査熱量計(DSC)などの熱分析装置を用いて測定することができる。
〔ブロック共重合体の製造方法〕
ブロック共重合体は、例えば、リビングラジカル重合法、リビングアニオン重合法、及びリビングカチオン重合法などの各種リビング重合法によって製造することができる。なかでも、リビングラジカル重合法によってブロック共重合体を製造することが、インクジェット用の水性インクに含有させる共重合体に汎用の単量体(特に、芳香族基を有する単量体、(メタ)アクリル酸エステルなど)に適合しやすいために好ましい。リビングラジカル重合法としては、NMP法、ATRP法、RAFT法、TERP法、SBRP法、BIRP法、CMRP法、RTCP法などを挙げることができる。
リビングラジカル重合法では、乾燥固形分又はガスクロマトグラフィーにより測定される残存単量体の濃度から第1ブロックの重合率を算出し、単量体の消費が確認された時点で第2ブロックを構成する単量体を加え、重合反応を進行させる。これにより、第1ブロックと第2ブロックとが結合したジブロック共重合体を得ることができる。また、上記の操作を複数回繰り返すことで、複数のセグメントで構成されるブロックが結合したブロック共重合体を得ることができる。
〔ブロック共重合体の分析〕
ブロック共重合体の組成については、例えば、以下に示す方法で分析することができる。まず、ブロック共重合体を溶解しうるテトラヒドロフランなどの有機溶剤にブロック共重合体を溶解させて試料を調製する。有機溶剤に溶解させるブロック共重合体は、水溶液又は水分散液の状態であってもよく、乾燥状態であってもよいが、乾燥状態であることが好ましい。調製した試料について、核磁気共鳴(NMR)分光法、マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析法(MALDI−MS)などの分析法で分析することで、樹脂を構成するユニット(単量体)の種類や割合を知ることができる。また、ブロック共重合体を熱分解ガスクロマトグラフィーで分析することで、樹脂を構成するユニット(単量体)を検出することもできる。試料を調製する際に、有機溶剤に溶解しない不溶分が生ずる場合、生じた不溶分を熱分解ガスクロマトグラフィーで分析して、樹脂を構成するユニット(単量体)を検出することもできる。樹脂がブロック性を有しているか否かは、マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析法(MALDI−MS)におけるユニットの連続性の確認などから判断することができる。
(第2樹脂(ii):第2ポリエステル樹脂)
〔第2ポリエステル樹脂の構成材料〕
第2樹脂としてのスルホン酸基を有する第2ポリエステル樹脂は、多価アルコールに由来するユニット、及び多価カルボン酸に由来するユニットで構成されるポリエステル樹脂に、スルホン酸基を組み込んだものである。好適には、スルホン酸基を有する多価カルボン酸に由来するユニットを含むポリエステル樹脂を用いることができる。以下、特に断りのない場合、第2ポリエステル樹脂の原料として用いる「多価カルボン酸」は、「スルホン酸基を有しない多価カルボン酸」及び「スルホン酸基を有する多価カルボン酸」の両方を含むものとして示す。第2ポリエステル樹脂に占める、多価アルコールに由来するユニットの割合(質量%)及び多価カルボン酸に由来するユニットの割合(質量%)の合計は、90.0質量%以上であることが好ましい。この合計は、95.0質量%以上であることがさらに好ましく、100.0質量%であってもよい。
[多価アルコール]
多価アルコールとしては、前述の第1ポリエステル樹脂を形成するための多価アルコールとして例示したものと同様のものを挙げることができる。第2ポリエステル樹脂に占める、多価アルコールに由来するユニットの割合(質量%)は、40.0質量%以上60.0質量%以下であることが好ましい。
[スルホン酸基を有しない多価カルボン酸]
スルホン酸基を有しない多価カルボン酸としては、前述の第1ポリエステル樹脂を形成するための多価カルボン酸として例示したものと同様のものを挙げることができる。第2ポリエステル樹脂に占める、スルホン酸基を有しない多価カルボン酸に由来するユニットの割合(質量%)は、10.0質量%以上55.0質量%以下であることが好ましい。
[スルホン酸基を有する多価カルボン酸]
スルホン酸基を有する多価カルボン酸としては、2乃至4価の多価カルボン酸を挙げることができる。スルホン酸基を有する多価カルボン酸としては、脂肪族基を有する多価カルボン酸、芳香族基を有する多価カルボン酸、含窒素多価カルボン酸などを挙げることができる。スルホン酸基を有する多価カルボン酸としては、例えば、スルホコハク酸、5−スルホイソフタル酸、スルホテレフタル酸、4−スルホフタル酸、4−スルホナフタレン−2,7−ジカルボン酸などを挙げることができる。多価カルボン酸として、オリゴマー(分子量1,000以下の低分子量の重合体)を用いることもできる。また、第2ポリエステル樹脂をエステル交換反応により製造する場合は、多価カルボン酸としてエステル化物を用いることもできる。また、第2ポリエステル樹脂に占める、スルホン酸基を有する多価カルボン酸に由来するユニットの割合(質量%)は、1.0質量%以上40.0質量%以下であることが好ましい。
[好ましい構成材料]
好ましい構成材料としては、前述の第1ポリエステル樹脂を形成するための好ましい構成材料として例示したものと同様のものを挙げることができる。第2ポリエステル樹脂は、第1樹脂とは異なり、溶解した状態でインク中に存在する水溶性樹脂であることが好ましいため、第2ポリエステル樹脂は、第1ポリエステル樹脂よりも親水性が高いことが好ましい。
2価カルボン酸や3価カルボン酸を用いることが、得られる第2ポリエステル樹脂の数平均分子量や酸価の調整が容易であるために好ましい。スルホン酸基を有する多価アルコールとしては、第1樹脂との相互作用を高める観点から、芳香族基を有する多価カルボン酸を用いることが好ましい。すなわち、第2ポリエステル樹脂が、芳香族化合物に由来するユニットを含むことが好ましい。芳香族化合物としては、芳香族基を有する多価アルコール、芳香族基(及びスルホン酸基)を有する多価カルボン酸を挙げることができる。芳香族基(及びスルホン酸基)を有する多価カルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸、5−スルホイソフタル酸、スルホテレフタル酸、4−スルホフタル酸を用いることが好ましい。第2ポリエステル樹脂に占める、芳香族化合物に由来するユニットの割合(質量%)は、第2ポリエステル樹脂全質量を基準として、25.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。第2ポリエステル樹脂に占める、芳香族基を有しないユニットの割合(質量%)は、第2ポリエステル樹脂全質量を基準として、50.0質量%以上75.0質量%以下であることが好ましい。
〔第2ポリエステル樹脂の物性〕
[スルホン酸基量/カルボン酸基量]
第2ポリエステル樹脂は、さらにカルボン酸基を有するとともに、第2ポリエステル樹脂のスルホン酸基量は、第2ポリエステル樹脂のカルボン酸基量に対するモル比率で、0.08倍以上0.50倍以下であることが好ましい。上記の比率が0.08倍未満であると、水性のインク中でイオン解離して電気的な反発を生ずるスルホン酸基の割合が少ないため、インク中で第2ポリエステル樹脂同士が会合してミセルを形成しやすくなる。そして、インク滴からの水性媒体の蒸発による濃縮や、記録媒体への浸透でミセルが凝集するとともに、第1樹脂も凝集する場合がある。その結果、記録される画像内に樹脂のムラが生じやすくなり、光沢性が向上する程度が低くなる場合がある。一方、上記の比率が0.50倍超であると、スルホン酸基の割合が多すぎるため、第1樹脂と第2ポリエステル樹脂の相互作用が弱くなる。これにより、インク中で第1樹脂から第2ポリエステル樹脂が脱離してインクの粘度が上昇することがある。その結果、記録媒体に付与されたインクのドット間でのレベリング性が低下し、画像表面にマクロな凹凸が生じやすくなり、光沢性が向上する程度が低くなる場合がある。
[第2ポリエステル樹脂の酸価]
第2ポリエステル樹脂の酸価は、2mgKOH/g以上30mgKOH/g以下であることが好ましい。第2ポリエステル樹脂の酸価が2mgKOH/g未満であると、酸基の量が少なすぎるので、インク滴からの水性媒体の蒸発による濃縮や、記録媒体への浸透で樹脂粒子が急激に凝集する場合がある。その結果、記録される画像の表面にミクロな凹凸が生じやすくなり、光沢性が向上する程度が低くなる場合がある。一方、第2ポリエステル樹脂の酸価が30mgKOH/g超であると、酸基の量が多すぎるので、第2ポリエステル樹脂が徐々にインクに溶解してインクの粘度が上昇することがある。その結果、記録媒体に付与されたインクのドット間でのレベリング性が低下し、画像表面にマクロな凹凸が生じやすくなり、光沢性が向上する程度が低くなる場合がある。第2ポリエステル樹脂の酸価は、電位差を利用した中和滴定により測定することができる。酸価X(mgKOH/g)と酸基の量Y(μmol/g)は、式:「X=Y×56.1/1,000」により換算することができる。
[第2ポリエステル樹脂の数平均分子量]
第2ポリエステル樹脂の数平均分子量は、5,000以上40,000以下であることが好ましい。第2ポリエステル樹脂の数平均分子量が5,000未満であると、第2ポリエステル樹脂の分子鎖が他の樹脂の分子鎖と絡み合いにくくなるので、耐擦過性が向上する程度が低くなる場合がある。一方、第2ポリエステル樹脂の数平均分子量が20,000超であると、インクの粘度が上昇することがある。その結果、記録媒体に付与されたインクのドット間でのレベリング性が低下し、画像表面にマクロな凹凸が生じやすくなり、光沢性が向上する程度が低くなる場合がある。第2ポリエステル樹脂の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定されるポリスチレン換算の値である。
[第2ポリエステル樹脂のガラス転移温度]
第2ポリエステル樹脂のガラス転移温度は、40℃以上120℃以下であることが好ましい。ガラス転移温度は、第2ポリエステル樹脂がガラス状態から粘性状態へと変化しはじめる温度であり、第2ポリエステル樹脂の軟化しやすさを示す指標となる物性値である。第2ポリエステル樹脂は、ガラス転移温度が高いほど、常温(25℃)付近では硬い状態で存在する傾向にある。第2ポリエステル樹脂は、硬いほど外力によって変形しにくくなる。このため、ガラス転移温度が高い第2ポリエステル樹脂を用いることで、第1ポリエステル樹脂によって記録媒体上に形成される樹脂層の強度が向上し、記録される画像の耐擦過性をさらに高めることができる。第2ポリエステル樹脂のガラス転移温度は、示差走査熱量計(DSC)などの熱分析装置を用いて測定することができる。
〔第2ポリエステル樹脂の製造方法〕
第2ポリエステル樹脂は、第1樹脂とは異なり、溶解した状態でインク中に存在する水溶性樹脂であることが好ましい。第2ポリエステル樹脂の製造方法としては、水溶性樹脂となるようにする点以外は、前述の第1樹脂の製造方法や後処理として例示した方法と同様の方法を挙げることができる。具体的には、多価カルボン酸の少なくとも一部を、スルホン酸基を有する多価カルボン酸に置き換えれば、スルホン酸基を有する第2ポリエステル樹脂を合成することができる。
(水性媒体)
本発明のインクは、水性媒体として少なくとも水を含有する水性のインクである。インクには、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を含有させることができる。水としては、脱イオン水やイオン交換水を用いることが好ましい。水性インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。また、水性インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。水溶性有機溶剤としては、アルコール類、(ポリ)アルキレングリコール類、グリコールエーテル類、含窒素化合物類、含硫黄化合物類などのインクジェット用のインクに使用可能なものをいずれも用いることができる。
(その他の成分)
インクは、上記成分以外にも必要に応じて、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどの多価アルコール類;尿素、エチレン尿素などの尿素誘導体;などの、25℃で固体の水溶性有機化合物を含有させてもよい。さらに、インクは、必要に応じて、界面活性剤、pH調整剤、消泡剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、及びキレート剤などの種々の添加剤を含有させてもよい。界面活性剤を含有させる場合、インク中の界面活性剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上5.0質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上2.0質量%以下であることがさらに好ましい。
(インクの物性)
25℃におけるインクの粘度は、1.0mPa・s以上10.0mPa・s以下であることが好ましく、1.0mPa・s以上5.0mPa・s以下であることがさらに好ましく、1.0mPa・s以上3.0mPa・s以下であることが特に好ましい。25℃におけるインクの表面張力は、10mN/m以上60mN/m以下であることが好ましく、20mN/m以上60mN/m以下であることがさらに好ましく、30mN/m以上50mN/m以下であることが特に好ましい。25℃におけるインクのpHは、5.0以上10.0以下であることが好ましく、7.0以上9.5以下であることがさらに好ましい。
<インクカートリッジ>
本発明のインクカートリッジは、インクと、このインクを収容するインク収容部とを備える。そして、このインク収容部に収容されているインクが、上記で説明した本発明の水性インクである。図1は、本発明のインクカートリッジの一実施形態を模式的に示す断面図である。図1に示すように、インクカートリッジの底面には、記録ヘッドにインクを供給するためのインク供給口12が設けられている。インクカートリッジの内部はインクを収容するためのインク収容部となっている。インク収容部は、インク収容室14と、吸収体収容室16とで構成されており、これらは連通口18を介して連通している。また、吸収体収容室16はインク供給口12に連通している。インク収容室14には液体のインク20が収容されており、吸収体収容室16には、インクを含浸状態で保持する吸収体22及び24が収容されている。インク収容部は、液体のインクを収容するインク収容室を持たず、収容されるインク全量を吸収体により保持する形態であってもよい。また、インク収容部は、吸収体を持たず、インクの全量を液体の状態で収容する形態であってもよい。さらには、インク収容部と記録ヘッドとを有するように構成された形態のインクカートリッジとしてもよい。
<インクジェット記録方法>
本発明のインクジェット記録方法は、上記で説明した本発明の水性インクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録する方法である。インクを吐出する方式としては、インクに力学的エネルギーを付与する方式や、インクに熱エネルギーを付与する方式が挙げられる。本発明においては、インクに熱エネルギーを付与してインクを吐出する方式を採用することが特に好ましい。本発明のインクを用いること以外、インクジェット記録方法の工程は公知のものとすればよい。インクを記録媒体に付与して画像を記録した後に、画像(インク)を加熱する工程を実施してもよい。この際の加熱温度は、画像を構成する樹脂粒子のガラス転移温度以上の温度となるように適宜設定することができる。温度の上限は特に限定されないが、120℃以下であることが好ましい。
図2は、本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置の一例を模式的に示す図であり、(a)はインクジェット記録装置の主要部の斜視図、(b)はヘッドカートリッジの斜視図である。インクジェット記録装置には、記録媒体32を搬送する搬送手段(不図示)、及びキャリッジシャフト34が設けられている。キャリッジシャフト34にはヘッドカートリッジ36が搭載可能となっている。ヘッドカートリッジ36は記録ヘッド38及び40を具備しており、インクカートリッジ42がセットされるように構成されている。ヘッドカートリッジ36がキャリッジシャフト34に沿って主走査方向に搬送される間に、記録ヘッド38及び40から記録媒体32に向かってインク(不図示)が吐出される。そして、記録媒体32が搬送手段(不図示)により副走査方向に搬送されることによって、記録媒体32に画像が記録される。記録媒体32としては、例えば、普通紙などのコート層を有しない記録媒体や、光沢紙、マット紙、印刷本紙などのコート層を有する記録媒体などを用いることが好ましい。これらの記録媒体の基材としては、紙、フィルム、プラスチックなどを挙げることができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。成分量に関して「部」及び「%」と記載しているものは特に断らない限り質量基準である。
<物性値の測定方法>
(樹脂粒子の粒子表面のカルボン酸基の量)
樹脂粒子を含む液体を試料とし、電位差を利用したコロイド滴定によって、樹脂粒子の粒子表面のカルボン酸基の量を測定した。コロイド滴定には、流動電位滴定ユニット(商品名「PCD−500」、京都電子工業製)を搭載した電位差自動滴定装置(商品名「AT510」、京都電子工業製)を用いた。滴定試薬としては、0.005mol/Lのメチルグリコールキトサン溶液を用いた。
(樹脂の酸価)
以下の手順にしたがって、ポリエステル樹脂及びブロック共重合体の酸価を測定した。樹脂(ポリエステル樹脂又はブロック共重合体)を含む液体から、樹脂を分取し、1.0mol/L塩酸、及び水で洗浄した。洗浄した樹脂を、水とテトラヒドロフランを1:6の質量比で混合した液体60mLに添加し、25℃で樹脂を溶解させて試料を調製した。調製した試料を中和滴定し、樹脂の酸価を測定した。中和滴定には、複合ガラス電極(商品名「C−171」、京都電子工業製)を搭載した電位差自動滴定装置(商品名「AT510」、京都電子工業製)を用いた。滴定試薬としては、0.5mol/Lの水酸化カリウムエタノール溶液を用いた。
(樹脂の数平均分子量)
以下の手順にしたがって、樹脂の数平均分子量、及び、ブロック共重合体のAブロックの数平均分子量を測定した。ポリエステル樹脂、Aブロック又はブロック共重合体をテトラヒドロフランに添加し、25℃で24時間かけて樹脂を溶解させた後、メンブレンフィルターでろ過して試料を調製した。試料中の樹脂の含有量は、約0.3%となるように調整した。調製した試料について、以下に示す条件にしたがってゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる分析を行い、標準ポリスチレン樹脂を用いて作成した分子量校正曲線を使用して数平均分子量を算出した。標準ポリスチレン樹脂としては、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」(東ソー製)を用いた。
・HPLC装置:商品名「2695 Separations Module」(Waters製)
・示差屈折率(RI)検出器:商品名「2414 detector」(Waters製)
・カラム:商品名「GPC KF−806M」の4連カラム(昭和電工製)
・溶離液:テトラヒドロフラン
・流速:1.0mL/min
・オーブン温度:40℃
・試料注入量:100μL
(第1樹脂のガラス転移温度)
樹脂粒子を含む液体を60℃で乾固させて得た樹脂粒子2mgをアルミ容器に入れて封管し、測定用の試料を用意した。用意した試料につき、示差走査熱量計(商品名「Q1000」、TA instruments製)を使用し、以下に示す温度プログラムにしたがって熱分析して昇温曲線を作成した。作成した昇温曲線(横軸:温度、縦軸:熱量)における、低温側の曲線中の2点を通って高温側まで延長した直線と、曲線中の階段状の変化部分の勾配が最大になる点で引いた接線との交点における温度を「樹脂粒子のガラス転移温度」とした。
[温度プログラム]:
(1)200℃まで10℃/分で昇温
(2)200℃から−50℃まで5℃/分で降温
(3)−50℃から200℃まで10℃/分で昇温
(樹脂が樹脂粒子であるか否かの判断、粒子径)
樹脂を含む液体をイオン交換水で希釈し、樹脂の含有量が約1.0%である試料を調製した。この試料について、動的光散乱法による粒度分布計を使用し、以下に示す測定条件にしたがって樹脂粒子の粒子径(体積基準の累積50%粒子径D50、同90%粒子径D90)を測定した。粒度分布計としては、商品名「ナノトラックWAVEII−Q」(マイクロトラック・ベル製)を使用した。この測定方法によって粒子径を有する粒子が測定された場合、その樹脂は「樹脂粒子」である(「水分散性樹脂」である)と判断した。一方、この測定方法によって粒子径を有する粒子が測定されなかった場合、その樹脂は「樹脂粒子」ではない(「水溶性樹脂」である)と判断した。
[測定条件]:
・SetZero:30s
・測定回数:3回
・測定時間:180秒
・形状:真球形
・屈折率:1.6
・密度:1.0
(インクの粘度)
25℃に設定した恒温槽にチューブを経由して不凍液を循環させるE型粘度計(商品名「RE80−L」、東機産業製)に、ロータ(1°34’×R24)を取り付けた装置を用意した。この装置を使用して、インクの粘度を測定した。
<第1樹脂:ポリエステル樹脂で形成される樹脂粒子の合成>
(ポリエステル樹脂)
オートクレーブ内に設置した反応容器に、表1中の「エステル化反応」の項目に示す成分(単位:部)の混合物を入れ、220℃で4時間加熱してエステル化反応を行った。次いで、240℃に昇温し、90分かけて13Paまで減圧した。240℃、13Paの減圧状態を5時間保ってエステル化(脱水縮合)反応を継続した後、窒素ガスを導入して常圧に戻した。220℃まで温度を下げた後、触媒(テトラ−n−ブチルチタネート)、及び表1の「エステル交換反応」の項目に示す成分(単位:部)を添加し、220℃で2時間加熱してエステル交換反応を行った。触媒の使用量(mol)は、「3×10−4×多価カルボン酸の合計使用量(mol)」とした。その後、窒素ガスを導入して加圧状態とし、シート状の樹脂を取り出した。取り出した樹脂を25℃まで冷却した後、クラッシャーを使用して粉砕し、ポリエステル樹脂を得た。得られたポリエステル樹脂の特性を表1に示す。表1中の各成分の略称の意味を以下に示す。
・EG:エチレングリコール
・NPG:ネオペンチルグリコール
・BPA:ビスフェノールA
・GLY:グリセリン
・tPA:テレフタル酸
・iPA:イソフタル酸
・BTA:トリメリット酸
・HAD:アジピン酸
Figure 2021152143
<第1樹脂の製造>
(第1樹脂1〜30)
容積2Lのビーカーに、撹拌機(商品名「トルネード撹拌機スタンダードSM−104」、アズワン製)をセットした。このビーカーに、表2−1に示す種類及び使用量(単位:g)のポリエステル樹脂、有機溶剤、及び耐光剤を入れ、25℃で撹拌して成分を溶解させた。次いで、ポリエステル樹脂の酸価を基準とした中和率(モル%)に相当する量の5%水酸化ナトリウム水溶液を添加し、30分間撹拌した。さらに、10℃、表2−1に示す撹拌速度で撹拌しながら、20mL/minの速度でイオン交換水900gを滴下した。その後、60℃に昇温し、有機溶剤及び一部の水を減圧して留去した。ビーカーをウォーターバスに入れ、表2−1に示す加熱処理時間で、85℃で撹拌して加熱処理を行った。150メッシュの金網で内容物をろ過した後、適量のイオン交換水を添加して、樹脂粒子の含有量が25.0%である、各第1樹脂を含む液体を得た。得られた第1樹脂を含む液体及び第1樹脂の特性を表2−2に示す。表2−2中、「カルボン酸基の量(μmol/g)」は、樹脂粒子の粒子表面に存在するカルボン酸基の量を示す。また、表2−1中の耐光剤の種類及び有機溶剤の略称の意味を以下に示す。
・耐光剤1:ベンゾトリアゾール系耐光剤(商品名「アデカスタブLA−31RG」、ADEKA製)
・耐光剤2:チオエーテル系耐光剤(商品名「アデカスタブAO−503」、ADEKA製)
・耐光剤3:トリアジン系耐光剤(商品名「アデカスタブLA−46」、ADEKA製)
・耐光剤4:ベンゾフェノン系耐光剤(商品名「アデカスタブ1413」、ADEKA製)
・耐光剤5:ヒンダードアミン系耐光剤(商品名「アデカスタブLA−63P」、ADEKA製)
・THF:テトラヒドロフラン
・MEK:メチルエチルケトン
・IPA:イソプロパノール
Figure 2021152143
Figure 2021152143
(第1樹脂C1)
撹拌機、還流冷却装置、及び窒素ガス導入管を備えた4つ口フラスコに、過硫酸カリウム0.2部、及びイオン交換水79.4部を入れ、窒素ガスを導入した。また、ブチルメタクリレート19.7部、メタクリル酸0.4部、及び反応性界面活性剤(商品名「アクアロンKH−05」、第一工業製薬製)0.3部を混合して混合物を得た。得られた混合物を、4つ口フラスコ内に撹拌下で1時間かけて滴下した後、80℃で2時間反応させた。内容物を25℃まで冷却した後、水酸化カリウム、及び適量のイオン交換水を添加して、液体のpHを8.5に調整した。このようにして、樹脂粒子の含有量が25.0%である、第1樹脂C1を含む液体を得た。
(第1樹脂C2)
特許文献1(特開2014−88552号公報)の「製造例34」の記載に準じて、「グラフトポリマーの水分散液G6」を調製した。樹脂粒子の含有量が25.0%となるように調整し、第1樹脂C2を含む液体を得た。この樹脂は、主鎖がポリエステル樹脂、側鎖が付加重合系樹脂で構成されたものであり、スルホン酸基は有しない。
(第1樹脂C3)
特開平08−269310号公報の記載に準じて、「非球形粒子C1」を調製した。樹脂粒子の含有量が25.0%となるように調整し、第1樹脂C3を含む液体を得た。この樹脂粒子は、スルホン酸基を有しないポリエステル樹脂で形成されたものである。
<第2樹脂の製造>
(第2樹脂1〜22:ブロック共重合体)
撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、及び還流管を備えた4つ口フラスコ内を窒素置換した。このフラスコ内に、メチルエチルケトン100.0部、表3中の「セグメントA1」に示す単量体(単位:部)、RAFT剤(クミルジチオベンゾエート、単位:部)、及び重合開始剤(アゾビスイソブチロニトリル、単位:部)を入れた。25℃で30分間窒素置換した後、75℃まで昇温して反応を開始した。一定時間毎に溶液を抜き取り、溶液中の乾燥固形分を測定して重合率を算出した。また、抜き取った溶液の一部を用いて、生成物の数平均分子量を測定した。
重合率が95%以上となったことを確認した後、表3中の「セグメントA2」に示す単量体(単位:部)を添加してさらに反応させた。次いで、重合率が95%以上となったことを確認した後、表3の「セグメントB1」に示す単量体(単位:部)、及び「セグメントB2」に示す単量体(単位:部)を順次添加してさらに反応させた。最終的な重合率が98%となったことを確認した後、メチルエチルケトン50.0部を添加し、フラスコを冷却して反応を停止させた。多量のメタノールに反応液を添加し、生成した沈殿物を40℃で24時間真空乾燥して第2樹脂を得た。得られた第2樹脂1〜22はいずれも水溶性樹脂であった。樹脂の酸価に対してモル比で0.9倍の水酸化カリウム、及び適量のイオン交換水を添加して、第2樹脂の含有量が10.0%である、各第2樹脂を含む液体を得た。得られた第2樹脂の酸価、数平均分子量(Mn)、Aブロックの数平均分子量(MnA)、Bブロックの数平均分子量(MnB)、及びAブロックの数平均分子量/数平均分子量(MnA/Mn)を表4に示す。表3中の各成分の略称の意味を以下に示す。
・BzMA:メタクリル酸ベンジル
・St:スチレン
・MMA:メタクリル酸メチル
・HEMA:メタクリル酸2−ヒドロキシエチル
・MAA:メタクリル酸
・nBMA:メタクリル酸n−ブチル
Figure 2021152143
Figure 2021152143
(第2樹脂23〜40:第2ポリエステル樹脂)
オートクレーブ内に設置した反応容器に、表5に示す成分(単位:g)及び触媒(シュウ酸チタンカリウム)0.1部の混合物を入れた。窒素雰囲気下で撹拌しながら200℃に昇温した後、4時間かけて260℃まで徐々に昇温してエステル化反応及びエステル交換反応を行った。次いで、90分かけて67Paまで減圧した。250℃、67Paの減圧状態を表5に示す縮合時間保ってエステル交換反応を継続した後、窒素ガスを導入して常圧に戻した。その後、25℃まで冷却して第2樹脂を得た。得られた第2樹脂23〜40はいずれも水溶性樹脂であった。得られた第2樹脂10.0gに適量のイオン交換水を添加して、80〜95℃で2時間撹拌して第2樹脂を水に溶解させ、第2樹脂の含有量が10.0%である、各第2樹脂を含む液体を得た。得られた第2ポリエステル樹脂の特性を表6に示す。表5中の各成分の略称の意味を以下に示す。
・EG:エチレングリコール
・16HD:1,6−ヘキサンジオール
・NPG:ネオペンチルグリコール
・14BD:1,4−ブタンジオール
・DMT:ジメチルテレフタル酸
・DMI:ジメチルイソフタル酸
・BTA:トリメリット酸
・DMA:ジメチルアジピン酸
・5SIPM:5−スルホン酸ナトリウムジメチルイソフタル酸
・STPM:スルホン酸ナトリウムジメチルテレフタル酸
・4SIPM:4−スルホン酸ナトリウムジメチルイソフタル酸
・SSM:スルホン酸ナトリウムジメチルコハク酸
Figure 2021152143
Figure 2021152143
(第2樹脂C1)
アクリル系樹脂であるジョンクリル683(商品名、BASF製、酸価160mgKOH/g、数平均分子量3,500)を準備した。このアクリル系樹脂に、酸価に対してモル比で0.9倍の水酸化カリウム、及び適量のイオン交換水を添加して、第2樹脂の含有量が10.0%である、第2樹脂C1を含む液体を得た。この樹脂は、芳香族基を有するランダム共重合体である。
(第2樹脂C2)
特開平08−269310号公報の記載に準じて、「着色ポリエステル微粒子B1」を調製した。適量のイオン交換水を添加して、第2樹脂の含有量が10.0%である、第2樹脂C2を含む液体を得た。この樹脂は、スルホン酸基を有するポリエステル樹脂によって形成された樹脂粒子に、色材(油性染料)が内包されたものである。
<顔料分散液の調製>
(顔料分散液1)
0.3mm径のジルコニアビーズ200部を充填したバッチ式縦型サンドミル(アイメックス製)に、顔料10.0部、樹脂を含む液体20.0部、及びイオン交換水70.0部の混合物を入れて、5時間分散した。顔料としては、C.I.ピグメントイエロー74(商品名「Hansa yellow 5GX 01 LV 3344」、クラリアント製)を用いた。樹脂を含む液体としては、水溶性樹脂をその酸価と等モルの水酸化カリウムを含む水に溶解させた、樹脂の含有量が30.0%である水溶液を用いた。水溶性樹脂としては、酸価167mgKOH/g、重量平均分子量10,000のスチレン−アクリル酸エチル−アクリル酸共重合体を用いた。遠心分離して粗大粒子を除去し、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過して、顔料分散液1を得た。顔料分散液1中の顔料の含有量は10.0%であり、樹脂の含有量は6.0%であった。
(顔料分散液2)
水5.5gに濃塩酸5.0gを溶かして溶液を5℃に冷却し、この状態で4−アミノフタル酸1.6gを加えた。この溶液の入った容器をアイスバスに入れ、撹拌して溶液の温度を10℃以下に保持しながら、5℃のイオン交換水9.0gに亜硝酸ナトリウム1.8gを溶かして得た溶液を加えた。15分間撹拌後、カーボンブラック(商品名「NIPex 170IQ」、オリオンエンジニアドカーボンズ製)6.0gを撹拌下で加え、さらに15分間撹拌してスラリーを得た。得られたスラリーをろ紙(商品名「標準用ろ紙No.2」、アドバンテック製)でろ過し、粒子を十分に水洗し、110℃のオーブンで乾燥させた。その後、イオン交換法によりカウンターイオンをナトリウムイオンからカリウムイオンに置換して、カーボンブラックの粒子表面に−C−(COOK)基が結合した自己分散顔料を得た。適量のイオン交換水を添加して顔料の含有量を調整し、顔料の含有量が10.0%である顔料分散液2を得た。
<インクの調製>
以下に示す各成分を混合し、十分撹拌した後、ポアサイズ2.5μmのミクロフィルターにて加圧ろ過し、インクを調製した。「アセチレノールE100」は、川研ファインケミカル製のノニオン性界面活性剤の商品名である。調製したインクの特性を表7−1〜7−3に示す。
・表7−1〜7−3に示す種類の色材:表7−1〜7−3に示す使用量(%)
・表7−1〜7−3に示す種類の第1樹脂を含む液体:表7−1〜7−3に示す第1樹脂の含有量Rとなる量(%)
・表7−1〜7−3に示す種類の第2樹脂を含む液体:表7−1〜7−3に示す第2樹脂の含有量Q(%)となる量(%)
・グリセリン:5.0%
・トリエチレングリコール:10.0%
・アセチレノールE100:0.1%
・イオン交換水:成分の合計が100.0%になる残量(%)
Figure 2021152143
Figure 2021152143
Figure 2021152143
<評価>
上記で得られた各インクをそれぞれインクカートリッジに充填し、熱エネルギーの作用により記録ヘッドからインクを吐出するインクジェット記録装置(商品名「PIXUS iP3100」、キヤノン製)に搭載した。本実施例においては、1/1,200インチ×1/1,200インチの単位領域に、1滴当たり5pLのインク滴を1滴付与する条件で記録したベタ画像の記録デューティを100%と定義する。本発明においては、以下に示す各項目の評価基準で、「A」、及び「B」を許容できるレベルとし、「C」を許容できないレベルとした。評価結果を表8に示す。
(耐擦過性)
上記のインクジェット記録装置を使用し、記録デューティが100%である、200mm×200mmのベタ画像を記録媒体(商品名「オーロラコート」、日本製紙製)に記録した。画像を25℃で24時間乾燥させた後、加熱式オーブンを用いて100℃で1時間加熱した。得られた画像について、JIS L 0849:2013に準じた測定を行うことができる学振型試験機(商品名「耐摩耗試験機」、井元製作所製)を使用し、荷重500gで10往復する条件の摩擦試験を行った。摩擦試験後の画像を目視で確認し、以下に示す評価基準にしたがって画像の耐擦過性を評価した。
A:画像に擦過痕がついていなかった。
B:画像に擦過痕がついていたが、記録媒体は見えなかった。
C:画像に擦過痕がついており、記録媒体が見えた。
(光沢性)
上記のインクジェット記録装置を使用し、記録デューティが100%である、2cm×2cmのベタ画像を記録媒体(商品名「キヤノン写真用紙・光沢ゴールドGL−101」、キヤノン製)に記録した。画像を25℃で24時間乾燥させた後、観察光源として10cm間隔で並列配置した2本の蛍光灯を用い、2m離れた距離から45度の角度で画像に対して蛍光灯の光を照射した(照明角度45度)。画像に反射した蛍光灯の形状を45度の角度から目視で確認し(観察角度45度)、以下に示す評価基準にしたがって画像の光沢性を評価した。
A:反射した2本の蛍光灯の境目がわかり、そのエッジにはぼやけが認められなかった。
B:反射した2本の蛍光灯の境目はわかったが、そのエッジにはぼやけが僅かに認められた。
C:反射した2本の蛍光灯の境目がわからなかった。
Figure 2021152143
(耐光性)
実施例1及び14〜18の各インクを用いて、上記のインクジェット記録装置を使用し、記録デューティが100%である、2cm×2cmのベタ画像を記録媒体(商品名「キヤノン写真用紙・光沢ゴールドGL−101」、キヤノン製)に記録した。画像を25℃で24時間乾燥させた後、分光光度計(商品名「Spectrolino」、Macbeth製)を使用してL、a、及びbを測定した。次いで、キセノンウェザーメーター(商品名「アトラス・ウエザオメータCi4000」、スガ試験機製)を使用し、画像にキセノン光を照射した。照射条件は、照射強度0.39W/m、ブラックパネル温度63℃、相対湿度70%、照射時間100時間とした。キセノン光の照射後、画像のL、a、bを測定した。キセノン光照射前の画像のL、a、bを「L 」、「a 」、「b 」とし、照射後の画像のL、a、bを、「L 」、「a 」、「b 」とした。測定した各値から、色差ΔE={(L −L +(a −a +(b −b 1/2を算出した。ΔEの値が小さいほど、光により退色しにくいと判断することができる。このようにして算出したΔEを比較したところ、実施例14〜18はいずれも実施例1に比べてΔEが小さく、耐光性が良好であることが確認された。

Claims (11)

  1. 色材、及び前記色材とは別の複数の樹脂を含有するインクジェット用の水性インクであって、
    前記複数の樹脂が、第1樹脂及び第2樹脂を含み、
    前記第1樹脂が、第1ポリエステル樹脂で形成された樹脂粒子であり、
    前記第2樹脂が、(i)酸基を有しないAブロック及び酸基を有するBブロックを含むブロック共重合体、並びに、(ii)スルホン酸基を有する第2ポリエステル樹脂、の少なくとも一方であることを特徴とする水性インク。
  2. 前記第1ポリエステル樹脂の酸価が、2mgKOH/g以上30mgKOH/g以下である請求項1に記載の水性インク。
  3. 前記第1ポリエステル樹脂が、芳香族化合物に由来するユニットを含む請求項1又は2に記載の水性インク。
  4. 前記第2樹脂が、芳香族化合物に由来するユニットを含む請求項1乃至3のいずれか1項に記載の水性インク。
  5. 前記第2樹脂の数平均分子量が、3,000以上20,000以下である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の水性インク。
  6. 前記ブロック共重合体の前記Aブロックの数平均分子量が、前記ブロック共重合体の数平均分子量に対する比率で、0.30倍以上0.80倍以下である請求項1乃至5のいずれか1項に記載の水性インク。
  7. 前記第2ポリエステル樹脂が、さらにカルボン酸基を有するとともに、
    前記第2ポリエステル樹脂のスルホン酸基量が、前記第2ポリエステル樹脂のカルボン酸基量に対するモル比率で、0.08倍以上0.50倍以下である請求項1乃至5のいずれか1項に記載の水性インク。
  8. 前記第1樹脂の含有量(質量%)が、前記第2樹脂の含有量(質量%)に対する質量比率で、4.0倍以上100.0倍以下である請求項1乃至7のいずれか1項に記載の水性インク。
  9. 前記色材が、顔料である請求項1乃至8のいずれか1項に記載の水性インク。
  10. インクと、前記インクを収容するインク収容部とを備えたインクカートリッジであって、
    前記インクが、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の水性インクであることを特徴とするインクカートリッジ。
  11. インクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
    前記インクが、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の水性インクであることを特徴とするインクジェット記録方法。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023249415A3 (ko) * 2022-06-21 2024-08-22 이병찬 수성 옵셋 잉크 및 그의 제조방법

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