JP2021151223A - マイオカイン産生促進剤、筋出力増強剤、および筋芽細胞の分化促進剤 - Google Patents

マイオカイン産生促進剤、筋出力増強剤、および筋芽細胞の分化促進剤 Download PDF

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Abstract

【課題】新規のマイオカイン産生促進剤、筋出力増強剤、および筋芽細胞の分化促進剤、マイオカイン産生、筋出力、脳機能、糖・脂質代謝機能、または筋芽細胞の分化を改善するための組成物、ならびに、マイオカイン産生、筋出力、脳機能、糖・脂質代謝機能、または筋芽細胞の分化を改善するための非治療的方法を提供することを目的とする。【解決手段】コエンザイムQ10を有効成分として用いることで、マイオカイン産生促進剤、筋出力増強剤、および筋芽細胞の分化促進剤、マイオカイン産生、筋出力、脳機能、糖・脂質代謝機能、または筋芽細胞の分化を改善するための組成物、ならびに、マイオカイン産生、筋出力、脳機能、糖・脂質代謝機能、または筋芽細胞の分化を改善するための非治療的方法を提供することができる。【選択図】なし

Description

本発明は、コエンザイムQ10を含有するマイオカイン産生促進剤、筋出力増強剤、および筋芽細胞の分化促進剤、ならびに、コエンザイムQ10を含有するマイオカイン産生、筋出力、脳機能、糖・脂質代謝機能、および筋芽細胞の分化等の改善のための組成物および非治療的方法に関する。
コエンザイムQ10は脂溶性のビタミン様の生体内物質であり、細胞内のミトコンドリアにおけるATP産生に必要な生命維持に不可欠な成分である。同時に、コエンザイムQ10は、抗酸化作用によって、ATP産生時などに発生する活性酸素による障害から細胞を保護する作用も有している。コエンザイムQ10は、生体内の活性酸素種等が引き起こす酸化ストレスに関連する老化現象を抑制するための老化抑制剤(特許文献1)、細胞内のATP産生、細胞の増殖および移動を促進する作用を有する疼痛、疲労、および創傷治癒の治療剤(特許文献2)、あるいはパントテン酸類との併用により運動負荷後の血中乳酸濃度を低下させる抗疲労組成物(特許文献3)等に用いられている。
さらに、コエンザイムQ10の疲労やストレスへの影響に関して、還元型コエンザイムQ10を経口摂取した場合に、摂取前後でワーク・エンゲイジメント(燃え尽き症候群などの主観尺度)、血中コルチゾール、血中酸化ストレスマーカーが有意に変化すること(非特許文献1)、還元型コエンザイムQ10の摂取により睡眠VASスケールが改善すること(非特許文献2)、また酸化型コエンザイムQ10の単回摂取により脂質代謝や軽度な運動で変化する自律神経が調整されること(非特許文献3)などが報告されている。
また、近年では、コエンザイムQ10が、ミトコンドリア機能に関与するPGC−1αの活性化を介して脂質代謝に作用するという作用メカニズムも報告されている(非特許文献4)。
特開2015−17081号公報 特開2014−58559号公報 特開2006−16357号公報
Kawaharada Y,Toyomasu K 薬理と治療,41(12):1129−1137,2013 Hideyuki Morikawa et al. 薬理と治療,47(8),2019 Alsong Zheng et al. J Nutr Sci Vitaminol 54:286−290,2008 ビタミン,92(8):381−385,2018
しかしながら、これらの知見においては、コエンザイムQ10による心身および肉体的観点での効果の実証や作用機序の解明は全くなされていない。
本発明者らは、コエンザイムQ10による心身および肉体的観点での作用機序を解明するべく鋭意研究を行ったところ、驚くべきことに、コエンザイムQ10が、脳機能、糖・脂質代謝機能等の改善に寄与し得るマイオカイン産生を促進する効果を有すること、コエンザイムQ10が筋出力を増強する効果を有すること、さらに筋芽細胞の分化を促進する効果を有することをはじめて見出した。そして、コエンザイムQ10を有効成分として含有する新規のマイオカイン産生促進剤、筋出力増強剤、および筋芽細胞の分化促進剤、マイオカイン産生、脳機能、糖・脂質代謝機能、筋出力、および筋芽細胞の分化を改善するための組成物、ならびに、マイオカイン産生、脳機能、糖・脂質代謝機能、筋出力、および筋芽細胞の分化を改善するための非治療的方法を発明するに至った。
そこで、本発明は以下の発明に関する:
[1] コエンザイムQ10を有効成分として含有する、マイオカイン産生促進剤。
[2] マイオカインがBDNFおよび/またはIrisinである、項目[1]に記載のマイオカイン産生促進剤。
[3] コエンザイムQ10を有効成分として含有する、筋出力増強剤。
[4] コエンザイムQ10を有効成分として含有する、筋芽細胞の分化促進剤。
[5] 筋出力、脳機能、糖もしくは脂質代謝機能、またはそれらの組み合わせを改善するための、コエンザイムQ10を有効成分として含有する組成物。
[6] 筋芽細胞の分化を促進するための、コエンザイムQ10を有効成分として含有する組成物。
[7] マイオカイン産生促進剤である、項目[5]又は[6]に記載の組成物。
[8] HMBカルシウム、ラクチュロース、ローヤルゼリー、マカエキス、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、およびビタミンDからなる群より選択される少なくとも1種をさらに含有する、項目[5]〜[7]のいずれか一項に記載の組成物。
[9] 経口投与用である、項目[5]〜[8]のいずれかに記載の組成物。
[10] 錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤、咀嚼剤、液剤、またはシロップ剤である、項目[5]〜[9]のいずれかに記載の組成物。
[11] 食品または医薬組成物である、項目[5]〜[10]のいずれかに記載の組成物。
[12] コエンザイムQ10を有効成分として含有する組成物を摂取させることを含む、筋出力増強方法。
[13] 筋活動電位を増強するための、項目[12]に記載の筋出力増強方法。
[14] コエンザイムQ10を有効成分として含有する組成物を摂取させることを含む、マイオカイン産生、筋出力、脳機能、糖もしくは脂質代謝機能、筋芽細胞の分化、またはそれらの組み合わせの改善のための非治療的方法。
[15] マイオカイン産生促進、筋出力増強、または筋芽細胞の分化促進のための、コエンザイムQ10の使用。
[16] マイオカイン産生促進剤、筋出力増強剤、または筋芽細胞の分化促進剤の製造のための、コエンザイムQ10の使用。
[17] マイオカイン産生の不足による状態または疾患を予防、改善、または治療するための、コエンザイムQ10を含有する治療剤。
[18] コエンザイムQ10が還元型または酸化型である、項目[1]〜[17]に記載のマイオカイン産生促進剤、筋出力増強剤、筋芽細胞の分化促進剤、組成物、筋出力増強方法、非治療的方法、使用、または治療剤。
本発明によれば、マイオカイン産生を促進することができる。また、本発明によれば、脳機能、糖・脂質代謝機能、または筋出力を改善することができる。また、本発明によれば、筋芽細胞の分化を促進することができる。
図1は、コエンザイムQ10を含む本発明の組成物による介入前後の血漿中の総コエンザイム濃度および還元型コエンザイム濃度を示すグラフである。 図2は、コエンザイムQ10を含む本発明の組成物による介入前後の血漿マイオカイン濃度を示すグラフである。 図3は、コエンザイムQ10を含む本発明の組成物による介入前後の筋出力を示すグラフである。 図4は、マウス骨格筋由来筋芽細胞株C2C12細胞におけるコントロールとコエンザイムQ10添加群のMyod1遺伝子の発現量の変化を示すグラフである。 図5は、マウス骨格筋由来筋芽細胞株C2C12細胞におけるコントロールとコエンザイムQ10添加群のMyf5遺伝子の発現量の変化を示すグラフである。 図6は、マウス骨格筋由来筋芽細胞株C2C12細胞における分化誘導12日後のコントロールとコエンザイムQ10添加群のミオシン重鎖免疫染色の顕微鏡写真である。 図7は、マウス骨格筋由来筋芽細胞株C2C12細胞における分化誘導12日後のコントロールとコエンザイムQ10添加群のミオシン重鎖免疫染色の蛍光強度のグラフである。
一態様において、本発明は、コエンザイムQ10を有効成分として含有するマイオカイン産生促進剤に関する。
マイオカインは、筋収縮に伴い骨格筋から放出されるサイトカインの総称である。最近のヒト筋細胞のセクレトーム分析からは、300種類以上のマイオカイン候補が同定されている。これらのマイオカインの役割は多様であり、代謝調節、抗炎症作用、損傷再生時の骨格筋量の調節など広範にわたっている(日呼吸誌 4(1),p.41−45,2015)。マイオカインとしては、例えば、Irisin、IL−6、アディポネクチン(adiponectin)等の脂質代謝や筋機能等との関連が報告されているもの、脳由来神経栄養因子BDNF(brain-derived neurotrophic factor)等の脳・認知機能との関連が報告されているもの、ミオスタチン(myostatin)、IL−6、IL−7、LIF、デコリン(decorin)等の骨格筋発生、肥大、損傷再生制御等との関連が報告されているもの、IGF−1、FGF−2等の近接骨組織との関連が報告されているもの、IL−1RA、IL−10、TNFα、IL−1β、CSF3等の炎症制御との関連が報告されているもの、FSTL−1、CTRP−15、SPARC、CXCケモカインなどが挙げられるがこれらに限定されない。
本発明の一態様において、マイオカインは、筋機能、脳・認知機能、および糖・脂質代謝機能の制御に関与するマイオカインである。このようなマイオカインの非限定的な例としては、BDNFおよびIrisinを挙げることができる。
BDNFは、神経系前駆細胞の分化成長、神経突起の伸展促進等に寄与する神経栄養因子であり、脳神経の生存や神経突起の維持、中枢神経系における神経細胞のネットワーク構築、脳の成長発達後のシナプスの形成消滅、学習記憶に関連する神経の可塑性の制御等に関与し、正常な脳・認知機能の維持向上に寄与する他、全身的な糖代謝、食欲や食事行動等の制御にも寄与すると考えられている(洛和会病院医学雑誌 28,p.7−24,2017等)。
Irisinは、筋量の維持に関与し、また、骨格筋および脂肪細胞におけるPGClαの活性化を通じて、白色脂肪細胞を褐色脂肪細胞化する作用を有し、脂質代謝亢進・脂肪分化促進に寄与し、減量やインスリン抵抗性を改善する働きがあると考えられている(デサントスポーツ科学 40,p.58−64;および、化学と生物 53(19),p.1−2,2015)。また、認知障害(アルツハイマー型認知症)患者において、Irisinの低下や、AA(動揺/攻撃性)と血漿Irisinレベルとの相関性が報告されていることから、Irisinは脳・認知機能の改善にも寄与していると考えられる(Nature Medicine 25,p.165−175,2019;および、Neurological Sciences 40(6),p.1145−1150,2019)。
本発明に係るマイオカイン産生促進剤は、後述の実施例に開示するように、BDNFやIrisinの産生促進効果を有しており、したがって、筋機能、糖・脂質代謝機能、および脳・認知機能を改善する効果を有する。
これらのマイオカインの増加因子としては、これまでに、カマンベールチーズ、カカオポリフェノール(WO2016/181945 A1パンフレット)、ユーグレナ等の介入、あるいは温浴、慢性的な運動継続等により、BDNFの血中濃度が上昇し、脳・認知機能改善に寄与し得ることが報告されている。また、タウリン摂取(運動療法との併用、Cytokine 123,Article 154741,2019)や高齢者への運動介入等によるIrisinの増加が報告されている。しかしながら、コエンザイムQ10がBDNFやIrisinなどのマイオカイン産生を促進する効果を有することはこれまでに報告されておらず、本発明においてはじめて見出された知見である。なお、産生促進効果は、後述の実施例に開示するように、例えば、ELISAなどの公知の手法を用いて、血中のマイオカイン濃度を測定することにより確認することができる。
上記のマイオカインは、運動介入、例えば継続的な運動介入により産生が促進され、筋量の維持、糖・脂質代謝機能、脳・認知機能等に作用することが知られている。したがって、本発明のマイオカイン産生促進剤は、運動介入の代替または補助的役割を果たし得るという点で、運動習慣のない者や、運動機能が低下した高齢者にも有用である。
さらに、本発明の一態様は、コエンザイムQ10を有効成分として含有する筋出力増強剤に関する。また本発明の別の一態様は、コエンザイムQ10を有効成分として含有する組成物を摂取させることを含む、筋出力増強方法に関する。組成物を摂取させる対象は、哺乳動物、特にヒト、ならびにイヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタなどの非ヒト哺乳動物を含む。対象となるヒトは、男性または女性でありうる。対象の年齢および性別は特に限定されないが、対象は例えば、30代〜40代の女性でありうる。
本明細書において、筋出力の増強とは、筋活動電位の増強を意味し、筋細胞数の増加や筋細胞の肥大による筋肉量の増大とは区別することができる。一実施形態では、筋出力の増加は、筋肉量の増大を伴わない筋活動電位の増加である。筋肉量の増大を伴わない筋活動電位の増加は、筋活動電位の数や発火頻度の増加を意味する。したがって、筋出力が増強すると、効率良く筋肉を動員することができるようになり、運動能力の向上や疲労感軽減等の効果が得られる。
筋出力は、例えば、筋電位×時間の面積として表される筋肉の運動活動量で評価することができる。後述の実施例の項に、筋出力の評価方法の一例を記載する。
さらに、本発明の一態様は、コエンザイムQ10を有効成分として含有する筋芽細胞の分化促進剤に関する。
筋サテライト細胞は、通常は静止状態にあるが、刺激(筋損傷など)により活性化し、筋芽細胞を産生する。筋芽細胞は、増殖・分化・融合(細胞核の消失)を経て筋菅を形成し、筋繊維へと成熟する。したがって、本発明の筋芽細胞の分化促進剤により筋芽細胞の分化を促進することにより、筋肉量を増大させることができ、運動機能の向上等の効果が得られる。
コエンザイムQ10としては公知の化合物を用いることができ、その入手方法としては、市販品を用いてもよく、または公知の方法に基づき製造してもよい。また、コエンザイムQ10は、酸化型(ユビキノン)および還元型(ユビキノール)のいずれも用いることができる。本発明に係るマイオカイン産生促進剤および筋出力増強剤が経口剤である場合は、腸管吸収性を高めた形態のコエンザイムQ10を用いることも好ましい。
本発明に係るマイオカイン産生促進剤、筋出力増強剤、または筋芽細胞の分化促進剤は、マイオカイン産生、筋出力、脳機能、糖・脂質代謝機能、または筋芽細胞の分化を改善することを目的として、食品または医薬組成物、具体的には、飲食品、機能性食品、医薬部外品、医薬品等に配合されうる。別の言い方をすれば、本発明に係るコエンザイムQ10を含有するマイオカイン産生促進剤、筋出力増強剤、または筋芽細胞の分化促進剤は、食品または医薬組成物として調製されうる。本明細書では、それらの本発明に係るマイオカイン産生促進剤、筋出力増強剤、筋芽細胞の分化促進剤、食品、および医薬組成物を、単に「本発明の組成物」または「本発明に係る組成物」と記載することがある。
本発明の組成物は、局所投与(皮膚上、吸入、注腸、点眼、点耳、経鼻、膣内等)、経腸投与(経口、経管、経注等)、非経口投与(経静脈、経動脈、経皮、筋肉注等)等の任意の投与経路で投与することができるが、経腸投与、特には、飲料またはサプリメントなどの経口投与用の組成物であることが好ましい。
本発明に係る組成物中のコエンザイムQ10の含有量は、それらの種類、目的、形態、利用方法などに応じて、適宜決めることができる。特に、機能性食品、医薬部外品、医薬品等に配合する場合は、本発明の有効成分を所定の効果が充分発揮されるような量で含有させることが好ましい。本発明に係る組成物中のコエンザイムQ10の含有量は、1日用量として、例えば、0.01〜5000mgとすることができる。例えば、本発明に係る組成物は、1日用量として、少なくとも0.01mg、0.1mg、1mg、または10mgのコエンザイムQ10を含み得る。また、本発明に係る組成物は、5000mg以下、1000mg以下、500mg以下、または100mg以下のコエンザイムQ10を含み得る。最終製品の特性に応じて、これらの上限値および下限値の任意の組み合わせが、コエンザイムQ10の含有量の範囲として規定されうる。
本発明の組成物には、必要に応じて、機能性素材、賦形剤、その他各種添加剤を任意に選択し併用することができる。本発明の組成物において併用され得るこれらの成分の含有量は、その種類、目的、形態、利用方法、摂取推奨量、排出量などを考慮して適宜決めることができる。なお、過剰摂取を回避すべき成分の場合、その含有量は、通常、1日の総摂取量が耐容上限量を超えないように設定される。このような場合、本発明の組成物中の該成分の1日用量は、例えば、耐容上限量の半分を超えない範囲を目安として適宜設定することができる(厚生労働省「日本人の食事摂取基準」等を参照)。
機能性素材としては、パントテン酸、葉酸、ビオチン、ビタミンA、B、C、D、E群など各種ビタミン類、亜鉛、カルシウム(HMBカルシウム等)、マグネシウム、鉄など各種ミネラル類、アミノ酸、オリゴ糖(ラクチュロース等)、プロポリス、ローヤルゼリー、マカエキス、イチョウ葉、ウコン、EPA、DHA、コンドロイチン、乳酸菌、ラクトフェリン、イソフラボン、プルーン、キチン、キトサン、グルコサミン、α−リポ酸、アガリクス、ガルシニア、プロポリス、コラーゲン、アスタキサンチン、フォースリン、カテキン、セサミン、セラミド、モロヘイヤ、スピルリナ、キャッツクローなどが挙げられる。これらの機能性素材は、単独でまたは二種以上で組み合わせて使用できる。本発明の組成物は、好ましくは、HMBカルシウム、ラクチュロース、ローヤルゼリー、マカエキス、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6(ただし、22.5mg/日を超えないことが好ましい)、およびビタミンD(ただし、50μg/日を超えないことが好ましい)からなる群より選択される少なくとも1種の機能性素材を含有する。
賦形剤としては、所望の剤型とするときに通常用いられるものであれば何でも良く、例えば、コムギデンプン、コメデンプン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、デキストリン、シクロデキストリンなどのでんぷん類、結晶セルロース類、乳糖、ブドウ糖、砂糖、還元麦芽糖、水飴、フラクトオリゴ糖、乳化オリゴ糖などの糖類、ソルビトール、エリスリトール、キシリトール、ラクチトール、マンニトールなどの糖アルコール類が挙げられる。これら賦形剤は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。
その他添加剤としては、食品または医薬組成物等に通常用いられる各種添加剤、例えば、呈味剤(果汁、フレーバー等)、甘味料、酸味料、茶成分、調味料、着色剤、増粘剤、結合剤、強化剤、崩壊剤、緩衝剤、界面活性剤、溶解補助剤、再吸収促進剤、分散剤、安定化剤、ゲル化剤、乳化剤、酸化防止剤、界面活性剤、保存剤、防湿剤、pH調整剤、着色料、無痛化剤、等張化剤等を適宜選択して使用できるが、これらの例示に限定されるものではない。
本発明の組成物を医薬組成物として用いる場合、剤型は適宜選択できるが、例えば錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤、咀嚼剤等の固形製剤や、液剤、シロップ剤、注射剤、点滴剤等の液体製剤等とすることができる。
食品の形態としては、例えば、液体状、固形状、錠剤状、顆粒状、粉状、カプセル状、ペースト状、ゲル状など、例えば上記の固形または液体製剤等を任意に選択することができる。食品の具体例として、例えば、果汁飲料、野菜ジュース、清涼飲料、茶等の飲料類、スープ、プリン、ヨーグルト、ケーキプレミックス製品、菓子類、クッキー、キャンディー、グミ、ガム等の各種一般加工食品のほか、特別用途食品、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性食品、栄養補助食品、健康補助食品、栄養強化食品、栄養調整食品等、例えばサプリメント、ドリンク剤等が挙げられる。ただしこれら例示に限定されるものでない。
本発明の一態様は、マイオカイン産生の低下または不足に関連する状態または疾患を予防、改善、または治療するための、コエンザイムQ10を有効成分として含有する治療剤に関する。本発明に係る治療剤は、上記の食品または医薬組成物であり得る。
マイオカイン産生の低下または不足に関連する状態または疾患としては、糖尿病、肥満等の糖・脂質代謝不良に関連する状態または疾患、耐糖能異常、高レプチン血症、高LDL血症、過食、記憶力低下、うつ病、脳卒中後の脳障害および運動機能障害、その他の脳疾患後遺症、作用負荷に伴う認知機能低下、軽度認知障害(MCI)、認知機能障害(記憶機能障害、学習機能障害、知覚機能障害、思考機能障害、判断機能障害、見当識障害、注意機能障害、実行機能障害、言語機能障害等)、アルツハイマー型認知症、不安、自殺念慮、疼痛、慢性疼痛、視力減退、WAGRシンドロームのヘテロ型BDNF欠損サブグループ、筋量および筋出力の低下、疲労、慢性疲労症候群などが挙げられるがこれらに限定されない。
また、本発明の一態様は、コエンザイムQ10を有効成分として含有するマイオカイン産生促進剤、筋出力増強剤、または筋芽細胞の分化促進剤を摂取させることを含む、筋出力、脳機能、糖・脂質代謝機能、または筋芽細胞の分化の改善のための非治療的方法に関する。摂取させる対象は、哺乳動物、特にヒト、ならびにイヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタなどの非ヒト哺乳動物を含む。対象となるヒトは、男性または女性でありうる。対象の年齢および性別は特に限定されないが、対象は例えば、30代〜40代の女性、または高齢者でありうる。
本発明に係るマイオカイン産生促進剤、筋出力増強剤、または筋芽細胞の分化促進剤の摂取は任意の様式で行うことができる。適用の回数、頻度、量等は、所望の効果等に応じて適宜設定される。一実施形態において、本発明に係る非治療的方法は、いわゆる医療行為を含まない。
さらに、本発明の一態様は、マイオカイン産生の促進のための、筋出力、脳機能、もしくは糖・脂質代謝機能の改善のための、または筋芽細胞の分化促進のためのコエンザイムQ10の使用に関する。別の観点から言えば、本発明の一態様は、マイオカイン産生の促進、筋出力、脳機能、もしくは糖・脂質代謝機能の改善、または筋芽細胞の分化促進に使用するためのコエンザイムQ10を含む。本明細書に開示のデータは、コエンザイムQ10がマイオカイン産生の促進、筋出力、脳機能、もしくは糖・脂質代謝機能の改善、または筋芽細胞の分化促進に有用であることを実証している。よって、コエンザイムQ10を用いて、マイオカイン産生の促進、筋出力、脳機能、もしくは糖・脂質代謝機能の改善、または筋芽細胞の分化促進に使用するためのマイオカイン産生促進剤、筋出力増強剤、または筋芽細胞の分化促進剤を調製することができる。本発明の一態様は、マイオカイン産生促進剤、筋出力増強剤、または筋芽細胞の分化促進剤の製造におけるコエンザイムQ10の使用にも関する。
本明細書において言及される全ての文献はその全体が引用により本明細書に取り込まれる。
以下に説明する本発明の実施例は例示のみを目的とし、本発明の技術的範囲を限定するものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲の記載によってのみ限定される。本発明の趣旨を逸脱しないことを条件として、本発明の変更、例えば、本発明の構成要件の追加、削除および置換を行うことができる。
[1]血漿マイオカイン濃度および筋出力に対するコエンザイムQ10を含有する本発明の組成物の効果
以下のとおり、コエンザイムQ10を含有する本発明の組成物による食品介入試験を行った。
試験デザイン
1群オープン試験
前後比較(食品介入前、および食品介入2週間および4週間後)
選定基準
1.30代40代の健康な女性、学生時代や日常生活で運動習慣の無い女性
2.BMI値が18.5から23の範囲にある女性
被験者数
19名
試験食品(本発明の組成物)
以下の成分を、1日3粒のタブレットに分けて、任意の機会に水などとともに摂取した。
Figure 2021151223
試験スケジュール
介入前測定(0日め)
介入2週間後測定(14日め)
介入4週間後測定(28日め)
測定項目
・血漿コエンザイムQ10濃度:摂取前後比較
・運動負荷後の血漿マイオカイン(Irisin、BDNF)濃度:摂取前後比較
・運動中の心拍数のモニタリング(エルゴメーター[コンビ]による計測)
・運動負荷後の筋肉疲労度(筋出力)の筋電測定(筋電アンプEMG−025、原田電子工業による計測):摂取前後比較
・体組成(InBody770による計測):摂取前後比較
統計解析
各パラメーターにおける0週(介入前)に対する介入2週および介入4週との有差検定は多重比較検定(Dunnett)を行った。
ELISA購入品
血漿Irisin:PHOENIX PHARMACEUTICALS,INC. Irisin ENZYME IMMUNOASSAY KIT
血漿BDNF:Proteintech(登録商標) BDNF,Human,Mouse,Rat,ELISA Kit
血漿IL−6:R&D Systems,Inc. Quantikine(登録商標) ELISA Human IL−6 Immunoassay
運動負荷(バイク漕ぎ)
被験者の年齢、平静時心拍数(HR安静)、体重等に基づき、個別に運動強度(エアロバイク(登録商標)漕ぎのワット数(W):30W−60W)を設定し、心拍が120±5/分の範囲に収まる運動強度で10数分〜最大20分バイク漕ぎを行った。バイク漕ぎ中の心拍数は、0週、2週、4週ともに各平均心拍数に有意差なかった。また、平均心拍数と平常時心拍数および年齢から算出される最大心拍数を基に求めた運動強度%MHRは運動強度60%台の「少しキツイ」程度の運動負荷であった。
1.血漿コエンザイムQ10濃度の測定
サンプリング時、ヘパリン処理採血管で回収した全血を30分以内に3000rpm10分遠沈し、血漿100μLに対して2−プロパノール700μLを加えて随時−80℃保管後、コエンザイムQ10濃度を測定した。
結果を図1に示す。0週に対して、総コエンザイムQ10(酸化型+還元型)も還元型(ユビキノール)もほぼ同じ推移を示し、2週間および4週間の食品介入で0週に対して2倍〜3倍の増加を示した。
2.血漿マイオカイン濃度の測定
血漿検体中のIrisin、BDNF、およびIL−6の濃度をELISAで測定した。測定結果を図2に、平均値を表2に示す。
Figure 2021151223
図2および表2に示すとおり、コエンザイムQ10を含む本発明の組成物の食品介入により、血漿中のIrisin濃度およびBDNF濃度がいずれも有意に上昇した。一方、IL−6の濃度は食品介入の前後で有意差は認められなかった。これらの結果は、コエンザイムQ10を含む本発明の組成物が、特に、糖・脂質代謝機能や脳・認知機能に関与する特定のマイオカインの産生促進に有効であることを実証している。
3.筋出力の計測
運動負荷後の大腿四頭筋の筋出力を以下の通り測定した。
脚固定式の椅子に骨盤矯正シート(MTG社)を載せて、座位の姿勢を一定に保持した。蹴り脚(サッカーなどで蹴り易い方の足)に電極を装着した(対照電極を膝頭に、測定電極を大腿四頭筋の中央部に装着)。地面と水平な角度になるように片脚を上げて2分間姿勢を維持する等尺性収縮(アイソメトリック)運動を負荷とした。30秒ごとに時間を連絡し、都度、足の角度の調整を指示しつつ、リアルタイムで筋電位を計測した。
筋電位データに基づいて筋肉の運動活動量を数値化し、食品介入前(0週)の平均値を基準値として2週、4週の比を算出した。結果を図3に示す。
4.体組成の測定
体成分分析装置InBody770により、0週、2週、および4週の体組成を測定した。結果を表3に示す。
Figure 2021151223
筋出力の値は、図3に示すとおり、0週に対して、2週で約29%、4週で約46%増加し、0週に対して有意な増加が認められた。一方、表3に示すとおり、2週間および4週間の食品介入では筋肉量に有意な差はなかった。したがって、図3に示される表面筋電位の増加は、筋肉量の増加ではなく、筋出力の増強を示している。これらの結果は、コエンザイムQ10を含有する本発明の組成物による食品介入により、筋活動電位の数や発火頻度が増加して筋出力が増強され、効率良く筋肉を動員できる体質に導かれたことを実証している。
以上の結果をまとめると、本試験では、コエンザイムQ10を有効成分として含有する本発明の組成物の摂取により、有意な血漿中コエンザイムQ10濃度(総コエンザイムQ10濃度および還元型コエンザイム濃度)の上昇が認められること、すなわち、摂取したコエンザイムQ10が還元型・酸化型のいずれであっても、血中ユビキノール濃度が増加することが示された。そして、血中コエンザイムQ10濃度の増加により、糖・脂質代謝機能や脳・認知機能に関与する血中マイオカインの産生促進、および筋出力増強の効果がもたらされることが示された。これらの結果は、コエンザイムQ10の脳腸相関を介した作用機序を裏付けるものであり、コエンザイムQ10が、マイオカイン産生の促進を介した全身的な糖・脂質代謝機能、脳・認知機能、および筋出力の改善効果を有することを示す。
[2]筋芽細胞の分化に対する本発明の組成物の効果
コエンザイムQ10を含有する本発明の組成物の筋芽細胞の分化に対する効果を、マウス骨格筋由来筋芽細胞株C2C12を用いて、定量的リアルタイムPCRおよび細胞免疫染色により評価した。
<定量的リアルタイムPCR>
マウス骨格筋由来筋芽細胞株C2C12細胞を10%FCS,Penicillin/Streptomycin含有DMEM(高グルコース)培地にて1×10cells/mLの濃度に調整した。細胞はIWAKI コラーゲンTypeIコート24well plate(CD:11−0183、型式:4820−010)に1mL/wellで播種し(1×10cells/well)、24時間培養した。
24時間培養後、90%コンフルの状態か確認し、90%コンフルの場合は培養上清を除き、CoQ10 25μg/mL、1μg/mL、0.8μg/mL、0.4μg/mL、0μg/mL(コントロール),2%Horse Serum,Penicillin/Streptomycin含有DMEM(低グルコース)培地を添加した(N=3)。継代培地から各サンプル含有分化誘導培地へ培地交換した日を分化誘導0日目とし、分化誘導2、4、6、9日目に細胞を回収、RNA精製およびcDNA合成を行い、定量的リアルタイムPCRサンプルとした。
RNA精製はRNeasy MiniKit(キアゲン,74104)、cDNA合成はPrimeScript(商標)RT reagent Kit(Perfect RealTime;TaKaRa,RR037A)を、定量的リアルタイムPCRはLightCycler(登録商標)2.0(DX400)Instrument(Roche,現在は販売中止)を使用した。
RNA(total RNA)抽出は、細胞培養液を吸引除去しPBS(−)で2回洗浄後、RNeasy MiniKit中のRLT bufferを加えて氷冷中でセルスクレーパーで細胞をはく離した。遠心分離(10,000g、3分間)して上澄みを2mlセーフロックチューブに移して、QIA−cubeでRNA精製を行った。RNA濃度測定はnano−drop(サーモフィッシャーサイエンティフィック)で行った。
cDNA合成はPrimeScript(商標)RT reagent Kit(Perfect RealTime;TaKaRa,RR037A)を用いた。total RNAが400μgになる各RNA抽出液の量を算出しておき、5xPrimeScript RT MasterMix4μLを加えてRNase free HOを加えて20μLになるよう全量調整した。サーマルサイクラーにセットして逆転写酵素反応を行った。
定量的リアルタイムPCRはLightCycler(登録商標)2.0(DX400)Instrumentを用いた。それぞれ測定したい遺伝子のプライマー(Forward、Reverse)を用意し、マスターミックス溶液、PCRグレードのHOとライマー(Forward、Reverse)の反応溶液を調整し、サンプルのcDNA溶液を2μlずつ加えて全量20μLにした。LCカローセル遠心して、遠心後にカロ―セルをLight Cyclerにセットして反応開始した。
定量的リアルタイムPCR時に使用したプライマー配列を下表に示す。なお各種遺伝子発現については、house keeping geneとしてGadphを用いて補正した。
Figure 2021151223
使用試薬
・DMEM培地
(1)細胞継代用
商品名:ダルベッコ変法イーグル培地(4.5g/lグルコース)
(L−グルタミン,ピルビン酸含有、HEPES非含有)(液体)
会社名:ナカライテスク
商品コード:08458−16
※本培地に以下記載のPenicillin/Streptomycinを1/100希釈、血清(FBS)を終濃度10%(培地500mLに対してFBS 50mL)となるように添加し使用した。
(2)細胞分化用
商品名:ダルベッコ変法イーグル培地(1.0g/lグルコース)
(L−グルタミン,ピルビン酸含有、HEPES非含有)(液体)
会社名:ナカライテスク
商品コード:08458−65
※本培地に以下記載のPenicillin/Streptomycinを1/100希釈、ウマ血清(HS)を終濃度2%(培地500mLに対してHS 10mL)となるように添加し使用した。
・Penicillin/Streptomycin
商品名:抗生物質−抗真菌剤混合溶液(100倍)(安定化)細胞培養用
会社名:ナカライテスク
商品コード:09366−44
・ウマ血清(horse serum)
商品名:Horse Serum Donor Herd,USA origin,Heat inactivated,sterile−filtered,suitable for cell culture
会社名:Sigma−Aldrich
商品コード:H1138−500ML
使用ロット:18L063
10mLずつ分注し−30℃にて冷凍保存。
・PBS
商品名:ダルベッコりん酸緩衝生理食塩水(Ca,Mg不含)(液体)
会社名:ナカライテスク
商品コード:14249−24
・プライマー
タカラバイオのHP、Perfect real timeサポートシステムより購入
・コエンザイムQ10
カネカより入手したサンプルを使用
結果:遺伝子発現量の変化
分化誘導2、4、6、9日目のMyod1発現量を図4に、Myf5発現量を図5に示す。myogenin活性化を引き起こすMyod1およびMyf5は、筋芽細胞の筋菅形成の分化マーカーである。
CoQ10を添加した群では、CoQ10を添加しなかったコントロールに比べて、Myod1およびMyf5遺伝子の発現量が、筋菅形成の初期段階(CoQ10添加4日後)で増加し、後期段階(CoQ10添加9日後)で低下した。
このことから、CoQ10が筋芽細胞の分化誘導を促進する効果を有することが示された。
<細胞免役染色>
マウス骨格筋由来筋芽細胞株C2C12細胞を10%FCS,Penicillin/Streptomycin含有DMEM(高グルコース)培地にて1×10cells/mLの濃度に調整した。細胞はIWAKI コラーゲンTypeIコート6well plate(CD:11−0181、型式:4810−010)に2mL/wellで播種し(2×10cells/well)、24時間培養した。
24時間培養後、90%コンフルの状態か確認し、90%コンフルの場合は培養上清を除き、CoQ10 25μg/mL、1μg/mL、0.8μg/mL、0.4μg/mL、0μg/mL(コントロール),2%Horse Serum,Penicillin/Streptomycin含有DMEM(低グルコース)培地を添加した。継代培地から各サンプル含有分化誘導培地へ培地交換した日を分化誘導0日目とし、分化誘導4、6、9、12日目に細胞を固定した。固定日に一次抗体としてMyosin 4 Antibody(14−6503−82)を1μg/mlの濃度で反応し、翌日に二次抗体(1:500、500倍希釈したMouse IgG(H+L)Highly Cross−Adsorbed Secondary Antibody(A−21424、Invitrogen Antibodies))で反応させて蛍光発色させた。併せてDAPI染色(1μg/mlに調整、DAPI:4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール二塩酸塩n水和物、富士フイルム和光純薬)を実施し、蛍光顕微鏡(ZEISS社)にて細胞を観察し写真を撮影した。
撮影した写真はZENのソフトウェアを用いて6分割後、それぞれの範囲におけるDAPI、GFPの蛍光強度よりGFP/DAPIの値を算出し細胞辺りの発現量を求めた(n=6)。
使用試薬
・DMEM培地
・Penicillin/Streptomycin
・ウマ血清(horse serum)
・PBS
・コエンザイムQ10
※以上の試薬は、定量的リアルタイムPCRで用いた試薬と同じ試薬を使用した。
・一次抗体
商品名:Myosin 4 Monoclonal Antibody (MF20)
会社名:eBioscience(商標)
商品コード:14−6503−82
・二次抗体
商品名:Alexa Fluor 555−conjugated Goat anti−Mouse IgG (H+L) Highly Cross−Adsorbed Secondary Antibody
会社名:Invitrogen Antibodies
商品コード:A−11029
・DAPI
商品名:4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール二塩酸塩n水和物、生化学用、5mg
会社名:富士フイルム和光純薬(株)
商品コード:043−18804
※粉末全量5mgを5mLのPCRスペックの滅菌水に溶解し、1mg/mLの溶液として遮光、4℃の冷蔵で保存。DAPI染色をする際は、1/1000の希釈でPBSに溶解し、使用した。
結果:ミオシン重鎖の発現
分化誘導12日目のミオシン重鎖抗体(MF20)での染色結果を図6に、その蛍光強度をグラフ化したものを図7に示す。ミオシン重鎖は筋芽細胞の分化後期から筋繊維成熟過程で発現増加するマーカーである。
細胞の継代によりコントロールおよびCoQ10添加群において細胞の分化が認められた。また、コントロールに比べてCoQ10添加群におけるミオシン重鎖の蛍光強度が高いことから、CoQ10が筋繊維形成を促進する効果を有することが示された。
以上の定量的リアルタイムPCRおよび細胞免疫染色の結果より、CoQ10が筋芽細胞の分化の初期〜中期および後期〜筋繊維成熟過程の双方において、分化促進効果を有することが示された。
本発明に係るコエンザイムQ10を含有する本発明のマイオカイン産生促進剤、筋出力増強剤は、BDNFおよびIrisin等のマイオカインの産生促進効果、筋出力増強効果、ならびに筋芽細胞の分化促進効果を有するため、美容、健康維持、健康増進、医薬等に関連するさまざまな分野、特には、脳・認知機能の改善、脂質代謝亢進、脂肪分化促進、運動機能の改善等に関連する分野に有用である。

Claims (18)

  1. コエンザイムQ10を有効成分として含有する、マイオカイン産生促進剤。
  2. マイオカインがBDNFおよび/またはIrisinである、請求項1に記載のマイオカイン産生促進剤。
  3. コエンザイムQ10を有効成分として含有する、筋出力増強剤。
  4. コエンザイムQ10を有効成分として含有する、筋芽細胞の分化促進剤。
  5. 筋出力、脳機能、糖もしくは脂質代謝機能、またはそれらの組み合わせを改善するための、コエンザイムQ10を有効成分として含有する組成物。
  6. 筋芽細胞の分化を促進するための、コエンザイムQ10を有効成分として含有する組成物。
  7. マイオカイン産生促進剤である、請求項5又は6に記載の組成物。
  8. HMBカルシウム、ラクチュロース、ローヤルゼリー、マカエキス、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、およびビタミンDからなる群より選択される少なくとも1種をさらに含有する、請求項5〜7のいずれか一項に記載の組成物。
  9. 経口投与用である、請求項5〜8のいずれか一項に記載の組成物。
  10. 錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤、咀嚼剤、液剤、またはシロップ剤である、請求項5〜9のいずれか一項に記載の組成物。
  11. 食品または医薬組成物である、請求項5〜10のいずれか一項に記載の組成物。
  12. コエンザイムQ10を有効成分として含有する組成物を摂取させることを含む、筋出力増強方法。
  13. 筋活動電位を増強するための、請求項12に記載の筋出力増強方法。
  14. コエンザイムQ10を有効成分として含有する組成物を摂取させることを含む、マイオカイン産生、筋出力、脳機能、糖もしくは脂質代謝機能、筋芽細胞の分化、またはそれらの組み合わせの改善のための非治療的方法。
  15. マイオカイン産生促進、筋出力増強、または筋芽細胞の分化促進のための、コエンザイムQ10の使用。
  16. マイオカイン産生促進剤、筋出力増強剤、または筋芽細胞の分化促進剤の製造のための、コエンザイムQ10の使用。
  17. マイオカイン産生の不足による状態または疾患を予防、改善、または治療するための、コエンザイムQ10を含有する治療剤。
  18. コエンザイムQ10が還元型または酸化型である、請求項1〜17に記載のマイオカイン産生促進剤、筋出力増強剤、筋芽細胞の分化促進剤、組成物、筋出力増強方法、非治療的方法、使用、または治療剤。
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