JP2021150123A - 複合体、電極材料、電極、及び蓄電素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い放電容量を有する蓄電素子が得られる複合体の提供。【解決手段】導電性ポリマーと多孔質炭素を含む複合体であって、下記式(1)で表される閉孔度が32.0以上である複合体である。閉孔度=複合体のかさ密度[g/cm3]/複合体の見かけ密度[g/cm3]・・・式(1)【選択図】なし

Description

本発明は、複合体、電極材料、電極、及び蓄電素子に関する。
近年、電気機器の小型化、高性能化、及び電気自動車の航続距離の向上に伴い、蓄電素子も高性能化が求められている。このような蓄電素子としては、リチウムイオン二次電池が多く使用されている。リチウムイオン二次電池は大きなエネルギーを蓄えることが得意だが、瞬間的にエネルギーを取り出すことが不得意であるため、リチウムイオンキャパシタなどの高出力特性に優れた蓄電デバイスが併用される場合がある。
リチウムイオン二次電池とリチウムイオンキャパシタを併用することで大きなエネルギーを蓄えつつ、高出力特性を有するシステムができ上がるが、2種類の蓄電デバイスを使用するため、その制御は複雑になる。そのため、高出力特性を有しつつ、より小型で大きなエネルギー密度を蓄えられる新しい蓄電デバイスが求められる。
そこで、高い静電容量を有し、サイクル特性に優れた蓄電デバイスを得るため、窒素原子を有する導電性高分子と多孔質炭素材料との複合体であって、前記導電性高分子が、前記多孔質炭素材料の表面に結合しており、Horvath−Kawazoe法及びBJH法で測定した0.5nm〜100.0nmの直径を有する全細孔の全細孔容積が、0.3cm/g〜3.0cm/gであり、BJH法で測定した2.0nm以上20.0nm未満の直径を有する細孔の細孔容積の比率が、前記全細孔容積に対して10%〜30%であり、Horvath−Kawazoe法及びBJH法で測定した0.5nm以上2.0nm未満の直径を有する細孔の細孔容積の比率が、前記全細孔容積に対して70%〜90%である複合体、及びそれを用いた電極材料が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
本発明は、高い放電容量を有する蓄電素子が得られる複合体を提供することを目的とする。
前記課題を達成するための手段としての本発明の複合体は、導電性ポリマーと多孔質炭素を含む複合体であって、下記式(1)で表される閉孔度が32.0以上である。
閉孔度=複合体のかさ密度[g/cm]/複合体の見かけ密度[g/cm]・・・式(1)
本発明によると、高い放電容量を有する蓄電素子が得られる複合体を提供することができる。
図1は、本発明の蓄電素子の一例を示す概略図である。
(複合体)
本発明の複合体は、導電性ポリマーと多孔質炭素を含む複合体であって、下記式(1)で表される閉孔度が32.0以上である。
閉孔度=複合体のかさ密度[g/cm]/複合体の見かけ密度[g/cm]・・・式(1)
従来技術では、活性炭をポリアニリン溶液へ浸漬し、乾燥することで複合体を作製している。その結果、活性炭の孔表面にポリアニリンが被覆されたような複合体となり、上記閉孔度が32.0以上を充たさず、高放電容量化を実現できないという課題がある。
電気二重層を形成することで充放電を行う蓄電素子の場合、高い放電容量を得るためには複合体内のミクロ孔の割合の多さが重要であることが知られているが、従来技術のような、多孔質炭素への浸漬・乾燥による複合材料の製造方法では、その過程で原料となる炭素材料が有するメソ孔をミクロ孔へとかえることは難しい。そのため、このようにして得られた複合材料を、電気二重層容量を用いる蓄電素子に用いたとしても、高放電容量が得にくいという課題がある。
本発明においては、ナノメックリアクター等を用い、せん断力の複合化処理を行うことによって、多孔質炭素のメソ孔を導電性ポリマーで潰し、メソ孔よりも孔径の小さいミクロ孔へとすることができる。即ち、多孔質炭素のメソ孔の表面に導電性ポリマーが付着し、その孔径が小さくなることにより、メソ孔がミクロ孔となる。
また、本発明では、せん断力を用いた複合化処理を行うことで、多孔質炭素の有するメソ孔の表面に付着して孔径を小さくすることと並行して、導電性ポリマーが多孔質炭素の有する孔の開口部を覆っている。即ち、メソ孔をミクロ孔へとすることと並行して、閉孔を形成させている。
したがって、本発明の複合体は、導電性ポリマーと多孔質炭素を含み、下記式(1)で表される閉孔度は32.0以上である。
閉孔度=複合体のかさ密度[g/cm]/複合体の見かけ密度[g/cm]・・・式(1)
本明細書及び特許請求の範囲において、上記式(1)で表される閉孔度を用いる。複合体が有する孔のうち閉孔は、多孔質炭素の有する孔の開口部、又は孔の一部が導電性ポリマーによって覆われる構造となる。そのため、閉孔が形成されると、例えばガス吸着によって測定される体積は、導電性ポリマーによって閉孔が形成されていない場合に比べて大きくなり、後述する複合体の見かけ密度が小さくなる。一方、このとき多孔質炭素が有する孔の開口部を覆わないような、多孔質炭素の表面に存在する導電性ポリマーは少なくなるため、複合材料のかさとしての体積は小さくなり、それに伴い、複合材料のかさ密度が大きくなる。即ち、複合体が有する孔のうち、閉孔が多ければ多いほど、複合体の見かけ密度は小さくなり、複合体のかさ密度は大きくなる。その結果、複合体のかさ密度を複合体の見かけ密度で割った値である閉孔度は大きくなる。逆に、複合体が有する孔のうち、閉孔が少なければ少ないほど、複合体のかさ密度は小さくなり、複合体の見かけ密度は大きくなることから閉孔度は小さくなる。
閉孔度が32.0以上であると、蓄電素子における放電容量に寄与するミクロ孔が多孔質炭素に十分に形成される点で好ましい。また、35.0以上であるとミクロ孔が多孔質炭素に更に十分に形成される点で好ましい。
閉孔度が75.0以下であると、蓄電素子における放電容量に寄与する孔が多孔質炭素に十分に形成される点で好ましい。また、55.0以下であると孔が多孔質炭素に更に十分に形成される点で好ましい。
閉孔度が32.0以上であると、高い放電容量を有する蓄電素子を得ることができる。
本明細書及び特許請求の範囲において、かさ密度とは、一定容積の容器に複合体を充填し、所定の圧力により前記複合体を圧縮した時の、その内容積を体積としたときの密度を表し、一般的な圧縮を伴わないかさ密度とは異なる。前記体積には、複合体自身の体積、複合体の閉孔の体積、複合体の凹凸部の空間の体積、複合体間の間隙の体積、複合体と容器との間の間隙の体積が含まれる。かさ密度を測定する方法としては、JISK1474などに記載の方法に準拠して行われる測定方法であることが好ましい。ただし、本実施形態における測定では、恒温環境での乾燥を行わず、試料の上面が一定の高さになるまでゴム板上で静かにたたく事に代えて、充填された複合体を加圧する工程を含む。
具体的には、前記複合体のかさ密度[g/cm]は、以下のようにしても測定することができるが、他の測定方法によって測定してもよい。
・使用装置:MCP−PD51型、ロレスターGP(いずれも、株式会社三菱ケミカルアナリテック製)
・測定方法:加圧部内に測定したい複合活物質を1.00±0.05g計量する。その後、複合活物質が噴出さないように20kNまで加圧し、加圧後の厚み及び面積から、それらを掛けることで加圧後の複合活物質の体積を導出し、複合活物質の計量値と加圧後の複合活物質の体積の割合から、下記数式1によって、かさ密度を算出する。
<数式1>
かさ密度=計量値÷加圧後の体積
また、本明細書及び特許請求の範囲において、見かけ密度とは、複合活物質自身が占める体積と内部空隙の体積を密度算定用の体積とする密度を表す。なお、本発明の複合活物質における内部空隙とは、複合活物質の有する閉孔を意味する。
見かけ密度を測定する方法としては、JISZ8837などに記載の方法に準拠して行われる測定方法であることが好ましい。ただし、本実施形態における測定では、試料の前処理としての乾燥を省略する。
例えば、前記複合体の見かけ密度[g/cm]は、以下のようにしても、測定することができる。
・使用装置:アキュピックII 1340シリーズ(株式会社島津製作所製)
・測定方法:3.5cmのサンプル容器に、容積の2/3以上測定したい複合活物質を導入し、その時の複合活物質の計量値を記録する。サンプル容器を装置内試料室にセットし、定容積膨張法を用いて試料(複合活物質)の体積を計測する。計量値と試料の体積の割合から見かけ密度を導出する。見かけ密度を5回以上測定し、その平均値を測定したいサンプルの見かけ密度とする。
<<多孔質炭素>>
前記多孔質炭素としては、孔を有する多孔質炭素であれば、特に制限はなく使用することが可能である。例えば、吸着性が強く、大部分が炭素質からなる炭で、フェノール樹脂、石油ピッチ、石油コークス、ヤシガラ、又は石炭系コークスなどの原料を、窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性ガス雰囲気下で焼成炭化し、得られた材料を水蒸気もしくはアルカリ活性化剤を用いて賦活処理する方法で得られる活性炭を使用できる。また、多孔質炭素の一種として、三次元網目構造を有する筋材と、炭素材料形成源としての有機物である出発原料を成形し、2,000℃以上で焼成することにより炭化させることによって得られるメソポーラスカーボンも使用することができる。メソポーラスカーボンは酸又はアルカリなどで筋材を溶解することで、前記筋材を溶解した痕が三次元網目構造を形成する複数のメソ孔となり、メソ孔からなる三次元網目構造を意図的に形成することができ、大きな比表面積を有することができる。
前記多孔質炭素は、特に制限はなく、適宜製造したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
本明細書においては、多孔質炭素が有する孔のうち、孔径が2nm未満である細孔をミクロ孔、孔径が2nm以上50nm以下である細孔をメソ孔と称する。
<<導電性ポリマー>>
前記導電性ポリマーとしては、酸化還元反応においてカチオン乃至アニオンを吸蔵乃至放出可能なポリマーが好ましい。
前記導電性ポリマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリチオフェン又はその誘導体、ポリアニリン又はその誘導体、ポリピロール又はその誘導体、ポリアセチレン又はその誘導体、ポリカルバゾール又はその誘導体、ポリビニルピリジン又はその誘導体、ポリ(n−ビニルカルバゾール)又はその誘導体、ポリフルオレン又はその誘導体、ポリフェニレン又はその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)又はその誘導体、ポリ(ピリジンビニレン)又はその誘導体、ポリキノキサリン又はその誘導体、ポリキノリン又はその誘導体、ポリオキサジアゾール誘導体、ポリバソフェナントロリン誘導体、ポリトリアゾール誘導体、又はこれらのポリマーを適宜、アミン基、ヒドロキシ基、ニトリル基、カルボニル基等の置換基で置換したものなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、高いエネルギー密度を有する点から、ポリチオフェン又はその誘導体、ポリアニリン又はその誘導体、ポリピロール又はその誘導体が好ましい。
前記ポリチオフェン誘導体としては、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリマーが好ましい。
前記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリチオフェン誘導体は、安定化された酸化還元化合物であり、充電反応及び放電反応の少なくともいずれかの過程で酸化還元反応を伴うポリマーである。
Figure 2021150123
前記一般式(1)において、Zは、S元素、O元素、又はSe元素を環員として含む5〜9員の複素環を形成する原子群を表す。S元素、O元素、又はSe元素は多数の酸化数を取り得るため、S元素、O元素、又はSe元素を環員として含むことにより、酸化及び還元反応に伴う電子の授受が多電子反応で進行することが期待できる。その結果、活物質あたりの容量の向上が可能となる。即ち、蓄電素子の活物質としてポリチオフェン誘導体が含まれる場合には、高いエネルギー密度を得ることができる。
Arは、芳香環、又は芳香族複素環を表す。
前記芳香環としては、例えば、ベンゼン、ビフェニル、ナフタレン、アントラセン、フルオレン、ピレン、又はこれらの誘導体などが挙げられる。
前記芳香族複素環としては、例えば、ピリジン、キノリン、チオフェン、フラン、オキサゾール、オキサジアゾール、カルバゾール、又はこれらの誘導体などが挙げられる。これらの中でも、チオフェン、チオフェン誘導体が好ましい。
芳香環又は芳香族複素環の置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、又はハロゲン原子などが挙げられる。
前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、又はブチル基などが挙げられる。
前記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、又はブトキシ基などが挙げられる。
前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子などが挙げられる。
nは、2以上の自然数であることが好ましく、10〜1000の自然数がより好ましい。
mは、0又は2以上の自然数であることが好ましく、0又は10〜1000の自然数がより好ましい。
前記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリチオフェン誘導体としては、下記一般式(2)で表される繰り返し単位を有するポリチオフェン誘導体であることが好ましい。
Figure 2021150123
ただし、前記一般式(2)中、Rは置換もしくは無置換のアルキレン基又は置換もしくは無置換の分岐アルキレン基を表す。pは1以上の自然数を表す。QはS元素、O元素、又はSe元素を表す。Arは置換基を有していてもよい芳香環又は芳香族複素環を表す。nは2以上の自然数を表し、mは0又は2以上の自然数を表す。
Rは置換もしくは無置換のアルキレン基、又は置換もしくは無置換の分岐アルキレン基を表す。前記アルキレン基に置換する基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、チオアルキル基、アリールチオ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、又はハロゲン原子などが挙げられる。
前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、又はブチル基などが挙げられる。
前記アルコキシ基としては、アルキル部分が前記アルキル基であるものが挙げられる。
前記アリール基としては、例えば、フェニル基、4−トルイル基、4−ヒドロキシフェニル基、1−ナフチル基、又は2−ナフチル基などが挙げられる。
前記アリールオキシ基としては、例えば、アリール部分が前記アリール基であるものが挙げられる。
前記チオアルキル基としては、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、又はブチルチオ基などが挙げられる。
前記アリールチオ基としては、例えば、フェニルチオ基などが挙げられる。
前記アルキルアミノ基としては、例えば、ジエチルアミノ基、ジメチルアミノ基、又はヒドロキシアミノ基などが挙げられる。
前記アリールアミノ基としては、例えば、ジフェニルアミノ基、又はフェニルナフチルアミノ基などが挙げられる。
前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、又は臭素原子などが挙げられる。
pは、繰り返し単位数を表す1以上の自然数であることが好ましく、1〜3の自然数であることがより好ましい。
前記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリチオフェン誘導体は、下記一般式(3)で表される繰り返し単位を有するポリチオフェン誘導体であることが好ましい。
Figure 2021150123
ただし、前記一般式(3)中、Rは置換もしくは無置換のアルキレン基又は置換もしくは無置換の分岐アルキレン基を表す。pは1以上の自然数を表す。Arは置換基を有していてもよい芳香環又は芳香族複素環を表す。nは2以上の自然数を表し、mは0又は2以上の自然数を表す。
前記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリチオフェン誘導体は、下記一般式(3)で表される繰り返し単位を有するポリチオフェン誘導体であることが好ましい。
前記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリチオフェン誘導体の具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。ただし、下記式中、nは2以上の自然数を表し、mは0又は2以上の自然数を表す。
Figure 2021150123
Figure 2021150123
Figure 2021150123
Figure 2021150123
Figure 2021150123
上記例示されているポリチオフェン誘導体の例示化合物中でも、放電容量の大きさ及び合成のし易さの点から、例示化合物(2)、(3)、(4)、(5)、(8)、(10)、(11)、(16)、(26)、(32)、(36)、(44)及び(62)が特に好ましい。
前記ポリチオフェン誘導体としては、下記一般式(61)で表される繰り返し単位を有するポリマーが好ましい。
Figure 2021150123
ただし、前記一般式(61)中、n1及びn2は、それぞれ2以上の自然数を表し、10〜1000の自然数がより好ましい。
前記導電性ポリマーとしては、繰り返し単位中に下記一般式(4)で表される構造を有するポリマーであることが好ましい。
Figure 2021150123
ただし、前記一般式(4)中、Ar、Ar、及びArは、それぞれ置換基を有していてもよい芳香環又は芳香族複素環を表す。
前記芳香環としては、例えば、ベンゼン、ビフェニル、ナフタレン、アントラセン、フルオレン、ピレン、又はこれらの誘導体などが挙げられる。
前記芳香族複素環としては、例えば、ピリジン、キノリン、チオフェン、フラン、オキサゾール、オキサジアゾール、カルバゾール、又はこれらの誘導体などが挙げられる。これらの中でも、チオフェン、チオフェン誘導体が好ましい。
芳香環又は芳香族複素環の置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、又はハロゲン原子などが挙げられる。
前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、又はブチル基などが挙げられる。
前記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、又はブトキシ基などが挙げられる。
前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子などが挙げられる。
繰り返し単位中に上記一般式(4)で表される構造を有する導電性ポリマーとしては、以下の例示化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。ただし、下記式中、nは2以上の自然数を表す。
Figure 2021150123
Figure 2021150123
Figure 2021150123
Figure 2021150123
Figure 2021150123
Figure 2021150123
Figure 2021150123
Figure 2021150123
Figure 2021150123
Figure 2021150123
Figure 2021150123
Figure 2021150123
前記導電性ポリマーとしては、下記一般式(5)で表される繰り返し単位を有するポリマーが好ましい。
Figure 2021150123
ただし、前記一般式(5)中、R、R、及びRは、それぞれ水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、又は置換もしくは無置換の分岐アルキル基を表す。Ar、Ar、及びArは、置換基を有していてもよい芳香環、又は芳香族複素環を表す。nは2以上の自然数を表す。
、R、及びRにおけるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などが挙げられる。
、R、及びRにおける分岐アルキル基としては、例えば、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などが挙げられる。
Ar、Ar、及びArにおける芳香環としては、例えば、ベンゼン、ビフェニル、ナフタレン、アントラセン、フルオレン、ピレン、又はこれらの誘導体などが挙げられる。
Ar、Ar、及びArにおける芳香族複素環としては、例えば、ピリジン、キノリン、チオフェン、フラン、オキサゾール、オキサジアゾール、カルバゾール、又はこれらの誘導体などが挙げられる。これらの中でも、チオフェン、チオフェン誘導体が好ましい。
アルキル基、分岐アルキル基、芳香環又は芳香族複素環の置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、又はハロゲン原子などが挙げられる。
前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、又はブチル基などが挙げられる。
前記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、又はブトキシ基などが挙げられる。
前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子などが挙げられる。
nは2以上の自然数であることが好ましく、10〜1,000の自然数がより好ましい。
上記一般式(5)で表される導電性ポリマーとしては、以下の例示化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。ただし、下記式中、nは2以上の自然数を表す。
Figure 2021150123
前記導電性ポリマーとしては、下記一般式(63)で表される繰り返し単位を有するポリマーが好ましい。
Figure 2021150123
ただし、前記一般式(63)中、nは、2以上の自然数であることが好ましく、10〜1,000の自然数がより好ましい。
前記導電性ポリマーとしては、下記一般式(64)で表される繰り返し単位を有するポリマーが好ましい。
Figure 2021150123
ただし、前記一般式(64)中、nは2以上の自然数であることが好ましく、10〜1,000の自然数がより好ましい。
前記導電性ポリマーは、リチウム金属極基準(vs.Li/Li)で3V以上5V以下に酸化電位を有するものが好ましく、3V以上4.5V以下に酸化電位を有するものがより好ましい。
また、リチウム金属極基準(vs.Li/Li)で5V以上の電位では、電解質担持層が非水電解液である場合に用いられる非水溶媒が酸化分解してしまうため、導電性ポリマーの酸化電位(vs.Li/Li)が5V以上にある場合は、その電位での容量を活用することはできない。そのため、導電性ポリマーのリチウム金属極基準(vs.Li/Li)での酸化電位は3V以上5V以下であることが好ましい。なお、上記酸化電位は、例えば、サイクリックボルタンメトリ(CV)の手法によって測定することができる。
前記導電性ポリマーは、多孔質炭素と複合化された状態、即ち複合体として使用することができる。複合体とすることで、導電性ポリマーの酸化還元に伴う電子の受け渡しがより円滑に行われるため、活物質中に含まれる多くの導電性ポリマーの容量が発現し、エネルギー密度が高められる。
多孔質炭素としては、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、人造黒鉛、天然黒鉛、グラフェン、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ、活性炭、メソポーラスカーボンなどが挙げられる。これらの中でも、活性炭、ケッチェンブラック、メソポーラスカーボンは、イオンが吸着することで得られる容量である吸着容量をそれ自身が示し、出力特性を大きくできる点から好ましい。
前記多孔質炭素と前記導電性ポリマーを複合化する場合の質量比(多孔質炭素/導電性ポリマー)は、20/80以上95/5以下が好ましく、30/70以上80/20以下がより好ましい。多孔質炭素と導電性ポリマーの質量比が20/80以上95/5以下であると、容量と出力特性のバランスを取ることができ、30/70以上80/20以下であると更に容量と出力特性のバランスをとることができる。
<複合体の製造方法>
前記複合体は、前記多孔質炭素と前記導電性ポリマーとを、粒子複合化装置を用いて、所定条件でせん断力をかけることにより製造することができる。
前記粒子複合化装置としては、例えば、ホソカワミクロン株式会社製のノビルタ(登録商標)やメカノフュージョン(登録商標)、浅田鉄工株式会社製のペイントシェーカー装置、ミラクルK.C.K(混練分散機)、アシザワ・ファインテック株式会社製のドライスター(登録商標)、シグマドライ(登録商標)、奈良機械製作所製のMIRALO(登録商標)、日本コークス株式会社製のCOMPOSI(登録商標)、テクノ・アイ株式会社製のナノメックリアクター(登録商標)などが挙げられる。
<電極材料、活物質>
電極材料及び活物質は、本発明の複合体からなり、必要に応じてその他の材料を有する。
以下、本発明において電極材料とは、活物質、導電助剤、バインダ、増粘剤、集電体等の電極を構成する材料を意味する。また、本発明において活物質とは、蓄電素子における容量の発現に直接関与する物質を指し、即ち、蓄電素子内においてイオンを吸蔵乃至放出する機能を有している物質を意味する。そのため、活物質であるか否かを判断するうえで、電極中に設けられる所定の層内における本発明の電極材料の割合は問わない。
前記活物質は、導電性ポリマーであり、導電性を有するため、導電助剤を、高分子ラジカル材料を活物質として使用する場合に比べて少なくすることができる。すると、電極を構成する材料における活物質の割合が多くなるので、電極当たりの容量を大きくすることができる。更に、活物質として導電性ポリマー以外に吸着容量を示す活性炭を併用することができる。活性炭は電気化学キャパシタの活物質として用いられており、高い出力密度を得ることができる。導電性ポリマーと活性炭は事前に複合化されていることが好ましい。複合化を事前に行うことで良好な電子伝導経路が形成され、蓄電デバイスの性能をより引き出すことができる。
本発明で用いられる活物質は、正極活物質及び負極活物質のいずれにも用いることができるが、高いエネルギー密度と高い出力特性を両立した特性を有する蓄電素子が得られる点から、正極活物質であることが好ましい。
以下に説明するように、本発明の電極材料は、蓄電素子の電極に好適に用いることができる。
<電極>
本発明の電極は、本発明の電極材料を含み、更に必要に応じてその他の部材を有する。
前記電極としては、正極及び負極のいずれであってもよいが、高いエネルギー密度と高い出力特性を両立した特性を有する蓄電素子が得られる点から、正極が好ましい。
<正極>
正極は、正極集電体と、正極材と、を備えた平板状の電極部である。
正極材は、正極活物質、バインダ、導電助剤、増粘剤、及び導電助剤を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
−正極活物質−
正極活物質としては、アニオンを挿入乃至放出可能であり、本発明の活物質を用いることが好ましいが、本発明の活物質以外の正極活物質と併用してもよい。例えば、リチウム金属酸化物を併用してもよい。前記リチウム金属酸化物としては、例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、マンガン酸リチウム(LiMn)、オリビン型リン酸鉄リチウム(LiFePO)、LiNiCoMnの組成式で表すことができるマンガン−コバルト−ニッケル三元系酸化物リチウム(例えば、LiNi1/3Co1/3Mn1/3)などが挙げられる。
−バインダ及び増粘剤−
バインダは、正極活物質同士、又は正極活物質と正極集電体、又は正極活物質とその他の電極を構成する部材とを結着させ、電極構造を維持するためのバインダである。
バインダの材料としては、例えば、フッ素系バインダ、アクリレート系ラテックス、及びカルボキシメチルセルロース(CMC)のいずれかを用いることが好ましい。
前記フッ素系バインダとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などが挙げられる。
バインダの材料としては、上記以外にも、例えば、エチレン−プロピレン−ブタジエンゴム(EPBR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム、アクリレート系ラテックス、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、アルギン酸、酸化スターチ、リン酸スターチ、カゼインなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、バインダは、電極製造時に用いる溶媒、電解液、及び印加される電位に対して安定な材料であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択される。
−導電助剤−
本発明において導電助剤とは、電極中に分散して電極の抵抗を低減するために使用される導電性材料を指し、電極材料間の導電性を補助する役割を担い、導電ネットワークの形成機能を有する。
前記導電助剤は、金属材料、又は正極活物質に合わせて炭素質材料を用いることが好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記導電助剤に用いられる金属材料としては、例えば、銅、アルミニウムなどが挙げられる。
前記導電助剤に用いられる炭素質材料としては、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、人造黒鉛、天然黒鉛、グラフェン、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブなどが挙げられる。これらの中でも、アセチレンブラック、ケッチェンブラックが好ましい。
これら導電助剤は活物質と複合化して使用することもできる。そうすることで導電性を向上させることができる。
また、導電助剤として、本発明の活物質を使用することもできる。そうすることで導電性を持ち、かつ容量を発現できる導電助剤とすることができるため、高いエネルギー密度と高い出力特性を両立した特性を有する蓄電素子を得ることができる。
−正極集電体−
正極集電体は、蓄電素子に使用可能な大きさであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記正極集電体の材質としては、導電性材料で形成されたもので、印加される電位に対して安定であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ニッケル、アルミニウム、チタン、タンタルなどが挙げられる。これらの中でも、ステンレススチール、アルミニウムが好ましい。
前記正極集電体の種類(形状や加工の有無)としては、後述する正極の製造方法の工程において、使用可能な耐久性があれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、プレーン箔、孔空箔、エッジド箔、貫通箔、突起箔、エキスパンドメタルなどが挙げられる。これらの中でも、プレーン箔、孔空箔、エッジド箔、貫通箔、突起箔が好ましい。
前記正極集電体上に、前記導電助剤に用いられる炭素質材料があらかじめ塗布されているコーティング箔を正極集電体として使用してもよい。この際にコーティング層として使用される炭素質材料は導電助剤で既に説明した導電助剤として使用される炭素質材料と同様の炭素質材料を用いることができる。これらの中でも、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、人造黒鉛、天然黒鉛が好ましい。
<正極の製造方法>
正極の製造方法としては、正極活物質に、必要に応じて、バインダ、増粘剤、導電助剤、溶媒を加えてスラリー状とした正極材を、正極集電体上に塗布し、乾燥させる方法などが挙げられる。
前記溶媒としては、例えば、水、アルコール等水系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、トルエン等の有機系溶媒などが挙げられる。
なお、正極活物質をロール成形してシート電極としたり、圧縮成形によりペレット電極としてもよい。
<負極>
負極は、負極集電体と、負極材とを備えた平板状の電極部である。
負極材は、負極活物質、バインダ、導電助剤、増粘剤、及び導電助剤を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
−負極活物質−
負極活物質としては、本発明の電極材料を用いることができるが、本発明の電極材料(活物質)以外の負極活物質を用いる場合には、安全性とコストの点から、炭素質材料が好ましい。
炭素質材料としては、例えば、黒鉛(グラファイト)、様々な熱分解条件での有機物の熱分解物、活性炭、リチウム金属酸化物などが挙げられる。
前記黒鉛(グラファイト)としては、例えば、コークス、人造黒鉛、天然黒鉛、易黒鉛化性炭素、難黒鉛化性炭素などが挙げられる。
ただし、負極活物質は、非水溶媒系でカチオンを吸蔵及び放出可能であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
負極活物質に用いられる材料としては、例えば、カチオンとしてのリチウムイオンを吸蔵、放出可能な炭素質材料、金属酸化物、リチウムと合金化可能な金属又は金属合金、リチウムと合金化可能な金属とリチウムとを含む合金とリチウムとの複合合金化合物、チッ化金属リチウムなどが挙げられる。
金属酸化物としては、例えば、酸化アンチモン錫、一酸化珪素などが挙げられる。
リチウムと合金化可能な金属又は金属合金としては、例えば、リチウム、アルミニウム、錫、珪素、亜鉛などが挙げられる。
リチウムと合金化可能な金属とリチウムとを含む合金とリチウムとの複合合金化合物としては、例えば、チタン酸リチウムなどが挙げられる。
チッ化金属リチウムとしては、例えば、チッ化コバルトリチウムなどが挙げられる。
これらの負極活物質に用いられる材料は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、人造黒鉛、天然黒鉛、チタン酸リチウムが好ましい。
なお、カチオンとしては、リチウムイオンが汎用されている。
−導電助剤−
負極に用いられる導電助剤としては、正極で既に説明した導電助剤と同様の導電助剤を用いることができる。
−バインダ及び増粘剤−
負極に用いられるバインダ及び増粘剤としては、正極で既に説明したバインダと同様のバインダ及び増粘剤を用いることができる。
前記バインダ及び増粘剤としては、例えば、フッ素系バインダ、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)が好ましい。
−負極集電体−
負極集電体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記負極集電体の材質としては、導電性材料で形成されたものであり、印加される電位に対して安定であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ステンレススチール、ニッケル、アルミニウム、銅などが挙げられる。これらの中でも、ステンレススチール、銅、アルミニウムが特に好ましい。
前記負極集電体の形状は、平板状の他、目的に応じて適宜選択してよい。
前記負極集電体の大きさは、蓄電素子に使用可能な大きさであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
<負極の製造方法>
負極の製造方法としては、負極活物質に、必要に応じてバインダ、増粘剤、導電助剤、溶媒などを加えてスラリー状とした負極材を、負極集電体上に塗布して乾燥する方法が用いられる。
なお、スラリー状とした負極材をそのままロール成形してシート電極とする方法、圧縮成形によりペレット電極とする方法、蒸着、スパッタ、メッキ等により負極集電体上に負極活物質の薄膜を形成する方法などを用いてもよい。
負極の製造方法に用いる溶媒としては、正極の製造方法と同様の溶媒を用いることができる。
<蓄電素子>
本発明の蓄電素子は、正極と、負極と、電解質担持層とを有し、前記電解質担持層が電解液である場合には、前記正極と負極との間に配置されるセパレータを有することが好ましい。
前記正極及び前記負極の少なくともいずれかが、本発明の前記電極である。
<電解質担持層>
前記電解質担持層は、電解液で構成されていてもよいし、固体電解質で構成されていてもよい。電解質担持層が電解液である場合には、非水溶媒に電解質塩を溶解してなる非水電解液であることが好ましい。
−非水溶媒−
前記非水溶媒としては、非プロトン性有機溶媒が好ましい。
前記非プロトン性有機溶媒としては、例えば、カーボネート系有機溶媒が挙げられ、低粘度な溶媒が好ましい。
前記カーボネート系有機溶媒としては、例えば、鎖状カーボネート、環状カーボネートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、鎖状カーボネートが、電解質塩の溶解力が高い点で好ましい。
前記鎖状カーボネートとしては、例えば、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルエチルカーボネート(EMC)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ジメチルカーボネート(DMC)、メチルエチルカーボネート(EMC)が好ましい。
ジメチルカーボネート(DMC)とメチルエチルカーボネート(EMC)とを組み合わせた混合溶媒を用いる場合には、ジメチルカーボネート(DMC)とメチルエチルカーボネート(EMC)の混合割合は特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
環状カーボネートとしては、例えば、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)が好ましい。
環状カーボネートとしてエチレンカーボネート(EC)と、鎖状カーボネートとしてジメチルカーボネート(DMC)とを組み合わせた混合溶媒を用いる場合には、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)の混合割合は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
エステル系有機溶媒としては、例えば、環状エステル、鎖状エステルなどが挙げられる。環状エステルとしては、例えば、γ−ブチロラクトン(γBL)、2−メチル−γ−ブチロラクトン、アセチル−γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトンなどが挙げられる。
鎖状エステルとしては、例えば、プロピオン酸アルキルエステル、マロン酸ジアルキルエステル、酢酸アルキルエステル、ギ酸アルキルエステルなどが挙げられる。
前記酢酸アルキルエステルとしては、例えば、酢酸メチル(MA)、酢酸エチルなどが挙げられる。
前記ギ酸アルキルエステルとしては、例えば、ギ酸メチル(MF)、ギ酸エチルなどが挙げられる。
エーテル系有機溶媒としては、例えば、環状エーテル、鎖状エーテルなどが挙げられる。
前記環状エーテルとしては、例えば、テトラヒドロフラン、アルキルテトラヒドロフラン、アルコキシテトラヒドロフラン、ジアルコキシテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、アルキル−1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキソランなどが挙げられる。
前記鎖状エーテルとしては、例えば、1,2−ジメトシキエタン(DME)、エチレングリコールジアルキルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、トリエチレングリコールジアルキルエーテル、テトラエチレングリコールジアルキルエーテルなどが挙げられる。
−電解質塩−
非水電解液に用いる電解質塩としては、リチウム塩が好ましい。
前記リチウム塩としては、非水溶媒に溶解し、高いイオン伝導度を示すものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)、過塩素酸リチウム(LiClO)、塩化リチウム(LiCl)、ホウ弗化リチウム(LiBF)、六弗化砒素リチウム(LiAsF)、トリフルオロメタスルホン酸リチウム(LiCFSO)、リチウムビストリフルオロメタンスルホニルイミド(LiN(SOCF3)、リチウムビスパーフルオロエチルスルホニルイミド(LiN(SO2)、リチウムビスフルオロスルホニルイミド(LiN(SOF))などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、電極中へのアニオンの吸蔵量の大きさの観点から、LiPF、LiBF、LiN(SOF)が好ましい。
電解質塩の濃度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、放電容量と出力の両立の点から、非水溶媒中で、1.0mol/L以上6mol/L以下が好ましく、1.5mol/L以上4mol/L以下がより好ましい。
−固体電解質−
固体電解質として利用可能な固体電解質粒子として、例えば硫化物系非晶質固体 電解質粒子や酸化物系非晶質固体電解質粒子、結晶質酸化物等が挙げられる。
<セパレータ>
前記セパレータは、正極と負極との短絡を防ぐために正極と負極との間に設けられる。
前記セパレータの材質、形状、大きさ、及び構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記セパレータの材質としては、例えば、クラフト紙、ビニロン混抄紙、合成パルプ混抄紙等の紙、セロハン、ポリエチレングラフト膜、ポリプロピレンメルトブロー不織布等のポリオレフィン不織布、ポリアミド不織布、ガラス繊維不織布、マイクロポア膜などが挙げられる。これらの中でも、電解液保持の観点から、気孔率50%以上のものが好ましい。
前記セパレータの形状としては、微多孔(マイクロポア)を有する薄膜タイプよりも、気孔率が高い不織布系の方が好ましい。
前記セパレータの平均厚みは、短絡防止と電解液保持の観点から、20μm以上が好ましい。
前記セパレータの大きさは、非水電解液蓄電素子に使用可能な大きさであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記セパレータとしては、単層構造であってもよく、複数のセパレータを重ね合わせた積層構造であってもよい。
<蓄電素子の製造方法>
蓄電素子の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、蓄電素子が非水電解液蓄電素子である場合には、正極、負極、及びセパレータ、更に必要に応じて他の構成部材を、適切な形状に組み立て、容器に収め、電解液を充填する方法などが挙げられる。
本発明の蓄電素子の形状については、特に制限はなく、図1に示すような形状の他にも、一般的に採用されている各種形状の中から、その用途に応じて適宜選択することができる。
前記形状としては、例えば、シート電極及びセパレータをスパイラル状にしたシリンダータイプ、ペレット電極及びセパレータを組み合わせたインサイドアウト構造のシリンダータイプ、ペレット電極及びセパレータを積層したコインタイプなどが挙げられる。
本発明の蓄電素子は、非水電解液蓄電素子である場合には、図1に示すように、正極1と、正極1に対向して設けられた負極2と、正極1と負極2との間に配置されたセパレータ3と、非水電解液と、を有している。
蓄電素子10は、正極1と、負極2と、セパレータ3と、非水電解液とを囲繞して保持する外装缶としての容器5と、容器5を貫いて正極1と接続された正極線6と、同様に容器5を貫いて負極2と接続された負極線7と、を有している。非水電解液は容器5内全体に広がっている。なお、図1では、蓄電素子10が二次電池である場合について説明するが、例えば、キャパシタ等であってもよい。
また、本発明の蓄電素子は、固体蓄電素子である場合には、図示しないが、正極1と、正極1に対向して設けられた負極2と、正極1と負極2との間に配置された固体電解質と、を有している。
蓄電素子10は、正極1と、負極2と、固体電解液とを囲繞して保持する外装缶としての容器5と、容器5を貫いて正極1と接続された正極線6と、同様に容器5を貫いて負極2と接続された負極線7と、を有している。
<用途>
本発明の蓄電素子は、例えば、非水電解液二次電池、非水電解液キャパシタ、固体電池、固体キャパシタなどとして好適に用いることができる。
前記蓄電素子の用途には、特に制限はなく、各種用途に用いることができ、例えば、ノートパソコン、ペン入力パソコン、モバイルパソコン、電子ブックプレーヤー、携帯電話、携帯ファックス、携帯コピー、携帯プリンター、ヘッドフォンステレオ、ビデオムービー、液晶テレビ、ハンディークリーナー、ポータブルCD、ミニディスク、トランシーバー、電子手帳、電卓、メモリーカード、携帯テープレコーダー、ラジオ、モーター、照明器具、玩具、ゲーム機器、時計、ストロボ、カメラ等の電源、バックアップ電源などが挙げられる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
<活物質の調製>
導電性ポリマーとしてポリアニリン(Aldrich社製、ポリアニリンエメラルジン塩基)を準備し、炭素質材料として活性炭A(MSA−20、関西熱化学株式会社製)を準備した。
次に、活性炭Aとポリアニリンを質量比が70/30の割合で混合し、ジルコニアビーズを入れたナノメックリアクター(登録商標)(株式会社テクノ・アイ製)を使用し、以下の条件にて複合化処理を行った。
<ナノメックリアクター処理条件>
・高回転数条件:1100rpmで45秒
・低回転数条件:350rpmで15秒
・処理方法:高回転数と低回転数とを繰返し、1時間連続処理を行った。
ナノメックリアクター処理後、複合体を回収し、粒子状の複合体を得た。この複合体を正極活物質Aとした。
<複合体のかさ密度の測定>
複合体のかさ密度[g/cm]は、以下のようにして測定した。
・使用装置:MCP−PD51型、ロレスターGP(いずれも、株式会社三菱ケミカルアナリテック製)
・測定方法:加圧部内に測定したい複合活物質を1.00±0.05g計量した。その後、複合活物質が噴出さないように20kNまで加圧し、加圧後の厚み及び面積から体積を導出し、複合活物質の計量値と加圧後の複合活物質の体積の割合から、下記数式1から、かさ密度を算出した。
<数式1>
かさ密度=計量値÷加圧後の体積
<複合体の見かけ密度の測定>
複合体の見かけ密度[g/cm]は、以下のようにして、測定した。
・使用装置:アキュピックII 1340シリーズ(株式会社島津製作所製)
・測定方法:3.5cmのサンプル容器に、容積の2/3以上測定したい複合体を導入し、その時の複合活物質の計量値を記録した。サンプル容器を装置内試料室にセットし、定容積膨張法を用いて試料(複合体)の体積を計測した。計量値と試料の体積の割合から見かけ密度を導出した。見かけ密度を5回以上測定し、その平均値を測定したいサンプルの見かけ密度とした。
以上の複合体のかさ密度と複合体の見かけ密度から、下記式(1)により、閉孔度を求めた。
閉孔度=複合体のかさ密度[g/cm]/複合体の見かけ密度[g/cm]・・・式(1)
<複合体のBET比表面積>
複合体に細孔が形成されている状態を判別する方法としては、表面に吸着占有面積のわかっているガス分子を吸着させ、当該分子の吸着量から試料の比表面積を求めるBET(Brunauer Emmett Teller)法、ガス分子の凝縮から細孔分布を測定するBJH(Barrett Joyner Hallenda)法と呼ばれる方法などが知られている。
本実施形態に係る複合体のBET比表面積は、200m/g以上1,700m/g以下が好ましく、300m/g以上1,300m/g以下がより好ましく、400m/g以上800m/g以下が更に好ましい。
BET比表面積が200m/g以上1,700m/g以下であると、細孔の形成量が十分となり、イオンの吸蔵及び放出が十分に行われて放電容量を大きくすることができる。
また、複合体のBET比表面積が既に述べたような範囲内であると、細孔を十分な量形成しつつも、細孔を形成している炭素質壁が薄くなりすぎない。そのため、本実施形態に係る複合体を正極活物質として用いた場合において、アニオンの吸蔵及び放出を繰り返しても、炭素質壁の形状を保つことができる。
即ち、複合体の膨張乃至崩壊を抑制することができ、蓄電素子の長期サイクル性が向上する。
BET比表面積が300m/g以上1,300m/g以下であると上記効果がより得られ、400m/g以上800m/g以下であると上記効果が更に得られる。
BET比表面積は、自動比表面積/細孔分布測定装置(Tri StarII3020、株式会社島津製作所製)による吸着等温線の測定結果から、BET(Brunauer Emmett Teller)法を用いて求めた。
<全細孔容積>
本実施形態に係る複合体の全細孔容積としては、0.20mL/g以上1.00mL/g以下が好ましく、0.25mL/g以上0.70mL/g以下がより好ましい。
全細孔容積が0.20mL/g以上であると、ミクロ孔が十分形成されていて大きな放電容量を得ることができる。0.25以上であれば更に大きな放電容量を得ることができる。
一方、全細孔容積が1.00mL/g以下であると、炭素構造が嵩高くならずに電極としてエネルギー密度が高められ、単位体積当たりの放電容量を増大させることができる。0.70以下であれば更に単位体積当たりの放電容量を増大させることができる。
また、全細孔容積が0.20ml/g以上であると、細孔を形成している炭素質壁が薄くならずに、本実施形態に係る複合体を正極活物質として利用した場合に、充放電を繰り返しても炭素質壁の形状を保つことができ、充放電特性が向上する。0.25ml/g以上であると更に充放電特性が向上する。
複合体の全細孔容積は、自動比表面積/細孔分布測定装置(TriStarII3020、株式会社島津製作所製)を用いて吸着等温線を取得し、相対圧が1付近の吸着量を用いて解析した結果から求めた。
本実施形態に係る複合体のミクロ孔容積としては、0.01mL/g以上1.0mL/g以下である事が好ましく、0.1mL/g以上0.6mL/g以下である事がより好ましい。
ミクロ孔容積が0.01mL/g以上1.0mL/g以下であると、細孔の形成量が十分となり、イオンの吸蔵及び放出が十分に行われて放電容量を大きくすることができる。また、0.1mL/g以上0.6mL/g以下であると更に放電容量を大きくすることができる。
複合体のミクロ孔容積は、自動比表面積/細孔分布測定装置(TriStarII3020、株式会社島津製作所製)を用いて吸着等温線を取得し、t−plot法を用いた解析結果から求めた。
本実施形態に係る多孔質炭素は結晶性を有することが好ましい。
多孔質炭素の結晶性としては、炭素質のすべてが結晶性を有する結晶構造となっている必要はなく、一部に結晶性を有さない非晶質構造が存在してもよく、また、すべてが非晶質構造であってもよい。
「結晶性を有する」ということは、炭素間がsp2混成軌道により結合された六角板状の単一結晶が層状に形成された状態(黒鉛層)であることを意味する。
多孔質炭素が結晶性を有していることを確認する方法としては、例えば、TEMを用いて黒鉛の層状構造を観察する方法や、X線回折によりスペクトルのピークとして確認する方法、ラマン分光分析を用いて確認する方法などが挙げられる。
層状構造の結晶部は、例えばTEM(JEM−2100、日本電子株式会社製)を用いて確認することができる。
また、X線回折によりスペクトルのピークとして確認する方法としては、例えばX線回折装置(X’pert PRO、Malvern Panalytical社製)を用いて確認されることができる。X線回折スペクトルにおいて、銅管球を用いたときにブラッグ角度2θが25.00以上27.00以下の領域において、1つ乃至2つの回折ピークを有していると多孔質炭素が結晶性を有していると見なすことができる。
ここで、X線回折スペクトルについて説明する。
原子が規則正しく配列している物質に、原子の間隔と同程度の波長を持つX線を入射すると、各原子に所属する電子によりX線が散乱される。散乱したX線は干渉し合い、特定の方向に強め合うことで、X線の回折現象が生じる。入射するX線の波長を変化させながら回折スペクトルを測定することで、物質の結晶構造の格子間距離を測定することができる。このとき、測定対象が非晶質(アモルファス)であれば、格子間距離に規則性がなく、回折スペクトルは測定波長全般において緩やかな山状か、平坦になってしまうに過ぎない。しかしながら、結晶化した部分については、格子間距離が規則性を示すので、格子間距離に対応する特定の波長において回折スペクトルにピーク(極大値)が現われる。回折ピークとは、この特定の極大値を示すピークを意味する。即ち、前記ブラッグ角度2θの領域において回折ピークを有していることは、多孔質炭素の炭素粒子内において、少なくとも一部が結晶構造化していることを示している。言い換えると炭素粒子内の一部が黒鉛化していることを示している。
多孔質炭素の結晶性をラマン分光分析によって確認する場合、黒鉛化度(正極活物質中の非晶性炭素の割合)でも示すことができる。具体的には、ラマン分光スペクトルにおける1,360cm−1のピーク強度と1,580cm−1のピーク強度との比(1,360cm−1/1,580cm−1)(以下、「黒鉛化度Rh」と称することもある)の値で表すことができる。
本実施形態に係る多孔質炭素の黒鉛化度Rhは、0.9以上1.6以下であることが好ましく、1.0以上1.3以下であることがより好ましい。
黒鉛化度Rhは、例えば顕微レーザーラマン分光装置(Nanofinder30、株式会社東京インスツルメンツ製)を用いて確認することができる。
多孔質炭素の結晶層間へイオンが吸蔵・放出された場合、多孔質炭素内の結晶層の一部に、イオン吸蔵に伴った層間の拡張が生じる為、イオン吸蔵の有無に由来した結晶状態のばらつきが生じる事が確認できる。
結晶状態のばらつきは、例えばラマン分光法による1,580cm−1のピーク半値幅の増加や、in−situX線回折によるブラッグ角度2θの回折ピーク半値幅の増加で確認することができる。
本実施形態に係る複合体のメジアン径は、0.1μm以上30μm以下が好ましく、0.3μm以上20μm以下がより好ましく、0.5μm以上10μm以下が更に好ましい
メジアン径は、レーザー回折/散乱式粒子径分布装置(LA−960、株式会社堀場製作所製)を用いて測定した。
<正極の作製>
−正極スラリーの調製−
正極活物質として正極活物質A、バインダとしてアクリレート系ラテックス(TRD202A、JSR株式会社製)、増粘剤としてカルボキシメチルセルロース(ダイセル2200、株式会社ダイセル製)、導電助剤(デンカブラック粉状、電気化学工業株式会社製)を、正極活物質Aを100とした場合の固形分の質量比で100:3.5:3.5:7となるようにプラネタリミキサー(ハイビスミックス3D−2型、プライミクス株式会社製)を用いて混合し、水を加えて適切な粘度に調製し、正極スラリーである正極材を得た。なお、この組成で調整した場合、電極塗工部中の活物質の質量比は87.7%となる。
−正極の作製−
次に、得られた正極スラリーを、正極集電体としての平均厚み20μmのプレーンアルミニウム箔にドクターブレードを用いて片面に塗布した。正極スラリーの塗工厚みを170μmとして塗工を行い、その後、電極箔を105℃で30分間の条件で乾燥させた後、直径16mmに打ち抜いて正極とした。
<セパレータ>
セパレータとしては、セルロース製不織布セパレータ(平均厚み40μm)を直径16mmに打ち抜いたものを2枚用意した。
<負極>
負極としては、直径16mmに打ち抜いたリチウム金属箔(平均厚み100μm)を使用した。
<非水電解液>
非水電解液としては、1.0mol/LのLiPF電解質を含有するエチレンカーボネート(EC):ジメチルカーボネート(DMC)=1:2(質量%)の混合溶液(キシダ化学株式会社製)を用いた。
<非水電解液蓄電素子の製造>
正極、負極、及びセパレータを150℃で4時間真空乾燥後、乾燥アルゴン雰囲気のグローブボックス中で、蓄電素子としての2032型コインセルを組み立てた。
前記2032型コインセルに、前記非水電解液を50μL注入した。以上により、実施例1の蓄電素子を作製した。
得られた実施例1の蓄電素子について、以下のようにして、充放電試験を行った。
<充放電試験>
得られた実施例1の蓄電素子を25℃の恒温槽中に保持し、自動電池評価装置(1024B−7V0.1A−4、株式会社エレクトロフィールド製)を用いて、以下のとおりの充放電試験を実施した。
初回の充放電はエージング処理として、まず、充放電レート0.2C換算の電流値において、正極と負極間の電位差である充電終止電圧が4.2Vになるまで定電流充電した。
その後、24時間充電を休止した後、充放電レート1C換算の電流値において、正極と負極間の電位差である放電終止電圧が2.0Vになるまで定電流放電を行った。
なお、0.2C換算の電流値とは、公称容量値の容量を有する蓄電素子を定電流放電して、5時間で放電終了となる電流値のことである。また、1C換算の電流値とは、公称容量値の容量を有する蓄電素子を定電流放電して、1時間で放電終了となる電流値のことである。
前記エージング処理の後、以下のステップに示す充放電を行った。
[1]:充放電レート1C換算の電流値において4.2Vまで定電流充電
[2]:5分間休止
[3]:充放電レート1C換算の電流値において2.0Vまで定電流放電
[4]:5分間休止
上記充放電試験を行う中で、ステップ[3]時の放電容量を測定したものを1C放電容量(mgh/g)とした。
(実施例2)
実施例1において、ナノメックリアクターの処理条件を以下の条件とした以外は、実施例1と同様にして、蓄電素子を作製した。
得られた蓄電素子について、実施例1と同様にして、正極の電極密度及び電極容量を測定した。
<ナノメックリアクター処理条件>
・高回転数条件:400rpmで45秒
・低回転数条件:350rpmで15秒
・処理方法:高回転数と低回転数とを繰返し、1時間連続処理を行った。
(実施例3)
実施例1において、ナノメックリアクターの処理条件を以下の条件に変更した以外は、実施例1と同様にして、蓄電素子を作製した。
得られた蓄電素子について、実施例1と同様にして、正極の電極密度及び電極容量を測定した。
<ナノメックリアクター処理条件>
・高回転数条件:1450rpmで45秒
・低回転数条件:700rpmで15秒
・処理方法:高回転数と低回転数とを繰返し、1時間連続処理を行った。
(実施例4)
実施例2において、導電性ポリマーを下記化学式で表されるポリチオフェンとした以外は、実施例2と同様にして、蓄電素子を作製した。
得られた蓄電素子について、実施例1と同様にして、正極の電極密度及び電極容量を測定した。
<ポリチオフェン>
Figure 2021150123
ただし、nは2以上の自然数を表す。
(実施例5)
実施例2において、導電性ポリマーを下記化学式で表されるポリピロール(Sigma−Aldrich社製)とした以外は、実施例2と同様にして、蓄電素子を作製した。
得られた蓄電素子について、実施例1と同様にして、正極の電極密度及び電極容量を測定した。
<ポリピロール>
Figure 2021150123
ただし、nは2以上の自然数を表す。
(実施例6)
実施例3において、導電性ポリマーを下記化学式で表されるポリチオフェン(Sigma−Aldrich社製)とした以外は、実施例3と同様にして、蓄電素子を作製した。
得られた蓄電素子について、実施例1と同様にして、正極の電極密度及び電極容量を測定した。
<ポリチオフェン>
Figure 2021150123
ただし、nは2以上の自然数を表す。
(実施例7)
実施例3において、導電性ポリマーを下記化学式で表されるポリピロール(Sigma−Aldrich社製)とした以外は、実施例3と同様にして、蓄電素子を作製した。
得られた蓄電素子について、実施例1と同様にして、正極の電極密度及び電極容量を測定した。
<ポリピロール>
Figure 2021150123
ただし、nは2以上の自然数を表す。
(比較例1)
実施例1において、正極活物質の複合化処理を行う代わりに、以下の方法にて溶液化での複合化処理を行った以外は、実施例1と同様にして、蓄電素子を作製した。
得られた蓄電素子について、実施例1と同様にして、正極の電極密度及び電極容量を測定した。
<溶液化での複合化処理>
300gトルエンにポリアニリン0.9gと活性炭2.1gを添加し、分散させ、混合分散液を得た。この混合分散液に2モル/リットルのトリエチルアミンメタノール溶液50mLを添加した後、5時間撹拌混合を行った。撹拌終了後、沈殿物を濾別回収し、メタノールで洗浄した。洗浄精製された沈殿物を真空乾燥することにより、複合活物質を得た。
(比較例2)
実施例1において、ナノメックリアクターの処理条件を以下の条件に変更した以外は、実施例1と同様にして、蓄電素子を作製した。
得られた蓄電素子について、実施例1と同様にして、正極の電極密度及び電極容量を測定した。
<ナノメックリアクター処理条件>
・高回転数条件:1800rmpで45秒
・低回転数条件:900rpmで15秒
・処理方法:高回転数と低回転数とを繰返し、6時間連続処理を行った。
(比較例3)
実施例1において、活性炭を黒鉛(KS6、イメリス社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして、蓄電素子を作製した。
得られた蓄電素子について、実施例1と同様にして、正極の電極密度及び電極容量を測定した。
Figure 2021150123
Figure 2021150123
表1及び表2の結果から、導電性ポリマーとしてのポリアニリンと多孔質炭素として活性炭を含む複合体であって、閉孔度が32.0である実施例1〜3の複合体は、いずれも溶液中で導電性ポリマーとしてのポリアニリンと多孔質炭素として活性炭を複合化した複合体である比較例1と比べて、1C放電容量が高いことがわかった。これは、実施例1〜7の複合体の製造方法の過程で、多孔質炭素の有するメソ孔をミクロ孔としていることや、閉孔を形成させていることに由来すると考えられる。また、導電性ポリマーがポリチオフェン、ポリピロールである実施例4及び5の場合も比較例1と比べて同様に高い1C放電容量が得られることが分かった。
また、表1及び表2の結果から、導電性ポリマーとしてのポリアニリンと多孔質炭素としての活性炭を含む複合体であって、閉孔度が75.0以下である実施例1〜3の複合体は、いずれも閉孔度が75.1である比較例2と比べて、1C放電容量が高いことが渡った。これは、製造方法の過程で、多孔質炭素の有する孔に導電性ポリマーが含まれすぎてしまい、多孔質炭素の有する孔へのイオンの吸蔵が阻害されてしまうことに由来すると考えられる。また、導電性ポリマーがポリチオフェン、ポリピロールである実施例5、6の場合も比較例2と比べて同様に高い1C放電容量が得られることがわかった。
また、表1及び表2の結果から、導電性ポリマーと多孔質炭素としての活性炭を含む複合体である実施例1〜3の複合体は、いずれも導電性ポリマーと黒鉛の複合体である比較例3に比べて1C容量が高いことがわかった。これは、黒鉛は孔を有さない構造のため、複合化自体が行われにくいことに由来すると考えられる。
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1> 導電性ポリマーと多孔質炭素を含む複合体であって、
下記式(1)で表される閉孔度が32.0以上であることを特徴とする複合体である。
閉孔度=複合体のかさ密度[g/cm]/複合体の見かけ密度[g/cm]・・・式(1)
<2> 前記閉孔度が75.0以下である、前記<1>に記載の複合体である。
<3> BET比表面積が200m/g以上1,700m/g以下である、前記<1>から<2>のいずれかに記載の複合体である。
<4> 全細孔容積が0.20mL/g以上1.00mL/g以下である、前記<1>から<3>のいずれかに記載の複合体である。
<5> 前記導電性ポリマーが、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール又はこれらの誘導体である、前記<1>から<4>のいずれかに記載の複合体である。
<6> 前記多孔質炭素が活性炭である、前記<1>から<5>のいずれかに記載の複合体である。
<7> 前記多孔質炭素と前記導電性ポリマーとの質量比(多孔質炭素/導電性ポリマー)が、20/80以上95/5以下である、前記<1>から<6>のいずれかに記載の複合体である。
<8> 前記<1>から<7>のいずれかに記載の複合体からなることを特徴とする電極材料である。
<9> 活物質である、前記<8>に記載の電極材料である。
<10> 前記<8>から<9>のいずれかに記載の電極材料を含むことを特徴とする電極である。
<11> 正極と、負極と、電解質担持層と、を有する蓄電素子であって、
前記正極及び前記負極の少なくともいずれかが、前記<10>に記載の電極であることを特徴とする蓄電素子である。
前記<1>から<7>のいずれかに記載の複合体、前記<8>から<9>のいずれかに記載の電極材料、前記<10>に記載の電極、及び前記<11>に記載の蓄電素子によると、従来における諸問題を解決し、本発明の目的を達成することができる。
1 正極
2 負極
3 セパレータ
5 容器
6 正極線
7 負極線
10 蓄電素子
特開2013−161835号公報

Claims (11)

  1. 導電性ポリマーと多孔質炭素を含む複合体であって、
    下記式(1)で表される閉孔度が32.0以上であることを特徴とする複合体。
    閉孔度=複合体のかさ密度[g/cm]/複合体の見かけ密度[g/cm]・・・式(1)
  2. 前記閉孔度が75.0以下である、請求項1に記載の複合体。
  3. BET比表面積が200m/g以上1,700m/g以下である、請求項1から2のいずれかに記載の複合体。
  4. 全細孔容積が0.20mL/g以上1.00mL/g以下である、請求項1から3のいずれかに記載の複合体。
  5. 前記導電性ポリマーが、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール又はこれらの誘導体である、請求項1から4のいずれかに記載の複合体。
  6. 前記多孔質炭素が活性炭である、請求項1から5のいずれかに記載の複合体。
  7. 前記多孔質炭素と前記導電性ポリマーとの質量比(多孔質炭素/導電性ポリマー)が、20/80以上95/5以下である、請求項1から6のいずれかに記載の複合体。
  8. 請求項1から7のいずれかに記載の複合体からなることを特徴とする電極材料。
  9. 活物質である、請求項8に記載の電極材料。
  10. 請求項8から9のいずれかに記載の電極材料を含むことを特徴とする電極。
  11. 正極と、負極と、電解質担持層と、を有する蓄電素子であって、
    前記正極及び前記負極の少なくともいずれかが、請求項10に記載の電極であることを特徴とする蓄電素子。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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