JP2020187881A - 活物質、電極、及び蓄電素子 - Google Patents

活物質、電極、及び蓄電素子 Download PDF

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Abstract

【課題】高いエネルギー密度を有し、かつ高い出力特性が得られる高密度な蓄電素子用電極を形成する活物質の提供。【解決手段】三次元網目構造を形成する複数の細孔を有する多孔質炭素と、導電性ポリマーと、を有し、前記多孔質炭素における複数の細孔の少なくとも一部が前記導電性ポリマーを含み、前記多孔質炭素におけるレーザー回折散乱式粒度分布測定法による体積粒子径と体積頻度との関係を示す粒度分布曲線において2つ以上のピークを有する活物質である。【選択図】図2

Description

本発明は、活物質、電極、及び蓄電素子に関する。
近年、エネルギー密度を高くすることが可能な蓄電素子は、携帯機器の小型化、高性能化に伴い、特性が向上して普及し、更には、より放電容量が大きく安全性に優れた蓄電素子の開発も進められ、電気自動車等への搭載も始まっている。このような蓄電素子としては、リチウムイオン二次電池が多く使用されている。
一方、ハイブリット自動車等の蓄電素子としては、化学反応を必要とせず高速で充放電可能な電気二重層キャパシタが使用されている。しかし、前記電気二重層キャパシタは、前記リチウムイオン二次電池と比べると、エネルギー密度が数十分の1であるため、十分な放電容量を確保するには重い蓄電素子が必要となり、自動車に搭載した場合には燃費向上を妨げていた。
前記リチウムイオン二次電池の高いエネルギー密度と前記電気二重層キャパシタの高い出力特性とを併せ持つ蓄電素子として、活性炭を含む正極と、グラファイトを含む負極とを用い、リチウムイオンをキャリアイオンとしたリチウムイオンキャパシタが注目されている。
前記リチウムイオンキャパシタは、リチウムイオンを吸蔵及び放出し得る負極材料に対して、化学的方法などでリチウムイオンを予めドーピングし、負極電位を下げることにより、耐電圧を向上させ、エネルギー密度を前記電気二重層キャパシタよりも高めることができる。前記リチウムイオンキャパシタの正極内に高分子ラジカル材料を混合することにより、更なるエネルギー密度の向上を目的とした技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、正極活物質として、三次元網目構造の連通した孔径2nm以上のメソ孔を有する非晶質の多孔質炭素を用いた蓄電素子が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
本発明は、高いエネルギー密度を有し、かつ高い出力特性が得られる高密度な電極を形成可能な活物質の提供を目的とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明の活物質は、三次元網目構造を形成する複数の細孔を有する多孔質炭素と、導電性ポリマーと、を有し、前記多孔質炭素における複数の細孔の少なくとも一部が前記導電性ポリマーを含み、前記多孔質炭素におけるレーザー回折散乱式粒度分布測定法による体積粒子径と体積頻度との関係を示す粒度分布曲線において2つ以上のピークを有する活物質である。
本発明によると、高いエネルギー密度を有し、かつ高い出力特性が得られる高密度な電極を形成可能な活物質を提供することができる。
図1は、多孔質炭素の断面の一例を模式的に示す断面拡大図である。 図2は、活物質粒子の一部の断面の一例を模式的に示す断面拡大図である。 図3は、本発明の活物質を適用した電極の一例を模式的に示す断面図である。 図4は、本発明の活物質を適用した蓄電素子の一例を模式的に示す全体構成図である。 図5は、実施例1で用いた多孔質炭素A粒子の断面TEM画像である。 図6は、実施例1で用いた多孔質炭素A粒子のレーザー解析散乱式粒度分布測定法にて得られる粒度分布曲線である。 図7は、実施例1における正極の断面SEM画像である。 図8は、実施例1における正極断面のC元素マッピング画像である。 図9は、実施例1における正極断面のS元素マッピング画像である。 図10は、実施例1における0.2C時の放電曲線、及び10C時の放電曲線を表す図である。 図11は、比較例7における0.2C時の放電曲線、及び10C時の放電曲線を表す図である。
(活物質)
本発明の活物質は、三次元網目構造を形成する複数の細孔を有する多孔質炭素と、導電性ポリマーとを有し、前記多孔質炭素における複数の細孔の少なくとも一部が前記導電性ポリマーを含み、前記多孔質炭素におけるレーザー回折散乱式粒度分布測定法による体積粒子径と体積頻度との関係を示す粒度分布曲線において2つ以上のピークを有し、更に必要に応じてその他の材料を有する。
以下、本発明において電極材料とは、活物質、導電助剤、バインダ、増粘剤、集電体等の電極を構成する材料を意味する。また、本発明において活物質とは、蓄電素子における容量の発現に直接関与する物質を指し、即ち、蓄電素子内においてイオンを吸蔵乃至放出する機能を有している物質を意味する。また、本明細書においては、「吸蔵」とは材料内にイオンを取り込むことを広く表し、材料表面にイオンを物理吸着させる「吸着」や材料の持つ結晶構造内にイオンを挿入する「インターカレーション」、材料の持つ細孔内へイオンを挿入する「インサーション」等もこれに含まれる。
本発明の活物質は、従来技術では、高い容量を有するポリマーを活物質として使用する場合には、ポリマー自体の導電性が低いので、多量の導電助剤を添加することが必要となる。すると、電極を構成する材料である活性炭、ポリマー、導電助剤、及びバインダを混合する際に、それぞれの構成材料を均一に分散させることが難しくなり、ポリマーや導電助剤の凝集が発生してしまう。ポリマーや導電助剤の凝集が発生すると、ポリマー粒子間、ポリマーと他材料間、又はポリマーと集電体間の電子移動が抑制されてしまい、電極中を電子が通る経路(導電パス)の形成が不十分となり、出力特性の低下を招いてしまうという知見に基づくものである。
更に、従来技術では、多量に添加する導電助剤は、イオンを吸蔵乃至放出する能力が備わっていないため、容量の発現には関与しない。したがって、多量の導電助剤を混合することは、電極中の活物質として機能する活性炭とポリマーの割合を相対的に低下させることに繋がり、蓄電素子のエネルギー密度の低下をも引き起こすという知見に基づくものである。
本発明の活物質は、導電性ポリマーを電気伝導性の良好な多孔質炭素の三次元網目構造を形成する複数の細孔の少なくとも一部に含むことにより、電極中の導電パスを十分に形成することができる。更に、前記多孔質炭素自身もイオンを吸蔵乃至放出する能力を備えているため、容量の発現に寄与することから、エネルギー密度の低下を招く恐れもなくなる。また、前記多孔質炭素におけるレーザー回折散乱式粒度分布測定法による体積粒子径と体積頻度との関係を示す粒度分布曲線において2つ以上のピークを有する活物質を用いることにより、高密度な電極を形成可能である。
したがって、本発明の活物質を含む高密度な電極を用いることにより、高いエネルギー密度を有し、かつ高い出力特性が得られる蓄電素子を提供することができる。
<多孔質炭素>
前記多孔質炭素としては、三次元網目構造を形成する複数の細孔を有する多孔質炭素を用いる。
前記多孔質炭素が「三次元網目構造を形成する複数の細孔を有している」ということは、前記多孔質炭素粒子の表面及び内部に複数の細孔を有し、隣接する細孔が互いにつながって三次元的に連結し、表面に開孔部を有する連通孔が形成されている状態を意味する。
前記多孔質炭素が三次元網目構造を形成する複数の細孔を有していることを確認する方法としては、例えば、SEM(Scanning Electron Microscope)、TEM(Transmission Electron Microscope)などを用いて観察する方法などが挙げられる。
前記「三次元網目構造を形成する複数の細孔」を有している前記多孔質炭素の断面は、TEMによる写真に基づいて作成した図1の概略断面図のように示すことができる。なお、図1中101は細孔、100は炭素粒子を示す。
前記多孔質炭素が「三次元網目構造を形成する複数の細孔」を有していると、前記導電性ポリマーを内包する際に、前記多孔質炭素粒子内部に導電性ポリマーを均一に含有させることができるという点で有利である。更に、前記多孔質炭素を使用した活物質を用いて図3に示すような緻密な電極構造を形成した場合では、三次元網目構造を形成する複数の細孔内に電解液が含浸する。細孔内に電解液が含侵すると、電極全体に電解液が染み込む。その結果、イオンの吸蔵乃至放出を活物質粒子内部で行うことができるようになることから、活物質の利用効率が高まるという点で有利である。
前記多孔質炭素の「三次元網目構造を形成する複数の細孔を有している」構造について更に説明する。
前記多孔質炭素には、最小径が2nm未満の「ミクロ孔」及び最小径が2nm以上(好ましくは2nm以上50nm以下)の「メソ孔」のいずれの細孔も存在してよいが、比率としてメソ孔の割合が25%以上であることが好ましい。ミクロ孔よりもメソ孔の方が、細孔径が大きいため、前記三次元網目構造を形成する細孔の25%以上がメソ孔であると、細孔内に前記導電性ポリマーを含有させる工程において、導電性ポリマーが入りやすいという点で有利である。
メソ孔の割合は吸着等温線から算出することが可能であり、吸着等温線は材料を一定温度にし、圧力を変化させた際のガス分子の吸着量を測定することで作成することでき、例えば、自動比表面積/細孔分布測定装置(Tri StarII3020、株式会社島津製作所製)で測定することができる。
前記吸着等温線の相対圧(p/p)0.3以下のガス分子吸着量がミクロ孔に起因するガス分子吸着量であり、相対圧0.3以上0.96以下がメソ孔に起因するガス分子吸着量となっていることから、下記数式1よりメソ孔の割合を算出することができる。
[数式1]
前記多孔質炭素における細孔の開孔の向きとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、開孔がランダムな方向に形成される方がより好ましい。
前記ランダムとは、多孔質炭素に前記導電性ポリマーが含有される方向に対して特定の規則性あるいは法則性を持たない状態を示している。多孔質炭素に細孔が規則性を持って形成されると、様々な角度から導電性ポリマーを混入することが難しくなってしまう。
多孔質炭素に細孔が形成されている状態を判別する方法としては、表面に吸着占有面積のわかっているガス分子を吸着させ、当該分子の吸着量から試料の比表面積を求める方法、ガス分子の凝縮から細孔分布を測定するBET(Brunauer Emmett Teller)法と呼ばれる方法などが知られている。
前記多孔質炭素のBET比表面積は、800m/g以上1,800m/g以下が好ましく、900m/g以上1,500m/g以下がより好ましい。前記BET比表面積が前記好ましい範囲内であると、前記細孔の形成量が十分となり、アニオンの吸蔵及び放出が十分に行われて放電容量を大きくすることができる点で有利である。一方、活性炭のようにBET比表面積が2,000m/g程度と大きすぎる場合には、電解液との反応が容易に進みすぎるために、充放電の繰り返しによって電解液の分解が促進され長期的には放電容量が低下してしまうおそれがある。
前記活物質のBET比表面積が既に述べたような範囲内であると、細孔を十分な量形成しつつも、電解液との反応を低減して電解液の分解が促進されにくくなり、充放電の繰り返しによる放電容量の低下が抑制される。
前記BET比表面積は、例えば、自動比表面積/細孔分布測定装置(Tri StarII3020、株式会社島津製作所製)による吸着等温線の測定結果から、BET(Brunauer Emmett Teller)法を用いて求めることができる。
前記多孔質炭素は、レーザー回折散乱式粒度分布測定法による体積粒子径と体積頻度との関係を示す粒度分布曲線において、2つ以上のピークを有する。前記多孔質炭素の粒度分布曲線が2つ以上のピークを有するとは、2種類以上の異なる体積粒子径の粒子が混在していることを意味する。2種類以上の異なる体積粒子径の粒子が混在すると、電極化した際に粒子径の大きい粒子同士の空隙を、体積粒子径の小さい粒子により補填することができるため、より高密度な電極を形成できる。その結果、電極の単位体積当たりの放電容量を増大させることができる。
粒度分布曲線におけるピークの頂点の位置する範囲は0.1μm以上100μm以下が好ましく、0.3μm以上30μm以下がより好ましく、0.5μm以上20μm以下が更に好ましい。
レーザー回折散乱式粒度分布測定法による粒度分布の測定においては、まず、室温大気中で、前記多孔質炭素をポリエチレンオキシド水溶液に添加し、超音波分散し撹拌することで調製された多孔質炭素分散溶液を用いる。この分散溶液を80%〜90%の透過率となるように調節した後、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置を用いて積算粒度分布(体積基準)を測定する。前記レーザー回折散乱式粒度分布測定は、例えば、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(LA960シリーズ、株式会社堀場製作所製)を用いて行うことができる。また、ピークとは、図6の粒度分布曲線における凸形状の波形、即ち、極大点を有する波形を指し、例えば、図6では、粒度分布曲線において2つのピークが確認できる。
前記多孔質炭素の嵩密度は、0.1g/cc以上1.0g/cc以下が好ましく、0.1g/cc以上0.6g/cc以下がより好ましい。嵩密度が0.1g/cc以上であると、細孔を形成する炭素質壁の厚さが適切であり、良好な細孔構造が得られ、かつ、電極化した際に電極密度を高めることができる。その結果、電極の単位体積当たりの放電容量を増大させることができる。
一方、前記多孔質炭素の嵩密度が1.0g/ccよりも大きくなると、メソ孔の形成が不十分となり、独立したメソ孔の存在比率が増加してしまう。その結果、アニオンの吸蔵量が減少し、大きい放電容量を得ることができなくなる。
前記嵩密度は、例えば、多機能型粉体物性測定器(マルチテスター MT−1001K、株式会社セイシン企業製)により測定することができる。
前記多孔質炭素の細孔容積は、0.2mL/g以上2.3mL/g以下が好ましく、0.5mL/g以上2.3mL/g以下がより好ましい。前記細孔容積が0.2mL/g以上であると、メソ孔が独立した細孔になることがなり、アニオンの移動が阻害されることもなく大きい放電容量を得ることができる。一方、前記炭素粒子の細孔容積が2.3mL/g以下であれば、炭素構造が嵩高くならずに電極としてエネルギー密度が高められ、単位体積当たりの放電容量を増大させることができる。また、前記細孔を形成している炭素質壁が薄くならないため、アニオンの吸蔵及び放出を繰り返しても炭素質壁の形状が保つことができ、蓄電素子の長期サイクル性が向上する点でも有利である。
前記炭素質壁には層状構造をなす部分が存在することが好ましい。前記炭素質壁の電気抵抗率は1.0Ω・cm以下が好ましく、1.0×10−1Ω・cm以下がより好ましい。前記電気抵抗率が1.0Ω・cm以下であると、電極内の電気伝導性が良好となるため、高い出力特性を得ることができる。なお、電気抵抗率は小さいほど好ましいが、1.0×10−1Ω・cm以下である必要は必ずしもなく、電気抵抗率が1.0Ω・cm以下であれば電極内の導電パスは十分に形成することができる。
前記電気抵抗率は、例えば、粉体抵抗測定システム(MCP−PD51型、三菱化学アナリテック株式会社製)により測定することができる。
前記多孔質炭素の細孔容積は、例えば、前記BET比表面積を求めた際に用いた前記吸着等温線の測定結果から、吸着ガス量を液体換算するガス吸着法を用いて算出することができる。
前記多孔質炭素は結晶性を有することが好ましい。
前記多孔質炭素の結晶性としては、炭素質のすべてが結晶性を有する結晶構造となっている必要はなく、一部に結晶性を有さない非晶質構造が存在してもよく、また、すべてが非晶質構造であってもよい。
前記「結晶性を有する」ということは、炭素間がsp2混成軌道により結合された六角板状の単一結晶が層状に形成された状態(黒鉛層)を意味する。前記多孔質炭素が結晶性を有していることを確認する方法としては、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて黒鉛の層状構造を観察する方法や、X線回折によりスペクトルのピークとして確認する方法などが挙げられる。特に、X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角度2θの25.00以上27.00以下の領域において回折ピークを有していることから確認することが好ましく、前記ブラッグ角度2θの領域において2つの回折ピークを有することを確認することがより好ましい。
ここで、X線回折スペクトルについて説明する。X線回折スペクトルは、例えば、X線回折装置(XRD:X−ray diffraction)を用いた測定結果から入手することができる。
原子が規則正しく配列している物質に、原子の間隔と同程度の波長を持つX線が入射すると、各原子に所属する電子によりX線が散乱される。散乱したX線は干渉し合い、特定の方向で強め合うことで、X線の回折現象が生じる。入射するX線の波長を変化させながら回折スペクトルを測定することで、物質の結晶構造の格子間距離を測定することができる。このとき、測定対象が非晶質(アモルファス)であれば、格子間距離に規則性がなく、回折スペクトルは測定波長全般において緩やかな山状か、平坦になってしまうに過ぎない。しかしながら、結晶化した部分については、格子間距離が規則性を示すので、格子間距離に対応する特定の波長において回折スペクトルにピーク(極大値)が現われる。以降の説明ではかかる特定の極大値を特に回折ピークという。即ち、前記ブラッグ角度2θの領域において回折ピークを有していることは、多孔質炭素の炭素粒子内において、少なくとも一部が結晶構造化していることを示している。言い換えると炭素粒子内の一部が黒鉛化していることを示している。
また、回折ピークが2つあることは、格子間距離の異なる2つの結晶構造が現われていることを示している。ここで2つのピークのうち低角側の回折ピーク強度をIl、高角側の回折ピーク強度をIhとした場合に、強度比(Il/Ih)>1であることがより好ましい。低角側の回折ピーク強度Ilの割合が大きいことは、黒鉛化している領域の炭素層間距離dが大きいことを意味する。強度比(Il/Ih)が1より大きければ、正極電位(vs.Li/Li)が4.0V以上の領域に達した際に、多孔質炭素の黒鉛層間にアニオンのインターカレーションが発生した場合でも、黒鉛層の層間距離が広いため炭素層構造を壊すことがなく、炭素粒子の崩壊を防ぐことができる。
前記多孔質炭素の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、粒子状乃至塊状が好ましい。前記多孔質炭素の形状が粒子状乃至塊状であれば、電極化した際に最密充填構造を形成しやすくなり、電極密度を高めることができるため、単位体積当たりの放電容量を増大させることができる。
前記多孔質炭素は、特に制限はなく、適宜製造したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記市販品としては、例えば、クノーベル(登録商標)(東洋炭素株式会社製)などが挙げられる。
前記多孔質炭素の製造方法としては、例えば、三次元網目構造を有する筋材と、炭素材料形成源としての有機物である出発原料を成形し、2,000℃以上で焼成することにより炭化させる。前記有機物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリイミド、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ピッチ系の熱硬化性樹脂などが挙げられる。
その後、酸又はアルカリで筋材を溶解することで、前記筋材を溶解した痕が三次元網目構造を形成する複数のメソ孔となり、意図的に形成することができる。
前記筋材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸又はアルカリ可溶性の金属、金属酸化物、金属塩、金属含有有機物などが挙げられる。 出発原料としては、炭化させることができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
なお、前記出発原料は一般に有機物であり、炭化時に揮発性物質を放出するため、放出跡としてミクロ孔が形成されるため、前記ミクロ孔が全く存在しない炭素粒子を製造することは困難である。
<導電性ポリマー>
前記導電性ポリマーとしては、酸化還元反応においてカチオン乃至アニオンを吸蔵乃至放出可能なポリマーが好ましい。
前記導電性ポリマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリチオフェン又はその誘導体、ポリアニリン又はその誘導体、ポリピロール又はその誘導体、ポリアセチレン又はその誘導体、ポリカルバゾール又はその誘導体、ポリビニルピリジン又はその誘導体、ポリ(n−ビニルカルバゾール)又はその誘導体、ポリフルオレン又はその誘導体、ポリフェニレン又はその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)又はその誘導体、ポリ(ピリジンビニレン)又はその誘導体、ポリキノキサリン又はその誘導体、ポリキノリン又はその誘導体、ポリオキサジアゾール誘導体、ポリバソフェナントロリン誘導体、ポリトリアゾール誘導体、又はこれらのポリマーを適宜、アミン基、ヒドロキシ基、ニトリル基、カルボニル基等の置換基で置換したものなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、高いエネルギー密度を有する点から、ポリチオフェン誘導体が好ましい。
前記ポリチオフェン誘導体としては、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリマーが好ましい。
前記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリチオフェン誘導体は、安定化された酸化還元化合物であり、充電反応及び放電反応の少なくともいずれかの過程で酸化還元反応を伴うポリマーである。
前記一般式(1)において、Zは、S元素、O元素、又はSe元素を環員として含む5〜9員の複素環を形成する原子群を表す。S元素、O元素、又はSe元素は多数の酸化数を取り得るため、S元素、O元素、又はSe元素を環員として含むことにより、酸化及び還元反応に伴う電子の授受が多電子反応で進行することが期待できる。その結果、高容量の活物質を得ることができるようになり、蓄電素子の活物質としてポリチオフェン誘導体が含まれる場合には、高いエネルギー密度を得ることができる。
Arは、芳香環、又は芳香族複素環を表す。
前記芳香環としては、例えば、ベンゼン、ビフェニル、ナフタレン、アントラセン、フルオレン、ピレン、又はこれらの誘導体などが挙げられる。
前記芳香族複素環としては、例えば、ピリジン、キノリン、チオフェン、フラン、オキサゾール、オキサジアゾール、カルバゾール、又はこれらの誘導体などが挙げられる。これらの中でも、チオフェン、チオフェン誘導体が好ましい。
芳香環又は芳香族複素環の置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、又はハロゲン原子などが挙げられる。
前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、又はブチル基などが挙げられる。
前記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、又はブトキシ基などが挙げられる。
前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子などが挙げられる。
nは、2以上の自然数が好ましく、10〜100の自然数がより好ましい。
mは、0又は2以上の自然数が好ましく、0又は10〜100の自然数がより好ましい。
前記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリチオフェン誘導体としては、下記一般式(2)で表される繰り返し単位を有するポリチオフェン誘導体であることが好ましい。
ただし、前記一般式(2)中、Rは置換もしくは無置換のアルキレン基又は置換もしくは無置換の分岐アルキレン基を表す。pは1以上の自然数を表す。QはS元素、O元素、又はSe元素を表す。Arは置換基を有していてもよい芳香環又は芳香族複素環を表す。nは2以上の自然数を表し、mは0又は2以上の自然数を表す。
Rは置換もしくは無置換のアルキレン基、又は置換もしくは無置換の分岐アルキレン基を表す。前記アルキレン基に置換する基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、チオアルキル基、アリールチオ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、又はハロゲン原子などが挙げられる。
前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、又はブチル基などが挙げられる。
前記アルコキシ基としては、アルキル部分が前記アルキル基であるものが挙げられる。 前記アリール基としては、例えば、フェニル基、4−トルイル基、4−ヒドロキシフェニル基、1−ナフチル基、又は2−ナフチル基などが挙げられる。
前記アリールオキシ基としては、例えば、アリール部分が前記アリール基であるものが挙げられる。
前記チオアルキル基としては、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、又はブチルチオ基などが挙げられる。
前記アリールチオ基としては、例えば、フェニルチオ基などが挙げられる。
前記アルキルアミノ基としては、例えば、ジエチルアミノ基、ジメチルアミノ基、又はヒドロキシアミノ基などが挙げられる。
前記アリールアミノ基としては、例えば、ジフェニルアミノ基、又はフェニルナフチルアミノ基などが挙げられる。
前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、又は臭素原子などが挙げられる。
pは、繰り返し単位数を表す1以上の自然数であり、好ましくは1〜3の自然数を表す。
Ar、m、nは、上記一般式(1)と同じ意味を表す。
前記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリチオフェン誘導体は、下記一般式(3)で表される繰り返し単位を有するポリチオフェン誘導体であることが好ましい。
ただし、前記一般式(3)中、Rは置換もしくは無置換のアルキレン基又は置換もしくは無置換の分岐アルキレン基を表す。pは1以上の自然数を表す。Arは置換基を有していてもよい芳香環又は芳香族複素環を表す。nは2以上の自然数を表し、mは0又は2以上の自然数を表す。
Ar、m、nは、上記一般式(1)と同じ意味を表し、R、pは、上記一般式(2)と同じ意味を表す。
ここで、前記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリチオフェン誘導体の具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。ただし、下記式中、nは2以上の自然数を表し、mは0又は2以上の自然数を表す。
上記例示されているポリチオフェン誘導体の例示化合物中でも、放電容量の大きさ及び合成のし易さの点から、例示化合物(2)、(3)、(4)、(5)、(8)、(10)、(11)、(16)、(26)、(32)、(36)、及び(44)が特に好ましい。
前記ポリチオフェン誘導体としては、下記一般式(61)で表される繰り返し単位を有するポリマーが好ましい。
ただし、前記一般式(61)中、n1及びn2は、それぞれ2以上の自然数を表し、n1は10〜100の自然数がより好ましく、n2は100〜5,000の自然数がより好ましい。
前記導電性ポリマーとしては、繰り返し単位中に下記一般式(4)で表される構造を有するポリマーであることが好ましい。
ただし、前記一般式(4)中、Ar、Ar、及びArは、それぞれ置換基を有していてもよい芳香環又は芳香族複素環を表す。
前記芳香環としては、例えば、ベンゼン、ビフェニル、ナフタレン、アントラセン、フルオレン、ピレン、又はこれらの誘導体などが挙げられる。
前記芳香族複素環としては、例えば、ピリジン、キノリン、チオフェン、フラン、オキサゾール、オキサジアゾール、カルバゾール、又はこれらの誘導体などが挙げられる。これらの中でも、チオフェン、チオフェン誘導体が好ましい。
芳香環又は芳香族複素環の置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、又はハロゲン原子などが挙げられる。
前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、又はブチル基などが挙げられる。
前記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、又はブトキシ基などが挙げられる。
前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子などが挙げられる。
ここで、繰り返し単位中に上記一般式(4)で表される構造を有する導電性ポリマーとしては、以下の例示化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。ただし、下記式中、nは2以上の自然数を表す。
前記導電性ポリマーとしては、下記一般式(5)で表される繰り返し単位を有するポリマーが好ましい。
ただし、前記一般式(5)中、R、R、及びRは、それぞれ水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、又は置換もしくは無置換の分岐アルキル基を表す。Ar、Ar、及びArは、置換基を有していてもよい芳香環、又は芳香族複素環を表す。nは2以上の自然数を表す。
、R、及びRにおけるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などが挙げられる。
、R、及びRにおける分岐アルキル基としては、例えば、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などが挙げられる。
Ar、Ar、及びArにおける芳香環としては、例えば、ベンゼン、ビフェニル、ナフタレン、アントラセン、フルオレン、ピレン、又はこれらの誘導体などが挙げられる。 Ar、Ar、及びArにおける芳香族複素環としては、例えば、ピリジン、キノリン、チオフェン、フラン、オキサゾール、オキサジアゾール、カルバゾール、又はこれらの誘導体などが挙げられる。これらの中でも、チオフェン、チオフェン誘導体が好ましい。
アルキル基、分岐アルキル基、芳香環又は芳香族複素環の置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、又はハロゲン原子などが挙げられる。
前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、又はブチル基などが挙げられる。
前記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、又はブトキシ基などが挙げられる。
前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子などが挙げられる。
nは、2以上の自然数が好ましく、100〜5,000の自然数がより好ましい。
上記一般式(5)で表される導電性ポリマーとしては、以下の例示化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。ただし、下記式中、nは2以上の自然数を表す。
前記導電性ポリマーとしては、下記一般式(63)で表される繰り返し単位を有するポリマーが好ましい。
ただし、前記一般式(63)中、nは、2以上の自然数が好ましく、100〜5,000の自然数がより好ましい。
前記導電性ポリマーとしては、下記一般式(65)で表される繰り返し単位を有するポリマーが好ましい。
ただし、前記一般式(65)中、nは2以上の自然数が好ましく、100〜5,000の自然数がより好ましい。
ここで、前記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリチオフェン誘導体は、下記の反応で得られる一般式(1A)又は一般式(1B)のチオフェン誘導体を重合させることにより得ることができる。
ただし、一般式(1A)中、Meはメチル基を表し、ZはS元素を環員として含む5〜9員の複素環を形成する原子群を表す。
前記一般式(1A)で表されるチオフェン誘導体は、Synthetic Communications 28(12)、2237−2244(1998)に記載の方法で合成できる。即ち、3,4−ジメトキシチオフェンのようなアルコキシ置換チオフェンとジチオール類やジオール類などのカルコゲン元素源との酸触媒を用いた求核置換反応によって得ることができる。
反応温度は0℃〜150℃が好ましく、50℃〜130℃がより好ましい。
前記酸触媒としては、例えば、硫酸、塩酸、リン酸、メタンスルホン酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸などの酸(ブレンステッド酸)などが挙げられる。
反応溶媒しては、例えば、トルエン、キシレン、アニソール、テトラリン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、クロロベンゼン、オルトジクロロベンゼンなどが挙げられる。
前記一般式(1B)で表されるチオフェン誘導体は、Journal of Materials Chemistry 8(8)、1719−1724(1998)に記載の方法で合成できる。即ち、チオンのジブロモ体を、硫化ナトリウム9水和物を用いて環化させた後、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン(DDQ)を用いて酸化させることにより得ることができる。
環化の際の反応温度は0℃〜100℃が好ましく、10℃〜40℃がより好ましい。
酸化の際の反応温度は0℃〜150℃が好ましく、80℃〜130℃がより好ましい。
ポリチオフェン誘導体の重合は、酸化剤を用いた酸化カップリング重合により行うことができる。
前記酸化剤としては、例えば、塩化鉄(III)、芳香族スルホン酸金属塩などが挙げられる。
前記芳香族スルホン酸金属塩としては、例えば、o−トルエンスルホン酸第2鉄、m−トルエンスルホン酸第2鉄、p−トルエンスルホン酸第2鉄、o−トルエンスルホン酸第2銅、m−トルエンスルホン酸第2銅、p−トルエンスルホン酸第2銅、o−トルエンスルホン酸コバルト、m−トルエンスルホン酸コバルト、p−トルエンスルホン酸コバルト、o−トルエンスルホン酸マンガン、m−トルエンスルホン酸マンガン、p−トルエンスルホン酸マンガン、o−エチルベンゼンスルホン酸第2鉄、m−エチルベンゼンスルホン酸第2鉄、p−エチルベンゼンスルホン酸第2鉄、ナフタレンスルホン酸第2鉄、又はこれらの誘導体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
重合を行う際の溶媒としては、例えば、アルコール系溶媒、ハロゲン化炭化水素、芳香族系炭化水素、アセトニトリル、ベンゾニトリルなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記アルコール系溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、ブタノールなどが挙げられる。
前記ハロゲン化炭化水素としては、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタンなどが挙げられる。
前記芳香族系炭化水素としては、例えば、トルエン、キシレン、アニソール、クロロベンゼン、オルトジクロロベンゼン、ニトロベンゼンなどが挙げられる。
前記導電性ポリマーとしてのポリチオフェン誘導体は、リチウム金属極基準(vs.Li/Li)で3V以上5V以下に酸化電位を有するものが好ましく、3V以上4.5V以下に酸化電位を有するものがより好ましい。
蓄電素子の正極活物質として本発明の活物質を用いる場合、前記多孔質炭素はリチウム金属極基準(vs.Li/Li)で3V以上の電位において、アニオンの吸蔵を開始する。そのため、ポリチオフェン誘導体の酸化電位(vs.Li/Li)が3V以上であれば、多孔質炭素と同様の動作電圧で駆動させることができることから、多孔質炭素及びポリチオフェン誘導体粒子両方の容量を活用することができる。その結果、活物質としてより大きな容量を得ることができる。
また、リチウム金属極基準(vs.Li/Li)で5V以上の電位では、非水電解液に用いられる非水溶媒が酸化分解してしまうため、ポリチオフェン誘導体の酸化電位(vs.Li/Li)が5V以上にある場合は、その電位での容量を活用することはできない。そのため、ポリチオフェン誘導体のリチウム金属極基準(vs.Li/Li)での酸化電位は3V以上5V以下であることが好ましい。なお、上記酸化電位は、例えば、サイクリックボルタンメトリ(CV)の手法によって測定することができる。
前記導電性ポリマーとしてのポリチオフェン誘導体は、前記三次元網目構造を形成する複数の細孔に少なくとも一部含まれた状態で存在しており、複数の細孔の大部分に含まれていることが好ましく、複数の細孔のすべてに含まれていることがより好ましい。
前記導電性ポリマーとしてのポリチオフェン誘導体自体の抵抗は高いため、電気伝導性の高い材料をポリチオフェン誘導体粒子の間に介していないと、ポリチオフェン誘導体の酸化還元に伴う電子の受け渡しが円滑に行われないため、大きな容量低下を招く。しかしながら、上記のように、高い電気伝導性を有する前記多孔質炭素における複数の細孔の少なくとも一部にポリチオフェン誘導体が含まれることにより、ポリチオフェン誘導体の電気伝導性は多孔質炭素によって補われる。したがって、ポリチオフェン誘導体の酸化還元に伴う電子の受け渡しが円滑に行われるため、活物質中に含まれる多くのポリチオフェン誘導体の容量が発現し、エネルギー密度が高められる。
更に、前記多孔質炭素の複数の細孔が三次元網目構造を形成していることで、ポリチオフェン誘導体が多孔質炭素内部まで含有されるため、活物質中のより多くのポリチオフェン誘導体が有効活用されるため、よりエネルギー密度が高められるという点で有利である。また、多孔質炭素1粒子に対して、より多くのポリチオフェン誘導体を含有させることができるため、活物質1粒子の密度を高めることにつながり、エネルギー密度の向上に更に寄与する。
前記多孔質炭素と前記導電性ポリマーとの質量比(多孔質炭素/導電性ポリマー)は、20/80以上95/5以下が好ましく、30/70以上80/20以下がより好ましい。多孔質炭素と導電性ポリマーの質量比をこの範囲にすることにより、エネルギー密度と出力特性のバランスを取ることができる。
<活物質の製造方法>
前記活物質は、前記多孔質炭素と前記導電性ポリマーとを、粒子複合化装置を用いて、所定条件でせん断力をかけることにより製造することができる。
前記粒子複合化装置としては、例えば、ホソカワミクロン株式会社製のノビルタ(登録商標)やメカノフュージョン(登録商標)、浅田鉄工株式会社製のペイントシェーカー装置、ミラクルK.C.K(混練分散機)、アシザワ・ファインテック株式会社製のドライスター(登録商標)、シグマドライ(登録商標)、奈良機械製作所製のMIRALO(登録商標)、日本コークス株式会社製のCOMPOSI(登録商標)などが挙げられる。
前記導電性ポリマーが三次元網目構造を形成する複数の細孔の少なくとも一部に含有されていることを確認する方法としては、例えば、SEM、TEM、EDS(Energy Dispersive X−ray Spectrometry)などを用いて観察する方法などが挙げられる。前記活物質の断面は、SEMによる写真及びEDSによる元素マッピング画像に基づいて作成した図2の活物質粒子の断面の一部を表した概略断面図のように示すことができる。なお、図2中101は細孔、102は導電性ポリマーを示す。
このように、本発明の活物質は、多孔質炭素の複数の細孔の少なくとも一部に導電性ポリマーを含むことにより、導電性ポリマー自体が良好な電気伝導性を有することとなる。したがって、活物質中のより多くの導電性ポリマー粒子が有効に活用されるため、導電性ポリマーが本来備えている高い容量を効率よく使用することができる。その結果、活物質は、高いエネルギー密度を有することができる。
本発明の活物質は、正極活物質及び負極活物質のいずれにも用いることができるが、高いエネルギー密度と高い出力特性を両立した特性を有する蓄電素子が得られる点から、正極活物質であることが好ましい。
以下に説明するように、本発明の活物質は、蓄電素子の電極として好適に用いることができる。
(電極)
本発明の電極は、本発明の活物質を含み、更に必要に応じてその他の部材を有する。
前記電極としては、正極及び負極のいずれであってもよいが、高いエネルギー密度と高い出力特性を両立した特性を有する蓄電素子が得られる点から、正極が好ましい。
<正極>
正極は、正極集電体と、正極材と、を備えた平板状の電極部である。
正極材は、正極活物質、バインダ、導電助剤、増粘剤、及び導電助剤を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
−正極活物質−
正極活物質としては、アニオンを吸蔵乃至放出可能であり、本発明の活物質を用いることが好ましいが、本発明の活物質以外の正極活物質を用いる場合には、安全性とコストの点から、炭素質材料が好ましい。
炭素質材料としては、例えば、黒鉛(グラファイト)、様々な熱分解条件での有機物の熱分解物、活性炭などが挙げられる。
黒鉛(グラファイト)としては、例えば、コークス、人造黒鉛、天然黒鉛、易黒鉛化性炭素、難黒鉛化性炭素などが挙げられる。
正極活物質は上記の材料を1種単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。また、上記以外の物質、例えば、リチウム金属酸化物を併用してもよい。
前記リチウム金属酸化物としては、例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、マンガン酸リチウム(LiMn)、オリビン型リン酸鉄リチウム(LiFePO)、LiNiCoMnの組成式で表すことができるマンガン−コバルト−ニッケル三元系酸化物リチウム(例えば、LiNi1/3Co1/3Mn1/3)などが挙げられる。
−バインダ及び増粘剤−
バインダは、正極活物質粒子同士、又は正極活物質と正極集電体とを結着させ、電極構造を維持するためのバインダである。
バインダの材料としては、例えば、フッ素系バインダ、アクリレート系ラテックス、及びカルボキシメチルセルロース(CMC)のいずれかを用いることが好ましい。
前記フッ素系バインダとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などが挙げられる。
バインダの材料としては、上記以外にも、例えば、エチレン−プロピレン−ブタジエンゴム(EPBR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム、アクリレート系ラテックス、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、アルギン酸、酸化スターチ、リン酸スターチ、カゼインなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、バインダは、電極製造時に用いる溶媒、電解液、及び印加される電位に対して安定な材料であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択される。
−導電助剤−
本発明において導電助剤とは、電極中に分散して電極の抵抗を低減するために使用される導電性材料を指し、電極材料間の導電性を補助する役割を担い、導電ネットワークの形成機能を有する。
前記導電助剤は、金属材料、又は正極活物質に合わせて炭素質材料を用いることが好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記導電助剤に用いられる金属材料としては、例えば、銅、アルミニウムなどが挙げられる。
前記導電助剤に用いられる炭素質材料としては、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、人造黒鉛、天然黒鉛、グラフェン、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブなどが挙げられる。これらの中でも、アセチレンブラック、ケッチェンブラックが好ましい。
−正極集電体−
正極集電体は、蓄電素子に使用可能な大きさであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記正極集電体の材質としては、導電性材料で形成されたもので、印加される電位に対して安定であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ニッケル、アルミニウム、チタン、タンタルなどが挙げられる。これらの中でも、ステンレススチール、アルミニウムが好ましい。
前記正極集電体の種類(形状や加工の有無)としては、後述する正極の製造方法の工程において、使用可能な耐久性があれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、プレーン箔、孔空箔、エッジド箔、貫通箔、突起箔、エキスパンドメタルなどが挙げられる。これらの中でも、プレーン箔、孔空箔、エッジド箔、貫通箔、突起箔が好ましい。
前記正極集電体上に、前記導電助剤に用いられる炭素質材料があらかじめ塗布されているコーティング箔を正極集電体として使用してもよい。この際、コーティング層として使用される炭素質材料は導電助剤で既に説明した導電助剤として使用される炭素質材料と同様の炭素質材料を用いることができる。これらの中でも、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、人造黒鉛、天然黒鉛が好ましい。
<正極の製造方法>
正極の製造方法としては、正極活物質に、必要に応じて、バインダ、増粘剤、導電助剤、溶媒を加えてスラリー状とした正極材を、正極集電体上に塗布し、乾燥させる方法などが挙げられる。
前記溶媒としては、例えば、水、アルコール等の水系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、トルエン等の有機系溶媒などが挙げられる。
なお、正極活物質をロール成形してシート電極としたり、圧縮成形によりペレット電極としてもよい。
<負極>
負極は、負極集電体と、負極材と、を備えた平板状の電極部である。
負極材は、負極活物質、バインダ、導電助剤、増粘剤、及び導電助剤を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
−負極活物質−
負極活物質としては、本発明の活物質を用いることができるが、本発明の活物質以外の負極活物質を用いる場合には、安全性とコストの点から、炭素質材料が好ましい。
炭素質材料としては、例えば、黒鉛(グラファイト)、様々な熱分解条件での有機物の熱分解物、リチウム金属酸化物などが挙げられる。
前記黒鉛(グラファイト)としては、例えば、コークス、人造黒鉛、天然黒鉛、易黒鉛化性炭素、難黒鉛化性炭素などが挙げられる。
ただし、負極活物質は、非水溶媒系でカチオンを吸蔵及び放出可能であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
負極活物質に用いられる材料としては、例えば、カチオンとしてのリチウムイオンを吸蔵、放出可能な炭素質材料、金属酸化物、リチウムと合金化可能な金属又は金属合金、リチウムと合金化可能な金属とリチウムとを含む合金とリチウムとの複合合金化合物、チッ化金属リチウムなどが挙げられる。
金属酸化物としては、例えば、酸化アンチモン錫、一酸化珪素などが挙げられる。 リチウムと合金化可能な金属又は金属合金としては、例えば、リチウム、アルミニウム、錫、珪素、亜鉛などが挙げられる。
リチウムと合金化可能な金属とリチウムとを含む合金とリチウムとの複合合金化合物としては、例えば、チタン酸リチウムなどが挙げられる。
チッ化金属リチウムとしては、例えば、チッ化コバルトリチウムなどが挙げられる。
これらの負極活物質に用いられる材料は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、人造黒鉛、天然黒鉛、チタン酸リチウムが好ましい。
なお、カチオンとしては、リチウムイオンが汎用されている。
−導電助剤−
負極に用いられる導電助剤としては、正極で既に説明した導電助剤と同様の導電助剤を用いることができる。
−バインダ及び増粘剤−
負極に用いられるバインダ及び増粘剤としては、正極で既に説明したバインダと同様のバインダ及び増粘剤を用いることができる。
前記バインダ及び増粘剤としては、例えば、フッ素系バインダ、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)が好ましい。
<負極集電体>
負極集電体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記負極集電体の材質としては、導電性材料で形成されたものであり、印加される電位に対して安定であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ステンレススチール、ニッケル、アルミニウム、銅などが挙げられる。これらの中でも、ステンレススチール、銅、アルミニウムが特に好ましい。
前記負極集電体の形状は、平板状の他、目的に応じて適宜選択してよい。
前記負極集電体の大きさは、蓄電素子に使用可能な大きさであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
<<負極の製造方法>>
負極の製造方法としては、負極活物質に、必要に応じてバインダ、増粘剤、導電助剤、溶媒などを加えてスラリー状とした負極材を、負極集電体上に塗布して乾燥する方法が用いられる。
なお、スラリー状とした負極材をそのままロール成形してシート電極とする方法、圧縮成形によりペレット電極とする方法、蒸着、スパッタ、メッキ等により負極集電体上に負極活物質の薄膜を形成する方法などを用いてもよい。
負極の製造方法に用いる溶媒としては、正極の製造方法と同様の溶媒を用いることができる。
(蓄電素子)
本発明の蓄電素子は、正極と、負極と、必要に応じて電解液とセパレータを有する。前記セパレータは前記正極と前記負極との間に配置され、前記電解液を保持する。また、更に必要に応じてその他の部材を有していてもよい。
本発明の蓄電素子は、前記正極及び前記負極の少なくともいずれかが、本発明の電極であればよい。
<電解液>
前記電解液としては、非水溶媒に電解質塩を溶解してなる非水電解液であることが好ましい。
−非水溶媒−
前記非水溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、非プロトン性有機溶媒、エステル系有機溶媒、エーテル系有機溶媒などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、非プロトン性有機溶媒が好ましい。
前記非プロトン性有機溶媒としては、例えば、カーボネート系有機溶媒が挙げられ、低粘度な溶媒が好ましい。
前記カーボネート系有機溶媒としては、例えば、鎖状カーボネート、環状カーボネートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、鎖状カーボネートが、電解質塩の溶解力が高い点で好ましい。
前記鎖状カーボネートとしては、例えば、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルエチルカーボネート(EMC)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ジメチルカーボネート(DMC)、メチルエチルカーボネート(EMC)が好ましい。
ジメチルカーボネート(DMC)とメチルエチルカーボネート(EMC)とを組み合わせた混合溶媒を用いる場合には、ジメチルカーボネート(DMC)とメチルエチルカーボネート(EMC)の混合割合は特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
環状カーボネートとしては、例えば、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)が好ましい。
環状カーボネートとしてエチレンカーボネート(EC)と、鎖状カーボネートとしてジメチルカーボネート(DMC)とを組み合わせた混合溶媒を用いる場合には、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)の混合割合は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
エステル系有機溶媒としては、例えば、環状エステル、鎖状エステルなどが挙げられる。環状エステルとしては、例えば、γ−ブチロラクトン(γBL)、2−メチル−γ−ブチロラクトン、アセチル−γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトンなどが挙げられる。
鎖状エステルとしては、例えば、プロピオン酸アルキルエステル、マロン酸ジアルキルエステル、酢酸アルキルエステル、ギ酸アルキルエステルなどが挙げられる。
前記酢酸アルキルエステルとしては、例えば、酢酸メチル(MA)、酢酸エチルなどが挙げられる。
前記ギ酸アルキルエステルとしては、例えば、ギ酸メチル(MF)、ギ酸エチルなどが挙げられる。
エーテル系有機溶媒としては、例えば、環状エーテル、鎖状エーテルなどが挙げられる。 前記環状エーテルとしては、例えば、テトラヒドロフラン、アルキルテトラヒドロフラン、アルコキシテトラヒドロフラン、ジアルコキシテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、アルキル−1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキソランなどが挙げられる。
前記鎖状エーテルとしては、例えば、1,2−ジメトシキエタン(DME)、ジエチルエーテル、エチレングリコールジアルキルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、トリエチレングリコールジアルキルエーテル、テトラエチレングリコールジアルキルエーテルなどが挙げられる。
−電解質塩−
非水電解液に用いる電解質塩としては、リチウム塩が好ましい。
前記リチウム塩としては、非水溶媒に溶解し、高いイオン伝導度を示すものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)、過塩素酸リチウム(LiClO)、塩化リチウム(LiCl)、ホウ弗化リチウム(LiBF)、六弗化砒素リチウム(LiAsF)、トリフルオロメタスルホン酸リチウム(LiCFSO)、リチウムビストリフルオロメチルスルホニルイミド(LiN(CSO)、リチウムビスパーフルオロエチルスルホニルイミド(LiN(CFSO)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、電極中へのアニオンの吸蔵量の大きさの観点から、LiPF、LiBFが好ましい。
電解質塩の濃度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、放電容量と出力の両立の点から、非水溶媒中で、0.5mol/L以上6mol/L以下が好ましく、1mol/L以上4mol/L以下がより好ましい。
<セパレータ>
前記セパレータは、正極と負極との短絡を防ぐために正極と負極との間に設けられる。 前記セパレータの材質、形状、大きさ、及び構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記セパレータの材質としては、例えば、クラフト紙、ビニロン混抄紙、合成パルプ混抄紙等の紙、セロハン、ポリエチレングラフト膜、ポリプロピレンメルトブロー不織布等のポリオレフィン不織布、ポリアミド不織布、ガラス繊維不織布、マイクロポア膜などが挙げられる。これらの中でも、電解液保持の観点から、気孔率50%以上のものが好ましい。
前記セパレータの形状としては、微多孔(マイクロポア)を有する薄膜タイプよりも、気孔率が高い不織布系の方が好ましい。
前記セパレータの平均厚みは、短絡防止と電解液保持の観点から、20μm以上が好ましい。
前記セパレータの大きさは、蓄電素子に使用可能な大きさであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記セパレータとしては、単層構造であってもよく、複数のセパレータを重ね合わせた積層構造であってもよい。
<蓄電素子の製造方法>
蓄電素子の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、正極、負極、及びセパレータ、更に必要に応じてその他の構成部材を、適切な形状に組み立て、容器に収め、電解液を充填する方法などが挙げられる。
本発明の蓄電素子の形状については、特に制限はなく、図4に示すような形状の他にも、一般的に採用されている各種形状の中から、その用途に応じて適宜選択することができる。 前記形状としては、例えば、シート電極及びセパレータをスパイラル状にしたシリンダータイプ、ペレット電極及びセパレータを組み合わせたインサイドアウト構造のシリンダータイプ、ペレット電極及びセパレータを積層したコインタイプなどが挙げられる。
本発明の蓄電素子は、例えば、図4に示すように、正極1と、正極1に対向して設けられた負極2と、正極1と負極2との間に配置されたセパレータ3と、非水電解液と、を有している。
蓄電素子10は、正極1と、負極2と、セパレータ3と、非水電解液とを囲繞して保持する外装缶としての容器5と、容器5を貫いて正極1と接続された正極線6と、同様に容器5を貫いて負極2と接続された負極線7と、を有している。なお、非水電解液は容器5内全体に広がっている。なお、図4では、蓄電素子10が非水電解液二次電池である場合について説明するが、例えば、キャパシタや固体電池等であってもよい。
<用途>
本発明の蓄電素子は、例えば、二次電池、キャパシタなどとして好適に用いることができる。
前記蓄電素子の用途には、特に制限はなく、各種用途に用いることができ、例えば、ノートパソコン、ペン入力パソコン、モバイルパソコン、電子ブックプレーヤー、携帯電話、携帯ファックス、携帯コピー、携帯プリンター、ヘッドフォンステレオ、ビデオムービー、液晶テレビ、ハンディークリーナー、ポータブルCD、ミニディスク、トランシーバー、電子手帳、電卓、メモリーカード、携帯テープレコーダー、ラジオ、モーター、照明器具、玩具、ゲーム機器、時計、ストロボ、カメラ等の電源、バックアップ電源などが挙げられる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
各実施例及び比較例で正極活物質として用いる炭素質材料における細孔の形成状態を確認するために、以下に示すような評価を行った。
<多孔質炭素の細孔の形成状態>
各実施例及び比較例で正極活物質として用いる炭素質材料において、TEM(JEM−2100、日本電子株式会社製)により三次元網目構造を形成する細孔の有無を観察し、以下の基準で評価した。結果を表2−1〜表6−2に示す。
[評価基準]
○:図1に示すような三次元網目構造を形成する細孔101を確認できた
×:図1に示すような三次元網目構造を形成する細孔101が確認できない
<複合活物質の形成状態>
各実施例及び比較例で正極活物質として用いる活物質において、SEM及びEDS(SU8230、株式会社日立ハイテクノロジーズ製)により元素マッピングされた画像を観察し、前記多孔質炭素の細孔内部に前記導電性ポリマーが含まれている複合活物質の有無を以下の基準で評価した。結果を表2−1〜表6−2に示す。
[評価基準]
○:図2に示すような三次元網目構造を形成する細孔101内部に導電性ポリマー102の存在が確認できた
×:図2に示すような三次元網目構造を形成する細孔101内部に導電性ポリマー102の存在が確認できない
(実施例1)
<活物質の調製>
導電性ポリマーとしてポリチオフェン誘導体である、下記式で表される例示化合物(2)を準備し、炭素質材料として三次元網目構造を形成する複数の細孔を内部に有する多孔質炭素(多孔質炭素A)(クノーベル:登録商標、東洋炭素株式会社製)を準備した。多孔質炭素A粒子の断面TEM画像を図5に示す。多孔質炭素A粒子のBET比表面積は1,000m/g、細孔容積は0.6mL/g、細孔の平均直径は3nmであった。更に、多孔質炭素A粒子について、レーザー回折散乱式粒度分布測定法による粒度分布の体積粒子径と体積頻度との関係を示す粒度分布曲線は、図6に示されるように2つのピークを有している。
ただし、nは2以上の自然数である。
次に、多孔質炭素Aと化合物(2)を質量比が70/30の割合で混合し、ジルコニアビーズを入れたバイアル瓶に充填した。これをペイントシェーカー(浅田鉄工株式会社製)にセットし、4時間振とう処理を行った。処理後、活物質を回収し、粒子状の活物質を得た。得られた粒子状の活物質を正極活物質Aとした。正極活物質Aを形成する骨格は多孔質炭素Aであるため、正極活物質A粒子の粒度分布は多孔質炭素Aと同様のものとなっている。そのため、図6に示す粒度分布曲線において、左側のピークに対応する小さい体積粒子径の正極活物質A粒子と右側のピークに対応する大きい体積粒子径の正極活物質A粒子が存在する。
<正極の作製>
−正極スラリーの調製−
正極活物質として正極活物質A、バインダとしてアクリレート系ラテックス(TRD202A、JSR株式会社製)、及び増粘剤としてカルボキシメチルセルロース(ダイセル2200、株式会社ダイセル製)を、正極活物質Aを100とした場合の固形分の質量比で100:3:5となるようにプラネタリミキサー(ハイビスミックス3D−2型、プライミクス株式会社製)を用いて混合し、水を加えて適切な粘度に調製し、正極スラリーである正極材を得た。
−正極の作製−
次に、得られた正極材を、正極集電体としての平均厚み20μmのプレーンアルミニウム箔にドクターブレードを用いて片面に塗布した。乾燥後の目付量(塗工された正極中の正極活物質Aの質量)の平均を3.0mg/cmとした。これを直径16mmに打ち抜いて正極とした。正極の断面SEM画像を図7に示す。また、正極の断面をEDSによって元素マッピングした画像を図8及び図9に示す。図8は炭素(C)元素のマッピング画像であり、図9は硫黄(S)元素のマッピング画像であり、それぞれ各元素の正極内の分散状態を示す。また、正極断面の模式図を図3に示す。正極21は、正極材層22と正極集電体23によって構成される。更に、正極材層22は、大きい体積粒子径の正極活物質A粒子24と小さい体積粒子径の正極活物質A粒子25、バインダ26から構成される。
<セパレータ>
セパレータとしては、セルロース製不織布セパレータ(平均厚み40μm)を直径16mmに打ち抜いたものを2枚用意した。
<負極>
負極としては、直径16mmに打ち抜いたリチウム金属箔(平均厚み100μm)を使用した。
<非水電解液>
非水電解液としては、1.0mol/LのLiPF電解質を含有するエチレンカーボネート(EC):ジメチルカーボネート(DMC)=1:2(質量%)の混合溶液(キシダ化学株式会社製)を用いた。
<蓄電素子の製造>
正極、負極、及びセパレータを150℃で4時間真空乾燥後、乾燥アルゴン雰囲気のグローブボックス中で、蓄電素子としての2032型コインセルを組み立てた。
前記2032型コインセルに、前記非水電解液を50μL注入した。以上により、実施例1の蓄電素子を作製した。
得られた実施例1の蓄電素子について、以下のようにして、充放電試験を行った。結果を表2−1に示した。
<充放電試験>
得られた実施例1の蓄電素子を25℃の恒温槽中に保持し、自動電池評価装置(1024B−7V0.1A−4、株式会社エレクトロフィールド製)を用いて、以下のとおりの充放電試験を実施した。
初回の充放電はエージング処理として、まず、充放電レート0.2C換算の電流値において、充電終止電圧として4.4Vまで定電流充電した。
その後、24時間充電を休止した後、充放電レート1C換算の電流値において、放電終止電圧として1.7Vまで定電流放電を行った。
なお、0.2C換算の電流値とは、公称容量値の容量を有する蓄電素子を定電流放電して、5時間で放電終了となる電流値のことである。また、1C換算の電流値とは、公称容量値の容量を有する蓄電素子を定電流放電して、1時間で放電終了となる電流値のことである。
前記エージング処理の後、以下のステップに示す充放電を行った。
[1]:充放電レート0.2C換算の電流値において4.4Vまで定電流充電
[2]:5分間休止
[3]:充放電レート0.2C換算の電流値において1.7Vまで定電流放電
[4]:5分間休止
[5]:充放電レート10C換算の電流値において4.4Vまで定電流充電
[6]:5分間休止
[7]:充放電レート10C換算の電流値において1.7Vまで定電流放電
[8]:5分間休止
上記充放電試験を行う中で、ステップ[3]時の放電容量、ステップ[7]時の放電容量を測定した。実施例1における、0.2C時の放電曲線と10C時の放電曲線を図10に示した。
なお、放電容量は、正極活物質A 1g当たりの換算値(mAh/g)である。また、下記数式2を用いて蓄電素子の体積当たりのエネルギー密度(Wh/L)を算出した。
[数式2]
次に、出力特性を評価するために、下記数式3を用いて0.2C放電時の放電容量に対する10C放電時の放電容量の容量比率を求めた。容量比率がより100%に近い値を示すということは高いCレートに対しても、対応し得る良好な電気伝導性を有しているということを示しているため、出力特性が高いことを意味する。
[数式3]
次に、高エネルギー密度性及び高出力性については、以下に示す評価基準に基づいて評価した。結果を表2−1に示した。
<高エネルギー密度性>
[高エネルギー密度性の評価基準]
○:体積当たりのエネルギー密度が31Wh/L以上
△:体積当たりのエネルギー密度が29Wh/L以上31Wh/L未満
×:体積当たりのエネルギー密度が29Wh/L未満
<高出力性>
[高出力性の評価基準]
○:0.2C放電時の放電容量に対する10C放電時の放電容量の容量比率が60%以上
△:0.2C放電時の放電容量に対する10C放電時の放電容量の容量比率が50%以上60%未満
×:0.2C放電時の放電容量に対する10C放電時の放電容量の容量比率が50%未満
(比較例1)
実施例1において、多孔質炭素Aを、多孔質炭素B(クノーベル:登録商標、東洋炭素株式会社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例1の正極を作製した。多孔質炭素B粒子は、レーザー回折散乱式粒度分布測定法による体積粒子径と体積頻度との関係を示す粒度分布曲線において1つのみのピークを有している。そのピークの頂点位置は10.0μmとなっている。
表1に実施例1及び比較例1において作製された正極の体積密度を示す。2つの異なる粒子径を有する多孔質炭素Aより構成された実施例1の方が比較例1よりも体積密度が高くなっている。これは、図3に示されるように大きい粒子のみで構成された場合に生じる粒子間の隙間に、小さい粒子が入り込み、隙間が埋め尽くされたためである。電極の高密度化は、単位体積当たりの放電容量の増大を意味するため、蓄電素子の高エネルギー密度化に有利に働くことがわかる。更に電極の高密度化すると、活物質と活物質及び活物質と導電助剤の接点が増加するその結果、導電ネットワーク形成が促進され、蓄電素子の出力特性が向上する。
(実施例2)
実施例1において、導電性ポリマーとしての例示化合物(2)を、下記式で表される例示化合物(3)に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2の蓄電素子を製造し、実施例1と同様に評価した。結果を表2−1に示した。
ただし、nは2以上の自然数である。
(実施例3)
実施例1において、導電性ポリマーとしての例示化合物(2)を、下記式で表される例示化合物(4)に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例3の蓄電素子を製造し、実施例1と同様に評価した。結果を表2−1に示した。
ただし、nは2以上の自然数である。
(実施例4)
実施例1において、導電性ポリマーとしての例示化合物(2)を、下記式で表される例示化合物(5)に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例4の蓄電素子を製造し、実施例1と同様に評価した。結果を表2−1に示した。
ただし、nは2以上の自然数である。
(実施例5)
実施例1において、導電性ポリマーとしての例示化合物(2)を、下記式で表される例示化合物(8)に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例5の蓄電素子を製造し、実施例1と同様に評価した。結果を表2−1に示した。
ただし、nは2以上の自然数である。
(実施例6)
実施例1において、導電性ポリマーとしての例示化合物(2)を、下記式で表される例示化合物(10)に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例6の蓄電素子を製造し、実施例1と同様に評価した。結果を表2−2に示した。
ただし、nは2以上の自然数である。
(実施例7)
実施例1において、導電性ポリマーとしての例示化合物(2)を、下記式で表される例示化合物(11)に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例7の蓄電素子を製造し、実施例1と同様に評価した。結果を表2−2に示した。
ただし、nは2以上の自然数である。
(実施例8)
実施例1において、導電性ポリマーとしての例示化合物(2)を、下記式で表される例示化合物(16)に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例8の蓄電素子を製造し、実施例1と同様に評価した。結果を表2−2に示した。
ただし、nは2以上の自然数である。
(実施例9)
実施例1において、導電性ポリマーとしての例示化合物(2)を、下記式で表される例示化合物(26)に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例9の蓄電素子を製造し、実施例1と同様に評価した。結果を表2−2に示した。
ただし、nは2以上の自然数である。
(実施例10)
実施例1において、導電性ポリマーとしての例示化合物(2)を、下記式で表される例示化合物(32)に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例10の蓄電素子を製造し、実施例1と同様に評価した。結果を表2−2に示した。
ただし、nは2以上の自然数、mは0又は2以上の自然数である。
(実施例11)
実施例1において、導電性ポリマーとしての例示化合物(2)を、下記式で表される例示化合物(36)に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例11の蓄電素子を製造し、実施例1と同様に評価した。結果を表2−3に示した。
ただし、nは2以上の自然数、mは0又は2以上の自然数である。
(実施例12)
実施例1において、導電性ポリマーとしての例示化合物(2)を、下記式で表される例示化合物(44)に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例12の蓄電素子を製造し、実施例1と同様に評価した。結果を表2−3に示した。
ただし、nは2以上の自然数、mは0又は2以上の自然数である。
(実施例13)
実施例1において、導電性ポリマーとしての例示化合物(2)を、下記式で表される化合物(46)に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例13の蓄電素子を製造し、実施例1と同様に評価した。結果を表2−3に示した。
ただし、nは2以上の自然数である。
(実施例14)
実施例1において、導電性ポリマーとしての例示化合物(2)を、下記式で表される化合物(47)に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例14の蓄電素子を製造し、実施例1と同様に評価した。結果を表2−3に示した。
ただし、nは2以上の自然数である。
(実施例15)
実施例1において、導電性ポリマーとしての例示化合物(2)を、下記式で表される化合物(48)に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例15の蓄電素子を製造し、実施例1と同様に評価した。結果を表2−3に示した。
ただし、nは2以上の自然数である。
(実施例16)
実施例1において、導電性ポリマーとしての例示化合物(2)を、下記式で表される化合物(49)に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例16の蓄電素子を製造し、実施例1と同様に評価した。結果を表2−4に示した。
ただし、nは2以上の自然数である。
(実施例17)
実施例1において、導電性ポリマーとしての例示化合物(2)を、下記式で表される化合物(50)に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例17の蓄電素子を製造し、実施例1と同様に評価した。結果を表2−4に示した。
ただし、nは2以上の自然数である。
(実施例18)
実施例1において、導電性ポリマーとしての例示化合物(2)を、下記式で表される化合物(51)に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例18の蓄電素子を製造し、実施例1と同様に評価した。結果を表2−4に示した。
ただし、nは2以上の自然数である。
(実施例19)
実施例1において、導電性ポリマーとしての例示化合物(2)を、下記式で表される化合物(52)に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例19の蓄電素子を製造し、実施例1と同様に評価した。結果を表2−4に示した。
ただし、nは2以上の自然数である。
(実施例20)
実施例1において、導電性ポリマーとしての例示化合物(2)を、下記式で表される化合物(53)に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例20の蓄電素子を製造し、実施例1と同様に評価した。結果を表2−4に示した。
ただし、nは2以上の自然数である。
(実施例21)
実施例1において、導電性ポリマーとしての例示化合物(2)を、下記式で表される化合物(54)に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例21の蓄電素子を製造し、実施例1と同様に評価した。結果を表2−5に示した。
ただし、nは2以上の自然数である。
(実施例22)
実施例1において、導電性ポリマーとしての例示化合物(2)を、下記式で表される化合物(55)に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例22の蓄電素子を製造し、実施例1と同様に評価した。結果を表2−5に示した。
ただし、nは2以上の自然数である。
(実施例23)
実施例1において、導電性ポリマーとしての例示化合物(2)を、下記式で表される化合物(56)に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例23の蓄電素子を製造し、実施例1と同様に評価した。結果を表2−5に示した。
ただし、nは2以上の自然数である。
(実施例24)
実施例1において、導電性ポリマーとしての例示化合物(2)を、下記式で表される化合物(57)に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例24の蓄電素子を製造し、実施例1と同様に評価した。結果を表2−5に示した。
ただし、nは2以上の自然数である。
(実施例25)
実施例1において、導電性ポリマーとしての例示化合物(2)を、下記式で表される化合物(58)に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例25の蓄電素子を製造し、実施例1と同様に評価した。結果を表2−5に示した。
ただし、nは2以上の自然数である。
(実施例26)
実施例1において、導電性ポリマーとしての例示化合物(2)を、下記式で表される化合物(59)に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例26の蓄電素子を製造し、実施例1と同様に評価した。結果を表2−6に示した。
ただし、nは2以上の自然数である。
(実施例27)
実施例1において、導電性ポリマーとしての例示化合物(2)を、下記式で表される化合物(60)に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例27の蓄電素子を製造し、実施例1と同様に評価した。結果を表2−6に示した。
ただし、nは2以上の自然数である。
(実施例28)
実施例1において、導電性ポリマーとしての例示化合物(2)を、下記式で表される化合物(61)に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例28の蓄電素子を製造し、実施例1と同様に評価した。結果を表2−6に示した。
ただし、n1、n2はそれぞれ2以上の自然数である。
(実施例29)
実施例1において、導電性ポリマーとしての例示化合物(2)を、下記式で表される化合物(62)に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例29の蓄電素子を製造し、実施例1と同様に評価した。結果を表2−6に示した。
ただし、nは2以上の自然数である。
(実施例30)
実施例1において、導電性ポリマーとしての例示化合物(2)を、下記式で表される化合物(63)に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例30の蓄電素子を製造し、実施例1と同様に評価した。結果を表2−6に示した。
ただし、nは2以上の自然数である。
(実施例31)
実施例1において、導電性ポリマーとしての例示化合物(2)を、下記式で表される化合物(64)に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例31の蓄電素子を製造し、実施例1と同様に評価した。結果を表2−7に示した。
ただし、nは2以上の自然数である。
(実施例32)
実施例1において、導電性ポリマーとしての例示化合物(2)を、下記式で表される化合物(65)に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例32の蓄電素子を製造し、実施例1と同様に評価した。結果を表2−7に示した。
ただし、nは2以上の自然数である。
(実施例33〜38)
−多孔質炭素と導電性ポリマーとの質量比の変更−
実施例1において、多孔質炭素Aと導電性ポリマーである例示化合物(2)の質量比(%)を、表3−1及び表3−2に示すようにそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例33〜38の蓄電素子を製造し、実施例1と同様に評価した。結果を表3−1及び表3−2に示した。
(実施例39)
−多孔質炭素の変更−
実施例1において、多孔質炭素Aを多孔質炭素C(クノーベル:登録商標、東洋炭素株式会社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例39の蓄電素子を製造し、実施例1と同様に評価した。結果を表4に示した。なお、多孔質炭素Cは結晶性の高い多孔質炭素であり、その結晶性に関してはX線回折スペクトルを取得することで評価した。
X線回折スペクトルの取得は、X線回折装置(XRD;Dicover8、Bruker社製)により、X線源にCuKα線を用いたX線回折法によって取得した。多孔質炭素BのX線回折スペクトルは、ブラッグ角度2θ=25.00以上27.00以下の間に、黒鉛の層構造の規則性に由来する回折ピークを有していたことから結晶性の高い(高結晶性)多孔質炭素であると言える。一方、多孔質炭素AのX線回折スペクトルは、上記2θの領域においては、緩やかな山状のスペクトルが確認された。このため、非晶質の多孔質炭素であると言える。また、多孔質炭素C粒子のBET比表面積は1,130m/g、細孔容積は1.5mL/g、細孔の平均直径は5nmであった。更に、多孔質炭素C粒子について、レーザー回折散乱式粒度分布測定法による粒度分布の体積粒子径と体積頻度との関係を示す粒度分布曲線は、2つのピークを有している。
(実施例40〜44)
−他種活物質との併用−
実施例1において活物質の調製工程内の、正極活物質Aを第一の正極活物質とし、第二の正極活物質として活性炭(ベルファインAP、ATエレクトロード株式会社製)を用い、第一の正極活物質及び第二の正極活物質を表5に示す割合で混合したものをそれぞれ正極活物質B、C、D、E、Fとした。実施例1における正極スラリー調製工程内の正極活物質Aを正極活物質B、C、D、E、Fに変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例40〜44の蓄電素子を製造し、実施例1と同様に評価した。結果を表5に示した。なお、活性炭(ベルファインAP、ATエレクトロード株式会社製)のBET比表面積は1,730m/gであった。更に前記活性炭粒子について、レーザー回折散乱式粒度分布測定法による粒度分布の体積粒子径と体積頻度との関係を示す粒度分布曲線は、2つのピークを有している。
(比較例2)
実施例1において、多孔質炭素Aを、活性炭(ベルファインAP、ATエレクトロード株式会社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例2の蓄電素子を製造し、実施例1と同様に評価した。結果を表6−1に示した。
(比較例3)
実施例1において、多孔質炭素Aを、天然黒鉛(特CP、日本黒鉛工業株式会社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例3の蓄電素子を製造し、実施例1と同様に評価した。結果を表6−1に示した。
なお、天然黒鉛(特CP、日本黒鉛工業株式会社製)のBET比表面積は17m/gであった。更に、前記天然黒鉛粒子について、レーザー回折散乱式粒度分布測定法による粒度分布の体積粒子径と体積頻度との関係を示す粒度分布曲線は、2つのピークを有している。
(比較例4)
実施例1において、多孔質炭素Aを、難黒鉛化性炭素(ベルファインLN、ATエレクトロード株式会社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例4の蓄電素子を製造し、実施例1と同様に評価した。結果を表6−1に示した。
なお、難黒鉛化性炭素(ベルファインLN、ATエレクトロード株式会社製)のBET比表面積は6m/gであった。更に、前記難黒鉛化性炭素粒子については、レーザー回折散乱式粒度分布測定法による粒度分布の体積粒子径と体積頻度との関係を示す粒度分布曲線は、2つのピークを有している。
(比較例5)
実施例1において、多孔質炭素Aを、メソポーラスカーボン(カーボンメソポーラス、シグマアルドリッチ社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例5の蓄電素子を製造し、実施例1と同様に評価した。結果を表6−2に示した。
なお、メソポーラスカーボン(カーボンメソポーラス、シグマアルドリッチ社製)のBET比表面積は250m/g、細孔容積は0.3mL/g、細孔の平均直径は6nmであった。更に、前記メソポーラスカーボン粒子については、レーザー回折散乱式粒度分布測定法による粒度分布の体積粒子径と体積頻度との関係を示す粒度分布曲線は、2つのピークを有している。
(比較例6)
実施例1において、多孔質炭素Aを、アセチレンブラック(デンカブラック粉状、電気化学工業株式会社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例6の蓄電素子を製造し、実施例1と同様に評価した。結果を表6−2に示した。
なお、アセチレンブラック(デンカブラック粉状、電気化学工業株式会社製)のBET比表面積は70m/gであった。更に、前記アセチレンブラック粒子については、レーザー回折散乱式粒度分布測定法による粒度分布の体積粒子径と体積頻度との関係を示す粒度分布曲線は、2つのピークを有している。
(比較例7)
実施例1において、多孔質炭素Aを、ケッチェンブラック(EC600JD顆粒状、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例7の蓄電素子を製造し、実施例1と同様に評価した。結果を表6−2に示した。
なお、ケッチェンブラック(EC600JD顆粒状、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)のBET比表面積は1,300m/gであった。更に、前記ケッチェンブラック粒子について、レーザー回折散乱式粒度分布測定法による粒度分布の体積粒子径と体積頻度との関係を示す粒度分布曲線は、2つのピークを有している。
(比較例8)
実施例1において、正極活物質を多孔質炭素Aのみとした以外は、実施例1と同様にして、比較例8の蓄電素子を製造し、実施例1と同様に評価した。結果を表6−2に示した。比較例7における、0.2C時の放電曲線と10C時の放電曲線を図11に示した。
(比較例9)
実施例1において、正極活物質を活性炭(ベルファインAP、ATエレクトロード株式会社製)のみとした以外は、実施例1と同様にして、比較例9の蓄電素子を製造し、実施例1と同様に評価した。結果を表6−2に示した。
表2−1から表2−7の結果から、三次元網目構造を形成する複数の細孔を有する多孔質炭素の複数の細孔の少なくとも一部に導電性ポリマーを含む活物質を正極活物質として使用している実施例1〜32は、いずれも高いエネルギー密度を有し、かつ高い出力特性を示すことがわかった。
特に、実施例1〜12で用いられている導電性ポリマーである例示化合物(1)〜(44)のポリチオフェン誘導体は電子が多い化合物であり、ポリチオフェン誘導体の分子骨格に含まれるチオフェン環は電子を放出した酸化状態で安定化されやすい。充電時には電子が引き抜かれてカチオンとなり、このカチオンを補うために電解液中のアニオンが近づき、この状態で安定化する。放電時にはその逆反応が進行するが、充電に伴う酸化状態及び放電に伴う還元状態時の安定性が高いことから、充電及び放電の繰り返し特性(サイクル特性)が良好である。このことは、充電及び放電時のCレートが高くなった場合でも同様であり、充電及び放電に伴う酸化還元反応が可逆的に進行する。
また、導電性ポリマーの例示化合物(1)〜(65)の中でも、上記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリチオフェン誘導体は、酸化数を多数取り得る硫黄原子を複数含むため、酸化及び還元に伴い多電子反応が期待できることから、充電及び放電に伴い高容量を示す。
更に、ポリチオフェン誘導体は酸化電位(vs.Li/Li)を高い電位で有しており、高電圧領域において充電及び放電を行うことができるため、蓄電素子の平均電圧が高まる。その結果、ポリチオフェン誘導体を含む蓄電素子は高いエネルギー密度を示す。
また、ポリチオフェン誘導体の周りを非常に抵抗の低い多孔質炭素Aが覆っているため、ポリチオフェン誘導体粒子間において良好な電気伝導を行うことができるようになり、高いCレートにおいて放電を行っても大きな容量を得ることができる。その結果、高い出力特性を示す。この高い出力特性は実施例1〜32において、正極の構成材料の中に導電助剤が含まれていないにも関わらず発現していることから、多孔質炭素Aが導電助剤のような電極中の導電ネットワークを形成する機能を有していることを示しており、即ち実施例1〜32の複合活物質はそれ単体で活物質及び導電助剤の両方の機能を有している。
実施例13〜15で使用している導電性ポリマーである化合物(46)、(47)及び(48)は、分子骨格内にS元素を含むため、活物質としての放電容量は大きな値を示すが、分子骨格内に含まれるジスルフィド結合(S−S結合)は酸化及び還元反応に伴い開裂及び再結合が進行するため、構造の安定性、可逆性がやや十分ではない。特に高いCレートにおける酸化及び還元に伴うジスルフィド結合の開裂及び再結合は、より不可逆な反応となるため、高いCレートでは放電容量がやや低下し、出力特性がやや低くなった。
一方、実施例16〜32で使用している導電性ポリマーである化合物(49)〜(65)は、有機エレクトロクロミック(EL)素子や、感光体ドラムのキャリア輸送材料として使用されている材料であるため、電気伝導及び酸化還元による構造安定性が高いためか、良好なエネルギー密度と高い出力特性を示した。
次に、表3−1及び表3−2の結果から、実施例1及び実施例33〜38において、多孔質炭素Aの質量比の増加に伴い0.2C時の放電容量が低下することがわかった。これは、高容量を示す導電性ポリマーの比率が低下することによるものであり、特に多孔質炭素Aの質量比が95%を上回ると、エネルギー密度が急激に低下してしまう。このため、前記多孔質炭素Aの質量比は95%以下であることが好ましい。
また、実施例1及び実施例33〜38において、多孔質炭素Aの質量比の低下に伴い、0.2C放電時の放電容量に対する10C放電時の放電容量の容量比率が低下することがわかった。これは、多孔質炭素Aに対して導電性ポリマーの割合が増加したため、多孔質炭素Aの複数の細孔の少なくとも一部に導電性ポリマーを含む活物質の存在比率が低下したことによるものである。その結果、導電性ポリマーの電気伝導性が乏しくなり、特に多孔質炭素Aの質量比が20%を下回ると、0.2C放電時の放電容量に対する10C放電時の放電容量の容量比率が急激に低下してしまう。高い出力特性を得るためには、前記多孔質炭素Aの質量比は20%以上であることが好ましい。
次に、表4の結果から、実施例1及び実施例39において、多孔質炭素の結晶構造が変化しても、高いエネルギー密度を有し、かつ高い出力特性を示すことがわかった。これは、多孔質炭素の結晶性が変化しても、炭素粒子内に三次元的に張り巡らされた細孔構造を維持し続けているためであり、その結果、非晶質の多孔質炭素を用いたとしても、結晶性の高い多孔質炭素を用いたとしても、導電性ポリマーと良好な複合化状態を形成することができている。
次に、表5の結果から、実施例40〜44において、本発明の複合活物質以外に、他の活物質種(活性炭)を併用したとしても、高いエネルギー密度を有し、かつ高い出力特性を示すことがわかった。これは、他の活物質種と前記複合活物質を混合利用したとしても、複合活物質の粒子構造は崩壊しないためであり、他の活物質種の存在下でも、複合活物質は単独利用時と同様の機能を充放電時に発現する。
表6−1及び表6−2の結果から、実施例1と比較例1〜6を比較すると活物質内の炭素質材料として多孔質炭素Aを使用している実施例1がエネルギー密度及び出力特性において高い特性を有することがわかった。これは、多孔質炭素Aが三次元網目構造を形成する複数の細孔を有しているためであり、前記細孔構造を有していると、活物質の調製の際に、複数の細孔の少なくとも一部に導電性ポリマーを含有することができる。また、多孔質炭素Aも充電に伴いアニオンを吸蔵することができる。このため、他の炭素質材料と比較して多くの容量を発現することができることから、高いエネルギー密度を得ることができる。更に、導電性ポリマーが多孔質炭素Aの複数の細孔内に含有されていることは、図7〜9に示す正極の断面SEM画像及びEDSによる元素マッピング画像から確認することができる。図8は、C元素をマッピングした画像であり、図7に見られる正極内の粒子の位置と一致していることから、図7に見られる粒子は多孔質炭素Aであることがわかった。また、図9はS元素をマッピングした画像であり、図9内の輝点がS元素の存在位置を示している。正極材においてS元素を含む材料はポリチオフェン誘導体のみであるため、S元素が存在している位置にはポリチオフェン誘導体が存在していることは明白である。つまり、図7〜9より、多孔質炭素Aの細孔内部に導電性ポリマーが含有されていることがわかり、実施例1における正極内には活物質が含まれていることが確認できた。
レーザー回折散乱式粒度分布測定法による体積粒子径と体積頻度との関係を示す粒度分布曲線において2種類の異なる体積粒子径のピークを有する多孔質炭素Aより構成された実施例1の方が体積粒子径のピークが1種類の比較例1よりも体積密度が高くなっている。これは、図3に示されるように大きい粒子のみで構成された場合に生じる粒子間の隙間に、小さい粒子が入り込み、隙間が埋め尽くされたためである。電極の高密度化は、単位体積当たりの放電容量の増大を意味するため、蓄電素子の高エネルギー密度化に有利に働くことがわかる。更に電極を高密度化すると、活物質と活物質及び活物質と導電助剤の接点が増加する。その結果、導電ネットワーク形成が促進され、蓄電素子の出力特性が向上する。
また、比較例2〜6では、実施例1と同様に正極活物質を構成する炭素材料粒子は、粒度分布曲線において2種類の異なる体積粒子径のピークを有している。したがって、比較例2〜6の電極構造は図3に示すような緻密な電極構造を形成している。しかし、実施例1の方がエネルギー密度及び出力特性においてより高い特性を有する。これは、実施例1の炭素材料に三次元網目構造を形成する複数の細孔を有する炭素材料を用いているためである。つまり、前記細孔構造を有していると、緻密な電極構造を形成した場合でも、炭素粒子内部の三次元網目構造を形成する細孔を通って電解液が含浸されるため、電極全体に電解液が染み込み、イオンの吸蔵乃至放出が活物質粒子内部で行われるようになる。その結果、活物質粒子の利用効率が高まり、より高いエネルギー密度を得ることができる。一方、比較例2〜6では、図3のような緻密な電極構造が形成され、粒子間の空隙が最小となった場合には、炭素粒子内部にも三次元網目構造を形成する複数の細孔構造を持たないため、電解液の含浸経路が存在しなくなる。つまり、電極全体に電解液が染み込まず、イオンの吸蔵乃至放出を行うことができない活物質粒子が存在してしまうことから、活物質粒子の利用効率が低下し、高いエネルギー密度を実現することができなくなる。
表6−2の結果から、実施例1と比較例7を比較すると、多孔質炭素内部の細孔に導電性ポリマーを含む実施例1の方が高いエネルギー密度を示している。これは、高い容量を発現する導電性ポリマーを含むことの要因だけではなく、多孔質炭素内部の細孔に導電性ポリマーを含有させることにより、正極活物質粒子の密度が増加するため、正極の体積密度が増加したことも要因に含まれる。また、正極活物質に導電性ポリマーのみを使用することも比較対象として考えられるが、導電性ポリマーのみでは電気伝導性が乏しいため、充電及び放電に伴う電子の授受が行われない。そのため、容量を発現することがないので、今回は比較例としては検証をしていない。
また、表6−2の結果から、実施例40〜44と比較例8を比較すると、多孔質炭素内部の細孔に導電性ポリマーを含む正極活物質Aを有する実施例40〜44の方が高いエネルギー密度を示している。これは、活性炭よりも高容量な導電性ポリマーを含有する正極活物質Aが電極中に含まれているためである。加えて、実施例40〜44の方が高い出力特性を示しており、電気伝導性が良好な多孔質炭素を含む正極活物質Aを他の活物質種(活性炭)に混ぜ合わせることで、電極全体の抵抗を低減させる効果もあることが示された。即ち、他の活物質種との併用時にも本発明の複合活物質は、活物質としての容量発現機能と導電助剤のような導電ネットワークの形成機能を発現するため、高いエネルギー密度と高い出力特性を実現することができる。
以上の結果から、本発明の活物質を蓄電素子に用いることにより、高いエネルギー密度を有し、かつ高レートの放電時にも容量の維持率が高いことから、高い出力特性を有することがわかった。
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1> 三次元網目構造を形成する複数の細孔を有する多孔質炭素と、
導電性ポリマーと、を有し、
前記多孔質炭素における複数の細孔の少なくとも一部が前記導電性ポリマーを含み、前記多孔質炭素におけるレーザー回折散乱式粒度分布測定法による体積粒子径と体積頻度との関係を示す粒度分布曲線において2つ以上のピークを有することを特徴とする活物質である。
<2> 前記多孔質炭素が表面に開孔部を有する連通孔を有する前記<1>に記載の活物質である。
<3> 前記導電性ポリマーが、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリチオフェン誘導体である前記<1>から<2>のいずれかに記載の活物質である。
ただし、前記一般式(1)中、Zは、S元素、O元素、又はSe元素を環員として含む5〜9員の複素環を形成する原子群を表す。Arは置換基を有していてもよい芳香環又は芳香族複素環を表す。nは2以上の自然数を表し、mは0又は2以上の自然数を表す。
<4> 前記一般式(1)で表される繰り返し単位が、下記一般式(2)で表される繰り返し単位である前記<3>に記載の活物質である。
ただし、前記一般式(2)中、Rは置換もしくは無置換のアルキレン基又は置換もしくは無置換の分岐アルキレン基を表す。pは1以上の自然数を表す。QはS元素、O元素、又はSe元素を表す。Ar、n、及びmは、上記一般式(1)と同じ意味を表す。
<5> 前記一般式(2)で表される繰り返し単位が、下記一般式(3)で表される繰り返し単位である前記<4>に記載の活物質である。
ただし、前記一般式(3)中、Rは置換もしくは無置換のアルキレン基又は置換もしくは無置換の分岐アルキレン基を表す。pは1以上の自然数を表す。Ar、n、及びmは、上記一般式(1)と同じ意味を表す。
<6> 前記導電性ポリマーが、繰り返し単位中に下記一般式(4)で表される構造を有する前記<1>から<2>のいずれかに記載の活物質である。
ただし、前記一般式(4)中、Ar、Ar、及びArは、それぞれ置換基を有していてもよい芳香環又は芳香族複素環を表す。
<7> 前記導電性ポリマーが、下記一般式(5)で表される繰り返し単位を有する前記<1>から<2>のいずれかに記載の活物質である。
ただし、前記一般式(5)中、R、R、及びRは、それぞれ水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、又は置換もしくは無置換の分岐アルキル基を表す。Ar、Ar、及びArは、置換基を有していてもよい芳香環、又は芳香族複素環を表す。nは2以上の自然数を表す。
<8> 前記導電性ポリマーが、下記一般式(63)で表される繰り返し単位を有する前記<1>から<2>のいずれかに記載の活物質である。
ただし、前記一般式(63)中、nは2以上の自然数を表す。
<9> 前記導電性ポリマーが、下記一般式(65)で表される繰り返し単位を有する前記<1>から<2>のいずれかに記載の活物質である。
ただし、前記一般式(65)中、nは2以上の自然数を表す。
<10> 前記導電性ポリマーが、下記一般式(61)で表される繰り返し単位を有するポリチオフェン誘導体である前記<1>から<2>のいずれかに記載の活物質である。
ただし、前記一般式(61)中、n1及びn2は、それぞれ2以上の自然数を表す。
<11> 前記多孔質炭素と前記導電性ポリマーとの質量比(多孔質炭素/導電性ポリマー)が、20/80以上95/5以下である前記<1>から<10>のいずれかに記載の活物質である。
<12> 前記多孔質炭素の嵩密度が0.1g/cc以上1.0g/cc以下である前記<1>から<11>のいずれかに記載の活物質である。
<13> 前記多孔質炭素が粒子状乃至塊状の炭素からなる前記<1>から<12>のいずれかに記載の活物質である。
<14> アニオンを吸蔵乃至放出可能な正極活物質である前記<1>から<13>のいずれかに記載の活物質である。
<15> 前記<1>から<14>のいずれかに記載の活物質を含むことを特徴とする電極である。
<16> 正極と、負極と、電解液とを有し、
前記正極及び前記負極の少なくともいずれかが、前記<15>に記載の電極であることを特徴とする蓄電素子である。
<17> 前記電解液が非水電解液である前記<16>に記載の蓄電素子である。
<18> 前記正極と前記負極との間に配置され、前記電解液を保持するセパレータを有する前記<16>から<17>のいずれかに記載の蓄電素子である。
前記<1>から<14>のいずれかに記載の活物質、前記<15>に記載の電極、及び前記<16>から<18>のいずれかに記載の蓄電素子は、従来における前記諸問題を解決し、前記本発明の目的を達成することができる。
1 正極
2 負極
3 セパレータ
4 非水電解液
5 容器
6 正極線
7 負極線
10 蓄電素子
特許第5228531号公報 特開2016−58207号公報

Claims (16)

  1. 三次元網目構造を形成する複数の細孔を有する多孔質炭素と、
    導電性ポリマーと、を有し、
    前記多孔質炭素における複数の細孔の少なくとも一部が前記導電性ポリマーを含み、前記多孔質炭素におけるレーザー回折散乱式粒度分布測定法による体積粒子径と体積頻度との関係を示す粒度分布曲線において2つ以上のピークを有することを特徴とする活物質。
  2. 前記多孔質炭素が表面に開孔部を有する連通孔を有する請求項1に記載の活物質。
  3. 前記導電性ポリマーが、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリチオフェン誘導体である請求項1から2のいずれかに記載の活物質。
    ただし、前記一般式(1)中、Zは、S元素、O元素、又はSe元素を環員として含む5〜9員の複素環を形成する原子群を表す。Arは置換基を有していてもよい芳香環又は芳香族複素環を表す。nは2以上の自然数を表し、mは0又は2以上の自然数を表す。
  4. 前記一般式(1)で表される繰り返し単位が、下記一般式(2)で表される繰り返し単位である請求項3に記載の活物質。
    ただし、前記一般式(2)中、Rは置換もしくは無置換のアルキレン基又は置換もしくは無置換の分岐アルキレン基を表す。pは1以上の自然数を表す。QはS元素、O元素、又はSe元素を表す。Ar、n、及びmは、上記一般式(1)と同じ意味を表す。
  5. 前記一般式(2)で表される繰り返し単位が、下記一般式(3)で表される繰り返し単位である請求項4に記載の活物質。
    ただし、前記一般式(3)中、Rは置換もしくは無置換のアルキレン基又は置換もしくは無置換の分岐アルキレン基を表す。pは1以上の自然数を表す。Ar、n、及びmは、上記一般式(1)と同じ意味を表す。
  6. 前記導電性ポリマーが、繰り返し単位中に下記一般式(4)で表される構造を有する請求項1から2のいずれかに記載の活物質。
    ただし、前記一般式(4)中、Ar、Ar、及びArは、それぞれ置換基を有していてもよい芳香環又は芳香族複素環を表す。
  7. 前記導電性ポリマーが、下記一般式(5)で表される繰り返し単位を有する請求項1から2のいずれかに記載の活物質。
    ただし、前記一般式(5)中、R、R、及びRは、それぞれ水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、又は置換もしくは無置換の分岐アルキル基を表す。Ar、Ar、及びArは、置換基を有していてもよい芳香環、又は芳香族複素環を表す。nは2以上の自然数を表す。
  8. 前記導電性ポリマーが、下記一般式(63)で表される繰り返し単位を有する請求項1から2のいずれかに記載の活物質。
    ただし、前記一般式(63)中、nは2以上の自然数を表す。
  9. 前記導電性ポリマーが、下記一般式(65)で表される繰り返し単位を有する請求項1から2のいずれかに記載の活物質。
    ただし、前記一般式(65)中、nは2以上の自然数を表す。
  10. 前記導電性ポリマーが、下記一般式(61)で表される繰り返し単位を有するポリチオフェン誘導体である請求項1から2のいずれかに記載の活物質。
    ただし、前記一般式(61)中、n1及びn2は、それぞれ2以上の自然数を表す。
  11. 前記多孔質炭素と前記導電性ポリマーとの質量比(多孔質炭素/導電性ポリマー)が、20/80以上95/5以下である請求項1から10のいずれかに記載の活物質。
  12. 前記多孔質炭素の嵩密度が0.1g/cc以上1.0g/cc以下である請求項1から11のいずれかに記載の活物質。
  13. 前記多孔質炭素が粒子状乃至塊状の炭素からなる請求項1から12のいずれかに記載の活物質。
  14. アニオンを吸蔵乃至放出可能な正極活物質である請求項1から13のいずれかに記載の活物質。
  15. 請求項1から14のいずれかに記載の活物質を含むことを特徴とする電極。
  16. 正極と、負極と、電解液とを有し、
    前記正極及び前記負極の少なくともいずれかが、請求項15に記載の電極であることを特徴とする蓄電素子。

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