JP2014235884A - 非水電解液蓄電素子及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アニオンを挿入乃至脱離可能な正極活物質を含む正極と、金属リチウム及びリチウムイオンの少なくともいずれかを吸蔵乃至放出可能な負極活物質を含む負極と、非水溶媒にリチウム塩を溶解してなる非水電解液と、前記正極と前記負極との間にセパレータとを有する非水電解液蓄電素子であって、前記正極、前記負極、及び前記セパレータの少なくともいずれかが、固体状のリチウム塩を含有し、前記非水溶媒に対するリチウム塩の溶解度が飽和溶解度以下である非水電解液蓄電素子である。
【選択図】図1
Description
従来より、非水電解液蓄電素子としては、リチウムコバルト複合酸化物等の正極と、炭素の負極と、非水溶媒にリチウム塩を溶解してなる非水電解液とを有するリチウムイオン二次電池が多く使用されている。
一方、正極に導電性高分子、炭素材料等の材料を用い、非水電解液中のアニオンが正極へ挿入乃至脱離し、非水電解液中のリチウムイオンが炭素材料からなる負極へ挿入乃至脱離して充放電が行われる非水電解液蓄電素子(以下、このタイプの蓄電素子を「デュアルカーボン蓄電素子」と称することがある)が存在する(特許文献1参照)。
このデュアルカーボン蓄電素子においては、下記反応式に示すように、非水電解液中から正極に、例えば、PF6 −等のアニオンが挿入され、非水電解液中から負極にLi+が挿入されることにより充電が行われ、正極からPF6 −等のアニオン、負極からLi+が非水電解液へ脱離することにより放電が行われる。
前記正極、前記負極、及び前記セパレータの少なくともいずれかが、固体状のリチウム塩を含有し、前記非水溶媒に対するリチウム塩の溶解度が飽和溶解度以下である。
本発明の非水電解液蓄電素子は、正極と、負極と、非水電解液と、セパレータとを有し、更に必要に応じてその他の部材を有してなる。
(1)25℃、放電電圧4.0Vにおいて固体状のリチウム塩を含まないことを意味する。
前記非水電解液蓄電素子は、非水電解液の種類によらず放電電圧3.0V〜5.4Vで使用されるが、25℃、放電電圧が4.0Vにおいて、蓄電素子内部に固体状のリチウム塩を含まない。
(2)使用条件(冷温〜室温〜高温)において非水溶媒に対するリチウム塩の溶解度が過飽和に達していないことを意味する。
ここで、前記非水溶媒に対するリチウム塩の過飽和の溶解度(飽和溶解度)は、温度、非水溶媒の種類、リチウム塩の種類などに応じて異なるが、非水溶媒としてエチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)を1:2(体積比)を用い、リチウム塩としてLiPF6を用いた場合には、25℃では5mol/L〜7mol/Lである。−30℃では0.5mol/L以下でほとんど溶けない。80℃では7mol/L〜8mol/Lである。なお、−30℃では非水電解液は高粘度になり、固体状態に近くなりイオン電導度が小さくなり、蓄電素子の充放電がスムーズに行われない。
添加する過剰なリチウム塩の量は、正極活物質又は負極活物質の電気量のうち少ないほうの電極の充電電気量を基準とし、非水電解液由来のリチウム塩と固体状態で添加するリチウム塩の総量が前記電極の充電電気量と同等となるような量とする。
具体的には、Li金属が充電時に負極表面へ析出することを防ぐため、負極電気容量のほうが正極より大きい。正極容量が100mAh/gの活物質特性で添加量が10mgである場合には正極電気量は3.6クーロンである。1molのLiPF6が持つアニオンの電気量は1F(ファラデー)、即ち、9.64×104Cである。したがって、3.6クーロン相当の電気量をもつLiPF6は、3.6/9.64×104=3.7×10−5molである。これは5.6mgとなる。これは電解液由来のLiPF6と固体添加由来のLiPF6の両方の和として5.6mg以上のLiPF6が必要であることを意味する。実際には、電解液由来のLiPF6と固体添加由来のLiPF6の合計が5.6mg以上であることを意味する。
放電時、非水電解液の溶媒の量が不足する場合、電極からイオンが出てくると、非水電解液中にリチウム塩を溶解した状態でリチウム塩をすべて保持できない。非水電解液はリチウム塩で飽和する。
蓄電素子のセル作製段階より、上記の高濃度のリチウム塩を含む非水電解液は、電極内への浸透が悪く、良好に充放電できないが、低濃度の電解液を使用し、一度充放電を行うことで、電解液の濃度を上げることができる。
本発明においては、非水電解液とは別に、蓄電素子内部に固体状のリチウム塩を添加する。具体的には、前記正極、前記負極、及び前記セパレータの少なくともいずれかに、固体状のリチウム塩を含有させる。このとき、固体状のリチウム塩の添加は、非水電解液中への単純な添加ではなく、(1)正極に固体状のリチウム塩を添加する場合には、正極活物質と混合して添加する方法、(2)負極に固体状のリチウム塩を添加する場合には、負極活物質と混合して添加する方法、及び(3)セパレータに固体状のリチウム塩を添加する場合には、セパレータに付着させて添加する方法、の少なくともいずれかを行い添加することが好ましい。前記(1)〜(3)の具体的な添加方法については、以下に示すとおりである。なお、正極活物質、負極活物質、リチウム塩などの詳細については、後述する。
前記正極における固体状のリチウム塩の添加量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記正極活物質100質量部に対して10質量部〜80質量部が好ましい。
前記正極に固体状のリチウム塩が練り込まれていることは、ICPによる元素分析にてLi、P、Fがすべて同時に見つかることで同定できる。正極にインターカレーションするのはアニオンのPF6 −のみであり、結晶のLiPF6が存在する場合以外はLi、P、Fがすべて同時に存在することはないからである。
前記負極における固体状のリチウム塩の添加量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記負極活物質100質量部に対して10質量部〜80質量部が好ましい。
前記負極に固体状のリチウム塩が練り込まれていることは、ICPによる元素分析にてLi、P、Fがすべて同時に見つかることで同定できる。
前記セパレータにおける固体状のリチウム塩の添加量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記セパレータ100質量部に対して10質量部〜300質量部が好ましい。
前記正極は、正極活物質を含んでいれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、正極集電体上に正極活物質を有する正極材を備えた正極、などが挙げられる。
前記正極の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、平板状、などが挙げられる。
前記正極材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、正極活物質を少なくとも含み、更に必要に応じて導電剤、バインダ、増粘剤、などを含んでなる。
前記正極活物質としては、アニオンを挿入乃至脱離可能な物質であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、炭素質材料、導電性高分子、などが挙げられる。これらの中でも、エネルギー密度が高い点から炭素質材料が特に好ましい。
前記導電性高分子としては、例えば、ポリアニリン、ポリピロール、ポリパラフェニレン、などが挙げられる。
前記炭素質材料としては、例えば、コークス、人造黒鉛、天然黒鉛等の黒鉛(グラファイト)、様々な熱分解条件での有機物の熱分解物、などが挙げられる。これらの中でも、人造黒鉛、天然黒鉛が特に好ましい。
前記炭素質材料としては、結晶性が高い炭素質材料であることが好ましい。前記結晶性はX線回折、ラマン分析などで評価することができ、例えば、CuKα線を用いた粉末X線回折パターンにおいて、2θ=22.3°における回折ピーク強度I2θ=22.3°と、2θ=26.4°における回折ピーク強度I2θ=26.4°の強度比I2θ=22.3°/I2θ=26.4°が0.4以下が好ましい。
前記炭素質材料の窒素吸着によるBET比表面積は、1m2/g以上100m2/g以下が好ましく、レーザー回折・散乱法により求めた平均粒径(メジアン径)は、0.1μm以上100μm以下が好ましい。
前記バインダとしては、電極製造時に使用する溶媒や電解液に対して安定な材料であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系バインダ、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム、カルボキシルメチルセルロース(CMC)、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、前記正極にLiPF6粉末を練り込まない場合は、前記バインダとして前記CMCを用い、前記溶媒として水を用いることが好ましい。
前記増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、酸化スターチ、リン酸スターチ、カゼイン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記導電剤としては、例えば、銅、アルミニウム等の金属材料、カーボンブラック、アセチレンブラック等の炭素質材料、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記正極集電体の材質、形状、大きさ、構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記正極集電体の材質としては、導電性材料で形成されたものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ステンレススチール、ニッケル、アルミニウム、銅、チタン、タンタル、などが挙げられる。これらの中でも、ステンレススチール、アルミニウムが特に好ましい。
前記正極集電体の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記正極集電体の大きさとしては、非水電解液蓄電素子に使用可能な大きさであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記正極は、前記正極活物質に、必要に応じて前記バインダ、前記増粘剤、前記導電剤、溶媒等を加えてスラリー状とした正極材を、前記正極集電体上に塗布し、乾燥することで製造することができる。前記溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水系溶媒、有機系溶媒、などが挙げられる。前記水系溶媒としては、例えば、水、アルコール、などが挙げられる。前記有機系溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、トルエン、などが挙げられる。
なお、前記正極活物質をそのままロール成形してシート電極としたり、圧縮成形によりペレット電極とすることもできる。
前記負極は、負極活物質を含んでいれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、負極集電体上に負極活物質を有する負極材を備えた負極、などが挙げられる。
前記負極の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、平板状、などが挙げられる。
前記負極材としては、負極活物質を少なくとも含み、更に必要に応じてバインダ、導電剤、などを含んでなる。
前記負極活物質としては、金属リチウム及びリチウムイオンの少なくともいずれかを吸蔵乃至放出可能な物質であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、炭素質材料、酸化アンチモン錫、一酸化珪素等のリチウムを吸蔵、放出可能な金属酸化物、アルミニウム、錫、珪素、亜鉛等のリチウムと合金化可能な金属又は金属合金、リチウムと合金化可能な金属と該金属を含む合金とリチウムとの複合合金化合物、チッ化コバルトリチウム等のチッ化金属リチウム、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、安全性とコストの点から、炭素質材料が特に好ましい。
前記炭素質材料としては、例えば、コークス、人造黒鉛、天然黒鉛等の黒鉛(グラファイト)、様々な熱分解条件での有機物の熱分解物、などが挙げられる。これらの中でも、人造黒鉛、天然黒鉛が特に好ましい。
前記バインダとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系バインダ、エチレン−プロピレン−ブタジエンゴム(EPBR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム、カルボキシメチルセルロース(CMC)、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系バインダ、カルボキシメチルセルロース(CMC)が好ましく、繰り返し充放電回数が他のバインダに比べて向上する点から、CMCが特に好ましい。
前記CMCを用いるとPVDFに比べて繰り返し充放電回数が2倍以上改善する(1C充放電、蓄電素子寿命を初期容量の80%になったときと定義した場合)。なお、前記負極にLiPF6粉末を練り込まない場合は、前記バインダとして前記CMCを用い、前記溶媒として水を用いることが好ましい。
前記導電剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、銅、アルミニウム等の金属材料、カーボンブラック、アセチレンブラック等の炭素質材料、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記負極集電体の材質、形状、大きさ、構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記負極集電体の材質としては、導電性材料で形成されたものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ステンレススチール、ニッケル、アルミニウム、銅、などが挙げられる。これらの中でも、ステンレススチール、銅が特に好ましい。
前記集電体の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記集電体の大きさとしては、非水電解液蓄電素子に使用可能な大きさであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記負極は、前記負極活物質に、必要に応じて前記バインダ、前記導電剤、溶媒等を加えてスラリー状とした負極材を、前記負極集電体上に塗布し、乾燥することで製造することができる。前記溶媒としては、前記正極の作製方法と同様の溶媒を用いることができる。
また、前記負極活物質に前記バインダ、前記導電剤等を加えたものをそのままロール成形してシート電極としたり、圧縮成形によりペレット電極としたり、蒸着、スパッタ、メッキ等の手法で前記負極集電体上に前記負極活物質の薄膜を形成することもできる。
前記非水電解液は、非水溶媒にリチウム塩を溶解してなる電解液である。
前記非水溶媒としては、非プロトン性有機溶媒であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、環状カーボネート、鎖状カーボネート等のカーボネート系有機溶媒、環状エステル、鎖状エステル等のエステル系有機溶媒、環状エーテル、鎖状エーテル等のエーテル系有機溶媒などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、カーボネート系有機溶媒が、リチウム塩の溶解力が高い点で好ましい。
前記環状カーボネートとしては、例えば、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)などが挙げられる。
前記鎖状カーボネートとしては、例えば、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルエチルカーボネートなどが挙げられる。
前記環状エステルとしては、例えば、γ−ブチロラクトン(γBL)、2−メチル−γ−ブチロラクトン、アセチル−γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトンなどが挙げられる。
前記鎖状エステルとしては、例えば、プロピオン酸アルキルエステル、マロン酸ジアルキルエステル、酢酸アルキルエステルなどが挙げられる。
前記環状エーテルとしては、例えば、テトラヒドロフラン、アルキルテトラヒドロフラン、アルコキシテトラヒドロフラン、ジアルコキシテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、アルキル−1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキソランなどが挙げられる。
前記鎖状エーテルとしては、例えば、1,2−ジメトシキエタン(DME)、ジエチルエーテル、エチレングリコールジアルキルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、トリエチレングリコールジアルキルエーテル、テトラエチレングリコールジアルキルエーテルなどが挙げられる。
これらの中でも、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)を混合したものが好ましく、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)の混合割合は、体積比で、EC:DMC=1:1〜1:10が好ましく、1:2がより好ましい。
前記リチウム塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)、過塩素酸リチウム(LiClO4)、塩化リチウム(LiCl)、ホウ弗化リチウム(LiBF4)、LiB(C6H5)4、六弗化砒素リチウム(LiAsF6)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)、リチウムビストリフルオロメチルスルホニルイミド(LiN(CF3SO2)2)、リチウムビスパーフルオロエチルスルホニルイミド(LiN(C2F5SO2)2)、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、炭素電極中へのアニオンの吸蔵量の大きさの観点から、LiPF6が特に好ましい。
前記リチウム塩の濃度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記有機溶媒中に、0.5mol/L〜3mol/Lが好ましく、1mol/L定後が粘度の点から特に好ましい。
前記セパレータは、正極と負極の短絡を防ぐために正極と負極の間に設けられる。
前記セパレータの材質、形状、大きさ、構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記セパレータの材質としては、例えば、クラフト紙、ビニロン混抄紙、合成パルプ混抄紙等の紙、セロハン、ポリエチレングラフト膜、ポリプロピレンメルトブロー不織布等のポリオレフィン不織布、ポリアミド不織布、ガラス繊維不織布、などが挙げられる。
前記セパレータの形状としては、例えば、シート状が挙げられる。
前記セパレータの大きさとしては、非水電解液蓄電素子に使用可能な大きさであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記セパレータの構造は、単層構造であってもよく、積層構造であってもよい。
前記その他の部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、外装缶、電極取り出し線、などが挙げられる。
本発明の非水電解液蓄電素子の製造方法は、アニオンを挿入乃至脱離可能な正極活物質を含む正極と、金属リチウム及びリチウムイオンの少なくともいずれかを吸蔵乃至放出可能な負極活物質を含む負極と、非水溶媒にリチウム塩を溶解してなる非水電解液と、前記正極と前記負極との間にセパレータを有する非水電解液蓄電素子の製造方法であって、
前記正極、前記負極、及び前記セパレータの少なくともいずれかに固体状のリチウム塩を含有させた後に前記非水電解液を添加して、前記非水溶媒に対する前記リチウム塩の溶解度を飽和溶解度以下とする。
この場合、25℃、放電電圧4.0Vにおいて固体状のリチウム塩を含まないことが好ましい。
前記蓄電素子を組み立てる方法としては、特に制限はなく、通常採用されている方法の中から適宜選択することができる。
本発明の非水電解液蓄電素子の形状は、特に制限はなく、一般的に採用されている各種形状の中から、その用途に応じて適宜選択することができる。前記形状としては、例えば、シート電極及びセパレータをスパイラル状にしたシリンダータイプ、ペレット電極及びセパレータを組み合わせたインサイドアウト構造のシリンダータイプ、ペレット電極及びセパレータを積層したコインタイプなどが挙げられる。
本発明の非水電解液蓄電素子の用途としては、特に制限はなく、各種用途に用いることができ、例えば、ノートパソコン、ペン入力パソコン、モバイルパソコン、電子ブックプレーヤー、携帯電話、携帯ファックス、携帯コピー、携帯プリンター、ヘッドフォンステレオ、ビデオムービー、液晶テレビ、ハンディークリーナー、ポータブルCD、ミニディスク、トランシーバー、電子手帳、電卓、メモリーカード、携帯テープレコーダー、ラジオ、バックアップ電源、モーター、照明器具、玩具、ゲーム機器、時計、ストロボ、カメラなどが挙げられる。
<正極の作製>
正極活物質として炭素粉末(TIMCAL社製、KS−6)を用いた。この炭素粉末は窒素吸着によるBET比表面積20m2/g、レーザー回折粒度分布計(株式会社島津製作所製、SALD−2200)により測定した平均粒径(メジアン径)は3.4μmであった。
炭素粉末(黒鉛)3g、及び導電剤(内訳:アセチレンブラック95質量%、イオン交換水5質量%)0.15gに水2mLを加えて混錬し、更に増粘剤としてカルボキシメチルセルロース(CMC)3質量%水溶液を3g加えて混練し、スラリーを作製した。これをAl箔に塗工して25℃で1時間放置した後、60℃で15分間乾燥し、その後、120℃で5分間乾燥させ、正極とした。これを直径16mmの丸型に打ち抜き加工して正極の電極とした。このとき、直径16mmのAl箔に塗工された正極中の炭素粉末(黒鉛)の質量は10mgである。
負極活物質として炭素粉末(日立化成工業株式会社製、MAGD)を用いた。この炭素粉末は、窒素吸着によるBET比表面積4,600m2/g、レーザー回折粒度分布計(島津製作所製、SALD−2200)により測定した平均粒径(メジアン径)は20μm、タップ密度630kg/m3であった。
炭素粉末(黒鉛)2.7g、及び導電剤(内訳:アセチレンブラック95質量%、イオン交換水5質量%)0.2gに水を5mL加えて混錬し、更に増粘剤としてカルボキシメチルセルロース(CMC)2質量%水溶液を5g加えて混練し、スラリーを作製した。これをCu箔に塗工して25℃で0.2時間放置した後、60℃で15分間乾燥し、その後、120℃で5分間乾燥させ、負極とした。これを直径16mmの丸型に打ち抜き加工して負極の電極とした。このとき、直径16mmのCu箔に塗工された負極中の炭素粉末(黒鉛)の質量は10mgである。
非水電解液として1mol/LのLiPF6を溶解させたジメチルカーボネート(DMC)を0.3mL用意した。
セパレータとして、実験用ろ紙(ADVANTEC社製、GA−100 GLASS FIBER FILTER)を用意した。
アルゴンドライボックス中で、図1に示すように、作製した正極と負極の間にセパレータを挟んで隣接配置して、半開放型セル型の非水電解液蓄電素子を作製した。
比較例1において、以下の非水電解液を用いた以外は、比較例1と同様にして、比較例2の半開放型セル型の非水電解液蓄電素子を作製した。
<非水電解液>
非水電解液として5mol/LのLiPF6を溶解させた溶媒〔エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)=1:2(体積比)〕を0.3mL用意した。
比較例1において、正極に固体LiPF6粉末100mgを添加した以外は、比較例1と同様にして、実施例1の半開放型セル型の非水電解液蓄電素子を作製した。
比較例1において、負極に固体LiPF6粉末100mgを添加した以外は、比較例1と同様にして、実施例2の半開放型セル型の非水電解液蓄電素子を作製した。
比較例1において、比較例1と同じ実験用ろ紙(ADVANTEC GA−100 GLASS FIBER FILTER)上に固体LiPF6粉末100mgを塗布し、圧着し、これをセパレータとした以外は、比較例1と同様にして、実施例3の半開放型セル型の非水電解液蓄電素子を作製した。
比較例1において、正極と負極に固体LiPF6粉末100mgを添加した以外は、比較例1と同様にして、実施例4の半開放型セル型の非水電解液蓄電素子を作製した。
比較例1において、正極とセパレータに固体LiPF6粉末100mgを添加した以外は、比較例1と同様にして、実施例5の半開放型セル型の非水電解液蓄電素子を作製した。
比較例1において、負極とセパレータに固体LiPF6粉末100mgを添加した以外は、比較例1と同様にして、実施例6の半開放型セル型の非水電解液蓄電素子を作製した。
比較例1において、正極、負極とセパレータに固体LiPF6粉末100mgを添加した以外は、比較例1と同様にして、実施例7の半開放型セル型の非水電解液蓄電素子を作製した。
比較例1において、固体LiClF6粉末100mgを正極にドープした以外は、比較例1と同様にして、半開放型セル型の非水電解液蓄電素子を作製した。
作製した非水電解液蓄電素子を室温(25℃)において1mA(1C)の定電流で充電終止電圧5.4Vまで充電した。1回目の充電の後、1mAの定電流で3.0Vまで放電した。この充放電を30回繰り返した。2回〜30回までの放電容量を充放電試験装置(北斗電工株式会社製、HJ−SD8システム)により測定した。なお、放電容量は正極活物質10mg当たりの質量換算値である。
実施例1〜8及び比較例1〜2について、放電容量と充放電回数との関係を図2に示した。
図2の結果から、実施例1〜8については、充放電を繰り返すことにより、正極、負極、及びセパレータの少なくともいずれかが含有する固体状のリチウム塩の溶解に基づくと思われる、放電容量の増加が確認できた。
これに対して、比較例1及び2では、充放電を繰り返しても放電容量の増加が確認できなかった。
各非水電解液蓄電素子を25℃、放電電圧4.0Vで放電終了後、各非水電解液蓄電素子を分解し、正極表面、負極表面、セパレータ表面、及び外装缶の内側表面を、顕微鏡(SMZ−1500、NIKON社製)で観察して、黒色に見える活物質の黒鉛以外の多少明るい結晶が見えていれば、LiPF6の結晶であると判断できる。
実施例1〜8及び比較例1〜2において、LiPF6の結晶の有無を評価した結果、いずれも、放電電圧3.0V〜5.4Vで固体状のリチウム塩を確認することはできなかった。即ち、実施例1〜8及び比較例1〜2において、非水溶媒に対するリチウム塩の溶解度が飽和溶解度以下であることがわかった。
一定量の各種非水溶媒(DMC又はEC:DMC=1:2(体積比))に、溶質としてリチウム塩を加え、加熱し溶解した。その後、冷却すると析出が起きる。その質量を析出が始まった温度のリチウム塩の溶解度とした。
実施例1〜8においては、正極、負極、及びセパレータの少なくともいずれかが、固体状のリチウム塩を含有し、非水溶媒(DMC又はEC:DMC=1:2(体積比))に対するリチウム塩の溶解度は飽和溶解度以下であった。
比較例1及び2は、正極、負極、及びセパレータの少なくともいずれかが、固体状のリチウム塩を含有しておらず、非水溶媒(DMC又はEC:DMC=1:2(体積比))に対するリチウム塩の溶解度は飽和溶解度以下であった。
<1> アニオンを挿入乃至脱離可能な正極活物質を含む正極と、金属リチウム及びリチウムイオンの少なくともいずれかを吸蔵乃至放出可能な負極活物質を含む負極と、非水溶媒にリチウム塩を溶解してなる非水電解液と、前記正極と前記負極との間にセパレータとを有する非水電解液蓄電素子であって、
前記正極、前記負極、及び前記セパレータの少なくともいずれかが、固体状のリチウム塩を含有し、
前記非水溶媒に対するリチウム塩の溶解度が飽和溶解度以下であることを特徴とする非水電解液蓄電素子である。
<2> 25℃、放電電圧4.0Vにおいて固体状のリチウム塩を含まない前記<1>に記載の非水電解液蓄電素子である。
<3> 正極活物質が、炭素質材料である前記<1>から<2>のいずれかに記載の非水電解液蓄電素子である。
<4> 負極活物質が、炭素質材料である前記<1>から<3>のいずれかに記載の非水電解液蓄電素子である。
<5> リチウム塩が、LiPF6である前記<1>から<4>のいずれかに記載の非水電解液蓄電素子である。
<6> アニオンを挿入乃至脱離可能な正極活物質を含む正極と、金属リチウム及びリチウムイオンの少なくともいずれかを吸蔵乃至放出可能な負極活物質を含む負極と、非水溶媒にリチウム塩を溶解してなる非水電解液と、前記正極と前記負極との間にセパレータを有する非水電解液蓄電素子の製造方法であって、
前記正極、前記負極、及び前記セパレータの少なくともいずれかに固体状のリチウム塩を含有させた後に前記非水電解液を添加して、前記非水溶媒に対する前記リチウム塩の溶解度を飽和溶解度以下とすることを特徴とする非水電解液蓄電素子の製造方法である。
<7> 25℃、放電電圧4.0Vにおいて固体状のリチウム塩を含まない前記<6>に記載の非水電解液蓄電素子の製造方法である。
2 負極
3 セパレータ
4 外装缶
5 負極引き出し線
6 正極引き出し線
Claims (7)
- アニオンを挿入乃至脱離可能な正極活物質を含む正極と、金属リチウム及びリチウムイオンの少なくともいずれかを吸蔵乃至放出可能な負極活物質を含む負極と、非水溶媒にリチウム塩を溶解してなる非水電解液と、前記正極と前記負極との間にセパレータとを有する非水電解液蓄電素子であって、
前記正極、前記負極、及び前記セパレータの少なくともいずれかが、固体状のリチウム塩を含有し、
前記非水溶媒に対するリチウム塩の溶解度が飽和溶解度以下であることを特徴とする非水電解液蓄電素子。 - 25℃、放電電圧4.0Vにおいて固体状のリチウム塩を含まない請求項1に記載の非水電解液蓄電素子。
- 正極活物質が、炭素質材料である請求項1から2のいずれかに記載の非水電解液蓄電素子。
- 負極活物質が、炭素質材料である請求項1から3のいずれかに記載の非水電解液蓄電素子。
- リチウム塩が、LiPF6である請求項1から4のいずれかに記載の非水電解液蓄電素子。
- アニオンを挿入乃至脱離可能な正極活物質を含む正極と、金属リチウム及びリチウムイオンの少なくともいずれかを吸蔵乃至放出可能な負極活物質を含む負極と、非水溶媒にリチウム塩を溶解してなる非水電解液と、前記正極と前記負極との間にセパレータを有する非水電解液蓄電素子の製造方法であって、
前記正極、前記負極、及び前記セパレータの少なくともいずれかに固体状のリチウム塩を含有させた後に前記非水電解液を添加して、前記非水溶媒に対する前記リチウム塩の溶解度を飽和溶解度以下とすることを特徴とする非水電解液蓄電素子の製造方法。 - 25℃、放電電圧4.0Vにおいて固体状のリチウム塩を含まない請求項6に記載の非水電解液蓄電素子の製造方法。
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